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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】熱絶縁を備えた温度検出プローブ
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/22 20060101AFI20230710BHJP
   G01K 1/08 20210101ALI20230710BHJP
   G01K 7/02 20210101ALI20230710BHJP
   G01K 1/16 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
G01K7/22 C
G01K1/08 Q
G01K7/02 C
G01K1/16
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020550750
(86)(22)【出願日】2019-03-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 US2019023364
(87)【国際公開番号】W WO2019183353
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】62/647,094
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501162454
【氏名又は名称】ワットロー・エレクトリック・マニュファクチャリング・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リールランド、ジョン
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03151484(US,A)
【文献】米国特許第04454370(US,A)
【文献】特開2001-201402(JP,A)
【文献】米国特許第04749415(US,A)
【文献】特開2009-109313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度検出プローブにおいて、
ハウジングを貫通して長手方向に延びる穴を定義するハウジングと、
前記穴を通って長手方向に延びる一対の電気コネクタと、
前記ハウジングの第1端部に配置された支持キャップと、ここで前記支持キャップは、前記穴に面する第1表面と、前記第1表面の反対側の第2表面とを有し、前記第2表面は環境に露出され、前記第2表面は連続的に平坦であって前記支持キャップの遠位端を形成する、
前記支持キャップの前記第2表面上に設けられ、前記一対の電気コネクタに電気的に結合されたセンサと、を具備し、
前記支持キャップは、前記一対の電気コネクタと前記センサとの間に配置され、ここで、前記ハウジングは測定される物体と前記ハウジングとの間の熱伝導を低減する1つ以上の熱ブレークを有し、前記1つ以上の熱ブレークは前記ハウジングの外部に設けられ、前記ハウジングは前記1つ以上の熱ブレークと前記穴との間に連続する壁を備え、
前記センサは、前記温度検出プローブの遠位端を形成する
ことを特徴とする温度検出プローブ。
【請求項2】
前記ハウジングの第2端部を通って延び、前記一対の電気コネクタに電気的に結合された一対の電気ピン
をさらに具備する請求項1の温度検出プローブ。
【請求項3】
前記一対の電気コネクタは、前記支持キャップを介して前記センサに電気的に結合されたPOGOピンである
請求項1の温度検出プローブ。
【請求項4】
前記一対の電気コネクタは、前記支持キャップを介して前記センサに電気的に結合された一対の配線である
請求項1の温度検出プローブ。
【請求項5】
前記支持キャップは、ポリアミドで作られている
請求項1の温度検出プローブ。
【請求項6】
前記支持キャップは、前記一対の電気コネクタと前記センサとを電気的に結合するための2個のめっきされた貫通穴を含む、
請求項1の温度検出プローブ。
【請求項7】
前記センサは、抵抗温度検出器センサチップである
請求項1の温度検出プローブ。
【請求項8】
前記センサは、前記支持キャップに堆積された薄膜抵抗体であり、前記薄膜抵抗体は抵抗の高温度係数を有する
請求項1の温度検出プローブ。
【請求項9】
前記薄膜抵抗体は、銅、ニッケル、ニッケル-鉄、又は白金の1つである
請求項8の温度検出プローブ。
【請求項10】
前記センサの表面上に配置された温度絶縁材料をさらに具備する
請求項1の温度検出プローブ。
【請求項11】
前記センサは、前記物体の温度を測定するため、前記物体の表面に直接接触するように構成される
