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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】自己調整Nパスフィルタ
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/10 20060101AFI20230710BHJP
【FI】
H04B1/10 U
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022542190
(86)(22)【出願日】2021-01-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 US2021012443
(87)【国際公開番号】W WO2021142080
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】16/738,475
(32)【優先日】2020-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519100985
【氏名又は名称】ビーエイイー・システムズ・インフォメーション・アンド・エレクトロニック・システムズ・インテグレイション・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ストゥンケル、マーク・イー.
(72)【発明者】
【氏名】ヒックレ、マーク・ディー.
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0149464(US,A1)
【文献】特開昭58-017734(JP,A)
【文献】特表2018-509053(JP,A)
【文献】特開2004-328639(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0273314(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0214391(US,A1)
【文献】特表2012-501606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/10- 1/14
H03H 5/00- 7/13
H03H 15/00-15/02
H03H 19/00-21/00
H04B 1/06
H04B 1/18- 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)フィルタであって、
RF信号を受信するように構成された信号調整回路、前記RF信号は、ジャミング周波数のジャミング信号と対象信号とを含み、前記信号調整回路は、前記ジャミング周波数を感知し、複数のクロック信号を生成するように更に構成され、ここにおいて、前記信号調整回路は、前記RF信号を受信し前記ジャミング周波数と実質的に同じ周波数を有する矩形波信号を生成するように構成された電圧リミッタ回路、および、前記RF信号を受信し前記RF信号の任意の部分が閾値よりも高い振幅を有する場合に前記信号調整回路が前記クロック信号を生成するように構成された包絡線検波器回路を備え、前記複数のクロック信号の各々は、前記ジャミング周波数と実質的に同じ周波数を有し、前記複数のクロック信号の各々は、異なる位相シフトを有する、と、
前記RF信号及び前記複数のクロック信号を受信し、前記複数のクロック信号の前記周波数を中心とするバンドストップ内の信号を減衰させるように構成されたNパスバンドストップフィルタ、ここにおいて、前記Nパスバンドストップフィルタは、N個の切り替えられたパスに沿って配置された1つ以上のキャパシタとスイッチを含み、前記スイッチは前記複数のクロック信号のうちの1つの前記クロック信号に基づいて切替えられ、前記Nパスバンドストップフィルタは、前記ジャミング信号を減衰させ、その一方で、他の周波数の信号を通過させ、前記ジャミング周波数は、前記バンドストップ内にあり、前記対象信号は、前記バンドストップ外にある、と、
を備える、RFフィルタ。
【請求項2】
前記RF信号は、10GHz~20GHzの帯域幅を有する、請求項1に記載のRFフィルタ。
【請求項3】
前記複数のクロック信号は、3つ、4つ、6つ、又は8つのクロック信号を含む、請求項1に記載のRFフィルタ。
【請求項4】
前記信号調整回路は、前記矩形波信号を受信し、前記複数のクロック信号を生成するように構成された遅延ロックループ(DLL)を備える、請求項に記載のRFフィルタ。
【請求項5】
前記DLLは、前記複数のクロック信号中のクロック信号の数に基づいて前記複数のクロック信号の各々のデューティサイクルを変更するように構成されたエッジ合成回路を備える、請求項に記載のRFフィルタ。
【請求項6】
前記閾値は、再構成可能である、請求項に記載のRFフィルタ。
【請求項7】
前記対象信号の周波数は、未知である、請求項1に記載のRFフィルタ。
【請求項8】
前記Nパスバンドストップフィルタは、前記ジャミング周波数を中心とするバンドストップ伝達関数を提供する、請求項1に記載のRFフィルタ。
【請求項9】
請求項1に記載のRFフィルタを備える、ワイドバンドRF受信機。
【請求項10】
システムインパッケージ(SIP)デバイスであって、
パッケージ基板と、
前記パッケージ基板に結合された1つ以上の集積回路チップと、
を備え、前記1つ以上の集積回路チップは、
RF信号を受信するように構成された信号調整回路、前記RF信号は、ジャミング周波数のジャミング信号と対象信号とを含み、前記信号調整回路は、複数のクロック信号を生成するように更に構成され、ここにおいて、前記信号調整回路は、前記RF信号を受信し前記ジャミング周波数と実質的に同じ周波数を有する矩形波信号を生成するように構成された電圧リミッタ回路、および、前記RF信号を受信し前記RF信号の任意の部分が閾値よりも高い振幅を有する場合に前記信号調整回路が前記クロック信号を生成するように構成された包絡線検波器回路を備え、前記複数のクロック信号の各々は、前記ジャミング周波数と実質的に同じ周波数を有し、前記複数のクロック信号の各々は、異なる位相シフトを有する、と、
前記RF信号及び前記複数のクロック信号を受信し、前記複数のクロック信号の前記周波数を中心とするバンドストップ内の信号を減衰させるように構成されたNパスバンドストップフィルタ、ここにおいて、前記Nパスバンドストップフィルタは、N個の切り替えられたパスに沿って配置された1つ以上のキャパシタとスイッチを含み、前記スイッチは前記複数のクロック信号のうちの1つの前記クロック信号に基づいて切替えられ、前記Nパスバンドストップフィルタは、前記ジャミング信号を減衰させ、その一方で、他の周波数の信号を通過させ、前記ジャミング周波数は、前記バンドストップ内にあり、前記対象信号は、前記バンドストップ外にある、と、
を備える、SIPデバイス。
【請求項11】
前記信号調整回路は、前記矩形波信号を受信し、前記複数のクロック信号を生成するように構成された遅延ロックループ(DLL)を備える、請求項10に記載のSIPデバイス。
【請求項12】
前記DLLは、前記複数のクロック信号中のクロック信号の数に基づいて前記複数のクロック信号の各々のデューティサイクルを変更するように構成されたエッジ合成回路を備える、請求項11に記載のSIPデバイス。
【請求項13】
前記閾値は、再構成可能である、請求項10に記載のSIPデバイス。
【請求項14】
受信機システムであって、
ジャミング周波数のジャミング信号と対象信号とを有するRF信号を受信するように構成されたアンテナと、
前記アンテナから前記RF信号を受信し、前記RF信号の増幅された部分を生成するように構成されたRFフロントエンド回路と、
前記RF信号の前記増幅された部分を受信し、デジタル化された信号を生成するように構成されたアナログデジタル変換器と、
前記デジタル化された信号を受信するように構成されたデジタルシグナルプロセッサと、
を備え、前記RFフロントエンド回路は、
前記RF信号を受信し、複数のクロック信号を生成するように構成された信号調整回路、ここにおいて、前記信号調整回路は、前記RF信号を受信し前記ジャミング周波数と実質的に同じ周波数を有する矩形波信号を生成するように構成された電圧リミッタ回路、および、前記RF信号を受信し前記RF信号の任意の部分が閾値よりも高い振幅を有する場合に前記信号調整回路が前記クロック信号を生成するように構成された包絡線検波器回路を備え、前記複数のクロック信号の各々は、前記ジャミング周波数と実質的に同じ周波数を有し、前記複数のクロック信号の各々は、異なる位相シフトを有する、と、
前記RF信号及び前記複数のクロック信号を受信し、前記複数のクロック信号の前記周波数を中心とするバンドストップ内の信号を減衰させるように構成された調整可能なNパスバンドストップフィルタ、ここにおいて、前記Nパスバンドストップフィルタは、N個の切り替えられたパスに沿って配置された1つ以上のキャパシタとスイッチを含み、前記スイッチは前記複数のクロック信号のうちの1つの前記クロック信号に基づいて切替えられ、前記Nパスバンドストップフィルタは、前記ジャミング信号を減衰させ、その一方で、他の周波数の信号を通過させ、前記ジャミング周波数は、前記バンドストップ内にあり、前記対象信号は、前記バンドストップ外にある、と、
