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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】緩衝部材及び輸送方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/02 20060101AFI20230710BHJP
【FI】
B65D81/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019131319
(22)【出願日】2019-07-16
(65)【公開番号】P2021014299
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】ロジスティード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】土居 弘明
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-018049(JP,A)
【文献】特開平11-208730(JP,A)
【文献】特開2011-111172(JP,A)
【文献】特開2006-143287(JP,A)
【文献】実開昭60-033092(JP,U)
【文献】特開2003-312737(JP,A)
【文献】特開2003-321067(JP,A)
【文献】特開2014-162483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被輸送物が収納された直方体状形状の容器の外部を覆う緩衝部材であって、
前記容器の底面全体を覆う底面部材と、
前記底面部材と接続し、前記容器の4つの側面の内の少なくとも対向する2つの第一側面及び第二側面における少なくとも前記底面側の端部を含む一部をそれぞれ覆う第一側面部材及び第二側面部材と、を備え、
前記第一側面部材は、前記第一側面に当接する第一当接部と、前記第一側面及び前記第二側面の並ぶ第一方向における前記第一側面部材の端部であって、前記第一方向において前記第一当接部から前記第一側面側と反対側に離間して設けられた第一非当接部と、前記第一当接部と前記第一非当接部を接続する少なくとも1つの第一接続部と、前記第一方向に見た状態にて前記容器よりも前記第一方向と直交する第二方向に突出する第一突出部と、を有し、
前記第二側面部材は、前記第二側面に当接する第二当接部と、前記第一方向における前記第二側面部材の端部であって、前記第一方向において前記第二当接部から前記第二側面側と反対側に離間して設けられた第二非当接部と、前記第二当接部と前記第二非当接部を接続する少なくとも1つの第二接続部と、前記第一方向に見た状態にて前記容器よりも前記第二方向に突出する第二突出部と、を有し、
前記底面部材は、前記緩衝部材によって覆われた前記容器から、前記第一方向に突出する第三突出部を備え
前記第三突出部は、前記第一側面部材と前記容器の間及び前記第二側面部材と前記容器の間において、それぞれ、前記容器の底面に垂直な方向に立設された第一立設部を有する緩衝部材。
【請求項2】
請求項記載の緩衝部材であって、
前記底面部材は、前記緩衝部材によって覆われた前記容器から、前記第二方向に突出する第四突出部を備える緩衝部材。
【請求項3】
請求項記載の緩衝部材であって、
前記第四突出部は、前記容器の底面に垂直な方向に立設された、前記第二方向に見た状態にて前記容器と重なる位置に設けられる第二立設部を有する緩衝部材。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項記載の緩衝部材であって、
前記第一当接部及び前記第二当接部の各々に設けられた接着部材を備える緩衝部材。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項記載の緩衝部材であって、
前記第一側面部材と前記第二側面部材は、それぞれ、前記容器側と反対側の外表面に設けられた把持用の孔部を有する緩衝部材。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項記載の緩衝部材であって、
前記第一非当接部は、前記第一方向に見た状態にて、前記第一当接部と重なる部分を有し、
前記第二非当接部は、前記第一方向に見た状態にて、前記第二当接部と重なる部分を有し、
前記第一側面部材は、前記第一当接部と前記第一非当接部の間に前記第一接続部として2つの接続面を有し、
前記第二側面部材は、前記第二当接部と前記第二非当接部の間に前記第二接続部として2つの接続面を有する緩衝部材。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項記載の緩衝部材であって、
前記緩衝部材は、紙製のシート状材料を折り曲げ加工することによって形成される緩衝部材。
【請求項8】
保管場所に保管され、直方体状形状の容器に収納された被輸送物を、容器単位で輸送する輸送方法であって、
輸送対象となっている前記容器の外部を、個別に緩衝部材によって覆う被覆工程と、
前記緩衝部材によって覆われた前記容器を、輸送手段に載置する載置工程と、を備え、
前記緩衝部材は、前記容器の底面全体を覆う底面部材と、前記底面部材と接続し、前記容器の4つの側面の内の少なくとも対向する2つの第一側面及び第二側面における少なくとも前記底面側の端部を含む一部をそれぞれ覆う第一側面部材及び第二側面部材と、を備え、
前記第一側面部材は、前記第一側面に当接する第一当接部と、前記第一側面及び前記第二側面の並ぶ第一方向における前記第一側面部材の端部であって、前記第一方向において前記第一当接部から前記第一側面側と反対側に離間して設けられた第一非当接部と、前記第一当接部と前記第一非当接部を接続する少なくとも1つの第一接続部と、前記第一方向に見た状態にて前記容器よりも前記第一方向と直交する第二方向に突出する第一突出部と、を有し、
前記第二側面部材は、前記第二側面に当接する第二当接部と、前記第一方向における前記第二側面部材の端部であって、前記第一方向において前記第二当接部から前記第二側面側と反対側に離間して設けられた第二非当接部と、前記第二当接部と前記第二非当接部を接続する少なくとも1つの第二接続部と、前記第一方向に見た状態にて前記容器よりも前記第二方向に突出する第二突出部と、を有し、
前記底面部材は、前記緩衝部材によって覆われた前記容器から、前記第一方向に突出する第三突出部を備え、
前記第三突出部は、前記第一側面部材と前記容器の間及び前記第二側面部材と前記容器の間において、それぞれ、前記容器の底面に垂直な方向に立設された第一立設部を有する、輸送方法。
【請求項9】
請求項記載の輸送方法であって、
前記緩衝部材は、紙製のシート状材料を折り曲げ加工することによって形成されるものであり、
前記被覆工程に先立って、前記保管場所に保管された前記シート状材料を折り曲げ加工する緩衝部材加工工程を備える、輸送方法。
【請求項10】
請求項8又は9記載の輸送方法であって、
前記被覆工程は、前記容器と前記緩衝部材とを接着する工程を含む、輸送方法。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか1項記載の輸送方法であって、
前記容器は、紙製の容器である、輸送方法。
【請求項12】
請求項8から11のいずれか1項記載の輸送方法であって、
