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特許7310085地盤改良体の判定管及び地盤改良体の判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】地盤改良体の判定管及び地盤改良体の判定方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20230711BHJP
【FI】
E02D3/12 101
E02D3/12 102
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019231547
(22)【出願日】2019-12-23
(65)【公開番号】P2021098986
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(73)【特許権者】
【識別番号】390002233
【氏名又は名称】ケミカルグラウト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】山中 龍
(72)【発明者】
【氏名】田屋 裕司
(72)【発明者】
【氏名】山田 佳博
(72)【発明者】
【氏名】和田 忠輔
(72)【発明者】
【氏名】阿部 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】山野辺 純一
(72)【発明者】
【氏名】小松 和彦
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-226250(JP,A)
【文献】特開平05-239826(JP,A)
【文献】特開2009-102892(JP,A)
【文献】特開2018-131735(JP,A)
【文献】特開2008-115617(JP,A)
【文献】特開平07-174668(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0135731(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤改良体が造成される地盤に挿入され、周壁に開口部が一つ又は長さ方向に並んで複数形成された管状部材と、
前記管状部材内に設けられ、前記地盤に貫入したロッドから噴射された切削流体が前記開口部を通って当たると切削される機能及び発色する機能の少なくとも一方の機能を有する判定部と、
を備えた地盤改良体の判定管。
【請求項2】
地盤に貫入したロッドを上下方向に移動させ且つ回転させながら切削流体を横方向に噴射して前記地盤を切削し、前記切削流体によって地盤改良体を造成する又は切削後に硬化材を充填して地盤改良体を造成する造成工程と、
前記切削流体を噴出する前に、請求項1に記載の地盤改良体の判定管を、貫入された前記ロッドの方向又は前記ロッドが貫入される方向に開口部を向けて前記地盤に挿入する、或いは、前記地盤に挿入後に前記開口部を貫入された前記ロッドの方向又は前記ロッドが貫入される方向に向ける挿入工程と、
前記地盤改良体の造成中又は造成後に前記判定管を前記地盤から引き抜き、前記開口部における前記判定部の切削状況及び発色状況の少なくとも一方を判定する判定工程と、
を備えた地盤改良体の判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良体の判定管及び地盤改良体の判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、薬液注入工法における地盤改良範囲の測定方法に関する技術が開示されている。この先行技術では、薬液注入地点の近傍に温度センサーを埋設し、薬液の化学反応によって生じる地盤温度の変化を検出し、これにより地盤改良範囲を測定している。
【0003】
特許文献2には、コンクリートの健全度評価方法に関する技術が開示されている。この先行技術では、コンクリート中に存在する硫酸イオンの有無を試薬の呈色反応を利用して測定することにより劣化深さを判断している。
【0004】
特許文献3には、高圧噴射撹拌工法における地盤の切削状態モニタリング装置に関する技術が開示されている。この先行技術では、地盤中に挿入された注入管の噴射ノズルから高圧噴射される固化材によって、注入管周囲の地盤中に挿入された建込み管の発する振動を検知器によってモニタリングすることにより地盤の切削状態を確認している。
【0005】
特許文献4には、地盤に貫入させた噴射ロッドから硬化材液を高圧噴射して造成する地盤改良体の品質管理方法に関する技術が開示されている。この先行技術では、地盤改良体の造成中に、地盤改良体が造成される地盤の温度又はひずみの少なくとも一方を光ファイバー測定器により連続的に測定し、その測定結果の履歴を追跡することによりリアルタイムで地盤改良体の径に代表される形状を確認している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特公平04-029811号公報
【文献】特許3482044公報
