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特許7310024車両用組立体、照明ユニット、車両、及び組立体を備えた車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】車両用組立体、照明ユニット、車両、及び組立体を備えた車両
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/24 20060101AFI20230710BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20230710BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230710BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20230710BHJP
   G03B 15/03 20210101ALI20230710BHJP
【FI】
B60Q1/24 B
B60Q1/04 Z
G03B15/00 V
G02B7/02 C
G03B15/03
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022534678
(86)(22)【出願日】2020-11-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-17
(86)【国際出願番号】 EP2020083031
(87)【国際公開番号】W WO2021115767
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】102019134343.7
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522226351
【氏名又は名称】プラスティック オムニウム ライティング システムズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Plastic Omnium Lighting Systems GmbH
【住所又は居所原語表記】Marcel-Breuer-Strasse 6 80807 Munchen (DE)
(73)【特許権者】
【識別番号】523080343
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティブ テクノロジーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(72)【発明者】
【氏名】ピカルト, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ガンマー, クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】クエネケ, ジャン‐エリック
(72)【発明者】
【氏名】ドリンガー, ベンジャミン
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-134982(JP,A)
【文献】特開2019-102207(JP,A)
【文献】国際公開第2020/067113(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/131055(WO,A1)
【文献】特開2009-90844(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0022266(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/24
B60Q 1/04
G03B 15/00
G02B 7/02
G03B 15/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成体であって、光の空間変調器(6)と、前記変調器(6)を介して前記構成体(1)の光路(12)に光を導くことを可能にする光源(14)と、前記光路(12)及び前記変調器(6)を介して光画像を取り込むことができるカメラ(22)とを備え、前記光画像が、前記変調器(6)を介して前記光路から前記カメラ(22)に導かれることが可能であり、前記カメラ(22)によって取り込まれた前記光画像に応じて前記光源(14)及び/又は前記変調器(6)を制御することを可能にする制御手段(30)が設けられる、構成体。
【請求項2】
前記制御手段(30)が、前記カメラ(22)によって取り込まれた前記光画像が解析可能であるように設計された画像処理アルゴリズム(32)を有し、前記光源(14)及び/又は前記変調器(6)が、前記光画像の前記解析に応じて前記制御手段(30)を介して制御される、請求項1に記載の構成体。
【請求項3】
少なくとも1つの画像特性及び/又は画像構造及び/又はコントラスト及び/又はエッジが、前記取り込まれた光画像における解析のために前記画像処理アルゴリズム(32)によって特定され得る、請求項2に記載の構成体。
【請求項4】
前記制御手段(30)が、前記少なくとも1つの取り込まれた画像特性及び/又は前記画像構造及び/又は前記取り込まれたエッジ及び/又は前記取り込まれたコントラストに応じて前記変調器(6)を制御する、請求項3に記載の構成体。
【請求項5】
