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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】給油所システム
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/32 20100101AFI20230710BHJP
【FI】
B67D7/32 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019125143
(22)【出願日】2019-07-04
(65)【公開番号】P2021011276
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2020-06-17
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】田中 和則
(72)【発明者】
【氏名】布施 高之
【合議体】
【審判長】佐々木 芳枝
【審判官】関口 哲生
【審判官】長馬 望
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-124839(JP,A)
【文献】特開2002-87500(JP,A)
【文献】特開2002-193395(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0221818(US,A1)
【文献】特開2011-136729(JP,A)
【文献】特開2000-43995(JP,A)
【文献】特開2014-40265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D7/00-7/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の給油装置と、該複数の給油装置の各々と通信可能なサーバとで構成され、
前記複数の給油装置の各々に設けられた人体・車両センサーが顧客を検知すると、該給油装置は所定の領域にビーコン信号を送信し、前記複数の給油装置のいずれかの給油装置から前記信号を受信した前記顧客の携帯端末に、前記給油装置を特定する表示われ前記携帯端末の操作により前記携帯端末から出力された前記給油装置のビーコンID及び顧客IDを前記サーバが受信すると、該サーバは前記携帯端末を使用する顧客に対応する、蓄積した顧客ID、油種、給油方法及び精算方法に関する給油設定データを前記給油装置に送信し、前記給油装置が前記給油設定データを受信すると、前記給油装置に前記給油設定がなされることを特徴とする給油所システム。
【請求項2】
複数の給油装置と、該複数の給油装置の各々と通信可能なサーバとで構成され、
前記複数の給油装置の各々に設けられた人体・車両センサーが顧客を検知すると、該給油装置は所定の領域にビーコン信号を送信し、前記複数の給油装置から送信される信号のうち最も電波強度の高い信号を受信した前記顧客の携帯端末が、前記サーバに給油装置のビーコンID及び顧客IDを送信し、該ビーコンID及び顧客IDを受信した前記サーバが、前記給油装置に前記携帯端末を特定する表示を行い、前記給油装置から前記ビーコンID及び顧客IDを前記サーバが受信すると、該サーバは前記携帯端末を使用する顧客に対応する、蓄積した顧客ID、油種、給油方法及び精算方法に関する給油設定データを前記給油装置に送信し、前記給油装置が前記給油設定データを受信すると、前記給油装置に前記給油設定がなされることを特徴とする給油所システム。
【請求項3】
前記ビーコンID及び顧客IDは、前記給油装置のノズルスイッチがONとなった際に、該給油装置から出力されること特徴とする請求項に記載の給油所システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油所システムに関し、特に、給油動作の簡略化を図ると共に、複数の給油装置が存在する場合でも、顧客が給油対象の給油装置を誤って特定することがなく、確実に所望の給油を行うことのできる給油所システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、タブレット等の携帯端末は、利便性の高さから接客、施設や在庫の管理、点検等、様々な業務に利用されて急速に普及している。また、ガソリン等の燃料油を供給する給油所においてもIoT(Internet of Things、モノのインターネット)等の新たな技術の活用が求められている。
