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特許7309785担持触媒、モノリス選択的接触還元(SCR)触媒、その製造方法、及び窒素酸化物除去方法
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  • 特許-担持触媒、モノリス選択的接触還元(SCR)触媒、その製造方法、及び窒素酸化物除去方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】担持触媒、モノリス選択的接触還元(SCR)触媒、その製造方法、及び窒素酸化物除去方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/22 20060101AFI20230710BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20230710BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20230710BHJP
   B01J 23/30 20060101ALI20230710BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20230710BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
B01J23/22 A ZAB
B01J37/04 102
B01J37/08
B01J23/30 A
B01D53/94 222
B01D53/94 400
B01D53/86 222
【請求項の数】 29
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021106056
(22)【出願日】2021-06-25
(62)【分割の表示】P 2019504687の分割
【原出願日】2016-07-26
(65)【公開番号】P2021164918
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】チェン,リヤン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ,フェン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チヤ ティー
(72)【発明者】
【氏名】シー,アン チュー
(72)【発明者】
【氏名】チェン,フランク
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ミヤオ
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101947443(CN,A)
【文献】国際公開第2015/075083(WO,A1)
【文献】特開2005-342710(JP,A)
【文献】特表2013-523445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
B01D 53/86-53/90,53/94-53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的還元用の担持触媒であって、
該担持触媒は、
-担体、及び
-バナジウム、アンチモン、並びにケイ素、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分を含む、前記担体上に担持された触媒活性成分
を含み、
前記担体が、TiO、Al、SiO、ZrO、CeO、WO、ゼオライト、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種を含み、及び
前記担体及び前記触媒活性成分の合計質量に対して、Vとして計算して1~10質量%のバナジウムを含有し、Sbとして計算して4~16質量%のアンチモンを含有し、及びそれぞれSiO、Al又はZrOとして計算して0.5~20質量%の、少なくとも1種のさらなる成分を含有する、担持触媒。
【請求項2】
前記担体が、TiO-SiO(割合90:10)、TiO-WO(割合90:10)、TiO-WO-SiO(割合81:9:10)、及びCeO-ZrO(割合80:20)から成る群から選ばれる、請求項1に記載の担持触媒。
【請求項3】
前記担体が、TiOからなる、又はTiO及びSiOからなる、又はTiO及びWOからなる、又はTiO、SiO及びWOからなる、請求項1に記載の担持触媒。
【請求項4】
前記触媒活性成分が、バナジウム、アンチモン、及びケイ素を含む、又はバナジウム、アンチモン、及びケイ素からなる、請求項1から3のいずれか一項に記載の担持触媒。
【請求項5】
前記触媒活性成分が、バナジウム、アンチモン、及びアルミニウムからなる、請求項1から3のいずれか一項に記載の担持触媒。
【請求項6】
前記触媒活性成分が、バナジウム、アンチモン、及びジルコニウムからなる、請求項1から3のいずれか一項に記載の担持触媒。
【請求項7】
前記触媒活性成分が、その各々の酸化物の、又はそれら2種以上の複合酸化物の形態である、請求項1から6のいずれか一項に記載の担持触媒。
