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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】消火システム
(51)【国際特許分類】
   A62C 37/40 20060101AFI20230710BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
A62C37/40
G08B17/00 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019052663
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2019166320
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】P 2018055971
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229405
【氏名又は名称】日本ドライケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】砂原 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】上脇 理嗣
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 慎也
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-275392(JP,A)
【文献】特開平07-275391(JP,A)
【文献】特開2003-135617(JP,A)
【文献】特開平08-276027(JP,A)
【文献】特開平9-106489(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0121187(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 37/40
G08B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を感知する熱感知手段を有し、前記熱感知手段よりの熱感知情報に基づいて、火災の種類を判定するとともに、前記火災の規模および位置を判定し、前記判定された前記火災の種類に基づいて、その前記火災の種類に有効な消火剤を用いて消火動作を行い、前記熱感知手段よりの熱感知情報から、前記火災の放射熱量の時間による推移を検出し時間の経過とともに上昇する放射熱量によって前記火災の種類を判定する火災種類判断部を有し、前記熱感知手段が熱画像センサである消火システムであって、
少なくとも2つの前記熱画像センサと、
水を送り出すポンプと、
前記ポンプより送り出された水に泡剤を混合する泡剤混合装置と、
前記ポンプより送り出された水あるいは前記泡剤混合装置により水に泡剤が混合された消火剤を前記火災の方向に放射する放射銃と、
前記判定された、前記火災の位置および前記火災の規模および前記火災の種類に応じて、前記火災に対して有効な消火動作を行うように前記ポンプおよび前記泡剤混合装置および前記放射銃を制御する火災判断装置と、
を有することを特徴とする消火システム。
【請求項2】
前記火災を少なくとも2つの前記熱画像センサで捕えた時の検出角と少なくとも2つの前記熱画像センサの設置間距離とに基づき、三角測量の原理に従って、前記火災の位置の火災位置判定を行う火災位置判断部を有することを特徴とする請求項1に記載の消火システム。
【請求項3】
前記熱画像センサよりの放射熱量信号および前記火災位置判定された火災位置の情報に基づいて、前記火災の規模の火災規模判定を行う火災規模判断部を有することを特徴とする請求項2に記載の消火システム。
【請求項4】
前記火災種類判断部が、前記火災の種類を木製品、紙、繊維製品、ゴム、樹脂などが燃焼する第1種の火災と判定した場合、消火剤として水を用いて消火動作を行い、ガソリン、灯油、てんぷら油などが燃焼する第2種の火災と判定した場合、水に泡剤を混合した消火剤を用いて消火動作を行うように、前記火災判断装置が、前記ポンプおよび前記泡剤混合装置および前記放射銃を制御することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の消火システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、熱画像カメラや光電式分離型感知器や輻射熱の計測器等の火災検知器により火点検出し、その火点へ水や泡などの消火剤を放射して消火を行う消火システムが知られている。
【0003】
従来の消火システムには以下のような問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-174900号公報
【文献】特開平5-20560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
まず、火災には種類があり、その火災の種類に合わせた消火剤を放射して消火を行うことが理想的である。
【0006】
