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特許7309778OLED調合物のための溶媒としての非芳香族環を含むエステル
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  • 特許-OLED調合物のための溶媒としての非芳香族環を含むエステル 図1
  • 特許-OLED調合物のための溶媒としての非芳香族環を含むエステル 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】OLED調合物のための溶媒としての非芳香族環を含むエステル
(51)【国際特許分類】
   H10K 71/15 20230101AFI20230710BHJP
   H10K 50/11 20230101ALI20230710BHJP
   H10K 85/10 20230101ALI20230710BHJP
   H10K 85/00 20230101ALI20230710BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20230710BHJP
   C09D 11/32 20140101ALI20230710BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20230710BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
H10K71/15
H10K50/11
H10K85/10
H10K85/00
C09K11/06 660
C09D11/32
H01L29/78 618B
B41J2/01 501
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021071889
(22)【出願日】2021-04-21
(62)【分割の表示】P 2017564577の分割
【原出願日】2016-05-13
(65)【公開番号】P2021153053
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2021-05-17
(31)【優先権主張番号】15001741.6
(32)【優先日】2015-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597035528
【氏名又は名称】メルク パテント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ゲーレ・ベアル
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・レオンハルト
(72)【発明者】
【氏名】シン-ロン・ツェン
(72)【発明者】
【氏名】イリナ・マルティノバ
(72)【発明者】
【氏名】オーレリー・ルデマン
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/129249(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/194429(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0176095(US,A1)
【文献】特開平10-338872(JP,A)
【文献】国際公開第2004/028216(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/023302(WO,A1)
【文献】特開2013-018770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 71/00 - 71/16
H10K 50/10 - 50/19
H10K 85/00 - 85/60
C09K 11/06
C09D 11/32
H01L 29/786
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)による少なくとも一つのエステル溶媒を含む調合物と、
【化1】
(式中、
【化2】
は、3~20個の炭素原子を有する非芳香族環式アルキルもしくはアルケニル基であって、置換基R、Rと-[CH]-O-CO-Rは、一般式(I)で示されるとおり、それに結合し、ここで、1以上の水素原子は、随意にFで置き代えられてよく、また、1以上の隣接しないCH基は、-O-で随意に置き代えられてよく、
は、独立して、1~20個の炭素原子を有する直鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~20個の炭素原子を有する分岐鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~20個の炭素原子を有する環式アルキルもしくはアルケニル基、4~6個の炭素原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基より成る基から選ばれ;ここで、1以上の水素原子は、随意にFで置き代えられてよく、また、1以上の隣接しないCH基は、-O-もしくは-Si(R-で随意に置き代えられてよく;
は、独立して、水素、1~20個の炭素原子を有する直鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~20個の炭素原子を有する分岐鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~20個の炭素原子を有する環式アルキルもしくはアルケニル基、4~6個の炭素原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基より成る基から選ばれ;ここで、1以上の水素原子は、随意にFで置き代えられてよく、また、1以上の隣接しないCH基は、-O-もしくは-Si(R-で随意に置き代えられてよく、
は、出現毎に、同一か異なってよく、1~20個の炭素原子を有する直鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~20個の炭素原子を有する分岐鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~20個の炭素原子を有する環式アルキルもしくはアルケニル基、4~6個の炭素原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基より成る基から選ばれ;ここで、1以上の水素原子は、随意にFで置き代えられてよく、また、1以上の隣接しないCH基は、-O-もしくは-Si(R-で随意に置き代えられてよく、および/または複数のRは、一緒になって、モノ-あるいはポリ環式の脂肪族環構造を形成してよく;
は、出現毎に、同一か異なってよく、水素、1~20個の炭素原子を有する直鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~20個の炭素原子を有する分岐鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~20個の炭素原子を有する環式アルキルもしくはアルケニル基、4~6個の炭素原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基より成る基から選ばれ;ここで、1以上の水素原子は、随意にFで置き代えられてよく、また、1以上の隣接しないCH基は、-O-、-(C=O)-O-もしくは-(C=O)で随意に置き代えられてよく;
mは、0~5の整数であり;および
nは、0~2x-2の整数でありここで、xは、非芳香族環式アルキルもしくはアルケニル基
【化3】
中の炭素原子の数である。)
蛍光エミッターおよび燐光エミッターより成る群から選択される少なくとも一つの有機機能性材料とを含む調合物。
【請求項2】
【化4】
が、4~12個の炭素原子を有する非芳香族環式アルキルもしくはアルケニル基であって、置換基R、Rと-[CH]-O-CO-R は、一般式(I)で示されるとおりそれに結合し、ここで、また、1以上の水素原子は、随意にFで置き代えられてよく、また、1以上の隣接しないCH基は、-O-で随意に置き代えられてよい、請求項1記載の調合物。
【請求項3】
【化5】
であって、置換基R、Rと-[CH]-O-CO-Rは、一般式(I)で示されるとおりそれに結合する、請求項2記載の調合物。
【請求項4】
、Rと各Rは、独立して、水素および1~10個の炭素原子を有するアルキ基より成る基から選ばれ、ただし、RとRは、水素ではない、請求項1~3何れか1項記載の調合物。
【請求項5】
、Rと各Rは、独立して、水素、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、3-メチルブト-2-イル、2-メチルブト-2-イル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルペント-2-イル、3-メチルペント-2-イル、2-メチルペント-3-イル、3-メチルペント-3-イル、2-エチルブチル、3-エチルブチル、2,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブト-2-イル、2,2-ジメチルブチル、n-ヘプチル、n-オクチル、 n-ノニルおよびn-デシルより成る基から選ばれ、ただし、RとRは、水素ではない、請求項4記載の調合物。
【請求項6】
は、出現毎に同一か異なってよく、水素、1~10個の炭素原子を有する直鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~10個の炭素原子を有する分岐鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~10個の炭素原子を有する環式アルキルもしくはアルケニル基、4~6個の炭素原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基より成る基から選ばれ;ここで、1以上の水素原子は、随意にFで置き代えられてよく、また、1以上の隣接しないCH基は、-O-、-(C=O)-O-もしくは-(C=O)で随意に置き代えられてよい、請求項1~5何れか1項記載の調合物。
【請求項7】
エステル溶媒が、室温で液体である、請求項1~6何れか1項記載の調合物。
【請求項8】
エステル溶媒が、400℃以下の範囲の沸点を有し、ここで、沸点は760mmHgで与えられる、請求項1~7何れか1項記載の調合物。
【請求項9】
調合物が、1~70mN/mの範囲の表面張力を有する、請求項1~8何れか1項記載の調合物。
【請求項10】
調合物が、0.8~50mPasの範囲の粘度を有する、請求項1~9何れか1項記載の調合物。
【請求項11】
エステル溶媒の含有量が、調合物中の溶媒の合計量を基礎として、0.01~99.9体積%の範囲であることを特徴とする、請求項1~10何れか1項記載の調合物。
【請求項12】
少なくとも一つのさらなる溶媒を含み、少なくとも一つのさらなる溶媒が、エチルベンゾエート、ブチルベンゾエート等の置換および非置換芳香族または線状エステル;3-フェノキシトルエンもしくはアニソ-ル誘導体等の置換および非置換芳香族または線状エーテル;キシレン等の置換もしくは非置換アレーン誘導体;ヘキサメチルインダン等のインダン誘導体;置換および非置換芳香族または線状ケトン;ピロリジノン、ピリジン等の置換および非置換ヘテロ環;フッ素化もしくは塩素化炭化水素;および線状もしくは環式シロキサンより成る群から選択されることを特徴とする、請求項1~11何れか1項記載の調合物。
【請求項13】
調合物中の有機機能性材料の含有量が、調合物中の溶媒の合計量を基礎として、0.001~20重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1~10何れか1項記載の調合物。
【請求項14】
有機機能性材料が、低分子量を有することを特徴とする、請求項13記載の調合物。
【請求項15】
エステル溶媒、さらなる溶媒と有機機能性材料が混合される、請求項1~14何れか1項記載の調合物の製造方法。
【請求項16】
電子素子の少なくとも一つの層は、請求項1~14何れか1項記載の調合物が、基板上に適用され、引き続き乾燥されることを特徴とする、電子素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非芳香族環を含む少なくとも一つのエステル溶媒と少なくとも一つの特定の有機機能性材料とを含む有機電子素子(OLED)を製造するための調合物に関する。調合物は、インクジェット印刷もしくはスピンコーティングプロセスによるOLEDの製造に特に適している。
【0002】
背景技術
有機発光素子(OLED)は、長い間、真空堆積プロセスにより製造されてきた。インクジェット印刷等の他の技術が、費用節約とスケールアップの可能性等の利点の故に、最近徹底的に研究されてきた。多層印刷における主な挑戦の一つは、良好な素子性能と結合した、基板上へのインクの均一な堆積を得るための関連するパラメータを同定することである。特に、材料の溶解度、溶媒の物理的パラメータ(表面張力、粘度または沸点等)、印刷技術、加工条件(空気、窒素、温度等)および乾燥パラメータが、画素パターンに著しく影響し、その結果素子性能に著しく影響し得る特性である。これらの特徴の中でも、溶媒の選択が重要である。例としてUS2015/0044802は、有機発光ダイオードにおける活性層を形成するためのインク組成物を記載している。組成物は、アルキルオクタノン酸、アルキルセバシン酸またはこれらの組み合わせ等から選ばれる少なくとも一つのエステルを含むエステル系溶媒系を含む。同様に、US2011/0220886 A1は、脂肪族環もしくは芳香族環とアントラセン誘導体を有する溶媒を含む有機エレクトロルミッセンス材料組成物を記載している。例として、インデンまたはインダンが、有機エレクトロルミッセンス材料組成物中で、溶媒として使用された。
【0003】
本発明の技術的課題と目的
多くの溶媒が、インクジェット印刷のための有機電子素子において提案されてきた。しかしながら、堆積と乾燥プロセスの間で役割を果たす多くの重要なパラメータが、溶媒の選択を極めて挑戦的なものにしている。このように、インクジェット印刷による堆積のたに使用される有機半導体等の有機機能性材料を含む調合物は、未だ改善される必要がある。本発明の一つの目的は、制御された堆積が、良好な層特性と性能を有する有機半導体層を形成することを可能とする有機機能性材料の調合物を提供することである。本発明のさらなる目的は、インクジェット印刷法に使用される際の基板上へのインク液滴の均一な適用を可能とし、それにより良好な層特性と性能を付与する有機機能性材料の調合物を提供することである。
【0004】
課題の解決
本発明の上記目的は、一般式(I)または一般式(II)による少なくとも一つのエステル溶媒、
【0005】
【化1】
【0006】
(式中、
【0007】
【化2】
【0008】
は、3~20個の炭素原子、好ましくは、4~12の炭素原子、より好ましくは、5~8の炭素原子を有する非芳香族環式アルキルもしくはアルケニル基であって、置換基R、Rと-[CH]-O-CO-Rもしくは-[CH]-CO-Rは、一般式(I)および(II)夫々で示されるとおり、それに結合し、ここで、1以上の水素原子は、随意にFで置き代えられてよく、また、1以上の隣接しないCH基は、-O-で随意に置き代えられてよく、
