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特許7309854中枢神経系に沿って治療するためのシステム、カテーテル、および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】中枢神経系に沿って治療するためのシステム、カテーテル、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20230710BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
A61M1/00 140
A61B5/00 G
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021506461
(86)(22)【出願日】2019-08-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 US2019045811
(87)【国際公開番号】W WO2020033773
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】62/716,335
(32)【優先日】2018-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/844,566
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520306831
【氏名又は名称】ミネトロニクス ニューロ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MINNETRONIX NEURO,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ベイス、アビー
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0201962(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0025489(US,A1)
【文献】国際公開第2017/062606(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0142983(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0133798(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の複数の生理学的パラメータの値に基づいて患者の状態を管理する炎症管理システムであって、
1つまたは複数の入力デバイスと通信するように構成されたポートであって、前記ポートは、前記1つまたは複数の入力デバイスから患者の2つ以上の生理学的パラメータに関連する複数の値を受信するように構成されており、前記2つ以上の生理学的パラメータの複数の値は、CTスキャンからの正中偏位の値、血液量の値、及び浮腫量の値を含む、前記ポートと、
前記患者の前記2つ以上の生理学的パラメータに関連する受信された複数の値を格納するメモリと、
前記ポートおよび前記メモリに動作可能に接続されたプロセッサであって、前記患者の前記2つ以上の生理学的パラメータに関連する受信された複数の値に基づいて指標値を決定し、前記指標値に基づいて前記患者の炎症状態がいつ治療状態に達するかを特定するように構成された前記プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記ポートを介して、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことを確定する1つまたは複数の指示を出力するように構成されており、
前記指標値は、mass effect指標の値に基づくものであり、
前記mass effect指標は、前記CTスキャンからの正中偏位の受信した値、前記血液量の受信した値、及び前記浮腫量の受信した値に基づくものである、炎症管理システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記患者の炎症状態がいつ治療状態に達したかを特定したことに応答して、前記患者の脳脊髄液に対して治療を実行するための脳脊髄液管理モジュールへの制御信号を出力するように構成されている、請求項1に記載の炎症管理システム。
【請求項3】
前記ポートを介して前記プロセッサと通信するユーザーインタフェースをさらに備え、
前記プロセッサは、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことを特定したことに応答して、提案された治療プロトコルをユーザーインタフェース上に表示させるように構成されている、請求項1または2に記載の炎症管理システム。
【請求項4】
前記指標値は、脳炎症指標の値に基づくものであり、前記2つ以上の生理学的パラメータの複数の値は、白血球数(white blood cell count : WBC)の値、体温の値、心拍変動の値、及びフォトプレチスモグラフィの値を含む、請求項1に記載の炎症管理システム。
【請求項5】
前記2つ以上の生理学的パラメータの複数の値は、頭蓋内圧の値、患者の脳内の水の値、および脳組織の値を含む、請求項1に記載の炎症管理システム。
【請求項6】
前記指標値は、国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値に基づくものであり、前記2つ以上の生理学的パラメータの複数の値は、意識レベルの値、瞳孔計による眼の測定値、運動技能の値、感覚の値、および言語技能の値を含む、請求項1に記載の炎症管理システム。
【請求項7】
前記指標値は、流体管理指標の値に基づくものであり、前記2つ以上の生理学的パラメータの複数の値は、血圧の値、流体入出力の値、脳灌流圧の値、ナトリウム含有量の値、及びカリウム含有量の値を含む、請求項1に記載の炎症管理システム。
【請求項8】
前記指標値は、グラスゴー昏睡スケール指標の値に基づくものであり、前記2つ以上の生理学的パラメータの複数の値は、眼の測定値の値、運動技能の値、及び言語技能の値を含む、請求項1に記載の炎症管理システム。
【請求項9】
前記指標値は、複数の副指標値に基づく、請求項1~8のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
【請求項10】
前記複数の副指標値は、炎症指標の値、前記masseffect指標の値、国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値、流体管理指標の値、およびグラスゴー昏睡スケール指標の値のうちの2つ以上の値を含む、請求項9に記載の炎症管理システム。
【請求項11】
前記治療状態は、前記患者のクモ膜下出血に関連する状態であり、前記指標値は、炎症指標の値、前記mass effect指標の値、国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値、および流体管理指標の値に基づく、請求項1~10のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
【請求項12】
前記治療状態は、前記患者の頭蓋内出血に関連する状態であり、前記指標値は、炎症指標の値、前記mass effect指標の値、および国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値に基づく、請求項1~10のいずれか一項記載の炎症管理システム。
【請求項13】
前記治療状態は、前記患者の外傷性脳損傷に関連する状態であり、前記指標値は、炎症指標の値、前記mass effect指標の値、およびグラスゴー昏睡スケール指標の値に基づく、請求項1~10のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
【請求項14】
前記指標値は、前記患者の経時的な炎症状態の傾向を示す、請求項1~13のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
【請求項15】
コンピューティングデバイスによって使用するためのプログラムコードを非一時的な状態で格納したコンピュータ可読媒体であって、前記プログラムコードは、前記コンピューティングデバイスに炎症を管理させるために患者の状態を治療する方法を実行させ、前記方法は、
患者の2以上の生理学的パラメータに関連する複数の値をメモリに格納することであって、前記2つ以上の生理学的パラメータに関連する複数の値は、CTスキャンからの正中偏位の値、血液量の値、及び浮腫量の値を含む、前記格納すること
前記メモリに格納された前記患者の前記2つ以上の生理学的パラメータに関連する複数の値に基づいて、指標値を決定することであって、前記指標値は、mass effect指標の値に基づくものであり、前記mass effect指標は、前記CTスキャンからの正中偏位の値、前記血液量の値、及び前記浮腫量の値に基づくものである、前記指標値を決定すること、
前記指標値に基づいて、前記患者の炎症状態がいつ治療状態に達するかを特定すること、
前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことを特定したことに応答して、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことの指示を自動的に出力すること、を備える、コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことの指示を自動的に出力することは、
脳脊髄液管理モジュールに制御信号を出力して、前記脳脊髄液管理モジュールに前記患者の脳脊髄液の治療プロトコルを実行するように指示すること、を含む、請求項15に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記方法は、
前記指標値に基づいて、前記患者の脳脊髄液を治療する治療プロトコルを自動的に選択すること、をさらに備える、請求項16に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことの指示を自動的に出力することは、
前記炎症状態の治療のための提案された治療プロトコルをユーザーインタフェース上に表示することを含む、請求項15~17のいずれか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記方法は、
前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことを特定したことに応答して、前記指標値に基づいて前記炎症状態の治療のために提案された治療プロトコルを自動的に選択すること、をさらに備える、請求項18に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記指標値を決定することは、
複数の副指標値を処理することを含む、請求項15~19のいずれか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項21】
前記複数の副指標値は、炎症指標の値、前記masseffect指標の値、国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値、流体管理指標の値、およびグラスゴー昏睡スケール指標の値のうちの2つ以上の値を含む、請求項20に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項22】
前記指標値は、前記患者の経時的な炎症状態の傾向を示す、請求項15~21のいずれか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条の下で2018年8月8日に出願された米国仮特許出願第62/716,335号、2019年5月7日に出願された米国仮特許出願第62/844,566号に対する優先権の利益を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、中枢神経系に沿って診断および治療を行うためのシステム、モジュール、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
種々様々な医療用デバイス、システム、および方法が医療用に開発されてきた。これらのデバイス、システム、および方法のうちのいくつかは、制御システム、ポンプ、ガイドワイヤ、カテーテルなどを備えている。これらのデバイスおよびシステムは様々な異なる製造方法のうち任意の1つによって製造され、かつ様々な方法のうち任意の1つに従って使用されうる。既知の医療用デバイス、システム、及び方法のうち、各々がある一定の長所及び欠点を有している。代替的医療用デバイス並びに医療用デバイスを製造及び使用するための代替法を提供することが、現在もなお必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、医療用デバイスおよび/またはシステムの構成、材料、製造方法、および使用代替物を提供する。特定の例は、炎症管理システムを含む。炎症管理システムは、コントローラと、前記コントローラと通信する脳脊髄液管理モジュールと、を備え、前記コントローラは、患者の1つまたは複数の生理学的パラメータの測定値を監視すること、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値を閾値と比較すること、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値と前記閾値との比較に基づいて、前記脳脊髄液管理モジュールを制御すること、を実行するように構成されている。
【0005】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記コントローラは、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値が前記閾値に達するかまたは前記閾値を超えた場合、前記患者の脳脊髄液に対して治療を実行するように前記脳脊髄液管理モジュールを自動的に制御するように構成されている。
【0006】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記患者の脳脊髄液に対する治療は、前記監視された測定値に関連する生理学的パラメータのタイプに基づく所定の治療である。
【0007】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記患者の脳脊髄液に対する治療は、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値の比較と、監視された測定値に関連する生理学的パラメータのタイプとに基づく所定の治療である。
【0008】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値は、前記患者の2つ以上の生理学的パラメータの測定値に関連する指標値である。
【0009】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記指標値は、前記患者の2つ以上の生理学的パラメータの測定値に基づく指標の値である。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記指標値は、2つ以上の副指標に基づく指標の値であり、前記2つ以上の副指標のうちの各副指標は、前記患者の2つ以上の生理学的パラメータの測定値に基づく。
【0010】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値は、前記1つまたは複数の生理学的パラメータのうちの生理学的パラメータの測定値の値である。
【0011】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記1つまたは複数の生理学的パラメータは、頭蓋内圧、脳圧灌流、平均動脈圧、心拍数、脳酸素化、脳血流およびサイトカインレベルからなる群から選択される1つまたは複数の生理学的パラメータを含む。
【0012】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールは、冷却処理モジュールを含む。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールは、濾過処理モジュールを含む。
【0013】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールは、冷却処理モジュールおよび濾過処理モジュールを含む。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールは、脳脊髄液を前記患者から処理モジュールにポンプ輸送するように構成されたポンプを有する循環モジュールを含む。
【0014】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記コントローラと通信する通信ポートをさらに備え、前記通信ポートは、前記コントローラによって監視される患者の1つまたは複数の生理学的パラメータの測定値を受信するように構成されている。
【0015】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記コントローラと通信する通信ポートをさらに備え、前記通信ポートは、前記脳脊髄液管理モジュールと前記コントローラとの間の通信を可能にするように構成されている。
【0016】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記コントローラと通信し、ワイヤレスネットワークを介した前記コントローラとデバイスとの間の通信を可能にするように構成されたワイヤレス通信ポートをさらに備える。
【0017】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記コントローラと通信するユーザーインタフェースをさらに備え、前記ユーザーインタフェースは、前記コントローラの動作を変更する入力を受け取るように構成されている。
【0018】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記ユーザーインタフェースは、選択可能な区画内の前記患者の医用画像と、前記選択可能な区画に隣接する前記ユーザーインタフェース上のリアルタイム更新区画位置における前記患者の前記1つまたは複数の生理学的パラメータの測定値および前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値の一方または両方とを表示するように構成されている。
【0019】
他の例は、脳脊髄液循環システムを含む。脳脊髄液循環システムは、コントローラと、前記コントローラと通信する循環管理モジュールと、前記コントローラと通信する脳脊髄液治療管理モジュールと、を備え、前記コントローラは、患者の1つまたは複数の生理学的パラメータの測定値に基づいて、前記循環管理モジュールおよび前記脳脊髄液治療管理モジュールを自動的に制御するように構成されている。
【0020】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記コントローラは、所定の脳脊髄液流量を維持するように前記循環管理モジュールを制御するように構成されている。
【0021】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記コントローラは、脳脊髄液圧を設定値レベル以下に維持するように前記循環管理モジュールを制御するように構成されている。
【0022】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理治療モジュールは、1つまたは複数の交換可能な処理モジュールを含むように構成されている。
【0023】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記1つまたは複数の交換可能な処理モジュールは、冷却処理モジュールおよび濾過処理モジュールからなる群から選択される1つまたは複数の処理モジュールを含む。
【0024】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液治療管理モジュールは、冷却処理モジュールを含む。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記コントローラが、前記患者の生理学的パラメータの測定値に関連する値が閾値に達するかまたは閾値を超えると判定した場合、前記コントローラが、前記冷却処理モジュールの動作を調整して脳脊髄液を所定時間冷却しながら、前記循環管理モジュールの動作を調整して脳脊髄液を動的に能動的に排出するように、前記コントローラは構成されている。
【0025】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液治療管理モジュールは、濾過処理モジュールを含む。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記コントローラが、前記患者の生理学的パラメータの測定値に関連する値が閾値に達するかまたは閾値を超えると判定した場合、前記コントローラが、前記濾過処理モジュールの動作を調整して脳脊髄液から汚染物質を濾過しながら、前記循環管理モジュールの動作を調整して脳脊髄液を所定の流量で循環させるように、前記コントローラは構成されている。
【0026】
他の例は、炎症を管理する方法を含む。該方法は、患者の1つまたは複数の生理学的パラメータの測定値を経時的に監視すること、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値を閾値と比較すること、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値と前記閾値との比較に基づいて、脳脊髄液管理モジュールの動作を調整すること、を備える。
【0027】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値と前記閾値との差分を決定すること、をさらに備え、前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整することは、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値と前記閾値との決定された差分に基づく。
【0028】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整することは、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値と前記閾値との比較に基づいて自動的に開始される。
【0029】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整することは、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値が最初に前記閾値に達したかまたは前記閾値を超えたことに応答して治療開始プロトコルを開始する。
【0030】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整することは、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値が最初に前記閾値に達したかまたは前記閾値を超えた後の二度目に前記閾値に達したかまたは前記閾値を超えたことに応答して治療停止プロトコルを開始する。
【0031】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整することは、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値が前記閾値に達したかまたは前記閾値を超えたことに応答して治療停止プロトコルを開始する。
【0032】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整することは、監視された測定値に関連する生理学的パラメータのタイプに基づいて所定の治療プロトコルを開始する。 上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整することは、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値と前記閾値との比較、および監視された測定値に関連する生理学的パラメータのタイプに基づいて、所定の治療プロトコルを開始する。
【0033】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整することは、前記脳脊髄液管理モジュールに冷却処理プロトコルを開始させる。
【0034】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整することは、前記脳脊髄液管理モジュールに濾過処理プロトコルを開始させる。