前記被輸送物は、瓶であって、1つの前記容器に複数収納されている、輸送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝部材及び輸送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワインに代表される瓶詰めの商品は、倉庫から小売店への納入に宅配便が用いられる。この宅配便においては、商品が収納された箱を作業員が手作業で運ぶことになる。一方、こういった商品の倉庫への納入は、パレットに荷積みされた状態で、複数箱単位での納入が行われることが多いため、例えばフォークリフト等を用いて機械的に行われる。また、こういった商品の外国からの輸入は、商品を収納する箱が多数積み込まれたコンテナを輸送することで行われる。そして、コンテナへの箱の積み込み、コンテナからの箱の積み出しのいずれの作業も、やはり機械的に行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したように、フォークリフト等を用いて機械的に箱を移動する場合には、その箱が落下したり、衝撃を受けたりする可能性は低い。しかし、宅配業者が手作業にて箱を移動させる場合には、例えば、手作業にて輸送車に箱を積み込む際や、輸送車から箱を下ろして小売店まで運ぶ際等において、その箱を落下させたり、その箱をどこかにぶつけてしまったりする等の可能性が高まる。
【0004】
このようにして箱に衝撃が加わると、瓶詰の商品においては、瓶が破損して中身が漏出してしまう。特に、ワインについては、国内に輸入される際に、12本のワインが1つの箱に収納されて輸送されることが多い。そのため、箱の総重量が大きくなり、特に箱の落下時において、箱に加わる衝撃が大きくなる。また、瓶詰の商品でなくとも、商品の総重量が大きくなる場合には、落下等によって箱に加わる衝撃が大きくなることから、商品の破損を招く可能性がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、容器に収納された被輸送物の破損を防ぐことのできる緩衝部材及び輸送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の緩衝部材は、被輸送物が収納された直方体状形状の容器の外部を覆う緩衝部材であって、上記容器の底面全体を覆う底面部材と、上記底面部材と接続し、上記容器の4つの側面の内の少なくとも対向する2つの第一側面及び第二側面における少なくとも上記底面側の端部を含む一部をそれぞれ覆う第一側面部材及び第二側面部材と、を備え、上記第一側面部材は、上記第一側面に当接する第一当接部と、上記第一側面及び上記第二側面の並ぶ第一方向における上記第一側面部材の端部であって、上記第一方向において上記第一当接部から上記第一側面側と反対側に離間して設けられた第一非当接部と、上記第一当接部と上記第一非当接部を接続する少なくとも1つの第一接続部と、上記第一方向に見た状態にて上記容器よりも上記第一方向と直交する第二方向に突出する第一突出部と、を有し、上記第二側面部材は、上記第二側面に当接する第二当接部と、上記第一方向における上記第二側面部材の端部であって、上記第一方向において上記第二当接部から上記第二側面側と反対側に離間して設けられた第二非当接部と、上記第二当接部と上記第二非当接部を接続する少なくとも1つの第二接続部と、上記第一方向に見た状態にて上記容器よりも上記第二方向に突出する第二突出部と、を有するものである。
【0007】
本発明の輸送方法は、保管場所に保管され、直方体状形状の容器に収納された被輸送物を、容器単位で輸送する輸送方法であって、輸送対象となっている上記容器の外部を、個別に緩衝部材によって覆う被覆工程と、上記緩衝部材によって覆われた上記容器を、輸送手段に載置する載置工程と、を備え、上記緩衝部材は、上記容器の底面全体を覆う底面部材と、上記底面部材と接続し、上記容器の4つの側面の内の少なくとも対向する2つの第一側面及び第二側面における少なくとも上記底面側の端部を含む一部をそれぞれ覆う第一側面部材及び第二側面部材と、を備え、上記第一側面部材は、上記第一側面に当接する第一当接部と、上記第一側面及び上記第二側面の並ぶ第一方向における上記第一側面部材の端部であって、上記第一方向において上記第一当接部から上記第一側面側と反対側に離間して設けられた第一非当接部と、上記第一当接部と上記第一非当接部を接続する少なくとも1つの第一接続部と、上記第一方向に見た状態にて上記容器よりも上記第一方向と直交する第二方向に突出する第一突出部と、を有し、上記第二側面部材は、上記第二側面に当接する第二当接部と、上記第一方向における上記第二側面部材の端部であって、上記第一方向において上記第二当接部から上記第二側面側と反対側に離間して設けられた第二非当接部と、上記第二当接部と上記第二非当接部を接続する少なくとも1つの第二接続部と、上記第一方向に見た状態にて上記容器よりも上記第二方向に突出する第二突出部と、を有する、ものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容器に収納された被輸送物の破損を防ぐことのできる緩衝部材及び輸送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】緩衝部材1の構成を示す斜視図である。
図2図1に示す緩衝部材1によって容器50の一部が覆われた状態を示す斜視図である。
図3図2に示す緩衝部材1によって覆われた容器50を方向Y1に見た側面図である。
図4図2に示す緩衝部材1によって覆われた容器50を方向X2に見た側面図である。
図5図2に示す緩衝部材1によって覆われた容器50を方向X1に見た側面図である。
図6図1に示す緩衝部材1の折り曲げ加工前(組み立て前)の状態を示す段ボールシート1Aの平面図である。
図7】緩衝部材1の変形例を示す図3に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、本発明の緩衝部材の一実施形態である緩衝部材1を用いた容器の輸送方法について説明する。この緩衝部材1は、保管場所としての倉庫に保管された直方体状形状の容器(例えば直方体の段ボール箱)に収納された被輸送物を、その容器単位で輸送する際に用いられる。この緩衝部材1は、1枚の紙製のシート状材料(例えば、1枚の段ボールシート)を折り曲げ加工することによって形成される。このシート状材料は、出荷作業を行うまでの間、輸送対象となる容器と一緒に倉庫に保管される。
【0011】
容器の輸送は、次の(A)から(D)の工程の順に行われる。
【0012】
(A)配送業者の作業員が、倉庫にて、シート状材料(具体的には1枚の段ボールシート)を折り曲げ加工することによって、緩衝部材1を形成する(緩衝部材加工工程)。
(B)作業員が、倉庫に保管されている輸送対象の容器の外部を緩衝部材1によって覆う(被覆工程)。
(C)作業員が、緩衝部材1によって覆われた容器を、輸送手段としての輸送車に載置する(載置工程)。
(D)作業員が、輸送車を運転して移動し、小売店等の輸送先に到着すると、緩衝部材1によって覆われた容器を輸送車から下ろして輸送先へと届ける(輸送工程)。
【0013】
上記(A)の緩衝部材加工工程において、シート状材料は平行な2つの折り曲げ線(例えば後述の折り曲げ線L4,R4)を有する略矩形状であるのが良い。このシート状材料の中央部を底面(例えば後述の底面部材30)とし、その底面の両側を上記の折り曲げ線にしたがって垂立させて、シート状材料を略コの字状に屈曲させることで、上記底面と、その両側の2つの側面部(例えば後述の第一側面部材10及び第二側面部材20)と、を備える緩衝部材1を成形する。
【0014】
(B)の被覆工程は、緩衝部材1の底面上に容器を配置する配置工程と、容器と緩衝部材1を接着する接着工程と、を含むことが好ましい。換言すると、被覆工程は、緩衝部材1上に容器を配置し、緩衝部材1と容器とを接着して固定する工程であることが好ましい。
【0015】
ここで、上記の接着工程は、次のような2つの特徴を備えることが望ましい。
【0016】
第1に、緩衝部材1の各側面部の内側面(容器側の面)の一部又は全部が、容器の対向する2つの側面(例えば後述の第一側面51及び第二側面52)に対して一定距離離間した状態で、緩衝部材1と容器とが接着されるのがよい。これによって、容器の上記2つの側面が、緩衝部材1の側面部によって衝撃から保護されるようになる。
