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  • 特許-描画点を露光するための方法および装置 図1
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  • 特許-描画点を露光するための方法および装置 図3a
  • 特許-描画点を露光するための方法および装置 図3b
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】描画点を露光するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20230710BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020567555
(86)(22)【出願日】2018-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2018066181
(87)【国際公開番号】W WO2019242840
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】508333169
【氏名又は名称】エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100194858
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 久子
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアンハート タルナー
(72)【発明者】
【氏名】ボリス ポヴァザイ
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-332221(JP,A)
【文献】特開2000-267256(JP,A)
【文献】特表平07-509589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24、9/00-9/02
H01L 21/027、21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系を用いて基板(6)上の感光材料(18)からなる層(19)の描画点(1)を露光するための方法であって、
前記描画点(1)は、前記光学系に対して連続的に移動され、
複数の2次ビーム(16)が、それぞれの描画点(1)の単発露光のために前記光学系によって個々にオン状態またはオフ状態に移行されることによって制御され、
a)前記オン状態における前記2次ビーム(16)は、それぞれの前記2次ビーム(16)に対応付けられた前記描画点(1)の単発露光を引き起こし、
b)前記オフ状態における前記2次ビーム(16)は、それぞれの前記2次ビーム(16)に対応付けられた前記描画点(1)の単発露光を引き起こさず、
グレートーンを有する描画点(1)を生成するために、単位線量Dを有する複数の異なる2次ビーム(16)によってn>1回の単発露光が実施され、それぞれの描画点(1)のグレートーンGは、前記単位線量Dの合計によって定義され、
前記光学系に含まれるマイクロミラーデバイスの連続的に配列されたミラー露光行のうちk番目のミラー露光行における単位線量Dは(1/2) に従って変更され、
前記描画点(1)の少なくとも1つの前記グレートーンGは、前記マイクロミラーデバイスの連続的に配列されたミラーによって生成される
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
a)一定の単位線量Dを有するn回の単発露光によって、かつ/または
b)前記2次ビーム(16)の放射強度が変化されたことによってそれぞれ異なっている単位線量Dを有するn回の単発露光によって、
前記グレートーンが定義される、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
1つの描画点領域(8)にまとめられた複数の隣り合っている描画点(1)のグレートーンが、前記描画点領域(8)の1つの平均化されたグレートーン値を定義するために、ディザリングアルゴリズムによって生成される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記2次ビーム(16)は、ビーム源(12)によって生成された1次ビーム(15)から、前記光学系によって生成される、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記複数の2次ビーム(16)は、前記光学系によって、同期して制御される、
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
マスクレス光学系が使用される、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
光学系を用いて基板(6)上の感光材料(18)からなる感光層(19)の描画点(1)を露光するための装置であって、
前記描画点(1)を、前記光学系に対して連続的に移動させるための手段と、
複数の2次ビーム(16)を、それぞれの描画点(1)の単発露光のために前記光学系によって個々にオン状態またはオフ状態に移行させることによって制御するための制御手段であって、
a)前記オン状態における前記2次ビーム(16)は、それぞれの前記2次ビーム(16)に対応付けられた前記描画点(1)の単発露光を引き起こし、
b)前記オフ状態における前記2次ビーム(16)は、それぞれの前記2次ビーム(16)に対応付けられた前記描画点(1)の単発露光を引き起こさない、前記制御手段と、
単位線量Dを有する複数の異なる2次ビーム(16)によるn>1回の単発露光によって、グレートーンを有する描画点(1)を生成するための単発露光手段であって、それぞれの描画点(1)のグレートーンGは、前記単位線量Dの合計によって定義可能である、単発露光手段と
を備え、
前記光学系に含まれるマイクロミラーデバイスの連続的に配列されたミラー露光行のうちk番目のミラー露光行における単位線量Dは(1/2) に従って変更され、
前記描画点(1)の少なくとも1つの前記グレートーンGは、前記マイクロミラーデバイスの連続的に配列されたミラーによって生成されることを特徴とする、装置。
【請求項8】
前記装置は、前記2次ビーム(16)を、ビーム源(12)によって生成された1次ビーム(15)から生成するための光学系を有する、
請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記複数の2次ビーム(16)は、前記光学系によって、同期して制御可能である、
請求項7または8記載の装置。
【請求項10】
マスクレス光学系を有する、
請求項7から9までのいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の方法と、請求項7に記載の装置とに関する。
【0002】
半導体産業は、表面のマイクロパターニングおよびナノパターニングのためのより良好かつより効率的な方法を常に模索している。殆どの表面は、リソグラフィを用いてパターニングされる。半導体産業におけるリソグラフィ技術は、2つの大きな分野に、すなわちインプリントリソグラフィとフォトリソグラフィとに大別することができる。フォトリソグラフィでは、殆どの場合、感光材料のパターニングを写し取ることを目的としたマスクが利用される。これらのマスクを、投影技術を用いて縮小して感光材料層上に写し取ることができるか、またはマスクパターニングが、光学的なスケーリングなしで感光材料に転写される。マスクの製造は、時間がかかり、費用がかかり、かつエラーが発生しやすい。
【0003】
