(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20230711BHJP
B60C 19/00 20060101ALI20230711BHJP
G06K 19/04 20060101ALI20230711BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
G06K19/077 232
B60C19/00 J
G06K19/04 010
G06K19/077 144
G06K19/077 156
G06K19/077 296
G09F3/00 M
(21)【出願番号】P 2021185334
(22)【出願日】2021-11-15
(62)【分割の表示】P 2019531431の分割
【原出願日】2019-04-19
【審査請求日】2022-04-01
(31)【優先権主張番号】10-2018-0075035
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519206911
【氏名又は名称】アシアナ アイディーティー インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】ASIANA IDT INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100134636
【氏名又は名称】金高 寿裕
(74)【代理人】
【識別番号】100114904
【氏名又は名称】小磯 貴子
(72)【発明者】
【氏名】ユン ジョンソブ
(72)【発明者】
【氏名】チョン ウチョル
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0050452(KR,A)
【文献】特開2016-173747(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1177911(KR,B1)
【文献】特開2005-216077(JP,A)
【文献】特開2002-366921(JP,A)
【文献】特開2009-69935(JP,A)
【文献】特開2007-188252(JP,A)
【文献】特開2018-32264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
G06K 19/04
B60C 19/00
G09F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1粘着層と、
第1粘着層の下面に貼り付けられて、導電性アンテナパターン及びこれと電気的に連結されるRFIDチップが形成される非接触給電部層と、
上面に非接触給電部層が着座される第2粘着層と、
第2粘着層の下面に貼り付けられて、非接触給電部層から放射される電磁気誘導エネルギーによって動作する寄生素子層、及び
上面に寄生素子層が貼り付けられ、対向面がタイヤの内面一側に結合される第3粘着層と、
を含んで構成され
、
中央に対して曲がった形状を有し、両辺中央部が湾入された湾入部を有することを特徴とする永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【請求項2】
前記第1粘着層の上面に貼り付けられる保護層、
がさらに用意されることを特徴とする請求項1に記載の永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【請求項3】
使用者の任意のタグ破損を防ぐために、前記保護層は非接触給電部層の全体面積対比1.5~10倍の面積を有して前記タグの全面を隠蔽することを特徴とする請求項2に記載の永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【請求項4】
前記保護層は、その上面にRFIDタグを識別し、RFIDタグの破損時に識別二重化のためのバーコード、文字、数字またはQRコードが印刷またはマーキングされることを特徴とする請求項2に記載の永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【請求項5】
前記保護層は、RFID専用プリント又はレーザーマーキング(Laser Marking)が可能でバーコード、文字、数字又はQRコードのタグ個別文字記録が容易なPET、ポリイミドまたはユポ紙から構成されることを特徴とする請求項4に記載の永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【請求項6】
前記第1粘着層ないし第3粘着層のうち少なくとも一つは多数の空隙が形成される不織布に粘着剤が適用されて形成されることを特徴とする請求項1に記載の永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【請求項7】
前記多数の空隙は局部的に粘着剤の充填量が異なり、前記粘着剤が不織布の深層空隙よりも表層空隙により多く充填されることを特徴とする請求項6に記載の永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【請求項8】
前記第1ないし第3粘着層のうち少なくともいずれか一つの両面に適用される粘着剤はアクリル(Acrylic)系列、シリコン(Si)系列、アクリル(Acrylic)と強化耐熱シリコン(Si)系列の混合、またはゴム系列粘着剤であることを特徴とする請求項1に記載の永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【請求項9】
前記非接触給電
部層と寄生素子層を構成する基材フィルムは、
ポリイミド(PI:Polyimide)またはPET(Poly Ethylene Terephthalate)から構成されることを特徴とする請求項1に記載の永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【請求項10】
前記タグは、タイヤ製造過程で自動貼付機によってタイヤインナーライナーの内側表面に貼り付けられ、タグ中央がビードから10mmないし80mm離隔された任意の位置に貼り付けられることを特徴とする請求項1に記載の永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【請求項11】
前記タグは、前記自動貼付機のタグ自動貼り付けを容易にするために両面粘着剤の粘着応力を減少させるように最初に剥離紙から分離される前記タグの一部分が突出形状になる突出部を備えることを特徴とする請求項1に記載の永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【請求項12】
前記突出部は、前記タグの一辺両端または中央部に備えられるか、前記タグの一辺全体に備えられることを特徴とする請求項11に記載の永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【請求項13】