を備える、受信機システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]広い調整範囲を有する受信機は、レーダ警報システム、監視システム、敵味方識別(IFF)システム、及び一般的な無線周波数(RF)通信システムを含む、様々な用途に望ましい。そのような受信機は、広範囲の高周波帯域幅を収集するように設計されているので、ジャミング信号の影響を受けやすい。例えば、広い周波数帯域幅内の任意の周波数のジャミング信号又は他の望ましくない高電力信号は、増幅器を飽和させ、受信機が周囲周波数の対象信号を復元する能力を損なう可能性があるので、RFフロントエンド回路に対して衰弱させる問題を引き起こす可能性がある。このため、ジャミング信号を識別して減衰させることが重要である。しかしながら、周囲周波数の対象信号を減衰させることなくそうすることは、非常に困難であり得る。
【0002】
[0002]特許請求される主題の実施形態の特徴及び利点は、以下の発明を実施するための形態が進むにつれて、及び図面を参照すると明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1A】[0003]本開示の実施形態によるRF受信機システムのブロック図を例示する。
図1B】[0004]本開示の実施形態による実例的なRFフロントエンド回路のブロック図を例示する。
図2】[0005]本開示の実施形態による、例えば、図1の受信機システムのRFフロントエンド中で使用されることができる自己調整Nパスフィルタの概略図を例示する。
図3】[0006]実施形態による、図2の自己調整Nパスフィルタ中で使用されることができるNパスバンドストップフィルタの概略図を例示する。
図4】[0007]本開示の実施形態による、図2の自己調整Nパスフィルタ中で使用されることができる調整回路の概略図を例示する。
図5】[0008]本開示の実施形態による、図2の自己調整Nパスフィルタのシミュレートされたデータを提供する。
図6】[0009]本開示の実施形態による、少なくとも図2における自己調整Nパスフィルタと、場合によっては図1のRF受信機システムの回路とを含むチップパッケージの断面図を例示する。
図7】[0010]本開示の実施形態による、ワイドバンドトランシーバを含み得る実例的な通信デバイスのブロック図を例示する。
【0004】
[0011]以下の発明を実施するための形態は、例示的な実施形態を参照して進むが、本開示を踏まえて、その多くの代替形態、修正形態、及び変形形態が明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0005】
[0012]自己調整Nパスフィルタが開示される。このフィルタは、ワイドバンド受信機用途に特に良く適しているが、他のフィルタ用途が明らかになるであろう。実施形態では、フィルタは、信号調整回路及びNパスバンドストップフィルタを含む。信号調整回路は、最も強い入射信号と同じ周波数の多相クロック信号のセットを生成し、Nパスフィルタは、多相クロック信号の周波数を中心とするバンドストップ伝達関数を提供する。次に説明するように、フィルタに入射する実際の信号から多相クロック信号を導出することは、フィルタが、その中心周波数を最も高い電力入射信号の周波数に自動的に調整することを可能にする。フィルタシステムは、いくつかのそのような実施形態によると、比較的コンパクトに(例えば、単一のチップパッケージ又はチップセット内に)作られることができ、比較的低いレイテンシを有し、帯域幅及び電源起動閾値の両方に関して構成可能である。この開示を踏まえて、数多くの実施形態及び変形形態が認識されるであろう。
全般的な概要
【0006】
[0013]ワイドバンドRF受信機は、様々なタイプの信号について大きな周波数帯域幅にわたってリッスンするための有用なツールであり、対象周波数が事前に知られていないことがある状況において特に重要である。実例的な状況は、対象信号が傍受及び復号され、場合によっては、意図された受信機を混乱させるか又は他の方法で損なうようにスクランブル又は変更される可能性がある電子戦又は監視を含む。しかしながら、上述したように、ワイドバンド受信機は、RF事前選択フィルタリングが必要とされないため、ジャミング及び他の高電力の望ましくない信号の影響を受けやすい。そのため、そのような望ましくない信号を識別して減衰させることは、周囲周波数の対象信号を減衰させることもなしには非常に困難であり得る。例えば、電力依存RFリミッタを単に用いることは、ジャミング信号を確実に減衰させることができるが、他の周波数の所望の信号を減衰させるという望ましくない効果も有する。そのようなRFリミッタアプローチに対する1つの可能な改良は、周波数選択リミッタ(FSL)であり、それは、高電力ジャミング信号を選択的に減衰させ、その一方で、他の周波数の低電力信号を減衰させずに通過させる。FSLは、フェライト材料及びPINダイオードを使用して実証されてきた。しかしながら、そのようなFSLは、典型的には、物理的に大きく(例えば、50平方インチよりも大きいか、若しくはそうでなければチップスケールよりも遙かに大きい)、及び/又は遅い応答時間(例えば、数マイクロ秒若しくはそれよりも悪い)を有する。
【0007】
[0014]このことから、本開示の実施形態によると、周波数選択リミッタ(FSL)挙動を実装する自己調整電源起動Nパスバンドストップフィルタが開示される。フィルタは、低電力信号用のオールパスフィルタとして機能し、それらをほとんど減衰させずに通過させる。規定された電力閾値を超えるジャミング信号に対して、フィルタは、ジャマーの周波数を中心とするバンドストップ伝達関数を自律的に実装する。バンドストップ伝達関数の中心周波数は、フィルタに入射する実際の信号から導出される。このことから、フィルタは、その中心周波数を最も高い電力入射信号の周波数に自動的に調整することが可能である。そのため、フィルタは、ジャマー信号を減衰させ、その一方で、他の周波数の信号をほとんど減衰させずに通過させる。フィルタは、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)プロセスを使用して集積回路として実装されることができ、それによって、非常にコンパクトな設計(例えば、50平方ミリメートル未満又は更に10平方ミリメートル未満などのチップスケール)を可能にする。加えて、フィルタは、いくつかの実施形態によると、高速応答時間(例えば、50ナノ秒未満)、並びに帯域幅及び電源起動閾値の両方の再構成可能性を提供する。
【0008】
[0015]特定の一実施形態では、自己調整電源起動Nパスバンドストップフィルタは、ワイドバンド受信機中に含まれる。フィルタは、信号調整回路及びバンドストップフィルタを含む。信号調整回路は、受信機のアンテナに入射するブロードバンドRF信号を受信する。更に、受信されたブロードバンドRF信号がジャミング周波数のジャミング信号を含むと仮定する。フィルタ回路は、複数のクロック信号を生成する。複数のクロック信号の各々は、ジャミング周波数と実質的に同じ周波数を有するが、異なる位相シフトを有する。バンドストップフィルタは、RF信号及び複数のクロック信号を受信する。バンドストップフィルタは、複数のクロック信号の周波数を中心とするジャミング信号を減衰させる。本明細書で説明するワイドバンド受信機の実施形態は、より小さくされることができ(例えば、単一のチップパッケージ内で)、従来の解決策よりも低いレイテンシを有し、従来の解決策よりも構成可能である。例えば、振幅閾値及びストップバンド帯域幅の両方は、本明細書でより詳細に議論されるように構成可能であり得る。この開示を踏まえて、数多くの変形形態及び代替の実施形態が認識されるであろう。
RF受信機の概要
【0009】
[0016]図1Aは、実施形態による実例的なRF受信機(又はトランシーバ)100を例示する。見られるように、RF受信機100は、アンテナ102、RFフロントエンド回路104、アナログデジタル変換器(ADC)106、及びプロセッサ108を含む。場合によっては、RF受信機100は、プリント回路基板(PCB)上に装着されたシステムオンチップ又はチップセットに集積され、PCBは、次に、マルチシャーシシステムのシャーシ又はそうでなければより高いレベルのシステム中に装着され得るが、任意の数の実装が使用されることができる。より一般的な意味では、RF受信機100は、電子デバイスの一部分又はスタンドアロン受信機デバイスであり得る。いずれのそのような場合も、RF受信機100は、広範囲のRF信号を受信するように構成される。いくつかの実施形態では、RF受信機100はまた、RF信号を送信するように構成され得る。
【0010】
[0017]アンテナ102は、広範囲の周波数をキャプチャするのに適した任意のアンテナ構成で実装され得るが、いくつかの実例的な実施形態では、1つ以上のパッチアンテナ又はマイクロストリップアンテナを含む。任意の数のアンテナ又はアンテナ素子が、アンテナ102中に含まれ得る。いくつかの実施形態では、アンテナ102は、複数の通信帯域(例えば、デュアルバンド動作又はトライバンド動作)をサポートするために1つ以上のアンテナを含み得る。例えば、アンテナのうちのいくつかは、20ギガヘルツ~30ギガヘルツ、40ギガヘルツ~45ギガヘルツ、及び55ギガヘルツ~75ギガヘルツにおけるトライバンド動作をサポートするアンテナなど、3ギガヘルツ~300ギガヘルツの周波数範囲内のトライバンド動作をサポートし得るが、認識されるように、任意の数の周波数範囲が使用されることができる。アンテナのうちの様々なものは、例えば、5G通信又は他の規格ベースの通信(例えば、2.4、28、39、及び60ギガヘルツ通信)をサポートし得る。アンテナのうちの様々なものが、ミリ波通信をサポートし得る。アンテナのうちの様々なものが、高帯域周波数及び低帯域周波数をサポートし得る。より一般的な意味では、アンテナ102は、認識されるように、所望の通信信号を受信する(及び場合によっては送信する)のに適した任意の数のアンテナタイプ及び構成であり得る。