およびRは、互いに同一か異なってよく、独立して、水素、1~20個の炭素原子を有する直鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~20個の炭素原子を有する分岐鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~20個の炭素原子を有する環式アルキルもしくはアルケニル基、4~6個の炭素原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基より成る基から選ばれ;ここで、1以上の水素原子は、随意にFで置き代えられてよく、また、1以上の隣接しないCH基は、-O-もしくは-Si(R-で随意に置き代えられてよく、Rは、出現毎に、同一か異なってよく、独立して、1~20個の炭素原子を有する直鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~20個の炭素原子を有する分岐鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~20個の炭素原子を有する環式アルキルもしくはアルケニル基、4~6個の炭素原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基より成る基から選ばれ;ここで、1以上の水素原子は、随意にFで置き代えられてよく、また、1以上の隣接しないCH基は、-O-もしくは-Si(R-で随意に置き代えられてよく、および/または複数のRは、一緒になって、モノ-あるいはポリ環式の脂肪族環構造を形成してよく;Rは、出現毎に、同一か異なってよく、水素、1~20個の炭素原子を有する直鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~20個の炭素原子を有する分岐鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~20個の炭素原子を有する環式アルキルもしくはアルケニル基、4~6個の炭素原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基より成る基から選ばれ;ここで、1以上の水素原子は、随意にFで置き代えられてよく、また、1以上の隣接しないCH基は、-O-、-(C=O)-O-もしくは-(C=O)で随意に置き代えられてよく;mは、0~5、好ましくは、0~3の整数であり;および
nは、0~2x-2の整数でありここで、xは、非芳香族環式アルキルもしくはアルケニル基
【0009】
【化3】
【0010】
中の炭素原子の数である。)
および、有機伝導体、有機半導体、有機蛍光化合物、有機燐光化合物、有機光吸収化合物、有機光感受性化合物、有機光増感剤および遷移金属、希土類、ランタニドとアクチニドの有機金属錯体から選ばれる他の有機光活性化合物より成る群から選択される少なくとも一つの有機機能性材料を含む調合物を提供することにより解決される。
【0011】
本発明の有利な効果
本発明者は、OLEDのための溶媒として非芳香族環を含むエステルの使用が、良好な層特性と極めて良好な性能を有する機能性材料の均質でよく制御された有機層を生成する効率的なインク堆積を可能とすることを驚くべきことに見出した。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、基板、ITOアノード、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、緑色発光層(G-EML)、青色共通層(BCL)、電子輸送層(ETL)およびAlカソードを含む素子の典型的な層構造を示す。
図2図2は、例5~11と参照例1で使用される素子の層構造を示す。素子は、基板、ITOアノード、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、緑色発光層(G-EML)、正孔ブロック層(HBL)、電子輸送層(ETL)およびAlカソードを含む。
【0013】
実施形態の説明
本発明は、一般式(I)または一般式(II)による少なくとも一つのエステル溶媒
【0014】
【化4】
【0015】
(式中、
【0016】
【化5】
【0017】
は、3~20個の炭素原子、好ましくは、4~12個の炭素原子を有する非芳香族環式アルキルもしくはアルケニル基であって、置換基R、Rと-[CH]-O-CO-Rもしくは-[CH]-CO-Rは、一般式(I)および(II)夫々で示されるとおり、それに結合し、ここで、また、1以上の水素原子は、随意にFで置き代えられてよく、また、1以上の隣接しないCH基は、-O-で随意に置き代えられてよく、RおよびRは、互いに同一か異なってよく、独立して、水素、1~20個の炭素原子を有する直鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~20個の炭素原子を有する分岐鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~20個の炭素原子を有する環式アルキルもしくはアルケニル基、4~6個の炭素原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基より成る基から選ばれ;ここで、1以上の水素原子は、随意にFで置き代えられてよく、また、1以上の隣接しないCH基は、-O-もしくは-Si(R-で随意に置き代えられてよく、Rは、出現毎に、同一か異なってよく、独立して、1~20個の炭素原子を有する直鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~20個の炭素原子を有する分岐鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~20個の炭素原子を有する環式アルキルもしくはアルケニル基、または4~6個の炭素原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基より成る基から選ばれ;ここで、1以上の水素原子は、随意にFで置き代えられてよく、また、1以上の隣接しないCH基は、-O-もしくは-Si(R-で随意に置き代えられてよく、および/または複数のRは、一緒になって、モノ-あるいはポリ環式の脂肪族環構造を形成してよく;
は、出現毎に、同一か異なってよく、水素、1~20個の炭素原子を有する直鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~20個の炭素原子を有する分岐鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~20個の炭素原子を有する環式アルキルもしくはアルケニル基、4~6個の炭素原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基より成る基から選ばれ;ここで、1以上の水素原子は、随意にFで置き代えられてよく、また、1以上の隣接しないCH基は、-O-、-(C=O)-O-もしくは-(C=O)で随意に置き代えられてよく;mは、0~5、好ましくは、0~3の整数であり;および
nは、0~2x-2の整数でありここで、xは、非芳香族環式アルキルもしくはアルケニル基
【0018】
【化6】
【0019】
中の炭素原子の数である。)
および、有機伝導体、有機半導体、有機蛍光化合物、有機燐光化合物、有機光吸収化合物、有機光感受性化合物、有機光増感剤および遷移金属、希土類、ランタニドとアクチニドの有機金属錯体から選ばれる他の有機光活性化合物より成る群から選択される少なくとも一つの有機機能性材料を含む調合物に関する。
【0020】
好ましい態様
第1の好ましい態様では、エステル溶媒は、一般式(I)により表される。
【0021】
第2の好ましい態様では、エステル溶媒は、一般式(II)により表される。
【0022】
好ましくは、エステル溶媒が、一般式(I)および(II)における構造要素
【0023】
【化7】
【0024】
が、4~12個の炭素原子、より好ましくは、5~8個の炭素原子を有する非芳香族環式アルキルもしくはアルケニル基であって、置換基R、Rと-[CH]-O-CO-Rもしくは-[CH]-CO-Rは、一般式(I)および(II)夫々で示されるとおり、それに結合し、ここで、1以上の水素原子は、随意にFで置き代えられてよく、また、1以上の隣接しないCH基は、-O-で随意に置き代えられてよい調合物である。
【0025】
最も好ましくは一般式(I)および(II)における構造要素
【0026】
【化8】
【0027】
が、以下から選ばれ、
【0028】
【化9】
【0029】
式中、置換基R、Rと-[CH]-O-CO-Rもしくは-[CH]-CO-Rは、一般式(I)および(II)夫々で示されるとおりそれに結合する。
【0030】
好ましくは、一般式(I)および(II)におけるR、Rと各Rは、水素および1~10個の炭素原子を有する直鎖アルキル基より成る基から選ばれ、ただし、Rは、水素ではない。1~10個の炭素原子を有する直鎖アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルとデシルおよびその異性体を含む。
【0031】
より好ましくは、一般式(I)および(II)におけるR、Rと各Rは、独立して、水素、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、3-メチルブト-2-イル、2-メチルブト-2-イル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルペント-2-イル、3-メチルペント-2-イル、2-メチルペント-3-イル、3-メチルペント-3-イル、2-エチルブチル、3-エチルブチル、2,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブト-2-イル、2,2-ジメチルブチル、n-ヘプチル、n-オクチル、 n-ノニルおよびn-デシルより成る基から選ばれ、ただし、Rは、水素ではない。
【0032】
好ましくは、Rは、出現毎に同一か異なり、水素、1~10個の炭素原子を有する直鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~10個の炭素原子を有する分岐鎖アルキルもしくはアルケニル基、3~10個の炭素原子を有する環式アルキルもしくはアルケニル基、4~6個の炭素原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基より成る基から選ばれ;ここで、1以上の水素原子は、随意にFで置き代えられてよく、また、1以上の隣接しないCH基は、-O-、-(C=O)-O-もしくは-(C=O)で随意に置き代えられてよい。
【0033】
好ましくは、Rは、出現毎に同一か異なり、水素および、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルとデシルおよびその異性体等の1~10個の炭素原子を有する直鎖アルキル基より成る基から選ばれる。
【0034】
より好ましくは、Rは、出現毎に同一か異なり、水素、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、3-メチルブト-2-イル、2-メチルブト-2-イル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルペント-2-イル、3-メチルペント-2-イル、2-メチルペント-3-イル、3-メチルペント-3-イル、2-エチルブチル、3-エチルブチル、2,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブト-2-イル、2,2-ジメチルブチル、n-ヘプチル、n-オクチル、 n-ノニルおよびn-デシルより成る基から選ばれる。
【0035】
最も好ましいエステル溶媒の例、室温でのそれらの沸点(BP)と物理的状態が、以下の表1に示される。
【0036】
【表1-1】
【0037】
【表1-2】
【0038】
好ましくは、一般式(I)または(II)によるエステル溶媒は、室温で液体であり、それは、25℃以下の融点を有することを意味する。
【0039】
好ましくは、一般式(I)および(II)によるエステル溶媒は、400℃以下の、好ましくは、100~350℃の範囲、より好ましくは、150~350℃の範囲、最も好ましくは、200~300℃の範囲の沸点を有し、ここで、沸点は760mmHgで与えられる。
【0040】
好ましくは、調合物は、1~70mN/mの範囲、好ましくは、10~50mN/mの範囲、より好ましくは、20~40mN/mの範囲の表面張力を有する。
【0041】
本発明の調合物の表面張力は、光学的方法であるペンダントドロップ特性決定法により測定される。この測定技術は、バルクガス相において、ニードルから液滴を分配する。液滴の形状は、表面張力、重力および密度差間の相関から生じる。ペンダントドロップ法を使用して、表面張力は、液滴形状分析を使用して、ペンダントドロップの影像から計算される。共通に使用され、市販されている高精度液滴形状分析ツール、すなわち、Kruss GmbH製DSA100が、全表面張力測定を実施するために使用された。表面張力は、DIN 55660-1にしたがうソフトウエア「DSA4」により測定された。全測定は、22℃~24℃間の範囲である室温でなされた。標準的操作方法は、新鮮な自由液滴分配システム(シリンジとニードル)を使用する各調合物の表面張力測定を含む。各液滴は、後に平均化される60回の測定を伴い、1分間で測定される。各調合物に対して、3種の液滴が測定される。最終値が前記測定に亘り平均される。ツールは、周知の表面張力を有する種々の液体に対して定期的に照合される。
【0042】
好ましくは、調合物は、0.8~50mPasの範囲、より好ましくは、1~40mPasの範囲、より好ましくは、2~20mPasの範囲、最も好ましくは、2~10mPasの範囲の粘度を有する。
【0043】
本発明の調合物と溶媒の粘度は、Haake MARS III Rheometer (Thermo Scientific)型の1°コーンプレート回転式レオメータで測定される。装備は、温度と剪断速度の正確な制御を可能とする。粘度測定は、23.4℃(+/-0.2℃)の温度で、500s-1の剪断速度で実施される。各試料は3度測定され、得られた測定値は平均される。データの測定と加工は、DIN 1342-2によるソフトウエア「Haake RheoWin Job Manage」により実施された。Haake MARS IIIレオメータは、Thermo Scientifiと最初の使用前に認定標準工場較正を受けたツールにより定期的に較正される。
【0044】
好ましくは、一般式(I)または(II)によるエステル溶媒の含有量は、調合物中の溶媒の合計量を基礎として、0.01~99.9体積%、より好ましくは、1~95体積%、さらにより好ましくは、10~90体積%、最も好ましくは、20~80体積%の範囲である。
【0045】
調合物は、エステル溶媒とは異なる少なくとも一つの追加的な溶媒をさらに含んでよい。適切な追加的な溶媒は、好ましくは、特に、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル、エステル、(C1-2-アルキル)NH-CO-H等のアミド、硫黄化合物、ニトロ化合物、炭化水素、ハロゲン化炭化水素(たとえば、塩素化炭化水素)、芳香族もしくは複素環式芳香族炭化水素およびハロゲン化芳香族もしくは複素環式芳香族炭化水素を含む溶媒である。
【0046】
好ましくは、さらなる溶媒は、エチルベンゾエート、ブチルベンゾエート等の置換および非置換芳香族または線状エステル;3-フェノキシトルエンもしくはアニソ-ル誘導体等の置換および非置換芳香族または線状エーテル;キシレン等の置換もしくは非置換アレーン誘導体;ヘキサメチルインダン等のインダン誘導体;置換もしくは非置換芳香族または線状ケトン;ピロリジノン、ピリジン等の置換および非置換ヘテロ環;フッ素化もしくは塩素化炭化水素;および線状もしくは環式シロキサンより成る群から選択される。
【0047】
特に好ましい追加的な溶媒は、たとえば、1,2,3,4-テトラメチルベンゼン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,3-トリメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1,2, 4-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,2-ジヒドロナフタレン、1,2-ジメチルナフタレン、1,3-ベンゾジオキサン、1,3-ジイソプロピルベンゼン、1,3-ジメチルナフタレン、1,4-ベンゾジオキサン、1,4-ジイソプロピルベンゼン、1,4-ジメチルナフタレン、1,5-ジメチルテトラリン、1-ベンゾチオフェン、1-ブロモナフタレン、1-クロロメチルナフタレン、1-エチルナフタレン、1-メトキシナフタレン、1-メチルナフタレン、1-メチルインドール、2,3-ベンゾフラン、2,3-ジヒドロベンゾフラン、2,3-ジメチルアニソール、2,4-ジメチルアニソール、2,5-ジメチルアニソール、2,6-ジメチルアニソール、2,6-ジメチルナフタレン、2-ブロモ3-ブロモメチルナフタレン、2-ブロモメチルナフタレン、2-ブロモナフタレン、2-エトキシナフタレン、2-エチルナフタレン、2-イソプロピルアニソール、2-メチルアニソール、2-メチルインドール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、3-ブロモキノリン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、5-デカノリド、5-メトキシインダン、5-メトキシインドール、5-tert-ブチル-m-キシレン、6-メチルキノリン、8-メチルキノリン、アセトフェノン、アニソール、ベンゾニトリル、ベンゾチアゾール、ベンジルアセテート、ブロモベンゼン、ブチルベンゾエート、ブチルフェニルエーテル、シクロヘキシルベンゼン、デカヒドロナフトール、ジメトキシトルエン、3-フェノキシトルエン、ジフェニルエーテル、プロピオフェノン、エチルベンゼン、エチルベンゾエート、Y-テルネピン、ヘキシルベンゼン、インダン、ヘキサメチルインダン、インデン、イソクロマン、クメン、m-シメン、メシチレン、メチルベンゾエート、o-,m-,p-キシレン、プロピルベンゾエート、プロピルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、ペンチルベンゼン、フェネトール、エトキシベンゼン、フェニルアセテート、p-シメン、プロピオフェノン、sec-ブチルベンゼン、t-ブチルベンゼン、チオフェン、トルエン、ベラトール、モノクロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロリドン、モルホリン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、デカリンおよび/またはこれら化合物の混合物である。
