(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】針作動機構を備えた薬剤送達装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20230710BHJP
【FI】
A61M5/142 522
(21)【出願番号】P 2020566561
(86)(22)【出願日】2019-05-22
(86)【国際出願番号】 EP2019063269
(87)【国際公開番号】W WO2019228895
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-04-28
(32)【優先日】2018-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514207337
【氏名又は名称】ゼンジーレ・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】ウィーザー・オリバー
(72)【発明者】
【氏名】マーファー・マクシミリアン
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-525428(JP,A)
【文献】特表2004-501721(JP,A)
【文献】国際公開第2013/148435(WO,A1)
【文献】特表2009-507583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達装置(1)において、必要とする患者に投与される薬剤を収容する薬剤カートリッジ(3)を受容する送達ユニット(2)を含み、前記送達ユニットは、針(24)と、前記針が装着される針支持体(8)と、前記送達ユニット(2)のハウジング(5)内の後退位置から、前記針が前記ハウジングの基部壁(14)を通って突出する、伸長送達位置まで前記針を移動させるように構成された針作動機構(9)と、を含む皮下送達機構(7)を含み、前記針作動機構は、
前記後退位置と
前記伸長送達位置との間で前記針支持体を並進運動させるために前記針支持体(8)に連結された係合レバー(11)に係合するように構成された回転アクチュエータ(10)を含み、前記針支持体は、前記ハウジング(5)に対してスライド可能に装着された並進運動ガイド部材(12)と、前記並進運動ガイド部材(12)に回転可能に装着された回転ガイド部材(13)と、を含み、前記針(24)は、前記針の完全後退後に完全後退パーク位置で前記針を傾けるように構成された前記回転ガイド部材(13)に固定されていることを特徴とする、薬剤送達装置。
【請求項2】
前記係合レバー(11)は、前記針支持体(8)上に枢動可能に装着され、前記針支持体に弾性的に係合し、前記針支持体は、前記係合レバー(11)が、完全伸長送達位置において前記針作動機構の前記回転アクチュエータ(10)に対して弾性的に枢動および付勢することができるように構成され、前記回転アクチュエータが送達方向(R+)に自由に回ることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
薬剤送達装置(1)において、必要とする患者に投与される薬剤を収容する薬剤カートリッジ(3)を受容する送達ユニット(2)を含み、前記送達ユニットは、針(24)と、前記針が装着される針支持体(8)と、前記送達ユニット(2)のハウジング(5)内の後退位置から、前記針が前記ハウジングの基部壁(14)を通って突出する、伸長送達位置まで前記針を移動させるように構成された針作動機構(9)と、を含む皮下送達機構(7)を含み、前記針作動機構は、
前記後退位置と
前記伸長送達位置との間で前記針支持体を並進運動させるために前記針支持体(8)に連結された係合レバー(11)に係合するように構成された回転アクチュエータ(10)を含み、前記係合レバー(11)は、前記針支持体(8)上に枢動可能に装着され、前記針支持体に弾性的に係合し、前記針支持体は、前記係合レバー(11)が、完全伸長送達位置において前記針作動機構の前記回転アクチュエータ(10)に対して弾性的に枢動および付勢することができるように構成され、前記回転アクチュエータが送達方向(R+)に自由に回ることができ
、
前記針支持体は、前記ハウジング(5)に対してスライド可能に装着された並進運動ガイド部材(12)と、前記並進運動ガイド部材(12)に回転可能に装着された回転ガイド部材(13)と、を含み、前記針(24)は、前記針の完全後退後に完全後退パーク位置で前記針を傾けるように構成された前記回転ガイド部材(13)に固定されていることを特徴とする、薬剤送達装置。
【請求項4】
前記回転アクチュエータ(10)は、前記送達ユニット(2)に装着されたポンプモジュール(6)のロータ(20)に直接連結されている、請求項1から
3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記回転アクチュエータは、前記ポンプモジュールの
前記ロータと一体的に形成されている、請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
前記回転アクチュエータは、ディスク形状を有し、外周リム(28)が、前記係合レバー(11)の係合端部(35)に係合するように前記
外周リム(28)の凹部(30)によって形成されたキャッチ(29)を含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記係合レバー(11)は、前記針支持体(8)に係合して前記針支持体に対して前記係合レバーを弾性的に枢動させるサスペンション(36、37)を含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記回転ガイド部材は、前記並進運動ガイド部材(12)の回転部材支持体(44)に回転可能に装着された円筒状本体部分(47)を含む、請求項1から
