IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タクマの特許一覧

<>
  • 特許-熱交換器 図1
  • 特許-熱交換器 図2
  • 特許-熱交換器 図3
  • 特許-熱交換器 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/32 20060101AFI20230710BHJP
   F22B 37/10 20060101ALI20230710BHJP
   F28D 7/16 20060101ALN20230710BHJP
【FI】
F28F1/32 W
F22B37/10 X
F28D7/16 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019199811
(22)【出願日】2019-11-01
(65)【公開番号】P2021071274
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000133032
【氏名又は名称】株式会社タクマ
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】林 京平
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/138492(WO,A1)
【文献】特開2000-304471(JP,A)
【文献】特開2009-103393(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0298343(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/32
F22B 37/10
F28D 7/16
F22B 1/18
F28D 1/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の伝熱管を備え、異なる温度の二つの流体のうち、一方の流体を前記伝熱管の内側に流し、付着性物質が含まれた他方の流体を前記伝熱管の外側に流して、前記伝熱管を介して前記二つの流体間で熱交換を行うように構成される熱交換器であって、
前記伝熱管は、
前記他方の流体の流れ方向に沿う行方向、及び該行方向と直交する列方向にそれぞれ所定の管ピッチでM行N列(Mは3以上の整数、Nは2以上の整数)の行列状に配置される複数の主管部と、
前記複数の主管部における第m行第n列(m=1,・・・,M、n=1,・・・,N)の主管部と第(m+1)行第(n+1)列の主管部との一端部同士を連結する一側管部と、
前記複数の主管部における前記第(m+1)行第(n+1)列の主管部と第(m+2)行第n列の主管部との他端部同士を連結する他側管部と、
を含み、
前記複数の主管部を前記他方の流体の流れ方向に見たとき、前記複数の主管部における前記第m行第n列の主管部と第m行第(n+1)列の主管部との間に前記第(m+1)行第(n+1)列の主管部が位置しないように構成される熱交換器。
【請求項2】
前記主管部は、前記他方の流体の流れ方向と交差する方向に直線状に延びる形状であり、前記一側管部、及び前記他側管部は何れも、所定の曲げ半径で湾曲する形状である請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記複数の主管部における前記行方向の前記管ピッチをPとし、前記複数の主管部の管外径をDとした場合、D≦P≦2.5Dの関係を満足する請求項1又は2に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば廃棄物焼却施設のボイラに組み込まれる熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の熱交換器は、複数の伝熱管を備えている。そして、伝熱管の内側に例えば水を流し、伝熱管の外側に焼却炉からの排ガスを流して、水と排ガスとの間で伝熱管を介して熱交換を行うようにされている。
【0003】