前記タグは、タイヤの屈曲した形状に対応して横と縦の4辺が非対称的な形状を有することを特徴とする請求項1に記載の永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【請求項14】
前記タグは、タイヤの第1直径部に貼り付けられる一辺の長さが前記第1直径部よりも長い前記タイヤの第2直径部に貼り付けられる他辺の長さより短いことを特徴とする請求項1に記載の永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【請求項15】
前記タグは、両端が少なくとも2つの辺からなることを特徴とする請求項
1に記載の永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【請求項16】
前記タグは、前記タグのチップ部分にUV(Ultraviolet)エポキシが塗布されることを特徴とする請求項1に記載の永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【請求項17】
前記タグは、非接触給電
部層とタイヤとの間に寄生素子層が位置するようにすることでタイヤの伸縮運動が非接触給電
部層に直接伝達されることを予防して、これによってタグチップの破損が低減されて永久的に使用可能なことを特徴とする請求項1に記載の永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【請求項18】
前記タグは、非接触給電
部層と寄生素子層を第2粘着層によって分離し、非接触給電
部層から伝達される放射エネルギーが非接触給電
部層と電磁気的にカップリングされる寄生素子に伝達されるようにすることを特徴とする請求項1に記載の永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【請求項19】
前記タグは、非接触給電
部層と寄生素子層が分離されて相互電磁気的にカップリングするように構成されるのでタイヤの内部に存在するビードあるいはトレッド部の金属ワイヤの影響からタグの性能が劣化する現象を防ぐことを特徴とする請求項1に記載の永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【請求項20】
前記タグは、非接触給電
部層のアンテナ形状が狭スロット閉ループ構造から構成されてタイヤの内部に存在するビードあるいはトレッド部の金属ワイヤの影響からタグの認識性能が劣化する現象を防ぐことを特徴とする請求項1に記載の永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【請求項21】
使用者の任意のタグ破損を防ぐために、少なくとも前記第1粘着層は非接触給電部層の全体面積対比1.5~10倍の面積を有して前記タグの全面を隠蔽することを特徴とする請求項1に記載の永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ及びその製造方法に関し、さらに詳
細には高温、高圧環境のタイヤ製造工程中にタイヤ表面に貼り付けられて生産初期から製
品出荷までのタイヤ製造履歴の管理が可能で、その後タイヤが自動車に装着されて運用さ
れながら生じるタイヤの伸縮運動にも耐久性を維持してタグのチップ破損及びタイヤから
タグ脱落が生じないようにすることができ、したがって、タイヤの寿命が尽きるまでRF
ID通信が障害なく可能な永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ及びその製造方法に
関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、RFID(Radio Frequency IDentificatio
n)技術とは、電波を利用して一定の距離離隔された位置で無線により情報を認識する技
術を言う。RFID技術を具現するためにはRFIDタグ(tag)と、RFIDリーダ
ー(reader)が必要である。RFIDタグはアンテナと集積回路であるRFIDチ
ップを含むが、RFIDチップ内に事前に必要な情報を記録し、アンテナを通じて読取機
に情報を送信する。通常、RFIDチップ内に保存された情報はRFIDタグが貼り付け
られた対象を識別するのに利用される。
【0003】
RFIDがバーコードシステムと異なる点は、光を利用して読み取る代わりに電波を利
用するということである。したがって、バーコード読取機のように短距離のみで作動する
のではなく、遠距離でもタグを読み取ることができ、その上、可視距離が確保されない物
体を通過して情報を受信することもできる長所を有する。
【0004】
このようなRFIDタグは多様な製造品の生産管理、在庫管理に適用されており、特に
タイヤ製造工程及び在庫管理過程にも活発に適用されている。タイヤ製造時に生産管理や
製造後の在庫管理などの全社的資源管理(ERP:Enterprise Resour
ce Planning)システムの適用のためにタイヤ製造の成形段階からRFIDタ
グを貼り付けまたは埋め込みする場合、その後工程である加硫工程の苛酷な製造環境、即
ち、150℃~230℃以上の高温環境と30Bar以上の高圧環境にRFIDタグが露
出されながら製造工程中にRFIDタグが損傷する問題点が生じる。
【0005】
また、RFIDタグが立体形状のバルク(bulk)で製作される場合、運動性がない
物品ではRFIDタグがさほど無理なく適用可能である。しかし、RFIDタグが航空機
タイヤ及び車両タイヤに適用される場合には、タイヤ内部でRFIDタグが一定の空間を
占めるようになるので、タイヤの高速回転及びそれによる高温、高圧環境、変形による反
復応力が加わる環境でRFIDタグのチップ領域が破損したり、正常な通信が不可能にな
り、貼り付けられた状態のRFIDタグがタイヤから脱落するなどの問題が生じ得る。
【0006】
図1は従来のタイヤ貼付型RFIDタグの分解斜視図である。そして、
図2は
図1に示
されたタイヤ貼付型RFIDタグの側断面図である。
【0007】
図1及び
図2を参照すると、従来のタイヤ貼付型RFIDタグ10は、基材フィルム1
1と、基材フィルム11の上部に形成されたアンテナパターンを含む回路パターン15と
、回路パターン15と電気的に接触するように基材フィルム11上に貼り付けられたRF
IDチップ13と、基材フィルム11上部に配置された第1粘着層17と、第1粘着層1
7上部に配置された保護層19とを含み得る。
【0008】
これに加えて、従来のタイヤ貼付型RFIDタグ10はタイヤの内部表面にRFIDタ
グ10を貼り付けるために基材フィルム11の下部に配置された第2粘着層18をさらに
含み得る。基材フィルム11はその上部にアンテナパターンと回路部が形成される基体と
なる要素である。
【0009】
RFIDチップ13は、RFIDリーダー(Reader)と通信してタイヤ製造工程