前記制御手段(30)が、前記構成体の出力側の前記コントラスト及び/又は前記エッジが観測者によってよりはっきりと知覚可能となるように、前記取り込まれたエッジ及び/又は前記取り込まれたコントラストに応じて前記変調器(6)を制御する、請求項3又は4に記載の構成体。
【請求項6】
前記空間変調器(6)が、それぞれが2つのミラー位置の間で傾斜可能であり、且つそれぞれが光ピクセルを形成する複数のミラーを備え、それぞれのミラーの第1のミラー位置において、前記光源(14)からの前記光が前記光路(12)に反射され、第2のミラー位置において、前記光路(12)を介して入射する前記光画像が前記カメラ(22)に導かれる、請求項1~5のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項7】
前記カメラ(22)が、シャインプルーフ構成にある前記カメラ(22)のレンズ(28)を介して、前記変調器(6)を介して前記光画像を取り込むことができるように設計及び配置され、前記変調器(6)が、前記光路(12)の主軸(20)に対して垂直に配置される反射面(10)を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項8】
前記カメラ(22)が、前記変調器(6)の1つ若しくは複数の光ピクセルにそれぞれ割り当てられるか又は前記変調器(6)の1つ若しくは複数の光ピクセルがそれぞれに割り当てられる画像ピクセルを備えたイメージセンサ(24)を備える、請求項6又は7に記載の構成体。
【請求項9】
偏向ミラー(18)が前記光源(14)と前記変調器(6)との間に配置される、及び/又は偏向ミラー(26)が前記変調器(6)と前記カメラ(22)との間に配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の構成体(1)を備える、車両用ランプ。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の構成体を備えるか、又は請求項10に記載のランプを備える、車両。
【請求項12】
前記光源(14)及び/又は前記変調器(6)が、前記カメラ(22)によって取り込まれた前記光画像に応じて前記制御手段(30)によって制御される、請求項1~9のいずれか一項に記載の構成体を用いる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まず、光を放出可能とする車両用構成体に関する。更に、本発明は、車両用ランプに関する。また、このような構成体を備えた車両も提供される。更に、本発明は、構成体を用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
前照灯の形態の車両用ランプを有する車両が、従来技術からよく知られている。日中でも夜間でも、例えば霧、雨、又は他の自然現象に起因して、車両の運転者にとっての視認性が悪くなることがある。このような場合には、前照灯の輝度を上げることが想定される。しかしながら、前照灯の輝度を上げても、視認性の向上には事実上つながらないことが分かっている。加えて、法的規制を順守しなければならず、そのために前照灯の最大輝度は特定の輝度しか許されていない。また、光の色を適合させること、そして例えば、黄色光を使用したりフォグランプを使用したりすることも知られている。このことは、運転者などの眩しさの改善につながる。
【0003】
車両窓を備えた車両が、独国特許出願公開第102017219092A1号明細書から知られている。車両窓を介して車内のカメラが光画像を記録し得る。カメラの視野内にある車両窓の一部分が電気的に制御され得る。このようにして、光透過率に影響を与える部分の光学特性が設定され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対照的に、本発明は、視認性、特に車両運転者にとっての視認性を費用効率良く且つ簡素に改善する車両用構成体、ランプ、車両、及び方法を作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
構成体に関する目的は請求項1に記載の特徴にしたがって達成され、ランプに関する目的は請求項10に記載の特徴にしたがって達成され、車両に関する目的は請求項11に記載の特徴にしたがって達成され、方法に関する目的は請求項12に記載の特徴にしたがって達成される。
【0006】
特に有利な構成は、従属請求項において見出すことができる。
【0007】
本発明によれば、特に車両又は車両用ランプのための構成体が提供され、構成体は、光の空間変調器を備える。更に、構成体は、有利には、光を放出可能とする光源、特に、変調器を介して構成体の光路に光を導くことを可能とする光源を備える。このように、光源によって放出され得る光は、変調器を介して狙い通りに光出力に導かれ得る、又は偏向され得る。光源からの光は、変調器を介して作用を受け得る、且つ/又は制御され得る。更に、構成体は、有利には、光路及び変調器を介して光画像又はカメラ画像又は光を取り込むことができるカメラを備える。特に、変調器は、光路を介して入射した光画像をカメラに導く若しくは偏向させる、又は狙い通りに導く若しくは偏向させることができる。このことは、例えば、光路を通った光を変調器に導き、そして変調器を介してカメラに導くことによって行われる。より好ましくは、カメラを介して取り込まれた光画像に応じて光源及び/又は変調器を制御可能とする制御手段又は制御ユニットが設けられ得る。
【0008】
