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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20230710BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230710BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20230710BHJP
   B60Q 1/50 20060101ALI20230710BHJP
   B60Q 1/46 20060101ALI20230710BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20230710BHJP
   B60W 50/00 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/09 V
B65G61/00 540
B60Q1/50 Z
B60Q1/46
B60W60/00
B60W50/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022113755
(22)【出願日】2022-07-15
(62)【分割の表示】P 2018031627の分割
【原出願日】2018-02-26
(65)【公開番号】P2022165976
(43)【公開日】2022-11-01
【審査請求日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】P 2017152637
(32)【優先日】2017-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100136353
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 建吾
(72)【発明者】
【氏名】小西 一暢
(72)【発明者】
【氏名】松井 修平
(72)【発明者】
【氏名】下間 雄太
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/175030(WO,A1)
【文献】特開2002-342892(JP,A)
【文献】特開2016-173653(JP,A)
【文献】特開2015-186944(JP,A)
【文献】特開2008-146500(JP,A)
【文献】特開平11-48857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/46
1/50
B60W 30/00-60/00
B65G 61/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザとの待ち合わせを行う自律走行車の状態を制御する制御装置であって、
前記ユーザの現在位置を示す第1位置情報を受信する通信部と、
前記自律走行車の現在位置を示す第2位置情報を取得できないときに、前記第1位置情報及び前記ユーザとの待ち合わせ場所の位置を示す第3位置情報を基に前記待ち合わせ場所から前記ユーザまでの距離を算出し、前記ユーザまでの距離が所定距離以下となった場合に、前記自律走行車を第1の状態から前記ユーザが前記自律走行車を認識可能な第2の状態に変化させる変化部と、
前記第2の状態として、複数の第4の状態を予め記憶するパターン記憶部と、
前記自律走行車の周辺環境を検出する検出部とを備え、
前記変化部は、前記ユーザまでの距離が所定距離以下となった場合に、前記周辺環境に応じて前記複数の第4の状態の中から第5の状態を選択し、前記自律走行車を前記第1の状態から前記第5の状態に変化させる、
制御装置。
【請求項2】
ユーザとの待ち合わせを行う自律走行車の状態を制御する制御装置であって、
前記ユーザの現在位置を示す第1位置情報を受信する通信部と、
前記自律走行車の現在位置を示す第2位置情報を取得できないときに、前記第1位置情報及び前記ユーザとの待ち合わせ場所の位置を示す第3位置情報を基に前記待ち合わせ場所から前記ユーザまでの距離を算出し、前記ユーザまでの距離が所定距離以下となった場合に、前記自律走行車を第1の状態から前記ユーザが前記自律走行車を認識可能な第2の状態に変化させる変化部とを備え、
前記通信部は、前記ユーザの所持する端末装置から前記ユーザが前記自律走行車を認識したことを示す通知を受信し、
前記変化部は、前記通知を受信した場合、前記自律走行車に前記第2の状態の実行を停止させる、
制御装置。
【請求項3】
現在時刻が前記ユーザとの待ち合わせ時刻から所定時間以内であることを検知する時間管理部をさらに備え、
前記変化部は、前記ユーザまでの距離が所定距離以下となり、且つ現在時刻が前記ユーザとの待ち合わせ時刻から所定時間以内になった場合に、前記自律走行車を前記第1の状態から前記第2の状態に変化させる、
請求項1または2記載の制御装置。
【請求項4】
前記通信部は、前記第2の状態として、ユーザが指定した第3の状態を受信し、
前記変化部は、前記ユーザまでの距離が所定距離以下となった場合に、前記自律走行車を前記第1の状態から前記第3の状態に変化させる、
請求項1または2記載の制御装置。
【請求項5】
前記第3の状態は、前記自律走行車のライトが所定の点灯状態になること、前記自律走行車が所定の音を発生すること、前記自律走行車が所定の距離だけ前後に移動すること、前記ユーザが所持する端末装置により受信可能な所定の電波を前記自律走行車が発生すること、前記自律走行車のドアが開閉すること、前記自律走行車の側面ディスプレイの表示を変更すること、プロジェクションマッピングにより認識可能になること、及び前記自律走行車のウインカーが点滅状態になることのうち少なくとも一つを含む、
請求項4記載の制御装置。
【請求項6】
前記変化部は、前記周辺環境に応じて、前記第5の状態から前記第5の状態と報知手段の異なる第6の状態を選択し、前記自律走行車を前記第1の状態から前記第6の状態に変化させる、
請求項1記載の制御装置。
【請求項7】
人物情報を管理する人物情報管理部をさらに備え、
前記検出部は、周辺人物情報を取得し、
前記人物情報管理部は、前記周辺人物情報と事前に登録されている人物情報とが一致するか否かを判定し、
前記変化部は、前記周辺人物情報と事前に登録されている人物情報とが一致していると判定された場合に、前記自律走行車を前記第1の状態から前記第2の状態に変化させる、
請求項1記載の制御装置。
【請求項8】
前記自律走行車は、自動運転により前記ユーザの荷物を配送する自動運転配送車であり、
前記自動運転配送車は、前記ユーザとの待ち合わせ場所となる駐車場で前記ユーザに荷物を引き渡す、
請求項1または2記載の制御装置。
【請求項9】
前記自律走行車は、自動運転により前記ユーザを輸送する自動運転輸送車であり、
前記自動運転輸送車は、前記ユーザとの待ち合わせ場所となる駐車場で乗車した前記ユーザを輸送する、
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項10】
ユーザとの待ち合わせを行う自律走行車の状態を制御する制御方法であって、
前記ユーザの現在位置を示す第1位置情報を受信し、
前記自律走行車の現在位置を示す第2位置情報を取得できないときに、前記第1位置情報及び前記ユーザとの待ち合わせ場所の位置を示す第3位置情報を基に前記待ち合わせ場所から前記ユーザまでの距離を算出し、前記ユーザまでの距離が所定距離以下となった場合に、前記自律走行車を第1の状態から前記ユーザが前記自律走行車を認識可能な第2の状態に変化させ、
前記第2の状態として、複数の第4の状態を予め記憶し、
前記自律走行車の周辺環境を検出し、
前記ユーザまでの距離が所定距離以下となった場合に、前記周辺環境に応じて前記複数の第4の状態の中から第5の状態を選択し、前記自律走行車を前記第1の状態から前記第5の状態に変化させる、
制御方法。
【請求項11】
ユーザとの待ち合わせを行う自律走行車の状態を制御する制御方法であって、
前記ユーザの現在位置を示す第1位置情報を受信し、
前記自律走行車の現在位置を示す第2位置情報を取得できないときに、前記第1位置情報及び前記ユーザとの待ち合わせ場所の位置を示す第3位置情報を基に前記待ち合わせ場所から前記ユーザまでの距離を算出し、前記ユーザまでの距離が所定距離以下となった場合に、前記自律走行車を第1の状態から前記ユーザが前記自律走行車を認識可能な第2の状態に変化させ、
