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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】非常用報知装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/02 20060101AFI20230711BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20230711BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20230711BHJP
   G08B 5/00 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
G08B21/02
G08B25/10 B
G08B25/04 K
G08B5/00 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019076451
(22)【出願日】2019-04-12
(65)【公開番号】P2020173715
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】澤見 昌宣
【審査官】横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-041250(JP,A)
【文献】特開2013-196676(JP,A)
【文献】特開2007-249930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 19/00-31/00
G08B 1/00- 9/20
H04M 3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
7/00- 7/16
11/00-11/10
H04M 9/00- 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋外側の面でかつ玄関設置面に隣接する側面に設置された箱体と、
前記箱体に設けられ、前記建物の住人及び前記住人が定めた特定者の一方が操作者とされ他方が対象者とされて、前記操作者により前記対象者との間で設定している非常時の操作がなされる操作部と、
前記箱体に設けられ、前記操作部の操作に応じて表示部の表示状態を切替えて前記操作部の操作がなされたことを前記対象者に報知する報知部と、
を含み、前記表示部は、前記箱体の前記玄関側の側面に設けられた発光手段が前記操作部の操作に応じて前記玄関設置面が面する方向に向けて発光されることを含む、非常用報知装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記発光手段として異なる発光色の複数の発光手段を備え、前記操作者としての前記住人による前記操作部の操作に応じて設定されている発光色の前記発光手段が点灯される、請求項1に記載の非常用報知装置。
【請求項3】
前記報知部は、前記操作部の操作に応じて予め設定されているメッセージを前記対象者に報知するように動作される請求項1又は請求項2に記載の非常用報知装置。
【請求項4】
前記報知部は、前記対象者が有する特定周波数の電波の受信専用の携帯端末に前記操作部の操作に応じて予め設定されているメッセージを送信する送信部を含む請求項1から請求項3の何れか1項に記載の非常用報知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被災時などの非常時において状況を報知する非常用報知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の地域防災情報システムでは、各住戸に屋外警報装置が設けられており、屋外警報装置は、赤色ランプ付きの火災確認ボタン及び緑色ランプ付きの誤報確認ボタンを備えている。また、屋外警報装置には、避難済み表示部が設けられており、避難済み表示部は、火災確認ボタンと誤報確認ボタンとを交互に点滅させることで住戸の住人が避難済みであることを報知する。
【0003】
また、地域防災情報システムには、河川の氾濫などの自然災害の発生を予測するための災害監視装置が設けられている。地域防災情報システムでは、災害監視装置により自然災害の発生する可能性が高いと判断されると、サーバがメッセージを作成し、作成したメッセージの電子メールを地域の住人の情報端末に送信すると共に、住人の固定電話からメッセージを通知するようにしている。さらに、地域防災情報システムでは、住人に避難場所を通知すると共に、避難場所への住人の避難が済んでいるかを把握し、住人の避難完了リストを地域の住人の情報端末から閲覧できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-041250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自然災害等の被災地には、支援や住人の状況確認などのために、住人以外の人が訪ねることある。例えば、住宅メーカ(例えば、営業担当)等では、顧客である住人が被災した際、支援を行なうために住宅を訪ねることがある。