【0035】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整することは、前記脳脊髄液管理モジュールに濾過処理プロトコルおよび冷却処理プロトコルを開始させる。
【0036】
他の例は、コンピューティングデバイスによって使用するためのプログラムコードを非一時的な状態で格納したコンピュータ可読媒体を含み、前記プログラムコードは、前記コンピューティングデバイスに炎症を管理する方法を実行させ、前記方法は、1つまたは複数の生理学的パラメータの1つまたは複数の測定値に関連する値を決定すること、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの1つまたは複数の測定値に関連する値を閾値と比較すること、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの1つまたは複数の測定値に関連する値と前記閾値との比較に基づいて、脳脊髄液管理モジュールの動作を調整するための制御信号を出力すること、を備える。
【0037】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記方法は、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの1つまたは複数の測定値に関連する値と前記閾値との差分を決定すること、をさらに備え、前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整する制御信号は、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの1つまたは複数の測定値に関連する値と前記閾値との決定された差分に基づく。
【0038】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記制御信号を出力することは、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの1つまたは複数の測定値に関連する値と前記閾値との比較に基づいて自動的に開始される。
【0039】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整する出力される制御信号は、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの1つまたは複数の測定値に関連する値が最初に前記閾値に達したかまたは前記閾値を超えたことに応答して治療開始プロトコルを開始するように構成されている。
【0040】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整する出力される制御信号は、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの1つまたは複数の測定値に関連する値が最初に前記閾値に達したかまたは前記閾値を超えた後の二度目に前記閾値に達したかまたは前記閾値を超えたことに応答して治療停止プロトコルを開始するように構成されている。
【0041】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整する出力される制御信号は、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの1つまたは複数の測定値に関連する値が前記閾値に達したかまたは前記閾値を超えたことに応答して治療停止プロトコルを開始するように構成されている。
【0042】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整する出力される制御信号は、前記1つまたは複数の測定値に関連する生理学的パラメータのタイプに基づいて所定の治療プロトコルを開始するように構成されている。
【0043】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整する出力される制御信号は、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの1つまたは複数の測定値に関連する値と前記閾値との比較、および前記1つまたは複数の測定値に関連する生理学的パラメータのタイプに基づいて、所定の治療プロトコルを開始するように構成されている。
【0044】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整する出力される制御信号は、脳脊髄液管理モジュールに冷却処理プロトコルを開始させる。
【0045】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整する出力される制御信号は、脳脊髄液管理モジュールに濾過処理プロトコルを開始させる。
【0046】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整する出力される制御信号は、脳脊髄液管理モジュールに濾過処理プロトコルおよび冷却処理プロトコルを開始させる。
【0047】
他の例は、患者の複数の生理学的パラメータの値に基づいて患者の状態を管理する炎症管理システムを含む。炎症管理システムは、1つまたは複数の入力デバイスと通信するように構成されたポートであって、前記1つまたは複数の入力デバイスから患者の1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する値を受信するように構成される前記ポートと、前記患者の1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する受信された値を格納するメモリと、前記ポートおよび前記メモリに動作可能に接続されたプロセッサであって、前記患者の1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する受信された値を処理し、前記患者の1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する処理された前記受信された値に基づいて前記患者の炎症状態がいつ治療状態に達するかを特定するように構成された前記プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記ポートを介して、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことを確定する1つまたは複数の指示を出力するように構成されている。
【0048】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記プロセッサは、前記患者の炎症状態がいつ治療状態に達したかを特定したことに応答して、前記患者の脳脊髄液に対して治療を実行するための脳脊髄液管理モジュールへの制御信号を出力するように構成されていることができる。
【0049】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記炎症管理モジュールは、前記ポートを介して前記プロセッサと通信するユーザーインタフェースをさらに備え、前記プロセッサは、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことを特定したことに応答して、提案された治療プロトコルをユーザーインタフェース上に表示させるように構成されていることができる。
【0050】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記プロセッサは、前記1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する受信された値に基づいて指標値を決定し、前記指標値に基づいて前記患者の炎症状態がいつ治療状態に達するかを特定するように構成されていることができる。
【0051】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記受信された値は、2つ以上の生理学的パラメータに関連し、前記指標値は、少なくとも2つの生理学的パラメータの受信された値に基づいて決定されることができる。
【0052】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記指標値は、脳炎症指標の値であり、前記少なくとも2つの生理学的パラメータの値は、白血球数(white blood cell count : WBC)の値、体温の値、心拍変動の値、及びフォトプレチスモグラフィの値を含むことができる。
【0053】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記指標値は、mass effect指標の値であり、前記少なくとも2つの生理学的パラメータの値は、CTスキャンからの正中偏位の値、血液量の値、浮腫量の値、頭蓋内圧の値、患者の脳内の水の値、および脳組織の値を含むことができる。
【0054】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記指標値は、国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値であり、前記少なくとも2つの生理学的パラメータの値は、意識レベルの値、瞳孔計による眼の測定値、運動技能の値、感覚の値、および言語技能の値を含むことができる。
【0055】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記指標値は、流体管理指標の値であり、前記少なくとも2つの生理学的パラメータの値は、血圧の値、流体入出力の値、脳灌流圧の値、ナトリウム含有量の値、及びカリウム含有量の値を含むことができる。
【0056】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記指標値は、グラスゴー昏睡スケール指標の値であり、前記少なくとも2つの生理学的パラメータの値は、眼の測定値の値、運動技能の値、及び言語技能の値を含むことができる。
【0057】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記指標値は、複数の副指標値に基づく。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の副指標値は、炎症指標の値、mass effect指標の値、国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値、流体管理指標の値、およびグラスゴー昏睡スケール指標の値のうちの2つ以上の値を含むことができる。
【0058】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記治療状態は、前記患者のクモ膜下出血に関連する状態であり、前記指標値は、炎症指標の値、mass effect指標の値、国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値、および流体管理指標の値に基づく。
【0059】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記治療状態は、前記患者の頭蓋内出血に関連する状態であり、前記指標値は、炎症指標の値、mass effect指標の値、および国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値に基づく。
【0060】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記治療状態は、前記患者の外傷性脳損傷に関連する状態であり、前記指標値は、炎症指標の値、mass effect指標の値、およびグラスゴー昏睡スケール指標の値に基づく。
【0061】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記指標値は、前記患者の経時的な炎症状態の傾向を示すことができる。
他の例は、患者の状態を治療するために炎症を管理する方法を含み、該方法は、患者の複数の生理学的パラメータに関連する測定値を受信すること、プロセッサが、前記患者の1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する値を処理すること、前記プロセッサが、前記患者の前記1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する処理された値に基づいて前記患者の炎症状態が治療状態に達したことを特定すること、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことを特定したことに応答して、前記プロセッサと通信するポートを介して、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことの指示を自動的に出力すること、を備える。
【0062】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことの指示を出力することは、前記プロセッサから脳脊髄液管理モジュールに制御信号を出力して、前記脳脊髄液管理モジュールに前記患者の脳脊髄液の治療を実行するように指示すること、を含むことができる。
【0063】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記方法は、前記患者の前記複数の生理学的パラメータに関連する処理された値に基づいて、前記プロセッサが、前記患者の脳脊髄液を治療するための治療を自動的に選択すること、をさらに備えることができる。
【0064】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことの指示を出力することは、前記炎症状態の治療のための提案された治療プロトコルをユーザーインタフェースに表示すること、を含むことができる。
【0065】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記方法は、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことを特定したことに応答して、前記患者の前記1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する処理された値に基づいて、前記プロセッサが、治療プロトコルモジュールから提案された治療プロトコルを自動的に選択すること、をさらに備えることができる。
【0066】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記患者の前記1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する値を処理することは、前記患者の前記1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する値に基づいて指標値を決定すること、を含み、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことを特定することは、前記指標値に基づく。
【0067】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、受信された前記患者の前記1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する値は、前記患者の2つ以上の生理学的パラメータに関連し、前記指標値は、少なくとも2つの生理学的パラメータの値に基づいて決定されることができる。
【0068】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記指標値は、脳炎症指標の値であり、前記少なくとも2つの生理学的パラメータの値は、白血球数(white blood cell count : WBC)の値、体温の値、心拍変動の値、及びフォトプレチスモグラフィの値を含むことができる。
【0069】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記指標値は、mass effect指標の値であり、前記少なくとも2つの生理学的パラメータの値は、CTスキャンからの正中偏位の値、血液量の値、浮腫量の値、頭蓋内圧の値、患者の脳内の水の値、および脳組織の値を含むことができる。
【0070】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記指標値は、国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値であり、前記少なくとも2つの生理学的パラメータの値は、意識レベルの値、眼の測定値、運動技能の値、感覚の値、および言語技能の値を含むことができる。
【0071】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記指標値は、流体管理指標の値であり、前記少なくとも2つの生理学的パラメータの値は、血圧の値、流体入出力の値、脳灌流圧の値、ナトリウム含有量の値、及びカリウム含有量の値を含むことができる。
【0072】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記指標値は、グラスゴー昏睡スケール指標の値であり、前記少なくとも2つの生理学的パラメータの値は、眼の測定値の値、運動技能の値、及び言語技能の値を含むことができる。
【0073】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記指標値を決定することは、複数の副指標値を処理することを含むことができる。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の副指標値は、炎症指標の値、mass effect指標の値、国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値、流体管理指標の値、およびグラスゴー昏睡スケール指標の値のうちの2つ以上の値を含むことができる。
【0074】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記治療状態は、前記患者のクモ膜下出血に関連する状態であり、前記指標値は、炎症指標の値、mass effect指標の値、国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値、および流体管理指標の値に基づく。
【0075】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記治療状態は、前記患者の頭蓋内出血に関連する状態であり、前記指標値は、炎症指標の値、mass effect指標の値、および国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値に基づく。
【0076】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記治療状態は、前記患者の外傷性脳損傷に関連する状態であり、前記指標値は、炎症指標の値、mass effect指標の値、およびグラスゴー昏睡スケール指標の値に基づくことができる。
【0077】
他の例は、コンピューティングデバイスによって使用するためのプログラムコードを非一時的な状態で格納したコンピュータ可読媒体を含み、前記プログラムコードは、前記コンピューティングデバイスに炎症を管理させるために患者の状態を治療する方法を実行させ、前記方法は、患者の1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する値をメモリに格納すること、前記メモリに格納された前記患者の1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する値に基づいて、指標値を決定すること、前記指標値に基づいて、前記患者の炎症状態が治療状態に達したことを特定すること、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことを特定したことに応答して、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことの指示を自動的に出力すること、を備える。
【0078】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことの指示を自動的に出力することは、脳脊髄液管理モジュールに制御信号を出力して、前記脳脊髄液管理モジュールに前記患者の脳脊髄液の治療プロトコルを実行するように指示すること、を含むことができる。
【0079】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記方法は、前記指標値に基づいて、前記患者の脳脊髄液を治療する治療プロトコルを自動的に選択すること、をさらに備えることができる。
【0080】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことの指示を自動的に出力することは、前記炎症状態の治療のための提案された治療プロトコルをユーザーインタフェース上に表示することを含むことができる。
【0081】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記方法は、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことを特定したことに応答して、前記指標値に基づいて前記炎症状態の治療のために提案された治療プロトコルを自動的に選択すること、をさらに備えることができる。
【0082】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記指標値を決定することは、複数の副指標値を処理することを含むことができる。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の副指標値は、炎症指標の値、mass effect指標の値、国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値、流体管理指標の値、およびグラスゴー昏睡スケール指標の値のうちの2つ以上の値を含むことができる。
【0083】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記指標値は、前記患者の経時的な炎症状態の傾向を示すことができる。
他の例は、患者の複数の生理学的パラメータの値に基づいて患者の状態を管理する炎症管理システムを含み、該炎症管理システムは、1つまたは複数の入力デバイスと通信するように構成されたポートであって、前記1つまたは複数の入力デバイスから患者の複数の生理学的パラメータに関連する値を受信するように構成される前記ポートと、前記患者の複数の生理学的パラメータに関連する受信された値を格納するメモリと、前記ポートおよび前記メモリに動作可能に接続されたプロセッサであって、前記患者の複数の生理学的パラメータに関連する受信された値を処理し、前記複数の生理学的パラメータに関連する受信された値に基づいて前記患者の経時的な炎症状態の傾向を示す指標値を設定するように構成される前記プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記ポートを介して、前記指標値に基づく指示を出力するように構成されていることができる。
【0084】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記指標値に基づく指示は、前記患者の炎症状態が治療状態に達したことを確定する指示を含むことができる。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記指標値に基づく指示は、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことに応答して、前記患者の脳脊髄液に対して治療を実行するための脳脊髄液管理モジュールへの制御信号を含むことができる。
【0085】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記ポートを介して前記プロセッサと通信するユーザーインタフェースであって、前記患者の経時的な複数の生理学的パラメータに関連する値を表示する第1の区画と、第2の区画と、を含む前記ユーザーインタフェースをさらに備え、前記指標値に基づく指示は、前記第1の区画に前記指標値を表示するための前記プロセッサから前記ユーザーインタフェースへの制御信号を含むことができる。
【0086】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記指標値は、可能性のある指標値の範囲に関して前記第1の区画に表示され、前記患者の複数の生理学的パラメータに関連する値は、所定の期間に関して第2の区画に表示されることができる。
【0087】
いくつかの実施形態の上記した要約は、本開示の開示された各実施形態またはすべての実装を説明することを意図していない。以下の図面および詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