【0048】
これらの溶媒は、個々にまたは2、3以上の追加的溶媒を生成する溶媒の混合物として用いることができる。
【0049】
調合物中の有機機能性材料の含有量は、調合物中の溶媒の合計量を基礎として、0.001~20重量%の範囲、好ましくは、0.01~10重量%の範囲、より好ましくは、0.1~5重量%の範囲である。
【0050】
本発明の調合物は、電子素子の機能層の製造のために用いることができる少なくとも一つの有機機能性材料を含む。有機機能性材料は、一般的に電子素子のアノードとカソードとの間に導入される有機材料である。
【0051】
有機機能性材料は、有機伝導体、有機半導体、有機蛍光化合物、有機燐光化合物、有機光吸収化合物、有機光感受性化合物、有機光増感剤および遷移金属、希土類、ランタニドとアクチニドの有機金属錯体から選ばれる他の有機光活性化合物より成る群から選ばれる。
【0052】
好ましくは、有機機能性材料は、蛍光エミッター、燐光エミッター、ホスト材料、マトリックス材料、励起子ブロック材料、電子輸送材料、電子注入材料、正孔伝導材料、正孔注入材料、n-ドーパント、p-ドーパント、ワイドバンドギャップ材料、電子ブロック材料および正孔ブロック材料より成る群から選ばれる。
【0053】
有機機能性材料の好ましい態様は、WO2011/076314A1に詳細に開示されており、参照として本願に組み込まれる。
【0054】
好ましい1態様では、有機機能性材料は、蛍光エミッターおよび燐光エミッターより成る群から選ばれる。
【0055】
有機機能性材料は、低分子量を有する化合物、ポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーであることができ、ここで、有機機能性材料は、混合物の形態であってもよい。好ましい1態様では、本発明による調合物は、低分子量を有する2種の異なる有機機能性材料、低分子量を有する1つの化合物と1種のポリマーもしくは2種のポリマー(ブレンド)を含んでよい。さらに好ましい1態様では、本発明による調合物は低分子量を有する1つの化合物から、またはポリマーから選ばれる5種までの異なる有機機能性材料を含んでよい。
【0056】
好ましくは、有機機能性材料は、低分子量を有する。低分子量は、≦3,000g/mol、特に好ましくは、≦2,000g/mol、特別に好ましくは、≦1,800g/molの重量である。
【0057】
有機機能性材料は、以下に詳細に説明されるフロンティア軌道特性により説明されることが多い。材料の分子軌道、特に、最高非占軌道(HOMO)と最低空軌道(LUMO)、それらのエネルギー準位および最低三重項状態Tのエネルギーと最低励起一重項状態Sのエネルギーは、量子化学計算によって決定される。金属を含まない有機物質を計算するために、最初に、幾何学的な最適化が、「基底状態/準実験的/デフォルトスピン/AM1/電荷0/一重項スピン」法を使用して実施される。続いて幾何学的な最適化を基準にしてエネルギー計算を実施する。ここで、「6-31G(d)」ベースセット(電荷0、一重項スピン)を用いる「TD-SCF/DFT/デフォルトスピン/B3PW91」法が使用される。金属含有化合物に対しては、ジオメトリーは、「基底状態/ハートリー-フォック/デフォルトスピン/LanL2MB/電荷0/一重項スピン」法を介して最適化される。エネルギー計算は、「LanL2DZ」ベースセットが金属原子のために使用され、「6-31G(d)」ベースセットが金属原子のために使用されるということを除いて、上記記載のとおりの有機物質と同じように実施される。HOMOエネルギー準位HEhまたはLUMOエネルギー準位LEhは、ハートリー単位でのエネルギー計算から得られる。サイクリックボルタンメトリ測定により較正されたHOMOおよびLUMOの電子ボルトでのエネルギー準位は、以下のとおり決定される:
HOMO(eV)=((HEh*27.212)-0.9899)/1.1206
LUMO(eV)=((LEh*27.212)-2.0041)/1.385
本出願の目的のために、これらの値は、材料夫々のHOMOおよびLUMOエネルギー準位とみなすべきである。
【0058】
最低三重項状態Tを、上記量子化学計算から明らかである最低エネルギーを有する三重項状態のエネルギーとして定義する。
【0059】
最低励起一重項状態Sを、上記量子化学計算から明らかである最低エネルギーを有する励起一重項状態のエネルギーとして定義する。
【0060】
ここに記載された方法は、使用されるソフトウエアパッケージとは独立しており、常に同じ結果が得られる。この目的のためによく利用されるプログラムの例は、「ガウシアン09W (Gaussian Inc.)とQ-Chem 4.1 (Q-Chem, Inc.)」である。
【0061】
正孔注入特性を有する化合物、いわゆる正孔注入材料は、ここでは、アノードから有機層に、正孔、すなわち、正電荷の輸送を容易にするか、または促進する。一般的に、正孔注入材料は、アノードのフェルミ準位の領域もしくはそれを超える領域であるHOMO準位を有する。
【0062】
正孔輸送特性を有する化合物、いわゆる正孔輸送材料は、ここでは、アノードもしくは隣接層、たとえば、正孔注入層から、正孔、すなわち、正電荷を輸送することができる。
一般的に、正孔輸送材料は、好ましくは、少なくとも-5.4eVの高いHOMO準位を有する。電子素子の構造に応じて、正孔注入材料として正孔輸送材料を用いることも可能である。
【0063】
正孔注入および/または正孔輸送特性を有する好ましい化合物は、たとえば、トリアリールアミン、ベンジジン、テトラアリール-パラ-フェニレンジアミン、トリアリールホスフィン、フェノチアジン、フェノキサジン、ジヒドロフェナジン、チアントレン、ジベンゾ-パラ-ジオキシン、フェノキサチン、カルバゾール、アズレン、チオフェン、ピロールおよびフラン誘導体と高HOMO(HOMO=最高非占軌道)を有するさらなるO-、S-もしくはN-含有へテロ環である。
【0064】
正孔注入および/または正孔輸送特性を有する化合物として、特別な言及が、フェニレンジアミン誘導体 (US 3615404)、アリールアミン誘導体(US 3567450)、アミノ置換カルコン誘導体(US 3526501)、スチリルアントラセン誘導体(JP-A-56-46234)、ポリ環式芳香族化合物(EP 1009041)、ポリアリールアルカン誘導体(US 3615402)、フルオレン誘導体 (JP-A-54-110837)、ヒドラゾン誘導体(US 3717462)、アシルヒドラゾン、スチルベン誘導体(JP-A-61-210363)、シラザン誘導体(US 4950950)、ポリシラン(JP-A-2-204996)、アニリンコポリマー(JP-A-2-282263)、チオフェンオリゴマー(JP 平成1(1989)211399)、ポリチオフェン、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(PVK)、ポリピロール、ポリアニリンおよび他の電気伝導性巨大分子、ポリフィリン化合物(JP-A-63-2956965、US 4720432)、芳香族ジメチリデン型化合物、たとえば、CDBP、CBP、mCP等のカルバゾール化合物、たとえば、ベンジリデン型のトリフェニルアミン、スチリルアミン型のトリフェニルアミンおよびジアミン型のトリフェニルアミン等の芳香族三級アミンおよびスチリルアミン化合物(US 4127412)になされてよい。アリールアミンデンドリマー(JP平成8(1996)193191)、モノマートリアリールアミン(US 3180730)、1以上のビニル基および/または活性水素を含む少なくとも一つの官能基を含むトリアリールアミン(US 3567450およびUS 3658520)またはテトラアリールジアミン(2個の三級アミン単位が、アリール基を介して連結する。)を使用することも可能である。より多くのトリアリールアミノ基が、分子中に存在してもよい。フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ブタジエン誘導体および、たとえば、ジピラジノ[2,3-f:2’,3’-h]-キノキサリンヘキサカルボニトリル等のキノリン誘導体も適切である。
【0065】
好ましいものは、たとえば、NPD(α-NPD=4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]-ビフェニル)(US 5061569)、TPD232(=N,N’-ビス-(N,N’-ジフェニル-4-アミノフェニル)-N,N-ジフェニル-4,4’-ジアミノ-1,1’-ビフェニル)もしくはMTDATA(MTDATAもしくはm-MTDATA=4,4’,4’’-トリス[3-メチルフェニル)フェニルアミノ]-トリフェニルアミン)(JP-A-4-308688)、TBDB(=N,N,N’,N’-テトラ(4-ビフェニル)-ジアミノビフェニレン)、TAPC(=1,1-bビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-シクロヘキサン)、TAPPP(=1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-3-フェニルプロパン)、BDTAPVB(=1,4-ビス[2-[4-[N,N-ジ(p-トリル)アミノ]フェニル]ビニル]ベンゼン)、TTB(=N,N,N’,N’-テトラ-p-トリル-4,4’-ジアミノフェニル)、TPD(=4,4’-ビス[N-3-メチルフェニル]-N-フェニルアミノ)-ビフェニル)、N,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’’’ジアミノ-1,1’,4’,1’’,4’’,1’’’-クアテル-フェニル等のような少なくとも2種の三級アミン単位を含む芳香族三級アミン(US 2008/0102311 A1、US 4720432および US 5061569)、同様に、たとえば、TCTA(=4-(9H-カルバゾール-9-イル)-N,N-ビス[4-(9H-カルバゾール-9-イル)-フェニル]-ベンゼンアミン)等のカルバゾール単位を含む三級アミンである。同様に、好ましいものは US 2007/0092755 A1にしたがうヘキサアザトリフェニレン化合物およびフタロシアニン誘導体(たとえば、HPc、CuPc(=銅フタロシアニン)、CoPc、NiPc、ZnPc、PdPc、FePc、MnPc、ClAlPc、ClGaPc、ClInPc、ClSnPc、ClSiPc、(HO)AlPc、(HO)GaPc、VOPc、TiOPc、MoOPc、GaPc-O-GaPc)である。
【0066】
特に好ましいものは、文献EP 1162193 B1およびEP 650955 B1、Synth.Metals 1997, 91 (1-3),209、DE 19646119 A1、WO 2006 122630 A1、EP 1860097 A1、EP 1834945 A1、JP 08053397 A、US 6251531 B1、US 2005/0221124、JP 08292586 A、US 7399537 B2、US2006/0061265 A1、EP 1661888およびWO 09/041635に開示された式(TA-1)~(TA-12)の以下のトリアリールアミン化合物である。
【0067】
【化10-1】
【0068】
【化10-2】
【0069】
正孔注入材料として用いることのできるさらなる化合物は、EP 0891121 A1およびEP 1029909 A1に記載され、注入層は、一般的に、US 2004/0174116 A1に記載されている。
【0070】
これらのアリールアミンおよびヘテロ環は、ポリマー中で、好ましくは、-5.8eV(真空レベルに対して)より大な、特に好ましくは、-5.5eVより大なHOMOを生じる。
【0071】
電子注入および/または電子輸送特性を有する化合物は、たとえば、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリン、アントラセン、ベンズアントラセン、ピレン、ペリレン、ベンズイミダゾール、トリアジン、ケトン、ホスフインオキシドおよびフェナジン誘導体のみならずトリアリールボランならびに低LUMO(LUMO=最低空軌道)を有するさらなるO-、S-もしくはN-含有へテロ環である。
【0072】
電子輸送および電子注入層のために特に適切な化合物は、8-ヒドロキシキノリンの金属キレ-ト(たとえば、LiQ、AlQ、GaQ、MgQ、ZnQ、InQ、ZrQ)、BAlQ、Gaオキノイド錯体、4-アザフェナントレン-5-オル-Be錯体(US 5529853 A、cf.式ET-1)、ブタジエン誘導体(US 4356429)、ヘテロ環光学的光沢剤(US 4539507)、たとえば、TPBI(US 5766779、cf.式ET-2)等のベンズイミダゾール誘導体(US 2007/0273272 A1)、1,3,5-トリアジン、たとえば、スピロビフルオレニルトリアジン誘導体(たとえば、DE 102008064200にしたがう)、ピレン、アントラセン、テトラセン、フルオレン、スピロフルオレン、デンドリマー、テトラセン(たとえば、ルブレン誘導体)、1,10-フェナントロリン誘導体(JP 2003-115387、JP 2004-311184、JP-2001-267080、WO 2002/043449)、シルアシルシクロペンタジエン誘導体(EP 1480280、EP 1478032、EP 1469533)、たとえば、Siを含むトリアリールボラン等のボラン誘導体(US 2007/0087219 A1、cf.式ET-3)、ピリジン誘導体(JP 2004-200162)、フェナントロリン、特別には、たとえば、BCPおよびBphen等の、また、ビフェニルもしくは他の芳香族基 (US-2007-0252517 A1)を介して結合したフェナントロリンまたはアントラセンに結合したフェナントロリン(US 2007-0122656 A1、cf.式ET-4、ET-5)等の1,10-フェナントロリン誘導体である。
【0073】
【化11】
【0074】
同様に適切なものは、たとえば、チオピランジオキサイド、オキサゾール、トリアゾール、イミダゾールもしくはオキサジアゾール等のヘテロ環有機化合物である。たとえば、オキサゾール、好ましくは、1,3,4-オキサゾール、たとえば、特に、US 2007/0273372 A1に開示された式ET-6、ET-7、ET-8およびET-9の化合物、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール等のN含有五員環の使用例は、特に、US2008/0102311A1とY.A.Levin, M.S. Skorobogatova, Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenii 1967 (2), 339-341を参照。好ましくは、式ET-10の化合物、シルアシルシクロペンタジエン誘導体である。好ましい化合物は、以下の式(ET-6)~(ET-10)である。
【0075】
【化12】
【0076】
フルオレン、フルオレニリデンメタン、ペリレンテトラカルボン酸、アントラキノンジメタン、ジフェノキノン、アントロンおよびアントラキノンジエチレンジアミンの誘導体等の有機化合物を用いることもできる。
【0077】
好ましいものは、2,9,10-置換アントラセン(1-もしくは2-ナフチルおよび4-もしくは3-ビフェニルをもつ)または2個のアントラセン単位を含む分子である(US2008/0193796 A1、cf.式ET-11)。また、非常に有利なものは、ベンズイミダゾール誘導体への9,10-置換アントラセン単位の連結である(US 2006 147747 AおよびEP 1551206 A1,cf.式ET-12およびET-13)。