請求項1の温度検出プローブ。
【請求項12】
前記一つ以上の熱ブレークは、前記ハウジングの前記外部に沿って定義される1つ以上の周方向の溝として提供される
請求項1の温度検出プローブ。
【請求項13】
前記センサは、熱電対である
請求項1の温度検出プローブ。
【請求項14】
前記センサからの信号を調整するため、前記センサと通信可能に結合された信号処理回路をさらに具備する
請求項1の温度検出プローブ。
【請求項15】
前記ハウジングは、前記ハウジングの第2端部にチャンバを定義し、前記信号処理回路は、前記チャンバに配置され、
前記一対の電気コネクタは、前記センサと前記信号処理回路とを通信可能に結合するため、前記信号処理回路に電気的に結合される
請求項14の温度検出プローブ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本出願は、2018年3月23日に出願された米国仮出願第62/647094号の利益及び優先権を主張する。上記出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、表面の温度を検出する表面温度センサ装置に関する。
【背景】
【0003】
本項の記載は、単に本開示に関連する背景情報を提供するものであり、従来技術を構成するものではない場合がある。
【0004】
表面温度検出器は、表面の温度を測定するために、表面に近接して、あるいは表面に接触するように設計される。このような温度検出器は、温度に敏感なプロセスにおいて温度測定を提供するために使用される。例えば、半導体プロセスは、半導体ウェハを形成するために使用されるチャック/ペデスタルのような処理チャンバ内の様々な構成要素の温度を制御するため、正確な温度測定に依存している。
【0005】
典型的には、表面温度検出器は、ハウジング内に配置された抵抗温度デバイスなどの熱感知デバイスを含む。熱感知デバイスの精度は、例えば、ハウジングと感知デバイスとの間の熱伝導率、測定される表面に対する熱感知デバイスの位置、熱感知デバイスの材料特性、及び他の要因に基づいて変化する。これら及び他の問題は、本開示の教示に対処される。
【発明の概要】
【0006】
本項は、本開示の一般的な概要を提供するものであり、その完全な範囲又はその特徴の全てを包括的に開示するものではない。
【0007】
本開示は、ハウジング、一対の電気コネクタ、支持キャップ、及びセンサを含む温度検出プローブに向けられる。ハウジングは、ハウジングを貫通して長手方向に延びる穴を定義する。一対の電気コネクタは、この穴を通って長手方向に延びている。支持キャップは、ハウジングの第1端部に配置され、センサは、支持キャップ上に設けられ、一対の電気コネクタに電気的に結合される。支持キャップは、一対の電気コネクタとセンサとの間に配置される。
【0008】
一形態において、温度検出プローブは、ハウジングの第2端部を通って延び、一対の電気コネクタに電気的に結合された一対の電気ピンをさらに含む。
【0009】
別の形態において、一対の電気コネクタは、支持キャップを介してセンサに電気的に結合されたPOGO(ポゴ)ピンである。
【0010】
さらに別の形態において、一対の電気コネクタは、支持キャップを介してセンサに電気的に結合された一対の配線である。
【0011】
一形態において、支持キャップはポリアミドで作られている。
【0012】
別の形態において、支持キャップは、一対の電気コネクタとセンサとを電気的に結合するための2つのめっきされた貫通穴を含む。
【0013】
別の形態において、センサは、抵抗温度検出器センサチップである。
【0014】
一形態において、センサは、支持キャップ上に堆積された薄膜抵抗体であり、薄膜抵抗体は、抵抗の高温度係数を有する。一形態において、薄膜抵抗体は、銅、ニッケル、ニッケル-鉄、又は白金の1つである。
【0015】
別の形態において、温度検出プローブは、センサの表面上に配置された温度絶縁材料をさらに含む。
【0016】
さらに別の形態において、センサは、物体の温度を測定するため、物体の表面に直接接触ように構成される。
【0017】
一形態において、ハウジングは、ハウジングの外部に沿って1つ以上の周方向の溝を定義する。
【0018】
別の形態において、センサは熱電対である。
【0019】
一形態において、温度検出プローブは、センサからの信号を調整するため、センサに通信可能に結合された信号処理回路をさらに含む。一変形において、ハウジングは、ハウジングの第2端部にチャンバを定義し、信号処理回路は、チャンバに配置される。一対の電気コネクタは、センサと信号処理回路とを通信可能に結合するため、信号処理回路に電気的に結合される。