図4は、従来の熱交換器の説明図である。図4(a)及び(a´)に示されるように、伝熱管構造が碁盤目配列の熱交換器100において、複数の伝熱管101は、排ガス流れ方向に沿う行方向、及び該行方向と直交する列方向にそれぞれ所定の管ピッチで行列状に配置される複数の直管部102を備えている。行方向に隣り合う直管部102の一端同士は、一側曲管部103によって連結されている。行方向に隣り合う直管部102の他端同士は、他側曲管部104によって連結されている。このような碁盤目配列のものは、構造がシンプルであるというメリットの他に、排ガス中に含まれる付着性物質のダストが、列方向に隣り合う直管部間に詰まり難い等のメリットがあるため、ボイラの伝熱管構造として一般的に採用されている。
【0004】
伝熱管構造に関して上記の碁盤目配列よりも密にできる配列として、図4(b)及び(b´)、並びに図4(c)及び(c´)に示されるような千鳥配列がある(例えば、特許文献1,2を参照)。千鳥配列の場合において、直管部102の連結方式としては、排ガス流れ方向に位置する直管部102同士を、排ガス流れ方向に沿う曲管部103,104で連結するもの(図4(b)及び(b´)を参照)と、排ガス流れ方向に対し斜めに傾いた曲管部103,104で連結するもの(図4(c)及び(c´)を参照)とがある。
【0005】
排ガス流れ方向の管ピッチを短縮する手段の一つとして、図4(d)及び(d´)に示されるように、排ガス流れ方向に配置される所定本数の直管部112を、曲率半径が順次に大きくなる複数の曲管部113,114,115でまとめて連結するというものがある(例えば、特許文献3を参照)。
【0006】
また、排ガス流れ方向の管ピッチを短縮する他の手段として、図4(e)及び(e´)に示されるように、排ガス流れ方向に並ぶ直管部122の端同士を円筒形のヘッダ123で連結するというものがある(例えば、特許文献4を参照)。直管部122とヘッダ123とは、溶接によって接合される。この場合、ヘッダ123に対して排ガス流れ方向に並ぶ2つの直管部122の溶接に必要な隙間の限界まで管ピッチを短縮することが可能である。
【0007】
さらに、図4(f)及び(f´)に示されるように、上記の円筒形のヘッダ123に代えてUの字状の鋳物製のヘッダ133を用いるというものもある(例えば、特許文献5を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2018-80852号公報
【文献】特開平9-26102号公報
【文献】特開2001-147093号公報
【文献】特開2000-18501号公報
【文献】特開2017-9265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図4(a)及び(a´)に示されるものでは、一側曲管部103、及び他側曲管部104のそれぞれについての製造上の最小曲げ半径の制限により、排ガス流れ方向(行方向)の直管部102の管ピッチに制限が生じる。このため、碁盤目配列の熱交換器では、排ガス流れ方向の直管部102の管ピッチを短縮するのが難しく、コンパクト化を図ることが難しいという欠点がある。
【0010】
図4(b)及び(b´)、並びに図4(c)及び(c´)に示されるものでは、図4(a)及び(a´)に示されるものよりもコンパクト化が可能であるものの、複数の直管部102を排ガス流れ方向に見たときに、ある行において列方向に隣り合う直管部102の間に、次の行の直管部102が位置している。このため、次の行の直管部102上に排ガス中のダストが付着・堆積し、ある行における列方向に隣り合う直管部102と、次の行の直管部102との間が、成長したダストによって閉塞され、排ガス流れ方向の流路が塞がれてしまって、熱交換率の悪化を招くという問題がある。
【0011】
図4(d)及び(d´)に示されるものでは、複数の曲管部113,114,115のうち、一番外側の曲管部115の曲げ寸法が極端に大きくなってコンパクト化を図ることが難しくなるとともに、デッドスペースが増え、しかも一番内側の曲管部113の最小曲げ半径の制限により、排ガス流れ方向の直管部112の管ピッチをそれほど短縮することができない。
【0012】
図4(e)及び(e´)に示されるものでは、円筒形のヘッダ123を別途加工しなければならない上に、直管部122とヘッダ123とを溶接するのに手間がかかるため、加工や溶接に要する費用増の問題がある。
【0013】
図4(f)及び(f´)に示されるものでは、大量生産であれば、鋳物製のヘッダ133の採用によりある程度のコストダウンが可能であるものの、やはりヘッダ133の加工費や溶接に要する費用増の問題を解消することができない。