第2に、緩衝部材1の側面部の幅方向(上記の折り曲げ線の延びる方向、例えば後述の方向Y)の長さが、容器の上記2つの側面の幅方向の長さよりも長いものであり、緩衝部材1の側面部の幅方向の両端(外方端)が容器の側稜よりも外方に突出した状態にて、緩衝部材1と容器とが固定されるのがよい。これにより、幅方向に対しても、緩衝部材1の両端が衝撃緩衝部となり、容器は衝撃から保護されるようになる。
このように、容器が緩衝部材1によって被覆されることで、容器の側面及び側稜部分がとりわけ保護されるようになり、輸送中に生じる衝撃を緩衝して内容物の破損を防止乃至は低減できるようになる。
【0017】
緩衝部材1は、小売店到着後に小売店側において廃棄されるものであり、容器の輸送中にのみ用いることを想定した、いわゆる使い捨ての部材となる。以下、上述したような容器の輸送に用いる緩衝部材1の構成について図面を参照して説明する。
【0018】
(緩衝部材1)
図1は、緩衝部材1の構成を示す斜視図である。図2は、図1に示す緩衝部材1によって容器50の一部が覆われた状態を示す斜視図である。図3は、図2に示す緩衝部材1によって覆われた容器50を方向Y1に見た側面図である。図4は、図2に示す緩衝部材1によって覆われた容器50を方向X2に見た側面図である。図5は、図2に示す緩衝部材1によって覆われた容器50を方向X1に見た側面図である。図6は、図1に示す緩衝部材1の折り曲げ加工前(組み立て前)の状態を示す段ボールシート1Aの平面図である。図6に示す段ボールシート1Aにおいて、破線は折り曲げ線を示し、実線は切り取り線を示している。図6に示した折り曲げ線は、全て、図6において紙面手前側に折り曲げるための加工がなされた線である。
【0019】
緩衝部材1は、被輸送物が収納された容器50(図2参照)に外付けして用いられるものである。緩衝部材1が外付けされる容器50は、図2の例では、直方体の段ボール箱となっている。容器50は、矩形平板状の底面55と、対向する平行な2つの矩形平板状の側面(第一側面51及び第二側面52)と、第一側面51及び第二側面52に垂直な対向する2つの矩形平板状の側面(第三側面53及び第四側面54)と、矩形平板状の天面56と、を備える。
【0020】
本実施形態においては、図2に示す状態において、第一側面51及び第二側面52の並ぶ方向を方向Xと定義する。方向Xのうち、第二側面52から第一側面51に向かう方向を方向X1と記載し、方向X1の反対方向を方向X2と記載する。方向Xは第一方向を構成する。また、図2に示す状態において、第三側面53及び第四側面54の並ぶ方向を方向Yと定義する。方向Yのうち、第三側面53から第四側面54に向かう方向を方向Y1と記載し、方向Y1の反対方向を方向Y2と記載する。方向Yは第二方向を構成する。また、図2に示す状態において、方向Xと方向Yに垂直な方向を方向Zと定義する。方向Zのうち、底面55から天面56に向かう方向を方向Z1と記載し、方向Z1の反対方向を方向Z2と記載する。なお、図6に示す段ボールシート1Aの目方向は、方向Xである。
【0021】
緩衝部材1の取り付け対象となる容器50の形状は、平板状の底面と、この底面に垂直な4つの平板状の側面(対向する平行な2つの側面と、この2つの側面に垂直な対向する平行な2つの側面)と、天面と、を有する形状(この形状を直方体状形状と定義する)であればよく、直方体には限定されない。例えば、図2に示す容器50において、4つの側面同士を繋ぐ角部分が面取りされた形状であってもよい。また、天面56が底面55と非平行(例えば底面55に対して傾斜した傾斜面や曲面)な形状であってもよい。
【0022】
また、容器50に収納される被輸送物は、一例としてワインなどの瓶詰の商品とされるが、このような商品に限らず、衝撃によって破損しやすいものであればよい。また、容器50に収納される被輸送物の数は、特に限定されるものではない。しかし、容器50に瓶詰め商品が複数収納される場合には、容器50への衝撃による商品同士の衝突によって商品の破損が発生しやすい。そのため、複数の瓶が収納される容器50に対しては、緩衝部材1を用いることによる効果を特に顕著に得ることができる。
【0023】
図1から図3に示すように、緩衝部材1は、図2に示す状態にて容器50の底面55全体を覆う底面部材30と、底面部材30と接続し、図2に示す状態にて容器50の第一側面51及び第二側面52における少なくとも底面55側の端部を含む一部をそれぞれ覆う第一側面部材10及び第二側面部材20と、を備える。
【0024】
(第一側面部材の詳細構成)
第一側面部材10は、容器50の第一側面51に当接する第一当接部12aを含む平板部12と、方向Xにおける第一側面部材10の端部であって、方向Xにおいて第一当接部12aから第一側面51側と反対側に離間して設けられた第一非当接部14と、第一当接部12aを含む平板部12と第一非当接部14を接続する第一接続部11及び第一接続部13と、方向Xから見た状態にて容器50よりも方向Yに突出する第一突出部17A及び第一突出部17B(図4参照)と、を備える。
【0025】
平板部12、第一接続部11、第一接続部13、及び第一非当接部14は、それぞれ、方向Yに延びる平板状であり、平面形状が略長方形となっている。
【0026】
第一非当接部14は、容器50の第一側面51に略平行となっており、図4に示すように、方向X2に見た状態にて、平板部12の全体と重なっている。第一非当接部14には、図1に示すように、方向X2に立設する係止部14a及び係止部14cが形成されている。
【0027】
図6に示す段ボールシート1Aにおいて、折り曲げ線14bを一辺とし、他の辺が切り取り線とされた略矩形の部分を、折り曲げ線14bにしたがって方向Z1側に垂直に折り曲げることで、係止部14aが形成される。また、図6に示す段ボールシート1Aにおいて、折り曲げ線14dを一辺とし、他の辺が切り取り線とされた略矩形の部分を、折り曲げ線14dにしたがって方向Z1側に垂直に折り曲げることで、係止部14cが形成される。
【0028】
また、第一非当接部14は、図6に示す段ボールシート1Aにおいて、係止部14a及び係止部14cを形成後、折り曲げ線L4にしたがって方向Z1側に第一側面部材10を折り曲げ、更に、折り曲げ線L3にしたがって第一側面部材10を折り曲げることで形成される。
【0029】
図1、2、4に示すように、第一非当接部14の容器50側と反対側の外表面には、把持用の孔部15が形成されている。孔部15は、図6に示す段ボールシート1Aにおいて、折り曲げ線14fを含む長円状の領域14eを、折り曲げ線14fにしたがって折り曲げることで形成される。
【0030】
第一接続部13は、平板部12の方向Z1側の端と第一非当接部14の方向Z1側の端とを接続する部分であり、図3に示すように、方向Z1側から方向Z2側に向かって傾斜する平面となっている。第一接続部13は、図6に示す段ボールシート1Aにおいて、第一非当接部14を形成した後、折り曲げ線L2にしたがって第一側面部材10を折り曲げることで形成される。
【0031】
図3に示すように、平板部12は、容器50の第一側面51に略平行となっている。平板部12には、方向Yにおける後述の第二立設部32A(図1参照)の方向Y2側の端と同じ位置に、方向Xに延びるスリットS1(図6参照)が形成されている。また、平板部12には、方向Yにおける後述の第二立設部32B(図1、2参照)の方向Y1側の端と同じ位置に、方向Xに延びるスリットS2(図6参照)が形成されている。
【0032】
平板部12のスリットS1には、第一非当接部14から方向X2に立設された係止部14aが挿入される。また、平板部12のスリットS2には、第一非当接部14に形成された方向X2に延びる係止部14cが挿入される。これら係止部14a及び係止部14cがそれぞれスリットS1及びスリットS2に挿入されることで、平板部12と第一非当接部14とが互いに係止されて、これらが略平行な状態が保たれる。
【0033】