本解決策の利点は、光源によって放出され得る光が、構成体の周囲領域に、つまり、周囲領域を撮像しカメラによって取り込むことができる光画像に適合され得るということである。これにより、例えば、カメラからの光画像を介して霧、雨、又は他の自然現象に起因する視界不良を取り込むことができ、例えば構成体を使用する車両の車両運転者にとっての視認性を改善するために、変調器及び/又は光源を適宜制御することができる。従来技術、例えばフォグランプとは対照的に、構成体によって放出され得る光は動的に適合させることができ、フォグランプのように静的ではない。このようにして、簡素な仕方で構成体の周囲領域の視認性を改善することができる。更に、構成体は、例えば赤外線及び/又は熱放射に基づくシステムと比べて極めて安価である。加えて、車両には車両運転者のために、赤外線及び/熱放射を介して取り込まれた画像を表示するディスプレイは必要とされない。一方、本発明による構成体では、放出された光は、周囲領域の視認性を向上させるように、取り込まれた光画像に応じて適合される。換言すれば、構成体においてセンサとアクチュエータとを組み合わせることによって、周囲領域の自然な画像を取り込んで、インテリジェントな照明によって強調することができる。
【0009】
本発明の更なる構成では、画像処理アルゴリズム、特にコンピュータ実施画像処理アルゴリズムを有する制御手段が提供され得る。好ましくは、前記アルゴリズムは、カメラによって取り込まれた光画像を解析することができるように構成される。次いで、光源及び/又は変調器は、有利には、光画像の解析に応じて制御手段を介して制御され得る。
【0010】
少なくとも1つの画像特性及び/又は少なくとも1つの画像構造及び/又はエッジ及び/又はコントラストが、有利には、カメラによって取り込まれた光画像における解析のための画像処理アルゴリズムを介して決定される。このことは非常に有利であり、それは、例えば、光画像のエッジ及び/又はコントラストが人物にとっての周囲領域の視認性に影響を与える重要な要素であるためである。例えば、次いで、制御手段は、特に車両運転者のために、周囲領域の視認性を向上させるため、及び/又は物体認識を改善するために、取り込まれたエッジ及び/若しくは取り込まれたコントラストに応じて、並びに/又は少なくとも1つの画像特性及び/若しくは少なくとも1つの画像構造に応じて、変調器及び/又は光源を制御することが想定される。
【0011】
本発明の更なる構成では、少なくともカメラによって取り込まれ得る周囲領域においてコントラスト及び/又はエッジが強調されるように、取り込まれたエッジ及び/又は取り込まれたコントラストに応じて変調器及び/又は光源を制御する制御手段が提供され得る。
【0012】
好ましくは、構成体によって放出された光は、光画像を連続的に取り込み、光画像に応じて制御手段によって変調器及び/又は光源を制御することによって連続的に適合される。また、特定の時点、特に定期的な時点で、制御手段を介して変調器及び/又は光源の適合を提供又はチェックすることも想定される。よって、特定の時点、特に定期的な時点でのみ光画像を取り込むカメラが提供され得る。
【0013】
好ましくは、カメラによって取り込まれ得る光画像は、光源によって十分に照明され得る周囲領域の周囲部分と少なくとも部分的に又は完全に又は実質的に完全に対応する。
【0014】
好ましくは、制御手段は、光源によって放出された光が、光路を介して外部に放射され、人物、特に車両運転者によって知覚可能な周囲領域の周囲部分のコントラスト及び/又はエッジを強調するように、取り込まれたエッジ及び/又は取り込まれたコントラストに応じて変調器及び/又は光源を制御し得る。よって、人物は、周囲部分、例えば車両前方の周囲領域のコントラスト及び/又はエッジをより良好に知覚し得る。換言すれば、制御手段は、後で周囲部分に重ねる、且つ/又は外部に投影するオーバーレイ画像を変調器が形成するように、取り込まれたエッジ及び/又は取り込まれたコントラストに応じて変調器及び/又は光源を制御し得る。
【0015】
換言すれば、画像処理アルゴリズムによってカメラの光画像又はカメラ画像のエッジ及び/又はコントラストが検出され、前照灯又は光源によって放出された光において再現される。よって、提案される構成体では、周囲領域の「実際の」画像が記録され、車両運転者が「実際の」周囲領域をより高いコントラスト及び/又は改善されたエッジで知覚できるように、照明に使用され得る。
【0016】
このような画像処理アルゴリズムでは計算時間がほとんどかからないため、光画像の取り込みから変調器及び/又は光源の制御までの待ち時間は極めて短い。一方、例えばレーダセンサが使用されて周囲領域を取り込む場合、レーダセンサによって取り込まれた画像、例えば霧の中のサイクリストの画像は、ディスプレイを介して車両運転者に知覚されなければならない。このことは、例えば、拡張現実ヘッドアップディスプレイ(HUD)を介して行われ、これにより人工的に様式化された仕方で車両運転者に危険を明らかにする。このことを行うために、運転者はHUDを見なければならない。また、レーダセンサからの信号が運転支援システムによって正しく検出されるまでには、一定の時間がかかる。対照的に、本発明による構成体を使用することにより、周囲領域は改善された仕方で十分に照明され、その結果、車両運転者は改善された仕方で周囲領域を直ちに知覚することができる。例えば、車両運転者は、霧の中のサイクリストをより良好に知覚することができる。加えて、レーダセンサ及びHUDのように車両運転者に危険を明らかにする必要がないため、本発明による構成体ではセンサの誤認識が起こり得ない。
【0017】
本発明の更なる構成では、好ましくは、光路が、少なくとも1つのレンズ、特に投影レンズによって形成される。このようにして、光源からの光が、有利には、周囲領域に放出され得、加えて、光画像がカメラによって高画質で取り込まれ得る。