【0011】
[0018]RFフロントエンド回路104は、実施形態によると、受信されたRF信号の選択された部分をフィルタリング及び増幅するように設計された様々な構成要素を含む。RFフロントエンド回路104は、周波数の広い帯域幅にわたって調整することができる高いダイナミックレンジを有するように設計され得る。例えば、RFフロントエンド回路104は、5GHz~50GHz若しくは10GHz~20GHzの帯域幅などのギガヘルツ範囲中の帯域幅を有する信号内の特定の周波数範囲、又は任意の他の対象周波数範囲に調整することが可能な構成要素を含み得る。いくつかの実施形態では、RFフロントエンド回路104は、システムオンチップ(SOC)又はシステムインパッケージ(SIP)構成で共にパッケージ化された1つ以上の集積回路(IC)チップを含む。任意の数の標準的な又は独自仕様のRF受信機構成が使用されることができる。いずれのそのような場合も、本開示のいくつかの実施形態によると、RFフロントエンド回路104は、図1Bを参照して次に議論されるように、Nパスフィルタ110を使用してジャミング信号又は他のタイプの望ましくない高振幅信号を検出して減衰させるように設計された部分を含む。
【0012】
[0019]図1Bは、実施形態による実例的なRFフロントエンド回路104の様々な構成要素を例示する。見られるように、RFフロントエンド回路104は、アンテナ102から直接又は間接的にのうちのいずれかでアナログ信号入力を受信し、大振幅信号(例えば、ジャミング信号)を減衰させるように設計されたNパスフィルタ110を含む。ジャミング信号の検出及び減衰を実行するために使用される構造に関する更なる詳細は、図2~7を参照して本明細書で提供される。ある特定の雑音周波数又は他の外部信号の振幅を締め出すか又は他の方法で制限するために、他のフィルタも設けられ得る。そのような他のフィルタは、対象信号、所望の信号対雑音比(SNR)、及び雑音環境などの要因に応じて、バンドパスフィルタ、バンドストップフィルタ、ハイパスフィルタ、及び/又はローパスフィルタであり得る。
【0013】
[0020]そのようなジャミング信号がブロック110において減衰又は除去されると、アナログ信号は、任意の数の低雑音増幅回路を含み得るLNAブロック112において増幅され得る。より一般的な意味では、認識されるように、任意の適切な増幅回路が使用されることができる。用途に応じて、アナログ信号の様々な部分が選択され得、場合によっては、フィルタリング/混合回路114を使用して更に増幅され得る。フィルタリング/混合回路114は、アナログ信号の所望の部分を選択するために、任意の数のミキサ、フィルタ、及びバッファを含むことができる。ミキサは、典型的には、受信された信号の周波数を変更するために使用され、ミキサで局部発振器(LO)信号を使用して、RF+/-LOである信号を出力する。混合は、アナログ信号のダウンコンバージョン又はアップコンバージョンを引き起こし得る。場合によっては、より低い周波数信号を処理することが望ましい。LNA112及びフィルタリング/混合回路114は、認識されるように、標準的な又は独自使用のRF調整技法を用い得る。いくつかの実施形態では、Nパスフィルタ110、LNAブロック112、及びフィルタリング/混合回路114は、図1Bに示されるものとは異なる順序で配置され、及び/又は異なる集積度を有し得る。例えば、LNA112は、フィルタリング/混合回路114のある部分に集積され得るか、又はその後に位置し得る。より一般的な意味では、例示される回路は、所与の用途又はフィルタリング目的に適したRFフロントエンド回路104内に任意の順序で位置付けられることができる。
【0014】
[0021]ADC106は、任意の標準的な又は独自仕様のアナログデジタル変換技術を用いて実装され得、一般に、フィルタリングされ増幅されたRF信号をRFフロントエンド回路から受信し、更なる処理のために信号をデジタル信号に変換するように構成される。いくつかの実例的な実施形態では、ADC106は、約6GHz~約10GHzの線形範囲を有し、出力分解能は、6~12ビットの範囲内であるが、本開示は、そのような特定の実装詳細に限定されることを意図されない。
【0015】
[0022]プロセッサ108は、ADC106によって生成されたデジタル化された信号を受信し、信号に対して、又はそうでなければ信号を用いて任意の数の動作を実行するように構成され得る。例えば、プロセッサ108は、受信されたデジタル信号中の特定のパターン又はシグネチャを探し得る。本明細書で使用される場合、「プロセッサ」という用語は、レジスタ及び/若しくはメモリからの電子データを処理して、その電子データをレジスタ及び/若しくはメモリ中に記憶され得る他の電子データに変換し、並びに/又はその電子データに基づいて決定及び/若しくは決断を行う、任意のデバイス又はデバイスの一部分を指し得る。プロセッサ108は、1つ以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、中央処理ユニット(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、暗号プロセッサ(ハードウェア内で暗号アルゴリズムを実行する専用プロセッサ)、サーバプロセッサ、特注半導体、又は任意の他の適切な処理デバイスを含み得る。より一般的な意味では、所与の受信機アプリケーションに適した任意の処理エンティティが使用されることができる。
【0016】
[0023]図2は、本開示の実施形態による、例えば、図1の受信機システムのRFフロントエンド中で使用されることができる自己調整Nパスフィルタ110の概略図を例示する。見られるように、フィルタ110は、調整回路204及び帯域除去又はバンドストップフィルタ206を含む。動作において、フィルタ110は、周波数選択リミッタ(FSL)の例である。特に、フィルタ110は、弱い信号が存在するときには本質的にオールパス又はハイパスフィルタとして機能するが、強い信号(例えば、ジャミング信号)が存在するときにはバンドストップとして機能して、ジャミングで使用されるような狭い周波数帯域中の高電力信号を減衰させるか又はフィルタリングする。いくつかの実施形態では、フィルタ110は、低振幅信号に対して(オールパスフィルタではなく)ハイパスフィルタとして機能し、より低い周波数信号(例えば、100MHzを下回る信号)が減衰され、それは、GHz範囲中のRF信号の受信に干渉しないであろうことに留意されたい。
【0017】
[0024]図2の実例的な実施形態に更に見られるように、入力RF信号202が、アンテナ102から受信され、その信号のある割合が、カプラ203(例えば、10dB又は20dBカプラ)を介して調整回路204及びバンドストップフィルタ206に結合されるか又は他の方法でルーティングされる。入力RF信号202は、例えば、1つ以上の対象信号と、バンドストップフィルタ206を使用して減衰されるべき少なくとも1つのジャミング信号とを含み得る。出力RF信号210は、バンドストップフィルタ206によって生成され、それは、実質的に減衰されたそのジャミング信号を有する入力RF信号202を効果的に含む。この信号210は、一例では、増幅及びダウンコンバージョン又はアップコンバージョンのためのRFフロントエンド処理を通じて継続する。周波数がジャミング信号に近い他の信号(場合によっては対象信号を含む)も、ある程度減衰され得るが、望ましくないジャミング信号ほどではないことに留意されたい。他の信号のそのような減衰は、フィルタコーナーの鋭さ及びロールオフの急峻さ(例えば、フィルタ極の数、等)などの要因に応じて一実施形態毎に異なり得、それらの他の信号が依然として受信機又は他のアプリケーションによって受信され理解されることができる限り、無視できると見なされることができる。
【0018】
[0025]調整回路204は、実施形態によると、入力信号202の結合された割合又は他の表現を受信し、バンドストップフィルタ206の動作を駆動する複数のクロック信号208を生成するように構成される。例えば、調整回路204は、ジャミング信号が位置する周波数を効果的に識別する制限増幅器を含み、更に、ジャミング信号周波数と実質的に同じ周波数を有する複数の矩形波クロック信号を生成するための遅延ロックループ(DLL)回路を含む。DLLの性質に起因して、複数のクロック信号の各々は、存在するクロック信号の数に依存する同じ量だけ他のクロック信号と位相がずれている。例えば、調整回路204は、3つ、4つ、6つ、又は8つの異なるクロック信号を生成するように設計され得る。3つのクロック信号が生成される場合、4つのクロック信号間の位相差は120°(360°/3)である。4つのクロック信号が生成される場合、3つのクロック信号間の位相差は90°(360°/4)である。同様に、8つのクロック信号が生成される場合、8つのクロック信号間の位相差は45°(360°/8)であり、以下同様である。加えて、クロック信号208の各々のデューティサイクルは、クロックサイクルの数に基づいて変更される。例えば、3つのクロック信号の場合、クロック信号208の各々のデューティサイクルは33%(1/3)に低減される。4つのクロック信号の場合、クロック信号208の各々のデューティサイクルは25%(1/4)に低減される。同様に、8つのクロック信号の場合、クロック信号208の各々のデューティサイクルは12.5%(1/8)に低減され、以下同様である。
【0019】