本開示は、添付の図面に関連して以下の詳細な説明を考慮すると、より完全に理解され得る。
図1図1は、患者と通信する例示的な炎症管理システムの概略図である。
図2図2は、炎症管理システムの概略ブロック図である。
図3図3は、炎症管理システムのユーザーインタフェースの例示的なディスプレイの概略図である。
図4図4は、患者と共に使用される炎症管理システムの概略フロー図である。
図5図5は、炎症を管理する例示的な方法の概略フロー図である。
図6図6は、炎症を管理する例示的な方法の概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0089】
本開示は、様々な修正形態および代替形態が可能であるが、その詳細は、例として図面に示されており、詳細に説明される。しかしながら、その意図は、記載された特定の実施形態に本開示を限定することではないことを理解されたい。それどころか、その意図は、本開示の趣旨および範囲に含まれるすべての修正、均等物、および代替物を網羅することである。
【0090】
脳卒中、頭蓋内出血、外傷性脳損傷(traumatic brain injury : TBI)、クモ膜下出血の発生によって、年間110万人以上が入院している。急性虚血性脳卒中だけでも年間70万人が入院している。(例えば、外傷、出血、脳卒中などによって生じる)急性脳損傷は、さまざまな程度で発生する可能性があり、脳が治癒過程を経ることを必要とする場合がある。
【0091】
脳損傷患者は、発熱、発作、腫れ、および/または高い頭蓋内圧(high intracranial pressure)に対処する可能性がある。以下で説明するように、今日の医師は、脳損傷の診断、治療、および治癒を支援するために自由に使えるツールが限られている。
【0092】
急性脳損傷のために神経集中治療室(neurological intensive care unit : NICU)に入院した患者の4分の1から2分の1以上が発熱を発症する。これらの患者の発熱の原因は、多くの場合、説明されていないままである。視床下部による体温の生理学的調節の喪失に関連する中枢性発熱(central fever)は、感染の証拠がない急性脳損傷患者における持続的な発熱の可能性のある原因として多くの場合に提案される。温熱療法は、急性損傷した脳の回復に非常に有害であり、NICUでの滞在期間の延長に寄与するため、体温を正常な「活動(operating)」温度(例えば、摂氏37.0度(華氏98.6度(F)))に戻す技術は、炎症を最小限に抑え、損傷した脳の治癒を回復させるのに重要な役割を果たす。
【0093】
てんかん重積状態(Status epilepticus : SE)は、てんかんの発作と発作との間に意識の回復がない状態であり、米国では毎年最大15万人の患者が罹患し、死亡率は3%~33%である。薬物(例えば、ベンゾジアゼピン、フェニトイン、および/またはフェノバルビタール)によるSEの初期治療は、典型的には、SE症例の30%~50%でSEを終わらせることができない。薬物による治療後にSEが治癒しないことによって、より長期の症例は治療がより困難になるため、特に問題となる可能性がある。難治性SEの制御に従来用いられている麻酔薬(例えば、ミダゾラム、ペントバルビタール、プロポフォール)の注入でさえ、症例の8%~21%で失敗する。さらに、発作、特に遷延する(prolonged)発作または発作の発症は、永続的な神経損傷のリスクをもたらす。現在の治療法の不完全な有効性と神経学的損傷の可能性を考慮すると、SE患者の脳損傷を治療および軽減するために、改善された診断と早期の治療が必要である。
【0094】
効果的な脳の酸素化(cerebral oxygenation)は適切な脳灌流圧を必要とし、急性脳損傷および/または他の状態を患う患者は不十分な脳灌流圧の影響を受けやすい可能性がある。脳灌流圧は、頭蓋内圧(intracranial pressure : ICP)または頸静脈圧(jugular venous pressure : JVP)のいずれか高い方によってもたらされる「抵抗(resistance)」に依存し得る。頭蓋内圧は、頭蓋内の軟組織、血液、およびCSFの相対的な比率によって決定される。健康な仰臥位の成人では、典型的なICPは、5~15mmHgであり、立位では大気圧以下(約10mmHg)となる。ICPの持続的な上昇は、患者の転帰に悪影響を与えることが示されており、頭蓋内圧亢進症(intracranial hypertension)(つまり、ICPの上昇)は、急性脳損傷またはその他の頭部損傷の患者の管理において修正可能な危険因子を提供する。ほとんどの場合、ICPの低下を治療するには、頭部挙上,鎮静,浸透圧療法などの比較的保守的な方法で十分である。しかし、年間50,000を超える症例では、これらの保守的な治療法を用いているにもかかわらず、ICPは上昇したままである。
【0095】
開示された概念は、急性脳損傷を有する患者の転帰を改善するように構成された方法で診断および/または治療し得る炎症管理システムを提供し得る。例えば、炎症管理システムは、急性脳損傷または他の頭部状態に関連する状態の早期診断を可能にするように構成されてもよく、および/または急性脳損傷または他の頭部状態に関連する状態を治療するように構成されてもよい。いくつかの事例では、炎症管理システムは、患者の脳脊髄液を状態調整することによって患者を診断治療するように構成され得る。
【0096】
脳脊髄液(Cerebrospinal fluid : CSF)は、脳内の脳室、具体的には脈絡叢で生産される、一般に透明で無色の流体である。脈絡叢は、1日に数回生じる毒素及び代謝産物を除去するためのCSFの洗い流し(flushing)又は再利用(recycling)に対応するために、毎日およそ500ミリリットルのCSFを生産する。脈絡叢から、CSFは流路(管)を通って脳及び脊柱を取り囲む空間に入り、その後身体内へと、ゆっくり流れる。CSFは、脳軟膜とクモ膜との間の、クモ膜下腔として知られる空間に見出される。CSFはさらに、脊髄の中心管と連続している脳内の脳室系の中及び周囲においても見出される。急性脳損傷(例えば、脳卒中又はその他の脳損傷)または他の頭部損傷の場合には、ある1つの位置(例えば脊柱の頚部、又は脳室)からCSFを取り出し、取り出したCSFを処理(例えば、状態調整)し、かつ取り出したCSFをある1つの位置および/または第2の位置(例えば脊柱の腰部)においてCSF腔に返戻することが望ましい可能性がある。
【0097】
Neurapheresis(商標)療法及び/又は他の好適な状態調整療法等の状態調整療法(conditioning therapies)は、CSFからの物質(例えば微生物、細胞、ウイルス、外来物質、薬物、これらの組み合わせなど)の除去をもたらし得る。急性脳損傷(例えば、脳卒中、TBI、脳炎)に関連した状態および/または他の頭部損傷に関連した状態の治療に使用されることに加えて、またはその代替として、これらの状態調整療法及びその他の治療技法は、多くの他の神経系の疾患又は状態、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、様々な原因による髄膜炎、ギラン‐バレー症候群(GBS)、多発性硬化症(MS)、HIV関連神経認知障害、脊髄損傷、脳血管痙攣、及びその他の疾患又は状態、を治療するために使用可能である。
【0098】
精製、状態調整、及び化合物除去のうち少なくともいずれかのスキーマ又はシステムは、広範囲にわたる生理学的なパラメータ及び流動に合わせて調整可能である。例えば、スキーマおよび/またはシステムは、具体的な疾患又は疾患群に合わせて適切に、大きさ、親和性、生化学的性質、温度、及び/またはその他の特徴のようないくつかの疾患の特徴に基づいて、策定されることが可能である。精製スキーマは、拡散、サイズ排除、固定化された抗体又は抗体フラグメントを使用するex‐vivoの免疫療法、疎水性/親水性、陰イオン性/陽イオン性、高/低結合親和性、キレート化剤、抗菌性、抗ウイルス性、抗DNA/RNA/アミノ酸、酵素系、及び磁気系のシステム並びにナノ粒子を用いるシステムのうち少なくともいずれかに基づくことができる。
【0099】
患者を監視する炎症管理システム(例えば、患者の状態の監視)及び/又はCS状態調整療法(例えば、Neurapheresis(商標)療法および/または他の状態調整療法)に使用する炎症管理システムに関し、開示された炎症管理システムは、患者の状態を診断することに応答して、CSF流の妨げを最小限として安全かつ迅速にCSF腔にアクセスするために使用可能である。本明細書中に開示されるシステム及びデバイスは、安全かつ迅速な流動回路を提供する。
【0100】
本明細書中に開示された炎症管理システム及び関連するデバイスは、安全かつ効率的に、ある1つの位置(例えば脊柱の頚部、又は脳室)からCSFを取り出すためにCSF腔にアクセスし、取り出されたCSFを状態調整又はその他の方法で処理し、そして状態調整されたCSFをCSF腔に、例えば第2の位置(例えば脊柱の腰部)において返戻するために使用可能である。様々な態様において、本明細書中に開示された炎症管理システム及び関連するデバイスは、内因性のICP又は脊髄内圧力を生理的範囲内に、例えば、約5~約20mmHg、又は約0~約10mmHg、又は約-5~約10mmHg、又は約-5~約25mmHgに、維持する。
【0101】
様々な様態において、本明細書中に開示される炎症管理システムおよび関連するデバイスは、再循環するフローループ(flow loops)を低減または排除して、炎症管理システムの効率を改善し得る。いくつかの態様では、炎症管理システムは、システム内の障害物又は遮断物を検知するためにカテーテル内又は流動回路内にセンサを備え、これにより閉ループの圧力制御を提供することができる。
【0102】
特定の態様では、炎症管理システムの入口と出口の間隔は、患者の頸部の高さよりも下に維持しながら最大になるように選択することができる。追加的にまたは代替的に、炎症管理システム及び関連するデバイスは、入口と出口との間の間隔を、例えば約10cm~約40cmの範囲内に維持する。ある実装では、間隔は約10cm~約30cmの範囲内である。
【0103】
特定の態様では、入口と出口との間隔は、椎骨の間隔に基づいて選択することができる。例えば、間隔は、入口と出口の間隔が約5個の椎骨から約12個の椎骨までの長さの範囲内にあるように選択され得る。ある実装では、椎骨およそ10個の間隔が選択されうるが;しかしながら、その他の構成(本明細書中他所に記述されるものなど)が利用されてもよい。そのような間隔を設計する場合、椎骨はおよそ2~3cmの長さであると仮定されてよいが、また一方でその他の計測値及び設計が使用されてもよい。
【0104】
ある実装では、炎症管理システムとともに使用するカテーテルのルーメンの特定の大きさ、形状、及び他の構成のうち少なくともいずれかは、カテーテルの障害物除去及びカテーテルが閉塞状態に抵抗する能力のうち少なくともいずれか一方を促進するように、選択可能である。例えば、およそ1.52ミリメートル(0.060インチ)~およそ1.78ミリメートル(0.070インチ)の範囲内の、基端側のルーメン外径、及びおよそ0.635ミリメートル(0.025インチ)~およそ1.52ミリメートル(0.060インチ)の範囲内の基端側の内径が、選択されてもよいが;また一方で、その他の構成(本明細書中他所に記述されるものなど)が利用されてもよい。いくつかの態様では、組織がいくつかの穴を塞いでいる場合に備えて、冗長性のためにカテーテルの入口および/または出口に沿って複数の穴があり得る。特定の実施形態では、カテーテルのねじれを低減するために、カテーテル内のコイル状ワイヤの特定のコイルピッチを選択することができる。
【0105】
開示された炎症管理システム及び関連するデバイスは、CSF腔にアクセスするために使用され、かつ脊柱の頚部(C1‐C7)、胸部(T1‐T12)、又は腰部(L1‐L5)のうち任意のアクセスポイントで使用可能である。頚部のアクセス部位は、脳内の脳室系にアクセスするために使用可能である。特定の実施形態では、システム及びデバイスは腰部にアクセスするために使用される。いくつかの実施形態では、炎症管理システムの入口及び出口は、ドレナージのプロセスにより組織がカテーテル中に引き込まれることのないように、脊柱に沿って位置付けられる。例えば、患者が手術台に横たわっている場合、進入は、脊柱にアクセスするために例えば約90度のような適切な角度で行われるとよい。従来のカテーテルは、L4‐L6領域における90度の屈曲部を通して押し込まれるはずである。本明細書中に開示された炎症管理システムの複数のコンポーネント(例えば、カテーテル及び関連する送達デバイスおよび/または他の周辺デバイス)は、それらがこの角度をなした屈曲部についてより容易かつ効率的にアクセス及び通行することが可能であるように、湾曲していてもよい。
【0106】
図に目を向けると、図1は、患者14と連通する炎症管理システムを概略的に示している。炎症管理システム10は、患者14と関連して使用されるように構成された1つまたは複数の周辺コンポーネント(peripheral components)12を含み得るか、またはそれらに接続するように構成され得る。いくつかの事例では、炎症管理システム10は、コントローラ16、ユーザーインタフェース18、1つ以上の通信ポート20、CSF管理モジュール22(例えば、冷却モジュール、濾過モジュール、および/または他の適切なモジュールを含むCSF治療管理モジュール)、循環管理モジュール23、および/または炎症管理システム10の動作での使用に適した1つ以上の他のコンポーネントを含み得る。いくつかの事例では、循環管理モジュール23は、コントローラ16およびCSF管理モジュール22とは分離していてもよいが、図1~3に示されるように、循環管理モジュール23の一部または全体が、コントローラ16およびCSF管理モジュール22の一方または両方に組み込まれてもよい。
【0107】
炎症管理システム10の各コンポーネントは、互いに直接通信するように構成され得る。あるいは、炎症管理システム10の1つまたは複数のコンポーネントは、コントローラ16を介して別のコンポーネントと通信するように構成されてもよい。例えば、周辺コンポーネント12からの測定値は、1つまたは複数の通信ポート20を介して受信され、コントローラ16に提供され得る。そして、コントローラ16は、CSF管理モジュール22と相互作用して、CSF管理モジュール22を使用して患者の診断および/または治療を実行することができる。コントローラ16は、循環管理モジュール23と相互作用して、所定のCSF流量および/またはCSF流体圧力を設定ポイントレベル未満および/または圧力レベルの範囲内に維持し得る。
【0108】
周辺コンポーネント12は、炎症管理システム10を用いて、患者14の診断を決定し、治療を適用することを可能にするように使用および/または構成されたコンポーネントを含み得る。例示的な周辺コンポーネント12は、カテーテル、センサ、電気コネクタ、機械コネクタ、および/または炎症管理システム10を用いた患者14の診断の決定および/または患者14への治療の適用を可能にするように構成された他のコンポーネントを含むが、これらに限定されない。
【0109】
周辺コンポーネント12は、埋め込み可能部分および/または体外部分を含み得る。いくつかの事例では、周辺コンポーネント12の埋め込み可能部分および体外部分の一方または両方は、単回使用機能を有してもよく、その使用後に処分されてもよいが、これは必須ではない。
【0110】
埋め込み可能部分は、患者14の1つ以上の生理学的パラメータの測定値を検知するように構成された1つ以上のセンサ(例えば、成分センサ(constituent sensors)、圧力センサ、温度センサ、流量センサ、酸素センサなど)を含み、炎症管理システム10によって用いられて、流体の温度、圧力、及び/又は他の適切なパラメータを制御するために使用され得る。特定の例では、周辺コンポーネント12の埋め込み可能部分は、炎症管理システム10(例えば、コントローラ16および/またはCSF管理モジュール22)に信号を送信する温度トランスデューサ(temperature transducer)および圧力トランスデューサを含み得る。周辺コンポーネント12の埋め込み可能部分は、頭蓋骨と硬膜(dura mater)との間、硬膜と脳との間、心室内、クモ膜下腔、および/または1つ以上の他の適切な位置を含むが、これらに限定されない患者の1つ以上の位置に配置され得る。いくつかの事例では、埋め込み可能部分は、体内に埋め込みされたときに患者の身体の外部に延びるコネクタを含み得る。代替的にまたは追加的に、埋め込み可能部分は、患者の体内に埋め込みされることなく、患者の身体に接続または結合されてもよい。
【0111】
体外部分は、炎症管理システム10の入力および/または出力に接続し、且つ埋め込み可能部分に接続するように構成された適切なコンポーネントであり、体外部分は、炎症管理システム10と埋め込み可能コンポーネントとの間のインターフェースとして作用し得る。周辺コンポーネント12の体外部分は、センサ、カテーテル、チューブ、他の細長いコンポーネント、および/または他の適切なコンポーネントであり得る、および/またはそれらを含み得る。例示的なセンサは、成分センサ、圧力センサ、流量センサ、温度センサ、酸素センサ、および/または炎症管理システム10に送るおよび/またはそこから出る流体を監視するように構成された他の適切なセンサであり得る。例示的なカテーテルは、流体を患者14に、および/または患者14から炎症管理システム10に移送するように構成された任意の適切なタイプのカテーテルであり得る。炎症管理システム10と共に使用可能な例示的なカテーテルは、2018年6月18日に出願され、「中枢神経系に沿って治療するためのシステム、カテーテル、および方法(SYSTEMS, CATHETERS, AND METHODS FOR TREATING ALONG THE CENTRAL NERVOUS SYSTEM)」と題する米国特許出願第62/286,413号(弁護士整理番号1421.1010120)に記載されており、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。他の適切なカテーテルが企図されている。
【0112】
図2は、炎症管理システム10の例示的な複数のコンポーネントを概略的に示している。図1に関して上述したように、炎症管理システム10は、他のコンポーネントの中でも、コントローラ16、ユーザーインタフェース18、複数の通信ポート20、CSF管理モジュール22、および循環管理モジュール23を含み得る。
【0113】
コントローラ16は、1つまたは複数のコンポーネントを含み得る。特定の例では、コントローラ16は、プロセッサ24、プロセッサ24と通信するメモリ26、プロセッサ24および/またはメモリ26と通信する複数の入力/出力(I/O)ポート28、および/または1つまたは複数の他のより適切なコンポーネントを含み得る。いくつかの事例では、メモリ26は、非時的なコンピュータ可読媒体であるかまたはそれを含み、非時的なコンピュータ可読媒体は、コントローラ16が自動化された方法で動作して、CSF管理モジュール22、ユーザーインタフェース18、および/または周辺コンポーネント12と通信する複数の通信ポート20から複数のI/Oポート28において受信された入力に基づいて、制御信号を複数のI/Oポート28を介してCSF管理モジュール22、循環管理モジュール23、炎症管理システム10の他のコンポーネント、および/または、炎症管理システム10とともに使用可能な他のコンポーネントに出力することを可能にするプロセッサ24によって実行されるソフトウェアまたは他の複数の命令を含むかおよび/または含むようにプログラムされる。追加的にまたは代替的に、コントローラ16は、CSF管理モジュール22および循環管理モジュール23から情報を受信し、および/または制御信号を通信ポート20を介して周辺コンポーネント、ユーザーインタフェース18、および/または通信ポート20に出力するように構成され得る。
【0114】
プロセッサ24は、単一のプロセッサまたは個別にまたは互いに動作する複数のプロセッサを含み得る。例示的な複数のプロセッサコンポーネントは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、マルチコアプロセッサ、グラフィカル処理ユニット、および/または他の適切なプロセッサコンポーネントを含み得るが、これらに限定されない。
【0115】
メモリ26は、単一のメモリコンポーネントまたは個別にまたは互いに動作する複数のメモリコンポーネントを含み得る。メモリの複数の例示的なタイプは、RAM、ROM、EEPROM、FLASH、その他の揮発性または不揮発性メモリ、またはコントローラ16に適したその他のメモリを含み得る。
【0116】
I/Oポート28は、CSF管理モジュール22、循環管理モジュール23、ユーザーインタフェース18、通信ポート20、および/または炎症管理システム10の1つ以上の他のコンポーネントと通信するように構成された任意のタイプの通信ポートであり得る。例示的なI/Oポートのタイプは、有線ポート、ワイヤレスポート、無線周波数(radio frequency : RF)ポート、Bluetooth(登録商標)ポート、近距離無線通信(Near-Field Communication : NFC)ポート、HDMIポート、イーサネットポート、VGAポート、シリアルポート、パラレルポート、コンポーネントビデオポート、Sビデオポート、複合オーディオ/ビデオポート、DVIポート、USBポート、光ポート、および/またはその他の適切なポートを含み得る。I/Oポート28は、コントローラ16の一部として示され、1つまたは複数の通信ポート20から分離されているが、追加および/または代替の例では、I/Oポート28は、1つまたは複数の通信ポート20の少なくとも一部であってもよく、またはコントローラ16から分離されていてもよい。
【0117】
ユーザーインタフェース18は、ユーザーが炎症管理システム10と対話することを可能にするように構成された任意の適切なタイプのユーザーインタフェースであり得る。例えば、ユーザーインタフェース18は、ディスプレイ30、入力/出力(I/O)デバイス32、および/またはユーザーが炎症管理システム10と対話することを可能にするように構成された他の適切なユーザーインタフェースコンポーネントを含み得る。ディスプレイ30は、タッチスクリーンを含み、LED、LDC、OLEDまたは他のディスプレイタイプであり得る。I/Oデバイス32は、ワークステーション、コンピュータ、コンピューティングデバイス、タブレットコンピュータ、電話、キーパッド、ディスプレイ、タッチスクリーン、タッチパッド、マウス、および/またはユーザーが炎症管理システム10と対話することを可能にする1つ以上の他の適切なコンポーネントのうちの1つ以上を含み、および/またはそれらのうちの1つ以上に組み込まれてもよい。
【0118】
図3に示されるように、ディスプレイ30は、炎症管理システム10が監視および/または治療している患者に関連する情報の表示を可能にするための任意の適切なディスプレイ構成を含み得る。いくつかの事例では、ディスプレイ30は、1つまたは複数の区画(pane)を含み得る(例えば、各区画は、目に見える境界によって分離されるかまたは分離されなくてもよい)。特定の例では、ディスプレイ30は、患者の1つ以上の医用画像を表示するための第1の区画30a(例えば、MRI、CTスキャン、X線、および/または患者の他の適切な医用画像)と、患者の1つ以上の生理学的パラメータ(例えば、頭蓋内出血(intracranial hemorrhage : ICH)の量、脳の炎症、白血球数(white blood cell count : WBC)、体温(TMP)、心拍変動(heart rate variability : HRV)、フォトプレチスモグラフィ(photoplethysmography : PPG)、脳のmass effect、CTスキャンからの正中偏位(midline shift : MLS)、血液量(blood volume : VOL)、浮腫量(edema volume)(PHE)、頭蓋内圧(intracranial pressure : ICP)、脳内の水、脳組織コンプライアンス(brain tissue compliance)(CMP)、国立衛生研究所脳卒中スケール(National Institute of Health Stroke Scale : NIHSS)、意識レベル(level of consciousness : LOC)、瞳孔計による眼測定値、運動技能(motor skills)(MTR)、感覚(sensations)(SNS)、言語技能(language skills)(LNG)、流体管理(fluid management)、血圧(blood pressure)(BP)、流体の入出力(fluid input and output) (I/O)、脳灌流圧(cerebral perfusion pressure : CPP)、ナトリウム含有量(Na++)、カリウム含有量(K++)、および/または他の適切な生理学的パラメータ、生理学的パラメータの指標(例えば、炎症指標(inflammation index)、グラスゴー昏睡スケール指標(Glasgow Coma Scale index)、NIHSS指標、mass effect指標、NEUROWORSENING(商標)指標及び/又は他の適切な指標)等)の測定値、測定値に関する値(例えば、測定値である値)、および/または測定値に関するインジケータ(indicator)を表示する第2の区画30bと、第1の区画30aおよび/または第2の区画30bと隣接して患者情報(例えば、年齢、状態、病前神経系(premorbid neuro)、凝固障害(coagulopathy)に関する情報)を表示する第3の区画30cを含み得る。第1の区画30a、第2の区画30b、および/または第3の区画30cは、データおよび/または測定値が指定または所定の間隔で受信および/または更新されるときに、着信データ(incoming data)および/または測定値に応答してリアルタイムで更新され得る。さらに、第1の区画30a、第2の区画30b、および第3の区画30cのうちの1つまたは複数は選択可能であり、選択された場合、より詳細な区画がディスプレイ30に表示され、選択された区画の日付範囲(date range)は調整され、および/またはコントローラ16は、ディスプレイ30に表示されているものおよび/または治療が適用されている方法に対して1つまたは複数の他の適切な変更を実行し得る。