及び在庫管理過程に必要な各種情報を記録、RFIDリーダー(reader)と通信し
て記録された情報を送信する要素であって、基材フィルム11の上面に配置されてアンテ
ナパターンを含む回路パターン15と電気的な接続を形成する。
【0010】
第1粘着層17及び保護層19は基材フィルム11の上部に順次積層される。そして、
第2粘着層18はタイヤの内部表面にRFIDタグ10を貼り付けるために基材フィルム
11の下部に配置される。
【0011】
前述した従来のタイヤ貼付型RFIDタグ10は、タイヤ運用時に高速回転の環境で反
復応力が作用し、高温の環境が組成されるので、このような反復的な機械的、熱的応力に
よってタイヤの耐用年数の期間中にRFIDチップ13が破損して認識が不可能になった
り、さらにはRFIDタグ10がタイヤから脱落する問題点が生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は前述した従来技術の問題点を解決するために案出されたものであって、本発明
はRFIDチップを保護してチップの直接的な破損を予防し、RFIDタグ自体は勿論、
少なくとも認識領域であるRFIDチップが用意された非接触給電部層がタイヤに堅固に
結合されてタイヤの廃棄時まで永久的に動作することができるようにする永久貼付型UH
F帯域RFIDタイヤタグ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は粘着層のうちいずれか一つに所定空間を有する多数の空隙が形成され、
ランダムな繊維集合体である不織布が繊維自体のクッション作用を有するので、圧力によ
る衝撃を吸収することができるようにする永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ及び
その製造方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は前述した目的を達成するために、第1粘着層と、第1粘着層の下面に貼り付け
られて、導電性アンテナパターン及びこれと電気的に連結されるRFIDチップが形成さ
れる非接触給電部層と、上面に非接触給電部層が着座される第2粘着層と、第2粘着層の
下面に貼り付けられて、非接触給電部層から放射される電磁気誘導エネルギーによって動
作する寄生素子層と、上面に寄生素子層が貼り付けられ、対向面がタイヤの内面一側に結
合される第3粘着層と、を含んで構成されることを特徴とする永久貼付型UHF帯域RF
IDタイヤタグを提供する。
【0015】
使用者の任意のタグ破損を防ぐために、前記保護層は非接触給電部層の全体面積対比1
.5~10倍の面積を有して前記タグの全面を隠蔽することが好ましい。
【0016】
前記保護層は、その上面にRFIDタグを識別し、RFIDタグの破損時に識別二重化
のためのバーコード、文字、数字またはQRコードが印刷またはマーキングされることが
好ましい。
【0017】
前記保護層はRFID専用プリントまたはレーザーマーキング(Laser Mark
ing)が可能でバーコード、文字、数字またはQRコードのタグ個別文字記録が容易な
PET、ポリイミドまたはユポ紙から構成されることが好ましい。
【0018】
前記第1粘着層ないし第3粘着層のうち少なくとも一つは多数の空隙が形成される不織
布に粘着剤が適用されて形成されることが好ましい。
【0019】
前記多数の空隙は局部的に粘着剤の充填量が異なり、前記粘着剤が不織布の深層空隙よ
りも表層空隙により多く充填されることが好ましい。
【0020】
前記第1ないし第3粘着層のうち少なくともいずれか一つの両面に適用される粘着剤は
アクリル(Acrylic)系列、シリコン(Si)系列、アクリル(Acrylic)
と強化耐熱シリコン(Si)系列の混合、またはゴム系列粘着剤であることが好ましい。
【0021】
前記非接触給電層と寄生素子層を構成する基材フィルムは、ポリイミド(PI:Pol
yimide)またはPET(Poly Ethylene Terephthalat
e)から構成されることが好ましい。
【0022】
前記タグはタイヤ製造過程で自動貼付機によってタイヤインナーライナーの内側表面に
貼り付けられ、タグ中央がビードから10mmないし80mm離隔された任意の位置に貼
り付けられることが好ましい。
【0023】
前記タグは前記自動貼付機のタグ自動貼り付けを容易にするために両面粘着剤の粘着応
力を減少させるように最初に剥離紙から分離される前記タグの一部分が突出形状になる突
出部を備えることが好ましい。
【0024】
前記突出部は前記タグの一辺両端または中央部に備えられるか、前記タグの一辺全体に
備えられることが好ましい。
【0025】
前記タグはタイヤの屈曲した形状に対応して横と縦の4辺が非対称的な形状を有するこ
とが好ましい。
【0026】
前記タグはタイヤの第1直径部に貼り付けられる一辺の長さが前記第1直径部よりも長
い前記タイヤの第2直径部に貼り付けられる他辺の長さもより短いことが好ましい。
【0027】
前記タグは両辺中央部が湾入された湾入部を備えることが好ましい。
【0028】
前記タグは両端が少なくとも2つの辺からなることが好ましい。
【0029】
前記タグは前記タグのチップ部分にUV(Ultraviolet)エポキシが塗布さ
れることが好ましい。
【0030】
前記タグは非接触給電層とタイヤとの間に寄生素子層が位置するようにすることでタイ
ヤの伸縮運動が非接触給電層に直接伝達されることを予防して、これによってタグチップ
の破損が低減されて永久的に使用可能なことが好ましい。
【0031】
前記タグは非接触給電層と寄生素子層を第2粘着層によって分離し、非接触給電層から
伝達される放射エネルギーが非接触給電層と電磁気的にカップリングされる寄生素子に伝
達されるようにすることが好ましい。
【0032】
前記タグは非接触給電層と寄生素子層が分離されて相互電磁気的にカップリングするよ
うに構成されるのでタイヤの内部に存在するビードあるいはトレッド部の金属ワイヤの影
響からタグの性能が劣化する現象を防ぐことが好ましい。
【0033】
前記タグは非接触給電層のアンテナ形状が狭スロット閉ループ構造から構成されてタイ
ヤの内部に存在するビードあるいはトレッド部の金属ワイヤの影響からタグの認識性能が
劣化する現象を防ぐことが好ましい。
【0034】
使用者の任意のタグ破損を防ぐために、少なくとも前記第1粘着層は非接触給電部層の
全体面積対比1.5~10倍の面積を有して前記タグの全面を隠蔽することが好ましい。
【発明の効果】
【0035】
本発明は前述した目的を達成するために、第1粘着層と、第1粘着層の下面に貼り付け
られて、導電性アンテナパターン及びこれと電気的に連結されるRFIDチップが形成さ
れる非接触給電部層と、上面に非接触給電部層が着座される第2粘着層と、第2粘着層の
下面に貼り付けられて、非接触給電部層から放射される電磁気誘導エネルギーによって動
作する寄生素子層と、上面に寄生素子層が貼り付けられ、対向面がタイヤの内面一側に結
