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特許7309479直接接触式復水器および直接接触式復水器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】直接接触式復水器および直接接触式復水器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F28B 3/04 20060101AFI20230710BHJP
   F28B 1/02 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
F28B3/04
F28B1/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019118835
(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公開番号】P2021004704
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大樹
(72)【発明者】
【氏名】根本 晃
(72)【発明者】
【氏名】津田 将太
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-052443(JP,A)
【文献】特開2006-247558(JP,A)
【文献】実開昭55-029375(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28B 1/02
F28B 3/04
F28B 9/04
F28B 9/08
F28F 25/00-25/12
F01K 9/00
B01D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービンから排出された排出蒸気を本体胴の内部に流入させ、冷却水との接触により前記排出蒸気を凝縮させる直接接触式復水器であって、
前記本体胴の内壁に付着した前記冷却水を前記内壁から分離して落下させる冷却水落下部を備え、
前記冷却水落下部は、前記本体胴の側部における前記内壁に設けられた、前記内壁から内側に突出した第2突出部を含み、
前記第2突出部は、上方を向く案内面であって、前記冷却水を前記本体胴の内側に案内する案内面を有し、
前記案内面の先端部分に、上方に起立した堰部が設けられ、
前記案内面に、前記第2突出部を貫通した複数の貫通孔が設けられ、
前記案内面は、前記排出蒸気が流れる方向において上流側に向かって下方に傾斜し、
前記貫通孔は、前記本体胴内で凝縮されなかった前記排出蒸気を前記本体胴内から流出させる流出部よりも前記本体胴内に前記排出蒸気を流入させる流入部の側に設けられている、直接接触式復水器。
【請求項2】
前記冷却水落下部は、前記本体胴の上部における前記内壁に設けられた、前記内壁から内側に突出した第1突出部を含み、
前記第1突出部は、棒状または先細状に形成されている、請求項1に記載の直接接触式復水器。
【請求項3】
前記案内面の先端部分に、上方から見たときに凹状に切り欠かれるとともに前記第2突出部を貫通した切り欠き部が形成されている、請求項1または2に記載の直接接触式復水器。
【請求項4】
前記冷却水落下部は、前記本体胴内に前記排出蒸気を流入させる流入部よりも前記本体胴内で凝縮されなかった前記排出蒸気を前記本体胴内から流出させる流出部の側に設けられている、請求項1からのいずれか一項に記載の直接接触式復水器。
【請求項5】
蒸気タービンから排出された排出蒸気を本体胴の内部に流入させ、冷却水との接触により前記排出蒸気を凝縮させる直接接触式復水器の製造方法であって、
前記本体胴の内壁に付着した前記冷却水を前記内壁から分離して落下させる冷却水落下部を準備する準備工程と、
前記本体胴の前記内壁に前記冷却水落下部を取り付ける取付工程と、を備え、
前記冷却水落下部は、前記本体胴の側部における前記内壁に設けられた、前記内壁から内側に突出した第2突出部を含み、
前記第2突出部は、上方を向く案内面であって、前記冷却水を前記本体胴の内側に案内する案内面を有し、
前記案内面の先端部分に、上方に起立した堰部が設けられ、
前記案内面に、前記第2突出部を貫通した複数の貫通孔が設けられ、
前記案内面は、前記排出蒸気が流れる方向において上流側に向かって下方に傾斜し、
前記貫通孔は、前記本体胴内で凝縮されなかった前記排出蒸気を前記本体胴内から流出させる流出部よりも前記本体胴内に前記排出蒸気を流入させる流入部の側に設けられている、直接接触式復水器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、直接接触式復水器および直接接触式復水器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地熱エネルギーは、環境に与える影響が少ない再生可能エネルギーの一つとして注目されている。地熱エネルギーを利用して発電を行う地熱発電プラントにおいて、復水器は、蒸気タービンから排出された排出蒸気を、冷却水との熱交換により凝縮させて復水を生成する機器である。地熱発電プラントでは、復水を再び蒸気タービンの駆動に用いることがないため、構造が簡単でかつ熱交換効率の良い直接接触式復水器が用いられることが多い。
【0003】