【0006】
この際、住人が避難場所に避難するなどして不在(在宅していない)であり、非難完了リストが閲覧できないと、住人が避難場所に避難しているか否かが不明となる。このため、支援や安否確認のために住宅を訪ねても、住人との連絡が取り辛く、住民の安否を確認できないという問題がある。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、非常時に住人と特定者との間での連絡を容易にできる非常用報知装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の第1の態様の非常用報知装置は、建物の屋外側の面に設置された箱体と、前記箱体に設けられ、前記建物の住人及び前記住人が定めた特定者の一方が操作者とされ他方が対象者とされて、前記操作者により前記対象者との間で設定している非常時の操作がなされる操作部と、前記箱体に設けられ、前記操作部の操作に応じて表示部の表示状態を切替えて前記操作部の操作がなされたことを前記対象者に報知する報知部と、を含む。
【0009】
第1の態様の非常用報知装置では、建物の屋外側の面に箱体が設けられており、箱体には、操作部及び報知部が設けられている。操作部は、建物の住人及び住人が定めた特定者の一方が操作者とされ、非常時に操作者によって操作される。また、報知部は、住人及び特定者の他方が対象者とされ、操作部が操作されることで、表示部の表示状態を変更して操作部が操作されたことを対象者に報知する。
【0010】
ここで、非常時は、自然災害等が発生した状態などの平時とは異なる事態を適用する。また、住人は、建物に住んでいる人やその家族を対象とし、住人と特定者との関係は、災害発生時などにおいて住人が個人的に連絡を取り合うことを予め定めた関係者が適用される。つまり、特定者は、住人以外の人(建物に住んでいる人以外の人)で予め住人との間で定められている人を指し、特定者は、地域の住民であってもよく、住人の同居していない家族であってもよい。また、特定者は、建物の製造メーカ(住宅を建築した住宅メーカ)の営業担当などの建物や住人に関連する会社や会社の従業員であってもよく、住人の知人であってもよい。
【0011】
また、操作者と対象者との間では、非常時において操作部に対する操作が予め定められており、操作者が操作部を操作することで、操作部が操作されたことを報知部によって報知された対象者が操作者の意図を認識できるように設定されている。
【0012】
例えば、非常時において、住人が操作者として対象者が特定者とされ、操作部に対して安全に避難していることを取り決めている操作がなされ、操作がなされたことを表示部の表示状態から対象者に報知可能にされる。これにより、通信インフラが復旧しておらず、操作者と対象者とが互いに連絡を取り合うことが難しい状態であっても、建物を介して間接的に連絡を取り合うことができて、対象者(特定者)は、操作者(住人)が安全に避難していることを認識できる。
【0013】
第2の態様の非常用報知装置は、第1の態様の非常用報知装置において、前記表示部は、発光手段を備え、前記報知部は、前記操作部の操作に応じて前記発光手段の発光状態が変更される。
【0014】
第2の態様の非常用報知装置では、表示部に発光手段が設けられており、報知部は、操作部が操作されることで発光手段を点灯させるなどして発光状態を変更する。これにより、発光手段の発光状態が変更されることで、操作部が操作されたことを対象者が容易に認識できる。
【0015】
第3の態様の非常用報知装置は、第1又は第2の態様の非常用報知装置において、前記報知部は、前記操作部の操作に応じて予め設定されているメッセージを前記対象者に報知するように動作される。
【0016】
第3の態様の非常用報知装置では、報知部が、操作部の操作に応じて予め設定されているメッセージを対象者に報知するように動作する。これにより、操作者の意図を対象者に報知できる。
【0017】
第4の非常用報知装置は、第1から第3の何れか1の態様の非常用報知装置において、前記報知部は、前記対象者が保有する特定周波数の電波の受信専用の携帯端末に前記操作部の操作に応じて予め設定されているメッセージを送信する送信部を含む。
【0018】
第4の態様の非常用報知装置では、操作部の操作に応じて予め設定されているメッセージを送信部が対象者の保有する特定周波数の電波の受信専用の携帯端末に送信する。これにより、操作者の意図を対象者に的確に報知できる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明の第1の態様の非常用報知装置によれば、通信インフラが復旧していない場合でも、操作者が対象者に非常時の状況を報知できる、という効果を有する。
【0020】