【0014】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、伝熱管の外側に流す流体に付着性物質が含まれていたとしても、付着性物質に起因して伝熱管の外側に流す流体の流れ方向の流路の閉塞を招くことなく、伝熱管の外側に流す流体の流れ方向の管ピッチを短縮することができる熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための本発明に係る熱交換器の特徴構成は、
複数の伝熱管を備え、異なる温度の二つの流体のうち、一方の流体を前記伝熱管の内側に流し、他方の流体を前記伝熱管の外側に流して、前記伝熱管を介して前記二つの流体間で熱交換を行うように構成される熱交換器であって、
前記伝熱管は、
前記他方の流体の流れ方向に沿う行方向、及び該行方向と直交する列方向にそれぞれ所定の管ピッチでM行N列(Mは3以上の整数、Nは2以上の整数)の行列状に配置される複数の主管部と、
前記複数の主管部における第m行第n列(m=1,・・・,M、n=1,・・・,N)の主管部と第(m+1)行第(n+1)列の主管部との一端部同士を連結する一側管部と、
前記複数の主管部における前記第(m+1)行第(n+1)列の主管部と第(m+2)行第n列の主管部との他端部同士を連結する他側管部と、
を含むことにある。
【0016】
本構成の熱交換器においては、他方の流体の流れ方向に沿う行方向、及び該行方向と直交する列方向にそれぞれ所定の管ピッチでM行N列(Mは3以上の整数、Nは2以上の整数)の行列状に複数の主管部が配置される。このような配置によれば、複数の主管部を他方の流体の流れ方向に見たときに、ある行において列方向に隣り合う主管部の間に、次の行の主管部が位置していないため、伝熱管の外側に流す流体に付着性物質が含まれていたとしても、付着性物質に起因して伝熱管の外側に流す流体の流れ方向の流路が閉塞されることはない。
【0017】
また、本構成の熱交換器においては、第m行第n列の主管部と、第(m+1)行第(n+1)列の主管部との一端同士が一側管部によって連結される。一側管部は、同じ列で行方向に隣り合う主管部の一端同士を連結するものではないため、同じ列で行方向に隣り合う主管部の管ピッチを、仮に当該隣り合う主管部が接触するまで小さくしたとしても、第m行第n列の主管部と、第(m+1)行第(n+1)列の主管部との一端同士を連結することができる。同様に、本構成の熱交換器においては、第(m+1)行第(n+1)列の主管部と第(m+2)行第n列の主管部との他端部同士が他側管部によって連結される。他側管部は、同じ列で行方向に隣り合う主管部の他端同士を連結するものではないため、同じ列で行方向に隣り合う主管部の管ピッチを、仮に当該隣り合う主管部が接触するまで小さくしたとしても、第(m+1)行第(n+1)列の主管部と第(m+2)行第n列の主管部との他端部同士を連結することができる。従って、伝熱管の外側に流す流体の流れ方向(行方向)の管ピッチを、理論上、行方向に隣り合う主管部が接触するまで短縮することができ、これによって熱交換器のコンパクト化を図ることができる。
【0018】
本発明に係る熱交換器において、
前記主管部は、前記他方の流体の流れ方向と交差する方向に直線状に延びる形状であり、前記一側管部、及び前記他側管部は何れも、所定の曲げ半径で湾曲する形状であることが好ましい。
【0019】
本構成の熱交換器によれば、一本の長尺の管に対して所要の曲げ加工を施すことによって、直線状に延びる形状の主管部と、所定の曲げ半径で湾曲する形状の一側管部、及び他側管部とが継目が無く連続するように伝熱管を構成することができ、ヘッダと直管部とを溶接によって接合して伝熱管を構成する図4(e)及び(e´)、並びに図4(f)及び(f´)に示されるものと比べて、強度の面で有利であるとともに、製造コストを低く抑えることができる。
【0020】
本発明に係る熱交換器において、
前記複数の主管部における前記行方向の前記管ピッチをPとし、前記複数の主管部の管外径をDとした場合、D≦P≦2.5Dの関係を満足することが好ましい。
【0021】