前記ユーザの所持する端末装置から前記ユーザが前記自律走行車を認識したことを示す通知を受信した場合、前記自律走行車に前記第2の状態の実行を停止させる、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザとの待ち合わせを行う自律走行車の状態を制御する制御装置及び制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自律走行車(自動運転自動車)に関する技術開発が行われ、このような自律走行車を自動運転配送車として用い、荷物を配送する構想や実用化実験が行われている。このような自動運転配送車は、荷物の受け渡しを行うために、ユーザとの待ち合わせを行う必要がある。また、配車対象となる自動車として自動運転自動車を用いる配車方法も提案されており、この場合も、自動運転自動車に乗車するために、ユーザとの待ち合わせを行う必要がある。
【0003】
上記のようなユーザと車両との待ち合わせに関して、例えば、特許文献1には、車両に搭載された車載端末装置が、カーナビゲーションの画面に情報を表示させて車両の乗員に通知する通知部を有し、歩行者端末装置から送信された車両待ち情報を受信した場合に、カーナビゲーションの地図上に歩行者の位置を表示することが開示されている。この場合、車両待ちの歩行者の位置を正確に知ることができ、車両が待ち合わせ場所に効率良く到着することができるとされている。また、歩行者がLED発光体を所持する場合には、歩行者端末装置は、待ち合わせ情報を含む歩行者情報を送信した場合にLED発光体を点滅させることが開示されている。この場合、運転手は待ち合わせ対象の歩行者を容易に見つけることができ、歩行者及び車両同士の待ち合わせに於ける利便性を向上し得るとされている。
【0004】
また、特許文献2には、誘導経路メモリに目的地として設定された待ち合わせ場所の位置情報及び当該待ち合わせ場所までのルート情報に基づいて、待ち合わせ場所に対してどの方向から車両が進入してくるかを表した音声の案内情報を案内生成部により生成し、生成した案内情報を通信I/Fから携帯電話装置を介して待ち合わせ者の携帯電話装置に送信することにより、待ち合わせ場所から見た車両の相対的な進入方向を示す案内情報が車両から待ち合わせ者の携帯電話装置に送信されることが開示されている。この場合、待ち合わせ場所に向かってくる車両を待ち合わせ者が容易に確認することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-201008号公報
【文献】特開2006-250874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来技術では、運転手が運転する車両とユーザとの待ち合わせについては検討されているが、自律走行車とユーザとの待ち合わせについては何ら検討されておらず、自律走行車とユーザとの待ち合わせ方法については、更なる改善が必要とされていた。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するためになされたもので、自律走行車とユーザとが待ち合わせを行う場合に、ユーザの待ち合わせ対象となる自律走行車を特定することができる制御装置及び制御方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る制御装置は、ユーザとの待ち合わせを行う自律走行車の状態を制御する制御装置であって、前記ユーザの現在位置を示す第1位置情報を受信する通信部と、前記自律走行車の現在位置を示す第2位置情報を取得できないときに、前記第1位置情報及び前記ユーザとの待ち合わせ場所の位置を示す第3位置情報を基に前記待ち合わせ場所から前記ユーザまでの距離を算出し、前記ユーザまでの距離が所定距離以下となった場合に、前記自律走行車を第1の状態から前記ユーザが前記自律走行車を認識可能な第2の状態に変化させる変化部と、前記第2の状態として、複数の第4の状態を予め記憶するパターン記憶部と、前記自律走行車の周辺環境を検出する検出部とを備え、前記変化部は、前記ユーザまでの距離が所定距離以下となった場合に、前記周辺環境に応じて前記複数の第4の状態の中から第5の状態を選択し、前記自律走行車を前記第1の状態から前記第5の状態に変化させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、自律走行車とユーザとが待ち合わせを行う場合に、ユーザが自律走行車を容易に特定することができ、ユーザが迷うことなく自律走行車と確実に落ち合うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施の形態1における車両位置通知システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図1に示す自動運転配送車による状態制御処理の一例を示すフローチャートである。
図3】本開示の実施の形態2における車両位置通知システムの構成の一例を示すブロック図である。
図4図3に示す自動運転配送車による状態制御処理の一例を示すフローチャートである。
図5】本開示の実施の形態3における車両位置通知システムの構成の一例を示すブロック図である。
図6図5に示す自動運転配送車による状態制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見)
上記のように、従来の待ち合わせ方法では、運転手が運転する通常の車両とユーザとの待ち合わせについては検討されているが、自律走行車とユーザとの待ち合わせについては何ら検討されていない。例えば、自律走行車として、自動運転によりユーザの荷物を配送する自動運転配送車を用いる場合、ユーザが荷物を受け取るためには、適度なスペースが必要になるとともに、自動運転配送車は所定時間停車する必要がある。
【0012】
このような要求を満たす場所として、駐車場の利用が考えられるが、他の車両が駐車場に多数駐車していたり、自動運転配送車の外観が他の車両と類似したりする場合には、ユーザは自動運転配送車を容易に認識することはできない。
【0013】
また、屋内駐車場や地下駐車場では、衛星からの電波を受信しづらく、GPS(Global Positioning System)を使用しての自動運転配送車の詳細な位置情報を得られないこともある。
【0014】
上記課題を解決するため、本願発明者らは、自律走行車の位置情報を取得できない駐車場を含む種々の駐車場においても如何にしてユーザに自律走行車を容易に認識させるかについて鋭意検討を行った結果、本開示を完成したものである。
【0015】
本開示の第1態様に係る制御装置は、ユーザとの待ち合わせを行う自律走行車の状態を制御する制御装置であって、前記ユーザの現在位置を示す第1位置情報を受信する通信部と、前記自律走行車の現在位置を示す第2位置情報を取得できないときに、前記第1位置情報及び前記ユーザとの待ち合わせ場所の位置を示す第3位置情報を基に前記待ち合わせ場所から前記ユーザまでの距離を算出し、前記ユーザまでの距離が所定距離以下となった場合に、前記自律走行車を第1の状態から前記ユーザが前記自律走行車を認識可能な第2の状態に変化させる変化部と、前記第2の状態として、複数の第4の状態を予め記憶するパターン記憶部と、前記自律走行車の周辺環境を検出する検出部とを備え、前記変化部は、前記ユーザまでの距離が所定距離以下となった場合に、前記周辺環境に応じて前記複数の第4の状態の中から第5の状態を選択し、前記自律走行車を前記第1の状態から前記第5の状態に変化させる。
【0016】
第1態様に係る制御装置は、ユーザの現在位置を示す第1位置情報を受信し、受信した第1位置情報及びユーザとの待ち合わせ場所の位置を示す第3位置情報を基に待ち合わせ場所からユーザまでの距離を算出し、算出したユーザまでの距離が所定距離以下となった場合に、自律走行車を第1の状態からユーザが自律走行車を認識可能な第2の状態に変化させる。したがって、屋内又は地下の駐車場でユーザと待ち合わせる場合等のように自律走行車の現在位置を示す第2位置情報を取得できないときであっても、ユーザの現在位置を取得して駐車場からユーザまでの距離すなわち自律走行車からユーザまでの距離を特定することができるとともに、ユーザが自律走行車に接近したとき、自律走行車の状態をユーザが認識可能な状態に変化させることができる。この結果、自律走行車とユーザとが待ち合わせを行う場合に、ユーザが自律走行車を容易に特定することができ、ユーザが迷うことなく自律走行車と確実に落ち合うことができる。
【0017】
また、ユーザまでの距離が所定距離以下となった場合に、自律走行車の周辺環境を検出し、検出した周辺環境に応じて複数の第4の状態の中から第5の状態を選択し、自律走行車を第1の状態から第5の状態に変化させる。したがって、自律走行車の状態を周辺環境に適した状態に変化させることができ、ユーザは待ち合わせ対象となる自律走行車を確実に認識することができる。
