(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】導電性転写
(51)【国際特許分類】
H05B 3/20 20060101AFI20230710BHJP
H05B 3/34 20060101ALI20230710BHJP
B41J 3/407 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
H05B3/20 386
H05B3/34
B41J3/407
(21)【出願番号】P 2021522154
(86)(22)【出願日】2019-07-06
(86)【国際出願番号】 GB2019000093
(87)【国際公開番号】W WO2020008162
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-12-16
(32)【優先日】2018-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521007702
【氏名又は名称】コンダクティブ トランスファーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CONDUCTIVE TRANSFERS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100145883
【氏名又は名称】新池 義明
(72)【発明者】
【氏名】ブルック, ポール ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】バンゲイ, レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】キャッチポール, マーク ジョン
(72)【発明者】
【氏名】レビット, メルヴィン
(72)【発明者】
【氏名】サトクリフ, スチーブン ポール
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0158898(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0117895(US,A1)
【文献】国際公開第2017/209938(WO,A1)
【文献】特開平09-129359(JP,A)
【文献】特開2017-147085(JP,A)
【文献】特表2001-517583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/20
H05B 3/34
B41J 3/407
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に適用するための導電性転写部材であって:
第1の非導電性インク層及び第2の非導電性インク層;
前記第1の非導電性インク層と前記第2の非導電性インク層の間に配置された発熱体
;
当該導電性転写部材を表面に接着するための接着層;
及び
前記発熱体と前記接着層の間にバリアを提供するように配置されたバリア層
を含み、
前記発熱体が正の温度係数を有する導電性インクを含み、前記導電性インクが温度上昇に応じて抵抗の増加を示す、導電性転写部材
【請求項2】
前記発熱体が、前記第1の非導電性インク層と前記第2の非導電性インク層の間
でカプセル化され、
前記第1の非導電性インク層は、電気接続点を提供するために前記発熱体が露出されている非印刷領域を含む、請求項1記載の導電性転写部材。
【請求項3】
前記第1の非導電性インク層が
印刷される基板
を更に含む、請求項1又は請求項2記載の導電性転写部材。
【請求項4】
前記基板は、加熱後に前記第1の非導電性インク層から除去可能である、請求項3記載の導電性転写部材。
【請求項5】
前記基板は、加圧後に前記第1の非導電性インク層から除去可能である、請求項3又は請求項4記載の導電性転写部材。
【請求項6】
前記発熱体が、第1の導電性インク層及び第2の導電性インク層を含み、前記第2の導電性インク層が、正の温度係数を有する前記導電性インクを含む、請求項1ないし5のいずれか1項記載の導電性転写部材。
【請求項7】
前記第1の導電性インク層が金属材料を含み、前記第2の導電性インク層が炭素ベースインクを含む、請求項6記載の導電性転写部材。
【請求項8】
前記金属材料が銅である、請求項7記載の導電性転写部材。
【請求項9】
前記第2の導電性インク層が、複数の正の温度係数のインク要素を含む、請求項6ないし8のいずれか1項記載の導電性転写部材。
【請求項10】
前記発熱体に電力を供給することを可能にするように構成された電源を更に備えている、請求項1ないし9のいずれか1項記載の導電性転写部材。
【請求項11】
前記電源が複数の電力レベルで動作するように構成されている、請求項10記載の導電性転写部材。
【請求項12】
前記電源が印刷されたインクを含む、請求項10又は請求項11記載の導電性転写部材。
【請求項13】
前記電源が充電式電池を含む、請求項10ないし12のいずれか1項記載の導電性転写部材。
【請求項14】
前記充電式電池が無線で充電されるように構成されている、請求項13記載の導電性転写部材。
【請求項15】
絶縁層を更に含む、請求項1ないし14のいずれか1項記載の導電性転写部材。
【請求項16】
前記絶縁層が不透過性材料を含む、請求項15記載の導電性転写部材。
【請求項17】
前記絶縁層が反射性材料を含む、請求項15又は請求項16記載の導電性転写部材。
【請求項18】
前記絶縁層
と前記第2の非導電性インク層の間に空隙を含む、請求項15ないし17のいずれか1項記載の導電性転写部材。
【請求項19】
熱変色性層を更に含む、請求項1ないし18のいずれか1項記載の導電性転写部材。
【請求項20】
前記熱変色性層が、温度の変化に応じて色が変化するように構成されたインクを含む第1の層と、印刷された画像を含む第2の層を含む、請求項19記載の導電性転写部材。
【請求項21】
前記バリア層が誘電体インクを含む、請求項
1記載の導電性転写部材。
【請求項22】
抗菌層を更に含む、請求項1ないし2
1のいずれか1項記載の導電性転写部材。
【請求項23】
保護層を更に含む、請求項1ないし2
2のいずれか1項記載の導電性転写部材。
【請求項24】
当該導電性転写部材内に複数の加熱区画を画定する複数の発熱体を更に含む、請求項1ないし2
3のいずれか1項記載の導電性転写部材。
【請求項25】
前記各加熱区画からの温度出力の読み取りを提供するために前記各加熱区画が熱電対を含む、請求項2
4記載の導電性転写部材。
【請求項26】
前記導電性転写部材からの温度出力の読み取りを提供するように構成された少なくとも1つの熱電対を含む、請求項1ないし2
5のいずれか1項記載の導電性転写部材。
【請求項27】
請求項1ないし2
6のいずれか1項記載の導電性転写部材を含む物品であって:
前記物品が、着用体;加温シート;加温毛布;熱センサ;医療用包帯;加温パッド;床暖房;電子表示部のいずれか1つを含む物品。
【請求項28】
前記物品が露出面を含み、前記導電性転写部材が前記露出面に貼り付けられる、請求項2
7記載の物品。
【請求項29】
請求項14記載の導電性転写部材を含む装置であって:
前記充電式電池と無線通信するように構成された遠隔充電ユニットを更に備え、前記充電式電池の充電を可能にする装置。
【請求項30】
表面に適用するための導電性転写部材を製造する方法であって:
非導電性インクを基板上に印刷して、第1の非導電性インク層を製造
するステップ;
前記第1の非導電性インク層に導電性インクを印刷して発熱体を製造
するステップ、前記導電性インクが温度上昇に応じて抵抗を増加するように
正の温度係数を有
する;
前記非導電性インクを前記導電性層上に印刷して、第2の非導電性インク層を製造
するステップ;そして
前記第2の非導電性インク層上に接着剤を印刷して、接着層を製造する
ステップ
を含む方法:
前記方法は更に、
バリア層を印刷して、前記発熱体と前記接着層の間にバリアを提供するステップ
を含む方法。
【請求項31】
印刷されたインクを含む電源を印刷するステップを更に含む、導電性転写部材を製造する請求項3