【0078】
【化13】
【0079】
電子注入および/または電子輸送特性を生成することができる化合物は、好ましくは、-2.5eV(真空レベルに対して)未満の、特に好ましくは、-2.7eV未満のLUMOを生じる。
【0080】
ここで、n-ドーパントは、還元剤、すなわち、電子供与体の意味で使用される。n-ドーパントの好ましい例は、W(hpp)とWO2005/086251 A2にしたがう他の電子リッチ金属錯体、P=N化合物(たとえば、WO2012/175535 A1、WO2012/175219 A1)、ナフチレンカルボジイミド(たとえば、WO2012/168358 A1)、フルオレン(たとえば、WO2012/031735 A1)、フリーラジカルとジラジカル(たとえば、EP1837926 A1、WO2007/107306 A1)、ピリジン(たとえば、EP2452946 A1、EP2463927 A1)、N-ヘテロ環化合物(たとえば、WO2009/000237 A1)およびアクリジンとフェナジン(たとえば、US2007/145355 A1)である。
【0081】
本調合物は、エミッターを含んでもよい。用語エミッターは、任意の型のエネルギー遷移により生じることができる励起後に、発光により基底状態への放射遷移を許容する材料である。一般的に、2種のエミッターが知られており、すなわち、蛍光エミッターと燐光エミッターである。用語蛍光エミッターは、励起一重項状態から基底状態への放射遷移が生じる材料または化合物を示す。用語燐光エミッターは、好ましくは、遷移金属を含むルミネッセンス材料または化合物を示す。
【0082】
ドーパントが系中で上記特性を引き起こす場合は、エミッターは、ドーパントと呼ばれることが多い。マトリックス材料とドーパントを含む系中のドーパントは、混合物中のその割合が、より小さい成分の意味で使用される。対応してマトリックス材料とドーパントを含む系中のマトリックスは、混合物中のその割合が、より多い成分の意味で使用される。したがって、用語燐光エミッターは、たとえば、燐光ドーパントの意味で使用されることもできる
発光することのできる化合物は、とりわけ、蛍光エミッターと燐光エミッターである。
これらは、特に、スチルベン、スチルベンアミン、スチリルアミン、クマリン、ルブレン、ローダミン、チアゾール、チアジアゾール、シアニン、チオフェン、パラフェニレン、ペリレン、フタロシアニン、ポルフィリン、ケトン、キノリン、イミン、アントラセンおよび/またはピレン構造を含む化合物を包含する。特に好ましいのは、室温でさえも、高効率で三重項状態から発光することのできる、すなわち、電場蛍光発光に代えて、エネルギー効率の増加を引き起こすことが多い電場燐光発光を示す化合物である。この目的のために適するのは、まず、36より大な原子番号を有する重い原子を含む化合物である。好ましい化合物は、上記条件を満足するd-もしくはf-遷移金属を含むものである。ここで、特に好ましいものは、8乃至10属からの元素を(Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt)含む対応する化合物である。適切な機能性化合物は、ここで、たとえば、上記のとおりの種々の錯体であり、たとえば、WO 02/068435 A1、WO 02/081488 A1、EP 1239526 A2およびWO 2004/026886 A2に記載されている。
【0083】
蛍光エミッターとして機能することのできる好ましい化合物は、以下の例により説明される。好ましい蛍光エミッターは、モノスチリルアミン、ジスチリルアミン、トリスチリルアミン、テトラスチリルアミン、スチリルホスフィン、スチリルエーテルおよびアリールアミンの種から選択される。
【0084】
モノスチリルアミンは、1個の置換あるいは非置換スチリル基と、少なくとも1個の、好ましくは、芳香族アミンを含む化合物の意味で使用される。ジスチリルアミンは、2個の置換あるいは非置換スチリル基と少なくとも1個の、好ましくは、芳香族アミンを含む化合物の意味で使用される。トリスチリルアミンは、3個の置換あるいは非置換スチリル基と少なくとも1個の、好ましくは、芳香族アミンを含む化合物の意味で使用される。テトラスチリルアミンは、4個の置換あるいは非置換スチリル基と少なくとも1つの、好ましくは、芳香族アミンを含む化合物の意味で使用される。スチリル基は、特に好ましくは、スチルベンであり、さらに置換されていてもよい。対応するホスフィンとエーテルはアミンと同様に定義される。本発明の意味でのアリールアミンもしくは芳香族アミンは、窒素に直接結合した3個の置換あるいは非置換芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を含む化合物の意味で使用される。これら芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の少なくとも1個は、好ましくは、縮合環構造、好ましくは、少なくとも14個の芳香族環原子を有する縮合環構造である。それらの好ましい例は、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミンもしくは芳香族クリセンジアミンである。芳香族アントラセンアミンは、1個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族アントラセンジアミンは、2個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、2.6-位あるいは9.10-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族ピレンアミン、ピレンジアミン、クリセンアミンおよびクリセンジアミンは、同様に定義され、ここで、ジアリールアミノ基は、好ましくは、ピレンに、1位もしくは1.6-位で結合する。
【0085】
さらに好ましい蛍光エミッターは、たとえば、WO 2006/122630に記載されたインデノフルオレンアミンもしくはインデノフルオレンジアミン、特に、WO 2008/006449に記載されたベンゾインデノフルオレンアミンもしくはベンゾインデノフルオレンジアミン、および、たとえば、WO 2007/140847に記載されたジベンゾインデノフルオレンアミンもしくはジベンゾインデノフルオレンジアミンから選択される。
【0086】
蛍光エミッターとして用いることができるスチリルアミンの種からの化合物の例は、置換あるいは非置換トリスチルベンアミンまたは、WO 2006/000388、WO 2006/058737、WO 2006/000389、WO 2007/065549およびWO 2007/115610に記載されたドーパントである。ジスチリルベンゼンおよびジスチリルビフェニル誘導体は、US 5121029に記載されている。さらなるスチリルアミンは、US 2007/0122656 A1に見出すことができる。
【0087】
特に好ましいスチリルアミン化合物は、US 7250532 B2に記載された式EM-1の化合物とDE 10 2005 058557 A1に記載された式EM-2の化合物である。
【0088】
【化14】
【0089】
特に好ましいトリアリールアミン化合物は、CN 1583691 A、JP 08/053397 AおよびUS 6251531 B1、EP1957606 A1、US 2008/0113101 A1、US2006/210830 A、WO2008/006449およびDE 102008035413に開示された式EM-3~EM-15の化合物とその誘導体である。
【0090】
【化15-1】
【0091】
【化15-2】
【0092】
【化15-3】
【0093】
蛍光エミッターとして用いることのできるさらに好ましい化合物は、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ベンズアントラセン、ベンズフェナントレン(DE 10 2009 005746)、フルオレン、フルオランテン、ペリフランテン、インデノペリレン、フェナントレン、ペリレン(US 2007/0252517A1)、ピレン、クリセン、デカクリセン、コロネン、テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、フルオレン、スピロフルオレン、ルブレン、クマリン(US 4769292、US 6020078、US 2007/0252517 A1)、ピラン、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンズイミダゾール、ピラジン、桂皮酸エステル、ジケトピロロピロール、アクリドンおよびキナクリドン(US 2007/0252517 A1)の誘導体から選択される。
【0094】
アントラセン化合物のうち、特に好ましいものは、たとえば、9,10-ジフェニルアントラセンおよび9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン等の9,10-置換アントラセンである。1,4-ビス(9’-エチニルアントラセニル)-ベンゼンも、好ましいドーパントである。
【0095】
同様に好ましいのは、ルブレン、クマリン、ローダミン、たとえば、DMQA(=N,N’-ジメチルキナクリドン)等のキナクリドン、たとえば、DCM(=4-(ジシアノエチレン)-6- (4-ジメチルアミノスチリル-2-メチル)-4H-ピラン)等のジシアノメチレンピラン、チオピラン、ポリメチン、ピリリウムおよびチアピリリウム塩、ペリフラテセンおよびインデノペリレンである。
【0096】
青色蛍光エミッターは、好ましくは、たとえば、9,10-ジ(2-ナフチルアントラセン)等のポリ芳香族化合物および他のアントラセン誘導体、テトラセン誘導体、キサンテン、たとえば、2,5,8,11-テトラ-t-ブチルペリレン等のペリレン、フェニレン、たとえば、4,4’-ビス(9-エチル-3-カルバゾビニレン)-1,1’-ビフェニル、フルオレン、フルオランテン、アリールピレン(US 2006/0222886 A1)、アリールビニレン(US 5121029、US 5130603)、ビス(アジニル)イミン-ボロン化合物(US 2007/0092753 A1)、ビス(アジニル)メセン化合物およびカルボスチリル化合物である。
【0097】
さらに好ましい青色蛍光エミッターは、C.H. Chen et al.:「有機エレクトロルミネッセンス材料の最近の開発」、Macro-mol. Symp. 125, (1997) 1-48および「分子状有機エレクトロルミネッセンス材料および素子の最近の進展」Mat. Sci. and Eng. R, 39 (2002), 143-222に記載されている。
【0098】
さらに好ましい青色蛍光エミッターは、DE 102008035413に開示された炭化水素である。
【0099】
燐光エミッターとして機能することができる好ましい化合物は、以下の例により説明される。
【0100】
燐光エミッターの例は、WO00/70655、WO01/41512 WO02/02714、WO02/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614およびWO 05/033244に示される。一般的に、燐光OLEDのために先行技術にしたがって使用され、また、有機エレクトロルミネッセンス素子分野で当業者に知られるすべての燐光錯体が適切であり、当業者は、進歩性を要することなく、さらなる燐光錯体を使用することができる。
【0101】
燐光金属錯体は、好ましくは、Ir、Ru、Pd、Pt、OsもしくはReを含む。
【0102】
好ましいリガンドは、2-フェニルピリジン誘導体、7,8-ベンゾキノリン誘導体、2-(2-チエニル)ピリジン誘導体、2-(1-ナフチル)ピリジン誘導体、1-フェニルイソキノリン誘導体、3-フェニルイソキノリン誘導体もしくは2-フェニルキノリン誘導体である。これらすべての化合物は、たとえば、フッ素、シアノおよび/またはトリフルオロメチル青色置換基により置換されてよい。補助的リガンドは、好ましくは、アセチルアセトンもしくはピコリン酸である。
【0103】
特に、式EM-16の四座リガンドを有するPtもしくはPd錯体が適切である。
【0104】
【化16】
【0105】
式EM-16の化合物は、US 2007/0087219 A1に詳細に記載されており、ここで、開示目的のために、上記式中の置換基と添え字の説明のために、参照がこの明細書になされる。さらに、拡張環構造を有するPt-ポルフィリン錯体(US 2009/0061681 A1)およびIr錯体、たとえば、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィリン-Pt(II)、テトラフェニル-Pt(II)テトラベンゾポルフィリン(US 2009/0061681 A1)、シス-ビス(2-フェニルピリジナート-N,C2’)Pt(II)、シス-ビス(2-(2’-チエニル)ピリジナート-N,C3’)Pt(II)、シス-ビス(2-(2’-チエニル)キノリナート-N,C5’)Pt(II)、(2-(4,6-ジフルオロフェニル) ピリジナート-N,C2’)Pt(II)(アセチルアセトネート)もしくはトリス(2-フェニルピリジナート-N,C2’)Ir(III)(=Ir(ppy)3、緑色)、ビス(2-フェニルピリジナート-N,C2)Ir(III)(アセチルアセトネート)(=Ir(ppy)2 アセチルアセトネート、緑色、US 2001/0053462 A1、Baldo, Thompson et al. Nature 403, (2000), 750-753)、ビス(1-フェニルイソキノリナート-N,C2’)(2-フェニルピリジナート-N,C2’)イリジウム(III)、ビス(2-フェニルピリジナート-N,C2’)(1-フェニルイソキノリナート-N, C2’)イリジウム(III)、ビス(2-(2’-ベンゾチエニル) ピリジナート-N,C3’)イリジウム (III)(アセチルアセトネート)、ビス(2-(4’,6’-ジフルオロフェニル) ピリジナート-N, C2’)イリジウム(III)(ピコリナート)(FIrpic、青色)、ビス(2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナート-N,C2’)Ir(III)(テトラキス(1-ピラゾリル)ボレート)、トリス(2-(ビフェニル-3-イル)-4-tert-ブチルピリジン)イリジウム (III)、(ppz)Ir(5phdpym)(US 2009/0061681 A1)、(45ooppz)Ir(5phdpym)(US 2009/0061681 A1)、2-フェニルピリジン-Ir錯体の誘導体、たとえば、PQIr(=イリジウム-(III)ビス(2-フェニルキノリル-N,C2’)アセチルアセトネート)、トリス (2-フェニルイソキノリナート-N,C)Ir(III)(赤色)、ビス(2-(2’-ベンゾ[4,5-a]チエニル)ピリジナート-N,C3)Ir(アセチルアセトネート)([BtpIr(acac)]、赤色、Adachi et al. Appl. Phys. Lett. 78 (2001), 1622-1624)等である。
【0106】
同様に適切なものは、たとえば、Tb3+およびEu3+(J. Kido et al. Appl. Phys. Lett. 65 (1994), 2124, Kido et al. Chem. Lett. 657, 1990、US 2007/0252517 A1)もしくは、マレオニトリルジチオレートを有するPt(II)、Ir(I)、Rh(I)の燐光錯体(Johnson et al., JACS 105, 1983, 1795)、Re(I)トリカルボニル錯体(Wrighton, JACS 96, 1974, 998, inter alia)、シアノリガンドおよびビピリジルあるいはフェナントロリンリガンドを有するOs(II)錯体(Ma et al., Synth. Metals 94, 1998, 245)等の三価のランタノイド錯体である。
【0107】
三座リガンドを有するさらなる燐光エミッターは、US 6824895およびUS 10/729238に記載されている。赤色発光燐光錯体は、US 6835469およびUS 6830828に見出される。
【0108】
燐光ドーパントとして使用される、特に好ましい化合物は、特に、US 2001/0053462 A1およびInorg. Chem. 2001, 40(7), 1704-1711, JACS 2001, 123(18), 4304-4312に記載された式EM-17の化合物とその誘導体である。
【0109】
【化17】
【0110】