【文献】特許5542593公報
【文献】特開2011-226250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
地盤改良体の造成範囲の確認には、地盤改良体が固結した後にコアボーリングを行ってサンプルを採取して判定する方法を用いることがある。しかし、この方法では、地盤改良体が固結した後でないと判定できないので、施工から判定までに数日程度必要であり、施工から判定までに時間がかかる。
【0008】
一方、先行技術のように、振動、温度及びひずみ等を計測する方法は、早期に判定することが可能であるが、間接的に地盤改良体の造成範囲を判定するため、十分な判定精度が得られない虞がある。
【0009】
本発明は、上記事実を鑑み、地盤改良体の造成範囲の判定精度を向上させることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第一態様は、地盤改良体が造成される地盤に挿入され、周壁に開口部が一つ又は長さ方向に並んで複数形成された管状部材と、前記管状部材内に設けられ、前記地盤に貫入したロッドから噴射された切削流体が前記開口部を通って当たると切削される機能及び発色する機能の少なくとも一方の機能を有する判定部と、を備えた地盤改良体の判定管である。
【0011】
第一態様の地盤改良体の判定管は、地盤改良体が造成される地盤に挿入される。そして、地盤に貫入したロッドから噴射された切削流体が、地盤に挿入された判定管の開口部に届いている場合は、切削流体が判定部に当たり、判定部が切削される又は発色する。或いは、地盤に貫入したロッドから噴射された切削流体が、地盤に挿入された判定管の開口部に届いていない場合は、切削流体が判定部に当たらないので、判定部が切削されない又は発色しない。
【0012】
よって、判定管の開口部の判定部の切削状況又は発色状況を判定することで、地盤に挿入した判定管の開口部の深度において、ロッドから噴射された切削流体が、判定管を挿入した位置まで届いているか否かを判定できる。したがって、地盤改良体の造成範囲を間接的に判定する場合と比較し、地盤改良体の造成範囲の判定精度が向上する。
【0013】
第二態様は、地盤に貫入したロッドを上下方向に移動させ且つ回転させながら切削流体を横方向に噴射して前記地盤を切削し、前記切削流体によって地盤改良体を造成する又は切削後に硬化材を充填して地盤改良体を造成する造成工程と、前記切削流体を噴出する前に、請求項1に記載の地盤改良体の判定管を、貫入された前記ロッドの方向又は前記ロッドが貫入される方向に開口部を向けて前記地盤に挿入する、或いは、前記地盤に挿入後に前記開口部を貫入された前記ロッドの方向又は前記ロッドが貫入される方向に向ける挿入工程と、前記地盤改良体の造成中又は造成後に前記判定管を前記地盤から引き抜き、前記開口部における前記判定部の切削状況及び発色状況の少なくとも一方を判定する判定工程と、を備えた地盤改良体の判定方法である。
【0014】
第二態様の地盤改良体の判定方法は、地盤に貫入したロッドを上下方向に移動させ且つ回転させながら切削流体を横方向に噴射して地盤を切削する前に、貫入されたロッドの方向又はロッドが貫入される方向に開口部を向けて判定管を地盤に挿入する、或いは、地盤に挿入後に、貫入されたロッドの方向又はロッドが貫入される方向に開口部を向ける。
【0015】
挿入した判定管は、地盤改良体の造成中又は造成後に地盤から引き抜き、開口部における判定部の切削状況及び発色状況の少なくとも一方を判定する。
【0016】
これにより、地盤に挿入した判定管の開口部の深度において、ロッドから噴射された切削流体が、判定管を挿入した位置まで届いているか否かを判定できる。したがって、地盤改良体の造成範囲を間接的に判定する場合と比較し、地盤改良体の造成範囲の判定精度が向上する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、地盤改良体の造成範囲の判定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態の判定管を地盤に挿入して地盤改良体を造成している状態を説明する説明図である。
図2】(A)は本実施形態の判定管の外管部の軸方向と直交する方向から見た側面図であり、(B)は内管部の側面図である。
図3図2(A)の外管部内に図2(B)の内管部を挿入した判定管の側面図である。
図4】(A)は露出状態の判定管の軸方向と直交する方向の断面図であり、(B)は非露出状態の断面図である。
図5】(A)は判定管の内管部を構成する筒部材の軸方向から見た平面図であり、(B)は側面図である。
図6】判定管の挿入箇所を説明するための平面図である。
図7】(A)は判定部の露出部が切削されてない状態且つ発色していない状態を説明する正面視の説明図であり、(B)は判定部の露出部が部分的に切削され且つ発色している状態を説明する正面視の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
本発明の一実施形態の地盤改良体の判定管及び地盤改良体の判定方法について説明する。
