IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ KDDI株式会社の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

特許7309594合流支援情報配信装置、合流支援システム、合流支援情報配信方法及びコンピュータプログラム
<>
  • 特許-合流支援情報配信装置、合流支援システム、合流支援情報配信方法及びコンピュータプログラム 図1
  • 特許-合流支援情報配信装置、合流支援システム、合流支援情報配信方法及びコンピュータプログラム 図2
  • 特許-合流支援情報配信装置、合流支援システム、合流支援情報配信方法及びコンピュータプログラム 図3
  • 特許-合流支援情報配信装置、合流支援システム、合流支援情報配信方法及びコンピュータプログラム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】合流支援情報配信装置、合流支援システム、合流支援情報配信方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230710BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20230710BHJP
   G08G 1/056 20060101ALI20230710BHJP
   G08G 1/0962 20060101ALI20230710BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20230710BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20230710BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20230710BHJP
   H04W 4/021 20180101ALN20230710BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/01 D
G08G1/056
G08G1/0962
G08G1/04 C
B60W40/04
B60W50/14
H04W4/021
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019228223
(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公開番号】P2021096691
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 研吾
(72)【発明者】
【氏名】北原 武
(72)【発明者】
【氏名】市川 孝太郎
(72)【発明者】
【氏名】小森田 賢史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅之
(72)【発明者】
【氏名】本田 大作
(72)【発明者】
【氏名】中野 雄介
【審査官】稲垣 彰彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-102893(JP,A)
【文献】特開2019-21120(JP,A)
【文献】国際公開第2017/187884(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
H04M 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本線を走行する車両の走行状態を示す本線走行情報と前記本線に合流する支線を走行する車両の走行状態を示す支線走行情報とに基づいた合流支援情報であって、前記支線を走行する車両が前記本線に合流するために推奨される速度を含む合流支援情報を、合流予測装置から受信する合流支援情報受信部と、
前記支線を走行する車両に搭載される移動端末の移動状態を示す端末移動情報と当該移動端末を識別する端末識別情報とを含む配信先登録情報を、当該移動端末から移動通信ネットワークを介して受信する配信先情報受信部と、
前記支線走行情報及び前記端末移動情報に基づいて前記合流支援情報を配信する配信先の移動端末を特定し、特定した移動端末の端末識別情報に基づいて移動通信ネットワークを介して当該特定した移動端末へ前記合流支援情報を配信する情報配信部と、
を備え
移動端末は、移動通信ネットワークの加入者端末であり、
端末識別情報は、移動端末の通信アドレスに関連付けられたものであり、
前記情報配信部は、移動端末毎に、異なる移動時刻における複数の端末移動情報の位置に基づいて移動端末の移動方向を示す移動方位角を算出し、