0記載の方法。
【請求項32】
前記第2の非導電性インク層に絶縁層を取り付け又は印刷するステップを更に含む、導電性転写部材を製造する請求項3
0又は請求項3
1記載の方法。
【請求項33】
前記絶縁層と前記第2の非導電性インク層の間に空隙を導入するステップを更に含む、導電性転写部材を製造する請求項3
2記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年7月6日提出の英国特許出願番号GB1811203.7に基づく優先権を主張するものであり、これらはすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[発明の背景]
1.発明の分野
本発明は、導電性転写及び導電性転写を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
ジャケットを含む衣類の被加熱アイテムなどの被加熱物品が知られている。このタイプの物品は、従来、着用者を温かく保つためにジャケットの中に熱を供給する発熱体を使用している。発熱体は、通常、電気配線を含むが、これは、着用するのが心地が良くない及び/又はかさばる、そして、製造するのが面倒な場合がある。
【0004】
代替案として、印刷された発熱体が提案されている。これらの代替案には、通常、その上に被加熱電気要素を印刷できる硬質又は半硬質基板が含まれる。しかしながら、被加熱衣類に使用されるとき、基板は曲げ強度に関してある程度の柔軟性を有するであろうが、これらは引っ張り力又は圧縮力に関して柔軟性に欠ける。したがって、これらのタイプの加熱装置は、衣類の材料に沿って伸ばすことができないため、衣類の被加熱アイテムなどの用途には一般的に不適切である。出願人は、適切な物品又は表面に適用することができる、導電性回路を提供する特許公開GB2555592に開示されている導電性転写部材を開発した。この導電性転写部材を発熱体として適用する際の問題は、特に導電性インク自体を流れる電流に関して、電流転写部材が過熱及び安定性の欠如につながる可能性があることである。極端な場合、これは転写部材によって発生する火災害につながる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの問題を克服しようとする際に、過熱を防ぎながら導電性転写部材から適切な熱出力を確保することは困難であることが証明されていることにも留意されたい。本発明は、これらの問題に対処することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[発明の簡単な要約]
本発明の1の観点によれば、特許請求の範囲の請求項1に記載された導電性転写部材を提供する。
【0007】
本発明の更なる観点によれば、特許請求の範囲の請求項30に記載された方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明による導電性転写部材を含む被加熱物品を示し;
【
図2】
図2は、被加熱導電性転写部材層の分解概略図を示し;
【
図3】
図3は、
図2の導電性転写部材の非導電性インク層の印刷パターンの例を示し;
【
図4】
図4は、金属材料を含む導電性インク層の同様な印刷パターンの例を示し;
【
図5】
図5は、正の温度係数を有する導電性インク層の同様な印刷パターンの例を示し;
【
図6】
図6は、
図2の導電性転写部材の非導電性インク層の同様な印刷パターンの例を示し;
【
図7】
図7は、導電性転写部材を貫く断面概略図を示し;
【
図8】
図8は、加熱アプリケーションでの導電性転写部材を示し;
【
図9】
図9は、正の温度係数の導電性インクの温度に対する抵抗のグラフを示し;
【
図10】
図10は、本発明の別の実施形態による導電性転写部材を示し;
【
図11】
図11は、スクリーン印刷プロセスを利用して導電性転写部材を製造する方法を示す図であり;
【
図12】
図12は、導電性転写部材を製造する方法の更なるステップを示し;
【
図13】
図13は、導電性転写部材を製造する方法における硬化段階を示し示し;
【
図14】
図14は、導電性転写部材を製造する方法を示すフローチャートを示し;
【
図15】
図15は、物品の表面への導電性転写部材の適用を示し;
【
図16】
図16は、履物の用途における被加熱導電性転写部材の使用を示し;
【
図17】
図17は、道路車両の座席における被加熱導電性転写部材の使用を示し;
【
図18】
図18は、道路車両の座席の露出した外面に取り付けられた場合の別の被加熱導電性転写部材の使用を示し;
【
図19】
図19は、熱変色性層を含む別の導電性転写部材の分解概略図を示し;そして
【
図20】
図20は、バリア層を含む更なる別の導電性転写部材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ説明される。詳細な実施形態は、発明者に知られている最良のモードを示し、特許請求されるように本発明のサポートを提供する。ただし、これらは単なる例示であり、特許請求の範囲を解釈又は制限するために使用するべきではない。それらの目的は、当該技術分野の当業者に教示を提供することである。
「最初の」や「2番目の」などの序数のフレーズで区別されるコンポーネントとプロセスは、必ずしも何らかの順序やランク付けを定義するわけではない。
【0010】
[発明の詳細な説明]
(
図1)
図1は、本発明による導電性転写部材を含む被加熱物品を示す。着用体の形状の被加熱物品101として、この図はジャケットの例を示す。ジャケット101は、従来のジャケットと実質的に同様に見える、そして、ユーザ102が実質的に同様の方法で着用することができる。しかしながら、ジャケット101は、その中に導電性転写部材を含み、これは、ユーザ102に被加熱機能を提供する。したがって、このようにして、ユーザ102は、その中の導電性転写部材から追加の温かさを受け取り、より寒い気候においてさえ、体温を必要なレベルに維持することができる。
【0011】
実施形態では、互いに実質的に類似する2つの導電性転写部材部103及び104が、ジャケット101の裏地内に埋め込まれているので、ユーザ102は熱を受け取ることができる。この実施形態では、導電性転写部材103及び導電性転写部材104がジャケット101の前部を横切って配置されているので、ユーザ102の胴に熱が供給される。別の実施形態では、任意の適切な数の導電性転写部材をジャケット101内で利用することができ、必要に応じて熱を供給するために、スリーブ内又は背面部分などのジャケット101の代替部に配置することもできる。
【0012】
本発明の導電性転写部材は、着用中に追加の熱を供給する電気的手段を着用体に提供することに留意されたい。ただし、
図1の着用体は、現在入手可能な被加熱ジャケットの従来の欠点に悩まされることはない。導電性転写部材は、軽量で柔軟な、有線バージョンの代替品を提供するように構築されており、洗浄が簡単であり、後述するように製造も容易である。例えば、約30センチメートル×30センチメートル4方(30cm×30cm)の寸法を有する本明細書に記載のタイプの導電性転写部材の場合、全体の質量は約15グラム(15g)である。
【0013】
着用体101は、図示の実施形態ではジャケットを示すが、他の任意の適切な着用体に実質的に同様な導電性転写部材又は複数の導電性転写部材を組み込んでもよいことが理解できる。更なる例には、帽子、手袋、室外着、スーツ及びその他の衣類が含まれるが、これらに限定されない。このような衣類は、極端な温度条件の産業現場での使用に適している場合もあれば、重いジャンパーやセーターの軽量な代替品など、より従来の用途向けに製造されている場合もあることが更に理解できる。
【0014】
