(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】煙捕集システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/14 20060101AFI20230710BHJP
B01D 5/00 20060101ALI20230710BHJP
B01D 51/02 20060101ALI20230710BHJP
B01D 47/08 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
B01D53/14 200
B01D5/00 Z
B01D51/02
B01D47/08
(21)【出願番号】P 2020543431
(86)(22)【出願日】2018-10-25
(86)【国際出願番号】 IL2018051142
(87)【国際公開番号】W WO2019082187
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-22
(32)【優先日】2017-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】515007877
【氏名又は名称】イズン ファーマスーティカルズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】フェファーバーグ,イラン
(72)【発明者】
【氏名】ルバイン,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】レクト,シモン
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-020963(JP,A)
【文献】国際公開第2016/161420(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3190963(JP,U)
【文献】特開2016-164547(JP,A)
【文献】特開2017-043666(JP,A)
【文献】特開平05-184675(JP,A)
【文献】実開昭48-050640(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14- 53/18
B01B 1/00- 1/08
B01D 1/00- 8/00
B01D 49/00- 51/10
B01D 47/00- 47/18
D06F 1/00- 19/00
D06F 27/00- 31/00
D06F 35/00
D06F 41/00- 51/02
D06F 58/00
D06F 58/10- 58/18
D06F 59/00- 60/00
C11B 1/00- 15/00
C11C 1/00- 5/02
A61L 9/00- 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気/煙(「煙」)捕集(トラップ)システムであって、
(a)チャンバ内に分散した煙を沈殿させるための煙チャンバトラップであって、前記チャンバが、
(1)液体溶媒のリザーバを収容するための底部プールと、
(2)気体充填部であって、
(I)前記液体溶媒の霧サイズの液滴を収容し、前記煙が導入される下部スモッグ部と、
(II)前記煙および前記液滴の濃度が、前記スモッグ部におけるそれぞれの濃度に
対して減少する上部透明部と、
(III)前記スモッグ部と前記透明部との間に配設され、前記スモッグ部内
の霧状液滴を前記プールに沈殿させるための霧凝縮器と、を備える、気体充填部と、
(3)
前記スモッグ部内の前記煙の濃度を得るために、前記煙と混合された前記液体溶媒の霧サイズの液滴
を噴流する微細ミスト発生器と、を備える、煙チャンバトラップと、
(b)
気体を前記透明部から引き出し、前記気体を加圧下で前記微細ミスト発生器を通して前記スモッグ部に再循環させるための閉ループ気体サーキュレータと、
(c)前記気体サーキュレータに新鮮な煙を搬送するための煙搬送導管と、を備える煙捕集システム。
【請求項2】
前記リザーバから引き出された前記溶媒の液滴を前記気体サーキュレータに分散させるための液体溶媒予備混合サーキュレータをさらに備える、請求項1に記載の煙捕集システム。
【請求項3】
前記微細ミスト発生器が、
(a)前記プールの底床から上向きに現れる固定底部要素であって、前記リザーバ内の前記溶媒の液面の上方に配設された第1のヘッドを備え、前記第1のヘッドが、前記床底から第1の距離に位置付けられ、前記第1のヘッドが、前記閉ループ気体サーキュレータの噴流が前記スモッグ部に連続的に注入される入口開口部を含む、固定底部要素と、
(b)静止してまたは可動で、液体溶媒の前記リザーバに部分的に浸漬された上部要素であって、前記噴流の経路に配設された出口開口部を含む第2のヘッドであって、前記第2のヘッドが、前記床底から第2の距離に位置付けられ、前記第2の距離が、前記第1の距離よりも大きく、それによって、前記固定底部要素と前記上部要素との間に空隙が配設され、前記空隙が、噴流時に負圧を生成するように動作する、第2のヘッドと、前記出口開口部に嵌合し、そこから前記噴流が、前記スモッグ部に進入する前に連続的に噴出するインジェクタと、を備える、上部要素と、
(c)前記上部要素の前記インジェクタの前方に位置付けられた表面であって、前記表面に当たったときに前記噴流の前記液滴を、小さな霧サイズの液滴と、煙から取り出された液滴および粒子とに分解することによって、前記液体溶媒中の煙の会合または溶解を高める、表面と、を備える、請求項1に記載の煙捕集システム。
【請求項4】
前記第1のヘッドおよび第2のヘッドの少なくとも一方が、テーパ状である、請求項3に記載の煙捕集システム。
【請求項5】
前記噴流が、煙および溶媒液滴を伴う気体を含む、請求項3に記載の煙捕集システム。
【請求項6】
前記霧サイズの液滴が、0.1マイクロメートル~100マイクロメートルの範囲の直径、および/また
は2マイクロメートルの平均直径を含む、請求項1に記載の煙捕集システム。
【請求項7】
前記インジェクタの直径
は、一定であるか、または
、煙および溶媒液滴を伴う気体
からなる前記噴流の圧力
を変化させるように、可変である、請求項3に記載の煙捕集システム。