第2の態様の非常用報知装置によれば、発光手段の発光状態が変更されることで、操作部が操作されたことを対象者に容易に報知できる、という効果を有する。
【0021】
第3の態様の非常用報知装置によれば、操作部を操作する操作者の意図を対象者に報知できる、という効果を有する。また、第4の態様によれば、操作部を操作する操作者の意図を対象者に的確に報知できる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態に係る報知装置の概略構成を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る報知装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】建物の概略を示す斜視図である。
図4】報知装置の主要部を示す正面図である。
図5】第2実施形態に係る報知装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1には、第1実施形態に係る非常用報知装置としての報知装置10が斜視図にて示されており、図2には、報知装置10の概略構成がブロック図にて示されている。また、図3には、建物としての住宅12の概略が斜視図にて示されている。
【0024】
第1実施形態に係る報知装置10は、住宅12に設置され、住宅12における非常時に用いられる。報知装置10は、住宅12の住人以外で、住人が予め定めている特定者を対象者として、住人の安否や避難状況などの被災状況を対象者(特定者)に個人的に報知する安否報知装置として機能する。また、報知装置10は、住人と特定者とが個人的に連絡を取り合うための連絡装置として機能する。
【0025】
報知装置10が用いられる非常時は、台風や大雨などによる洪水、地震、火山噴火、土砂災害などの自然災害による被災時、大火などによる被災時などの住宅12及び住人が平時とは異なる環境下に至った状態を指す。
【0026】
住人は、住宅12を住居としている人(家族)とされている。また、特定者は、住人以外の人で予め住人との間で定められている人を指し、特定者は、地域の住民であってもよく、住人の同居していない家族であってもよく、住宅12を建築した住宅メーカの営業担当などの住人や住宅12に関連する会社(法人)や会社の従業員であってもよく、住人の知人であってもよい。特定者は、一人(一社)であることが好ましいが、互いに知己の関係があり、住宅12の非常時においても連絡を取り合うことが可能であれば複数であってもよい。
【0027】
報知装置10では、被災時において住人及び住人が定めた特定者の一方が操作者とされ、操作者によって操作される。報知装置10は、操作者の操作が、住人及び特定者の他方とされる対象者に報知される。第1実施形態では、特定者の一例として住宅メーカ(又は住宅メーカの営業担当)を対象として説明する。報知装置10は、住宅メーカが提供して住宅12に設置してもよく、住人が住宅12に設置してもよい。
【0028】
図1に示すように、報知装置10は、箱体としての矩形箱状のボックス14を備えている。ボックス14は、防水性(防水ボックス)とされており、ボックス14は、樹脂製であってもよくステンレスなどの金属製であってもよい。
【0029】
ボックス14は、一方の面が前面とされ、前面の周囲の一面が側面とされている。ボックス14の前面の前面パネル14A側には、透明樹脂製のカバー16が設けられており、カバー16は、図示しないヒンジを軸に開閉(回動)可能とされている。ボックス14は、カバー16が開かれることで、前面パネル14A側が開放(露出)され、カバー16が閉止されることで、前面パネル14Aがカバー16によって覆われる。
【0030】
ボックス14には、ゴム製等のシール部材18が設けられており、シール部材18は、前面パネル14Aの周縁部とカバー16との間に配置されている。ボックス14は、カバー16が閉止されて図示しないロック手段によってロックされることで、シール部材18がボックス14の前面パネル14A周縁部とカバー16の周縁部とに圧接され、カバー16内が密閉されて防水される。
【0031】
ボックス14の前面パネル14Aには、操作部を構成する複数のボタンスイッチ20(一例として3個のボタンスイッチ20A、20B、20C)、及び複数の通報スイッチ22(一例として2個の通報スイッチ22A、22B)が配置されている。前面パネル14Aには、ボタンスイッチ20A、20B、20Cが上から順に配置されていると共に、ボタンスイッチ20A~20Cに向かって左側に、通報スイッチ22A、22Bが上から順に配置されている。
【0032】
ボックス14は、カバー16が開かれることで、ボタンスイッチ20(20A~20C)及び通報スイッチ22A、22Bの各々が露出されて操作可能になる。また、ボックス14は、カバー16が閉じられた状態でカバー16内部の通報スイッチ22A、22Bの操作状態の視認が可能になっている。
【0033】
