(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】ウェブ移送制御装置のための回転フレーム構造
(51)【国際特許分類】
B65H 23/038 20060101AFI20230710BHJP
【FI】
B65H23/038 Z
(21)【出願番号】P 2022003530
(22)【出願日】2022-01-13
【審査請求日】2022-01-13
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522016682
【氏名又は名称】ベーエステー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】BST GmbH
【住所又は居所原語表記】Remusweg 1, 33729 Bielefeld, Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ プリムス
(72)【発明者】
【氏名】ロビン ローレンツ
(72)【発明者】
【氏名】ヨルゲン シューマッハ
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-043179(JP,A)
【文献】国際公開第2018/149520(WO,A1)
【文献】特開昭59-004558(JP,A)
【文献】特開2012-086391(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102476755(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 23/038
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体フレーム(10)及び回転フレーム(12)を備え、
前記回転フレーム(12)は、前記支持体フレーム(10)と平行に延在し、制御されるウェブのための搬入ローラー(14)及び搬出ローラー(16)を備え、枢動機構によって前記支持体フレーム(10)に枢動可能に取付けられ、
前記枢動機構は、前記支持体フレーム(10)及び前記回転フレーム(12)のうち一方のフレーム(12)の制御面(34、36)によって規定される仮想回転中心(P)を有し、
前記制御面は、前記支持体フレーム(10)及び前記回転フレーム(12)のうち他方のフレーム(10)のカムフォロア(38)によって従動され、
前記支持体フレーム(10)及び前記回転フレーム(12)は、前記支持体フレーム(10)及び前記回転フレーム(12)のうち一方のフレーム(10)の支持ローラー(42)と、他方のフレーム(12)の関連する軸受面とによって平行に配置され、
前記支持体フレーム(10)及び前記回転フレーム(12)は、駆動システム(22)によって、枢動可能であるように互いに連結され、
前記制御面(34、36)は、カムプレート(30)の外縁に形成された3つの制御曲線によって構成され、前記カムプレート(30)は、前記支持体フレーム(10)及び前記回転フレーム(12)のうち一方のフレーム(12)に剛体的に保持され、
前記3つの制御曲線のうち、2つの制御曲線(34)は、前記カムプレート(30)の片側に設けられ、残り1つの制御曲線(36)は、前記カムプレート(30)の反対側に設けられ、
前記支持体フレーム(10)及び前記回転フレーム(12)のうち他方のフレーム(10)は、3つの前記カムフォロア(38)を有し、3つの前記カムフォロア(38)は、それぞれ、前記3つの制御曲線の1つと関連付けられた、ウェブ移送制御装置のための回転フレーム構造。
【請求項2】
前記カムプレート(30)は、前記回転フレーム(12)の一部を形成し、前記カムフォロア(38)を支持する前記支持体フレーム(10)のブラケット(40)によって囲まれ、
前記カムフォロア(38)は、従動ロール(38)として構成され
、
前記ブラケット(40)は、前記支持ローラー(42)を支持する、請求項1に記載の回転フレーム構造。
【請求項3】
前記支持体フレーム(10)は、前記カムプレート(30)と平行に延在するベースプレート(18)を有し、