平板部12におけるスリットS1とスリットS2の間の領域が、図2に示す状態にて容器50の第一側面51と当接する第一当接部12aを構成している。図1に示すように、第一当接部12aには、両面テープ16が貼り付けられている。両面テープ16は、第一当接部12aと容器50との固定を行うために設けられている。
【0034】
図4には、容器50の重心を通り且つ方向Yに延びる直線P1が示されている。第一当接部12aは、容器50におけるこの直線P1と重なる部分に、少なくとも重なる構成となっている。換言すると、第一当接部12aは、容器50の重心の位置に少なくとも重なる構成となっている。容器50が12本のワインを収納する段ボール箱である場合には、図4において、容器50の底面55から直線P1までの距離H1と、容器50の天面56から直線P1までの距離H2との比は1:2となる。つまり、第一当接部12aは、少なくとも、容器50の高さ1/3の位置の部分に重なるように設けられている。
【0035】
平板部12は、図6に示す段ボールシート1Aにおいて、第一非当接部14と第一接続部13を形成した後、折り曲げ線L1にしたがって第一側面部材10を折り曲げ、スリットS1に係止部14aを挿入し、スリットS2に係止部14cを挿入することで形成される。
【0036】
第一接続部11は、平板部12の方向Z2側の端と第一非当接部14とを接続する部分であり、平板部12に略垂直な平面となっている。第一接続部11の方向X1側の端部には、図6に示すように、2つの突起11aが形成されている。この2つの突起11aは、図6に示す段ボールシート1Aにおける、係止部14a及び係止部14cの形成に伴って出現する孔部に嵌る構成となっている。
【0037】
第一接続部11は、図6に示す段ボールシート1Aにおいて、第一非当接部14と第一接続部13と平板部12を形成した後、突起11aを、係止部14a及び係止部14cの形成に伴って出現した孔部に挿入することで形成される。
【0038】
図4に示すように、第一突出部17Aは、方向X2に見た状態にて、容器50よりも方向Y2に突出する部分である。また、第一突出部17Bは、方向X2に見た状態にて、容器50よりも方向Y1に突出する部分である。第一突出部17A及び第一突出部17Bは、第一非当接部14、第一接続部13、平板部12、及び第一接続部11の各々に含まれる部分である。
【0039】
なお、本実施形態では、第一側面部材10の高さ方向の全体に第一突出部17A及び第一突出部17Bが設けられている。しかし、第一突出部17A及び第一突出部17Bは、第一側面部材10の方向Zにおける一部の位置にのみ存在していてもよい。また、第一突出部17A及び第一突出部17Bを設ける方向Zの位置も任意である。
【0040】
例えば、図4において、第一非当接部14における第一接続部11よりも下側の部分の方向Yの幅は、容器50の方向Yの幅と同じであってもよい。図4に示すように、第一突出部17A及び第一突出部17Bは、それぞれ、容器50における直線P1の位置(容器50の重心の位置)に、少なくとも設けられていることが望ましい。
【0041】
(第二側面部材の詳細構成)
第二側面部材20は、緩衝部材1の方向Xの中心を通り且つ方向Yに延びる直線を対称軸として、第一側面部材10に対し線対称の構成となっている。
【0042】
具体的には、第二側面部材20は、容器50の第二側面52に当接する第二当接部22aを含む平板部22と、方向Xにおける第二側面部材20の端部であって、方向Xにおいて第二当接部22aから第二側面52側と反対側に離間して設けられた第二非当接部24と、第二当接部22aを含む平板部22と第二非当接部24を接続する第二接続部21及び第二接続部23と、方向Xに見た状態にて容器50よりも方向Yに突出する第二突出部27A及び第二突出部27B(図5参照)と、を備える。
【0043】
平板部22、第二接続部21、第二接続部23、及び第二非当接部24は、それぞれ、方向Yに延びる平板状であり、平面形状が略長方形となっている。
【0044】
第二非当接部24は、容器50の第二側面52に略平行となっており、図5に示すように、方向X1に見た状態にて、平板部22の全体と重なっている。第二非当接部24には、図1に示すように、方向X1に立設する係止部24a及び係止部24cが形成されている。図6に示す段ボールシート1Aにおいて、折り曲げ線24bを一辺とし、他の辺が切り取り線とされた略矩形の部分を、折り曲げ線24bにしたがって垂直に折り曲げることで、係止部24aが形成される。また、図6に示す段ボールシート1Aにおいて、折り曲げ線24dを一辺とし、他の辺が切り取り線とされた略矩形の部分を、折り曲げ線24dにしたがって垂直に折り曲げることで、係止部24cが形成される。
【0045】
また、第二非当接部24は、図6に示す段ボールシート1Aにおいて、係止部24a及び係止部24cを形成後、折り曲げ線R4にしたがって第二側面部材20を折り曲げ、更に、折り曲げ線R3にしたがって第二側面部材20を折り曲げることで形成される。
【0046】
図5に示すように、第二非当接部24の容器50側と反対側の外表面には、把持用の孔部25が形成されている。孔部25は、図6に示す段ボールシート1Aにおいて、折り曲げ線24fを含む長円状の領域24eを、折り曲げ線24fにしたがって折り曲げることで形成される。
【0047】
第二接続部23は、平板部22の方向Z1側の端と第二非当接部24の方向Z1側の端とを接続する部分であり、図3に示すように、方向Z1側から方向Z2側に向かって傾斜する平面となっている。第二接続部23は、図6に示す段ボールシート1Aにおいて、第二非当接部24を形成した後、折り曲げ線R2にしたがって第二側面部材20を折り曲げることで形成される。
【0048】
図3に示すように、平板部22は、容器50の第二側面52に略平行となっている。平板部22には、方向Yにおける後述の第二立設部32A(図1参照)の方向Y2側の端と同じ位置に、方向Xに延びるスリットS3(図6参照)が形成されている。また、平板部22には、方向Yにおける後述の第二立設部32B(図1、2参照)の方向Y1側の端と同じ位置に、方向Xに延びるスリットS4(図6参照)が形成されている。
【0049】
平板部22のスリットS3には、第二非当接部24から方向X1に立設された係止部24aが挿入される。また、平板部22のスリットS4には、第二非当接部24に形成された方向X1に延びる係止部24cが挿入される。これら係止部24a及び係止部24cがそれぞれスリットS3及びスリットS4に挿入されることで、平板部22と第二非当接部24とが互いに係止されて、これらが略平行な状態が保たれる。
【0050】
平板部22におけるスリットS3とスリットS4の間の領域が、図2に示す状態にて容器50の第二側面52と当接する第二当接部22aを構成している。図1に示すように、第二当接部22aには、両面テープ26が貼り付けられている。両面テープ26は、第二当接部22aと容器50との固定を行うために設けられている。
【0051】
図2に示すように容器50を緩衝部材1にて被覆する場合には、図1に示す緩衝部材1の両面テープ16及び両面テープ26の保護シートを剥がして粘着面を露出させ、この粘着面を容器50の第一側面51及び第二側面52に押し当てることで、緩衝部材1が容器50に対して固定される。
【0052】
図5には、容器50の重心を通り且つ方向Yに延びる直線P1が示されている。第二当接部22aは、容器50におけるこの直線P1と重なる部分に、少なくとも重なる構成となっている。換言すると、第二当接部22aは、容器50の重心の位置に少なくとも重なる構成となっている。容器50が12本のワインを収納する段ボール箱である場合には、第二当接部22aは、少なくとも、容器50の高さ1/3の位置の部分に重なるように設けられている。
【0053】
平板部22は、図6に示す段ボールシート1Aにおいて、第二非当接部24と第二接続部23を形成した後、折り曲げ線R1にしたがって第二側面部材20を折り曲げ、スリットS3に係止部24aを挿入し、スリットS4に係止部24cを挿入することで形成される。
【0054】