合される第3粘着層と、を含んで構成されることを特徴とする永久貼付型UHF帯域RF
IDタイヤタグを提供する。
【0036】
前記第1粘着層の上面に貼り付けられる保護層がさらに用意されることが好ましい。
【0037】
使用者の任意のタグ破損を防ぐために、前記保護層は非接触給電部層の全体面積対比1
.5~10倍の面積を有して前記タグの全面を隠蔽することが好ましい。
【0038】
前記保護層は、その上面にRFIDタグを識別し、RFIDタグの破損時に識別二重化
のためのバーコード、文字、数字またはQRコードが印刷またはマーキングされることが
好ましい。
【0039】
前記保護層はRFID専用プリントまたはレーザーマーキング(Laser Mark
ing)が可能でバーコード、文字、数字またはQRコードのタグ個別文字記録が容易な
PET、ポリイミドまたはユポ紙から構成されることが好ましい。
【0040】
前記第1ないし第3粘着層のうち少なくとも一つは多数の空隙が形成される不織布に粘
着剤が適用されて形成されることが好ましい。
【0041】
前記多数の空隙は局部的に粘着剤の充填量が異なり、前記粘着剤が不織布の深層空隙よ
りも表層空隙により多く充填されることが好ましい。
【0042】
前記第1ないし第3粘着層のうち少なくともいずれか一つの両面に適用される粘着剤は
アクリル(Acrylic)系列、シリコン(Si)系列、アクリル(Acrylic)
と強化耐熱シリコン(Si)系列の混合、またはゴム系列粘着剤であることが好ましい。
【0043】
前記非接触給電層と寄生素子層を構成する基材フィルムは、ポリイミド(PI:Pol
yimide)またはPET(Poly Ethylene Terephthalat
e)から構成されることが好ましい。
【0044】
前記タグはタイヤ製造過程で自動貼付機によってタイヤインナーライナーの内側表面に
貼り付けられ、タグ中央がビードから10mmないし80mm離隔された任意の位置に貼
り付けられることが好ましい。
【0045】
前記タグは前記自動貼付機のタグ自動貼り付けを容易にするために両面粘着剤の粘着応
力を減少させるように最初に剥離紙から分離される前記タグの一部分が突出形状になる突
出部を備えることが好ましい。
【0046】
前記突出部は前記タグの一辺両端または中央部に備えられるか、前記タグの一辺全体に
備えられることが好ましい。
【0047】
前記タグはタイヤの屈曲した形状に対応して横と縦の4辺が非対称的な形状を有するこ
とが好ましい。
【0048】
前記タグはタイヤの第1直径部に貼り付けられる一辺の長さが前記第1直径部よりも長
い前記タイヤの第2直径部に貼り付けられる他辺の長さもより短いことが好ましい。
【0049】
前記タグは両辺中央部が湾入された湾入部を備えることが好ましい。
【0050】
前記タグは両端が少なくとも2つの辺からなることが好ましい。
【0051】
前記タグは前記タグのチップ部分にUV(Ultraviolet)エポキシが塗布さ
れることが好ましい。
【0052】
前記タグは非接触給電層とタイヤとの間に寄生素子層が位置するようにすることでタイ
ヤの伸縮運動が非接触給電層に直接伝達されることを予防して、これによってタグチップ
の破損が低減されて永久的に使用可能なことが好ましい。
【0053】
前記タグは非接触給電層と寄生素子層を第2粘着層によって分離し、非接触給電層から
伝達される放射エネルギーが非接触給電層と電磁気的にカップリングされる寄生素子に伝
達されるようにすることが好ましい。
【0054】
前記タグは非接触給電層と寄生素子層が分離されて相互電磁気的にカップリングするよ
うに構成されるのでタイヤの内部に存在するビードあるいはトレッド部の金属ワイヤの影
響からタグの性能が劣化する現象を防ぐことが好ましい。
【0055】
前記タグは非接触給電層のアンテナ形状が狭スロット閉ループ構造から構成されてタイ
ヤの内部に存在するビードあるいはトレッド部の金属ワイヤの影響からタグの認識性能が
劣化する現象を防ぐことが好ましい。
【0056】
使用者の任意のタグ破損を防ぐために、少なくとも前記第1粘着層は非接触給電部層の
全体面積対比1.5~10倍の面積を有して前記タグの全面を隠蔽することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】
図1は従来のタイヤ貼付型RFIDタグの分解斜視図である。
【
図2】
図2は
図1に示されたタイヤ貼付型RFIDタグの側断面図である。
【
図3】
図3は本発明の実施例にかかる永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグの分解斜視図である。(new)
【
図5】
図5は本発明の実施例にかかる第1粘着層が不織布であることを示す分解斜視図である。
【
図7】
図7は本発明の実施例にかかる第1粘着層ないし第3粘着層のうちいずれか一つで粘着剤の充填形態を示す図面である。
【
図8】
図8は本発明の実施例にかかるUHF帯域RFIDタグに備えられた突出部を示した図面である。
【
図9】
図9は
図3に示されたUHF帯域RFIDタグがタイヤに貼り付けられた形態を示した図面である。
【
図10】
図10は
図3に示されたUHF帯域RFIDタグがタイヤに貼り付けられた形態を示した図面である。
【
図11】
図11は本発明の実施例にかかるUHF帯域RFIDタグに備えられた湾入部及び両端部の形態を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態をより詳細に説明する。しかし、本発明
の実施形態はいくつか異なる形態に変形され得て、本発明の範囲が以下で説明される実施
形態に限定されるものではない。本発明の実施形態は本発明が属する技術分野で通常の知
識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。また、本発明
の説明において、定義される用語は本発明における機能を考慮して定義付けられたもので
、これは当分野に従事する技術者の意図または慣例などによって変わる場合があるので、
本発明の技術的構成要素を限定する意味で理解されてはならない。
【0059】
タイヤ製造工程またはタイヤ運用時に高温、高圧及び高速回転の環境で信頼性を確保す
るためには、アンテナパターン及び強力なチップボンディングが伴う基材フィルムの信頼
性が最も重要であり、このような信頼性確保のために本発明は基材フィルムとして強化耐
熱PETまたはポリイミド(Polyimide)フィルムを適用した。
【0060】
また、RFIDタグはタイヤ成形工程及びその前の製造工程で貼り付けられてタイヤ製
造工程のLOTトラッキング(Tracking)を遂行する。ここで、タグはタイヤに
貼り付けられた後、タグが脱落してはならず、このため本発明は、タグに特殊な粘着剤を
適用してタグがタイヤから脱落する現象を防ぐ。
【0061】
また、タイヤに貼り付けられたRFIDタグがタイヤの運用中に破損したり障害が生じ
る場合には、貼付型の場合、新しいタグを貼り付けることができるが、以前のタグに搭載