【0018】
本開示の第2態様に係る制御装置は、ユーザとの待ち合わせを行う自律走行車の状態を制御する制御装置であって、前記ユーザの現在位置を示す第1位置情報を受信する通信部と、前記自律走行車の現在位置を示す第2位置情報を取得できないときに、前記第1位置情報及び前記ユーザとの待ち合わせ場所の位置を示す第3位置情報を基に前記待ち合わせ場所から前記ユーザまでの距離を算出し、前記ユーザまでの距離が所定距離以下となった場合に、前記自律走行車を第1の状態から前記ユーザが前記自律走行車を認識可能な第2の状態に変化させる変化部とを備え、前記通信部は、前記ユーザの所持する端末装置から前記ユーザが前記自律走行車を認識したことを示す通知を受信し、前記変化部は、前記通知を受信した場合、前記自律走行車に前記第2の状態の実行を停止させる。
【0019】
第2態様に係る制御装置は、ユーザの現在位置を示す第1位置情報を受信し、受信した第1位置情報及びユーザとの待ち合わせ場所の位置を示す第3位置情報を基に待ち合わせ場所からユーザまでの距離を算出し、算出したユーザまでの距離が所定距離以下となった場合に、自律走行車を第1の状態からユーザが自律走行車を認識可能な第2の状態に変化させる。したがって、屋内又は地下の駐車場でユーザと待ち合わせる場合等のように自律走行車の現在位置を示す第2位置情報を取得できないときであっても、ユーザの現在位置を取得して駐車場からユーザまでの距離すなわち自律走行車からユーザまでの距離を特定することができるとともに、ユーザが自律走行車に接近したとき、自律走行車の状態をユーザが認識可能な状態に変化させることができる。この結果、自律走行車とユーザとが待ち合わせを行う場合に、ユーザが自律走行車を容易に特定することができ、ユーザが迷うことなく自律走行車と確実に落ち合うことができる。
【0020】
また、ユーザが所持する端末装置からユーザが自律走行車を認識したことを示す通知を受信した場合、自律走行車に第2の状態の実行を停止させているので、ユーザが待ち合わせ対象となる自律走行車を認識した後、速やかに自律走行車の状態を元の状態に戻すことができる。
【0021】
本開示の第3態様に係る制御装置は、第1または第2態様において、現在時刻が前記ユーザとの待ち合わせ時刻から所定時間以内であることを検知する時間管理部をさらに備え、前記変化部は、前記ユーザまでの距離が所定距離以下となり、且つ現在時刻が前記ユーザとの待ち合わせ時刻から所定時間以内になった場合に、前記自律走行車を前記第1の状態から前記第2の状態に変化させるようにしてもよい。
【0022】
第3態様に係る制御装置は、現在時刻がユーザとの待ち合わせ時刻から所定時間以内であることを検知し、ユーザまでの距離が所定距離以下となり、且つ現在時刻がユーザとの待ち合わせ時刻から所定時間以内になった場合に、自律走行車を第1の状態から第2の状態に変化させているので、自律走行車の位置情報を取得できない駐車場でユーザと待ち合わせる場合でも、ユーザが自律走行車に接近し且つ待ち合わせ時刻に近い時刻になったとき、自律走行車の状態をユーザが認識可能な状態に変化させることができ、誤ったタイミングでの通知を防止することが可能となる。
【0023】
本開示の第4態様に係る制御装置は、第1または第2態様において、前記通信部は、前記第2の状態として、ユーザが指定した第3の状態を受信し、前記変化部は、前記ユーザまでの距離が所定距離以下となった場合に、前記自律走行車を前記第1の状態から前記第3の状態に変化させるようにしてもよい。
【0024】
第4態様に係る制御装置は、ユーザが自律走行車を認識可能な第2の状態として、ユーザが指定した第3の状態を受信し、ユーザまでの距離が所定距離以下となった場合に、自律走行車を第1の状態から第3の状態に変化させているので、ユーザが自律走行車に接近したとき、自律走行車の状態をユーザが指定した状態に変化させることができ、ユーザは待ち合わせ対象となる自律走行車をより容易に認識することができる。
【0025】
本開示の第5態様に係る制御装置は、第4態様において、前記第3の状態は、前記自律走行車のライトが所定の点灯状態になること、前記自律走行車が所定の音を発生すること、前記自律走行車が所定の距離だけ前後に移動すること、前記ユーザが所持する端末装置により受信可能な所定の電波を前記自律走行車が発生すること、前記自律走行車のドアが開閉すること、前記自律走行車の側面ディスプレイの表示を変更すること、プロジェクションマッピングにより認識可能になること、及び前記自律走行車のウインカーが点滅状態になることのうち少なくとも一つを含むようにしてもよい。
【0026】
第5態様に係る制御装置は、ユーザが指定した状態として、ライトを所定の点灯状態にしたり、所定の音を発生させたり、所定の距離だけ前後に移動したり、ユーザが所持する端末装置により受信可能な所定の電波を発生したり、ドアを開閉したり、側面ディスプレイの表示を変更したり、プロジェクションマッピングにより認識可能にしたり、ウインカーを点滅状態にしたりするので、ユーザは待ち合わせ対象となる自律走行車を確実に認識することができる。
【0027】
本開示の第6態様に係る制御装置は、第1態様において、前記変化部は、前記周辺環境に応じて、前記第5の状態から前記第5の状態と報知手段の異なる第6の状態を選択し、前記自律走行車を前記第1の状態から前記第6の状態に変化させるようにしてもよい。
【0028】
第6態様に係る制御装置は、周辺環境に応じて、第5の状態から第5の状態と報知手段の異なる第6の状態を選択し、自律走行車を第1の状態から第6の状態に変化させるので、自律走行車の状態を、周囲の状況に適した報知手段による状態に切り替えることができる。
【0029】
本開示の第7態様に係る制御装置は、第1または第2態様において、前記制御装置は、人物情報を管理する人物情報管理部をさらに備え、前記検出部は、周辺人物情報を取得し、前記人物情報管理部は、前記周辺人物情報と事前に登録されている人物情報とが一致するか否かを判定し、前記変化部は、前記周辺人物情報と事前に登録されている人物情報とが一致していると判定された場合に、前記自律走行車を前記第1の状態から前記第2の状態に変化させるようにしてもよい。
【0030】
第7態様に係る制御装置は、周辺人物情報を取得し、取得した周辺人物情報と事前に登録されている人物情報とが一致するか否かを判定し、周辺人物情報と事前に登録されている人物情報とが一致していると判定した場合に、自律走行車を第1の状態から第2の状態に変化させるので、ユーザが事前に登録されている人物である場合に、当該ユーザが自律走行車を容易に特定することができ、当該ユーザが迷うことなく自律走行車と確実に落ち合うことができる。
【0031】
本開示の第8態様に係る制御装置は、第1~第7態様のいずれか一つにおいて、前記自律走行車は、自動運転により前記ユーザの荷物を配送する自動運転配送車であり、前記自動運転配送車は、前記ユーザとの待ち合わせ場所となる駐車場で前記ユーザに荷物を引き渡すようにしてもよい。
【0032】
第8態様に係る制御装置が制御する自律走行車は、自動運転によりユーザの荷物を配送する自動運転配送車であり、ユーザとの待ち合わせ場所となる駐車場でユーザに荷物を引き渡すので、自動運転配送車の位置情報を取得できない駐車場でユーザと待ち合わせる場合でも、ユーザが自律走行車を容易に特定することができ、ユーザが迷うことなく自動運転配送車から荷物を受け取ることができる。
【0033】
本開示の第9態様に係る制御装置は、第1~第7態様のいずれか一つにおいて、前記自律走行車は、自動運転により前記ユーザを輸送する自動運転輸送車であり、前記自動運転輸送車は、前記ユーザとの待ち合わせ場所となる駐車場で乗車した前記ユーザを輸送するようにしてもよい。
【0034】
第9態様に係る制御装置が制御する自律走行車は、自動運転によりユーザを輸送する自動運転輸送車であり、ユーザとの待ち合わせ場所となる駐車場で乗車したユーザを輸送するので、自動運転輸送車の位置情報を取得できない駐車場でユーザと待ち合わせる場合でも、ユーザが自動運転輸送車を容易に特定することができ、ユーザが迷うことなく自動運転輸送車に乗車することができる。
【0035】