近年ではさらに、いわゆるマスクレスリソグラフィ技術が開発されている。この技術は、少なくとも1つの描画点、とりわけ複数の描画点を同時に露光して、露光した後に、描画点の露光を担当する光学システムと、感光材料とを相対的にシフトさせるという原理に基づいている。これは、とりわけ走査型の方法である。フォトリソグラフィ、とりわけマスクレスフォトリソグラフィにおいてますます重要となっている分野は、相対移動平面に対して法線方向である第3の方向における感光材料の制御可能な露光を可能にすることである。この方法は、グレートーンリソグラフィと称され、この方法によって最近では、感光材料の3次元または2.5次元のフォトリソグラフィ露光と、ひいては材料のパターニングとが可能になっている。
【0004】
半導体産業におけるパターニングは、何十年にもわたってフォトリソグラフィ方法を用いて製造されてきた。3次元のパターニングを製造できるようにするためには、一般的に、複数の露光プロセスのための複数のマスクを製造しなければならない。それぞれの露光ステップの前には被覆プロセスが実施され、それぞれの露光ステップの後には現像ステップが後続する。露光が成功した後にようやく、感光材料からなるマスクをエッチングまたは金属被覆のために使用することができる。
【0005】
上記のマスクレス露光技術では、マスク自体は節約されるが、3次元のパターニングを作成するために多層プロセスが必要である。
【0006】
マスクレス露光技術は、黒白リソグラフィまたはグレートーンリソグラフィの分だけ拡張され、この黒白リソグラフィまたはグレートーンリソグラフィを用いて、感光材料を2次元だけでなく3次元でも露光することが可能となった。しかしながら、使用されている手法では最適な結果が得られなかったことが経験から判明している。とりわけ、露光されたプロファイルの品質、および/または露光のための期間が不十分であった。
【0007】
黒白リソグラフィでは、描画点は、露光されるか、または露光されないかのいずれかとなる。
【0008】
グレートーンリソグラフィでは、感光材料層に対してマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device,以下、DMD)が固定され、これにより、DMDの個々のミラーが、明確に定義された時間の間、所望の線量をそれぞれの描画点に放出するようにスイッチングされる。このプロセスは、非常に時間がかかる。
【0009】
従来技術において挙げた手法は、とりわけ、ステップアンドリピート方式(英語:step-and-repeat)の使用を前提とする。すなわち、従来技術における問題は、感光材料を3次元にパターニングするための効率的かつ低コストの手法が存在しないことである。
【0010】
したがって、本発明の課題は、感光材料の少なくとも2.5次元の、好ましくは3次元のフォトリソグラフィ露光を、効率的に、可能な限り簡単かつ低コストの手段によって実施することができる装置および方法を提供することである。
【0011】
上記の課題は、請求項1および7に記載の特徴によって解決される。本発明の有利な発展形態は、従属請求項に記載されている。明細書、特許請求の範囲、および/または図面に示されている複数の特徴のうちの少なくとも2つからなる全ての組み合わせも、本発明の範囲内に含まれる。数値範囲が記載されている場合には、記載された限界内に位置する値も、限界値として開示されるべきであり、また、任意の組み合わせで請求可能であるべきである。
【0012】
本発明の基礎となる思想は、光学系を用いて基板上の感光材料からなる感光層の描画点を露光するための方法であって、
・描画点は、光学系に対して連続的に移動され、
・複数の2次ビームが、それぞれの描画点の単発露光のために光学系によって個々にオン状態またはオフ状態に移行されることによって制御され、
a)オン状態における2次ビームは、それぞれの2次ビームに対応付けられた描画点の単発露光を引き起こし、
b)オフ状態における2次ビームは、それぞれの2次ビームに対応付けられた描画点の単発露光を引き起こさず、
・グレートーンを有する描画点を生成するために、単位線量Dを有する複数の異なる2次ビームによってn>1回の単発露光が実施され、それぞれの描画点のグレートーンGは、単位線量Dの合計によって定義される
ことを特徴とする、方法を提供することである。
【0013】
上述した本発明の代替的なより複雑な実施形態によれば、複数の2次ビームが、それぞれの描画点の単発露光のために光学系によって個々に制御され、この際、2次ビームは、オン状態もしくはオフ状態に移行されるか、またはオン状態とオフ状態との間に位置する定義された中間状態に移行される。
【0014】
本発明はさらに、光学系を用いて基板上の感光材料からなる感光層の描画点を露光するための装置であって、
・描画点を、光学系に対して連続的に移動させるための手段、
・複数の2次ビームを、それぞれの描画点の単発露光のために光学系によって個々にオン状態またはオフ状態に移行させることによって制御するための制御手段、
a)オン状態における2次ビームは、それぞれの2次ビームに対応付けられた描画点の単発露光を引き起こし、
b)オフ状態における2次ビームは、それぞれの2次ビームに対応付けられた描画点の単発露光を引き起こさず、
・単位線量Dを有する複数の異なる2次ビームによるn>1回の単発露光によって、グレートーンを有する描画点を生成するための単発露光手段であって、それぞれの描画点のグレートーンGは、単位線量Dの合計によって定義可能である、単発露光手段
を特徴とする、装置に関する。
【0015】
とりわけ、本発明は、感光材料の少なくとも2.5次元の、好ましくは3次元のフォトリソグラフィ露光のための複数の方法および1つの装置を記載する。本発明は、主に、このフォトリソグラフィ露光を生成するための複数の異なる方法に基づいている。基本的な思想は、(i)とりわけ直接的に相前後して配置されたDMDのミラーによって1つの描画点を複数回露光すること、および/または(ii)描画点パターンを設定するために数学的アルゴリズムを使用すること、および/または(iii)光源のビーム強度および/または1つの描画点当たりの線量を変化/制御することに基づいている。以下では、2.5次元および3次元のフォトリソグラフィ露光を、グレーレベルのさらなる次元、または個々の描画点の複数回の露光の同義語として使用する。
【0016】
換言すれば、本発明の核心部分は、とりわけ2.5次元のフォトリソグラフィ露光を可能にするための、互いに独立しているが一緒に使用することができる複数の方法にある。これらの方法は、技術的に互いに異なってはいるが、互いに任意に組み合わせて、最適化された結果をもたらす対応する組み合わせ方法を実現することができる。
【0017】
本発明によって記載された全ての方法は、これらの方法を用いることで、感光材料の所期の空間分解された2.5次元の露光を実施することができるという点において共通している。とりわけ任意の組み合わせで考慮または使用されるべき、本発明全体の個々の、好ましくは互いに独立している核心態様は、
(i)とりわけ露光グリッドを傾斜配置することによって、かつ/または歪ませた結像によって、個々の描画点の位置決め正確度を向上させること、および/または
(ii)ステップアンドリピート方式とは対照的な、(ステップアンドリピートしない)連続的な露光方法、および/または
(iii)隣り合っている描画点同士の強度プロファイルを重ね合わせること、および/または
(iv)DMDミラーのバイナリ制御、すなわち、それぞれのミラーを2つの状態(オン-オフ)の間でのみスイッチング可能であること、および/または
(v)複数のDMDミラーを、それぞれ異なる時点に組み合わせてスイッチングすることにより、すなわち、とりわけオーバーサンプリングにより、1つの描画点における線量を制御すること、および/または
