(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】関数ベースのマッチングパターンを使用するフィンガープリンティングのための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20230710BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20230710BHJP
H04W 64/00 20090101ALN20230710BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
H04W16/28
H04W64/00 110
(21)【出願番号】P 2022559739
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(86)【国際出願番号】 EP2021055104
(87)【国際公開番号】W WO2021197739
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-23
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594102418
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ
【氏名又は名称原語表記】Fraunhofer-Gesellschaft zur Foerderung der angewandten Forschung e.V.
【住所又は居所原語表記】Hansastrasse 27c, D-80686 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100207837
【氏名又は名称】小松原 寿美
(74)【代理人】
【識別番号】100214640
【氏名又は名称】立山 千晶
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーペル、トルシュテン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー、シュテフェン
(72)【発明者】
【氏名】アラウィー、モハンマド
(72)【発明者】
【氏名】ペルナー、バスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ハップ、ユルゲン
【審査官】▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/042081(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0037529(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0260452(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0294462(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - G01S 5/14
H04W 4/00 - H04W 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受信機ビームを用いて測定デバイス(801、1000)により実施される方法であって、
上位レイヤの信号伝達を介して、リソースまたはリソースセットに関連付けられた1つまたは複数のビーム信号を送信する1つまたは複数の送信デバイスの前記リソースまたはリソースセットに関する情報を受信する工程(901)と、
前記測定デバイスの受信機ビームごとに、前記1つまたは複数のビーム信号のチャネル測定を実施する工程(902)と、
少なくとも1つの時間フレームにわたって、チャネル測定値を測定グループに保存する工程(903)であって、各測定グループは、前記測定デバイスの同じ受信機ビームを用いて実施される前記チャネル測定値に対応しており、ある測定グループのチャネル測定に使用される受信機ビームと、別の測定グループのチャネル測定に使用される受信機ビームとが異なっている、前記チャネル測定値を前記測定グループに保存する工程(903)と、
各測定グループの測定値を、各利用可能な時間フレームに対する基準データと個々に相関させる工程と、
ネットワークノード(804、1200)が前記測定グループを用いて前記測定デバイス(801、1000)の場所を決定することを可能にするために、前記測定グループを前記ネットワークノードに報告する工程(904)と、を含む方法。
【請求項2】
前記測定グループの間の相関を決定し、前記ネットワークノードに、定義された相関閾値未満の
前記測定グループの間の相関の結果を報告する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
同じリソースまたはリソースセットを異なる測定グループにマッピングする工程を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記チャネル測定値と前記基準データとの間の差異を組み合わせて、所与の時間フレームで実施された測定に一致するパターン基
準を選択する工程を含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ロングタームエボリューション位置決めプロトコルLPPメッセージにおいて、リソースまたはリソースセットに関する情報を前記ネットワークノードから受信する工程を含み、前記ネットワークノードはロケーションサーバである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
無線リソース制御RRCメッセージにおいて、リソースまたはリソースセットに関する情報を、少なくとも1つのネットワークノードから受信する工程を含み、前記ネットワークノードは、無線基地局である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記チャネル測定値は、受信信号強度インジケータRSSI、または受信信号受信電力RSRP、または受信信号受信品質RSRQ、または信号対雑音比SNR、または受信信号時間差RSTD、または相対的な到達時間RTOA、またはタイミングアドバンスTAのうちの少なくとも1つを含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ロケーションサーバ(804、1200)により実施される方法であって、
1つまたは複数の無線基地局または送信デバイスに、1つまたは複数のビーム信号に関する情報、および/または前記1つまたは複数の基地局または送信デバイスにより送信された前記1つまたは複数のビーム信号に関連付けられたリソースまたはリソースセットに関する情報を提供するように要求する工程(1101)と、
前記1つまたは複数の基地局または送信デバイスからの情報を受信し、受信した情報を、測定デバイス(801、1000)に送信する工程(1102)と、