【0020】
[構成]
先ず、本実施形態の地盤改良体の判定管の構成について説明する。
【0021】
図1図2図3及び図4等に示すように、判定管100は、外管部110と、この外管部110内に挿入された内管部120(図1及び図3を参照)と、内管部120内に設けられた判定部150(図5も参照)と、を有している。
【0022】
図2(A)に示すように、外管部110は、複数の外筒部材111が上下方向に接続されて構成されている。各外筒部材111は、上下が開口する鋼管で構成されている。但し、最下段の外筒部材111は、底部112を有する鋼管で構成されている。また、周壁114には、上下方向に長い長方形の外側開口部116が形成されている(図4も参照)。
【0023】
図2(B)に示すように、内管部120は、複数の内筒部材130が上下方向に接続されて構成されている。図2(B)及び図5(B)に示すように、各内筒部材130は、底部132を有する鋼管で構成されている。図2(B)及び図5に示すように周壁134に上下方向に長い長方形の内側開口部136が形成されている。判定部150は、内側開口部136から露出している。なお、判定部150における内側開口部136から露出した部分を露出部152とする。
【0024】
なお、本実施形態では、外筒部材111と内筒部材130との上下長さは同じであり、外側開口部116と内側開口部136との上下位置は一致する。また、外筒部材111同士は、螺合によって接続されている。つまり、外筒部材111における上端部又は下端部の一方の外周には雄ねじが形成され、上端部又は下端部の他方の内周には雌ねじが形成されている。一方、内筒部材130同士は、ピン(例えば、平行ピン及びテーパーピン等)によって接続されており、回転させた際に内筒部材130同士の接合が外れないようになっている。
【0025】
図4等に示すように、各内筒部材130内には、充填材Jが充填され、充填材Jが固化することで、前述の判定部150が設けられている。なお、本実施形態における充填材Jは、フェノールフタレイン溶液等のアルカリ性に反応して発色する試薬と、石膏等の固化材と、を混ぜたものを用いている。
【0026】
図3及び図4に示すように、判定管100の外管部110内に内管部120が挿入されている。また、内管部120を回転させることで、図4(A)に示す内管部120の内筒部材130の内側開口部136が外管部110の外側開口部116に重なり判定部150の露出部152が露出した露出状態と、図4(B)に示す内側開口部136が周壁114に重なり判定部150の露出部152が露出していない非露出状態と、に変更可能となっている。
【0027】
なお、各図では、外管部110の周壁114と内管部120の周壁134とは、隙間をあけて図示しているが、これは判り易くするためであり、実際には接触又は近接している。
【0028】
[判定方法]
次に、判定管100を用いた地盤改良体50の判定方法の一例について説明する。
【0029】
ここで、図1に示すように、本実施形態における地盤改良体50は、地盤Gと高圧噴射された切削流体の一例としてのセメントミルク等の硬化材Kとを攪拌混合する高圧噴射攪拌工法によって造成される。また、地盤改良体50を造成する地盤改良装置10は、装置本体12とロッド20とを有している。そして、地盤Gに貫入したロッド20を上下方向に移動させ且つ軸回りに回転させながら、ロッド先端部22からセメントミルク等の硬化材Kを横方向に噴射して地盤改良体50を造成する。
【0030】
先ず、地盤改良体50の造成前に、判定管100を地盤Gに挿入する。挿入する位置は、造成する地盤改良体50の外縁部52及びその近傍に挿入する。
【0031】
本実施形態では、図6に示すように、地盤改良体50の直径の設計値をrとした場合、直径が1.0×rの円S1上、直径が0.8×rの円S2上及び直径が1.2×rの円S3上の三箇所に挿入する。なお、円S1上、円S2上及び円S3上の三箇所に挿入する三本の判定管100は、円中心、すなわちロッド20を通る同一直線状に位置しないようにする。
【0032】
但し、図6の判定管100の挿入箇所は、一例であって、これに限定されるものではない。また、図1では、判定管100は一本のみ図示しているが、実際には図6で説明したように三箇所に挿入する。
【0033】
判定管100を地盤Gに挿入する挿入方法は、どのような方法でもよいが、本実施形態では、次のように行っている。
【0034】
まず、判定管100を挿入する位置に判定管100よりも大きい挿入穴をあけて、判定管100を挿入穴に挿入する。なお、判定管100を容易に挿入穴に挿入するために、挿入穴の内面と判定管100の外面との間に隙間が設けられている。挿入時に判定管100は、図4(A)に示す内管部120の内筒部材130の内側開口部136と外管部110の外側開口部116とが重なり判定部150の露出部152が露出した露出状態とする。また、判定管100の内側開口部136及び外側開口部116を地盤改良装置10のロッド20を貫入する方向に向けて挿入する。判定管100を挿入後に、前述した挿入穴の内面と判定管100の外面との隙間を砂等で埋める。