直接接触式復水器として、蒸気の動圧によりトレイから落下する冷却水を微細化するトレイ式の直接接触式復水器と、スプレーノズルにより冷却水を微細化して噴出するスプレー式の直接接触式復水器と、が知られている。このうちスプレー式の直接接触式復水器は、本体胴内に設けられたスプレーノズルにより微細化した霧状の冷却水を噴出して、蒸気タービンからの排出蒸気と直接接触させる。これにより、蒸気タービンからの排出蒸気を効率的に冷却し凝縮させることができ、排出蒸気を負圧に維持して排出蒸気の排出効率向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-270925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スプレーノズルから噴出された冷却水の一部は、蒸気タービンの排出蒸気と十分に熱交換しないまま本体胴の内壁に付着することがある。本体胴の内壁に付着した冷却水は液膜を形成し、そのまま内壁に留まったり、内壁を伝って本体胴の下部に落下したりし、その後も排出蒸気との熱交換に十分に寄与しない場合がある。このような熱交換に寄与しない冷却水が存在することにより、直接接触式復水器の熱交換効率が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、熱交換効率を向上させることができる直接接触式復水器および当該直接接触式復水器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態による直接接触式復水器は、蒸気タービンから排出された排出蒸気を本体胴の内部に流入させ、冷却水との接触により排出蒸気を凝縮させる直接接触式復水器である。直接接触式復水器は、本体胴の内壁に付着した冷却水を内壁から分離して落下させる冷却水落下部を備える。
【0008】
また、実施の形態による直接接触式復水器の製造方法は、蒸気タービンから排出された排出蒸気を本体胴の内部に流入させ、冷却水との接触により排出蒸気を凝縮させる直接接触式復水器の製造方法である。直接接触式復水器の製造方法は、本体胴の内壁に付着した冷却水を内壁から分離して落下させる冷却水落下部を準備する準備工程を備える。また、直接接触式復水器の製造方法は、本体胴の内壁に冷却水落下部を取り付ける取付工程を備える。
【発明の効果】
【0009】
本実施の形態によれば、熱交換効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施の形態による発電プラントを示す部分系統図である。
図2図2は、図1の復水器を示す正面断面図である。
図3図3は、図2の側面断面図である。
図4図4は、図2の本体胴と第1突出部を示す斜視図である。
図5図5は、図2の本体胴と第2突出部を示す斜視図である。
図6図6は、図5の第2突出部を上方から見た図である。
図7図7は、図2の部分拡大図である。
図8図8は、図2の部分拡大図である。
図9図9は、図3の変形例である。
図10図10は、第2の実施の形態による本体胴と第2突出部を示す斜視図である。
図11図11は、第2の実施の形態による復水器を示す部分拡大正面断面図である。
図12図12は、第3の実施の形態による復水器を示す側面断面図である。
図13図13は、第4の実施の形態による復水器を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施の形態による直接接触式復水器および直接接触式復水器の製造方法について説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1図8を参照して、第1の実施の形態による直接接触式復水器および直接接触式復水器の製造方法について説明する。
【0013】
ここでは、まず、図1を参照して、本実施の形態による直接接触式復水器が用いられる発電プラントについて説明する。本実施の形態による発電プラントは、地熱エネルギーを利用して発電を行う地熱発電プラントである。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態による発電プラント1は、蒸気により駆動される蒸気タービン2と、蒸気タービン2により駆動されて発電を行う発電機3と、蒸気タービン2から排出された排出蒸気Sを凝縮させて復水を生成する復水器4(直接接触式復水器)と、を備えている。
【0015】
蒸気タービン2には、蒸気供給ラインL1が接続されている。この蒸気供給ラインL1により、不図示の生産井から採取された地熱流体から分離された蒸気が、蒸気タービン2に供給される。この蒸気には、水蒸気の他に、二酸化炭素(CO)や硫化水素(HS)などの不凝縮ガスが含まれる。蒸気タービン2は、この蒸気供給ラインL1から供給された蒸気により駆動されるように構成されている。蒸気タービン2は、タービンロータ5を有している。蒸気タービン2は、蒸気供給ラインL1から供給された蒸気の流体エネルギーを、不図示の動翼と静翼とでタービンロータ5の回転エネルギーに変換する。タービンロータ5の回転エネルギーは、発電機3に伝達される。また、蒸気タービン2には、静翼および動翼を通過した蒸気が排出蒸気Sとして排出される蒸気排出ラインL2が接続されている。蒸気タービン2から排出された排出蒸気Sは、この蒸気排出ラインL2により復水器4に供給される。
【0016】
発電機3には、上述したタービンロータ5が連結されている。発電機3は、タービンロータ5から伝達された回転エネルギーを電気エネルギーに変換することで発電を行うように構成されている。
【0017】
復水器4には、上述した蒸気排出ラインL2が接続されている。復水器4は、蒸気タービン2から排出された排出蒸気Sを冷却し凝縮させて復水を生成するように構成されている。復水器4の構成の詳細は後述する。また、復水器4には、不凝縮ガス排出ラインL3が接続されている。蒸気タービン2からの排出蒸気Sのうち復水器4で凝縮されなかった、不凝縮ガスを含む排出蒸気Sは、この不凝縮ガス排出ラインL3に排出される。この排出蒸気Sは、その後、大気に放出される。また、復水器4には、冷却水供給ラインL4が接続されている。この冷却水供給ラインL4により、復水器4の後述するスプレーノズル30に冷却水CWが供給される。また、復水器4には、液体排出ラインL5が接続されている。排出蒸気Sを冷却するために用いた冷却水CWと排出蒸気Sが凝縮された復水とを含む液体(温水HW)は、この液体排出ラインL5に排出される。この液体は、不図示の冷却塔に供給され、冷却されて、冷却水CWとして用いられてもよい。