【請求項8】
-前記担体としてのTiO、及び
-前記触媒活性成分としてのバナジウム、アンチモン及びケイ素
からなる、請求項1に記載の担持触媒。
【請求項9】
前記担体が、各場合とも前記担体及び前記触媒活性成分の合計質量に対して、50~97.5質量%の量で含有される、請求項1から8のいずれか一項に記載の担持触媒。
【請求項10】
各場合とも前記担体及び前記触媒活性成分の合計質量に対して、Vとして計算して2~8質量%のバナジウムを含有し、Sbとして計算して7~12質量%の量のアンチモンを含有し、それぞれSiO、Al又はZrOとして計算して1~15質量%の量の少なくとも1種のさらなる成分を含有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の担持触媒。
【請求項11】
少なくとも1種のさらなる成分が、前記担体の表面上及び/又は表面付近に豊富に存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の担持触媒。
【請求項12】
以下の工程、
前記担体を提供する工程、及び
前記担体上に前記触媒活性成分を担持する工程
を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の担持触媒の製造方法。
【請求項13】
i)酸化バナジウム、酸化アンチモン、並びにケイ素、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分の酸化物の前駆体を含む溶液又はスラリーを提供する工程、
ii)前記溶液又は前記スラリーを前記担体と混合して混合物を得る工程、
iii)工程ii)で得られた前記混合物を乾燥する工程、及び
iv)工程iii)で得られた乾燥混合物をか焼する工程
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
か焼を、300℃~850℃の範囲の温度で行う、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記酸化バナジウムの前駆体が、バナジン酸アンモニウム、バナジルオキサレート、バナジウムペントキシド、バナジウムモノエタノールアミン、塩化バナジウム、三塩化酸化バナジウム、硫酸バナジル及びバナジウムアンチモネートからなる群から選択される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記酸化アンチモンの前駆体が、酢酸アンチモン、エチレングリコールアンチモン、硫酸アンチモン、硝酸アンチモン、塩化アンチモン、三硫化アンチモン、酸化アンチモン及びアンチモニンバナデートからなる群から選択される、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
-モノリス基材、及び
-請求項1から11のいずれか一項に記載の担持触媒を含む、前記モノリス基材上の触媒被覆層
を含む、モノリス選択的接触還元触媒。
【請求項18】
前記モノリス基材が、ハニカム、波形板、箔、板又はそれらの組み合わせの形状である、請求項17に記載のモノリス選択的接触還元触媒。
【請求項19】
前記触媒被覆層の装填量が、0.06102~0.6102g/cm(1~10g/in)である、請求項17又は18に記載のモノリス選択的接触還元触媒。
【請求項20】
以下の工程、
1)前記担体の粒子、酸化バナジウム、酸化アンチモン、並びにケイ素、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分の酸化物の前駆体を含む、スラリーを提供する工程、
2)前記スラリーを前記モノリス基材上に被覆して、被覆されたモノリス基材を得る工程、及び
3)工程2)で得られた前記被覆されたモノリス基材を乾燥し、か焼する工程、
を含む、請求項17から19のいずれか一項に記載のモノリス選択的接触還元触媒の製造方法。
【請求項21】
か焼を、300℃~850℃の範囲の温度で行う、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記酸化バナジウムの前駆体が、バナジン酸アンモニウム、バナジルオキサレート、バナジウムペントキシド、バナジウムモノエタノールアミン、塩化バナジウム、三塩化酸化バナジウム、及び硫酸バナジル、バナジウムアンチモネート、アンチモンバナデートからなる群から選択される、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記酸化アンチモン前駆体が、酢酸アンチモン、エチレングリコールアンチモン、硫酸アンチモン、硝酸アンチモン、塩化アンチモン、三硫化アンチモン、酸化アンチモン、バナジウムアンチモネート、及びアンチモンバナデートからなる群から選択される、請求項20から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記スラリーのための溶媒が水を含む、請求項20から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記スラリーが、分散剤及び沈殿剤から成る群から選ばれる1種以上の添加剤をさらに含む、請求項20から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