【0119】
追加的または代替的に、ディスプレイ30は、ヘッダ(header)31を含み得る。ヘッダ31は、(例えば、要約ディスプレイ、画像ディスプレイ、PHRディスプレイ、トレンドディスプレイ、分析ディスプレイなどの)異なるディスプレイ間を移動するための選択可能なオプションを備えた区画であり得る。
【0120】
通信ポート20は、炎症管理システム10の他のI/Oポート(例えば、I/Oポート28および/または他の適切なI/Oポート)から分離され、および/またはその一部であり得る。通信ポート20は、炎症管理システム10と、炎症管理システム10と相互作用するように構成された1つまたは複数の他のコンポーネント(例えば、周辺コンポーネント12など)との間の通信を可能にするように構成された1つまたは複数の適切なタイプの通信ポートであり得る。特定の例では、通信ポート20は、(例えば、患者から流体を受け取るため、および/または、測定値および/またはデータをセンサから受け取るコントローラ16によって監視され得る患者の1つ以上の生理学的パラメータの測定値および/またはデータを受け取るために)周辺コンポーネント12に接続し、走査装置に接続し、治療コンポーネントに接続し、および/または炎症管理システム10の他の診断コンポーネントおよび/または炎症管理システム10と通信する診断コンポーネントに接続するように構成され得る。
【0121】
いくつかの事例では、複数の通信ポート20は、複数の機械的連通ポート(mechanical communications)および/または複数の電気通信ポート(electrical communications ports)であり得るかまたはそれらを含み得る。例示的な機械的連通ポートは、炎症管理システム10と周辺コンポーネント12および/または他の適切なコンポーネントとの間の機械的接続を可能にするように構成された接続ポートを含み得るが、これらに限定されない。そのような機械的連通ポートは、流体がCSF管理モジュール22におよび/またはCSF管理モジュール22から送られることを可能にし、および/または電気信号が炎症管理システム10におよび/または炎症管理システム10から送られることを可能にするように構成され得る。例示的な電気通信ポートは、有線ポート、ワイヤレスポート、無線周波数(radio frequency : RF)ポート、Bluetoothポート、近距離無線通信(Near-Field Communication : NFC)ポート、HDMIポート、イーサネットポート、VGAポート、シリアルポート、パラレルポート、コンポーネントビデオポート、Sビデオポート、複合オーディオ/ビデオポート、DVIポート、USBポート、光ポート、および/またはその他の適切なポートであるかまたはそれらを含み得る。いくつかの事例では、電気通信ポートは、機械的接続機能を含んでもよい。
【0122】
CSF管理モジュール22は、1つまたは複数のハードウェアおよび/またはソフトウェアサブモジュール34を含み得る。特定の例では、CSF管理モジュール22は、第1のサブモジュール34a、第2のサブモジュール34b、および第N番目のサブモジュール34Nを含み、N個のサブモジュールが存在し得る。ハードウェアおよび/またはソフトウェアサブモジュール34は、必要に応じて、異なるニーズに適合するように交換可能または取り替え可能であり得る。例えば、特定の例では、ポンプ、濾過処理モジュール、および廃棄制御機構を炎症管理に利用することができ、別の例では、ポンプおよび冷却処理モジュールを炎症管理に利用することができ、さらなる例では、ポンプ、濾過処理モジュール、および冷却処理モジュールを利用することができる。ハードウェアおよび/またはソフトウェアサブモジュール34の他の組み合わせは、CSF管理モジュール22を形成するか、またはその一部であり得る。
【0123】
循環管理モジュール23は、(例えば、循環管理モジュール23のコントローラ16および/またはプロセッサによる実行のためにメモリに記憶される)1つ以上のハードウェアおよび/またはソフトウェアモジュールを含み、CSF管理モジュールのプロトコルおよび他の循環要件を考慮して、炎症管理システム10を介してCSFの循環を制御するように構成され得る。特定の例では、循環管理モジュール23は、所定のCSF流量および/またはCSF圧力を設定ポイントレベル以下および/または圧力レベルの範囲内に維持するように構成され得る。循環管理モジュール23は、ポンプ36を含み得るが、このことは、循環管理モジュール23が、炎症管理システム10の他のポンプに依存して、CSF管理モジュール22の必要性を考慮した循環プロトコルに従って、炎症管理システム10を通して流体をポンプ輸送してもよいので必須ではない。
【0124】
動作において、炎症管理システム10のコントローラ16は、CSF管理モジュール22のコントローラおよび/またはハードウェアおよび/またはソフトウェアサブモジュール34の個々のコントローラと相互作用して、1つ以上の診断および/または治療プロトコルの動作を行うことができる。いくつかの事例では、コントローラ16は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアサブモジュール34を利用する複数のプロトコルに共通であり得る機能の制御および/または動作を可能にするために、ハードウェアおよび/またはソフトウェアサブモジュール34と相互作用するように構成されてもよい。コントローラ16によって制御および/または実行され得る共通機能は、リアルタイムおよびトレンド圧力(trended pressure)の測定および記録、循環総容量および循環経過時間の測定および記録、循環制御(例えば、圧力が設定ポイントを超えることを防止するための圧力制限を用いて、一定または所定の流量を維持して指定された流量で循環を送出するなど)、警報管理、通信、システム状態更新、および/または1つ以上のハードウェアおよび/またはソフトウェアサブモジュール34の動作中に必要とされ得る他の共通機能を含み得るが、これらに限定されない。特定の例では、コントローラ16は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアサブモジュール34(例えば、制御ループ内の流体循環および/または圧力監視の制御および/または管理)を利用して、診断および/または治療プロトコル中に(例えば、ポンプ、廃棄制御機構、および/または他のハードウェアおよび/またはソフトウェアサブモジュール34に制御信号を送ることによって)循環を制御および/または管理するように構成されてもよい。
【0125】
ハードウェアおよび/またはソフトウェアサブモジュール34は、コントローラ16によって提供される基本機能または共通機能を構築し、患者の治療プロトコル中に特定の機能を提供するように構成され得る。医師または機関は、必要に応じて、CSF管理モジュール22の機能を特定の診断および/または治療プロトコルに合わせて調整するために、ハードウェアおよび/またはソフトウェアサブモジュール34をCSF管理モジュール22に追加および/またはそこから取り除いてもよい。特定の例では、炎症管理システム10を使用して頭部外傷を有する患者を診断および/または治療する場合、治療機関および/または医師は、冷却処理モジュールを設置し得る。適切な周辺コンポーネント12と併せて、炎症管理システム10は、冷却処理プロトコルに従って患者からの循環される流体を冷却するために、その基本機能または共通機能(例えば、循環管理のようなハードウェアおよび/またはソフトウェアサブモジュール34によって必要とされる基本機能または共通機能)および冷却処理モジュールの機能を利用し得る。いくつかの事例では、冷却処理プロトコルは冷却処理モジュールのソフトウェアに保存され得るが、これは必須ではなく、冷却処理プロトコルは別の場所に保存されるか、および/またはユーザーインタフェース18を介して炎症管理システム10に入力され得る。
【0126】
いくつかの事例では、CSF管理モジュール22は、炎症管理システム10のハウジングに収容され得る。追加的または代替的に、CSF管理モジュール22の少なくとも一部は、炎症管理システム10のハウジングから分離されてもよい。CSF管理モジュール22が炎症管理システム10のハウジングに収容されている場合、サブモジュールのハードウェア部分は、プラグアンドプレイ方式(plug and play manner)でハウジングから交換可能であり得るが、これは必須ではない。特定の例では、第1の構成で冷却処理モジュールが必要であるが、第2の構成で濾過処理モジュールが必要である場合、冷却処理モジュールは炎症管理システム10のハウジングから取り外されて、濾過処理モジュールと交換され得る。さらに、炎症管理システム10がすべての必要なハードウェアコンポーネントを含む場合、ソフトウェアサブモジュール34は、所望のプロトコルを具体化するために交換および/または取り替えされることができる。他の交換可能な構成が企画される。
【0127】
図4は、周辺コンポーネント12(例えば、カテーテル)を介して患者14と共に使用されている炎症管理システム10のCSF管理モジュール22の例示的な構成を概略的に示している。説明されるように、CSF管理モジュール22は、1つまたは複数のハードウェアおよび/またはソフトウェアサブモジュール34を含み得る。図4に示される例示的なCSF管理モジュール22では、ハードウェアおよび/またはソフトウェアサブモジュール34は、濾過処理モジュール38、廃棄制御機構40、および冷却処理モジュール42を含む。上述されるように、CSF管理モジュール22は、1つ以上の追加的または代替的なハードウェアおよび/またはソフトウェアサブモジュール34(例えば、N番目までのサブモジュール)を含み得る。
【0128】
循環管理モジュール23のポンプ36は、含まれる場合、炎症管理システム10の流体回路に、それに沿って、および/またはそれを通して流体(例えば、CSFまたは他の流体)をポンプ輸送するかまたはポンプ輸送することを支援し得る。例えば、ポンプ36は、1つまたは複数のハードウェアおよび/またはソフトウェアサブモジュール34を介して出口流体経路46から入口流体経路44に流体をポンプ輸送することができる。炎症管理システム10を通って移動するCSFは、その内部にルーメンを有する流体ライン48(例えば、ルーメンを形成し、(存在する場合)複数の接続点での流体気密接続によって流体回路内に所望の圧力を維持することを可能にするように構成された管または他の適切な機構)を介して、様々な経路を通って流体回路に沿って移動し得る。ここでは、ルーメンは、流体ラインの入口からポンプ36へ、ポンプ36から流体ラインの出口へ、流体回路に沿ったCSFの移動を可能にするように構成され得る。
【0129】
ポンプ36は、追加のポンプ機構(例えば、他のハードウェアおよび/またはソフトウェアサブモジュール34のポンプおよび/または他の適切なポンプ)の有無にかかわらず、炎症管理システム10を通してCSFをポンプ輸送するように構成され得る。さらに、ポンプ36および/または循環管理モジュール23は、炎症管理システム10の永久型コンポーネント(permanent component)としてCSF管理モジュール22から分離されているものとして本明細書において示され、説明されているが、ポンプ36および/または循環管理モジュール23は、CSF管理モジュール22のハードウェアおよび/またはソフトウェアサブモジュール34であり得る。
【0130】
ポンプ36は、炎症管理システム10を通してCSFをポンプ輸送する任意の適切なタイプのポンプであり得る。例えば、ポンプ36は、患者から炎症管理システム10を通してCSFをポンプ輸送し、患者に戻すように流体ラインに圧力を加えるように構成された蠕動ポンプ(peristaltic pump)または他の適切なポンプであり得る。ポンプ36は、流体ライン48内で所望の圧力および/または流量を達成するように構成された単一のポンプまたは複数のポンプであり得る。ポンプ36は、図4の濾過処理モジュール38、廃棄制御機構40、および冷却処理モジュール42の上流に配置されているが、ポンプ36は、炎症管理システム10内の任意の適切な位置に配置されてもよい。特定の例では、ポンプ36は、炎症管理システム10の流体入口の下流および炎症管理システム10の流体出口の上流に配置され得る。
【0131】
いくつかの事例では、循環管理モジュール23は、炎症管理システム10および/または周辺コンポーネント12を通るCSFの流路に沿った1つまたは複数のセンサを利用し得る。センサは、含まれる場合、流路から延びる、および/または流路を形成する流体ライン48のルーメン内の測定値を検知するように構成され得る。循環管理モジュール23は、流体ライン48を通るCSFの循環をポンプ36で制御する場合、必要に応じて、炎症管理システム10の流路に沿った1つ以上の位置の単一のセンサ、2つのセンサ、3つのセンサ、またはそれ以上のセンサの測定値を、個別に、またはコントローラ16と協働して考慮してもよい。
【0132】
濾過処理モジュール38は、ハードウェアコンポーネントおよび/またはソフトウェアコンポーネントを含み得る。特定の例では、炎症管理システム10が永久型濾過システム(permanent filtering system)を含む場合、CSF管理モジュール22の濾過処理モジュール38は、濾過処理モジュール38および/または炎症管理システム10の循環速度(例えば、拍動性(pulsatility)を含むがこれに限定されない)を設定し、濾過時間を監視し、排出機能を制御し、および/または濾過処理モジュール38を使用して1つ以上の他の適切な機能を実行するために、炎症管理システム10(例えば、永久型濾過システム、コントローラ16、ユーザーインタフェース18、通信ポート20、流体ライン48および/または他の流路、および/または他のハードウェアコンポーネント)の永久型コンポーネント(例えば、ハードウェアおよびソフトウェア)の機能を利用する主にソフトウェアモジュールであり得る。そのようなソフトウェアモジュールは、炎症管理システム10のユーザーインタフェース18または他のユーザーインタフェースを介してユーザーによって修正され得る、および/または異なる所定の濾過プロトコルを確立するソフトウェアモジュールと交換され得る所定の濾過プロトコルを確立し得る。所定の濾過プロトコルは、他の例示的な所定の治療または所定の治療プロトコルの中で、所定の治療または所定の治療プロトコルの一例であり得る。
【0133】
いくつかの事例では、濾過処理モジュール38および/または炎症管理システム10の永久型濾過システム(permanent filtering system)は、濾過処理モジュール38のソフトウェアモジュールと協働するハードウェアフィルターシステムを含み得る。いくつかの事例では、ハードウェアフィルターシステムは、1つまたは複数のポンプコンポーネントおよび/または1つまたは複数のフィルターを含み得る。他の濾過処理モジュール構成(例えば、濾過処理モジュールの他のハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネント)が企図されているが、例示的な濾過処理モジュールは、CSFをポンプ輸送および/または濾過するポンプ/濾過システムであり、2018年7月2日に出願され、「中枢神経系に沿って治療するためのシステム、カテーテルおよび方法(SYSTEMS, CATHETERS, AND METHODS FOR TREATING ALONG THE CENTRAL NERVOUS SYSTEM)」と題する米国特許出願第62/693,225号(弁護士整理番号1421.1015100)に記載されており、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0134】
いくつかの事例では、濾過処理モジュール38のハードウェアコンポーネントは、CSFから汚染物質(例えば、血液および/または他の汚染物質)を濾過する1つまたは複数のフィルターを含み得る。特定の例では、濾過処理モジュール38は、第1のフィルターおよび第2のフィルターを有し得る。いくつかの事例では、第1のフィルターおよび第2のフィルターの1つまたは両方はそれぞれ、接線流濾過(tangential flow filter : TFF)または他の適切なタイプのフィルターであり得る。例えば、第1のフィルターおよび/または第2のフィルターは、5kDaのTFF、100kDaのTFF、0.2μmのTFF、0.45μmのTFFなどを備えることができる。代替的または追加的には、第1のフィルターおよび/または第2のフィルターは、デッドエンド型フィルター(例えば、5kDaのデッドエンド型フィルター)および/またはエレクトロフィルター(例えば電荷に基づいて物質を除外するフィルター)を備えてもよい。
【0135】
少なくともいくつかの実例では、第1のフィルター及び第2のフィルターは、両方が含まれている場合、大きさ及び種類のうち少なくともいずれか一方が同じであり得る(例えば、第1のフィルター及び第2のフィルターはいずれも100kDaのTFFであり得る)。他の実例では、第1のフィルター及び第2のフィルターは大きさ及び種類のうち少なくともいずれか一方が異なっていてもよい(例えば、第1のフィルターは5kDaのフィルターであり、第2のフィルターは100kDaのTFFフィルターであり得る)。
【0136】
いくつかの実例では、濾過処理モジュール38は、特定のフィルター(例えば第1のフィルター)のみを含み得る。例えば、第1のフィルターは5kDaのフィルターであってよく、かつ第1のフィルターが唯一のフィルターであってよい。代替的には、濾過処理モジュール38は、3つ以上のフィルター(例えば、第1のフィルター、第2のフィルター、および1つまたは複数の追加のフィルター)を含み得る。
【0137】
第1のフィルターは、CSFが受け取られた流体である場合、CSFを第1の清浄なCSF(例えば、状態調整されたCSF)および第1のCSFの廃棄物に分離するように構成され得る。第1のフィルターからの第1の清浄なCSFは、冷却処理モジュール42に流れてもよく、第1のフィルターからの第1のCSFの廃棄物は、第2のフィルターに流れてもよい。
【0138】
第2のフィルターは、含まれる場合、受け取った第1のCSFの廃棄物を清浄なCSF(例えば、状態調整されたCSF)とCSFの廃棄物(例えば、最終廃棄物流体)に分離するように構成され得る。第2のフィルターからの清浄なCSFは、冷却処理モジュール42に進み、第2のフィルターからのCSFの廃棄物は、廃棄制御機構40(例えば、手動または(コントローラを用いて)自動化された廃棄ポンプ、またはその他の適切な廃棄制御機構)に進むことができる。
【0139】
廃棄制御機構40(例えば、廃棄制御機構40が、弁、背圧弁、ピンチ弁(pinch valve)、流量計測機構、ポンプなどであるか、またはそれらを含み得る)は、図4に示すように濾過処理モジュール38から流体ライン48を介して廃棄物流体を受け取り、CSFの廃棄物が廃棄出口経路に沿って廃棄のために収集装置50に送られる速度(例えば、CSFの廃棄物が濾過処理モジュール38から出力される速度)を制御することができる。廃棄制御機構40は、廃棄制御機構40のコントローラおよび/または炎症管理システム10のコントローラ16を用いて、手動および/または自動化された方法で制御され得る。廃棄制御機構40の他の構成が企図されているが、廃棄制御機構の一例は、米国特許出願第62/693,225号に記載されており、上述したあらゆる目的のために参照により組み込まれる。
【0140】
冷却処理モジュール42は、炎症管理システム10を通過する流体を冷却するように構成され、ハードウェアコンポーネントおよび/またはソフトウェアコンポーネントを含み得る。いくつかの事例では、冷却処理モジュール42は、濾過処理モジュール38から流体ライン48を介して流体を受け取るように構成され得るが、これは必須ではなく、冷却処理モジュール42は、流体ライン48に沿った1つ以上の他の位置で、流体ライン48を介して流体を受け取ることができる。
【0141】
冷却処理モジュール42は、1つまたは複数のポンプ(例えば、ポンプ36に加えて、またはポンプ36の代替として)および/または冷却処理モジュール42内および/または炎症管理システム10内の流体循環の制御を可能にする1つまたは複数の弁を含んでもよいが、これは必須ではなく、流体循環は、炎症管理システム10の他のポンプによって制御されることができる。冷却処理モジュール42のポンプおよび/または弁は、含まれる場合、炎症管理システム10のポンプ36および/または他のポンプと連動して、流体ライン48を通る流体循環を制御するように構成され得る。
【0142】
冷却処理モジュール42のソフトウェアコンポーネントまたはモジュールは、炎症管理システム10のための冷却プロトコルを確立し得る。冷却プロトコルは、炎症管理システム10および/または冷却処理モジュール42を通過する流体の複数の温度設定ポイントを設定し、流体の温度が冷却され得る(いくつかの事例では、温められ得る)速度を設定し、冷却処理モジュール42および/または炎症管理システム10を通過する流体の循環速度(拍動性を含むがこれに限定されない)を設定し、冷却処理モジュール42を通過する流体の保持時間(例えば、ランプ速度(ramp rates)および循環速度に基づく温度設定ポイントに到達するのに要する時間)を設定し、および/または冷却処理モジュール42を使用して1つ以上の他の適切な機能を実行するように構成され得る。冷却処理モジュール42のソフトウェアモジュールによって確立される所定の冷却プロトコルは、炎症管理システム10のユーザーインタフェース18または他のユーザーインタフェースを介してユーザーによって修正され得る、および/または異なる所定の冷却プロトコルを確立するソフトウェアモジュールと交換され得る。所定の冷却プロトコルは、他の例示的な所定の処理または所定の治療プロトコルの中で、所定の処理または所定の治療プロトコルの一例であり得る。
【0143】
冷却処理モジュール42は、そこを通過する流体を任意の適切な方法で冷却するように構成され得る。いくつかの事例では、冷却処理モジュール42は、放射冷却および/または他の冷却技術を用いてそこを通過する流体を冷却し得る。例えば、流体ライン48の表面および/または炎症管理システム10の他の流体経路は、コイル(coils)、予め冷却された流体を用いて冷却され、および/または1つ以上の他の方法で冷却され、冷却された表面は、放熱(radiation)および/または対流(convection)によって、冷却処理モジュール42を通過する流体から熱を取り除くことができる。追加的にまたは代替的に、冷却処理モジュール42は、冷却処理モジュールを通過する流体に予め冷却された流体を追加することによって、そこを通過する流体を冷却し得る。いくつかの事例では、追加される予め冷却される流体は、冷却された生理食塩水(saline)、冷却された人工CSF、および/または他の適切な流体であり得る。冷却処理モジュール42を通過する流体に予め冷却された流体を加える場合、冷却処理モジュール42を通過する流体に加えられる流体の量(例えば、容量または他の量)は、炎症管理システム10に入力される流体と炎症管理システム10から排出される流体との所望のバランスまたは比率を維持するために、流体の濾過中に流体から取り除かれる物質(例えば、流体または他の物質)の容量の関数に基づいて決定され得る。特定の例では、冷却処理モジュール42を通過する流体に追加される予め冷却される流体の容量は、濾過処理モジュール38を通過する流体から取り除かれる流体の容量に等しいか、または実質的に等しくてもよい。
【0144】
図4に示される例では、炎症管理システム10の流体ライン48を通過する流体が濾過処理モジュール38および冷却処理モジュール42を通過すると、流体は排出され、患者に戻され得る。図4に示されるように、流体は、流体が患者14から取り出される位置とは異なる位置で患者14に戻され得るが、このことは必須ではなく、患者14に戻される流体は、流体が患者14から取り出される位置と同じ位置かまたはそれに隣接する位置で戻されることができる。
【0145】
