(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】情報解析装置、情報解析方法、情報解析システム、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20230711BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20230711BHJP
G08G 1/04 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
G08G1/09 F
G08G1/00 A
G08G1/04 C
(21)【出願番号】P 2018233341
(22)【出願日】2018-12-13
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099933
【氏名又は名称】清水 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【氏名又は名称】神野 直美
(72)【発明者】
【氏名】小川 明紘
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-110608(JP,A)
【文献】特開2010-262357(JP,A)
【文献】特開2008-040605(JP,A)
【文献】特開2010-140135(JP,A)
【文献】特開2010-103945(JP,A)
【文献】特開2014-052733(JP,A)
【文献】特開2017-045129(JP,A)
【文献】特開2017-004177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
H04M 3/00- 3/58
H04M 7/00- 7/16
H04M 11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の固定センサから送信されるセンサデータを収集する収集部と、
前記収集部により収集された前記センサデータに対して解析処理を実行する解析処理部と、
前記解析処理部による解析結果に基づいて、前記複数の固定センサのそれぞれの優先度を判定する優先度判定部と、
前記優先度判定部による判定結果に応じて、前記解析処理を実行するために使用されるリソースである解析リソース、及び、前記センサデータを収集するために使用されるリソースである収集リソースの少なくとも一方のリソースを調整するリソース調整部とを含む、情報解析装置。
【請求項2】
前記
解析処理部は、
前記複数の固定センサに関して、各固定センサの検知範囲内に検出対象が存在するか否かを判定する検出対象判定部と、
前記検出対象の移動方向を特定する移動方向特定部とを含み、
前記優先度判定部は、
前記検出対象判定部により検出対象が存在すると判定された第1固定センサを第1優先度に設定し、
前記検出対象判定部により検出対象が存在しないと判定された第2固定センサのうち、当該第2固定センサに隣接する固定センサの検知範囲内に検出対象が存在し、且つ、前記移動方向特定部により特定された当該検出対象の移動方向が当該第2固定センサの検知範囲に向かう方向であれば、当該第2固定センサを前記第1優先度に設定し、
前記第2固定センサのうち、前記検出対象判定部により当該第2固定センサに隣接する固定センサの検知範囲内に検出対象が存在しないと判定された当該第2固定センサを第2優先度に設定し、
前記複数の固定センサのうち、前記第1優先度及び前記第2優先度のいずれにも設定されていない固定センサを第3優先度に設定し、
前記第3優先度は、前記第1優先度よりも低く、前記第2優先度よりも高く、
前記リソース調整部は、前記複数の固定センサのうち、前記第2優先度に設定された固定センサに割当てられているリソースを低減させる、又は、前記第2優先度及び前記第3優先度に設定された固定センサに割当てられているリソースを低減させる、請求項1に記載の情報解析装置。
【請求項3】
前記優先度判定部による判定結果に応じて、前記複数の固定センサのうち、より低い優先度に設定された固定センサに対して、当該固定センサからのセンサデータの送信を制限する指示を送信する制限部をさらに含む、請求項2に記載の情報解析装置。
【請求項4】
前記解析リソースの逼迫の有無を判定する解析リソース判定部をさらに含み、
前記リソース調整部は、前記解析リソース判定部による判定結果に応じて、前記解析リソースを調整する、請求項1~3のいずれか1項に記載の情報解析装置。
【請求項5】
前記収集リソースの逼迫の有無を判定する収集リソース判定部をさらに含み、
前記リソース調整部は、前記収集リソース判定部による判定結果に応じて、前記収集リソースを調整する、請求項1~4のいずれか1項に記載の情報解析装置。
【請求項6】
前記収集部は、車両に搭載された車載装置から送信される車載センサのセンサデータをさらに収集し、
前記車載センサの検知範囲と、前記複数の固定センサのそれぞれの検知範囲との重複の有無を判定する重複判定部をさらに含み、
前記重複判定部により、重複が存在すると判定されたことを受けて、前記リソース調整部は、検知範囲が重複している車載センサのセンサデータの解析処理に割当てる解析リソース、及び、検知範囲が重複している車載センサのセンサデータを収集するために使用される収集リソースの少なくとも一方のリソース割当てを低減させる、請求項1~5のいずれか1項に記載の情報解析装置。
【請求項7】
前記収集部は、車両に搭載された車載装置から送信される車載センサのセンサデータをさらに収集し、
前記車載センサの検知範囲と、前記複数の固定センサのそれぞれの検知範囲との重複の有無を判定する重複判定部をさらに含み、
前記重複判定部により、重複が存在すると判定されたことを受けて、前記リソース調整部は、検知範囲が重複している車載センサ及び固定センサのうち、より性能が低いセンサのセンサデータの解析処理に割当てる解析リソース、及び、より性能が低いセンサのセンサデータを収集するために使用される収集リソースの少なくとも一方のリソース割当てを低減させる、請求項1~5のいずれか1項に記載の情報解析装置。
