(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】ウェットティッシュ収納容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20230711BHJP
A47K 7/00 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
B65D83/08 B
A47K7/00 D
(21)【出願番号】P 2018223309
(22)【出願日】2018-11-29
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光
(72)【発明者】
【氏名】大岡 康伸
(72)【発明者】
【氏名】大篭 幸治
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-178358(JP,A)
【文献】特開平08-337276(JP,A)
【文献】特開2009-143597(JP,A)
【文献】特開2000-051117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 7/00
B65D 25/52
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部に開口部を有し、ウェットティッシュのロール体を収納する容器本体と、
前記容器本体の開口部を閉塞するように着脱自在に取り付けられる蓋体と、を備え、
前記蓋体は、天板を有するとともに下端部が開放された形状をなし、前記天板に穿設されたウェットティッシュ挿通孔と、前記ウェットティッシュ挿通孔を閉塞させる口栓と、前記ウェットティッシュ挿通孔を開閉自在に覆う小蓋と、前記天板の下面に設けられ、前記口栓を係止する口栓係止部とを有し、
前記口栓は、前記ウェットティッシュ挿通孔を塞く円筒形状を有する胴体部と、前記胴体部から外側に向かって延びる脚部と、を有し、
前記胴体部は、ウェットティッシュを引き出す引き出し孔を有し、前記ウェットティッシュ挿通孔内に位置し、
前記脚部は、上下方向と交叉する板状に形成されて
上面視において前記胴体部側から左右の両側に向かうほど先細りする形状を有し、前記天板の下方に位置し、
前記口栓係止部は、前記口栓の前記脚部の外
形が嵌る形状を有するウェットティッシュ収納容器。
【請求項2】
前記胴体部は、径が15mm以上30mm以下である、請求項1に記載のウェットティッシュ収納容器。
【請求項3】
前記口栓の厚さが、3mm以上6mm以下である、請求項1又は請求項2に記載のウェットティッシュ収納容器。
【請求項4】
前記口栓は、デュロメーター硬さで70以上100以下である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のウェットティッシュ収納容器。
【請求項5】
前記引き出し孔は、前記胴体部の略中央に設けられた丸孔と、前記丸孔を中心に直線形状に形成されたスリット孔とを有し、
前記小蓋を開いて正面から見たときに前記スリット孔が左右方向に位置するよう前記口栓が配置されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のウェットティッシュ収納容器。
【請求項6】
前記スリット孔は、両端のそれぞれに設けられた丸孔を有する請求項5に記載のウェットティッシュ収納容器。
【請求項7】
前記脚部は、前記胴体部を中心に左右、上下とが非対称に設けられている、請求項1から請求項6に記載のウェットティッシュ収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットティッシュ収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、長手方向に所定の間隔で易切断部が形成されたウェットティッシュのロール体を収納する容器本体と、該容器本体の開口部を閉塞するよう着脱自在に取り付けられる蓋体とを備え、蓋体にウェットティッシュを引き出す引き出し孔を設け、この引き出し孔とウェットティッシュとの摩擦抵抗によって易切断部が切断されることにより、ウェットティッシュを1枚ずつ取り出せるようにしたウェットティッシュ収納容器が広く知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のウェットティッシュ収納容器では、取り出し時のウェットティッシュの問題を解消するために、容器の上部にある蓋体の構造が複雑化してきており、蓋体部分の厚さを薄くすることができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであり、蓋体部分を薄くすることにより多様なニーズに対応することができるウェットティッシュ収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するために、本発明のウェットティッシュ収納容器は、上端部に開口部を有し、ウェットティッシュのロール体を収納する容器本体と、前記容器本体の開口部を閉塞するように着脱自在に取り付けられる蓋体と、を備え、前記蓋体は、天板を有するとともに下端部が開放された形状をなし、前記天板に穿設されたウェットティッシュ挿通孔と、前記ウェットティッシュ挿通孔を閉塞させる口栓と、前記ウェットティッシュ挿通孔を開閉自在に覆う小蓋と、前記天板の下面に設けられ、前記口栓を係止する口栓係止部とを有し、前記口栓は、前記ウェットティッシュ挿通孔を塞く円形状を有する胴体部と、前記胴体部から外側に向かって延びる脚部と、を有し、前記胴体部は、ウェットティッシュを引き出す引き出し孔を有し、前記口栓係止部は、前記口栓の脚部の外形の少なくとも一部が嵌る形状を有する。
【0007】
(2)(1)の構成において、前記胴体部は、径が15mm以上30mm以下である。
(3)(1)又は(2)の構成において、前記口栓の厚さが、3mm以上6mm以下である。
(4)(1)~(3)のいずれか1の構成において、前記口栓は、デュロメーター硬さで70以上100以下である。
【0008】
(5)(1)~(4)のいずれか1の構成において、前記引き出し孔は、前記胴体部の略中央に設けられた丸孔と、前記丸孔を中心に直線形状に形成されたスリット孔とを有し、前記小蓋を開いて正面から見たときに前記スリット孔が左右方向に位置するよう前記口栓が配置されている。
(6)(5)の構成において、前記スリット孔は、両端のそれぞれに設けられた丸孔を有する。
(7)(1)~(6)のいずれか1の構成において、前記脚部は、前記胴体部を中心に左右、上下とが非対称に設けられている。
(8)(1)~(7)のいずれか1の構成において、前記脚部は、前記胴体部から外側に向かって延びるテーパー部を有し、前記口栓係止部は、前記テーパー部が嵌る形状を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、蓋体を薄くすることで、多様なニーズに対応することができるウェットティッシュ収納容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るウェットティッシュ収納容器の一例を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るウェットティッシュ収納容器の断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るウェットティッシュ収納容器の蓋体の小蓋を開いた状態の上面を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るウェットティッシュ収納容器の蓋体の下面を示す分解斜視図である。
【
図5】(a)は本発明の実施形態に係るウェットティッシュ収納容器の口栓の正面図、(b)は口栓の断面図を示す図である。
【
図6】(a)は本発明の実施形態に係るウェットティッシュ収納容器の口栓を正面側から見た斜視図、(b)は口栓を背面側から見た斜視図である。
【
図7】本実施形態のウェットティッシュ収納容器の蓋体の裏面側を示す図である。
【
図8】本実施形態のウェットティッシュ収納容器の蓋体の小蓋を閉じた状態を示す図である。
【
図9】(a)は従来のウェットティッシュ収納容器に収納されるロール体のサイズを説明するための図、(b)は本発明の実施形態に係るウェットティッシュ収納容器に収納されるロール体のサイズを説明するために図である。