本明細書において説明されるように、炎症管理システム10は、患者の脳に関連する炎症を管理する方法で使用され得る。図5は、患者の状態を診断および/または治療するために炎症を管理する例示的な方法500を示している。方法500を実行するための複数の命令は、プロセッサ(例えば、プロセッサ24、炎症管理システム10のモジュールまたはサブモジュールのプロセッサ、および/または他の適切なプロセッサ)による実行のためにメモリ(例えば、メモリ26または他の適切なメモリ)に格納され得る。いくつかの事例では、方法500は、炎症管理システム(例えば、炎症管理システム10または他の適切な炎症管理システム)を用いて完全にまたは少なくとも部分的に実行され得る。
【0146】
図5に示されるように、方法500は、患者の生理学的パラメータに関連する1つまたは複数の値を受け取る(例えば、取得する)ことを含み得る。患者の生理学的パラメータに関連する1つまたは複数の値は、生理学的パラメータの測定値、および/または患者の生理学的パラメータの測定値に基づいて決定される1つまたは複数の他の適切な値であり得る。患者の1つ以上の生理学的パラメータは、炎症管理システムのコンポーネント、炎症管理システムの周辺コンポーネント、患者の生理学的パラメータを検知する1つ以上のセンサ、(例えば、カメラ、CTスキャン装置、MRI装置、X線装置等の)画像取得装置、および/または患者の1つ以上の生理学的パラメータに関連するデータを取得するように構成された他の適切なデータ取得装置から受信される、および/または他の方法で取得され得る。患者の生理学的パラメータに関連する1つまたは複数の値は、プロセッサによるアクセスのためにメモリに格納または保存され得る。受信および/またはメモリに格納または保存された1つまたは複数の値は、患者の単一の生理学的パラメータまたは患者の2つ以上の生理学的パラメータに関連し得る。いくつかの事例では、患者の生理学的パラメータに関連する1つまたは複数の値は、1つまたは複数の入力ポートおよび/またはメモリから処理するためにプロセッサで受信され得る。
【0147】
炎症管理システム内または炎症管理システムに接続された複数のセンサは、患者の1つ以上の生理学的パラメータに関連する監視された測定値を供給し得る。監視され得る複数の生理学的パラメータの例示的な測定値は、頭蓋内出血(intracranial hemorrhage : ICH)の量、脳の炎症、白血球数(white blood cell count : WBC)、体温(TMP)、心拍変動(heart rate variability : HRV)、フォトプレチスモグラフィ(photoplethysmography : PPG)、脳のmass effect、CTスキャンからの正中偏位(midline shift : MLS)、血液量(blood volume : VOL)、浮腫量(edema volume)(PHE)、頭蓋内圧(intracranial pressure : ICP)、脳内の水、脳組織コンプライアンス(brain tissue compliance)(CMP)、国立衛生研究所脳卒中スケール(National Institute of Health Stroke Scale : NIHSS)、意識レベル(level of consciousness : LOC)、瞳孔計による眼測定値、運動技能(motor skills)(MTR)、感覚(sensations)(SNS)、言語技能(language skills)(LNG)、流体管理(fluid management)、血圧(blood pressure)(BP)、流体の入出力(fluid input and output)(I/O)、脳灌流圧(cerebral perfusion pressure : CPP)、ナトリウム含有量(Na++)、カリウム含有量(K++)、および/または他の適切な生理学的パラメータのうちの1つまたは複数に関連する測定値を含み得るが、これらに限定されない。
【0148】
患者の生理学的パラメータに関連する複数の値が得られると、それらの値および/またはメモリに格納された患者の生理学的パラメータに関連する複数の値が処理される(504)。患者の生理学的パラメータに関連する複数の値は、炎症管理システムのプロセッサおよび/または他の適切なプロセッサを使用して処理され得る。いくつかの事例では、患者の複数の生理学的パラメータに関連する値が1つ以上の指標値(indexed value)(例えば、指標値は、患者の生理学的パラメータに関連する値に基づいており、以下により詳細に説明される)に処理され、指標値は、現時点における患者の炎症状態または他の適切な状態を示し、炎症状態がどのように経時的に変化したかを示し、および/または炎症状態が将来の期間にわたってどのように変化すると予想されるかを示すことができる。いくつかの事例では、指標値は、少なくとも部分的に、特定の(例えば、単一の)生理学的パラメータに関連する1つの値または複数の値に基づくことができる。代替的には、指標値は、少なくとも部分的に、2つ以上の生理学的パラメータに関連する値に基づいてもよい。
【0149】
患者の炎症状態は、患者状態に関連する患者の状態であり得る。患者状態は、外傷性脳損傷、クモ膜下出血、頭蓋内出血、および/または患者の脳内、周囲、および/または脳に影響を及ぼす炎症を引き起こす他の患者の状態であってもよく、またはそれらに関連していてもよく、炎症状態は、その炎症のレベルであってもよい。典型的には、患者の炎症状態は評価または定義することが困難であり、患者の処理された生理学的パラメータの使用(例えば、明細書において説明される指標の使用)は、患者の脳内、周囲、および/または脳に炎症を引き起こす状態に苦しむ患者の炎症状態を医療提供者がよりよく理解するのに役立つ。
【0150】
上述したように、患者の1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する複数の値は、1つまたは複数の指標に処理され得る。各指標(index)は、指標値を有し、指標値は、患者の1つまたは複数の生理学的パラメータの測定値に基づくことができる。いくつかの事例では、指標値は、1つまたは複数の副指標に基づくことができ、1つまたは複数の副指標の各副指標(sub-index)は、患者の1つまたは複数の生理学的パラメータの測定値に基づくことができる。
【0151】
いくつかの事例では、患者の複数の生理学的パラメータの値に基づく指標の1つ以上の生理学的パラメータの値は等しく重み付けされ、他の事例では、指標の1つ以上の生理学的パラメータの値は、指標を考慮して1つ以上の他の生理学的パラメータの値とは異なるように重み付けされることができる。同様に、1つ以上の副指標の指標を含む場合、指標で使用される副指標の各値は等しく重み付けされ、他の場合では、指標の1つ以上の副指標の値は指標を考慮して1つ以上の他の副指標の値とは異なるように重み付けされることができる。
【0152】
指標値は、1つ以上のパラメータに関して特定の方法でデータを処理した結果の値であり得る。指標値は、単一のパラメータについて経時的に取得されたデータを処理して得られた値、複数のパラメータについて経時的に取得されたデータを処理して得られた値、複数のパラメータについて時刻tにおいて取得されたデータを処理して得られた値、および/または他の適切な値であり得る。時刻tは、データが取得される/取得されたその時の時刻である。
【0153】
単一のパラメータに関するデータは、(例えば、時刻tから時刻tからN単位時間を差し引いた時刻t-Nまで)経時的に取得され、単一のパラメータに関する指標値は、得られたデータにアルゴリズムを適用することによって決定され得る。特定の例では、単一パラメータに関連するデータの指標値は、単一のパラメータについて得られたデータのローリング平均(rolling average)の値、および/または、単一のパラメータについて得られたデータに1つ以上の他の適切なアルゴリズムを適用することにより得られた値であり得る。別の例では、時刻tにおいて取得された複数のパラメータに関連するデータの指標値は、複数のパラメータの各パラメータについて、時刻tにおいて取得されたデータを正規化し(例えば、1~100のスケールまたは他の適切なスケールで各パラメータのデータを正規化し、および/または1つ以上の他の適切な方法で正規化し)、複数のパラメータのうちのパラメータについて、正規化された値を平均することによって取得される値、および/または、複数のパラメータについて、時刻tにおいて取得されたデータに1つ以上の他の適切なアルゴリズムを適用することによって取得される値であり得る。別の例では、経時的に取得された複数のパラメータに関連するデータの指標値は、複数のパラメータの各パラメータについて、経時的に取得されたデータを正規化し(例えば、1~100のスケールまたは他の適切なスケールでの各パラメータのデータを正規化し、および/または1つ以上の他の適切な方法で正規化し)、複数のパラメータのパラメータについて、正規化された値のローリング平均を行うことによって取得される値、および/または、複数のパラメータについて、経時的に取得されたデータに1つ以上の他の適切なアルゴリズムを適用することによって取得される値であり得る。データの平均化から得られたもの以外の指標が企画される。
【0154】
患者の1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する値に少なくとも部分的に基づく指標は、上述したものを含むがこれらに限定されない任意の適切な指標タイプであり得る。例示的な指標は、炎症指標、mass effect指標、NIHSS指標、流体管理指標、グラスゴー昏睡スケール指標、および/または患者の1つ以上の生理学的パラメータに関連する値に少なくとも部分的に基づく他の適切な指標を含むが、これらに限定されない。
【0155】
炎症指標は、脳の炎症(例えば、脳の炎症指標)を示し得る。炎症指標は、他の測定値の中でも、白血球数(white blood cell count : WBC)、体温(body temperature)(TMP)、心拍変動(heart rate variability : HRV)、およびフォトプレチスモグラフィ(photoplethysmography : PPG)のうちの1つまたは複数の測定値に基づくことができる。特定の例では、指標値は、炎症指標が白血球数(WBC)の値、体温(TMP)の値、心拍変動(HRV)の値、およびフォトプレチスモグラフィ(PPG)の値に基づく場合、少なくとも部分的に、炎症指標の値に基づくことができる。
【0156】
mass effect指標は、脳の腫れを示し得る。mass effect指標が閾値レベルを超えると、脳の腫れに対処する行動を取るための指示が提供され得る。代替的にまたは追加的に、mass effect指標が閾値レベルに達すると、脳の腫れに関連する症状が、履歴データおよび/または他の適切な情報に基づいて発生する特定のパーセンテージの可能性を有することを示す。mass effect指標は、他の測定値の中でも、CTスキャンからの正中偏位(midline shift : MLS)、血液量(blood volume : VOL)、浮腫量(edema volume)(PHE)、頭蓋内圧(intracranial pressure : ICP)、脳内の水、および脳組織コンプライアンス(brain tissue compliance : CMP)の複数の生理学的パラメータのうちの1つ以上の測定値に基づくことができる。特定の例では、mass effect指標が、CTスキャンからの正中偏位(MLS)の値、血液量(VOL)の値、浮腫量(PHE)の値、頭蓋内圧(ICP)の値、脳内の水の量の値、および脳組織コンプライアンス(CMP)の値に基づく場合、指標値は、少なくとも部分的にmass effect指標に基づくことができる。
【0157】
NIHSS指標は、脳卒中の重症度を示し得る。NIHSS指標は、他の測定値の中でも、意識レベル(level of consciousness : LOC)、瞳孔計による眼測定値、運動技能(motor skills)(MTR)、感覚(sensations : SNS)、および言語技能(language skills)(LNG)の複数の生理学的パラメータのうちの1つ以上の測定値に基づくことができる。特定の例では、NIHSS指標が意識レベル(LOC)の値、瞳孔計を用いた眼測定値の値、運動技能(MTR)に関連する値、感覚(SNS)に関連する値、および言語技能(LNG)に関連する値に基づく場合、指標値は、少なくとも部分的に、NIHSS指標に基づくことができる。
【0158】
流体管理指標は、体内への流体入力(例えば、点滴(IV drip)および/または他の適切な流体入力方法からの流体入力)および体内からの流体出力(例えば、尿および/または他の適切な流体出力方法の流体濃度(fluid concentration))を示すことができる。流体管理指標は、他の測定値の中でも、血圧(blood pressure : BP)、流体の入力および出力(I/O)、脳灌流圧(cerebral perfusion pressure : CPP)、ナトリウム含有量(Na++)、およびカリウム含有量(K++)の複数の生理学的パラメータのうちの1つ以上の測定値に基づくことができる。特定の例では、流体管理指標が血圧(BP)の値、流体の入力および出力(I/O)に関連する値、脳灌流圧(CPP)の値、ナトリウム含有量(Na++)の値、およびカリウム含有量(K++)の値に基づく場合、指標値は、少なくとも部分的に、流体管理指標に基づくことができる。
【0159】
グラスゴー昏睡スケール指標は、患者の意識状態を示し得る。グラスゴー昏睡スケール指標は、他の測定値の中でも、瞳孔計を用いて取得される眼測定値、運動技能(motor skills)(MTR)、および言語技能(language skills)(LNG)の複数の生理学的パラメータのうちの1つ以上の測定値に基づくことができる。特定の例では、グラスゴー昏睡スケール指標が瞳孔計を用いて取得された眼測定値の値、運動技能(MTR)に関連する値、および言語技能(LNG)に関連する値に基づく場合、指標値は、少なくとも部分的に、グラスゴー昏睡スケール指標に基づくことができる。
【0160】
患者の生理学的パラメータおよび/または他の適切な要因の測定値に基づく他の指標が企図される。そのような他の指標は、患者の人口統計学的情報、他の適切な要因(例えば、他の適切な生理学的パラメータなど)、および/または他の適切な要因の組み合わせに基づくことができる。
【0161】
いくつかの事例では、炎症指標、mass effect指標、NIHSS指標、流体管理指標、グラスゴー昏睡スケール指標、および/または他の適切な指標の値は、1つ以上の副指標に基づいて指標の値を決定するために使用または処理され得る副指標の値であり得る。指標の値は、ある時点または経時的な炎症指標の値、ある時点または経時的なmass effect指標の値、ある時点または経時的なNIHSS指標の値、ある時点または経時的な流体管理指標の値、および/またはある時点または経時的なグラスゴー昏睡スケール指標の値のうちの1つ以上の関数であり得る。
【0162】
副指標の例示的な指標は、NEUROWORSENING(商標)であり得る。いくつかの事例では、NEUROWORSENING(商標)指標は、患者状態が閾値レベルまで悪化したことを実際に決定する前に、閾値レベルに向かって悪化している患者状態を示し得る(例えば、患者の脳の画像から脳の炎症状態が閾値レベルに達したと診断できるようになる前に、脳の炎症状態が閾値レベルに向かって悪化していると予測する)。特定の例では、指標は、1つ以上の異なる副指標に基づくことができ、1つ以上の副指標は、監視されている患者状態のタイプに応じて選択されるかまたは決定され、患者の炎症状態を示すことができる。例えば、頭蓋内出血患者の状態のために患者が監視されている場合、副指標の例示的な指標は、少なくとも部分的に、炎症副指標、mass effect副指標、およびNIHSS副指標に基づくことができ、クモ膜下出血患者の状態のために患者が監視されている場合、副指標の指標は、少なくとも部分的に、炎症副指標、mass effect副指標、流体管理副指標、およびNIHSS副指標に基づくことができ、また、外傷性脳損傷患者の状態のために患者が監視されている場合、副指標の指標は、少なくとも部分的に、炎症副指標、mass effect副指標、およびグラスゴー昏睡スケール指標に基づくことができる。副指標の他の組み合わせは、患者の炎症状態が監視されている患者状態に少なくとも部分的に基づいて、副指標の指標を作成するように用いられてもよい。いくつかの事例では、患者の生理学的パラメータに関連する副指標および/または値は、必要に応じて、患者状態の指標を作成するために、個々の医療提供者によって選択され得る。
【0163】
いくつかの事例では、副指標および/または副指標の指標は、炎症状態が改善しているかまたは悪化しているかを示し得る。特定の例において、患者の生理学的パラメータに関連する値が現在の時刻において決定される場合、副指標の値は、現在の時刻における患者の炎症状態を示すことができ、患者の生理学的パラメータに関連する値が保存されるとき、現在の時刻における副指標の値は、副指標の値が患者の炎症状態における傾向を示すことができるように、患者の生理学的パラメータに関連する以前の値および患者の生理学的パラメータに関連する現在の値に基づくことができる。同様に、副指標の値が現在の時刻において決定される場合、副指標の指標の値は、現在の時刻での患者の炎症状態を示すことができ、副指標の値が保存されるとき、現在の時刻における副指標の指標の値は、副指標の指標の値が患者の炎症状態の経時的な傾向を示すことができるように、副指標の以前の値および副指標の現在の値に基づくことができる。
【0164】
いくつかの事例では、患者の複数の生理学的パラメータの値、患者の複数の生理学的パラメータの値の副指標の値、および/または副指標の指標の値が、ユーザーインタフェース(例えば、ユーザーインタフェース18及び/又は他の適切なユーザーインタフェース)上に描写または表示され得る。特定の例では、患者の複数の生理学的パラメータの値、患者の複数の生理学的パラメータの値の副指標の値、および/または副指標の指標の値は、値対時間のグラフ、それぞれの値が以前から増加しているか、減少しているか、または変化していないかを示す方向指示(directional indicators)、現在の値が可能な値の範囲に対して示されている範囲を用いてインターフェース上に示される、および/または1つ以上の他の適切な方法で示され得る。いくつかの事例では、患者の1つ以上の生理学的パラメータに関連する値の副指標の指標の値は、副指標の指標の可能な値の範囲(例えば、図3の第2の区画30bに示されるNEUROWORSENING(商標)指標)に関連して、ユーザーインタフェースのディスプレイの第1の区画に表示され、患者の1つ以上の生理学的パラメータに関連する値の副指標の値は、所定の期間に関連して、ユーザーインタフェースのディスプレイの第1の区画(例えば、図3の第2の区画30b)または第2の区画に表示され得る。典型的には、そのような情報が、場合によって患者の状態または炎症状態に関連する任意の個々の値または指標値のコンテキストを理解することが困難である複数の機械および/またはプリントアウトを介して医療提供者に提供されるために、医療提供者は、患者の1つまたは複数の生理学的パラメータの値のコンテキストを持っていない。患者の1つまたは複数の生理学的パラメータに関連するそのような複数の値を、互いに近接しておよび/または他の情報(例えば、患者の画像、患者の人口統計学的情報など)に近接して表示することによって、患者の1つまたは複数の生理学的パラメータの値のコンテキストが医療提供者に提供されることを可能にする。
【0165】
少なくとも部分的に、患者の1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する処理された値に基づいて、方法500は、患者の炎症状態が治療状態に達したかどうかを決定すること(506)を含み得る。特定の例では、患者の炎症状態が治療状態に達したかどうかの決定(506)は、少なくとも部分的に、患者の1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する値の処理(504)中に決定された指標値に基づくことができる。
【0166】
患者の治療状態は、治療が行われるべき患者の炎症状態のレベルであり、および/または治療がいつ行われるべきかを示し得る。患者の炎症状態と同様に、患者の治療状態は評価または定義することが困難であり、患者の処理された生理学的パラメータ(例えば、本明細書において説明された指標の使用)および関連する閾値または範囲の使用は、患者の炎症状態がいつ治療状態に達したかまたは達するかを決定することを可能にし得る。特定の例では、患者の1つ以上の生理学的パラメータに関連する処理された値から、患者の炎症状態を示す値(例えば、患者の炎症状態を示す指標値または他の値)が生成され、患者の炎症状態を示す値が閾値(例えば、所定の値、経時的な傾向レベル、複数の炎症管理システムまたはグローバル治療プロトコルデータベース(global treatment protocol database)からのデータを使用する1つ以上のアルゴリズム(例えば、学習アルゴリズムまたは他の適切なアルゴリズム)、および/または他の適切な閾値に少なくとも部分的に基づく値)に達すると、患者の炎症状態が治療状態に達したかまたは将来の特定可能な時間に治療状態に達すると決定され得る。いくつかの事例では、治療状態に対する炎症状態に関する異なる決定が、患者の炎症状態が異なる閾値(例えば、異なる閾値レベル)に達したことを示す値に基づいて、および/またはその値と閾値との間の差に基づいて行われることができる。閾値の値が、複数の炎症管理システムからのデータまたはグローバル治療プロトコルデータベースを使用するアルゴリズムに少なくとも部分的に基づく場合、データベースは、複数の遠隔炎症管理システムからの複数の治療プロトコルの過去の実施からのデータ(例えば、そのようなデータは、他の情報の中でも、どのような治療プロトコルが患者の状態に対して送られたか、患者の人口統計学的情報、いつ治療プロトコルが炎症状態に関連して実施されたか、治療プロトコルを実施するかまたは実施することを決定した時点でどのような関連指標の値であったか、治療プロトコルを実施するかまたは実施することを決定した時点で患者のどのような関連生理学的パラメータの値であったか、などに関する情報を有し得る)を格納するグローバルデータベースであり得る。
【0167】
患者の生理学的パラメータに関連する処理された値に基づいて、患者の炎症状態が治療状態に達したと判定された場合、患者の炎症状態が治療状態に達したという指示が出力され得る(508)。いくつかの事例では、患者の炎症状態が治療状態に達したという指示が、炎症管理システムのプロセッサまたは他の適切なプロセッサから、プロセッサと通信する1つ以上のポート(例えば、入出力ポート32、通信ポート20、および/または他の適切なポート)を介して出力されてもよい。指示の出力(508)は、患者の炎症状態が治療状態に達したことを特定することに応答して自動的に実行され得るが、これはすべての場合に必須ではない。
【0168】
患者の炎症状態が治療状態に達したという出力される(508)指示は、任意の適切な指示であるかまたはそれを含み得る。例示的な適切な指示は、患者の炎症状態に対処するために患者の脳脊髄液について治療プロトコルを実行するためのプロセッサから脳脊髄液管理モジュールへの制御信号(例えば、脳脊髄液管理モジュール22の1つ以上のサブモジュール34または脳脊髄液管理モジュールの他の適切なコンポーネントへの制御信号)、患者の炎症状態の治療について提案された治療プロトコルを表示するためのユーザーインタフェース(例えば、ユーザーインタフェース18、ユーザーインタフェースのディスプレイ30、および/または他の適切なユーザーインタフェース)への制御信号、ユーザーインタフェースのディスプレイ上の値(例えば、ディスプレイの第1の区画または他の適切な区画等の区画上の指標値)を表示するためのユーザーインタフェースへの制御信号、ライト(例えば、ユーザーインタフェースのライトまたは他の適切なライト)をオンおよび/またはオフにするための制御信号、(例えば、ユーザーインタフェースのスピーカーまたは他の適切なスピーカーからの)音をオンおよび/またはオフにするための制御信号、将来の所定の時刻において治療(例えば、所定の治療および/または他の適切な治療)を実行するように医療提供者をスケジューリングする予約招待(appointment invite)または他の適切なスケジュール機構を開始する制御信号、および/または1つ以上の他の適切な指示を含むが、これらに限定されない。
【0169】
治療プロトコルは、患者の炎症状態を治療するための一組の指示または治療のリストであり得る。例示的な治療プロトコルは、CSF濾過処理の作動、CSF冷却処理の作動、CSFドレナージ処理の作動、1つまたは複数の他の適切なCSF療法の作動、手術などを含み得るが、これらに限定されない。
【0170】