誘導体は、US 7378162 B2、US 6835469 B2およびJP 2003/253145 Aに記載されている。
【0111】
さらに、US 7238437 B2、US 2009/008607 A1およびEP1348711に記載された式EM-18~EM-21の化合物とその誘導体を、エミッターとして用いることができる。
【0112】
【化18】
【0113】
量子ドットが、同様にエミッターとして用いることができ、これらの材料は、WO2011/076314A1に詳細に開示されている。
【0114】
特に、発光化合物とともに、ホスト材料として用いられる化合物は、種々の物質の種からの材料を含む。
【0115】
ホスト材料は、一般的に、用いられるエミッター材料よりも大きいHOMOおよびLUMO間のバンドギャップを有する。さらに、好ましいホスト材料は、正孔もしくは電子輸送材料の何れかの特性を示す。さらに、ホスト材料は、電子および正孔輸送材料の両特性を有することができる。
【0116】
ホスト材料は、ある場合には、特に、ホスト材料が、OLEDにおいて燐光エミッターと組み合わせて用いられる場合には、マトリックス材料とも呼ばれる。
【0117】
特に、蛍光ドーパントとともに用いられる、好ましいホスト材料またはコホスト材料は、オリゴアリーレン(たとえば、EP 676461に記載されるとおりの2,2’,7,7’-テトラフェニルスピロビフルオレンもしくはジナフチルアントラセン)、特に、たとえば、アントラセン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン(DE10200900574.6、WO 2009/069566)、フェナントレン、テトラセン、コロネン、クリセン、フルオレン、スピロビフルオレン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、デカシクレン、ルブレン等の縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン(たとえば、DPVBi= 4,4’-ビス(2,2-ジフェニルエテニル)-1,1’-ビフェニルもしくはEP 676461にしたがうスピロ-DPVBi)、ポリポダル金属錯体(たとえば、WO 04/081017にしたがうもの)、特に、8-ヒドロキシキノリンの金属錯体、たとえば、AlQ(=アルミニウム(III)トリス(8-ヒドロキシキノリン))もしくはビス(2-メチル-8-キノリノラート)-4-(フェニルフェノリノラート) アルミニウムとイミダゾールキレートを有するもの(US 2007/0092753 A1)およびキノリン-金属錯体、アミノキノリン-金属錯体、ベンゾキノリン-金属錯体、正孔伝導化合物(たとえば、WO 2004/058911にしたがうもの)、電子伝導化合物、特に、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(たとえば、WO 2005/084081およびWO 2005/084082にしたがうもの)、アトロプ異性体(たとえば、WO 2006/048268にしたがうもの)、ボロン酸誘導体(たとえば、WO 2006/177052にしたがうもの)またはベンズアントラセン(たとえば、WO 2008/1452398にしたがうもの)の種から選択される。
【0118】
ホスト材料またはコホスト材料として機能することができる特に好ましい化合物は、アントラセン、ベンゾアントラセンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体の種から選ばれる。本発明の意味でのオリゴアリーレンは、少なくとも3個のアリールもしくはアリーレン基が互いに結合する化合物の意味で使用されることを意図している。
【0119】
好ましいホスト材料は、特に、式(H-1)の化合物から選ばれる。
【0120】
【化19】
【0121】
ここで、Ar、Ar、Arは、出現毎に同一であるか異なり、随意に置換されてよい5~30個の芳香族環原子を含むアリールもしくはヘテロアリール基であり、pは、1~5の範囲の整数であり、Ar、ArおよびAr中のΠ電子の合計は、p=1ならば少なくとも30であり、p=2ならば少なくとも36であり、p=3ならば少なくとも42である。
【0122】
式(H-1)の化合物において、基Arは、特に好ましくは、アントラセンであり、基ArおよびArは、9-および10-位で結合し、これらの基は、随意に置換されてよい。非常に特に好ましいものは、基Arおよび/またはArの少なくとも一つが、1-もしくは2-ナフチル、2-,3-もしくは9-フェナントレニルまたは2-,3-,4-,5-,6-もしくは7-ベンズアントラセニリルから選ばれる縮合アリール基である。アントラセン系化合物は、US 2007/0092753 A1およびUS 2007/0252517 A1に記載されており、たとえば、2-(4-メチルフェニル)-9,10-ジ-(2-ナフチル)アントラセン、9-(2-ナフチル)-10-(1,1’-ビフェニル)アントラセンおよび9,10-ビス[4-(2,2-ジフェニルエテニル)フェニル]アントラセン、9,10-ジフェニルアントラセン、9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセンおよび1,4-ビス(9’-エチニルアントラセニル)ベンゼンである。好ましいものは、2個のアントラセン単位を含む化合物(US 2008/0193796 A1)、たとえば、10,10’-ビス[1,1’,4’,1’’]テルフェニル-2-イル-9,9’-ビスアントラセニルである。
【0123】
さらに好ましい化合物は、アリールアミン、スチリルアミン、フルオレセイン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、シクロペンタジエン、テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾオキサゾリン、オキサゾール、ピリジン、ピラジン、イミン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズイミダゾール(US 2007/0092753 A1)、たとえば、2,2’,2’’-(1,3,5-フェニレン)トリス[1-フェニル-1H-ベンズイミダゾール]、アルダジン、スチルベン、スチリルアリーレン誘導体、たとえば、9,10-ビス[4-(2,2-ジフェニルエテニル)フェニル] アントラセンおよびジスチリルアリーレン誘導体(US 5121029)、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノカルバゾール、ピラン、チオピラン、ジケトピロロピロール、ポリメチン、桂皮酸エステルおよび蛍光染料である。
【0124】
特に好ましいものは、アリールアミンおよびスチリルアミン誘導体、たとえば、TNB (=4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-(2-ナフチル)アミノ]ビフェニル)である。LiQもしくはAlQ等の金属オキシノイド錯体は、コホストとして使用することができる。
【0125】
マトリックスとしてオリゴアリーレンを有する好ましい化合物は、US 2003/0027016 A1、US 7326371 B2、US 2006/043858 A、WO 2007/114358、WO2008/145239、JP 3148176 B2、EP 1009044、US 2004/018383、WO2005/061656 A1、EP 0681019B1、WO 2004/013073A1、US 5077142、WO 2007/065678およびDE 102009005746に開示されており、ここで、特に好ましい化合物は、式H-2~H-8により示される。
【0126】
【化20】
【0127】
さらに、ホストまたはマトリックスとして用いることのできる化合物は、燐光エミッターとともに用いられる材料を含む。
【0128】
これらの化合物は、ポリマー中で構造要素として用いることもでき、CBP(N.N-ビスカルバゾリルビフェニル)、カルバゾール誘導体(たとえば、WO 2005/039246、US2005/0069729、JP 2004/288381、EP1205527もしくはWO 2008/086851にしたがうもの)、アザカルバゾール(たとえば、EP1617710、EP1617711、EP1731584、JP 2005/347160にしたがうもの)、ケトン(たとえば、WO2004/093207にしたがうもの、もしくはDE102008033943にしたがうもの)、ホスフィンオキシド、スルホキシドおよびスルホン(たとえば、WO 2005/003253にしたがうもの)、オリゴフェニレン、芳香族アミン(たとえば、US2005/0069729にしたがうもの)、バイポーラーマトリックス材料(たとえば、WO 2007/137725にしたがうもの)、シラン(たとえば、WO2005/111172にしたがうもの)、9,9-ジアリールフルオレン誘導体(たとえば、DE 102008017591にしたがうもの)、アザボロールもしくはボロン酸エステル(たとえば、WO 2006/117052にしたがうもの)、トリアジン誘導体(たとえば、DE 102008036982にしたがうもの)、インドロカルバゾール誘導体(たとえば、WO2007/063754もしくはWO2008/056746にしたがうもの)、インデノカルバゾール誘導体(たとえば、DE 102009023155およびDE 102009031021にしたがうもの)、ジアザホスホール誘導体(たとえば、DE 102009022858にしたがうもの)、トリアゾール誘導体、オキサゾールおよびオキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、フェニレンジアミン誘導体、芳香族三級アミン、スチリルアミン、アミノ置換カルコン誘導体、インドール、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族ジメチリデン化合物、カルボジイミド誘導体、たとえば、トリアリールアミノフェノールリガンドを含んでもよいAlQ(US 2007/0134514 A1)等の8-ヒドリシキノリン誘導体の金属錯体、金属錯体/ポリシラン化合物およびチオフェン、ベンゾチオフェンおよびジベンゾチオフェン誘導体を含む。
【0129】
好ましいカルバゾール誘導体の例は、mCP(=1,3-N,N-ジ-カルバゾリルベンゼン(=9,9’-(1,3-フェニレン)ビス-9H-カルバゾール))(式H-9)、CDBP(=9,9’-(2,2’-ジメチル[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジイル)ビス-9H-カルバゾール)、1,3-ビス(N,N’-ジカルバゾル)ベンゼン(=1,3-ビス(カルバゾル-9-イル)ベンゼン)、PVK(ポリビニルカルバゾール)、3,5-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニルおよびCMTTP(式H-10)である。特に参照される化合物は、US2007/0128467 A1およびUS 2005/0249976 A1に開示されている(式H-11およびH-13))。
【0130】
【化21】
【0131】
好ましいテトラアリール-Si化合物は、たとえば、US 2004/0209115、US 2004/0209116、US 2007/0087219 A1とH. Gilman, E.A. Zuech, Chemistry & Industry (London, United Kingdom), 1960, 120に開示されている。
【0132】
特に好ましいテトラアリール-Si化合物は、式H-14~H-20により説明される。
【0133】
【化22】
【0134】
燐光ドーパントのためのマトリックスの調製のための、群4からの特に好ましい化合物は、特に、DE102009022858、DE 102009023155、EP 652273 B1、WO 2007/063754およびWO 2008/056746に開示され、特に好ましい化合物は、式H-21~H-24により説明される。
【0135】
【化23】
【0136】
本発明にしたがって用いることができ、ホスト材料として機能することができる機能性化合物に関して、特別好ましいのは、少なくとも一つの窒素原子を含む物質である。これらは、好ましくは、芳香族アミン、トリアジン誘導体およびカルバゾール誘導体を含む。
このように、カルバゾール誘導体は、特に、驚くべき高い効率を示す。トリアジン誘導体は、電子素子の予期せざる長い寿命をもたらす。
【0137】
複数の相異なるマトリックス材料を混合物として、特に、少なくとも一つの電子伝導マトリックス材料と少なくとも一つの正孔伝導マトリックス材料とを用いることも好ましい可能性がある。同様に好ましいものは、たとえば、WO2010/108579に記載されたような、電荷輸送マトリックス材料と、あるとしても顕著な程度には電荷輸送には関与しない、電気的に不活性なマトリックス材料との混合物の使用である。
【0138】
一重項状態から三重項状態への遷移を改善し、エミッター特性を有する機能性化合物のサポートに用いられ、これら化合物の燐光発光特性を改善する化合物を用いることもさらに可能である。この目的のために適するものは、特に、カルバゾールおよび架橋カルバゾール2量体単位であり、たとえば、WO 2004/070772 A2およびWO 2004/113468 A1に記載されている。また、この目的のために適するものは、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド、スルホン、シラン誘導体および類似化合物であり、たとえば、WO 2005/040302 A1に記載されている。
【0139】
さらに、調合物は、機能性材料として、ワイドバンドギャップ材料を含んでよい。ワイドバンドギャップ材料は、US 7,294,849の開示内容の意味での材料の意味で使用される。
これらの系は、エレクトロルミネッセンス素子で特に有利な性能データを呈する。
【0140】
ワイドバンドギャップ材料として用いられる化合物は、2.5eV以上、好ましくは、3.0eV以上、特に好ましくは、3.5eV以上のバンドギャップを好ましくは有することができる。バンドギャップは、特に、最高非占軌道(HOMO)と最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位により計算することができる。
【0141】
さらに、調合物は、機能性材料として正孔ブロック材料(HBM)を含んでよい。正孔ブロック材料は、特に、この材料が、発光層もしくは正孔伝導層に隣接する層の形態で配置される場合には、多層構造において正孔(正電荷)の伝達を妨げるか、最小化する材料を示す。一般的に、正孔ブロック材料は、隣接層中の正孔輸送材料より低いHOMO準位を有する。正孔ブロック材料は、OLEDにおいて、発光層と電子輸送層との間に配置されることが多い。
【0142】
原則として、任意の公知の正孔ブロック材料を用いることができる。本願の他の場所に記載される他の正孔ブロック材料に加えて、有利な正孔ブロック材料は、たとえば、ビス (2-メチル-8-キノリノラート)(4-フェニルフェノラート)アルミニウム(III)(BAlQ)等の金属錯体である(US2003/0068528)。ファク-トリス(1-フェニルピラゾラート-N,C2)イリジウム(III)(Ir(ppz))も、この目的のために同様に使用される(US2003/0175553 A1)。たとえば、BCP等のフェナントロリン誘導体、または、たとえば、TMPP等のフタルイミドも同様にいることができる。
【0143】
さらに、有利な正孔ブロック材料は、WO00/70655 A2、WO01/41512およびWO01/93642 A1に記載されている。
【0144】
さらに、調合物は、機能性材料として電子ブロック材料(EBM)を含んでよい。電子ブロック材料は、特に、この材料が、発光層もしくは電子伝導層に隣接する層の形態で配置される場合には、多層構造において電子の伝達を妨げるか、最小化する材料を示す。一般的に、電子ブロック材料は、隣接層中の電子輸送材料より高いLUMO準位を有する。
【0145】
原則として、任意の公知の電子ブロック材料を用いることができる。本願において他の場所で説明されるその他電子ブロック材料に加えて、有利な電子ブロック材料は、たとえば、Ir(ppz)等の金属錯体である(US2003-0175553)。
【0146】
電子ブロック材料は、好ましくは、アミン、トリアリールアミンおよびその誘導体から選択することができる。
【0147】