還元剤の存在下で、請求項1から11、請求項17から19のいずれか一項に記載の触媒と、内燃エンジンからの排ガスを接触させることを含む、内燃エンジンからの排ガス中のNOxを還元する方法。
【請求項27】
150℃~650℃の、又は180℃~600℃の、又は200℃~550℃の範囲の温度下で、前記排ガスを前記触媒と接触させる請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記内燃エンジンがディーゼルエンジンである、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
発電所から発生する排出ガスを処理する方法であって、請求項1から11、請求項17から19のいずれか一項に記載の触媒への前記排出ガスの暴露を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に、本発明はNOx除去のための触媒に関する。より具体的には、本発明は、担持触媒、モノリス選択的接触還元(SCR)触媒、それらの製造方法、及びNOx除去の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
NOxは、移動源及び固定源の主な排ガスの1つであり、環境及び人間にとって有害となりうる。排ガスからNOxを除去するために、触媒還元法がこれまでに開発されてきた。触媒還元法は大量の排ガスを処理するのに好適であり、その中でもNOxを選択的にNに触媒還元するための還元剤として、アンモニアの添加を含む方法が優れていると報告されている。そのような選択的接触還元(SCR)に使用される触媒は、広い温度範囲にわたって、特に300℃未満のできるだけ低い温度でNOxを還元するために必要とされる。これら触媒のSCR活性は、長期間の熱水及び硫黄による老化の後に劇的に減少するべきではない。
【0003】
EP787521には、Y、B、PbO、SnOなどの追加のドーパントを含有するTiO/WOをベースとする複数のV含有触媒の製造方法が記載されている。ここで、バナジウムは五酸化バナジウム(V)として存在すると記載されている。
【0004】
US4221768には、担体材料としてのTiOをベースとするV含有材料と、ドーパントとしての遷移金属からの追加の酸化物が記載されている。
【0005】
US4466947には、バナジウムが酸化物又は硫酸塩の形態で存在するバナジウム含有脱硝触媒が記載されている。
【0006】
US2009/0143225A1は、TiO含有担体上にV及びSbを含む、低温での改善されたNO転化率を有するSCR触媒組成物を開示している。
【0007】
CN101862651Aは、V-Sb/TiO系におけるNb添加がNO転化に有益であると開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】EP787521
【文献】US4221768
【文献】US4466947
【文献】US2009/0143225A1
【文献】CN101862651A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの先行技術にもかかわらず、移動的及び固定的排ガス排出の適用におけるNOx低減での新しい状態及び老化した状態において、優れた活性を示すSCR触媒が、依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、特に低温、例えば約300℃未満で、改善されたNOxの低減を有する新規SCR触媒を提供することである。この目的は、担持触媒及びその製造方法、モノリス選択的接触還元触媒及びその製造方法、本発明の方法によって得ることができるモノリス選択的接触還元触媒、本発明の触媒を使用することによる内燃機関からの排ガス中のNOxの還元方法、並びに本発明の触媒を使用することによる発電所から発生する排出ガスの処理方法によって、達成することができる
本発明の第一の態様において、
-担体、及び
-バナジウム、アンチモン、並びにケイ素、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分を含む、その担体上に担持された触媒活性成分
を含む、担持触媒を提供する。
【0011】
本発明の第二の態様において、以下の工程:
-担体を提供する工程、及び
-触媒活性成分を担体上に担持する工程
を含む、第一の態様における本発明の担持触媒を製造するための方法を提供する。
【0012】
本発明の第三の態様において、
-モノリス基材、及び
-第一の態様における本発明の担持触媒を含む、モノリス基材上の触媒被覆層
を含む、モノリス選択的接触還元(SCR)触媒を提供する。
【0013】
本発明の第四の態様において、以下の工程:
1)担体の粒子、酸化バナジウム、酸化アンチモン、並びにケイ素、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分の酸化物の前駆体を含む、スラリーを提供する工程、
2)そのスラリーをモノリス基材上に被覆して、被覆されたモノリス基材を得る工程、及び
