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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/04 20060101AFI20230711BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20230711BHJP
   F28F 3/00 20060101ALI20230711BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20230711BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
F28F3/04 B
F28D9/02
F28F3/00 311
F28F3/08 311
F28F21/08 F
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020530348
(86)(22)【出願日】2018-12-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2018083553
(87)【国際公開番号】W WO2019110621
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】1751497-7
(32)【優先日】2017-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】502298310
【氏名又は名称】スウェップ インターナショナル アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】ダールベリ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】アンデション スヴェン
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-176618(JP,A)
【文献】特開2015-152285(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0032621(US,A1)
【文献】米国特許第05201367(US,A)
【文献】特開平05-196386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/00 - 99/00
F28D 1/00 - 13/00
B21D 31/00 - 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの流体間で熱を交換するためのろう付けプレート熱交換器(100)であり、前記熱交換器は、媒体が熱を交換するためのプレート間流路の形成下で隣接するプレートの隆起と窪みとの間の接触点によってプレートが互いに距離を保つように適合された窪み(G)および隆起(R)を含むプレスされたパターンを備えたいくつかの熱交換器プレート(110)と、前記熱交換器プレートのコーナー領域に配置され、熱を交換する流体が細長い熱交換器プレートのポート開口間を流れるようにプレート間流路との選択的な流体連通を有する少なくとも4つのポート開口と、周囲との連通からプレート間流路を閉め切る周囲シールと、を含み、前記熱交換器プレートはろう付けによって接合される、ろう付けプレート熱交換器(100)であって、
前記周囲シールは、互いに接触する隣接するプレートのスカート(150)間の接触から部分的に生じ、前記スカートは、各熱交換器プレートの2つの長辺に沿って少なくとも部分的に延び、熱交換器プレートの2つの短辺に沿って延びる平坦な領域(l30a、l30b、l40a、l40b)、すなわち平坦なシール、間の接触から部分的に生じる、ことを特徴とする、ろう付けプレート熱交換器(100)。
【請求項2】
前記熱交換器プレートは、0.1~2mmの厚さを有するオーステナイト系ステンレス鋼から作製される、請求項1に記載のろう付けプレート熱交換器(100)。
【請求項3】
前記ポート開口と前記プレート間流路との間の選択的な流体の流れは、いくつかのポート開口(120a)を高レベルに、およびいくつかのポート開口(120b)を低レベルに設けることによって達成される、請求項1または2に記載のろう付けプレート熱交換器(100)。
【請求項4】
前記熱交換器プレート(110)は同一であり、熱交換器を形成するためにスタックに配置される前に、1つおきのプレートがその平面内で180度回転される、請求項1~3のいずれか1項に記載のろう付けプレート熱交換器(100)。
【請求項5】
