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特許7309743レーザレーダシステム及びその制御方法、走査角度の取得方法、車両
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】レーザレーダシステム及びその制御方法、走査角度の取得方法、車両
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20230710BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20230710BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S7/481 Z
G01S17/931
G02B26/10 C
G02B26/10 104Z
【請求項の数】 41
(21)【出願番号】P 2020549857
(86)(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 CN2018119684
(87)【国際公開番号】W WO2019109993
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-11-30
(31)【優先権主張番号】201711303151.4
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810704708.3
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201821028783.4
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201821028784.9
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519434972
【氏名又は名称】上海禾賽科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hesai Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.2 Building,No.468 XinLai Road,Jiading District,Shanghai,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】叶良▲ちぇん▼
(72)【発明者】
【氏名】呉世祥
(72)【発明者】
【氏名】向少卿
(72)【発明者】
【氏名】毛勝平
(72)【発明者】
【氏名】張子夏
(72)【発明者】
【氏名】李一帆
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0299721(US,A1)
【文献】特開2016-184018(JP,A)
【文献】特開2015-143620(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105527619(CN,A)
【文献】国際公開第2015/155812(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S 17/00-17/95
G01C 3/00- 3/32
G02B 26/10-26/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、光伝送モジュールと、走査モジュールと、測定モジュールとを含み、前記光源、前記光伝送モジュール、及び前記走査モジュールは、第1の光路に沿ってこの順に設けられ、前記走査モジュール、前記光伝送モジュール、及び前記測定モジュールは、第2の光路に沿ってこの順に設けられているレーザレーダシステムであって、
前記第1の光路において、前記光源はレーザビームを放射することに適し、前記光伝送モジュールは前記光源から放射されるレーザビームを前記走査モジュールに伝送することに適し、前記走査モジュールは、前記光伝送モジュールによって伝送されるレーザビームを三次元空間へ反射することに適し、三次元空間へ反射されるレーザビームの方向を変更することで前記三次元空間を走査することに適し、
前記第2の光路において、前記走査モジュールはレーザビームのエコー信号を前記光伝送モジュールへ反射することに適し、前記光伝送モジュールは前記走査モジュールで反射されるレーザビームのエコー信号を前記測定モジュールへ反射することに適し、前記測定モジュールは、前記光伝送モジュールで反射されるレーザビームのエコー信号を受信して処理することにより、前記三次元空間における障害物の情報を取得することに適し、前記レーザビームのエコー信号は、三次元空間の障害物が前記走査モジュールで反射されるレーザビームを反射することで形成され
前記測定モジュールは、
前記光伝送モジュールで反射されるレーザビームのエコー信号のうち波長が既定の波長範囲外にある光信号をろ過することに適しているろ過サブモジュールと、
前記ろ過サブモジュールによってろ過されたレーザビームのエコー信号を収束させることに適している収束モジュールと、
前記収束モジュールによって収束したレーザビームのエコー信号を受信して処理することにより、前記障害物の情報を取得することに適している測定サブモジュールと、を含み、
前記測定サブモジュールは、光電センサと、前記光電センサに結合されている光学コンセントレータとを含み、前記光学コンセントレータは前記光電センサによって収集される入射光の角度範囲を拡大することに適していることを特徴とするレーザレーダシステム。
【請求項2】
前記第1の光路の一部と前記第2の光路の一部とは平行又は同軸であることを特徴とする請求項1に記載のレーザレーダシステム。
【請求項3】
前記光伝送モジュールは、
光チャネルが設けられた支持体と、
前記支持体に設けられ、前記光チャネルに沿って順に設けられ、既定の光路に従ってビームを伝送することに適している少なくとも1つの伝送サブモジュールと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のレーザレーダシステム。
【請求項4】
前記支持体は、第1の端、第2の端及び第3の端と、前記第1の端と前記第2の端とを連通させる第1の光チャネル及び前記第2の端と前記第3の端とを連通させる第2の光チャネルとを有し、
前記光伝送モジュールは、前記第1の端、前記第2の端及び前記第3の端にそれぞれ設けられた第1の伝送サブモジュール、第2の伝送サブモジュール及び第3の伝送サブモジュールを含むことを特徴とする請求項3に記載のレーザレーダシステム。
【請求項5】
前記第1の伝送サブモジュールは前記第1の光チャネルに垂直に設けられ、前記第2の伝送サブモジュールは前記第1の光チャネルと前記第2の光チャネルのそれぞれに対して45度の角度で設けられ、前記第3の伝送サブモジュールは、前記第2の光チャネルに対して45度の角度で設けられ、前記第1の光チャネルと前記第2の光チャネルとは垂直であることを特徴とする請求項4に記載のレーザレーダシステム。
【請求項6】
前記第1の伝送サブモジュールは前記光源から放射されるレーザビームを平行レーザビームに調整することに適しているコリメートモジュールであり、
前記第2の伝送サブモジュールは前記コリメートモジュールによって調整された平行レーザビームを反射することに適している反射モジュールであり、
前記第3の伝送サブモジュールは前記反射モジュールで反射される平行レーザビームの透過、及び前記平行レーザビームのエコー信号の反射に適している分光モジュールであることを特徴とする請求項4又は5に記載のレーザレーダシステム。
【請求項7】
前記支持体の一方側に設けられた光ファイバをさらに含み、前記光ファイバの一端は前記光源に接続されることに適し、前記光ファイバの他端は、前記光ファイバの他端から出射されるレーザビームを前記支持体の1つの伝送サブモジュールに入射するように、前記光ファイバ内のレーザビームの伝播方向を変更することに適していることを特徴とする請求項3に記載のレーザレーダシステム。
【請求項8】
前記光ファイバの他端の端面は前記光ファイバの光軸に対して45度の角度をなし、前記端面には高反射媒体コートが設けられており、前記光ファイバ内のレーザビームは前記端面での反射を介して前記支持体の1つの伝送サブモジュールに入射されることを特徴とする請求項7に記載のレーザレーダシステム。
【請求項9】
前記光ファイバの他端の端面は前記光ファイバの光軸に対して所定の角度をなし、前記光ファイバ内のビームは前記端面での屈折を介して前記支持体の1つの伝送サブモジュールに入射されることを特徴とする請求項7に記載のレーザレーダシステム。
【請求項10】
前記光チャネルは貫通孔を含み、前記貫通孔の内部には空気が存在するか或いは光透過媒体が充填されることを特徴とする請求項3に記載のレーザレーダシステム。
【請求項11】
前記光源、光伝送モジュール、走査モジュール及び測定モジュールを収容するためのハウジングをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のレーザレーダシステム。
【請求項12】
前記光源は前記ハウジングの天井部の空間内に設けられていることを特徴とする請求項11に記載のレーザレーダシステム。
【請求項13】
前記光源は前記ハウジングの天井部の内面に接触していることを特徴とする請求項12に記載のレーザレーダシステム。
【請求項14】
前記光源の周囲には放熱部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は12に記載のレーザレーダシステム。
【請求項15】
光ファイバをさらに含み、前記光源は、前記光伝送モジュールの上方に設けられ、前記光ファイバによって前記光伝送モジュールに結合され、前記光源と前記光伝送モジュールとの間に位置する光ファイバは鉛直方向に沿って延びていることを特徴とする請求項1に記載のレーザレーダシステム。
【請求項16】
前記光源は前記光源から放射されるレーザビームの光強度分布を調整することに適している光強度調整素子をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のレーザレーダシステム。
【請求項17】
前記光強度調整素子は前記光源から放射されるレーザビームのピーク強度を低くすることに適するレンズ素子を含むことを特徴とする請求項16に記載のレーザレーダシステム。
【請求項18】
前記ハウジングの側壁に嵌め込むように設けられ、前記走査モジュールで反射されるレーザビーム、及び三次元空間からの前記レーザビームのエコー信号を透過させることに適しているフロントウィンドウをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のレーザレーダシステム。
【請求項19】
前記フロントウィンドウは前記走査モジュールが所定の走査角で反射するレーザビームに対して傾斜角度で設けられ、前記走査角は前記走査モジュールの初期位置に対する偏向角であることを特徴とする請求項18に記載のレーザレーダシステム。
【請求項20】
前記フロントウィンドウは前記ハウジングの台座に対して傾斜角度で設けられていることを特徴とする請求項18に記載のレーザレーダシステム。
【請求項21】
前記走査モジュールは、静電式ガルバノミラー、電磁式ガルバノミラー、圧電式ガルバノミラー又は電熱式ガルバノミラーを含むことを特徴とする請求項1に記載のレーザレーダシステム。
【請求項22】
前記走査モジュールは一次元ガルバノミラー又は二次元ガルバノミラーを含むことを特徴とする請求項1に記載のレーザレーダシステム。
【請求項23】
前記走査モジュールは、
前記光伝送モジュールによって伝送されるレーザビームを三次元空間へ反射することに適し、回転又は揺動により三次元空間へ反射されるレーザビームの方向を変更することに適している可動部と、
前記可動部が回転又は揺動するように駆動する駆動部と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のレーザレーダシステム。
【請求項24】
前記駆動部は、磁場を発生させることに適している磁性体ユニットと、駆動コイルとを含み、前記磁場は前記駆動コイルの位置する平面内の磁場成分を有し、前記駆動コイルは、前記可動部に結合され、駆動電流を入力する際に、前記磁場の力により回転又は揺動しかつ前記可動部が回転又は揺動するように駆動することに適していることを特徴とする請求項23に記載のレーザレーダシステム。
【請求項25】
前記走査モジュールは、走査基板と、前記駆動部とを含み、
前記走査基板は、第1のねじり軸、支持部、及び前記可動部を含み、前記可動部は、前記第1のねじり軸によって前記支持部に結合され、前記第1のねじり軸まわりに回転又は揺動することに適していることを特徴とする請求項24に記載のレーザレーダシステム。
【請求項26】
前記磁性体ユニットは前記走査基板の厚さ方向に沿う少なくとも一方側に設けられた磁性体を含み、前記磁性体と前記可動部との間には既定の距離があることを特徴とする請求項25に記載のレーザレーダシステム。
【請求項27】
前記磁性体ユニットは前記走査基板の厚さ方向に沿う両側に対向して設けられた磁性体を含み、対向する磁性体の磁極方向は逆であり、前記走査基板の同じ側に位置する磁性体は前記第1のねじり軸の両側に別体で設けられ、前記第1のねじり軸の両側に位置する磁性体の磁極方向は逆であることを特徴とする請求項26に記載のレーザレーダシステム。
【請求項28】
前記可動部は、内枠と、第2のねじり軸と、外枠とを含み、前記外枠は、前記第1のねじり軸によって前記支持部に結合され、前記第1のねじり軸まわりに回転又は揺動することに適し、前記内枠は、前記第2のねじり軸によって前記外枠に結合され、前記第2のねじり軸まわりに回転又は揺動することに適し、前記内枠はレーザビームを反射することに適している滑らかな表面を有し、前記駆動コイルは前記外枠又は内枠に設けられていることを特徴とする請求項25に記載のレーザレーダシステム。
【請求項29】