3)工程2)で得られた被覆されたモノリス基材を乾燥し、か焼する工程、
を含む、第三の態様における本発明のモノリス選択的接触還元(SCR)触媒を製造するための方法を提供する。
【0014】
本発明の第五の態様において、第四の態様における本発明の方法により得られるモノリス選択的接触還元触媒を提供する。
【0015】
本発明の第六の態様において、第一の態様における本発明の担持触媒と、又は第三若しくは第五の態様における本発明のモノリス選択的接触還元触媒と、排ガスとを接触させることを含む、内燃機関からの排ガス中のNOxを還元する方法を提供する。
【0016】
本発明の第七の態様において、第一の態様における本発明の担持触媒に、又は第三若しくは第五の態様における本発明のモノリス選択的接触還元触媒に、排出ガスを暴露することを含む、発電所から発生する排出ガスの処理方法を提供する。
【0017】
本発明の触媒は、より広い温度範囲、例えば150℃~650℃の間、又は180℃~600℃の間、又は200℃~550℃の間で、新しい状態及び老化した状態の両方において、NOx低減の高い触媒性能を示す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、SiOがTiO担体上の活性成分の1種として担持されている本発明の触媒のXPS画像である。
図2図2は、担体がSiO及びTiOからなり、活性成分としてSiOが含有されていない触媒のXPS画像である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
担持触媒
本発明の第一の態様は、
-担体、及び
-バナジウム、アンチモン、並びにケイ素、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分を含む、その担体上に担持された触媒活性成分
を含む、NOx還元のための担持触媒に関する。
【0020】
本発明の担持触媒に使用することができる担体は、当技術分野において既知の任意の担体であり得る。一実施形態では、担体は、TiO、Al、SiO、ZrO、CeO、ゼオライト、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種を、任意の比率で含む。好ましくは、担体はTiOを含有する。触媒担体として好適な当技術分野において既知の任意のTiOを、本発明の触媒の担体に使用することができる。一実施形態では、本発明の触媒に使用するTiOは、アナターゼの形態である。本発明において使用することができるTiOは、市販のものでよく、当技術分野において既知の従来の方法によって製造してもよい。
【0021】
一実施形態では、担体はTiOからなる。別の実施形態では、担体はTiO及びSiOからなる。別の実施形態では、担体はTiO及びWOからなる。別の実施形態では、担体はTiO、SiO及びWOからなる。
【0022】
本発明の担持触媒は触媒活性成分を含み、これら成分は上記のように担体上に担持される。触媒活性成分は、バナジウム、アンチモン、並びにケイ素、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分を含む。活性成分の1種としてアンチモンを含むことは、低温でのNOxの転化率を増大させることができ、ケイ素、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分を含むことは、特に低温、例えば約200~300℃で、本発明の触媒の特性をさらに改善させ得る。
【0023】
好ましい実施形態では、触媒活性成分は、バナジウム、アンチモン、並びにケイ素、アルミニウム及びジルコニウムのうち任意の1種を含む。より好ましくは、触媒活性成分は、バナジウム、アンチモン、並びにケイ素、アルミニウム及びジルコニウムのうち任意の1種からなる。
【0024】
より好ましくは、触媒活性成分はバナジウム、アンチモン及びケイ素からなる。この場合、担体中にケイ素が含まれているかどうかにかかわらず、活性成分の1種として、ケイ素が担持されていなければならない。
【0025】
本発明の一実施形態では、触媒活性成分は、個々の成分各々の酸化物の形態で、又は2種以上の成分の複合物の形態である。例えば、バナジウム、アンチモン及びケイ素を含む場合、触媒活性成分は、酸化バナジウム、酸化アンチモン及び酸化ケイ素の形態であってもよく、又はバナジウムとアンチモンの複合酸化物に酸化ケイ素を加えた形態であってもよく、又はバナジウム、アンチモン及びケイ素の複合酸化物の形態であってもよい。
【0026】
さらに好ましい実施形態では、担持触媒は、担体としてのTiO、及び触媒活性成分としての酸化バナジウム、酸化アンチモン及び二酸化ケイ素からなる。
【0027】
担体は、触媒中に50~97.5質量%、好ましくは61~93%、より好ましくは73~88%の量で存在し得る。
【0028】
なお、本文脈において他に言及がない限り、担体又は触媒活性成分の含有量は、各場合とも担体と触媒活性成分の合計質量を基準として計算される。本文脈において他に言及がない限り、本発明の触媒中のバナジウムの含有量はVとして計算され、アンチモンの含有量はSbとして計算される。
【0029】