火災の種類としては、木製品、紙、繊維製品、ゴム、樹脂などが燃焼する第1種の火災(A火災)、ガソリン、灯油、てんぷら油などが燃焼する第2種の火災(B火災)等がある。A火災には、水(浸潤剤等入り)からなる消火剤が有効であり、B火災には、泡からなる消火剤(泡剤)が有効である。泡の消火剤には、泡原液として水成膜泡消火薬剤やタンパク泡消火薬剤などがある。
【0007】
なお、泡からなる消火剤は、泡が油面を覆うことで酸素を遮断し、窒息効果によりB火災の消火に効果がある。また、水分を含むことから冷却効果によりA火災の消火にも効果があるが、水(浸潤剤等入り)からなる消火剤より高価であるので、コスト的な観点から、A火災には、水(浸潤剤等入り)からなる消火剤を使用することが望まれる。
【0008】
しかしながら、従来の消火システムでは、火災の種類を判定することができないため、火災の種類に応じた有効な消火剤を使用することが出来なかった。
【0009】
すなわち、水(浸潤剤等入り)からなる消火剤にすれば、A火災には有効であるが、B火災にはあまり効果が期待出来ない。泡からなる消火剤にすれば、A火災にもB火災にも有効であるが、A火災およびB火災の全てに使用するのでコストが高くなってしまう。本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、火災の規模や種類を判定して、有効な消火剤を自動的に選択して消火動作を行うことができる消火システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、熱を感知する熱感知手段を有し、前記熱感知手段よりの熱感知情報に基づいて、火災の種類を判定するとともに、前記火災の規模および位置を判定し、前記判定された前記火災の種類に基づいて、その前記火災の種類に有効な消火剤を用いて消火動作を行い、前記熱感知手段よりの熱感知情報から、前記火災の放射熱量の時間による推移を検出し時間の経過とともに上昇する放射熱量によって前記火災の種類を判定する火災種類判断部を有し、前記熱感知手段が熱画像センサである消火システムであって、少なくとも2つの前記熱画像センサと、水を送り出すポンプと、前記ポンプより送り出された水に泡剤を混合する泡剤混合装置と、前記ポンプより送り出された水あるいは前記泡剤混合装置により水に泡剤が混合された消火剤を前記火災の方向に放射する放射銃と、前記判定された、前記火災の位置および前記火災の規模および前記火災の種類に応じて、前記火災に対して有効な消火動作を行うように前記ポンプおよび前記泡剤混合装置および前記放射銃を制御する火災判断装置とを有する消火システムである。
【0011】
第2の発明は、第1の発明に係わる消火システムにおいて、前記火災を少なくとも2つの前記熱画像センサで捕えた時の検出角と少なくとも2つの前記熱画像センサの設置間距離とに基づき、三角測量の原理に従って、前記火災の位置の火災位置判定を行う火災位置判断部を有する消火システムである。
【0012】
第3の発明は、第2の発明に係わる消火システムにおいて、前記熱画像センサよりの放射熱量信号および前記火災位置判定された火災位置の情報に基づいて、前記火災の規模の火災規模判定を行う火災規模判断部を有する消火システムである。
【0013】
第4の発明は、第1の発明から第3の発明のうちのいずれか1に係わる消火システムにおいて、前記火災種類判断部が、前記火災の種類を木製品、紙、繊維製品、ゴム、樹脂などが燃焼する第1種の火災と判定した場合、消火剤として水を用いて消火動作を行い、ガソリン、灯油、てんぷら油などが燃焼する第2種の火災と判定した場合、水に泡剤を混合した消火剤を用いて消火動作を行うように、前記火災判断装置が、前記ポンプおよび前記泡剤混合装置および前記放射銃を制御する消火システムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、種類や規模の異なる火災に対して、適切な消火剤を放射して消火動作を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係わる消火システムの一実施形態の概略機能説明図である。
図2図1に示した消火システム1における熱画像センサ3の説明図である。
図3図1に示した消火システム1における火災判断装置5の内部機能構成図である。
図4図1に示した消火システム1における消火方法の動作フローチャートである。
図5】火災19の種類による放射熱量qの時間による推移を示すグラフ図であり、(a)は、木製品、紙、繊維製品、ゴム、樹脂などが燃焼する第1種の火災(A火災)の場合のグラフ図であり、(b)は、ガソリン、灯油、てんぷら油などが燃焼する第2種の火災(B火災)の場合のグラフ図である。
図6図1に示した消火システム1における消火方法の他の実施形態の火災判断装置25の内部機能構成図である。
図7図1に示した消火システム1における消火方法の他の実施形態の動作フローチャートである。
図8】種類の異なる炎の位置温度の時間による推移を示すグラフ図であり、(a)は、木製品、紙、繊維製品、ゴム、樹脂などが燃焼する第1種の火災(A火災)の場合の時間毎の炎の位置温度を示し、(b)は、ガソリン、灯油、てんぷら油などが燃焼する第2種の火災(B火災)の場合の時間毎の炎の位置温度を示す。
図9】種類の異なる炎の単位時間当たりの位置温度変化の傾きの時間による推移を示すグラフ図であり、(c)は、木製品、紙、繊維製品、ゴム、樹脂などが燃焼する第1種の火災(A火災)の場合の炎の単位時間当たりの位置温度変化の傾きを示し、(d)は、ガソリン、灯油、てんぷら油などが燃焼する第2種の火災(B火災)の場合の炎の単位時間当たりの位置温度変化の傾きを示す。