[0026]電力依存機能を実装するために、調整回路204は、プログラマブル閾値を有する包絡線検波器回路(又は同等の回路)を更に含み得る。1つのそのような実施形態では、包絡線検波器回路は、いくつかの実施形態によると、規定された入力電力レベルに到達したときにのみ、DLLクロック生成回路を起動するために使用されることができる。いくつかのそのような実施形態では、例えば、調整回路204は、バンドストップフィルタ206によって減衰される必要があるほど十分に高い振幅を有する信号が入力RF信号202全体内に存在するかどうかを決定するために、標準的な閾値検出回路を含む。閾値検出回路の振幅閾値は、例えば、ユーザによって手動で、又はソフトウェア若しくは切り替え可能な回路を介して自動的に調整され得る。そのような構成可能性は、いくつかの実施形態によると、例えば、潜在的に有害なジャミング信号に対するRFフロントエンド回路104の感度を変更するために使用されることができる。
【0020】
[0027]いくつかの実施形態によると、バンドストップフィルタ206は、Nパスバンドストップフィルタであり、ここで、ストップバンドの中心周波数は、調整回路204から受信される多相クロック信号208の周波数を自動的に中心とする。多相クロック信号208の周波数は、ジャミング信号と実質的に同じ周波数であるように調整回路204によって決定されるので、バンドストップフィルタ206は、調整回路204からの入力に基づいてそのストップバンド(除去帯域又はノッチとも呼ばれる)を自己調整し、ストップバンドの外側の入力RF信号202内の他の周波数の完全性を維持しながらジャミング信号を減衰させるように設計される。本明細書で使用される場合、ジャミング周波数と実質的に同じである周波数を中心とするストップバンドを有することは、ジャミング周波数がフィルタ206のストップバンドの少なくとも-3dB帯域幅領域内に入ることを意味する。多くの用途では、これは、多相クロック信号208の周波数が例えばジャミング周波数の約0.5~5MHz内にあることを意味する。ストップバンドの幅は、いくつかの実施形態によると、例えば、約1MHz~10MHzであり得る。更に、減衰されるべきジャミング信号の周波数は、完全にストップバンドの中心にある必要はないことに留意されたい。このことから、ジャミング信号がストップバンド内のどこに位置するかに関してある程度の非対称性が存在し得る(例えば、ジャミング信号の中心周波数は、ストップバンドの一方のコーナー周波数に、ストップバンドの他方のコーナー周波数よりも近く位置し得る)。もちろん、対称性も達成され得る。
【0021】
[0028]いくつかの実施形態では、バンドストップフィルタ206は、各々がキャパシタに結合された複数の切り替えられたパス(N個の切り替えられたパス)を含む。多相クロック信号208に基づいて異なるパス間で切り替えることによって、高度に選択的なストップバンドが、特定の対象信号(例えば、ジャミング信号)を減衰させるために作成される。ストップバンド幅は、使用されるキャパシタのサイズに応じて設定され得る。しかしながら、ストップバンド幅はまた、例えば、可変キャパシタを使用することによって、又は異なるサイズのキャパシタを有する異なるキャパシタバンク間で切り替えることによって、調整可能であり得る。ストップバンド幅のこれらの調整は、ユーザによって手動で、又はソフトウェア若しくはプログラマブルプロセッサ若しくはロジックを介して自動的に行われ得る。
【0022】
[0029]出力RF信号210は、減衰されたジャミング信号を有するある形態の入力RF信号202を含む。減衰されたジャミング信号は、下流の増幅器を飽和させる又は他の問題を引き起こす可能性がより低い。ジャミング信号が入力RF信号202内に存在しない場合、入力RF信号202は、変更されることなくバンドストップフィルタ206を通過するか、又はバンドストップフィルタ206の周りに迂回されるかのうちのいずれかであろう。いくつかの実施形態では、ジャミング信号が入力RF信号202内に存在しない(例えば、クロック信号がバンドストップフィルタ206に供給されない)場合、バンドストップフィルタ206は、低カットオフ周波数を有するハイパスフィルタとして機能し、関連するRF周波数の信号を最小限の減衰で通過させる。
【0023】
[0030]図3は、実施形態によるバンドストップフィルタ206の少なくとも一部分についての実例的な回路図を例示する。入力RF信号(Vin)は、それぞれのスイッチ302-1~302-Nの状態に基づいて、一連のN個のパスのうちの1つ以上に分流される。いくつかのそのような実施形態では、各パスは、1つのスイッチを含むが、他の実施形態は、N個のパスのうちのいずれの上にも任意の数のスイッチを含み得る。N個のパスの各々は、各パス上に同じキャパシタンスを有し得る1つ以上のキャパシタ(C)を含むが、他の実施形態は、(様々な量の切り替え可能なキャパシタンスが所与の用途に適している限り)異なるパス上に異なるキャパシタンスを有し得る。
【0024】
[0031]スイッチ302-1~302-Nのための切り替え周波数は、受信された複数のクロック信号208に基づく。いくつかの実施形態では、各スイッチ302-1~302-Nは、複数のクロック信号208のうちの1つに対応し、対応するクロック信号と同相で閉じられる。出力電圧(Vout)は、(RL/(RL+RS))(Vin-VSC)として提供される。切り替えられたキャパシタ部分(VSCによって表される)は、ソース及び負荷抵抗器と組み合わせて、切り替え周波数に対して高インピーダンス素子として機能し、その一方で、切り替え周波数から離れた周波数(例えば、ストップバンドの外側)に対して低インピーダンスを提示する。上述したように、キャパシタ(C)は、ストップバンドのサイズを調整するために可変キャパシタであり得る。いくつかの他の実施形態では、異なるサイズのキャパシタを有する異なるバンクが、ストップバンドサイズを選択するためにパス毎に切り替えられ得る。
【0025】
[0032]図4は、実施形態による、調整回路204のより詳細な概略図を例示する。この実例的な場合に見られるように、調整回路204は、包絡線検波器402と、電圧リミッタ回路404と、エッジ合成回路を有する遅延ロックループ406とを含む。いくつかの実施形態では、エッジ合成回路は、遅延ロックループ406とは別個である。様々な増幅器、フィルタ、又は他のタイプの信号調整回路を含む他の回路も含まれ得る。同様に、認識されるように、同様の機能を提供する他の同等の回路は、示される特定の実例的な回路の代わりに使用されることができる。
【0026】
[0033]更に見られるように、入力RF信号(RFin)の表現は、包絡線検波器402によって受信され、包絡線検波器402は、RFinを監視し、RFinの任意の部分の振幅が閾値を超えるかどうかを決定する。閾値は、ユーザによって構成可能であり得るか、又はRFinのある特定の特性に基づいて設定され得る。振幅閾値を超えるRFinの任意の部分は、除去される必要があるジャミング信号を表し得る。それ故に、閾値が交差される場合、包絡線検波器402は、遅延ロックループ406を起動するために起動信号を送信し、遅延ロックループ406は、次に、リミッタ回路404からの入力に基づいて、閾値交差振幅を有するRFinの周波数と同じ周波数を有するクロック信号を生成する。いくつかの実施形態では、包絡線検波器402は、RFinの帯域幅にわたる信号振幅に比例する直流(DC)出力電圧を生成するように構成された1つ以上のダイオード及び周波数フィルタリング構成要素(任意の数のキャパシタ又はインダクタなど)を含む。より一般的な意味では、包絡線検波器402は、標準的な包絡線検波器として実装されることができる。
【0027】
[0034]いくつかの実施形態によると、RFinは、RFin内の最も高い振幅を有する周波数(例えば、ジャミング周波数)を分離し、最も高い振幅周波数と同じ周波数、又は実質的に同じ周波数を有する矩形波出力を生成するリミッタ回路404によっても受信される。この文脈では、「実質的に同じ周波数」は、フィルタリングプロセスに関して無視できる量だけジャミング周波数とは異なる(例えば、100MHz未満だけ異なる)周波数であり得る。矩形波出力は、遅延ロックループ406に供給され、ここで、異なる位相(しかし同じ周波数)の複数のクロック信号が生成される。いくつかの実施形態では、リミッタ回路404は、増幅器を意図的に飽和させ、入力信号からの最も支配的な(例えば、最も高い振幅)信号と同じ周波数を有する矩形波出力を生成するために、高利得を有する増幅器を含む。ジャミング信号が存在する場合、その振幅は、所望のRF信号よりも遙かに高くなり、このことから増幅器は、ジャミング信号周波数に厳密に一致する周波数を有する矩形波信号を生成するであろう。いくつかの実施形態では、単一の高利得増幅器段が制限増幅器として使用されるが、いくつかの他の実施形態では、いくつかの増幅器段が共にカスケードされて制限増幅器を形成する。より一般的な意味では、リミッタ回路404は、標準的な電圧リミッタとして実装されることができる。
【0028】
[0035]いくつかの実施形態によると、リミッタ回路404からの矩形波出力は、遅延ロックループ406を使用して複数の位相シフトされたクロック信号を生成するために、複数回遅延される。遅延ロックループ406は、各段からオフセットされた位相を維持するために、負のフィードバックループにおいて位相比較器回路に結合されたカスケードされたインバータ回路(又は他の同様の遅延ゲート)の遅延ラインを含み得る。簡単にいうと、位相比較器回路は、遅延ラインへの入力と遅延ラインの端部からの出力との間の位相差を検出し、位相誤差に比例する制御電圧を生成して、遅延ラインの段の各々の遅延を調整する。その結果、入力矩形波信号と同じ周波数を有するが、設定量だけ位相がオフセットされた複数のクロック信号が得られる。いくつかの実施形態によると、遅延ロックループは、3つ、4つ、6つ、又は8つの位相シフトされたクロック信号を生成する。しかしながら、任意の数の位相シフトされたクロック信号が生成されることができると理解されるものとする。いくつかの実施形態では、位相ロックループ(PLL)が、遅延ロックループ406の代わりに使用される。より一般的な意味では、回路406は、標準的なDLL又はPLLとして実装されることができる。