された履歴情報に対する管理が別途行なわなければならず、二つのタグを各々運用しなけ
ればならない不便が存在し得るので、タイヤに最初に貼り付けられたタグの耐久性管理は
非常に重要な問題である。そこで、本発明ではRFIDタグの核心であるチップ125領
域に対する保護に集中して、このために、まずチップ125領域である非接触給電部層1
20と寄生素子143領域である寄生素子層140を分離することでタイヤの貼付面と非
接触給電部層120の距離をより広くしてタイヤの伸縮運動による影響を減らし、次に非
接触給電部層120の上下部に粘着層を形成して非接触給電部層120を上下で保護する
一方、タイヤの伸縮運動に対して柔軟に対処することができるように寄生素子層140と
タイヤとの間に第3粘着層150をさらに備えるようにして第3粘着層150が伸縮運動
を緩衝するようにして伸縮運動の影響が非接触給電部層120まで伝達されないようにし
た。
【0062】
図3は本発明の実施例にかかる永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグの分解斜視図
である。そして、
図4は
図3に示された永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグの側面
図である。
【0063】
図3及び
図4を参照すると、本発明の実施例にかかる永久貼付型UHF帯域RFIDタ
イヤタグ100は、第1粘着層110と、前記第1粘着層110の下面に貼り付けられて
、導電性アンテナパターン及びこれと電気的に連結されるRFIDチップ125が形成さ
れる非接触給電部層120と、上面に非接触給電部層120が着座される第2粘着層13
0と、第2粘着層130の下面に貼り付けられて、非接触給電部層120から放射される
電磁気誘導エネルギーによって動作する寄生素子層140と、上面に寄生素子層140が
貼り付けられ、対向面がタイヤの内面一側に結合される第3粘着層150と、を含んで構
成される。
【0064】
第1粘着層110の上部には保護層160がさらに用意される場合があり、前記保護層
160はその上面にRFIDタグを識別し、RFIDタグの破損時に識別二重化のための
バーコード、文字、数字またはQRコードが印刷またはマーキングされ得る。
【0065】
ここで、使用者の任意のタグ破損を防ぐために、少なくとも前記第1粘着層110また
は保護層160は非接触給電部層120の全体面積対比1.5~10倍の面積を有して前
記タグの全面を隠蔽するようにすることが好ましい。同方式は半埋込(Semi-emb
edded)方式と仮称され得るが、これは少なくとも第1粘着層はタイヤと類似する材
質を使用し得るが、加硫工程後のタイヤとほぼ一体化されるので、あたかもタグが埋め込
まれたように見えるためである。保護層160もタイヤの製造工程中、加硫工程後によく
見えなくなるので、この場合もあたかもタグが埋め込まれたように見える。
【0066】
併せて、少なくとも前記第1粘着層110または保護層160は非接触給電部層120
の全体面積対比1.5~10倍の面積を有して前記タグの全面を隠蔽するようにすること
で、タイヤの製造または伸縮運動過程でタグがタイヤから離脱されても前記第1粘着層1
10または保護層160がポケットの役割を遂行して、タグが着座された状態を維持して
タグが第1粘着層110または保護層160から離脱されないようにすることでタグを保
護する。
【0067】
また、図示されなかったが、第3粘着層150上には剥離紙がさらに貼り付けられる場
合もある。剥離紙は通常の構成なので、機能と形態などに関する具体的な説明は省略する
。
【0068】
かかる印刷とマーキングが円滑に行なわれるように保護層160は記録が容易なPET
、ポリイミドまたはユポ紙から構成され得る。但し、上記記録が容易な材質は上記材質に
限定されるものではなく、可用の異なる材質の採択が可能なので、材質上、上記に列挙さ
れたもので限定解釈されてはならない。
【0069】
非接触給電部層120は基材フィルム121と、基材フィルム121上部にエッチング
または蒸着で形成された導電性アンテナパターンを含む導電性回路パターン123と、導
電性回路パターン123と電気的に接続するように基材フィルム121上部に貼り付けら
れるRFIDチップ125を含む。
【0070】
基材フィルム121はその上面にアンテナパターンと回路部が形成される基板となる要
素であって、耐熱性及び耐圧性を有して、曲面への貼り付けが容易な可撓性(Flexi
ble)を有する素材からなり得る。以下で説明される内容は寄生素子143が形成され
る基材フィルム141に対しても同一に適用される。即ち、基材フィルム121と基材フ
ィルム141は同一の材質であり得る。
【0071】
例えば、基材フィルム121は最小230℃の高温で溶けずにタイヤ内部の曲面への貼
り付けが容易なポリイミド(PI:Polyimide)または耐熱PET(Poly
Ethylene Terephthalate)から構成され得る。但し、これに限定
されるものではない。
【0072】
このように、ポリイミド(PI:Polymide)または耐熱PET(Poly E
thylene Terephthalate)材質の基材フィルム121が適用された
タイヤ貼付型RFIDタグ100はタイヤ製作のための鋳物を鋳型に注入される時に一緒
に注入し得て、この時に鋳物の温度が230℃以上の場合にもポリイミド(PI:Pol
ymide)または耐熱PET(Poly Ethylene Terephthala
te)フィルムは溶けず、タイヤ材質が凝固される時にタイヤと一緒に一体形成されて作
動して、タイヤが形成される時に生じる圧力は各粘着層、特に第1粘着層110によって
吸収されてタイヤの履歴管理のためのタグの作動性能にも全く問題が生じず、それによっ
て、タイヤ貼付型RFIDタグ100は機構的信頼性を有することができる。
【0073】
また、タイヤ貼付型RFIDタグ100がタイヤのインナーライナーの表面などに貼り
付けられる場合にも充分な可撓性を確保することができるため屈曲にも貼り付けが容易で
、非常に軽くて厚さが薄いのでタイヤが運用される高速回転の環境や高温、高圧条件でも
タイヤからの離脱や破損及び誤作動の発生を予防することができる。それにもかかわらず
、基材フィルム121の特性とタイヤの特性は異なる点が多いので、特に本発明ではタイ
ヤの材質とさらに類似する第3粘着層150がタグとタイヤとの間に媒介されるようにす
ることで、タグの貼付状態をさらに持続可能にさせた。
【0074】
回路パターン123は基材フィルム121上部に導電性を有する金属材質のペーストを
印刷するか金属薄膜を蒸着した後、エッチング工程を通じて生成され得る。これは通常の
工程なので、具体的な説明は省略することにする。
【0075】
回路パターン123は外部のトランスポンダ(transponder、例えば、RF
IDリーダー機)で提供される電波に共振することができるように電波の波長の長さに比