前記第1のねじり軸と前記第2のねじり軸とは互いに垂直であり、前記磁性体ユニットは前記走査基板の厚さ方向に沿う少なくとも一方側に設けられた磁性体を含み、前記走査基板の同じ側に位置する磁性体は前記第1のねじり軸及び前記第2のねじり軸に対して対角方向に設けられ、前記対角方向に沿って設けられた磁性体の磁極方向は逆であることを特徴とする請求項28に記載のレーザレーダシステム。
【請求項30】
前記磁性体ユニットは前記走査基板の厚さ方向に沿う両側に対向して設けられた磁性体を含み、前記対向する磁性体の磁極方向は逆であることを特徴とする請求項29に記載のレーザレーダシステム。
【請求項31】
前記磁性体は前記可動部の周方向を取り囲むように設けられ、前記可動部が前記走査基板の表面に平行になる場合、前記磁性体の前記可動部を取り囲む一方側は前記駆動コイルに平行になることを特徴とする請求項26又は29に記載のレーザレーダシステム。
【請求項32】
前記駆動コイルは、前記可動部の表面に設けられ、前記可動部の周方向に沿って設けられ、前記駆動コイルは円環状又は楕円環状をなしており、前記磁性体の前記可動部を取り囲む一方側は前記駆動コイルの対向する弧セグメントに平行する弧面であることを特徴とする請求項31に記載のレーザレーダシステム。
【請求項33】
前記駆動コイルは、前記可動部の表面に設けられ、前記可動部の周方向に沿って設けられ、前記駆動コイルは多角形をなしており、前記磁性体の前記駆動コイルを取り囲む一方側は前記駆動コイルの一つの辺に平行する平面であることを特徴とする請求項31に記載のレーザレーダシステム。
【請求項34】
前記磁性体の前記可動部を取り囲む一方側は前記走査基板の厚さ方向に沿う断面が弧形をなしており、前記弧形の中心は前記磁性体の内部へ窪んでいることを特徴とする請求項31に記載のレーザレーダシステム。
【請求項35】
前記磁性体ユニットは前記走査基板の少なくとも一方側に設けられた磁気伝導シートをさらに含み、前記走査基板の前記少なくとも一方側に位置する磁性体は前記磁気伝導シートと前記走査基板との間に設けられていることを特徴とする請求項26又は27に記載のレーザレーダシステム。
【請求項36】
前記走査基板の同じ側に位置する磁性体は前記可動部の中心に対して対称に設けられる2つの磁性体を含み、前記駆動コイルは、前記可動部に設けられ、前記可動部の周方向に沿って設けられ、各磁性体は前記可動部の周方向に沿う長さが前記駆動コイルの周長の1/4以上で前記駆動コイルの周長の1/2未満であることを特徴とする請求項26又は27に記載のレーザレーダシステム。
【請求項37】
前記走査基板の材料は鋼又はベリリウム銅であることを特徴とする請求項25に記載のレーザレーダシステム。
【請求項38】
前記内枠に設けられ、前記内枠の走査角度を測定することに適している測角コイルをさらに含むことを特徴とする請求項28に記載のレーザレーダシステム。
【請求項39】
車両本体と、前記車両本体に取り付けられ、前記車両本体の周囲の三次元空間における障害物の情報の測定に適している請求項1~38のいずれか1項に記載のレーザレーダシステムと、を含むことを特徴とする車両。
【請求項40】
レーザビームを放射するように前記光源を含む放射モジュールを制御することと、
既定の周波数で三次元空間を走査するように前記走査モジュールを制御することと、
前記走査モジュールで反射されるレーザビームのエコー信号を受信して処理するように前記測定モジュールを制御することで、三次元空間における障害物の情報を取得することと、を含むことを特徴とする請求項1~38のいずれか1項に記載のレーザレーダシステムの制御方法。
【請求項41】
請求項38に記載のレーザレーダシステムの走査角度を取得するための走査角度の取得方法において、
前記レーザレーダシステムの測角コイルの角度信号を抽出することと、
前記角度信号に基づいて、前記レーザレーダシステムの走査角度を計算することと、を含むことを特徴とする走査角度の取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2017年12月8日に中国専利局に提出され、出願番号が201711303151.4であり、発明の名称が「共振型走査ミラー、走査方法、角度の測定方法及び加工方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全文の内容が援用により本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、2018年6月29日に中国専利局に提出され、出願番号が201810704708.3であり、発明の名称が「光伝送モジュール、レーザ放射モジュール、レーザレーダシステム及び車両」である中国特許出願の優先権を主張し、その全文の内容が援用により本出願に組み込まれる。
【0003】
本出願は、2018年6月29日に中国専利局に提出され、出願番号が201821028783.4であり、発明の名称が「走査ミラー」である中国特許出願の優先権を主張し、その全文の内容が援用により本出願に組み込まれる。
【0004】
本出願は、2018年6月29日に中国専利局に提出され、出願番号が201821028784.9であり、発明の名称が「レーザレーダシステム」である中国特許出願の優先権を主張し、その全文の内容が援用により本出願に組み込まれる。
【0005】
本発明は、レーザ測定の技術分野に属し、特に、レーザレーダシステム及びその制御方法、走査角度の取得方法、車両に関するものである。
【背景技術】
【0006】
レーザレーダは、レーザビームを放射して対象物の位置、速度等の特徴量を測定するレーダシステムであり、レーザ技術と光電測定技術とを組み合わせた先端的な測定方法である。レーザレーダは、その高解像度、優れた隠蔽性、強いアンチアクティブジャミング能力、低高度での良好な測定性能、小体積及び低重量という利点により、自動運転、交通通信、ドローン、インテリジェントロボット、エネルギーセキュリティの検出、資源探査などの分野に幅広く応用され、国民経済、社会発展及び科学研究に極めて重要なオリジナルデータを提供し、良好な応用の見込みを示している。
【0007】
無人運転分野において、レーザレーダは、小体積、高信頼性、高結像フレームレート、高解像度、遠距離測距等の性能を満たす必要がある。レーザレーダに含まれる多くの部品、例えば光源、探知機、集積回路板、リード線等は、小体積に対する市場の要求を満たすとともに、他の技術指標の実現にも影響しないように、いずれも合理的な構造の設計が行われる必要がある。長距離のレーザレーダシステムに対して、受光時の光学アパーチャーのサイズが大きいこと、即ち大きいサイズの鏡面が要求されるだけでなく、大きい光学走査角も要求される。
【0008】
しかし、従来のレーザレーダシステムでは、小体積と複数の性能パラメータとの間にバランスを取ることが難しく、例えば、従来のレーザレーダは、光源の放熱性能が悪く、シグナルノイズ比が低く、大角度の走査を実現できず、鏡面サイズが小さく、鏡面の平坦性を確保し難い等の一連の問題がある。特定の光路設計を満たすことを前提として、空間利用率を高め、その構造をよりコンパクトにするために、レーザレーダの内部空間を合理的に配置すること、および、全体として前記レーザレーダシステムの総合的な性能を向上させ、その応用場面を増やすために、従来技術を基礎として各部材の性能をさらに改善することは、依然として現在レーザレーダの発展中に早急に改善すべき課題になっている。
【発明の概要】
【0009】
本発明が解決しようとする技術課題は、レーザレーダの小型化を実現するとともに、光源の放熱性能を向上させ、収集したデータのシグナルノイズ比を高くし、受光時の光学アパーチャー及び走査画角を大きくすることなどにある。
【0010】
上記技術課題を解決するために、本発明の実施例は、光源と、光伝送モジュールと、走査モジュールと、測定モジュールとを含み、前記光源、前記光伝送モジュール、及び前記走査モジュールは、第1の光路に沿ってこの順に設けられ、前記走査モジュール、前記光伝送モジュール、及び前記測定モジュールは、第2の光路に沿ってこの順に設けられているレーザレーダシステムであって、前記第1の光路において、前記光源は、レーザビームを放射することに適し、前記光伝送モジュールは、前記光源から放射されるレーザビームを前記走査モジュールに伝送することに適し、前記走査モジュールは、前記光伝送モジュールによって伝送されるレーザビームを三次元空間へ反射することに適し、三次元空間へ反射されるレーザビームの方向を変更することで前記三次元空間を走査することに適し、前記第2の光路において、前記走査モジュールは、レーザビームのエコー信号を前記光伝送モジュールへ反射することに適し、前記光伝送モジュールは、前記走査モジュールで反射されるレーザビームのエコー信号を前記測定モジュールへ反射することに適し、前記測定モジュールは、前記光伝送モジュールで反射されるレーザビームのエコー信号を受信して処理することにより、前記三次元空間における障害物の情報を取得することに適し、前記レーザビームのエコー信号は、三次元空間の障害物が前記走査モジュールで反射されるレーザビームを反射することで形成されるレーザレーダシステムを提供する。
【0011】
本発明において、前記第1の光路の一部と前記第2の光路の一部とは平行又は同軸である。
【0012】
本発明において、前記光伝送モジュールは、光チャネルが設けられた支持体と、前記支持体に設けられ、前記光チャネルに沿って順に設けられ、既定の光路に従ってビームを伝送することに適している少なくとも1つの伝送サブモジュールと、を含む。
【0013】
本発明において、前記支持体は、第1の端、第2の端及び第3の端と、前記第1の端と前記第2の端とを連通させる第1の光チャネル及び前記第2の端と前記第3の端とを連通させる第2の光チャネルとを有し、前記光伝送モジュールは、前記第1の端、前記第2の端及び前記第3の端にそれぞれ設けられた第1の伝送サブモジュール、第2の伝送サブモジュール及び第3の伝送サブモジュールを含む。
【0014】
本発明において、前記第1の伝送サブモジュールは前記第1の光チャネルに垂直に設けられ、前記第2の伝送サブモジュールは前記第1の光チャネルと前記第2の光チャネルのそれぞれに対して45度の角度で設けられ、前記第3の伝送サブモジュールは前記第2の光チャネルに対して45度の角度で設けられ、前記第1の光チャネルと前記第2の光チャネルとは垂直である。
【0015】
本発明において、前記第1の伝送サブモジュールは前記光源から放射されるレーザビームを平行レーザビームに調整することに適しているコリメートモジュールであり、前記第2の伝送サブモジュールは前記コリメートモジュールによって調整された平行レーザビームを反射することに適している反射モジュールであり、前記第3の伝送サブモジュールは前記反射モジュールで反射される平行レーザビームの透過、及び前記平行レーザビームのエコー信号の反射に適している分光モジュールである。
【0016】
本発明において、前記レーザレーダシステムは前記支持体の一方側に設けられた光ファイバをさらに含み、前記光ファイバの一端は前記光源に接続されることに適し、前記光ファイバの他端は、前記光ファイバの他端から出射されるレーザビームを前記支持体の1つの伝送サブモジュールに入射するように、前記光ファイバ内のレーザビームの伝播方向を変更することに適している。
【0017】
本発明において、前記光ファイバの他端の端面は前記光ファイバの光軸に対して45度の角度をなし、前記端面には高反射媒体コートが設けられており、前記光ファイバ内のレーザビームは前記端面での反射を介して前記支持体の1つの伝送サブモジュールに入射される。
【0018】
本発明において、前記光ファイバの他端の端面は前記光ファイバの光軸に対して所定の角度をなし、前記光ファイバ内のビームは前記端面での屈折を介して前記支持体の1つの伝送サブモジュールに入射される。
【0019】
本発明において、前記光チャネルは貫通孔を含み、前記貫通孔の内部には空気が存在するか或いは光透過媒体が充填される。
【0020】
本発明において、前記レーザレーダシステムは、前記光源、光伝送モジュール、走査モジュール及び測定モジュールを収容するためのハウジングをさらに含む。
【0021】
本発明において、前記光源は前記ハウジングの天井部の空間内に設けられている。
【0022】
本発明において、前記光源は前記ハウジングの天井部の内面に接触している。
【0023】
本発明において、前記光源の周囲には放熱部材が設けられている。
【0024】
本発明において、前記レーザレーダシステムは光ファイバをさらに含み、前記光源は、前記光伝送モジュールの上方に設けられ、前記光ファイバによって前記光伝送モジュールに結合され、前記光源と前記光伝送モジュールとの間に位置する光ファイバは鉛直方向に沿って延びている。
【0025】
本発明において、前記光源は、前記光源から放射されるレーザビームの光強度分布を調整することに適している光強度調整素子をさらに含む。
【0026】
本発明において、前記光強度調整素子は、前記光源から放射されるレーザビームのピーク強度を低くすることに適しているレンズ素子を含む。
【0027】
本発明において、前記レーザレーダシステムは、前記ハウジングの側壁に嵌め込むように設けられ、前記走査モジュールで反射されるレーザビーム、及び三次元空間からの前記レーザビームのエコー信号を透過させることに適しているフロントウィンドウをさらに含む。
【0028】
本発明において、前記フロントウィンドウは前記走査モジュールが所定の走査角で反射するレーザビームに対して傾斜角度で設けられ、前記走査角は前記走査モジュールの初期位置に対する偏向角である。
【0029】
本発明において、前記フロントウィンドウは前記ハウジングの台座に対して傾斜角度で設けられている。
【0030】
本発明において、前記走査モジュールは、静電式ガルバノミラー、電磁式ガルバノミラー、圧電式ガルバノミラー又は電熱式ガルバノミラーを含む。
【0031】
本発明において、前記走査モジュールは一次元ガルバノミラー又は二次元ガルバノミラーを含む。
【0032】
本発明において、前記走査モジュールは、前記光伝送モジュールによって伝送されるレーザビームを三次元空間へ反射することに適し、回転又は揺動により三次元空間へ反射されるレーザビームの方向を変更することに適している可動部と、前記可動部が回転又は揺動するように駆動する駆動部と、を含む。
【0033】