【0029】
[0036]いくつかの実施形態によると、遅延ロックループ406から生成された複数のクロック信号は、エッジ合成回路(DLL406中に含まれるか、又はディスクリート回路としてかのうちのいずれか)によって受信され、ここで、クロック信号の各々のデューティサイクルは、最終的な複数のクロック信号208を生成するために低減される。いくつかのそのような実施形態によると、エッジ合成回路は、1つ以上のANDゲートを含み、ここで、複数のクロック信号の各々は、ANDゲートの入力に提供され、その一方で、同じ周波数を有するが、異なる位相を有する別の矩形波信号は、ANDゲートの他の入力に提供される。その結果、入力信号間の位相の差に基づいて低減されたデューティサイクルを有するクロック信号が得られる。デューティサイクルの低減は、遅延ロックループ406によって生成される異なるクロック信号の数に依存する。複数のクロック信号の各々のデューティサイクルは、エッジ合成回路408によって1/(クロック信号の#)に設定され、そのため、ほんの数例を挙げると、3つのクロック信号は、33%デューティサイクルをもたらし、4つのクロック信号は、25%デューティサイクルをもたらし、8つのクロック信号は、12.5%のデューティサイクルをもたらす。いくつかの実施形態によると、下げられたデューティサイクルは、バンドストップフィルタ206のスイッチを動作させるために必要とされるタイミングにクロック信号を適合させる。いくつかの特定の実例的な実施形態では、DLL406は、エッジ合成を有する標準的なDLLとして実装されるが、他の同等の回路が使用されることができる。
【0030】
[0037]図5は、本開示の実施形態のうちのいくつかによる、周波数選択制限(FSL)が使用されないとき及び使用されるときにジャミング信号が存在する入力RF信号に対する影響を示すシミュレートされた信号結果を提供する。このシミュレートされた例における対象信号502は、グラフ部分506に示されるように、-50dBmの振幅及び1.05GHzの周波数を含む。上部のグラフに見られるように、約20ns後に、大きなブロッキング(又はジャミング)信号504が印加される。FSLが使用されない場合、黒色で示されるジャミング信号504は、グラフ部分508に見られるように、0dBm付近の振幅及び1.00GHzの近い周波数を有する対象信号を圧倒する。対象信号502と比較してジャミング信号504の周波数が近く、振幅が比較的大きいため、対象信号502を復元することは非常に困難であろう。しかしながら、FSLが有効にされると、灰色で示されるジャミング信号504は大きく減衰され、その一方で、対象信号への減衰は、グラフ部分510に示されるように遙かに小さく、ここで、ジャミング信号504は、その振幅が27dBmだけ低減されており、その一方で、対象信号502の振幅は、0.5dBmだけ低減されているにすぎない。対象信号502を復元する能力は、ジャミング信号504が減衰されるほど大きく改善される。
【0031】
[0038]いくつかの実施形態によると、図1~4、又は図3及び4(又は何らかの他の集積度)に例示される構成要素の各々は、システムインパッケージ(SIP)としてパッケージに組み込まれ得る。例えば、少なくとも調整回路204及びバンドストップフィルタ206は、同じ半導体チップ上にモノリシックに集積され得るか、又は同じ材料の異なる半導体チップ上に設けられ得る。いくつかの実施形態では、半導体チップは、ヒ化ガリウム(GaAs)ベースの処理で実装されるが、認識されるように、窒化ガリウム(GaN)若しくはヒ化インジウムガリウム(InGaAs)などの他のIII-V族半導体材料、及び/又はシリコン若しくはゲルマニウム若しくはシリコンゲルマニウム(SiGe)などのIV族半導体材料が、本明細書で提供される実例的な実施形態の様々な半導体チップを実装するために使用され得る。標準的な半導体処理及びパッケージングが使用されることができる。
【0032】
[0039]図6は、チップパッケージ600の実例的な実施形態を例示する。見られるように、チップパッケージ600は、集積回路(IC)ダイ601を含むSIPであり得る。他のダイもチップパッケージ600内に含まれ、同じパッケージ基板604に結合され得る。いくつかの実施形態では、ICダイ601は、少なくとも調整回路204及びバンドストップフィルタ206を含む。更に見られるように、チップパッケージ600は、パッケージ基板604に接合されたハウジング602を含む。ハウジング602は、チップパッケージ600の構成要素に環境保護を提供する任意の材料であり得る。ICダイ601は、接続部606を使用してパッケージ基板604に導電結合され得る。いくつかの実施形態では、接続部606は、ほんの数例を挙げると、はんだバンプ、ボールグリッドアレイ(BGA)、ピン、又はワイヤボンドなどの任意の標準的な又は独自仕様の接続機構を表す。パッケージ基板604は、パッケージ基板604の面の間、又は各面上の異なる位置の間で誘電体材料を通って延在する導電性経路(例えば、導電性ビア及びラインを含む)を有する誘電体材料を含み得る。例えば、パッケージ基板604は、誘電体材料の層のうちの1つ以上の表面に延びる導電性トレースを有する誘電体材料の複数の積層と、誘電体材料の任意の数の層間に延在する1つ以上の導電性ビアとを含み得る。いくつかの実施形態では、パッケージ基板604は、1ミリメートル未満(例えば、0.1ミリメートル~0.5ミリメートル)の厚さを有し得るが、任意の数のパッケージ形状が使用されることができる。追加の導電性接点610が、例えば、プリント回路基板又は別のチップパッケージに導電的に接触するために、パッケージ基板604の反対面に配置され得る。1つ以上のビア608が、パッケージ基板604の厚さを通って延在して、接続部606のうちの1つ以上と接点610のうちの1つ以上との間に導電性経路を提供する。ビア608は、(例示されるように)単一の直線カラムであり得るが、他の構成(例えば、ダマシン、デュアルダマシン、シリコン貫通ビア)が使用されることができる。更に他の実施形態では、ビア608は、複数のより小さい積み重ねられたビアによって作製されるか、又はパッケージ基板604の積み重ねられた誘電体層のうちの様々な層にわたって異なる位置に互い違いに配置される。接点610は、(例えば、バンプベースの接続部又はボールグリッドアレイ構成のための)はんだボールであり得るが、任意の適切なパッケージボンディング機構が使用され得る(例えば、ピングリッドアレイ構成におけるピン、又はランドグリッドアレイ構成におけるランド)。いくつかの実施形態では、短絡を阻止するために、はんだレジストが接点610間に配置される。
【0033】
[0040]いくつかの実施形態では、モールド材料612が、ハウジング602内に含まれるICダイ601の周りに配置され得る。いくつかの実施形態では、モールド材料612は、アンダーフィル材料としてICダイ601とパッケージ基板604との間に含まれ、オーバーフィル材料としてICダイ601とハウジング602との間に含まれる。モールド材料612の寸法及び品質は、使用されるチップパッケージのタイプ及びパッケージが使用される環境に応じて変化し得る。いくつかの実施形態では、モールド材料612の厚さは、1ミリメートル未満である。モールド材料612に使用され得る実例的な材料は、エポキシモールド材料を含む。場合によっては、モールド材料612は、電気絶縁性であることに加えて、熱伝導性である。いくつかの実施形態では、モールド材料612は、ICダイ601によって受信される、又はそこから送信されるRF信号の減衰をほとんど又は全く引き起こさない。
実例的な通信デバイス
【0034】
[0041]図7は、本明細書で開示される実施形態のうちのいずれかによる、RFフロントエンド回路を含むワイドバンド受信機又はトランシーバを含み得る実例的な通信デバイス700のブロック図である。例えば、通信デバイス700は、ワイドバンドGHzレベル信号を受信するためのRFフロントエンド回路104を有するトランシーバ701を含む。用途に応じて、他の周波数帯域も使用され得る。いくつかの実施形態によると、トランシーバ701のRF回路は、Nパスバンドストップフィルタを使用してブロッカ信号又はジャミング信号を減衰させるように設計されたRFフロントエンド回路104の一部分を含む。いくつかの実施形態では、トランシーバ701は、RFフロントエンド回路104、又は本明細書で様々に提供されるようなNパスフィルタ回路を含む他の回路を有する受信機と置き換えられる。いくつかの構成要素は、通信デバイス700中に含まれるものとして図7に例示されているが、これらの構成要素のうちの任意の1つ以上は、用途に適するように省略又は複製され得る。いくつかの実施形態では、通信デバイス700中に含まれる構成要素の一部又は全部は、1つ以上のマザーボードに取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、これらの構成要素の一部又は全部は、単一のSIP上に作製される。
【0035】