前記ベースプレート(18)の上には、前記従動ロール(38)のためのベアリングが、前記従動ロール(38)の回転軸が前記ベースプレート(18)と直交するように配置された、請求項2に記載の回転フレーム構造。
【請求項4】
前記従動ロール(38)のための軸受(56)を備える支持プレート(54)が、前記ベースプレート(18)の上に平らに載るように、前記ベースプレート(18)に取付けられた、請求項3に記載の回転フレーム構造。
【請求項5】
ブラケット(40)が、前記ベースプレート(18)及び支持プレート(54)の一方に直立して配置され、
前記ブラケット(40)には、前記支持ローラー(42)が回転可能に支持された、請求項3又は4に記載の回転フレーム構造。
【請求項6】
前記回転フレーム(12)は、2つの平行な側壁(74)と、前記側壁(74)を連結する板状の横桟(28)とを有し、
前記側壁(74)は、前記搬入ローラー(14)及び前記搬出ローラー(16)のための突出したベアリングブラケット(76)を備え、
前記横桟(28)は、スタッド(66)を介して前記カムプレート(30)を保持する、請求項2~5のいずれか一項に記載の回転フレーム構造。
【請求項7】
前記支持ローラー(42)のそれぞれが、前記支持体フレーム(10)及び前記回転フレーム(12)のうち他方のフレーム(12)に形成され、前記軸受面を形成する平行な縁を有する溝孔(44、48)に収容された、請求項1~6のいずれか一項に記載の回転フレーム構造。
【請求項8】
平面視した場合に台形であり、前記仮想回転中心(P)を中心とする円に対して接線方向に延在する脚を有する、少なくとも1つの壁部材(32、46)を備え、
前記溝孔(44、48)が、前記壁部材(32、46)の前記脚に形成された、請求項7に記載の回転フレーム構造。
【請求項9】
2つの前記壁部材(32、46)と、前記壁部材(32、46)の前記溝孔(44、48)のそれぞれの1つに係合する、合計4つの前記支持ローラー(42)とを備え、
2つの前記壁部材(32、46)は、前記台形の基線が互いに平行であり、且つ、対称に配置された2つの前記壁部材(32、46)の前記脚が、前記基線と異なる角度を形成するように配置された、請求項8に記載の回転フレーム構造。
【請求項10】
2つの前記壁部材(32、46)のうち一方(46)が、前記カムプレート(30)を保持するためのスタッド(66)を形成している、請求項9に記載の回転フレーム構造。
【請求項11】
ブラケット(40)は、支持プレート(54)の対応する留めくぎ穴に係合する留めくぎを有し、
且つ、前記支持ローラー(42)を支持し、
支持ローラー(42)のための溝孔(44)を形成する第1の壁部材(32)は、横桟(28)の対応する留めくぎ穴に係合する留めくぎ(62)を有し、
前記支持ローラー(42)のための溝孔(48)を形成する第2の壁部材(46)は、前記横桟(28)の対応する留めくぎ穴に係合する留めくぎ(64)と、前記カムプレート(30)の対応する留めくぎ穴(70)に係合する留めくぎ(68)とを有し、
前記第1の壁部材(32)は、前記第2の壁部材(46)と異なる部材であり、
前記第1の壁部材(32)の溝孔(44)に収容された前記支持ローラー(42)は、前記第2の壁部材(46)の溝孔(48)に収容された前記支持ローラー(42)と異なる、請求項5及び8~10のいずれか一項に記載の回転フレーム構造。
【請求項12】
前記カムプレート(30)は、前記回転フレーム(12)の側壁(74)の窪みと嵌合する突起(72)を有する、請求項6に記載の回転フレーム構造。
【請求項13】
前記駆動システム(22)は、少なくとも1つの方向において外力を受けても変位せず、
前記支持体フレーム(10)及び前記回転フレーム(12)に対して、前記外力を受けても変位しない回転方向に弾性力がはたらいている、請求項1~12のいずれか一項に記載の回転フレーム構造。
【請求項14】
前記駆動システム(22)は、関節継ぎ手によって、前記支持体フレーム(10)及び前記回転フレーム(12)のレバー(20、24)にそれぞれ連結された線形駆動装置であり、