7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記針支持体の前記回転ガイド部材は、
前記送達ユニット(2)に装着されたポンプモジュールの出口(23)に接続された液体送達導管(46)を
前記針(24)に相互接続する液体チャネルをその中に含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記係合レバーは、前記回転アクチュエータ(10)が逆方向(R-)に移動するときに前記回転アクチュエータ(10)の下方キャッチエッジ(31a)に引っ掛かるように構成された突起を、
前記係合レバー(11)の係合端部(35)の下側に含む、請求項1から
9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記係合レバー(11)は、ピボット部分(33)と、前記ピボット部分から
前記係合レバー(11)の係合端部(35)まで延びる係合アーム(34)と、を含み、前記ピボット部分は、前記針支持体の前記回転ガイド部材(13)から延びるピボット支持体(25)に装着されている、請求項1から
10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記針支持体(8)の前記回転ガイド部材(13)は、最初の後退位置と前記伸長送達位置との間を移動するときに前記回転ガイド部材(13)の回転を防止するように構成された、前記ハウジングの基部壁(14)から延びる相補的な回転防止ガイド表面(17)にスライド可能に係合する、回転防止ガイド表面(27)を含み、前記回転防止
ガイド表面は、前記針のさらなる再利用を防止するパーク位置への前記針の傾斜を可能にするために前記回転アクチュエータが逆方向に回転すると、前記完全後退パーク位置において係合解除するように配置されている、請求項1から
11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記回転アクチュエータ(10)は、前記回転アクチュエータ(10)を作動させるために、電子制御システム、電源、および
ポンプ駆動装置を含む基部ユニットに装着された駆動装置に連結するように構成された駆動インターフェース(32)を含む、請求項1から
12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記送達ユニットは、前記送達ユニットの
前記ハウジング(5)内に前記薬剤カートリッジ(3)を収容する使い捨て部分として形成され、基部ユニット(4)は、電子制御システム、電源、およびポンプ駆動装置を含む再利用可能部分として形成され、前記基部ユニットは、前記送達ユニットに取り外し可能に装着可能である、請求項1から
13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記完全後退パーク位置にある前記針の先端部に係合して
パーク位置にある前記針をブロックするロック要素(50,150)を含む、請求項1から
14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記ロック要素は、軟質材料で充填されたロックネスト(150)を含み、前記針(24)の前記先端部は、前記パーク位置に移動すると、前記ロックネストに埋まる、請求項
15に記載の装置。
【請求項17】
前記軟質材料が、熱可塑性エラストマー、
または、液体シリコーンゴム
である、請求項
16に記載の装置。
【請求項18】
前記ロック要素は、ロック突出部(50)を含み、前記ロック突出部は、前記針の
前記先端部を前記ロック突出部上にガイドするテーパ状表面を備える、請求項
15に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、針作動機構を備えた、液体薬剤の経皮的送達のための薬剤送達装置に関する。
【0002】
〔関連技術の説明〕
針作動機構を備えた薬剤送達装置は、WO2015015379に記載されている。前述の文献に記載された薬剤送達装置における針作動機構は、有利には、ポンプ駆動装置によって作動され得、プレストレスを与えられたばねの高いばね力を克服することを必要としない、信頼性があり安全な針作動機構、または針の係合および後退のための複雑な機構を提供する。
【0003】
それにもかかわらず、特定の用途における上述の針作動機構の欠点は、レバーアームが効率的な動作のためにあるサイズを必要とすることである。特に濃縮インスリンのような非常に少量でポンピングされる薬剤のための、小さなパッチ装置のような非常に小さな薬剤送達装置については、上述の機構は十分に小型ではない。
【0004】
米国特許第8535269号には、回転可能な支持体上に装着され、保護位置から、患者の皮膚に針を挿入することができる能動位置まで回転される針を有する薬剤送達装置のための針作動システムが記載されている。装置の使用後に針を後退させた後、針を保護位置へと枢動させることができる。しかしながら、この機構は、かさ高で複雑であり、そのため、装置の信頼性および安全性に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、使用前に保護位置に針を設けることは、使用前に針を能動位置に回転させることを必要とし、装置の作動の複雑さを増大させ、電動作動手段による自動挿入に十分に適合しないものとなる。
【0005】
したがって、単純で信頼性の高い針作動機構の利点を享受しながら、これを特に小型の構成で提供することが有利であろう。