[0042]加えて、様々な実施形態では、通信デバイス700は、図7に例示される構成要素のうちの1つ以上を含まないことがあるが、通信デバイス700は、1つ以上の構成要素に結合するためのインターフェース回路を含み得る。例えば、通信デバイス700は、ディスプレイデバイス706を含まないことがあるが、ディスプレイデバイス706が結合され得るディスプレイデバイスインターフェース回路(例えば、コネクタ及びドライバ回路)を含み得る。例の別のセットでは、通信デバイス700は、オーディオ入力デバイス718又はオーディオ出力デバイス708を含まないことがあるが、オーディオ入力デバイス718又はオーディオ出力デバイス708が結合され得るオーディオ入力又は出力デバイスインターフェース回路(例えば、コネクタ及びサポート回路)を含み得る。
【0036】
[0043]通信デバイス700は、処理デバイス702(例えば、1つ以上の処理デバイス)を含み得る。本明細書で使用される場合、「処理デバイス又は」「プロセッサ」という用語は、レジスタ及び/又はメモリからの電子データを処理して、その電子データをレジスタ及び/又はメモリ中に記憶され得る他の電子データに変換する、任意のデバイス又はデバイスの一部分を指し得る。処理デバイス702は、1つ以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、中央処理ユニット(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、暗号プロセッサ(ハードウェア内で暗号アルゴリズムを実行する専用プロセッサ)、サーバプロセッサ、又は任意の他の適切な処理デバイスを含み得る。通信デバイス700は、揮発性メモリ(例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM))、不揮発性メモリ(例えば、読み出し専用メモリ(ROM))、フラッシュメモリ、ソリッドステートメモリ、及び/又はハードドライブなどの1つ以上のメモリデバイスをそれ自体が含み得るメモリ704を含み得る。いくつかの実施形態では、メモリ704は、処理デバイス702とダイを共有するメモリを含み得る。このメモリは、キャッシュメモリとして使用され得、埋め込み型ダイナミックランダムアクセスメモリ(eDRAM:embedded dynamic random-access memory)又はスピントランスファートルク磁気ランダムアクセスメモリ(STT-MRAM:spin transfer torque magnetic random access memory)を含み得る。
【0037】
[0044]いくつかの実施形態では、通信デバイス700は、通信モジュール712(例えば、1つ以上の通信モジュール)を含み得る。例えば、通信モジュール712は、通信デバイス700への及びそれからのデータの転送のためのワイヤレス通信を管理するように構成され得る。「ワイヤレス」という用語及びその派生語は、非固体媒体を通る変調された電磁放射線の使用を通じてデータを通信し得る、回路、デバイス、システム、方法、技法、通信チャネル、等を説明するために使用され得る。この用語は、関連するデバイスがいかなるワイヤも含まないことを暗示するものではないが、いくつかの実施形態では含まないことがある。
【0038】
[0045]通信モジュール712は、限定はしないが、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリ)、IEEE802.16規格(例えば、IEEE 802.16-2005 Amendment)、任意の修正、更新、及び/又は改訂を伴うLTE(登録商標)プロジェクト(例えば、アドバンストLTEプロジェクト、ウルトラモバイルブロードバンド(UMB)プロジェクト(「3GPP(登録商標)2」とも呼ばれる)、等)を含むIEEE(Institute for Electrical and Electronic Engineers)規格を含むいくつかのワイヤレス規格又はプロトコルのうちのいずれかを実装し得る。IEEE802.16互換BWA(Broadband Wireless Access)ネットワークは、一般に、WiMAXネットワークと呼ばれ、Worldwide Interoperability for Microwave Accessを表す頭字語であり、それは、IEEE802.16規格のための適合性及び相互運用性試験に合格する製品のための認証マークである。通信モジュール712は、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communication)、GPRS(General Packet Radio Service)、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)、HSPA(High Speed Packet Access)、E-HSPA(Evolved HSPA)、又はLTEネットワークに従って動作し得る。通信モジュール712は、EDGE(Enhanced Data for GSM(登録商標) Evolution)、GERAN(GSM EDGE Radio Access Network)、UTRAN(Universal Terrestrial Radio Access Network)、又はE-UTRAN(Evolved UTRAN)に従って動作し得る。通信モジュール712は、CDMA(Code Division Multiple Access)、TDMA(Time Division Multiple Access)、DECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)、EV-DO(Evolution-Data Optimized)、及びそれらの派生物、並びに3G、4G、5G、及びそれ以降として指定される任意の他のワイヤレスプロトコルに従って動作し得る。通信モジュール712は、他の実施形態では、他のワイヤレスプロトコルに従って動作し得る。通信デバイス700は、ワイヤレス通信を容易にするため及び/又は他のワイヤレス通信(AM又はFM無線送信など)を受信するためのトランシーバ701を含み得る。
【0039】
[0046]いくつかの実施形態では、通信モジュール712は、電気的、光学的、又は任意の他の適切な通信プロトコル(例えば、イーサネット(登録商標))などのワイヤード通信を管理し得る。上述したように、通信モジュール712は、複数の通信モジュールを含み得る。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi又はBluetooth(登録商標)などの短距離ワイヤレス通信専用であり得、第2の通信モジュールは、全地球測位システム(GPS)、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、EV-DO、又はその他などの長距離ワイヤレス通信専用であり得る。いくつかの実施形態では、第1の通信モジュールは、ワイヤレス通信専用であり得、第2の通信モジュールは、ワイヤード通信専用であり得る。
【0040】
[0047]通信デバイス700は、バッテリ/電源回路714を含み得る。バッテリ/電源回路714は、1つ以上のエネルギー貯蔵デバイス(例えば、バッテリ又はキャパシタ)、及び/又は通信デバイス700の構成要素を通信デバイス700とは別個のエネルギー源(例えば、ACライン電源)に結合するための回路を含み得る。
【0041】
[0048]通信デバイス700は、ディスプレイデバイス706(又は上記で議論されたような対応するインターフェース回路)を含み得る。ディスプレイデバイス706は、ヘッドアップディスプレイ、コンピュータモニタ、プロジェクタ、タッチスクリーンディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ、又はフラットパネルディスプレイなど、任意の視覚インジケータを含み得る。
【0042】
[0049]通信デバイス700は、オーディオ出力デバイス708(又は上記で議論されたような対応するインターフェース回路)を含み得る。オーディオ出力デバイス708は、スピーカ、ヘッドセット、又はイヤホンなどの可聴インジケータを生成する任意のデバイスを含み得る。
【0043】
[0050]通信デバイス700は、オーディオ入力デバイス718(又は上記で議論されたような対応するインターフェース回路)を含み得る。オーディオ入力デバイス718は、マイクロフォン、マイクロフォンアレイ、又はデジタル楽器(例えば、楽器デジタルインターフェース(MIDI)出力を有する楽器)など、音を表す信号を生成する任意のデバイスを含み得る。
【0044】
[0051]通信デバイス700は、GPSデバイス716(又は上記で議論されたような対応するインターフェース回路)を含み得る。GPSデバイス716は、当技術分野で知られているように、衛星ベースのシステムと通信し得、通信デバイス700の位置を受信し得る。
【0045】
[0052]通信デバイス700は、他の出力デバイス710(又は上記で議論されたような対応するインターフェース回路)を含み得る。他の出力デバイス710の例は、オーディオコーデック、ビデオコーデック、プリンタ、他のデバイスに情報を提供するためのワイヤード若しくはワイヤレス送信機、又は追加の記憶デバイスを含み得る。
【0046】
[0053]通信デバイス700は、他の入力デバイス720(又は上記で議論されたような対応するインターフェース回路)を含み得る。他の入力デバイス720の例は、加速度計、ジャイロスコープ、コンパス、画像キャプチャデバイス、キーボード、マウスなどのカーソル制御デバイス、スタイラス、タッチパッド、バーコードリーダ、QR(Quick Response)コードリーダ、任意のセンサ、又は無線周波数識別(RFID)リーダを含み得る。