【0003】
そこで、本出願人は特願2018-188014号において、BLE(Bluetooth Low Energy)ビーコン等から所定の領域に信号を送信し、この信号を受信した携帯端末から給油設定に関する情報を受信し、給油設定がなされる給油装置等を提案した。この給油装置によれば、顧客が予め給油設定データを携帯端末に設定しておけば、所定の領域(給油エリア)に停車する車両内で給油装置の給油設定を簡単に行うことができ、給油装置において、顧客が手動で給油設定を行うための機構を省略することができる。これにより、給油所側の設備投資を削減することができ、顧客が給油の度に給油設定を行うことで誤った給油設定がなされることも回避することができ、混油の防止にも寄与する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記発明は有効であるが、複数の給油装置の各々のビーコン等から信号が携帯端末に送信されるため、給油を行う予定の給油装置ではない別の給油装置に給油設定がなされるなど、誤って給油装置を特定して所望の給油がなされないおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、給油装置を誤って特定することがなく、確実に所望の給油を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の給油所システムは、複数の給油装置と、該複数の給油装置の各々と通信可能なサーバとで構成され、前記複数の給油装置の各々に設けられた人体・車両センサーが顧客を検知すると、該給油装置は所定の領域にビーコン信号を送信し、前記複数の給油装置のいずれかの給油装置から前記信号を受信した前記顧客の携帯端末に、前記給油装置を特定する表示われ前記携帯端末の操作により前記携帯端末から出力された前記携帯端末から前記給油装置のビーコンID及び顧客IDを前記サーバが受信すると、該サーバは前記携帯端末を使用する顧客に対応する、蓄積した顧客ID、油種、給油方法及び精算方法に関する給油設定データを前記給油装置に送信し、前記給油装置が前記給油設定データを受信すると、前記給油装置に前記給油設定がなされることを特徴とする。
【0007】
本発明の給油所システムによれば、サーバが携帯端末から給油装置の特定に関する確認信号を受信すると、前記給油装置に給油設定がなされるため、給油を行う予定の給油装置ではない別の給油装置に給油設定がなされることがなく、確実に所望の給油を行うことができる。
【0010】
さらに、本発明の給油所システムは、複数の給油装置と、該複数の給油装置の各々と通信可能なサーバとで構成され、前記複数の給油装置の各々に設けられた人体・車両センサーが顧客を検知すると、該給油装置は所定の領域にビーコン信号を送信し、前記複数の給油装置から送信される信号のうち最も電波強度の高い信号を受信した前記顧客の携帯端末が、前記サーバに給油装置のビーコンID及び顧客IDを送信し、該ビーコンID及び顧客IDを受信した前記サーバが、前記給油装置に前記携帯端末を特定する表示を行い、前記給油装置から前記ビーコンID及び顧客IDを前記サーバが受信すると、該サーバは前記携帯端末を使用する顧客に対応する、蓄積した顧客ID、油種、給油方法及び精算方法に関する給油設定データを前記給油装置に送信し、前記給油装置が前記給油設定データを受信すると、前記給油装置に前記給油設定がなされることを特徴とする。
【0011】
本発明の給油所システムによれば、サーバが給油装置から給油装置のビーコンID及び顧客IDを受信すると、携帯端末を使用する顧客に対応する、蓄積した顧客ID、油種、給油方法及び精算方法に関する給油設定データを給油装置に送信し、給油装置に給油設定がなされるため、給油を行う予定の給油装置ではない別の給油装置に給油設定がなされることがなく、確実に所望の給油を行うことができる。
【0012】
前記給油所システムにおいて、前記ビーコンID及び顧客IDを、前記給油装置のノズルスイッチがONとなった際に、該給油装置から出力することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、給油装置を誤って特定することがなく、確実に所望の給油を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る給油所システムの第1及び第2の実施形態を示す概略図である。