【請求項8】
前記解析リソースは、解析処理を実行する演算素子の演算時間、解析処理を実行するときに使用されるメモリ容量、及び、タスクの実行順序の少なくともいずれか1つを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の情報解析装置。
【請求項9】
前記収集リソースは、センサデータの受信時に使用されるバッファ容量、及び、通信プロトコルのリソースの少なくともいずれか一方を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の情報解析装置。
【請求項10】
複数の固定センサと、
前記複数の固定センサから送信されるセンサデータを収集し、収集された前記センサデータに対して解析処理を実行するサーバコンピュータとを含み、
前記サーバコンピュータは、
前記解析処理による解析結果に基づいて、前記複数の固定センサのそれぞれの優先度を判定し、
前記優先度の判定結果に応じて、前記解析処理を実行するために使用されるリソースである解析リソース、及び、前記センサデータを収集するために使用されるリソースである収集リソースの少なくとも一方のリソースを調整する、情報解析システム。
【請求項11】
複数の固定センサから送信されるセンサデータを収集する収集ステップと、
前記収集ステップにより収集された前記センサデータに対して解析処理を実行する解析ステップと、
前記解析ステップによる解析結果に基づいて、前記複数の固定センサのそれぞれの優先度を判定する判定ステップと、
前記判定ステップによる判定結果に応じて、前記解析処理を実行するために使用されるリソースである解析リソース、及び、前記センサデータを収集するために使用されるリソースである収集リソースの少なくとも一方のリソースを調整する調整ステップとを含む、情報解析方法。
【請求項12】
コンピュータに、
複数の固定センサから送信されるセンサデータを収集する収集機能と、
前記収集機能により収集された前記センサデータに対して解析処理を実行する解析機能と、
前記解析機能による解析結果に基づいて、前記複数の固定センサのそれぞれの優先度を判定する判定機能と、
前記判定機能による判定結果に応じて、前記解析処理を実行するために使用されるリソースである解析リソース、及び、前記センサデータを収集するために使用されるリソースである収集リソースの少なくとも一方のリソースを調整する調整機能とを実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報解析装置、情報解析方法、情報解析システム、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
街頭監視カメラ等の固定設置されたセンサ(以下、インフラセンサともいう)により取得したセンサデータ(画像データ等)をサーバコンピュータ(以下、単にサーバという)にアップロードし、解析して監視するシステムが提案されている。また、自動車及び自動二輪車等(以下、車両という)に種々のセンサを搭載し、これらのセンサデータをサーバにアップロードし、サーバにより解析して運転支援のために使用することが提案されている。
【0003】
車両に搭載されたセンサ(以下、車載センサともいう)だけでは、車載センサの検知範囲内で、走行中の道路上における情報を取得することはできるが、車載センサの検知範囲を超えた走行中の道路の情報は取得することができない。また、走行中の道路と交差する道路に関する情報は、車載センサの検知範囲内であっても、道路周辺の建造物等により遮蔽されて取得することができず、死角領域が生じてしまう。したがって、車載センサのセンサデータと、インフラセンサによるセンサデータとを合わせて解析し、運転支援のために使用することが好ましい。
【0004】
解析処理に関して、例えば、後掲の特許文献1には、解析結果の重要度に応じて解析エンジン負荷を変更する解析システムが開示されている。この解析システムでは、解析結果(検出物の属性等)に応じて、動画のフレームレート、又は解析エンジンの設定(解析精度)等のパラメータを下げて、解析負荷を低減する。
【0005】
また、後掲の特許文献2には、複数のカメラから表示に使用するカメラを適切に選択する映像配信システムが開示されている。この映像配信システムでは、複数のカメラによりイベント会場等の同一の場面で対象物体を撮影する場合に、使用するカメラを所定の基準で選択する。選択の基準は、撮影空間の重複が最小であり、且つ重畳した撮影空間が対象空間をカバーする割合が最大であることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2013/150734号
【文献】特開2016-213808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
インフラセンサ及び車載装置から送信されるセンサデータを収集し、解析するサーバにおいては、多数のインフラセンサが設置され、多数のセンサ搭載車両が走行する状況下では、サーバにおいて解析処理を実行するためのリソース(以下、解析リソースともいう)、及び、データを収集するためのリソース(以下、収集リソースともいう)が逼迫すると、データの収集及び解析に支障が生じる可能性が高くなる問題がある。
【0008】
特に、センサ搭載車両の台数は刻々と変動するため予測が困難であり、適切にリソース(以下、リソースとは、解析リソース及び収集リソースを含む)を割当てることは難しい。最大の交通量を仮定して、リソースが逼迫しない性能のサーバを導入することで対応することは可能ではあるが、オーバースペックでありコスト高になる問題がある。また、仮に、ある時点で、リソースが逼迫しない適切な性能のサーバを導入したとしても、交通量が増大すればリソースが逼迫し得る状況が生じる。