【0018】
いくつかの光路が設けられることも想定される。例えば、光路、特に光源からの光のための光出口と、光路、特にカメラの光のための光入口とが設けられることが想定される。単一の光路の利点は、構成体がデバイス技術の点でより簡素且つより安価になるということである。
【0019】
本発明の更なる構成では、空間変調器が、空間マイクロミラーアクチュエータである。例えば、空間マイクロミラーアクチュエータは複数のミラーを備える。これらはそれぞれ、2つのミラー位置の間で、特に高い周波数で、特に互いに独立して傾斜することができ、それぞれが光ピクセルを形成する。それぞれのミラーの第1の位置では、例えば、光源からの光は光路に反射され得る。一方、第2の位置では、例えば、光路を介して入射する光画像はカメラに導かれ得る。このように、空間変調器は、デバイス技術的の点で単純に二重の機能を有し、正確には、光源によって放出され得る光を制御し、加えて、必要に応じて光画像をカメラに導く機能を有する。光の空間変調器は、空間光変調器(SLM)であることが想定される。或いは、変調器がデジタルマイクロミラーアクチュエータ(デジタルマイクロミラーデバイス(DMD))として、又は液晶ディスプレイ(LCD)として、又は1つ若しくは複数の微小電気機械システム(MEMS)として、又は液晶オンシリコン(LCoS)として設計される、及び/或いはモノマテリアルから形成されることが想定される。また、変調器をデジタル又はアナログで設計することも想定される。
【0020】
変調器のミラーの第1の位置では、光源からの光を光出口に導くことができ、これをオン状態と呼ぶことができる。例えば、オフ状態と説明されることもある第2の位置では、光は、通常、従来技術におけるビームダンプに導かれる。本発明の場合、従来技術においてビームダンプが配置される位置にカメラが配置され得る。
【0021】
本発明の更に好ましい構成では、カメラが、シャインプルーフ構成にあるレンズを介して、変調器の反射面又は変調器面を斜交軸から撮像するように設計及び配置される。換言すれば、カメラの結像面、特にカメラのカメラチップ又はイメージセンサの結像面と、カメラのレンズの主面と、変調器の投影面又は焦平面とは、共通の直線で交差するように配置される、つまり、好ましくは、シャインプルーフの原理にしたがって配置される。シャインプルーフ構成は、カメラと変調器との間にミラーを設けて、変調器を介して光画像をミラーに導き、ミラーからカメラに導くようにすることにより、同様に設けることができる。ここで、投影面又は焦平面は変調器面であり続ける。これにより、「空間光変調器」又は変調器の視野では、周囲領域の画像が視差なく記録され得る。換言すれば、構成体、特にライトプロジェクタの形態の構成体は、二重の機能を有する。構成体は、特に光源(プロジェクタ)と組み合わせた変調器によってアクチュエータとして、また特にカメラによってイメージセンサとして同時に使用され得る。
【0022】
このことは、主に、周囲領域の構成部分又は周囲領域にある物体の構成部分を強調する、又は目立たせることが意図されている照明機能に使用され得る。この目的のためには、カメラセンサの座標(例えば、ピクセルセンサの座標)が投影画像の座標と直接的な不変の関係になると都合がよく、これはセンサとアクチュエータとの視差のない組み合わせの場合と同様である。
【0023】
換言すれば、カメラの光画像は、シャインプルーフ構成を用いて視差なく記録することができ、このことにより、画像処理アルゴリズムによる解析を改善することができる。好ましくは、カメラのレンズは、カメラ又はマクロカメラを必要に応じて設置するために、カメラのイメージセンサに対して傾斜可能又は回動可能である。
【0024】
本発明の更なる構成では、画像ピクセルを備えたイメージセンサを備えるカメラが提供され得る。そして、好ましくは、画像ピクセルは、変調器の光ピクセルに割り当てられ得る。よって、特にシャインプルーフ構成では、画像ピクセルを光ピクセルに明確に、特に視差なく割り当てることができる。このことにより、画像処理アルゴリズムを介して極めて簡素に光画像を解析することができる。加えて、明確な割り当てに起因して、変調器は、例えばオーバーレイ画像を放出するために、極めて容易に制御され得る。更なる構成では、それぞれの画像ピクセル及び/又は画像ピクセルのグループが、それぞれ変調器の光ピクセル及び/又は対応する光ピクセルのグループに割り当てられ得る。例えば、それぞれ4つの画像ピクセルのグループを個々の光ピクセルに割り当てることが想定される。既に上述したように、好ましくは、構成体は、光ピクセルへの画像ピクセルの割り当て及び配置が視差なく行われるように設計される。
【0025】
カメラ機能では、好ましくは、カメラのイメージセンサが、特定のフレームレート、例えば30~60Hz、又はKHz若しくはMHzの範囲で読み取られる。好ましくは、次いで、読み取られたデータは、画像処理アルゴリズムによって更に処理される。
【0026】