図10】第1の火災種類判断領域および第2の火災種類判断領域における位置温度推移および位置温度変化の傾きの時間による推移を示すグラフ図であり、(a)は、第1の火災種類判断領域27におけるB火災の場合の位置温度推移および第2の火災種類判断領域29におけるA火災の場合の位置温度推移をまとめて表示し、(b)は、第1の火災種類判断領域27におけるB火災の場合の位置温度変化の傾きおよび第2の火災種類判断領域29におけるA火災の場合の位置温度変化の傾きをまとめて表示する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、本発明に係わる消火システムの一実施形態の概略機能説明図である。
【0025】
図1に示すように、消火システム1は、火災の放射熱量を検知するための熱感知手段としての複数の熱画像センサ(熱感知器)3a、3b(この実施形態では2つ)と、熱画像センサ3a、3bよりの検知情報を受信する火災判断装置5と、火災判断装置5を操作するための操作盤7と、水を貯蔵する水源9と、火災判断装置5よりの制御信号に基づいて水源9よりの水を吸い出すポンプ11と、泡剤を貯蔵する泡剤貯蔵容器13と、火災判断装置5よりの制御信号に基づいてポンプ11より供給された水に泡剤を混合するための泡剤混合装置15と、火災判断装置5よりの制御信号に基づいて泡剤混合装置15よりの水あるいは水と泡剤の混合剤を火災19の方向に放射する放射銃17と、を有している。
【0026】
さらに、消火システム1は、火災を感知するために火災判断装置5に接続された火災感知器21と、放射銃17を直接に操作する現地操作盤23とを有している。
【0027】
泡剤貯蔵容器13は、泡消火薬剤を貯蔵するためのもので、泡剤混合装置15は、ポンプ11より供給された水に泡剤貯蔵容器13よりの泡消火薬剤を混合するためのもので、ベンチュリー型やオリフィス型等がある。
【0028】
放射銃17は、水や混合剤等からなる消火薬剤を火災19へ放出するためのもので、放出の方向や量を調節する。
【0029】
図2は、図1に示した消火システム1における熱画像センサ3を示す図であり、(a)は、熱画像センサ3の正面図であり、(b)は、熱画像センサ3の側面図である。
【0030】
図2に示すように、熱画像センサ3は、その正面の中央部に小型熱画像センサ本体3cを有し、その小型熱画像センサ本体3cにて、火災19よりの放射熱量を測定し、ケーブルを介して火災判断装置5へ放射熱量信号を送るようになっている。
この実施形態では、熱画像センサ3は、2個となっているが、その設置される状況に応じて、2個以上の複数個が設けられる。なお、熱画像センサ3の数が多いほど、火災判断をより正確に行うことが可能となる。
【0031】
図3は、図1に示した火災判断装置5の内部機能構成図である。
【0032】
図3に示すように、火災判断装置5は、熱画像センサ3a、3b及び火災感知器21よりの検知情報を受信して火災規模を判断する火災規模判断部5aと、熱画像センサ3a、3b及び火災感知器21よりの検知情報を受信して火災種類を判断する火災種類判断部5bと、熱画像センサ3a、3b及び火災感知器21よりの検知情報を受信して火災位置を判断する火災位置判断部5cと、火災規模判断部5a及び火災種類判断部5bよりの判断情報を受信してポンプ11を制御するポンプ制御部5dと、火災規模判断部5a及び火災種類判断部5bよりの判断情報を受信して泡剤混合装置15を制御する泡剤混合装置制御部5eと、火災規模判断部5a及び火災位置判断部5cよりの判断情報を受信して放射銃17を制御する放射銃制御部5fと、を有している。
【0033】
図3においては、火災判断装置5を機能構成で説明したが、各機能構成を専用回路で構成しても良いし、火災判断装置5をコンピュータで構成し、図3に示す各機能をソフトウェアにより実現するように構成しても良い。
【0034】
なお、火災規模判断部5a、火災種類判断部5b、火災位置判断部5c、ポンプ制御部5d、泡剤混合装置制御部5e、放射銃制御部5fの詳しい動作は、消火システム1の全体動作と共に後述する。
【0035】
図4は、図1に示した消火システム1における消火方法の動作フローチャートである。
【0036】
図4のステップ101において、火災感知器21により火災が検知されたか否かが判定される。
【0037】
すなわち、火災感知器21により火災が検知されると、その検知情報が、火災判断装置5の火災規模判断部5a及び火災種類判断部5b及び火災位置判断部5cへ入力され、火災判断装置5の火災規模判断部5a及び火災種類判断部5b及び火災位置判断部5cが起動される。
【0038】
次に、ステップ103において、熱画像センサ3a、3bによる放射熱量の測定が行われる。
【0039】
すなわち、熱画像センサ3a、3bのそれぞれで、火災19よりの放射熱量を測定し、各熱画像センサ3a、3bよりの放射熱量信号が、各ケーブルを介して、火災判断装置5の火災規模判断部5a及び火災種類判断部5b及び火災位置判断部5cへ送られる。
【0040】
ステップ105において、火災位置判断部5cにより火災位置判定が行われる。
【0041】
すなわち、火災位置判断部5cは、各熱画像センサ3a、3bよりの放射熱量信号に基づいて、三角測量法により火災19の位置判定を行う。
【0042】