図2図1に示す給油所システムの第1の実施形態の動作を示すフローチャートである。
図3】本発明に係る給油所システムの第1の実施形態における携帯端末の表示画面の推移を示す概略図である。
図4図1に示す給油所システムの第2の実施形態の動作を示すフローチャートである。
図5】本発明に係る給油所システムの第2の実施形態における携帯端末及び給油装置の表示画面を示す概略図である。
図6】本発明に係る給油所システムの第3の実施形態を示す概略図である。
図7図6に示す給油所システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る給油所システムの第1及び第2の実施形態を示し、この給油所システム1は、人体・車両センサー2aと、BLE(Bluetooth Low Energy)ビーコン(電波発信手段、以下単に「ビーコン」という。)2bと、識別コードリーダー2cとを備えた給油装置2(2A、2B)と、クラウドを構成するサーバ3とで構成され、給油装置2とサーバ3は互いに通信可能であり、さらに給油装置2とサーバ3は、給油エリアで顧客が使用する携帯端末4(4A、4B)と通信可能である。また、給油所システム1は、給油後に顧客が精算を行うための精算装置(不図示)も備える。
【0017】
人体・車両センサー2aは、節電対策として、来客時にのみビーコン2bから電波を発するようにするために設けられる。
【0018】
給油装置2(2A、2B)のビーコン2bの指向性及び通信距離は、給油装置2の近傍の給油エリアに限られるが、この給油エリアの顧客の携帯端末4(4A、4B)には、両方の給油装置2A、2Bのビーコン2bからの電波が届く。尚、携帯端末4と通信できる発信手段(wifi等)であれば、ビーコン以外のものを用いることもできる。
【0019】
サーバ3は、表1に示すように、顧客毎に定められた顧客ID、油種、給油方法及び精算方法に関する給油設定データと、給油データ(車両に給油を行った際の給油量等)を蓄積すると共に、給油データに基づいて給油所の売上データの管理を行う。
【0020】
【表1】
【0021】
携帯端末4は、顧客が所有するスマートフォンや、タブレット等であって、給油装置2及びサーバ3と通信する機能と、給油データや給油伝票等を表示する機能等を備える。携帯端末4が給油伝票を表示することができれば、給油所側で給油伝票を印字する機器の設備投資を軽減することができて好ましい。
【0022】
次に、上記構成を有する給油所システム1の第1の実施形態の動作について、図1及び図2を参照しながら説明する。尚、顧客は予め携帯端末4のアプリ等を介してサーバ3に顧客ID、油種、給油方法及び精算方法に関する給油設定データを登録する。また、サーバ3には、給油装置2のビーコン2bからのビーコンIDと給油装置2の番号が関連づけて記録されているものとする。尚、図2のルートが分岐するステップにおいては、下方向がYes、横方向がNoに対応する。
【0023】
給油装置2AのステップS1及び給油装置2BのステップS81において、各々の人体・車両センサー2aが顧客を検知すると(ステップS1;Yes、S81;Yes)、ビーコン2bからビーコンIDを出力する(ステップS2、S82)。給油装置2A、2Bから携帯端末4A、4BにビーコンIDが入力されると(ステップS21;Yes、ステップS61;Yes)、携帯端末4A、4Bに、図3(a)に示すようなプッシュ通知が表示される(ステップS22、S62)。尚、ここでは、携帯端末4Aに給油装置2BからビーコンIDが入力され、携帯端末4Bに給油装置2AからビーコンIDが入力されたものとする。
【0024】
図3(a)の表示の後、携帯端末4Aを使用する顧客が表示画面をタッチすると(ステップS23;Yes)、携帯端末4Aからサーバ3に給油装置2BのビーコンID及び顧客IDが出力される(ステップS25)。尚、顧客が携帯端末4Aの表示画面にタッチせず、キャンセルを入力した場合には(ステップS24;Yes)、携帯端末4Aの表示画面に処理をキャンセルした旨の表示がなされ(ステップS34)、携帯端末4Aの動作が終了する。
【0025】
携帯端末4Aからサーバ3に給油装置2BのビーコンIDと顧客IDが入力されると(ステップS41;Yes)、サーバ3から携帯端末4Aに給油設定データ表示信号が出力され(ステップS42)、携帯端末4Aがこの信号を受けると(ステップS26;Yes)、携帯端末4Aの表示画面に、図3(b)に示すような給油装置番号(給油装置:2B)と顧客の給油設定データが表示される。