本発明において、前記駆動部は、磁場を発生させることに適している磁性体ユニットと、駆動コイルとを含み、前記磁場は前記駆動コイルの位置する平面内の磁場成分を有し、前記駆動コイルは、前記可動部に結合され、駆動電流を入力する際に、前記磁場の力により回転又は揺動しかつ前記可動部が回転又は揺動するように駆動することに適している。
【0034】
本発明において、前記走査モジュールは、走査基板と、前記駆動部とを含み、前記走査基板は、第1のねじり軸、支持部、及び前記可動部を含み、前記可動部は、前記第1のねじり軸によって前記支持部に結合され、前記第1のねじり軸まわりに回転又は揺動することに適している。
【0035】
本発明において、前記磁性体ユニットは前記走査基板の厚さ方向に沿う少なくとも一方側に設けられた磁性体を含み、前記磁性体と前記可動部との間には既定の距離がある。
【0036】
本発明において、前記磁性体ユニットは前記走査基板の厚さ方向に沿う両側に対向して設けられた磁性体を含み、対向する磁性体の磁極方向は逆であり、前記走査基板の同じ側に位置する磁性体は前記第1のねじり軸の両側に別体で設けられ、前記第1のねじり軸の両側に位置する磁性体の磁極方向は逆である。
【0037】
本発明において、前記可動部は、内枠と、第2のねじり軸と、外枠とを含み、前記外枠は前記第1のねじり軸によって前記支持部に結合され、前記第1のねじり軸まわりに回転又は揺動することに適し、前記内枠は、前記第2のねじり軸によって前記外枠に結合され、前記第2のねじり軸まわりに回転又は揺動することに適し、前記内枠はレーザビームを反射することに適している前記滑らかな表面を有し、前記駆動コイルは前記外枠又は内枠に設けられている。
【0038】
本発明において、前記第1のねじり軸と前記第2のねじり軸とは互いに垂直であり、前記磁性体ユニットは前記走査基板の厚さ方向に沿う少なくとも一方側に設けられた磁性体を含み、前記走査基板の同じ側に位置する磁性体は前記第1のねじり軸及び前記第2のねじり軸に対して対角方向に設けられ、前記対角方向に沿って設けられた磁性体の磁極方向は逆である。
【0039】
本発明において、前記磁性体ユニットは前記走査基板の厚さ方向に沿う両側に対向して設けられた磁性体を含み、前記対向する磁性体の磁極方向は逆である。
【0040】
本発明において、前記磁性体は前記可動部の周方向を取り囲むように設けられ、前記可動部が前記走査基板の表面に平行になる場合、前記磁性体の前記可動部を取り囲む一方側は前記駆動コイルに平行になる。
【0041】
本発明において、前記駆動コイルは、前記可動部の表面に設けられ、前記可動部の周方向に沿って設けられ、前記駆動コイルは、円環状、又は楕円環状をなしており、前記磁性体の前記可動部を取り囲む一方側は前記駆動コイルの対向する弧セグメントに平行する弧面である。
【0042】
本発明において、前記駆動コイルは、前記可動部の表面に設けられ、前記可動部の周方向に沿って設けられ、前記駆動コイルは多角形をなしており、前記磁性体の前記駆動コイルを取り囲む一方側は前記駆動コイルの一つの辺に平行する平面である。
【0043】
本発明において、前記磁性体の前記可動部を取り囲む一方側は前記走査基板の厚さ方向に沿う断面が弧形をなしており、前記弧形の中心は前記磁性体の内部へ窪んでいる。
【0044】
本発明において、前記磁性体ユニットは前記走査基板の少なくとも一方側に設けられた磁気伝導シートをさらに含み、前記走査基板の前記少なくとも一方側に位置する磁性体は前記磁気伝導シートと前記走査基板との間に設けられている。
【0045】
本発明において、前記走査基板の同じ側に位置する磁性体は前記可動部に対して中心対称に設けられた2つの磁性体を含み、前記駆動コイルは、前記可動部に設けられ、前記可動部の周方向に沿って設けられ、各磁性体は前記可動部の周方向に沿う長さが前記駆動コイルの周長の1/4以上で前記駆動コイルの周長の1/2未満である。
【0046】
本発明において、前記走査基板の材料は鋼又はベリリウム銅である。
【0047】
本発明において、前記レーザレーダシステムは、前記内枠に設けられ、前記内枠の走査角度を測定することに適している測角コイルをさらに含む。
【0048】
本発明において、前記測定モジュールは、前記光伝送モジュールで反射されるレーザビームのエコー信号のうち波長が既定の波長範囲外にある光信号をろ過することに適しているろ過サブモジュールと、前記ろ過サブモジュールによってろ過されたレーザビームのエコー信号を収束させることに適している収束モジュールと、前記収束モジュールによって収束したレーザビームのエコー信号を受信して処理することにより、前記障害物の情報を取得することに適している測定サブモジュールと、を含む。
【0049】
本発明において、前記測定サブモジュールは、光電センサと、前記光電センサに結合されている光学コンセントレータとを含み、前記光学コンセントレータは前記光電センサによって収集される入射光の角度範囲を拡大することに適している。本発明の実施例において、車両本体と、前記車両本体に取り付けられ、前記車両の周囲の三次元空間における障害物の情報の測定に適している前記レーザレーダシステムと、を含む車両をさらに提供する。
【0050】
本発明の実施例において、レーザビームを放射するように前記放射モジュールを制御することと、既定の周波数で三次元空間を走査するように前記走査モジュールを制御することと、前記走査モジュールで反射されるレーザビームのエコー信号を受信して処理するように前記測定モジュールを制御することで、三次元空間における障害物の情報を取得することと、を含むレーザレーダシステムの制御方法をさらに提供する。
【0051】
本発明の実施例において、前記レーザレーダシステムの走査角度を取得するための走査角度の取得方法をさらに提供し、前記走査角度の取得方法は、前記レーザレーダシステムの測角コイルの角度信号を抽出することと、前記角度信号に基づいて、前記レーザレーダシステムの走査角度を計算することと、を含む。
【0052】
従来技術と比較してみると、本発明の実施例に係る技術方案により下記発明の効果を獲得することができる。
【0053】
本発明の実施例に係るレーザレーダシステムは、前記光源、光伝送モジュール、及び走査モジュールを第1の光路にこの順に設けることにより、レーザビームによる三次元空間の走査を実現し、前記走査モジュール、光伝送モジュール、及び測定モジュールを第2の光路にこの順に設けることにより、レーザビームのエコー信号の受信を実現し、前記レーザビームのエコー信号は、三次元空間の障害物が前記走査モジュールで反射されるレーザビームを反射することで形成されるので、三次元空間における障害物の情報を取得することができる。
【0054】
前記第1の光路の一部と前記第2の光路の一部とは平行又は同軸であり、即ち前記レーザレーダシステムは同軸システムであることにより、非同軸レーザレーダシステムの放射光路と受光光路のレベリングの問題を効果的に回避し、放射光路と受光光路とが常に同軸又は平行であることを確保することができる。
【0055】
前記光伝送モジュールは、支持体と、前記支持体に設けられた複数の伝送サブモジュールとを含み、前記複数の伝送サブモジュールは、前記光チャネルに沿って順に設けられ、既定の光路に従ってビームを伝送することに適しているので、伝送サブモジュールごとに単独で支持枠を設ける必要がなく、前記複数の伝送サブモジュールの集積度を向上させた。また、前記光チャネルは前記支持体の内部に設けられ、前記既定の光路は支持体以外のスペースを占める必要がないので、前記光伝送モジュールの構造及び光路はいずれも、コンパクト化設計を満たし、前記光伝送モジュールの実際に占めた体積を小さくし、前記レーザレーダシステムの内部空間の利用率を高め、レーザレーダの小型化に対する市場の要求を満たした。
【0056】
前記光伝送モジュールは、前記支持体の第1の端、第2の端及び第3の端にそれぞれ設けられ、前記第1の光チャネル及び第2の光チャネルに対してそれぞれ所定の角度で設けられたコリメートモジュール、反射モジュール及び分光モジュールを含むことにより、省スペースの前提でレーザビームに対するコリメート、反射及び分光を順に実現する。
【0057】
前記レーザレーダシステムは前記支持体の一方側に設けられた光ファイバをさらに含み、前記光ファイバの他端の端面が、前記光ファイバの光軸に対して45度の角度をなすように設けられることにより、レーザビームを偏向させる機能を実現でき、或いは、前記光ファイバの他端の端面が、前記光ファイバの光軸に対して所定の角度をなすように設けられることにより、前記光ファイバ内のビームを前記端面で屈折させることでレーザビームを偏向させる機能を実現する。本発明の実施例では、前記光ファイバの端面の特異な設計により、光ファイバはビームを伝送するとともに反射モジュールによるビームの偏向作用を発揮するので、反射モジュールを追加して設ける必要がなく、前記支持体における伝送サブモジュールの数を減らし、光ファイバを効率的に利用する。
【0058】
前記光源は前記レーザレーダのハウジングの天井部の空間内に設けられることにより、光源の放熱に有利である一方、光ファイバの配置に有利である。
【0059】
前記光源は前記ハウジングの天井部の内面に接触していることにより、前記光源の熱量が前記ハウジングによって放出されることができる。
【0060】
前記光源の周囲には、放熱パッド、熱伝導ゲル、ヒートパイプ、冷却水又は冷却ガス等の放熱部材が設けられていることにより、放熱効果を向上させた。
【0061】
前記光源と前記ハウジングの天井部の内面との間には放熱部材を収容するための既定の距離があってもよいので、放熱効果の向上に有利である。
【0062】
前記光源は前記光伝送モジュールの上方に設けられ、光ファイバによって前記光伝送モジュールに結合され、前記光源と前記光伝送モジュールとの間に位置する光ファイバは鉛直方向に沿って延びていることにより前記レーザレーダシステムの内部構造と光路設計をコンパクトにし、前記ハウジングの内部空間の利用率を高め、前記レーザレーダシステムの小型化に有利である。
【0063】
前記光源は前記光源から放射されるレーザビームの光強度分布を調整することに適している光強度調整素子をさらに含み、前記光強度調整素子は前記光源から放射されるレーザビームのピーク強度を低くすることに適しているレンズ素子を含んでもよいので、レーザレーダシステムの放射強度が許容できる限度以下に維持され全光束が減衰しないことを保証でき、前記レーザレーダシステムの安全性能を向上させた。
【0064】
前記レーザレーダシステムのフロントウィンドウが前記ハウジングの台座に対して傾斜角度で設けられていることは、前記フロントウィンドウが前記レーザレーダシステムの所定方向に沿う出射光に対して傾斜角度で設けられることにより、出射光のフロントウィンドウで反射された迷光が元の経路に沿って前記ハウジングの内部に戻すことを防止し、前記レーザレーダシステムのシグナルノイズ比を高くすることを実質的なメカニズムとする。
【0065】
前記走査モジュールは、可動部と、磁性体ユニット及び駆動コイルを備える駆動部とを含み、前記駆動コイルが前記可動部に結合されるように設けられることで、前記駆動コイルに駆動電流が入力されると、前記駆動コイルが磁場で力を受けて回転又は揺動し、前記可動部が回転又は揺動するように駆動することにより、低いコストで大アパーチャー、大角度の走査を実現することができる。
【0066】
前記磁性体ユニットは前記走査基板の厚さ方向に沿う少なくとも一方側に設けられた磁性体を含み、前記磁性体と前記可動部との間には既定の距離があることにより、前記磁性体が前記駆動コイルへ磁場を印加すると同時に前記可動部の回転又は揺動に干渉しない。
【0067】
前記磁性体ユニットは前記走査基板の厚さ方向に沿う両側に対向して設けられた磁性体を含み、前記対向する磁性体の磁極方向は逆であり、即ち前記走査基板の両側に位置する磁性体の同じ磁極が対向することにより、磁場が圧縮されて前記走査基板の表面に分布するようになり、前記走査基板の表面の磁場を強化できる。一方で、前記走査基板の同じ側に位置する磁性体は前記第1のねじり軸の両側に別体で設けられ、前記第1のねじり軸の両側に位置する磁性体の磁極方向は逆であり、即ち鉛直方向及び水平方向のいずれにおいても磁性体の磁極方向が逆であることにより、前記走査基板の表面に単一指向性磁場を生じることができる。
【0068】
前記可動部は、内枠と、第2のねじり軸と、外枠とを含み、前記外枠は前記第1のねじり軸によって前記支持部に結合され、前記内枠は前記第2のねじり軸によって前記外枠に結合され、即ち前記走査ミラーはスロー走査軸とされる前記第1のねじり軸及びファースト走査軸とされる前記第2のねじり軸の2つのねじり軸を備えることができ、前記ファースト走査軸とスロー走査軸とは周波数の差が大きいので、前記走査ミラーはラスタースキャンを実現できる。
【0069】
前記磁性体は前記可動部の周方向を取り囲むように設けられ、前記可動部が前記走査基板の表面に平行になる場合、前記磁性体の前記可動部を取り囲む一方側は前記駆動コイルに平行になることにより、前記磁性体と前記駆動コイルとの間の距離を短縮し、前記磁性体によって前記駆動コイルに印加される磁場を強化し、駆動力を大きくし、前記可動部の回転角を増加させ、さらに前記走査ミラーの光学走査角を大きくすることができる。
【0070】
前記磁性体の前記可動部を取り囲む一方側は前記走査基板の厚さ方向に沿う断面が弧形をなしており、前記弧形の中心は、前記磁性体の内部へ窪んでいることにより、前記磁性体は、鉛直方向(即ち、走査基板の厚さ方向)にも沿って前記駆動コイルを取り囲んで設けることができ、前記磁性体と駆動コイルとの間の距離を一層短縮し、磁場を強化し、駆動力を大きくした。
【0071】
前記走査基板の同じ側に位置する磁性体は前記可動部に対して中心対称になる2つの磁性体を含み、前記駆動コイルは前記可動部の周方向に沿って設けられ、各磁性体は前記可動部の周方向に沿う長さが前記駆動コイルの周長の1/4以上で前記駆動コイルの周長の1/2未満であり、即ち前記磁性体は、前記駆動コイルの周方向の長さをできるだけ広く覆うことにより、前記駆動コイルに印加される磁場を強化し、駆動力を大きくし、前記可動部の回転角を増加させ、前記走査ミラーの光学走査角を大きくした。
【0072】
前記磁性体ユニットは、前記走査基板の少なくとも一方側の磁性体の底部に設けられた磁気伝導シートをさらに含むことにより、磁気回路を閉路させ、前記走査基板の表面の磁場を強化し、即ち前記駆動コイルに印加される磁場を強化し、駆動力を大きくすることができる。