【0020】
別の形態において、本開示は、物体を具備するシステムに向けられ、本開示の温度検出プローブは、物体内に配置される。温度検出プローブは、物体内に配置され、温度検出プローブのセンサは、物体の表面に直接面している。
【0021】
一形態において、本開示は、ハウジング、一対の電気コネクタ、支持キャップ、及びセンサを含む温度検出プローブに向けられる。ハウジングは、ハウジングを貫通して長手方向に延びる穴を定義する。ハウジングは、ハウジングの外部に沿って1つ以上の周方向の溝を有する。一対の電気コネクタは、穴を通って長手方向に延びている。支持キャップは、ハウジングの第1端部に配置される。支持キャップは、穴に面する第1表面と、環境に露出された第2表面とを含む。センサは、温度を示す信号を生成する。センサは、一対の電気コネクタに電気的に結合され、穴から離れた支持キャップの第2表面に配置される。
【0022】
さらに別の形態において、温度検出プローブは、ハウジングの第2端部を通って延びる一対の電気ピンをさらに含む。一対の電気コネクタは、一対の電気ピンに電気的に結合され、支持キャップを介してセンサに電気的に結合される一対の配線である。
【0023】
更なる適用可能な領域は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。本明細書及び特定の実施例は、例示のみを目的としたものであり、本開示の範囲を限定することを意図したものではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示を十分に理解するため、ここでは、例として、添付の図面を参照しながら、様々な形態を説明する。
【0025】
図1】本開示の教示に従った第1形態による温度検出プローブを有する物体の部分断面図である。
【0026】
図2図1の温度検出プローブの斜視図である。
【0027】
図3図2の温度検出プローブの断面図である。
【0028】
図4A】本開示の教示に従った第2形態の温度検出プローブの断面図である。
【0029】
図4B図4Aの温度検出プローブ用の支持キャップ及びセンサの正面図である。
【0030】
図5】本開示の教示に従った第3形態の温度検出プローブの部分断面図である。
【0031】
図6】本開示の教示に従った第4形態の温度検出プローブの部分断面図である。
【0032】
図7】本開示の教示に従った第5形態の温度検出プローブの部分断面図である。
【0033】
本明細書に記載された図面は、例示を目的としたものであり、本開示の範囲を何らかの形で限定することを意図したものではない。
【発明の詳細な説明】
【0034】
以下の説明は、単に例示的なものであり、本開示、適用、又は用途を限定することを意図するものではない。図面全体を通して、対応する参照数字は、類似又は対応する部分及び特徴を示すと理解されるべきである。
【0035】
本開示は、プローブと物体との間の熱伝導率を低減又は抑制し、且つ温度測定の熱分流(thermal shunting)を低減する温度検出プローブに向けられる。特に、本明細書に記載されるように、温度検出プローブは、測定される表面に最も近いプローブの部分で、その外部に沿って周方向に延びる溝を有するハウジングを含む。溝は、物体とプローブとの間の熱の伝達を減少させるための熱遮断器(thermal breaker)を形成してもよい。さらに、プローブは、ハウジングの外側に配置され、測定される表面に近接して、又は幾つかの形態では測定される表面に直接接触するように配置されるセンサを含む。この配置は、熱分流を最小化しながら、センサの応答時間を改善する可能性がある。本開示の温度検出プローブは、他の問題を扱っており、本明細書で提供される例に限定されるべきではないことが容易に理解されるべきである。
【0036】
図1を参照すると、温度検出プローブ100は、センサ装置とも称するが、物体102の温度、特に物体102の表面104の温度を検出するために作動可能である。物体102は、例えば、半導体ウェハを処理するために使用されるチャック又はペデスタルであってもよい。しかし、温度検出プローブ100は、他の物体の温度を検出するために使用されてもよく、本明細書で提供される例に限定されるべきではない。
【0037】
一形態において、温度検出プローブ100は、物体102を通って表面104まで延びている。一形態において、温度検出プローブ100と物体102との間には、物体102とプローブ100との間の熱伝導率を低下させるための隙間106が設けられている。隙間の大きさは、用途に応じて変化し得る。
【0038】