ここでは、火災19を熱画像センサ3a、3bで捕えた時の検出角と熱画像センサ3a、3bの設置間距離とに基づき、三角測量の原理に従って、熱画像センサ3a、3bの中間位置から火災19までの距離と角度を求める。熱画像センサ3a、3bの中間位置から火災19までの距離と角度が判れば、熱画像センサ3a、3bと放射銃17との位置関係に基づいて、放射銃17のノズル先端から火災19までの距離と角度も判る。
【0043】
ここで判定された火災位置の情報は、後の火災規模判定動作および消火動作に用いられる。
【0044】
ステップ107において、火災規模判断部5aにより火災規模判定が行われる。
【0045】
すなわち、火災規模判断部5aは、熱画像センサ3a、3bよりの放射熱量信号および上記ステップ105において判定された火災位置の情報に基づいて、火災19の規模を判定する。
【0046】
ここでは、例えば、熱画像センサ3a、3bの中間位置から火災19までの距離に対しての熱画像センサ3a、3bにより検出された放射熱量の値に従って、例えば、5段階等に類別される。ここで判定された火災規模の情報は、後の消火動作に用いられる。
【0047】
次に、ステップ109において、火災種類判断部5bにより火災の種類の判定が行われる。
【0048】
この実施形態では、木製品、紙、繊維製品、ゴム、樹脂などが燃焼する第1種の火災(A火災)と、ガソリン、灯油、てんぷら油などが燃焼する第2種の火災(B火災)とを判定する場合を例に説明する。
【0049】
火災種類判断部5bは、熱画像センサ3a、3bよりの放射熱量信号に基づいて、放射熱量qの時間による推移を検出して、火災19の種類が、第1種の火災(A火災)か第2種の火災(B火災)かを判定する。
【0050】
すなわち、火災種類判断部5bは、熱画像センサ3a、3bよりの放射熱量信号の時間的な推移に従って火災19の種類が、第1種の火災(A火災)か第2種の火災(B火災)かを判定する。
【0051】
図5は、火災19の種類による放射熱量qの時間による推移を示すグラフ図であり、(a)は、木製品、紙、繊維製品、ゴム、樹脂などが燃焼する第1種の火災(A火災)の場合のグラフ図であり、(b)は、ガソリン、灯油、てんぷら油などが燃焼する第2種の火災(B火災)の場合のグラフ図である。
【0052】
第1種の火災(A火災)の場合は、図5(a)に示すように、時間の経過と共に、徐々に放射熱量qが上昇し、第2種の火災(B火災)の場合は、時間の経過と共に、急激に放射熱量qが上昇する。
【0053】
そこで、この実施形態では、図5(a)に示すように、火災種類判断部5bは、火災19の発生から、1分(min)後までの間の放射熱量qの推移(第1種の火災(A火災)の場合の放射熱量線aの傾き)が第1の所定値Cより小さい場合、火災19を第1種の火災(A火災)と判定し、図5(b)に示すように、火災19の発生から、1分(min)後までの間の放射熱量qの推移(第2種の火災(B火災)の場合の放射熱量線bの傾き)が第2の所定値Dより大きい場合、火災19を第2種の火災(B火災)と判定するようにしている。具体的には、熱画像センサ3a、3bよりの放射熱量qを、例えば、10秒毎に検出して、放射熱量線aならびに放射熱量線bの傾きを求める。
【0054】
ここで、第2の所定値Dは第1の所定値Cと同じ値とすると第1種の火災(A火災)と第2種の火災(B火災)を明確に判定でき、速やかな消火動作が可能となる。また、第2の所定値Dを第1の所定値Cより大きい値とすると、1分(min)後までの間の放射熱量qの推移が第1の所定値Cより大きく第2の所定値Dより小さい場合は第1種の火災(A火災)と判定し、第2種の火災(B火災)であるかの判断は目視による確認とするなど、誤ってB火災と判定する誤判定を防止することができる。
【0055】
従って、図5(a)に示すような放射熱量qの推移の場合、第1種の火災(A火災)と判定され、図5(b)に示すような放射熱量qの推移の場合、第2種の火災(B火災)と判定される。
【0056】
なお、第1の所定値Cおよび第2の所定値Dは、適宜に設定可能である。すなわち、この実施形態では、第1種の火災(A火災)および第2種の火災(B火災)を判別するために、第1の所定値Cおよび第2の所定値Dとを同じ値に設定したが、より多くの火災の種類を判定するために、第3や第4の所定値、あるいはそれ以上の数の所定値を設定することも可能である。
【0057】
また、複数の熱画像センサを設けた場合、熱画像センサ毎の火災19の種類による放射熱量qの時間による推移が異なる場合がある。そのような場合、複数の熱画像センサの内、判定結果の多かった火災の種類が、全体の判定結果とされる。
【0058】
この実施形態では、2つの熱画像センサ3a、3bが設けられているが、この場合は、いずれか1つの熱画像センサが、第2種の火災(B火災)の状態であれば、第2種の火災(B火災)と判定する。ここで判定された火災種類の情報は、後の消火動作に用いられる。
【0059】
上記ステップ109において第1種の火災(A火災)と判定された場合、ステップ111において、ポンプ制御部5dおよび放射銃制御部5fによりポンプ11および放射銃17が制御されて放射銃17から水(浸潤剤等入り)よりなる消火剤が火災19へ放出される。
【0060】
ここでは、ポンプ制御部5dは、火災規模判断部5aよりの火災19の規模判定情報および火災種類判断部5bよりの種類判断情報に基づいて、火災規模および火災種類に応じた水量を送り出すようにポンプ11を駆動制御する。
【0061】