【0047】
[0054]通信デバイス700は、ハンドヘルド若しくはモバイル通信デバイス(例えば、携帯電話、スマートフォン、モバイルインターネットデバイス、音楽プレーヤ、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、ウルトラブックコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、ウルトラモバイルパーソナルコンピュータ、等)、デスクトップ通信デバイス、サーバ若しくは他のネットワーク化されたコンピューティング構成要素、プリンタ、スキャナ、モニタ、セットトップボックス、エンターテインメント制御ユニット、ビークル制御ユニット、デジタルカメラ、デジタルビデオレコーダ、又はウェアラブル通信デバイスなど、任意の所望のフォームファクタを有し得る。いくつかの実施形態では、通信デバイス700は、データを処理する任意の他の電子デバイスであり得る。
【0048】
[0055]特に明記しない限り、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」などの用語は、コンピュータシステムのレジスタ及び/又はメモリユニット内の物理量(例えば電子)として表されるデータを、コンピュータシステムのレジスタ、メモリユニット、又は他のそのような情報記憶送信若しくは表示内の物理量として同様に表される他のデータに操作及び/又は変換する、コンピュータ若しくはコンピューティングシステム、又は同様の電子コンピューティングデバイスのアクション及び/又はプロセスを指すことが認識され得る。実施形態は、この文脈に限定されない。
【0049】
[0056]「回路(circuit)」又は「回路(circuitry)」という用語は、本明細書のどの実施形態で使用される場合も、例えば、単独で又は任意の組み合わせで、ハードワイヤード回路、1つ以上の個々の命令処理コアを備えるコンピュータプロセッサなどのプログラマブル回路、ステートマシン回路、及び/又はプログラマブル回路によって実行される命令を記憶するファームウェアを備え得る。回路は、本明細書で説明された1つ以上の動作を実行するための1つ以上の命令を実行するように構成されたプロセッサ及び/又はコントローラを含み得る。命令は、例えば、回路に、前述された動作のうちのいずれかを実行させるように構成された、アプリケーション、ソフトウェア、ファームウェア、等として具現化され得る。ソフトウェアは、コンピュータ可読記憶デバイス上に記録されたソフトウェアパッケージ、コード、命令、命令セット、及び/又はデータとして具現化され得る。ソフトウェアは、任意の数のプロセスを含むように具現化又は実装され得、プロセスは、次に、階層的な様式で任意の数のスレッド、等を含むように具現化又は実装され得る。ファームウェアは、メモリデバイス中にハードコーディングされた(例えば、不揮発性の)コード、命令若しくは命令セット、及び/又はデータとして具現化され得る。回路は、より大きなシステム、例えば、集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォン、等の一部を形成する回路として集合的に又は個々に具現化され得る。他の実施形態は、プログラム可能な制御デバイスによって実行されるソフトウェアとして実装され得る。本明細書で説明されたように、様々な実施形態は、ハードウェア要素、ソフトウェア要素、又はそれらの任意の組み合わせを使用して実装され得る。ハードウェア要素の例は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、回路、回路要素(例えば、トランジスタ、抵抗器、キャパシタ、インダクタなど)、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ロジックゲート、レジスタ、半導体デバイス、チップ、マイクロチップ、チップセットなどを含み得る。
【0050】
[0057]実施形態の完全な理解を提供するために、数多くの特定の詳細が本明細書で述べられてきた。しかしながら、実施形態がこれらの特定の詳細なしに実施され得ることは、当業者によって理解されるであろう。他の事例では、周知の動作、構成要素、及び回路は、実施形態を曖昧にしないために、詳細には説明されていない。本明細書で開示された特定の構造的及び機能的詳細は代表的なものであり得、必ずしも実施形態の範囲を限定するものではないことが認識されることができる。加えて、主題は、構造的特徴及び/又は方法論的動作(methodological act)に特有の言語で説明されてきたが、添付された特許請求の範囲で定義された主題は、本明細書で説明された特定の特徴又は動作に必ずしも限定されないことが理解されるべきである。むしろ、本明細書で説明された特定の特徴及び動作は、特許請求の範囲を実装する実例的な形態として開示される。
更なる実例的な実施形態
【0051】
[0058]以下の例は、更なる実施形態に関し、それらから多数の置換及び構成が明らかになるであろう。
【0052】
[0059]例1は、信号調整回路及びバンドストップフィルタを含む無線周波数(RF)フィルタである。信号調整回路は、RF信号を受信するように構成され、RF信号は、ジャミング周波数のジャミング信号と対象信号とを含む。信号調整回路は、複数のクロック信号を生成するように更に構成される。複数のクロック信号の各々は、ジャミング周波数と実質的に同じ周波数を有し、複数のクロック信号の各々は、異なる位相シフトを有する。バンドストップフィルタは、RF信号及び複数のクロック信号を受信し、複数のクロック信号の周波数を中心とするバンドストップ内の信号を減衰させるように構成される。ジャミング周波数は、バンドストップ内にあり、対象信号は、バンドストップ外にある。
【0053】
[0060]例2は、例1に記載の主題を含み、RF信号は、10GHz~20GHzの帯域幅を有する。
【0054】
[0061]例3は、例1又は2に記載の主題を含み、複数のクロック信号は、3つ、4つ、6つ、又は8つのクロック信号を含む。
【0055】
[0062]例4は、例1~3のうちのいずれか1つに記載の主題を含み、バンドストップフィルタは、N個の切り替えられたパスに沿って配置された1つ以上のキャパシタを有するNパスバンドストップフィルタである。
【0056】
[0063]例5は、例1~4のうちのいずれか1つに記載の主題を含み、信号調整回路は、RF信号を受信し、ジャミング周波数と実質的に同じ周波数を有する矩形波信号を生成するように構成された電圧リミッタ回路を備える。
【0057】
[0064]例6は、例5に記載の主題を含み、信号調整回路は、矩形波信号を受信し、複数のクロック信号を生成するように構成された遅延ロックループ(DLL)を備える。
【0058】
[0065]例7は、例6の主題を含み、DLLは、複数のクロック信号中のクロック信号の数に基づいて複数のクロック信号の各々のデューティサイクルを変更するように構成されたエッジ合成回路を備える。
【0059】
[0066]例8は、例6又は7に記載の主題を含み、信号調整回路は、RF信号を受信し、RF信号の任意の部分が閾値よりも高い振幅を有する場合にDLLに起動信号を提供するように構成された包絡線検波器回路を備える。
【0060】
[0067]例9は、例8に記載の主題を含み、閾値は、再構成可能である。
【0061】
[0068]例10は、例1~9のうちのいずれか1つに記載のRFフィルタを備えるワイドバンドRF受信機である。
【0062】
[0069]例11は、パッケージ基板と、パッケージ基板に結合された1つ以上の集積回路チップとを含むシステムインパッケージ(SIP)である。1つ以上の集積回路チップは、信号調整回路及びバンドストップフィルタを含む。信号調整回路は、RF信号を受信するように構成され、RF信号は、ジャミング周波数のジャミング信号と対象信号とを含む。信号調整回路は、複数のクロック信号を生成するように更に構成される。複数のクロック信号の各々は、ジャミング周波数と実質的に同じ周波数を有し、複数のクロック信号の各々は、異なる位相シフトを有する。バンドストップフィルタは、RF信号及び複数のクロック信号を受信し、複数のクロック信号の周波数を中心とするバンドストップ内の信号を減衰させるように構成される。ジャミング周波数は、バンドストップ内にあり、対象信号は、バンドストップ外にある。
【0063】
[0070]例12は、例11に記載の主題を含み、RF信号は、10GHz~20GHzの帯域幅を有する。
【0064】
[0071]例13は、例11又は12に記載の主題を含み、複数のクロック信号は、3つ、4つ、6つ、又は8つのクロック信号を含む。
【0065】
[0072]例14は、例11~13のうちのいずれか1つに記載の主題を含み、バンドストップフィルタは、N個の切り替えられたパスに沿って配置された1つ以上の切り替えられたキャパシタを有するNパスバンドストップフィルタである。
【0066】
[0073]例15は、例11~14のうちのいずれか1つに記載の主題を含み、信号調整回路は、RF信号を受信し、ジャミング周波数と実質的に同じ周波数を有する矩形波信号を生成するように構成された電圧リミッタ回路を備える。
【0067】
[0074]例16は、例15に記載の主題を含み、信号調整回路は、矩形波信号を受信し、複数のクロック信号を生成するように構成された遅延ロックループ(DLL)を備える。
【0068】