(vi)パターンを生成するための数学的アルゴリズム使用すること、および/または
(vii)1次ビーム源/光源の線量を制御すること
である。
【0018】
本発明の核心となる思想は、とりわけ、本発明による複数のプロセスのうちの少なくとも1つを使用することにより、とりわけ、位置決め正確度の犠牲/低下を同時に伴って、グレートーンリソグラフィの生成が可能になるということにある。
【0019】
本発明による方法と、この方法を実施可能にするための記載された要件とは、従来技術に対して複数の利点を有する。
【0020】
主としてステップアンドリピート技術が使用される従来技術とは対照的に、本発明による方法では、好ましくは走査型の方法、すなわちDMDと感光材料との間の連続的な相対移動が実施される。走査型の方法を使用することにより、スループットが格段に向上する。なぜなら、DMDのミラーをとりわけ個々に制御することによって、感光材料における露光されるべき描画点にそれぞれの線量を付与するために、DMDと感光材料との間の相対移動がそれぞれのステップの後に停止されなくなるか、または少なくとも減速されなくなるからである。したがって、本発明によるシステムおよび方法は、とりわけ大量生産(英語:high volume manufacturing,HVM)のために適している。
【0021】
本発明による方法のさらなる重要な利点および態様は、とりわけ、DMDの全てのミラーが同時に/同期してスイッチングされることにあり、すなわち、全てのミラーが2つしかない状態のうちの一方または他方に同時に移行されることにある。これにより、感光材料上に投影される線量を、所期のように空間分解して設定することができる。すなわち、DMDを、位置に関して個々に設定する必要がなくなり、つまり、DMDのミラーは、常に全て同期してスイッチングされる。
【0022】
本質的な態様は、相対移動方向に対して平行な線に沿って配置された複数のミラーの繰り返しの露光によって、1つの描画点におけるグレートーンを所期のように設定することが可能であることである。本発明によるこの態様によって、グレートーンを所期のように設定することが可能となる。
【0023】
本発明のさらなる追加的な態様は、オーバーサンプリングによってグレートーンを所期のように設定することだけでなく、とりわけ、有限に広い強度プロファイルによる描画点の重ね合わせにもある。
【0024】
横方向(相対移動の方向に対して法線方向)における描画点のとりわけ追加的な重ね合わせは、強度プロファイルが比較的広いことに基づいて同時に実施される。本発明によって開示された方法によれば、グレートーン露光を、種々異なるやり方で、かつ/または組み合わせたやり方で実施することが可能である。
【0025】
本発明による方法は、とりわけ、グレートーンマスクおよび/または複数回露光を置換するために使用可能である。
【0026】
本発明によれば、基板ホルダは、とりわけ連続的な露光中に厳密に制御および位置決めされ、ステップアンドリピート方式とは対照的に、光学系(DMD)の位置と、露光されるべき層とが好ましくは連続的にチェックされる。露光、移動、および場合によっては既に露光された領域の測定も、とりわけ同時に実施、監視、および制御される。これに合わせて、制御エレクトロニクスおよび/または制御ソフトウェアを調整すべきである。
【0027】
アルゴリズムを使用して、1つの描画点領域にわたって平均化されたグレートーンを生成する場合には、位置決め正確度が少なくとも部分的に失われる。
【0028】
それぞれの描画点またはグレートーンの露光強度を制御するために、とりわけ、広い強度範囲にわたるレジストの挙動は、さらに最適化された結果を得るために、本発明によれば制御に関連している。
【0029】
本発明によれば、1つの描画点においてより多数のグレートーンを得るためには、相応にしてより多数のミラーが1つのミラー露光列に配置される。多数のミラーを制御することにより、DMDの最大スイッチング周波数が低下し、転送されるべきデータ量が増加し、最大走査速度が低下する。
【0030】
すなわち、グレートーンの数は、1つの描画点を覆うように通行するミラー露光行の数によって制限される。複数のミラー露光行を、それぞれブロックにグループ化することを想定することができる。グレートーンを設定するために使用することができる全てのミラー露光行の集合は、ミラー露光行ブロックと称される。一例として、以下の例を挙げる。900本のミラー露光行を有するDMDを使用した場合には、900個のグレートーンまたは900個のそれぞれ異なるグレートーンのうちの1つを有する描画点を生成することができる。900本のミラー露光行を、それぞれ300本のミラー露光行を有する3つのブロックにグループ化した場合には、1つの描画点は、300個のグレートーンのうちの1つしか受け取ることができないが、その代わりに、3つの描画点を同時に書き込むことが可能となる。
【0031】
本発明による方法は、感光材料において露光された2.5次元のパターニングを生成するために使用される。感光材料は、従来技術から公知の方法によって基板上に被着される。
【0032】
本発明は、感光材料における描画点を、横方向および垂直方向に所期のように露光するための複数の方法を示す。横方向の露光とは、感光材料の表面に対して平行な平面上での描画点の露光であると理解される。垂直方向の露光とは、1つの描画点における定義された深さへの感光材料の露光であると理解される。したがって、本発明による提示された方法によれば、感光材料における3次元のパターニングを露光することが可能となる。本明細書の以降の過程において、3Dまたは3次元という用語は、比較的一般的であるので常用される。
【0033】
このようにして露光されたパターニングを、さらなるプロセスステップにおいて現像することができ、したがって、後続する被覆プロセスおよび/またはエッチングプロセスのために使用される3次元のトポグラフィを有する感光材料のパターニングをもたらすことができる。これらの後続するプロセスステップについては、本明細書ではこれ以上説明しない。
【0034】
本発明による方法は、DMDの使用によって説明される。LCD(英語:liquid crystal displays)、LCoS(英語:liquid crystal on Silicon)、GLV(英語:grating light valve)、または記載されたDMDと同様に使用することができる同様の光学素子の使用も考えられる。
【0035】
本発明による記載された全ての方法は、古典的なバイナリのマスクレス露光リソグラフィにおいて品質を改善するためにも使用することができる。とりわけ、記載された方法によってエッジ効果を低減することができる。しかしながら、このような最適化特性については、これ以上詳細には説明しない。
【0036】
用語の定義
以下の段落では、本発明による方法をより効率的に説明できるようにするために、いくつかの重要な用語を定義する。
【0037】
本明細書の以降の過程において、描画点とは、DMDの単一のミラーによって生成される、感光材料において露光されるべき定義された箇所であると理解される。したがって、描画点は、露光されるべき感光材料上の空間的に制限された領域である。それぞれの描画点において、感光材料を定義された深さまで露光することができる。したがって、それぞれの描画点は、横方向の拡がりだけでなく垂直方向の拡がりも有する。したがって、描画点は、3次元である。垂直方向の拡がり、すなわち描画点の深さは、とりわけ電磁ビームの受け取った線量に依存する。この線量をそれぞれの描画点ごとに設定することが、本発明の重要な態様である。線量によって、とりわけ感光材料が露光される深さが規定される。描画点の線量を定義するための本発明による最も重要な手法のうちの1つは、複数のDMDミラーによって繰り返し露光することにある。これらのDMDミラーは、とりわけ、DMDミラーの相対的な移動方向に対して平行な線に沿って相前後して、それぞれ同一の描画点へと位置合わせ可能となるように配置されている。これらのDMDミラーは、それぞれ単位時間当たりに同一の定義された線量を、この描画点に投影するように、または投影しないように制御可能である(オン-オフ)。