前記熱交換器プレートの2つの長辺に沿って少なくとも部分的に延びるスカート(150)は、隣接するプレートのスカート(150)が重なり合う様式で互いに接触し、ろう付け後にプレート間流路のためのシールを提供するように、前記熱交換器プレートの平面に対して垂直に近く配置される、請求項1~4のいずれか1項に記載のろう付けプレート熱交換器(100)。
【請求項6】
前記熱交換器プレートの2つの短辺に沿った平坦なシールは、ポート開口とプレート間流路との間の選択的な連通を提供するために、ポート開口を囲む領域(120a、120b)が互いに接触するのと同じ様式で互いに接触するように適合される細長い領域(l30a、l30b、l40a、l40b)によって提供される、請求項1~5のいずれか1項に記載のろう付けプレート熱交換器(100)。
【請求項7】
平坦なシーリング表面(130a、130b、140a、140b)とスカート(150)によって提供されるシーリングとの間の接合部において、スカートとスカートとのシーリングおよび平坦なシーリングの両方を含むシーリングが提供される、請求項1~6のいずれか1項に記載のろう付けプレート熱交換器(100)。
【請求項8】
可能な限り大きなポート開口面積を提供するために、ポート開口(120a、120b)は液滴形状である、請求項1~7のいずれか1項に記載のろう付けプレート熱交換器(100)。
【請求項9】
前記スカート(150)は、前記熱交換器プレート(110)の2つの側面の全長に沿って延在する、請求項1~8のいずれか1項に記載のろう付けプレート熱交換器(100)。
【請求項10】
前記熱交換器プレート(110)は、ロールフォーミングによって製造される、請求項1~9のいずれか1項に記載のろう付けプレート熱交換器(100)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のろう付けプレート熱交換器(100)に含まれる熱交換器プレート(110)を形成する方法であって、
前記熱交換器プレートの長辺がロールフォーミングの流れ方向に沿うように、シートメタルのブランクまたは連続ストリップ(230)を、隆起(R)および溝(G)をブランクまたは連続ストリップにプレスするように適合された隆起および溝を含むパターンを有する少なくとも2つのロール(210、220)を含むロールフォーミング装置(200)に供給する工程と、
シートメタルのブランクまたはストリップ(230)にポート開口(l20a、l20b)をスタンピングする工程と、
ストリップ(230)が前記ロールフォーミング装置(200)に供給される場合、ストリップを前記熱交換器プレートの所望の長さに対応する長さに切断する工程と、
を含む、熱交換器プレート(110)を形成する方法。
【請求項12】
ロールの一方(210、220)が動力を供給され、他方が自由に回転する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
両方のロール(210、220)に電力が供給される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ロール(210、220)が異なる直径を有する、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの流体間で熱を交換するためのろう付けプレート熱交換器に関し、熱交換器は、媒体が熱を交換するためのプレート間流路の形成下で隣接するプレートの隆起と窪みとの間の接触点によってプレートが互いに距離を保つように適合された窪みおよび隆起を含むプレスされたパターンを備えたいくつかの細長い熱交換器プレートと、細長い熱交換器プレートのコーナー領域に配置され、熱を交換する流体が細長い熱交換器プレートのポート開口間を流れるようにプレート間流路との選択的な流体連通を有する少なくとも4つのポート開口と、周囲との連通からプレート間流路を閉め切る周囲シールと、を含み、熱交換器プレートはろう付けによって接合される。
【0002】
本発明はまた、本発明による熱交換器に含まれる熱交換器を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ろう付けプレート熱交換器は、長い間、熱を交換するために2つ以上の媒体間で熱を交換する効率的な方法として使用されてきた。一般に、ろう付けプレート熱交換器は、隆起および溝のプレスパターンが設けられたいくつかの熱交換器プレートを備え、隣接するプレートの隆起および溝は、プレート間の流路が隣接するプレート間に形成されるようにプレートを相互に離して保持する接触点を形成する。ポート開口は、プレート間流路と選択的に連通するように配置され、プレート間流路から流体が漏れないようにプレート間流路をシールするために、熱交換器プレートの周囲に沿ってシールが延びる。熱交換器プレートがスタックに積み重ねられた後、熱交換器プレートは、熱交換器を形成するために一緒にろう付けされる。
