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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】組立式防虫剤容器
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/20 20060101AFI20230710BHJP
   A01M 29/12 20110101ALI20230710BHJP
【FI】
A01M1/20 C
A01M29/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019169732
(22)【出願日】2019-09-18
(65)【公開番号】P2021045073
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390020019
【氏名又は名称】レック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】青木 光男
【審査官】川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-224183(JP,A)
【文献】特開2004-329160(JP,A)
【文献】実公昭51-023566(JP,Y2)
【文献】特開2014-058455(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0046757(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側を互いに連結した矩形状面を四角枠状に組み立て可能な第1~第4の側面部と、前記側面部の1つの上辺に回動可能に連結した頂面部と、前記側面部の1つの下辺に回動可能に連結した底面部とから構成される組立面を有すると共に、前記側面部及び前記頂面部には多数の通気孔を有し、組立てにより虫籠形状となる組立式防虫剤容器であって、
前記底面部のみに、害虫の接近を防止する防虫成分を揮散させる薬剤シート部を係止し、
前記底面部の前記組立面と該組立面に取り付ける取付面部との間隙に、前記薬剤シート部を収納し、
該薬剤シート部を係止した前記組立面及び前記取付面部には、多数の前記通気孔が設けられていることを特徴とする組立式防虫剤容器。
【請求項2】
前記薬剤シート部を係止した組立面以外の組立面には、横棒体と、該横棒体と直交する縦棒体とから成る格子状面を形成していることを特徴とする請求項に記載の組立式防虫剤容器。
【請求項3】
組立前は前記第1~第4の側面部、前記頂面部及び前記底面部は平面状であり、組立後は第1~第4側面部は四角枠を形成し、前記頂面部及び前記底面部により前記四角枠の上下端に形成された開口部を閉止することを特徴とする請求項1又は2に記載の組立式防虫剤容器。
【請求項4】
前記薬剤シート部は、前記防虫成分を含浸する繊維状体から成る平面状メッシュ体であることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の組立式防虫剤容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋の周囲等に配置する虫籠形状の組立式防虫剤容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吊り下げ防虫剤容器が開示されている。この防虫剤容器をベランダの物干し棒や玄関ドアのハンドル等に吊り下げて使用する。
【0003】
防虫剤容器は揮散孔を有する板体状であり、内部にピレスロイド系殺虫剤等の薬剤を含浸させた防虫剤マットが収納されている。そして、揮散孔を介して薬剤が空気中に揮散することで、蚊やコバエ等の害虫の接近を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-22164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の防虫剤容器を、玄関ドアのハンドル部に吊り下げた場合に、板体の裏面側の揮散孔がドア面により塞がってしまい、薬剤の成分が十分に揮散せずに揮散量が制約されることがある。従って、害虫が玄関ドア付近から逃げ出すことがなく、玄関ドアを開いた際に害虫が家屋内に侵入する虞れが多分にある。
【0006】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、嵩張らずに保管、運搬が可能であって、箱体状に立体化して使用することで、薬剤の揮散が制限されることのない組立式防虫剤容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る組立式防虫剤容器は、両側を互いに連結した矩形状面を四角枠状に組み立て可能な第1~第4の側面部と、前記側面部の1つの上辺に回動可能に連結した頂面部と、前記側面部の1つの下辺に回動可能に連結した底面部とから構成される組立面を有すると共に、前記側面部及び前記頂面部には多数の通気孔を有し、組立てにより虫籠形状となる組立式防虫剤容器であって、前記底面部のみに、害虫の接近を防止する防虫成分を揮散させる薬剤シート部を係止し、前記底面部の前記組立面と該組立面に取り付ける取付面部との間隙に、前記薬剤シート部を収納し、該薬剤シート部を係止した前記組立面及び前記取付面部には、多数の前記通気孔が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る組立式防虫剤容器によれば、組み立てにより箱体状となり、この箱体内に配置した薬剤シート部の薬剤の揮散が制約されることなく、害虫に対し薬剤成分が有効に作用する。また組み立てる前は平面状であるので、嵩張ることなく、保管、運搬することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の組立式防虫剤容器の組立斜視図である。
図2】組立前の斜視図である。
図3】防虫剤収納部の分解斜視図である。
図4】組立式防虫剤容器の組立途中の斜視図である。
図5】実施例2の組立式防虫剤容器の組立斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は組立式防虫剤容器の組立斜視図、図2は組立前の折り畳んだ状態の斜視図、図3は底面部の防虫剤収納部を分解した状態の組立前の斜視図、図4は組立途中の斜視図である。
【0012】
組立時の組立式防虫剤容器10の大きさは、例えば横20cm、縦10cm、高さ10cm程度の箱体であり、配置場所に応じて適宜のサイズのものを使用することができる。