【0038】
グレートーンは、定義された線量を受け取ったことに応じて化学的に変化された描画点の感光材料の量から生じる。受け取った線量が多ければ多いほど、より多くの感光材料が、深さに関して化学的および/または物理的に変化する。
【0039】
描画点行とは、感光材料上の相対的な移動方向に対して法線方向の直線に沿って、とりわけ等距離に分布されている描画点の集合を意味する。
【0040】
描画点列とは、感光材料上の相対的な移動方向に対して平行な直線に沿って、とりわけ等距離に分布されている描画点の集合を意味する。
【0041】
本明細書の以降の過程において、描画点領域とは、とりわけ隣り合っている描画点の集合であると理解される。描画点領域の描画点は、形成された描画点領域が1つの平均化されたグレートーン値を有するように、とりわけ数学的アルゴリズムによって露光される。この平均化されたグレートーン値は、とりわけ、使用されているアルゴリズムに基づいており、このアルゴリズムによって、描画点の個々のグレートーン値が制御される。グレートーンを規定するために数学的アルゴリズムを使用する場合には、(描画点ではなく)描画点領域が、実際のピクセルを表す。描画点領域の横方向の拡がりによって、可能な限り最大の分解能が定義される。とりわけ、描画点領域の横方向のサイズオーダと、DMDミラーの寸法、より正確にはDMDミラーの投影図とが、ほぼ同じであることが、本発明の1つの態様である。描画点領域の面積は、投影されたDMD領域の面積の、とりわけ0.5倍より大きく、好ましくは0.75倍より大きく、より好ましくは正確に1.0倍であり、最も好ましくは1.5倍より大きく、非常に最も好ましくは2.0倍より大きい。
【0042】
露光ストリップは、1つの方向、とりわけDMDの最長の移動経路の方向に沿った描画点の集合を表している。例えば、メアンダ形状のグリッド経路である場合には、DMDは、常に、とりわけ基板の縁部まで達する可能な限り最長の移動経路に沿って移動され、そして、短い横方向の移動によって1つの移動経路から次の移動経路へと動かされる。
【0043】
1次ビームとは、ビーム源/1次源/光源によって生成された、DMDに当たる前の光ビームであると理解される。1次ビームは、光源にその起源を有し、DMDに当たる前にとりわけ複数の光学素子を通過する。
【0044】
2次ビームとは、1次ビームのうちの、DMDのミラーによって、好ましくはDMDの個々のミラーによって反射された、とりわけそれぞれの部分であると理解される。すなわち、1次ビームは、DMDによって複数の2次ビームに分割される。したがって、2次ビームは、DMDのミラーにその起源を有し、感光材料に当たる前に複数の光学素子を通過することができる。
【0045】
本明細書の以降の経過において、強度プロファイルとは、1つの2次ビームの断面強度分布であると理解され、とりわけ、この2次ビームの強度プロファイルの大部分の強度成分が、1つの描画点を照明する。互いに隣り合っている複数の2次ビームの強度プロファイルは、好ましくは重なり合っており、1つの強度プロファイルの変曲点は、隣り合っている2次ビームの強度プロファイルの内部に位置する。
【0046】
これにより、とりわけ描画点の縁部においても、描画点の露光の特に高い均一性が達成される。
【0047】
描画点の線量とは、マスクレス書き込み工程(露光)の任意の時点での、1つの描画点における感光材料に印加された電磁放射の量であると理解される。
【0048】
1次ビームの光出力は、0.01W~1000Wの間、好ましくは0.1W~750Wの間、より好ましくは1W~500Wの間、最も好ましくは10W~250Wの間、非常に最も好ましくは20W~50Wの間である。1つの2次ビームに割り当てられる光出力は、1次ビームの光出力と、照射されるDMDミラーの数との間の比率とほぼ同じである。例えば、DMDは、1000×100ピクセルを有する。したがって、1次ビームの光出力が25Wである場合には、0.000025ワットの光出力が1つの2次ビームに割り当てられる。1つの描画点当たりの想定照射時間が20ピコ秒である場合には、個々の2次ビーム当たり5*10-10Jまたは500pJのエネルギが1つの描画点に伝達される。オーバーサンプリングによって、DMDを通過する際における1つの描画点当たりのこのエネルギを相応に増加させることができる。
【0049】
描画点エネルギは、とりわけ10-12J~1Jの間、好ましくは10-12J~10-2Jの間、さらにより好ましくは10-12J~10-4Jの間、最も好ましくは10-12J~10-6Jの間、非常に最も好ましくは10-12J~10-9Jの間である。
【0050】
照射時間は、とりわけ10-9秒~1秒の間、好ましくは10-9秒~10-2秒の間、より好ましくは10-9秒~10-4秒の間、最も好ましくは10-9秒~10-4秒の間、非常に最も好ましくは10-9秒~10-6秒の間である。
【0051】
したがって、単位線量Dは、とりわけ1回の単発露光において1つの描画点に印加されるエネルギである。
【0052】
描画点の総線量とは、完全に終了したマスクレス書き込み工程の最後に、1つの描画点における感光材料が受け取った累積電磁ビームであると理解される。上述したように、好ましくは複数の強度プロファイルを重ね合わせることにより、それぞれの描画点は、隣り合っている描画点の2次ビームからも線量の一部を受け取る。累積線量は、とりわけ描画点のグレートーンを規定する。
【0053】
ミラー行とは、DMD参照系の第1の軸に沿って配置されたDMDのミラーの集合であると理解される。DMDが移動方向に対して回転されていない場合には、この軸は、移動方向に対して法線方向である。
【0054】
ミラー列とは、DMD参照系の第2の軸に沿って配置されたDMDのミラーの集合であると理解される。第2の軸は、DMD参照系の第1の軸に対して法線方向である。
【0055】
本発明によって好ましくは、DMDを移動方向に対して回転させることにより、ミラー行が移動方向に対して法線方向には配置されなくなるか、またはミラー列が移動方向に対して平行には配置されなくなる。
【0056】
ミラー露光行とは、移動方向に対して法線方向の線に沿って配置されたDMDのミラーの集合であると理解される。DMDが移動方向に対して回転されていない場合には、露光行とミラー行とが横方向の配置に関して同一になるであろう。
【0057】
ミラー露光列とは、移動方向に対して平行な線に沿って配置されたDMDのミラーの集合であると理解される。DMDが移動方向に対して回転されていない場合には、露光列とミラー列とが横方向の配置に関して同一になるであろう。
【0058】
ミラー露光行ブロックとは、全ての描画点を完全に露光するために必要とされるミラー露光行の集合であると理解される。
【0059】
DMDに、ミラー露光行ブロックのために必要な数よりも多数の行が設けられている場合には、余っているDMDミラーは、追加的な機能を実行することができる。これらの余っているDMDミラーを、とりわけ冗長物として使用してもよいし、または追加的なミラー露光行ブロックを形成してもよい。有利には、1つのミラー露光行ブロック当たりのミラー露光行の量は、一定であり、すなわち、ミラー露光行ブロックの数は、ミラー露光行の数の整数の除数である。グレートーンの数は、1つのミラー露光行ブロック当たりのミラー露光行の数によって制限されている。
【0060】
本明細書の以降の過程において、統計的な特徴である正確度および精度にも関連する種々のパラメータセットが開示される。