【0018】
次に、図2図8を参照して、本実施の形態による復水器4の構成の詳細について説明する。ここでは一例として、スプレーノズル30により冷却水CWを噴出して、排出蒸気Sを冷却水CWと直接接触させて凝縮させるスプレー式の直接接触式復水器について説明する。
【0019】
図2および図3に示すように、本実施の形態による復水器4は、復水器本体100と、後述する冷却水落下部50と、を備えている。このうち復水器本体100は、本体胴10と、本体胴10内に排出蒸気Sを流入させる流入部20と、本体胴10内で冷却水CWを噴出するスプレーノズル30と、排出蒸気Sを本体胴10内から流出させる流出部40と、を備えている。
【0020】
本体胴10は、長手方向に延びる中空の略円筒状の構造物であり、内部を排出蒸気Sが流れるようになっている。本実施の形態では、本体胴10の長手方向は、水平方向である。本体胴10の内部には、区画部材12が設けられている。この区画部材12によって、本体胴10の内部空間は、本体胴10の長手方向の一側(図3における左側)に設けられた凝縮空間13と、長手方向の他側(図3における右側)に設けられた不凝縮ガス冷却空間14と、に区画されている。凝縮空間13と不凝縮ガス冷却空間14とは、連通部15を通じて流体的に連通しており、排出蒸気Sは、凝縮空間13から連通部15を通って不凝縮ガス冷却空間14に流れるようになっている。本体胴10の下部には、冷却水CWと復水とを含む液体(温水HW)を貯留するホットウェル11が設けられている。ホットウェル11には、上述した液体排出ラインL5が接続されており、ホットウェル11内の液体は、この液体排出ラインL5に排出される。なお、ホットウェル11は、設けられていなくてもよい。この場合、本体胴10の下部に液体排出ラインL5が直接接続されていてもよく、温水HWは、復水器4内に貯留されずに、この液体排出ラインL5に排出されてもよい。
【0021】
流入部20は、本体胴10の上部に設けられている。この流入部20は、本体胴10のうち長手方向の一側(図3における左側)に配置されている。流入部20には、上述した蒸気排出ラインL2が接続されている。流入部20は、この蒸気排出ラインL2からの排出蒸気Sを本体胴10内の凝縮空間13に流入させるように構成されている。
【0022】
スプレーノズル30は、本体胴10内の凝縮空間13に複数設けられている。スプレーノズル30は、微細化した霧状の冷却水CWを噴出するように構成されている。各スプレーノズル30は、冷却水供給管31を介して上述した冷却水供給ラインL4に連結されており、冷却水供給ラインL4からの冷却水CWが、冷却水供給管31を通って、各スプレーノズル30に供給されるようになっている。冷却水供給管31は、不凝縮ガス冷却空間14から区画部材12を貫通して凝縮空間13に延びている。図3では、本体胴10の長手方向において本体胴10の一端から他端に渡って延びている。
【0023】
図2に示すように、冷却水供給管31は、本体胴10内に複数設けられている。すなわち、復水器4を正面(図2における手前側であって、図3における左側)から見たときの本体胴10内の中央部分、左側部分および右側部分にそれぞれ冷却水供給管31が設けられており、それぞれの冷却水供給管31に複数のスプレーノズル30が配置されている。本体胴10内の中央部分に設けられた冷却水供給管31には、本体胴10の上部、下部、左側部および右側部に向けて冷却水CWを噴出するようにスプレーノズル30が配置されている。また、本体胴10内の左側部分および右側部分に設けられた冷却水供給管31には、本体胴10の内側に向けて斜め上方および斜め下方に向けて冷却水CWを噴出するようにスプレーノズル30が配置されている。このような方向に冷却水CWを噴出するスプレーノズル30が、図3に示すように、本体胴10の長手方向に複数配置されている。
【0024】
このような複数のスプレーノズル30により霧状の冷却水CWを噴出し、排出蒸気Sと接触させることで、凝縮空間13において排出蒸気Sを冷却し凝縮させることができる。なお、スプレーノズル30は、不凝縮ガス冷却空間14にも設けられていてもよく、凝縮空間13で凝縮されなかった、不凝縮ガスを含む排出蒸気Sを、不凝縮ガス冷却空間14において冷却水CWを噴出することにより冷却するようにしてもよい。
【0025】
流出部40は、本体胴10の上部に設けられている。この流出部40は、本体胴10のうち長手方向の他側(図3における左側)に配置されている。流出部40は、排出蒸気Sが流れる方向において流入部20の下流側に設けられている。流出部40には、上述した不凝縮ガス排出ラインL3が接続されている。流出部40は、流入部20から本体胴10内に流入した排出蒸気Sのうち凝縮空間13で凝縮されなかった、不凝縮ガスを含む排出蒸気Sを、本体胴10内の不凝縮ガス冷却空間14からこの不凝縮ガス排出ラインL3に流出させるように構成されている。
【0026】
また、図2および図3に示すように、復水器4は、本体胴10の内壁10aに付着した冷却水CWを内壁10aから分離して落下させる冷却水落下部50を備えている。冷却水落下部50は、本体胴10の上部における内壁10aに設けられた第1突出部51と、本体胴10の側部における内壁10aに設けられた第2突出部52と、を含んでいる。
【0027】