【請求項8】
前記新鮮な煙を生じさせるために物質を連続的に燃焼および/または気化させるための加熱機構をさらに含み、前記加熱機構が、前記煙搬送導管内に入れるための前記新鮮な煙を生じさせるために前記物質を計量するための計量手段を備える、請求項1に記載の煙捕集システム。
【請求項9】
前記加熱機構が、前記物質を、230℃以下に事前設定された温度で、または物質の自発燃焼もしくは発火を引き起こし得る温度で、または自然なさらなる温度上昇で、加熱するように構成される、請求項8に記載の煙捕集システム。
【請求項10】
前記加熱機構がロックされ、不適切に機能することを防止するためのコードインターフェースによって動作可能である、請求項8に記載の煙捕集システム。
【請求項11】
前記霧サイズの液滴を沈殿させ、および/またはその凝縮を促進するために、前記プールから前記霧凝縮器に液体溶媒をポンプ圧送するための少なくとも1つのポンプをさらに含む、請求項1に記載の煙捕集システム。
【請求項12】
前記液体溶媒が、
エタノールと、
アセトニトリルと、
プロピレングリコールと、
グリセロールと、
水と、
メタノールと
、
上記のいずれかの組み合わせと、からなるリストから選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載の煙捕集システム。
【請求項13】
前記煙導管に、および/または噴霧器を横切る前記煙および液体を混合するための液体溶媒導管に接続された少なくとも1つの噴霧器をさらに備える、請求項1に記載の煙捕集システム。
【請求項14】
前記液体溶媒中の煙の溶解を促進するための混合チャンバをさらに備え、前記混合チャンバが、混合噴出を含み、前記混合噴出が、前記煙および液体溶媒の流動が通過する複数の開口部を含み、前記開口部が、前記流動内の圧力が増加した領域を形成し、それによって、煙と前記液体溶媒との会合を支援する、請求項1に記載の煙捕集システム。
【請求項15】
パラメータを設定および制御するためのコントローラであって、前記パラメータが、
動作時間と、
処理される物質の総重量と、
プロセスの前後の溶媒重量と、
燃焼チャンバにおける事前設定温度と、
液体の圧力と、
気体圧と、
真空圧と、
灰の重量と、
煙の吸収レベルを示すための前記溶媒の混濁度と、からなるリストから選択される少なくとも1つを含む、コントローラと、
溶解成分の定性的または定量的測定のための光学的手段と、をさらに備える、請求項1に記載の煙捕集システム。
【請求項16】
前記導管を前記液体溶媒で洗浄して、前記導管の側面に付着した煙を放出し、前記液体溶媒を前記放出された煙とともに前記導管を通して循環させるように動作する内部導管残留物収集洗浄機構をさらに備える、請求項1に記載の煙捕集システム。
【請求項17】
少なくとも1つの温度センサをさらに備える、請求項1に記載の煙捕集システム。
【請求項18】
煙捕集方法であって、
(a)チャンバ内の気体充填部に分散させた煙を捕集するための請求項1に記載の前記煙チャンバトラップを設ける手順と
(b)前記チャンバの底部プールに配設された液体溶媒のリザーバを充填する手順と、
(c)微細ミスト発生器によって、前記煙を伴う前記液体溶媒の霧サイズの液滴の噴射を、前記気体充填部の下部スモッグ部内に分散された煙に向かって流動させる手順であって、前記スモッグ部が、前記液体溶媒の霧サイズの液滴を含み、その内部に煙が導入される、手順と、
(d)前記スモッグ部において、前記気体充填部の前記下部スモッグ部と前記上部透明部との間に配設された霧凝縮器によって前記プール内に液滴を沈殿させ、それによって、前記透明部内の前記煙および前記霧サイズの液滴の濃度
を、前記スモッグ部におけるそれぞれの濃度に
対して減少させる手順と、
(e)閉ループ気体サーキュレータ内で、前記透明部から前記微細ミスト発生器を通って前記スモッグ部に引き出された気体を圧力下で再循環させる手順と、
(f)新鮮な煙を、煙搬送導管を介して、煙導入合流部において、前記気体サーキュレータ内に導く手順と、を含む、煙捕集方法。
【請求項19】
前記リザーバから引き出された前記液体溶媒の液滴を、前記煙導入合流部の下流の前記気体サーキュレータ内に分散させることをさらに含む、請求項18に記載の煙捕集方法。
【請求項20】
微細ミスト発生器による流動の前記手順が、
(1)煙および溶媒の液滴を伴う気体の噴流を、前記閉ループ気体サーキュレータから、前記微細ミスト発生器を介して、前記スモッグ部に連続的に注入することと、
(2)前記スモッグ部に入ったときに前記上部要素の前記インジェクタを通して前記噴流を連続的に噴出させることであって、前記噴流が、前記固定底部要素と前記上部要素との間の空隙に負圧を生成し、前記負圧が、前記リザーバから前記インジェクタに向かって液体溶媒を引き出し、前記微細ミスト発生器が、前記噴流
をより高い表面積対体積比を有する霧サイズの液滴に分解する、噴出させることと、を含む、請求項18に記載の煙捕集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気および煙を捕集および収集するためのシステムおよび方法に関する。より詳細には、本発明は、蒸気、煙霧、および煙を溶媒に溶解させるかまたは混合させることによって捕集するために使用されるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な植物が、医薬的、治療的および/または美容的性質を有する化合物(例えば、分子実体または分子複合体)を含むことがわかってきている。歴史的に、植物に見られる特定の化合物は、喫煙または気化とも呼ばれる燃焼による人間への投与のために抽出されてきた。植物物質の喫煙は、典型的には、植物物質をシガレットに巻き込んでシガレットに点火することによって、または水パイプ等の喫煙装置を使用することによって達成される。植物物質の気化は、通常、化合物を気化するために十分高温であるが、植物物質(またはそのほとんど)を発火させるには十分高温でない空気によって加熱される、控えめな量の植物物質を含むように構成された気化器の使用によって達成され、それにより、気化された化合物を搬送する排出された熱風が、能動的または受動的に冷却され、続いて使用者によって吸引される。
【0003】