第二接続部21は、平板部22の方向Z2側の端と第二非当接部24とを接続する部分であり、平板部22に略垂直な平面となっている。第二接続部21の方向X2側の端部には、図6に示すように、2つの突起21aが形成されている。この2つの突起21aは、図6に示す段ボールシート1Aにおける、係止部24a及び係止部24cの形成に伴って出現する孔部に嵌る構成となっている。
【0055】
第二接続部21は、図6に示す段ボールシート1Aにおいて、第二非当接部24と第二接続部23と平板部22を形成した後、突起21aを、係止部24a及び係止部24cの形成に伴って出現した孔部に挿入することで形成される。
【0056】
図5に示すように、第二突出部27Aは、方向X1に見た状態にて、容器50よりも方向Y2に突出する部分である。また、第二突出部27Bは、方向X1に見た状態にて、容器50よりも方向Y1に突出する部分である。第二突出部27A及び第二突出部27Bは、第二非当接部24、第二接続部23、平板部22、及び第二接続部21の各々に含まれる部分である。
【0057】
なお、本実施形態では、第二側面部材20の高さ方向の全体に第二突出部27A及び第二突出部27Bが設けられている。しかし、第一側面部材10と同様、第二突出部27A及び第二突出部27Bは、第二側面部材20の方向Zにおける一部の位置にのみ存在していてもよい。また、第二突出部27A及び第二突出部27Bを設ける方向Zの位置も任意である。
【0058】
例えば、図5において、第二非当接部24における第二接続部21よりも下側の部分の方向Yの幅は、容器50の方向Yの幅と同じであってもよい。第一側面部材10と同様、図5に示すように、第二突出部27A及び第二突出部27Bは、それぞれ、容器50における直線P1の位置(容器50の重心の位置)に、少なくとも設けられていることが望ましい。
【0059】
(底面部材の詳細構成)
底面部材30は、図6に示すように、図2の状態にて容器50の底面55と当接する当接部33を有する。当接部33は、容器50のサイズとして想定し得るもの全てが収まるような大きさに決められている。
【0060】
底面部材30は、更に、図2に示す状態にて、容器50から方向Xに突出する、換言すると、当接部33から方向Xに突出する第三突出部31(図1図3、及び図6参照)を有する。
【0061】
図1及び図3に示すように、第三突出部31は、方向Z1、換言すると容器50の底面55に垂直な方向に立設された第一立設部31Aと第一立設部31Bを有する。
【0062】
図3に示すように、第一立設部31Aは、当接部33と第一側面部材10の第一非当接部14との間を埋める状態、換言すると、容器50と第一側面部材10の間を埋める状態で形成されている。また、第一立設部31Bは、当接部33と第二側面部材20の第二非当接部24との間を埋める状態、換言すると、容器50と第二側面部材20の間を埋める状態で形成されている。
【0063】
第一立設部31Aは、図6に示す折り曲げ線31bに繋がる切り取り領域31aを折り曲げ線31bに従って折り曲げ、且つ、図6に示す折り曲げ線31dに繋がる切り取り領域31cを折り曲げ線31dに従って折り曲げて、切り取り領域31aの先端に設けられた凸部と、切り取り領域31cの先端に設けられた凹部とを係合させることで形成される。
【0064】
第一立設部31Bは、図6に示す折り曲げ線31fに繋がる切り取り領域31eを折り曲げ線31fに従って折り曲げ、且つ、図6に示す折り曲げ線31hに繋がる切り取り領域31gを折り曲げ線31hに従って折り曲げて、切り取り領域31eの先端に設けられた凹部と、切り取り領域31gの先端に設けられた凸部とを係合させることで形成される。
【0065】
底面部材30は、更に、図2に示す状態にて、容器50から方向Yに突出する、換言すると、当接部33から方向Yに突出する第四突出部32(図1及び図6参照)を有する。
【0066】
図1から図3に示すように、第四突出部32は、方向Z1、換言すると容器50の底面55に垂直な方向に立設された第二立設部32Aと第二立設部32Bを有する。第二立設部32Aと第二立設部32Bは、それぞれ、方向Yに見た状態にて容器50と重なる位置に設けられている。
【0067】
第二立設部32Aは、図6に示す折り曲げ線32bに繋がる切り取り領域32aを折り曲げ線32bに従って折り曲げ、且つ、図6に示す折り曲げ線32dに繋がる切り取り領域32cを折り曲げ線32dに従って折り曲げて、切り取り領域32aの先端に設けられた凹部と、切り取り領域32cの先端に設けられた凸部とを係合させることで形成される。
【0068】
第二立設部32Bは、図6に示す折り曲げ線32fに繋がる切り取り領域32eを折り曲げ線32fに従って折り曲げ、且つ、図6に示す折り曲げ線32hに繋がる切り取り領域32gを折り曲げ線32hに従って折り曲げて、切り取り領域32eの先端に設けられた凹部と、切り取り領域32gの先端に設けられた凸部とを係合させることで形成される。
【0069】
(緩衝部材による衝撃吸収機能)
以上のように構成された緩衝部材1は、これによって覆われた容器50が例えば第一側面51から地面に落下する場合には、第一側面部材10における第一接続部11から上側(方向Z1側)の部分が衝撃吸収部として機能する。また、この場合には、第一側面部材10の第一非当接部14と容器50との間に存在する第一立設部31Aが衝撃吸収部として機能する。
【0070】
また、緩衝部材1によって覆われた容器50が例えば第二側面52から地面に落下する場合には、第二側面部材20における第二接続部11から上側(方向Z1側)の部分が衝撃吸収部として機能する。また、この場合には、第二側面部材20の第二非当接部24と容器50との間に存在する第一立設部31Bが衝撃吸収部として機能する。
【0071】
また、緩衝部材1によって覆われた容器50が例えば第三側面53から地面に落下する場合には、第一側面部材10に設けられた第一突出部17Aと第二側面部材20に設けられた第二突出部27Aが衝撃吸収部として機能する。また、この場合には、底面部材30の第四突出部32に設けられた第二立設部32Bが衝撃吸収部として機能する。
【0072】
また、緩衝部材1によって覆われた容器50が例えば第四側面54から地面に落下する場合には、第一側面部材10に設けられた第一突出部17Bと第二側面部材20に設けられた第二突出部27Bが衝撃吸収部として機能する。また、この場合には、底面部材30の第四突出部32に設けられた第二立設部32Aが衝撃吸収部として機能する。
【0073】
(実施形態の緩衝部材の効果)
緩衝部材1によれば、第一側面51又は第二側面52側から容器50に衝撃が加わる場合には、第一側面51又は第二側面52よりも先に、第一側面部材10又は第二側面部材20にて衝撃を吸収することができる。特に、第一非当接部14と第一当接部12aは離間されており、更に、これらが第一接続部11及び第一接続部13によって接続される構成である。このため、第一側面部材10の第一接続部11から上側の部分によって衝撃を効果的に吸収することができる。また、第二非当接部24と第二当接部22aは離間されており、更に、これらが第二接続部21及び第二接続部23によって接続される構成である。このため、第二側面部材20の第二接続部21から上側の部分によって衝撃を効果的に吸収することができる。この結果、第一側面51及び第二側面52側から容器50が受ける衝撃による被輸送物の損傷を回避することができる。
【0074】
また、緩衝部材1によれば、第一側面部材10と第二側面部材20には、方向Xに見て容器50から突出する突出部(第一突出部17A、第一突出部17B、第二突出部27A、第二突出部27B)が設けられている。このため、容器50の第三側面53又は第四側面54側から容器50に衝撃が加わる場合には、第三側面53又は第四側面54よりも先に、この突出部にて衝撃を吸収することができる。この結果、第三側面53及び第四側面54側から容器50が受ける衝撃による被輸送物の損傷を回避することができる。
【0075】