圧縮ばね及び引張ばね(52)の一方が、前記レバーの間に張力がかかった状態で保持された、請求項13に記載の回転フレーム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体フレーム及び回転フレームを備える、ウェブ移送制御装置のための回転フレーム構造に関するものである。回転フレームは、支持体フレームと平行に延在し、制御されるウェブのための搬入ローラー及び搬出ローラーを備え、枢動機構によって支持体フレームに枢動可能に取付けられている。枢動機構は、支持体フレーム及び回転フレームのうち一方のフレームの制御面によって規定される仮想回転中心を有する。制御面は、支持体フレーム及び回転フレームのうち他方のフレームのカムフォロア(カム従動節)によって従動される。支持体フレーム及び回転フレームは、支持体フレーム及び回転フレームのうち一方のフレームの支持ローラーと、他方のフレームの関連する軸受面とによって平行に配置され、且つ、駆動システムによって、枢動可能であるように互いに連結されている。
【背景技術】
【0002】
走行する材料ウェブが、たとえば輪転機で処理される場合は、一般的に、ウェブが、走行方向を横切る方向に移動することを防ぐため、ウェブの動きを操縦又はフィードバック制御することが必要である。そのために、ウェブは、搬入ローラー及び搬出ローラーのそれぞれで、走行方向がたとえば90°傾くように、回転フレーム構造に通される。走行方向が所望の方向から逸れた場合は、搬入ローラー及び搬出ローラーを支持する回転フレームが、支持体フレームに対して回転し、搬入ローラー及び搬出ローラーが他の姿勢を取り、ウェブを所望の方向に戻す。
【0003】
従来の回転フレーム構造のほとんどでは、搬入ローラー及び搬出ローラーは、それらの軸が平行になるように、回転フレームと平行であるが、ローラーが自由に回転できるように回転フレームの平面からオフセットされた平面に取り付けられる。回転フレームと支持体フレームはほぼ合同であり、互いにオフセットされた平面に配置されているため、互いに対して回転させることができる。したがって、全体として、回転フレーム構造は3層設計になっている。
【0004】
回転フレームが支持体フレームに対して回転する回転中心は、理想的には、ウェブ移送制御装置に流入するウェブの中心に配置されるべきである。これにより、回転軸は、回転フレームの平面に直交し、搬出ローラーの外側の頂点に対して接線方向に存在することになる。このようにして、回転フレームが回転することで、流入するウェブはほとんど同じ状態を保ったまま、流出するウェブを所望の方向に移動することができる。
【0005】
仮想回転中心を有するベアリングには、回転軸の理想的な位置に存在する流入ウェブと衝突する可能性のある機械的軸又はベアリング要素がなくても、回転軸の理想的な位置を実現できるという利点がある。
【0006】
上述した種類の回転フレーム構造は、DE202017100819U1に開示されている。仮想回転中心を規定する制御面は、仮想回転中心を中心とする円筒状に湾曲した壁によって形成されている。対応するカムフォロアは、壁の凸状に湾曲した側と凹状に湾曲した側の両方で動作する従動ロールの組によって形成される。そのため、フレームに平行な平面の運動の自由度は、回転の1自由度に減少する。支持ローラーのための軸受面は、フレームと平行に延在する支持シートによって形成され、支持ローラーは、支持シートの両側にそれぞれ配置され、支持シートの両面上を走行する。そのため、フレームは、フレームの平面に垂直な方向の固定位置に保持され、フレームの平面と平行に延びる軸を中心に傾けることもできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、簡略化された設計を有する回転フレーム構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、上記目的を達成するために、制御面が、支持体フレーム及び回転フレームのうち一方のフレームに剛体的に保持されたカムプレートの外縁に形成された3つの制御曲線によって構成される。3つの制御曲線のうち2つをカムプレートの片側に設け、残り1つをカムプレートの反対側に設ける。そして、支持体フレーム及び回転フレームのうち他方のフレームが3つのカムフォロアを有し、3つのカムフォロアは、それぞれ、3つの制御曲線の1つと関連付けられている。