具体的には、ポンプ制御部5dは、例えば、5段階等に類別された火災規模および第1種の火災(A火災)および第2種の火災(B火災)の火災種類に応じて送り出す水量が設定された情報テーブルを有しており、その情報テーブルに基づいて、所定の水量を決定し、その決定された水量を送り出すようにポンプ11を駆動制御するようになっている。
【0062】
また、放射銃制御部5fは、火災規模判断部5aよりの火災19の規模判定情報および火災位置判断部5cよりの位置判断情報に基づいて、火災規模および火災位置に応じて水(浸潤剤等入り)あるいは水と泡剤の混合剤を放出するように放射銃17を駆動制御する。
【0063】
具体的には、放射銃制御部5fは、例えば、5段階等に類別された火災規模および位置判断情報に応じて放出量や放出方向が設定された情報テーブルを有しており、その情報テーブルに基づいて、放出量や放出方向を決定し、その決定された放出量や放出方向に従って水(浸潤剤等入り)あるいは水と泡剤の混合剤を放出するように放射銃17を駆動制御するようになっている。
【0064】
なお、後述するように、このステップ111においては第1種の火災(A火災)と判定されているので、泡剤混合装置15の駆動制御は行われず、ポンプ11より送り出された水(浸潤剤等入り)は、そのまま泡剤混合装置15を通過して放射銃17へ送られる。または、泡剤混合装置15をバイパスする経路(図示せず)で放射銃17へ送られても良い。
【0065】
上記ステップ109において第2種の火災(B火災)と判定された場合、ステップ113、115において、ポンプ制御部5dおよび泡剤混合装置制御部5eおよび放射銃制御部5fによりポンプ11および泡剤混合装置15および放射銃17が制御されて放射銃17から水と泡剤の混合剤よりなる消火剤が火災19へ放出される。
【0066】
具体的には、ポンプ制御部5dは、例えば、5段階等に類別された火災規模および第1種の火災(A火災)および第2種の火災(B火災)の火災種類に応じて送り出す水量が設定された情報テーブルを有しており、その情報テーブルに基づいて、所定の水量を決定し、その決定された水量を送り出すようにポンプ11を駆動制御し、泡剤混合装置制御部5eは、火災種類が第2種の火災(B火災)の場合、ポンプ11より送り出された水(浸潤剤等入り)に泡剤貯蔵容器13よりの泡剤を混合するように泡剤混合装置15を駆動制御する。そして、放射銃制御部5fは、例えば、5段階等に類別された火災規模および位置判断情報に応じて放出量や放出方向が設定された情報テーブルを有しており、その情報テーブルに基づいて、放出量や放出方向を決定し、その決定された放出量や放出方向に従って水と泡剤の混合剤を放出するように放射銃17を駆動制御するようになっている。
【0067】
ステップ117において、火災19を消火したか否かが判断され、火災消火が判断されると、消火動作が終了され、火災消火では無いと判断されると、上記ステップ103に戻る。
【0068】
なお、ここでの消火判断は、消火作業者が消火を判断して操作盤7や現地操作盤23を介して消火システム1の動作を終了しても良いし、火災判断装置5に、さらに消火を判断する消火判断部を設け、その消火判断部が、熱画像センサより検出された放射熱量が所定値を下回った場合に、消火したと判断して消火システム1の動作を終了するようにしても良い。
【0069】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
【0070】
この他の実施形態では、熱画像センサ3a、3bにより検知された温度に基づいて、火災19までの距離と角度を求める火災位置判定を行い、その火災19までの距離および熱画像センサ3a、3bより検知された温度から火災19の温度変化を検出し、その火災19の温度変化から、火災種類判定を行うようにしたものである。なお、この実施形態では、熱画像センサ3a、3bは、測定した放射熱量をソフトウエア処理により温度に変換する機能を有している。
【0071】
そのため、後述するように、火災判断装置に温度変化検出部を追加すると共に、動作フローチャートに温度変化検出のステップを追加している。図1の消火システムの一実施形態の概略機能は同様である。
【0072】
図6は、図1に示した消火システム1における消火方法の他の実施形態の火災判断装置25の内部機能構成図である。
【0073】
図6に示すように、火災判断装置25は、熱画像センサ3a、3b及び火災感知器21よりの検知情報を受信して火災位置を判断する火災位置判断部25cと、熱画像センサ3a、3b及び火災感知器21よりの検知情報および火災位置判断部25cよりの火災の距離から温度変化を検出する温度変化検出部25gと、熱画像センサ3a、3b及び火災感知器21よりの検知情報および火災位置判断部25cよりの火災の距離から火災規模を判断する火災規模判断部25aと、温度変化検出部25gよりの検出温度変化から火災種類を判断する火災種類判断部25bと、火災規模判断部25a及び火災種類判断部25bよりの判断情報を受信してポンプ11を制御するポンプ制御部25dと、火災規模判断部25a及び火災種類判断部25bよりの判断情報を受信して泡剤混合装置15を制御する泡剤混合装置制御部25eと、火災規模判断部25a及び火災位置判断部25cよりの判断情報を受信して放射銃17を制御する放射銃制御部25fと、を有している。
【0074】