【0073】
前記磁性体ユニットは前記走査基板の厚さ方向に沿う一方側に設けられた磁性体を含み、前記磁性体と前記可動部との間には既定の距離があってもよい。磁性体が走査基板の一方側に設けられると、前記走査基板の他方側の空間を開放し、より大きな走査空間及び走査角度を実現でき、また、片側の磁性体の取付がより便利で簡単であり、取付のコストをさらに低減できる。
【0074】
前記可動部に走査角度の測定を実現するための測角コイルを設けることにより、MEMSプロセスに用いられるピエゾ抵抗又は電気容量による角度測定の方法を簡略化し、プロセスが簡単になり、コストが低くなる。
【0075】
前記測定サブモジュールは、光電センサと、前記光電センサに結合されている光学コンセントレータとを含み、前記光学コンセントレータは、前記光電センサによって収集される入射光の角度範囲を拡大することができるので、測定効率の向上に有利である。
【0076】
本発明の実施例に係る車両は、車両本体と、前記レーザレーダシステムとを含む。前記レーザレーダシステムは、体積が小さく、携帯及び取付が便利で、その応用場面を拡げた。前記レーザレーダシステムは、放熱性能が良く、シグナルノイズ比が高く、光学アパーチャー及び画角が大きくなり、即ち前記レーザレーダシステムの総合的な性能が向上したので、前記レーザレーダシステムのデータ測定の信頼性、安定性、及び測定効率を向上させ、さらに前記車両の運転の安全性を高め、前記レーザレーダシステムの無人運転等の分野での応用を最適化した。
【0077】
本発明の実施例に係るレーザレーダシステムの制御方法は、レーザビームを放射するように前記放射モジュールを制御し、既定の周波数で三次元空間を走査するように前記走査モジュールを制御し、前記走査モジュールで反射されるレーザビームのエコー信号を受信して処理するように前記測定モジュールを制御することで、三次元空間における障害物の情報を取得できる。
【0078】
本発明の実施例に係る走査角度の取得方法は、前記レーザレーダシステムの測角コイルの角度信号を抽出し、前記角度信号に基づいて、前記レーザレーダシステムの走査角度を計算することにより、レーザレーダシステムの走査性能をより良好に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1】本発明の一実施例に係るレーザレーダシステム10の構造ブロック図である。
図2】本発明の一実施例に係るレーザレーダシステム10の光伝送モジュール112の構造ブロック図である。
図3】本発明の一実施例に係るレーザレーダシステム10の走査モジュール12の構造ブロック図である。
図4】本発明の別の実施例に係るレーザレーダシステム10の走査モジュール22の構造ブロック図である。
図5】本発明の一実施例に係るレーザレーダシステム30の立体構造模式図Iである。
図6】本発明の図5に示す実施例に係るレーザレーダシステム30の平面図Iである。
図7】本発明の図5に示す実施例に係るレーザレーダシステム30の側面図である。
図8】本発明の別の実施例に係るレーザレーダシステムのハウジングの側壁451及び台座452の構造模式図である。
図9】本発明の図5に示す実施例に係るレーザレーダシステム30の立体構造模式図IIである。
図10】本発明の図5に示す実施例に係るレーザレーダシステム30の平面図IIである。
図11】本発明の一実施例に係る光伝送モジュール312の立体構造模式図である。
図12a】それぞれ本発明の図11に示す実施例に係る光伝送モジュール312の正面図、平面図、及び右側面図である。
図12b】それぞれ本発明の図11に示す実施例に係る光伝送モジュール312の正面図、平面図、及び右側面図である。
図12c】それぞれ本発明の図11に示す実施例に係る光伝送モジュール312の正面図、平面図、及び右側面図である。
図13a】本発明の図11に示す実施例に係る光伝送モジュール312の支持体316の立体構造模式図Iである。
図13b】本発明の図11に示す実施例に係る光伝送モジュール312の支持体316の立体構造模式図IIである。
図14】本発明の一実施例に係る走査ミラー36の立体構造模式図Iである。
図15】本発明の図14に示す実施例に係る走査ミラー36の立体構造模式図IIである。
図16】本発明の図14に示す実施例に係る走査ミラー36の立体構造模式図IIIである。
図17】本発明の図14に示す実施例に係る走査ミラー36の走査基板361及び磁性体362の立体構造模式図である。
図18】本発明の別の実施例に係る走査ミラーの走査基板461及び磁性体462の立体構造模式図である。
図19】本発明の別の実施例に係る走査ミラーの走査基板561の構造模式図である。
図20】本発明の別の実施例に係る走査ミラーの走査基板661の構造模式図である。
図21】本発明の別の実施例に係る走査ミラーの磁性体762の立体構造模式図である。
図22】本発明の図21に示す実施例に係る磁性体762の図21におけるAA1線に沿う断面図である。
図23】本発明の一実施例に係るレーザレーダシステムの制御方法のフローチャートである。
図24】本発明の一実施例に係る前記レーザレーダシステムの走査角度の取得方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本発明の上記目的、特徴及び有益な効果をより明白で分かり易くするために、以下では、図面を参照しながら本発明の具体的な実施例を詳しく説明する。本明細書における各実施例は漸進的に記述され、各実施例において他の実施例と異なっている点を重点として説明し、各実施例の同一又は類似する部分は他の実施例を参照することができる。
【0081】
本発明の実施例において、レーザレーダシステムを提供する。図1を参照すると、図1は本発明の一実施例に係るレーザレーダシステム10の構造ブロック図である。
【0082】
本発明の実施例において、前記レーザレーダシステム10は、レーザ放射モジュール11と、走査モジュール12と、測定モジュール13とを含んでもよい。ここで、前記レーザ放射モジュール11は、光源111と、光伝送モジュール112とを含む。前記光源111、前記光伝送モジュール112、及び前記走査モジュール12は、第1の光路(図1に実線の矢印に示すように)に沿ってこの順に設けられ、前記走査モジュール12、前記光伝送モジュール112、及び前記測定モジュール13は、第2の光路(図1に一点鎖線の矢印に示すように)に沿ってこの順に設けられている。
【0083】
本発明の実施例において、前記第1の光路は放射光路であってもよく、前記放射光路において、前記光源111はレーザビームを発生させることに適し、前記光伝送モジュール112は前記光源111によって発生したレーザビームを前記走査モジュール12に伝送することに適し、前記走査モジュール12は前記光伝送モジュール112によって伝送されるレーザビームを三次元空間へ反射することに適している。本発明の実施例において、前記走査モジュール12は三次元空間へ反射されるレーザビームの方向を変更することで三次元空間における障害物18を走査することに適している。
【0084】
本発明の実施例において、前記第2の光路は受光光路であってもよく、前記受光光路において、三次元空間において前記走査モジュール12で反射されるレーザビームが照射された障害物18により、前記レーザビームを反射してレーザビームのエコー信号を形成し、前記走査モジュール12は前記レーザビームのエコー信号を前記光伝送モジュール112へ反射することに適し、前記光伝送モジュール112は前記走査モジュール12で反射されるレーザビームのエコー信号を前記測定モジュール13へ反射することに適し、前記測定モジュール13は前記光伝送モジュール112で反射されるレーザビームのエコー信号を受信して処理することにより、前記三次元空間における障害物18の情報を取得することに適している。
【0085】
放射光路と受光光路との光軸が平行であるか、又は重なっているか否かによっては、レーザレーダは一般的に非同軸システムと同軸システムとに分けられる。本発明の実施例において、前記第1の光路の一部と前記第2の光路の一部とは平行又は同軸であってもよい。具体的には、図1に示すように、前記第1の光路において前記光伝送モジュール112と前記障害物18との間に介在する部分と、前記第2の光路において前記障害物18と前記光伝送モジュール112との間に介在する部分とは平行又は同軸であってもよく、即ち前記レーザレーダシステム10は同軸システムであってもよい。他の実施例において、前記第1の光路と前記第2の光路の光軸は平行ではないし、重なることもないようにしてもよく、即ち前記レーザレーダシステム10は非同軸システムであってもよい。同軸システムにより、非同軸レーザレーダシステムの放射光路と受光光路のレベリングの問題を効果的に回避することができる。
【0086】
本発明の実施例において、前記レーザレーダシステム10は制御モジュール14をさらに含んでもよく、前記制御モジュール14は、前記レーザ放射モジュール11、前記走査モジュール12及び前記測定モジュール13にそれぞれ結合されてもよく、それぞれレーザビームを発生して放射するように前記レーザ放射モジュール11を制御すること、三次元空間を走査するように前記走査モジュール12を制御すること、及び前記レーザビームのエコー信号を受信して処理するように前記測定モジュール13を制御することに適している。
【0087】
注意されたいことは、図1における前記第1の光路と第2の光路は、レーザビームの各モジュールの間の伝送関係を模式的に説明するためのものに過ぎず、実際の物理的空間におけるレーザビームの伝播方向を表すわけではない。具体的な実施例により前記レーザビームの伝播方向及び各モジュールの物理的位置を適当に変更してもよい。
【0088】
図2を参照すると、図2は本発明の一実施例に係るレーザレーダシステム10の光伝送モジュール112の構造ブロック図である。
【0089】
本発明の実施例において、前記光伝送モジュール112は、支持体1121及び少なくとも1つの伝送サブモジュール1122(即ち伝送サブモジュール1、伝送サブモジュール2、伝送サブモジュール3、…、伝送サブモジュールn、ただし、nは1以上の正の整数である)を含んでもよく、前記支持体1121内には光チャネルが設けられており、前記光チャネルは光線を通過させることに適してもよく、前記少なくとも1つの伝送サブモジュール1122は、前記支持体に設けられ、前記光チャネルに沿って順に設けられ、前記光チャネルで規定される既定の光路に従ってビームを伝送することに適している。
【0090】
本発明の実施例において、前記光伝送モジュール112は複数の伝送サブモジュール1122(即ちn≧2)を含んでもよく、前記光チャネルは、複数であって、隣接する伝送サブモジュール1122の間にそれぞれ介在することにより、前記隣接する伝送サブモジュール1122を連通させてもよく、前記伝送サブモジュール1122のそれぞれは、それに隣接する光チャネルに対して所定の角度で設けられてもよい。
【0091】
本発明の実施例において、前記光チャネルは貫通孔を含み、前記貫通孔の内部には空気が存在するか或いは光透過媒体が充填されることができる。
【0092】
本発明の実施例において、前記光チャネルは折れ線状であってもよく、これによって、前記支持体1121の内部空間の利用率の向上、および光路の占める前記支持体以外の空間の減少に有利である。
【0093】
注意されたいことは、本発明の実施例に係る前記光伝送モジュール112は、ビームの伝送に限定されず、伝送中に前記ビームを適当に調整し、例えば前記光源111(図1に示すように)から放射されるレーザビームに対してコリメート、収束又は分光等を行ってもよい。それに応じて、前記複数の伝送サブモジュール1122は、コリメートモジュール、収束モジュール及び/又は分光モジュール等を含んでもよい。
【0094】
図3を参照すると、図3は本発明の一実施例に係る走査モジュール12の構造ブロック図である。前記走査モジュール12は、前記光伝送モジュール112(図1に示すように)によって伝送されるレーザビームを三次元空間へ反射することに適し、回転又は揺動により三次元空間へ反射されるレーザビームの方向を変更することに適している可動部121と、前記可動部121が回転又は揺動するように駆動することに適している駆動部122とを含んでもよい。
【0095】
共振型走査ミラー(以下、単に「ガルバノミラー」と称する)式レーザレーダはソリッドステート式レーザレーダ方案のうち1つの重要なテクノロジーロードマップと見なされる。従来の投影結像と比較してみると、ガルバノミラー式レーザレーダにおいて、ガルバノミラーは、放射時のビームの走査に用いられるだけでなく、ビームのエコー信号の受信及び反射にも用いられてもよい。
【0096】
本発明の実施例において、前記駆動部の駆動方式によっては、ガルバノミラーを静電式ガルバノミラー、電磁式ガルバノミラー、圧電式ガルバノミラー又は電熱式ガルバノミラー等に分けることができる。
【0097】
本発明の実施例において、前記走査モジュール12は電磁式ガルバノミラーを含んでもよく、前記駆動部は、磁場を発生させることに適している磁性体ユニットと、駆動コイルとを含んでもよく、前記磁場は前記駆動コイルの位置する平面内の磁場成分を有し、前記駆動コイルは、前記可動部に結合され、駆動電流を入力する際に、前記磁場の力により回転又は揺動しかつ前記可動部が回転又は揺動するように駆動することに適している。
【0098】
図4には本発明の別の実施例に係る走査モジュール22の構造ブロック図が示されており、前記走査モジュール22は電磁式ガルバノミラーであってもよい。
【0099】
本発明の実施例において、前記走査モジュール22は、走査基板23及び駆動部24を含んでもよい。ここで、前記走査基板23は、可動部231、第1のねじり軸232、及び支持部233を含んでもよく、前記可動部231は、前記第1のねじり軸232によって前記支持部233に結合され、前記第1のねじり軸232まわりに回転又は揺動することに適し、前記可動部231はビームを反射することに適している滑らかな表面を有する。具体的には、前記滑らかな表面は鏡面であってもよい。前記支持部233は、前記可動部231を支持することに適し、空間に固設されてもよい。
【0100】