例してその長さが決定されるアンテナパターンを含み得る。通常、電波の波長が小さいほ
どアンテナパターンの長さが短くなり、反対の場合は増加する。本発明の一実施形態で、
回路パターン123に含まれたアンテナパターンは狭スロット閉ループ構造から構成され
るようにし得る。これによって、タイヤ内部に存在するビードあるいはトレッド部の金属
ワイヤによる影響からタグの認識性能が劣化しないようにすることができる。但し、図面
に詳細に示さなかったが、回路パターン123はRFIDチップ125とアンテナパター
ンとの間の整合を形成するための多様な形態のパターンをさらに含み得る。
【0076】
RFIDチップ125はRFIDリーダー(reader)と通信してタイヤ製造工程
及び在庫管理過程に必要な各種情報を記録、RFIDリーダー(reader)と通信し
て記録された情報を送信する要素であって、基材フィルム121上部に配置されてアンテ
ナパターンを含む回路パターン123と電気的な接続を形成する。
【0077】
RFIDチップ125は当技術分野で知られた多様な素子ボンディング技法を通じて回
路パターン123と電気的に接続され得るが、相対的に工程が簡単でコストが少なく消耗
されるフリップチップボンディング技法を適用してRFIDチップ125と回路パターン
123との電気的接続を形成し得る。
【0078】
第2粘着層130と第3粘着層150はタイヤに近接して用意される層であって、した
がって、タイヤの運用中に生じる高熱及び高温にもその耐久性を維持することができる材
質であることが好ましい。第1ないし第3粘着層、特に第3粘着層150は耐久性を維持
するためにこれを構成する粘着剤としてアクリル(Acrylic)系列、シリコン(S
i)系列、アクリル(Acrylic)と強化耐熱シリコン(Si)系列、またはゴム系
列混合粘着剤を採択することが好ましい。
【0079】
この中でタイヤと物性的に近接するのはシリコン(silicone)系列とゴム系列
であり、したがって、本発明ではシリコンとゴムを粘着剤成分として使用するという点で
特徴が存在する。例えば、シリコンまたはゴムをアクリルと混合する場合には、タイヤと
基材フィルムとの間の中間値を有する物性の粘着剤を製造することができ、これはタイヤ
と基材フィルムとの間の物性の差を緩衝する役割をする。また、アクリルを使用せずにシ
リコンまたはゴムの硬度を調節することでこのような目的を達成することもできる。勿論
、タイヤとの物性の差を比較的考慮しない範囲内でアクリルを使用することもできるので
アクリルの使用を排除するものではないが、アクリルとシリコン/ゴム間の物性の差は明
らかに存在して、場合によってはタグの耐久性に影響を及ぼす場合もある。
【0080】
第1粘着層110から第3粘着層150に至るまで、各々タグを保護するためにタグの
構成要素として採択されたものであって、これによってタイヤの耐用年数まで使用するこ
とができる永久タグを製作することができる。
【0081】
寄生素子層140は基材フィルム141と基材フィルム141上部に形成される寄生素
子143を含む。寄生素子143はアンテナパターンの給電線に直接結合しているもので
はないが、実質的にアンテナの放射パターンまたはインピーダンスに影響を及ぼす放射素
子を意味する。ここで、非接触給電部層120は寄生素子層140と第2粘着層130を
媒介に互いに離隔されているが、非接触給電部層120から由来される放射エネルギーが
電磁気的に寄生素子層140とカップリングされて寄生素子143が動作するようになる
。これによって、タイヤ内部に存在するビードあるいはトレッド部に内蔵された金属ワイ
ヤの影響を最小化してタグの認識性能の劣化を防ぐことができる。
【0082】
これはタイヤ内部のビードやトレッド部は金属ワイヤから構成されており、金属体はR
FIDの無線放射性能を劣化させるという技術的事実から導き出された特徴であって、本
発明のように非接触給電部層120と寄生素子層140を電磁気的にカップリングされる
ように構成すれば金属体の影響による劣化が少なく鈍感に反応するようになるので、タグ
の認識性能の劣化を最大限遅らせることができる長所が存在する。
【0083】
また、前記タグは非接触給電部層120の回路パターン123、即ちアンテナ形状が狭
スロット閉ループ構造から構成されることが好ましい。無線電波を放射するアンテナ形状
がスロット閉ループ構造の場合、人体と金属体の影響に相対的に鈍感であるが、その理由
は、スロット構造は金属体面の内部に誘電体スロットを形成して内部誘電体スロットに形
成される電界と誘起される磁界の性能により電磁波が放射されるので、周辺の金属体によ
る性能の劣化を防いだり遅らせる効果があるためである。
【0084】
したがって、本発明でアンテナ形状がスロット閉ループ構造であることは本発明のもう
一つの特徴をなす。
【0085】
一方、第1粘着層110、第2粘着層130、第3粘着層150のうち少なくとも一つ
は多数の空隙111が形成される不織布に粘着剤が適用されて形成されるものであり得る
。これは不織布に形成された多数の空隙111を利用するためのものであり、空隙111
は空気層が形成された領域であって、外部の衝撃に対して緩衝する役割をする。また、空
隙111は接着力向上の要素になることもある。但し、不織布は空隙111が形成された
媒体のうち一例であり、第1粘着層110ないし第3粘着層150が不織布であることの
みで限定解釈されてはならない。
【0086】
ここでは第1粘着層110が不織布に粘着剤が適用されて形成されることを例示として
説明することにする。
【0087】
不織布は表層から深層に至るまで空隙111が多数形成されており、これによって不織
布全体的に弾力性と多少の伸縮性を有するようになる。粘着剤は例えば不織布を粘着剤が
収容された容器に沈潜することで不織布内に粘着剤層を形成することもでき、粘着剤を適
当な道具によって不織布上に塗布することで粘着剤層を形成することもできる。
【0088】
但し、粘着剤が表層から導入されるので、粘着剤が表層に存在する空隙111に充填さ
れることは容易であるが、深層に存在する空隙111まで充填されることは容易でない。
勿論、実施例として粘着剤が存在する領域がかかる形態のみに限定されるものではないが
、粘着剤が不織布の表層のみに形成されても粘着の目的は充分に達成するので、表層のみ
に粘着剤が浸透されるようにする。
【0089】
そうすると、粘着剤が充填されなかったり、充分に充填されない深層の場合にクッショ
ン機能を提供するようになる。即ち、外部から衝撃または応力が加わる場合には深層の空
隙111が収縮と復元を反復しながらかかる衝撃または応力を相殺したり緩和するように
なり、これによって、最終的にタグを保護してその寿命を向上させる役割をするようにな
る。
【0090】
第1粘着層110は、非接触給電部層120の上面に粘着されてRFIDチップ125
及び回路パターン123を保護し、その上部に保護層160を粘着させる役割をする。