前記測定デバイス(801、1000)から、測定グループを受信する工程(1103)であって、各測定グループは、同じ受信機ビームを用いて、前記測定デバイス(801、1000)により実施された測定を含んでおり、ある測定グループのチャネル測定に使用される受信機ビームは、別の測定グループのチャネル測定に使用される受信機ビームとは異なっており、各測定グループの測定値は、各利用可能な時間フレームに対する基準データと個別に相関されている、前記測定グループを受信する工程(1103)と、
前記測定デバイス(801、1000)の場所を決定するために、前記測定デバイスから受信された前記測定グループ、および前記1つまたは複数の基地局または送信デバイスから受信された情報を使用する工程(1104)と、を含む方法。
【請求項9】
前記測定デバイス(801、1000)に、前記受信機ビームの数に関して、前記測定デバイス(801、1000)の能力を提供するように要求する工程を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記リソースまたはリソースセットに関する情報を、LPPメッセージで送信する工程を含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
チャネル測定値は、RSSI、またはRSRP、またはRSRQ、またはSNR、またはRSTD、またはRTOA、またはTAのうちの少なくとも1つを含む、請求項8乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
プロセッサ(1010)およびメモリ(1020)を備える測定デバイス(801、1000)であって、前記メモリ(1020)は、前記プロセッサ(1010)により実行可能な命令を含み、前記命令より、前記測定デバイス(801、1000)は、
上位レイヤの信号伝達を介して、リソースまたはリソースセットに関連付けられた1つまたは複数のビーム信号を送信する1つまたは複数の送信デバイスの前記リソースまたはリソースセットに関する情報を受信する工程と、
前記測定デバイスの受信機ビームごとに、前記1つまたは複数のビーム信号のチャネル測定を実施する工程と、
少なくとも1つの時間フレームにわたって、チャネル測定値を測定グループに保存する工程であって、各測定グループは、前記測定デバイスの同じ受信機ビームを用いて実施される前記チャネル測定値に対応しており、ある測定グループのチャネル測定に使用される受信機ビームと、別の測定グループのチャネル測定に使用される受信機ビームとが異なっている、工程と、
各測定グループの測定値を、各利用可能な時間フレームに対する基準データと個別に相関させる工程と、
ネットワークノード(804、1200)が前記測定グループを用いて前記測定デバイス(801、1000)の場所を決定することを可能にするために、前記測定グループを前記ネットワークノードに報告する工程と、を行うように構成される、測定デバイス(801、1000)。
【請求項13】
前記測定グループの間の相関を決定し
、ロケーションサーバに、定義された閾値未満の
前記測定グループの間の相関の結果を報告するように構成される、請求項12に記載の測定デバイス(801、1000)。
【請求項14】
前記測定デバイスは、同じリソースまたはリソースセットを異なる測定グループにマッピングするように構成される、請求項12または13に記載の測定デバイス(801、1000)。
【請求項15】
測定値と前記基準データとの間の差異を組み合わせて、所与の時間フレームで実施された測定に一致するパターン基
準を選択するように構成される、請求項12乃至14のいずれか1項に記載の測定デバイス(801、1000)。
【請求項16】
プロセッサ(1210)およびメモリ(1220)を備えるロケーションサーバ(804、1200)であって、前記メモリ(1220)は、前記プロセッサ(1210)により実行可能な命令を含み、前記命令により、前記ロケーションサーバ(804、1200)は、
1つまたは複数の無線基地局または送信デバイスに、前記1つまたは複数の基地局により送信された1つまたは複数のビーム信号に関連付けられたリソースまたはリソースセットに関する情報を提供するように要求する工程と、
前記1つまたは複数の無線基地局または送信デバイスからの情報を受信し、受信した情報を、測定デバイス(801、1000)に送信する工程と、
前記測定デバイス(801、1000)から、測定グループを受信する工程であって、各測定グループは、同じ受信機ビームを用いて、前記測定デバイス(801、1000)により実施された測定を含んでおり、ある測定グループのチャネル測定に使用される受信機ビームは、別の測定グループのチャネル測定に使用される受信機ビームとは異なっており、各測定グループの測定値は、各利用可能な時間フレームに対する基準データと個別に相関されている、前記測定グループを受信する工程と、
前記測定デバイスの場所を決定するために、前記測定デバイスから受信された前記測定グループ、および前記1つまたは複数の無線基地局または送信デバイスから受信された情報を使用する工程と、を行うように構成される、ロケーションサーバ(804、1220)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信の分野に関し、また詳細には、無線通信システムにおける従来のフィンガープリンティング(fingerprinting)手法を向上させるための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィンガープリンティングは、現在の測定が、既知の場所における基準測定と比較されるパターン認識技法である。様々なタイプの測定および信号(例えば、ラウンドトリップタイム-RTT、到達角度-AoA、磁界など)が使用され得る。使用される最も一般的な測定は、受信信号強度(RSS)である。
【0003】
基準測定のデータベースは、別々の基準点を含む。基準点のそれぞれは、測定値と、測定が記録/取り込まれた場所とを含む。
フィンガープリンティングに基づくシステムの初期段階は、領域の較正を含む。これは、手動で、または計算により行うことができる。一般に、その成果は、前述のように、いわゆるフィンガープリントまたは基準点のデータベースである。それらは、特定の場所における状況を表す。したがって、その場所(例えば、座標または識別子)は、あらゆる単一のデータセット(=基準点)に対して、個々に保存される。
【0004】
一般的なフィンガープリンティングシステムは、加えて、周囲の局識別情報(またはID)、および較正デバイス場所(前に述べた場所)におけるそれらの対応する受信信号強度のリストを保存する。以下では、一般的(従来の)フィンガープリントが示される。
【0005】
【表1】
示されるように、フィンガープリントは、ここではA、B、C、およびDで示される、各無線基地局(この例では、4つの基地局)のIDを含む。無線基地局のそれぞれからの受信信号強度(RSS)を含むフィンガープリントが示される。この情報は、UEの位置を決定するために使用され得る。
【0006】