【
図10】(a)は従来のウェットティッシュ収納容器における蓋体の小蓋の開き角度の説明図、(b)は本発明のウェットティッシュ収納容器における蓋体の小蓋の開き角度の説明図である。
【
図11】本発明のウェットティッシュ収納容器のヒンジ部の構造について説明する図である。
【
図12】本発明のウェットティッシュ収納容器の蓋体におけるヒンジ部の背面側を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るウェットティッシュ収納容器の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るウェットティッシュ収納容器の一例を示す斜視図である。
図2は、本発明の実施形態に係るウェットティッシュ収納容器の断面図である。
図3は、本発明の実施形態に係るウェットティッシュ収納容器の蓋体の小蓋を開いた状態の上面を示す図である。
図4は、本発明の実施形態に係るウェットティッシュ収納容器の蓋体の下面を示す分解斜視図である。
【0012】
図1から
図4に示すように、ウェットティッシュ収納容器Sは、ウェットティッシュPのロール体を収納する容器本体1と、該容器本体1の開口部2を閉塞するよう着脱自在に取り付けられる蓋体3とで構成されている。容器本体1に収納されるウェットティッシュPのロール体は、長手方向に所定の間隔で易切断部が形成されており、紙や不織布等の基布に予め化粧水やアルコール成分、除菌剤、防腐剤等を含む薬液が含浸されている。
【0013】
容器本体1は、上端部に開口部2を有する有底円筒状であって、容器本体1の上端部の外周面には、周方向に沿って雄ねじ部4が形成されている。容器本体1は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂を用いて射出成形等により成型される。
【0014】
蓋体3は、天板5を有するとともに下端部が開放された円筒状の形状を持ち、天板5に穿設されたウェットティッシュ挿通孔6と、ウェットティッシュ挿通孔6を閉塞させる口栓8と、ウェットティッシュ挿通孔6を開閉自在に覆う小蓋7と、天板5の下面に突設され、口栓8を係止する口栓係止部9とを備えている。蓋体3には、小蓋7を開閉自在に軸支するヒンジ部40が設けられている。蓋体3は、その下端部の内周面には、周方向に沿って、容器本体1の雄ねじ部4と螺合する雌ねじ部10が形成され、容器本体1の開口部2に着脱自在に嵌着するようになっている。
雄ねじ部4は、雄ねじ部4の高さが、10~26mm以下である。容器本体のねじ部の高さである雄ねじ部4の高さが、蓋体3に吸収される高さに相当し、コンパクト性を付与する構造となる。
【0015】
蓋体3は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂を用いて射出成形等により成型される。
蓋体3の天板5には、頂面部11の中央に頂面部11より一段低くなった段下げ面部12が形成されている。段下げ面部12には、円形状の囲繞壁13が立設され、囲繞壁13の内側には、中央に円形状のウェットティッシュ挿通孔6が穿設されている。
ウェットティッシュ挿通孔6は口栓8により閉塞されており、ウェットティッシュ挿通孔6の大きさは、ウェットティッシュ挿通孔6に指先を押し入れることができるサイズとなっている。具体的には、直径が10~20mmであることが好ましく、より好ましくは12~18mm、さらに好ましくは14~16mmである。
口栓8には、ウェットティッシュを引き出す引き出し孔17が形成されている。
【0016】
また、蓋体3の天板5には、周囲より高さが低い窪み領域14が段下げ面部12と段差を持った状態で連続して形成されており、この窪み領域14は、蓋体3の外周壁まで連続するように形成されている。
蓋体3の窪み領域14の反対側となる部分には、小蓋7が連設されており、小蓋7には、囲繞壁13を挟むようにして緊密に嵌り合い、囲繞壁13内を気密状態とする2重の嵌合壁15が形成されている。小蓋7を閉じることにより、囲繞壁13に嵌合壁15が緊密に嵌り合い、囲繞壁13内が気密状態となることで、容器本体1に収容されたウェットティッシュPの乾燥を防ぐことが可能となる。