【0035】
なお、判定管100を図4(A)に示す露出状態で挿入穴に挿入するのではなく、判定管100を図4(B)に示す非露出状態で挿入穴に挿入してもよい。この場合、判定管100の挿入時は、外側開口部116のみをロッド20の方向に向け、挿入後に内管部120を回転して露出状態にする。
【0036】
このようにして判定管100を地盤Gに挿入した後に、地盤Gに地盤改良装置10のロッド20を貫入する。そして、地盤Gに貫入したロッド20を上下方向に移動させ且つ回転させながら、ロッド先端部22から硬化材Kを横方向に噴射して地盤改良体50を造成する。
【0037】
本実施形態では、地盤改良体50の造成直後に判定管100を引き抜く。なお、判定管100を引く抜く前に、内管部120を回転させて、内側開口部136が周壁114に隠れ判定部150の露出部152が露出していない非露出状態とする。また、引き抜き後の挿入穴には、セメントミルク等を充填して埋める。
【0038】
引き抜いた判定管100から内管部120を取り出し、内側開口部136から露出する判定部150の露出部152の切削状況及び発色状況を確認して判定を行う。
【0039】
ここで、充填材Jが固化した判定部150の強度は、地盤Gの強度よりも高いが、ロッド20のロッド先端部22から高圧噴射されたセメントミルク等の硬化材Kが当たると切削される強度に設定されている。なお、本実施形態のように、内側開口部136が複数ある場合には、充填剤Jの強度及び性状等を、内側開口部13の深度の地山強度及び性状等に応じて適宜変更してもよい。別の観点から説明すると、内筒部材130毎に充填剤Jの強度及び性状等を、その深度の地山強度及び性状等に応じて適宜変更してもよい。また、充填材Jに混ぜられた試薬は、アルカリ性である硬化材Kが当たると、赤色に発色するように設定されている。
【0040】
したがって、ロッド20のロッド先端部22から噴射された硬化材Kが、判定管100に届いている場合は、硬化材Kが外側開口部116及び内側開口部136から判定部150の露出部152に当たり、判定部150の露出部152が切削され且つ発色する。
【0041】
ロッド20のロッド先端部22から噴射された硬化材Kが、判定管100に届いていない場合は、硬化材Kが判定部150の露出部152に当たらないので、判定部150の露出部152が切削されないし、発色もしない。
【0042】
よって、地盤Gに挿入した判定管100の各内側開口部136の深度において、ロッド先端部22から噴射された硬化材Kが、判定管100を挿入した位置まで届いているか否かを判定できる。
【0043】
[作用及び効果]
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0044】
前述したように、地盤Gに貫入したロッド20を上下方向に移動させ且つ回転させながらロッド先端部22から硬化材Kを横方向に噴射して地盤改良体50を造成する前に、ロッド20が貫入される方向に外側開口部116及び内側開口部136を向けて判定管100を地盤Gに挿入する。挿入した判定管100は、地盤改良体50の造成中に地盤Gから引き抜き、内側開口部136から露出している判定部150の露出部152の切削状況及び発色状況を判定する。これにより、地盤Gに挿入した判定管100の各内側開口部136の深度において、ロッド先端部22から噴射された硬化材Kが、判定管100を挿入した位置まで届いているか否かを判定できる。
【0045】
ここで、図7(A)は判定管100を挿入前及び判定管100に硬化材Kが届いていない場合の判定部150の露出部152の例である。つまり、判定部150の露出部152が切削されておらず且つ発色していない状態である。
【0046】
図7(B)は判定管100の内側開口部136の深度において、硬化材Kが届いている部位T1、T2と、届いていない部位T3と、がある場合の判定部150の露出部152の例である。なお、赤色に発色した状態は、ドットで表現している。
【0047】
このように、地盤改良体50の造成直後に判定管100を引き抜き、直ぐに目視によって判定部150の露出部152の切削状況及び発色状況を確認して判定できる。よって、地盤改良体50の造成直後に地盤改良体50が造成された範囲の判定が可能であり、工期短縮及びコスト削減することができる。
【0048】
また、判定部150の露出部152の切削状況及び発色状況を目視にて直接確認して判定することで、高圧噴射された硬化材Kの到達の有無を容易に且つ明確に判定することができるので、判定精度が向上する。
【0049】
また、判定管100の内管部120は、複数の縦長の内側開口部136が上下方向にて並んで設けられている。よって、地盤改良体50の外縁部52を深度方向に連続して判定できる。つまり、判定管100の挿入位置における硬化材Kの到達の有無が深度方向に連続して判定できる。
【0050】
また、本実施形態では、ロッド20の貫入位置からの距離が異なる複数箇所に判定管100を挿入しているので、地盤改良体50の外縁部52の造成範囲がより正確に確認できる。なお、判定管100を図6の円S1上、円S2上及び円S3上の複数個所に挿入し、地盤改良体50の外縁部52の範囲を詳細に判定してもよい。