公知のフィンガープリンティングベースの位置決めシステムでは、いくつかの場所に対する特性パターンがデータベースに保存される(較正段階で)。
次いで、実際の測定が、データベースエントリと比較される。この比較はマッチングと呼ばれ、その目的は、可能な限り測定に類似したデータベースエントリを見出すことである。UEの位置または場所の推定は、最もマッチングするデータベースエントリから場所の重み付けられた幾何学的な付加により行われる。測定され、かつ保存されたパターンは、通常、検出可能な局の一意のID(例えば、媒体アクセス制御(MAC)アドレスなど)のベクトルである。
【0007】
基地局ごとの単一の受信信号強度(またはスナップショット)に基づく従来のシステムは、較正段階であろうと実際の測定段階であろうと、スナップショットは、一時的な作用により大幅に干渉され得るという不利な点を有する。干渉の例は、特に移動する物体または人、および景色(例えば、ドアまたは出入り口など)の一時的な変更であり、それは、1つまたは複数の送信機に対する受信信号強度に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、従来のフィンガープリンティング手法を向上させ、かつUEの位置決定が行われる方法を改善することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書における例示的な実施形態によれば、従来のフィンガープリンティング手法を向上させ、かつユーザ機器の位置を決定する方法を改善するための方法および装置が提供される。
【0010】
本明細書における実施形態の態様によれば、測定デバイスにより行われる方法が提供される。方法は、上位レイヤの信号伝達を介して、リソースまたはリソースセットに関連付けられた1つまたは複数のビーム信号を送信する1つまたは複数の送信デバイスのリソースまたはリソースセットに関する情報を受信する工程と、測定デバイスの空間フィルタまたは受信機ビームごとに、1つまたは複数のビーム信号のチャネル測定を実施する工程と、少なくとも1つの時間時間にわたって、チャネル測定値を測定グループに保存する工程であって、各測定グループは、測定デバイスの同じ空間フィルタまたは受信機ビームを用いて実施されるチャネル測定値に対応する、工程と、測定グループをネットワークノードに報告するか、または各測定グループの測定値を、各利用可能な時間フレームに対する基準データと個々に相関させて、その相関の結果をネットワークノードに報告する工程とを含む。
【0011】
本明細書における実施形態の別の態様によれば、ネットワークノード(例えば、ロケーションサーバ)により実施される方法が提供され、方法は、1つまたは複数の基地局または送信デバイスに、1つまたは複数のビーム信号に関する情報、および/または1つまたは複数の基地局により送信された1つまたは複数のビーム信号に関連付けられたリソースまたはリソースセットに関する情報を提供するように要求する工程と、要求された情報を受信する工程と、受信した情報を測定デバイスに送信する工程と、測定デバイスから、測定グループを受信する工程であって、各測定グループは、同じ空間フィルタまたは受信機ビームを用いて、測定デバイスにより行われた測定を含む、工程と、測定デバイスの場所を決定するために、受信された測定グループ、および1つまたは複数の基地局から受信された情報を使用する工程とを含む。
【0012】
本明細書における実施形態の別の態様によれば、プロセッサおよびメモリを備える測定デバイスが提供され、メモリは、プロセッサにより実行可能な命令を含み、それにより、測定デバイスは、請求項1乃至7の主題のいずれか1項を実施するように構成される。
【0013】
本明細書における実施形態の別の態様によれば、プロセッサおよびメモリを備えるロケーションサーバが提供され、メモリは、プロセッサにより実行可能な命令を含み、それにより、ロケーションサーバは、請求項8乃至11の主題のいずれか1項を実施するように構成される。
【0014】
請求項12による測定デバイスの少なくとも1つのプロセッサに対して実行されたとき、少なくとも1つのプロセッサに、請求項1乃至7のいずれか1項による方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムがまた提供される。
【0015】
請求項16によるロケーションサーバの少なくとも1つのプロセッサに対して実行されたとき、少なくとも1つのプロセッサに、請求項8乃至11のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムがまた提供される。
【0016】
いくつかの利点が、本明細書の諸実施形態により達成される。1つの利点は、従来のフィンガープリンティング手法を向上させることである。別の利点は、デバイスの場所が決定される方法が改善されることである。さらに他の利点は、よりロバストな位置決め手法を有することである。
【0017】
本明細書における実施形態の例、および実施形態のさらなる利点は、添付図面を参照してより詳細に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】時間フレーム0における特定の場所に対するフィンガープリンティングデータの例を示す図。
【
図2】時間フレーム2における特定の場所に対するフィンガープリンティングデータの例を示す図。
【
図3】すべての時間フレームを組み合わせたパターン基準データの例を示す図。
【
図4】非対称ビームパターン、不均一なビーム方向、および一様ではないビーム特性を示す図。
【
図5】動的な(適応型の)ビーム構成(ビーム形成に関連する)および経時的な再構成を示す図。
【
図6】動的な(適応型の)ビーム構成(方向に関連する)および経時的な再構成を示す図。
【
図7A】隣接する無線基地局からの複数のビームを測定する複数の空間フィルタ(または受信機ビーム)を備えた測定デバイス(UE)を含むシナリオを示す図。
【
図7B】測定デバイスは、実施形態に従って、2つの無線基地局からのTxビームを測定し、かつ測定をグループへとグループ化するシナリオを示す図。
【
図8】いくつかの実施形態による、UE、2つのgNB、およびLMFを含む信号伝達図。
【
図9】いくつかの例示的な実施形態による、測定デバイスにより実施される方法のフロー図。
【
図10】実施形態による測定デバイスのブロック図。
【
図11】いくつかの例示的な実施形態によるロケーションサーバにより実施される方法のフロー図。
【
図12】実施形態によるネットワークノード(ロケーションサーバ)のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、図面と併せて例示的な実施形態の詳細な説明が提示され、いくつかのシナリオにおいて、本明細書で述べられる解決策(複数可)の容易な理解を可能にする。
本開示は、位置決めにおけるフィンガープリンティング法に対するパターンとして、セクター化されビーム形成されたアンテナの特性を用いる解決策を記載する。時間経過に対するパラメータの特性を表す関数の形のこの情報の抽象化もまた存在する。
【0020】