図2及び図3を参照すると、一形態において、プローブ100は、ハウジング110と、1つ又は複数の電気コネクタ112(すなわち、112及び112)と、支持キャップ114と、センサ116とを含む。ハウジング110は、第1端部120及び第2端部122を有し、第1端部120と第2端部122との間でハウジング110を貫通して長手方向に延びる穴124を定義する。一形態において、異物がプローブ100に入るのを防ぐため、キャップ125が第1端部120に設けられている。ハウジング110は、第1端部120を含む延長部分130と、第2端部122を含むセンサ部分132とを有するように見てよい。物体102内に配置される場合、センサ部分132は、延長部分130よりも物体102の表面104に近い位置に配置される。一形態において、ハウジング110のセンサ部分132は、物体102とプローブ100との間、及び延長部分130とセンサ部分132との間の熱伝導を阻害するために、ハウジング110の外部に沿って定義された周方向の溝として提供された1つ以上の熱ブレーク134を含む。一形態において、熱ブレーク134はハウジング110を通って延びており、別の形態において、熱ブレーク134と穴124との間にハウジング110の薄い壁が設けられている。ハウジング110は、プラスチック、例えばポリエーテル エーテル ケトンなどの高性能ポリイミドベースのプラスチック、又は他の好適な材料で作られていてもよい。
【0039】
電気コネクタ112は、穴124を通ってセンサ部分132の第2端部122まで延びている。電気コネクタ112は、電気的に結合するように構成され、したがって、物体の表面温度を示す信号を受信する制御システム(図示せず)にセンサ116を通信的に結合するように構成される。一実施例において、制御システムは、台座ヒータなどのヒータを制御するように構成される。制御システムは、プローブ100からの信号を受信し、信号及び他の入力に基づいてヒータシステムへの電力を制御する。これは、一例のアプリケーションに過ぎない。
【0040】
電気コネクタ112は、穴124を通って長手方向に延びており、センサ116に電気的に結合される。一形態において、電気コネクタ112は、一対のピン、例えば一対のPOGOピンであり、各ピンは、リード部分140(すなわち、140及び140)及びピン部分142(すなわち、142及び142)を含む。リード部分140は、第1端部120を通って延びており、ケーブル/配線接続を介して制御システムに電気的に結合するように構成される。ピン部分142は、リード部分140から第2端部122まで延び、センサ116に電気的に結合される。電気コネクタは、他の好適な方法で構成されてもよく、その例を以下に示す。
【0041】
支持キャップ114は、第2端部122に配置され、センサ116を物体102の表面104に整列させて支持するように構成される。一形態において、支持キャップ114は、円盤状の形状を有し、センサ116とハウジング110との間の熱伝導を阻害するため、ポリアミドのような低熱伝導性材料で作られている。他の材料は、ポリジメチルシロキサンなどのエラストマー材料を含んでもよい。支持キャップ114は、穴124に面する第1表面と、環境に露出された第2表面とを含む。支持キャップ114は、センサ116のサイズ及びプローブ100のパッケージサイズに基づき、様々な好適な方法で構成される。例えば、一形態において、支持キャップ114の厚さは、約0.001乃至0.005インチである。支持キャップ114は、またセンサ116を電気子ネクタ112に電気的に結合するように構成される。一形態において、センサ116が表面実装デバイスである場合、支持キャップ114は、センサ116の半田パッドと電気コネクタ112とを電気的に結合するめっきされた貫通孔144(すなわち、144及び144)を含む。センサ116を、支持キャップ114を介して電気的にコネクタ112に電気的に結合するための他の好適な方法も、本開示の範囲内で使用されてもよい。
【0042】
センサ116は、表面104の温度を測定するために動作可能であり、温度を示す信号を制御システムに出力する。一形態において、センサ116は、支持キャップ114上に設置され、より具体的には支持キャップ114の第2表面に沿って配置された抵抗温度検出器(RTD)タイプのセンサである。図3において、センサ116は、一般に、ケースと、ケース内に配置された抵抗の高温度係数(TCR:high temperature coefficient of resistance)を有する抵抗素子とを含むRTD表面実装デバイスとして提供される。例えば、抵抗体は、銅、ニッケル、ニッケル-鉄、又は白金であってもよいが、これらに限定されない。RTD表面実装デバイスは、リフロー半田を介して支持キャップ114に実装される。一実装例において、RTD表面実装デバイスは、表面実装デバイスのための業界標準0603サイズ(0.8X1.6mm)に従っており、0.45mmの厚さを有し、質量が1.9mgである。別の実施形態において、センサ116は、支持キャップ114の表面に取り付けられた熱電対である。