ボックス14の側面の側面パネル14Bには、報知部としての表示部を構成する長尺略矩形板状のランプカバー24が配置されている。ランプカバー24は、ガラス製又は樹脂製とされ、非透明かつ光透過性とされている。側面パネル14Bには、上下方向(側面パネル14Bの長手方向)に長尺の開口部(図示省略)が貫通形成されており、ランプカバー24は、側面パネル14Bの開口部内に配置されている。側面パネル14Bの開口部周縁には、断面H形状のゴム製等のシール部材26が配置され、シール部材26には、側面パネル14Bの開口部周縁端部及びランプカバー24の周縁端部が各々圧入されている(嵌め込まれている)。これにより、ボックス14は、側面パネル14Bの開口周縁とランプカバー24の周縁との間が閉塞されて防水されている。
【0034】
図3に示すように、住宅12は、一戸建てとされており、住宅12には、玄関28が設置されている。住宅12は、玄関28が図示しない道路(前面道路)に面しており、玄関28は、一例として住宅12の桁行方向の一端側に寄って設置されている。報知装置10のボックス14は、玄関28に隣接する妻側の外壁30の屋外側の面に取り付けられており、ボックス14は、前面パネル14A(カバー16側)が屋外側に向けられ、かつ側面パネル14Bが玄関28側(道路側)に向けられている。
【0035】
ボックス14の取り付け高さは、ボックス14の下を通る人(住人など)が接触しない高さ(頭部等が触れない高さ)とされ、かつカバー16の開閉、ボタンスイッチ20及び通報スイッチ22の各々の操作が可能な高さとされている。ボックス14の取り付け高さは、例えば、下端(下面)の地面からの高さが1.8m以上、上端(上面)の地面からの高さが2m以下とされている。
【0036】
これにより、報知装置10は、ボックス14の側面パネル14Bのランプカバー24が道路や玄関28の付近から容易に視認可能にされ、かつ、ボックス14に不必要に触れられるのが抑制されている。また、ボックス14は、住宅12の玄関28付近の外観を損ねるのが抑制されている。なお、ボックス14の塗装色は、外壁30の塗装色と同様であることが好ましく、これにより、平時における住宅12の見栄えを損ねるのを一層抑制できる。
【0037】
図2に示すように、ボックス14の内部には、操作部及び報知部を構成する点灯部32が配置されている。点灯部32は、点灯回路(図示省略)が形成された回路基板34を備えている。回路基板34には、電源としてのバッテリ(電池)36が接続されており、点灯部32は、バッテリ(電池)36の電力によって動作可能にされている。
【0038】
バッテリ36には、一次電池(乾電池など)が用いられてもよく、二次電池が用いられてもよい。バッテリ36に二次電池を用いる場合、点灯部32は、商用電源や太陽電池モジュールなどの充電用電源によりバッテリ36の充電状態が維持されると共に、充電用電源からの電力によって動作可能とされ、充電用電源からの給電が途絶えた際にバッテリ36(二次電池)の電力により動作されてもよい。
【0039】
回路基板34には、ボタンスイッチ20A~20C及び通報スイッチ22A、22Bの各々が接続されている。また、点灯部32には、報知部及び表示部を構成する発光手段としての複数のLEDランプ40が接続されている。第1実施形態では、ボタンスイッチ20と同数のLEDランプ40(40G、40Y、40R)が設けられており、LEDランプ40G、40Y、40Rの各々は、回路基板34に接続されている。LEDランプ40G、40Y、40Rは、通電されることで各々緑色、黄色及び赤色に発光する。
【0040】
ボタンスイッチ20A~20C及び通報スイッチ22A、22Bの各々には、オルタネートかつブレーク接点(a接点)の押しボ式スイッチが用いられている。これにより、ボタンスイッチ20A~20C及び通報スイッチ22A、22Bの各々は、接点が解放された状態(オフ)から、最初(1回目)の押圧操作によって接点が閉じられる(オン操作)と共に、押圧が解除されても接点が閉じられた状態が保持される。また、ボタンスイッチ20A~20C及び通報スイッチ22A、22Bの各々は、接点が閉じられた状態からの押圧操作によって接点が開放され(オフ操作)、押圧が解除されても接点の開放状態が保持される。
【0041】
LEDランプ40の各々は、ボックス14内においてランプカバー24に対向されており(図示省略)、LEDランプ40が点灯されることで、ランプカバー24が内部から照明され、LED40から発せられた光がランプカバー24からボックス14の外方に照射される。これにより、LEDランプ40G、40Y、40Rの各々が点灯されると、ランプカバー24が各々緑色、黄色及び赤色に発光(発色)される。
【0042】
報知装置10では、ボタンスイッチ20A~20Cが各々LED40G、40Y、40Rに対応されている。点灯部32では、ボタンスイッチ20Aがオン操作されることでLED40Gが点灯され、ボタンスイッチ20Bがオン操作されることでLED40Yが点灯され、ボタンスイッチ20Cがオン操作されることでLED40Rが点灯される。
【0043】