治療プロトコルが識別、提案、または取得されると、プロセッサは、生理学的パラメータに関連する処理された値、到達した閾値、および/または処理された値と閾値との差に少なくとも部分的に基づいて、治療プロトコルを自動的に選択し得る。そのような治療プロトコルは、様々な患者の状態および患者の生理学的パラメータに関連する処理される値の値に所定の方法で関連付けられた治療プロトコルのデータベースからプロセッサによって自動的に特定または選択され得る。代替的にまたは追加的に、複数の治療プロトコルは、1つ以上のアルゴリズム(例えば、学習アルゴリズムまたは他の適切なアルゴリズム)に基づく複数の生理学的パラメータに関連する様々な患者の状態および処理される値に関連する治療プロトコルのデータベースからプロセッサによって自動的に特定または選択されてもよい。データベースは、複数の遠隔炎症管理システムからの複数の治療プロトコルの過去の実施からのデータ(例えば、そのようなデータは、他の情報の中でも、どのような治療プロトコルが患者の状態に対して送られたか、患者の人口統計学的情報、いつ治療プロトコルが炎症状態に関連して実施されたか、治療プロトコルを実施するかまたは実施することを決定した時点でどのような関連指標の値であったか、治療プロトコルを実施するかまたは実施することを決定した時点で患者のどのような関連生理学的パラメータの値であったか、などに関する情報を有し得る)を格納するグローバルデータベースであり、複数の治療プロトコルと種々の患者状態との間の関連付け、および患者の炎症状態に関連し得る患者の生理学的パラメータに関連する値の処理される値を決定するように1つ以上のアルゴリズムによって使用可能である。
【0171】
患者の複数の生理学的パラメータに関連する処理された値に基づいて、患者の炎症状態が治療状態に達していない(例えば、閾値または他の適切なベンチマーク(benchmark)に達していない)と決定された場合、患者の複数の生理学的パラメータに関連する処理された値が監視され(510)、患者の炎症状態が治療状態に達したかどうかの決定(506)が将来の時点で決定され得る。いくつかの事例では、方法500のステップ502~506および510が繰り返され、少なくとも患者の炎症状態が治療状態に達したと決定されるまで継続的に実行され得る。ただし、これは必須ではない。いくつかの事例では、方法500の1つまたは複数のステップは、所定の時間間隔で、および/またはユーザーインタフェースまたは炎症管理システムとの他の適切なユーザー対話を介した手動操作に応答して繰り返されてもよい。
【0172】
図6は、炎症管理システム(例えば、炎症管理システム10および/または他の適切な炎症管理システム)を使用して患者の炎症を管理する例示的な方法600を示している。方法600を実行するための複数の命令は、プロセッサ(例えば、プロセッサ24、炎症管理システム10のモジュールまたはサブモジュールのプロセッサ、および/または他の適切なプロセッサ)による実行のためにメモリ(例えば、メモリ26および/または他の適切なメモリ)に格納され得る。
【0173】
最初に、必須ではないが、患者(例えば、患者14または他の適切な患者)は、1つまたは複数の周辺コンポーネント(例えば、周辺コンポーネント12または他の適切な周辺コンポーネント)を介して炎症管理システムに結合され得る。患者が炎症管理システムに結合されると、炎症管理システムは、CSFドレナージ、CSF冷却、CSF濾過、および/または他のCSF療法に基づく経時的な患者の1つ以上の生理学的パラメータの測定値または測定値に関連する値を監視し得る(602)。動作中、監視すること(602)は、炎症管理システムのコントローラ(例えば、コントローラ16または他の適切なコントローラ)によって実行され得る。
【0174】
方法600は、患者の1つ以上の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値(例えば、図5に関して上述したような指標値および/または患者の1つ以上の生理学的パラメータに関連する他の適切な値)を1つ以上の閾値(例えば、図5に関して上述した方法で決定される、および/または1つ以上の他の適切な方法で決定される閾値)と比較すること(604)を含み得る。特定の例では、患者の1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値を1つまたは複数の閾値と比較すること(604)は、1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値と閾値との差を決定することを含むが、これは必須ではない。動作中、比較すること(604)は、炎症管理システムのコントローラおよび/または他の適切なコントローラによって実行され得る。
【0175】
次に、1つ以上の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値と閾値との比較に基づいて、方法600は、CSF管理モジュール(例えば、CSF管理モジュール22および/または他の適切なCSF管理モジュール)の動作を調整すること(606)を含み得る。例えば、1つ以上の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値が閾値に達したかまたは閾値を超えた場合、CSF管理モジュール22の動作は(例えば、制御信号を介して)調整されて、濾過処理モジュール(例えば、濾過処理モジュール38および/または他の適切な濾過処理モジュール)を用いた濾過プロトコル、冷却処理モジュール(例えば、冷却処理モジュール42及び/又は他の適切な冷却処理モジュール)を用いた冷却プロトコル、および/またはCSF管理モジュールのサブモジュール(例えば、ハードウェアおよび/またはソフトウェアサブモジュール34または他の適切なサブモジュール)を用いた他の適切な治療プロトコル(例えば、他の適切な所定の又は学習/開発された治療プロトコル)を開始し得る。追加のまたは代替の例では、1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値と閾値との間の差が決定される場合、CSF管理モジュールの動作は、1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値と閾値との間の決定された差に基づいて調整され得る。代替的または追加的に、CSF管理モジュールの動作は、1つまたは複数の追加または代替の要因に基づいて調整され得る。
【0176】
CSF管理モジュールの動作を調整すること(606)は、1つ以上の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値と閾値との比較に基づいて、CSF管理モジュールの治療プロトコル(例えば、(例えば、他の治療プロトコルを開始する)治療開始プロトコル、(例えば、他の治療プロトコルを停止する)治療停止プロトコル、濾過処理プロトコル、冷却処理プロトコル、(例えば、治療開始プロトコル、治療停止プロトコル、濾過処理プロトコル、冷却処理プロトコル、および/または他の適切な所定の治療プロトコルを含むかまたは含まない)適切な所定の治療プロトコル、および/または他の適切な治療プロトコルを開始すること)に従って自動的に実行され得る。いくつかの事例では、治療開始プロトコルが、1つ以上の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値が最初に閾値に達したかまたは閾値を超えたと判定したことに応答して開始されることができ、治療停止プロトコルが、1つ以上の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値が最初に閾値に達したかまたは閾値を超えた後、2回目に閾値に達したかまたは閾値を超えたと判定したことに応答して開始されることができる。さらに、治療プロトコルのタイプ(例えば、冷却処理プロトコル、濾過処理プロトコル、および/または他の療法または治療プロトコルなどの所定の治療プロトコルのタイプ、および/または予め設定されていない治療プロトコルのタイプ(例えば、学習された及び/又は作成された治療プロトコル))は、閾値に達したかまたはそれを超えた関連する値および/または1つ以上の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値と閾値との間の決定された差の値を有する監視された測定値に関連する複数の生理学的パラメータのタイプに基づいて、および/または図5に関して上述した方法で選択されて、炎症管理システムの1つまたは複数のコントローラによって自動的に選択されることができる。
【0177】
CSF管理モジュールの動作に対する調整の自動的な実行は、脳損傷を治療および/または診断するために、CSF管理モジュールの1つまたは複数のコントローラおよび/または炎症管理システムの1つまたは複数のコントローラを使用して実施され得る。CSF管理モジュールの動作に対する調整の自動的な実行の代替として、警報または他の通知が、(例えば、電子メール、ノイズ警告、ライト警告、ユーザーインタフェース(例えば、ユーザーインタフェース18および/または他の適切なユーザーインタフェース)上の表示を用いて)発行されることができ、ユーザーは、CSF管理モジュールの動作を手動で調整するか、および/またはCSF管理モジュールの動作の調整を手動で開始することができる。
【0178】
閾値に達したかまたは閾値を超えた1つ以上の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値に応答してCSF管理モジュール(例えば、循環管理モジュール23および/または他の適切な循環管理モジュール)の動作を調整することに加えてまたはそれに代わるものとして、コントローラ16は、患者からCSFを能動的に排出するように循環管理モジュールの動作を調整し得る。いくつかの事例では、患者からCSFを能動的に排出する循環管理モジュールの動作は、所定の時間においてCSFを冷却する冷却処理モジュールの動作を調整し、所定の流量でCSFを濾過する濾過処理モジュールの動作を調整し、および/またはCSF管理モジュールの動作を1つ以上の他の方法で調整している間に行われてもよい。
【0179】
炎症管理システム10は、多くの状態を治療するために使用可能である。企図される複数の状態のうちのいくつかは、がんを含む。例えば、軟膜転移(LM)は、原発性の固形腫瘍又は血液系腫瘍由来の細胞が転移し、クモ膜下腔(SAS)に侵入し、かつ脳脊髄液(CSF)全体に広がって、結果として中枢神経系(CNS)の表面に沿った軟膜への播種が生じる状態である。LMは、がんの進行の後期イベントに相当し、最も多く現れる症状には、多発性の脳神経障害、運動障害、精神状態の変化、頭痛、及び神経根痛が含まれる。LMの発生率はがん患者の3~5%と概算され、がん患者の全生存期間がより長くなることで増加してきた。LMは転移がん治療計画における困難な課題を提示し、有効な接近手段及び治療法が無いために悲惨な予後及び4か月の平均生存期間という結果をもたらす。メトトレキセート(MTX)、シタラビン及びチオテパなどの抗がん剤を用いた全身療法は、血液脳関門(BBB)の通過率が不十分なため効果的ではない。オマヤ貯留槽を含む髄腔内(IT)薬物送達システムは全生存期間をより長くしてきたが;しかしながら該システムは度重なる注射を必要とし、また受動拡散に依存している。CNS全体を対象とし、かつIT投与薬物の分布を増強する将来の治療法であれば、生存をさらに改善するということも考えられる。CSFはおよそ20ml/hrで生産され、全体積は~150mlであり、その結果として1日当たり平均で3回代謝回転する。CSFの生産速度は頭蓋内圧(ICP)に依存しない。LMはCSFの流出路を閉鎖する可能性があるので、患者は水頭症及びICP上昇の深刻なリスクに直面する。加えて、BBB及び血液‐CSF関門によりCSFが比較的孤立していることが、腫瘍生存のための特有の環境を提供する。
【0180】
炎症管理システム10は、CSF中の多数の病原体及び細胞を迅速に取り除き、またCSF中薬物送達を増強する能力を有しうる。例えば、炎症管理システム10は、LMの転帰を、1)SAS全体にわたる特定の抗がん剤(オマヤ貯留槽により、カテーテルにより、又は両方により送達されるMTX)の曝露及び循環の増強、(2)がんを広げている循環腫瘍細胞(CTC)を除去するためのCSFの局所的濾過、(3)CSFドレナージによるICPの制御、(4)腫瘍細胞(例えば、クモ膜顆粒及びリンパ系を介したCSFの自然な再吸収を妨げる場合のある生きた腫瘍細胞及び死んだ腫瘍細胞のうち少なくともいずれか)の濾別、によって改善するために、使用可能である。炎症管理システム10はさらに、CSF中の薬物(例えばメトトレキセートのような化学療法剤)の濃度を(例えば、過剰な薬物の除去、毒性の低減などを行うために)低減するために使用されてもよい。
【0181】
本明細書中で示唆されるように、患者に化学療法剤を注入することを含む治療方法が企図される。いくつかの実例では、化学療法剤はメトトレキセートである。その他の化学療法剤も企図される。化学療法剤は、これらの患者における標準治療と同じように、患者の脳室に移植されたオマヤ貯留槽(及び同様のデバイス(例えばリッカム(Rickham)デバイスなど)のうち少なくともいずれか一方)によってCNSに注入されてもよい。追加として、又は別例として、化学療法剤はカテーテルを使用して患者に注入されてもよい。例えば、化学療法剤は、清浄CSF出口経路へ、カテーテルのポートのうちの1つへ、カテーテルに隣接して配置された別個のデバイスを介して、又は他の適切な方法で、添加されることが可能である。炎症管理システム10によるCSFの循環は、脳脊髄腔及びCNSのうち少なくともいずれかの全体に化学療法剤を循環させるのを支援することができる。
【0182】
治療に炎症管理システム10を使用することが可能な別の企図される状態は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)である。例えば、ALSの病理は、グルタミン酸作動性の機能/経路の過剰刺激とこれに伴う興奮毒性、カルシウムレベルの上昇、及び活性酸素種の生成、のうち少なくともいずれかと相関している可能性がある。酸化ストレスは、細胞死に関連した酸化促進性化合物及び酸化還元活性鉄の放出、ミトコンドリアの機能不全、炎症、並びに興奮毒性を介して、ALSの病理学的メカニズムに関与している可能性がある。炎症管理システム10は、CSFについて、ALSの病理に関連するもののような酸化性物質及び炎症性物質のうち少なくともいずれか(例えば、フリーラジカル、サイトカイン、ケモカイン、白血球を含む)の低減/除去を行う助けとなるように、使用可能である。ALSの治療の一部として低減/除去されうる物質のいくつかの例には、不溶性のスーパーオキシドジスムターゼ‐1(SOD1)、グルタメート、ニューロフィラメントタンパク質、及び抗GM1ガングリオシド抗体のうち1以上が含まれうる。
【0183】
いくつかの実例では、酸化性物質及び炎症性物質のうち少なくともいずれかは電荷を帯びている場合がある。そのような物質の除去は、エレクトロフィルトレーション(例えば電荷を有するフィルター)を利用して増強されうる。従って、少なくともいくつかの実例では、第1のフィルター、第2のフィルター、その両方、および/または1つまたは複数のフィルターが、帯電フィルター(エレクトロフィルター)を備えていてもよい。上記のうちのいくつか、及びその他の実例において、第1のフィルター、第2のフィルター、又は両方は、免疫親和性カラム、サイズ排除カラム、陰イオン交換カラム、陽イオン交換カラム、及びプロテインA又はプロテインGのカラムを備えていてもよい。
【0184】
CSF中にあるALS関連の病理学的メディエータの除去に加えて、炎症管理システム10はさらに、CSFに1以上の薬物を送達するために使用されてもよい。そのような治療は、酸化性物質及び炎症性物質のうち少なくともいずれかをさらに低減する助けとなりうる。いくつかの実例では、薬物は、清浄CSF出口経路(例えば、返戻用出口)へ、カテーテルのポートのうちの1つへ、別個のデバイスに配置された作用薬を介してカテーテルへ、又は他の適切な方法で、添加されることが可能である。炎症管理システム10によるCSFの循環は、脳脊髄腔及びCNSのうち少なくともいずれかの全体に薬物を循環させるのを支援することができる。利用可能ないくつかの薬物の例には、リルゾール、エダラボンなどが挙げられる。
【0185】
治療に炎症管理システム10を使用することが可能な別の企図される状態は、単純ヘルペス脳炎(herpes simplex encephalitis : HSE)である。HSEは、重症の神経炎症、脳浮腫及び出血性壊死を引き起こしてその結果頭蓋内圧(intracranial pressure : ICP)の上昇を伴うことが知られている。医学的管理は標準化されているが、減圧開頭術及び側頭葉切除術のうち少なくともいずれか一方を含む積極的な内科的かつ外科的合同管理が、制御不良なICP、神経炎症及び脳浮腫に起因して実施されることが多い。活性酸素種(reactive oxygen species :ROS)の生産は、ウイルス感染に対する自然防御のコンポーネントであるとも考えられている。しかしながら、CNSの脂質に富んだ環境は酸化損傷を受けやすいかもしれない。よって、酸化損傷はHSE感染と関連している可能性がある。
【0186】
炎症管理システム10は、HSEの病理に関連するもののような酸化性物質及び炎症性物質のうち少なくともいずれか(例えば、フリーラジカル、サイトカイン、ケモカイン、白血球を含む)を除去するように、使用可能である。いくつかの実例では、酸化性物質及び炎症性物質のうち少なくともいずれかは電荷を帯びている場合がある。そのような物質の除去は、エレクトロフィルトレーション(例えば電荷を有するフィルター)を利用して増強されうる。従って、少なくともいくつかの実例では、第1のフィルター、第2のフィルター、又は両方が、帯電フィルター(エレクトロフィルター)を備えていてもよい。
【0187】
治療に炎症管理システム10を使用することが可能な別の企図される状態は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)及び後天性免疫不全システム(AIDS)である。CNSのHIV感染は、髄膜炎、急性炎症性多発根神経症(AIDP)、抗レトロウイルス療法の導入により引き起こされる免疫再構築症候群(IRIS)、慢性炎症性多発神経炎(CIDP)、糖尿病性多発神経障害(DSP)、進行性多巣性白質脳症(PML)、及びHIV関連神経認知障害(HAND)を含む多くの合併症をもたらす可能性がある。炎症管理システム10は、CNSからいくつかの異なるHIV株を濾別/低減/除去するように設計されることが可能である。これにより、CSF中のウイルス負荷の低減及びCNS中のHIV感染に関連した合併症の低減のうち少なくともいずれか一方を行うことが可能である。加えて、炎症管理システム10は、CNSからHIVに関連した多くの様々な炎症性物質を濾別/低減/除去するために設計されてもよい。
【0188】
治療に炎症管理システム10を使用することが可能な別の企図される状態は、多発性硬化症(multiple sclerosis : MS)である。2つのサブタイプすなわち臨床的に初発の段階(CIS)及び再発寛解型多発性硬化症(RRMS)は進行を伴わない疾患を表す一方、一次性進行型(PPMS)及び二次性進行型(SPMS)はそれぞれ発症時から又はRRMS後の、進行性疾患の患者を表している。多巣性病変の形成をもたらす神経炎症、脱髄、軸索損傷及び結果として生じる神経変性が、この疾患の特徴である。現行の治療は、(1)抗炎症性の天然に存在する分子(IFN‐β)、(2)分子であって抗炎症性の細胞の増殖を刺激するもの(グラチラマー酢酸塩)又は自己反応性の細胞の増殖を阻害するもの(テリフルノミド)、(3)免疫抑制性のモノクローナル抗体(ナタリズマブ)、(4)転写因子に結合して抗炎症メカニズムを増強するか又は炎症促進メカニズムを抑制する分子(フマル酸ジメチル)、及び(5)リンパ系組織からCNSへのリンパ球の移出を阻害する作用薬(フィンゴロモド(fingolomod))、などに分類されうる。いくつかの実例では、炎症管理システム10は、免疫細胞を含むMSに関連したいくつかの異なる炎症性作用因子(イムノグロビン(immunoglobin)、好中球、リンパ球、単球など)、MSの病理に関連するもののような酸化性及び炎症性のうち少なくともいずれかの作用因子(例えば、フリーラジカル、サイトカイン、ケモカイン、白血球など)、並びに同様のものを、濾別/低減/除去するために設計されてもよい。これにより、MSの治療及びMSの症状の改善のうち少なくともいずれかを支援することが可能である。
【0189】
治療に炎症管理システム10を使用することが可能な別の企図される状態は、ギランバレー症候群(GBS)である。GBSは世界中の急性麻痺性神経障害の最も一般的な原因である。急性運動性軸索型神経障害(AMAN)及び急性炎症性脱髄性多発性神経障害(AIDP)が主要な表現型である。GBSは、宿主の遺伝学的要因及び環境要因と、先行するカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)及びジカウイルスなどの病原体による感染との組み合わせにより、個体において発症する可能性がある。広く知られている作用機序は、外来抗原とガングリオシド残基との分子相同性がその結果として、ミエリン又は軸索の構成成分を認識してマクロファージ及びリンパ球のうち少なくともいずれかの浸潤、補体沈着、並びにサイトカイン生産を含む炎症性免疫応答を開始させる自己抗体を発生せしめている、と暗に示している。CSFの分析は、患者の90%における、タンパク質の増加(>400mg/L)、及び髄液細胞増加(pleocytosis)の欠如を示す。その病理に関与する神経炎症性サイトカイン及びその他のタンパク質のレベル上昇については注目されてきたが、GBSのCSFの具体的な免疫タンパク質のプロファイルは不均一である。これらのうちのいくつか及びその他の実例では、第2のカテーテルは、頭蓋領域へ薬物を注入するために使用可能である。
【0190】
現行のGBS治療には、血漿交換療法(PE)又は免疫グロブリン静注療法(IVIg)に支持療法を伴うものが含まれうる。GBS患者におけるCSFのタンパク質異常、例えば高レベルの炎症性サイトカインTNF‐α及びIL‐6、抗ガングリオシド抗体、並びに補体成分の活性化に基づき、炎症性のものを低減/除去するためのCSFの濾過は、GBSシステムの低減及びGBSの治療のうち少なくともいずれか一方を行う助けとなりうる。いくつかの実例では、炎症管理システム10は、免疫細胞を含むGBSに関連したいくつかの異なる炎症性作用因子(イムノグロビン(immunoglobin)、好中球、リンパ球、単球など)、GBSの病理に関連するもののような酸化性及び炎症性のうち少なくともいずれかの作用因子(例えば、フリーラジカル、サイトカイン、ケモカイン、白血球など)、並びに同様のものを、濾別/低減/除去するために設計されてもよい。これにより、GBSの治療及びGBSの症状の改善のうち少なくともいずれかを支援することが可能である。いくつかの実例では、炎症管理システム10は、GBSの治療に使用される時に5kDaのフィルターを備えることができる。本明細書中に開示されたものを含めてその他のフィルタサイズも企図される。例えば、炎症管理システム10は、5kDaの接線流フィルター、100kDaの接線流フィルター、エレクトロフィルター、又はこれらの組み合わせを備えることができる。
【0191】
治療に炎症管理システム10を使用することが可能な別の企図される状態は、髄膜炎である。細菌性髄膜炎は、病原細菌がクモ膜下腔に入って化膿性の炎症反応を引き起こしたときに生じる。グラム陰性細菌性髄膜炎(GBM)は、グラム陰性細菌が中枢神経系(CNS)に侵入した場合に生じる悲惨な状態である。毎年GBMについては30,000の米国の症例及び世界で100万以上の症例がある。細菌感染がGBMとして現われる場合、GBMは、多くの場合30%を超える死亡率、及び病的状態という極めて重い負担を患者に与え、かつ標準的な抗生物質に弱い細菌によって引き起こされた場合ですら治療するのは臨床医にとって非常に困難である。GBMは、小児又は免疫不全の患者、例えばHIV患者、臓器移植処置後若しくは脳外科的処置後の患者などにおいて最も多く見られる。現行の治療ガイドラインには、少なくとも10日間~2週間のセファロスポリン又はカルバペネム又はポリマイシン(polymycin)の静脈内投与が含まれている。昔から外傷及び脳外科的処置を中心として生じている、グラム陰性の腸内細菌性髄膜炎が存在する状態では、耐性の高い細菌が疾患を引き起こす可能性がある。治療のためにはアミノグリコシド及びポリマイシン(polymycin)のような抗生物質が考えられるが、CNS疾患では全身に使用されるこれらの作用薬については治療‐毒性の比率が不十分であり、最適な治療は存在しないかもしれない。
【0192】
重要な優先事項と考えられてきた3種の主要なグラム陰性の病原体には、シュードモナス属菌、アシネトバクター属菌及びおよびクレブシエラ属菌(PAK)が含まれる。これらのグラム陰性細菌は、肺炎、血流感染及びとりわけ院内感染髄膜炎のような、重症かつ多くの場合致命的な感染症を引き起こす可能性がある。これらの細菌は、カルバペネム及び第3世代セファロスポリン(多剤耐性細菌性髄膜炎を治療するために利用可能な最高の抗生物質)を含む多くの抗生物質に対し耐性を獲得してきた。世界保健機関は、多面的な手法が必要であること、並びに、手を打たなければさらなる公衆衛生問題を引き起こして患者のケア及び生存に劇的な影響を与えるであろうことを、認めている。このことは、目下利用可能な抗生物質では治療できないGBM感染症の極めて現実的な見込みを提起している。この抗生物質発見以前の時代への逆戻りは、不幸にも世界の多くの地域において現実となっている。
【0193】