本発明の実施例において、前記駆動部24は、磁場を発生させることに適している磁性体ユニット241と、駆動コイル242とを含んでもよく、前記磁場は前記駆動コイル242の位置する平面内の磁場成分を有し、前記駆動コイル242は、前記可動部231に結合され、駆動電流を入力する際に、前記磁場の力により回転又は揺動しかつ前記可動部231が回転又は揺動するように駆動することに適している。
【0101】
本発明の実施例において、前記駆動コイル242は前記可動部231に設けられてもよい。具体的には、前記可動部231は対向する第1の表面と第2の表面を有し、前記第1の表面はビームを反射することに適している鏡面であってもよく、前記駆動コイル242は前記可動部231の第2の表面に設けられてもよい。他の実施例において、前記駆動コイルは前記可動部の第1の表面に設けられてもよい。
【0102】
一般的には、走査方式によっては、ガルバノミラーを一次元ガルバノミラーと二次元ガルバノミラーに分けることができる。
【0103】
本発明の実施例において、前記走査基板23は1つのねじり軸、即ち前記第1のねじり軸232のみを有してもよく、この場合、前記走査モジュール23は一次元方向における光学走査に適している一軸走査ミラー(即ち一次元ガルバノミラー)である。
【0104】
本発明の実施例において、前記可動部231は、内枠2311、第2のねじり軸2312、及び外枠2313を含んでもよく、前記外枠2313は、前記第1のねじり軸232によって前記支持部233に結合され、前記第1のねじり軸232まわりに回転又は揺動することに適し、前記内枠2311は、前記第2のねじり軸2312によって前記外枠2313に結合され、前記第2のねじり軸2312まわりに回転又は揺動することに適し、前記内枠2311はビームを反射することに適している滑らかな表面を有する。前記駆動コイル242は前記外枠2313に設けられてもよい。この場合、前記走査基板23は2つのねじり軸(即ち前記第1のねじり軸232と第2のねじり軸2312)を有し、前記走査モジュール22は二次元平面内における光学走査に適している二軸走査ミラー(即ち二次元ガルバノミラー)である。具体的には、前記第1のねじり軸232と前記第2のねじり軸2312とは、互いに垂直で、異なる方向の共振モード、例えば水平共振モード及び垂直共振モードの形成にそれぞれ用いられてもよい。他の実施例において、前記駆動コイルは前記内枠に設けられてもよく、外枠に設けられる場合と比較してみると、前記走査モジュールの光学走査角が小さくなる。
【0105】
本発明の実施例において、前記走査モジュール22は、前記可動部231に設けられ、前記可動部231の回転角度又は揺動角度を測定することに適している測角コイル25をさらに含んでもよい。具体的には、前記測角コイル25は、前記内枠2311に設けられ、前記内枠2311の回転角度又は揺動角度の測定に用いられてもよい。
【0106】
本発明の実施例において、前記走査モジュール22は前記走査モジュール22の機械故障等を測定するための位置センサ(図示せず)をさらに含み、前記位置センサは、前記可動部231に設けられてもよいし、又は前記可動部231の外部に設けられて前記可動部231に電気的に接続されてもよい。具体的には、前記位置センサが前記可動部231の外部に設けられる場合、前記可動部231にはコンタクト(contact)素子がさらに設けられており、前記可動部231は前記コンタクト素子によって前記位置センサに電気的に接続可能であり、前記位置センサは電気素子又はロジック回路等であってもよい。
【0107】
注意されたいことは、図4に示す構造ブロック図に破線で示す構造は、任意の構造であり、本発明の実施例を不適切に制限するものではない。図4の構造ブロック図は、本発明の一実施例による走査モジュール22に含まれる主な部材、各部材の間の関連性及び各部材の機能を重点として説明し、幾つかの副次的な部材、例えばワイヤー、支持枠等が省略されていると理解できる。
【0108】
図1を参照すると、本発明の実施例において、前記測定モジュール13は、前記光伝送モジュール112で反射されるレーザビームのエコー信号を受信し、光信号を電気信号に変換することに適している光電センサと、前記電気信号を処理して計算により三次元空間の画像を取得することで、三次元空間における障害物の情報を取得することに適しているプロセッサとを含んでもよい。
【0109】
本発明の実施例において、前記障害物の情報は、三次元空間における障害物の距離、速度又は方位等の情報を含んでもよい。前記レーザレーダシステム10が三次元空間における障害物の距離の測定に用いられる場合、前記プロセッサは飛行時間(Time of Flight,TOF)方法に基づいて障害物と前記レーザレーダシステム10との間の距離を計算することに適している。前記走査モジュール12により対象領域全体を走査して測定することにより、最終的に三次元結像を実現できる。
【0110】
本技術分野の技術者がより良く本発明を理解して実施するために、本発明の実施例において別のレーザレーダシステムをさらに提供する。図5図6を参照すると、図5は本発明の別の実施例に係るレーザレーダシステム30の立体構造模式図Iであり、図6は本発明の図5に示す実施例に係るレーザレーダシステム30の平面図Iである。図6に示される平面図において、前記レーザレーダシステム30の内部構造をよりはっきり示すために、光源311が省略されている。
【0111】
本発明の実施例において、前記レーザレーダシステム30は、レーザ放射モジュール31、走査モジュール32、測定モジュール33及び制御モジュール34を含んでもよく、前記レーザ放射モジュール31は、レーザビームを発生させることに適している光源311と、既定の光路に従って前記レーザビームを伝送することに適している光伝送モジュール312とを含む。
【0112】
本発明の実施例において、前記制御モジュール34は制御回路板であってもよい。
【0113】
本実施例において、前記レーザ放射モジュール31、前記走査モジュール32、前記測定モジュール33及び前記制御モジュール34の主な機能は、図1図4に示す実施例に係るレーザレーダシステム10における対応するモジュールの説明を参照でき、ここでは重複して述べない。以下では、本実施例と上記実施例との差異点のみについて詳しく説明する。
【0114】
本発明の実施例において、前記レーザレーダシステム30は、前記レーザ放射モジュール31、走査モジュール32、測定モジュール33及び制御モジュール34を収容するためのハウジング(図示せず)をさらに含む。前記レーザレーダシステム30の内部構造をはっきり示すために、図5及び図6には前記ハウジングの1つの側壁351及び台座352のみが示されている。
【0115】
本発明の実施例において、前記光源311は、レーザー、例えば半導体レーザー、波長同調可能な固体レーザー、又は光ファイバレーザー等であってもよく、異なるタイプのレーザーは、波長の異なるレーザビームを放射できる。例えば、前記光源311が半導体レーザーである場合、近赤外レーザビームを放射できる。
【0116】
本発明の実施例において、前記光源311は前記ハウジングの天井部の空間内に設けられてもよい。具体的には、前記光源311は、前記ハウジングの天井部の内面(図示せず)に緊密に貼合されてもよく、前記光源311によって発生した熱量が、前記ハウジングによって放出されることができる。或いは、前記光源311と前記ハウジングの天井部の内面との間には、放熱パッド等の放熱部材を収容するための既定の距離があってもよく、前記既定の距離は5mm~1cmであってもよい。
【0117】
本発明の実施例において、前記光源311の天井部と前記ハウジングの天井部の内面との面積比を調節することにより、異なる放熱効果を実現する。
【0118】
本発明の実施例において、前記光源311周囲には、放熱効果をさらに向上させるために、ヒートパイプや熱伝導ゲル等の熱伝導手段、又は冷却水や冷却ガス等の冷却手段がさらに設けられてもよい。
【0119】
本発明の実施例において、前記光源311はレーザーであってもよく、前記レーザー311は前記ハウジングの天井部に設けられてもよく、前記光伝送モジュール312は前記ハウジングの底部に設けられてもよく、前記レーザー311は光ファイバを含んでもよく、前記レーザー311は前記光ファイバ(図示せず)によって前記光伝送モジュール312に結合されている。具体的には、前記光ファイバは前記レーザー311の側面から引き出されて前記光伝送モジュール312に結合されてもよく、例えば前記光伝送モジュール312はコリメートモジュール313を含み、前記光ファイバは前記レーザー311の側面と前記光伝送モジュール312との間に位置する光ファイバが鉛直方向に沿って延びるように前記コリメートモジュール313に結合されてもよい。
【0120】
本発明の実施例において、前記光源311は前記光源311から放射されるレーザビームの光強度分布を調整することに適している光強度調整素子をさらに含んでもよい。具体的には、前記光源311は半導体レーザーであってもよく、前記半導体レーザーにおける発光素子はレーザダイオードを含み、レーザダイオードに基づく発光素子によって放射される光強度は、通常ガウス分布であるので、レーザレーダシステム30の放射強度が許容できる限度以下に維持され全光束が減衰しないことを保証するために、前記光強度調整素子は前記発光素子に設けられ、前記レーザレーダシステム30によって放射されるレーザビームのピーク強度を低くすることに適しているレンズ素子であってもよい。本発明の実施例において、前記レンズ素子はガウス分布をフラットトップ分布に変換可能な回折光学素子であってもよい。
【0121】
図7を併せて参照すると、図7は本発明の図5に示す実施例に係るレーザレーダシステム30の側面図である。本発明の実施例において、前記レーザレーダシステム30はフロントウィンドウ3512をさらに含み、前記フロントウィンドウ3512は前記ハウジングの1つの側壁351に嵌め込むように設けられ、前記ハウジングの1つの側壁351は、壁部3511と、前記走査モジュール32で反射されるレーザビーム、及び三次元空間における障害物で反射されるレーザビームのエコー信号を透過させることに適している前記フロントウィンドウ3512とを含んでもよい。
【0122】
本発明の実施例において、前記フロントウィンドウ3512は、前記ハウジングの台座352に対して傾斜角度で設けられていることは、前記フロントウィンドウ3512が前記レーザレーダシステム30の所定方向に沿う出射光に対して傾斜角度で設けられることにより、前記出射光のフロントウィンドウ3512で反射された迷光が元の経路に沿って前記ハウジングの内部に戻すことを防止し、前記レーザレーダシステム30のシグナルノイズ比を高くすることを実質的なメカニズムとする。
【0123】
本発明の実施例において、前記走査モジュール32は三次元空間へ反射されるレーザビームの方向を変更することに適し、即ち前記走査モジュール32の反射光線は多種の方向であるので、前記レーザレーダシステム30の出射光線も多種の方向である。この場合、前記フロントウィンドウ3512が、前記走査モジュール32が所定の走査角(例えば0度の走査角)で反射するレーザビームに対して傾斜角度をなすように設けられてもよく、ここで、前記走査角は前記走査モジュール32の初期位置に対する偏向角と定義され、前記0度の走査角は前記走査モジュール32がその初期位置に対してまったく偏向していないことを意味している。具体的には、前記走査モジュール32は水平方向及び鉛直方向に沿う走査に適し、前記0度の走査角は前記走査モジュール32の水平方向に沿う0度の走査及び垂直方向に沿う0度の走査を同時に満たすことができる。
【0124】
本発明の実施例において、前記走査モジュール32の鉛直方向に沿う走査角が0度である場合、前記走査モジュール32は前記ハウジングの台座352に垂直であり、即ち、前記走査モジュール32が0度の走査角で反射するレーザビームは前記ハウジングの台座352に平行し、前記フロントウィンドウ3512は前記台座352に対して所定の範囲の傾斜角度で設けられてもよい。具体的には、前記フロントウィンドウ3512と前記ハウジングの台座352との間の角度は鈍角(図5に示すように)であってもよい。仮に前記ハウジングの台座352が水平面に平行であるとした場合、前記フロントウィンドウ3512と鉛直方向との角度の範囲は10度~20度であってもよい。他の実施例において、前記フロントウィンドウと前記ハウジングの台座との間の角度は鋭角であってもよい。
【0125】
本発明の実施例において、前記フロントウィンドウ3512は、レーザウィンドウミラーであってもよく、レーザウィンドウミラーを設けることにより、走査モジュール32を飛散物や作業場所内の他の危険から保護することができ、レーザウィンドウミラーは、通常特定の波長のレーザに対して高透過性のある材料が用いられ、反射防止膜をコーティングして反射によるロスを低減させる。
【0126】
前記フロントウィンドウ3512は多種の構造を有してもよい。図7に示す実施例において、前記フロントウィンドウ3512は前記壁部3511の下方に設けられている。他の実施例において、前記フロントウィンドウは他の方式で前記ハウジングの側壁に嵌め込むことができる。例えば図8に示すように、図8は本発明の別の実施例に係るレーザレーダシステムのハウジングの側壁451及び台座452の構造模式図であり、フロントウィンドウ4512は前記ハウジングの側壁451の中間領域に嵌め込むように設けられ、壁部4511は前記フロントウィンドウ4512を取り囲むように設けられている。
【0127】
図9及び図10を併せて参照すると、図9は本発明の図5に示す実施例に係るレーザレーダシステム30の立体構造模式図IIであり、図10は本発明の図5に示す実施例に係るレーザレーダシステム30の平面図IIである。前記測定モジュール33の構造を便宜的に示すために、図9及び図10には、前記レーザレーダシステム30における幾つかの構造、例えば光源311、制御モジュール34及び遮光カバー335等が省略されている。
【0128】