【0091】
以下、
図5と
図6を参照して第1粘着層110の一実施例に関して具体的に説明するこ
とにする。
【0092】
第1粘着層110は不織布を基紙として、前記不織布に適用されて前記不織布の内部空
間の一部を満たす粘着剤を含む。前記不織布には多数の空隙111が形成されるが、二重
表層に存在する空隙111に主に粘着剤が充填される。勿論、不織布内のすべての空隙1
11に粘着剤が充填されるようにする場合もあり、空隙111の粘着剤充填領域は特に制
限されない。
【0093】
不織布とは紡織、製織及び編造によらず繊維集合体またはフィルムを物理的または化学
的手段によるか機械的あるいは適当な水分や熱で繊維相互間を結合させたものであって、
接着布(Bonded Fabric)とも言う。
【0094】
不織布は織造されていないため、繊維の密度が均一でなく、それによって内部に多くの
空隙111を含むようになる。
【0095】
本実施例ではかかる不織布に粘着剤を完全に満たさず、例えば深層に存在する空隙11
1には粘着剤が充填されないようにすることで、第1粘着層110が弾性力を維持するよ
うにする。粘着剤が充填された空隙111も弾性を有するが、充填されていない空隙11
1の弾性力がさらに大きいものと予想される。それによって、本実施例の第1粘着層11
0は外部衝撃に対して内部要素(特にチップ125を含む非接触給電部層120)を保護
する効果を達成することができるようになる。
【0096】
また、このために、不織布に適用する粘着剤はアクリルまたは合成ゴムのように弾性力
を保有した製品が好ましく使用される。
【0097】
したがって、本実施例の第1粘着層110を回路パターン123とRFIDチップ12
5が形成された非接触給電部層120に貼り付けられるようになると、外部から印加され
る圧縮または膨張などの衝撃を第1粘着層110、170全体に分散して配置された多数
の空隙111と粘着剤成分が吸収して回路パターン123とRFIDチップ125を保護
するようになる。
【0098】
図7は本発明の実施例にかかる第1粘着層110の粘着剤の充填形態を示す図面である
。図示されたように、不織布の表層に粘着剤を噴射して粘着剤が充填されるようにした。
空隙111に充填された粘着剤は、第1粘着層110の下部に非接触給電部層120を貼
り付けさせ、第1粘着層110の上部に保護層を貼り付けさせる役割を遂行する。
【0099】
第1粘着層110の粘着剤は、アクリル及び合成ゴムのうち少なくとも一つからなり得
て、粘着力を強化するために硬化剤(プライマー)が添加され得る。
【0100】
本発明の実施例にかかるタイヤ貼付型RFIDタグ100が貼り付けられる位置はタイ
ヤ内部表面、即ちインナーライナー表面であり得る。特に、タイヤ貼付型RFIDタグ1
00が貼り付けられたタイヤがタイヤ生産工程中、成形、加硫工程のローダーチャックに
係止される時、タイヤを支持する金属材質部位によってタグが破損しないようにタイヤビ
ードから約10ないし80mm離隔された任意の位置に貼り付けられることが好ましい。
この場合、タイヤ貼付型RFIDタグ100は金属材質からなるタイヤビードから充分に
離隔されながらタグの認識性能も良好になり得る。
【0101】
一方、チップ125と基板上の回路パターン123と電気的な接続を形成するボンディ
ング技法には大きくワイヤボンディング技法とフリップチップボンディング技法がある。
【0102】
ここで、ワイヤボンディング技法はチップ125の電気接続端子を基板上部に向かうよ
うにして導電性に優れたワイヤを利用して基板上面の回路パターン123と電気接続端子
を連結する技法である。フリップチップボンディング技法はチップ125の電気接続端子
を基板下部に向かうようにして基板上の回路パターン123と電気接続端子を直接対面す
るようにして半田ボールなどで相互連結する技法である。
【0103】
ワイヤボンディング技法は工程が複雑で別途のワイヤを用意するなどコストがさらにか
かるが、チップ125の下面を基板上面に堅固に貼り付けることができる長所がある。一
方、フリップチップボンディング技法は工程が簡単でコストが安いが、半田ボール上にチ
ップ125が配置されるので堅固に固定されない短所がある。
【0104】
従来のタイヤ用RFIDタグはタイヤ用RFIDタグが適用される高温、高圧及び強い
外力が作用する環境によってフリップチップボンディング技法が適用され難く、大部分ワ
イヤボンディング技法を適用してRFIDチップ125と回路パターン123との間の電
気的接続を形成した。
【0105】
特に、貼付型RFIDタグはタイヤ表面に貼り付けられるので、タイヤ製造の加硫工程
などで外力が強く作用するため、RFIDチップ125と回路パターン123の連結が非
常に堅固でなければならない。
【0106】
したがって、従来タイヤ貼付型RFIDタグはフリップチップボンディングを通じてチ
ップ125と回路パターンの連結を形成することができず、ワイヤボンディング技法を通
じてのみチップ125と回路パターンの連結を形成した。
【0107】
本発明の実施例にかかる永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ100は第1粘着層
110に多数の空隙111を形成することで、RFIDタグ100に強い外力が作用する
場合にも多数の空隙111、特に粘着剤が充填されていない空隙111が非接触給電部層
120のRFIDチップ125自体に印加される外力を吸収することができ、これを通じ
て非接触給電部層120のRFIDチップ125及び回路パターン123を外力から保護
することができる。
【0108】
これによって、本発明の実施例にかかる永久貼付型UHF帯域RFIDタイヤタグ10
0は、RFIDチップ125と回路パターン123の電気的接続を形成する時、工程時間
やコストがさらにかかるワイヤボンディングの代わりにフリップチップボンディング技法
を適用することが可能になる。
【0109】
フリップチップボンディング方法は一般タグの生産時に使用する方法であって、一般タ
グでなくタイヤ貼付型RFIDタグの生産時には適用されたことがないが、これはタイヤ
貼付型RFIDタグ生産方法の特殊性に起因する。フリップチップボンディング方法はタ
イヤ貼付型RFIDタグの生産時に特化された加硫条件である200度の高温と30ba
rの高圧と車両への取付時に伸縮運動によるチップボンディング部位の破損に対して空隙
と非接触給電部層が保護作用することができるため、本発明にフリップチップボンディン
グ方法を導入することが好ましい。
【0110】
また、タグ100は迅速な製造工程下でチップ125部位の信頼性を強化しようと、時
間的に早く硬化されて堅固になることが保障されるUV(Ultraviolet)エポ
キシをタグのチップ125部分に塗布して最も敏感で信頼性が脆弱なタグチップ125部
分の機構的な信頼性を向上させることができる。
【0111】
図8は本発明の実施例にかかるUHF帯域RFIDタグに備えられた突出部201を示