また、通報スイッチ22A、22Bは、ランプ付きとされており、通報スイッチ22A、22Bには、LEDランプ42が用いられている。図4には、ボックス14が正面図にて示されている。なお、図4では、カバー16が省略されている。
【0044】
図4に示すように、通報スイッチ22A、22Bの操作面(ボタン)の表面には、電話マーク44A、44Bが設けられている。これにより、通報スイッチ22A、22Bは、オン操作されて接点が閉じられることで、LEDランプ42が点灯されて、電話マーク44A、44Bの各々が照明され、通報スイッチ22A、22Bがオン操作されたことが明示される。
【0045】
ここで、報知装置10では、ボタンスイッチ20A~20C及び通報スイッチ22Aの操作者として住人が設定されており、通報スイッチ22Bの操作者として特定者(住宅メーカ)が設定されている。
【0046】
ボタンスイッチ20Aは、被災時に住人が避難せずに自宅(住宅12)に居る状況で操作されるように設定され、ボタンスイッチ20Bは、被災時に住人が地域において指定されている避難場所(近所の避難場所)に避難する際に操作されるように設定されている。また、ボタンスイッチ20Cは、被災時に住人が地域において指定されている避難場所ではなく、別の避難場所(遠距離の避難場所)に避難する際に操作されるように設定されている。
【0047】
また、通報スイッチ22Aは、住人が特定者に連絡を取りたい場合に住人により操作されるように設定され、通報スイッチ22Bは、特定者が住人に連絡を取りたい場合に特定者により操作されるように設定されている。これらは、住人と特定者との間で予め取り決められており、操作者と対象者との間では、被災時において操作部に対する操作が予め定められている。これにより、操作者が操作部を操作することで、操作部が操作されたことを報知部によって報知された対象者が操作者の意図を認識できるようにされている。
【0048】
次に、第1実施形態の作用を説明する。
住宅12には、玄関28に隣接し、玄関28側とは異なる面の外壁30に報知装置10のボックス14が設置されており、ボックス14は、側面パネル14Bが道路側に向けられて外壁30に取り付けられている。
【0049】
これにより、報知装置10は、住宅12の玄関28の近傍や玄関28が面する道路からボックス14の側面パネル14Bが視認可能となっているが、ボックス14が住宅12の玄関28の外観や道路から見た住宅12の外観を損ねるのが抑制されている。しかも、報知装置10は、平時においてボタンスイッチ20A~20C及び通報スイッチ22A、22Bがオフされている。このため、ランプカバー24及び通報スイッチ22A、22Bが非照明状態とされているので、ボックス14が目立つのが効果的に抑制されている。
【0050】
一方、自然災害等が発生すると、住宅12や住民が被災することがあり、災害時には、被災の程度(発生した災害の大きさ)に応じ、住人に対して住宅12からの避難が推奨されたり非難が勧告されたりする。
【0051】
ここで、被災時に住宅12に実質的な被害はなく、また、住宅12がさらに被災する可能性が低く、避難が推奨や避難勧告がなされたりしていないと、住人は、在宅避難状態となる。この場合、住人は、ボックス14のカバー16を開けて、ボタンスイッチ20Aをオン操作する。
【0052】
報知装置10では、ボタンスイッチ20Aがオン操作されると、点灯部32が動作してLEDランプ40Gが点灯される。これにより、ランプカバー24がLEDランプ40Gにより照明され、報知装置10は、ボックス14の側面パネル14Bのランプカバー24が緑色に発光する。
【0053】
これに対して、被災時に住宅12からの避難が推奨されたり避難勧告がなされたりすると住人は、住宅12から避難することになる。地域の指定避難場所(近所の指定避難場所)に避難する際、住人は、ボックス14のカバー16を開けて、ボタンスイッチ20Bをオン操作する。
【0054】
報知装置10では、ボタンスイッチ20Bがオン操作されると、点灯部32が動作してLEDランプ40Yが点灯される。これにより、ランプカバー24がLEDランプ40Yにより照明され、報知装置10は、ボックス14の側面パネル14Bのランプカバー24が黄色に発光する。
【0055】
また、避難勧告がなされた際、地域の指定避難場所に避難できない(例えば、指定避難場所が被災した場合など)と、住人は、指定避難場所以外の場所に避難することがある(例えば、親戚や知人を頼っての避難)。この場合、住人は、ボックス14のカバー16を開けて、ボタンスイッチ20Cをオン操作する。
【0056】
報知装置10では、ボタンスイッチ20Cがオン操作されると、点灯部32が動作してLEDランプ40Rが点灯される。これにより、ランプカバー24がLEDランプ40Rにより照明され、報知装置10は、ボックス14の側面パネル14Bのランプカバー24が赤色に発光する。したがって、報知装置10では、被災時に被災状況(避難状況)に応じて住人が操作することで、ボックス14のランプカバー24が照明される。