図4に示すように、第1突出部51は、本体胴10の上部における内壁10aから内側に突出している。第1突出部51は、棒状に形成されている。なお、図4においては、第2突出部52の図示は省略されている。図4では、第1突出部51が円柱状に形成されている例を示しているが、これに限定されず角柱状など任意の形状で形成されていてもよい。第1突出部51は、内壁10aから法線方向(内壁10aと第1突出部51との接続点における内壁10aの接線方向に垂直な方向)に延びている。このように第1突出部51は、概略的には本体胴10の下方に向けて延びている。第1突出部51は、重力方向に沿うように鉛直方向下方に延びていてもよい。このような第1突出部51が、本体胴10の内壁10aの上部において、本体胴10の周方向に離間して複数配列されているとともに、本体胴10の長手方向に離間して複数配列されている。なお、第1突出部51は配列されていなくてもよい。本実施の形態においては、第1突出部51は、本体胴10の長手方向において、凝縮空間13の全体に渡って設けられている
【0028】
図2および図5に示すように、第2突出部52は、本体胴10の側部における内壁10aから内側に突出している。なお、図5においては、第1突出部51の図示は省略されている。第2突出部52は、上方を向く案内面53を有している。案内面53は、平坦状に形成されていてもよく、内壁10aから水平方向に延びていてもよい。また、第2突出部52は、平板状に形成されていてもよい。この場合、案内面53は、第2突出部52を構成する板材の板面になる。図2に示すように、第2突出部52は、復水器4を正面から見たときの本体胴10の左側部における内壁10aおよび右側部における内壁10aにそれぞれ設けられていてもよい。左側部に設けられた第2突出部52は、本体胴10内の左側部分に設けられた冷却水供給管31の下方に配置されていてもよい。また、右側部に設けられた第2突出部52は、本体胴10内の右側部分に設けられた冷却水供給管31の下方に配置されていてもよい。第2突出部52は、上方から見たときに、ホットウェル11の一部と重なる位置まで延びていてもよい。本実施の形態においては、図3に示すように、第2突出部52は、本体胴10の長手方向において、凝縮空間13の全体に渡って(区画部材12から本体胴10の正面板まで)形成されている。
【0029】
図5および図6に示すように、案内面53の先端部分54に、上方から見たときに凹状に切り欠かれるとともに第2突出部52を貫通した切り欠き部55が形成されていてもよい。本実施の形態においては、図6に示すように、案内面53の先端部分54に、切り欠き部55が複数形成されており、本体胴10の長手方向に略等間隔に配置されている。このように、案内面53の先端部分54が、櫛歯状に形成されていてもよい。切り欠き部55は、上方から見たときに数mm程度の深さ寸法および幅寸法を有していてもよく、このような切り欠き部55が、本体胴10の長手方向に数mm程度の間隔で配置されていてもよい。
【0030】
なお、本体胴10の上部とは、図7に示すように、本体胴10を正面から見たときに本体胴10の鉛直方向に延びる鉛直中心線16から左方向に角度θ1で、かつ鉛直中心線16から右方向に角度θ2の角度範囲内に存在する部分であってもよい。図7においては、鉛直中心線16に対して、左右対称に第1突出部51が配置されている。例えば、角度θ1および角度θ2はそれぞれ45°であってもよいが、これに限定されることはない。角度θ1と角度θ2は異なる角度であってもよい。なお、図7においては、角度θ1および角度θ2の中心は、本体胴10の中央部分に設けられた冷却水供給管31の中心点Oであるが、これに限定されることはない。角度θ1および角度θ2の中心は、本体胴10の中心点であってもよい。
【0031】
また、本体胴10の側部とは、図8に示すように、本体胴10を正面から見たときに本体胴10の水平方向に延びる水平中心線17から上方向に角度θ3で、かつ水平中心線17から下方向に角度θ4の角度範囲内に存在する部分であってもよい。例えば、角度θ3および角度θ4はそれぞれ45°であってもよいが、これに限定されることはない。角度θ3と角度θ4は異なる角度であってもよい。なお、図8においては、角度θ3および角度θ4の中心は、本体胴10の中央部分に設けられた冷却水供給管31の中心点Oであるが、これに限定されることはない。角度θ3および角度θ4の中心は、本体胴10の中心点であってもよい。図8においては、図面を簡略化するために、本体胴10内の左側部分に設けられた冷却水供給管31および当該冷却水供給管31に配置されたスプレーノズル30の図示は省略されている。
【0032】
次に、このような構成からなる本実施の形態による復水器4の製造方法について説明する。本実施の形態による復水器4の製造方法は、蒸気タービン2から排出された排出蒸気Sを本体胴10の内部に流入させ、冷却水CWとの接触により排出蒸気Sを凝縮させる直接接触式復水器の製造方法である。本実施の形態による復水器4の製造方法は、冷却水落下部50を準備する準備工程と、復水器本体100の本体胴10の内壁10aに冷却水落下部50を取り付ける取付工程と、を含んでいる。
【0033】
まず、準備工程として、上述したような、復水器本体100の本体胴10の内壁10aに付着した冷却水CWを内壁10aから分離して落下させる冷却水落下部50を準備する。
【0034】
より具体的には、棒状に形成された複数の第1突出部51を準備する。また、案内面53を有し、案内面53の先端部分54に切り欠き部55が形成された第2突出部52を準備する。
【0035】
続いて、取付工程として、復水器本体100の本体胴10の内壁10aに、上述したような、冷却水落下部50が取り付けられる。
【0036】
より具体的には、図4に示すように、本体胴10の上部における内壁10aに、第1突出部51が、内壁10aから法線方向に延びるように取り付けられる。第1突出部51は、例えば溶接により内壁10aに固定されてもよい。しかしながら、このことに限定されず、第1突出部51は、例えばボルト結合により取り付けられるようにしてもよい。