本発明の実施例において、前記測定モジュール33は、ろ過サブモジュール331、収束モジュール332、及び測定サブモジュール333を含んでもよい。ここで、前記ろ過サブモジュール331は前記光伝送モジュール312で反射されるレーザビームのエコー信号のうち波長が既定の波長範囲外にある光信号をろ過することに適し、前記収束モジュール332は前記ろ過サブモジュール331によって透過させたレーザビームのエコー信号を収束させることに適し、前記測定サブモジュール333は、前記収束モジュール332によって収束したレーザビームのエコー信号を受信して処理することにより、三次元空間における障害物の情報を取得することに適している。
【0129】
本発明の実施例において、前記ろ過サブモジュール331は波長同調可能なフィルター又は狭帯域フィルターであってもよく、前記収束モジュール332は収束レンズであってもよく、前記測定サブモジュール333は光電センサであってもよい。具体的には、前記光電センサは、PIN光電センサ、アバランシェフォトダイオード(Avalanche Photo Diode, APD)、又はガイガーモードアバランシェフォトダイオード(Geiger-mode Avalanche Photodiode, GM-APD)であってもよい。
【0130】
本発明の実施例において、前記測定モジュール33は遮光カバー335(図5及び図6に示すように)をさらに含んでもよく、前記ろ過サブモジュール331及び前記収束モジュール332は前記遮光カバー335内に設けられている。
【0131】
本発明の実施例において、前記測定サブモジュール333は前記収束モジュール332によって収束したレーザビームのエコー信号を受信し、光信号を電気信号に変換することに適している光電センサと、前記電気信号を処理して計算により三次元空間における障害物の情報を取得することに適しているプロセッサとを含んでもよい。
【0132】
本発明の実施例において、前記測定サブモジュール333は光学コンセントレータをさらに含んでもよく、これによって、前記光学コンセントレータは、前記光電センサの光電測定アレイにおける単一の光電測定素子と結合されてもよく、前記光電測定素子の保護だけでなく、より大きな角度範囲内の入射光の収集にも用いることができる。前記光学コンセントレータは、モールドレンズ、例えばドームレンズ(domed lens)、又は複合放物面集光器(Compound Parabolic Concentrator、 CPC)等であってもよい。
【0133】
本発明の実施例において、前記障害物の情報は、三次元空間における障害物の距離、速度又は方位等の情報を含む。前記レーザレーダシステム30が三次元空間における障害物の距離の測定に用いられる場合、前記プロセッサは、飛行時間(Time of Flight,TOF)方法に基づいて障害物と前記レーザレーダシステム30との間の距離を計算することに適している。前記走査モジュール32により対象領域全体を走査して測定することにより、最終的に三次元結像を実現できる。
【0134】
本発明の実施例において、前記レーザレーダシステム30は、各種の回路板、各モジュールの支持枠、及びワイヤー等をさらに含んでもよい。前記回路板は、電源回路、制御回路及び処理回路を含んでもよく、前記支持枠は、前記光源311の支持枠、前記走査モジュール32における走査ミラー36のフレーム37、及び前記測定サブモジュール333の支持枠等を含んでもよい。
【0135】
背景技術に述べたように、従来のレーザレーダは、設備の小型化に対する市場の要求を満たすことが困難であり、レーザレーダの光源及び関連する光路設計は、通常レーザレーダ内部の大きなスペースを占めるので、光源及び光伝送部材の占めるスペースをさらに減らすことは、前記レーザレーダシステムの体積を小さくする有効手段である。
【0136】
本発明の実施例において、本発明の上記実施例に係るレーザレーダシステムに用いられる光伝送モジュールをさらに提供する。以下では、図11図13bを併せて参照しながら、本発明の図5図10に示す実施例に係るレーザレーダシステム30における光伝送モジュール312の構造及び機能を詳しく説明する。図11は本発明の一実施例に係る光伝送モジュール312の立体構造模式図であり、図12a、12b及び12cはそれぞれ、本発明の図11に示す実施例に係る光伝送モジュール312の正面図、平面図、及び右側面図である。
【0137】
本発明の実施例において、前記光伝送モジュール312は3つの伝送サブモジュールおよび1つの支持体316を含んでもよく、前記3つの伝送サブモジュールは、それぞれ前記支持体316の第1の端、第2の端及び第3の端にそれぞれ設けられたコリメートモジュール313、反射モジュール314、及び分光モジュール315であってもよい。前記支持体316内には光線を通過させることに適している第1の光チャネル及び第2の光チャネルがさらに設けられており、前記第1の端と前記第2の端は前記第1の光チャネルによって連通し、前記第2の端と前記第3の端は前記第2の光チャネルによって連通している。
【0138】
ここで、前記コリメートモジュール313はビームを平行ビームに調整することに適し、前記反射モジュール314は前記コリメートモジュール313によって調整された平行ビームを前記分光モジュール315へ反射することに適し、前記分光モジュール315は前記反射モジュール314で反射される平行ビームの透過、及び平行ビームのエコー信号の反射に適し、前記平行ビームのエコー信号は三次元空間の障害物が前記平行ビームを反射することで形成されてもよい。本実施例において、前記ビームは前記光源311から放射されるレーザビームである。しかし、前記光伝送モジュール312はレーザビームの伝送にのみ限定されるものない。
【0139】
本発明の実施例において、前記コリメートモジュール313はコリメートレンズであってもよく、前記コリメートレンズは1つ又は1組(即ち複数)のレンズで構成されてもよく、前記反射モジュール314は、反射率の高い反射ミラーであってもよく、例えば前記反射ミラーは、表面に反射膜がコーティングされていることでその反射率を向上させる。前記分光モジュール315は、穴開き反射ミラー、半透過半反射ミラー、偏光ビームスプリッター又はフィルムコーティングによるビームスプリッター等であってもよい。
【0140】
本発明の実施例において、前記光源311は光ファイバによって前記光伝送モジュール312のコリメートモジュール313に結合され、前記コリメートモジュール313は光ファイバコリメータであってもよい。
【0141】
図13a及び図13bを併せて参照すると、図13aは本発明の図11に示す実施例に係る光伝送モジュール312の支持体316の1つの視野角に沿う立体構造模式図Iであり、図13bは本発明の図11に示す実施例に係る光伝送モジュール312の支持体316の別の視野角に沿う立体構造模式図IIである。
【0142】
本発明の実施例において、前記支持体316は、第1の表面3161、第2の表面3162及び第3の表面3163を有する。図11に示すように、前記コリメートモジュール313、反射モジュール314、及び分光モジュール315は、前記第1の表面3161、第2の表面3162及び第3の表面3163にそれぞれ設けられてもよい。具体的には、前記コリメートモジュール313、反射モジュール314、及び分光モジュール315のそれぞれの入射面は、それぞれ前記第1の表面3161、第2の表面3162及び第3の表面3163に平行に設けられてもよい。
【0143】
本発明の実施例において、前記支持体316内には、前記第1の表面3161と前記第2の表面3162とを連通させて第1の方向Aに沿って延びている第1の光チャネル316aと、前記第2の表面3162と前記第3の表面3163とを連通させて第2の方向Bに沿って延びている第2の光チャネル316bとが設けられている。ここで、前記第1の表面3161は、前記第1の方向Aに垂直であり、前記第2の表面3162は、前記第1の方向Aと前記第2の方向Bのいずれに対しても45度の角度をなしており、前記第3の表面3163は、前記第2の方向Bに対して45度の角度をなしており、前記第1の方向Aと前記第2の方向Bとは互いに垂直である。
【0144】
本発明の実施例において、前記第1の光チャネル316aと前記第2の光チャネル316bはいずれも、中空の貫通孔である。即ち前記貫通孔内には空気である。他の実施例において、前記第1の光チャネル316a及び前記第2の光チャネル316bは光透過媒体が充填される貫通孔であってもよい。
【0145】
本実施例において、前記第1の光チャネル316aと前記第2の光チャネル316bは、互いに連通し、折れ線状であることにより、前記支持体316の内部空間の利用率の向上、および光路の占める前記支持体316以外の空間の減少に有利である。
【0146】
本発明の実施例において、前記支持体316は一体成形部材であってもよい。前記支持体316の底部にはスクリューにより前記光伝送モジュール312を他の装置に固定することに適しているねじ穴(図示せず)がさらに設けられていてもよい。例えば、スクリューにより前記光伝送モジュール312を前記レーザレーダシステム30のハウジングの台座352に固定してもよい。
【0147】
注意されたいことは、上記実施例において、前記光伝送モジュール312が3つの伝送サブモジュールを含む場合を例として前記支持体316の構造を説明してきたが、他の実施例において、前記光伝送モジュールに含まれる伝送サブモジュールの数は3つにのみ限定されるものでなく、2つ、4つ、5つ又は6つ等を含むこともできる。その場合に、前記光伝送モジュールの構造、機能、又は光路設計等の面への要求を満たすように、前記支持体の構造を相応的に変更する必要がある。
【0148】
また別の実施例において、前記光伝送モジュールは前記反射モジュールを含まなくてもよく、例えば上記実施例における45度の反射ミラー314の代わりに光ファイバを採用することで、前記光源311から放射されるレーザビームの角度を回転させる機能を果たしてもよい。具体的には、前記レーザレーダシステム30は前記光源311と前記光伝送モジュールとの間に設けられた光ファイバをさらに含み、前記光伝送モジュールは、支持体、及び前記支持体に設けられた少なくとも1つの伝送サブモジュールを含んでもよく、前記支持体内には光線を通過させることに適している光チャネルが設けられており、前記少なくとも1つの伝送サブモジュールは、前記光チャネルに沿って順に設けられ、既定の光路に従ってビームを伝送することに適している。前記光ファイバは前記支持体の一方側に設けられてもよく、前記光ファイバの一端は光源に接続されることに適し、前記光ファイバの他端は、前記光ファイバの他端から出射されるビームを前記支持体の1つの前記伝送サブモジュールへ入射するように、前記光ファイバ内のビームの伝播方向を変更することに適している。
【0149】
本発明の実施例において、前記支持体は、第1の端及び第2の端と、前記第1の端と第2の端とを連通させる1つの光チャネルとを有してもよい。前記光伝送モジュールは前記第1の端と第2の端にそれぞれ設けられた2つの伝送サブモジュールを含んでもよい。具体的には、前記2つの伝送サブモジュールはそれぞれコリメートモジュール及び分光モジュールであってもよく、前記光ファイバは前記コリメートモジュールの一方側に設けられてもよい。
【0150】
本発明の実施例において、前記光ファイバの末端(即ち前記光ファイバの他端)をカットすることにより、前記光ファイバの末端の端面は、前記光ファイバの光軸に対して45度の角度をなすようになり、前記端面に高反射媒体コートを塗布することにより鏡面を作成し、前記光ファイバ内のビームは、前記端面での反射を介して前記支持体の1つの伝送サブモジュール、例えば上記実施例に係るコリメートモジュールに入射され、前記ビームは、前記コリメートモジュールによってコリメートされてから前記分光モジュールに入射される。
【0151】
また別の実施例において、光ファイバの他端の端面を任意の角度にカットし、前記光ファイバの他端の端面は、前記光ファイバの光軸に対して所定の角度をなし、光線の前記光ファイバの他端の端面での屈折によって光線の伝播方向を変更し、即ち光ファイバ内のビームが前記端面での屈折によって前記支持体の1つの伝送サブモジュールに入射されてもよい。また、光ファイバ以外、前記光伝送モジュールにおける45度の反射ミラーの代わりに光導波路を採用してもよい。
【0152】
本発明の実施例において、前記コリメートモジュール及び分光モジュールはそれぞれ前記1つの光チャネルに垂直であってもよい。
【0153】
図5図10、及び図11図13bを併せて参照しながら、以下の前記レーザレーダシステム30の光路を説明する。
【0154】
本実施例に係るレーザレーダシステム30の光路は第1の光路(即ち放射光路)及び第2の光路(即ち受光光路)を含む。
【0155】
前記第1の光路において、前記光源311はレーザビームを放射することに適している。前記レーザビームは、光ファイバ(図示せず)によって前記光伝送モジュール312のコリメートモジュール313に伝送され、前記コリメートモジュール313により前記レーザビームを平行レーザビームに調整し、前記平行レーザビームは、前記反射モジュール314によって前記分光モジュール315へ反射されてから、前記分光モジュール315によって前記走査モジュール32まで透過し、前記走査モジュール32により前記平行レーザビームを前記フロントウィンドウ3512へ反射し、前記平行レーザビームは前記フロントウィンドウ3512を介して三次元空間まで透過する。
【0156】
前記第2の光路において、前記三次元空間において前記平行レーザビームが照射された障害物により前記レーザビームを反射してレーザビームのエコー信号を形成し、前記レーザビームのエコー信号は、前記フロントウィンドウ3512を介して前記走査モジュール32まで透過し、前記走査モジュール32により前記レーザビームのエコー信号を前記分光モジュール315へ反射し、前記分光モジュール315により前記レーザビームのエコー信号を前記ろ過サブモジュール331へ反射し、前記ろ過サブモジュール331によってろ過されたレーザビームのエコー信号は、さらに前記収束モジュール332によって収束して前記測定サブモジュール333に受信される。
【0157】
前記第1の光路のうち前記分光モジュール315と前記三次元空間の障害物との間に介在する部分と、前記第2の光路のうち前記三次元空間の障害物と前記分光モジュール315との間に介在する部分との光軸は、平行であり、又は重なっており、即ち前記レーザレーダシステム30は同軸システムである。他の実施例において、前記第1の光路と第2の光路は、平行ではないし、重なることもないようにしてもよく、前記レーザレーダシステムは非同軸システムであってもよい。