用語「ビーム」は、空間的に選択的/指向性の出力信号の送信、または入力信号の受信を示すために以下で使用され、それは、係数の特定な組を用いて、デバイスのアンテナポートにおける信号をプリコーディング/フィルタリングすることにより達成される。プリコーディングまたはフィルタリングという用語は、アナログまたはデジタルドメインにおける信号処理を指すことができる。送信/受信を特定の方向に空間的に導くために使用される係数の組は、1つの方向と別方向では異なる。用語「送信機ビーム」、または送信機ビーム信号は、空間的に選択的な/指向性の送信を示し、また用語「受信機ビーム」は、空間的に選択的な/指向性の受信を示す。送信/または受信をプリコードする/フィルタするために使用される係数の組は、用語「空間フィルタ」により示される。用語「空間フィルタ」は、空間フィルタ係数が、送信/受信が空間的に送られる方向を決定するので、本文書では、用語「ビーム方向」と相互に交換可能に使用される。
【0021】
公知のフィンガープリンティングベースの位置決めシステムでは、特定の場所に対する特性パターンが、データベースに保存される(較正段階)。後に、実際の測定が、これらのデータベースのエントリと比較される。この比較はマッチングと呼ばれ、その目的は、その測定に対して、可能な限り類似したデータベースエントリを見出すことである。位置推定は、最もマッチングするデータベースエントリから場所の重み付けられた幾何学的な付加により行われる。
【0022】
測定され、保存されたパターンは、通常、検出可能な無線基地局(またはgNB)の一意のID(例えば、MACアドレス)のベクトルである。使用される共通の向上は、その対応する受信信号強度を保存することである。その概念は、この値のベクトルを有するだけではなく、関数のベクトルを用いることにより基本的な手法を向上させることを含むことができる。
【0023】
関数は、経時的な基準信号の静的または動的な送信電力レベルとすることができる。それは、実際の検出時間に応じて、受信機における特性変化を生ずる。電力ランピング(power ramping)関数は、測定データ取得段階と、位置計算段階の両方におけるものとすることができる。
【0024】
別の関数は、アンテナの方向とすることができ、その場所に沿った検出において、受信機(測定デバイス)における特性変化を生ずる。これは、障害物により生じた減衰および反射による場合である。このビームストローキング(beam stroking)関数は、測定データ取得段階と、位置計算段階の両方で使用され得る。
【0025】
順次活動化される物理的にセクター化されたアンテナと、ある領域で一時的に放出される電子的に形成されたビームとの間に差異はない。
選択されたビームおよびその形状と共に、送信電力特性などの組み合わされたパターンを用いる可能性を利用することができる。
【0026】
検出デバイスにより実施される関数は、この場合、
- 既知である(例えば、構成により)、
- 交換される(例えば、信号伝達により、または上位の通信により)、
- 推定/推測することにより選択される(一般的なシーケンスで同期化するなど)、または
- 完全に推定/推測する(動的に変化する場合であっても、関数/パターンを観察するか、または学習することなど)。
【0027】
本明細書のいくつかの実施形態によれば、関数ベースのマッチング手法の場合、パターン全体は、各周囲の無線基地局(またはgNB)に対して保存される。保存されたパターンは、経時的に測定された特性(通常、受信信号強度)の推移を表す。この時間フレームは、周期的に実行される関数を表すように限定され得る。
【0028】
その表現は、マッチング段階における予想を正しく調整するために必要な情報を含む。それは、パターンに含まれる各時間フレームに対する実際の値から、ラベルだけを保存し、かつ低減されたデータを含むパターンを有する最小の方法までの範囲にわたることができる。以下のものは、概略的な関数ベースのフィンガープリントであり、ここにおいて、各無線基地局(例えば、A、B、C、またはD)に対して、対応する関数が存在する。この例では、RSSの関数である。
【0029】
【表2】
本明細書で記載される方法は、例えば、ビームを切り換えることによって、受信可能な信号強度に対して完全に新しい条件が生じるという事実から利益が得られる。これは、例えば、建物の内部などの断片化された環境に関して、多くの減衰および反射作用に基づくという点で正しい。
【0030】
したがって、関数が経時的にビーム切換えパターンから構成される可能な実装形態が、本明細書で提示される。簡単化のために、ビームのIDおよびそのシーケンスだけを用いる。実施形態によれば、各ビーム信号の特性が伝達されて保存され得る。これらの特性は、アンテナタイプ、そのゲインまたは完全に指向性の無線パターン、使用される送信電力(またはバーストの時間期間にわたるその推移)などを含むことができる。
【0031】
時間フレーム0における可能なシーケンスが
図1で示される。図示のように、UEは、ビーム形成を使用するいくつかの基地局(またはgNB)により囲まれている。各gNBにより使用される現在のビームは、UEの特定の場所に対して時間フレーム0で示されている。各無線基地局のIDおよびRSS値を含むフィンガープリントデータはまた、
図1の右底部に示されている。様々な角度がまた示されている。時間フレーム1は、簡単化のため省略されている。
図2は、時間フレーム2における特定の場所に対するフィンガープリントデータが得られる測定のシーケンスにおけるさらなる工程を示す。
【0032】
シーケンスにおけるすべての時間フレームの測定を組み合わせることは、すべての関数を備えたパターン基準データを生成する。
図3は、様々な時間フレームにおけるフィンガープリントデータを含むこの組合せの結果を示す。基準位置(UE
ref)は、デカルト距離、または測地座標とすることができるが、それはまた、後の再検討のための注釈として、文字または数字的な識別子とすることができる。
【0033】
特定の場所において、測定は、周期的な1連の一時的にアクティブな送信者設定において、あらゆる時間フレームに対して行われた。ここで、送信者とは無線基地局を示す。
図1および
図2からの例では、各期間において、n=12の時間フレームが使用される。任意の適切なnの値を使用することができる。したがって、n=12は例に過ぎない。
【0034】
その挙動を動的に変化させない、または簡単なアンテナ(ダイポールのような)を有する無線基地局は、容易に統合されることを述べておくべきである。それらは、各時間フレームにおける各測定において、比較的安定したRSS値を有し、またそのパターン(知られた、または推測/推定される)は、静的なパターンとして見ることができる。
【0035】
場所決定のための手順は、マッチングとして表すことができる。この段階は、概して、実際の測定を、以前に取得された基準データと比較する。一般的なフィンガープリンティングシステムにおいて、その対応するRSSと共に検出可能な無線基地局のリストが、測定されることになる。マッチングアルゴリズムは、可能な限り小さい差を有する、データベースからの基準データを決定し、選択するように試みる。データベースからの最も一致するエントリの保存された場所(すなわち、Pos)が、幾何学的に組み合わされることになる。この計算は、モバイルデバイスの位置に対する推定を与える。