また、緩衝部材1によれば、容器50が落下する場合に最も衝撃が集中する容器50の重心の位置に、第一当接部12aと第二当接部22aが重なる。更に、これら第一当接部12aと第二当接部22aに第一非当接部14と第二非当接部24が重なっている。このように、容器50において最も衝撃が集中する部分に、衝撃吸収部が設けられていることで、被輸送物の損傷を回避することができる。
【0076】
また、緩衝部材1によれば、容器50が落下する場合に最も衝撃が集中する容器50の重心の位置に、第一側面部材10と第二側面部材20の各々の突出部が位置している。このように、容器50において最も衝撃が集中する部分に、衝撃吸収部が設けられていることで、被輸送物の損傷を回避することができる。
【0077】
また、緩衝部材1によれば、第一側面部材10と第二側面部材20の各々の突出部は、第一側面部材10と第二側面部材20の各々の高さ方向の全体にわたって設けられている。このため、この突出部の衝撃吸収性能を最大化することができる。
【0078】
また、緩衝部材1によれば、底面部材30が、容器50よりも方向Xに突出する第三突出部31を有している。このため、第一側面51又は第二側面52側から容器50に衝撃が加わる場合には、第一側面51又は第二側面52よりも先に、この第三突出部31にて衝撃を吸収することができる。この結果、第一側面51及び第二側面52側から容器50が受ける衝撃をより低減することができる。
【0079】
また、例えば、第一側面51又は第二側面52と底面55との接続部分から容器50が地面に落下するような事態を想定した場合に、この接続部分よりも先に、底面部材30の第三突出部31にて地面からの衝撃を受けることができる。この結果、この接続部分に加わる衝撃を減らして、被輸送物の損傷を回避することができる。
【0080】
また、緩衝部材1によれば、第三突出部31には更に第一立設部31A及び第一立設部31Bが設けられている。このため、第一立設部31A及び第一立設部31Bによって衝撃吸収性能を更に高めることができる。
【0081】
なお、緩衝部材1は、第一立設部31A及び第一立設部31Bが省略された構成としても、十分な衝撃吸収性能を得ることが可能である。
【0082】
また、第一立設部31A及び第一立設部31Bを省略し、更に、第三突出部31を省略した構成とすることも可能である。例えば、図7に示すように、第一非当接部14の第一接続部11よりも下側の一部を傾斜面14sに変更し、底面部材30の方向X1の端と第一非当接部14の方向Z2側の端とを傾斜面14sによって接続する。更に、第二非当接部24の第二接続部21よりも下側の一部を傾斜面24sに変更し、底面部材30の方向X2の端と第二非当接部24の方向Z2側の端とを傾斜面24sによって接続した構成としてもよい。図7に示す構成であっても、第一側面部材10と第二側面部材20によって、十分な衝撃吸収性能を得ることができる。
【0083】
また、緩衝部材1によれば、底面部材30が容器50から方向Yに突出する第四突出部32を有している。このため、第三側面53又は第四側面54側から容器50に衝撃が加わる場合には、第三側面53又は第四側面54よりも先に、この第四突出部32にて衝撃を吸収することができる。この結果、第三側面53及び第四側面54側から容器50が受ける衝撃をより低減することができる。
【0084】
また、例えば、第三側面53又は第四側面54と底面55との接続部分から容器50が地面に落下するような事態を想定した場合に、この接続部分よりも先に、底面部材30の第四突出部32にて地面からの衝撃を受けることができる。この結果、この接続部分に加わる衝撃を減らして、被輸送物の損傷を回避することができる。
【0085】
また、緩衝部材1によれば、第四突出部32には更に第二立設部32A及び第二立設部32Bが設けられている。このため、第二立設部32A及び第二立設部32Bによって衝撃吸収性能を更に高めることができる。
【0086】
なお、緩衝部材1は、第二立設部32A及び第二立設部32Bが省略された構成としても、十分な衝撃吸収性能を得ることが可能である。また、第二立設部32A及び第二立設部32Bを省略し、更に、第四突出部32を省略した構成とすることも可能である。これらの構成であっても、第一側面部材10と第二側面部材20によって、十分な衝撃吸収性能を得ることができる。
【0087】
また、緩衝部材1によれば、第一当接部12aと第二当接部22aには、それぞれ、両面テープ16と両面テープ26が貼り付けられている。このため、この両面テープ16と両面テープ26によって、緩衝部材1と容器50を固定させることができ、輸送中における容器50の耐衝撃性を向上させることができる。なお、両面テープ16と両面テープ26は、緩衝部材1と容器50を接着するための一手段であり、他の接着部材を用いてもよい。
【0088】
また、緩衝部材1によれば、第一側面部材10と第二側面部材20の外表面に、把持用の孔部15と孔部25が形成されている。このため、緩衝部材1によって覆われた容器50を、緩衝部材1の孔部15と孔部25を用いて容易に持ち運ぶことができる。この結果、把持部が設けられていない容器50であっても、その持ち運びを容易にすることができる。また、輸送中における容器50の落下も防ぐことが可能となる。
【0089】
また、緩衝部材1によれば、紙製の段ボールシート1Aを折り曲げ加工することによって形成することができる。このため、製造コストを下げることができる。また、緩衝部材1の組み立て及び保管も容易となる。なお、緩衝部材1を形成するためのシート状材料は、容易に折り曲げ加工でき且つある程度の剛性を有する材料であればよく、紙製に限定されない。紙製とすることで、製造コストの削減、軽量化が可能となる。また、緩衝部材1の取り付け対象となる容器50の素材も、紙製に限らず、プラスチック製等であってもよい。ただし、紙製の容器の場合には、耐衝撃性が弱くなりやすいため、本実施形態の緩衝部材1を用いることが特に有効となる。
【0090】
また、緩衝部材1は、容器50の底面55側の端部を含む一部を覆う構成である。このため、緩衝部材1によって覆われた容器50の天地を容易に判断することができる。この結果、容器50が天地逆の状態で輸送される事態を防ぐことができる。また、緩衝部材1は容器50の一部を覆うものであるため、容器50の側面側を地面に向けた場合には、容器50を平らな状態とすることができない。つまり、緩衝部材1によれば、容器50の側面側を下にするいわゆる横積みとされるのを防ぐことができ、被輸送物の安全性を高めることができる。
【0091】
また、緩衝部材1によれば、容器50を開梱することなく、換言すると、容器50内部の被輸送物を別の頑丈な容器に詰め替える等の作業を行うことなく、簡便な方法にて、容器50の耐衝撃性を向上させて、被輸送物の安全性を高めることができる。
【0092】
また、以上の緩衝部材1を用いた上述の(A)から(D)の工程を備える輸送方法によれば、容器50の外部を緩衝部材1によって覆ってから輸送手段に載置するため、容器50を輸送手段に運ぶまでの間や、輸送手段から積み下ろすときなどにおいて、容器50が例えば落下した場合でも、緩衝部材1によって容器に伝わる衝撃を緩和することができる。
【0093】
また、上記の輸送方法によれば、緩衝部材加工工程によって、段ボールシート1Aを手作業で折り曲げ加工して緩衝部材1を形成することができる。このため、容器50を倉庫から運び出す際に、その場で緩衝部材1を容易に形成することができ、容器50の輸送を効率的に行うことができる。また、倉庫には、場所のとらない段ボールシート1Aを保管しておくだけでよい。このため、倉庫の容積に限りがある場合であっても、容易に対応可能となる。
【0094】
また、上記の輸送方法によれば、接着工程を行うことで、緩衝部材1と容器50との固定を行うことができ、輸送中における容器50の耐衝撃性を担保することができる。
【0095】