【0057】
一方、住宅メーカ等では、災害が発生して顧客などの住人が被災した可能性が生じると、住人の安否確認や災害の復旧支援などのために住宅12を訪ねることがある。この際、訪問した住宅12の住人が不在であると、支援は勿論住人の安否確認もできない可能性が生じる。
【0058】
ここで、住宅12に設置された報知装置10は、住人が避難する際にボタンスイッチ20A~20Cの何れかが操作されると、ボックス14のランプカバー24が照明される。これにより、住宅12を訪問した特定者は、ボックス14のランプカバー24が照明されていることで、住宅12の住民が無事であると確認できる。
【0059】
また、ボックス14のランプカバー24が緑色に発光されていることで、住人が不在であっても、特定者は、住人が避難せずに住宅12に居ると確認でき、ボックス14のランプカバー24が黄色に発光されていることで、特定者は、住人が近所の指定避難場所に避難していることを確認できる。また、ボックス14のランプカバー24が赤色に発光されていることで、特定者は、住人が住宅12から離れた場所ではあるが、避難していることを確認できる。
【0060】
また、報知装置10は、ボックス14が玄関28の脇などの道路からの視認が容易な場所に設置され、ランプカバー24が道路側に向けられており、ランプカバー24が発光されることで、ランプカバー24の発光色を容易に視認できる。このため、住宅12を訪ねた特定者は、住人が住宅12に不在であっても、住宅12の内部を覗くことなく、住宅12の住人の安全に避難していることを容易に確認できる。
【0061】
しかも、住人の避難状況に応じてランプカバー24の発光色が変えられるので、住人との連絡が容易になるか否かを明確に判断できる。特に、住人が在宅避難や地域(近所)の指定避難場所への避難かを確認できるので、指定避難場所への避難者リストを確認することなく、住人の避難状態を判断できる。
【0062】
一方、報知装置10のボックス14には、通報スイッチ22A、22Bが設けられており、通報スイッチ22A、22Bは、操作されることでLEDランプ42が発光する。このため、例えば、住人が避難する際に、通報スイッチ22Aを操作することで、特定者が住宅12を訪問した際、通報スイッチ22Aが操作されていることを的確に確認できて、住人が住宅メーカに対して連絡を要求していることを認識できる。また、特定者が住人に連絡を取ることで、住人は、通報スイッチ22Aの操作の目的を達することができる。
【0063】
また、報知装置10には、通報スイッチ22Bが設けられており、住宅12を訪問した特定者が通報スイッチ22Bを操作することで、通報スイッチ22BのLEDランプ42が点灯する。このため、住人が住宅12(自宅)に戻った際に、通報スイッチ22Bが操作されていることを的確に確認できて、住人は、特定者が住宅12を尋ねてきたことを容易に認識できる。また、住民は、特定者が連絡を乞うていることを認識できる。これにより、住人が特定者と連絡をとることで、特定者は、住宅12を訪問した際、住人と出会わなくても、住人と連絡を取ることが可能になる。
【0064】
したがって、住宅12に報知装置10を設置することで、住人は、予め設定した特定者と連絡を容易に取ることができ、住人は、安否や被災状況(避難状況)を特定者に容易に知らせることができる。また、住宅12に報知装置10を設置することで、特定者は、住宅12を訪ねることで、住宅12に住人が不在であっても(住人と出会うことができなくても)、住宅12の住人の安否や被災状況(避難状況)を容易に知ることができる。
【0065】
また、報知装置10には、通報スイッチ22が設けられているので、住宅12の住人及び特定者の一方が他方に連絡を必要とした際に、住宅12の住人と特定者とが連絡を取り合うことができる。
【0066】
一方、報知装置10におけるLEDランプ40の点灯状態は、常時点灯であってもよく、点滅状態であってもよい。例えば、LEDランプ40は、日中(屋外が明るい時間帯)は点滅し、夜間(屋外が暗い状態)は常時点灯であってもよく、これにより、明るい日中でもLEDランプ40が点灯しているか否かの把握が容易になる。
【0067】
また、LEDランプ40は、昼夜を問わず点滅状態であってもよい。これにより、住宅12に住人が不在であっても、警報用のセンサが作動しているように見せることができて、住人の在不在にかかわらず、報知装置10により住宅12の防犯機能を兼ねることができる。
【0068】
〔第2実施形態〕
次に第2実施形態を説明する。
図5には、第2実施形態に係る報知装置50の概略構成がブロック図にて示されている。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成部品については、第1実施形態と同様の符号を付与してその説明を省略する。
【0069】
図5に示すように、第2実施形態の報知装置50には、報知装置10の点灯部32に変えて動作部52が設けられている。報知装置50は、通報スイッチ22(22A、22B)に変えて通報スイッチ54(54A、54B)が設けられている点、及び動作部52において回路基板34に変えて回路基板56が設けられていると共に、送信機58が設けられている点で、報知装置10と相違する。