【0006】
また、装置、特に、一旦使用された後に再利用されることを防止すべき薬剤送達装置の使い捨て部分の安全性を確保することが望ましい。
【0007】
〔発明の概要〕
前記を鑑みると、本発明の目的は、小型で安全かつ信頼性の高い針作動機構を備えた薬剤送達装置を提供することである。
【0008】
製造するのに経済的な薬剤送達装置を提供することが有利である。
【0009】
身につけるのに快適であり、使用しやすい薬剤送達装置を提供することが有利である。
【0010】
本発明の目的は、請求項1に記載の薬剤送達装置によって達成される。
【0011】
本発明の目的は、請求項3に記載の薬剤送達装置によって達成される。
【0012】
本明細書には薬剤送達装置が開示され、薬剤送達装置は、必要とする患者に投与される薬剤を収容する薬剤カートリッジを受容する送達ユニットを含み、送達ユニットは、針と、針が装着される針支持体と、送達ユニットのハウジング内の後退位置から、針がハウジングの基部壁を通って突出する、伸長送達位置まで針を移動させるように構成された針作動機構と、を含む皮下送達機構を含み、針作動機構は、後退位置と伸長送達位置との間で針支持体を並進運動させるために針支持体に連結された係合レバーに係合するように構成された回転アクチュエータを含む。
【0013】
本発明の第1の態様によれば、針支持体は、ハウジングに対してスライド可能に装着された並進運動ガイド部材と、並進運動ガイド部材に回転可能に装着された回転ガイド部材と、を含み、針は、針の完全後退後に完全後退パーク位置で針を傾けるように構成された回転ガイド部材に固定される。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、係合レバーは、針支持体上に枢動可能に装着され、針支持体に弾性的に係合し、針支持体は、係合レバーが、完全伸長送達位置において針作動機構の回転アクチュエータに対して弾性的に枢動および付勢することができるように構成され、回転アクチュエータが送達方向(R+)に自由に回ることができる。
【0015】
有利な実施形態では、針支持体は、ハウジングに対してスライド可能に装着された並進運動ガイド部材と、並進運動ガイド部材に回転可能に装着された回転ガイド部材と、を含み、針は、針の完全後退後に完全後退パーク位置で針を傾けるように構成された回転ガイド部材に固定される。
【0016】
有利な実施形態では、回転アクチュエータは、送達ユニットに装着されたポンプモジュールのロータに直接連結される。
【0017】
有利な実施形態では、回転アクチュエータは、ポンプモジュールのロータと一体的に形成される。
【0018】
有利な実施形態では、回転アクチュエータはディスク形状を有し、外周リムが、係合レバーの係合端部に係合するようにリムの凹部によって形成されたキャッチを含む。
【0019】
有利な実施形態では、係合レバーは、針支持体に対して係合レバーを弾性的に枢動させるために針支持体に対して付勢するサスペンションを含む。
【0020】
有利な実施形態では、回転ガイド部材は、並進運動ガイド部材の回転部材支持体に回転可能に装着された円筒状本体部分を含む。
【0021】
有利な実施形態では、針支持体の回転ガイド部材は、ポンプモジュールの出口に接続された液体送達導管を中空針に相互接続する液体チャネルをその中に含む。
【0022】
有利な実施形態では、係合レバーは、針を伸長送達位置から後退位置へ移動させるように回転アクチュエータが逆方向(R-)に移動するときに回転アクチュエータの下方キャッチエッジに引っ掛かるように構成された突起を、係合端部の下側に含む。
【0023】
有利な実施形態では、係合レバーは、ピボット部分と、ピボット部分から係合端部まで延びる係合アームと、を含み、ピボット部分は、針支持体の回転ガイド部材から延びるピボット支持体に装着される。
【0024】
有利な実施形態では、針支持体の回転ガイド部材は、最初の後退位置と伸長送達位置との間を移動するときに回転ガイド部材の回転を防止するように構成された、ハウジングの基部壁から延びる相補的な回転防止ガイド表面とスライド可能に係合する回転防止ガイド表面を含み、これらの回転防止表面は、針のさらなる再利用を防止するパーク位置への針の傾斜を可能にするために回転アクチュエータが逆方向に回転すると、完全後退パーク位置において係合解除するように配置される。
【0025】
有利な実施形態では、パーク位置にある針の先端部は、パーク位置にある針をブロックするロック要素に係合する。
【0026】
有利な実施形態では、ロック要素は、軟質材料で充填されたロックネストを含み、針の先端部は、パーク位置に移動すると、ロックネストに埋まる。軟質材料は、有利には、熱可塑性エラストマーを含むことができる。
【0027】
有利な実施形態では、ロック要素は、ハウジングの基部壁から立ち上がったロック突出部を含み、それによって、このロック突出部の上で、針の先端部が、傾斜したパーク位置においてブロックされる。
【0028】
有利な実施形態では、回転アクチュエータは、回転アクチュエータを作動させるために、電子制御システム、電源、および前記ポンプ駆動装置を含む基部ユニットに装着された駆動装置に連結するように構成された駆動インターフェースを含む。
【0029】
有利な実施形態では、送達ユニットは、送達ユニットのハウジング内に前記薬剤カートリッジを収容する使い捨て部分として形成され、基部ユニットは、電子制御システム、電源、およびポンプ駆動装置を含む再利用可能部分として形成され、基部ユニットは、送達ユニットに取り外し可能に装着可能である。
【0030】
有利な実施形態では、送達ユニットは、患者の皮膚に対して装着するために、基部壁の下側に接着層を有する装着表面を含み、薬剤送達装置はパッチ装置として形成される。
【0031】