前記情報配信部は、支線走行情報の走行時刻と同じ移動時刻において、端末移動情報の位置が支線走行情報の位置の推測値を中心にした所定半径の範囲内に存在する移動端末を抽出し、
前記情報配信部は、抽出された各移動端末の移動方位角と支線走行情報の走行方位角とを比較し、この比較の結果、両者の差が所定の閾値以内である移動端末を合流支援情報の配信先に決定し、
前記情報配信部は、配信先となる移動端末が複数存在する場合には合流支援情報の配信を中止する、
合流支援情報配信装置。
【請求項2】
請求項1に記載される合流支援情報配信装置と、
本線上の車両を撮像する本線撮像装置と、
前記本線に合流する支線上の車両を撮像する支線撮像装置と、
前記本線撮像装置が撮像した本線画像に基づいて前記本線を走行する車両の走行状態を示す本線走行情報を取得し、前記支線撮像装置が撮像した支線画像に基づいて前記支線を走行する車両の走行状態を示す支線走行情報を取得する画像認識装置と、
前記本線走行情報及び前記支線走行情報に基づいて、前記支線を走行する車両が前記本線に合流するために推奨される速度を含む合流支援情報を生成する合流予測装置と、
を備える合流支援システム。
【請求項3】
合流支援情報配信装置が、本線を走行する車両の走行状態を示す本線走行情報と前記本線に合流する支線を走行する車両の走行状態を示す支線走行情報とに基づいた合流支援情報であって、前記支線を走行する車両が前記本線に合流するために推奨される速度を含む合流支援情報を、合流予測装置から受信する合流支援情報受信ステップと、
前記合流支援情報配信装置が、前記支線を走行する車両に搭載される移動端末の移動状態を示す端末移動情報と当該移動端末を識別する端末識別情報とを含む配信先登録情報を、当該移動端末から移動通信ネットワークを介して受信する配信先情報受信ステップと、
前記合流支援情報配信装置が、前記支線走行情報及び前記端末移動情報に基づいて前記合流支援情報を配信する配信先の移動端末を特定し、特定した移動端末の端末識別情報に基づいて移動通信ネットワークを介して当該特定した移動端末へ前記合流支援情報を配信する情報配信ステップと、
を含み、
移動端末は、移動通信ネットワークの加入者端末であり、
端末識別情報は、移動端末の通信アドレスに関連付けられたものであり、
前記情報配信ステップは、移動端末毎に、異なる移動時刻における複数の端末移動情報の位置に基づいて移動端末の移動方向を示す移動方位角を算出し、
前記情報配信ステップは、支線走行情報の走行時刻と同じ移動時刻において、端末移動情報の位置が支線走行情報の位置の推測値を中心にした所定半径の範囲内に存在する移動端末を抽出し、
前記情報配信ステップは、抽出された各移動端末の移動方位角と支線走行情報の走行方位角とを比較し、この比較の結果、両者の差が所定の閾値以内である移動端末を合流支援情報の配信先に決定し、
前記情報配信ステップは、配信先となる移動端末が複数存在する場合には合流支援情報の配信を中止する、
合流支援情報配信方法。
【請求項4】
コンピュータに、
本線を走行する車両の走行状態を示す本線走行情報と前記本線に合流する支線を走行する車両の走行状態を示す支線走行情報とに基づいた合流支援情報であって、前記支線を走行する車両が前記本線に合流するために推奨される速度を含む合流支援情報を、合流予測装置から受信する合流支援情報受信ステップと、
前記支線を走行する車両に搭載される移動端末の移動状態を示す端末移動情報と当該移動端末を識別する端末識別情報とを含む配信先登録情報を、当該移動端末から移動通信ネットワークを介して受信する配信先情報受信ステップと、
前記支線走行情報及び前記端末移動情報に基づいて前記合流支援情報を配信する配信先の移動端末を特定し、特定した移動端末の端末識別情報に基づいて移動通信ネットワークを介して当該特定した移動端末へ前記合流支援情報を配信する情報配信ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラムであって、
移動端末は、移動通信ネットワークの加入者端末であり、
端末識別情報は、移動端末の通信アドレスに関連付けられたものであり、
前記情報配信ステップは、移動端末毎に、異なる移動時刻における複数の端末移動情報の位置に基づいて移動端末の移動方向を示す移動方位角を算出し、
前記情報配信ステップは、支線走行情報の走行時刻と同じ移動時刻において、端末移動情報の位置が支線走行情報の位置の推測値を中心にした所定半径の範囲内に存在する移動端末を抽出し、
前記情報配信ステップは、抽出された各移動端末の移動方位角と支線走行情報の走行方位角とを比較し、この比較の結果、両者の差が所定の閾値以内である移動端末を合流支援情報の配信先に決定し、