典型的には、そのような着用体は、綿、ナイロン、ポリエステル及び/又は防水材料を含む、衣料産業で典型的に使用される任意のタイプの適切な布地を含む。着用体の一部を形成するとき、これらの材料は通常、従来の洗浄方法にしたがって、摂氏95度(95°C)まで洗浄することができるように構成されている。摂氏95度(95℃)より上及び下の温度で洗浄することができる材料も使用されることも理解できる。したがって、本明細書に記載の導電性転写部材は、その機能性に悪影響を与えることなく、これらの温度で従来の洗浄に耐えるように構成されている。更に、本発明による導電性転写部材(103、104)は、伸長あるいは引き伸びに耐えるように構成されている。したがって、引き伸ばされたときでさえ、着用体101、よって導電性転写部材103及び104が引き伸ばされた場合に導電性転写部材の導電性能力が低下しないように、抵抗が指定された範囲内に提供される。一実施形態では、導電性転写部材103及び104の抵抗は、それぞれ25ミクロン(25μm)以上で少なくとも20ミリオーム/スクエア(10mQ/sq)を提供する。
【0015】
着用体の一部として、柔軟で伸縮性があり、洗浄可能な導電性転写部材を提供することにより、多くの利点が提供される。特に、本明細書に記載の導電性転写部材の使用は、その軽量特性及び布又はそれが取り付けられた他の材料と同様の方法で屈曲する能力のために、着用者の快適さを改善した。これはまた、導電性転写部材が適用された着用体が、着用体の形状に影響を与えることなく、従来の(被加熱)着用体と同様に見えることを可能にする。
【0016】
別の実施形態では、本発明による導電性転写部材は、他の着用体に組み込まれる。例示的な実施形態では、このような導電性転写部材は、プロ又はその他の運動選手用のスポーツウェアの形で着用体に組み込まれる。特に、この場合の着用体の一部を形成する被加熱導電性転写部材は筋肉を加温するので、運動能力を改善することができる。同様の着用体は、腰痛や筋肉痛、その他の病状などの医学的理由のために筋肉や体の部分を加温するためにも利用できることが理解できる。
【0017】
(
図2)
図2は、本発明による導電性転写部材201の層の分解概略図を示す。導電性転写部材201は、先に
図1で示したように、導電性転写部材103及び104と機能的に類似している。
実施形態では、導電性転写部材201は、次に説明するように、5つの層及と基板を含む。導電性転写部材201は、第1の非導電性インク層202と第2の非導電性インク層203を含む。2つの非導電性インク層202及び203は、それらの組成に関して実質的に類似しており、それぞれが発熱体にカプセル化材料を提供する適切な印刷インクを含む。インク層を形成する非導電性インクは、水ベース印刷インク、紫外線硬化印刷インク、溶剤ベースインク又はラテックス印刷インクを含むであろう。別の実施形態では、他の任意の印刷インクを使用することができる。
【0018】
非導電性インク層202と非導電性インク層203の間に、発熱体204が配置されている。実施形態では、発熱体204は第1及び第2の導電性インク層205及び206を含む。実施形態では、導電性インク層205は、導電性インクが温度の上昇に応じて抵抗の増加を示すような、正の温度係数を有する導電性インクを含む。実施形態では、正の温度係数を有する導電性インクは、炭素ベースインクを含む。別の実施形態では、発熱体204は、より多くの層又は単一の材料層を含み得ることが理解できる。しかしながら、各実施形態において、発熱体は、正の温度係数を有する導電性インクを含む。
【0019】
導電性インク層206は、インクの形で提供される金属材料を含む。一実施形態では、金属材料は、銀ベースインクを含む。更なる実施形態では、金属材料は、銅ベースインクを含む。実施形態では、導電性転写部材201が形成されると、発熱体204及び導電性インク層206は、非導電性インク層202及び203によってカプセル化される。したがって、このように、銅ベースインクは、カプセル化によって銅ベースインクの酸化によって通常発生する問題が減少するため、銀ベースインクよりも有利な場合がある。更に、銅ベースインクは、適切な銀インクよりも実質的に安価であるため、銅ベースインクも商業的に有利である。更なる実施形態では、他の金属ベースインクを利用できることが理解できる。
【0020】
図2に示したものの代替実施形態では、発熱体204は、導電性インク層205と電気的に平行な配置に位置される抵抗層を提供するために追加の導電層を更に含む。その結果、この抵抗層は並列の抵抗器のように機能し、それによって正の温度係数インク全体の抵抗が低減し、被加熱転写部材を増加した速度で加熱して、できる限り短時間で最高温度に到達できるようにする。実施形態では、追加の導電層は、炭素ベースインクを含む。
導電性転写部材201は、導電性転写部材201を適切な表面に接着するのに適した接着層207を更に含む。
図1の実施形態では、表面は、着用体101の一部を形成する布である。導電性転写部材201は、布地に限定されない任意の適切な表面に適用されるように構成され、プラスチック、セラミック又は木材を含む表面を含むことが理解できる。
【0021】
実施形態では、接着層は、水ベース接着剤、溶剤ベース接着剤、印刷可能な接着剤、粉末接着剤、又は上記の表面のいずれかに導電性転写201を接着することができる任意の他の適切な接着剤を含むが、これらに限定されない任意の適切な接着剤を含む。一実施形態では、接着層207は、実質的に透明である印刷可能な接着剤を含む。このタイプの接着剤は、入手可能な粉末接着剤と比較してより高い温度に耐えることができ、ヒトの目に実質的に見えずに着色された表面での使用にも適している。また、適切な接着剤は、上記のように、摂氏95度(95°C)までの標準的な洗浄方法にも適合することが理解できる。別の実施形態では、導電性転写部材を表面に接着することができる不透明な接着剤を使用できることが理解できる。
【0022】
製造において、
図11から15について説明するように、各層は、基板208上に印刷される。基板208は、熱、圧力又は熱と圧力の組み合わせの適用によって残りの層から除去可能であるように構成されている。したがって、塗布されると、接着層207は、導電性転写部材が適用された表面と接触し、熱及び/又は圧力が基板208に加えられ、接着層207が導電性転写部材201を表面に接着する。
実施形態では、基板208はポリエステルフィルムである。別の実施形態では、基板208は、紙フィルム、コート紙又はTPU(熱可塑性ポリウレタン)を含む。
【0023】
(
図3)
これから、
図3から6について、被加熱転写を提供するための導電性転写部材201の非導電性インク層及び導電性層の例示的なパターンの一次元印刷図について説明する。本発明は、図示のパターンに限定されず、他の適切なパターンを印刷して、本発明による導電性転写を形成することができることが理解できる。
図3は、非導電性インク層203の印刷パターンの例を示す。実施形態では、非導電性インク層203は、互いに平行に、そして互いに離して配置された複数のバー301を含む設計図として適切な印刷インクを利用して印刷される。各バー301は第1の端部302と第2の端部303の間に延在し、これらは、延長部分304及び305によって接続点306及び307まで延びる、壊れた「C」字型のプリントを形成する。接続点306及び307のそれぞれは、
図7及び8について更に説明するが、電気接続点を作るために利用することができる非印刷領域308及び309を含むパターンを提供する。
【0024】
(
図4)
図4は、金属材料を含む導電性インク層206の印刷パターンの例を示す。製造において、導電性インク層206は、導電性転写部材201を形成するプロセスの一部として、非導電性インク層203上に重ね刷りされる。
導電性インク層206は、
図3に示した非導電性インク層203のパターンと実質的に同様の壊れた「C」字型プリントを形成する第1の端部401及び第2の端部402の配置を含む。しかしながら、導電性インク層206は、接続点403及び404に非印刷領域を含まない。これは、印刷されると、導電性インク層206の金属材料が、非導電性インク層203の非印刷領域308を通して露出することを意味する。
【0025】