【0036】
例示的な実施形態によれば、関数ベースの手法に対するマッチングアルゴリズムが向上される。実際のデータを、データベースからの基準データと比較するために、いくつかの主要な選択肢がある。
【0037】
マッチングは、実際の測定において有効な期間における送信者(複数可)の実際の時間フレーム、またはアクティブな構成を識別する。期間は、絶対時間により、信号送りされたデータにより、または観察によって定義され得る。次いで、パターン基準データから関連するサブセクションが選択される。その後に続いて、UEの位置を計算/決定するために、時間フレームの測定データと、パターン基準データの選択された部分との間の従来のマッチングが使用される。例として、1つの時間フレームまたはサブセットだけが、マッチングに使用され得る、基本的なフィンガープリンティング手法に近い、スナップショットだけを使用することができるが、(基準データベースに保存された)予測は、より正確であり、かつよく比較することができる。
【0038】
例示的な実施形態によれば、モバイルにおける期間のすべての時間フレームに対して受信されたRSS測定を集めることができる。これはその後に、各時間フレームに対する対応する基準データサブセットと、個々に、収集されたデータのマッチングが行われる。その後に続いて、すべての差異の組合せが実施されて、実際の測定データに対して、最も全体的に適合するパターン基準点を選択することができる。最も適合するパターン基準データの保存された位置データが、次いで、UEの場所を計算または推定するために使用される。以下で説明されるように、RSSに代えて、他のチャネル測定値を使用することができる。
【0039】
非常に動的な環境においては、適応型の基地局構成が重要である。関数ベースのマッチング技法の場合、各基地局のパターンを決定することができる。ビーム管理に関して、ラウンドロビン技法は、シーケンスにおいて1つのビームから別のものへの一般的な切換えである。パターンを有するモバイル(またはUE)は、述べられた方法において、マッチング中にその予測を調整することができる。このビームストローキングは、ラウンドロビンよりもより複雑なパターンを有することが可能になる。パターン(大部分はシーケンスである)は、測定をさらに切り離すために、次の(またはさらなる)直接ビームの近隣をスキップすることを利用することができる。適切なシーケンスは、奇数番号のビームから構成され、また1つまたは複数の隣接したビームのスキップから構成され得る。こうすることは、タイミングスプレッド(spread)に基づき、切り離しを最大化する測定の連続シーケンスを生成する。
【0040】
時間的なシーケンスを超えて、アンテナ特性に関して、ビーム操作の複数のバージョンが可能である。これらの個々の幾何学的設定はまた、経時的に進化することができる。
図4から
図6は、パワーランピング(power ramping)を用いた、ビームパターンおよび構成を示す。パワーランピング(すなわち、経時的にビームを生成する)のこの概念は、局(または管理システム)から、場所計算/測定ユニット/デバイス(例えば、モバイルデバイスまたはUE)への実際の構成の定義および信号伝達を要求する。
【0041】
図4は、非対称ビームパターン、不均一なビーム方向、および一様ではないビーム特性を示す。
図5および
図6は、動的な(適応型)ビーム構成(関連するビーム形成)、および経時的な再構成を示す。
【0042】
実施形態によれば、測定デバイスは、上位レイヤの信号伝達を介して、1つまたは複数の送信デバイスのリソースまたはリソースセットに対する情報を受信するように構成される。送信デバイスは、無線基地局、またはgNB、またはTRP(送信および受信点)とすることができる。送信デバイスは、リソースまたはリソースセットに関連付けられた1つまたは複数のビーム信号を送信する。リソースに関する情報は、LPP(LTE位置決めプロトコル)メッセージを介して、ロケーションサーバまたはLMF(場所および管理関数(Location and Management Function))から受信され得る。リソースまたはリソースセットの例は、DL PRSリソース(ダウンリンク位置決め基準信号)である。ロケーションサーバ、またはロケーションサーバのLMFは、gNBからのリソースまたはリソースセットが、異なるビーム特性を用いて送信されるか、または異なる空間フィルタを有すると決定することができる。空間フィルタは、1組のビームを受信/測定するためにデバイスにより使用されるアンテナ特性として見ることができる。空間フィルタはまた、1組のビームを送信するためにデバイスによって使用されるアンテナ特性として見ることもできる。
【0043】
LMFは、gNBに、空間方向(例えば、ビーム)に関する情報を提供するように要求することができる。この場合、LMFは、NRPPa支援データ要求メッセージにおいて、要求を送ることができる。NRPPaは、新しい無線位置決めプロトコルAを表しており、また5G RAN(無線アクセスネットワーク)3GPP規格に含まれるプロトコルである。
【0044】
測定デバイスは、上位レイヤの信号伝達を介して、1つまたは複数のgNBからリソースまたはリソースに関する情報を受信することができる。例として、情報は、RRC(無線リソース制御)メッセージを用いて受信することができる。SSB(同期化信号ブロック)リソース情報、またはCSI-RS(チャネル状態情報-参照信号)リソース情報、またはSRS(サウンディング参照信号)リソース情報が、送信デバイスから、測定デバイスに提供され得る。SRSの場合、測定デバイスは、gNB、または無線基地局、またはTRPとすることができ、また送信デバイスは、UEとすることができる。
【0045】
送信デバイスは、リソースまたはリソースセットに関連付けられた1つまたは複数のビーム信号を送信し、また測定デバイスは、測定デバイスの空間フィルタごとに、1つまたは複数のビーム信号のチャネル測定を実施する。空間フィルタは、ビーム信号を受信し、かつ測定するために測定デバイスにより使用される受信機(Rx)ビームとして見ることができる。空間フィルタの定義は前に示された。チャネル測定値は、1つまたは複数の以下のものとすることができる、すなわち、RSSI(受信信号強度インジケータ)、RSS(受信信号強度)、RSRP(受信信号受信電力)、SNR(信号対雑音比)、RSRQ(受信信号受信品質)、タイミングRSTD(受信信号時間差)、RTOA(到達の相対時間)、TA(タイミングアドバンス)などである。
【0046】
実施形態によれば、測定デバイスは、少なくとも1つの時間フレームにわたって、チャネル測定値を測定グループに保存し、ここで、各測定グループは、測定デバイスの同じ空間フィルタを用いて実施されるチャネル測定値に対応する。測定デバイスは、次いで、測定グループをネットワークノード(例えば、LMFまたはロケーションサーバ)に報告する。測定デバイスは、各測定グループの測定値を、各利用可能な時間フレームに対する基準データと個々に相関させることができ、かつその相関の結果をネットワークノード(例えば、ロケーションサーバまたはLMF)に報告する。