バナジウムの含有量は、1~10質量%の範囲にあることが好ましく、2~8質量%がより好ましく、3~7質量%がさらに好ましい。アンチモンの含有量は、1~20質量%の範囲にあることが好ましく、4~16質量%がより好ましく、7~12質量%がさらに好ましい。少なくとも1種のさらなる成分の含有量は、それぞれSiO、Al又はZrOとして計算して、0.5~20質量%の範囲にあることが好ましく、1~15質量%が好ましく、2~10質量%がより好ましい。
【0030】
好ましい実施形態では、少なくとも1種のさらなる成分は、担体の表面上及び/又は表面付近で豊富に存在する。少なくとも1種のさらなる成分の分散は、例えばXPS分析によって確認し得る。
【0031】
担持触媒の製造方法
本発明の第二の態様は、本発明の担持触媒の製造方法に関する。
【0032】
担持触媒は、以下の工程:上記の担体を提供する工程、及び上記の触媒活性成分を担体上に担持する工程、を含む方法によって製造できる。
【0033】
触媒活性成分を担体上に担持する工程は、その目的のために当技術分野において既知の任意の方法によって実施し得る。
【0034】
よって好ましい方法は、以下の工程、
i)酸化バナジウム、酸化アンチモン、並びにケイ素、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分の酸化物の前駆体を含む溶液又はスラリーを提供する工程、
ii)その溶液又はそのスラリーを担体と混合して混合物を得る工程、
iii)工程ii)で得られた混合物を乾燥する工程、及び
iv)工程iii)で得られた乾燥混合物をか焼する工程
を含む。
【0035】
前記好ましい製造方法において、好ましくは、か焼は、300℃~850℃の範囲の、より好ましくは350℃~650℃の範囲の温度で行う。
【0036】
本発明の文脈において、酸化バナジウム、酸化アンチモン、並びにケイ素、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分の酸化物の前駆体とは、酸化条件又はその他の条件下のか焼によって、プロセスの後の工程で、それぞれ酸化バナジウム、酸化アンチモン及び少なくとも1種のさらなる成分の酸化物に転化することができる化合物を意味するものである。
【0037】
酸化バナジウムの前駆体は、好ましくは、バナジン酸アンモニウム、バナジルオキサレート(vanadyl oxalate)、バナジウムペントキシド、バナジウムモノエタノールアミン、塩化バナジウム、三塩化酸化バナジウム、硫酸バナジル及びバナジウムアンチモネートからなる群から選択される。
【0038】
酸化アンチモンの前駆体は、好ましくは、酢酸アンチモン、エチレングリコールアンチモン、硫酸アンチモン、硝酸アンチモン、塩化アンチモン、三硫化アンチモン、酸化アンチモン及びアンチモンバナデート(antimony vanadate)からなる群から選択される。
【0039】
モノリス選択的接触還元(SCR)触媒
本発明の第三の態様は、
-モノリス基材、及び
-本発明の担持触媒を含む、そのモノリス基材上の触媒被覆層
を含む、モノリス選択的接触還元(SCR)触媒に関する。
【0040】
本発明のモノリスSCR触媒は、モノリス基材上に層の形態で施される本発明の担持触媒を含有する。よって、担持触媒に関する上記の記述は、当然ながらモノリスSCR触媒に適用される。
【0041】
基材は触媒の製造に典型的に使用される任意の材料でよく、好ましくはセラミック又は金属ハニカム構造を含む。任意の好適な基材、例えば、微細で平行なガス流路が基材の入口面又は出口面から基材を通って延びる種類のモノリス基材を用いてよい。流路は、その流体入口から流体出口に向かう本質的にまっすぐな通路であり、流路を通過するガスが担体触媒と接触するように担体触媒がウォッシュコートとして被覆された壁によって画定される。モノリス基材の流路は薄壁のチャネルであり、台形、長方形、正方形、正弦波形、六角形、楕円形、円形等の任意の好適な断面形状及び寸法が可能である。
【0042】
そのようなモノリス基材は、横断面1平方インチ当たり、最大で約900又はそれ以上の流路(又は「セル」)を含有し得るが、はるかに少ない数を使用してもよい。例えば基材は、1平方インチ当たり約50~600の、より通常には約200~400のセル(「cpsi」)を有し得る。セルは、長方形、正方形、円形、楕円形、三角形、六角形の横断面を有することができ、又はセルは他の多角形である。
【0043】
好適なセラミック基材は、任意の好適な耐熱材料、例えばコージライト、コージライト-アルミナ、シリコンニトライド、シリコンカーバイド、ジルコンムライト、リシア輝石、アルミナ-シリカ-マグネシア、ジルコンシリケート、シリマナイト、マグネシウムシリケート、ジルコン、ペタライト、アルミナ、アルミノシリケート及びその他同様のもの等で作製し得る。
【0044】
本発明のモノリスSCR触媒の一実施形態では、モノリス基材は、ハニカム、波形板、箔、板又はそれらの組み合わせの形状であり、好ましくはハニカムコージエライト基材である。
【0045】
好ましくは、触媒被覆層は、1~10g/in、好ましくは1~7g/in、より好ましくは2~5.5g/inの量で装填させることができる。
【0046】
SCR触媒の製造工程
本発明の第四の態様は、以下の工程:
1)担体の粒子、酸化バナジウム、酸化アンチモン、並びにケイ素、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分の酸化物の前駆体を含む、スラリーを提供する工程、
2)そのスラリーをモノリス基材上に被覆して、被覆されたモノリス基材を得る工程、及び
3)工程2)で得られた被覆されたモノリス基材を乾燥し、か焼する工程、
を含む、第三の態様において記載した本発明のモノリスSCR触媒を製造するための方法に関する。
【0047】
本発明の担持触媒を製造するための方法において使用する前駆体に関する上記の記述は、本発明のSCR触媒を製造するための方法に適用される。具体的には、酸化バナジウムの前駆体は、バナジン酸アンモニウム、バナジルオキサレート、バナジウムペントキシド、バナジウムモノエタノールアミン、塩化バナジウム、三塩化酸化バナジウム、硫酸バナジル及びバナジウムアンチモナイトからなる群から選択し得る。アンチモン前駆体は、酢酸アンチモン、エチレングリコールアンチモン、硫酸アンチモン、硝酸アンチモン、塩化アンチモン、三硫化アンチモン、酸化アンチモン及びアンチモニンバナデートからなる群から選択され得る。
【0048】
同様に、担持触媒において及び本発明の担持触媒の製造方法において使用する担体に関する上記の記述は、本発明のSCR触媒の製造方法にも適用される。
【0049】
同様に、モノリス基材に関する上記の記述は、本発明の方法にも適用される。
【0050】
好ましくは、触媒被覆層は、1~10g/in、好ましくは1~7g/in、より好ましくは2~5.5g/inの量で装填し得る。
【0051】
スラリーのための溶媒は、当技術分野において既知の任意の好適な溶媒であり得る。一実施形態では、溶媒は水を含む。好ましくは、DI水を、担体、活性成分の前駆体などをその中に溶解又は分散させるための溶媒として使用する。
【0052】
スラリーは1種以上の従来の添加剤、例えば分散剤及び沈殿剤を含み得る。そのような分散剤及び沈殿剤は、当技術分野においてよく知られている。例えば、分散剤としては、トリス(エチルヘキシル)ホスフェート、ラウリル硫酸ナトリウム、アルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、シクロヘキサノン、イソプロパノール、フタル酸などが挙げられる。沈殿剤としては、アンモニア、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0053】
スラリーを製造するために、担体、酸化バナジウム、酸化アンチモン及び少なくとも1種のさらなる成分の酸化物の前駆体、並びに任意に、及び/又は任意の他の添加剤、例えば分散剤及び沈殿剤を、溶媒に添加してよく、添加後は均質に混合する。これらの成分の添加順序は特に限定されない。
【0054】
このようにして得られたスラリーは、剪断、好ましくは撹拌に供し得る。スラリーに剪断を適用することにより、スラリー中の触媒粒子の粒径を所望の範囲に減少できる。剪断は、当技術分野において既知の手段で適用することができる。
【0055】
担体の種類及びSCR触媒の製造方法にかかわらず、重要なことは、バナジウム、アンチモン以外の少なくとも1種のさらなる成分の少なくとも或る一定量が、活性成分として担体に担持されることを確実にすべきである。好ましくは、その前駆体よりもむしろ形成された担体を、本発明の方法において使用する。
【0056】
本発明の方法の工程2)において、スラリーをモノリス基材上に被覆する。被覆は、当技術分野において既知の任意の方法によって実施することができる。例えば、基材の下端をスラリーに浸し、基材の上端に真空を適用して、スラリーが基材の通路に所望の長さまで引き込まれるようにすることができる。
【0057】
本発明の方法の工程3)において、被覆されたモノリス基材を次いで乾燥させ、か焼する。本方法の一実施形態では、か焼は、300℃~850℃の範囲の、より好ましくは350℃~650℃の範囲の温度で行われる。か焼後、本発明のモノリスSCR触媒を得ることができる。
【0058】
本発明の方法により得られるモノリスSCR触媒
本発明の第五の態様は、第四の態様において上述した方法によって得ることができるモノリス選択的接触還元触媒に関する。
【0059】
排ガス中のNOx還元方法
本発明の第六の態様は、本発明の担持触媒と、又は本発明のモノリスSCR触媒と、又は本発明の方法によって得ることができるモノリスSCR触媒と、排ガスとを接触させることを含む、内燃機関からの排ガス中のNOxを還元する方法に関する。
【0060】
本発明の一実施形態では、排気ガスを、150℃~650℃の、又は180~600℃の、又は200~550℃の範囲の温度下で、触媒と接触させる。
【0061】
排ガスと担持触媒との接触は、還元剤の存在下で行う。本発明で使用することができる還元剤は、NOxを還元するための、当技術分野でそれ自体既知の任意の還元剤、例えばNHであり得る。NHは尿素に由来し得る。
【0062】
排ガスの流れ方向に対して、本発明の上流又は下流に他の触媒があり得る。
【0063】
本発明の好ましい実施形態では、内燃機関はディーゼルエンジンである。
【0064】
排ガスの処理方法