【0004】
周囲シールは、(少なくとも)2つの異なる方法で作成されてよく、最も一般的な方法は、熱交換器プレートの周囲の周りに延びる周囲スカートをプレートに設けることであり、隣接するプレートのスカートは、プレート間流路を閉め切る重なり合う接触シールを形成する。より一般的でない解決策は、熱交換器プレートの周囲に沿って隣接する熱交換器プレートの平坦領域に接触するように配置された平坦領域を熱交換器プレートに設けることである。しかし、主に、この解決策では熱交換が行われない横方向の流路を有する流路が提供されるという事実のために、この解決策は、一般的ではない。
【0005】
ろう付けプレート熱交換器用の熱交換器プレートは、一般に強力な油圧プレス機でプレスされ、プレスパターン、ポート開口の高さ、および周囲のスカートが、1回の作業で平板にプレスされる。
【0006】
1回の作業で熱交換器プレートをプレスすると満足のいく結果が得られるが、問題がないわけではない。まず、プレートが大きい場合、プレートをプレスするのに必要な力は非常に大きくなり(数千トンのプレス力は珍しくない)、それは高価で多くの電力を消費する大型プレスを必要とする。
【0007】
熱交換器プレートを形成する別の方法は、ロールフォーミングである。ロールフォーミングにより、これまで、熱交換器プレートに周囲方向のスカートを設けることは不可能であったが、隣接するプレートの同様の表面に平坦にろう付けされるように適合された周囲方向のシール面のみが可能であった。上述したように、そのような表面を備えた熱交換器は、一方の流路に熱交換が不可避的に形成されていないシャツを巡らすようなまっすぐな流路であるため、相互に重なり合う周囲スカートによりシールされる熱交換器に比べて効率的でない。
【0008】
本発明の目的は、上記および他の問題を克服する熱交換器およびそのような熱交換器を製造する方法を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
周囲シールは、互いに接触する隣接するプレートのスカート間の接触から部分的に生じ、前記スカートは、各熱交換器プレートの長辺に沿って少なくとも部分的に延び、熱交換器プレートの短辺に沿って延びる平坦な領域間の接触から部分的に生じる、熱交換器によって、上記およびその他の問題は解決される。
【0010】
好ましくは、熱交換器プレートは、0.1~2mmの厚さを有するオーステナイト系ステンレス鋼から作られる。なぜなら、そのような厚さは、低コストの生産を可能にしつつ、必要な強度を与えるからである。
【0011】
本発明の一実施形態では、ポート開口を囲む領域が互いに接触する場合にシールが発生し、ポート開口の周囲の領域が互いに接触しないときにポート開口とプレート間流路との間の連通が発生するように、ポート開口とプレート間流路の間の選択的な流体の流れは、いくつかのポート開口を高レベルに、いくつかのポート開口を低レベルに設けることによって達成される。この実施形態は、ポート開口とプレート間流路との間の選択的な連通を達成するために追加のシーリングリングを設ける必要がないという点で有益である。
【0012】
本発明の一実施形態では、熱交換器プレートは同一であり、熱交換器を形成するためにスタックに配置される前に、1つおきのプレートがその平面内で180度回転される。この実施形態は、熱交換器全体をただ1つのタイプの熱交換器プレートから製造できるという点で有益である。
【0013】
本発明の一実施形態では、熱交換器プレートの長辺に沿って少なくとも部分的に延びるスカートは、隣接するプレートのスカートが重なり合う様式で互いに接触し、ろう付け後にプレート間流路のためのシールを提供するように、熱交換器プレートの平面に対して垂直に近く配置される。この実施形態は、熱交換器に効率的な熱伝達を与えるという点で有益である。
【0014】
本発明の一実施形態では、熱交換器プレートの短い端部に沿った平坦なシールは、ポート開口とプレート間流路との間の選択的な連通を提供するために、ポート開口を囲む領域が互いに接触するのと同じ様式で互いに接触するように適合される細長い領域によって提供される。この実施形態は、流体の横方向分布が効率的であり、熱交換器プレートがロールフォーミングによって製造され得るという点で有益である。
【0015】
本発明の一実施形態では、スカート同士のシーリングおよび平坦なシーリングの両方を含むシーリングが、平坦なシーリング表面とスカートのシーリングとの間の接合部に提供される。
【0016】
本発明の一実施形態では、できるだけ大きなポート開口面積を提供するために、ポート開口は液滴形状である。
【0017】