【0043】
本出願に基づいて、センサ116は、表面104の温度を測定するために、物体102の表面104に直接接触するか、又は近接するように構成される。一形態において、支持キャップ114は、センサ116の位置が物体102の表面104に接触するため柔軟であるように、弾力性又は弾性を有する。さらに、電気コネクタ112がPOGOピンである場合、ピンは、センサ116が表面104に接触するよう、支持キャップ114及びセンサ116に対してバイアス力を提供する。
【0044】
動作において、プローブ100は、物体102内に配置され、電気コネクタ112及び配線を介して制御システムに電気的に結合される。センサ116は、表面104の温度を測定するために、表面104と直接接触していてもよいし、表面104に近接していてもよい。制御システムは、センサ116と通信可能に結合され、センサ116から温度を示す信号を受信する。
【0045】
支持キャップ114及び溝を有するハウジング110の方法により、プローブ100と物体との間、及びセンサ116とハウジング110との間の熱伝導率は、例えば、センサの精度、応答時間、及びオフセット誤差を潜在的に改善するために、低減又は抑制される。
【0046】
図4A及び4Bは、異なる電気コネクタ及びセンサを有する温度検出プローブの別の変形例を示す。具体的には、一形態において、温度検出プローブ200は、ハウジング110と、一対の電気ピン又はリード202(すなわち、202及び202)と、一対の電気コネクタ204(すなわち、204及び204)と、支持キャップ206と、センサ208とを含む。電気リード202は、プローブ200を制御システムに電気的に結合するために操作可能であり、ハウジング110の第1端部120を通って延びている。プローブ200は、異物がハウジング110に入るのを防ぐため、第1端部120に配置されたキャップ210をさらに含む。
【0047】
電気コネクタ204は、リード202に接続される配線であり、例えば半田又はスポット溶接であり、配線204と呼ばれることがある。一形態において、電気コネクタ204は、小ゲージの配線、例えば36から40ゲージの配線である。プローブ100の電気コネクタ112と同様に、配線204は、穴124を通って延び、支持キャップ206を介してセンサ208に電気的に結合される。
【0048】
一形態において、センサ208は、支持キャップ206上に堆積された高いTCRを有する抵抗素子である。すなわち、そこに配置された抵抗性材料を有するケースを取り付ける代わりに、プローブ200は、抵抗性材料を支持キャップ206上に直接設ける。したがって、物体に配置された場合、抵抗性材料は、物体の表面に直接又は近接して接触しているため、センサ208の応答時間を増加させ、熱分流を低減させることができる。
【0049】
一形態において、支持キャップ206は、石英、シリコン、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)などの低熱膨張材料の剛体ディスクである。別の実施形態において、支持キャップ206は、抵抗素子(すなわちセンサ208)を基板から絶縁するために誘電体でコーティングされたステンレス鋼又はインバー(Invar)のような金属基板である。プローブ100と同様に、センサ208(すなわち、抵抗性材料)を電気コネクタ204に電気的に結合して、制御システムに結合するため、めっきされた貫通孔が支持キャップ206に形成されてもよい。また、支持キャップ206は、センサ208と支持キャップ206との間の熱損失をさらに低減するため、スケルトン化(skeletonized)された構造で構成されてもよい。
【0050】
図5を参照すると、温度検出プローブ100、200は、センサ及び支持キャップに柔軟性を提供するための支持体をさらに備えてもよい。より具体的には、温度検出プローブ300は、プローブ200と同様に構成されるが、プローブ100のセンサ116及び支持キャップ114を含む。プローブ300は、ハウジング110の第2端部122に配置された保持リング302と、センサ116に設けられた温度絶縁材料304(TIM)とをさらに含む。保持リング302は、支持キャップ114をハウジング110に固定する。
【0051】