【0047】
例では、測定デバイスは、1つまたは複数の時間フレーム中に測定された、受信されたチャネル測定値を、異なる測定グループに保存することができ、また単一の測定報告において、チャネル測定値、測定グループ、および各測定の時間フレームを報告することができる。
【0048】
図7Aを参照すると、2つのgNB(gNB1 701、gNB2 702)、および1つの測定デバイス、UE703を含むネットワークのシナリオが示されている。UE703は、2つのgNB701、703により送信されるビーム信号(Txビーム)を測定するために使用される、4つの受信機ビーム(または空間フィルタ)を使用することが示されている。
図7Bは、各gNBが、ビームを(異なる時間フレームで)送信し、またUEは、送信されたビームの測定を実施するために、空間フィルタ(複数可)、または(アクティブな)Rxビーム(複数可)を使用する例が示されている。ビーム測定のグループがまた示されている。UE703は、測定を測定グループへとグループ化する。この例では、UE703は、2つのビームを同時に活性化し、合計で4つのビームを測定し得る。UEは、諸図で示されるように、複数の空間フィルタ、または受信機ビームを含むことができる。
【0049】
実施形態によれば、測定デバイスが複数の空間フィルタを使用する場合(
図7Aから
図7Bで示されるように)、測定デバイスは、同じリソースまたはリソースセットを異なる測定グループにマップすることができる。リソースまたはリソースセットは、同じ時間フレームに対して1つまたは複数の基地局から送信されたビームに対応する。ネットワークノード(またはロケーションサーバ)は、上位レイヤの信号伝達を介して、複数の空間フィルタ受信に対する測定デバイスの能力を要求することができる。ネットワークノードは、RRCを介してUE能力を要求するサービングgNBとすることができることに留意されたい。ネットワークノードは、LPPを介してUE物理送信および受信能力を要求するLMFとすることができる。ネットワークノードは、NRPPaを介して、gNBからUE物理送信および受信能力を要求するLMFとすることができる。ネットワークノードは、NRPPaを介して、gNB物理送信および受信能力を要求するLMFとすることができる。測定デバイスは、M個の報告される測定グループにおいてN個の空間フィルタにより受信された同じリソースまたはリソースセットの信号を報告するように構成され、ここで、NはM以上である。NおよびMは、任意の適切な値をとることができる。
【0050】
実施形態によれば、測定デバイスは、測定グループ間の相関を決定し、定義された閾値に満たない相関の結果を、ネットワークノードまたはロケーションサーバ(図示せず)に報告するように構成される。例として、その相関の結果が高い(すなわち、定義された閾値を超える)場合、グループの測定値は冗長であると見なされ、したがって、無視されるか、または報告されない可能性がある。相関の結果が低い(すなわち、定義された相関閾値より低い)場合、情報は有用であるとすることができ、グループ測定は、ロケーションサーバに報告される。相関値(複数可)、または相関の結果は、それ自体基準値とすることができ、さらなるフィンガープリンティング情報として報告される。
【0051】
以下の表は、異なるPRSリソース1~6に対して、測定デバイスにより実施された測定グループ間の正規化された相関値の例を示す。測定デバイス(UE)は、ここでは、PRSリソース1~6に関連付けられたビーム信号の測定に対して4つの空間フィルタ(またはRxビーム1~4)を使用するものと仮定される。この例では、UE空間フィルタ(UE Rxビーム1)は、最大の相関値1が得られる基準であるように構成される。基準ビームに対して、他のUE空間フィルタ(UE Rxビーム2、3、および4)により行われた測定の相関がまた、表に示されている。PRSリソースは、1つまたは複数のgNBに対応することができる。
【0052】
【表3】
上記の表における第1の行は、1つまたは複数のgNBにより送信された6個のTxビーム信号に対して行われたチャネル測定に基づいて決定された(正規化された)相関値に対応し、各ビーム信号は、PRSリソースを伝える。測定デバイスは同じ空間フィルタ(Rxビーム1)を使用する。したがって、第1の行は、空間フィルタ1(すなわち、Rxビーム1)を用いて行われた測定に基づいて決定された第1のグループに対応しており、第2の行は、空間フィルタ2(すなわち、Rxビーム2)を用いて行われた測定に基づく第2のグループに対応しており、以下同様である。測定は、測定デバイスの能力に応じて、同じ時間フレームで、または異なる時間フレームで実施することができる。上記の例の場合、測定デバイスは、4個の空間フィルタを有するので、デバイスは、同じ時間に測定を実施することができる。測定および/または相関値は、少なくとも1つの時間フレームにわたって、測定デバイスに保存することができる。
【0053】
測定デバイスは、ロケーションサーバまたはLMFにより提供される構成に応じて、グループ間の相関を決定することができる。ロケーションサーバは、電力を低減させるため、定義された相関閾値を超えるグループを報告しないように、測定デバイスを構成することができる。例として、0.6の閾値未満の相関値は、測定デバイスの位置を決定するために、ロケーションサーバに報告される。0.6を超える相関値は報告されないが、それは、これらの値が、ロケーションサーバにおける位置決め計算に寄与しないからである。相関閾値は、設計パラメータであると理解される。
【0054】
実施形態によれば、測定デバイスは、チャネル測定値と、基準データ(パターン)の間の差異とを組み合わせて、例えば、実際の測定データなど、所与の時間フレームにおいて実施された測定にマッチするパターン基準点を選択するように構成され得る。一例では、その差異は、チャネル測定値および基準データから得られた確立密度分布からパラメータ化される。正規分布の場合、その差異は、チャネル測定値のセットおよびパターン基準点のセットの平均および分散によりパラメータ化される。
【0055】
図8を参照すると、前に述べられた実施形態のいくつかを含む信号伝達図の例が示されている。図は、UE801(測定デバイス)、第1および第2の無線基地局gNB1 802、gNB2 803、およびLMF804の形のネットワークノード(すなわち、ロケーションサーバ)を含む。図示されるように、
1a~1b. LMF803は、gNB802~803に、gNB802~803により送信された1つまたは複数のビーム信号に関連付けられたリソースまたはリソースセットに関する情報を提供するように要求する。要求は、NRPPa支援データ要求メッセージで送られ得る。したがって、LMF804は、gNB802、803からのリソースまたはリソースセットが、異なる空間フィルタを有することのできる(異なる)ビーム特性を用いて送信されると決定することができる。
【0056】