導電性インク層206のパターンは、複数の互いに組み合わされた指405をも含む。互いに組み合わされた指405は、2つの指406及び407を含む。実施形態では、指406は、端部401から端部402に向かって延びるが、端部のプリントには触れていない。同様に、指407は、端部402から端部401に向かって延びるが、端部401のプリントには触れていない。このように、電気回路は、導電層206を更なる導電層と組み合わせることによってのみ、導電層206を完成させることができる。
実施形態では、導電性インク層206は金属材料を含み、一実施形態では、金属材料は銀又は銀ベースインクを含む。更なる実施形態では、金属材料は、銅又は銅ベースインクを含む。
【0026】
導電性転写部材201の一部として組み立てられると、第1の端部401及び第2の端部402は、接続点403及び404を介して大量の電流を受け取るトラックを含む。高電流入力を説明するために、一実施形態では、導電性インク層206は、端部401、端部402及び接続点403及び404のパターンを含む1つ又は複数の追加のインク層を更に含む。これらの追加インク層は、
図4に示したパターン上に印刷され、その結果、端部401及び402及び接続点403及び404は、交互に配置された指405と比較して増した厚さを含む。層全体のこの増した厚さは、導電性転写部材がアプリケーションで必要とされる大電流入力に耐えることができることを確保する。
印刷中、この配置は、
図5で説明するように、正の温度係数のインク層205に関して有利である。
【0027】
(
図5)
図5は、正の温度係数インクを含む導電性インク層205の印刷パターンの例を示す。製造において、導電性インク層205は、導電性転写部材201を形成するプロセスの一部として、導電性インク層206上に重ね刷りされる。
導電性インク層206の互いにかみ合った指とは対照的に、導電性インク層205は、間隔を開けてグリッド形式で配置された、行501及び502などの複数の行を含む。導電性インク層206上に重ね刷りされる場合、各
行は、端部401と402の間に延びるように構成される。実質的に同様の端部又は対応する接続点は、導電性インク層205の一部として印刷されていないことを理解されたい。
図5に示す端部は、導電性インク層206に関するそれらの相対的な位置を示すために破線で示した。
【0028】
複数の行501、502は、導電性層206の互いにかみ合った指よりも厚い複数の母線を形成しているので、導電性インク層205が導電性インク層206上に印刷されると、電気回路が完成される。
実施形態では、各母線501は、要素503及び504などの複数の正の温度係数のインク要素を含む。各正の温度係数インク要素は、互いにかみ合った指と重なり、端部401及び端部402への接続を提供するので、各正の温度係数のインク要素は、導電性インク層206の対応する互いにかみ合った指によって電気的に並列に接続する。
【0029】
使用中に、正の温度係数のインク要素が所定の温度に達すると、インク中の分子が分離し、インクを通る抵抗が減少するので、複数の正の温度係数のインク要素は、この実施形態において有利である。より小さな要素のより多くの配置を提供することにより、要素は、異なる間隔でこの温度閾値に到達することができる。これは、導電性転写部材からの温度出力が、ユーザ、例えば、
図1で説明した着用体の着用者と実質的に同様のままであることを意味する。更なる利点は、複数の正の温度係数要素を利用することにより、導電性転写部材が従来の発熱体と比較して改善された伸縮性を有することである。各
行の母線は単一の正の温度係数要素を含み得ることが理解できるが、この理由のために複数を含むことが好ましい。
【0030】
実施形態では、導電性インク層205は、炭素ベースインクを含み、特に、炭素ベースインクは、
図9で更に詳細に説明するように、正の温度係数を有する。
図4に示したように、実施形態では、追加のインク層は、導電性インク層205が印刷されるときに、端部401及び402と接続点403及び404の厚みを増す。これによって、2層の間の正確な位置合わせを行う必要がなくなる。導電性インク層205は、周囲の端部401及び402の追加の厚さのために、互いにかみ合った指の領域に自動的に整列する。これによって、厚さ全体に渡る層間整列の問題が回避される。
【0031】
一実施形態では、
図4に示した導電性インク層206の第1の端部401及び第2の端部402は、接続点403及び404とともに第1の層に印刷され、複数の交互に配置された指407は、組み合わせて導電性インク層206を提供する第2の層に印刷される。次に、正の温度係数のインク要素を
端部401及び402上に印刷することができ、それによって、被加熱転写部材全体に渡って冷点が生じる危険性をなくする。結果として、これは、転写部材の大きさ又は重量を実質的に増加させることがなくて、多層ヒータを提供する。
【0032】
(
図6)
図6は、非導電性インク層202の印刷パターンの例を示す。実施形態では、非導電性インク層202は、非導電性インク層203に利用する印刷インクと実質的に同様な適切な印刷インクを利用して印刷される。製造において、導電性インク層202は、導電性転写部材201を形成するプロセスの一部として、導電性インク層205上に重ね刷りされる。
【0033】
非導電性インク層202のパターンは、非導電性インク層203よりも大きな面積の非導電性インクを含む。非導電性インク層202は、壊れた「C」字形の印刷物及び延長部分603及び604を形成する第1の端部601及び第2の端部602と実質的に同様の配置を含む。この場合も、非導電性インク層202は、接続点605及び606に非印刷領域を含まない。更に、バー又は指を提供する代わりに、カプセル化ブロック607が印刷される。したがって、非導電性インク層202は、導電性転写部材201において他の層を実質的にカプセル化していることが分かる。
【0034】
(
図7)
図7は、すべての層が印刷された後の接続点を通る導電性転写部材201を貫く断面図を示す。断面図は本質的に概略であり、縮尺どおりではないことを理解されたい。実際には、導電性転写部材201は、典型的には、基板208の上端から接着層207の上端までの層を通る厚さ約170マイクロメートル(170μm)である。一実施形態では、各印刷された非導電性インク層は、約30マイクロメートル(30μm)の厚さであり、発熱体は約37マイクロメートル(37μm)の厚さを有する。特に、正の温度係数のインク層205は、約25マイクロメートル(25μm)の厚さを有するが、導電性インク層206は、約12マイクロメートル(12μm)の厚さを有する。接着層207は、約70マイクロメートル(70μm)の全厚を有する。例えば、織物系基板に適用されると、接着剤が周囲の織物によって著しく吸収されるため、接着層の厚さが減少する。したがって、材料に適用された導電性転写部材の総ての厚さは、100マイクロメートル(100μm)の領域にある。しかしながら、実施形態では、導電性転写部材201は、他の任意の適切な厚さであり得ることが理解できる。
【0035】
図は、すべてのインク層が基板208上に印刷され、表面に適用される準備ができている導電性転写部材201を示す。
上記のように、導電性転写部材201は、第1及び第2の非導電性インク層202及び203を含む。特に
図3について説明した印刷パターンの性質を考えると、非導電性インク層203は、空間が存在する単一の層を含むように示されている。
したがって、図示の断面から分かるように、発熱体204は、基板208に平行な平面を横切る領域701、702及び703に渡って非導電性インク層202と非導電性インク層203の間にカプセル化される。次に、電気接続点704及び705は、基板208に平行な平面に存在するこれらの空間を横切る発熱体204の導電性インク206の露出のために、非導電性インク層203にある空間の間に提供される。
【0036】
更に、特に、正の温度係数の導電性インク層205は、基板208が除去されると大気に直接さらされるということがないように、導電性インク層206及び非導電性インク層202によってカプセル化されることに留意されたい。
正の温度係数の導電性インク層205のカプセル化は、導電性転写部材が、例えば、発熱体に損傷を与えることなく高温で洗浄することができるように、導電性インク層の保護を確実にする。