【0051】
また、判定管100を引く抜く前に、内管部120を回転させて、判定部150の露出部152が露出していない非露出状態としている。よって、判定管100の引き抜き時に、判定部150の露出部152が挿入穴の内壁と擦れて破損し、判定が困難又は判定ができなくなることが防止される。
【0052】
また、内管部120は、底部132を有する複数の内筒部材130を上下に接続して構成されている。したがって、硬化材Kの噴射による切削で判定部150の露出部152が破断又は破壊しても、上方の判定部150の落下等が防止されるので、破断又は破壊された内筒部材130以外には影響を及ぼさない。
【0053】
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0054】
例えば、上記実施形態では、固化して判定部150となる充填材Jは、フェノールフタレイン溶液等のアルカリ性に反応して発色する試薬と石膏材とを混ぜたものを用いているが、これに限定されない。判定部150は、高圧噴射されたセメントミルク等の硬化材Kが当たると切削される強度であればよい。また、充填材Jに混ぜられた試薬は、硬化材Kが当たると変色する性質を有していればよい。また、判定部150は、硬化材Kが当たると切削される機能及び発色する機能の少なくとも一方を有していればよい。
【0055】
また、例えば、上記実施形態では、判定管100の内管部120の各内筒部材130の周壁134には、上下方向に長い長方形の内側開口部136が一ヶ所形成されているが、これに限定されない。例えば、内側開口部136は、上下方向に複数並んで形成されていてもよい。また、内側開口部136の形状は、長方形でなくでもよい。例えば、内側開口部136の形状は、正方形、菱形及び円形等でもよい。
【0056】
また、例えば、上記実施形態では、判定管100の内管部120は、複数の内筒部材130が上下方向に接続されて構成されているが、これに限定されない。内管部120は一つの鋼管で構成されてもよい。また、この場合、内側開口部136が複数上下に並んで構成されていてもよいし、上端部から下端部に至るスリット状の内側開口部136が一つ形成されていてもよい。更に、正方形、菱形及び円形等の形状の内側開口部136が一ヶ所形成されていてもよい。同様に、判定管100の外管部110は、複数の外筒部材111が上下方向に接続されて構成されているが、これに限定されない。外管部110は一つの鋼管で構成されてもよい。外側開口部116の形成も内側開口部136と同様である。
【0057】
また、例えば、上記実施形態では、判定管100は、外管部110内に内管部120が挿入された構成であったが、これに限定されない。判定管100は、内管部120のみで構成されていてもよい。
【0058】
また、内側開口部136は、硬化材Kが通過可能な部材、例えば網状部材で蓋をされていてもよい。このように網状部材で蓋をするとで、例えば、仮に判定部150が切断又は破壊されても、切断片及び破壊片等の内側開口部136からの脱落が防止される。
【0059】
また、地盤Gに貫入したロッド20の回転は、一方向の連続回転に特定されない。地盤Gに貫入したロッド20の回転は、一回転(360°)以下、例えば、1/4回転(90°)を往復回転させてもよい。なお、この場合、平面視で扇形状の地盤改良体50が造成される。
【0060】
また、上記実施形態では、ロッド20を貫入する前に判定管100を地盤Gに挿入したが、これに限定されない。ロッド20を貫入した後又は同時に判定管100を地盤Gに挿入してもよい。要は、地盤改良体50の造成前に判定管100を地盤Gに挿入すればよい。
【0061】
また、上記実施形態では、判定管100は、地盤改良体50の造成直後に引き抜いたが、これに限定されない。地盤改良体50の造成後に所定時間経過してから判定管100を引き抜いてもよいし、地盤改良体50の造成中に判定管100を引き抜いてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、セメントミルク等の硬化材Kを高圧噴射して地盤改良体50を造成したが、これに限定されない。水等を高圧噴射して、地盤を切削した後、セメントミルク等を充填して、地盤改良体50を造成してもよい。なお、水のみでの切削では、判定部150は発色しないが、後のセメントミルク等の充填で判定部150を発色させることができる。或いは、判定部150が発色する試薬を水等に混ぜてもよい。
【0063】
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【符号の説明】
【0064】
10 地盤改良装置
20 ロッド
50 地盤改良体
100 判定管
110 外管部
120 内管部(管状部材の一例)
134 周壁
136 内側開口部(開口部の一例)
150 判定部
G 地盤
K 硬化材(切削流体の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7