さらに、調合物中で有機機能性材料として用いることができる機能性化合物は、それらが低分子量化合物である場合には、≦3000g/mol、特に好ましくは、≦2000g/mol、特別に好ましくは、≦1000g/molの分子量を有する。
【0148】
特に関心のあるものは、さらに、高いガラス転移温度により特徴付けられる機能性化合物である。これに関連して、調合物中で有機機能性材料として用いることができる特に好ましい機能性化合物は、DIN51005にしたがって測定された≧70℃の、好ましくは、≧100℃の、特に好ましくは、≧125℃の、特別に好ましくは、≧150℃のガラス転移温度を有するものである。
【0149】
調合物は、有機機能性材料としてポリマーを含んでもよい。有機機能性材料として上記記載される化合物は、比較的低分子量を有することが多く、ポリマーと混合されることもできる。同様に、これらの化合物をポリマー中に共有結合的に組み込むこともできる。これは、特に、臭素、沃素、塩素、ボロン酸もしくはボロン酸エステル等の反応性脱離基またはオレフィンもしくはオキセタン等の反応性重合可能基により置換された化合物により可能である。これらは、対応するオリゴマー、デンドリマーまたはポリマーの製造のためのモノマーとして使用することができる。ここで、オリゴマー化もしくはポリマー化は、好ましくは、ハロゲン官能基もしくはボロン酸官能基または重合可能基を介してなされる。さらに、この種の基を介してポリマーを架橋することもできる。本発明による化合物とポリマーを、架橋もしくは非架橋層の形態で用いることができる。
【0150】
有機機能性材料として用いることができるポリマーは、とりわけ、WO 02/077060 A1に、WO 2005/014689 A2におよびWO2011/076314A1に広範に挙げられ、開示された上記記載された化合物の文脈で説明された単位もしくは構造要素を含む。これらは、参照により、本願に組み込まれる。機能性材料は、たとえば以下のクラスから由来することができる:
群1:正孔注入および/または正孔輸送特性を生成することができる構造要素;
群2:電子注入および/または電子輸送特性を生成することができる構造要素;
群3:群1および群2に関して記載される特性を組み合わせた構造要素;
群4:発光特性、特に、燐光発光基を有する構造要素;
群5:いわゆる一重項状態から三重項状態への遷移を改善する構造要素;
群6:得られたポリマーのモルホロジーまた発光色に作用する構造要素;
群7:典型的には骨組として使用される構造要素。
【0151】
ここで、構造要素は、種々の機能を含んでもよく、明確な指定は有利ではない。たとえば、群1の構造要素は、同様に骨組として機能してよい。
【0152】
群1からの構造要素を含む、有機機能性材料として用いられる正孔輸送または正孔注入特性を有するポリマーは、好ましくは、上記記載の正孔輸送または正孔注入材料に対応する単位を含んでもよい。
【0153】
群1のさらに好ましい構造要素は、たとえば、トリアリールアミン、ベンジジン、テトラアリール-パラ-フェニレンジアミン、カルバゾール、アズレン、チオフェン、ピロールおよびフラン誘導体と、高HOMOを有するさらなるO-、S-もしくはN-含有へテロ環である。これらのアリールアミンおよびヘテロ環は、好ましくは、-5.8eV(真空レベルに対して)より大な、特に好ましくは、-5.5eVより大なHOMOを有する。
【0154】
好ましいのは、特に、以下の式HTP-1の反復単位の少なくとも一つを含む正孔輸送または正孔注入特性を有するポリマーであり:
【0155】
【化24】
【0156】
式中、記号は、以下の意味を有する:
Arは、各場合に、相異なる反復単位に対して、同一であるか異なり、単結合または随意に置換されてよいモノ環式あるいはポリ環式のアリール基であり;
Arは、各場合に、相異なる反復単位に対して、同一であるか異なり、随意に置換されてよいモノ環式あるいはポリ環式のアリール基であり;
Arは、各場合に、相異なる反復単位に対して、同一であるか異なり、随意に置換されてよいモノ環式あるいはポリ環式のアリール基であり;
mは、1,2または3である。
【0157】
特に好ましいのは、式HTP-1A~HTP-1Cの単位より成る群から選択される式HTP-1の反復単位であり:
【0158】
【化25】
【0159】
式中、記号は、以下の意味を有する:
は、出現毎に同一であるか異なり、H、置換もしくは非置換芳香族もしくは複素環式芳香族基、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アラルキル、アリールオキシ、アリールチオ、アルコキシカルボニル、シリルもしくはカルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシ基であり;
rは、0、1、2、3または4であり、および
sは、0、1、2、3、4または5である。
【0160】
好ましいのは、特に、少なくとも一つの以下の式HTP-2の反復単位を含む正孔輸送または正孔注入特性を有するポリマーであり:
【0161】
【化26】
【0162】
式中、記号は、以下の意味を有する:
およびTは、チオフェン、セレノフェン、チエノ[2,3-b]チオフェン、チエノ[3, 2-b]チオフェン、ジチエノチオフェン、ピロールおよびアニリンから独立して選択され、ここで、これらの基は1以上の基Rにより置換されてよく;
は、ハロゲン、-CN、-NC、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR00、-C(=O)X、-C(=O)R、NH、-NR00、-SH、-SR、-SOH、-SO、-OH、-NO、-CF、-SF、随意に置換されてよく、1以上のヘテロ原子を随意に含んでよい1~40個の炭素原子を有する随意に置換されたシリル、カルビルもしくはヒドロカルビル基から出現毎に独立して選ばれ;
およびR00は、夫々独立して、H、随意に置換されてよく、1以上のヘテロ原子を随意に含んでよい1~40個の炭素原子を有する随意に置換されたカルビルもしくはヒドロカルビル基である。
【0163】
ArおよびArは、互いに独立して、随意に置換されてよく、隣接するチオフェンもしくはセレノフェン基の一つもしくは両方の2,3-位で随意に結合してよいモノ環式あるいはポリ環式のアリールもしくはヘテロアリール基であり;
cおよびeは、互いに独立して、0、1、2、3または4であり、ここで、1<c+e≦6であり;
dおよびfは、互いに独立して、0、1、2、3または4である。
【0164】
正孔輸送または正孔注入特性を有するポリマーの好ましい例は、特に、WO 2007/131582 A1およびWO 2008/009343 A1に記載されている。
【0165】
群2からの構造要素を含む有機機能性材料として用いられる電子注入および/または電子輸送特性を有するポリマーは、好ましくは、上記電子注入および/または電子輸送材料に対応する単位を含んでよい。
【0166】
電子注入および/または電子輸送特性を有するさらに好ましい群2の構造要素は、たとえば、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリンおよびフェナジン基のみならずトリアリールボラン基または低LUMO準位を有するさらなるO-、S-もしくはN-含有へテロ環である。これらの群2の構造要素は、好ましくは、-2.7eV(真空レベルに対して)未満の、特に好ましくは、-2.8eV未満のLUMOを生じる。
【0167】
有機機能性材料は、好ましくは、群3からの構造要素を含むポリマーであることができ、ここで、正孔および電子移動性を改善する構造要素(すなわち、群1および2からの構造要素)は、互いに直接結合している。ここで、これら構造要素の幾つかは、エミッターとして役立つことができ、発光色を、たとえば、緑色、赤色もしくは黄色にシフトすることができる。それゆえ、それらの使用は、たとえば、元来が青色発光するポリマーによる他の発光色もしくは広帯域発光の生成のために有利である。
【0168】
群4からの構造要素を含む有機機能性材料として用いられる発光特性を有するポリマーは、好ましくは、上記エミッター材料に対応する単位を含んでよい。ここで、好ましいものは、燐光発光基、特に、8~10属の元素(Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt)を含む対応する反復単位を含む上記発光金属錯体である。
【0169】
いわゆる一重項状態から三重項状態への遷移を改善する群5の単位を含む有機機能性材料として用いられるポリマーは、好ましくは、燐光化合物のサポートに用いられることができ、好ましくは、上記群4の構造要素を含むポリマーである。ここで、ポリマー状三重項マトリックスを使用することができる。
【0170】
この目的のために適するものは、特に、カルバゾールおよび連結カルバゾール2量体単位であり、たとえば、DE 10304819 A1およびDE 10328627 A1に記載されている。また、この目的のために適するものは、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド、スルホン、シラン誘導体および類似化合物であり、たとえば、DE 10349033 A1に記載されている。さらに、好ましい構造単位は、燐光化合物と一緒に用いられるマトリックス材料と関連して上記記載された化合物に由来することができる。
【0171】
さらなる有機機能性材料は、好ましくは、ポリマーのモルホロジーおよび/または発光色に作用する群6の単位を含むポリマーである。上記言及されたポリマーに加えて、これらは、上記基に数えられない、少なくとも1つのさらなる芳香族もしくは別の共役構造を有するものである。したがって、これらの基は、電荷担持移動性、非有機金属錯体、または一重項-三重項遷移に対して効果が少ししかないか、全くない。
【0172】
ポリマーは、スチレン、ベンゾシクロブテン、エポキシドおよびオキセタン部分等の架橋可能基をも含む。
【0173】
この型の構造単位は、得られたポリマーのモルホロジーおよび/または発光色に作用することができる。したがって、構造単位に応じて、これらのポリマーは、エミッターとして使用することもできる。
【0174】
したがって、蛍光OLEDの場合に、好ましいものは、6~40個のC原子を有する芳香族構造要素またはトラン、スチルベンもしくはビスチリルアリーレン誘導体であり、夫々は1以上の基により置換されていてもよい。ここで特に好ましいものは、1,4-フェニレン、1,4-ナフチレン、1,4-もしくは9,10-アントリレン、1,6-、2,7-もしくは4,9-ピレニレン、3.9-もしくは3,10-ペリレニレン、4,4’-ビフェニリレン、4,4”-テルフェニリレン、4,4’-ビ-1,1’-ナフチリレン、4,4’-トラニレン、4,4’-スチルベニレン、4,4”-ビススチリルアリーレン誘導体である。
【0175】
有機機能性材料として用いられるポリマーは、好ましくは、群7の単位を含み、好ましくは、骨格として使用されることが多い6~40個のC原子を有する芳香族構造を含む。
【0176】
これらは、特に、4,5-ジヒドロピレン誘導体、4,5,9,10-テトラヒドロピレン誘導体、たとえば、US5962631、WO2006/052457 A2およびWO2006/118345 A1に開示されたフルオレン誘導体、たとえば、WO2003/020790 A1に開示された9,9’-スピロビフルオレン誘導体、たとえば、WO2005/104264 A1に開示されたフェナントレン誘導体、たとえばWO 2005/014689 A2に開示された9,10-ジヒドロフェナントレン誘導体、たとえば、WO 2004/041901 A1およびWO 2004/113412 A2に開示された5,7-ジヒドロジベンゾオキセピン誘導体およびcis-およびtrns-インデノフルオレン誘導体、たとえば、WO2006/063852 A1に開示されたビナフチレン誘導体、および、たとえば、WO 2005/056633 A1、EP 1344788 A1、WO 2007/043495 A1、WO2005/033174 A1、WO 2003/099901 A1およびDE 102006003710に開示されたさらなる単位である。
【0177】
特に好ましいのは、US5962631、WO2006/052457 A2およびWO2006/118345 A1に開示されたフルオレン誘導体、たとえば、WO2003/020790 A1に開示されたスピロビフルオレン誘導体、たとえば、WO2005/056633 A1、EP1344788 A1およびWO2007/043495 A1に開示されたベンゾフルオレン、ジベンゾフルオレン、ベンゾチオフェンおよびジベンゾフルオレン基とそれらの誘導体から選ばれる群7の構造単位である。
【0178】
群7の特別に好ましい構造要素は、一般式PB-1により表され:
【0179】
【化27】
【0180】
式中、記号と添え字は、以下の意味を有する:
A、BおよびB'は、夫々、相異なる反復単位に対して、同一であるか異なり、-CR-、-NR-、-PR-、-O-、-S-、-SO-、-SO-、-CO-、-CS-、-CSe-、-P(=O)R-、-P(=S)R-および-SiR-から好ましくは選ばれる2価基であり;
およびRは、出現毎に同一であるか異なり、H、ハロゲン、-CN、-NC、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR00、-C(=O)X、-C(=O)R、-NH、-NR00、-SH、-SR、-SOH、-SO、-OH、-NO、-CF、-SF、随意に置換されてよく、1以上のヘテロ原子を含んでよい1~40個の炭素原子を有する随意に置換されたシリル、カルビルもしくはヒドロカビル基であり;ここで、基RおよびRは、それらが結合するフルオレン基と共にスピロ基を随意に形成してよく;
Xは、ハロゲンであり;
およびR00は、夫々、独立して、H、随意に置換されてよく、1以上のヘテロ原子を含んでよい1~40個の炭素原子を有する随意に置換されたカルビルもしくはヒドロカビル基であり;
gは、各場合に、独立して、0または1であり、hは、各場合に、独立して、0または1であり、ここで、副単位中のgとhの合計は、好ましくは、1であり;
mは、1以上の整数であり;
ArおよびArは、互いに独立して、随意に置換されてよく、インデノフルオレン基の7,8-位もしくは8,9-位で随意に結合してよいモノ環式あるいはポリ環式のアリールもしくはヘテロアリール基であり;
aおよびbは、互いに独立して、0または1である。
【0181】
およびRは、これらの基が結合するフルオレン基と共にスピロ基を形成する場合には、この基は、好ましくは、スピロビフルオレンである。
【0182】
特に好ましいのは、式PB-1A~PB-1Eの単位より成る群から選ばれる式PB-1の反復単位であり:
【0183】
【化28-1】
【0184】
【化28-2】
【0185】
式中、Rは、式PB-1に対して上記記載される意味を有し、rは、0、1、2、3または4であり、およびRは、基Rと同じ意味を有する。
【0186】
は、好ましくは、-F、-Cl、-Br、-I、-CN、-NO、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR00、-C(=O)X、-C(=O)R、-NR00、随意に置換されてよいシリル-または4~40個の、好ましくは、6~20個のC原子を有するアリール-もしくはヘテロアリール-基または1~20個の、好ましくは、1~12個のC原子を有する直鎖、分岐もしくは環式アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシもしくはアルコキシカルボニルオキシ基であり、ここで、1以上の水素原子は、随意にFもしくはClで置換されてよく、および基R、R00およびXは、式PB-1に対して上記記載される意味を有する。
【0187】
特に好ましいのは、式PB-1F~PB-1Iの単位より成る群から選ばれる、式PB-1の反復単位であり:
【0188】
【化29】
【0189】
式中、記号は、以下の意味を有する:
Lは、H、ハロゲンまたは随意にフッ素化された1~12個のC原子を有する直鎖もしくは分岐アルキルもしくはアルコキシ基であり、好ましくは、H、F、メチル、i-プロピル、t-ブチル、n-ペントキシまたはトリフルオロメチルであり、および、
L'は、は随意にフッ素化された1~12個のC原子を有する直鎖もしくは分岐アルキルもしくはアルコキシ基であり、好ましくは、n-オクチルまたはn-オクチルオキシである。
【0190】
本発明を実施するためには、好ましいのは、1以上の上記記載の群1乃至7の構造要素を含むポリマーである。さらに、ポリマーは、好ましくは、上記1つの群からの1以上の構造要素を含むこと、すなわち、1つの群から選ばれる構造要素の混合物を含むことが規定されてよい。
【0191】