【0010】
本発明の有用な実施形態は、従属項に示されている。
【0011】
特にコンパクトな設計は、支持体フレームと回転フレームをほぼ共通の平面に配置し、一方のフレーム(たとえば回転フレーム)で、他方のフレーム(たとえば支持体フレーム)を一定の間隔で囲むことで実現できる。
【0012】
カムプレートは、任意に、回転フレームの一部又は支持体フレームの一部とすることができる。分かりやすくするため、カムプレートが、回転フレームの一部を形成する場合のみについて、以下の説明で述べることとする。また、支持体フレームをその外側の脚で囲む回転フレームは、カムプレートが配置された水平横桟を有する。カムプレートは、カムフォロアが形成された支持体フレームの一部によっても囲まれるように配置されている。
【0013】
有用な実施形態では、フレームの平行配列を確かなものとし、たとえば支持体フレーム上に配置される支持ローラーは、それぞれ、他方のフレーム(たとえば回転フレーム)に形成された溝孔(スロット)に、ほとんど遊びない状態で収容される。この際、溝孔の平行な縁が、支持ローラーの軸受面を形成している。このように、支持ローラーは、フレームの平面と平行な方向にのみ溝孔内で移動できるので、フレームの平面に垂直な方向への相対的な移動は、単一の支持ローラーで防ぐことができる。支持ローラーと溝孔の縁との間のわずかな遊びにより、支持ローラーは、溝孔の2つの縁のどちらに対して押し付けられているかに応じて、溝孔の縁の一方又は他方のいずれかで、低い摩擦で回転することができる。遊びは、フレームの平面に垂直な方向へのフレームの相対的な動きが許容範囲よりも小さくなるように、小さく保たれる。
【0014】
フレームを平行に配列させるための当該メカニズムは、上記のように、請求項1の特徴とは独立して利用することもできる。したがって、本発明は、請求項1の前提部分(プリアンブル)に記載された回転フレーム構造も包含する。当該回転フレーム構造は、各支持ローラーが、他方のフレームに形成され、軸受面を構成する平行な縁を有する溝孔に、ほとんど遊びがない状態で収容されることを特徴とする。
【0015】
カムプレートが回転フレームの平面と平行に延在する横桟(クロスバー)に保持されている場合は、支持ローラーのための溝孔は、カムプレートと横桟とを連結する連結部品に形成することができる。このようにして、回転フレーム構造の特に単純な設計を実現できる。フレームの平面が水平に広がっている場合には、カムプレートの縁に沿って回転する従動ロールは、垂直な軸を中心に回転できるように、支持体フレームのプレート上で回転可能に支持され得る。また当該プレートには、支持ローラーが水平な回転軸で回転可能に支持されている垂直な脚を有するブラケットを取り付けることができる。この際、支持ローラーは、連結部品の溝孔に係合している。
【0016】
製造における誤差は避けられないため、仮想回転中心を規定する枢動機構には、ウェブ移送制御の精度を下げる可能性がある、一定のベアリング遊びを有する。また、回転フレームを支持体フレームに対して一度に一方向に、そして別の時に他の方向に動かす駆動システムも、一般に一定の遊びを有する。有用な実施形態では、駆動システムは、少なくとも1つの方向で自己停止する。次に、フレームを互いに弾性に偏りがある状態にし、且つ、フレームを、駆動システムの自己停止する力に対して弾性に偏りがある状態にすることで、ベアリングの遊びと駆動システムの遊びの両方を容易に排除できる。この機能は、請求項1の機能とは独立して利用することもできる。したがって、本発明は、請求項1の前提部分(プリアンブル)に記載された回転フレーム構造も包含する。当該回転フレーム構造は、駆動システムが少なくとも1つの方向において自己停止し、フレームが、駆動システムが自己停止する回転方向において、互いに弾性に偏りがある状態となることを特徴とする。
【0017】