前記情報配信ステップは、配信先となる移動端末が複数存在する場合には合流支援情報の配信を中止する、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合流支援情報配信装置、合流支援システム、合流支援情報配信方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の合流支援システムが例えば特許文献1に記載されている。特許文献1に記載される従来の合流支援技術では、支線を走行する車両に搭載されたナビゲーション装置が、路側機から取得した本線の撮影画像に基づいた本線の走行車両の走行速度及び位置の推測情報と、自車の走行速度及び位置の測定情報とに基づいて自車両の推奨合流速度を算出し、算出した自車両の推奨合流速度を運転者へ報知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-200274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献1に記載される従来の合流支援技術では、合流支援機能を有する専用のナビゲーション装置を車両に搭載する必要があると共に、路側機とナビゲーション装置とは、相互に直接通信を行うことができる専用の通信部を備える必要がある。このため、路側機やナビゲーション装置にかかるコストが大きく、一般に広く普及させることが難しい。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、合流支援システムを簡易に実現することに寄与することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、本線を走行する車両の走行状態を示す本線走行情報と前記本線に合流する支線を走行する車両の走行状態を示す支線走行情報とに基づいた合流支援情報であって、前記支線を走行する車両が前記本線に合流するために推奨される速度を含む合流支援情報を、合流予測装置から受信する合流支援情報受信部と、前記支線を走行する車両に搭載される移動端末の移動状態を示す端末移動情報と当該移動端末を識別する端末識別情報とを含む配信先登録情報を、当該移動端末から移動通信ネットワークを介して受信する配信先情報受信部と、前記支線走行情報及び前記端末移動情報に基づいて前記合流支援情報を配信する配信先の移動端末を特定し、特定した移動端末の端末識別情報に基づいて移動通信ネットワークを介して当該特定した移動端末へ前記合流支援情報を配信する情報配信部と、を備え、移動端末は、移動通信ネットワークの加入者端末であり、端末識別情報は、移動端末の通信アドレスに関連付けられたものであり、前記情報配信部は、移動端末毎に、異なる移動時刻における複数の端末移動情報の位置に基づいて移動端末の移動方向を示す移動方位角を算出し、前記情報配信部は、支線走行情報の走行時刻と同じ移動時刻において、端末移動情報の位置が支線走行情報の位置の推測値を中心にした所定半径の範囲内に存在する移動端末を抽出し、前記情報配信部は、抽出された各移動端末の移動方位角と支線走行情報の走行方位角とを比較し、この比較の結果、両者の差が所定の閾値以内である移動端末を合流支援情報の配信先に決定し、前記情報配信部は、配信先となる移動端末が複数存在する場合には合流支援情報の配信を中止する、合流支援情報配信装置である。
【0007】
本発明の一態様は、上記の合流支援情報配信装置と、本線上の車両を撮像する本線撮像装置と、前記本線に合流する支線上の車両を撮像する支線撮像装置と、前記本線撮像装置が撮像した本線画像に基づいて前記本線を走行する車両の走行状態を示す本線走行情報を取得し、前記支線撮像装置が撮像した支線画像に基づいて前記支線を走行する車両の走行状態を示す支線走行情報を取得する画像認識装置と、前記本線走行情報及び前記支線走行情報に基づいて、前記支線を走行する車両が前記本線に合流するために推奨される速度を含む合流支援情報を生成する合流予測装置と、を備える合流支援システムである。
【0008】
本発明の一態様は、合流支援情報配信装置が、本線を走行する車両の走行状態を示す本線走行情報と前記本線に合流する支線を走行する車両の走行状態を示す支線走行情報とに基づいた合流支援情報であって、前記支線を走行する車両が前記本線に合流するために推奨される速度を含む合流支援情報を、合流予測装置から受信する合流支援情報受信ステップと、前記合流支援情報配信装置が、前記支線を走行する車両に搭載される移動端末の移動状態を示す端末移動情報と当該移動端末を識別する端末識別情報とを含む配信先登録情報を、当該移動端末から移動通信ネットワークを介して受信する配信先情報受信ステップと、前記合流支援情報配信装置が、前記支線走行情報及び前記端末移動情報に基づいて前記合流支援情報を配信する配信先の移動端末を特定し、特定した移動端末の端末識別情報に基づいて移動通信ネットワークを介して当該特定した移動端末へ前記合流