また、本開示は、以上のような特徴的な構成を備える制御装置として実現することができるだけでなく、制御装置が備える特徴的な構成に対応する特徴的な処理を実行する制御方法などとして実現したりすることもできる。また、このような制御方法に含まれる特徴的な処理を、プロセッサ及びメモリ等を備えるコンピュータに実行させるコンピュータプログラムとして実現することもできる。そして、上記のようなコンピュータプログラムを、CD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体あるいはインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
【0036】
したがって、以下の他の態様でも、上記の制御装置と同様の効果を奏することができる。
【0037】
本開示の第10態様に係る制御方法は、ユーザとの待ち合わせを行う自律走行車の状態を制御する制御方法であって、前記ユーザの現在位置を示す第1位置情報を受信し、前記自律走行車の現在位置を示す第2位置情報を取得できないときに、前記第1位置情報及び前記ユーザとの待ち合わせ場所の位置を示す第3位置情報を基に前記待ち合わせ場所から前記ユーザまでの距離を算出し、前記ユーザまでの距離が所定距離以下となった場合に、前記自律走行車を第1の状態から前記ユーザが前記自律走行車を認識可能な第2の状態に変化させ、前記第2の状態として、複数の第4の状態を予め記憶し、前記自律走行車の周辺環境を検出し、前記ユーザまでの距離が所定距離以下となった場合に、前記周辺環境に応じて前記複数の第4の状態の中から第5の状態を選択し、前記自律走行車を前記第1の状態から前記第5の状態に変化させる。
【0038】
また、本開示の第11態様に係る制御方法は、ユーザとの待ち合わせを行う自律走行車の状態を制御する制御方法であって、前記ユーザの現在位置を示す第1位置情報を受信し、前記自律走行車の現在位置を示す第2位置情報を取得できないときに、前記第1位置情報及び前記ユーザとの待ち合わせ場所の位置を示す第3位置情報を基に前記待ち合わせ場所から前記ユーザまでの距離を算出し、前記ユーザまでの距離が所定距離以下となった場合に、前記自律走行車を第1の状態から前記ユーザが前記自律走行車を認識可能な第2の状態に変化させ、前記ユーザの所持する端末装置から前記ユーザが前記自律走行車を認識したことを示す通知を受信した場合、前記自律走行車に前記第2の状態の実行を停止させる。
【0039】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。さらに、本開示の主旨を逸脱しない限り、本開示の各実施の形態に対して当業者が想到する範囲内の変更を施した各種変形例も本開示に含まれる。
【0040】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0041】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1における車両位置通知システムの構成の一例を示すブロック図である。図1に示す車両位置通知システムは、自動運転配送車1、及びユーザ端末2を備える。自動運転配送車1、及びユーザ端末2は、インターネット、専用回線等の所定の有線又は無線のネットワーク3を介して、通信可能に接続されている。したがって、自動運転配送車1は、衛星からの電波を受信できない屋内駐車場に駐車している場合でも、ネットワーク3を介してユーザ端末2と通信することができる。
【0042】
ユーザ端末2は、例えば、プロセッサ、メモリ、タッチパネル、及び通信装置等を備えるスマートフォン等から構成され、荷物の受取人(荷受人)となるユーザは、荷物の受け取りにユーザ端末2を使用する。具体的には、ユーザ端末2は、ネットワーク3を介して、自動運転配送車1を認識可能な状態として、複数のパターンの中から自身が選択したパターンを示すパターン情報を自動運転配送車1に送信する。また、ユーザ端末2は、ネットワーク3を介して、受取人の現在位置を示す位置情報を定期的に(又は所定のタイミングで)自動運転配送車1に送信する。なお、ユーザ端末2の構成は、上記の例に特に限定されず、タブレット、携帯型のパーソナルコンピュータ等の他の端末を用いてもよい。
【0043】
自動運転配送車1は、車両内の所定位置に複数のロッカーが配置され、ロッカーに収容された受取人の荷物を配送する自律走行車である。自動運転配送車1は、米SAE Internationalが定めたJ3016の定義によるSAEレベル5の完全自動走行(すべての道路及び環境条件の下における自動運転システムによる全ての動的運転タスクの実施)を行い、無人の状態で荷物を配達する。なお、自動運転配送車1における荷物の収容構成は、上記のロッカーの構成に特に限定されず、種々の変更が可能である。
【0044】
自動運転配送車1は、荷物の受け渡し場所として、例として駐車場を利用し、駐車場でユーザとの待ち合わせを行う。なお、待ち合わせ場所は、駐車場以外の路上や私有地等でもよい。また、駐車場としては、種々の駐車場を用いることができ、例えば、複数の駐車領域が明確に区画された駐車場、駐車領域が明確に区画されていない駐車場等が該当し、GPSを使用することができず、自動運転配送車1の位置情報を取得できない室内駐車場であってもよい。
【0045】
本実施の形態では、待ち合わせ対象となる自動運転配送車1を特定するため、受取人は、ユーザ端末2を用いて事前に自動運転配送車1を認識するためのパターン(自動運転配送車1の状態)を示すパターン情報を送信する。自動運転配送車1は、ネットワーク3を介して、ユーザ端末2からパターン情報を受信する。パターン情報が示すパターンとして、例えば、照明を所定の周期で点滅させること、照明の発光色を変化させること、所定の音や音楽を鳴らすこと、自動運転配送車1が自動で前後に動くこと、自動運転配送車1が電波を発信して電波強度の変化をユーザ端末2で検知すること、自動運転配送車1のドアを開ける、または開閉すること、自動運転配送車1の側面のディスプレイの表示を変更すること、プロジェクションマッピングにより自動運転配送車1が認識可能になること、自動運転配送車1のウインカーが点滅状態になること等が該当する。パターン情報は照明だけを利用するような単一の方法でもよいし、照明に加え音や自動運転配送車1の動きといった複数の情報を組合せてもよい。
【0046】
自動運転配送車1は、受取人のユーザ端末2から定期的に発信される、ユーザ端末2の現在位置を示す位置情報を受信する。自動運転配送車1は、ユーザ端末2の位置情報と自身の位置(駐車場の位置)との距離が一定値以下になり、且つ受け取り予定時刻(待ち合わせ時刻)から所定時間以内になった場合、ユーザ端末2から送信されたパターン情報が示すパターンを実行し、自動運転配送車1の位置を受取人に通知する。したがって、自動運転配送車1の位置情報が取れない屋内駐車場等の待ち合わせ場所でも、受取人が迷わず自動運転配送車1と確実に落ち合うことができる。
【0047】
その後、受取人が自動運転配送車1を判別できた場合、自動運転配送車1は、受取人からの停止指示に応じてパターン実行を停止する。例えば、受取人がユーザ端末2の停止ボタンを押して自動運転配送車1に送信したり、自動運転配送車1とユーザ端末2とがNFC(Near Field Communication)により認証したり、受取人が自動運転配送車1に搭載された停止ボタンを押したりする等により、受取人が自動運転配送車1を判別できたことを通知することができる。
【0048】
自動運転配送車1は、通信部11、通知方式選択部12、時刻管理部13、ライト14、スピーカ15、移動制御部16、及び電波発信部17を備える。ユーザ端末2は、通信部21、表示操作部22、パターン記憶部23、位置取得部24、及び電波受信部25を備える。例えば、通信部11、通知方式選択部12、時刻管理部13、及び移動制御部16から、ユーザとの待ち合わせを行う自動運転配送車1の状態を制御する制御装置が構成される。
【0049】
ユーザ端末2のパターン記憶部23は、ユーザが自動運転配送車1を認識可能な状態として、例えば、4つの第1~第4パターンを予め記憶している。本実施の形態では、例えば、第1パターンとして、自動運転配送車1のライト14が所定の点灯状態になることが記憶され、第2パターンとして、自動運転配送車1のスピーカ15が所定の音又は音楽を発生することが記憶され、第3パターンとして、自動運転配送車1が所定の距離だけ前後に移動することが記憶され、第4パターンとして、自動運転配送車1がユーザ端末2により受信可能な所定の電波を発生することが記憶されている。なお、パターンの数及び内容は、上記の例に特に限定されず、1つ、2つ、3つ、又は5つ以上のパターンを用いたり、自動運転配送車1の他の状態を用いたりしてもよい。
【0050】