[0075]例17は、例16の主題を含み、DLLは、複数のクロック信号中のクロック信号の数に基づいて複数のクロック信号の各々のデューティサイクルを変更するように構成されたエッジ合成回路を備える。
【0069】
[0076]例18は、例16又は17に記載の主題を含み、信号調整回路は、RF信号を受信し、RF信号の任意の部分が閾値よりも高い振幅を有する場合にDLLに起動信号を提供するように構成された包絡線検波器回路を備える。
【0070】
[0077]例19は、例18に記載の主題を含み、閾値は、再構成可能である。
【0071】
[0078]例20は、アンテナと、RFフロントエンド回路と、アナログデジタル変換器と、デジタルシグナルプロセッサとを含む受信機システムである。アンテナは、ジャミング周波数のジャミング信号と対象信号とを有するRF信号を受信するように構成される。RFフロントエンド回路は、アンテナからRF信号を受信し、RF信号の増幅された部分を生成するように構成される。アナログデジタル変換器は、RF信号の増幅された部分を受信し、デジタル化された信号を生成するように構成される。デジタルシグナルプロセッサは、デジタル化された信号を受信するように構成される。RFフロントエンド回路は、信号調整回路及びバンドストップフィルタを更に含む。信号調整回路は、RF信号を受信するように構成される。信号調整回路は、複数のクロック信号を生成するように更に構成される。複数のクロック信号の各々は、ジャミング周波数と実質的に同じ周波数を有し、複数のクロック信号の各々は、異なる位相シフトを有する。バンドストップフィルタは、RF信号及び複数のクロック信号を受信し、複数のクロック信号の周波数を中心とするバンドストップ内の信号を減衰させるように構成される。ジャミング周波数は、バンドストップ内にあり、対象信号は、バンドストップ外にある。
【0072】
[0079]例21は、例20に記載の主題を含み、RF信号は、10GHz~20GHzの帯域幅を有する。
【0073】
[0080]例22は、例20又は21に記載の主題を含み、複数のクロック信号は、3つ、4つ、6つ、又は8つのクロック信号を含む。
【0074】
[0081]例23は、例20~22のうちのいずれか1つに記載の主題を含み、バンドストップフィルタは、N個の切り替えられたパスに沿って配置された1つ以上の切り替えられたキャパシタを有するNパスバンドストップフィルタである。
【0075】
[0082]例24は、例20~23のうちのいずれか1つに記載の主題を含み、信号調整回路は、RF信号を受信し、ジャミング周波数と実質的に同じ周波数を有する矩形波信号を生成するように構成された電圧リミッタ回路を備える。
【0076】
[0083]例25は、例24に記載の主題を含み、信号調整回路は、矩形波信号を受信し、複数のクロック信号を生成するように構成された遅延ロックループ(DLL)を備える。
【0077】
[0084]例26は、例25の主題を含み、DLLは、複数のクロック信号中のクロック信号の数に基づいて複数のクロック信号の各々のデューティサイクルを変更するように構成されたエッジ合成回路を備える。
【0078】
[0085]例27は、例25又は26に記載の主題を含み、信号調整回路は、RF信号を受信し、RF信号の任意の部分が閾値よりも高い振幅を有する場合にDLLに起動信号を提供するように構成された包絡線検波器回路を備える。
【0079】
[0086]例28は、例27に記載の主題を含み、閾値は、再構成可能である。
【0080】
[0087]例29は、先の例のうちのいずれかに記載の主題を含み、受信機、SIP、又はRFフィルタは、トランシーバシステムの一部である。
以下に本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
無線周波数(RF)フィルタであって、
RF信号を受信するように構成された信号調整回路と、前記RF信号は、ジャミング周波数のジャミング信号と対象信号とを含み、前記信号調整回路は、複数のクロック信号を生成するように更に構成され、前記複数のクロック信号の各々は、前記ジャミング周波数と実質的に同じ周波数を有し、前記複数のクロック信号の各々は、異なる位相シフトを有する、
前記RF信号及び前記複数のクロック信号を受信し、前記複数のクロック信号の前記周波数を中心とするバンドストップ内の信号を減衰させるように構成されたバンドストップフィルタと、ここにおいて、前記ジャミング周波数は、前記バンドストップ内にあり、前記対象信号は、前記バンドストップ外にある、
を備える、RFフィルタ。
[C2]
前記RF信号は、10GHz~20GHzの帯域幅を有する、C1に記載のRFフィルタ。
[C3]
前記複数のクロック信号は、3つ、4つ、6つ、又は8つのクロック信号を含む、C1に記載のRFフィルタ。
[C4]
前記バンドストップフィルタは、N個の切り替えられたパスに沿って配置された1つ以上のキャパシタを有するNパスバンドストップフィルタである、C1に記載のRFフィルタ。
[C5]
前記信号調整回路は、前記RF信号を受信し、前記ジャミング周波数と実質的に同じ周波数を有する矩形波信号を生成するように構成された電圧リミッタ回路を備える、C1に記載のRFフィルタ。
[C6]
前記信号調整回路は、前記矩形波信号を受信し、前記複数のクロック信号を生成するように構成された遅延ロックループ(DLL)を備える、C5に記載のRFフィルタ。
[C7]
前記信号調整回路は、前記複数のクロック信号中のクロック信号の数に基づいて前記複数のクロック信号の各々のデューティサイクルを変更するように構成されたエッジ合成回路を備える、C6に記載のRFフィルタ。
[C8]
前記信号調整回路は、前記RF信号を受信し、前記RF信号の任意の部分が閾値よりも高い振幅を有する場合に前記DLLに起動信号を提供するように構成された包絡線検波器回路を備える、C6に記載のRFフィルタ。
[C9]
前記閾値は、再構成可能である、C8に記載のRFフィルタ。
[C10]
C1に記載のRFフィルタを備える、ワイドバンドRF受信機。
[C11]
システムインパッケージ(SIP)デバイスであって、
パッケージ基板と、
前記パッケージ基板に結合された1つ以上の集積回路チップと
を備え、前記1つ以上の集積回路チップは、
RF信号を受信するように構成された信号調整回路と、前記RF信号は、ジャミング周波数のジャミング信号と対象信号とを含み、前記信号調整回路は、複数のクロック信号を生成するように更に構成され、前記複数のクロック信号の各々は、前記ジャミング周波数と実質的に同じ周波数を有し、前記複数のクロック信号の各々は、異なる位相シフトを有する、
前記RF信号及び前記複数のクロック信号を受信し、前記複数のクロック信号の前記周波数を中心とするバンドストップ内の信号を減衰させるように構成されたバンドストップフィルタと、ここにおいて、前記ジャミング周波数は、前記バンドストップ内にあり、前記対象信号は、前記バンドストップ外にある、
を備える、SIPデバイス。
[C12]
前記RF信号は、10GHz~20GHzの帯域幅を有する、C11に記載のSIPデバイス。
[C13]
前記複数のクロック信号は、3つ、4つ、6つ、又は8つのクロック信号を含む、C11に記載のSIPデバイス。
[C14]
前記バンドストップフィルタは、N個の切り替えられたパスに沿って配置された1つ以上の切り替えられたキャパシタを有するNパスバンドストップフィルタである、C11に記載のSIPデバイス。
[C15]
前記信号調整回路は、前記RF信号を受信し、前記ジャミング周波数と実質的に同じ周波数を有する矩形波信号を生成するように構成された電圧リミッタ回路を備える、C11に記載のSIPデバイス。
[C16]
前記信号調整回路は、前記矩形波信号を受信し、前記複数のクロック信号を生成するように構成された遅延ロックループ(DLL)を備える、C15に記載のSIPデバイス。
[C17]
前記DLLは、前記複数のクロック信号中のクロック信号の数に基づいて前記複数のクロック信号の各々のデューティサイクルを変更するように構成されたエッジ合成回路を備える、C16に記載のSIPデバイス。
[C18]
前記信号調整回路は、前記RF信号を受信し、前記RF信号の任意の部分が閾値よりも高い振幅を有する場合に前記DLLに起動信号を提供するように構成された包絡線検波器回路を備える、C16に記載のSIPデバイス。
[C19]
前記閾値は、再構成可能である、C18に記載のSIPデバイス。
[C20]
受信機システムであって、
ジャミング周波数のジャミング信号と対象信号とを有するRF信号を受信するように構成されたアンテナと、
前記アンテナから前記RF信号を受信し、前記RF信号の増幅された部分を生成するように構成されたRFフロントエンド回路と、
前記RF信号の前記増幅された部分を受信し、デジタル化された信号を生成するように構成されたアナログデジタル変換器と、
前記デジタル化された信号を受信するように構成されたデジタルシグナルプロセッサと
を備え、前記RFフロントエンド回路は、
前記RF信号を受信し、複数のクロック信号を生成するように構成された信号調整回路と、ここにおいて、前記複数のクロック信号の各々は、前記ジャミング周波数と実質的に同じ周波数を有し、前記複数のクロック信号の各々は、異なる位相シフトを有する、
前記RF信号及び前記複数のクロック信号を受信し、前記複数のクロック信号の前記周波数を中心とするバンドストップ内の信号を減衰させるように構成されたバンドストップフィルタと、ここにおいて、前記ジャミング周波数は、前記バンドストップ内にあり、前記対象信号は、前記バンドストップ外にある、
を備える、受信機システム。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7