本発明のさらなる目的および有利な特徴は、特許請求の範囲、詳細な説明および添付図面から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1a】本発明による薬剤送達装置の実施形態の斜視図である。
【
図1b】装置の別の側から見た
図1aと同様の図である。
【
図1c】
図1aおよび
図1bの装置の斜視図であり、送達ユニットから分離された基部ユニットを示し、送達ユニットのカバー部分は、送達ユニットの内側がよく見えるように取り外されている。
【
図2a】
図1a~
図1cの装置の送達ユニットの斜視図であり、カバー部分が部分的に取り外され、薬剤カートリッジが装着されていない状態である。
【
図2b】薬剤送達ユニットのいくつかの構成要素を分解様式で示す
図2aと同様の図である。
【
図3】本発明の一実施形態による送達ユニットの構成要素の分解組立図であり、送達ユニットの、とりわけポンプモジュールおよび皮下送達機構を示す。
【
図4】本発明の一実施形態による送達ユニットの皮下送達機構の斜視図である。
【
図5a】本発明の一実施形態による針作動機構の動作シーケンスを示す薬剤送達装置の断面図であり、
図5aは、最初の使用前の初期状態における針作動機構を示す。
【
図5b】本発明の一実施形態による針作動機構の動作シーケンスを示す薬剤送達装置の断面図であり、
図5bは、伸長送達位置における針作動機構を示す。
【
図5c】本発明の一実施形態による針作動機構の動作シーケンスを示す薬剤送達装置の断面図であり、
図5cは、後退傾斜パーク位置における針作動システムを示す。
【
図6a】
図5aに対応する位置における皮下送達機構の針支持体の斜視図である。
【
図6b】
図5bに対応する位置における皮下送達機構の針支持体の斜視図である。
【
図6c】
図5cに対応する位置における皮下送達機構の針支持体の斜視図である。
【
図7a】本発明の別の実施形態による薬剤送達の図であり、
図7aは、後退傾斜パーク位置における針作動システムを示す断面図である。
【
図7b】本発明の別の実施形態による薬剤送達の図であり、
図7bは、最初の使用前の初期状態における針支持体および針作動機構の斜視部分図である。
【
図7c】本発明の別の実施形態による薬剤送達の図であり、
図7cは、伸長送達位置における針支持体および針作動機構の斜視部分図である。
【
図7d】本発明の別の実施形態による薬剤送達の図であり、
図7dは、後退傾斜パーク位置における針支持体および針作動機構の斜視部分図である。
【0033】
〔例示的な実施形態の詳細な説明〕
図面を、特に
図1~
図4を参照すると、薬剤送達装置1は、送達ユニット2と、基部ユニット4と、を含む。一実施形態では、送達ユニット2は、使い捨てユニット2であり、再利用可能な基部ユニット4に取り外し可能に接続されているが、他の実施形態では、基部は、単一の使い捨てユニットとして送達ユニットと共に形成してもよいことが理解されよう。
【0034】
送達ユニット2は、流体を経皮的に送達する皮下送達機構7と、患者に投与される流体を収容するリザーバを有する薬剤カートリッジ3と、リザーバから皮下送達機構7に流体を移送するポンプ6と、上記構成要素を支持する支持部材またはハウジング5と、を含む。供給導管45は、薬剤カートリッジ3の出口をポンプモジュール6の入口20に流体接続する。
【0035】
基部ユニット4は、ポンプ駆動装置(不図示)と、バッテリ(不図示)と、電子制御ユニット(不図示)と、ハウジングと、を含む。基部ユニットのハウジングは、送達ユニット2に連結されると、リザーバの一部を収容することができ、オプションとして、リザーバの薬剤充填レベルを検出するための1つ以上のセンサを含むことができる。
【0036】
ポンプモジュール6は、皮下送達のために、薬剤カートリッジから針24に流体をポンピングするように動作可能である。この実施例では、ポンプモジュールは、基部ユニット4に装着されたポンプ駆動装置と回転連結するように構成された駆動インターフェース32を含み、ポンプ駆動装置からのトルクがポンプモジュールに伝達されてポンプのロータ20を回転駆動する。適切なポンプエンジンおよび駆動ユニットは、WO2005/039674に提供されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。しかし、当然のことながら、他の回転ポンプエンジンおよびポンプ駆動装置を使用してもよい。さらに、ポンプエンジンは、ポンプ駆動装置に永続的に連結されるかもしくは取り付けられ得、かつ/または駆動装置は、送達ユニット2に組み込まれ、例えば、電気接点を介して、もしくは基部ユニット4に装着された電源(不図示)からの誘導によって、電力を受け取ることができる。
【0037】
ポンプモジュール6の入口22は供給導管45から流体を受け取り、ポンプの出口23は送達導管46を介して針24に流体を供給する。
【0038】
針作動機構9の回転アクチュエータ10は、有利な実施形態では、以下でさらに詳細に論じるように、ポンプ駆動装置によるポンプのロータの回転が回転アクチュエータ10の回転を引き起こすように、ポンプモジュール6に装着される。他の実施形態では、回転アクチュエータは、ポンプモジュール上に直接装着されていなくてもよく、例えば、ギア付きシステムを介してポンプモジュールに連結されていてもよく、または、代わりに、例えば独立したモータもしくは機構によって、ポンプモジュール6に連結された駆動装置とは別に駆動されてもよいことが理解されよう。
【0039】
皮下送達機構7は、針支持体8と、薬剤カートリッジから流体を経皮送達するように適合された、針支持体に装着された針24と、を含む。皮下送達機構7は、針作動機構9をさらに含む。
【0040】