図6においては、火災判断装置25を機能構成で説明したが、各機能構成を専用回路で構成しても良いし、火災判断装置25をコンピュータで構成し、図6に示す各機能をソフトウェアにより実現するように構成しても良い。
【0075】
なお、火災位置判断部25c、温度変化検出部25g、火災規模判断部25a、火災種類判断部25b、ポンプ制御部25d、泡剤混合装置制御部25e、放射銃制御部25fの詳しい動作は、消火システム1の全体動作と共に後述する。
【0076】
図7は、図1に示した消火システム1における消火方法の他の実施形態の動作フローチャートである。
【0077】
図7のステップ201~ステップ205までの動作は、上述した実施形態の図4のステップ101~ステップ105までの動作と同様である。
【0078】
すなわち図7のステップ201において、火災感知器21により火災が検知されたか否かが判定される。
【0079】
火災感知器21により火災が検知されると、その検知情報が、火災判断装置25の火災位置判断部25c及び温度変化検出部25g及び火災規模判断部25aへ入力され、火災判断装置25の火災位置判断部25c及び温度変化検出部25g及び火災規模判断部25aが起動される。
【0080】
次に、ステップ203において、熱画像センサ3a、3bによる温度の測定が行われる。
【0081】
すなわち、熱画像センサ3a、3bのそれぞれで、火災19よりの温度を検出し、各熱画像センサ3a、3bよりの温度信号が、各ケーブルを介して、火災判断装置5の火災位置判断部5cへ送られる。
【0082】
ステップ205において、火災位置判断部25cにより火災位置判定が行われる。
【0083】
すなわち、火災位置判断部25cは、各熱画像センサ3a、3bよりの温度信号に基づいて、三角測量法により火災19の位置判定を行う。
【0084】
ここでは、火災19を熱画像センサ3a、3bで捕えた時の検出角と熱画像センサ3a、3bの設置間距離とに基づき、三角測量の原理に従って、熱画像センサ3a、3bの中間位置から火災19までの距離Lと角度を求める。熱画像センサ3a、3bの中間位置から火災19までの距離Lと角度が判れば、熱画像センサ3a、3bと放射銃17との位置関係に基づいて、放射銃17のノズル先端から火災19までの距離と角度も判る。
【0085】
ここで判定された火災位置の情報は、次ステップ206の温度変化検出や、後の火災規模判定動作および消火動作に用いられる。
【0086】
ステップ206において、温度変化検出部25gにより火災19の温度変化検出が行われる。
【0087】
すなわち、温度変化検出部25gは、火災位置判断部25cにより検出された熱画像センサ3a、3bの中間位置から火災19までの距離および各熱画像センサ3a、3bより検出された温度に基づいて、時間毎に火災19の温度変化を検出する。
そのため、各熱画像センサ3a、3bよりの温度信号が、各ケーブルを介して、火災判断装置25の温度変化検出部25gへ送られると共に、火災位置判断部25cにより検出された火災19までの距離信号が、温度変化検出部25gへ入力されている。
温度変化検出部25gでは、まず、各熱画像センサ3a、3bよりの温度信号から、時間毎の距離Lを加味した位置温度Txが求められる。
【0088】
ここでは、火災19の位置温度Txは、以下の関係式(1)により、火災19までの距離Lおよび温度Tから求められる。
【0089】
T∝Tx/L-----(1) ここで、Aは、任意の数値であり、Lは、熱画像センサ3a、3bの中間位置から火災19までの距離である。
【0090】
上記関係式(1)により求められた火災19の位置温度の時間による推移を図8に示す。
【0091】
図8は、種類の異なる炎の位置温度の時間による推移を示すグラフ図であり、(a)は、木製品、紙、繊維製品、ゴム、樹脂などが燃焼する第1種の火災(A火災)の場合の時間毎の炎の位置温度を示し、(b)は、ガソリン、灯油、てんぷら油などが燃焼する第2種の火災(B火災)の場合の時間毎の炎の位置温度を示す。
【0092】
第1種の火災(A火災)の場合は、図8(a)に示すように、時間の経過と共に、徐々に位置温度Txが上昇し、所定の時間燃焼が続いた後、位置温度Txが下降する。第2種の火災(B火災)の場合は、図8(b)に示すように、時間の経過と共に、急激に位置温度Tが上昇し、短時間燃焼した後に、急激に位置温度Txが下降する。
【0093】
次に、A火災の場合およびB火災の場合における火災種類判断領域の設定が行われる。
【0094】
ここで、火災種類判断領域とは、火災の種類を判断するため、火災の種類の特徴が顕著に現れる領域である。
【0095】
すなわち、図8(b)に示すB火災の場合、位置温度が第1の所定位置温度(この例の場合25℃)を越えた時点(この例の場合5sec)から位置温度が第2の所定位置温度(この例の場合75℃)を下回った時点(この例の場合90sec)までが第1の火災種類判断領域27とされる。
【0096】
図8(a)に示すA火災の場合、位置温度が第3の所定位置温度(この例の場合25℃)を越えた時点(この例の場合300sec)からB火災の場合の火災種類判断領域の経過時間(85sec)が経った時点(この例の場合385sec)までが第2の火災種類判断領域29とされる。
【0097】
なお、第1の火災種類判断領域27におけるB火災の場合の位置温度推移および第2の火災種類判断領域29におけるA火災の場合の位置温度推移をまとめて表示すると図10(a)に示すようになる。
【0098】