【0026】
顧客が使用する予定の給油装置が2Bであり、携帯端末4Aに表示されている給油装置番号(給油装置:2B)と一致していることを確認すると共に、給油設定データ等が正しいか確認し、携帯端末4Aの表示画面の「YES」にタッチすると(ステップS28;Yes)、携帯端末4Aからサーバ3に給油要求信号が出力され(ステップS29)、サーバ3がこれを受信すると(ステップS43;Yes)、サーバ3は、携帯端末4Bに対してキャンセル信号を送信し(ステップS44)、携帯端末4Bがこれを受信すると(ステップS64)、携帯端末4Bの表示画面には、図3(c)に示すように、処理をキャンセルした旨の表示がなされ(ステップS74)、携帯端末4Bの動作が終了する。
【0027】
次に、サーバ3から給油装置2Bに給油許可信号が出力され(ステップS45)、給油装置2Bにサーバ3から給油許可信号が入力されると(ステップS83;Yes)、給油装置2Bにおいて給油設定が行われる。また、携帯端末4Aの表示画面には、図3(c)に示すように、給油を開始する旨の表示がなされる。
【0028】
ステップS84において、顧客が給油ノズルをノズル掛けから取り外し、給油装置2BのノズルSW(スイッチ)がONになると(ステップS84;Yes)、ステップS5において、ステップS83で入力された油種に対応する給油ノズルが取り外されているか否かを判定し、正しい給油ノズルが取り外されている場合には(ステップS85;Yes)、給油装置2Bの表示器にリセット信号が送信され、前回なされた給油に関する情報の帰零(リセット)がなされると共に、給油ポンプがONとなる(ステップS87)。
【0029】
一方、ステップS85において、顧客が誤った給油ノズルを取り外していた場合には(ステップS85;No)、表示器等を介して顧客に給油ノズルを確認するよう報知する(ステップS86)。
【0030】
ステップS87において、給油ポンプがONになることで給油ノズルより燃料油が吐出され、これにより流量パルス信号が表示器に出力され(ステップS88;Yes)、表示器において給油量の表示(計数表示)がなされる(ステップS89)。尚、流量パルス信号が出力されない場合には(ステップS88;No)、ノズルSWがOFFでない限り(ステップS90;NO)、すなわち給油が中止又は終了するまで流量パルス信号の出力を待つ。
【0031】
ステップS83で入力された給油設定に基づく給油が完了すると、給油ポンプがOFFになり(ステップS91)、給油データをサーバ3に対して出力する(ステップS92)。
【0032】
サーバ3のステップS46において、給油装置2Bから給油データが入力されると(ステップS46;Yes)、給油データから精算データを生成した後、携帯端末4Aに対して給油・精算データを出力する(ステップS47)。
【0033】
携帯端末4Aにおいて、サーバ3から給油・精算データが入力されると(ステップS30;Yes)、顧客が両データを確認するために両データを表示部に表示する(ステップS35)。その後、両データの表示時間Tが所定時間t1に達すると(ステップS36;Yes)、顧客の確認が終了したとして給油・精算データをサーバ3へ出力する(ステップS37)。
【0034】
サーバ3において、携帯端末4Aから給油・精算データが入力されると(ステップS48;Yes)、決済処理完了信号を携帯端末4Aに出力する(ステップS49)。これでサーバ3の動作を終了する。携帯端末4Aにおいて、サーバ3から決済処理完了信号が入力されると(ステップS38;Yes)、給油伝票を表示する(ステップS39)。これで携帯端末4Aの動作も終了して、給油動作が終了する。
【0035】
給油装置2A、2Bは、人体・車両センサー2aが顧客を検知しなくなると(ステップS13;Yes、ステップS93;Yes)、ビーコン2bからのビーコンIDの出力を停止する(ステップS14、S94)。これで給油装置2A、2Bの動作が終了する。
【0036】