針支持体8は、並進運動ガイド部材12を含み、並進運動ガイド部材は、ハウジング5に固定された、特にハウジング5の基部壁14から立ち上がった針支持ガイド15上にスライド可能に装着される。針支持ガイド15は、並進運動ガイドレール16を含み、この並進運動ガイドレールは、針支持部8の並進運動ガイド部材12に形成されたガイドレール43とスライド可能に係合する。相補的な並進運動ガイドレール16および並進運動ガイドレール43は、針支持体8をハウジング5の基部壁14に対してスライド可能に移動させることができ、針24は、
図5aおよび
図6aに示すようなハウジング内の後退位置から、
図5bおよび
図6bに示すようにハウジングの基部壁14を通って延びる送達位置まで並進運動して、患者に液体薬剤を経皮的に投与することができる。
【0041】
針支持体8は、並進運動ガイド部材12に回転可能に装着された、回転ガイド部材13をさらに含み、針24が回転ガイド部材13に固定されている。回転ガイド部材13は、針24を
図5aおよび
図6aに示された後退位置から、
図5cおよび
図6cに示すような、作動機構9を係合解除する傾斜後退位置まで回転させることができ、それによって薬剤送達装置のさらなる使用を防止する。
図5cおよび
図6cに示される傾斜後退位置は、使い捨て送達ユニットがもはや再利用されることができず、新しい送達ユニットと交換する必要がある、使用終了パーク位置に対応する。
図5cおよび
図6cに示す使用終了パーク位置では、針24は、もはや、伸長送達位置に戻るために作動機構9によって係合されることができず、これにより、送達ユニットの使用後の薬剤送達装置の安全性が確保される。
【0042】
並進運動ガイド部材12は、回転部材支持体44を含み、この回転部材支持体は、本体47、例えば円筒形状の本体47を支持するベアリングを形成して、回転ガイド部材13を並進運動ガイド部材12に対して回転軸A1の周りで回転させる。
【0043】
回転本体内には、中空針24を、ポンプモジュールの出口23にコネクタ52を介して接続された送達導管46に接続された本体47上の入口に流体的に相互接続する、流体チャネルが形成されている。導管46は、回転ガイド部材13とハウジング5との間の相対回転を許容するのに十分な柔軟性を有する。
【0044】
回転ガイド部材13は、針作動機構9の係合レバー11に連結されている。係合レバー11は、図示の実施形態において、また、好ましい実施態様において、回転ガイド部材13に回転可能に装着されている。しかしながら、本発明の範囲内では、係合レバーは、回転ガイド部材に固定的に装着されてもよく、変形例では、回転ガイド部材と一体的に形成されてもよい。
【0045】
図示の実施形態では、係合レバー11は、回転ガイド部材13から延びるピボット支持体25上に回転可能に装着されたピボット部分33と、ピボット部分33から係合端部35まで延びる係合アーム34と、を含む。係合端部35は、針作動機構9の回転アクチュエータ10によって係合されるように構成されている。
【0046】
図示の実施形態では、本質的に、周方向外側リム28を有するディスクまたはホイールの形態である、回転アクチュエータ10は、回転部材が回転すると係合端部35に係合するキャッチ29を備えている。キャッチ29は、リム28の凹部またはノッチ30によって形成され、係合端部35の上面および下面にそれぞれ係合するキャッチエッジ31a、31bを提供する。
図5aおよび
図5bならびに
図6aおよび
図6bに示すような、後退位置および伸長位置にある、係合端部35は、ノッチ30内に延びる。
【0047】
しかしながら、回転アクチュエータは、後退位置から伸長位置へ移動する際に係合レバー11を押し下げる要素を提供する種々の他の形態および形状を有してもよく、係合レバーに係合してレバーを伸長位置から後退位置へ上方に移動させる要素をそれぞれ有してもよく、係合端部も、上述の移動を行うために回転アクチュエータのキャッチに相補的な種々の形状および形態を有してもよいことが理解されよう。
【0048】
有利な実施形態では、回転アクチュエータ10は、ポンプモジュール6のロータ20に連結され、単一の部品としてポンプモジュールのロータ20と共に一体的に形成されてもよい。さらに、有利な実施形態では、回転アクチュエータ10は、基部ユニット4に装着された駆動装置(不図示)に回転連結するための駆動インターフェース32を含むことができる。使い捨てユニット2が基部ユニット4に連結されると、駆動インターフェース32は、基部ユニット内の駆動装置の相補的インターフェースと係合する。したがって、回転アクチュエータは、ポンプモジュールのロータと同時に、ポンプ駆動装置によって回転駆動され得る。
【0049】
図5aに最もよく示されているように、送達ユニット2の最初の使用前の後退位置において、針支持体8は、針24が完全にハウジング5内で基部壁14の上方に位置決めされた状態で後退位置にある。係合端部35は、回転アクチュエータ10のキャッチ29と係合する位置にあり、それによって、図示の実施形態では、係合端部35は、凹部またはノッチ30内に位置決めされる。
【0050】
薬剤送達装置1を使用するために、送達ユニット2は、ポンプ駆動装置が回転アクチュエータ10の駆動インターフェース32と係合するように、基部ユニット4に連結され、装着される。送達ユニットが接着性基部を備えている実施形態では、保護フィルム39が剥がされ、基部の装着表面38が患者の皮膚に当てられる。しかしながら、他の実施形態では、基部壁は、接着層なしで提供されてもよく、装置は、他の手段、例えば、薬剤送達デバイスが配置される患者の身体部分を取り囲むストラップまたはバンドによって、患者の皮膚に当てられてもよいことに留意されたい。薬剤送達装置の最初の使用時に、例えば、液体薬剤の用量を皮下に送達する最初のコマンド時、最初の用量は、薬剤送達またはボーラス注射の基礎速度を設定することができ、ポンプ駆動装置が作動されて、回転アクチュエータを係合レバー11に係合する回転方向に回し、