本発明の第七の態様は、本発明の担持触媒に、又は本発明のモノリスSCR触媒に、又は本発明の方法によって得ることができるモノリスSCR触媒に、排出ガスを暴露することを含む、発電所から発生する排出ガスの処理方法に関する。
【実施例
【0065】
以下の実施例は本発明を説明するために提供されるが、決して本発明を限定するものではない。
【0066】
本発明の担持触媒の微細構造を従来の触媒の微細構造と比較するために、触媒A及び触媒Bを製造し、XPS分析に供した。
【0067】
触媒Aは、担体としての92%のTiO及び活性成分としてのV(2%)、Sb(2%)、SiO(4%)によって合成した。典型的な合成方法では、7.4gの酢酸アンチモンを80gのDI水に溶解し、次いで36gのバナジルオキサレート溶液(11%のV固体)及び24gのケイ酸(42%のSiO固体)と混合した。混合物を30分間撹拌し、続いて200gのTiO粉末を添加した。得られたペーストをDI水で希釈した。次いで、このようにして得られたスラリーを急速乾燥させ、続いて空気中500℃で3時間か焼した。室温に冷却した後、触媒Aを得た。
【0068】
触媒AのXPS画像を図1に示す。
【0069】
触媒Bは、担体としての96%のSiO/TiO(4%のSiO)及び活性成分としてのV(2%)、Sb(2%)によって合成した。典型的な合成方法では、7.4gの酢酸アンチモンを80gのDI水に溶解し、次いで36gのバナジルオキサレート溶液(11%V固体)と混合した。混合物を30分間撹拌し、続いて210gのSiO/TiO粉末を添加した。得られたペーストを脱イオン水で希釈した。次いで、このようにして得られたスラリーを急速乾燥させ、続いて空気中500℃で3時間か焼した。室温に冷却した後、触媒Bを得た。
【0070】
触媒BのXPS画像を図2に示す。
【0071】
図1及び図2から分かるように、SiOが活性成分の1種として担持されている本発明の触媒では、SiOは担体の表面上及び/又は表面付近で豊富に存在する。反対に、担体がSiO及びTiOからなり、SiOが活性成分として含有されていない触媒Bでは、SiOは触媒全体に比較的均一に分散している。
【0072】
実施例1
触媒1を、担体としての92%のTiO及びV(2%)、Sb2O(2%)、SiO(4%)を、ハニカムコージエライト担体担持基材上に被覆することによって合成した。典型的な合成方法では、7.4gの酢酸アンチモンを80gのDI水に溶解し、次いで36gのバナジルオキサレート溶液(11%のV固体)及び24gのケイ酸(42%のSiO固体)と混合した。混合物を30分間撹拌し、続いて200gのTiO粉末を添加した。得られたペーストをDI水で希釈した。次いで、このようにして得られたスラリーをハニカムコージエライト担体基材上に被覆し、急速乾燥させた後、空気中500℃で3時間か焼した。室温に冷却した後、触媒1を得た。
【0073】
実施例2
触媒1を空気中600℃(熱老化)で50時間さらにか焼した。室温に冷却した後、触媒2を得た。
【0074】
実施例3
触媒3は、担体としての79%のTiO及びV(4%)、Sb(10%)、SiO(7%)を含有する、ハニカムコージエライト担体基材上への被覆によって合成した。合成手順は、SiOの前駆体がコロイド状シリカであることを除いて、触媒1のものと同様である。室温に冷却した後、触媒3を得た。
【0075】
実施例4
触媒3を空気中600℃(熱老化)で50時間さらにか焼した。室温に冷却した後、触媒4を得た。
【0076】
実施例5
触媒4を、350℃で硫黄含有雰囲気(1000ppmのSOを含む10%蒸気/空気で7時間)中でさらに老化させた(S老化)。室温に冷却した後、触媒5を得た。
【0077】
実施例6
触媒6は、担体としての67%のTiO及びV(7%)、Sb(16%)、SiO(10%)を含有する、ハニカムコージエライト担体基材上への被覆によって合成した。合成手順は触媒3の手順と同じである。室温に冷却した後、触媒6を得た。
【0078】
実施例7
触媒6を空気中600℃(熱老化)で50時間さらにか焼した。室温に冷却した後、触媒7を得た。
【0079】
実施例8
触媒8は、担体としての79%のSiO/TiO(10%のSiO)及びV(4%)、Sb(10%)、SiO(7%)を含有する、ハニカムコージエライト担体基材上への被覆によって合成した。合成手順は触媒3の手順と同じである。室温に冷却した後、触媒8を得た。
【0080】
実施例9
触媒9は、担体としての79%のWO/TiO(10%のWO)及びV(4%)、Sb(10%)、SiO(7%)を含有する、ハニカムコージエライト担体基材上への被覆によって合成した。合成手順は触媒8の手順と同じである。室温に冷却した後、触媒9を得た。
【0081】
実施例10
触媒10は、担体としての79%のSiO/WO/TiO(9%のWO、10%のSiO)及びV(4%)、Sb(10%)、SiO(7%)を含有する、ハニカムコージエライト担体基材上への被覆によって合成した。合成手順は触媒8の手順と同じである。室温に冷却した後、触媒10を得た。
【0082】
実施例11
触媒11は、担体としての79%のSiO及びV(4%)、Sb(10%)、SiO(7%)を含有する、ハニカムコージエライト担体基材上への被覆によって合成した。合成手順は触媒8の手順と同じである。室温に冷却した後、触媒11を得た。