植物物質由来の化合物を含む、医薬、治療、および/または美容用途のための組成物は、溶媒抽出および蒸留法を含む様々な方法を使用して、植物から調製することができる。
【0004】
今日、植物から必須物質を抽出するための様々な装置および方法が利用可能である。例えば、
図1は、シガレットを使用して植物物質の煙を得るための従来技術の喫煙装置100を描画している。喫煙装置100は、チャンバ110と、シガレットホルダ112と、空気ポンプ114と、煙導管116を含む。喫煙装置100の動作中、シガレット120は、シガレットホルダ112に挿入され、その遠位端(A)で点火される。チャンバ110は、煙導管116以外に他の空気入口がない閉鎖されたチャンバである。空気ポンプ114は、チャンバ110から煙導管116を介してチャンバ110の外側に空気を引き込み、それによって、チャンバ110内に真空を作り、点火されたシガレット120から煙を導入するように構成される。点火時に、煙は、遠位端からシガレット120を通ってチャンバ110内に移動する。煙は、チャンバ110内で分析され得るかまたは使用され得る。任意選択的に、煙は、さらなる使用または分析のために、空気ポンプ114および煙導管116を介してチャンバ110から搬送され得る。
【0005】
従来技術の喫煙装置100の不利な点は、シガレットを燃焼させるために植物物質をシガレットに巻き込まなければならず、ばらけた植物物質を使用できないことである。さらなる欠点は、シガレットがシガレットホルダ112の中に手動で設置されなければならず、シガレットの吸い殻がシガレットホルダ112から取り外されなければならないことである。喫煙装置100は、連続的に煙を提供するためにシガレットが連続して点火され得る複数のシガレットホルダを含み得るが、シガレットは挿入されなければならず、吸い殻がシガレットホルダから取り除かれなければならない。
【0006】
喫煙装置100の別の欠点は、得られる煙の均一性に関する。シガレット120がシガレットホルダ112に挿入されて点火されると、煙は、シガレットのA点からC点まで移動し、次いでチャンバ110内に移動する。煙が移動すると、A点とC点の間にある植物物質によって冷却される。植物物質の煙には、通常、異なる沸点温度を有する化合物が含まれる。煙が冷却されると、より高い沸点を有する化合物が植物物質に凝縮され、より低い沸点を有する化合物は、シガレットを通ってチャンバ110内に進む。しかしながら、シガレット120がB点で燃え尽きるとき、発生した煙が移動するべき距離はB点からC点までであり、これはA点からC点までより短い距離である。結果として、シガレット120がA点で燃焼するときより多くの割合の高い沸点温度の化合物がチャンバ110に進入する。これは、所与の時点における煙の性質が、所与の時点で燃えているシガレットの長さおよびシガレットの領域に依存するため、チャンバ110内の煙の均一性の欠如につながる。
【0007】
異なる用途のために植物から化合物を抽出する追加の装置およびプロセスは、以下の先行技術の刊行物に開示されている。
【0008】
米国特許第4328255号は、温度および圧力の超臨界条件下で固体の焙煎コーヒーを乾燥二酸化炭素で抽出することにより、芳香族成分を含むコーヒー油を高収率かつ安定した形で抽出する方法を説明している。
【0009】
米国特許第6676838号は、バイオマスを抽出するための装置を開示している。該装置は、閉ループ抽出回路を画定するための一連の配管に接続された抽出器、蒸発器、圧縮機、および凝縮器を含む。
【0010】
ドイツ特許公開第2256111号は、非混和性液体の溶媒抽出のためのプロセスおよび用途を開示している。
【0011】
米国特許第5516923号は、植物材料に油を溶解するために好適な溶媒を使用して、含油植物材料から油を抽出する方プロセスを説明している。
【発明の概要】
【0012】
したがって、開示された技術によれば、チャンバ内に分散した煙を沈殿させるための煙チャンバトラップを特徴とする蒸気/煙(「煙」)捕集「トラップ」システムが提供される。チャンバは、液体溶媒のリザーバを収容するための底部プールと、気体充填部と、を含み、気体充填部において、下部スモッグ部が液体溶媒の「霧サイズ」の液滴を含み、煙が内部へ導入され、煙および液滴の濃度が、スモッグ部におけるそれらの濃度対して減少する上部透明部を含む。霧凝縮器は、スモッグ部と透明部との間に配設され、スモッグ部の霧状液滴をプールに沈殿させる。微細ミスト発生器は、煙と混合された液体溶媒の霧サイズの液滴の噴射を、スモッグ部の煙の濃縮部に向けて流動させるために使用される。閉ループ気体サーキュレータは、気体を透明部から引き出し、気体を加圧下で微細ミスト発生器を通してスモッグ部に再循環させる。新鮮な煙は、煙搬送導管を介して気体サーキュレータに導入される。
【0013】
さらに、本発明によれば、煙トラップシステムは、リザーバから引き出された溶媒の液滴を気体サーキュレータに分散させるために、液体溶媒予備混合サーキュレータをさらに含むことができる。
【0014】
さらに、本発明によれば、微細ミスト発生器は、
(a)プールの底床から上向きに現れる固定底部要素であって、リザーバ内の溶媒の液面の上方に配設された第1のヘッドを含み、第1のヘッドが、床底から第1の距離に位置付けられ、第1のヘッドが、閉ループ気体サーキュレータの噴流をスモッグ部に連続的に注入させる入口開口部を含む、固定底部要素と、
(b)静止してまたは可動で、液体溶媒のリザーバに部分的に浸漬された上部要素であって、噴流の経路に配設された出口開口部を含む第2のヘッドであって、第2のヘッドが、床底から第2の距離に位置付けられ、第2の距離が、第1の距離よりも大きく、それによって、固定底部要素と上部要素との間に空隙が配設され、空隙が、噴流時に負圧を生成するように動作する、第2のヘッドと、入口開口部に嵌合し、そこからスモッグ部に進入する前に噴流を連続的に噴出するインジェクタと、を含む、上部要素と、
(c)上部要素のインジェクタの前方に位置付けられた表面であって、表面に当たったときに噴流の液滴を、小さな霧サイズの液滴と、煙から取り出された液滴および粒子とに分解することによって、液体溶媒中の煙の会合または溶解を高める、表面と、を含むことができる。
【0015】
さらに、本発明によれば、第1のヘッドおよび第2のヘッドの少なくとも一方は、テーパ状であってもよい。さらに、本発明によれば、噴流は、煙および溶媒液滴を伴う気体を含み得る。