【0158】
本発明の実施例において、前記分光モジュール315は、穴開き反射ミラーであり、第1の光路において、前記反射モジュール314によって反射される平行レーザビームは、前記穴開き反射ミラーにおける小穴を介して前記走査モジュール32まで透過し、第2の光路において、前記レーザビームのエコー信号は、前記走査モジュール32によって前記穴開き反射ミラーの小穴の近傍の反射鏡面に反射されてから、前記小穴の近傍の反射鏡面により前記ろ過サブモジュール331へ反射される。
【0159】
本発明の実施例において、レーザ放射モジュールをさらに提供する。前記レーザ放射モジュールは、レーザビームを放射することに適している光源と、既定の光路に従って前記光源から放射されるレーザビームを伝送することに適している本発明の上記実施例に係る光伝送モジュールを含んでもよい。具体的には、前記レーザ放射モジュールは、光源及び図2に示す実施例に係る光伝送モジュール112を含んでもよいし、又は光源及び図11図13bに示す実施例に係る光伝送モジュール312を含んでもよい。
【0160】
本発明の実施例において、前記光源は、レーザーであってもよく、異なるタイプのレーザーは、波長の異なるレーザビームを発生させることに適している。前記「レーザビーム」は、レーザパルス又は連続レーザ等であってもよいと理解できる。
【0161】
本発明の実施例において、前記レーザ放射モジュールは、光ファイバをさらに含んでもよく、或いは前記レーザー自体は、光ファイバを含んでもよい。前記レーザーと前記光伝送モジュールは前記光ファイバによって結合されてもよく、前記レーザーは、前記光伝送モジュールの上方、例えば前記光伝送モジュールの斜め上に設けられてもよい。前記レーザーと光伝送モジュールとの間に位置する光ファイバが鉛直方向に沿って延びるように、前記光ファイバは、一端が前記レーザーの側面から引き出され、他端が前記光伝送モジュールに結合されてもよい。
【0162】
本発明の実施例に係るレーザ放射モジュールは、レーザレーダシステムだけでなく、レーザを光源とする他の設備にも用いられてもよい。前記光伝送モジュールの構造及び光路はいずれも、コンパクト化設計を満たすため、前記レーザ放射モジュールが実際に占めたスペースを節約し、前記レーザ放射モジュールの小型化設備への応用を拡げた。
【0163】
背景技術に述べたように、従来のレーザレーダは、大きいサイズの鏡面及び大きい光学走査角を実現できない。長距離のレーザレーダシステムに対して、受光時の光学アパーチャーのサイズが大きいこと、即ち大きいサイズの鏡面が要求されるだけでなく、大きい光学走査角も要求され、例えば、ガルバノミラーの光学走査角は、一般的に垂直方向に40度程度まで達し、水平方向に最大120度程度まで達する。従来技術においてかなり発展していた電磁式走査ミラーでは、その鏡面及びフレーム構造が、一般的に微小電気機械システム(MEMS)プロセスにより製造されるが、MEMSプロセスにより製造されるガルバノミラーは、例えば大角度の走査を実現できず、鏡面サイズが小さく(通常、直径1mm~2mm)、鏡面の平坦性を確保できない等の一連の問題があり、例えば大画角、長距離のレーザレーダといった幾つかの特定の需要のある場面へのガルバノミラーの応用が制限されている。
【0164】
本発明の実施例において、前記レーザレーダシステムにおける走査モジュールを改良することによりその光学走査角及び鏡面サイズを大きくする。
【0165】
以下、図14図22を参照することにより本発明の図5図10に示す実施例に係るレーザレーダシステム30の走査モジュール32の構造及び機能を詳しく説明する。注意されたいことは、図5図6、及び図9図10に示す走査モジュール32は、走査ミラー36(図9に示すように)及びフレーム37を含み、前記走査ミラー36は、前記フレーム37の内部に設けられている。図14図22には、そのうちの走査ミラー36の構造のみについて詳しく説明している。
【0166】
図14図16は、それぞれ前記走査ミラー36の異なる視野角に沿う立体構造模式図であり、図17は、本発明の図14に示す実施例に係る走査ミラー36の走査基板361及び磁性体362の立体構造模式図である。
【0167】
本発明の実施例において、前記走査ミラー36は、走査基板361、磁性体ユニット、及び駆動コイル363(図16に示すように)を含んでもよい。
【0168】
図17を参照し、前記走査基板361は、可動部3611、第1のねじり軸3612、及び支持部3613を含んでもよい。前記可動部3611は、前記第1のねじり軸3612によって前記支持部3613に結合され、前記第1のねじり軸3612まわりに回転又は揺動することに適している。
【0169】
本発明の実施例において、前記磁性体ユニットは、前記走査基板361の厚さ方向に沿う両側に対向して設けられた磁性体362を含んでもよく、前記走査基板361の厚さ方向に沿って対向する2つの磁性体362の磁極方向は逆であり、即ち前記対向する2つの磁性体361の同じ磁極が対向し、例えばN極が対向し、又はS極が対向する(図17に実線の矢印に示すように)ことにより、磁場が圧縮されて前記走査基板361の位置する平面に分布するようになる。具体的には、各磁性体362の磁極方向は、前記走査基板361の表面に垂直であってもよい。前記走査基板361の同じ側に位置する磁性体362は、前記第1のねじり軸3612の両側にそれぞれ設けられてもよく、前記第1のねじり軸3612の両側に位置する磁性体362の磁極方向が逆であることにより、前記走査基板361の位置する平面内の単一指向性磁場の発生を実現する。前記駆動コイル363は、前記可動部3611に設けられ、前記可動部3611を前記第1のねじり軸3612まわりに回転又は揺動させるように駆動してもよい。前記走査基板361に1つのねじり軸のみが設けられる場合、前記走査ミラー36は、一次元ガルバノミラーである。
【0170】
本発明の実施例において、前記磁性体362は、前記可動部3611の周方向を取り囲むように別体で設けられ、前記可動部3611との間に、既定の距離があることにより、前記可動部3611の動きに干渉することを回避する。前記可動部3611が前記走査基板361の表面に平行になる場合、前記磁性体362の前記可動部3611を取り囲む一方側は、前記駆動コイル363に平行になることにより、前記磁性体362と前記駆動コイル363との間の距離を短縮し、磁場を強化し、駆動力を大きくし、前記可動部3611の回転角を増加させ、前記走査ミラー36の光学走査角を大きくする。
【0171】
本発明の実施例において、前記走査基板361の中心には、開口(図示せず)があり、前記可動部3611は、前記開口に嵌め込むように設けられている。前記可動部3611が初期位置にある場合、前記可動部3611は、前記支持部3613の表面に平行してもよく、前記可動部3611が前記初期位置からずれて回転し始める場合、前記可動部3611の位置する平面は、前記支持部3613の位置する平面に対して一定の角度をなしており、即ち前記可動部3611は、前記走査基板361の面内から面外へ回転してもよい。他の実施例において、前記可動部の初期位置は、前記走査基板の面外にあってもよく、前記可動部は、前記走査基板の面外から面内へ回転してもよい。本発明の実施例において、前記駆動コイル363に交流電流が入力されている場合、前記可動部3611は、前記走査基板361の面内と面外との間に往復動する、即ち揺動することができる。
【0172】
本発明の実施例において、前記走査基板361の両側に位置する磁性体362は、前記走査基板361の表面に平行に設けられてもよく、前記磁性体362の磁極方向は、前記走査基板361の表面に垂直であってもよく、又は前記走査基板361の表面に対して傾斜角度をなしてもよい。
【0173】
本発明の実施例において、前記可動部3611は、内枠3611a、第2のねじり軸3611b、及び外枠3611cを含んでもよい。前記外枠3611cは、前記第1のねじり軸3612によって前記支持部3613に結合され、前記第1のねじり軸3612まわりに回転又は揺動することに適している。前記内枠3611aは、前記第2のねじり軸3611bによって前記外枠3611cに結合され、前記第2のねじり軸3611bまわりに回転又は揺動することに適している。前記内枠3611aは、ビームを反射することに適している滑らかな表面を有する。この場合、前記走査ミラー36は、2つのねじり軸を有し、二次元ガルバノミラーである。
【0174】
本発明の実施例において、前記走査基板361の厚さ方向に沿って対向する2つの磁性体362の磁極方向は逆であり、即ち前記対向する2つの磁性体362の同じ磁極が対向し、例えばN極が対向し、又はS極が対向する(図17に実線の矢印に示すように)。対向する2つの磁性体362の磁極方向はいずれも、前記走査基板361の表面に垂直であってもよい。一方で、前記第1のねじり軸3612と前記第2のねじり軸3611bとは互いに垂直であってもよく、前記走査基板361の同じ側に位置する磁性体362は、前記直交する第1のねじり軸3612と前記第2のねじり軸3611bに対して対角に設けられてもよく、前記対角方向に沿って設けられた磁性体362の磁極方向は逆であり、即ち鉛直方向(即ち前記走査基板361の厚さ方向)に沿って対向する磁性体362及び水平方向(即ち前記走査基板361の表面方向)に沿って対向する磁性体362はいずれも、磁極方向が逆であることにより、磁場が圧縮されて前記走査基板361の表面に分布するようになり、前記走査基板361の表面に1つの単一指向性磁場B(図17に一点鎖線の矢印に示すように)を生じ、前記磁場Bは、前記第1のねじり軸3612及び前記第2のねじり軸3611bのそれぞれに対して約45度の角度をなしている。
【0175】
本発明の実施例において、前記走査基板361の同じ側に位置する2つの磁性体362が前記第1のねじり軸3612及び前記第2のねじり軸3611bに対して対角分布になった場合、各磁性体362の前記駆動コイル363の周方向に沿う長さは、前記駆動コイル363の周長の1/4であってもよい。
【0176】
また別の実施例において、各磁性体362で取り囲まれた前記駆動コイル363の周方向の長さを大きくすることにより、磁場のカバー範囲を拡大し、前記駆動コイル363に印加される磁場を強化することができる。具体的には、前記駆動コイル363は、前記可動部3611の周方向に沿って設けられ、前記走査基板361の同じ側に位置する2つの磁性体362が前記第1のねじり軸3612及び前記第2のねじり軸3611bに対して対角分布になった場合、各磁性体362で取り囲まれた前記可動部3611の周方向の長さは、前記駆動コイル363の周長の1/4を超えて前記駆動コイル363の周長の1/2未満であってもよく、前記上限を1/2に設定することは磁気回路の閉路を回避するためである。例えば、各磁性体362の前記駆動コイル363の周方向に沿う長さは、前記駆動コイル363の周長の1/3を占めてもよい。先の実施例における1/4の割合と比較してみると、前記磁性体362の前記駆動コイル363の周方向に沿う長さは約20%長くなる。
【0177】
図18を参照し、図18は、本発明の別の実施例に係る走査ミラーの走査基板461及び磁性体462の立体構造模式図である。本発明の実施例において、前記磁性体ユニットは、前記走査基板461の厚さ方向に沿う一方側に設けられた磁性体462を含んでもよく、前記磁性体462と前記可動部との間には、既定の距離がある。前記磁性体462が走査基板461の一方側に設けられる場合、前記走査基板461の他方側の空間を開放し、より大きな走査空間及び走査角度を実現することができる。また、片側の磁性体の取付が両側の取付よりも便利で簡単であるので、取付のコストをさらに低減できる。
【0178】
引き続き図14図17を参照し、本発明の実施例において、前記走査基板361の材料は、ベリリウム銅等の銅合金、鋼、チタン合金、アルミニウム合金、マグネシウム合金、又は炭素繊維等の有機高分子材料、又は炭化ケイ素(SiC)系セラミック等であってもよい。前記走査基板361は、一体的に製造してもよく、追加の組立部材により組み立ててもよい。本発明の実施例では、前記内枠3611aの滑らかな表面は、集積により前記内枠3611aに一体的に製造してもよく、追加の組立モジュールにより前記内枠3611aに組み込まれてもよいが、限定されるものではない。本発明の実施例において、前記内枠3611aの滑らかな表面は、金属材料のポリッシングにより実現できる。また別の実施例において、前記内枠3611aの滑らかな表面は、前記内枠3611aに取り付けられる反射ミラーであってもよい。
【0179】
前記走査基板361の材料が鋼板である場合、鋼板に基づく加工技術により前記走査基板361を製造することができる。鋼板に基づく加工技術は、通常の機械加工プロセスであり、コストが低く、工程実施に便利であり、ミリメートルレベル、ひいてはセンチメートルレベルサイズの大きいサイズの走査ミラーを製造できる。
【0180】
本発明の実施例において、前記磁性体ユニットは、前記走査基板361の一方側に設けられた磁気伝導シート38(図16に示すように)をさらに含み、前記走査基板361の前記一方側に位置する磁性体362は、前記磁気伝導シート38と前記走査基板361との間に設けられ、即ち前記磁気伝導シート38は、前記磁性体362の底部に設けられてもよく、磁気回路を閉路させ、前記走査基板361の表面の磁場を強化するためのものである。
【0181】
本発明の実施例において、前記磁気伝導シート38は前記走査基板361の前記一方側に位置する磁性体362に接触している。前記磁気伝導シート38には、前記可動部3611に対向する領域に開口が設けられていてもよい。
【0182】
他の実施例において、前記磁気伝導シート38は、前記走査基板361の両側に設けられてもよく、前記走査基板361の同じ側に位置する磁性体362は、当該側の磁気伝導シート38と前記走査基板361との間に設けられ、即ち前記走査基板361の両側のいずれにも、閉磁気回路が形成されている。前記磁気伝導シート38の中心には、開口が設けられていなくてもよい。
【0183】
本発明の実施例において、前記磁気伝導シート38は、珪素鋼板であってもよい。
【0184】