一方、携帯端末4AのステップS27で、携帯端末4Aの表示画面に表示された給油装置番号が使用予定の給油装置の番号と異なっている場合(例えば、携帯端末4Aの表示画面には図3(b)のように「給油装置番号:2B」が表示されているが、顧客は給油装置2Aを使用する予定の場合)には、顧客が再取得釦を押すと(S31;Yes)、ステップS32で給油装置2A、2Bの各々のビーコン2bからビーコンIDが入力され、処理はステップS25に戻り、上記動作を繰り返す。これによって、顧客が使用する給油装置2A、2Bを誤って特定することがなく、確実に所望の給油を行うことができる。
【0037】
尚、携帯端末4Bについても上記携帯端末4Aと同様の動作がなされるが、図3(a)に示すようなプッシュ通知が表示され(ステップS62)、その後携帯端末4Bの顧客が表示画面にタッチし(ステップS63;Yes)、携帯端末4Bの表示画面に図3(b)に示すような給油装置番号と顧客の給油設定データが表示された場合でも(ステップS67)、顧客が表示画面の「YES」にタッチせず(ステップS68;No)、また、「再取得」にタッチしなければ(ステップS71;No)、図3(c)に示すように、処理をキャンセルした旨の表示がなされた後、処理は終了する。
【0038】
以上のように、本実施の形態における給油所システム1によれば、給油装置2A、2Bのビーコン2bからビーコンIDが入力された携帯端末4A、4Bに給油装置番号が表示され、顧客が表示された給油装置番号と使用予定の給油装置の番号を確認し、一致しているときは「YES」を、一致していないときは「再取得」にタッチして再度ビーコンIDを取得することで、顧客が使用する給油装置2A、2Bを誤って特定することがなく、確実に所望の給油を行うことができる。
【0039】
次に、本発明に係る給油所システムの第2の実施形態の動作について、図1図4及び図5を参照しながら説明する。尚、本実施形態においても、顧客は予め携帯端末4のアプリ等を介してサーバ3に顧客ID、油種、給油方法及び精算方法に関する給油設定データを登録し、サーバ3には、給油装置2のビーコン2bからのビーコンIDと給油装置2の番号が関連づけて記録されているものとする。尚、図4のルートが分岐するステップにおいては、下方向がYes、横方向がNoに対応する。
【0040】
給油装置2AのステップS101及び給油装置2BのステップS181において、各々の人体・車両センサー2aが顧客を検知すると(ステップS101;Yes、S181;Yes)、ビーコン2bからビーコンIDを出力する(ステップS102、S182)。給油装置2A、2Bから携帯端末4A、4BにビーコンIDが入力されると(ステップS121;Yes、ステップS161;Yes)、携帯端末4Aに、図5(a)に示すようなプッシュ通知が表示される(ステップS122)。また、図示を省略するが、携帯端末4Bにも同様の表示がなされる(ステップS162)以下、携帯端末4A、4Bの各々は同様の動作をするので、携帯端末4Aの動作について説明する。
【0041】
図5(a)の表示の後、携帯端末4Aの顧客は、使用予定の給油装置2Aの方に移動する。携帯端末4Aの顧客が給油装置2Aに近づいていくため、携帯端末4Aには、給油装置2A、2Bのビーコン2bからの電波の電波強度の高い方(給油装置が3台以上存在する場合には、電波強度の最も高い給油装置)のビーコンID、すなわち給油装置2AのビーコンIDが入力されると(ステップS123;Yes)、携帯端末4Aからサーバ3に給油装置2AのビーコンID及び顧客IDが出力される(ステップS124)。
【0042】
携帯端末4Aからサーバ3に給油装置2AのビーコンIDと顧客IDが入力されると(ステップS141;Yes)、サーバ3から給油装置2Aに給油設定データと識別コードの表示信号が出力され(ステップS142)、給油装置2Aがこの信号を受けると(ステップS103;Yes)、給油装置2Aの表示画面に、図5(b)に示すような顧客の給油設定データが表示される(ステップS104)。
【0043】
図5(b)の表示の後、携帯端末4Aの顧客が給油装置2Aに表示された給油設定データが自分のものであることを確認し、顧客が給油ノズルをノズル掛けから取り外し、給油装置2AのノズルSW(スイッチ)がONになると(ステップS105;Yes)、サーバ3に給油要求信号が出力され(ステップS106)、サーバ3がこれを受信すると(ステップS143;Yes)、サーバ3から給油装置2Aに給油許可信号が出力され(ステップS144)、給油装置2Aにサーバ3から給油許可信号が入力されると(ステップS107;Yes)、給油装置2Aにおいて給油設定が行われる。
【0044】