本発明の一実施形態では、スカートは、熱交換器プレートの長辺全体に沿って延在する。この実施形態は、熱交換器の長さに沿って等しい幅を有する強力な熱交換器を提供するという点で有益である。
【0018】
本発明の一実施形態では、熱交換器プレートは、ロールフォーミングによって製造される。この実施形態は、ロールフォーミングが熱交換器プレートを製造するコストおよびエネルギー効率のよい方法を提供するという点で有益である。
【0019】
さらに、本発明は、先行する請求項のいずれかに記載の熱交換器に含まれる熱交換器プレートを形成する方法であって、シートメタルのブランクまたは連続ストリップを、隆起および溝をブランクにプレスするように適合された隆起および溝を含むパターンを有する少なくとも2つのロールを含むロールフォーミング装置に供給する工程と、シートメタルのブランクまたはストリップにポート開口をスタンピングする工程と、ストリップがロールフォーミング装置に供給される場合、ストリップを熱交換器プレートの所望の長さに対応する長さに切断する工程と、を含む方法によって上記および他の問題を解決する。
【0020】
この方法の一実施形態では、ロールの一方に電力を供給してよく、他方を自由に回転させてよい。この実施形態は、最小限の量の応力が、ロールフォーミング操作によってプレスされたプレートに誘発されるという点で有益である。
【0021】
この方法の他の実施形態では、両方のロールに電力を供給してもよい。
【0022】
本発明のさらに別の実施形態では、ロールは異なる直径を有してよい。これは、少なくとも1つの大きな直径のロールを有しながら高い「ニップ力」が達成され得るという点で有益である。
【0023】
以下において、本発明は、添付図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の一実施形態による2つの隣接する熱交換器プレートの短い端部を示す分解斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態による熱交換器の分解斜視図であり、前記熱交換器は、図1による熱交換器プレートを備える。
図3図3は、本発明の別の実施形態による2つの隣接する熱交換器プレートの短い端部を示す分解斜視図である。
図4図4は、本発明の別の実施形態による熱交換器に含まれる図3による2つの熱交換器プレートの分解斜視図である。
図5図5は、本発明による熱交換器プレートのロールフォーミングを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1には、2つの熱交換器プレート110の短い端部が示されている。熱交換器プレート110は、例えば、0.1~2mmの厚さのオーステナイト系ステンレス鋼で造られてよいが、他の材料から他の厚さで造られてもよい。短い端部は各々、2つのポート開口120aおよび120bを備え、ポート開口120aは高レベルに設けられ、ポート開口120bは低レベルに設けられる。各熱交換器プレート110の短い端部は、類似していない。むしろ、それぞれ、シール面130a、130b、および140a、140b、ならびにポート開口120a、120bを囲む領域は、互いに鏡像である。シール面130b、シール面140b、およびポート開口120bを囲む領域は、低いレベルに位置し、一方、シール面130a、シール面140a、およびポート開口120aを囲む領域は、高いレベルに位置する。
【0026】
熱交換器プレート110がスタックに積み重ねられて熱交換器を形成するとき、1つおきの熱交換器プレート110は、隣接する熱交換器プレートと比較してその平面内で180度回転する。これは、シール面l30aと130bとの間、および隣接するプレート接点の1つおきのポート開口120aと120bとの間、および他の隣接するプレート接点のシール面140aと140bと他のポート開口120aと120bとの間が交互に接触することを意味する。ろう付けされると、ろう付け材料は隣接するプレートの接触面間の微小な空間を埋め、それ故、ろう付け材料が冷えて固まったときに接触面間にシールを作成する。
【0027】
また、熱交換器プレートは、隆起Rおよび溝Gのプレスされたヘリンボーンパターンを備える。ヘリンボーンパターンにより、熱交換器プレートがプレート間流路の形成下で互いに距離を保つように、隣接するプレートの隆起および溝は、1つおきのプレートがその平面内で180度回転すると接触点を形成する。また、隣接するプレートの隆起と溝との間の接触点には、ろう付け材料が充填され、それ故、隣接するプレートの隆起と溝との間に接合が作成される。
【0028】
熱交換器プレートの長辺の一部に沿って、スカート150が設けられている。これらのスカート150は、隣接するプレートのスカート150が互いに接触し、ろう付け後にプレート間流路にシールを提供するように、熱交換器プレートの平面に対して垂直に近く配置される。