【0016】
さらに、本発明によれば、霧サイズの液滴は、0.1マイクロメートル~100マイクロメートルの範囲の直径、および/または約2マイクロメートルの平均直径を含み得る。
【0017】
さらに、本発明によれば、インジェクタの直径は、一定であるか、または煙および溶媒の液滴を伴う気体の噴流の圧力を対応して変化させるために変化することができる。
【0018】
さらに、本発明によれば、煙捕集システムは、新鮮な煙を生じさせて、煙搬送導管に入れるために物質を連続的に燃焼および/または気化させるための加熱機構をさらに含むことができ、加熱機構は、新鮮な煙を生じさせるために物質を計量するための計量手段を含む。
【0019】
さらに、本発明によれば、加熱機構は、物質を、230℃以下に事前設定された温度で、または物質の自発燃焼もしくは発火を引き起こし得る温度で、または自然なさらなる温度上昇で、加熱するように構成され得る。
【0020】
さらに、本発明によれば、加熱機構は、ロックされ、不適切に機能することを防止するためのコードインターフェースによって動作可能であり得る。
【0021】
さらに、本発明によれば、煙捕集システムは霧サイズの液滴を沈殿させ、および/またはその凝縮を促進するために、プールから霧凝縮器に液体溶媒をポンプ圧送するための少なくとも1つのポンプをさらに含むことができる。
【0022】
さらに、本発明によれば、溶媒は、エタノール、アセトニトリル、プロピレングリコール、グリセロール、水、メタノール、有機溶媒、および上記のいずれかの組み合わせからなるリストから選択される少なくとも1つを含み得る。
【0023】
さらに、本発明によれば、煙捕集システムは、煙導管に、および/または噴霧器を横切る煙および液体を混合するための液体溶媒導管に接続された少なくとも1つの噴霧器をさらに含み得る。
【0024】
さらに、本発明によれば、煙捕集システムは、液体溶媒中の煙の溶解を促進するための混合チャンバをさらに含み得、混合チャンバが、混合噴出を含み、混合噴出が、煙および液体溶剤の流動が通過する複数の開口部を含み、開口部が、流動内の圧力が増加した領域を形成し、それによって、煙と液体溶媒との会合を支援する。
【0025】
さらに、本発明によれば、煙捕集システムは、パラメータを設定および制御するためのコントローラをさらに含み得、パラメータは、動作時間、処理される物質の総重量、プロセス前後の溶媒重量、燃焼チャンバの設定温度、液体の圧力、気体圧、真空圧、灰の重量、煙の吸収レベルを示す溶媒の混濁度、および溶解成分の定性的または定量的測定の光学的手段からなるリストから選択される少なくとも1つを含む。
【0026】
さらに、本発明によれば、煙捕集システムは、導管を液体溶媒で洗浄して、導管の側面に付着した煙を放出し、液体溶媒を放出された煙とともに導管を通して循環させるように動作する内部導管残留物収集洗浄機構をさらに含み得る。
【0027】
さらに、本発明によれば、煙捕集システムは、少なくとも1つの温度センサをさらに含み得る。
【0028】
さらに、本発明の別の態様によれば、煙捕集方法が提供され、
(a)チャンバ内の気体充填部に分散させた煙を捕集するための上記煙チャンバトラップを設ける手順と、
(b)チャンバの底部プールに配設された液体溶媒のリザーバを充填する手順と、
(c)微細ミスト発生器によって、煙と混合させた液体溶媒の霧サイズの液滴の噴射を、気体充填部の下部スモッグ部内に分散された煙の濃縮物に向かって流動させる手順であって、スモッグ部が、液体溶媒の霧サイズの液滴を含み、その内部に煙が導入される、手順と、
(d)スモッグ部において、気体充填部の下部スモッグ部と上部透明部との間に配設された霧凝縮器によってプール内に液滴を沈殿させ、それによって、透明部内の煙および液滴の濃度が、スモッグ部におけるそれぞれの濃度に減少させる、手順と、
(e)閉ループ気体サーキュレータ内で、透明部から微細ミスト発生器を通ってスモッグ部に引き出された気体を圧力下で再循環させる手順と、
(f)新鮮な煙を、煙搬送導管を介して、煙導入合流部において、気体サーキュレータ内に導く手順と、を含む。
【0029】
さらに、本発明によれば、煙捕集方法は、煙導入合流部の下流の気体サーキュレータ内のリザーバから引き出された液体溶媒の液滴を分散させることをさらに含むことができる。
【0030】
さらに、本発明によれば、微細ミスト発生器による流動の手順が、さらに以下を含み得る。
(1)煙および溶媒の液滴を伴う気体の噴流を、閉ループ気体サーキュレータから、微細ミスト発生器を介して、スモッグ部に連続的に注入する。
(2)スモッグ部に入ったときに上部要素のインジェクタを通して噴流を連続的に噴出させ、噴流が、固定底部要素と上部要素との間の空隙に負圧を生成し、負圧が、リザーバからインジェクタに向かって液体溶媒を引き出し、微細ミスト発生器が、噴流を比較的高い表面積対体積比を有する霧サイズの粒子に分解する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
開示された技術は、図面と併せて以下の詳細な説明からより完全に理解および認識されるであろう。
【0032】
【
図1】シガレットを使用して植物物質の煙を得るための従来技術の喫煙装置を描画する。
【
図2A】本発明のいくつかの実施形態に従って構築され動作する気化および煙トラップシステムの概略図を描画する。
【
図2B】
図2Aに説明された混合チャンバで使用されるインジェクタの拡大図を示す。
【
図3】本発明のいくつかの実施形態によって構築され動作する燃焼/気化装置を示す。
【
図4】開示された発明によって動作する煙トラップ方法のブロック図である。
【
図5】
図4の煙トラップ方法に任意選択的に追加されるサブ手順のブロック図である。
【
図6-8】本発明によって構築され動作する例証的なシステムにおける花序の主成分の測定された存在を示す。
図6のグラフは、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって導出された結果を示し、光吸収の測定から導出され、保持時間(分)の関数としてmAU(ミリ任意単位)で表される。また、結果は、
図7のグラフにおいて簡易化のために提示され、
図8の表Iに要約されている。
【発明を実施するための形態】
【0033】