TIM304は、TIM304がセンサ116と測定される表面との間にあるように、センサ116上に設けられる。TIM304の厚さは、プローブ300を使用するアプリケーション、及び支持キャップ114及びセンサ116の構造に基づいてもよい。例えば、支持キャップ114の厚さが10乃至50ミクロンである場合、TIM304の厚さは50乃至250ミクロンであってもよい。一形態において、TIM304は、センサ116の露出した表面に堆積されるシート材料又はモールド イン プレイス材料である。TIM304は、低硬度ポリマー又はゲル、多くの場合、シリコーンベースのもの、及び窒化ホウ素、種々の金属酸化物又は金属などの固体粉末材料の組み合わせから作られ、熱伝導性を提供する。ポリマーは、基本的には、使用可能な形で固体のこの洗練された組み合わせを保持するバインダであり、典型的には、アプリケーションに合わせて様々な厚さで利用可能なシート、又はより安定した柔らかい固体材料に硬化することができるディスペンサブルな液体又はペーストのフォームである。TIM材料の例としては、フジポリ(Fujipoly)、サルコン(Sarcon)、SPG20A、サルコンGTR、又はサルコンQRがある。TIM304は、温度測定の精度を向上させるために、対象物の表面に対するセンサ116の熱界面を改善する。
【0052】
図6を参照すると、温度検出プローブ400は、センサを支持して柔軟性を提供するための別の構成を提供する。一形態において、プローブ400は、センサ116を制御システムに電気的に結合するためのプローブ200の配線(すなわち、電気コネクタ204)及びリード202を含む。ここで、プローブ400は、ハウジング110の第2端部122に設けられた支持キャップ402を含む。一形態において、支持キャップ402はエラストマー製であり、センサ116を支持するための様々な好適な方法で構成されてもよい。例えば、一形態において、支持キャップ402は、ハウジング110の内壁と接する壁404を含み、センサ116を収容するための空洞406と、配線を受けるためのアクセスポート408(すなわち、408及び408)とを定義する。
【0053】
一形態において、本開示の温度検出プローブは、制御システムに信号を提供する前に、センサからの信号を処理するための回路をさらに含んでもよい。例えば、図7を参照すると、プローブ500は、プローブ200、300、400と同様に構成され、電気コネクタとしての配線、及びリード202を含む。一形態において、プローブ500は、ハウジング110内に定義されたチャンバ504内に配置された信号処理回路(SPC)502を含む。SPC702は、第1セットの配線506(すなわち、506及び506)を介してセンサ(図示せず)に電気的に結合され、第2セットの配線508(すなわち、508及び508)を介してリード202に電気的に結合される。したがって、配線506及び508は、センサ116をSPC502に電気的に結合し、SPC502をリード202に電気的に結合する電気コネクタを形成する。
【0054】
SPC502は、制御システムに信号を送信する前に、センサ116からの元の信号を調整するための様々な適切な方法で構成されてもよい。例えば、一形態において、SPC502は、例えば、元の信号からのノイズをフィルタリングし、信号の強度を高め、信号を制御システムによって利用される特定のフォーマットに変換し、信号をデジタル値に変換し、及び/又はセンサオフセット補正を実行するための1つ以上の電気部品を含む。SPC502により、プローブ500は、センサからの元の信号に基づき強化された信号を提供するために、特定の制御システム用にカスタマイズすることができる。さらに、SPC502は、ハウジング110に熱的にインターフェイスされており、ハウジング110は、干渉フィットのような直接接触により、又はTIMを介して物体102に熱的にインターフェイスされる。物体102の温度は、能動的に制御され、したがって、SPCの回路及び材料と互換性のある温度でSPC502を維持する。換言すると、SPC502と物体102との間に提供される熱経路は、電子回路と互換性のある温度で制御される物体102の温度と実質的に同じ温度でSPC502の温度を制御する。
【0055】
異なるプローブ間の様々なバリエーションは、交換可能であってもよい。例えば、図1のプローブ100は、電気コネクタ112の代わりに、リード202及び電気コネクタ204を含んでもよい。逆に、プローブ200、300、400及び500は、リード202及び電気コネクタ204の代わりに、図1の電気コネクタ112を含んでもよい。
【0056】
さらに別の形態において、プローブ100、200、300、400、500の各々は、絶縁ガスを保持するように構成されてもよい。例えば、溝120が壁によって穴124から分離された状態で、プローブ400は、ハウジング110とセンサ116との間の熱伝導をさらに抑制するために、アラゴンのような絶縁ガスで満たされてもよい。