本構成の熱交換器によれば、複数の主管部における行方向の管ピッチPと、複数の主管部の管外径Dとが、D≦P≦2.5Dの関係を満足するようにされているので、P=3D程度の従来の碁盤目配列の熱交換器100(図4(a)及び(a´)を参照)よりもコンパクト化を図ることができる。また、P=D、すなわち同じ列で行方向に隣り合う主管部が接触するまで行方向の管ピッチを小さくことにより、図4(b)及び(b´)、並びに図4(c)及び(c´)に示される千鳥配列の熱交換器よりも格段にコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る熱交換器を示し、(a)は正面側から見た外観斜視図、(b)は背面側から見た外観斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る熱交換器の正面視の配列を一般化して示す模式図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る熱交換器を構成する伝熱管の外観斜視図である。
図4図4は、従来の熱交換器の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明について、図1図3を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態では、廃棄物焼却施設のボイラに組み込まれる熱交換器を例に挙げて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることは意図しない。
【0024】
<全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る熱交換器を示し、(a)は正面側から見た外観斜視図、(b)は背面側から見た外観斜視図である。図1(a)及び(b)に示される熱交換器1は、複数の伝熱管10と、複数の伝熱管10の一側(正面側)を支持する一側支持部材20と、複数の伝熱管10の他側(背面側)を支持する他側支持部材30とを備えている。そして、伝熱管10の内側に例えば水(本発明の「一方の流体」に相当する。)を流し、伝熱管10の外側に図示されない焼却炉からの排ガス(本発明の「他方の流体」に相当する。)を図1(a)及び(b)において上側から下側に向けて流して、温度の異なる水と排ガスとの間で伝熱管10を介して熱交換を行い、例えば発電用の蒸気を生成する。
【0025】
なお、本実施形態では、板状の一側支持部材20、及び他側支持部材30を用いて複数の伝熱管10を支持する支持構造を例示したが、複数の伝熱管10の相互の位置を固定することができればよく、例えば、複数の直管部40を両側から挟み込むように一対の支持板を配し、これら支持板をボルト等の締結手段で締結して複数の伝熱管10の相互の位置を固定する支持構造を採用してもよい。
【0026】
複数の伝熱管10は、複数の直管部40(本発明の「主管部」に相当する。)と、複数の一側曲管部50(本発明の「一側管部」に相当する。)と、複数の他側曲管部60(本発明の「他側管部」に相当する。)とを備えている。
【0027】
<直管部>
図2は、本発明の一実施形態に係る熱交換器の正面視の配列を一般化して示す模式図である。図2の模式図に示されるように、直管部40は、焼却炉において廃棄物を燃焼する伴い発生した排ガスの流れ方向に沿う行方向、及び該行方向と直交する列方向にそれぞれ所定の管ピッチでM行N列(Mは3以上の整数、Nは2以上の整数)の行列状に配置されている。
【0028】
<一側曲管部>
一側曲管部50は、第m行第n列(m=1,・・・,M、n=1,・・・,N)の直管部40と、第(m+1)行第(n+1)列の直管部40との一端部同士を連結している。
【0029】
<他側曲管部>
他側曲管部60は、第(m+1)行第(n+1)列の直管部40と、第(m+2)行第n列の直管部40との他端部同士を連結している。
【0030】
<伝熱管の製造>
図3は、本発明の一実施形態に係る熱交換器を構成する伝熱管の外観斜視図である。伝熱管10は、一本の長尺の管を、水平面Wを基準として俯角方向へ所定の鈍角θで傾斜した状態で180°の曲げ加工を行い、その曲げ加工部をU字状としてこれを他側曲管部60とする。こうして、他側曲管部60は、所定の曲げ半径で湾曲する形状に形成される。
【0031】
次いで、長尺の管を一定距離送り、この送り部分を直管部40とする。こうして、直管部40は、排ガスの流れ方向と交差する方向(直交する方向)に直線状に延びる形状に形成される。
【0032】
その後、管自体を再び水平面Wを基準として俯角方向へ所定の鈍角θで傾斜した状態で180°の曲げ加工を行い、その曲げ加工部をU字状としてこれを一側曲管部50とする。こうして、一側曲管部50は、所定の曲げ半径で湾曲する形状に形成される。