表示操作部22は、タッチパネル、プロセッサ等から構成され、受取人の種々の操作入力を受け付け、受取人に種々の操作画面等を表示する。具体的には、受取人が表示操作部22を操作して、自動運転配送車1との待ち合わせ場所となる駐車場の位置を示す駐車場情報と、待ち合わせ時刻を示す待ち合わせ時刻情報とを入力すると、表示操作部22は、駐車場情報及び待ち合わせ時刻情報の入力を受け付け、駐車場情報及び待ち合わせ時刻情報を通信部21に出力する。
【0051】
また、受取人が表示操作部22を操作してパターン選択画面の表示を要求すると、表示操作部22は、パターン記憶部23から第1~第4パターンを読み出し、第1~第4パターンを選択可能な状態で表示する。受取人が第1~第4パターンの中から一つのパターンを選択すると、表示操作部22は、受取人が指定したパターンを示すパターン情報を通信部21に出力する。なお、受取人が選択するパターンの数は、上記の例に特に限定されず、受取人が複数のパターンを選択した場合は、自動運転配送車1は複数のパターンの状態を同時に実行するようにしてもよい。通信部21は、駐車場情報、待ち合わせ時刻情報、及びパターン情報を自動運転配送車1に送信する。なお、駐車場情報及び待ち合わせ時刻情報の取得方法は、上記の例に特に限定されず、荷物の配送を管理する配送管理サーバ等から駐車場情報及び待ち合わせ時刻情報を自動運転配送車1及びユーザ端末2に送信する等の種々の変更が可能である。また、配送管理サーバ等のクラウドサーバが、通信部11、通知方式選択部12、時刻管理部13等を備え、状態制御装置として機能するようにしてもよい。
【0052】
位置取得部24は、GPS(Global Positioning System)機能を有し、例えば、ユーザ端末2すなわち受取人の現在位置を示す位置情報として、緯度情報及び経度情報を取得し、取得した位置情報を通信部21に出力する。通信部21は、パターン情報を送信した後、受取人の現在位置を示す位置情報を自動運転配送車1に定期的に送信する。
【0053】
自動運転配送車1の通信部11は、ユーザ端末2から駐車場情報、待ち合わせ時刻情報、パターン情報、及び位置情報を受信して通知方式選択部12に出力する。通知方式選択部12は、待ち合わせ時刻情報を時刻管理部13に出力する。時刻管理部13は、内部時計等を有し、現在時刻が待ち合わせ時刻情報により示される待ち合わせ時刻から所定時間以内(例えば、5分以内)になったか否かを判断する。時刻管理部13は、現在時刻が待ち合わせ時刻から所定時間以内になった場合、現在時刻が待ち合わせ時刻から所定時間以内になったことを通知方式選択部12に通知する。
【0054】
通知方式選択部12は、駐車場情報を移動制御部16に出力する。移動制御部16は、自動運転配送車1のエンジン、ハンドル、アクセル、ブレーキ等(図示省略)を含む自動運転配送車1の駆動系部品を制御する。移動制御部16は、駐車場情報が示す駐車場まで自動運転で自動運転配送車1を走行させた後、受取人が荷物を受け取るまで自動運転配送車1を駐車場に駐車させて待機させる。
【0055】
通知方式選択部12は、自動運転配送車1が駐車場に駐車して待機しているとき、位置情報及び駐車場情報を用いて、位置情報が示すユーザの位置と駐車場情報が示す駐車場の位置との間の距離、すなわち自動運転配送車1から受取人までの距離を算出する。通知方式選択部12は、所定のパターンを実行するパターン実行距離として、所定の閾値(例えば、20m)を予め記憶しており、自動運転配送車1から受取人までの距離が所定の閾値以下、つまり、パターン実行距離以下になったか否かを判断する。GPSを使用することができない室内駐車場の場合、自動運転配送車1の位置が駐車場全体の位置と等しいとみなし、駐車場から受取人までの距離を算出し、パターン実行距離以下になったか否かを判断してもよく、また、受取人の位置情報が取得できなくなった場合には、最後に取得した受取人の位置情報を利用して、自動運転配送車1から受取人までの距離を算出してもよい。
【0056】
ライト14は、例えば、前照灯から構成され、通知方式選択部12は、ライト14の点灯状態(所定周期の点滅状態、所定の表示色の点灯状態等)を制御する。なお、ライト14は、上記の例に特に限定されず、方向指示灯、前部霧灯、尾灯等の他のライトを用いたり、複数のライトを同時に制御したりするようにしてもよい。
【0057】
スピーカ15は、自動運転配送車1の外部に音を発生する外部スピーカ等から構成され、通知方式選択部12は、スピーカ15の音の発生状態を制御する。なお、スピーカ15は、上記の例に特に限定されず、車両内部に音を発生する内部スピーカ等の他のスピーカを用いてもよい。
【0058】
移動制御部16は、通知方式選択部12からの第3パターンの実行指示に応じて、自動運転配送車1を所定の距離だけ(例えば、2~5cm)前後に移動させる。前後に移動させることは、手動運転では難しいが、自動運転ゆえに可能となるパターンである。
【0059】
電波発信部17は、通知方式選択部12からの第4パターンの実行指示に応じて、所定の電波、例えば、Bluetooth(登録商標)規格の電波を発生させる。ユーザ端末2の電波受信部25は、電波発信部17からの電波を受信し、受信した電波の強度の変化を検知する。電波受信部25は、電波の強度が所定値以上になったとき、自動運転配送車1がユーザ端末2に近接していること(例えば、自動運転配送車1とユーザ端末2との間の距離が3m以下であること)を表示操作部22に通知する。表示操作部22は、自動運転配送車1がユーザ端末2に近接していることを示す通知を受けた場合、自動運転配送車1がユーザ端末2に近接していることを示す画面を表示し、受取人に近接している車両が自動運転配送車1であることを受取人に知らせる。
【0060】
なお、電波受信部25の電波の検出処理は、上記の例に特に限定されず、種々の変更が可能であり、例えば、電波受信部25は、電波強度から自動運転配送車1とユーザ端末2との間の距離を検出し、表示操作部22は、ユーザ端末2から自動運転配送車1までの距離を表示するようにしてもよい。また、電波発信部17が発生する電波は、上記の例に特に限定されず、電波受信部25の電波強度の変化を検知できれば、Wi-Fi(登録商標)等の他の電波を用いてもよい。
【0061】
通知方式選択部12は、自動運転配送車1から受取人までの距離がパターン実行距離以下になり、且つ現在時刻が待ち合わせ時刻から所定時間以内になった場合、現在の(第1の)状態(例えば、単に駐車している状態)からパターン情報が示すパターンの状態(第2の状態)に自動運転配送車1の状態を変化させる。なお、自動運転配送車1の状態を変化させる条件は、上記の例に特に限定されず、種々の変更が可能であり、例えば、自動運転配送車1から受取人までの距離がパターン実行距離以下になった場合に、第1の状態からパターン情報が示すパターンの状態(第2の状態)に自動運転配送車1の状態を変化させるようにしてもよい。同様に、自動運転配送車1から受取人までの距離がパターン実行距離以下になった場合に、第1の状態から受取人が指定したパターン情報が示すパターンの状態(第3の状態)に自動運転配送車1の状態を変化してもよい。また、上記のように状態を変化する構成を変化部とし、例えば、ライト14、スピーカ15、移動制御部16、電波発信部17のうち少なくとも一つを含む。
【0062】
具体的には、パターン情報が第1パターンを示す場合、通知方式選択部12は、ライト14を消灯している状態から所定の点灯状態に変化させる。パターン情報が第2パターンを示す場合、通知方式選択部12は、スピーカ15に所定の音又は音楽を発生させる。パターン情報が第3パターンを示す場合、通知方式選択部12は、第3パターンの実行指示を移動制御部16に出力し、移動制御部16は、自動運転配送車1を所定の距離だけ前後に移動する。パターン情報が第4パターンを示す場合、通知方式選択部12は、第4パターンの実行指示を電波発信部17に出力し、電波発信部17は、電波受信部25が受信可能な電波を発生させる。この場合、ユーザ端末2の電波受信部25が受信した電波の強度が所定値以上になったとき、表示操作部22は、自動運転配送車1がユーザ端末2に近接していることを示す画面を表示する。なお、自動運転配送車1がユーザ端末2に近接していることをユーザに通知する方法は、上記の例に特に限定されず、例えば、音声等を用いてもよい。
【0063】
上記のように、所定のパターンを自動運転配送車1が実行するので、受取人は、駐車場の中から自動運転配送車1を容易に認識することができる。受取人は、自動運転配送車1を判別できた場合、ユーザ端末2の表示操作部22を操作して、パターン実行の停止指示を入力する。表示操作部22は、通信部21を用いて、受取人が自動運転配送車1を認識したことを示す通知として、パターン実行の停止指示を自動運転配送車1に送信する。
【0064】