【0037】
また、図5に示すように、本体胴10の側部における内壁10aに、第2突出部52が、内壁10aから水平方向に延びるように取り付けられる。第2突出部52は、案内面53が上方を向き、切り欠き部55が形成された先端部分54が本体胴10内の内側に配置されるように取り付けられる。第2突出部52は、例えば溶接により内壁10aに固定されてもよい。しかしながら、このことに限定されず、例えばボルト結合により取り付けられるようにしてもよい。第2突出部52は、復水器本体100を正面から見たときの本体胴10の左側部における内壁10aおよび右側部における内壁10aにそれぞれ取り付けられる。
【0038】
このようにして、図2および図3に示すような、第1突出部51および第2突出部52を含む冷却水落下部50を備えた復水器4を得ることができる。なお、上述した復水器4の製造方法は一例であり、他の異なる方法、手順によって、本実施の形態による復水器4が製造されてもよい。
【0039】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0040】
発電プラント1が稼働すると、図1に示す蒸気供給ラインL1により、不図示の生産井から採取された地熱流体から分離された蒸気が、蒸気タービン2に供給される。蒸気が蒸気タービン2に供給されると、タービンロータ5が回転して、発電機3を駆動し、発電機3による発電が行われる。蒸気タービン2から排出された排出蒸気Sは、蒸気排出ラインL2により復水器4に供給される。
【0041】
復水器4に供給された排出蒸気Sは、図3に示す流入部20により本体胴10の上部から本体胴10内の凝縮空間13に鉛直方向に流入する。凝縮空間13に鉛直方向に流入した排出蒸気Sは、流れの向きを変えて、本体胴10内を長手方向の一側(図3における左側)から長手方向の他側(図3における右側)に向かって概略的には水平方向に流れる。凝縮空間13では、複数のスプレーノズル30が、微細化した霧状の冷却水CWを噴出し、排出蒸気Sは、スプレーノズル30から噴出された霧状の冷却水CWと接触する。これにより、排出蒸気Sと冷却水CWとの間で熱交換が行われ、排出蒸気Sは冷却されて凝縮され、復水が生成される。復水は、本体胴10の下部に設けられたホットウェル11に落下し、貯留される。また、排出蒸気Sを冷却するために用いた冷却水CWの一部は、ホットウェル11に落下する。
【0042】
排出蒸気Sのうち凝縮空間13で凝縮されなかった、不凝縮ガスを含む排出蒸気Sは、連通部15を通って不凝縮ガス冷却空間14に流れる。その後、排出蒸気Sは、流出部40により本体胴10の上部から流出する。本体胴10から流出した排出蒸気Sは、不凝縮ガス排出ラインL3に排出され、その後、大気に放出される。
【0043】
一方、本体胴10内において、スプレーノズル30から噴出した冷却水CWの一部は、排出蒸気Sと十分に熱交換しないまま本体胴10の内壁10aに付着して液膜LFを形成し得る(図7および図8参照)。本体胴10の内壁10aに付着した冷却水CWは、冷却水落下部50によって本体胴10の内壁10aから分離されて落下する。落下している間、冷却水CWは、排出蒸気Sと接触して熱交換し、排出蒸気Sを冷却する。
【0044】
より具体的には、図7に示すように、本体胴10の上部における内壁10aに付着した冷却水CWは、冷却水落下部50を構成する第1突出部51において内壁10aから分離され、棒状の第1突出部51を伝って先端部分に案内される。第1突出部51の先端部分に到達した冷却水CWは、液滴LDとしてホットウェル11に落下する。この間、冷却水CWは、凝縮空間13を流れる排出蒸気Sと接触する。このことにより、落下する冷却水CWと排出蒸気Sとの間で熱交換が行われる。
【0045】
ここで、本体胴10の上部における内壁10aに付着した冷却水CWは、内壁10aを伝って流れるよりも鉛直方向に落下しようとする傾向にある。このため、棒状の第1突出部51によって、本体胴10の上部における内壁10aに付着した冷却水CWを、液滴LDとして落下させることを容易に誘発させることができる。
【0046】
また、図8に示すように、本体胴10の側部における内壁10aに付着した冷却水CWは、内壁10aを伝って下方に流れる。冷却水落下部50を構成する第2突出部52の近傍においては、冷却水CWは、内壁10aから分離され、第2突出部52の案内面53を伝って本体胴10の内側(先端部分54の側)に案内される。
【0047】
ここで、本体胴10の側部における内壁10aに付着した冷却水CWは、内壁10aを沿うようにして流れようとする傾向にある。このため、上述したような、上方を向く案内面53を有する第2突出部52によって、本体胴10の側部における内壁10aに付着した冷却水CWを、内壁10aから効果的に分離することができる。
【0048】
案内面53の先端部分54に到達した冷却水CWは、切り欠き部55を通過し、案内面53上で液膜LFを形成するように流れていた冷却水CWが分断される。これにより、冷却水CWは、液滴LDとしてホットウェル11に落下する。この間、冷却水CWは、凝縮空間13を流れる排出蒸気Sと接触する。このことにより、落下する冷却水CWと排出蒸気Sとの間で熱交換が行われる。
【0049】
このように、本体胴10の内壁10aに付着した冷却水CWは、第1突出部51および第2突出部52によって、内壁10aから分離され、液滴LDとして落下し、排出蒸気Sと熱交換される。
【0050】
ホットウェル11に落下した冷却水CWは、生成された復水とともに、ホットウェル11に貯留される。ホットウェル11内の液体(温水HW)は、図3に示す液体排出ラインL5に排出される。この液体は、不図示の冷却塔により冷却されて、冷却水CWとして、冷却水供給ラインL4により復水器4の各スプレーノズル30に供給されるようにしてもよい。