なお、緩衝部材1において、第一側面部材10の第一接続部11と、第二側面部材20の第二接続部21は、それぞれ、必須ではなく省略されてもよい。これらが省略された構成であっても、第一当接部12aと第一非当接部14の間の第一接続部13によって方向X1側からの衝撃を吸収することができる。また、第二当接部22aと第二非当接部24の間の第二接続部23によって方向X2側からの衝撃を吸収することができる。前述してきたように、緩衝部材1が第一接続部11と第二接続部21を有することで、衝撃吸収性能を高めることができる。
【0096】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0097】
(1)
被輸送物が収納された直方体状形状の容器(容器50)の外部を覆う緩衝部材(緩衝部材1)であって、
上記容器の底面(底面55)全体を覆う底面部材(底面部材30)と、
上記底面部材と接続し、上記容器の4つの側面の内の少なくとも対向する2つの第一側面(第一側面51)及び第二側面(第二側面52)における少なくとも上記底面側の端部を含む一部をそれぞれ覆う第一側面部材(第一側面部材10)及び第二側面部材(第二側面部材20)と、を備え、
上記第一側面部材は、上記第一側面に当接する第一当接部(第一当接部12a)と、上記第一側面及び上記第二側面の並ぶ第一方向(方向X)における上記第一側面部材の端部であって、上記第一方向において上記第一当接部から上記第一側面側と反対側に離間して設けられた第一非当接部(第一非当接部14)と、上記第一当接部と上記第一非当接部を接続する少なくとも1つの第一接続部(第一接続部11及び第一接続部13)と、上記第一方向に見た状態にて上記容器よりも上記第一方向と直交する第二方向(方向Y)に突出する第一突出部(第一突出部17A及び第一突出部17B)と、を有し、
上記第二側面部材は、上記第二側面に当接する第二当接部(第二当接部22a)と、上記第一方向における上記第二側面部材の端部であって、上記第一方向において上記第二当接部から上記第二側面側と反対側に離間して設けられた第二非当接部(第二非当接部24)と、上記第二当接部と上記第二非当接部を接続する少なくとも1つの第二接続部(第二接続部21及び第二接続部23)と、上記第一方向に見た状態にて上記容器よりも上記第二方向に突出する第二突出部(第二突出部27A及び第二突出部27B)と、を有する緩衝部材。
【0098】
(1)によれば、第一側面部材と第二側面部材には、容器に当接する当接部と、その部分から離間する非当接部と、これらを接続する接続部とが設けられている。このため、例えば、第一側面又は第二側面側から容器に衝撃が加わる場合には、第一側面又は第二側面よりも先に、この非当接部と接続部にて衝撃を吸収することができる。この結果、第一側面及び第二側面側から容器が受ける衝撃による被輸送物の損傷を回避することができる。
また、第一側面部材と第二側面部材には、第一方向に見た状態にて容器よりも第二方向に突出する突出部が設けられている。このため、例えば、容器の4つの側面のうちの第一側面及び第二側面以外の2つ側面のいずれか側から容器に衝撃が加わる場合には、この2つの側面のいずれかよりも先に、この突出部にて衝撃を吸収することができる。この結果、上記2つの側面側から容器が受ける衝撃による被輸送物の損傷を回避することができる。
【0099】
(2) (1)記載の緩衝部材であって、
上記底面部材は、上記緩衝部材によって覆われた上記容器から、上記第一方向に突出する第三突出部(第三突出部31)を備える緩衝部材。
【0100】
(2)によれば、例えば、第一側面又は第二側面側から容器に衝撃が加わる場合には、第一側面又は第二側面よりも先に、第三突出部にて衝撃を吸収することができる。この結果、第一側面及び第二側面側から容器が受ける衝撃をより低減することができる。
また、例えば、第一側面又は第二側面と底面との接続部分から容器が地面に落下するような事態を想定した場合に、この接続部分よりも先に、底面部材の第三突出部にて地面からの衝撃を受けることができる。この結果、この接続部分に加わる衝撃を減らして、被輸送物の損傷を回避することができる。
【0101】
(3) (2)記載の緩衝部材であって、
上記第三突出部は、上記第一側面部材と上記容器の間及び上記第二側面部材と上記容器の間において、それぞれ、上記容器の底面に垂直な方向に立設された第一立設部(第一立設部31A及び第一立設部31B)を有する緩衝部材。
【0102】
(3)によれば、第三突出部が存在することによって生じ得る第一側面部材と容器との隙間及び第二側面部材と容器との隙間に第一立設部が存在する。このため、例えば、第一側面又は第二側面側から容器に衝撃が加わる場合には、第一側面又は第二側面よりも先に、この第一立設部にて衝撃を吸収することができる。したがって、第一側面及び第二側面側から容器が受ける衝撃をより低減することができる。
【0103】
(4) (1)から(3)のいずれか記載の緩衝部材であって、
上記底面部材は、上記緩衝部材によって覆われた上記容器から、上記第二方向に突出する第四突出部(第四突出部32)を備える緩衝部材。
【0104】
(4)によれば、例えば、容器の4つの側面のうちの第一側面及び第二側面以外の2つ側面のいずれか側から容器に衝撃が加わる場合には、この2つの側面のいずれかよりも先に、第四突出部にて衝撃を吸収することができる。この結果、上記2つの側面側から容器が受ける衝撃による被輸送物の損傷を回避することができる。
また、例えば、上記の2つの側面と底面との接続部分から容器が地面に落下するような事態を想定した場合に、この接続部分よりも先に、底面部材の第四突出部にて地面からの衝撃を吸収することができる。この結果、この接続部分に加わる衝撃を減らして、被輸送物の損傷を回避することができる。
【0105】
(5) (4)記載の緩衝部材であって、
上記第四突出部は、上記容器の底面に垂直な方向に立設された、上記第二方向に見た状態にて上記容器と重なる位置に設けられる第二立設部(第二立設部32A及び第二立設部32B)を有する緩衝部材。
【0106】
(5)によれば、上記の2つの側面側から容器に衝撃が加わる場合には、この2つの側面よりも先に、この第二立設部にて衝撃を吸収することができる。したがって、上記の2つの側面側から容器が受ける衝撃をより低減することができる。
【0107】
(6) (1)から(5)のいずれか記載の緩衝部材であって、
上記第一当接部及び上記第二当接部の各々に設けられた接着部材(両面テープ16及び両面テープ26)を備える緩衝部材。
【0108】
(6)によれば、接着部材によって緩衝部材と容器との固定を行うことができる。このため、輸送中における容器の耐衝撃性を向上させることができる。
【0109】
(7) (1)から(6)のいずれか記載の緩衝部材であって、
上記第一側面部材と上記第二側面部材は、それぞれ、上記容器側と反対側の外表面に設けられた把持用の孔部(孔部15及び孔部25)を有する緩衝部材。
【0110】
(7)によれば、緩衝部材によって覆われた容器を、緩衝部材の孔部を用いて容易に持ち運ぶことができる。このため、把持部が設けられていない容器であっても、その持ち運びを容易にすることができる。また、容器の落下も防ぐことが可能となる。
【0111】
(8) (1)から(7)のいずれか記載の緩衝部材であって、
上記第一非当接部は、上記第一方向に見た状態にて、上記第一当接部と重なる部分を有し、
上記第二非当接部は、上記第一方向に見た状態にて、上記第二当接部と重なる部分を有し、
上記第一側面部材は、上記第一当接部と上記第一非当接部の間に上記第一接続部として2つの接続面(第一接続部11及び第一接続部13)を有し、
上記第二側面部材は、上記第二当接部と上記第二非当接部の間に上記第二接続部として2つの接続面(第二接続部21及び第二接続部23)を有する緩衝部材。
【0112】
(8)によれば、第一非当接部における第一当接部との重なり部分と、第一当接部と、2つの接続面とによって、第一側面側からの衝撃を吸収することができる。また、第二非当接部における第二当接部との重なり部分と、第二当接部と、2つの第二接続面とによって、第二側面側からの衝撃を吸収することができる。このため、第一方向からの衝撃に対する衝撃吸収性能を高めることができる。