支援情報を配信する情報配信ステップと、を含み、移動端末は、移動通信ネットワークの加入者端末であり、端末識別情報は、移動端末の通信アドレスに関連付けられたものであり、前記情報配信ステップは、移動端末毎に、異なる移動時刻における複数の端末移動情報の位置に基づいて移動端末の移動方向を示す移動方位角を算出し、前記情報配信ステップは、支線走行情報の走行時刻と同じ移動時刻において、端末移動情報の位置が支線走行情報の位置の推測値を中心にした所定半径の範囲内に存在する移動端末を抽出し、前記情報配信ステップは、抽出された各移動端末の移動方位角と支線走行情報の走行方位角とを比較し、この比較の結果、両者の差が所定の閾値以内である移動端末を合流支援情報の配信先に決定し、前記情報配信ステップは、配信先となる移動端末が複数存在する場合には合流支援情報の配信を中止する、合流支援情報配信方法である。
【0009】
本発明の一態様は、コンピュータに、本線を走行する車両の走行状態を示す本線走行情報と前記本線に合流する支線を走行する車両の走行状態を示す支線走行情報とに基づいた合流支援情報であって、前記支線を走行する車両が前記本線に合流するために推奨される速度を含む合流支援情報を、合流予測装置から受信する合流支援情報受信ステップと、前記支線を走行する車両に搭載される移動端末の移動状態を示す端末移動情報と当該移動端末を識別する端末識別情報とを含む配信先登録情報を、当該移動端末から移動通信ネットワークを介して受信する配信先情報受信ステップと、前記支線走行情報及び前記端末移動情報に基づいて前記合流支援情報を配信する配信先の移動端末を特定し、特定した移動端末の端末識別情報に基づいて移動通信ネットワークを介して当該特定した移動端末へ前記合流支援情報を配信する情報配信ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムであって、移動端末は、移動通信ネットワークの加入者端末であり、端末識別情報は、移動端末の通信アドレスに関連付けられたものであり、前記情報配信ステップは、移動端末毎に、異なる移動時刻における複数の端末移動情報の位置に基づいて移動端末の移動方向を示す移動方位角を算出し、前記情報配信ステップは、支線走行情報の走行時刻と同じ移動時刻において、端末移動情報の位置が支線走行情報の位置の推測値を中心にした所定半径の範囲内に存在する移動端末を抽出し、前記情報配信ステップは、抽出された各移動端末の移動方位角と支線走行情報の走行方位角とを比較し、この比較の結果、両者の差が所定の閾値以内である移動端末を合流支援情報の配信先に決定し、前記情報配信ステップは、配信先となる移動端末が複数存在する場合には合流支援情報の配信を中止する、コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、合流支援システムを簡易に実現することに寄与することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る合流支援システムの構成例を示すブロック図である。
図2】一実施形態に係る合流地点を説明するための説明図である。
図3】一実施形態に係る合流支援情報配信装置の構成例を示すブロック図である。
図4】一実施形態に係る合流支援情報配信方法の手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る合流支援システムの構成例を示すブロック図である。図1において、合流支援システム1は、撮像装置2と、画像認識装置3と、車両走行情報データベース4と、合流予測装置5と、合流支援情報配信装置6と、配信先情報データベース7と、を備える。
【0013】
撮像装置2は、図2に例示されるように、本線撮像装置2-1と、支線撮像装置2-2とが設けられる。図2は、本実施形態に係る合流地点を説明するための説明図である。図2において、支線R2は、車両VEが走行する道路である本線R1に合流する道路である。本線撮像装置2-1は、本線R1と支線R2とが合流する地点(以下、合流地点と称する)Pから本線R1上の上流方向を撮像するように設置された撮像装置2である。本線撮像装置2-1は、本線R1上の車両VEを撮像する。支線撮像装置2-2は、合流地点Pから支線R2上の上流方向を撮像するように設置された撮像装置2である。支線撮像装置2-2は、本線R1に合流する支線R2上の車両VEを撮像する。
【0014】
説明を図1に戻す。
本線撮像装置2-1は、撮像した画像(以下、本線画像と称する)を画像認識装置3へ送信する。支線撮像装置2-2は、撮像した画像(以下、支線画像と称する)を画像認識装置3へ送信する。本線撮像装置2-1及び支線撮像装置2-2と画像認識装置3との間の通信は、既存の通信ネットワークを利用して行われる。既存の通信ネットワークは、例えば、有線又は無線のLAN(Local Area Network)や、LTE(Long Term Evolution)等の携帯電話ネットワークや、インターネットなどである。