更に、導電性インク層206が銅インクを含む実施形態では、カプセル化によって使用中のインクの酸化が防止できる。この実施形態では、追加のシールを電気接続点704及び705上に印刷することによって酸化が確実に防止される。
【0037】
(
図8)
印刷されると、上記のように布又は他の必要な表面などの適切な表面に導電性転写部材201を適用するために、熱及び/又は圧力が導電性転写部材201に適用され得る。熱及び圧力が加えられると、基板208が除去され、
図8に示すように、導電性転写部材201を加熱用途に利用することができる。したがって、
図8の実施形態では、導電性転写部材201は基板208を含まない、そして、使用中、それ故に導電性転写部材201にとって基板の存在は必要でない。
【0038】
実施形態では、導電性転写部材201は、更に電源801を含む。電源801は、発熱体204に電力を供給することを可能にするように構成されている。電力が発熱体204に供給されると、発熱体204が温度を上昇させ、温度出力を提供するように構成されている。
実施形態では、電源801は、電気接続点704及び705に取り付けられた電気コネクタ802及び803によって接続された充電式電池を備えている。
【0039】
実施形態では、電源801は、ユーザが選択することができ、それによって温度出力を変化させることをができる複数の電力レベルで動作するように構成されている。一実施形態では、充電式電池は、リチウムイオン電池を含む。しかしながら、他の適切な電源及び電池が利用され得ることが理解できる。
別の実施形態では、電源801は、印刷されたインクを含む。この実施形態では、印刷されたインクは、印刷された電池を提供する。通常、これには、接触すると電源として機能する組成物を含むインクの2つの追加の層が含まれる。この実施形態は、導電性転写部材全体を印刷することを可能にし、重量の利点を改善し、製造を容易にする。
【0040】
一実施形態では、電源801は、直流(DC)電源を提供する。別の実施形態では、電源801は、交流(AC)電源を提供する。AC電源の利用は、繰り返し使用することで起こり得る電気移動の問題に対処するために利用され得る。同じ問題に対処するための更なる代替案として、電源は、電源がオンになるたびに、又は所定の時間間隔で極性を自動的に切り替えるように構成されたスイッチを備えていてもよい。これにより、電界移動の影響を減らすこともできる。
【0041】
(
図9)
図9は、正の温度係数の導電性インクの機能を示すグラフである。温度に対する抵抗のプロットを示す。線901は、導電性転写部材で従来使用されているタイプの従来の導電性インクの応答を示す。この点に関して、導電性インクの温度が上昇すると、抵抗は指数関数的に低下する。
対照的に、正の温度係数の導電性インクに関しては、温度が上昇すると、インクの抵抗も増加する。原子レベルでは、正の温度係数の導電性インクの分子は、温度の上昇とともに分離するように構成されている。これにより、次に電流に対する抵抗が増加し、次に導電性インクが冷却される。インクが冷えると、分子間の分離が減少し、抵抗が減少するため、電流が増加し、熱出力が得られる。このようにして、熱が調整され、過熱やユーザへのリスクなしに一貫した出力が提供される。
【0042】
上記のように、実施形態で利用される正の温度係数の導電性インクは、炭素ベースインクである。
図1で説明した適用では、正の温度係数の導電性インクが、摂氏40度(40℃)までのピーク温度出力を持つインクとして選択されている。したがって、この例では、被加熱着用可能物品の出力温度は、摂氏30度から40度(30~40℃)の間である。別の実施形態では、必要に応じて異なる動作温度を有する代替の正の圧力温度係数インクを選択することができる。
【0043】
(
図10)
図10は、本発明による代替実施形態における導電性転写部材1001を示す。導電性転写部材1001は、
図2のように、分解された概略図で示されている。
導電性転写部材1001は、導電性転写部材1001が第1の非導電性インク層1002及び第2の非導電性インク層1003を含むという点で導電性転写部材201と実質的に類似している。導電性転写部材1001は、同様に第1及び第2の導電性インク層1005及び1006を含む発熱体1004を更に含む。この場合も、実施形態では、導電性インク層1005は、導電性インクが温度の上昇に応じて抵抗の増加を示すような、正の温度係数を有する導電性インクを含む。これらの点で、各層は、導電性転写部材201の層と実質的に類似している。導電性転写部材1001は、導電性転写部材1001を適切な表面に接着するのに適した実質的に類似の接着層1007も含む。更に、各層は、実質的に同様の取り外し可能な基板1008上に印刷される。
【0044】
しかしながら、導電性転写部材1001は絶縁層1009も含む。絶縁層1009は、熱が導電性転写部材1001の片側に保持されるように、発熱体1004に追加の絶縁を提供するように構成されている。
図1の実施形態を例として使用すると、絶縁性層1009は、非導電性インク層1002と接着層1007の間に配置されている。したがって、着用体に適用され、基板1008が除去されたとき、被加熱ジャケット101がユーザによって着用されると、絶縁層1009は、熱をユーザに向け、必要な温度を維持するために、外向きの追加の層を提供する。別の実施形態では、絶縁層1009は、非導電性インク層1002と発熱体1004の間に配置されている。
【0045】
一実施形態では、断熱層1009は、熱が伝達されないことを確保するために不透過性材料を含む。別の実施形態では、絶縁層1009は、反射性材料を含む層と、絶縁材料を含む層を含む。反射性材料は反射インクを含み得る、一実施形態では、反射インクは、反射ビーズを含む。いずれの場合も、可能であれば、導電性転写部材を製造するために印刷プロセスの一部として絶縁層が印刷されることが理解できる。しかしながら、他の実施形態では、層は、別個のシート又は布地層などの別個の非印刷要素として取り付けられ得ることも理解できる。
一実施形態では、絶縁層1009と非導電性インク層1002の間に空隙が含まれる。これは、それに応じて熱が向けられるように、更なる絶縁を提供するのを助ける。
【0046】
(
図11)
次に、
図11から
図15を参照して、導電性転写部材201又は1001などの上記導電性転写部材を製造する方法を説明する。
この方法は、スクリーン印刷プロセスに関して説明される。しかしながら、スクリーン印刷の代替として、この方法は、リールトゥリール印刷、ドットマトリクス印刷、レーザー印刷、シリンダープレス印刷、インクジェット印刷、フレキソグラフィック印刷、平版印刷、オフセット印刷、デジタル印刷、グラビア印刷又はゼログラフィック印刷などの他の形態の印刷によって実施され得ることが理解できる。更に、本発明はこれらの方法に限定されないことを理解されたい。上記のように導電性転写部材を製造するために、職人1101は、適切な基板1102をスクリーン印刷機1103上に配置する。この実施形態では、基板は、任意の適切な大きさのポリエステルフィルムのシートを含むが、例えば、A4又はA3又はそれ以上の大きさでもいい。リールトゥリール印刷を使用する場合、フィルムはシートではなく材料のロールから提供されることが更に理解できる。
実施形態では、スクリーン印刷機1103は半自動である。基板1102は、スクリーン1105を通してインクを供給する準備が整っている印刷面1104上に置かれる。スクリーン1105は、印刷される電気回路設計図などの設計図を示すメッシュ又はステンシルを含む。
【0047】
(
図12)
スクリーン1105が基板1102と接触するように下げられると、インクがスクリーン1105に塗布される。スキージヘッド1201がスクリーン1105を横切って移動し、メッシュ上の設計図に沿って適切なインクを基板上に押し出す。
異なる設計図ごとにメッシュ又はステンシルを交換する必要があり、異なるタイプのインクごとに画面をクリーニングする必要があることが理解できる。したがって、製造では、各層がバッチ印刷されてから、次の層が各バッチの上部に印刷される。