たとえば、駆動システムは、2つのフレーム上に形成された2つのレバーの間で作用する線形駆動装置であり得る。弾性の片寄りは、たとえば、2つのレバーを一緒に引っ張る単純な引張ばねによって達成され得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る構造では、制御面は、たとえばレーザー切断によって、プレートの縁が所望の曲率を有する制御曲線を形成するように機械加工することができる単一のプレートによって容易に形成できる。カムフォロア(たとえば従動ロール)は、制御曲線に反対側から係合するため、フレームの平面に平行な方向の運動の自由度の制限は、3つのカムフォロアだけで達成される。このようにして、回転フレームの低抵抗の回転運動を実現することができ、その運動を正確に制御することができる。
【0019】
これに加えて、支持体フレーム及び回転フレームの少なくとも一部(つまり、カムプレート及びカムフォロア)を共通の平面に配置しなければならないため、水平に設置した場合などに、フレーム構造の構造の高さを低くすることができる。これにより、回転フレーム構造を機械に設置するための追加の設計自由度が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】回転フレーム構造の概略を示す平面図である。
【
図2】わずかに回転した回転フレームを備えた回転フレーム構造を示す平面図である。
【
図3】
図1の矢印III-IIIの方向から見た回転フレーム構造を示す図である。
【
図4】
図1の矢印IV-IVの方向から見た回転フレーム構造の拡大側面図である。
【
図5】支持体フレームのベースプレートの平面図である。
【
図6】支持体フレームの支持プレートの平面図である。
【
図8】カムプレートを回転フレームに固定するための固定部材の正面図である(その1)。
【
図9】カムプレートを回転フレームに固定するための固定部材の正面図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施形態の例を図面とともに説明する。
【0022】
図1は、仮想回転中心Pを中心に互いに対して回転可能な、支持体フレーム10及び回転フレーム12を備える回転フレーム構造を示す平面図である。
図2は、回転フレーム12をわずかに回転させた回転フレーム構造を示す平面図である。区別しやすいように、(固定された)支持体フレーム10に属するすべての部品は、回転フレーム12とともに移動可能な部品よりも太い線で示されている。
【0023】
搬入ローラー14及び搬出ローラー16は、回転フレーム12内で回転可能に支持されている。回転フレーム構造によって動きが制御される材料ウェブ(図示せず)は、搬入ローラー及び搬出ローラーに通される。材料ウェブは、たとえば、逆U字型のスレッド(経路)で走行する。
図1の場合は、搬入ローラー14まで上向き(
図1の紙面の奥側から手前側に向かう方向)に走行し、そこで走行方向が水平方向に変えられ、搬出ローラー16に送られる。そして、搬出ローラー16で再び走行方向が変えられ、その後下向きに移動する。
【0024】
支持体フレーム10は、水平なベースプレート18を有する。ベースプレート18の大部分は、
図1において、回転フレーム12によって隠されているので、ベースプレート18の左側の端のみが見える。
図1の右側では、ベースプレート18は、レバー20を形成している。レバー20は、回転フレーム12の横方向の端を越えて突出し、関節式の線形駆動装置22を介して、回転フレーム12のブラケット又はレバー24と連結されている。線形駆動装置22がレバー20及び24を一緒に引くと、回転フレーム12は、
図2に示される回転中心Pを通る垂直の回転軸を中心に回転する。当該回転軸は搬入ローラー14の接線を形成するので、回転フレーム12が回転されたとしても、搬入ローラー14と、これに流入する材料ウェブは横方向に移動しない。これに対して、搬出ローラー16及び流出する材料ウェブは、横方向に移動される。
【0025】