本発明の好ましい実施形態では、カメラを介して光画像を記録するためにミラーの少なくともいくつか又はすべてが第2のスイッチ位置にあるように制御される変調器が提供され得る。第2のスイッチ位置は、ミラーのオン又はオフの状態である。好ましくは、照明機能がオン状態で行われ、カメラ機能がオフ状態で行われる。換言すれば、カメラは、ミラーの第2のスイッチ位置では、光路又は光路内のレンズ若しくは投影レンズによって撮像された周囲領域の反射を取り込むように配置される。好ましくは、ミラーを第2のスイッチ位置に配置するための時間が、系内での光の散乱を避けるために、画像記録の際に光源、特にプロジェクタの光源がオフに切り替えられるように選択される。換言すれば、カメラ及び光源は、カメラが使用されるときには光源がオフに切り替えられるように制御される。好ましくは、光源がオフに切り替えられ、ミラーがオフ状態若しくはオフ位置又は第2のスイッチ位置にあり、カメラが画像を記録する抑制期間は、カメラの使用及び/又は変調が人物に知覚されないほど短くなるように選択される。好ましくは、抑制期間は25ms以下である。換言すれば、変調器のミラーは、カメラによって光画像を記録するために、動作の際、放出された光画像の観測者にこの記録が知覚されないように短時間、対応するミラー位置に設定される。
【0027】
本発明の更なる構成では、ミラーが、光源と変調器との間に設けられ得る。代替的又は追加的に、変調器とカメラとの間にミラーを設けることが想定される。これにより、構成体の構成を柔軟且つコンパクトにすることができる。
【0028】
デバイス技術の点で簡素であるコンパクトな構成体では、光路、特にレンズの形態の光路の主軸上、又は概ね主軸上に変調器を配置することが想定される。カメラ及び/又は光源は、主軸の方向から見た場合に、変調器とレンズの光路との間に配置され得る。好ましくは、光源によって放出された光の主軸は、レンズの光路の主軸から放射方向に配置され得る、及び/又は変調器が広がる平面に平行に配置され得る。また、光源の主軸は、レンズの光路の主軸に対して斜めに、又は傾斜させて配置することも想定される。好ましくは、ミラーを有する変調器側は主軸に垂直に配置され、その結果、変調器は極めて高い効率を有する。
【0029】
好ましくは、変調器と光路、例えばレンズの形態の光路とは一列に並んで配置される。1つ若しくは複数のミラー又は1つ若しくは複数の偏向ミラーが、例えば、変調器と光路との間のビーム経路に隣接して、及び/又はその外側に設けられる。このように、デバイス技術の点で、光は、簡素且つ費用効率の良い仕方で、複数の偏向ミラーを介して変調器に、及び/又は1つの偏向ミラーを介して光源から偏向され得る。偏向ミラーは、例えば、互いに略V字形に配置される。偏向ミラーはそれぞれV字の1本の線分を形成でき、線分どうしは間隔をあけて配置され、接触しない。代替的又は追加的に、1つ又は複数の偏向ミラーは、例えば、変調器と光路との間の主軸の方向に対して斜めに延びることができる。この場合、1つ又は複数の偏向ミラーは、変調器からの距離が長くなるにつれて、変調器と光路との間の主軸から離れるように延びることができる。更に、1つ又は複数の偏向ミラーは、例えば、互いに対称に配置され得る。加えて、カメラと光源とは互いに、特に一平面上で対向して配置されることも想定される。
【0030】
好ましくは、光源又は放射源は、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)である。発光ダイオードは、少なくとも1つの個別に収容されたLEDの形態とすることもできるし、1つ又は複数の発光ダイオードを有する少なくとも1つのLEDチップの形態とすることもできる。複数のLEDチップが、共通の基板(「サブマウント」)に取り付けられてLEDを形成してもよいし、例えば回路基板(例えば、FR4、メタルコア回路基板など)に個別又は一緒に取り付けられてもよい(「CoB」=チップオンボード)。少なくとも1つのLEDは、例えば少なくとも1つのフレネルレンズ又はコリメータによる、ビーム誘導のための少なくとも1つの別個及び/又は共通の光学ユニットを備えることができる。例えばAlInGaN又はInGaN又はAlInGaPベースの無機LEDの代わりに、又はそれに加えて、有機LED(OLED、例えばポリマーOLED)も一般に使用され得る。LEDチップは、直接発光するもの、又は上流に配置された蛍光体を有するものとすることができる。或いは、発光コンポーネントは、レーザダイオード又はレーザダイオード構成体とすることができる。また、1層若しくは複数層のOLED発光層又はOLED発光領域を設けることも想定される。発光コンポーネントの発光波長は、紫外線、可視光線、又は赤外線のスペクトル範囲とすることができる。追加的に、発光コンポーネントは、別個の変換材料を備えることもできる。好ましくは、LEDチップは、例えば青色発光体と黄色/緑色の変換材料によって実現される自動車産業界で標準化されたECE白色領域における白色光を発光する。
【0031】
更に、少なくとも1つの光源は、レーザ活性化リモート蛍光体(LARP)原理にしたがって動作する発光手段として、並びに/又はハロゲンランプとして、並びに/又はガス放電ランプ(高輝度放電(HID))として、並びに/又はデジタル光処理(DLP)原理にしたがって動作するプロジェクタに関連して、並びに/又はIR放射源として、並びに/又は可視光範囲にある、及び/若しくは部分的に可視光範囲にある、及び/若しくは可視光範囲に近い、及び/若しくは部分的に可視光範囲に近い電磁放射線を放出、再生、及び/若しくは発生させる別の装置として設計されることが想定される。
【0032】
本発明の更に好ましい実施形態では、1つ若しくは複数の白色光源に加えて、又はその代替として、特定の色の少なくとも1つの光源を使用することが想定される。また、例えば、赤色光用の少なくとも1つの光源、緑色光用の少なくとも1つの光源、及び青色光用の少なくとも1つの光源など、複数の光源を異なる色で設けることもできる。また、1つ又は複数のRGB LEDを光源として使用することも想定される。代替的又は追加的に、異なる色温度の光源を使用することも想定される。例えば、異なる色温度の2つの白色LEDを使用することができる。この設計によって、色及び/又は色温度及び/又は色調が、物体の視認性を更に改善するために、オーバーレイ画像に適合され得る。