【0029】
シール面140a、140bとスカート150との間の接合部には、スカート150の重なりによるスカート同士のシールと、面140a、140bと130a、130bとの間のシールの両方を含む重なりシールがある。
【0030】
短辺に沿ったいくつかのポート開口の周りの「フラットシール」と、長辺に沿ったスカート間シールとの組み合わせにより、有益な特性を有する熱交換器が実現される。熱交換器の長辺に沿って「フラットシール」を有する熱交換器とは異なり、隣接するプレートの隙間を流れる媒体と熱交換しない流体のバイパスはない。これは、長辺がフラットシールである熱交換器の場合は避けられない。
【0031】
しかし、熱交換器の短辺に沿って流体の短絡が発生する。しかし、この短絡は流体の横方向の分配に役立つので、これは有益である。
【0032】
図2には、8つの熱交換器プレート110、開始プレート160、終了プレート170および4つのポート接続180を含む熱交換器100が分解斜視図で示されている。開始プレート160は、熱交換器プレート110のポート開口120a、120b(図1参照)と整列する4つのポート開口160a~160dを備えている。図2から分かるように、全ての熱交換器プレート110は、隣接するプレートと比較して、1つおきにその平面内で180度回転し、ポート開口を囲む領域の配置により、ポート開口とプレート間流路との間に選択的な流体連通がある。また、熱交換器プレート110のポート開口120a、120bは、円形でないことに留意されたい。むしろ、それらは、その流動面積を増加させるために液滴形状である。しかし、あらゆる可能なポート開口構成(円形を含む)が、本発明から逸脱することなく使用され得る。
【0033】
図3および図4には、本発明の別の実施形態が示されている。この実施形態では、スカート間シールは、熱交換器プレートの長辺全体に沿って延びる。これは、熱交換器の幅が全長にわたって等しいという点で有益である。熱交換器プレートの短辺近くのポート開口およびシール面は、図1および図2に示される実施形態の対応する表面と同一であることに留意されたい。
【0034】
しかしながら、本発明による熱交換器の最も重要な利点は、「通常の」一行程油圧プレスで熱交換器プレートをプレスするのではなく、熱交換器プレート110をロールフォーミングすることが可能であることである。
【0035】
図5を参照すると、ロールフォーミング装置200における熱交換器プレート110のロールフォーミングが示されている。ロールフォーミング装置200は、2つの対向するロール210、220を含み、各々が、コイル(図示せず)から供給されたシートメタルのストリップ230の形でロール間でロールされるシートメタルプレートに、対応するプレスされたパターンをプレスするように適合された隆起および溝のパターンを含む。ギアシステム(図示せず)は、ロール210、220が首尾一貫して回転することを確実にし、その結果、適切なプレスされたパターンが、ロール間を移動するシートメタルプレートをもたらす。場合によっては、つまり、対向するロールのパターンが互いに干渉する場合、それはロール間の一貫性を確保するギアボックスを用いる必要がないかもしれないこと、ロールが互いに対してわずかに前後に回転することができ、それ故、プレスされたパターンが設けられたプレートの応力緩和を可能にする場合には、それは実際に有利であるかもしれないこと、に注意されたい。プレスされたシートメタルプレートを切断するために、シートメタルプレートにプレスされる隆起部および溝のパターンに切断工程が含まれてもよい。あるいは、切断は、連続するプロセス工程で行われ、例えば、当業者に周知のプロセスであるロール切断によって行われてもよい。
【0036】
本発明の一実施形態では、対向するロールは、ロール間の角度関係を制御できるように、ステップモータによって制御される。このような制御は、プレス作業に起因するプレートの曲がりを低減または制御するために必要であり得る。
【0037】
本発明の一実施形態では、両方のロールの直径は同一である。本発明の他の実施形態では、ロールは異なる直径を有してもよい。しかしながら、両方のロールの円周が特定の数の熱交換器プレートの長さに等しいようなロールの円周である場合、それは有益である。
【0038】
例えば、一対のロールは、2つの熱交換器プレートの長さに等しい円周を有する第1のロールと、1つの熱交換器プレートの長さに等しい円周を有する第2のロールとを含み得る。このような配置では、小さいロールは、大きいロールの2倍の速度で回転する。他の実施形態では、大きなロールと小さなロールとの間の関係は、例えば、1:3または2:3であり得て、ローラの回転速度はそれに応じて制御される。
【0039】