回転フレーム12は、樋形で下向きに開いたケーシング26を形成する。ケーシング26の上部壁は、カムプレート30を保持するための横桟28を形成する。カムプレート30は、ケーシング26の内部に格納され、壁部材32によって横桟28に連結されている。壁部材32は、平面視した場合に台形の形状を有する。カムプレート30の縁は、
図1の下側に示す、円弧状に成形された2つの制御曲線34を形成する。また、カムプレート30の縁は、
図1に上側に示す、円弧状に成形された別の制御曲線36を形成する。制御曲線34及び36は、仮想回転中心Pを中心としている。制御曲線34、36の曲率をより明確に示すために、
図1では、円弧部分を延長して実線で示している。制御曲線34、36のそれぞれに関連付けられているのは、従動ロール38である。従動ロール38は、垂直軸を中心として回転可能であるように、支持体フレーム10上に支持されている。3つの従動ロール38は、実質的な遊びなしでカムプレート30の端と係合している。そのため、カムプレート30と、これとともに回転する回転フレーム12の全体は、支持体フレーム10に対して、仮想回転中心Pを中心とした円運動しか行うことできない。
【0026】
ベースプレート18から垂直に突き出ており、それぞれが支持ローラー42を支持する4つのブラケット40が、支持体フレーム10に溶接されている。4つの支持ローラー42のうちの2つは、
図8に示す溝孔44に収容されている。溝孔44は、平面視した場合に台形の壁部材32の脚において水平に延在する。壁部材32の脚は、仮想回転中心Pが中心の円の円弧に対して接線方向に延在するように角度が付けられている。たとえば重さのような下向きの力が回転フレーム12に作用すると、壁部材32、さらには回転フレーム12全体が支持ローラー42上に支持されるように、溝孔44の上端が支持ローラー42に押し付けられる。回転フレーム12を回転させると、支持ローラー42が溝孔44に対して相対的に動き、支持ローラー42は溝孔44の上端に沿って回転する。
【0027】
回転フレーム12が上向きの力を受ける場合は、支持ローラー42は、溝孔44の下端に対して押し付けられる。この場合に、支持ローラー42を回転させると、支持ローラー42は溝孔44の下端に沿って回転する。溝孔44内の支持ローラー42の遊びは、支持ローラー42が低い摩擦で動くことができる大きさであるが、壁部材32に対する支持ローラー42の垂直方向の動きが、遊びによって規定される許容範囲内にとどまるものとする。
【0028】
回転フレーム12のケーシング26は、別の壁部材46を収容する。壁部材46は、平面視した場合に台形の形状を有し、横桟28の下側に固定されている。また、
図9に示すように、壁部材46の角度の付いた脚には溝孔48が形成されている。4つの支持ローラー42のうちの2つは、壁部材46の溝孔48に収容されている。また、壁部材46の脚は、仮想回転中心Pを中心とする円の円弧に対して接線方向に延在するように角度が付けられている。したがって、壁部材46は、壁部材32と同様に、支持ローラー42によって小さな遊びで誘導され、支持されている。全体として、溝孔44、48内の支持ローラー42の係合により、支持体フレーム10と、支持体フレーム10に対して垂直方向に動くことを防がれた回転フレーム12とは、正確に平行に配置されている。
【0029】
引張ばね52の一端のホルダー50は、支持体フレーム10のベースプレート18及びベースプレート18によって形成されたレバー20に取り付けられている。張力ばね52の他端は、回転フレーム12のレバー24に固定されている。これにより、レバー20及び24を一緒に引き寄せ、回転フレーム12を支持体フレーム10に対して反時計回りに回転させることができる、永久的な張力が生成される。しかしながら、線形駆動装置22は、少なくともその長さが減少する方向で自己停止する。そのため、引張ばね52によって加えられるトルクは、実際には回転フレーム12の回転を引き起こさない。しかしながら、引張ばね52によって引き起こされる弾性の片寄りは、制御曲線34、36及び従動ロール38によって形成されるベアリングの遊びを排除するという効果を有する。これは、線形駆動装置22及びレバー20、24とのその関節式ジョイントにおける遊びについても同様である。
【0030】