【0033】
代替的又は追加的に、赤外線(IR)光源が光源として設けられ得る。この場合、カメラは、有利にはIRカメラとして設計される。これにより、構成体の周囲領域の光画像は、IR光源を使用する場合にカメラによって記録され得る。
【0034】
また、2つの構成体を備えるシステムも想定される。この場合、例えば光画像又はオーバーレイ画像を共同で形成するために、2つの構成体は互いに応じて制御され得る。
【0035】
本発明によれば、特に車両のためのランプ、特に車両用ランプが、上記及び/又は下記の態様のうちの1つ又は複数による少なくとも1つの構成体を備える。
【0036】
ランプは、例えば、前灯若しくは前部前照灯若しくは尾灯若しくは後部前照灯として、又はフォグライトとして設計され得る。また、代替的又は追加的に、信号灯機能用及び/又は照明機能用にランプを使用することも想定される。提供される信号灯機能は、例えば、方向指示灯機能並びに/又はブレーキライト機能並びに/又は尾灯機能並びに/又は日中走行灯機能並びに/又は位置灯機能並びに/又はフォグライト機能並びに/又は上記及び他の機能の組み合わせである。提供される照明機能は、方向指示灯機能並びに/又はフォグランプ機能並びに/又はロービーム機能並びに/又はハイビーム機能並びに/又は前記機能及び更なる機能の組み合わせ及び/若しくは修正形態(例えば、アダプティブドライビングビーム(ADB)又はアダプティブフロントライティングシステム(AFS))とすることができる。AFSは、好ましくは照明機能のすべて又は少なくともいくつかを適応的に制御する適応システムである。例えば、AFSは、ロービーム機能及びハイビーム機能で使用することができ、ハイウェイライト及び/又は悪天候用ライト及び/又は市街地用ライトを提供することができる。好ましくは、ADBはハイビームと併用され、グレアフリーハイビームを提供することができる。例えば、ADBはAFSの一部である。これ以外のランプ適用領域としては、効果照明、娯楽照明、建築照明、医療及び治療用照明、園芸用照明が挙げられる。
【0037】
好ましくは、構成体の光源は、上記の照明機能の1つ又は複数のためのランプに使用され得る。よって、光源は、少なくとも二重機能又は多機能を有して、正確には、オーバーレイ画像に使用され、追加的に、上述の機能うちの1つ又は複数の機能を実行できる。このことは、例えば、変調器及び/又は光源を適切に制御することによって行うことができる。
【0038】
好ましい実施形態では、複数の光源が設けられる。それぞれの光源が変調器の対応するセクションを照射することが想定される。また、セクションのいくつか又はセクションのすべてが重なることも想定される。また、光源は、それぞれが変調器を完全に、又は変調器の全面にわたって照射し得る。変調器の1つ又は複数のセクションが、放出された光画像において道路などの特定の領域をより強い光の強度で照射するために、例えば、複数の光源によって照射され得る。光源は同じデザインの光源とすることができる。また、光源又は光源のうちのいくつかを異なる設計にすること、すなわち、例えば異なるタイプの光源を使用することも想定される。例えば、1つ又は複数の光源として1つ又は複数のレーザ光装置が使用される場合、装置は、レーザ光が少なくとも個々のミラーにわたってセクション毎に走行又は走査し得るように構成されることが想定される。
【0039】
少なくとも1つの単一光源が提供される場合、光源は、変調器をその表面全体にわたって若しくは部分的に照射することができる、又は光ビーム、例えばレーザビームが少なくともセクション毎に走行し得る。
【0040】
構成体の以下の動作状況のうちの少なくとも1つ又は複数が提供されることが想定される。例えば、第1の動作状況では、構成体の光源は、車両運転者のために特定の物体又は画像領域又は画像部分の表示を改善するため、すなわちオーバーレイ画像を生成するために使用され得る。これは、例えば、日中であり、したがってロービームやハイビームなどの追加の光が必要ではない場合である。例えば、第2の動作状況では、構成体の光源は、オーバーレイ画像を形成する以外に、全領域の照明に、すなわち例えばロービーム、フォグランプ、又はハイビームとして追加的に使用される。好ましくは、このことは、日の光がほとんどないかまったくない場合に行われる。
【0041】
例えば、第1の動作状況では、好ましくは、変調器は、決定されたオーバーレイ画像が放出されるように光源がオンに切り替えられた状態で制御される。つまり、例えば、変調器の対応するミラーが切り替えられる、換言すればオン状態になり、例えばその結果、特定の物体がより良好に見えるようになる。
【0042】
例えば、第2の動作状況では、光源は、少なくともカメラが画像を記録していないときに、例えばロービームとして、全領域の照明のためにオンに切り替えられる。オーバーレイ画像を形成するために、変調器の対応するミラーが切り替えられ、その結果、ミラーのいくつかがオン状態になり、他のミラーがオフ状態になる。よって、光の一部分は、オン状態のミラーを介して外部に放出されて、オーバーレイ画像を形成する。好ましくは、ここで、オーバーレイ画像を放出するときの光源の強度を上げるようにされる。その後、強度は下げられ、ロービームなど必要な機能にしたがってミラーが制御される。上記のこのプロセスは、特定の周波数で繰り返され(すなわち、好ましくは、ミラーが特定の周波数で切り替えられ、光源の強度が特定の周波数で上げられる)、これは、好ましくは、人物、例えば車両運転者が機能間の変化を知覚しないように選択される。