更に、複数の異なるインクを一度に印刷することができるカルーサルタイプのものなど、半自動機の代替品を使用できることが理解できる。半自動システムでは、通常、1時間あたり約200枚から250枚のシートを製造する。より高生産として、完全自動システムでは、通常、1時間あたり千五百(1500)枚から二千(2000)枚のシートを製造することができる。
【0048】
(
図13)
適切な層が基板1102上に印刷されると、1301、1302及び1303で示す基板シートは、キュアリング機1304を通して処理される。この実施形態では、キュアリング機は、シート1301、1302及び1303上に熱風の流れを与える乾燥機を備えているので、インクを効果的に硬化させることができる。
実施形態では、乾燥機内の吹き付け空気の温度は、通常、非導電性インク層について、摂氏120度(120℃)で3分間に設定されている。発熱体を形成する導電性インク層の場合、温度は、通常、摂氏130度(130℃)に3分間で上昇する。実施形態では、使用された乾燥機は3メートルの乾燥セクションを有する。ここに示した温度は、使用したキュアリングシステムに依存し、示した温度は、システムによってより低く又はより高くなり得ることが理解できる。各シートの乾燥にかかる時間は、温度や乾燥セクションの長さによっても異なる。
【0049】
導電性層のカプセル化を達成するために、非導電性インク層を適切に固化して、各層の相互汚染を回避する必要があるため、このステップは特に重要である。
キュアリング機1304は、硬化したシートを機械1304から保持トレイ1306に輸送するコンベヤー1305を含む。したがって、バッチのすべてのシートが完了したとき、それらは、次の層の次の適用のために又は物品の適切な表面への適用のために集められる。あるいは、完成したシートは、顧客が自分の表面及び/又は物品に導電性転写部材を適用することができるように、顧客に供給されるであろうことが理解できる。
【0050】
(
図14)
図14は、表面に適用するための導電性転写部材を製造する方法を示すフローチャートである。ステップ1401で、非導電性インクを基板上に印刷して、非導電性インク層203などの第1の非導電性インク層を製造する。これは、
図11及び12について説明した方法によって達成することができる。
ステップ1402で、印刷された非導電性インク層203は、キュアリング機1404によって処理され、
図13の方法で適切に硬化及び乾燥される。実施形態では、印刷プロセスは、非導電性インク層を形成するために印刷インクの単一パスを含み得る。しかしながら、別の実施形態では、非導電性インク層がいくつかの別々に形成された非導電性インク層を含むので、複数のパスを実行することができる。非導電性インク層が適切に印刷されることを確保するために、各層には独自のキュアリングステップが必要な場合がある。
【0051】
非導電性インク層203が適切に硬化すると、
図11及び12のスクリーン印刷機のスクリーンは、導電性インク層206にとって必要なものに変更される。これに続いて、ステップ1403で、正の温度係数を有する導電性インクが、第1の非導電性インク層上に印刷されて、発熱体204が製造される。ステップ1404で、導電性インクは、
図13について説明したのと実質的に同様の方法で硬化する。上記実施形態では、発熱体204は、第1に導電性インク層206に対して、第2に導電性インク層205に対して、ステップ1403及び1404を2回続けることによって形成される。2つの導電層が発熱体を形成するこの実施形態では、したがって、各導電層は、次の導電層を塗布する前に硬化される。
【0052】
印刷された電源を含む実施形態では、ステップ1405で、プロセスは、印刷されたインクによって印刷された電源又は電池を提供するために必要とされる更なる印刷及びキュアリングステップを含む。電源が従来の充電式電池である別の実施形態では、例えば、ステップ1405は省略されてもよい。
第2の非導電性インク層202は、同様の方法で、ステップ1406で発熱体204上に同じ非導電性インクを印刷することによって製造できる。この場合についても、非導電性インク層202は、必要に応じて、同様のインクの複数のパス又は単一のパスを含み得る。
【0053】
粉末接着剤とは対照的に印刷可能な接着剤が使用されるならば、ステップ1407及び1408に示されるのと実質的に同様の方法で非導電性インク層202が硬化される。しかしながら、接着層が粉末接着剤を含む場合、ステップ1410で接着層の硬化が行われる前に、ステップ1409で接着層が第2の非硬化非導電性インク層に塗布される。
これを念頭において、従来の方法は、層の各塗布に続いて各インク層を硬化させることであるが、これらのステップは、必要に応じて採用又は除去されることが理解できる。
【0054】
図10の実施形態では、絶縁層を提供する更なるステップが含まれる。上記のように、これは、例えば、反射層を印刷し、上記の印刷及び硬化プロセスと同様の方法でこの層を硬化させることを含み得る。あるいは、絶縁層が別個のシートとして提供されるならば、このステップは、絶縁層を第2の非導電性インク層に付着させるプロセスを含み得る。
絶縁層を含む更なる実施形態では、絶縁層と第2の非導電性インク層の間に空隙を導入する更なるステップが更に含まれる。
【0055】
(
図15)
図11から14に記載の導電性転写部材の製造に続いて、導電性転写部材は、
図1について説明した着用体などの物品の表面に適用することができる。例えば、導電性転写部材201は、着用体1501の表面に配置される。
次に、着用体1501及び導電性転写部材は、ヒートプレス1502などの機械に置かれる。職人1503は、ヒートプレス1502を作動させて、導電性転写部材が着用体1501の表面に貼り付くように導電性転写部材に熱と圧力を与える。これを達成するために、基板が表面1501から最も遠い層を形成し、接着層が着用体1501の表面と接触して配置されることが理解できる。
【0056】
実施形態では、熱プレスは実質的に摂氏145と180度(145~180℃)の範囲の温度を加える。特別な実施形態では165度(165℃)の温度が適用される。これらの温度は、導電性転写部材の製造に利用される熱プレスのタイプに依存することが理解できる。
別の実施形態では、導電性転写部材は、熱のみ又は圧力のみの利用で表面に適用されるのと同様に、熱及び圧力の両方の利用によって適用されることも理解できる。この方法を適用するためには任意の適切な機械が利用できるであろう。
【0057】
(
図16)
理解できるように、本明細書に記載の導電性転写部材は、様々な用途において被加熱転写として使用するのに適しており、
図16及び17について2例を説明する。
図16の実施形態では、導電性転写部材を含む物品は、従来の中敷きと同様の方法で、履物のソールの内部に取り付けられた導電性転写部材1602を有する履物1601の商品である。履物160
1は、履物のかかとの内部に取り付けられ、導電性転写部材1602に電力を供給する電源1603を更に備えている。一実施形態では、電源1603は、充電式電池を備えている。この特定の用途は、例えば、足からの熱損失又はそのような温度への過度の曝露によって引き起こされる他の医学的問題を防ぐために極低温で作業する必要がある産業労働者に適しているであろう。
【0058】
実施形態では、履物1601がユーザによって着用されている間、導電性転写部材1602を作動させて、着用者の足を適切に加温することができる。充電式電池1603は、好ましくは、例えば、作業シフト全体に渡って導電性転写部材が動作するのを確保するために、作業シフトをカバーするのに十分なバッテリー電力を提供するように構成されている。充電式電池1603は、また、無線で充電可能なように構成されている。したがって、一例では、作業シフトの終わりに、履物1601を脱いで、遠隔充電ユニット1604の近くに置くことができる。遠隔充電ユニット1604は、充電式電池1603と無線通信して、充電式電池1603の充電を可能にするように構成されている。
【0059】
このプロセスは、充電が生じることを可能にするために、履物1601を脱ぐ必要がない別の実施形態でも可能であることが理解できる。