【0070】
通報スイッチ54は、住人用の通報スイッチ54A、及び特定者用の通報スイッチ54Bを備えており、通報スイッチ54A、54Bには、モーメンタリかつブレーク接点の押しボ式スイッチが各々用いられている。このため、通報スイッチ54A、54Bは、各々押圧操作されることでオンされ、押圧が解除されて復帰することでオフする。なお、通報スイッチ54A、54Bには、通報スイッチ22A、22Bと同様にオルタネートかつブレーク接点でランプ付き(LEDランプ42)の押しボ式スイッチが用いられてもよい。
【0071】
報知装置50の動作部52では、回路基板56に通報スイッチ54A、54Bが各々接続されている。また、回路基板56には、送信機58が接続されている。動作部52は、通報スイッチ54A、54Bが操作(オン)されることで、送信機58が作動される。
【0072】
第2実施形態において、報知装置50が設置される住宅12の住人と特定者とは、各々受信端末60(住人の受信端末60A、特定者の受信端末60B)を所有する。住人の受信端末60Aは、例えば報知装置50のボックス14内に収容され、住人が避難する際(報知装置50を操作する際)に、ボックス14から受信端末60Aを取り出して持ち運ぶようにしてもよい。
【0073】
送信機58は、予め定められた周波数の電波を使用して、受信端末60A、60Bに予め設定されたメッセージ(文字情報)を送信する。動作部52では、通報スイッチ54Aが操作されると、受信端末60Bにメッセージを送信し、通報スイッチ54Bが操作されると、受信端末60Aにメッセージを送信する。
【0074】
送信機58が送信するメッセージとしては、住人と特定者との間で予め設定されたものであれば、任意のメッセージを適用できる。例えば、送信機58が送信するメッセージとしては、住人及び特定者の一方が他方から連絡をもらいたい(連絡を乞う)場合のメッセージが適用される。
【0075】
受信端末60A、60Bには、LCDなどが用いられたディスプレイ62を備えており、受信端末60A、60Bは、送信機58から送信されたメッセージ(文字情報)がディスプレイ62に表示される。
【0076】
送信機58及び受信端末60(60A、60B)は、無線通信によって文字情報の送受信を行うように通信事業者が提供する送信端末及び受信端末の組合せを用いてもよい。すなわち、受信端末60としては、ポケットベル(登録商標)などの機能を備えた携帯型端末装置を適用できる。
【0077】
また、送信機58及び受信端末60としては、予め定められた周波数(例えば、超短波帯域内の特定周波数)及び出力の電波を用いて、送信機58から受信端末60に文字情報等を送信できるように承認された無線機器(送信機と受信機との組合せ)が用いられてもよい。この場合、受信端末60A、60Bには、異なる周波数が用いられ、送信機58は、送信周波数を切替えて受信端末60A、60Bにメッセージを送信する構成が適用されればよい。
【0078】
すなわち、送信機58と受信端末60とは、各々が無線方式でインターネットなどの公衆通信回線網に接続するのではなく、直接的に又は中継器(中継設備)64を介して、文字情報等の送信及び受信が可能な機器が適用されている。なお、送信機58が中継器64を介して受信端末60A、60Bにメッセージを送信する構成においては、送信機58の送信周波数と受信端末60A、60Bの受信周波数とは、異なってもよい。
【0079】
このように構成されている報知装置50では、災害発生時に住人が避難する際、ボタンスイッチ20A~20Cの何れかが操作されることで、LEDランプ40G、40Y、40Rが点灯される。これにより、ボックス14は、ランプカバー24が緑色、黄色又は赤色に発光され、住宅12を訪れた特定者が住人の安否及び被災状態(避難状態)を認識可能になる。
【0080】
一方、報知装置50では、災害発生時に住人が受信端末60Aを持ち歩き、被災した住宅12を訪ねる特定者は、受信端末60Bを用いる。なお、受信端末60Bは、被災した住宅12を訪ねる特定者(例えば、住宅メーカの営業担当)が持つことが好ましいが、特定者が所属する会社(住宅メーカ)と容易に連絡がつくのであれば、受信端末60Bは特定者が所属する会社に置いてあってもよい。
【0081】
報知装置50には、ボックス14に通報スイッチ54A、54B、及び送信機58が設けられている。送信機58は、住人操作用の通報スイッチ54Aがオンされると、特定者の受信端末60Bに所定のメッセージ(文字情報)を送信する。また、送信機58は、特定者操作用の通報スイッチ54Bがオンされると、住人の受信端末60Aに所定のメッセージ(文字情報)を送信する。
【0082】