【0113】
(9) (1)から(8)のいずれか記載の緩衝部材であって、
上記第一非当接部は、上記第一方向に見た状態にて、上記第一当接部と重なる部分を有し、
上記第二非当接部は、上記第一方向に見た状態にて、上記第二当接部と重なる部分を有し、
上記第一当接部及び上記第二当接部は、それぞれ、上記緩衝部材によって覆われた上記容器を上記第一方向に見た状態にて、上記容器の重心の位置に少なくとも重なっており、
上記第一突出部及び上記第二突出部は、それぞれ、上記緩衝部材によって覆われた上記容器を上記第一方向に見た状態にて、上記容器の重心の位置に少なくとも設けられている緩衝部材。
【0114】
(9)によれば、容器が落下する場合に最も衝撃が集中する重心位置に第一当接部及び第一非当接部の組と、第二当接部及び第二非当接部の組とが重なるため、第一方向に容器が落下した場合の容器に伝わる衝撃を効果的に吸収することができる。また、この重心位置と同じ位置に第一突出部及び第二突出部が設けられているため、第二方向に容器が落下した場合の容器に伝わる衝撃を効果的に吸収することができる。
【0115】
(10) (1)から(9)のいずれか記載の緩衝部材であって、
上記緩衝部材は、紙製のシート状材料(段ボールシート1A)を折り曲げ加工することによって形成される緩衝部材。
【0116】
(10)によれば、製造コストを下げることができる。また、緩衝部材の組み立て及び保管も容易となる。
【0117】
(11)
保管場所に保管され、直方体状形状の容器(容器50)に収納された被輸送物を、容器単位で輸送する輸送方法であって、
輸送対象となっている上記容器の外部を、個別に緩衝部材(緩衝部材1)によって覆う被覆工程と、
上記緩衝部材によって覆われた上記容器を、輸送手段に載置する載置工程と、を備え、
上記緩衝部材は、上記容器の底面(底面55)全体を覆う底面部材(底面部材30)と、上記底面部材と接続し、上記容器の4つの側面の内の少なくとも対向する2つの第一側面(第一側面51)及び第二側面(第二側面52)における少なくとも上記底面側の端部を含む一部をそれぞれ覆う第一側面部材(第一側面部材10)及び第二側面部材(第二側面部材20)と、を備え、
上記第一側面部材は、上記第一側面に当接する第一当接部(第一当接部12a)と、上記第一側面及び上記第二側面の並ぶ第一方向(方向X)における上記第一側面部材の端部であって、上記第一方向において上記第一当接部から上記第一側面側と反対側に離間して設けられた第一非当接部(第一非当接部14)と、上記第一当接部と上記第一非当接部を接続する少なくとも1つの第一接続部(第一接続部11及び第一接続部13)と、上記第一方向に見た状態にて上記容器よりも上記第一方向と直交する第二方向(方向Y)に突出する第一突出部(第一突出部17A及び第一突出部17B)と、を有し、
上記第二側面部材は、上記第二側面に当接する第二当接部(第二当接部22a)と、上記第一方向における上記第二側面部材の端部であって、上記第一方向において上記第二当接部から上記第二側面側と反対側に離間して設けられた第二非当接部(第二非当接部24)と、上記第二当接部と上記第二非当接部を接続する少なくとも1つの第二接続部(第二接続部21及び第二接続部23)と、上記第一方向に見た状態にて上記容器よりも上記第二方向に突出する第二突出部(第二突出部27A及び第二突出部27B)と、を有する、輸送方法。
【0118】
(11)によれば、容器の外部を緩衝部材によって覆ってから輸送手段に載置するため、容器を輸送手段に運ぶまでの間や、輸送手段から積み下ろすときなどにおいて、容器が例えば落下した場合でも、緩衝部材によって容器に伝わる衝撃を緩和することができる。
特に、緩衝部材において、第一側面部材と第二側面部材には、容器に当接する当接部と、その部分よりも容器側と反対側に離間する非当接部と、これらを接続する接続部と、が設けられている。このため、例えば、第一側面又は第二側面側から容器に衝撃が加わる場合には、第一側面又は第二側面よりも先に、この非当接部と接続部にて衝撃を吸収することができる。この結果、第一側面及び第二側面側から容器が受ける衝撃による被輸送物の損傷を回避することができる。
また、第一側面部材と第二側面部材には、容器から第二方向に突出する突出部が設けられている。このため、例えば、容器の4つの側面のうちの第一側面及び第二側面以外の2つ側面のいずれか側から容器に衝撃が加わる場合には、この2つの側面のいずれかよりも先に、この突出部にて衝撃を吸収することができる。この結果、上記2つの側面側から容器が受ける衝撃による被輸送物の損傷を回避することができる。
【0119】
(12) (11)記載の輸送方法であって、
上記緩衝部材は、紙製のシート状材料(段ボールシート1A)を折り曲げ加工することによって形成されるものであり、
上記被覆工程に先立って、上記保管場所に保管された上記シート状材料を折り曲げ加工する緩衝部材加工工程を備える、輸送方法。
【0120】
(12)によれば、容器を保管庫から運び出す際に、その場で緩衝部材を容易に形成することができ、容器の輸送を効率的に行うことができる。また、保管場所には、場所のとらないシート状材料を保管しておくだけでよい。このため、保管場所の容積に限りがある場合であっても、容易に対応可能となる。
【0121】
(13) (11)又は(12)記載の輸送方法であって、
上記被覆工程は、上記容器と上記緩衝部材とを接着する工程を含む、輸送方法。
【0122】
(13)によれば、緩衝部材と容器との固定を行うことができるため、輸送中における容器の耐衝撃性を担保することができる。
【0123】
(14) (11)から(13)のいずれか記載の輸送方法であって、
上記容器は、紙製の容器である、輸送方法。
【0124】
(14)によれば、容器が耐久性の低い紙製であるため、緩衝部材で容器を覆うことによる容器の保護効果を高めることができる。
【0125】
(15) (11)から(14)のいずれか記載の輸送方法であって、
上記被輸送物は、瓶であって、1つの上記容器に複数収納されている、輸送方法。
【0126】
(15)によれば、容器には複数の瓶が収納されているため、緩衝部材で容器を覆ってから輸送することによる、容器の保護効果をより高めることができる。
【0127】
(16)
保管場所に保管され、直方体状形状の容器に収納された被輸送物を、容器単位で輸送する輸送方法であって、
略矩形状のシート状材料をコの字状に屈曲し、底面とその両端に連続する2つの側面部とを形成して緩衝部材を成形する緩衝部材加工工程と、
前記緩衝部材の前記底面上に前記容器を配置する配置工程と、
前記緩衝部材を、前記容器に接着する接着工程と、
前記緩衝部材によって覆われた前記容器を、輸送手段に載置する載置工程と、を備え、
前記接着工程において、前記緩衝部材の側面部の内側面の少なくとも一部が前記容器の4つの側面に対して離間すると共に、前記緩衝部材の側面部の外方端が前記容器の側面部よりも外方に突出した状態で固定され、
前記容器を、前記緩衝部材で被覆した状態で輸送することを特徴とする輸送方法。
【符号の説明】
【0128】
1 緩衝部材
10 第一側面部材
11、13 第一接続部
12a 第一当接部
14 第一非当接部
15 孔部
16 両面テープ
17A、17B 第一突出部
20 第二側面部材
21、23 第二接続部
22a 第二当接部
24 第二非当接部
25 孔部
26 両面テープ
27A、27B 第二突出部
30 底面部材
31 第三突出部
31A、31B 第一立設部
32 第四突出部
32A、32B 第二立設部
50 容器
51 第一側面
52 第二側面
53 第三側面
54 第四側面
55 底面
56 天面
1A 段ボールシート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7