【0015】
画像認識装置3は、本線撮像装置2-1が撮像した本線画像に基づいて本線R1を走行する車両VEの走行状態を示す走行情報(以下、本線走行情報と称する)を取得する。画像認識装置3は、本線画像に対して車両を認識するための画像認識処理を実行することにより、本線走行情報を取得する。画像認識装置3は、支線撮像装置2-2が撮像した支線画像に基づいて支線R2を走行する車両VEの走行状態を示す走行情報(以下、支線走行情報と称する)を取得する。画像認識装置3は、支線画像に対して車両を認識するための画像認識処理を実行することにより、支線走行情報を取得する。
【0016】
車両VEの走行情報は、当該車両VEの車両識別子(車両ID)、当該車両VEの位置の推測値(緯度、経度)、当該車両VEの走行時刻(当該車両VEが当該車両VEの位置の推測値(緯度、経度)を走行していた時刻)及び当該車両VEを判別するための車両判別情報を含む情報である。車両判別情報は、車種、外装色、ナンバープレートに記載された情報などである。画像認識装置3は、車両判別情報に基づいて同定した車両VEに対して同一の車両IDを付与する。
【0017】
画像認識装置3は、本線走行情報及び支線走行情報を車両走行情報データベース4へ送信する。画像認識装置3と車両走行情報データベース4との間の通信は、既存の通信ネットワークを利用して行われる。車両走行情報データベース4は、画像認識装置3から受信した本線走行情報及び支線走行情報を格納する。
【0018】
合流予測装置5は、車両走行情報データベース4から本線走行情報及び支線走行情報を取得する。合流予測装置5と車両走行情報データベース4との間の通信は、既存の通信ネットワークを利用して行われる。合流予測装置5は、車両走行情報データベース4から取得した本線走行情報及び支線走行情報に基づいて、支線R2を走行する車両VEが本線R1に合流するために推奨される速度(以下、推奨合流速度と称する)を含む合流支援情報を生成する。
【0019】
合流予測装置5は、車両VE(車両ID)毎に、異なる走行時刻における複数の走行情報の位置の推測値に基づいて、車両VEの走行速度及び走行方向を示す走行方位角を算出する。合流予測装置5は、算出した車両VEの走行方位角に基づいて当該車両VEの本線R1上の走行車線(支線R2側の車線(支線R2から直接に合流される車線)か否か)を判定する。
【0020】
合流予測装置5は、支線R2を走行する車両VE(以下、支線車両と称する)の位置の推測値、走行時刻及び走行速度と、本線R1上の支線R2側の車線を走行する車両VE(以下、被合流車両と称する)の位置の推測値、走行時刻及び走行速度とに基づいて、合流地点Pにおける支線車両と被合流車両との相対位置を予測し、予測した相対位置に基づいて支線車両が本線R1に合流することの可否を判定する。合流予測装置5は、当該相対位置の予測結果において、先行する被合流車両と後続の被合流車両との間に支線車両が入ることができる余地Lがある場合に合流可であると判定し、一方、当該余地Lがない場合に合流不可であると判定する。余地Lは、全車種に共通に設定されてもよく、又は、判定対象の支線車両の車種に応じて設定されてもよい。例えば、合流予測装置5は、各車種の余地Lを格納する余地テーブルを予め保持し、支線車両の支線走行情報の車両判別情報の車種に対応する余地Lを余地テーブルから取得してもよい。
【0021】
合流の可否の判定の結果、支線車両の現在の走行速度のままで合流可の場合には、合流予測装置5は、支線車両の現在の走行速度を当該支線車両の推奨合流速度に決定する。一方、支線車両の現在の走行速度のままでは合流不可の場合には、合流予測装置5は、支線車両の位置の推測値、走行時刻及び走行速度と、被合流車両の位置の推測値、走行時刻及び走行速度とに基づいて支線車両が合流可になる走行速度を算出し、算出した走行速度を当該支線車両の推奨合流速度に決定する。
【0022】
合流予測装置5は、支線車両(車両ID)毎に、推奨合流速度を含む合流支援情報を生成する。合流支援情報は、支線車両の車両ID及び推奨合流速度を含む情報である。合流予測装置5は、支線車両について、合流支援情報と合流走行情報とを合流支援情報配信装置6へ送信する。合流走行情報は、支線車両について、車両IDと、支線走行情報の位置の推測値(緯度、経度)及び走行時刻と、走行方位角とを含む情報である。合流予測装置5と合流支援情報配信装置6との間の通信は、既存の通信ネットワークを利用して行われる。
【0023】
図3は、本実施形態に係る合流支援情報配信装置の構成例を示すブロック図である。図3において、合流支援情報配信装置6は、合流支援情報受信部61と、配信先情報受信部62と、情報配信部63とを備える。