図5bおよび
図6bに示されるように、係合レバーを後退位置から伸長送達位置に並進運動で移動させ、そのため、針24は、患者の皮膚を貫通し、経皮的に液体薬剤を送達する準備ができた位置にくる。
【0051】
図示の実施形態では、伸長送達位置において、回転アクチュエータは、送達方向R+に回転し続けることができる。送達方向R+において、キャッチ29の上方係合エッジ31bは、係合端部35を越えて移動することができるように構成されており、一旦針が伸長位置にくると、回転アクチュエータ10は、係合レバー11によってブロックされることなく、連続的に送達方向に回ることができる。
【0052】
係合レバー11は、レバーを回転案内部材13に連結するサスペンションをさらに備えていてもよい。
【0053】
図4に示す変形例では、サスペンションは、係合レバーから延びる下方サスペンションアーム36を含み、これは、サスペンションアーム36の弾性曲げによる回転ガイド部材13に対する係合レバーの限定的な弾性回転を可能にするように構成された、回転ガイド部材13から延びる下方当接肩部26aに対して付勢する。
【0054】
これにより、回転アクチュエータ10は、薬剤の送達中に針の位置に影響を与えることなく、送達方向R+に回りながら、係合レバー11の係合端部35に接触して、これをわずかに押圧することができる。
【0055】
変形例では、係合レバー11から延びる下方サスペンションアーム36の代わりに、他の弾性手段が設けられてもよく、例えば、係合レバー11は、送達方向R+への回転中に回転アクチュエータとの接触に適応するのに十分な可撓性の曲げを許容する、ある弾性を有してもよい。
【0056】
図7aから
図7dに示す変形例では、下方サスペンションアームが存在せず、係合レバー11および上方当接肩部26bに押し付けられるサスペンションアーム37の弾性は、薬剤の送達中に針の位置に影響を与えることなく、送達方向R+への回転中に回転アクチュエータとの接触に適応するように係合レバーの制御された可撓性の曲げを可能にするように構成される。
【0057】
変形例では、ばねサスペンション要素が、回転ガイド部材13から延びて剛性の係合レバー11に押し付けられてもよく、またはさらなる変形例では、弾性部材が、互いに係合する回転ガイド部材および係合レバーの両方に設けられてもよい。さらに別の変形例では、係合レバーは、例えば単一の注入部品として、回転ガイド部材13と一体的に形成されてもよく、係合レバーと回転ガイド部材の他の部分との間の可撓性接続要素は、送達位置での回転中に接触を可能にするように構成された、ある可撓性の曲げを可能にするが、針作動機構を後退位置から伸長位置に移動させるように十分な係合抵抗を有している。変形例では、上述のように、送達方向への、ある可撓性を許容する機能が提供されるとすれば、弾性手段は、レバーの上方部分またはレバーの下方部分に接続され得る。
【0058】
送達ユニットの使用が終了すると、例えば、薬剤カートリッジが空の状態にあるとき、または使い捨て送達ユニットの使用が最大期間に達した後、経皮針を伸長位置から後退位置に後退させるためのコマンドが実行される。この動作中、ポンプ駆動装置は逆方向R-に移動するように制御され、回転アクチュエータ10は逆方向R-に移動する。逆方向では、キャッチ29の下方エッジ31aが係合レバー11の係合端部35に係合し、よって、針支持体8を伸長位置から後退位置まで持ち上げる。係合端部は、逆方向になると、係合レバーがキャッチによって係合され、基部壁14から離れて上方に持ち上げられるように、フック突出部、または回転アクチュエータの下方キャッチエッジ31aとの他の相補的要素を備えてもよい。
【0059】
回転ガイド部材13の回転は、ハウジング5上の針支持ガイド15の回転防止ガイド表面17に沿ってスライドする、回転ガイド部材上の回転防止ガイド表面27により防止される。回転防止ガイド表面17は、基部壁14から立ち上がる表面として形成されてもよい。回転アクチュエータ10が
図5aに示す最初の使用前の初期後退位置を過ぎて逆方向R-に回転している間、針支持体は、相補的な回転防止ガイド表面27、17が係合解除されるまで、基部壁14から離れてさらに持ち上げられる。このとき、回転アクチュエータ10を逆方向に回転させ続けることにより、回転ガイド部材13は、
図5cおよび
図6cに示す、再係合不能な後退傾斜パーク位置へと回転させられ、送達ユニット2の再利用が防止される。
【0060】
図示の実施形態では、パーク位置に移動すると、針24の先端部は、パーク位置において針をブロックするロック要素50、150と係合する。
【0061】
図6a~
図6cに示す実施形態では、パーク位置に移動すると、針24の先端部は、
図6cに最もよく示されるように、ロック突出部50上を滑って、その後ブロックされ、もはやロック解除位置に戻ることができない。ロック突出部50は、オリフィス18に対向する側にテーパ状表面を有し、ロック突出部を弾性的に押圧するにつれて針の先端部をガイドして、針の先端部がロック突出部50の上を滑るのを補助する。一旦、ロックされたパーク位置にくると、針の先端部は溝内に係合し、もはや、ロック突出部のテーパ状の入口側に滑って戻ることはできない。係合レバー35の先端部の突起51は、係合レバー11のトルクを増加させて針の先端部がロック突出部上を滑るのを助けるように構成されている。
【0062】
図7a~
図7dに示す実施形態では、パーク位置に移動すると、針24の先端部は、