窪み領域14は、平らな第1領域14aと平らな第2領域14bの間の領域に下りの傾斜である傾斜部14cが形成されている。窪み領域14は、連続的にすべて傾斜によって形成することもできるが、平らな領域を多く設ける方が蓋体3の下面の構造を簡素化することができる。
【0017】
図4に示すように、窪み領域14の下面には、窪み領域14に対応して凸領域18が形成されており、窪み領域14の平らな第1領域14aと第2領域14bに対応して、平らな第1領域18aと第2領域18bが形成されており、窪み領域14の傾斜部14cに対応して、凸領域18の傾斜部18cが形成されている。
窪み領域14に傾斜を設けることによって小蓋7が閉じた状態において、窪み領域14の傾斜部14cに指を当てることにより小蓋7の端に指が引っ掛かり、小蓋7の開閉がスムーズになる。
窪みの第一領域14aと第二領域14bとの高低差は1mm~8mmであることが好ましく、より好ましくは2~4mmである。
【0018】
図2及び
図4に示すように、天板5の下面には、ウェットティッシュ挿通孔6を囲むようにして口栓係止部9が口栓8の脚部31、32、33、34の形状に合わせて突設されており、口栓係止部9に口栓8の脚部31~34が嵌って係止される。口栓8の脚部31~34は、後述するように可撓性を有する弾性材からなるため、口栓係止部9に対して容易に着脱することができる。
【0019】
図5(a)は本発明の実施形態に係るウェットティッシュ収納容器の口栓の正面図、(b)は口栓の断面図を示す図である。
図6(a)は本発明の実施形態に係るウェットティッシュ収納容器の口栓を正面側から見た斜視図、(b)は口栓を背面側から見た斜視図である。
図5、
図6及び上述した
図1~
図4を参照しつつ説明する。
【0020】
口栓8は、可撓性を有する弾性材からなり、口栓8の硬さは、デュロメーター硬さで70~100とするのが好ましく、より好ましくは75~95、さらに好ましくは80~90である。
口栓8の材料としては、例えば熱硬化性エラストマー(スチレン系、塩化ビニル系、エステル系、オレフィン系、アミド系、ウレタン系)や熱硬化性ゴム(シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム)の単体若しくはこれら二種類以上の複合材料を用いることができ、特に、耐久性や耐薬品性の観点からスチレン系の熱可塑性エラストマーが望ましい。
口栓8の厚さは、3~6mmであるのが好ましい。
【0021】
口栓8は、ウェットティッシュ挿通孔6を塞く円筒形状を有する胴体部30と、胴体部30から外側に向けって延びる脚部31~34と、を有する。
胴体部30は、ウェットティッシュ挿通孔6を塞ぐような形状を持っていればよい。
胴体部30には、ウェットティッシュを引き出す引き出し孔17が形成されている。
胴体部30の径は、ウェットティッシュ挿通孔6に対応させて、15~30mmであることが好ましく、より好ましくは18~25mm、さらに好ましくは20~23mmである。
【0022】
図の例では、脚部31~34は、胴体部30の下端から外側に延びるように形成されているが、脚部31~34を胴体部30の中間位置から外側に延びるように形成することもできる。
脚部31、32は、胴体部30の下端から胴体部30を中心に左右対称に形成されている。脚部33、34は、胴体部30の下端から胴体部30を中心に上下対称に形成されている。脚部31、32と脚部33、34は、口栓8の装着する方向を間違えないために、胴体部30を中心に左右、上下とが非対称(異形)に形成されており、万が一、口栓が外れて再び装着する場合でも最適な取り出し性を維持することができる。
脚部31には、胴体部30から外側に向かって延びるテーパー部31a、31bが形成されている。脚部32には、胴体部30から外側に向かって延びるテーパー部32a、32bが形成されている。
【0023】
口栓係止部9は、口栓の脚部31、32の外形の少なくとも一部が嵌る形状を有するよう形成されており、図の例では、口栓の脚部31、32の外形のすべてが嵌るように形成されている。例えば口栓係止部9の一部を切り欠いて設けることもできる。