達成される抽出(例えば、超臨界CO2を使用した抽出)の程度は約25%であるため、現在利用可能なさまざまなシステムおよび方法は効果的ではない。加えて、燃焼または他の方法で抽出される材料は、プロセス中にシステムに複数回リロードする必要があり、その結果、そのようなトラッププロセスは煩雑で、連続的ではない。
【0034】
本発明の目的は、液体溶媒中の煙を捕集するためのシステムおよび方法を提供することである。本発明の開示された技術は、液体溶媒中の(例えば、溶解または混合している)煙を連続的に捕集するための新規なシステムおよび方法を提供し、抽出の程度は、約90%に達することができる。そのようなシステムおよび方法は、簡易で、操作が簡単であり、迅速かつ効率的である。
【0035】
ここで
図2Aを参照すると、本発明のいくつかの実施形態に従って構築され動作する、気化および煙(蒸気、煙霧、煙等は互換性があり、本明細書では略して「煙」として称される)捕集(またはトラップ)システム200の概略図を示す。
【0036】
気体および煙トラップシステム200は、煙チャンバトラップ202と、燃焼チャンバ204と、煙搬送導管206と、第1の真空ポンプ208と、第1の一方向噴霧器210と、第2の真空ポンプ212と、第2の一方向噴霧器214と、液体ポンプ216と、混合チャンバ218とを含み得る。システム200は、ポンプ208、212、または216等の少なくとも1つのポンプを含み、これは、最終的に液体溶媒をプール220から霧凝縮器(霧沈殿器230等)に送り、霧サイズの液滴を沈殿させ、および/または凝縮を促進するために効果的である。
【0037】
煙チャンバトラップ202は、液体溶媒のリザーバ221を含む底部プール220と、気体充填部222と、微細ミスト発生器224とを含む。液体溶媒は、エタノール、アセトニトリル、プロピレングリコール、グリセロール、水、メタノール、有機溶媒、および上記のいずれかの組み合わせからなるリストから選択される少なくとも1つを含み得る。
【0038】
気体充填部222は、以下を含む。
(I)蒸気または煙が導入される液体溶媒の霧サイズの液滴を収容する下部スモッグ部226。
(II)煙および霧状液滴の濃度が、スモッグ部226における煙および霧状液滴のそれぞれの対応する濃度に減少する上部透明部228。
(III)スモッグ部226と透明部228との間に配設され、スモッグ部226内の液滴をプール220に沈殿させるための霧沈殿機230。
霧沈殿機230は、例えば、以下のうちの1つ等を特徴とし得る。
・霧が結露してリザーバに滴り落ちる結露煙突
・液体溶媒「レインフォール」を散布するスプリンクラー
・穴あき格子ラティス-霧が結露してリザーバに滴り落ちる網状の弾幕、および/または
・冷却結露配管-ラジエータ。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によれば、煙チャンバトラップ202は、さらに以下を含む。
(a)気体を加圧下で吸引することによって透明部228から引き出し、微細ミスト発生器224を通してスモッグ部226に再循環させるための閉ループ気体サーキュレータ231。
(b)煙導入合流部252において、気体サーキュレータ231に新鮮な煙を搬送するための煙搬送導管206。
【0040】
微細ミスト発生器224は、液体溶媒の霧サイズの液滴の噴射をスモッグ部226に向けて流動させるために、リザーバ221に部分的に浸漬されている。微細ミスト発生器224は、固定底部要素232と、上部要素234と、表面245とを含む。
【0041】
固定底部要素232および上部要素234は、円錐形、円筒形、または任意の他の形状を有し得る。
【0042】
固定底部要素232は、プール220の底床から上向きに現れ、第1のヘッド236を含み、これは、床の底部から第1の距離でリザーバ221内の溶媒の液面237の上に配設される。
【0043】
第1のヘッド236は、入口開口部238を含み、それを通って、閉ループ気体サーキュレータ231の煙および溶媒液滴を伴う気体の噴流が、スモッグ部226の中に連続的に注入される。
【0044】
上部要素234は、固定底部要素232の上に配置された液体溶媒のリザーバに部分的に浸されており、第2のヘッド240を特徴とする。第2のヘッド240は、床の底部から第2の距離に配置され、第2の距離は、空隙が固定底部要素と上部要素との間に配設されるように第1の距離よりも大きく、空隙は、流動時に負圧を生成し、第2のヘッド240は、出口開口部242と、スモッグ部226に進入すると噴流が表面245に当たるように連続的に噴出するインジェクタ244とを含む。表面245は、上部要素234のインジェクタ244の前に位置付けられ、表面245に当たったときに噴流の液滴を小さな霧サイズの液滴と、煙から取り出された液滴および粒子とに分解することによって、液体溶媒への煙の会合または溶解を促進する。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1のヘッド236および/または第2のヘッド240は、テーパ形状を有し得、第2のヘッド240は、静止しているかまたは可動であってもよい。本発明のいくつかの実施形態によれば、噴流は、固定底部要素232を出るときに、上部要素234を持ち上げ、液体溶媒をリザーバからインジェクタ244に向かって引き出す真空を生成する。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態によれば、インジェクタ244の直径は、製造時に、またはその直径を好ましくは動的に変更するように制御できる可変直径構成要素を備えることによって、一定であるか、または変化させる、すなわち、所望に応じて増大させるかまたは減少させる。直径が大幅に減少すると、一般に、溶媒と混合された気体の圧力が減少し(ベルヌーイ効果に起因する)、直径が大幅に増加すると、一般に、それに応じて、溶媒と混合された気体の圧力が増加する。そのような圧力変動は、溶媒と気体の混合物を混合させ(最初の混合)、それを霧に変換する。
【0047】
本発明によれば、高圧および表面積が増大した溶媒液滴(微小液滴を生成する)は、気体/煙を溶媒に溶け込ませ、霧を形成する。
【0048】