【0057】
本開示の温度検出プローブは、表面の測定された温度の精度を向上させるために、ハウジングなどの周囲の構成要素とセンサ間の熱伝導を抑制するように構成される。測定に対する追加の改善は、センサが測定される表面と直接インターフェイスを有することによっても提供される。センサ表面にTIMを追加することで、測定される表面との熱的なインターフェイスとセンサの再現性が向上する。柔軟性のある支持キャップは、センサ、TIM、被測定面に対して一定の力を提供する。
【0058】
本開示の記載は、本質的に例示的なものに過ぎず、したがって、本開示の本質から逸脱しない変形は、本開示の範囲内であることが意図される。そのような変形は、開示の精神及び範囲からの逸脱とみなされるべきではない。
【0059】
本明細書において、第1、第2、第3などの用語が、様々な要素、構成要素、領域、層及び/又はセクションを説明するために使用されてもよいが、これらの要素、構成要素、領域、層及び/又はセクションは、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層及び/又はセクションを、別の要素、構成要素、領域、層及び/又はセクションと区別するためにのみ使用されてもよい。本明細書で使用される場合、「第1」、「第2」、及び他の数値用語のような用語は、文脈によって明確に示されない限り、順番又は順序を暗示するものではない。したがって、第1要素、構成要素、領域、層、又はセクションは、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2要素、構成要素、領域、層、又はセクションと呼ばれ得る。さらに、要素、コンポーネント、領域、層、又はセクションは、「第1」要素、コンポーネント、領域、層、又はセクションと称される要素、コンポーネント、領域、層、又はセクションを必要とせずに、「第2」要素、コンポーネント、領域、層、又はセクションと称されてもよい。
以下に、本願出願時の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
ハウジングを貫通して長手方向に延びる穴を定義するハウジングと、
前記穴を通って長手方向に延びる一対の電気コネクタと、
前記ハウジングの第1端部に配置された支持キャップと、
前記支持キャップ上に設けられ、前記一対の電気コネクタに電気的に結合されたセンサと、を具備し、
前記支持キャップは、前記一対の電気コネクタと前記センサとの間に配置される
ことを特徴とする温度検出プローブ。
[2]
前記ハウジングの第2端部を通って延び、前記一対の電気コネクタに電気的に結合された一対の電気ピン
をさらに具備する[1]の温度検出プローブ。
[3]
前記一対の電気コネクタは、前記支持キャップを介して前記センサに電気的に結合されたPOGOピンである
[1]の温度検出プローブ。
[4]
前記一対の電気コネクタは、前記支持キャップを介して前記センサに電気的に結合された一対の配線である
[1]の温度検出プローブ。
[5]
前記支持キャップは、ポリアミドで作られている
[1]の温度検出プローブ。
[6]
前記支持キャップは、前記一対の電気コネクタと前記センサとを電気的に結合するための2個のめっきされた貫通穴を含む、
[1]の温度検出プローブ。
[7]
前記センサは、抵抗温度検出器センサチップである
[1]の温度検出プローブ。
[8]
前記センサは、前記支持キャップに堆積された薄膜抵抗体であり、前記薄膜抵抗体は抵抗の高温度係数を有する
[1]の温度検出プローブ。
[9]
前記薄膜抵抗体は、銅、ニッケル、ニッケル-鉄、又は白金の1つである
[8]の温度検出プローブ。
[10]
前記センサの表面上に配置された温度絶縁材料をさらに具備する
[1]の温度検出プローブ。
[11]
前記センサは、物体の温度を測定するため、前記物体の表面に直接接触するように構成される
[1]の温度検出プローブ。
[12]
前記ハウジングは、前記ハウジングの外部に沿って1つ以上の周方向の溝を定義する
[1]の温度検出プローブ。
[13]
前記センサは、熱電対である
[1]の温度検出プローブ。
[14]
前記センサからの信号を調整するため、前記センサと通信可能に結合された信号処理回路をさらに具備する
[1]の温度検出プローブ。
[15]
前記ハウジングは、前記ハウジングの第2端部にチャンバを定義し、前記信号処理回路は、前記チャンバに配置され、
前記一対の電気コネクタは、前記センサと前記信号処理回路とを通信可能に結合するため、前記信号処理回路に電気的に結合される
[14]の温度検出プローブ。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7