【0024】
合流支援情報受信部61は、合流予測装置5から合流支援情報と合流走行情報とを受信する。
【0025】
配信先情報受信部62は、支線R2を走行する車両VE(支線車両)に搭載される移動端末UEの移動状態を示す端末移動情報と当該移動端末UEを識別する端末識別情報(端末ID)とを含む配信先登録情報を、当該移動端末UEから移動通信ネットワークNWを介して受信する。配信先情報受信部62は、移動端末UEから受信した配信先登録情報を配信先情報データベース7に格納する。移動端末UEの端末移動情報は、当該移動端末UEの位置(緯度、経度)及び当該移動端末UEの移動時刻(当該移動端末UEが当該移動端末UEの位置(緯度、経度)を移動していた時刻)を含む情報である。移動端末UEの位置は、例えばGPS(Global Positioning System)を利用して取得されたものである。
【0026】
情報配信部63は、合流予測装置5から受信した合流走行情報と、配信先情報データベース7に格納された配信先登録情報の端末移動情報とに基づいて、当該合流走行情報と同じ車両IDの合流支援情報を配信する配信先の移動端末UEを特定する。合流走行情報は、支線車両の支線走行情報に基づいた情報である。情報配信部63は、合流支援情報を配信する配信先として特定した移動端末UEの端末IDに基づいて、移動通信ネットワークNWを介して当該特定した移動端末UEへ合流支援情報を配信する。
【0027】
移動通信ネットワークNWは、例えばLTE等の携帯電話ネットワークである。移動端末UEは、移動通信ネットワークNWの加入者端末であって、例えばスマートフォンやタブレット型のコンピュータ(タブレットPC)等の携帯通信端末装置である。移動端末UEは、車両VEに備え付けられたものであってもよく、又は、車両VEに乗車する者が携帯するもの例えばスマートフォンであってもよい。移動端末UEの端末IDは、当該移動端末UEの通信アドレスに関連付けられたものであって、例えば携帯電話番号である。
【0028】
本実施形態の一例として、IP(Internet Protocol)プッシュ回線を利用して、合流支援情報配信装置6から移動端末UEへ合流支援情報を配信してもよい。この場合、移動端末UEは、IPプッシュ回線を提供するプッシュサーバとの間で常時、TCP(Transmission Control Protocol)トンネルを、移動通信ネットワークNWを介して確立しておく。また、移動端末UEのIPプッシュ回線は、当該移動端末UEの端末IDに関連付けておく。情報配信部63は、合流支援情報を配信する配信先として特定した移動端末UEの端末IDに関連付けられたIPプッシュ回線を利用して、当該特定した移動端末UEへ合流支援情報を配信する。
【0029】
ここで、本実施形態に係る合流支援情報の配信先決定方法を説明する。
情報配信部63は、配信対象の合流支援情報と同じ車両IDの合流走行情報と、端末移動情報とに基づいて、支線車両と移動端末UEとのマッチングを行う。具体的には、情報配信部63は、移動端末UE毎に、異なる移動時刻における複数の端末移動情報の位置に基づいて、移動端末UEの移動方向を示す移動方位角を算出する。次いで、情報配信部63は、合流走行情報の走行時刻と同じ移動時刻において、端末移動情報の位置が合流走行情報の位置の推測値を中心にした半径Nメートル(Nm)の範囲内に存在する移動端末UEを抽出する。半径Nmは、任意に設定可能とする。半径Nmは、合流地点Pに合わせてチューニングされることが好ましい。
【0030】
次いで、情報配信部63は、抽出された各移動端末UEの移動方位角と、合流走行情報の走行方位角とを比較する。この比較の結果、両者の差が所定の閾値以内である移動端末UEを合流支援情報の配信先に決定する。このとき配信先となる移動端末UEが複数存在する場合には、合流支援情報の配信を中止する。
【0031】
なお、情報配信部63は、車両判別情報を利用して、合流支援情報の配信先になる移動端末UEを決定してもよい。車両判別情報は、車種、外装色、ナンバープレートに記載された情報などである。車両判別情報を利用する場合、画像認識装置3が取得した支線車両の車両判別情報が、合流予測装置5を介して合流支援情報及び合流走行情報と共に、合流支援情報配信装置6へ供給される。また、移動端末UEのユーザが当該移動端末UEに入力した車両判別情報であって当該移動端末UEが搭載される車両VEの車両判別情報が、当該移動端末UEから移動通信ネットワークNWを介して合流支援情報配信装置6へ供給される。情報配信部63は、支線車両の車両判別情報と移動端末UEが搭載される車両VEの車両判別情報とのマッチングを行い、このマッチングの結果に基づいて、合流支援情報の配信先になる移動端末UEを決定する。例えば、上記した移動方位角と走行方位角との比較の結果として複数の移動端末UEが配信先に決定された場合、さらに車両判別情報を利用して合流支援情報の配信先になる移動端末UEを絞り込む。この結果、1台の移動端末UEに絞り込まれた場合には当該移動端末UEを最終的な合流支援情報の配信先に決定する。一方、車両判別情報を利用してもまだ複数の移動端末UEが残り、配信先を1台の移動端末UEに絞り込めないときには、合流支援情報の配信を中止する。