【0013】
組立式防虫剤容器10は、合成樹脂材から成る4面の側面部20、1面の頂面部30、1面の底面部40の計6面の組立面を有し、各組立面はそれぞれ矩形状とされている。頂面部30は、側面部20の1つの上辺に、例えば薄肉状のヒンジ構造により回動自在に連結され、底面部40は、頂面部30と連結した側面部20の上辺に対する下辺に、頂面部30と同様に回動自在に連結されている。
【0014】
側面部20は、第1~第4の側面部21~24の4面から構成され、これらの第1~第4の側面部21~24同士は、それぞれ両側の上下端の第1の接続部25を介して互いに回動可能に連結され、四角枠状に拡開可能とされている。これらの第1の接続部25として蝶番を用いているが、一部又は全部を薄肉状のヒンジ構造としてもよい。
【0015】
また、第1の側面部21には、その上辺、下辺のそれぞれに沿った第2の接続部26を介して頂面部30、底面部40が回動可能に連結され、組立時には箱体状とされる。これらの第2の接続部26として、辺に沿った薄肉状のヒンジを採用しているが、他の手段の例えば蝶番であってもよい。
【0016】
第1~第4の側面部21~24及び頂面部30は、それぞれの長辺に沿って配置された各1本ずつの横棒体27、31と、これらの横棒体27、31と直交し短辺に沿って所定間隔で配置された多数の縦棒体28、32とから成る格子面状とされ、多数個の通気孔が設けられている。なお、横棒体27、31及び縦棒体28、32の本数は、適宜の本数を採用することができる。
【0017】
また、頂面部30及び底面部40の第2の接続部26を設けた辺以外の外周辺には、所定間隔をおいて突片部33、41が配置されており、これらの突片部33は組立時に第2~第4の側面部22~24の上辺に所定間隔をおいて配置した嵌合凹部29と嵌合し、突片部41は組立時に第2~第4の側面部22~24の下辺の嵌合凹部29に嵌合し、嵌合状態を維持する構造とされている。
【0018】
底面部40は薬剤シート部を載置する役割を果たし、図3の分解斜視図に示すように、底面部40上には、底面部40との間に所定の間隙を形成する取付面部42が取り付けられ、底面部40と取付面部42との間隙内に薄板状の薬剤シート部43が収納されている。
【0019】
底面部40及び取付面部42には、例えば格子部から成る通気孔44、或いは穿孔された通気孔が設けられており、収納する薬剤シート部43は、例えば常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を含浸する繊維状体から成る平面状メッシュ体が用いられている。この薬剤シート部43中の防虫成分は、通気孔44を通って徐々に空気中に揮散される。
【0020】
また、取付面部42を使用せずに、底面部40に直接、薬剤シート部43を係止する構造にしてもよい。このような場合は、例えば底面部40の表面に設けた係止突部に、薬剤シート部43のメッシュ体のメッシュ窓を押し込んで係止させることができる。
【0021】
組立式防虫剤容器10を組み立てる際には、先ず図2に示す平面状に折り畳んだ状態から第1の側面部21に対して隣接する第2~第4の側面部22、24を拡開して、図4に示すように互いの面が直角となる四角枠状にする。
【0022】
続いて、第1の側面部21に連結した頂面部30、薬剤シート部43を取付面部42と共に取り付けた底面部40を用いて、四角枠の上下端に形成された開口部を閉止する。これらの閉止において、第2~第4の側面部22~24の嵌合凹部29に、頂面部30及び底面部40の突片部33、41を嵌合することで、組立式防虫剤容器は図1に示すように組み立てられる。なお、頂面部30に関しては、端辺部を指で摘んで容易に嵌合状態を解除して開けられるようにし、内部に小間物等を保管できるようにしてもよい。
【0023】
また本実施例1では、底面部40のみに薬剤シート部43を配置しているが、底面部40以外の他の組立面にも取付面部42を設けた薬剤シート部43を配置するようにしてもよい。例えば、底面部40に加えて、第1~第4の側面部21~24に対して取付面部42を配置して、これらの間隙に薬剤シート部43を配置することもできる。薬剤シート部43の面積に応じて、防虫効果を発揮することから、複数の組立面に薬剤シート部43を配置する場合には、この組立式防虫剤容器10の全体を小型化することが可能である。
【実施例2】
【0024】
図5は実施例2の組立式防虫剤容器10’の組立斜視図であり、実施例1と同一の符号は同一の部材を示している。
【0025】
実施例2の組立式防虫剤容器10’は、実施例1の組立式防虫剤容器10のように組立面に薬剤シート部を係止させずに、例えばトンボ等の虫の形状を円形に収まるようにカットした薬剤シート部51が箱体内に吊り下げられている。この薬剤シート部51は、頂面部30の縦棒体32に係止材53により引っ掛けられており、頂面部30の適宜の個所に、紐状体等の係止材53により吊り下げることができる。このようにすることで、薬剤シート部51はあたかもトンボが虫籠内にいるように見えて風情がある。
【0026】
なお、実施例2のように取付面部42を使用せずに、組立面の内側に薬剤シート部51を吊り下げて配置する方法は、組立後は薬剤シート部51を直接、手に触れることがない構造となるため、安全である。
【0027】
また、組立式防虫剤容器10’は頂面部30の横棒体31に、吊紐体52が取り付けられており、この吊紐体52を玄関ドアのハンドル部や物干し竿等に引っ掛けて使用する。
【0028】
この吊紐体52は頂面部30の適宜の個所に取り付け可能であり、予め組立面に取り付けていてもよいし、組立後に取り付けるようにしてもよい。また、実施例1の組立式防虫剤容器10に吊紐体52と取り付けるようにしてもよい。
【0029】
本発明に係る組立式防虫剤容器10、10’によれば、組み立てにより箱体状の立体形状となり、この箱体内に配置した薬剤シート部43、51の薬剤の揮散が制約されることなく、害虫に対し薬剤成分が有効に作用する。また、組み立てる前は図2に示すように平面状であるので、嵩張ることなく、保管、運搬することが可能である。更に、この組立式防虫剤容器10は虫籠形状とされているので、虫を飼っているような雰囲気を有し、使用中においても風情がある。
【符号の説明】
【0030】
10、10’ 組立式防虫剤容器
20 側面部
21~24 第1~第4の側面部
27、31 横棒体
28、32 縦棒体
30 頂面部
40 底面部
42 取付面部
43、51 薬剤シート部
44 通気孔
図1
図2
図3
図4
図5