【0061】
正確度とは、系統的誤差であると理解される。系統的誤差は、サンプル集団から静的に決定されたパラメータの期待値の、母集団の真値からの偏差である。正確度が高ければ高いほど、偏差の値が小さくなり、すなわち系統誤差が小さくなる。
【0062】
精度とは、サンプル集団の期待値を中心とした測定変数のばらつきであると理解される。精度が高ければ高いほど、ばらつきが小さくなる。
【0063】
位置決め正確度とは、感光材料における描画点を、DMDミラーの中心を通して合同になるように制御することができる正確度であると理解される。この位置決め正確度は、DMDと感光材料との間で、とりわけDMDを移動方向に対して傾斜配置することによって向上される。
【0064】
装置
本発明による装置は、基板ホルダおよび光学系からなる。基板ホルダは、基板を固定および/または位置合わせおよび/または移動するための従来技術から公知の技術的特徴を有する。
固定は、装置において処理されるべき基板を保持するために実施される。固定は、
・機械的な固定、とりわけクランプ、および/または
・真空による固定、とりわけ個々に制御可能なまたは相互接続された真空通路を用いた真空による固定、および/または
・電気的な固定、とりわけ静電的な固定、および/または
・磁気的な固定、および/または
・接着性の固定、とりわけゲルパック固定、および/またはとりわけ制御可能な接着性の表面を用いた固定
であり得る。固定は、とりわけ電子的に制御可能である。真空による固定は、好ましい固定の種類である。真空による固定は、好ましくは、基板ホルダの表面に開口された複数の真空通路からなる。真空通路は、好ましくは個々に制御可能である。技術的に好ましい実現可能な用途では、いくつかの真空通路を統合して、個々に制御可能な、ひいては排気可能または給気可能な真空通路セグメントを形成することができる。それぞれの真空セグメントは、好ましくは、それぞれ他の真空セグメントから独立しており、すなわち、好ましくは個々に制御可能な真空セグメントからなる。真空セグメントは、好ましくはリング形状に構築されている。これによって基板を、基板ホルダから所期のように放射対称に、とりわけ内側から外側へと固定および/または解除することが可能になる。
【0065】
基板ホルダは、好ましくは、空間的に固定された座標系に対して能動的に移動することができる。とりわけ、基板ホルダの位置が、移動中に継続的に追跡、測定、および保存される。
【0066】
位置決めの精度は、分散の信頼区間によって表される。精度は、3シグマの信頼水準が99.7%である場合には、1nm~100μmの間、好ましくは1nm~10μmの間、より好ましくは1nm~1μmの間、さらにより好ましくは1nm~100nmの間、最も好ましくは1nm~10nmの間、非常に最も好ましくは1nm~5nmの間の信頼区間を有する。
【0067】
装置の光学システムは、とりわけ少なくとも1つの光源と、とりわけ1つのDMDとからなる。好ましくは、1次ビームを均一化するための光学素子は、光路上に配置されており、とりわけ少なくともまたは専ら、1次ビームの経路上に配置されている。全ての光学素子は、好ましくは基部に対して固定して取り付けられており、したがって、少なくとも露光中における相対移動は、専ら、基板ホルダによって基板を移動させることによって実施される。全ての光学素子は、好ましくは6つの空間方向において較正可能である。移動される基板ホルダの下にある基礎または基部は、好ましくは振動減衰されている。振動減衰は、能動的および/または受動的に実施可能である。好ましくは、基礎は、花崗岩ブロックである。さらにより好ましくは、基礎は、能動的に振動減衰された花崗岩ブロックである。
【0068】
方法
以下に記載する方法では、DMDミラーは、バイナリのスイッチング素子として構成されており、このことは、本発明をより簡単に説明することができる本発明の1つの好ましい実施形態に相当する。DMDのそれぞれのミラーは、特定の時点において、以下の2つの状態のうちのただ1つの状態を取ることができ、すなわち、DMDのそれぞれのミラーが、1次ビームの一部を感光材料に反射させるか、または感光材料に当たらないように1次ビームの一部を反射させるか、のいずれかである。ミラーのこれら2つの状態は、相応にして、「オン」(英語:ON、感光材料に当たる)および「オフ」(英語:OFF、感光材料に当たらない)と称される。相応にして、より正確には、2つのバイナリ状態と呼ばれる。この表現により、文章の解読が容易になる。本発明によれば、連続的な傾動を実施することができるミラーの使用も考えられる。その場合、このミラーは、技術的な観点からバイナリのスイッチング可能なミラーの上位概念であるが、製造技術的にも制御技術的にも格段により複雑かつ高価である。
【0069】
DMDのミラーは、好ましくは、全て同時にしかスイッチングすることができないようになっており、オンとオフとの間での選択が実施される。全てのミラーを同時にスイッチングするためのスイッチング周波数は、とりわけ1Hzより大きく、好ましくは100Hzより大きく、さらにより好ましくは1kHzより大きく、最も好ましくは100kHzより大きく、非常に最も好ましくは1MHzより大きい。
【0070】
本発明によって記載された全ての方法の有利かつ重要な態様によれば、位置決め正確度の向上は、とりわけDMDを、相対的な移動方向に対して傾斜配置することよって達成される。
【0071】
代替的または追加的に、位置決め正確度の向上を、2次ビームを歪ませる光学素子を使用することによって達成してもよい。従来技術では、位置決め正確度を向上させるためのさらなる他の手法が存在するが、それら全てを本明細書において個々に列挙するわけではない。DMDを傾斜配置することに基づいて位置決め正確度を向上させる利点を、一例として記載するが、これに限定するわけではない。
【0072】
走査式のイメージング原理を有する簡単なマスクレスの(またはより正確には、動的に構造化された)露光システムであれば、本発明によれば、単一のミラー行を有するDMDで十分であろう。市場で入手可能な通常のDMDは、殆どの場合、非常に多数のミラー行を有する(例えば、フルHD-DMDでは、それぞれ1920本のミラー列を有する1080本のミラー行)。本発明によれば、2つ以上のミラー行を有するそのようなDMDを使用することが好ましい。余っているミラー行は、とりわけ一方では、オーバーサンプリングによって位置正確度を向上させるために使用される。オーバーサンプリングは、例えば、印刷技術に関する米国特許第4700235号明細書に記載されている。
【0073】
しかしながら、特別な回転角度を選択すると、移動方向に対して法線方向の長さ当たりの、露光される描画点の数を増やすことができる。回転角度αは、とりわけ、以下の式:
α=arctan(n/m)
によって計算および定義され、ここで、nは、描画点行同士の間隔であり、mは、2つの最も近いミラー中心間における描画点列同士の間隔である。
【0074】
本発明による第1の方法では、それぞれの描画点の所望の線量が、複数の時点にわたって累積的に規定される。とりわけ、それぞれの単発露光は、同一の単位線量Dによって実施される。
【0075】
1つの描画点の累積的な露光は、同一のミラー露光列に存在する別の異なるDMDミラーによって実施される。したがって、本発明による第1の着想は、グレートーンレベルnを有する1つの描画点を、DMDと感光層との間の相対移動中に、ミラー露光列に沿って配置されたDMDのn個の異なるミラーによって少なくともn回露光するという思想に基づいている。例えば、128の最大グレーレベル深さが選択され、1つの描画点がn=13のグレートーンを受け取る場合には、ミラー露光列の内部の13個のミラーのうちの全てのミラーが、最大限に利用可能な最大強度の厳密に1/128を、線量として放出する必要がある。したがって、全てのミラーは、合計すると、描画点を基板表面まで100%露光するために必要となるであろう強度の13/128の線量を放出する。