2a~2b. 各gNB802~803は、NRPPa応答メッセージにおいて、要求された情報をLMF804に提供する。
3. LMF804は、上位レイヤの信号伝達を介して、支援データ、またはリソースもしくはリソースセットに関する情報をUE801に送る。この情報は、LPP支援データメッセージで送られる。このメッセージは、UE801の空間フィルタごとに、1つまたは複数のビーム信号のチャネル測定を実施するための、UE801に対する要求である。LMF804は、測定報告を行うために使用される相関インデックスをUE801に示すことができる。例えば、LMF804は、LMF804に報告する情報タイプを決定するために、UE801によって使用される相関閾値をメッセージで示すことができる。
【0057】
前に述べたように、支援データは、各gNBによりUE801に送ることができる。
4a. LMF804は、UE801に、UE801がチャネル測定に使用する空間フィルタまたはRxビームの数またはタイプに関する能力を提供するように要求することができる。
【0058】
4b. UE801は、工程4aでLMF804により要求された場合、情報を提供する。
5. UE801は、UE801の空間フィルタごとに、1つまたは複数のTxビーム信号のチャネル測定を実施する。チャネル測定値は、以下の1つまたは複数のものを含むことができる、すなわち、RSSI、RSS、RSRQ、RSRP、SINR、絶対/相対RSTD、RTOA、TAなどである。
【0059】
UE801は、少なくとも1つの時間フレームにわたって、チャネル測定値を測定グループに保存し、ここで、各測定グループは、UE801の同じ(アクティブな)空間フィルタを用いて実施されたチャネル測定値に対応する。UE801はまた、各測定グループの測定値を、各利用可能な時間フレームに対して個々に、基準データと相互に関連付けることができる。例えば、LMF804は、UEに相関を実施するように要求することができる。
【0060】
6. UE801は、測定グループ、または相関の結果をLMF804に報告する。この報告は、LPP場所情報メッセージにおいて送られ得る。
7. LMF804は、UE801の場所を決定するために、UE801から受信され、かつ報告された測定グループと、工程2a~2bで受信された、gNB1 802およびgNB2 803から受信された情報とを使用する。LMF804はまた、UE801の場所を決定するために基準データも使用することができる。
【0061】
図9を参照すると、前に述べられた実施形態に従って測定デバイスにより実施される方法のフロー図が示される。方法は、以下の工程であって、
(901)上位レイヤの信号伝達を介して、リソースまたはリソースセットに関連付けられた1つまたは複数のビーム信号を送信する1つまたは複数の送信デバイスのリソースまたはリソースセットに関する情報を受信する工程、
(902)測定デバイスの空間フィルタごとに、1つまたは複数のビーム信号のチャネル測定を実施する工程、
(903)少なくとも1つの時間フレームにわたって、チャネル測定値を測定グループに保存する工程、ここで、各測定グループは、測定デバイスの同じ空間フィルタを用いて実施されたチャネル測定値に対応する。測定デバイスは、各周囲の各無線基地局に対する少なくとも1つのパターン、または少なくとも1つの関数として、セクター化され、かつビーム形成されたアンテナの特性を保存することができ、また少なくとも1つの時間フレームにわたって対応する測定された信号強度をさらに保存することができ、
(904)測定グループをネットワークノード(LMFまたはロケーションサーバ)に報告するか、または各測定グループの測定値を、各利用可能な時間フレームに対する基準データと個々に相関させる/マッチングさせて、その相関の結果をネットワークノードに報告する工程を含む。
【0062】
測定デバイスにより実施されるさらなる動作は、すでに述べられている。
上記で述べられた方法を実施するために、測定デバイスが提供される。
図10は、測定デバイス1000を示すブロック図を示す。測定デバイス1000は、UEまたは無線基地局とすることができる。デバイス1000は、プロセッサ1010または処理回路または処理モジュールまたはプロセッサもしくは手段と、受信機回路または受信機モジュール1040と、送信機回路または送信機モジュール1050と、メモリモジュール1020と、送信機回路1050および受信機回路1040を含むことのできる送受信機回路または送受信機モジュール1030とを備える。測定デバイス1000は、少なくともgNBまたは他のUEとの間で信号を送信および受信するためのアンテナ回路を含むアンテナシステム1060をさらに備える。アンテナシステムは、前に述べたようにビーム形成を使用する。デバイスにより実施される動作は、すでに述べられている。メモリ1020は、プロセッサ1010により実行可能な命令を含み、それにより、測定デバイス1000は、方法の請求項1乃至7の主題のいずれか1項を実施するように動作可能である/構成される。
【0063】
処理モジュール/回路1010は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、書替え可能ゲートアレイ(FPGA)、または同様のものを含み、「プロセッサ」と呼ぶことができる。プロセッサ1010は、測定デバイスおよびその構成要素の動作を制御する。メモリ(回路またはモジュール)1020は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ならびに/またはプロセッサ1010により使用され得るデータおよび命令を記憶する別タイプのメモリを含む。概して、1つまたは複数の実施形態におけるデバイス1000は、本明細書で開示される実施形態のいずれかにおける動作を実行するように構成された固定の、またはプログラムされた回路を含むことが理解されよう。
【0064】
少なくとも1つのこのような例では、プロセッサ1010は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSP、ASIC、FPGA、または他の処理回路を含み、それは、処理回路内の、または処理回路にアクセス可能な非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータプログラムからのコンピュータプログラム命令を実行するように構成される。ここで、「非一時的な」とは、必ずしも恒久的な、または不変のストレージを意味するものではなく、作業メモリまたは揮発性メモリにおけるストレージを含むことができるが、その用語は、少なくとも何らかの永続性のあるストレージを意味している。プログラム命令の実行は、特に、本開示で開示された動作を実行するように処理回路を適合させるか、または構成する。さらに、測定デバイス1000は、さらなる構成要素を備え得ることが理解されよう。測定デバイス1000は、4GまたはLTE、LTE-A、5G、アドバンスト5G、またはビーム形成技術をサポートするそれらの組合せを含む任意の無線アクセス技術に属することができる。
【0065】