ここで説明する回転フレーム構造が部品を構成する機械が作動しているとき、材料ウェブの横方向の位置はセンサーによって検出される。また、線形駆動装置22は、材料ウェブの位置が目標値に調整されるように、制御装置によって制御される。このフィードバック制御処理において、線形駆動装置22は、回転フレーム12を一方向又は他の方向に回転させるために、交互に伸長及び収縮される。引張ばね52は、この制御処理でヒステリシスが発生しないことを保証する。引張ばね52は、遊びによって規定される移動範囲の制限と同じ、一定の遊びが生じ得るシステムの全ての構成要素を常に保持しているからである。
【0031】
図3は、回転フレーム構造の正面図である。支持体フレーム10のベースプレート18に溶接されているのは、従動ロール38が回転可能に支持されている支持プレート54である。ベースプレート18及び支持プレート54の外形は、
図5及び6に別々に示されている。また、
図6は、従動ロール38のためのベアリング穴(軸受)56を示す。
図5では、軸受56の位置を二点鎖線で示す。ベースプレート18は、軸受の端部を収容する窪み58、60を有する。
【0032】
支持ローラー42のブラケット40も支持プレート54に溶接されている。ブラケット40の正確な位置決め及び確実な固定を確かにするため、ブラケット40は、支持プレート54に面する縁に留めくぎ(ペグ)で形成される。留めくぎは図示されていないが、支持プレート54の対応する留めくぎ穴に係合している。
【0033】
図7は、支持体フレーム10の全体を示す正面図である。支持ローラー42のための溝孔44を形成し、平面視した場合に台形の外形を有する壁部材32を
図3に示すが、
図8にも別に示す。また、壁部材32は、その上端に突出した留めくぎで形成され、留めくぎは、横桟28の対応する留めくぎ穴(図示せず)に係合している。
【0034】
図9は、他の2つの支持ローラー42のための溝孔48を形成する壁部材46を示す正面図である。また、壁部材46は、横桟28の留めくぎ穴に係合するために、その上端に留めくぎ64が形成されている。
【0035】
図3では、壁部材46は、その前に配置された壁部材32によって大部分が隠されている。そのため、下向きに突き出たスタッド66(
図9参照)だけが見えている。これらのスタッド66は、カムプレート30の留めくぎ穴70に係合する留めくぎ68とともに、壁部材46の下端に形成されている。
図10に、カムプレート30の平面図を別個に示す。カムプレート30は留めくぎ68に溶接され、それによって回転フレーム12内のその位置に固定される。さらなる安定化のために、カムプレート30は、両端に突起72を有し、これらの突起は、
図3に見られるように、ケーシング26の側壁74の対応する窪みと嵌合する。
【0036】
図4は、回転フレーム構造を示す側面図である。支持体フレーム10のうち、ベースプレート18のみが表示されている。回転フレーム12のケーシング26の側壁74は、両端が延長されて、搬入ローラー14及び搬出ローラー16のためのベアリングブラケット76を形成する。これらのベアリングブラケット76は、材料ウェブの所望の種類の経路に応じて、異なる形状を有することができる。
図4には、逆U字型の経路の構成を示す。この構成では、回転フレーム構造の全体の構造の高さは、搬入ローラー14及び搬出ローラー16の直径よりもわずかに大きいだけである。さらに、
図4には、側壁74を貫通するカムプレートの突起72の1つを示す。
【符号の説明】
【0037】
10…支持体フレーム
12…回転フレーム
14…搬入ローラー
16…搬出ローラー
18…ベースプレート
20…レバー
22…駆動システム、線形駆動装置
24…レバー
26…ケーシング
28…横桟
30…カムプレート
32…壁部材
34…制御面、制御曲線
36…制御面、制御曲線
38…カムフォロア、従動ロール
40…ブラケット
42…支持ローラー
44…溝孔
46…壁部材
48…溝孔
50…ホルダー
54…支持プレート
56…軸受、ベアリング穴
66…スタッド
68…留めくぎ
70…留めくぎ穴
72…突起
74…側壁
76…ベアリングブラケット
P…仮想回転中心