図4に示すように、口栓係止部9は、脚部31のテーパー部31a、31bに対応してテーパー部9a、9b、脚部32のテーパー部32a、32bに対応してテーパー部9c、9dが形成されている。
【0024】
引き出し孔17は、胴体部の略中央に設けられた中央丸孔17aと、中央丸孔17aを中心に直線形状に形成されたスリット孔17bと、スリット孔17bの両端のそれぞれに設けられた端部丸孔17cと、を有する。
中央丸孔17aの径と周辺の硬さは、蓋体3の裏側からウェットティッシュの1枚目を指で通して表側へ出すのに最適なものが選択される。
また、中央丸孔17aの大きさは、ウェットティッシュの二枚目がミシン目で破断されて一緒に出てこないような抵抗が得られる大きさとするのが好ましい。
中央丸孔17aの径は、1.0~5.0mmであることが好ましく、より好ましくは1.5~4.0mmであり、さらに好ましくは2.0~3.0mmである。口栓8の中央丸孔17a、スリット孔17b、端部丸孔17cの周辺の硬さは、デュロメーター硬さで好ましくは70~100、より好ましくは75~95、さらに好ましくは80~90である。上記の範囲である場合に、ウェットティッシュを引き出す際に、ミシン目位置で正しく破断され、二枚目が一緒に出てくることを防止でき、また、二枚目のシートが適切な長さで中央丸孔17aにて保持される。さらに、ウェットティッシュの一枚目を容易に通すことができる。
また、スリット孔17bの両端に端部丸孔17cを設けることにより、裏からウェットティッシュ一枚目を通す時に端が避けてしまうのを防止することができる。また、ウェットティッシュを引き出す時の抵抗が適切となる。
スリット孔17bの長さ(端部丸孔17cの中心からもう一方の端部丸孔17cの中心までの繋ぐ長さ)は、4.0~13.0mmであることが好ましく、より好ましくは5.5~10.0mmであり、さらに好ましくは7.0~8.0mmである。スリット孔の幅(スリット孔の長さと対向する長さ)は、0.5~2.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.8~1.7mmであり、さらに好ましくは1.1~1.4mmである。上記の範囲である場合、ウェットティッシュの一枚目を通す時に端が破れることを抑制しながら、適切な取り出し性を得ることができる。
【0025】
図1及び
図3~
図6に示すように、小蓋7を開いて正面から見たときに引き出し孔17のスリット孔17bが左右方向に位置するように口栓の脚部31、32が設けられている。この構成により、口栓係止部9に口栓8の脚部31、32を嵌めると、小蓋7を開いて正面から見たときに引き出し孔17のスリット孔17bが左右方向(脚部31、32の方向)になるように位置決めできる。
ウェットティッシュを取り出すときにスリット孔17bが縦方向に形成されていると、下の方にウェットティッシュが偏ってしまうため、取り出し抵抗が小さくなってしまう。これに対して、小蓋7を開いて正面から見たときにスリット孔17bが左右方向になるように口栓8を位置決めすることにより、取り出し抵抗を適切にすることができ、使用感を向上させることができる。
【0026】
このように構成されたウェットティッシュ収納容器Sにおいて、ウェットティッシュPを引き出し可能な状態とするには、次のように行う。まず、容器本体1に螺嵌された蓋体3を回転させて容器本体1から外し、蓋体3の小蓋7を開けて、ウェットティッシュ挿通孔6を開放状態にする。次に、口栓8の引き出し孔17にウェットティッシュPを挿通し、引き出し可能な状態とする。このように、ウェットティッシュPを引き出し孔17に挿通する作業を簡単に行うことができ、容易にウェットティッシュPを引き出し可能な状態とすることができる。
【0027】
次に、大容量のウェットティッシュ収納容器について説明する。
図7は、本実施形態のウェットティッシュ収納容器の蓋体の裏面側を示す図である。
図8は、本実施形態のウェットティッシュ収納容器の蓋体の小蓋を閉じた状態を示す図である。
図7、
図8及び必要に応じて
図1から
図6を参照しながら、説明する。
【0028】