請求項12に記載の測定デバイス1000の少なくとも1つのプロセッサに対して実行されたとき、少なくとも1つのプロセッサに、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムがまた提供される。
【0066】
コンピュータプログラムを含む担持体がまた提供され、担持体は、コンピュータ可読記憶媒体、電子信号、光学的信号、または無線信号のうちの1つである。
図11を参照すると、前に述べられた実施形態に従って、ネットワークノード、またはロケーションサーバ、またはLMF(ロケーションサーバ内の)により実施される方法のフロー図が示される。方法は、以下のものを含む、
(1101)1つまたは複数の基地局または送信デバイスに、1つまたは複数のビーム信号に関する情報、および/または1つまたは複数の基地局(またはgNB)により送信された1つまたは複数のビーム信号に関連付けられたリソースまたはリソースセットに関する情報を提供するように要求する工程、
(1102)1つまたは複数の基地局または送信デバイスからの情報を受信し、かつ受信された情報を測定デバイスに送信する工程、
(1103)測定デバイスから測定グループを受信する工程であって、各測定グループは、同じ空間フィルタを用いて測定デバイスにより実施される測定を含む、工程、
(1104)測定デバイスの場所を決定するために、測定デバイスから受信された測定グループ、および1つまたは複数の基地局または送信デバイスから受信された情報を使用する工程。
【0067】
ロケーションサーバにより実施されるさらなる動作は、すでに述べられている。
上記の方法工程を実施するために、ネットワークノード(例えば、ロケーションサーバ、またはサーバ内のLMF)が準備される。
図12は、ネットワークノード1200を示すブロック図を示す。ネットワークノード1200は、プロセッサ1210または処理回路または処理モジュールまたはプロセッサもしくは手段と、受信機回路または受信機モジュール1240と、送信機回路または送信機モジュール1250と、メモリモジュール1220と、送信機回路1250および受信機回路1240を含むことのできる送受信機回路または送受信機モジュール1230とを備える。ネットワークノード1200は、少なくともgNBまたは他のUEとの間で信号を送信および受信するためのアンテナ回路を含むアンテナシステム1260をさらに備える。アンテナシステムは、前に述べたようにビーム形成を使用する。ネットワークノードにより実施される動作は、すでに述べられている。メモリは、プロセッサ1210により実行可能な命令を含み、それにより、ネットワークノード1200は、方法請求項8乃至11の主題のいずれか1項を実施するように動作可能である/構成される。
【0068】
処理モジュール/回路1210は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、書替え可能ゲートアレイ(FPGA)、または同様のものを含み、「プロセッサ」と呼ぶことができる。プロセッサ1210は、ネットワークノードおよびその構成要素の動作を制御する。メモリ(回路またはモジュール)1220は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、および/またはプロセッサ1210により使用され得るデータおよび命令を記憶する別タイプのメモリを含む。概して、1つまたは複数の実施形態におけるネットワークノード1200は、本明細書で開示される実施形態のいずれかにおける動作を実行するように構成された固定の、またはプログラムされた回路を含むことが理解されよう。
【0069】
少なくとも1つのこのような例では、プロセッサ1210は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSP、ASIC、FPGA、または他の処理回路を含み、それは、処理回路内の、または処理回路にアクセス可能な非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータプログラムからのコンピュータプログラム命令を実行するように構成される。ここで、「非一時的な」とは、必ずしも恒久的な、または不変のストレージを意味するものではなく、作業メモリまたは揮発性メモリにおけるストレージを含むことができるが、その用語は、少なくとも何らかの永続性のあるストレージを意味している。プログラム命令の実行は、特に、本開示で開示された動作を実行するように処理回路を適合させるか、または構成する。さらに、ネットワークノード1200は、さらなる構成要素を備え得ることが理解されよう。デバイス1000は、4GまたはLTE、LTE-A、5G、アドバンスト5G、またはビーム形成技術をサポートするそれらの組合せを含む任意の無線アクセス技術に属することができる。
【0070】
請求項16に記載のネットワークノードの少なくとも1つのプロセッサに対して実行されたとき、少なくとも1つのプロセッサに、請求項8乃至11のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムがまた提供される。
【0071】
コンピュータプログラムを含む担持体がまた提供され、担持体は、コンピュータ可読記憶媒体、電子信号、光学的信号、または無線信号のうちの1つである。
従来のフィンガープリンティング手法と比較して、いくつかの利点が、本明細書における実施形態により達成される。
【0072】
特に新無線(NR)である5G規格には、提示された実施形態の教示を利用できる概念に対する関数を提供するいくつかの機構が含まれる。一例は、SSB CSI-RS、PRS、SRS、またはビームストローキングパターンとして適切な他の適切な信号を送ることを含むビーム管理である。
【0073】
利用できるより特殊化した関数を有することは、よりロバストな位置決め決定法に導くことができる。特殊化することは、さらにシナリオ依存性のものとすることができる、例えば、屋内において、屋外エリアと比べて信号において異なる変化を予測することができる。
【0074】
関数の一般に知られた挙動は、適切な解決である。しかし、より便利なのは、関数の動的な、したがって、適応型の構成にすべきである。この挙動に関する情報は、バックエンド間だけではなく、モバイルノードまたはUEに対しても移送されるべきである。したがって、ネットワークノードとUEの間の信号伝達は有益である。
【0075】
本開示の全体を通して、「備える/含む(comprise)」または「備えている/含んでいる(comprising)」という用語は、非限定的な意味で、すなわち、「少なくとも、~から構成される」ことを意味するように使用されている。特定の用語が、本明細書で使用され得るが、それらは、限定する目的ではなく、一般的かつ説明的な意味で使用されるに過ぎない。本明細書における諸実施形態は、GSM、3GまたはWCDMA、LTEまたは4G、LTE-A(すなわちLTE-Advanced)、5G、WiMAX、WiFi、Bluetooth、衛星通信、TV放送などを含む任意の無線システムに適用することができ、それらは、ネットワーク内のデバイス、またはノード、または機器の位置を特定するためにフィンガープリンティングを使用することができる。