【0076】
本発明によるこの方法によれば、個々の描画点のグレートーンを所期のように設定することが可能となる。一般的に、本発明による第1の方法では、1つの描画点当たりの生成可能なグレートーンの数は、ミラー露光行ブロックの数に等しい。DMDは、一般的に複数のミラーからなり、したがって、複数の描画点をそれぞれ同一の線量によって同時に露光することもできるので、この手法によって、パターン全体を同時に生成することができる。したがって、この方法の本発明による態様を、それぞれの露光ステップ時に、それぞれ異なるパターンを有する複数の同様の露光ステップの時間的な平均化を実施することであると要約することもできる。
【0077】
第1の方法と組み合わせることができる本発明による第2の方法では、それぞれの露光時点に、厳密に設定可能な線量が所望の描画点に作用することによって、描画点の所望の線量が生成される。厳密に設定可能な線量を得ることができるようにするために、複数の基本的な可能性が存在する。
【0078】
本発明による第1の実施形態では、DMDが、露光されるべき位置を覆うように配置されている間に、1次ビームのビーム源の強度が所期のように変化される。その場合、1つの描画点のためのグレートーンは、所与の時点においてその描画点に到達する線量によって定義される。ビーム源の強度を所期のように設定すること、および変化させることができるので、線量も、所期のように変化させることができる。本発明による方法は、所定の時点に、光源の放射強度を定義された値に設定するため、かつ、これによって得られる1つのDMDミラー当たりの線量により、複数の描画点を、それぞれのミラーのスイッチング状態に応じてこの線量によって同時に照明するために適している。
【0079】
とりわけ、ビーム源のビームの周波数を変化させてもよいし、または複数のビーム源を使用して、これらのビーム源の各々がそれぞれ異なる周波数を有するビームを生成するようにしてもよい。ビーム源のビームの周波数は、とりわけ使用される感光材料と調和すべきであり、すなわち、感光材料を化学的および/または物理的に可能な限り効率的に変化させることが可能であるべきである。とりわけ、異なる強度を有するビームを使用することによって、グレーレベルを変化させることもできる。
【0080】
本発明による第2の方法の第1の実施形態では、1つの描画点当たりの生成可能なグレートーンの最大数は、2であり、ここで、kは、1つのミラー露光行ブロック当たりの使用されているミラー露光行の数である。その場合、描画点は、ただ1つのミラー露光行ブロックのk本のミラー露光行によって露光されるか、または露光されない。
【0081】
本発明による第2の方法の第2の実施形態では、1つの描画点当たりの生成可能なグレートーンの最大数は、2であり、ここで、kは、使用されているミラー露光行ブロックの数である。その場合、描画点は、それぞれのk個のミラー露光行ブロックのただ1つのミラー露光行によって露光されるか、または露光されない。
【0082】
とりわけ、本発明による手法によれば、それぞれのミラー露光行ごとに線量を調整することが可能であり、好ましくはミラー露光行の変化に伴って、数学的法則に従って、この線量を変化させることが可能である。好ましくは、第1のミラー露光行は、全部の線量を受け取ることができ、第2のミラー露光行は、半分の線量を受け取ることができ、次のミラー露光行は、4分の1の線量を受け取ることができ、k番目のミラー露光行は、(1/2)の線量を受け取ることができる。
【0083】
ビーム源の強度を変化させることができる周波数は、とりわけ10Hzより大きく、好ましくは100Hzより大きく、さらにより好ましくは1kHzより大きく、最も好ましくは100kHzより大きく、非常に最も好ましくは1MHzより大きい。
【0084】
上記の方法と組み合わせることができる、本発明による最も好ましい第3の方法では、とりわけ単一の描画点よりも大きい描画点領域において、とりわけ平均化された線量を生成するために、ディザリングアルゴリズム(英語:dithering)が使用される。このアルゴリズムの原理は、描画点領域のための平均化されたグレートーン値が得られるように、隣り合っている描画点同士のグレートーンを調整することである。
【0085】
記載された手法は、とりわけ、従来技術から既に公知の複数のアルゴリズムを利用することができ、これらのアルゴリズムを用いてグレートーン勾配の生成が制御される。とりわけ、
・配列ディザリング、および/または
・フロイド-スタインバーグ・ディザリング、および/または
・Jarvisディザリング
のアルゴリズムを使用することができる。これらの好ましいアルゴリズムの他にも、本明細書では全て列挙することができない他の無数のアルゴリズムが存在する。
【0086】
本発明によるこの方法の態様は、線量を変化させること可能にする目的で、オーバーサンプリングされた元々の描画点の、相対的な局所的なアンダーサンプリングを実行することであると要約することもできる。本発明による手法は、個々の描画点よりも大きい描画点領域を生成する。その場合、数学的アルゴリズムによって得られるグレートーン分解能の代わりに、DMDを傾斜配置した場合に達成される位置決め正確度の利点が、少なくとも部分的に失われる。
【0087】
本発明による方法のさらなる重要な特徴は、本発明による方法の使用中における、感光材料とDMDとの間の連続的な(すなわち、少なくとも露光ストリップに沿って中断されない)相対移動にある。したがって、本発明による方法は、好ましくはステップアンドリピート方式ではなく、連続移動方式である。
【0088】
本発明によれば、本発明による全ての方法において、ミラーによって生成されて反射されたビームが、少なくとも部分的に重ね合わされた断面プロファイルを有すると有利である。
【0089】
本発明による全ての方法は、照明の均一性を改善するため、ひいてはプロセスの安定性および画質を改善するために、古典的なバイナリのリソグラフィにおいても使用可能である。このために、まず始めに、DMDイメージ全体の強度分布が記録され(例えば、露光平面におけるCCDチップを用いる、もしくはグレートーンレジストを用いた試験露光を行う、または段階選択的なレジストにおける複数回の露光を行う)、次いで、個々の描画点の露光強度がより均一になるように、書き込みデータ(ラスターデータ)が修正される。
【0090】
さらに、とりわけ個々の描画点のための線量を、リソグラフィプロセスでは十分に解像されない場合に増加または減少させることによって(OPC、光学的近接補正を参照のこと)微妙なパターニングのための画質を改善するために、本発明による全ての方法を使用することが可能である。この方法では、とりわけ、使用されるレジストの化学的および物理的な挙動を把握すると共に、とりわけ近接場での光学的な挙動を把握することが有利である。この知識は、データ列の形態で理論的および経験的に(例えば、試験露光によって)特定可能である。
【0091】
用途/使用
本発明による手法は、とりわけ、以下の製品を製造するために使用可能である。
【0092】
本発明による第1の用途では、感光材料において多数の光学素子、とりわけレンズを製造するために、本発明による手法を使用することができる。フレネルレンズ、凸レンズ、または凹レンズは、顕著な3次元の形状を有し、このような顕著な3次元の形状を、本発明による方法を用いて製造することができる。本発明による特に有利な実施形態では、これらの光学素子が、モノリシックレンズ基板(英語:monolithic lens Substrate,MLS)の一部として製造される。
【0093】