CSFの汚染生物体量の低減は、生存に影響を及ぼすただ一つの最も重要な要因であって、より良好な全体的臨床転帰に結びつく。最初の24時間におけるCSFの滅菌を用いる、CSFの汚染生物体量の迅速な低減は、重要である。抗生物質の効果の最適化は、存在する生物体負荷量に、及び感染初期に開始されようとしている抗生物質治療の直接的活性に、直に左右される。どの抗生物質製剤が最も有効であろうかを判定することは、PAKのような薬物耐性細菌に直面してますます困難となっている。細菌性髄膜炎のための新しい抗生物質についての臨床データは、耐性の出現に簡単に歩調を合わせてきたわけではなく、また新しい治療手法の開発は切に必要とされている。加えて、実験動物モデルは、細菌性髄膜炎の転帰がクモ膜下腔(SAS)における炎症の重症度と関係しており、炎症性反応の調節によって改善される可能性が考えられることを示している。
【0194】
炎症管理システム10は、CSFへの直接的な接近手段を提供し、かつ標的病原体の除去と併せた能動的な循環を作り出す、革新的な新しい治療オプションを提供することができる。これは、CFU及びCSFの汚染細菌量を迅速に低減し、かつ細菌性髄膜炎の罹患率及び死亡率の低減につなげる、新規な治療手法を提供することができる。
【0195】
従って、本方法は、炎症管理システム10を使用してCSF中の病原性細菌及び/又は該細菌の関連するエンドトキシン及び/又はサイトカインのうち1以上の存在を低減又は排除することにより、細菌性髄膜炎の症状の改善又は低減をもたらす。該方法は、患者からCSFを取り出すステップ、病原性細菌、及び/又は該病原性細菌に関連したエンドトキシン、及び/又はサイトカイン、のうち少なくとも1つをCSFから取り出すステップ、並びに、この内生のCSFを患者に返戻するステップを含み、取り出すステップ及び返戻するステップは、治療の少なくとも一部分の間に同時に実施される。いくつかの実施形態では、サイトカインは、IL‐1ra、IL‐6、TNF、CRP、及びCXCL10、又はこれらの組み合わせで構成されている群から選択される。
【0196】
上記のうちのいくつかにおいて、及びその他の実例において、該方法は、脊柱のアクセス部位を通じて患者の脊柱のCSF腔の中へとカテーテルを導入するステップ、脊柱のCSF腔を通して脳に向かってカテーテルを、カテーテルの複数の開口部がCSF腔の内部に、かつ予め選択された距離の間隔を置かれるか又は適切な距離に調整されて配置されるように、前進させるステップ、カテーテルの開口部のうち少なくともいくつかを通してCSFを抜き出すステップ、抜き出したCSFから炎症管理システム10を用いて病原性細菌及び/又は該細菌の関連するエンドトキシン及び/又はサイトカインのうち少なくとも1つを取り出す(それによりCSFの状態調整を行う)ステップ、並びに、状態調整がなされたCSFをカテーテルの開口部のうち他のものを通して返戻するステップ、によって細菌性髄膜炎の症状の改善又は低減をもたらす。
【0197】
真菌性髄膜炎(FM)は、脳脊髄液(CSF)を介したクモ膜下腔(SAS)への任意の主要な真菌病原体の播種から生じる、中枢神経系の髄膜の感染症である。クリプトコックス性髄膜炎(CM)はクリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)によって引き起こされ、成人における真菌性髄膜炎の最も一般的な原因である。真菌性髄膜炎の原因となる他の病原体には、C.ガッティ(C.Gattii)、ブラストミセス属菌、ヒストプラスマ属菌、コクシジオイデス属菌が含まれる。CMのための治療は、抗真菌剤を用いた導入、地固め、及び維持の手法に基礎を置いており、他所で明確に定められているが、罹患率及び死亡率は継続して高い。創薬の計画は、血液脳関門(BBB)の通過に乏しいため限定されている。このため、本発明者らは、感染したCSFの濾過のための、代替のカテーテルを用いる体外濾過システム(Neurapheresis療法)を開発した。ここで本発明者らは、感染したCSFからのC.ネオフォルマンス細胞、多糖類抗原、及び炎症伝達物質の濾別のための代替の機械的治療介入としての、Neurapheresis療法のin vitroの特徴解析について説明する。
【0198】
炎症管理システム10は、CSFへの直接的な接近手段を提供し、かつ標的病原体の除去と併せた能動的な循環を作り出す、革新的な新しい治療オプションを提供することができる。これは、CFU及びCSFの汚染真菌量を迅速に低減し、かつ真菌性髄膜炎の罹患率及び死亡率の低下につなげる、新規な治療手法を提供することができる。少なくともいくつかの実例では、炎症管理システム10は、C.ネオフォルマンスのような真菌が通過することを全く許さないように設計された1以上のフィルターを備えることができる。上記のうちのいくつかにおいて、及びその他の実例において、炎症管理システム10は、真菌(例えばC.ネオフォルマンス)、関連する抗原、及び炎症性物質のうち少なくともいずれかを取り除くように設計された1以上のフィルターを備えることができる。少なくともいくつかの実例では、5kDaのTFF及び100kDaのTFFのうち少なくともいずれか一方をCSFが1回通過することが、CSF中のC.ネオフォルマンスを取り除くか又はそうでなければ(other)C.ネオフォルマンスのCFUを低減するのに十分である可能性がある。加えて、5kDaのTFF及び100kDaのTFFのうち少なくともいずれか一方は、CSFからC.ネオフォルマンス抗原を取り除くか又はそうでなければ低減するのに十分である可能性がある。更に、5kDa及び100kDaのうち少なくともいずれか一方のTFFはさらに、CSFからいくつかの神経炎症性物質、例えばIL‐1ra、IL‐6、TNF、CRP、及びCXCL10/IP‐10のうち少なくともいずれかを取り除くことも可能である。
【0199】
従って、本方法は、炎症管理システム10を使用して、CSF中の病原性真菌及び/又は該真菌の関連抗原(クリプトコックス抗原)及び/又はサイトカインのうち1以上の存在を低減又は排除することにより、真菌性髄膜炎の症状の改善又は低減をもたらす。該方法は、本明細書中に記載されるように患者からCSFを取り出すステップと;CSFから、病原体真菌、及び/又は該病原体真菌の関連抗原、及び/又はサイトカインのうち少なくとも1つを取り出すステップと、この内生のCSFを患者に返戻するステップと、を含み、取り出すステップ及び返戻するステップは、治療の少なくとも一部分の間に同時に実施される。いくつかの実施形態では、サイトカインは、IL‐1ra、IL‐6、TNF、CRP、及びCXCL10、又はこれらの組み合わせで構成されている群から選択される。真菌及び/又は抗原及び/又はサイトカインは、1以上の濾過システムを使用してCSFから取り出すことが可能である。5kDa及び100kDaのうち少なくともいずれか一方のTFFはさらに、いくつかの神経炎症性物質、例えばIL‐1ra、IL‐6、TNF、CRP、及びCXCL10/IP‐10のうち少なくともいずれかを取り除くことも可能である。
【0200】
上記のうちのいくつかにおいて、及びその他の実例において、該方法は、脊柱のアクセス部位を通じて患者の脊柱のCSF腔の中へとカテーテルを導入するステップ、脊柱のCSF腔を通して脳に向かってカテーテルを、カテーテルの複数の開口部がCSF腔の内部に、かつ予め選択された距離の間隔を置かれるか又は適切な距離に調整されて配置されるように、前進させるステップ、カテーテルの開口部のうち少なくともいくつかを通してCSFを抜き出すステップ、抜き出したCSFから炎症管理システム10を用いて病原性真菌及び/又は該真菌の関連する抗原及び/又はサイトカインのうち少なくとも1つを取り出す(それによりCSFの状態調整を行う)ステップ、並びに、状態調整がなされたCSFをカテーテルの開口部のうち他のものを通して返戻するステップ、によって真菌性髄膜炎の症状の改善又は低減をもたらす。
【0201】
少なくともいくつかの実例では、炎症管理システム10はCNSの一部に薬物を送達するために使用されてもよい。例えば、CMのためのいくつかの治療には、アムホテリシンB(AmB)及びフルシトシンのような静脈内及び経口用の抗真菌剤の投与が含まれうる。一般に、髄腔内(IT)AmBボーラス投与は、注射部位付近における神経に有毒な薬物濃度を伴う可能性がある。炎症管理システム10の使用は、AmB及びその他の薬物のうち少なくともいずれかのIT注入を可能にするかもしれない。予想外にも、炎症管理システム10は、AmBのようないくつかの薬物を低減し、濾別し、又はその他の方法で除去するために使用されることも可能である。このために、AmBの用量を、所望の用量まで正確に漸増することが可能である。AmBのレベルが望ましからぬレベル(例えば望ましからぬ高レベル)に達した場合、炎症管理システム10は、CSFから不要な量のAmBを迅速に除去するために使用することが可能である。
【0202】
炎症管理システム10は、治療用量と毒性用量との差が比較的小さい薬物を含むいくつかの他の薬物を送達するために使用することも可能である。例えば、薬物は炎症管理システム10を使用してCSFに注入されることが可能である。毒性の徴候が観察された場合、又はCSF中の薬物濃度の計測値が所望されるよりも高い場合、炎症管理システム10を、CSFから薬物を迅速に除去するために使用することが可能である。このように、炎症管理システム10は、所望の通りに、患者のCSF中への制御された薬物送達及びCSFからの薬物の迅速な除去のために使用することが可能である。
【0203】
炎症管理システム10はさらに、いくつかの状態に伴うICPを低減する助けとなることも可能である。例えば、いくつかの状態(例えば、がん、HSE、及びその他など)は、CSFの再吸収のための天然の経路を遮断するか、閉塞するか、又はその他のかたちで影響を与えている、細胞(例えば腫瘍細胞など)、炎症性物質、及び同様なものによる、ICPの上昇を伴う場合がある。炎症管理システム10を使用することにより、天然の再吸収経路を遮断しているかもしれない物質を除去/低減せしめ、それによりCSFの体積に望ましい影響を及ぼしてICPを低減することが可能である。
【0204】
脳脊髄腔及びCNSのうち少なくともいずれか一方に第1の位置でアクセスするための第1のポート、並びに脳脊髄腔及びCNSのうち少なくともいずれか一方に第2の位置でアクセスするための第2のポートを利用するシステムも、企図される。そのようなポートは、急性期に移植されてもよいし、長期間にわたって移植されてもよい。いくつかの実例では、ポートは、脳脊髄腔及びCNSのうち少なくともいずれか一方への物質の注入、脳脊髄腔及びCNSのうち少なくともいずれか一方からの物質の除去、又は両方を可能にすることができる。ポートのうち一方又は両方が、オマヤ貯留槽であるか又はそうでなければオマヤ貯留槽に類似したものであってよい。ポートは、チューブ/カテーテル、炎症管理システム10と共に使用されるように設計可能である。例えば、第1のチューブ及び第1のカテーテルのうち少なくともいずれか一方はポートのうちの1つに接続されているか又はそうでなければ接続可能であってよく、かつ第2のチューブ及び第2のカテーテルのうち少なくともいずれか一方は他方のポートに接続されているか又はそうでなければ接続可能であってよい。CSFは、患者から(例えば、チューブ、第1若しくは第2のカテーテルのうちいずれか、又はその他同種のものを使用して)取り出されて、炎症管理システム10によって濾過されることが可能である。いくつかの実例では、濾過されたCSFは、同じチューブ/カテーテルを使用して患者に返戻されてもよい。他の実例では、濾過されたCSFは、別のチューブ/カテーテルを使用して患者に返戻されてもよい。換言すれば、CSFは第1のポートでカテーテルを使用して患者から取り出され、かつ次に第2のポートでカテーテルを使用して患者に返戻されることが可能である。これにより、脳脊髄腔及びCNSのうち少なくともいずれか一方を通してCSFを循環させる助けとなるループ様の経路を形成することができる。ポートは、CSFの循環を促進する助けとなるかたちで患者に沿って位置決めされることが可能である。例えば、ポートのうちの一方は患者の頭蓋に位置付けられてもよく(例えば、脳の脳室へのアクセスを提供することを含みうる)、他方は脊柱の腰部領域に沿って位置付けられてもよい(例えば、腰部脳脊髄腔に隣接する位置での脳脊髄腔へのアクセスを提供してもよい)。その他の位置も企図される。
【0205】
方向についての言及(例えば、基端側、先端側、上側、下側、上方向、下方向、左、右、側方、前方、後方、上部、底部、上方、下方、垂直、水平、時計回り、及び反時計回り)は全て、本開示についての読者の理解を助けるための識別を目的として使用されているにすぎず、特に本開示の配置状態、配向、又は使用に関して、限定を設けるものではない。接続についての言及(例えば、添着した、結合した、接続した、及び連結した)は広く解釈されるべきであり、かつ別途指示のないかぎり、一群の要素の間の媒介部材、及び要素間の相対的運動を含むことができる。そのため、接続についての言及は、2つの要素が直接接続されて互いに固定された関係にあることを必ずしも暗示するものではない。なお、送達用シース及び送達用カテーテルはこの説明の目的のためには互換的に使用可能である。例示の図面は単に例証を目的としており、本明細書に添付された図面において反映された寸法、配置状態、順序及び相対的大きさは、変更可能である。
【0206】
米国特許出願公開第2016/0051801号明細書は参照により本願に組込まれる。米国特許第8,435,204号明細書は参照により本願に組込まれる。米国特許出願第62/568,412号明細書(特許弁護士整理番号1421.1010100)は参照により本願に組込まれる。米国特許出願第62/598,846号明細書(特許弁護士整理番号1421.1011100)は参照により本願に組込まれる。
【0207】
上記の明細書、実施例及びデータは、以降の特許請求の範囲に示されるような開示内容の典型的な実施形態の構造及び使用についての完全な説明を提供する。特許請求の範囲に示されるような開示内容の様々な実施形態について、ある程度具体的に、又は1以上の個々の実施形態に関して、上述してきたが、当業者が、本開示の思想又は範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に多くの変更を加えるということも考えられる。したがって他の実施形態も企図される。意図されているのは、上記の説明に含まれかつ添付図面に示されている全ての事柄は単に特定の実施形態の例証にすぎず、かつ限定的なものではない、と解釈されるべきであるということである。細部又は構造の変更は、本開示の基本的な要素を逸脱しなければ為されることが可能である。
以下に、上記各実施形態から把握できる技術思想を記載する。
(付記1)
炎症管理システムであって、
コントローラと、
前記コントローラと通信する脳脊髄液管理モジュールと、を備え、
前記コントローラは、
患者の1つまたは複数の生理学的パラメータの測定値を監視すること、
前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値を閾値と比較すること、
前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値と前記閾値との比較に基づいて、前記脳脊髄液管理モジュールを制御すること、を実行するように構成されている、炎症管理システム。
(付記2)
前記コントローラは、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値が前記閾値に達するかまたは前記閾値を超えた場合、前記患者の脳脊髄液に対して治療を実行するように前記脳脊髄液管理モジュールを自動的に制御するように構成されている、付記1に記載の炎症管理システム。
(付記3)
前記患者の脳脊髄液に対する治療は、前記監視された測定値に関連する生理学的パラメータのタイプに基づく所定の治療である、付記2に記載の炎症管理システム。
(付記4)
前記患者の脳脊髄液に対する治療は、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値の比較と、監視された測定値に関連する生理学的パラメータのタイプと、に基づく予め設定された治療である、付記2または3に記載の炎症管理システム。
(付記5)
前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値は、前記患者の2つ以上の生理学的パラメータの測定値に関連する指標値である、付記1~4のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
(付記6)
前記指標値は、前記患者の2つ以上の生理学的パラメータの測定値に基づく指標の値である、付記5に記載の炎症管理システム。
(付記7)
前記指標値は、2つ以上の副指標に基づく指標の値であり、前記2つ以上の副指標のうちの各副指標は、前記患者の2つ以上の生理学的パラメータの測定値に基づく、付記5または6に記載の炎症管理システム。
(付記8)
前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値は、前記1つまたは複数の生理学的パラメータのうちの生理学的パラメータの測定値の値である、付記1~7のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
(付記9)
前記1つまたは複数の生理学的パラメータは、頭蓋内圧、脳圧灌流、平均動脈圧、心拍数、脳酸素化、脳血流およびサイトカインレベルからなる群から選択される1つまたは複数の生理学的パラメータを含む、付記1~8のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
(付記10)
前記脳脊髄液管理モジュールは、冷却処理モジュールを含む、付記1~9のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
(付記11)
前記脳脊髄液管理モジュールは、濾過処理モジュールを含む、付記1~10のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
(付記12)
前記脳脊髄液管理モジュールは、冷却処理モジュールおよび濾過処理モジュールを含む、付記1~11のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
(付記13)
前記脳脊髄液管理モジュールは、脳脊髄液を前記患者から処理モジュールにポンプ輸送するように構成されたポンプを有する循環モジュールを含む、付記1~12のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
(付記14)
前記コントローラと通信する通信ポートをさらに備え、
前記通信ポートは、前記コントローラによって監視される患者の1つまたは複数の生理学的パラメータの測定値を受信するように構成されている、付記1~13のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
(付記15)
前記コントローラと通信する通信ポートをさらに備え、
前記通信ポートは、前記脳脊髄液管理モジュールと前記コントローラとの間の通信を可能にするように構成されている、付記1~14のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
(付記16)
前記コントローラと通信し、ワイヤレスネットワークを介した前記コントローラとデバイスとの間の通信を可能にするように構成されたワイヤレス通信ポートをさらに備える付記1~15のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
(付記17)
前記コントローラと通信するユーザーインタフェースをさらに備え、
前記ユーザーインタフェースは、前記コントローラの動作を変更する入力を受け取るように構成されている、付記1~16のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
(付記18)
前記ユーザーインタフェースは、選択可能な区画内の前記患者の医用画像と、前記選択可能な区画に隣接する前記ユーザーインタフェース上のリアルタイム更新区画位置における前記患者の前記1つまたは複数の生理学的パラメータの測定値および前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値の一方または両方とを表示するように構成されている、付記17に記載の炎症管理システム。
(付記19)
脳脊髄液循環システムであって、
コントローラと、
前記コントローラと通信する循環管理モジュールと、
前記コントローラと通信する脳脊髄液治療管理モジュールと、を備え、
前記コントローラは、患者の1つまたは複数の生理学的パラメータの測定値に基づいて、前記循環管理モジュールおよび前記脳脊髄液治療管理モジュールを自動的に制御するように構成されている、脳脊髄液循環システム。
(付記20)
前記コントローラは、予め設定された脳脊髄液流量を維持するように前記循環管理モジュールを制御するように構成されている、付記19に記載の脳脊髄液循環システム。
(付記21)
前記コントローラは、脳脊髄液圧を設定値レベル以下に維持するように前記循環管理モジュールを制御するように構成されている、付記19または20に記載の脳脊髄液循環システム。
(付記22)
前記脳脊髄液管理治療モジュールは、1つまたは複数の交換可能な処理モジュールを含むように構成されている、付記19~21のいずれか一項に記載の脳脊髄液循環システム。
(付記23)
前記1つまたは複数の交換可能な処理モジュールは、
冷却処理モジュールおよび濾過処理モジュールからなる群から選択される1つまたは複数の処理モジュールを含む、付記22に記載の脳脊髄液循環システム。
(付記24)
前記脳脊髄液治療管理モジュールは、冷却処理モジュールを含む、付記19~23のいずれか一項に記載の脳脊髄液循環システム。
(付記25)
前記コントローラが、前記患者の生理学的パラメータの測定値に関連する値が閾値に達するかまたは閾値を超えると判定した場合、前記コントローラが、前記冷却処理モジュールの動作を調整して脳脊髄液を所定時間冷却しながら、前記循環管理モジュールの動作を調整して脳脊髄液を動的に能動的に排出するように、前記コントローラは構成されている、付記24に記載の脳脊髄液循環システム。
(付記26)
前記脳脊髄液治療管理モジュールは、濾過処理モジュールを含む、付記19~25のいずれか一項に記載の脳脊髄液循環システム。
(付記27)
前記コントローラが、前記患者の生理学的パラメータの測定値に関連する値が閾値に達するかまたは閾値を超えると判定した場合、前記コントローラが、前記濾過処理モジュールの動作を調整して脳脊髄液から汚染物質を濾過しながら、前記循環管理モジュールの動作を調整して脳脊髄液を所定の流量で循環させるように、前記コントローラは構成されている、付記26に記載の脳脊髄液循環システム。
(付記28)
炎症を管理する方法であって、
患者の1つまたは複数の生理学的パラメータの測定値を経時的に監視すること、
前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値を閾値と比較すること、
前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値と前記閾値との比較に基づいて、脳脊髄液管理モジュールの動作を調整すること、を備える方法。
(付記29)
前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値と前記閾値との差分を決定すること、をさらに備え、
前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整することは、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値と前記閾値との決定された差分に基づく、付記28に記載の方法。
(付記30)
前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整することは、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値と前記閾値との比較に基づいて自動的に開始される、付記28または29に記載の方法。
(付記31)
前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整することは、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値が最初に前記閾値に達したかまたは前記閾値を超えたことに応答して治療開始プロトコルを開始する、付記28~30のいずれか一項に記載の方法。
(付記32)
前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整することは、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値が最初に前記閾値に達したかまたは前記閾値を超えた後の2回目に前記閾値に達したかまたは前記閾値を超えたことに応答して治療停止プロトコルを開始する、付記31に記載の方法。
(付記33)
前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整することは、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値が前記閾値に達したかまたは前記閾値を超えたことに応答して治療停止プロトコルを開始する、付記28~32のいずれか一項に記載の方法。