【0051】
このように本実施の形態によれば、復水器4は、本体胴10の内壁10aに付着した冷却水CWを内壁10aから分離して落下させる冷却水落下部50を備えている。このことにより、本体胴10の内壁10aに付着した冷却水CWを、内壁10aから分離して落下させることができる。このため、落下する冷却水CWを排出蒸気Sと接触させて、排出蒸気Sと熱交換させることができる。この結果、復水器4の熱交換効率を向上させることができる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、冷却水落下部50は、本体胴10の上部における内壁10aに設けられた、内壁10aから内側に突出した第1突出部51を含み、第1突出部51は、棒状に形成されている。このことにより、第1突出部51を、内壁10aから下方に向かって突出させることができ、本体胴10の上部における内壁10aに付着した冷却水CWを、内壁10aから分離して落下させることができる。このため、冷却水CWを、排出蒸気Sと接触させて排出蒸気Sと熱交換させることができ、復水器4の熱交換効率を向上させることができる。また、冷却水CWを、棒状の第1突出部51を伝って先端部分に案内し、その先端部分から落下させることで、液滴LDとして落下させることができる。すなわち、棒状の第1突出部51によって、第1突出部51の先端部分から落下する冷却水CWを液滴化させやすくすることができる。このため、落下する冷却水CWと排出蒸気Sとの接触面積を増大させることができ、復水器4の熱交換効率をより一層向上させることができる。
【0053】
また、本実施の形態によれば、冷却水落下部50は、本体胴10の側部における内壁10aに設けられた、内壁10aから内側に突出した第2突出部52を含み、第2突出部52は、上方を向く案内面53であって、冷却水CWを本体胴10の内側に案内する案内面53を有している。このことにより、本体胴10の側部における内壁10aに付着した冷却水CWを、本体胴10の内側に案内するように内壁10aから分離して、先端部分54から落下させることができる。このため、冷却水CWを、排出蒸気Sと接触させて排出蒸気Sと熱交換させることができ、復水器4の熱交換効率を向上させることができる。
【0054】
また、本実施の形態によれば、案内面53の先端部分54に、上方から見たときに凹状に切り欠かれるとともに第2突出部52を貫通した切り欠き部55が形成されている。このことにより、案内面53上で液膜を形成するように流れていた冷却水CWが、切り欠き部55を通過することで分断され、液滴LDとして落下することができる。すなわち、切り欠き部55によって、先端部分54から落下する冷却水CWを液滴化させやすくすることができる。このため、落下する冷却水CWと排出蒸気Sとの接触面積を増大させることができ、復水器4の熱交換効率をより一層向上させることができる。
【0055】
なお、上述した実施の形態では、冷却水落下部50として、第1突出部51と第2突出部52の両方が設けられている例を示した。しかしながら、このことに限定されず、第1突出部51と第2突出部52のうちいずれか一方が設けられて、他方が設けられていなくてもよい。この場合においても、本体胴10の内壁10aに付着した冷却水CWを、第1突出部51または第2突出部52によって、内壁10aから分離して落下させることができる。このことにより、冷却水CWを、排出蒸気Sと接触させて排出蒸気Sと熱交換させることができ、復水器4の熱交換効率を向上させることができる。
【0056】
また、上述した実施の形態では、第1突出部51が棒状に形成されている例を示した。しかしながら、このことに限定されず、第1突出部51が、先細状に形成されていてもよい。例えば、第1突出部51が、円錐状または角錐状に形成されていてもよい。この場合、落下する冷却水CWの液滴LDを微細化することができる。このため、落下する冷却水CWと排出蒸気Sとの接触面積をより一層増大させることができ、復水器4の熱交換効率をより一層向上させることができる。
【0057】
また、上述した実施の形態では、切り欠き部55が、上方から見たときに矩形状に切り欠かれている例を示した。しかしながら、このことに限定されず、切り欠き部55が、上方から見たときに三角形状に切り欠かれていてもよい。例えば、案内面53の先端部分54が、鋸歯状に形成されていてもよい。
【0058】
また、上述した実施の形態において、第2突出部52の案内面53に、第2突出部52を貫通した複数の貫通孔が設けられていてもよい。貫通孔は、数mm程度の直径を有していてもよく、このような貫通孔が、数mm程度の間隔で複数配置されていてもよい。この場合、案内面53を流れる冷却水CWの一部が、貫通孔を通過して、液滴LDとして第2突出部52の下方に落下することができる。すなわち、冷却水CWを、貫通孔を通過させることで、液滴化することができる。このため、落下する冷却水CWと排出蒸気Sとの接触面積を増大させることができ、復水器4の熱交換効率をより一層向上させることができる。
【0059】
また、上述した実施の形態では、第1突出部51および第2突出部52によって、冷却水CWが液滴LDとして落下する例を示した。しかしながら、このことに限定されず、冷却水CWは、液滴LDとして落下しなくてもよい。すなわち、冷却水CWは、液状に連続して落下してもよい。上述したような第1突出部51および第2突出部52を用いた場合であっても、スプレーノズル30からの冷却水CWの噴出量等によっては、本体胴10の内壁10aに付着した冷却水CWは、液滴LDとしてではなく、液状に連続して落下することも考えられる。このような場合においても、本体胴10の内壁10aに付着した冷却水CWを、内壁10aから分離して排出蒸気Sと接触させて、排出蒸気Sと熱交換させることができ、復水器4の熱交換効率を向上させることができる。