本発明による第2の用途によれば、スタンプを製造するために、本発明による手法を使用することができる。製造されたスタンプは、とりわけインプリントリソグラフィにおける作業スタンプおよび/またはマスタースタンプとして直接的に使用される。これらのスタンプは、顕著な2.5次元のパターニングを有する。
【0094】
本発明による第3の用途によれば、リソグラフィマスクを製造するため、または少なくともリソグラフィマスクのためのネガとして使用するために、本発明による手法を使用することができる。
【0095】
本発明による第4の用途では、感光材料のとりわけ波状の平担および/または均一ではない層を、本発明による方法を用いてパターニングするために、本発明による手法を使用することができる。この場合、グレートーンは、感光材料のうねりが、現像後に生じるトポグラフィに影響を与えないように、このうねりに鑑みて生成される。これにより、複雑な方法および手法によって事前にうねりを除去する必要なしに、感光材料を露光することが可能となるか、または補正をある程度までしか実施しなくてよくなる。本発明によれば、これによって、とりわけ時間およびコストの削減がもたらされる。
【0096】
本発明による第5の用途では、平坦な平面を製造するために、本発明による手法を使用することができる。一般的に、それぞれの基板には、ある程度のうねりおよび/または粗さが存在する。そのような基板上に被着される層は、この層の下にある基板のうねりおよび/または粗さを部分的に想定している。従来技術では、この波状の層を平坦化するための多数の技術が存在する。本発明による手法によれば、層のうねりを測定した後、層の波頭をリソグラフィによって処理して、露光工程および現像工程の後にこの波頭が除去されるように、または層が平坦化されるように、本発明によるリソグラフィを実施することができる。これにより、機械的な手法ではなく純粋にフォトリソグラフィによる手法に基づいた、層を平坦化するための本発明による有利な方法が提供される。
【0097】
本発明による第6の用途では、MEMS構造を製造するために、本発明による手法を使用することができる。
【0098】
装置の機能的および/または物質的な部分の、技術的に可能な全ての組み合わせおよび/または入れ替えならびに繰り返しと、これに伴って生じる、方法ステップまたは方法のうちの少なくとも1つにおける変更とは、開示されているものとみなされる。
【0099】
上記の説明および/または以下の図面の説明において装置の特徴が開示されている場合には、これら装置の特徴を、方法の特徴としても開示されているものとみなすべきであり、またその逆も同様である。
【0100】
本発明のさらなる利点、特徴、および詳細は、好ましい実施例の以下の説明から図面に基づいて明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
図1】光学系と、基板上に配置された露光されるべき感光層とを有する本発明による装置の1つの実施形態の概略図である。
図2】複数の連続する方法ステップを有する本発明による方法の1つの実施形態の概略図である。
図3a】第1の強度スペクトルを有するビーム源によって露光する場合の1つの方法ステップにおける本発明による装置の1つの実施形態の概略図である。
図3b】第2の強度スペクトルを有するビーム源によって露光する場合の1つの方法ステップにおける本発明による装置の1つの実施形態の概略図である。
図4】本発明の1つの実施形態によって露光された感光層の概略図である。
図5】露光されるべき感光層を有する基板の一部の概略断面図である。
【0102】
図面では、同じ構成要素、または同じ機能を有する構成要素に同じ参照符号が付されている。
【0103】
図1は、描画点1の集合の簡略化された概略図を示す。描画点1は、以下に記載する方法によって、基板6上に被着された感光層19の感光材料18の表面上に生成(とりわけ図5を参照)または露光される。この際、描画点1の少なくともいくつかが露光される。
【0104】
これらの描画点1を覆うように、描画点1の相対的な移動方向vに対して回転されたマイクロミラーデバイス(DMD3)が配置されており、これらの描画点1の集合が、露光ストリップ2を定義する。図1では、図示を簡略化するために、DMD3そのものではなく感光層19へDMD3の投影図を示す。簡略化のために、実際のDMD3と、DMD3の実際の構成要素と、DMD3の投影図とをもはや区別しない。DMD3のミラー4,4’,4’’は、ミラー行9zおよびミラー列9sの形態で配置されている。
【0105】
ミラー行9zは、移動方向vに対して角度αだけ回転されて配置されている。相対的な移動方向vは、y軸に沿って発生する。感光材料18が載置されている基板6は、基板ホルダ14上に固定され、基板ホルダ14と共に負のy方向に移動され、DMD3は、少なくとも露光中は、好ましくは静止された状態で固定されている。
【0106】
本発明によるいくつかの用途では、DMD3を可動式に構成することができるが、これは、あまり好ましくない実施形態である。したがって、DMD3と、感光材料18または描画点1との間の相対的な移動方向は、vによって示される。
【0107】
描画点1は、ミラー4,4’,4’’によって偏向された2次ビーム16によって照射することができる位置を表している。2次ビーム16の幅は、好ましくは、少なくともミラー4,4’,4’’と同じ大きさである。2次ビーム16は、とりわけガウス形状の特徴的な強度プロファイル5,5’を有する。この特徴的な強度プロファイル5,5’は、感光材料18またはそれぞれの描画点1における強度分布を定義する。
【0108】
DMD3のミラー4のそれぞれのミラー中心4cが描画点1のうちの1つと合同になるように、DMD3が相対的な移動方向vに対して回転されていることが見て取れ、これらの描画点は、-以下に記載するように-各自の露光プロファイルに関して所期のように露光される。
【0109】
相対移動とは、DMD3と、露光されるべき感光層19とが互いに対して相対的に移動されることであると理解されるべきであり、DMD3または感光層19のいずれかを移動させ、その一方で、非可動部分を、静止された状態で固定することが好ましい。技術的な観点からは、基板6上に位置する感光層19を、空間的に固定された座標系に対して能動的に移動させ、その一方で、DMD3および他の全ての光学素子(図示せず)を、空間的に固定された座標系に対して静止させることが好ましい。
【0110】
一例として、描画点1が、とりわけ連続的な相対移動の経過においてまず始めにミラー4の下に、次にミラー4’の下に、そして最後にミラー4’’の下に配置されることが示されている。これらの時点の各々において、ミラー4,4’,4’’のうちの1つを、2次ビームを感光材料18に反射させるようにスイッチングすることができ、これによって感光材料18に、グレートーンGを生成するための(さらなる)線量が印加される。印加するたびに、グレートーンGが増加する。
【0111】
ミラー露光行10z,10z’,10z’’は、それぞれ1つの対応する描画点行に対応付けられていて、移動方向vに対して法線方向にある。ミラー露光列10sは、移動方向vに延在する描画点1の列(例えば、描画点列11s)であって、かつミラー露光列10sの形態で配置されたミラー4によって露光することができる描画点1の列を表している。
【0112】
図1では、図示されたミラー露光列10s上に合計で4つのミラー4,4’,4’’が配置されていて、これらのミラー4,4’,4’’のミラー中心4cがミラー露光列10sと一致していることが見て取れる。したがって、この具体的なケースでは、DMD3と感光材料18の間で相対移動が実施されている間、描画点1の露光のために3つのミラー4,4’,4’’のみを使用することができる。
【0113】