一方、図5(b)の表示の後、携帯端末4Aの顧客が給油装置2Aに表示された給油設定データが自分のものではないと判断した場合には、給油装置2Aに表示されたキャンセル釦を押すと(ステップS109;Yes)、給油装置2Aから携帯端末4A及びサーバ3にキャンセル処理表示信号が出力され(ステップS110)、携帯端末4A及びサーバ3でキャンセル処理がなされ(ステップS126、S147)、携帯端末4A及びサーバ3の動作が終了する。
【0045】
その後の給油装置2AのステップS108~S119の動作は、図2のステップS5~S14の動作と同一であるため説明を省略する。
【0046】
また、サーバ3のステップS148~S150の動作も、図2のステップS47~S49の動作と同一であるため説明を省略する。
【0047】
さらに、携帯端末4AのステップS127~S132の動作も、図2のステップS30~S39の動作と同一であるため説明を省略する。
【0048】
給油装置2A、2Bは、各々の人体・車両センサー2aが顧客を検知しなくなると(ステップS118;Yes、ステップS198;Yes)、ビーコン2bからのビーコンIDの出力を停止する(ステップS119、ステップS199)。これで給油装置2A、2Bの動作が終了する。
【0049】
以上のように、本実施の形態における給油所システム1によれば、給油装置2A、2Bのビーコン2bからの電波の電波強度の高い方(例えば、給油装置2A)のビーコンIDが携帯端末4Aに入力され、給油装置2Aに表示された給油設定データが自分のものであることを確認してから給油が行われ、給油設定データが自分のものでなければ給油をキャンセルするため、顧客が使用する給油装置2A、2Bを誤って特定することがなく、確実に所望の給油を行うことができる。
【0050】
尚、何らかの原因で給油装置2のビーコン2bからの電波を携帯端末4が受信できなかった場合には、携帯端末4で顧客自ら識別コードを表示させ、給油装置2の識別コードリーダー2cに読込ませることで携帯端末4と給油装置2とを紐付けることができる。
【0051】
また、現金給油の顧客は、別途識別コード付きの現金給油券を購入し、現金給油券を給油装置2の識別コードリーダー2cに読み込ますことで給油可能とすることができる。
【0052】
図6は、本発明に係る給油所システムの第3の実施形態を示し、この給油所システム11は、給油装置12(12A、12B)が上記給油装置2の識別コードリーダー2cに代えて給油装置12のビーコンIDを示す識別コード12aを備える点、及び携帯端末4(4A、4B)が新たに給油装置12の識別コード12aを読み込む機能を有する点で上記給油所システム1と相違する。給油所システム11において、上記給油所システム1と同一の構成要素には、同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0053】
次に、上記構成を有する給油所システム11の動作について、図6及び図7を参照しながら説明する。尚、本実施形態においても、顧客は予め携帯端末4のアプリ等を介してサーバ3に顧客ID、油種、給油方法及び精算方法に関する給油設定データを登録する。また、サーバ3には、給油装置12のビーコン2bからのビーコンIDと給油装置12の番号が関連づけて記録されているものとする。尚、図7のルートが分岐するステップにおいては、下方向がYes、横方向がNoに対応する。
【0054】
給油装置12のステップS201、S281において、各々の人体・車両センサー2aが顧客を検知すると(ステップS201;Yes、S281;Yes)、ビーコン2bからビーコンIDを出力する(ステップS202、S282)。給油装置2A、2Bから携帯端末4A、4BにビーコンIDが入力されると(ステップS221;Yes、ステップS261;Yes)、携帯端末4A、4Bに、図3(a)に示すようなプッシュ通知が表示される(ステップS222、S262)。尚、ここでは、携帯端末4Aに給油装置12BからビーコンIDが入力され、携帯端末4Bに給油装置12AからビーコンIDが入力されたものとする。
【0055】
図3(a)の表示の後、運転者が携帯端末4Aの表示画面をタッチすると(ステップS223;Yes)、携帯端末4Aからサーバ3にビーコンID及び顧客IDが出力される(ステップS225)。尚、運転者が携帯端末4Aの表示画面にタッチせず、キャンセルを入力した場合には(ステップS224;Yes)、携帯端末4Aの表示画面に処理をキャンセルした旨の表示がなされ(ステップS230)、携帯端末4Aの動作が終了する。