図7dに最もよく示されるように、針の先端部を捕捉する軟質材料で充填されたロックネスト150内に埋まり、次いで、針がロック解除位置に戻るのを阻止される。軟質材料は、例えば、軟質ポリマー化合物、例えば、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ゴム、液状シリコーンゴム、または同様の材料であってよく、これらは、基部14のネスト壁151内に成形または堆積されてもよい。軟質材料は、有利には、射出成形の分野でそれ自体既知の二成分成形プロセスにおいて、基部成形プロセス中にハウジングの基部内に成形することができる。
【0063】
図示の実施形態では、上方サスペンションアーム37は、係合レバー11から延び、湾曲した可撓性端部37aを有し、これは、ハウジング5の上面48に対して付勢されるように構成されている。上方アームは、
図5aに示すような、最初の使用前の初期位置を規定し、初期位置における針支持体の上方へのスライドを防止する。パーク位置では、上方アームは、オプションとして、回転ガイド部材13の、後退傾斜位置から非傾斜位置へ戻る回転をブロックするように機能してもよい。また、上方アーム37は、回転ガイド部材13上の当接部26bに当接することによって、作動および使用中の係合レバーの可撓性の枢動を制限する働きをすることができる。
【0064】
代替的な変形例では、針24は、可撓性カニューレ管を経皮的に挿入するために使用され、針は、薬剤の最初の投与前に、
図5cおよび
図6cに示されるような、完全後退パーク位置に後退させられる。この代替実施形態では、針は中空である必要はなく、ポンプモジュールの出口に接続されていない。このような構成のポンプモジュールの出口は、例えば隔膜または弁の形態の、後退時に針が延びるオリフィスを閉じる液体カップリングを介して接続され、針の後退後、ポンプによってポンピングされた液体は、患者の皮膚を通って経皮的に延びるカニューレを通って流れる。軟質カニューレは、特に、延長使用が数日以上である適用について、患者による薬剤送達装置の装着の快適性を高めることができる。針を使用するカニューレ挿入構成は、当技術分野においてそれ自体既知であり、本出願においてさらに説明する必要はない。完全傾斜パーク位置では、軟質カニューレの変形例では、ポンプはR+またはR-のいずれかの方向に回転するように構成されて、ポンプ作用を生じさせることができ、レバーの係合端部は、回転アクチュエータのリムにもはや(no long)接触しないように、キャッチから離れるように回転する。この点に関し、上方サスペンション37は、完全後退位置におけるサスペンションの弾性力によって傾斜角が増加して係合端部35を回転アクチュエータのキャッチから完全に係合解除するように、上方壁部分に弾性的に係合するように構成することができる。この場合、回転アクチュエータは、ポンプの入口および出口の配置に応じて、ポンプ作用のためのいずれかの方向に回転するように構成されてもよい。
【0065】
〔図示する特徴部のリスト〕
薬剤送達装置1
送達ユニット2(使い捨て部品)
薬剤カートリッジ3
ハウジング5
基部壁14
上面部分48
装着表面38
接着層
剥離保護フィルム39
針支持ガイド15
並進運動ガイドレール16
回転防止ガイド表面17
針出口18
隔膜19
液体供給導管45
液体送達導管46
流体コネクタ52
針先端部ロック要素50、150
ロック突出部50
ロックネスト150
ロックネスト壁151
ポンプモジュール6
ロータ20
ステータ21
入口22
出口23
皮下送達機構7
針24
針支持体8
並進運動ガイド部材12
ガイドレール43
回転本体支持体44
回転ガイド部材13
本体47
ピボット支持体25
回転軸A1
当接肩部26
下方当接肩部26a
上方当接肩部26b
上方停止部49
回転防止ガイド表面27
針作動機構9
回転アクチュエータ10
リム28
キャッチ29
凹部/ノッチ30
キャッチエッジ31
上方キャッチエッジ31b
下方キャッチエッジ31a
連結インターフェース32
係合レバー11
ピボット部分33
回転軸A2
係合アーム34
係合端部35
突起51
下方サスペンションアーム36
上方サスペンション(アーム)37
丸い端部37a
基部ユニット4(再利用可能部品)
電子制御システム
電源(バッテリ)
ポンプ駆動装置
連結インターフェース
ステータスインジケータ40
ユーザーインターフェース(制御ボタン)42
【0066】
〔実施の態様〕
(1) 薬剤送達装置(1)において、必要とする患者に投与される薬剤を収容する薬剤カートリッジ(3)を受容する送達ユニット(2)を含み、前記送達ユニットは、針(24)と、前記針が装着される針支持体(8)と、前記送達ユニット(2)のハウジング(5)内の後退位置から、前記針が前記ハウジングの基部壁(14)を通って突出する、伸長送達位置まで前記針を移動させるように構成された針作動機構(9)と、を含む皮下送達機構(7)を含み、前記針作動機構は、後退位置と伸長送達位置との間で前記針支持体を並進運動させるために前記針支持体(8)に連結された係合レバー(11)に係合するように構成された回転アクチュエータ(10)を含み、前記針支持体は、前記ハウジング(5)に対してスライド可能に装着された並進運動ガイド部材(12)と、前記並進運動ガイド部材(12)に回転可能に装着された回転ガイド部材(13)と、を含み、前記針(24)は、前記針の完全後退後に完全後退パーク位置で前記針を傾けるように構成された前記回転ガイド部材(13)に固定されていることを特徴とする、薬剤送達装置。
(2) 前記係合レバー(11)は、前記針支持体(8)上に枢動可能に装着され、前記針支持体に弾性的に係合し、前記針支持体は、前記係合レバー(11)が、完全伸長送達位置において前記針作動機構の前記回転アクチュエータ(10)に対して弾性的に枢動および付勢することができるように構成され、前記回転アクチュエータが送達方向(R+)に自由に回ることができる、実施態様1に記載の装置。