溶媒および気体の噴射が、インジェクタ244を出ると、表面245に衝突し、約2マイクロメートルの平均直径を有し得る0.1マイクロメートル~100マイクロメートルの範囲の直径を有する霧サイズの液滴に分解する。
【0049】
溶媒と気体の噴射がインジェクタ244を出ると、マイクロメートルサイズの液滴の表面積が増加し、比較的高い圧力が発生するため、溶媒への煙と気体の連続的な会合または溶解と捕集が可能になる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態によれば、液体溶媒への煙の溶解を促進するための混合チャンバ218は、煙と液体溶媒との会合を支援する、撹拌および混合のためのインジェクタ248を含む。
【0051】
インジェクタ248は、液体および煙の流動が混合チャンバ218に進入する際に通過する(例えば、グリッドまたは穴あきスパウトの)開口部249を含み、開口部249は、液体および気体の流動において増加した圧力領域を形成し、それによって、液体中への蒸気または煙の溶解を支援する。
【0052】
ここで、インジェクタ248の拡大図を示す
図2Bを参照する。
図2Bに見られるように、インジェクタ248は、液体および煙の流動が沈殿チャンバに進入する複数の開口部249を含み、開口部249は、液体および気体の流動における圧力の増大した領域を形成し、それによって、液体中への煙の溶解を支援する。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態によれば、インジェクタ248は、進入する溶媒液滴の噴射に激突し、溶媒液滴の流動の中に圧力が増加した領域を作り、それによって液体溶媒への煙の吸収を高める。
【0054】
したがって、本発明のいくつかの実施形態によれば、微細ミスト発生器224は、進入する溶媒液滴を、比較的高い表面積対体積比を有する小さなマイクロメートルスケールの霧サイズの液滴に分解することにより、液体溶媒への煙の吸収の程度を高める。
【0055】
煙チャンバトラップ202における煙吸収の程度はかなり高く、約90~97%に達する可能性があり、したがって、プロセスに混合チャンバ218を含める必要がない場合がある。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態によれば、煙トラップシステム200は、以下のような様々なセンサを含み得る。
-プロセス全体の温度を監視するための少なくとも1つの温度センサ。
-プロセス全体で気体の組成を監視するための少なくとも1つのセンサ。
-プロセス開始前、プロセス全体、およびプロセス完了後に、液体溶媒の量を監視するための少なくとも1つのセンサ。
【0057】
煙トラップシステム200は、必要に応じてプロセス全体を通して液体溶媒を加えることを可能にする。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態によれば、煙トラップシステム200は、導管を液体溶媒で洗浄し、導管の側面に付着した煙を放出し、液体溶媒を放出された煙とともに導管を通して底部プール220の中に循環させるように動作する内部導管残留物収集洗浄機構を含み得る。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態によれば、煙トラップシステム200はコンピュータ化されており、したがって、対象となるパラメータは、適切なコンピュータ化されたコントローラによって制御され得る。このようなパラメータには、動作時間、処理される物質の総重量、プロセス前後の溶媒の重量、燃焼チャンバの事前設定温度、液体の圧力、気体圧力、真空圧力、灰の重量、および溶媒の混濁度(煙の吸収を示すため)、および溶解した成分の定性的または定量的測定のための光学的手段(例えば、液体中に溶解した化合物のインプロセス定量測定のためのFT-IRまたは類似の統合検出器および分析システム)を含み得る。
【0060】
煙トラップシステム200は、複数の気化プログラムを含み得、その各々が、は、様々なタイプの材料に適するように意図された事前定義された処理温度および事前定義された蒸発の持続時間を有する。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態によれば、煙堆積トラップシステム200は、プロセス全体にわたって液体と煙の4つの混合段階を可能にする。
1.第1の混合段階-混合チャンバ218で行われる。
2.第2の混合段階-噴流が固定底部エレメント232から出るときに行われる。
3.第3の混合段階-噴流が上部要素234を出るときに行われる。
4.第4の混合段階-噴流が表面245に当たり、霧サイズの小さな液滴に分解するときに行われる。
【0062】
図3は、本発明のいくつかの実施形態に従って構成されて動作する燃焼/気化ユニット300を示している。燃焼/気化ユニット300は、計量手段302と、植物搬送導管304と、煙搬送導管306と、スクリーン308と、フィルタ310と、加熱要素312と、灰収集器314と、第1のセンサ316と、第2のセンサ318とを含む。
【0063】
植物搬送導管304は、近位端305Aおよび遠位端305Bを有する。
【0064】
煙搬送導管306は、一端において植物搬送導管304に対して開放され、植物搬送導管304からの煙の流動を可能にするように構成されている。
【0065】
スクリーン308は、煙搬送導管306と植物搬送導管304との間に配置され、植物物質が植物搬送導管304から煙搬送導管306に進入するのを防ぐ。
【0066】
フィルタ310は、煙の流動を可能にするが、大きな粒子が通過するのを防ぐように構成される。
【0067】
燃焼/気化ユニット300は、植物物質の点火状態を決定するための植物搬送導管304内の第1のセンサ316と、遠位端305Bでの植物物質の点火状態を決定するための遠位端305Bから離れた第2のセンサ318とを含む。
【0068】
したがって、本発明のいくつかの実施形態によれば、植物物質が計量され、その重量が記録される。次に、植物物質は、近位端305Aを通って入り、植物搬送導管304の遠位端305Bに進む。植物搬送導管304は、植物蒸気が形成される温度まで遠位端304に向かって前進する間、植物を加熱する外部加熱要素312を伴う。加熱要素312は、煙搬送導管306への流入のための新鮮な煙を生成するために物質を連続的に燃焼および/または気化させるための加熱機構を表す。