3つのミラー露光行10z,10z’,10z’’は、1つのミラー露光行ブロック17に対応付けられる。DMD3が、例えば600本のミラー露光行10zからなる場合には、これらの600本のミラー露光行10zを、例えば、有利には200個のミラー露光行ブロック17にまとめることができる。
【0114】
したがって、ここに示されている例では、ミラー露光行ブロック17の各々を使用して、4つのグレートーンGのうちの1つを有するように描画点1を露光することができる(露光なしで、1回の線量で、2回の線量で、または3回の線量で)。
【0115】
露光ストリップ2の右下部分の枠は、合計で9つの描画点1からなる1つの描画点領域8を表している。描画点領域8は、好ましくはDMD3のミラー4とほぼ同じサイズを有する。ディザリングアルゴリズムを使用することにより、この画像領域8に、1つの平均化されたグレートーンが設定される。
【0116】
本発明によるさらなる本質的な態様は、光学系、とりわけDMD3を、移動方向vおよび/または描画点行11zに対して傾斜配置することによって位置決め正確度の向上を達成することにあるが、他方で、画像領域8において平均化されたグレートーンを生成するためには、この位置決め正確度の向上が、少なくとも部分的に放棄される。
【0117】
感光材料18におけるパターニングの分解能を、DMD3におけるミラーの分解能よりも高くすることはできない。一方では、とりわけ傾斜配置によって位置決め正確度の向上を達成し、他方では、複数のグレートーンGを1つの描画点領域の平均化されたグレートーンとしてまとめることにより、非常に効率的なグレートーンリソグラフィを実施することが可能となる。
【0118】
図2は、複数の描画点1を有する露光ストリップ2の一部の一連の露光ステップを示す。図示されている一連の画像は、とりわけ、本発明による第1の手法と第2の手法との組み合わせを表している。図1のような強度プロファイル5の表現は、見やすくするために省略している。なぜなら、そうしなければ、描画点1の複数の異なるグレートーンGを見て取ることができないからである。それぞれの露光ステップは、個々の描画点1の、とりわけ同期して実施される複数回の単発露光からなる。
【0119】
ここでは簡略的に9つのミラー4のみによって表されているDMD3が、描画点1に対して相対的に移動され、ここでは、実際には、感光層19の方が移動され、好ましくは可能な限り振動減衰されるように支持されたDMD3の方が固定されている。
【0120】
ミラー4が、2次ビームを感光材料18に反射させるようにスイッチングされる(制御される)たびに、このスイッチングが、ミラー4の内側の黒い点によって表される。一連の画像のうちの最初の画像は、最も下の5本の行のいくつかの描画点1が既に露光されている露光ストリップ2の一部からなる。それぞれの露光された描画点1は、1回だけ露光されており、したがって、それぞれの露光された描画点1に1のグレートーン値を割り当てることができる。グレートーンの値は、その濃さに応じてゼロを含む自然数によって記述される。アルゴリズムがそれぞれの描画点の露光を予定している場合には、DMD3と、DMD3の下に位置する感光層19とを連続的かつ相対的にシフトさせることにより、DMD3の後続のミラー4が、既に露光された描画点1を再び露光することができる。
【0121】
一連の画像のうちの最後の画像を観察すると、描画点領域8において所定のディザリングパターンが形成されるようにアルゴリズムが設定されていることが見て取れる。一例として、一連の画像のうちの3番目の画像において、グレートーンG=1を有する描画点1が示されているが、本発明による手法を使用することにより、一連の画像のうちの12番目の画像におけるその同一の描画点は、グレートーンG=2を有することとなり、すなわち、より強力な線量を受け取った。この描画点1は、このより強力な線量を、同一のミラー露光列10sからの後続のDMDミラー4による露光(図示せず)によって受け取った。
【0122】
一連の画像は、一方では、ディザリングアルゴリズムが使用されることを示しており、他方では、相前後して接続された複数のミラー素子の複数回の露光によってグレートーンGを設定することを示している。
【0123】
対応する数学的アルゴリズムを使用することによって平均化された描画点領域8を生成するための本発明による手法は、もちろん、黒/白(b/w)リソグラフィの場合にも、すなわち、2種類のグレートーンのみを使用する場合にも機能するであろう。しかしながら、グレートーン深さが減少することにより、形成される描画点領域8の深さ分解能も格段に低くなるであろう。高分解能のグレートーン深さスペクトルを、本発明によるアルゴリズムの使用と組み合わせることにより、露光に関して非常に良好な深さ分解能を実現することが可能となる。
【0124】
図3aおよび図3bは、描画点1の露光のために使用される線量がビーム源12のビーム強度を変化させることによって変更される、本発明による方法の1つの実施形態の概略図を示す。図示を簡単にするために、DMD3の1つのミラー4のみが、感光材料18上の描画点1を露光するようにスイッチングされる状態が示されている。
【0125】
ビーム源12は、1次ビーム15を生成し、1次ビーム15がDMD3に当たる前に、光学素子13によって1次ビーム15に影響を与えることができる。DMD3では、DMD3の個々のミラー4が、個々の描画点1を生成するために、対応する数の個々の2次ビーム16を生成する。ビーム源12の強度によって、線量の強さと、強度プロファイル5,5の形状と、ひいてはグレートーンGとが影響を受け、かつ定義される。この定義は、経験によって、または物理化学的なプロセスによって決定可能である。光学系は、光学素子13の合計と、DMD3とである。
【0126】
図4は、本発明による方法によって生成され、平均化されたグレートーンから作成されたグレートーン勾配を示し、このグレートーン勾配の濃さは、左から右に減少する。5行および4列の描画点領域8,8’,8’’,8’’’からなる一部が示されている。それぞれの描画点領域8,8’,8’’,8’’’が9つの描画点(図示せず)を含む場合には、合計で15×12個、すなわち180個の描画点が存在する。
【0127】
描画点領域8は、(図示されていない個々の描画点の9つのグレートーンGから)平均化された、最も濃いグレートーンを有する。描画点領域8’,8’’,および8’’’の平均化されたグレートーンは、左から右に連続的に減少する。描画点領域8,8’,8’’,8’’’のそれぞれの平均化されたグレートーンは、上記の本発明による方法により、個々の描画点1(見やすくするために図示せず)のグレートーン設定と組み合わせて、数学的アルゴリズムを使用することによって作成されたものである。
【0128】
図5は、感光材料18からなる感光層19が堆積された基板6の断面の一部を示す。露光プロファイル深さtを有する描画点1も示されている。露光プロファイル深さtが、感光層19の厚さ全体の約3分の1であることが見て取れる。
【符号の説明】
【0129】
1 描画点
2 露光ストリップ
3 マイクロミラーデバイス(DMD)
4,4’,4’’ ミラー
4c ミラー中心
5,5’ 強度プロファイル
6 基板
8,8’,8’’,8’’’ 描画点領域
9z ミラー行
9s ミラー列
10z,10z’,10z’’ ミラー露光行
10s ミラー露光列
11z 描画点行
11s 描画点列
12 ビーム源
13 光学素子
14 基板ホルダ
15 1次ビーム
16 2次ビーム
17 ミラー露光行ブロック
18 感光材料
19 感光層
G グレートーン
D 単位線量
α 角度
v 移動方向(速度)
t 露光プロファイル深さ
n 描画点行同士の間隔
m 描画点列同士の間隔
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5