【0060】
また、上述した実施の形態では、本体胴10が略円筒状の構造物である例を示した。しかしながら、このことに限定されず、本体胴10が直方体状やその他任意の形状であってもよい。このような場合であっても、本体胴10内の内壁10aに上述したような冷却水落下部50を設けることにより、復水器4の熱交換効率を向上させることができる。
【0061】
また、上述した実施の形態では、流入部20が本体胴10の上部に設けられている例を示した。しかしながら、このことに限定されず、図9に示すように、流入部20が本体胴10の正面(図9における左側)に設けられていてもよい。この場合、復水器4に供給された排出蒸気Sは、流入部20により本体胴10の正面から本体胴10内の凝縮空間13に水平方向に流入する。凝縮空間13に水平方向に流入した排出蒸気Sは、流れの向きを変えずに、そのまま本体胴10内を長手方向の一側(図9における左側)から長手方向の他側(図9における右側)に向かって概略的には水平方向に流れる。このように、流入部20は、任意の位置に設けられていてもよい。流出部40についても同様である。このような場合であっても、本体胴10内の内壁10aに上述したような冷却水落下部50を設けることにより、復水器4の熱交換効率を向上させることができる。
【0062】
(第2の実施の形態)
次に、図10および図11を参照して、第2の実施の形態による直接接触式復水器および直接接触式復水器の製造方法について説明する。
【0063】
図10および図11に示す第2の実施の形態においては、案内面の先端部分に、上方に起立した堰部が設けられ、案内面に、第2突出部を貫通した複数の貫通孔が設けられている点が主に異なり、他の構成は、図1図8に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図10および図11において、図1図8に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0064】
本実施の形態では、図10および図11に示すように、第2突出部52の案内面53の先端部分54に、上方に起立した堰部56が設けられている。堰部56は、案内面53の先端部分54に折り曲げ加工を行うことで形成されてもよく、案内面53を構成する部材とは別の部材で形成されて溶接などで取り付けられていてもよい。このように、第2突出部52は、樋状に形成されていてもよい。
【0065】
また、第2突出部52の案内面53に、第2突出部52を貫通した複数の貫通孔57が設けられている。図示された例においては、貫通孔57は、本体胴10の長手方向および短手方向に複数並んで配置されている。貫通孔57は、数mm程度の直径を有していてもよく、このような貫通孔57が、数mm程度の間隔で複数配置されていてもよい。
【0066】
なお、本実施の形態において、本体胴10の上部における内壁10aに、第1の実施の形態と同様の第1突出部51が設けられていてもよい。図10においては、第1突出部51の図示は省略されている。また、図11においては、図面を簡略化するために、本体胴10内の左側部分に設けられた冷却水供給管31および当該冷却水供給管31に配置されたスプレーノズル30の図示は省略されている。
【0067】
本体胴10内において、スプレーノズル30から噴出した冷却水CWの一部は、排出蒸気Sと十分に熱交換しないまま本体胴10の内壁10aに付着する。図11に示すように、本体胴10の側部における内壁10aに付着した冷却水CWは、内壁10aを伝って下方に流れる。第2突出部52の近傍において、冷却水CWは、内壁10aから分離され、第2突出部52の案内面53を伝って本体胴10の内側(先端部分54の側)に案内される。
【0068】
案内面53を流れる冷却水CWの一部は、貫通孔57を通過して、液滴LDとして第2突出部52の下方に落下する。一方、案内面53を流れる冷却水CWの一部は、案内面53の先端部分54に到達する。案内面53の先端部分54に到達した冷却水CWは、堰部56で堰き止められ、案内面53上に留まる。しかしながら、案内面53上に留められた冷却水CWは、やがて貫通孔57を通過して、液滴LDとして第2突出部52の下方に落下する。落下した冷却水CWは、排出蒸気Sと熱交換される。
【0069】
このように本実施の形態においても、本体胴10の側部における内壁10aに付着した冷却水CWを、本体胴10の内側に案内するように内壁10aから分離して落下させることができる。このため、落下する冷却水CWを排出蒸気Sと接触させて、排出蒸気Sと熱交換させることができる。この結果、復水器4の熱交換効率を向上させることができる。また、冷却水CWを、貫通孔57を通過させることで、液滴LDとして落下させることができる。このため、落下する冷却水CWと排出蒸気Sとの接触面積を増大させることができ、復水器4の熱交換効率をより一層向上させることができる。
【0070】
(第3の実施の形態)
次に、図12を参照して、第3の実施の形態による直接接触式復水器および直接接触式復水器の製造方法について説明する。
【0071】
図12に示す第3の実施の形態においては、冷却水落下部は、流入部よりも流出部の側に設けられている点が主に異なり、他の構成は、図1図8に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図12において、図1図8に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0072】