【0033】
以上の作業を複数回繰り返すことにより、図3に示されるように、直線状に延びる形状の直管部40と、所定の曲げ半径で湾曲する形状の一側曲管部50、及び他側曲管部60とが継目が無く蛇行状に連続するような形状に形成することができる。ここでの曲げ加工には、捻り加工が伴わないため、曲げ加工部(一側曲管部50、及び他側曲管部60)での応力疲労が軽減されることになり、ヘッダ123,133と直管部122とを溶接によって接合して伝熱管を構成する図4(e)及び(e´)、並びに図4(f)及び(f´)に示されるものと比べて、強度の面で有利であるとともに、製造コストを低く抑えることができる。
【0034】
以上に述べたように構成される熱交換器1においては、図1(a)及び(b)、並びに図2に示されるように、排ガスの流れ方向に沿う行方向、及び該行方向と直交する列方向にそれぞれ所定の管ピッチでM行N列(Mは3以上の整数、Nは2以上の整数)の行列状に複数の直管部40が配置される。このような配置によれば、複数の直管部40を排ガス流れ方向に見たときに、ある行において列方向に隣り合う直管部40の間に、次の行の直管部40が位置していないため、排ガス中に付着性物質であるダストが含まれていたとしても、ダストに起因して排ガス流れ方向の流路が閉塞されることはない。
【0035】
また、熱交換器1においては、第m行第n列の直管部40と、第(m+1)行第(n+1)列の直管部40との一端同士が一側曲管部50によって連結される。一側曲管部50は、同じ列で行方向に隣り合う直管部40の一端同士を連結するものではないため、同じ列で行方向に隣り合う直管部40の管ピッチを、仮に当該隣り合う直管部40が接触するまで小さくしたとしても、第m行第n列の直管部40と、第(m+1)行第(n+1)列の直管部40との一端同士を連結することができる。
【0036】
同様に、熱交換器1においては、第(m+1)行第(n+1)列の直管部40と第(m+2)行第n列の直管部40との他端部同士が他側曲管部60によって連結される。他側曲管部60は、同じ列で行方向に隣り合う直管部40の他端同士を連結するものではないため、同じ列で行方向に隣り合う直管部40の管ピッチを、仮に当該隣り合う直管部40が接触するまで小さくしたとしても、第(m+1)行第(n+1)列の直管部40と第(m+2)行第n列の直管部40との他端部同士を連結することができる。
【0037】
従って、排ガス流れ方向(行方向)の管ピッチを、理論上、行方向に隣り合う直管部40が接触するまで短縮することができ、これによって熱交換器1のコンパクト化を図ることができる。
【0038】
本実施形態の熱交換器1において、図2に示されるように、複数の直管部40における行方向の管ピッチをPとし、複数の直管部の管外径をDとした場合、D≦P≦2.5Dの関係を満足することが好ましい。このようにすれば、P=3D程度の従来の碁盤目配列の熱交換器100(図4(a)及び(a´)を参照)よりもコンパクト化を図ることができる。また、P=D、すなわち同じ列で行方向に隣り合う直管部40が接触するまで行方向の管ピッチを小さくことにより、図4(b)及び(b´)、並びに図4(c)及び(c´)に示される千鳥配列の熱交換器よりも格段にコンパクト化を図ることができる。
【0039】
以上、本発明の熱交換器について、一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0040】
(別実施形態)
上記の実施形態では、本発明の主管部として直線状に延びる形状の直管部40を例示したが、必ずしも直線状でなくてもよく、比較的曲率半径の大きい円弧状であっても、螺旋状であってもよい。また、上記の実施形態では、本発明の一側管部、及び他側管部として、所定の曲げ半径で湾曲する形状の一側曲管部50、及び他側曲管部60をそれぞれ例示したが、必ずしも湾曲状でなくてもよく、コの字状に折り曲がった形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の熱交換器は、例えば廃棄物焼却施設のボイラに組み込んで、排ガスとの熱交換の用途において利用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 熱交換器
10 伝熱管
20 一側支持部材
30 他側支持部材
40 直管部(主管部)
50 一側曲管部(一側管部)
60 他側曲管部(他側管部)
図1
図2
図3
図4