特に好ましいのは、発光特性を有する、好ましくは、少なくとも一つの燐光基を有する少なくとも一つの構造要素(群4)に加えて、追加的に少なくとも一つのさらなる上記群1~3、5または6の構造要素を含み、これらは、好ましくは、群1~3から選ばれる。
【0192】
ポリマー中に存在するならば、種々の基のクラスの割合は、広い範囲であることができ、これらは、当業者に知られている。各場合に上記群1~7のからの構造要素から選ばれる、ポリマー中に存在する一つのクラスの割合が、好ましくは、各場合に≧5モル%、特に好ましくは、各場合に≧10モル%である場合に、驚くべき優位性を実現することができる。
【0193】
白色発光コポリマーの調製は、特に、DE10343606 A1に詳細に記載されている。
【0194】
溶解性を改善するために、ポリマーは、対応する基を含んでよい。好ましくは、ポリマーは、置換基を含み、その結果、平均して少なくとも2個の非芳香族炭素原子、特に好ましくは、少なくとも4個の、特別に好ましくは、少なくとも8個の非芳香族炭素原子が、反復単位毎に存在し、ここで、平均は数平均である。ここで、個々の炭素原子は、たとえば、OまたはSにより置き代えられてよい。しかしながら、ある割合の、随意に全ての反復単位が、非芳香族炭素原子を含む置換基を含まないことも可能である。ここで、長鎖置換基は、有機機能性材料を使用して得ることができる層に弊害を有し得ることから、短鎖置換基が好ましい。置換基は、好ましくは、多くとも12個の炭素原子、好ましくは、多くとも8個の炭素原子、特に好ましくは、多くとも6個の炭素原子を、直鎖中に含む。
【0195】
本発明にしたがって、有機機能性材料として用いられるポリマーは、ランダム、交互もしくはレジオ規則性コポリマー、ブロックコポリマーまたはこれらのコポリマーの組み合わせであり得る。
【0196】
さらなる1態様では、有機機能性材料として用いられるポリマーは、側鎖を有する非共役ポリマーであることができ、この態様は、ポリマー系燐光OLEDに対して、特に、重要である。一般的に、燐光ポリマーは、ビニル化合物のフリーラジカル共重合により得ることができ、ここで、これらのビニル化合物は、特に、US 7250226 B2に記載されたとおり、燐光エミッターを有する少なくとも一つの単位および/または少なくとも一つの電荷輸送単位を含む。さらなる燐光ポリマーは、特に、JP2007/211243 A2、JP2007/197574 A2、US7250226 B2およびJP2007/059939 Aに開示されている。
【0197】
さらに好ましい1態様では、非共役ポリマーは、スペーサー単位により互いに連結された骨格単位を含む。骨格単位系非共役ポリマーを基礎とするこのような三重項エミッターの例は、たとえば、DE 102009023154に開示されている。
【0198】
さらに好ましい1態様では、非共役ポリマーは、蛍光エミッターとして設計することができる。側鎖を有する非共役ポリマーを基礎とする好ましい蛍光エミッターは、側鎖に、アントラセンもしくはベンズアントラセンまたはこれらの基の誘導体を含み、これらのポリマーは、たとえば、JP2005/108556、JP2005/285661およびJP2003/338375に開示されている。
【0199】
これらのポリマーは、電子もしくは正孔輸送材料としてしばしば用いることができ、これらのポリマーは、好ましくは、非共役ポリマーとして設計される。
【0200】
さらに、調合物中で有機機能性材料として用いられる機能性化合物は、ポリマー化合物の場合には、好ましくは、≧10,000g/mol、特に好ましくは、≧20,000g/mol、特別に好ましくは、≧50,000g/molの分子量Mを有する。
【0201】
ここで、ポリマーの分子量Mは、10,000~2,000,000g/molの範囲の、特に好ましくは、20,000~1,000,000g/molの範囲の、非常に特に好ましくは、50,000~300,000g g/molの範囲の分子量を有する。分子量Mは、内部ポリスチレン標準に対するGPC(=ゲル透過クロマトグラフィ)により測定される。
【0202】
機能性化合物の説明に対して引用された上記公開文献は、開示目的のために参照として本願に組み込まれる。
【0203】
本発明による調合物は、電子素子の各機能層の製造のために必要である全ての有機機能性材料を含んでよい。たとえば、正孔輸送、正孔注入、電子輸送もしくは電子注入層が、一つの機能性化合物から構築される場合には、調合物は、有機機能性材料として正にこの化合物を含む。本願の他の場所でより詳細に説明されるとおり、発光層が、たとえば、マトリックスもしくはホスト材料と組み合わせてエミッターを含む場合には、本願の別の場所で詳細に説明されてとおりに、調合物は、有機機能性材料としてエミッターおよびマトリックスもしくはホストの混合物を正に含む。
【0204】
前記成分に加えて、本発明による調合物は、さらなる添加物と加工補助剤を含んでもよい。これらは、特に、表面活性物質(界面活性剤)、潤滑剤とグリース、粘度を変える添加物、伝導性を増加する添加剤、分散剤、疎水化剤、接着促進剤、流動性改善剤、泡止め剤、脱気剤、反応性もしくは非反応性であってよい希釈剤、充填剤、補助剤、加工助剤、染料、顔料、安定化剤、感光剤、ナノ粒子および抑制剤を含む。
【0205】
本発明は、さらに、エステル溶媒、随意のさらなる溶媒と少なくとも一つの有機機能性材料とを混合することによる、電子素子の機能層の製造のために用いることができる本発明による調合物の製造方法に関する。
【0206】
本発明にしたがう調合物は、有機機能性材料が、OLED等の電子もしくは光電子素子の製造のために必要とされるような層中に存在する層もしくは多層構造の製造のために用いることができる。
【0207】
本発明の調合物は、好ましくは、基板上の機能性層の形成または基板へ適用された層の1つの形成のために用いることができる。
【0208】
本発明は、同様に、本発明による調合物が基板に適用され、引き続き乾燥される電子素子の製造方法にも関する。
【0209】
機能性層を製造するための調合物は、基板上に、または基板上に適用された層の1つに、たとえば、スロットダイコーティング、カーテンコーティング、フラッドコーティング、ディプコーティング、スプレーーコティング、スピンコーティング、スクリーン印刷、レリーフ印刷、グラビア印刷、ロータリー印刷、ローラーコーティング、フレキソグラフ印刷、オフセット印刷もしくはノズル印刷、好ましくは、インンクジェット印刷により製造することができる。
【0210】
基板上に、または既に基板上に適用された機能性層への本発明による調合物の適用後、上記連続相から溶媒を除去するために、乾燥工程を実施することができる。乾燥は、好ましくは、泡形成を回避し、均一な被覆を得るために、比較的低温度で比較的長期間に亘って実施することができる。乾燥は、好ましくは、10-6mbar~1barの範囲、特に好ましくは、10-6mbar~100mbarの範囲、特別好ましくは、10-6mbar~10mbarの範囲で実行することができる。乾燥期間は、実現されるべき乾燥度に依存し、たとえば、少量の水等の少量の残留溶媒もしくは他の揮発性成分を比較的高温度で随意に除去することができ、焼成と組み合わせて、好ましくは、実施することができる。
【0211】
乾燥工程は、好ましくは、80~300℃、特に好ましくは、150~250℃、特別に好ましくは、180~200℃の範囲の高温度範囲で実行施ることができる徐冷工程に続く。乾燥および徐冷工程は、組み合せることができ、また、単一工程としてなされることができる。
【0212】
プロセスは、異なるか同一の機能層の形成と共に、何度も繰り返されることがさらに規定されてよい。ここで、形成された機能層の架橋を、その分解を妨げるために、たとえば、EP0637899A1に開示されたとおりに、行うことができる。
【0213】
本発明は、さらに電子素子の製造方法により得ることのできる電子素子にも関する。
【0214】
本発明は、さらに、電子素子の製造のための上記プロセスにより得ることができる少なくとも一つの機能性材料を有する少なくとも一つの機能層を有する電子素子にも関する。
【0215】
電子素子は、2個の電極とその間の少なくとも一つの機能層を含む素子の意味で使用され、この機能層は、少なくとも一つの有機もしくは有機金属化合物を含む。
【0216】
有機電子素子は、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)、ポリマーエレクトロルミネッセンス素子(PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機ソーラーセル(O-SC)、有機光検査素子、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、有機電気センサー、発光電子化学セル(LEC)または有機レーザーダイオード(O-laser)である。
【0217】
活性成分は、一般的にアノードとカソードとの間に導入される有機もしくは無機材料であり、ここで、これらの活性成分は、電子素子の特性、たとえば、性能および/またはその寿命を発揮し、維持しおよび/または改善するものであり、たとえば、電荷注入、電荷輸送もしくは電荷ブロック材料であるが、特に、発光材料とマトリックス材料である。したがって、電子素子の機能層の製造のために用いることができる有機機能性材料は、好ましくは、電子素子の活性成分を含む。
【0218】
有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)は、本発明の好ましい1態様である。
OLEDは、カソード、アノードと少なくとも一つの発光層を含む。
【0219】
マトリックスと一緒に2以上の三重項エミッターの混合物を用いることがさらに好ましい。ここで、より短波長の発光スペクトルを有する三重項エミッターは、より長波長の発光スペクトルを有する三重項エミッターのためのコマトリックスとして機能する。
【0220】
この場合に、発光層中のマトリックス材料の割合は、蛍光発光層に対して、好ましくは、50~99.9体積%の間、特に好ましくは、80~99.5体積%の間、特別好ましくは、92~99.5体積%の間であり、燐光発光層に対して、70~97体積%の間である。
【0221】
対応して、ドーパントの割合は、蛍光発光層に対して、好ましくは、0.1~50体積%の間、特に好ましくは、0.5~20体積%の間、特別好ましくは、0.5~8体積%の間であり、燐光発光層に対して、3~15体積%の間である。
【0222】
有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層は、また、複数のマトリックス材料(混合マトリックス系)および/または複数のドーパントを含んでもよい。この場合にも、ドーパントは、一般的に系中でのその割合がより少ない材料であり、マトリックス材料は、系中のその割合がより多い材料である。しかしながら、個々の場合では、系中の個々のマトリックス材料の割合は、個々のドーパントの割合より少なくてよい。
【0223】
混合マトリックス系は、好ましくは、2または3種の異なるマトリックス材料、特に好ましくは、2種の異なるマトリックス材料を含む。好ましくは、ここで、2種の材料の1つは、正孔を輸送する特性を有する材料もしくはワイドバンドギャップ材料であり、その他の材料は、電子を輸送する特性を有する材料である。しかしながら、混合マトリックス成分の所望の電子を輸送するおよび正孔を輸送する特性は、単一の混合マトリックス成分中で、主としてまたは完全に結合されてもよく、ここで、さらなる混合マトリックス成分が、他の機能を果たす。ここで、2種の異なるマトリックス材料は、1:50~1:1、好ましくは、1:20~1:1、特に好ましくは、1:10~1:1、特別好ましくは、1:4~1:1の比で存在してよい。混合マトリックス系は、好ましくは、燐光有機エレクトロルミネッセンス素子中で用いられる。混合マトリックス系に関するさらなる詳細は、たとえば、WO 2010/108579に見出すことができる。
【0224】
これらの層とは別に、有機エレクトロルミネッセンス素子は、さらなる層、たとえば、各場合に、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電子ブロック層および/または電荷生成層(IDMC 2003, Taiwan; Session 21 OLED (5), T.Matsumoto, T. Nakada, J.Endo, K. Mori, N. Kawamura, A. Yokoi, J.Kido, 電荷生成層を有するマルチフォトン有機EL素子)および/または有機もしくは無機p/n接合をも含んでもよい。ここで、1以上の正孔輸送層が、たとえば、MoOもしくはWO等の金属酸化物で、または(過)フッ素化電子不足芳香族化合物でp-ドープされることおよび/または1以上の電子輸送層が、n-ドープされることも可能である。同様に、たとえば、励起子ブロック機能を有するおよび/またはエレクトロルミネッセンス素子の電荷バランスを調節する中間層を、2個の発光層の間に導入することも可能である。しかしながら、これら各層は必ずしも存在する必要はないことが指摘されねばならない。
【0225】
たとえば、正孔輸送および/または正孔注入層の厚さは、好ましくは、1~500nmの範囲、特に好ましくは、2~200nmの範囲であることができる。
【0226】
本発明のさらなる1態様では、素子は複数の層を含む。ここで、本発明による調合物は、正孔輸送、正孔注入、電子輸送、電子注入および/または発光層の製造のために用いることができる。
【0227】
したがって、本発明は、少なくとも3層は、好ましい1態様では、すべての前記層は、正孔注入、正孔輸送、発光、電子輸送、電子注入、電荷ブロックおよび/または電荷生成層からの少なくとも3層、好ましい1態様では、すべての前記層を含む電子素子にも関するが、少なくとも一つの層は、本発明にしたがって用いられる調合物により得られる。
【0228】
さらに、素子は、本発明による調合物の使用により適用されないさらなる低分子量化合物もしくはポリマーから構築される層を含んでもよい。これらは、高真空中で低分子量化合物の蒸発により製造することもできる。
【0229】
用いられる化合物を純粋物質としてではなく、それに代えて、さらなる任意の所望の型のポリマー状、オリゴマー状、樹状もしくは低分子量物質とともに混合物(ブレンド)として使用することも追加的に好まれる可能性がある。これらは、たとえば、層の電子もしくは発光特性を改善する。
【0230】
ここで、本発明の好ましい1態様では、ここで、有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の発光層を含んでもよい。複数の発光層が存在するならば、これらは、好ましくは、380nm~750nm間に複数の最大発光波長を有し、全体として、白色発光が生じ、換言すれば、蛍光または燐光を発することができる種々の発光化合物が発光層中に使用される。非常に特に好ましいものは、3層構造であり、その3層は青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を示す(基本構造については、たとえば、WO 2005/011013参照。)。白色発光素子は、たとえば、LCD表示装置のバックライトとして、または一般的な照明用途のために適している。
【0231】
複数のOLEDを互いに上方に配置し、実現されるべき光収率に関してさらなる効率向上が可能となる。
【0232】
光のカップリングアウトを改善するために、OLEDにおける光出力側上の最終有機層が、たとえば、ナノ発泡体の形態でもあることができ、合計反射割合の減少をもたらす。
【0233】
さらに好ましいOLEDは、1以上の層が昇華プロセスにより適用され、材料は、10-5mbar未満、好ましくは、10-6mbar未満、特に好ましくは、10-7mbar未満の圧力で真空昇華ユニット中で気相堆積される。
【0234】
さらに、本発明による電子素子の1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセスあるいはキャリアーガス昇華を用いて適用されることが規定されてもよく、材料は、10-5mbar~1barの圧力で適用される。
【0235】
さらに、発明による電子素子の1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、または、たとえば、スクリーン印刷、フレキソ印刷もしくはオフセット印刷、特に好ましくは、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)もしくはインクジェット印刷のような任意の所望の印刷法により製造されることが規定されてもよい。
【0236】