次に、A火災の場合およびB火災の場合における火災種類判断領域における、単位時間当たりの位置温度変化の傾きが求められる。
【0099】
図9は、種類の異なる炎の単位時間当たりの位置温度変化の傾きの時間による推移を示すグラフ図であり、(c)は、木製品、紙、繊維製品、ゴム、樹脂などが燃焼する第1種の火災(A火災)の場合の単位時間当たりの位置温度変化の傾きを示し、(d)は、ガソリン、灯油、てんぷら油などが燃焼する第2種の火災(B火災)の場合の単位時間当たりの位置温度変化の傾きを示す。
【0100】
すなわち、図8(a)に示すA火災の場合における一秒間の単位時間当たりの位置温度変化の傾きが求められ、図9(c)に示すようになり、図8(b)に示すB火災の場合における一秒間の単位時間当たりの位置温度変化の傾きが求められ、図9(d)に示すようになる。
【0101】
そして、第1の火災種類判断領域27におけるB火災の場合の位置温度変化の傾きおよび第2の火災種類判断領域29におけるA火災の場合の位置温度変化の傾きを時間による推移でまとめて表示すると図10(b)に示すようになる。
【0102】
図10は、第1の火災種類判断領域および第2の火災種類判断領域における位置温度推移および位置温度変化の傾きの時間による推移を示すグラフ図であり、(a)は、第1の火災種類判断領域27におけるB火災の場合の位置温度推移および第2の火災種類判断領域29におけるA火災の場合の位置温度推移をまとめて表示し、(b)は、第1の火災種類判断領域27におけるB火災の場合の位置温度変化の傾きおよび第2の火災種類判断領域29におけるA火災の場合の位置温度変化の傾きをまとめて表示する。
【0103】
次に、ステップ207において、火災規模判断部25aにより火災規模判定が行われる。
【0104】
すなわち、火災規模判断部25aは、熱画像センサ3a、3bよりの温度信号および上記ステップ205において判定された火災位置の情報に基づいて、火災19の規模を判定する。
【0105】
ここでは、例えば、熱画像センサ3a、3bの中間位置から火災19までの距離に対しての熱画像センサ3a、3bにより検出された温度の値に従って、例えば、5段階等に類別される。ここで判定された火災規模の情報は、後の消火動作に用いられる。
【0106】
次に、ステップ209において、火災種類判断部25bにより火災の種類の判定が行われる。
【0107】
この実施形態では、木製品、紙、繊維製品、ゴム、樹脂などが燃焼する第1種の火災(A火災)と、ガソリン、灯油、てんぷら油などが燃焼する第2種の火災(B火災)とを判定する場合を例に説明する。
【0108】
火災種類判断部25bは、温度変化検出部25gにより検出された単位時間当たりの位置温度変化の傾きに基づいて、火災19の種類が、第1種の火災(A火災)か第2種の火災(B火災)かを判定する。
【0109】
すなわち、火災種類判断部25bは、図10(b)に示すような一秒間の単位時間当たりの位置温度変化の傾きから火災19の種類が、第1種の火災(A火災)か第2種の火災(B火災)かを判定する。
【0110】
ここでは、一秒間の単位時間当たりの位置温度変化の傾きが、第3の所定値としての5~8℃以下だと第1種の火災(A火災)と判定し、一秒間の単位時間当たりの位置温度変化の傾きが、第4の所定値としての10~15℃以上だと第2種の火災(B火災)と判定する。
【0111】
図10(b)に示す例の場合、2点鎖線で示す一秒間当たりの位置温度変化の傾きが第3の所定値(5~8℃)以下であるので、第1種の火災(A火災)と判定され、実線で示す一秒間当たりの位置温度変化の傾きが第4の所定値(10~15℃)以上であるので第2種の火災(B火災)と判定される。
【0112】
このように、第1種の火災(A火災)の場合は、図10(a)に示すように、時間の経過と共に、徐々に温度が上昇し、第2種の火災(B火災)の場合は、時間の経過と共に、急激に位置温度が上昇するので、一秒間当たりの位置温度変化の傾きに基づいて第1種の火災(A火災)と第2種の火災(B火災)とを確実に判定できる。
【0113】
なお、第3の所定値および第4の所定値は、適宜に設定可能である。すなわち、この実施形態では、第1種の火災(A火災)および第2種の火災(B火災)を判別するために、第3の所定値を5~8℃に設定し、第4の所定値を10~15℃に設定したが、第3の所定値および第4の所定値を同じ値に設定しても良い。
【0114】
さらに、より多くの火災の種類を判定するために、第5や第6の所定値、あるいはそれ以上の数の所定値を設定することも可能である。
【0115】
また、複数の熱画像センサを設けた場合、熱画像センサ毎の火災19の種類による温度の時間による推移が異なる場合がある。そのような場合、複数の熱画像センサの内、判定結果の多かった火災の種類が、全体の判定結果とされる。
【0116】
この実施形態では、2つの熱画像センサ3a、3bが設けられているが、この場合は、いずれか1つの熱画像センサが、第2種の火災(B火災)の状態であれば、第2種の火災(B火災)と判定する。
【0117】
ここで判定された火災種類の情報は、後の消火動作に用いられる。
【0118】
上記ステップ209において第1種の火災(A火災)と判定された場合、ステップ211において、ポンプ制御部25dおよび放射銃制御部25fによりポンプ11および放射銃17が制御されて放射銃17から水(浸潤剤等入り)よりなる消火剤が火災19へ放出される。
【0119】