更なる実施形態では、同様のシステムを、他の着用体、例えば、ジャケット又はスーツなどの衣類の商品に組み込むことができる。この更なる実施形態では、遠隔充電ユニットは、衣装ダンスなどの保管システムに又はハンガーの一部として組み込むことができ、衣類の商品が保管されるとき充電が行われるように構成されている。
【0060】
(
図17)
本発明による被加熱導電性転写部材は、道路車両に典型的に見られるような被加熱シートを備えた用途においても利用できる。カーシート1701は、背部支持部分1702及び座席部分1703を備えている。実施形態では、複数の導電性転写部材1704、1705、1706及び1707が座席カバーに含まれている。これは、設置がより面倒で複雑な配線を必要とする従来の被加熱シートより好ましい。本発明による導電性転写部材は、このタイプの用途に適切に対応するために様々な大きさに製造することができ、異なる大きさの転写部材がそれぞれ背部支持部分及び座席部分に利用されることが理解できる。
【0061】
図1、16及び17に提供された例は、本発明による導電性転写部材についての物品の包括的な例ではない。本発明による導電性転写部材は、特定の温度に維持されることを確保するために、例えば、被加熱ステアリングホイール又はエンジン室内の機械部品に加熱を適用する必要がある他の自動車用途にも利用できることが理解できる。更に、導電性転写部材は、被加熱毛布、熱センサ、医療用包帯又は他の医療用包帯、医療又はレジャー用途の両方のための熱パッド、被加熱床又は電子表示部などの任意の適切な物品の一部を形成し得ることが理解できる。
【0062】
特定の例では、本明細書に記載の導電性転写部材は、医療用途の被加熱毛布に利用できる。特に、医療産業における被加熱毛布は、手術中及び/又は手術後の両方で患者の低体温症を予防するために利用することができる。
特に、本明細書に記載の導電性転写部材は、発熱体の柔軟性又は伸縮性を損なうことなく任意の表面に適用することができる薄い(比較的薄い)発熱体を提供する。導電性転写部材は、また、非導電性インク層をカプセル化することにより洗浄可能であり、発熱体及び導電性転写部材全体の機能を保持しながら、発熱体の柔軟性及び伸縮性を維持することができる。これは、着用可能業界だけでなく、自動車及び航空宇宙セクターにも特定の利点をもたらす。
【0063】
(
図18)
図18は、本明細書に記載の被加熱導電性転写部材のいずれかを被加熱シートを備えた用途に利用できる更なる実施形態を示す。カーシート1801は、カーシート1701と実質的に同様であり、背部支持部分1802及び座席部分1803を含む。
実施形態では、複数の導電性転写部材1804、1805、1806及び1807が、シート1801のシートカバーの外面(業界ではしばしばA側と呼ばれる)に適用されている。これは、したがって、実施形態では、カーシート内の下面に統合されるのではなく、シートカバーの上面露出面に露出されるという導電性転写部材がカーシートに適用される性質において、
図17の実施形態とは異なる。
【0064】
図17の実施形態と同様に、本発明による導電性転写部材は、このタイプの用途に適切に対応するために様々な大きさに製造することができ、背部支持部分と座席部分にそれぞれ異なる大きさの転写部材が使用できることが理解できる。
カーシート1801の外面に導電性転写部材1804、1805、1806及び1807を提供することにより、被加熱転写部材からの熱は、作動すると、カーシート1801に座っている運転手又は乗客への熱伝達の効率を高めることができる。このようにして、被加熱転写部材1804、1805、1806及び1807は、運転手又は乗客と直接接触する。これに関して、一実施形態では、被加熱導電性転写部材1804、1805、1806及び1807は、この方法で露出したときに導電性転写部材に追加の耐久性を提供するための保護層を備えている。一実施形態では、保護層は、そのような導電性転写部材の最上層として印刷された適切な耐久性のあるコーティングを含む。特定の実施形態では、耐久性のあるコーティングは実質的に透明である。
【0065】
被加熱導電性転写部材1804、1805、1806及び1807は、本明細書において上記した導電性転写部材のいずれかと実質的に類似し得るが、この図示の実施形態では、被加熱導電性転写部材1804、1805、1806及び1807の1又はそれ以上は、熱変色性層を更に含む。したがって、実施形態では、被加熱導電性転写部材1804、1805、1806及び1807は、それらの温度上昇により熱を放出するので、熱変色性層は、熱に応じて色変化を受け、カーシート1801の表面に別の外観を提示する。
特に、例えば、熱変色性層は、色の変化を提供するか又は被加熱導電性転写部材のいずれかの一部として印刷されたデジタル画像を見せることによって、特定の温度に達したという標識を提示するように配置され得る。
【0066】
したがって、実施形態では、被加熱導電性転写部材1804、1805、1806及び1807の温度が上昇するにつれて、画像1808、1809、1810、1811及び1812は、被加熱導電性転写部材1804、1805、1806及び1807がより低い温度又は不活性であるときの外観と比較して、カーシート1801の表面に別の外観を見せる。
保護層が熱変色性インク層と組み合わせて提供される実施形態では、保護層が熱変色性層の上に配置されるならば、保護層は、熱変色性層が確実に見えるように実質的に透明であることが予想できる。しかしながら、保護層が実質的に不透明である更なる実施形態では、保護層は、導電性転写部材の残りの層に更なる耐久性を提供するために熱変色性層の下に配置されることも予想できる。
【0067】
(
図19)
図19は、
図18について説明したような用途に適した熱変色性層を含む被加熱導電性転写部材の例を示す分解概略図である。
導電性転写部材1901は、以下に説明するように、7つの層及び基板を含む。導電性転写部材1901は、第1の非導電性インク層1902及び第2の非導電性インク層1903を含む。
2つの非導電性インク層1902及び1903は、実質的にそれらの組成に関して類似しており、それぞれが、発熱体のためのカプセル材料を提供する適切な印刷インクを含み、上記の非導電性インク層のいずれかと実質的に類似している。
【0068】
発熱体1904は、非導電性インク層1902と非導電性インク層1903の間に配置されている。実施形態では、発熱体1904は、第1及び第2の導電性インク層1905及び1906を含む。実施形態では、導電性インク層1905は、導電性インクが温度の上昇に応じて抵抗の増加を示すような正の温度係数を有する導電性インクを含む。正の温度係数のインクは、本明細書で説明した上記の正の温度係数のインクと実質的に同様であり、更に、発熱体1904は、より多くの層又は単一の材料層を含むことができる。
【0069】
導電性インク層1906は、インクの形態で提供され、上記の実施形態の導電性インク層と実質的に同様である金属材料を含む。導電性転写部材1901は、導電性転写部材1901をカーシート1801の露出した外面又は他の適切な物品の他の別の露出した表面などの適切な表面に接着するのに適した接着層1907を更に含む。一実施形態では、接着層は、本明細書で上記したものなど、任意の適切な接着剤を含む。
製造において、この場合も、各層は、熱、圧力又は熱と圧力の組み合わせの適用によって残りの層から取り外し可能であるように構成された基板1908上に印刷される。したがって、塗布されると、接着層1907は、
図18のカーシートカバーの形態の露出面など、導電性転写部材が適用される表面と接触させられ、接着層1907が導電性転写部材1901を表面に接着するように熱及び/又は圧力が基板1908に加えられる。
【0070】
被加熱導電性転写部材1901は、本明細書で上記した被加熱転写部材とは異なって熱変色性層1909を更に含むる。実施形態では、熱変色性層1909は、温度の変化に応じて色変化を受けるように構成されている第1の層1910を含む。したがって、実施形態では、第1の層1910は熱変色性インクを含む。一実施形態では、熱変色性インクは黒などの不透明な暗い色からクリアな透明な外観に変化するように構成されている。