自動運転配送車1の通信部11は、パターン実行の停止指示を受信して通知方式選択部12に出力する。通知方式選択部12は、パターン実行の停止指示を入力されると、受取人が自動運転配送車1を判別できたと判断し、受取人からのパターン実行の停止指示に応じてパターン実行を停止し、自動運転配送車1の状態を元の状態(第1の状態)に復帰させる。
【0065】
次に、上記のように構成された自動運転配送車1の状態制御処理について説明する。図2は、図1に示す自動運転配送車1による状態制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0066】
まず、受取人が指定したパターンを示すパターン情報が、駐車場情報及び待ち合わせ時刻情報とともに、ユーザ端末2の通信部21から送信されると、自動運転配送車1の通信部11は、駐車場情報及び待ち合わせ時刻情報とともに、パターン情報を受信して通知方式選択部12に出力する(ステップS11)。ここで、通知方式選択部12は、待ち合わせ時刻情報を時刻管理部13に出力し、駐車場情報を移動制御部16に出力する。移動制御部16は、駐車場情報が示す駐車場まで自動運転で自動運転配送車1を走行させ、受取人が荷物を受け取るまで駐車場に駐車させて待機させる。
【0067】
次に、通信部11は、ユーザ端末2から定期的に送信される、受取人の現在位置を示す位置情報を受信して通知方式選択部12に出力する(ステップS12)。
【0068】
次に、通知方式選択部12は、自動運転配送車1が駐車場に駐車して待機しているとき、位置情報及び駐車場情報を用いて、自動運転配送車1から受取人までの距離を算出し、自動運転配送車1から受取人までの距離がパターン実行距離以下になったか否かを判断する(ステップS13)。自動運転配送車1から受取人までの距離がパターン実行距離以下でない場合(ステップS13でNO)、ステップS12に戻って以降の処理を継続し、一方、自動運転配送車1から受取人までの距離がパターン実行距離以下になった場合(ステップS13でYES)、ステップS14に処理を移行する。
【0069】
自動運転配送車1から受取人までの距離がパターン実行距離以下になった場合(ステップS13でYES)、時刻管理部13は、現在時刻が待ち合わせ時刻情報により示される待ち合わせ時刻から所定時間以内になったか否かを判断する(ステップS14)。現在時刻が待ち合わせ時刻から所定時間以内でない場合(ステップS14でNO)、ステップS14の処理を継続し、一方、現在時刻が待ち合わせ時刻から所定時間以内になった場合(ステップS14でYES)、ステップS15に処理を移行する。
【0070】
現在時刻が待ち合わせ時刻から所定時間以内になった場合(ステップS14でYES)、時刻管理部13は、現在時刻が待ち合わせ時刻から所定時間以内になったことを通知方式選択部12に通知し、通知方式選択部12は、現在の状態からパターン情報により指定されたパターンの状態に自動運転配送車1の状態を変化させる(ステップS15)。
【0071】
具体的には、パターン情報が第1パターンを示す場合、通知方式選択部12は、ライト14を消灯している状態から所定の点灯状態に変化させる。パターン情報が第2パターンを示す場合、通知方式選択部12は、スピーカ15に所定の音又は音楽を発生させる。パターン情報が第3パターンを示す場合、通知方式選択部12は、移動制御部16によって自動運転配送車1を所定の距離だけ前後に移動させる。パターン情報が第4パターンを示す場合、通知方式選択部12は、電波発信部17から電波受信部25が受信可能な電波を発生させる。このように、受取人が指定したパターンを自動運転配送車1が実行するので、受取人は、駐車場の中から自動運転配送車1を容易に認識することができる。このとき、ユーザがパターンを指定することで、各ユーザの好みに応じたパターンを選択することができ、様々なユーザと自律走行車との待ち合わせをより容易にすることができる。
【0072】
次に、通知方式選択部12は、通信部11がパターン実行の停止指示を受信したか否かを判断する(ステップS16)。通信部11がパターン実行の停止指示を受信していない場合(ステップS16でNO)、ステップS16の処理を継続し、一方、受取人がユーザ端末2を用いてパターン実行の停止指示を入力し、通信部11がパターン実行の停止指示を受信した場合(ステップS16でYES)、ステップS17に処理を移行する。
【0073】
通信部11がパターン実行の停止指示を受信した場合(ステップS16でYES)、通知方式選択部12は、受取人が自動運転配送車1を判別できたと判断し、受取人からのパターン実行の停止指示に応じてパターン実行を停止し、処理を終了する(ステップS17)。
【0074】
上記の処理により、本実施の形態では、受取人の現在位置を示す位置情報を受信し、受信した位置情報を基に、自動運転配送車1から受取人までの距離を算出し、算出した受取人までの距離がパターン実行距離以下となり、且つ現在時刻が待ち合わせ時刻から所定時間以内になった場合に、自動運転配送車1の状態を、単に駐車している状態から受取人が指定した状態に変化させている。したがって、自動運転配送車1の位置情報を取得できない駐車場で受取人と待ち合わせる場合でも、受取人の現在位置を取得して自動運転配送車1から受取人までの距離を特定することができるとともに、受取人が自動運転配送車1に接近したとき、自動運転配送車1の状態を受取人が指定した状態に変化させることができる。この結果、無人の自動運転配送車1と受取人とが待ち合わせを行う場合に、受取人が無人の自動運転配送車1を容易に特定することができ、受取人が迷うことなく無人の自動運転配送車1と確実に落ち合うことができる。
【0075】
なお、自動運転配送車1の自動運転レベルは、上記の例に特に限定されず、SAEレベルの異なる自動走行車を用いてもよく、また、待ち合わせ場所は、駐車場以外の路上、私有地、充電スポットでもよい。また、本開示の自律走行車は、上記の自動運転配送車1に特に限定されず、自動運転によりユーザを輸送する自動運転輸送車であってもよい。この場合、自動運転輸送車は、駐車場でユーザとの待ち合わせを行い、駐車場で乗車したユーザをユーザが所望する場所へ輸送する。また、本開示の構成を有する装置を車に搭載したり、本開示の構成を有するプログラムを車にダウンロードしてもよい。これらの点については後述する他の実施の形態も同様である。
【0076】
(実施の形態2)
図3は、本開示の実施の形態2における車両位置通知システムの構成の一例を示すブロック図である。図3に示す車両位置通知システムは、自動運転配送車1a、及びユーザ端末2aを備える。図3に示す車両位置通知システムが図1に示す車両位置通知システムと異なる点は、自動運転配送車1aに周辺環境検出部18及びパターン記憶部19が追加され、ユーザ端末2aにおいてパターン記憶部23が省略された点であり、その他の点は同様であるので、同一部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。例えば、通信部11、通知方式選択部12、時刻管理部13、移動制御部16、周辺環境検出部18、及びパターン記憶部19から、ユーザとの待ち合わせを行う自動運転配送車1aの状態を制御する制御装置が構成される。
【0077】
本実施の形態では、ユーザ端末2aからパターン情報を送信することなく、自動運転配送車1aは、複数のパターンの中から周辺環境に適したパターンを選択し、選択したパターンを実行することにより、自動運転配送車1aの位置を受取人に通知する。例えば、自動運転配送車1aは、周辺が暗ければライト14を用いたパターンを優先し、周辺が静かであればスピーカ15を用いたパターンを優先し、周辺に車両が密集していなければ移動制御部16を用いたパターンを優先し、昼間で周辺に車両が密集していれば電波発信部17を用いたパターンを優先する。
【0078】
具体的には、ユーザ端末2aの表示操作部22は、受取人からの駐車場情報及び待ち合わせ時刻情報の入力を受け付け、駐車場情報及び待ち合わせ時刻情報を通信部21に出力する。位置取得部24は、ユーザ端末2aすなわち受取人の現在位置を示す位置情報を通信部21に出力し、通信部21は、受取人の現在位置を示す位置情報を自動運転配送車1aに定期的に送信する。
【0079】
自動運転配送車1aの通信部11は、ユーザ端末2から駐車場情報、待ち合わせ時刻情報、及び位置情報を受信して通知方式選択部12に出力する。通知方式選択部12は、待ち合わせ時刻情報を時刻管理部13に出力する。時刻管理部13は、現在時刻が待ち合わせ時刻情報により示される待ち合わせ時刻から所定時間以内になったか否かを判断する。時刻管理部13は、現在時刻が待ち合わせ時刻から所定時間以内になった場合、現在時刻が待ち合わせ時刻から所定時間以内になったことを通知方式選択部12に通知する。