ここでは、ポンプ制御部25dは、火災規模判断部25aよりの火災19の規模判定情報および火災種類判断部25bよりの種類判断情報に基づいて、火災規模および火災種類に応じた水量を送り出すようにポンプ11を駆動制御する。
【0120】
具体的には、ポンプ制御部25dは、例えば、5段階等に類別された火災規模および第1種の火災(A火災)および第2種の火災(B火災)の火災種類に応じて送り出す水量が設定された情報テーブルを有しており、その情報テーブルに基づいて、所定の水量を決定し、その決定された水量を送り出すようにポンプ11を駆動制御するようになっている。
【0121】
また、放射銃制御部25fは、火災規模判断部25aよりの火災19の規模判定情報および火災位置判断部25cよりの位置判断情報に基づいて、火災規模および火災位置に応じて水(浸潤剤等入り)あるいは水と泡剤の混合剤を放出するように放射銃17を駆動制御する。
【0122】
具体的には、放射銃制御部25fは、例えば、5段階等に類別された火災規模および位置判断情報に応じて放出量や放出方向が設定された情報テーブルを有しており、その情報テーブルに基づいて、放出量や放出方向を決定し、その決定された放出量や放出方向に従って水(浸潤剤等入り)あるいは水と泡剤の混合剤を放出するように放射銃17を駆動制御するようになっている。
【0123】
なお、後述するように、このステップ211においては第1種の火災(A火災)と判定されているので、泡剤混合装置15の駆動制御は行われず、ポンプ11より送り出された水(浸潤剤等入り)は、そのまま泡剤混合装置15を通過して放射銃17へ送られる。または、泡剤混合装置15をバイパスする経路(図示せず)で放射銃17へ送られても良い。
【0124】
上記ステップ209において第2種の火災(B火災)と判定された場合、ステップ213、215において、ポンプ制御部25dおよび泡剤混合装置制御部25eおよび放射銃制御部25fによりポンプ11および泡剤混合装置15および放射銃17が制御されて放射銃17から水と泡剤の混合剤よりなる消火剤が火災19へ放出される。
【0125】
具体的には、ポンプ制御部25dは、例えば、5段階等に類別された火災規模および第1種の火災(A火災)および第2種の火災(B火災)の火災種類に応じて送り出す水量が設定された情報テーブルを有しており、その情報テーブルに基づいて、所定の水量を決定し、その決定された水量を送り出すようにポンプ11を駆動制御し、泡剤混合装置制御部25eは、火災種類が第2種の火災(B火災)の場合、ポンプ11より送り出された水(浸潤剤等入り)に泡剤貯蔵容器13よりの泡剤を混合するように泡剤混合装置15を駆動制御する。
【0126】
そして、放射銃制御部25fは、例えば、5段階等に類別された火災規模および位置判断情報に応じて放出量や放出方向が設定された情報テーブルを有しており、その情報テーブルに基づいて、放出量や放出方向を決定し、その決定された放出量や放出方向に従って水と泡剤の混合剤を放出するように放射銃17を駆動制御するようになっている。
【0127】
ステップ217において、火災19を消火したか否かが判断され、火災消火が判断されると、消火動作が終了され、火災消火では無いと判断されると、上記ステップ203に戻る。
【0128】
なお、ここでの消火判断は、消火作業者が消火を判断して操作盤7や現地操作盤23を介して消火システム1の動作を終了しても良いし、火災判断装置25に、さらに消火を判断する消火判断部を設け、その消火判断部が、熱画像センサより検出された放射熱量が所定値を下回った場合に、消火したと判断して消火システム1の動作を終了するようにしても良い。
【0129】
本発明は前述の発明の実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。
【0130】
上記実施形態では、火災判断装置5、25の火災規模判断部5a、25aの火災規模判断によって、ポンプ11や放射銃17を駆動制御するようにしていたが、火災規模判断部5a、25aによって判断された火災規模が、所定段階よりも大きな場合は、操作盤7や現地操作盤23よりアラームが発せられるようにしても良い。
【0131】
また、上記実施形態では、火災判断装置5、25の判断により、放射銃17より放射される消火薬剤の種類や量や方向が制御されるようになっているが、消火作業者の判断により、現地操作盤23を介して放射銃17より放射される消火薬剤の種類や量や方向を決めるようにしても良い。
【0132】
また、上記実施形態では、火災感知器21により火災が検知されると、火災判断装置5、25の火災規模判断部5a、25a及び火災種類判断部5b、25b及び火災位置判断部5c、25cが起動されるが、熱画像センサ3a、3bによる放射熱量の測定により、火災判断装置5、25の火災規模判断部5a、25a及び火災種類判断部5b、25b及び火災位置判断部5c、25cを予め起動し、ポンプ制御部5d、25d、泡剤混合装置制御部5e、25e、放射銃制御部5f、25fが火災感知器21の検知情報の入力によってすぐさま駆動制御を開始しても良い。
【符号の説明】
【0133】
1…消火システム
3…熱画像センサ
5、25…火災判断装置
7…操作盤
9…水源
11…ポンプ
13…泡剤貯蔵容器
15…泡剤混合装置
17…放射銃
19…火災
21…火災感知器
23…現地操作盤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10