(付記34)
前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整することは、監視された測定値に関連する生理学的パラメータのタイプに基づいて所定の治療プロトコルを開始する、付記28~33のいずれか一項に記載の方法。
(付記35)
前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整することは、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの監視された測定値に関連する値と前記閾値との比較、および監視された測定値に関連する生理学的パラメータのタイプに基づいて、所定の治療プロトコルを開始する、付記28~34のいずれか一項に記載の方法。
(付記36)
前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整することは、前記脳脊髄液管理モジュールに冷却処理プロトコルを開始させる、付記28~35のいずれか一項に記載の方法。
(付記37)
前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整することは、前記脳脊髄液管理モジュールに濾過処理プロトコルを開始させる、付記28~36のいずれか一項に記載の方法。
(付記38)
前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整することは、前記脳脊髄液管理モジュールに濾過処理プロトコルおよび冷却処理プロトコルを開始させる、付記28~37のいずれか一項に記載の方法。
(付記39)
コンピューティングデバイスによって使用するためのプログラムコードを非一時的な状態で格納したコンピュータ可読媒体であって、前記プログラムコードは、前記コンピューティングデバイスに炎症を管理する方法を実行させ、前記方法は、
1つまたは複数の生理学的パラメータの1つまたは複数の測定値に関連する値を決定すること、
前記1つまたは複数の生理学的パラメータの1つまたは複数の測定値に関連する値を閾値と比較すること、
前記1つまたは複数の生理学的パラメータの1つまたは複数の測定値に関連する値と前記閾値との比較に基づいて、脳脊髄液管理モジュールの動作を調整するための制御信号を出力すること、を備える、コンピュータ可読媒体。
(付記40)
前記方法は、
前記1つまたは複数の生理学的パラメータの1つまたは複数の測定値に関連する値と前記閾値との差分を決定すること、をさらに備え、
前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整する制御信号は、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの1つまたは複数の測定値に関連する値と前記閾値との決定された差分に基づく、付記39に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記41)
前記制御信号を出力することは、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの1つまたは複数の測定値に関連する値と前記閾値との比較に基づいて自動的に開始される、付記39または40に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記42)
前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整する出力される制御信号は、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの1つまたは複数の測定値に関連する値が最初に前記閾値に達したかまたは前記閾値を超えたことに応答して治療開始プロトコルを開始するように構成されている、付記39~41のいずれか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記43)
前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整する出力される制御信号は、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの1つまたは複数の測定値に関連する値が最初に前記閾値に達したかまたは前記閾値を超えた後の2回目に前記閾値に達したかまたは前記閾値を超えたことに応答して治療停止プロトコルを開始するように構成されている、付記42に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記44)
前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整する出力される制御信号は、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの1つまたは複数の測定値に関連する値が前記閾値に達したかまたは前記閾値を超えたことに応答して治療停止プロトコルを開始するように構成されている、付記39~43のいずれか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記45)
前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整する出力される制御信号は、前記1つまたは複数の測定値に関連する生理学的パラメータのタイプに基づいて所定の治療プロトコルを開始するように構成されている、付記39~44のいずれか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記46)
前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整する出力される制御信号は、前記1つまたは複数の生理学的パラメータの1つまたは複数の測定値に関連する値と前記閾値との比較、および前記1つまたは複数の測定値に関連する生理学的パラメータのタイプに基づいて、所定の治療プロトコルを開始するように構成されている、付記39~45のいずれか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記47)
前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整する出力される制御信号は、脳脊髄液管理モジュールに冷却処理プロトコルを開始させる、付記39~46のいずれか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記48)
前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整する出力される制御信号は、脳脊髄液管理モジュールに濾過処理プロトコルを開始させる、付記39~47のいずれか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記49)
前記脳脊髄液管理モジュールの動作を調整する出力される制御信号は、脳脊髄液管理モジュールに濾過処理プロトコルおよび冷却処理プロトコルを開始させる、付記39~48のいずれか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記50)
患者の複数の生理学的パラメータの値に基づいて患者の状態を管理する炎症管理システムであって、
1つまたは複数の入力デバイスと通信するように構成されたポートであって、前記1つまたは複数の入力デバイスから患者の1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する値を受信するように構成される前記ポートと、
前記患者の1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する受信された値を格納するメモリと、
前記ポートおよび前記メモリに動作可能に接続されたプロセッサであって、前記患者の1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する受信された値を処理し、前記患者の1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する処理された前記受信された値に基づいて前記患者の炎症状態がいつ治療状態に達するかを特定するように構成された前記プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記ポートを介して、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことを確定する1つまたは複数の指示を出力するように構成されている、炎症管理システム。
(付記51)
前記プロセッサは、前記患者の炎症状態がいつ治療状態に達したかを特定したことに応答して、前記患者の脳脊髄液に対して治療を実行するための脳脊髄液管理モジュールへの制御信号を出力するように構成されている、付記50に記載の炎症管理システム。
(付記52)
前記ポートを介して前記プロセッサと通信するユーザーインタフェースをさらに備え、
前記プロセッサは、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことを特定したことに応答して、提案された治療プロトコルをユーザーインタフェース上に表示させるように構成されている、付記50または51に記載の炎症管理システム。
(付記53)
前記プロセッサは、前記1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する受信された値に基づいて指標値を決定し、前記指標値に基づいて前記患者の炎症状態がいつ治療状態に達するかを特定するように構成されている、付記50~52のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
(付記54)
前記受信された値は、2つ以上の生理学的パラメータに関連し、前記指標値は、少なくとも2つの生理学的パラメータの受信された値に基づいて決定される、付記53に記載の炎症管理システム。
(付記55)
前記指標値は、脳炎症指標の値であり、前記少なくとも2つの生理学的パラメータの値は、白血球数(white blood cell count : WBC)の値、体温の値、心拍変動の値、及びフォトプレチスモグラフィの値を含む、付記54に記載の炎症管理システム。
(付記56)
前記指標値は、mass effect指標の値であり、前記少なくとも2つの生理学的パラメータの値は、CTスキャンからの正中偏位の値、血液量の値、浮腫量の値、頭蓋内圧の値、患者の脳内の水の値、および脳組織の値を含む、付記54に記載の炎症管理システム。
(付記57)
前記指標値は、国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値であり、前記少なくとも2つの生理学的パラメータの値は、意識レベルの値、瞳孔計による眼の測定値、運動技能の値、感覚の値、および言語技能の値を含む、付記54に記載の炎症管理システム。
(付記58)
前記指標値は、流体管理指標の値であり、前記少なくとも2つの生理学的パラメータの値は、血圧の値、流体入出力の値、脳灌流圧の値、ナトリウム含有量の値、及びカリウム含有量の値を含む、付記54に記載の炎症管理システム。
(付記59)
前記指標値は、グラスゴー昏睡スケール指標の値であり、前記少なくとも2つの生理学的パラメータの値は、眼の測定値の値、運動技能の値、及び言語技能の値を含む、付記54に記載の炎症管理システム。
(付記60)
前記指標値は、複数の副指標値に基づく、付記53~59のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
(付記61)
前記複数の副指標値は、炎症指標の値、mass effect指標の値、国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値、流体管理指標の値、およびグラスゴー昏睡スケール指標の値のうちの2つ以上の値を含む、付記60に記載の炎症管理システム。
(付記62)
前記治療状態は、前記患者のクモ膜下出血に関連する状態であり、前記指標値は、炎症指標の値、mass effect指標の値、国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値、および流体管理指標の値に基づく、付記53~61のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
(付記63)
前記治療状態は、前記患者の頭蓋内出血に関連する状態であり、前記指標値は、炎症指標の値、mass effect指標の値、および国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値に基づく、付記53~61のいずれか一項記載の炎症管理システム。
(付記64)
前記治療状態は、前記患者の外傷性脳損傷に関連する状態であり、前記指標値は、炎症指標の値、mass effect指標の値、およびグラスゴー昏睡スケール指標の値に基づく、付記53~61のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
(付記65)
前記指標値は、前記患者の経時的な炎症状態の傾向を示す、付記53~64のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
(付記66)
患者の状態を治療するために炎症を管理する方法であって、
患者の複数の生理学的パラメータに関連する測定値を受信すること、
プロセッサが、前記患者の1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する値を処理すること、
前記プロセッサが、前記患者の前記1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する処理された値に基づいて前記患者の炎症状態が治療状態に達したことを特定すること、
前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことを特定したことに応答して、前記プロセッサと通信するポートを介して、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことの指示を自動的に出力すること、を備える方法。
(付記67)
前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことの指示を出力することは、
前記プロセッサから脳脊髄液管理モジュールに制御信号を出力して、前記脳脊髄液管理モジュールに前記患者の脳脊髄液の治療を実行するように指示すること、を含む、付記66に記載の方法。
(付記68)
前記患者の前記複数の生理学的パラメータに関連する処理された値に基づいて、前記プロセッサが、前記患者の脳脊髄液を治療するための治療を自動的に選択すること、をさらに備える付記67に記載の方法。
(付記69)
前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことの指示を出力することは、
前記炎症状態の治療のための提案された治療プロトコルをユーザーインタフェースに表示すること、を含む、付記66~68のいずれか一項に記載の方法。
(付記70)
前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことを特定したことに応答して、前記患者の前記1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する処理された値に基づいて、前記プロセッサが、治療プロトコルモジュールから提案された治療プロトコルを自動的に選択すること、をさらに備える付記69に記載の方法。
(付記71)
前記患者の前記1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する値を処理することは、
前記患者の前記1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する値に基づいて指標値を決定すること、を含み、
前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことを特定することは、前記指標値に基づく、付記66~70のいずれか一項に記載の方法。
(付記72)
受信された前記患者の前記1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する値は、前記患者の2つ以上の生理学的パラメータに関連し、
前記指標値は、少なくとも2つの生理学的パラメータの値に基づいて決定される、付記71に記載の方法。
(付記73)
前記指標値は、脳炎症指標の値であり、前記少なくとも2つの生理学的パラメータの値は、白血球数(white blood cell count : WBC)の値、体温の値、心拍変動の値、及びフォトプレチスモグラフィの値を含む、付記72に記載の方法。
(付記74)
前記指標値は、mass effect指標の値であり、前記少なくとも2つの生理学的パラメータの値は、CTスキャンからの正中偏位の値、血液量の値、浮腫量の値、頭蓋内圧の値、患者の脳内の水の値、および脳組織の値を含む、付記72に記載の方法。
(付記75)
前記指標値は、国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値であり、前記少なくとも2つの生理学的パラメータの値は、意識レベルの値、眼の測定値、運動技能の値、感覚の値、および言語技能の値を含む、付記72に記載の方法。
(付記76)
前記指標値は、流体管理指標の値であり、前記少なくとも2つの生理学的パラメータの値は、血圧の値、流体入出力の値、脳灌流圧の値、ナトリウム含有量の値、及びカリウム含有量の値を含む、付記72に記載の方法。
(付記77)
前記指標値は、グラスゴー昏睡スケール指標の値であり、前記少なくとも2つの生理学的パラメータの値は、眼の測定値の値、運動技能の値、及び言語技能の値を含む、付記72に記載の方法。
(付記78)
前記指標値を決定することは、複数の副指標値を処理することを含む、付記71~77のいずれか一項に記載の方法。
(付記79)
前記複数の副指標値は、炎症指標の値、mass effect指標の値、国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値、流体管理指標の値、およびグラスゴー昏睡スケール指標の値のうちの2つ以上の値を含む、付記78に記載の方法。
(付記80)
前記治療状態は、患者のクモ膜下出血に関連する状態であり、前記指標値は、炎症指標の値、mass effect指標の値、国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値、および流体管理指標の値に基づく、付記78に記載の方法。
(付記81)
前記治療状態は、患者の頭蓋内出血に関連する状態であり、前記指標値は、炎症指標の値、mass effect指標の値、および国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値に基づく、付記78に記載の方法。
(付記82)
前記治療状態は、前記患者の外傷性脳損傷に関連する状態であり、前記指標値は、炎症指標の値、mass effect指標の値、およびグラスゴー昏睡スケール指標の値に基づく、付記78に記載の方法。
(付記83)
コンピューティングデバイスによって使用するためのプログラムコードを非一時的な状態で格納したコンピュータ可読媒体であって、前記プログラムコードは、前記コンピューティングデバイスに炎症を管理させるために患者の状態を治療する方法を実行させ、前記方法は、
患者の1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する値をメモリに格納すること、
前記メモリに格納された前記患者の1つまたは複数の生理学的パラメータに関連する値に基づいて、指標値を決定すること、
前記指標値に基づいて、前記患者の炎症状態が治療状態に達したことを特定すること、
前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことを特定したことに応答して、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことの指示を自動的に出力すること、を備える、コンピュータ可読媒体。
(付記84)
前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことの指示を自動的に出力することは、
脳脊髄液管理モジュールに制御信号を出力して、前記脳脊髄液管理モジュールに前記患者の脳脊髄液の治療プロトコルを実行するように指示すること、を含む、付記83に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記85)
前記方法は、
前記指標値に基づいて、前記患者の脳脊髄液を治療する治療プロトコルを自動的に選択すること、をさらに備える、付記84に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記86)
前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことの指示を自動的に出力することは、
前記炎症状態の治療のための提案された治療プロトコルをユーザーインタフェース上に表示することを含む、付記83~85のいずれか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記87)
前記方法は、
前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことを特定したことに応答して、前記指標値に基づいて前記炎症状態の治療のために提案された治療プロトコルを自動的に選択すること、をさらに備える、付記86に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記88)
前記指標値を決定することは、
複数の副指標値を処理することを含む、付記83~87のいずれか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記89)
前記複数の副指標値は、炎症指標の値、mass effect指標の値、国立衛生研究所脳卒中スケール指標の値、流体管理指標の値、およびグラスゴー昏睡スケール指標の値のうちの2つ以上の値を含む、付記88に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記90)
前記指標値は、前記患者の経時的な炎症状態の傾向を示す、付記83~89のいずれか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記91)
患者の複数の生理学的パラメータの値に基づいて患者の状態を管理する炎症管理システムであって、
1つまたは複数の入力デバイスと通信するように構成されたポートであって、前記1つまたは複数の入力デバイスから患者の複数の生理学的パラメータに関連する値を受信するように構成される前記ポートと、
前記患者の複数の生理学的パラメータに関連する受信された値を格納するメモリと、
前記ポートおよび前記メモリに動作可能に接続されたプロセッサであって、前記患者の複数の生理学的パラメータに関連する受信された値を処理し、前記複数の生理学的パラメータに関連する受信された値に基づいて前記患者の経時的な炎症状態の傾向を示す指標値を設定するように構成される前記プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記ポートを介して、前記指標値に基づく指示を出力するように構成されている、炎症管理システム。
(付記92)
前記指標値に基づく指示は、前記患者の炎症状態が治療状態に達したことを確定する指示を含む、付記91に記載の炎症管理システム。
(付記93)
前記指標値に基づく指示は、前記患者の炎症状態が前記治療状態に達したことに応答して、前記患者の脳脊髄液に対して治療を実行するための脳脊髄液管理モジュールへの制御信号を含む、付記92に記載の炎症管理システム。
(付記94)
前記ポートを介して前記プロセッサと通信するユーザーインタフェースであって、前記患者の経時的な複数の生理学的パラメータに関連する値を表示する第1の区画と、第2の区画と、を含む前記ユーザーインタフェースをさらに備え、
前記指標値に基づく指示は、前記第1の区画に前記指標値を表示するための前記プロセッサから前記ユーザーインタフェースへの制御信号を含む、付記91~93のいずれか一項に記載の炎症管理システム。
(付記95)
前記指標値は、可能性のある指標値の範囲に関して前記第1の区画に表示され、前記患者の複数の生理学的パラメータに関連する値は、所定の期間に関して第2の区画に表示される、付記94に記載の炎症管理システム。
図1
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図3
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図6