図5では、シートメタルは、コイル(図示せず)から連続ストリップ230の形で対向するロールに供給される。シートメタルのストリップは、ろう付け材料、すなわち、シートメタル自体よりも低い溶融温度を有する金属または合金から作られたコーティングを備えてよい。
【0040】
あるいは、ろう付け材料は、箔のストリップ(図示せず)として提供されてもよく、これは、シートメタルのストリップと平行にロールフォーミング装置200に供給される。
【0041】
あるいは、ろう付け材料は、プレス後にプレスされたシートメタルプレート上に噴霧または圧延されてもよい。
【0042】
また、ろう付け材料は、ろう付け合金粉末、結合剤および揮発性溶剤を含むペーストの形態でプレートに塗布されてもよい。好ましくは、ろう付け材料ペーストは、スクリーン印刷によって、隣接するプレートのプレスされたパターン間の接触点の近くまたは接触点に塗布される。
【0043】
プレスされるシートメタルは、いわゆる「ブランク」、すなわちプレス作業の前に適切な長さに切断されたシートメタルストリップの形でロールフォーミング装置に提供されてもよい。ブランクには、ポート開口120a、120bのための穴を設けることもできる。プレートを適切な長さに切断することおよび、ポート開口を形成する穴を設けることの両方を、単一のロール切断工程によって実行し得るが、例えば、シート材料のプレス切断によって実行してもよい。しかしながら、プレス切断は不連続プロセスであるという欠点があり、これは、不連続プレスタッティングプロセスと連続ロールフォーミングプロセスとの間の生産ラインに均一化工程が配置されない場合、連続ロールフォーミングプロセスを妨害する。
【0044】
上記で簡単に述べたように、プレートは、ロールフォーミング作業中に曲がることがある。このような曲がりは、ロールの回転速度(およびローラの相互回転位置の偏心の狂い)を制御することで回避できるが、そのような制御が十分でない場合は、ロールフォーミングの「下流」に配置された追加の曲げ緩和ロールを設ける必要がある。曲げ減少ロールは、好ましくは、トレフォイルまたはシャムロック構成に配置され、それにより、曲げ減少ロール構成に入るプレートは、正しい形状に可塑化するように曲げられる。
【0045】
本発明の別の実施形態では、プレートは、プレートが正しい形状に可塑化されることを可能にする形状を有するプレスツールによって真っ直ぐにされる。
【0046】
ロールフォーミング、プレートの切断、およびプレートへのろう付け材料の供給の後、熱交換器プレートは、スタックに配置され、熱交換器プレートが同一の場合、隣接するプレートと比較して、1つおきのプレートがその平面内で180度回転する。(注:2、4、またはその他の偶数のプレートがローラの1回転でプレスされる場合、隣接するプレートが所望の方法で協働するようにプレートのプレスパターンを次に調整できるので、プレートを平面で回転させる必要はない。)熱交換器プレート110の長辺に沿ってスカート150を設けることにより、プレートは横方向に自動調心する。しかし、プレートの短辺は「フラットシール」を備えているので、プレート間に長手方向の相互ロックが生じないため、長手方向に対応する自動調心機能はない。したがって、ある種の外部フレームが長手方向の位置決めを確保することが重要になる場合がある。プレートのスタックにおいてプレートの長手方向位置が正しいことを保証する1つの方法は、2つの「壁」間でプレートのスタックを押すことであり、「壁」間の距離は、熱交換器プレートの長さに等しい。
【0047】
必要であれば、エンドプレート(図示せず)を熱交換器プレートのスタックの両側に配置してもよい。熱交換器に剛性を提供し、例えば、ポート開口120a、120bへの接続の確実な固定を可能にするために、エンドプレートは、熱交換器プレートよりも厚いゲージのシートメタルから作られ得る。好ましくは、一方の端板にはポート開口が設けられていない。エンドプレート端とその隣接する熱交換器プレート110との間にプレート間流路を提供するために、エンドプレートは、熱交換器プレートと同様の形状を有し得るが、他の形状も同様に使用され得る。エンドプレートが熱交換器プレート110と同様に形成される場合、すなわち、隣接する熱交換器プレート110とのプレート間流路を提供するために隆起および溝を有する場合、厚いゲージプレートにとってプレス力がしばしば重要になるので、プレスされたパターンを有する厚いゲージプレートを提供するために本発明は特に価値があることに留意されたい。
【0048】
最後の工程として、熱交換器プレートのスタックは、ろう付け材料を部分的または完全に溶融するのに十分な温度に加熱された炉内で互いにろう付けされる。ろう付け作業中にすべてのプレートが互いに対して適切に配置されることを保証するために、固定具が使用されてもよい。

図1
図2
図3
図4
図5