上述したように、蓋体3には、小蓋7を開くために周辺より高さが低い窪み領域14が形成されている。この窪み領域14は、小蓋7を開くために指先を入れるためのものであり、窪み領域14の窪みの深さが深ければ指先を入れやすく小蓋7を開け易くなるが、窪み領域14の深さが深過ぎると、蓋体3の天板5の下面に窪み領域14の窪みに対応した部分が突出してしまうこととなり、容器の容量を大きくすることができない。そこで、
図7に示すように、窪み領域14の蓋体3の下面には、窪み領域14に対応して凸領域18が形成され、この凸領域18が、口栓係止部9の高さより容器の内部に突出しないよう形成されている。
蓋体3の雌ねじ部10は、高さ方向において、口栓係止部9と窪み領域の下面に形成された凸領域18に重ならないよう形成されている。
窪みの深さは、5~10mmである場合に、指先の入れやすさを有しながら、容器の容量を大きくすることができる。
【0029】
図9(a)は従来のウェットティッシュ収納容器に収納されるロール体のサイズを説明するための図、同図(b)は本発明の実施形態に係るウェットティッシュ収納容器に収納されるロール体のサイズを説明するために図である。
図9(a)に示すように、従来のウェットティッシュ収納容器100は、高さ158mmの容器本体101と蓋体103とならなり、蓋体103の構造のため高さが高くなってしまっていたため、容器の高さに制限があると、容器本体101の高さも制限され、ロール体R0を幅の大きいロール体にすることができなかった。
蓋体3の構造を改良することによって、次の3つ方法でコンパクト化を達成することができる。
(1)蓋体3の厚みはそのままで、容器の高さ(ねじ山の部分)を高くし、内部の高さを高くする。これにより製品高さはそのままで、大きなロール体を収納できる。
(2)蓋体3の高さを薄くして、容器の高さ(ねじ山以外の部分)を高くする。これにより製品高さはそのままで、大きなロール体を収納できる。ただし、この場合は蓋体3が薄くなりすぎてしまうと、開閉しにくいという問題がある。
(3)ロール体の大きさはそのままで、蓋体3の高さを薄くする。これにより、中身の大きさはそのままで、製品をコンパクトにすることができる。
【0030】
例えば上記(3)の場合、ウェットティッシュ収納容器Sでは、蓋体3の下面に突出するものを低く抑え、蓋体3の厚みを従来よりも薄くし、蓋体3のねじ部の位置を工夫することにより、ウェットティッシュ収納容器S全体の高さは従来と同じでも、従来よりもロール幅の大きなロール体Rを容器に収納することができるようになった。
ここで、蓋体3の雌ねじ部10の位置を上記のようにすることにより、蓋体3の高さを低くすることができ、蓋体3の高さは、例えば15mm以上40mm以下であるのが好ましく、より好ましくは20~35mm、さらに好ましくは25~30mmである。
ロール体Rは、高さが90mm以上200mm以下であるのが好ましく、より好ましくは110~180mm、さらに好ましくは120~150mmである。
なお、容器本体1と蓋体3で構成される容器の内部の高さXは、110mm以上250mm以下であるのが好ましく、より好ましくは130~230mm、さらに好ましくは140~200mmである。
【0031】
次に本発明の実施形態に係るウェットティッシュ収納容器の蓋体の小蓋の開き角度について説明する。
図10(a)は従来のウェットティッシュ収納容器における蓋体の小蓋の開き角度の説明図、同図(b)は本発明のウェットティッシュ収納容器における蓋体の小蓋の開き角度の説明図である。
【0032】
図10(a)に示すように、従来のウェットティッシュ収納容器100の蓋体103の小蓋107の開き角度は約90~110°程度であった。小蓋107の開閉角度が狭いと、シートを引き出す際に小蓋107が邪魔になるという問題があった。また、小蓋107の開閉角度が狭いと小蓋107の反対側からシートを引き出そうとしたときに小蓋107が邪魔になるという問題もある。そこで、本実施形態のウェットティッシュ収納容器Sでは、シートを引き出す際に小蓋が邪魔にならないようにするために、蓋体3の小蓋7の最大開き角度を120°以上180°以下の範囲としている(
図10(b)では180°の例を示している)。
詳細は後述するが、ヒンジ部40の構成を工夫することにより、容器本体1と蓋体3で構成される容器の内部の高さXを十分に確保できる。