【0071】
熱変色性層1909は、印刷された画像を含む第2の層1911を更に含む。一実施形態では、印刷された画像は、従来のデジタルスクリーン印刷プロセスによって形成されたデジタル画像である。したがって、第1の層1910と組み合わせると、使用中、被加熱転写部材1901の温度が上昇するにつれて、層1910は、暗い不透明な色から明澄透明の外観に色が変化し、それによって、層1911に印刷されたデジタル画像が現れる。デジタル画像は、必要に応じて、代替パターンを提供し、情報を表示し又は製造業者に代替ブランドを提供するために利用され得る。別の実施形態では、層1910及び1911は、図示とは逆の順序で配置することができる。
したがって、熱変色性層1909は、美的可能性を提供するだけでなく、使用中に発熱体の温度が上昇するときに、発熱体の温度の視覚を提供するためにも利用することもできる。
【0072】
図18の例示的な実施形態は、
図19の配置を利用するが、
図19と実質的に同様の導電性転写部材が、別の用途で利用され得ることが理解できる。例えば、この場合も、実質的に同様の導電性転写部材を繊維又は着用体上に利用して、熱変色性層を提示することができる。
更なる実施形態では、導電性転写部材1901(又は、代替的に本明細書に記載の他の導電性転写部材のいずれか)は、更に抗菌層を備えている。一実施形態では、抗菌層は、抗菌コーティングを含む。
【0073】
更に別の実施形態では、本明細書に記載の導電性転写部材(例えば、導電性転写部材201、1001、1901)のいずれか1つは、導電性転写部材から出力される温度の監視を可能にする熱電対を備えている。一実施形態では、熱電対は、導電性インク層を形成するものと実質的に同様の導電性インクを含む。例えば、熱電対は、従来の熱電対の方法でコンスタンタン合金と組み合わせることができる銅ベースインクを含む。当該技術分野で知られているものなど、熱電対を形成するための代替材料を利用することができる。
【0074】
一実施形態では、熱電対のマトリクスは、第1の導電性インク、例えばカーボンブラックの単一のトラックを印刷することによって作成することができる。次に、更なる材料、例えば銀インクの複数の導電性トラックが、第1の導電性インクの単一のトラックと電気的に接続して印刷され、複数の熱電対を作成する。次に、複数の熱電対がマルチプレクサと接続されると、各熱電対から電圧が個別に測定できる。それによって、各熱電対の温度を個別に読み取ることができる。このようにして、熱電対の配置を導電性転写部材の断面全体に渡ってマトリクス全体に広げることができるため、転写部材全体の温度変動と変化を決定することができる。したがって、これにより、熱画像カメラを使用する代わりに、転写部材全体の熱出力の2次元マップを決定できる。
【0075】
熱出力の二次元マップの作成に加えて、同様の配置を拡張して、転写部材の厚さ全体にわたる熱出力の三次元マップを作成することができる。例えば、熱電対層を印刷して、発熱体と電気的に接続して配置することができ、一方、更なる熱電対層を印刷して、非導電層の近くなど、転写の代替点に配置することができるし、導電性転写部材を介した熱伝達のマップを作成して、導電性転写部材を介した熱の流れを示すことができる。次に、これを再現して、プロセッサなどを介して視覚的な出力を形成することができる。
【0076】
(
図20)
図20は、被加熱導電性転写部材の更なる別の実施形態を示す分解概略図である。被加熱導電性転写部材2001は、上記の導電性転写部材と実質的に同様の層を含むが、この図示する実施形態では、導電性転写部材2001はバリア層を含むことが理解できる。
導電性転写部材2001は、第1の非導電性インク層2002及び第2の非導電性インク層2003を含む。導電性転写部材2001は、同様に第1及び第2の導電性インク層2005及び2006を含む発熱体2004を更に含む。この場合も、実施形態では、導電性インク層2005は、導電性インクが温度の上昇に応じて抵抗の増加を示すように、正の温度係数を有する導電性インクを含む。
【0077】
導電性転写部材2001は、導電性転写部材2001を適切な表面に接着するのに適した接着層2007も含む。各層は、適切な取り外し可能な基板2008上に印刷される。
しかしながら、導電性転写部材2001は、バリア層2009及びバリア層2010も含む。一実施形態では、バリア層2009は、発熱体2004と接着層2007の間にバリアを提供するように、非導電性インク層2002と発熱体2004の間に配置される。更に、バリア層2010は、非導電性インク層2003と発熱体2004の間に配置される。一実施形態では、バリア層2009及び2010の一方又は両方は、誘電性インクを含む。別の実施形態では、接着層2007と発熱体2004の間にバリアを提供することができる代替のインクを利用できることが理解できる。更に別の実施形態では、別の数のバリア層が含まれ、本明細書に記載の1つ又は2つより多い。
【0078】
本発明者らは、典型的に適切な接着層は、本明細書のタイプの導電性転写部材に適用されると、加熱プロセス中に、印刷されたインクの層を通って正の温度係数の導電性インク層2005及び導電性インク層2006に移動する可塑剤成分を含むことに留意した。接着剤の可塑剤成分は絶縁体であり、したがって、それが発熱体の層に向かって移動すると、発熱体の抵抗、特に導電性インク層2006のそれが増加し、これは、被加熱導電性転写部材からの熱出力の低下を導く。その結果、バリア層2009は、接着層内のプラスチック成分の導電性インク層への移動及び拡散を防止して、被加熱導電性転写部材が繰り返し使用を通じて性能を維持することを確保するように構成されている。
【0079】
本明細書に記載の実施形態のうち、適切な変形も本発明の範囲内にあることを理解されたい。例えば、2以上の実施形態の特徴を組み合わせた別の実施形態が、別の実施形態に存在し得る。例えば、導電性転写部材2001のバリア層と導電性転写部材1901の熱変色性層の両方を含む導電性転写部材は、潜在的な用途のための適切な別の実施形態である。
更なる実施形態では、複数の発熱体を転写部材内で利用して、導電性転写部材内に複数の加熱区画を形成することができる。この実施形態では、共通の印刷された電極は、それぞれの加熱区画の電気的接続を形成する層の一部として印刷される。このように、各加熱区画は、それぞれの発熱体から独立して熱を放出できるが、中央制御と電源から制御される。したがって、電圧は、必要に応じて各加熱区画に個別に供給され、第1の加熱区画が活性化され、第2の加熱区画が非活性化され得る。これは、2次元的に被加熱導電性転写部材全体に渡って又は3次元的に被加熱導電性転写部材を介して達成することができる。
【0080】
この例は、導電性転写部材が着用体に適用される一実施形態において有益である。その結果、システムは適しているので、着用体全体の異なる領域が異なる時間に加温される可能性があり、着用者が要件に応じて異なる区画を活性化することができる。
一実施形態では、区画化された加熱導電性転写部材は、本明細書に記載のタイプの複数の印刷された熱電対と組み合わされる。したがって、各区画には、区画ごとの熱出力を提供するためのそれぞれの熱電対が備わっている。一実施形態では、熱電対のトラックは、熱電対と発熱体の両方として利用されため、製造コストを削減できる。この実施形態では、熱電対測定は、発熱体が一時的に非活性である間、共有トラックを利用して区画ごとに行われる。
【0081】
更に別の実施形態では、区画化された被加熱導電性転写部材を使用して、熱変色性層の活性化及び熱変色性層内のデジタル画像の製造を制御する。したがって、区画化された被加熱導電性転写部材は、パッシブマトリクス型の表示装置又はアクティブマトリクス表示装置のいずれかを含むカラー表示装置を提供する。熱電対又は複数の熱電対を含むこのタイプの実施形態では、各熱電対からの温度出力を処理することができ、その結果、熱変色性層の切り替えがそれに応じて行われる。このタイプの表示装置は、高コントラストで構築することができ、費用効率が良い。