【0043】
換言すれば、光源は、オーバーレイ画像が投影されるときにパルスを発する、つまりDMDがクロック動作され、それと同時にオーバーレイ領域に放出しない他のLEDの輝度が低下され得る。このようにして、オーバーレイ領域の輝度の上昇(そして場合によっては通常領域の輝度の低下)を実現できる。
【0044】
好ましくは、互いに応じて制御される2つのランプが提供される。
【0045】
本出願人は、少なくとも2つのランプを有するシステム、又は少なくとも2つの構成体を有するシステムを独立請求項とする権利を留保する。
【0046】
本発明によれば、車両が、上述の態様のうちの1つ若しくは複数による少なくとも1つの構成体、及び/又は上述の態様のうちの1つ若しくは複数による少なくとも1つのランプを設けられる。
【0047】
車両は、航空機、水上走航体、又は陸上走航体とすることができる。陸上走航体は、自動車、鉄道車両、又は自転車とすることができる。特に好ましくは、車両は、トラック又は乗用車又は二輪車である。更に、車両は、非自律型、部分自律型又は自律型として設計することもできる。
【0048】
本発明によれば、上記の態様のうちの1つ又は複数による構成体を用いる方法が提供される。そして、光源及び/又は変調器は、有利には、カメラによって取り込まれた光画像に応じて制御手段によって制御され得る。
【0049】
変調器、特にDMD(デジタルミラーデバイス)を備えた構成体又は投影前照灯が開示される。この場合、構成体の投影レンズは、変調器の画像内容を周囲領域に結像させるだけでなく、変調器上に周囲領域を結像させる。よって、変調器は周囲領域の画像をカメラに導くことができ、また光源からの光を周囲領域に反射させることができる。
【0050】
以下、例示的な実施形態を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】例示的な実施形態による車両用の構成体の概略図を示す。
図2図1の構成体の周囲部分を概略的に示す。
図3図1の構成体の周囲部分を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、車両用ランプ2のための構成体1を示している。車両用ランプ2は、一点鎖線で概略的に示されている。また、車両用ランプ2は車両4の一部分とすることもでき、車両4は簡単のために同じ一点鎖線で記されている。構成体1は変調器6を備え、変調器6は回路基板8上に配置される。変調器6は、例えば、デジタルマイクロミラーアクチュエータ、又はDMDとして設計される。変調器は、回路基板8とは反対側を向いたその変調器側10に複数のミラー又はマイクロミラーを有し、複数のミラー又はマイクロミラーのそれぞれが、光ピクセルを形成し、2つのミラー位置の間で傾斜可能である。変調器6の変調器側10は、レンズ12を備えた構成体1の光路に向いている。
【0053】
更に、構成体1は光源14を備える。光源14によって偏向ミラー18に向けて光16を放出することができる。光16は、前記偏向ミラーを介して変調器6の変調器側10に導かれる。偏向ミラー18及び光源14は、ここでは、レンズ12の主軸20に対して略放射状又は垂直に光16が偏向ミラー18に放射されるように配置される。主軸20の方向から見た場合に、変調器6は、レンズ12に対して一列に並んで配置される。更に、主軸20の方向から見た場合に、光源14は、主軸20を中心として放射方向に主軸20の外側で変調器6とレンズ12との間に配置される。変調器6のそれぞれのミラーの第1の位置では、そのそれぞれのミラーに入射したそれぞれの光が、次いで周囲領域に放出されるべくレンズ12に向けて反射される。
【0054】
更に、図1の構成体1はカメラ22を備える。カメラは、例えば、複数のセンサピクセルを備えたCCD又はCMOSカメラとして設計される。センサピクセルは、カラーフィルタ付きで又はなしで実施され得る。カメラはイメージセンサ24を備える。イメージセンサ24は、例えば、変調器6の変調器側10の平面に対して略垂直に延びるように、及び/又は主軸20から平行に距離を置いて配置される。好ましくは、イメージセンサ24は主軸20に面する。レンズ12を介して構成体1に入射した光又は光画像は、変調器6のミラーの第2の位置では、偏向ミラー26に向けて導かれ得る。光画像は、前記偏向ミラーを介してカメラ22、特にイメージセンサ24に更に導かれ得る。イメージセンサ24がレンズ12を介して入射する光を視差なく記録できるように、カメラ12は、回動可能又は傾斜可能なレンズ要素又はレンズ28を備える。これにより、カメラ22は、シャインプルーフ構成にあるレンズ28を介して変調器6の変調器側10を斜交軸から撮像することができる。つまり、変調器6のミラー又は変調器6のミラーのいくつかの第2のスイッチ位置では、カメラは、次いで変調器6を介して反射された光画像を視差なく表示することができる。このようにして、イメージセンサ24の画像ピクセルと変調器6の光ピクセルとの簡素な割り当てが可能となる。
【0055】
更に、構成体1は、制御手段を備え得る、又は制御手段に無線若しくは有線で接続され得る。制御手段は、例えば、制御ユニット30として設計される。制御ユニット30は、例えば、光源14及び/又はカメラ22及び/又は変調器6を制御することができる。更に、制御手段、特に制御ユニット30の形態の制御手段、或いは構成体1に設けられた、又は有線若しくは無線で構成体1に接続された更なる制御手段が、画像処理アルゴリズム32を有し得る。
【0056】