住人が通報スイッチ54Aをオン操作すると、送信機58は、特定者の受信端末60Bに、例えば「レンラクコウ。□□」(連絡乞う。□□(住人名))というメッセージを送信する。これにより、特定者の受信端末60Bのディスプレイ62には、「レンラクコウ。□□」と表示され、特定者は、被災した住人が連絡を欲していると認識できる。
【0083】
また、被災した住宅12を訪ねた特定者が通報スイッチ54Bをオン操作すると、送信機58は、住人の受信端末60Aに、例えば「レンラクコウ。○○カイシャ」(連絡乞う。○○会社)というメッセージを送信する。これにより、住人の受信端末60Aのディスプレイ62には、「レンラクコウ。○○カイシャ」と表示され、住人は、住宅12(自宅)に特定者が訪ねてきたと認識できると共に、特定者が連絡を欲していると認識できる。
【0084】
例えば、住人が避難場所に避難する際に、通報スイッチ54Aをオン操作することで、避難先に特定者から連絡をもらうことができる。また、特定者が住人の安否確認や被災支援などのために住宅12を訪ねた際、通報スイッチ54Bをオン操作することで、避難した住人から連絡をもらうようにできる。
【0085】
したがって、住宅12に報知装置50を設置することで、住人は、予め設定した特定者が訪ねてくるのを待つことなく、特定者から連絡をもらうことができる。また、特定者は、被災した住宅12を訪ねる前から、住人が特定者からの連絡を欲しがっていることを知ることができて、被災した住人に対する支援の準備等をすることができる。
【0086】
また、報知装置50では、公衆通信網を用いずに、送信機58及び受信端末60が予め設定されている周波数の電波を用いるので、公衆通信網等の通信インフラが復旧していない状態でも、住人及び特定者の各々に確実にメッセージを送ることができる。しかも、送信機58及び受信端末60は、文字情報の送受信を行うので、公共の電波を不必要に占有するのを抑制できて、他の通信に影響を与えてしまうことがない。
【0087】
なお、送信機58が送信するメッセージは、一般に用いられかつ住人と特定者との間で認識可能なコードを用いてもよく、これにより、送受信するデータ量を抑制できる。また、報知装置50は、押しボタン式の通報スイッチ54に変えて、ロータリー式のスイッチを用い、複数のメッセージから1つのメッセージを選択できるようにしてもよい。これにより、住人及び特定者の要求に沿うメッセージを選択して送信できる。
【0088】
なお、以上説明した第1実施形態及び第2実施形態では、ボックス14にカバー16を設けて、カバー16を開くことで、ボタンスイッチ20A~20C及び通報スイッチ22A、22B、54A、54Bが操作可能とされた。しかしながら、箱体は、カバーを備えずに、操作部が露出されていてもよい。
【0089】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、ボックス14内にLEDランプ40(40G、40Y、40R)を配置し、ランプカバー24が照明されるようにした。しかしながら、発光手段としては、防水性のランプを用いて、ランプが箱体に露出されて配置されてもよい。また、ボタンスイッチ20の操作とランプカバー24の照明色は、緑色、黄色、赤色に限らず、住人と特定者との間で取り決められた色であれば、任意の色及び組合せを適用できる。
【0090】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、ボックス14を住宅12の外壁30に取り付けた。しかしながら、箱体は、建物の屋外側の面に設置されていればよく、建物のベランダの下側などの任意の位置に設置されてもよい。これにより、特定者が建物内に入らずに表示部の表示状態の確認及び操作部の操作が可能になる。
【0091】
さらに、第1実施形態及び第2実施形態では、3個のボタンスイッチ20A~20Cを用いた。しかしながら、操作部は、押しボタン式のスイッチではなく、ロータリー式のスイッチを用い、発光手段の色を選択するようにしてもよい。これにより、操作部の設置スペースを狭めることができて、箱体を小型化できる。
【0092】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、ボタンスイッチ20A~20Cが操作されることで、LEDランプ40G、40Y、40Rが点灯するようにした。しかしながら、操作部としてのボタンスイッチは、ランプ付きにされて、操作されることが発光されてもよい。また、操作部は、手動復帰式とされて、操作された状態と操作されていない状態とが明瞭に識別可能となる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0093】
10、50 報知装置(非常用報知装置)
12 住宅(建物)
14 ボックス(箱体)
20(20A~20C) ボタンスイッチ(操作部)
22(22A、22B)、54(54A、54B) 通報スイッチ(操作部、表示部)
30 外壁
40(40G、40Y、40R) LEDランプ(報知部、表示部、発光手段)
58 送信機(送信部、報知部)
60(60A、60B) 受信端末(受信部、報知部)
図1
図2
図3
図4
図5