【0069】
植物物質は、植物物質の蒸気または水蒸気が遠位端305Bに到達することを可能にする速度で、植物搬送導管304を通って前進する。したがって、蒸気/水蒸気は、植物搬送導管304内の植物物質を通って、スクリーン308を通って、煙搬送導管306内に連続的に引き込まれる。
【0070】
使用済みの植物物質は、植物物質が遠位端305Bの方向に進むと、灰収集器314に落下する。その後、灰は計量されて記録される。本発明のいくつかの実施形態によれば、加熱機構は、植物物質に計量するための計量手段を含み得ることに留意されたい。さらに、加熱機構はロックされていてもよく、不適切な機能を防止するためにコードインターフェースで動作可能であってもよい。
【実施例】
【0071】
本発明に従って構築され、動作する例証的なシステムで処理されたそのような医療成分を含む花序について、9つの主要成分(カンナビノイド)の捕集収量を測定した。ここで、花序の主成分の測定された存在を示す
図6、
図7、および
図8を参照する。
図6のグラフは、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって導出された結果を示し、光吸収の測定から導出され、保持時間(分)の関数としてmAU(ミリ任意単位)で表される。また、結果は、
図7のグラフにおいて簡易化のために提示され、
図8の表Iに要約されている。燃焼前の花序におけるカンナビノイドの初期濃度はmg/gで表示される。抽出収率は、燃焼後の蒸発した材料のパーセンテージ(燃焼セルに残っている灰の成分を分析的に測定することによって計算した)を表し、捕集収率は、捕集された残留物(成分)について測定され、未燃焼の花序に関して計算された。特に、測定により、CBN、Δ9-THC、およびCBCの収率が、それぞれ454%、358%、および116%に増加したことが示され、これは、燃焼プロセスによるその生成物と(たとえば、THCAは、Δ9-THCに対する可能なソースであり得、それ自体がCBNの潜在的なソースである)、システムの有効収率とを示す。「合計」、特に「合計カンナビノイド」という用語は、特に監視されている成分のグラフの文脈で使用され、大麻またはそのすべての成分またはそのすべての関連成分の総収量を反映しているのではないことに留意されたい。本発明は、上記の測定された成分に全く限定されず、例えば、他の測定されていないカンナビノイド、ならびにテルペンおよびフラボノイドまたは他の任意の化合物、分子実体もしくは分子複合体のトラップを特徴とし得、それらが対象となり得ることが理解されよう。
【0072】
操作手順
煙トラップシステム200の作動中、植物物質は、予め設定された温度(複数可)で点火または作動される燃焼または気化チャンバ204に連続的に導入される。
【0073】
植物物質が燃焼チャンバ204で燃焼/気化すると、第1の真空ポンプ208は、真空を作り出すように働き、燃焼チャンバ204から煙搬送導管206を通して新鮮な煙を引き込む。次に、新鮮な煙は第1の一方向噴霧器210に運ばれ、点250で導入され、煙チャンバトラップ202から出る古い煙と混合し、第2の真空ポンプ212の作用によってその混合物が循環する。古い煙と新鮮な煙とが組み合わされた流動は、第2の一方向噴霧器214に、次いで合流部252に運ばれる。合流部252では、煙チャンバトラップ202から出て、液体ポンプ216の作用により循環する溶媒が煙と交じり合う。溶媒と煙の組み合わされた流動は、煙と液体溶媒との会合を支援する撹拌および混合のために、インジェクタ248を通って混合チャンバ218に進入する。
【0074】
溶媒と煙の流動は、混合チャンバ218に進入すると、インジェクタ248の開口部を通過し、その結果、圧力の増加した複数の領域が溶媒中に形成される。増大した圧力は、液体溶媒への煙の溶解度を高める。
【0075】
さらに高い溶解度を達成するために、溶媒および煙の流動は煙チャンバトラップ202に入り、そこで平均直径が約2マイクロメートルの小さな霧サイズの液滴に分解される。そのような小さな霧の液滴は、体積に対する表面積の比率が高く、煙の吸収の度合いを大幅に高めることを特徴とする。
【0076】
流入する噴流は、固定底部要素232と上部要素234の2つのヘッドの間の部分に進入するので、煙チャンバトラップ202内の全圧は蓄積せず、一定のままであり、したがって、大気に圧力を解放する必要がないため、混合されていない/溶解されていない気体/煙が、周囲の大気に失われる必要がないことに留意されたい。
【0077】
また、溶媒および煙の加圧された噴流は、固定底部要素232を出るとき、上部要素234を持ち上げ、溶媒を吸引する真空を生成することにも留意されたい。
【0078】
プロセスはさらに、加圧下で透明部228から微細ミスト発生器224を通ってスモッグ部226に引き込まれた気体の吸引および再循環のための閉ループ気体サーキュレータ、および煙導入合流部において、新鮮な煙を気体サーキュレータに導くための煙搬送導管206を含む。
【0079】
プロセス中、煙で飽和された空気の流動は、煙チャンバトラップ202を出て繰り返し循環する、すなわち、第2の真空ポンプ212でポンプ圧送されて、燃焼チャンバ204から出てくる新鮮な煙と混合される。本発明のいくつかの実施形態によれば、プロセス中に複数の混合サイクルを実行し得る。
【0080】
いくつかの実施形態によれば、煙チャンバトラップ202に進入する前に、組み合わされた煙の流動が混合チャンバ218に進入し得る。
【0081】
プロセスの最後に、煙がトラップされた溶媒を凝縮して、液体リザーバに保管することができる。次に、溶媒を気化させ(蒸発または沸騰)、溶媒なしの残留物を残す。
【0082】
煙/気体捕集/トラップ方法
ここで、開示された発明に従って動作する煙捕集(またはトラッピング)方法400のブロック図である
図4を参照する。
図2A、
図2B、および
図3に示される特定の構成要素に対する言及は、便宜のみを目的としてなされ、類似または同等の構成要素が、方法400の目的のために動作可能であることに留意されたい。本発明のいくつかの実施形態によれば、煙トラップ方法400は、以下のステップを含む。
【0083】
ステップ402では、
図2A、
図2B、および