【0080】
通知方式選択部12は、駐車場情報を移動制御部16に出力する。移動制御部16は、駐車場情報が示す駐車場まで自動運転で自動運転配送車1aを走行させ、受取人が荷物を受け取るまで駐車場に駐車させて待機させる。
【0081】
通知方式選択部12は、自動運転配送車1aが駐車場に駐車して待機しているとき、位置情報及び駐車場情報を用いて、自動運転配送車1aから受取人までの距離を算出する。通知方式選択部12は、自身が選択したパターンを実行するパターン実行距離として、所定の閾値(例えば、20m)を予め記憶しており、自動運転配送車1aから受取人までの距離がパターン実行距離以下になったか否かを判断する。
【0082】
周辺環境検出部18は、自動運転配送車1aの周辺環境を検出する。周辺環境検出部18は、例えば、照度センサ、集音器、及び撮像センサ等を備え、照度センサにより自動運転配送車1aの周辺の明るさを検出し、集音器により自動運転配送車1aの周辺の音を検出し、撮像センサにより撮影した自動運転配送車1aの周辺の画像から周辺の他の車両の密集状態を検出し、これらの検出結果を通知方式選択部12に出力する。
【0083】
パターン記憶部19は、自動運転配送車1aが選択可能な状態として、複数のパターン(第4の状態)、例えば、4つの第1~第4パターンを予め記憶している。本実施の形態では、例えば、第1パターンとして、自動運転配送車1aのライト14が所定の点灯状態になることが記憶され、第2パターンとして、自動運転配送車1aのスピーカ15が所定の音又は音楽を発生することが記憶され、第3パターンとして、自動運転配送車1aが所定の距離だけ前後に移動することが記憶され、第4パターンとして、自動運転配送車1aがユーザ端末2aにより受信可能な所定の電波を発生することが記憶されている。なお、パターンの数及び内容は、上記の例に特に限定されず、2つ、3つ、又は5つ以上のパターンを用いたり、自動運転配送車1aの他の状態を用いたりしてもよい。
【0084】
通知方式選択部12は、自動運転配送車1aから受取人までの距離がパターン実行距離以下になり、且つ現在時刻が待ち合わせ時刻から所定時間以内になった場合、周辺環境検出部18の検出結果すなわち周辺環境に応じて、パターン記憶部19の第1~第4パターンの中から一つのパターンを選択し、現在の状態(例えば、単に駐車している状態)から周辺環境に適したパターンの状態(第5の状態)に自動運転配送車1aの状態を変化させる。
【0085】
なお、自動運転配送車1aの状態を変化させる条件は、上記の例に特に限定されず、種々の変更が可能であり、自動運転配送車1aから受取人までの距離がパターン実行距離以下になった場合に、現在の状態から通知方式選択部12が選択したパターンの状態に自動運転配送車1aの状態を変化させるようにしてもよい。また、通知方式選択部12が選択するパターンの数は、上記の例に特に限定されず、通知方式選択部12が周辺環境に適した複数のパターンを選択した場合は、自動運転配送車1aは複数のパターンの状態を同時に実行するようにしてもよい。
【0086】
具体的には、周辺環境検出部18の検出結果が、周辺の明るさが所定の明るさより暗いこと(例えば、夕方又は夜間であること)を示す場合、通知方式選択部12は、パターン記憶部19から第1パターンを読み出し、ライト14を消灯している状態から所定の点灯状態に変化させる。周辺環境検出部18の検出結果が、周辺の音量が所定の音量より小さいこと(例えば、50dB以下の静かな状態であること)を示す場合、通知方式選択部12は、パターン記憶部19から第2パターンを読み出し、スピーカ15に所定の音又は音楽(例えば、60dB以下の音)を発生させる。周辺環境検出部18の検出結果が、周辺の他車両が所定台数(例えば、3台)以上密集していないことを示す場合、通知方式選択部12は、パターン記憶部19から第3パターンを読み出して、第3パターンの実行指示を移動制御部16に出力し、移動制御部16は、自動運転配送車1aを所定の距離だけ前後に移動する。周辺環境検出部18の検出結果が、周辺の明るさが所定の明るさより明るく、昼間であることを示し、且つ周辺の他車両が所定台数(例えば、5台)以上密集していることを示す場合、通知方式選択部12は、パターン記憶部19から第4パターンを読み出して、第4パターンの実行指示を電波発信部17に出力し、電波発信部17は、電波受信部25が受信可能な電波を発生させる。この場合、ユーザ端末2の電波受信部25が受信した電波の強度が所定値以上になったとき、表示操作部22は、自動運転配送車1aがユーザ端末2aに近接していることを示す画面を表示する。
【0087】
なお、通知方式選択部12は、周囲の状況によって、ライト14、スピーカ15、移動制御部16、電波発信部17等の報知手段を切り替えるようにしてもよい。すなわち、通知方式選択部12は、周辺環境に応じて、上記の第5の状態から第5の状態と報知手段の異なる第6の状態を選択し、自動運転配送車1aを現在の状態(第1の状態)から第6の状態に変化させるようにしてもよい。例えば、周辺が明るい場所である場合、ライト14を用いたパターンを、スピーカ15を用いたパターンに切り替えたり、周辺がうるさい場所である場合、スピーカ15を用いたパターンを、ライト14を用いたパターンに切り替えたりしてもよい。
【0088】
具体的には、周辺環境検出部18は、周辺環境データをセンサにより認識する。ここで、周辺環境データとは、周囲の障害物位置、明るさ、騒音レベルなどの情報を指す。
【0089】
通知方式選択部12は、周辺環境データを基に、各報知手段の有効度を計算する。例えば、通知方式選択部12は、障害物位置の情報から、自車両がユーザに見える範囲(距離情報)を推定する。また、通知方式選択部12は、明るさの情報から、自車両の持つライト14の明るさレベルとの差分値(ルクス)を計算する。また、通知方式選択部12は、騒音レベルの情報から、自車両のスピーカ15で発生させうる音量レベルとの差分値(dB)を計算する。
【0090】
上記のようにして計算した各数値の単位が異なるため、通知方式選択部12は、計算した各数値を事前に設計したユーザの気づきやすさという共通の値に変換し、各情報がユーザにどの程度気づきやすいかを比較し、ユーザが気づきやすい報知手段を選択する。この場合、周辺環境に応じて、第5の状態から第5の状態と報知手段の異なる第6の状態を選択し、自動運転配送車1aを第1の状態から第6の状態に変化させるので、自動運転配送車1aの状態を、周囲の状況に適した報知手段による状態に切り替えることができる。
【0091】
上記のように、周辺環境に適したパターンを自動運転配送車1aが実行するので、受取人は、駐車場の中から自動運転配送車1aを容易に認識することができる。受取人は、自動運転配送車1aを判別できた場合、ユーザ端末2aの表示操作部22を操作して、パターン実行の停止指示を入力する。表示操作部22は、通信部21を用いて、パターン実行の停止指示を自動運転配送車1aに送信する。
【0092】
自動運転配送車1aの通信部11は、パターン実行の停止指示を受信して通知方式選択部12に出力する。通知方式選択部12は、パターン実行の停止指示を入力されると、受取人が自動運転配送車1aを判別できたと判断し、受取人からのパターン実行の停止指示に応じてパターン実行を停止し、自動運転配送車1aの状態を元の状態に復帰させる。
【0093】
次に、上記のように構成された自動運転配送車1aの状態制御処理について説明する。図4は、図3に示す自動運転配送車1aによる状態制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0094】
まず、駐車場情報及び待ち合わせ時刻情報がユーザ端末2aの通信部21から送信されると、自動運転配送車1aの通信部11は、駐車場情報及び待ち合わせ時刻情報を受信して通知方式選択部12に出力する(ステップS21)。ここで、通知方式選択部12は、待ち合わせ時刻情報を時刻管理部13に出力し、駐車場情報を移動制御部16に出力する。移動制御部16は、駐車場情報が示す駐車場まで自動運転で自動運転配送車1aを走行させ、受取人が荷物を受け取るまで駐車場に駐車させて待機させる。
【0095】
次に、ステップS12~ステップS14において、図2に示すステップS12~ステップS14と同様の処理が実行され、現在時刻が待ち合わせ時刻から所定時間以内になった場合(ステップS14でYES)、ステップS22に処理を移行する。
【0096】