画像処理アルゴリズムは、パターン認識に用いることができ、パターン認識では、例えば以下の方法、すなわち、グレースケール値相関、幾何学的又はエッジベースのパターン認識、特徴木を用いるパターン認識のうちの1つ又は複数が用いられ得る。代替的又は追加的に、例えば分類のために、人工知能(AI)による方法などを用いることが想定される。AIによる方法を用いない場合、画像処理アルゴリズムの待ち時間が、場合により計算複雑性の低さに起因して短縮され得る。構成体1では、好ましくは、画像処理アルゴリズムの物体又は画像認識は、エッジなどの特定の画像内容を特定し得るように設計される。そして、光源14からの光が、エッジなどの特定された画像内容に基づいて、例えば車両運転者の視認性を向上させるように変調器6を介して形成され得る。構成体1の物体認識に対する要求は、例えば運転支援システムにおける物体認識と比較して低くてもよい。運転支援システムには、極めて信頼性の高い物体認識が不可欠である。運転支援システムとは対照的に、構成体1において、例えば独立して車両を制御し続ける車両運転者に改善された全領域照明が利用可能となる。よって、画像処理アルゴリズムは、比較的簡素に構成され得る、且つ/又は比較的わずかな計算能力しか必要とせず、これにより待ち時間が少なくなる。例えば、AIによる方法としてコンピュータ実施ニューラルネットワークが使用される場合、ネットワークを訓練するための訓練データに関する要求は比較的低い。また、ニューラルネットワークは比較的簡素となるように設計され得る。
【0057】
次に、図2aから図2cを参照しながら図1の構成体1の使用法を以下に説明する。図2aは、車両4の周囲領域の細部を示しており、車両運転者の正面の眺めであり、且つ車両の前方周囲領域である。ここでは、道路34を見ることができ、道路34の上には人物36が立っている。また、樹木38も示されている。加えて、夜間であり霧がかかっている。図1の構成体1の光源14は、変調器6によって、車両の前方の方向に、すなわち、十分に照明された領域に存在する少なくとも道路34上及び人物36などの物体上に光を放出する。この目的のために、変調器6のミラー又はミラーの少なくともいくつかは、第1のスイッチ位置にある。ここで視認性を向上させるために、図2aに示す周囲領域の細部の一部分の光画像が、図1の構成体1のレンズ12を介して変調器6に導かれる。次いで、ミラーの少なくともいくつか又はミラーのすべてが、制御ユニット30を介して第2のスイッチ位置に短時間切り替えられる。次いで、光画像は偏向ミラー26及びレンズ28を介してイメージセンサ24に導かれ、イメージセンサ24により取り込まれる。次いで、光画像は、画像処理アルゴリズム32を介して解析され、コントラストが特定される。そして、そこから図2bに示すオーバーレイ画像40が決定される。ここで、光源14からの光16が変調器6の後にオーバーレイ画像40を形成するように、変調器6のミラーが制御ユニット30によって制御される。次いで、オーバーレイ画像は、レンズ12を介して周囲領域に投影され、好ましくは、カメラによって取り込むことができる領域に少なくとも部分的又は完全に投影される。そして、その結果が図2cに示されている。周囲部分の一部分が変調された光分布で、すなわち図2bのオーバーレイ画像40で照射されることが分かる。これにより、コントラストが明確に強調され、車両運転者に直ちに知覚可能になる。
【0058】
好ましくは、オーバーレイ画像40は、変調器6を適宜制御することによって生成される。好ましくは、カメラ22は、暗状態で、すなわち、光源14がオフに切り替えられたときに光画像又は画像を記録する。したがって、有利には、オーバーレイ領域と光画像の特定領域との同期又は適応は必要とされない。
【0059】
図3a及び図3cは、車両運転者の視認性を向上させる更なる可能性を示している。この場合、図3aは図2aに相当する。図2a~図2cとは対照的に、光画像はエッジが特定され得るように画像処理アルゴリズム32によって解析される。これにより、図1の制御ユニット30は、エッジ強調が行われるオーバーレイ画像42(図3b参照)を決定する。そして、図3bのオーバーレイ画像42は、変調器6が制御ユニット30を介して適宜制御されることにより、構成体1から周囲領域に放出される。図3cは、周囲領域に投影されたオーバーレイ画像42を周囲領域と共に示している。投影されたオーバーレイ画像の領域にある周囲部分のエッジは、車両運転者にとって明確に視認性が良くなっている。
【0060】
好ましくは、実施形態におけるオーバーレイ画像のサイズは、特に制御ユニットによって調整され得る。好ましくは、このことは、変調器を適宜制御することによって達成される。オーバーレイ画像のサイズは、例えば、より強く照明されるべき1つ又は複数の物体のサイズ及び/又は物体の位置に応じて調整される。
【0061】
コントラスト及びエッジの両方が強調されたオーバーレイ画像を決定及び/又は形成することが想定される。加えて、代替的若しくは追加的に光画像の少なくとも1つの他の特性及び/又は代替的若しくは追加的に少なくとも1つの他の画像構造が特定され、強化されたオーバーレイ画像を作成することが代替的又は追加的に想定される。
【符号の説明】
【0062】
1 構成体
2 車両用ランプ
4 車両
6 変調器
8 回路基板
10 変調器側
12 レンズ
14 光源
16 光
18 偏向ミラー
20 主軸
22 カメラ
24 イメージセンサ
26 偏向ミラー
28 レンズ
30 制御ユニット
32 画像処理アルゴリズム
34 道路
36 人物
38 樹木
40 オーバーレイ画像
図1
図2
図3