【0056】
携帯端末4Aからサーバ3にビーコンIDと顧客IDが入力されると(ステップS241;Yes)、サーバ3から携帯端末4Aに給油設定データと識別コード読取り表示信号が出力され(ステップS242)、携帯端末4Aがこの信号を受けると(ステップS226;Yes)、携帯端末4Aの表示画面に、給油設定データと、例えば「使用する給油装置の識別コードを読み取ってください」という案内が表示される(ステップS227)。
【0057】
上記表示の後、運転者が携帯端末4Aを介して給油装置12Aの識別コード12aを読み込むと、携帯端末4Aはサーバ3に識別コードと給油要求信号を出力する(ステップS228;Yes)。携帯端末4Aから識別コードと給油要求信号が入力されたサーバ3は(ステップS243;Yes)、ステップS221で入力されたビーコンIDと携帯端末4Aから入力された識別コードに含まれる給油装置12AのビーコンIDとを比較し、一致した場合には、携帯端末4Bに対してキャンセル信号を送信し(ステップS244)、携帯端末4Bがこれを受信すると(ステップS264)、携帯端末4Bの表示画面には、図3(c)に示すように、処理をキャンセルした旨の表示がなされ(ステップS270)、携帯端末4Bの動作が終了する。
【0058】
次に、サーバ3から給油装置12Aに給油許可信号が出力され(ステップS245)、給油装置12Aにサーバ3から給油許可信号が入力されると(ステップS203;Yes)、給油装置12Aにおいて給油設定が行われ、携帯端末4Aの表示画面には、例えば、給油設定データと、給油を開始する旨を表示することができる。
【0059】
その後の給油装置12AのステップS204~S214の動作は、図2のステップS4~S14の動作と同一であるため説明を省略する。
【0060】
また、サーバ3のステップS246~S249の動作も、図2のステップS46~S49の動作と同一であるため説明を省略する。
【0061】
さらに、携帯端末4AのステップS231~S236の動作も、図2のステップS30~S39の動作と同一であるため説明を省略する。
【0062】
尚、携帯端末4A、4Bに、図3(a)に示すようなプッシュ通知が表示され(ステップS222、S262)、その後同乗者が誤って携帯端末4Bの表示画面をタッチしても(ステップS263;Yes)、同乗者が携帯端末4Bを介して給油装置12の識別コード12aを読み込まなければ、図3(c)に示すように、処理をキャンセルした旨の表示がなされた後、処理は終了する。
【0063】
以上のように、本実施の形態における給油所システム11によれば、給油装置12のビーコン2bからビーコンIDが入力された携帯端末4A、4Bに確認用の画面が表示され、確認用の画面にタッチした携帯端末4以外の携帯端末4に対してキャンセル処理を行い、給油装置12の識別コード12aを読み込んだ携帯端末4の給油要求を有効とするため、顧客を誤って特定することがなく、確実に顧客給油設定データに対応した給油を行うことができる。
【0064】
尚、携帯端末4Bについても上記携帯端末4Aと同様の動作がなされるが、図3(a)に示すようなプッシュ通知が表示され(ステップS262)、その後携帯端末4Bの顧客が表示画面にタッチした場合でも(ステップS263;Yes)、顧客が携帯端末4Bを介して給油装置12Aの識別コード12aを読み取らなければ(ステップS268;No)、図3(c)に示すように、処理をキャンセルした旨の表示がなされた後(ステップS270)、処理は終了する。また、給油装置12Bで給油を行う場合は、給油装置12A、12Bの動作を逆にすればよい。
【0065】
尚、上記各実施の形態において、給油後に給油装置2、12でルーレット等によって割引券が当たるようにしている場合には、携帯端末4でのキャッシュレス決済において、次回給油時に携帯端末4に割引情報を表示し、給油料金を割り引きしてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 給油所システム
2(2A、2B) 給油装置
2a 人体・車両センサー
2b ビーコン
2c 識別コードリーダー
3 サーバ
4(4A、4B) 携帯端末
11 給油所システム
12(12A、12B) 給油装置
12a 識別コード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7