現在時刻が待ち合わせ時刻から所定時間以内になった場合(ステップS14でYES)、時刻管理部13は、現在時刻が待ち合わせ時刻から所定時間以内になったことを通知方式選択部12に通知し、通知方式選択部12は、周辺環境検出部18に周辺環境の検出を指示し、周辺環境検出部18は、自動運転配送車1aの周辺環境を検出して検出結果を通知方式選択部12に出力する(ステップS22)。
【0097】
次に、通知方式選択部12は、周辺環境検出部18の検出結果に応じて、パターン記憶部19の第1~第4パターンの中から一つのパターンを選択し、現在の状態から周辺環境に適したパターンの状態に自動運転配送車1aの状態を変化させる(ステップS23)。
【0098】
具体的には、周辺の明るさが所定の明るさより暗い場合、通知方式選択部12は、パターン記憶部19から第1パターンを読み出してライト14を消灯している状態から所定の点灯状態に変化させる。周辺の音量が所定の音量より小さい場合、通知方式選択部12は、パターン記憶部19から第2パターンを読み出してスピーカ15に所定の音又は音楽を発生させる。周辺の他車両が所定台数以上密集していない場合、通知方式選択部12は、パターン記憶部19から第3パターンを読み出して移動制御部16によって自動運転配送車1aを所定の距離だけ前後に移動させる。周辺の明るさが所定の明るさより明るく、且つ周辺の他車両が所定台数以上密集している場合、通知方式選択部12は、パターン記憶部19から第4パターンを読み出して電波発信部17から電波受信部25が受信可能な電波を発生させる。このように、周辺環境に応じて受取人が認識しやすいパターンを自動運転配送車1aが実行するので、受取人は、駐車場の中から自動運転配送車1aを容易に認識することができる。
【0099】
次に、ステップS16~ステップS17において、図2に示すステップS16~ステップS17と同様の処理が実行され、通知方式選択部12は、受取人からのパターン実行の停止指示に応じてパターン実行を停止し、処理を終了する。
【0100】
上記の処理により、本実施の形態では、受取人の現在位置を示す位置情報を受信し、受信した位置情報を基に、自動運転配送車1aから受取人までの距離を算出し、算出した受取人までの距離がパターン実行距離以下となり、且つ現在時刻が受取人との待ち合わせ時刻から所定時間以内になった場合に、自動運転配送車1aの周辺環境を検出し、検出した周辺環境に応じて第1~第4パターンの中から周辺環境に適したパターンを選択し、自動運転配送車1aの状態を、単に駐車している状態から周辺環境に適した状態に変化させている。したがって、自動運転配送車1aの位置情報を取得できない駐車場で受取人と待ち合わせる場合でも、受取人の現在位置を取得して自動運転配送車1aから受取人までの距離を特定することができるとともに、受取人が自動運転配送車1aに接近したとき、自動運転配送車1aの状態を周辺環境に適した状態に変化させることができる。この結果、無人の自動運転配送車1aと受取人とが待ち合わせを行う場合に、受取人が無人の自動運転配送車1aを容易に特定することができ、受取人が迷うことなく無人の自動運転配送車1aと確実に落ち合うことができる。
【0101】
なお、本実施の形態では、ユーザ端末2aからパターン情報を送信することなく、自動運転配送車1aが周辺環境に適したパターンを選択したが、この例に特に限定されず、ユーザが指定した複数のパターンを示す複数のパターン情報をユーザ端末から送信し、自動運転配送車が複数のパターンの中から周辺環境に適したパターンを選択する等の種々の変更が可能である。
【0102】
また、位置取得部24は、GPSに限らず、無線LAN(Local Area Network)、可視光通信、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)/iBeacon(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)、IMES(Indoor Messaging System)、音波、慣性等を用いて位置情報を取得してもよい。
【0103】
(実施の形態3)
図5は、本開示の実施の形態3における車両位置通知システムの構成の一例を示すブロック図である。図5に示す車両位置通知システムは、自動運転配送車1b、及びユーザ端末2を備える。図5に示す車両位置通知システムが図1に示す車両位置通知システムと異なる点は、自動運転配送車1bに周辺環境検出部18及び人物情報管理部31が追加された点であり、その他の点は同様であるので、同一部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。例えば、通信部11、通知方式選択部12、時刻管理部13、移動制御部16、周辺環境検出部18、及び人物情報管理部31から、ユーザとの待ち合わせを行う自動運転配送車1bの状態を制御する制御装置が構成される。
【0104】
本実施の形態では、自動運転配送車1bは、ユーザ端末2でなく、ユーザ自身を検知し、ユーザが分かるように自動運転配送車1bの状態を変化させる。すなわち、本実施の形態では、自動運転配送車1bに搭載した周辺環境検出部18で取得した周辺人物情報から、事前に登録した人物情報と同一かどうかを判定する。この判定には、画像認識、点群による認識、車を探している挙動を認識するなどの種々の方法を用いることができる。自動運転配送車1bが同一の人物だと判定した場合、これまでに開示した通知方法に基づいて、ユーザに対して自動運転配送車1bの車両位置を物理的に通知する。
【0105】
具体的には、周辺環境検出部18は、レーザセンサ、カメラ等から構成され、自動運転配送車1bの周辺に位置する人物を示す周辺人物情報を取得する。人物情報管理部31は、人物情報を管理しており、周辺人物情報と事前に登録されている人物情報とが一致するか否かを判定する。通知方式選択部12は、人物情報管理部31が周辺人物情報と事前に登録されている人物情報とが一致すると判定した場合に、自動運転配送車1bを現在の状態(第1の状態)からユーザが自動運転配送車1bを認識可能な状態(第2の状態)に変化させる。
【0106】
次に、上記のように構成された自動運転配送車1bの状態制御処理について説明する。図6は、図5に示す自動運転配送車1bによる状態制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0107】
まず、ステップS11において、図2に示すステップS11と同様の処理が実行され、次に、周辺環境検出部18は、自動運転配送車1bの周辺に位置する人物を示す周辺人物情報を取得する(ステップS31)。
【0108】
次に、人物情報管理部31は、周辺環境検出部18が取得した周辺人物情報と、事前に登録されている人物情報とが一致するか否かを判断する(ステップS32)。周辺人物情報と事前に登録されている人物情報とが一致しない場合(ステップS32でNO)、ステップS31に戻って以降の処理を継続する。
【0109】
一方、周辺人物情報と事前に登録されている人物情報とが一致する場合(ステップS32でYES)、ステップS14に処理を移行し、ステップS14~ステップS17において、図2に示すステップS14~ステップS17と同様の処理が実行され、通知方式選択部12は、受取人からのパターン実行の停止指示に応じてパターン実行を停止し、処理を終了する。
【0110】
上記の処理により、本実施の形態では、周辺人物情報を取得し、取得した周辺人物情報と事前に登録されている人物情報とが一致するか否かを判定し、周辺人物情報と事前に登録されている人物情報とが一致していると判定した場合に、自動運転配送車1bを第1の状態から第2の状態に変化させるので、ユーザが事前に登録されている人物である場合に、当該ユーザが自動運転配送車1bを容易に特定することができ、当該ユーザが迷うことなく自動運転配送車1bと確実に落ち合うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本開示に係る制御装置及び制御方法は、自律走行車とユーザとが待ち合わせを行う場合に、ユーザが自律走行車を容易に特定することができ、ユーザが迷うことなく自律走行車と確実に落ち合うことができるので、ユーザとの待ち合わせを行う自律走行車の状態を制御する制御装置及び制御方法として有用である。
【符号の説明】
【0112】
1、1a 自動運転配送車
2、2a ユーザ端末
11 通信部
12 通知方式選択部
13 時刻管理部
14 ライト
15 スピーカ
16 移動制御部
17 電波発信部
18 周辺環境検出部
19 パターン記憶部
21 通信部
22 表示操作部
23 パターン記憶部
24 位置取得部
25 電波受信部
31 人物情報管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6