(3) 薬剤送達装置(1)において、必要とする患者に投与される薬剤を収容する薬剤カートリッジ(3)を受容する送達ユニット(2)を含み、前記送達ユニットは、針(24)と、前記針が装着される針支持体(8)と、前記送達ユニット(2)のハウジング(5)内の後退位置から、前記針が前記ハウジングの基部壁(14)を通って突出する、伸長送達位置まで前記針を移動させるように構成された針作動機構(9)と、を含む皮下送達機構(7)を含み、前記針作動機構は、後退位置と伸長送達位置との間で前記針支持体を並進運動させるために前記針支持体(8)に連結された係合レバー(11)に係合するように構成された回転アクチュエータ(10)を含み、前記係合レバー(11)は、前記針支持体(8)上に枢動可能に装着され、前記針支持体に弾性的に係合し、前記針支持体は、前記係合レバー(11)が、完全伸長送達位置において前記針作動機構の前記回転アクチュエータ(10)に対して弾性的に枢動および付勢することができるように構成され、前記回転アクチュエータが送達方向(R+)に自由に回ることができることを特徴とする、薬剤送達装置。
(4) 前記針支持体は、前記ハウジング(5)に対してスライド可能に装着された並進運動ガイド部材(12)と、前記並進運動ガイド部材(12)に回転可能に装着された回転ガイド部材(13)と、を含み、前記針(24)は、前記針の完全後退後に完全後退パーク位置で前記針を傾けるように構成された前記回転ガイド部材(13)に固定されている、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記回転アクチュエータ(10)は、前記送達ユニット(2)に装着されたポンプモジュール(6)のロータ(20)に直接連結されている、実施態様1から4のいずれかに記載の装置。
【0067】
(6) 前記回転アクチュエータは、前記ポンプモジュールのロータと一体的に形成されている、実施態様5に記載の装置。
(7) 前記回転アクチュエータは、ディスク形状を有し、外周リム(28)が、前記係合レバー(11)の係合端部(35)に係合するように前記リム(28)の凹部(30)によって形成されたキャッチ(29)を含む、実施態様1から6のいずれかに記載の装置。
(8) 前記係合レバー(11)は、前記針支持体(8)に係合して前記針支持体に対して前記係合レバーを弾性的に枢動させるサスペンション(36、37)を含む、実施態様1から7のいずれかに記載の装置。
(9) 前記回転ガイド部材は、前記並進運動ガイド部材(12)の回転部材支持体(44)に回転可能に装着された円筒状本体部分(47)を含む、実施態様1から8のいずれかに記載の装置。
(10) 前記針支持体の前記回転ガイド部材は、前記ポンプモジュールの出口(23)に接続された液体送達導管(46)を前記中空針(24)に相互接続する液体チャネルをその中に含む、実施態様1から9のいずれかに記載の装置。
【0068】
(11) 前記係合レバーは、前記回転アクチュエータ(10)が逆方向(R-)に移動するときに前記回転アクチュエータ(10)の下方キャッチエッジ(31a)に引っ掛かるように構成された突起を、前記係合端部(35)の下側に含む、実施態様1から10のいずれかに記載の装置。
(12) 前記係合レバー(11)は、ピボット部分(33)と、前記ピボット部分から前記係合端部(35)まで延びる係合アーム(34)と、を含み、前記ピボット部分は、前記針支持体の前記回転ガイド部材(13)から延びるピボット支持体(25)に装着されている、実施態様1から11のいずれかに記載の装置。
(13) 前記針支持体(8)の前記回転ガイド部材(13)は、最初の後退位置と前記伸長送達位置との間を移動するときに前記回転ガイド部材(13)の回転を防止するように構成された、前記ハウジングの基部壁(14)から延びる相補的な回転防止ガイド表面(17)にスライド可能に係合する、回転防止ガイド表面(27)を含み、前記回転防止表面は、前記針のさらなる再利用を防止するパーク位置への前記針の傾斜を可能にするために前記回転アクチュエータが逆方向に回転すると、前記完全後退パーク位置において係合解除するように配置されている、実施態様1から12のいずれかに記載の装置。
(14) 前記回転アクチュエータ(10)は、前記回転アクチュエータ(10)を作動させるために、電子制御システム、電源、および前記ポンプ駆動装置を含む基部ユニットに装着された駆動装置に連結するように構成された駆動インターフェース(32)を含む、実施態様1から13のいずれかに記載の装置。
(15) 前記送達ユニットは、前記送達ユニットのハウジング(5)内に前記薬剤カートリッジ(3)を収容する使い捨て部分として形成され、基部ユニット(4)は、電子制御システム、電源、およびポンプ駆動装置を含む再利用可能部分として形成され、前記基部ユニットは、前記送達ユニットに取り外し可能に装着可能である、実施態様1から14のいずれかに記載の装置。
【0069】
(16) 前記完全後退パーク位置にある前記針の先端部に係合して前記パーク位置にある前記針をブロックするロック要素(50,150)を含む、実施態様1から15のいずれかに記載の装置。
(17) 前記ロック要素は、軟質材料で充填されたロックネスト(150)を含み、前記針(24)の前記先端部は、前記パーク位置に移動すると、前記ロックネストに埋まる、実施態様16に記載の装置。
(18) 前記軟質材料が、熱可塑性エラストマー、液体シリコーンゴム、または同様の特性を有する材料である、実施態様17に記載の装置。
(19) 前記ロック要素は、ロック突出部(50)を含み、前記ロック突出部は、前記針の先端部を前記ロック突出部上にガイドするテーパ状表面を備える、実施態様16に記載の装置。