した図面である。
【0112】
UHF帯域RFIDタグ100は自動貼付機のタグ自動貼り付けを容易にするために両
面第3粘着剤層の接着応力を最大限減らすように最初に剥離紙から分離されるタグ100
の一部分が突出された突出部201を備えられ得る。
【0113】
ここで、突出部201はタグ100の1辺の両端(
図8(a)参照)または中央部(図
8(b)参照)に備えられるか、タグ100の1辺の全体(
図8(c)及び
図8(d)参
照)に備えられるようにし得る。
【0114】
また、突出部201は三角形(
図8(a)、
図8(b)及び
図8(d)参照)、反楕円
形(
図8(c)参照)及び半円形(未図示)のうち少なくともいずれか一つからなり得る
が、これに限定されるものではなく、多様な形状からなり得る。
【0115】
このように、タグ100に突出部201が備えられると、突出部201が備えられない
場合に比べて剥離紙から最初に分離される突出部201と剥離紙との間の接触面積を減ら
してタグ自動貼り付けを容易にすることができるようになる。
【0116】
図9と
図10は
図3に示されたUHF帯域RFIDタグがタイヤに貼り付けられた形態
を示した図面である。
【0117】
図示されたように、タイヤ10は外部トレッド12、キャッププライ14、ベルト16
、インナーライター18、エイペックス30、ビード32及びRFIDタグ100を含み
得る。
【0118】
ここで、外部トレッド12はタイヤ10外部の路面接触部分として厚いゴム層であり、
キャッププライ14は外部トラッド12内側に位置する特殊コードであって、走行時に性
能を向上させベルト16の離脱現象を防ぐ。
【0119】
そして、ベルト16は外部トレッド12及びキャッププライ14内側に位置して外部の
衝撃を緩和させる鉄心層であり、インナーライナー18はタイヤ10の最内側に位置して
ゴム材質からなっている。
【0120】
そして、エイペックス30はタイヤ10断面の横面に位置し、ビード32の分散を最小
化して外部の衝撃を緩和させて、長い三角形タイプのゴム材質からなっている。
【0121】
そして、ビード32は鉄心にゴムを被覆した四角または六角形態の鉄心束でタイヤにリ
ム(Rim)を固定させる役割をする。
【0122】
そして、本発明の実施例にかかるUHF帯域RFIDタグ100はタイヤ製造過程で自
動貼付機によってタイヤ10のインナーライナー18内側表面に貼り付けられ、タグ10
0中央がビード32から10mmないし80mm離隔された任意の位置に横長方向または
縦長方向に貼り付けられ得る。
【0123】
また、
図10に示したように、本発明の実施例にかかるUHF帯域RFIDタグ100
は車両にタイヤが装着されて、運行時、タイヤの伸縮運動で貼り付けまたは埋め込みされ
たタグ100の分離または破損を防ぐために屈曲したタイヤ10の形状に対応して横と縦
の4辺が非対称的な形状を有し得る。
【0124】
具体的には、タグ100はタイヤ10の第1直径部に貼り付けられる一辺の長さが第1
直径部よりも長いタイヤ10の第2直径部に貼り付けられる他辺の長さもより短い場合が
ある。そして、タグ100の各辺は屈曲したタイヤ10の形状に対応して曲面からなり得
る。
【0125】
このように、タグ100の形状を屈曲したタイヤ10の形状と類似して形成することで
、タグ100をタイヤ10に貼り付ける時に、タイヤ10及びタグ100間の粘着力を増
加させることができるようになる。
【0126】
また、
図11に示したように、本発明の実施例にかかるUHF帯域RFIDタグ100
は両辺中央部が湾入された湾入部203を備え得る。
【0127】
ここで、湾入部203は、溝形状として三角形、楕円形及び半円形など多様な形状から
なり得る。
【0128】
このように、タグ100両辺中央部に湾入部203が備えられることによってタグ自動
貼付過程でタグ100中央部が折れる現象を防ぐことができるようになる。
【0129】
そして、タグ100両端205は少なくとも2つの辺からなり得る。
図11にはタグ1
00両端205が3つの辺からなることを図示したが、これに限定されるものではなく、
それ以上の辺からなり得る。
【0130】
このように、タグ100の両端205が少なくとも2つの辺からなるようになると、一
つの辺からなる場合に比べてタグ自動貼付過程でタグ100両端205が折れる現象を防
ぐことができるようになる。
【0131】
以下、
図1ないし
図11を参照して、本発明の実施例にかかるタイヤ貼付型RFID1
00タグの製造方法を説明する。
【0132】
本発明の実施例にかかるタイヤ貼付型RFIDタグ100の製造方法は、非接触給電部
層120を製作するために少なくとも230℃の高温で溶けない基材フィルム121上部
にエッチングあるいは蒸着された導電性アンテナパターンを形成する段階と、導電性アン
テナパターンにRFIDチップ125を電気的に連結する段階と、寄生素子層140を製
作するために少なくとも230℃の高温に溶けない基材フィルム141の上部に寄生素子
143を形成する段階と、前記非接触給電部層120の上部に第1粘着層110を形成す
る段階と、前記非接触給電部層と寄生素子層140との間に第2粘着層130を形成する
段階と、前記寄生素子層140の第2粘着層130が形成された面の対向面に第3粘着層
150を形成する段階を含み得る。
【0133】
ここで、第1粘着層110を形成する段階は一実施例によって多数の空隙111が用意
されるようにして、粘着剤が前記空隙111に充填されるようにする段階であり得る。
【0134】
前記粘着剤は前記空隙111のうち第1粘着層110の表層に用意される空隙111に
充填されるようにする段階であり得る。
【0135】
本発明の実施例にかかるタイヤ貼付型RFIDタグの製造方法は、第1粘着層110の
上部に保護層をさらに形成する段階と、第3粘着層150の下部に剥離紙を形成する段階
と、前記保護層160の上部にRFIDタグ100を識別するためのバーコード、文字ま
たは数字を印刷またはマーキングする段階をさらに含み得る。
【0136】
また、第1粘着層110を形成する段階は不織布を基紙として、その上面と下面に粘着
剤を適用して粘着剤層を形成する段階であり得る。この時、粘着剤は不織布基紙の表層に
主に充填されるようにし得て、前記粘着剤はアクリル(Acrylic)系列の粘着剤で
あり得る。
【0137】
また、第2粘着層130または第3粘着層150を形成する段階は、例えばPETの上
面と下面にアクリル(Acrylic)系列またはシリコン(Si)系列またはアクリル
(Acrylic)と強化耐熱シリコン(Si)系列の混合、またはゴム系列粘着剤を適
用して形成する段階であり得る。
【0138】
本発明の詳細な説明では具体的な実施例に関して説明したが、本発明の範囲から逸脱し
ない限度内で様々な変形が可能であることは勿論である。そのため本発明の範囲は説明さ
れた実施例に限らず、後述される特許請求の範囲及びこの特許請求の範囲と均等なものに
よって定められなければならない。