【0083】
実施例12
触媒12は、担体としての79%のCeO及びV(4%)、Sb(10%)、SiO(7%)を含有する、ハニカムコージエライト担体基材上への被覆によって合成した。合成手順は触媒8の手順と同じである。室温に冷却した後、触媒12を得た。
【0084】
実施例13
触媒13は、担体としての79%のZrO及びV(4%)、Sb(10%)、SiO(7%)を含有する、ハニカムコージエライト担体基材上への被覆によって合成した。合成手順は触媒8の手順と同じである。室温に冷却した後、触媒13を得た。
【0085】
実施例14
触媒14は、担体としての79%のCeO/ZrO(80%のCeO、20%のZrO)及びV(4%)、Sb(10%)、SiO(7%)を含有する、ハニカムコージエライト担体基材上への被覆によって合成した。合成手順は触媒8の手順と同じである。室温に冷却した後、触媒14を得た。
【0086】
実施例15
触媒15は、担体としての79%のAl及びV(4%)、Sb(10%)、SiO(7%)を含有する、ハニカムコージエライト担体基材上への被覆によって合成した。合成手順は触媒8の手順と同じである。室温に冷却した後、触媒15を得た。
【0087】
実施例16
触媒16は、担体としての79%のTiO及びV(4%)、Sb(10%)、Al(7%)を含有する、ハニカムコージエライト担体基材上への被覆によって合成した。合成手順は触媒3の手順と同じである。室温に冷却した後、触媒16を得た。
【0088】
実施例17
触媒17は、担体としての79%のTiO及びV(4%)、Sb(10%)、ZrO(7%)を含有する、ハニカムコージエライト担体基材上への被覆によって合成した。合成手順は触媒3の手順と同じである。室温に冷却した後、触媒17を得た。
【0089】
実施例18
触媒18は、担体としての79%のTiO及びV(4%)、Sb(10%)、SiO(7%)を含有する、ハニカムコージエライト担体基材上への被覆によって合成した。合成手順は、V及びSbの前駆体をメタバナジン酸アンモニウム及びエチレングリコールアンチモンに変更したことを除いて、触媒3の手順と同様である。室温に冷却した後、触媒18を得た。
【0090】
実施例19
触媒19は、担体としての79%のTiO及びV(4%)、Sb(10%)、SiO(7%)を含有する、ハニカムコージエライト担体基材上への被覆によって合成した。合成手順は、か焼温度を600℃/3時間に変更したことを除いて、触媒3の手順と同様である。室温に冷却した後、触媒19を得た。
【0091】
実施例20
触媒20は、担体としての82%のTiO及びV(4%)、Sb(7%)、SiO(7%)を含有する、ハニカムコージエライト担体基材上への被覆によって合成した。合成手順は触媒3の手順と同じである。室温に冷却した後、触媒20を得た。
【0092】
実施例21
触媒21は、担体としての77%のTiO及びV(4%)、Sb(12%)、SiO(7%)を含有する、ハニカムコージエライト担体基材上への被覆によって合成した。合成手順は触媒3の手順と同じである。室温に冷却した後、触媒21を得た。
【0093】
実施例22(比較例1)
比較触媒1は、担体としての96%のTiO及びV(2%)、Sb(2%)を含有する、ハニカムコージエライト担体基材上への被覆によって合成した。合成手順は触媒1の手順と同じである。室温に冷却した後、比較触媒1を得た。
【0094】
実施例23(比較例2)
比較触媒1を空気中600℃(熱老化)で50時間さらにか焼した。室温に冷却した後、比較触媒2を得た。
【0095】
実施例24(比較例3)
比較触媒3は、担体としての86%のTiO及びV(4%)、Sb(10%)を含有する、ハニカムコージエライト担体基材上への被覆によって合成した。合成手順は触媒3の手順と同じである。室温に冷却した後、比較触媒3を得た。
【0096】
実施例25(比較例4)
比較触媒3を空気中600℃(熱老化)で50時間さらにか焼した。室温に冷却した後、比較触媒4を得た。
【0097】
実施例26(比較例5)
比較触媒5は、担体としての77%のTiO及びV(7%)、Sb(16%)を含有する、ハニカムコージエライト担体基材上への被覆によって合成した。合成手順は触媒6の手順と同じである。室温に冷却した後、比較触媒5を得た。
【0098】
実施例27(比較例6)
比較触媒5を空気中600℃(熱老化)で50時間さらにか焼した。室温に冷却した後、比較触媒6を得た。
【0099】
実施例28
触媒1~21及び比較触媒1~6を、NOx還元用のディーゼルSCR触媒として試験した。試験のために全ての触媒を固定実験室シミュレータに入れた。各試験で7gの触媒量を使用した。供給ガス成分は、500ppmのNH、500ppmのNO、10%のHO、5%のO及びNである。空間速度は60,000h-1である。活性試験の結果を表1に列挙する。
【0100】
【表1】
【0101】
本発明を、実用的な例示的実施形態に関連して記述してきたが、本発明は開示した実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に含まれる様々な変形例及び均等物を含むものである。
図1
図2