本実施の形態では、図12に示すように、冷却水落下部50は、本体胴10の内壁10aのうち流入部20よりも流出部40の側の領域に設けられている。すなわち、第1の実施の形態と同様の第1突出部51は、凝縮空間13において、流入部20の側(図12における左側)には設けられておらず、流出部40の側(図12における右側)にのみ設けられている。また、第1の実施の形態と同様の第2突出部52は、凝縮空間13において、流入部20の側には設けられておらず、流出部40の側にのみ設けられている。図12においては、第1突出部51および第2突出部52は、凝縮空間13のうち流出部40の側に位置する半分程度の領域に設けられている。
【0073】
上述したように、蒸気タービンから排出された排出蒸気Sには、水蒸気の他に、二酸化炭素(CO)や硫化水素(HS)などの不凝縮ガスが含まれている。凝縮空間13のうち流入部20の側では、排出蒸気Sに含まれる不凝縮ガスの濃度は比較的低い。このため、流入部20の側では、冷却水CWと排出蒸気Sとの間で十分な熱交換が行われる。一方、凝縮空間13のうち流出部40の側では、排出蒸気S中の水蒸気の多くが既に復水になっているため、排出蒸気Sに含まれる不凝縮ガスの濃度が比較的高い。このため、流出部40の側では、排出蒸気Sと十分に熱交換せずに本体胴10の内壁10aに付着する冷却水の量が多くなると考えられる。
【0074】
これに対して本実施の形態によれば、冷却水落下部50は、流入部20よりも流出部40の側に設けられている。このことにより、本体胴10の内壁10aに付着する冷却水CWの量が多い流出部40の側で、冷却水CWを、内壁10aから分離して排出蒸気Sと接触させて、排出蒸気Sと熱交換させることができる。このため、復水器4の熱交換効率を効果的に向上させることができる。一方、冷却水落下部50は、流入部20の側には設けられていない。このことにより、冷却水落下部50による圧力損失の増大を抑制することができる。また、復水器4の製造コストの増大を抑制することができる。
【0075】
(第4の実施の形態)
次に、図13を参照して、第4の実施の形態による直接接触式復水器および直接接触式復水器の製造方法について説明する。
【0076】
図13に示す第4の実施の形態においては、案内面は、上流側に向かって下方に傾斜し、貫通孔は、流出部よりも流入部の側に設けられている点が主に異なり、他の構成は、図10および図11に示す第2の実施の形態と略同一である。なお、図13において、図10および図11に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0077】
本実施の形態では、図13に示すように、第2突出部52の案内面53は、排出蒸気Sが流れる方向において上流側(図13における左側)に向かって下方に傾斜している。また、貫通孔57は、案内面53のうち流出部40よりも流入部20の側の領域に設けられている。すなわち、複数の貫通孔57は、案内面53において、流出部40の側(図13における右側)には設けられておらず、流入部20の側(図13における左側)にのみ設けられている。図13においては、複数の貫通孔57は、案内面53のうち流入部20の側に位置する半分程度の領域に設けられている。
【0078】
本体胴10内において、スプレーノズル30から噴出した冷却水CWの一部は、排出蒸気Sと十分に熱交換しないまま本体胴10の内壁10aに付着する。本体胴10の側部における内壁10aに付着した冷却水CWは、内壁10aを伝って下方に流れる。第2突出部52の近傍において、冷却水CWは、内壁10aから分離され、第2突出部52の案内面53を伝って本体胴10の内側(先端部分54の側)に案内される。
【0079】
案内面53は、上流側(図13における左側)に向かって下方に傾斜しているため、案内面53において、冷却水CWは、上流側に向かって流れる。案内面53を流れる冷却水CWは、流入部20の側において、貫通孔57を通過して、液滴LDとして第2突出部52の下方に落下する。落下した冷却水CWは、排出蒸気Sと熱交換される。このように、冷却水CWを流入部20の側に移動させて、流入部20の側で排出蒸気Sと熱交換させることができる。
【0080】
第3の実施の形態でも説明したように、流出部40の側では、排出蒸気Sに含まれる不凝縮ガスの濃度は比較的高い。このため、流出部40の側では、排出蒸気Sと十分に熱交換せずに本体胴10の内壁10aに付着する冷却水CWの量が多くなると考えられる。一方、流入部20の側では、排出蒸気Sに含まれる不凝縮ガスの濃度は比較的低い。このため、流入部20の側では、冷却水CWと排出蒸気Sとの間で熱交換が行われやすいと考えられる。そこで、本実施の形態によれば、流出部40の側の内壁10aに付着した冷却水CWを、流入部20の側に移動させて落下させることができる。このため、不凝縮ガスの濃度が比較的低い流入部20の側で冷却水CWを排出蒸気Sと熱交換させることで、熱交換効率を向上させることができる。
【0081】
このように本実施の形態によれば、案内面53は、上流側に向かって下方に傾斜し、貫通孔57は、流出部40よりも流入部20の側に設けられている。このことにより、流出部40の側の内壁10aに付着した冷却水CWを、流入部20の側の凝縮空間13で落下させることができる。このため、不凝縮ガスの濃度が比較的低い流入部20の側で冷却水CWを排出蒸気Sと熱交換させることができる。この結果、復水器4の熱交換効率をより一層向上させることができる。
【0082】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
2:蒸気タービン、4:復水器、10:本体胴、10a:内壁、20:流入部、30:スプレーノズル、40:流出部、50:冷却水落下部、51:第1突出部、52:第2突出部、53:案内面、54:先端部分、55:切り欠き部、56:堰部、57:貫通孔、CW:冷却水、S:排出蒸気
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13