【0033】
次に、本実施形態に係るウェットティッシュ収納容器のヒンジ部の構造について説明する。
図11は、本実施形態のウェットティッシュ収納容器のヒンジ部の構造について説明する図である。
図12は、本実施形態のウェットティッシュ収納容器の蓋体におけるヒンジ部の背面側を示す図である。
ヒンジ部40は、小蓋7が最大開き角度の120°以上180°以下の範囲で開いた状態で静止状態を保つよう構成されている。
図11に示す例では、小蓋7が170°程度で開いた状態で静止状態を保っている。
【0034】
蓋体3は、天板5よりも外側に設けられたベース部25が形成されている。そして、ヒンジ部40は、このベース部25に形成されており、第1ヒンジ部41、42と、第1ヒンジ部41、42よりも下側に位置し、小蓋7を閉まる方向に付勢する第2ヒンジ部43と、を有する。第2ヒンジ部43の湾曲部分の湾曲量を調整することで、小蓋7を閉まる方向に付勢している。
【0035】
第1ヒンジ部41、42を構成する薄肉部41a、42aは、ベース部25の外側に位置するよう形成されている。同様に第2ヒンジ部43を構成する薄肉部43aも、ベース部25の外側に位置するよう形成されている。
第1ヒンジ部41、42及び第2ヒンジ部43をベース部25に形成し、さらにそれぞれの薄肉部41a、42a及び43aをベース部25の外側に位置するように形成することで、小蓋7の開き角度を従来よりも大きい120°以上180°以下とすることができる。
【0036】
第1ヒンジ部41、42の薄肉部41a、42aに連続して当接部41b、42bが形成され、小蓋7を閉じると、この当接部41b、42bがベース部25に当接するようになっている。第2ヒンジ部43の薄肉部43aに連続して斜めに形成された当接部43bが形成され、小蓋7を閉じると、この当接部43bがベース部25の凹部26に形成された傾斜部に当接する。
上記のように構成することにより、蓋体3の小蓋7の最大開き角度を120°以上180°以下の範囲とすることができる。
【0037】
上述した本実施形態によれば、口栓8の形状や口栓係止部9による口栓の係止形状を工夫することにより、蓋体3を薄くすることができる。
また、本実施形態によれば、小蓋7を開いて正面から見たときにスリット孔17bが左右方向に位置するよう口栓8が配置されているため、口栓8の取り出し孔17にウェットティッシュが偏るのを防ぎ、取り出し抵抗が適切となって、使用感を向上させることができる。
本実施形態によれば、ねじ部の位置を工夫することにより、容器の内部高さを高くすることができる。詳しくは、コンパクト性を付与するためには、蓋体を薄くする必要があり、さらに蓋体が薄いとコストを下げることができる。一方で、蓋体を薄くしすぎると開け閉めしにくくなってしまうという問題がある。そこで、一定の蓋体の厚みを有しながら、コンパクト性を付与するために、容器本体のねじ部を高くして、蓋体で吸収することにより実現をしている。この構成により、開閉がしやすく、コンパクトなウェットティッシュ収納容器を得ることができる。
また、本実施形態によれば、蓋体の窪み領域を工夫することにより、蓋体3を薄くすることができる。
また、本実施形態によれば、蓋体の小蓋のヒンジ部の構成を工夫することにより、使い易く、かつ、蓋体3を薄くすることができる。
【0038】
以上、本発明を、実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態の範囲には限定されないことは言うまでもなく、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0039】
S ウェットティッシュ収納容器
1 容器本体
3 蓋体
4 雄ねじ部
6 ウェットティッシュ挿通孔
7 小蓋
8 口栓
9 口栓係止部
10 雌ねじ部
12 段下げ面部
14 窪み領域
17 引き出し孔
17a 丸孔
17b スリット孔
17c 丸孔
25 ベース部
30 胴体部
31、32 脚部
31a、31b、32a、32bテーパー部
40 ヒンジ部
41、42 第1ヒンジ部
43 第2ヒンジ部
41a、42a、43a 薄肉部