これらの層は、式(I)または(II)の化合物が用いられないプロセスにより適用されてもよい。ここで、適用される層の機能性材料を溶解するが、機能性材料が適用される層を溶解しない直交溶媒を、好ましくは、使用することができる。
【0237】
素子は、通常、カソードとアノード(電極)を含む。電極(カソード、アノード)は、本発明の目的のために、高度に効率的な電子もしくは正孔注入を確保するために、そのバンドエネルギーが、隣接する有機層のそれに可能な限り近接するように選択される。
【0238】
カソードは、好ましくは、金属錯体、低い仕事関数を有する金属、たとえば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属あるいはランタノイド(たとえば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)のような種々の金属を含む金属合金もしくは多層構造を含む。多層構造の場合、たとえばAgのような比較的高い仕事関数を有する金属を、前記金属に加えて使用することもでき、その場合、たとえば、Ca/AgもしくはBa/Agのような金属の組み合わせが一般的に使用される。高い誘電定数を有する物質の薄い中間層を、金属カソードと有機半導体との間に導入することも好ましい可能性がある。この目的のために適切なのは、たとえば、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属フッ化物だけでなく対応する酸化物である(たとえば、LiF、LiO、BaF、MgO、NaF等)。この層の層厚は、好ましくは、0.1~10nm、特に好ましくは、0.2~8nm、特別に好ましくは、0.5~5nmである。
【0239】
アノードは、好ましくは、高い仕事関数を有する材料を含む。アノードは、好ましくは、真空に対して4.5eV超の電位を有する。この目的に適切なのは、一方で、たとえば、Ag、PtもしくはAuのような高い還元電位を有する金属である。他方で、金属/金属酸化物電極(たとえば、Al/Ni/NiO、Al/PtO)も好ましい可能性がある。いくつかの用途では、少なくとも一つの電極は、有機材料の照射(O-SC)もしくは光のアウトカップリング(OLED/PLED、O-laser)の何れかを促進するために、透明でなければならない。好ましい構造は、透明アノードを使用する。ここで、好ましいアノード材料は、伝導性混合金属酸化物である。特に好ましいのは、インジウム錫酸化物(ITO)もしくはインジウム亜鉛酸化物(IZO)である。さらに好ましいのは、伝導性のドープされた有機材料、特に、たとえば、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)およびポリアニリン(PANI)のような伝導性のドープされたポリマーである。p-ドープされた正孔輸送材料を正孔注入層としてアノードに適用することがさらに好ましく、この場合、適切なp-ドーパントは、金属酸化物、たとえばMoOもしくはWOまたは(過)フッ素化された電子不足芳香族化合物である。さらに適切なp-ドーパントは、HAT-CN(ヘキサシアノヘキサアザトリフェニレン)またはNovaled製の化合物NPD9である。このタイプの層は、低HOMO、すなわち高いHOMO値を有する材料における正孔注入を簡略化する。
【0240】
従来技術にしたがって層に使用されるすべての材料は、一般に、さらなる層において使用することができる。
【0241】
このような素子の寿命は、水および/または空気の存在下では大幅に短縮するので、電子素子は、それに応じて構造化され、用途に応じて、接点が提供され、最後に密封される。
【0242】
本発明による調合物とそれから得ることができる電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子は、従来技術を超える1以上の以下の驚くべき優位性により区別される:1.本発明による調合物を使用して得ることができる電子素子は、通常の方法を使用して得られる電子と比べて、極めて高い安定性と極めて長い寿命を有する。
2.本発明による調合物は、通常の方法を使用して加工することができ、それにより、費用優位性を実現することもできる。
3.本発明による調合物を用いる有機機能性材料は、如何なる特別な制約を受けることなく、本発明のプロセスを包括的に用いることを可能とする。
4.本発明の調合物を使用して得ることができる層は、特に、層の均一性に関して、優れた品質を示す。
【0243】
これらの上記優位性は、他の電子素子の特性の障害を伴わない。
【0244】
本発明に記載された態様の変形は、本発明の範囲に入ることを指摘しなければならない。本発明で開示された各特長は、明らかに排除されなければ、同じ、等価、または同様の目的を果たす代替的特徴により置き代えられ得る。したがって、本発明に開示された各特徴は、他に断らなければ、一般的に一連の例または等価物もしくは同じ特徴とみなされるべきである。
【0245】
本発明のすべての特徴は、ある特徴および/または工程が相互に排除しない限り、互いに組み合わせることができる。これは、本発明の好ましい特徴にあてはまる。同様に、非本質的な組み合わせの特徴が、(組み合わせではなく)別に使用され得る。
【0246】
本発明の多くの特徴、特に、好ましい態様の特徴は、それ自身発明性があり、本発明の態様の部分としてみなされるだけではないことを指摘しなければならない。現在クレームされた発明に加えてまたその代替として、独立した保護が、これらの特徴のために追及されてよい。
【0247】
本発明で開示された技術的アクションに関する教示が、抽出され、他の例と組み合わせることができる。
【0248】
本発明は、以下の例により詳細に説明されるが、それにより限定するものではない。
【0249】
当業者は進歩性を要することなく、さらなる本発明の電子素子を製造するために、説明を使用し、特許請求された全範囲で本発明を実施することができるであろう。
【0250】

図1に示されているような素子構造を使用して、5個の素子を製造した。緑色発光層(G-EML)を参照および例1、2、3、4で調製する。G-EMLのための溶媒は、安息香酸エチル(参照)と、ヘキサン酸シクロヘキシル(例1)と、イソ吉草酸シクロヘキシル(例2)と、イソ吉草酸メンチル(例3)と、酢酸メンチル(例4)である。表2は、緑色発光層材料としてG-EM1を含んでいるインクの濃度、粘度、表面張力を要約している。
【0251】
【表2】
【0252】
【化30】
【0253】
表3は、例で使用する溶媒の沸点、表面張力、粘度を示している。
【0254】
【表3】
【0255】
調合物と溶媒の粘度を、1゜コーンプレート回転式レオメータ(型:Thermo Scientific製のHaake MARS IIIレオメータ)を用いて測定し、ここでは温度およびせん断速は厳密に制御される。表2で与えられている粘度は、25℃(+/-0.2℃)の温度と、500s-1のせん断速で測定された各調合物の粘度である。測定を次のセットアップで実施した:底板TMP60およびコーンC60/1゜TiLを有するHaake MARS IIIレオメータ;~1.8バールの背圧によるNの供給;1.3mLの試料容量。各調合物を三回測定する。前述の粘度値を前記測定を通し平均する。データの処理を、DIN 1342-2にしたがい、ソフトウエア「Haake RheWin Job Manager」で実施する。装置(Thermo Scientific製のHaake MARS III)は定期的にThermo Scientificにより較正され、それを最初に使用する前に、認定された標準的工場較正を受ける。
【0256】
表面張力測定を、Kruss GmbH製の高精度の滴形分析ツールDSA100を用いて実施した。表面張力をDIN 55660-1にしたがい、ソフトウエア「DSA4」により測定する。すべての測定を、22℃~24℃の範囲にある室温で実施した。標準的な動作手順は、未使用の使い捨ての液滴分配装置(注射器および針)を使用して、各調合物(0.3mL容量の試料)の表面張力を測定することを含んでいる。各液滴を一分間の期間を通して、60の測定で測定し、その後、平均化される。各調合物で、3つの液滴が測定される。最終値を前記測定を通して平均する。ツールを、よく知られた表面張力を有する種々の液体に対して、定期的に照合する。
【0257】
製造プロセスの説明
事前に構造化されたITOとバンク材料とで被覆したガラス基板を、脱イオン水で超音波処理を用いて洗浄し、次いでエアガンを使用して乾燥させ、その後、5分間、180℃で、ホットプレート上でアニールした。正孔注入層(HIL)を基板にインクジェット印刷し、真空で乾燥させた。次いでHILを30分間、180℃でアニールした。HILの上部で、正孔輸送層(HTL)をインクジェット印刷し、真空で乾燥させ、30分間、210℃でアニールした。緑色発光層(G-EML)もインクジェット印刷し、真空で乾燥させ、10分間、160℃でアニールした。すべてのインクジェット印刷プロセスを黄色光下、空気中で、周囲条件下で行った。HILアニールプロセスを空気中で行い、HTLとG-EMLを窒素雰囲気でアニールした。次いで素子を、真空堆積室へ移し、青色共通層(BCL)、電子輸送層(ETL)、カソード(Al)の堆積を熱蒸発を用いて行った。次いで、素子をグローブボックスに封入し、周囲空気で物理的特性決定を実施した。図1は素子構造を示している。素子を、Keithley 230電圧源により与えられた定電圧で駆動する。LEP素子にわたる電圧と、LEP素子を通る電流とは2つのKeithley 199 DMMマルチメーターで測定される。素子の輝度は、SPL-025Y輝度センサ、およびフォトダイオードと光子フィルターとの組合せにより検出される。光電流は、Keithley 617電位計で測定される。スペクトルについては、輝度センサを、スペクトル計入力に接続されるガラス繊維に置き代える。素子の寿命を初期輝度を有する所定の電流下で測定する。次いで、輝度を、較正されたフォトダイオードにより、時間にわたり測定する。
【0258】
結果および考察
本発明の例の効率は、参照と同程度またはより高い値を示している。これは、本発明の例中の溶媒が乾燥中に、より良好な膜形成を示すことを示唆している。本発明の例は、参照と同程度またはより良好な寿命を示し、それは新しい溶媒系は素子の性能に対して損傷又は悪い影響を及ぼさないことを示している。表4は素子の効率と寿命値を要約している。これらの溶媒系は、異なるヘッドを用いる種々のインクジェット印刷マシンの異なる要求を満たすことに欠かせない、より良好な素子性能とより広いプロセスウインドウとを与える。
【0259】
【表4】
【0260】
追加的な例5~11と、参照1
図2に示されているような素子構造を使用して、8個の素子を製造した。イソ吉草酸メンチル(Menthoval)(CAS番号16409-46-4)と、ヘキサン酸シクロヘキシル(CHH)(CAS番号6243-10-3)とを、G-EMLインクとHTLインクで使用した。3-フェノキシトルエン(3-PT)(CAS番号:3568-14-9)を参照として使用した。
【0261】
表5は、正孔輸送層(HTL)または緑色発光層(G-EML)を調製するため、これらの例で使用したインクの濃度、粘度、表面張力を要約している。
【0262】
【表5】
【0263】
表6は、例5~11と参照1のインクのさらなる詳細を示している。
【0264】
【表6】
【0265】
調合物と溶媒の粘度を、1゜コーンプレート回転式レオメータ(型:Thermo Scientific製のHaake MARS IIIレオメータ)を用いて測定し、ここでは温度およびせん断速は厳密に制御される。表5で与えられている粘度は、23.4℃(+/-0.2℃)の温度と、500s-1のせん断速で測定された各調合物の粘度である。測定を次のセットアップで実施した:底板TMP60およびコーンC60/1゜TiLを有するHaake MARS IIIレオメータ;~1.8バールの背圧によるNの供給;1.3mLの試料容量。各調合物を三回測定する。前述の粘度値を前記測定を通し平均する。データの処理を、DIN 1342-2にしたがい、ソフトウエア「Haake RheWin Job Manager」で実施する。装置(Thermo Scientific製のHaake MARS III)は定期的にThermo Scientificにより較正され、それを最初に使用する前に、認定された標準的工場較正を受ける。
【0266】
表面張力測定を、Kruss GmbH製の高精度の滴形分析ツールDSA100を用いて実施した。表面張力をDIN 55660-1にしたがい、ソフトウエア「DSA4」により測定する。すべての測定を、22℃~24℃の範囲にある室温で実施した。標準的な動作手順は、未使用の使い捨ての液滴分配装置(注射器および針)を使用して、各調合物(0.3mL容量の試料)の表面張力を測定することを含んでいる。各液滴を一分間の期間を通して、60の測定で測定し、その後、平均化される。各調合物で、3つの液滴が測定される。最終値を前記測定を通して平均する。ツールを、よく知られた表面張力を有する種々の液体に対して、定期的に照合する。
【0267】
製造プロセスの説明
事前に構造化されたITOとバンク材料とで被覆したガラス基板を、イソプロパノールと、その後脱イオン水とで超音波処理を用いて洗浄し、次いでエアガンを使用して乾燥させ、その後、2時間、230℃で、ホットプレート上でアニールした。
【0268】
正孔注入層(HIL)を、PEDOT-PSS(Clevios Al4083、Heraeus)を用いて、基板にインクジェット印刷し、真空で乾燥させた。次いでHILを空気中で、30分間、185℃でアニールした。
【0269】
HILの上部に、正孔輸送層(HTL)をインクジェット印刷し、真空で乾燥させ、窒素雰囲気で、30分間、210℃でアニールした。正孔輸送層のための材料として、ポリマーHTM-1を使用した。ポリマーHTM-1の構造を以下に示す:
【0270】
【化31】
【0271】
緑色発光層(G-EML)もインクジェット印刷され、真空乾燥され、窒素雰囲気で10分間、160℃でアニールされた。緑色発光層のためのインクはすべての例で、二種のホスト材料(すなわちHM-1とHM-2)と、一種の三重項エミッター(EM-1)を含んだ。材料を次の比率で使用した:HM-1:HM-2:EM-1=40:40:20。前述の表5と6で見られるように、溶媒だけが、例に応じて異なる。材料の構造を以下に示す:
【0272】
【化32】
【0273】
すべてのインクジェット印刷プロセスを黄色光下、および周囲条件下で行った。
【0274】
次いで素子を、真空堆積室へ移し、ここで、共通の正孔ブロック層(HBL)、電子輸送層(ETL)、カソード(Al)の堆積を熱蒸発を用いて行った(図2参照)。次いで、素子をグローブボックスで特性決定した。
【0275】
正孔ブロック層(HBL)で、ETM-1を正孔ブロック材料として使用した。材料は以下の構造を有する:
【0276】
【化33】
【0277】
電子輸送層(ETL)では、ETM-1とLiQの50:50の混合物を使用した。LiQは、リチウム8-ヒドロキシキノリナートである。
【0278】
最後に、Al電極は気相堆積される。次いで、素子をグローブボックスに封入し、物理的特性決定を周囲空気で行った。
【0279】
図2は素子構造を示している。
【0280】
例5~11と参照1の測定方法
素子を、Keithley 230電圧源により与えられた定電圧で駆動する。素子にわたる電圧と、素子を通る電流とは2つのKeithley 199 DMMマルチメーターで測定される。素子の輝度は、SPL-025Y輝度センサ、およびフォトダイオードと光子フィルターとの組合せにより検出される。光電流は、Keithley 617電位計で測定される。スペクトルについては、輝度センサを、スペクトル計入力に接続されるガラス繊維に置き代える。素子の寿命を初期輝度を有する所定の電流下で測定する。次いで、輝度を、較正されたフォトダイオードにより、時間にわたり測定する。
【0281】
結果および考察
表7は、輝度効率、電圧および寿命を要約している。素子効率は、MenthovalおよびCHHでのG-EMLで、より高い値を示す。これらの溶媒系は良好な膜形成と形態とを与える。素子におけるより良好な電子/正孔注入および輸送のおかげで、溶媒としてのMenthovalでは動作電圧の減少も見られる。素子の寿命も、参照例と比べて、より良好な膜およびインターフェースで劇的に改善された。HTLがMenthovalまたはCHHで処理されたとき、素子は改善された性能も示す。このことは、溶媒系がHTLに好ましい影響も有することを実証している。これらの溶媒系は、アプリケーション要件を満たし、開発を加速させるために、インクジェット印刷技術の高い効率と寿命を実現するための解決策を与える。異なるヘッドを使用する種々のインクジェット印刷マシンに適合する機会も与える。
【表7】
図1
図2