他の実施例において、前記磁気伝導シートは、透磁率の高い他の材料、例えば軟鉄、フェライト、珪素鋼、フェロニッケル、フェロアルミニウム、フェロコバルト、マンガンコバルト等の酸化物、又はマンガン亜鉛フェライト材料等を採用してもよく、通常磁心として用いられる材料は、全て前記磁気伝導シートに適用する。
【0185】
本発明の実施例において、前記磁性体ユニットは、前記走査基板361の両側にそれぞれ設けられ、前記走査基板361の両側に位置する磁性体362をそれぞれ支持するための2つの磁性体支持枠39をさらに含む。前記走査基板361の上側(即ち入射光側)に位置する磁性体支持枠39は、当該側の磁性体362と前記走査基板361との間に設けられてもよく、前記磁性体支持枠39は、前記走査基板361の厚さ方向に沿って前記磁性体362と前記走査基板361との間に位置する第1の部分391(図14に示すように)と、前記走査基板361の表面方向に沿って対角分布になった磁性体362の間に位置する第2の部分392(図14に示すように)とを含んでもよい。前記走査基板361の下側(即ち入射光側とは反対側)に位置する磁性体支持枠39は、対角分布になった磁性体362の間に位置する部分のみを含んでもよい。前記磁性体支持枠39は、前記磁性体362の位置する対角方向に垂直である別の対角方向に沿って前記可動部3611を取り囲んで設けられ、前記可動部3611との間に、既定の距離がある。前記磁性体支持枠39と前記磁性体362は、共に前記可動部3611の回転又は揺動を許容する空間を形成する。
【0186】
本発明の実施例において、前記磁性体支持枠39は、一体的に製造してもよい。
【0187】
本発明の実施例において、前記磁性体支持枠39には、スクリュー又はノブなどにより固定することに適している複数の穴(図示せず)が設けられていてもよい。
【0188】
本発明の実施例において、前記走査基板361の少なくとも一方側に位置する磁性体支持枠39は、前記走査基板361との間にワイヤーを置くための既定の距離があってもよい。具体的には、前記走査基板361の下側(即ち入射光とは反対側)に位置する磁性体支持枠39は、前記走査基板361との間に既定の距離があってもよい。
【0189】
本発明の実施例において、前記走査ミラー36は、前記可動部3611の内枠3611aに設けられ、前記内枠3611aの回転角度又は揺動角度を測定することに適している測角コイル364をさらに含む。具体的には、前記測角コイル364は、前記内枠3611aの裏面、即ち滑らかな表面とは反対の面に設けられてもよい。
【0190】
本発明の実施例において、前記駆動コイル363は、前記外枠3611cに設けられてもよい。具体的には、前記駆動コイル363は、前記外枠3611cの裏面(図16に示すように)、即ち入射光とは反対の面に設けられてもよい。また別の実施例において、前記駆動コイル363は、前記外枠3611cの表面(即ち前記入射光に対面する面)に設けられてもよい。また別の実施例において、前記駆動コイル363は、前記内枠3611a、例えば前記内枠の裏面(即ち滑らかな表面とは反対の面)に設けられてもよく、この場合、前記走査ミラー36は、一軸走査ミラーであり、前記駆動コイル36が前記外枠3611cに設けられる場合と比較してみると、前記走査ミラー36の光学走査角は若干小さくなる。
【0191】
本発明の実施例において、前記駆動コイル363は、ワイヤーにより電源に接続されてもよく、交流信号の駆動電流を入力することに適している。
【0192】
本発明の実施例において、前記外枠3611cの形状は、楕円環状(図14図17に示すように)であってもよい。楕円形外枠を採用することにより、小型化した共振型走査ミラーを実現し、コストをさらに低減することに有利である。前記駆動コイル363は、前記外枠3611cの裏面に設けられ、前記外枠3611cの周方向に沿って周設されてもよく、前記駆動コイル363を巻いた形状も相応的に楕円環状である。前記磁性体362の前記可動部3611を取り囲む一方側は、弧面であってもよく、前記弧面は、前記駆動コイル363の対応する弧セグメント(即ち前記弧面に対向する弧セグメント)に平行する。このように、前記磁性体362と駆動コイル363との間の距離を短縮し、前記駆動コイル363の表面に印加される磁場を強化し、駆動力を大きくし、前記可動部3611の回転角を増加させ、さらに前記走査ミラー36の光学走査角を大きくすることができる。
【0193】
本発明の実施例において、前記内枠3611aの形状は、円形、正方形、楕円形、矩形及び菱形のうちのいずれか1つであってもよい。
【0194】
図19を参照し、図19は、本発明の別の実施例に係る走査ミラーの走査基板561の構造模式図である。本発明の実施例において、前記外枠5611cの形状は、円環状であってもよく、それに応じて、前記駆動コイル(図示せず)を外枠5611cにおいて巻いた形状も円環状であってもよい。
【0195】
図20を参照し、図20は、本発明の別の実施例に係る走査ミラーの走査基板661の構造模式図である。本発明の実施例において、前記外枠6611cの形状は、多角形であってもよい。前記駆動コイル(図示せず)は、前記外枠6611cに設けられ、前記外枠6611cの周方向に沿って周設されてもよい。前記駆動コイルを巻いた形状も多角形であり、前記磁性体(図示せず)の前記可動部6611を取り囲む一方側は、前記多角形の駆動コイルの一つの辺(即ち前記平面に対向する一つの辺)に平行する平面であってもよい。具体的には、前記外枠6611cの形状は、八角形であってもよく、前記駆動コイルの形状も八角形である。楕円形の外枠よりも八角形の外枠6611cの方が走査パターンの歪みをさらに低減し、走査性能を向上させることができる。
【0196】
図21及び図22を参照し、図21は、本発明の別の実施例に係る走査ミラーの磁性体762の立体構造模式図であり、図22は、本発明の図21に示す実施例に係る磁性体762の図21におけるAA1線に沿う断面図である。
【0197】
前記磁性体762は、図14図17に示す実施例に係る走査ミラー36に応用することができる。図14図17を併せて参照し、本発明の実施例において、前記磁性体762の前記駆動コイル363の周方向を取り囲む一方側7621は、前記走査基板361の厚さ方向に沿う断面が弧形をなしてもよく、前記弧形の中心は、前記磁性体762の内部へ窪んでいることにより、前記磁性体762は、水平方向(即ち前記走査基板361の表面)に沿って前記駆動コイル363を取り囲んで設けられるだけでなく、鉛直方向(即ち走査基板361の厚さ方向)にも沿って前記駆動コイル363を取り囲んで設けられる。これによって、前記磁性体762と前記駆動コイル363との間の距離をさらに短縮し、磁場をさらに強化した。
【0198】
ここでは、図14図17に示す実施例に係る走査ミラー36を例としてその作動原理を説明する。前記駆動コイル36に駆動電流を流すと、前記駆動コイル36の面内電流と面内磁場Bとが互いに作用して1つの面外のアンペールの力が生じる。各走査軸にわたる電流が逆方向であり、即ち前記走査軸にわたるアンペールの力が逆方向であるので、面内に位置して磁場に垂直である1つのトルクが生じ、前記トルクは、同時に前記2つのねじり軸において応答を生成可能である。前記トルクの周波数組成によって、一方のねじり軸の共振を選択的に励起することができ、例えば前記トルクの周波数成分が前記第1のねじり軸3612の共振周波数と一致している場合、前記第1のねじり軸3612の振動が増幅され、大角度のねじりが発生して前記内枠3611aを回転させるように連動させ、第1の方向に沿う共振モードが生成する。前記トルクの周波数成分が前記第2のねじり軸3611bの共振周波数と一致している場合、前記第2のねじり軸3611bの振動が増幅され、大角度のねじりが発生して前記内枠3611aを回転させるように連動させ、第2の方向に沿う共振モードが生成する。前記第1の方向と第2の方向とは互いに垂直であることにより、前記走査ミラー36の二次元走査を実現する。
【0199】
通常、前記外枠3611cの質量が大きく、振動周波数が低く、前記第1のねじり軸3612がスロー走査軸とされてもよく、前記内枠3611aの振動周波数が高く、前記第2のねじり軸3611bがファースト走査軸とされてもよく、前記ファースト走査軸とスロー走査軸とは、周波数の差が大きいので、ラスタースキャンを実現できる。
【0200】
本発明の実施例において、前記外枠3611cにおける駆動コイル363は、多ターンコイルを巻いて形成されてもよい。他の実施例において、前記駆動コイル363は、複数本の別体のワイヤーを含んでもよく、例えば、前記駆動コイルは、前記外枠の表面の対向する両側に位置し、前記第1のねじり軸に平行し、前記外枠の前記第1のねじり軸まわりの回転を制御するための第1のワイヤーを含んでもよく、前記外枠の表面の対向する両側に位置し、前記第2のねじり軸に平行し、前記外枠の前記第2のねじり軸まわりの回転を制御するための第2のワイヤーを含んでもよい。前記第1のワイヤー及び前記第2のワイヤーに印加される電流の方向及び通電時間を制御することにより、ラスタースキャンを実現する。
【0201】
本発明の実施例において、前記第1のねじり軸3612及び前記第2のねじり軸3611bは、剛性トーションビームであってもよく、前記トーションビームは、直線状であってもよい。他の実施例において、前記第1のねじり軸及び前記第2のねじり軸は、バネなどのようなフレキシブル接続部材であってもよい。前記第1のねじり軸及び前記第2のねじり軸は、S字状ビーム、又はボウビーム等であってもよい。
【0202】
本発明の実施例において、車両本体と、本発明の上記実施例に係るレーザレーダシステムとを含む車両であって、前記レーザレーダシステムは、前記車両本体に装着され、前記車両の周囲の三次元空間における障害物の情報の測定に適している車両をさらに提供する。
【0203】
具体的には、前記レーザレーダシステムは、前記車両の天井部に装着されてもよい。前記障害物の情報は、前記障害物の距離、速度又は方位等の情報を含んでもよい。
【0204】
本発明の実施例において、本発明の上記実施例に係るレーザレーダシステムの制御方法をさらに提供する。図23を参照すると、図23は本発明の一実施例に係るレーザレーダシステムの制御方法のフローチャートである。前記制御方法は、レーザビームを放射するように前記放射モジュールを制御するS11と、既定の周波数で三次元空間を走査するように前記走査モジュールを制御するS13と、前記走査モジュールで反射されるレーザビームのエコー信号を受信して処理するように前記測定モジュールを制御することで、三次元空間における障害物の情報を取得するS15と、を含んでもよい。
【0205】
本発明の実施例において、既定の周波数で三次元空間を走査するように前記走査モジュールを制御することは、前記走査モジュールを既定の周波数で回転又は揺動させるように制御することで三次元空間へ反射されるレーザビームの方向を変更することを含む。
【0206】
本発明の実施例において、前記走査モジュールは、可動部と、磁性体ユニット及び駆動コイルを備える駆動部とを含み、前記磁性体ユニットは、前記駆動コイルの位置する平面内に磁場を発生することに適し、前記駆動コイルは、前記可動部に結合されていると、前記走査モジュールを既定の周波数で回転又は揺動させるように制御することは、前記駆動コイルに既定の周波数の交流電流を入力することを含む。
【0207】
本発明の実施例に係るレーザレーダシステムの制御方法は、低いコストで大アパーチャー、大角度の空間走査を実現するとともに、空間の障害物で反射されるレーザビームのエコー信号を受信することができる。
【0208】
本発明の実施例において、実行時に上記制御方法のステップを実行するコンピュータコマンドが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0209】
本発明の実施例においてメモリとプロセッサとを含むシステムを提供する。前記メモリには前記プロセッサで実行可能なコンピュータコマンドが記憶されており、前記プロセッサは前記コンピュータコマンドの実行時に上記制御方法のステップを実行する。
【0210】
本発明の実施例において、レーザレーダシステムの走査角度の取得方法をさらに提供する。
【0211】
図24を参照すると、図24は本発明の一実施例に係る前記レーザレーダシステムの走査角度の取得方法のフローチャートである。前記取得方法は、前記レーザレーダシステムの測角コイルの角度信号を抽出するS21と、前記角度信号に基づいて、前記レーザレーダシステムの走査角度を計算するS23と、を含んでもよい。
【0212】
具体的な実施において、前記角度信号と基準信号の差に基づいて、前記レーザレーダシステムの走査角度を計算することができる。
【0213】
上記方法を応用することにより、前記レーザレーダシステムの走査性能をより良好に評価することができる。
【0214】
本発明の実施例におして、実行時に上記レーザレーダシステムの走査角度の取得方法のステップを実行するコンピュータコマンドが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0215】
本発明の実施例においてメモリとプロセッサとを含むシステムを提供する。前記メモリには、前記プロセッサで実行可能なコンピュータコマンドが記憶されており、前記プロセッサは、前記コンピュータコマンドの実行時に上記レーザレーダシステムの走査角度の取得方法のステップを実行する。
【0216】
本技術分野の普通の技術者は、上記実施例に係る各種の方法におけるステップの全て又は一部は、プログラムにより関連ハードウェアにコマンドを出すことで完成できると理解できる。当該プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されてもよく、記憶媒体は、ROM、RAM、磁気ディスク又は光ディスク等を含んでもよい。
【0217】
以上、本発明を説明してきたが、本発明は前記構成にのみ限定されるものでない。本技術分野の技術者は本発明の精神や要旨を逸脱しない範囲内において設計の変更や改良を行うことができる。本発明の保護範囲は特許請求の範囲が定めた範囲を基準とする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図12c
図13a
図13b
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24