【0032】
次に図4を参照して本実施形態に係る合流支援情報配信方法を説明する。図4は、本実施形態に係る合流支援情報配信方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0033】
(ステップS1) 本線撮像装置2-1は、本線R1上の車両VEを撮像する。支線撮像装置2-2は、本線R1に合流する支線R2上の車両VEを撮像する。
【0034】
(ステップS2) 画像認識装置3は、本線撮像装置2-1が撮像した本線画像に対して車両を認識するための画像認識処理を実行することにより、本線R1を走行する車両VEの走行状態を示す本線走行情報を取得する。画像認識装置3は、支線撮像装置2-2が撮像した支線画像に対して車両を認識するための画像認識処理を実行することにより、支線R2を走行する車両VE(支線車両)の走行状態を示す支線走行情報を取得する。
【0035】
(ステップS3) 合流予測装置5は、本線走行情報及び支線走行情報に基づいて、合流地点Pにおける支線車両と被合流車両(本線R1上の支線R2側の車線を走行する車両VE)との相対位置を予測し、予測した相対位置に基づいて支線車両が本線R1に合流することの可否を判定する。合流予測装置5は、合流の可否の判定の結果に応じて、支線車両の推奨合流速度を決定する。
【0036】
(ステップS4) 合流支援情報配信装置6は、支線車両に搭載される移動端末UEの移動状態を示す端末移動情報と当該移動端末UEを識別する端末IDとを含む配信先登録情報を、当該移動端末UEから移動通信ネットワークNWを介して受信する。
【0037】
(ステップS5) 合流支援情報配信装置6は、支線車両の支線走行情報に基づいた合流走行情報と、配信先登録情報の端末移動情報とに基づいて、当該合流走行情報と同じ車両IDの合流支援情報を配信する配信先の移動端末UEを特定する。合流支援情報配信装置6は、合流支援情報を配信する配信先として特定した移動端末UEの端末IDに基づいて、移動通信ネットワークNWを介して当該特定した移動端末UEへ合流支援情報を配信する。
【0038】
本実施形態によれば、支線車両に搭載された移動端末UEを、当該支線車両に配信する合流支援情報の配信先に利用することができる。これにより、既存の移動通信ネットワークNWを利用して合流支援情報を配信することができるので、合流支援システムを簡易に実現することに寄与することができる。
【0039】
なお、上述した各装置の各機能は、各装置がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。各装置として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して各装置が構成されてもよい。例えば、車両走行情報データベース4、合流予測装置5、合流支援情報配信装置6及び配信先情報データベース7は、MEC(Multi-access Edge Computing)やクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。MECによれば、移動通信ネットワークNWにおいて、ユーザ端末(移動端末UE)により近い場所でアプリケーションによるサービスをユーザ端末に提供することができるので、合流支援情報の迅速な配信に寄与することができる。
【0040】
また、画像認識装置3については、撮像装置2との間で伝送される撮像画像のデータ量が多くなるので、撮像装置2と画像認識装置3との間の通信容量が十分に確保することができる通信環境下に画像認識装置3を設けることが好ましい。
【0041】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0042】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0043】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0044】
1…合流支援システム、2…撮像装置、3…画像認識装置、4…車両走行情報データベース、5…合流予測装置、6…合流支援情報配信装置、7…配信先情報データベース、61…合流支援情報受信部、62…配信先情報受信部、63…情報配信部
図1
図2
図3
図4