図3を参照して上で説明される煙チャンバトラップ202が設けられ、チャンバトラップ202の気体充填部222内に分散した煙を捕集する。煙チャンバトラップ202は、液体溶媒のリザーバ221を含む底部プール220と、気体充填部222と、微細ミスト発生器224と、を含む。
【0084】
ステップ404では、煙チャンバトラップ202の底部プール220に配設された液体溶媒のリザーバ221が充填される。
【0085】
ステップ406では、微細ミスト発生器224によって、煙と混合された液体溶媒の霧サイズの液滴の噴射を、気体充填部222の下部スモッグ部226内に分散された煙の濃縮物に向かって流動させ、スモッグ部226は、液体溶媒の霧サイズの液滴を含み、その内部に煙が導入される。微細ミスト発生器224は、液体溶媒の霧サイズの液滴の噴射をスモッグ部226に向けて流動させるように、リザーバ221に部分的に浸漬されている。微細ミスト発生器224は、固定底部要素232、上部要素234、および表面245を含む。
【0086】
ステップ408では、スモッグ部226において、気体充填部222の下部スモッグ部226と上部透明部228との間に配設された霧沈殿器230または霧凝縮器によってプール220内に液滴を沈殿させ、それによって、透明部228内の煙および霧サイズの液滴の濃度が、スモッグ部226におけるそれぞれの濃度に減少する。
【0087】
ステップ410では、閉ループ気体サーキュレータ231内で、透明部228から微細ミスト発生器224を通ってスモッグ部226に引き出された気体を圧力下で再循環させる。閉ループ気体サーキュレータ231は、圧力下での吸引を介して透明部228から気体を引き出し、微細ミスト発生器224を通ってスモッグ部226に再循環するために使用される。
【0088】
ステップ412では、煙搬送導管206を介して煙導入合流部252の気体サーキュレータ231に新鮮な煙を搬送(導く)する。そして
【0089】
任意選択的であるステップ414では、リザーバ221から引き出された液体溶媒の液滴を、煙導入合流部252の下流の気体サーキュレータ231内に分散させる。これは、分散インジェクタ248により予備混合チャンバ218で行うことができる。溶媒と煙との組み合わされた流動は、煙と液体溶媒との結合を支援する撹拌および混合のために、インジェクタ248を通って混合チャンバ218に進入する。
【0090】
ここで、微細ミスト発生器224による流動の手順406に含まれ得るサブ手順のブロック
図500である
図5を参照する。手順406には、以下のサブ手順が含まれ得る。
1.ステップ516において、煙および溶媒の液滴を伴う気体の噴流を、閉ループ気体サーキュレータから、微細ミスト発生器224を介して、スモッグ部226に連続的に注入する。
2.ステップ518では、スモッグ部226に入ったときに上部要素234のインジェクタ244を通して噴流を連続的に噴出させ、噴流は、固定底部要素232と上部要素234との間の空隙に負圧を生成し、負圧は、リザーバ221からインジェクタ244に向かって液体溶媒を引き出し、微細ミスト発生器224は、噴流を比較的高い表面積対体積比を有する霧サイズの液滴に分解する。例えば、注入された噴流は、スモッグ部226に進入すると、液体溶媒のリザーバ221に部分的に浸漬され、固定底部要素232の上方に配設された上部要素234を通って連続的に噴出する。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態によれば、煙で飽和された貯蔵液体溶媒を準備する方法は、以下の段階を含む。
a)煙で飽和した液体溶媒を保持タンクに供給する。
b)液体溶媒を凝縮する。
c)煙で飽和された液体溶媒を計量する。
d)容器を密閉し、RFIDタグを容器に取り付ける。
e)容器の重量およびバッチ番号を記録し、それを(コンピュータ、クラウド等に)保存しておく。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態によれば、貯蔵用のタンクを準備するために使用される準備システムと同様の任意の受信システムを、タンクを開くために使用し得る。タンクを開ける前に、受信システムはタンクの重量を量り、重量、バッチ番号、RFIDを準備システム(例えば、クラウド)に保存されているデータと比較する。
【0093】
上記のデータがクラウドに保存されているデータと一致し、オペレーターがマシンにアクセスする権限を持っている場合、受信システムはタンクの開放を許可し得る。
【0094】
安全上の目的、つまり盗難や改ざんを防止するために、タンクを不正に開けると、化学物質(複数可)が放出され、タンクの内容物が破壊される場合がある。
【0095】
図2Aに説明された燃焼チャンバ204の他に、植物物質の燃焼、燃焼、喫煙、気化、または蒸発ために様々な他の加熱機構を使用することができる。
【0096】
燃焼チャンバ内の事前設定温度は、好ましくは、230℃以下、または物質の自然燃焼、自然発火、および/もしくは自然なさらなる温度上昇を引き起こし得る温度より下に事前設定され(例えば、230℃を超えて最大350℃まで、さらにはそれ以上に上げる)、そのような望ましくない自然発生を回避することに留意すべきである。
【0097】
当業者には、当該技法は、上記で特に示され説明されたものに限定されないことが理解されよう。
【0098】
本出願の説明および特許請求の範囲において、「備える(comprise)」、「含む(include)」および「有する(have)」という動詞の各々、ならびにそれらの活用形は、動詞の対象(複数可)が必ずしも動詞の主語(複数可)の構成要素、要素または部分の完全なリストではないことを示すために使用される。
【0099】
本出願における発明の実施形態の説明は、例示を目的として提供されており、本発明の範囲を限定することは意図されていない。説明された実施形態は、異なる特徴を含み、それらのすべてが本発明のすべての実施形態において必要とされるわけではない。いくつかの実施形態は、特徴のいくつかまたは特徴の可能な組み合わせのみを利用する。説明されている本発明の実施形態の変形、および説明されている実施形態に記載されている特徴の異なる組み合わせを含む本発明の実施形態は、当業者に想到されよう。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ制限される。