【0009】
特許文献1では、1つのセンサを対象としており、複数の入力源(センサ)を対象とするものではなく、入力源を選択することは考慮されていない。また、特許文献2では、撮影空間を最適化するためのものであり、検出対象との関係性が考慮されておらず、複数の車両等を検出対象とし、運転支援情報を提供するためのサーバに適用することはできない。特許文献1及び2のいずれによっても、上記の問題を解決することはできない。
【0010】
したがって、本発明は、リソースの逼迫を抑制でき、リソースが逼迫した場合には速やかに逼迫を解消できる情報解析装置、情報解析方法、情報解析システム、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある局面に係る情報解析装置は、複数の固定センサから送信されるセンサデータを収集する収集部と、収集部により収集されたセンサデータに対して解析処理を実行する解析処理部と、複数の固定センサのそれぞれの優先度を判定する優先度判定部と、優先度判定部による判定結果に応じて、解析処理を実行するために使用されるリソースである解析リソース、及び、センサデータを収集するために使用されるリソースである収集リソースの少なくとも一方のリソースを調整するリソース調整部とを含む。
【0012】
本発明の別の局面に係る情報解析システムは、複数の固定センサと、複数の固定センサから送信されるセンサデータを収集し、収集されたセンサデータに対して解析処理を実行するサーバコンピュータとを含み、サーバコンピュータは、複数の固定センサのそれぞれの優先度を判定し、優先度の判定結果に応じて、解析処理を実行するために使用されるリソースである解析リソース、及び、センサデータを収集するために使用されるリソースである収集リソースの少なくとも一方のリソースを調整する。
【0013】
本発明のさらに別の局面に係る情報解析方法は、複数の固定センサから送信されるセンサデータを収集する収集ステップと、収集ステップにより収集されたセンサデータに対して解析処理を実行する解析ステップと、複数の固定センサのそれぞれの優先度を判定する判定ステップと、判定ステップによる判定結果に応じて、解析処理を実行するために使用されるリソースである解析リソース、及び、センサデータを収集するために使用されるリソースである収集リソースの少なくとも一方のリソースを調整する調整ステップとを含む。
【0014】
本発明のさらに別の局面に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、複数の固定センサから送信されるセンサデータを収集する収集機能と、収集機能により収集されたセンサデータに対して解析処理を実行する解析機能と、複数の固定センサのそれぞれの優先度を判定する判定機能と、判定機能による判定結果に応じて、解析処理を実行するために使用されるリソースである解析リソース、及び、センサデータを収集するために使用されるリソースである収集リソースの少なくとも一方のリソースを調整する調整機能とを実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、センサデータの収集及び解析において、リソースの逼迫を抑制でき、リソースが逼迫した場合には速やかに逼迫を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る情報解析システムの構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る情報解析システムにおけるインフラセンサの配置を示す平面図である。
【
図3】
図3は、サーバの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、車載装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、インフラセンサの構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、サーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、サーバの処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第1変形例に係るサーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、第1変形例に係るサーバの処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第2変形例に係るサーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、第2変形例に係るサーバの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0018】
(1)本発明の第1の局面に係る情報解析装置は、複数の固定センサから送信されるセンサデータを収集する収集部と、収集部により収集されたセンサデータに対して解析処理を実行する解析処理部と、複数の固定センサのそれぞれの優先度を判定する優先度判定部と、優先度判定部による判定結果に応じて、解析処理を実行するために使用されるリソースである解析リソース、及び、センサデータを収集するために使用されるリソースである収集リソースの少なくとも一方のリソースを調整するリソース調整部とを含む。これにより、センサデータの収集及び解析において、リソースの逼迫を抑制できる。
【0019】
(2)好ましくは、優先度判定部は、複数の固定センサに関して、各固定センサの検知範囲内に検出対象が存在するか否かを判定する検出対象判定部と、検出対象の移動方向を特定する移動方向特定部とを含み、検出対象判定部により検出対象が存在すると判定された第1固定センサを第1優先度に設定し、検出対象判定部により検出対象が存在しないと判定された第2固定センサのうち、当該第2固定センサに隣接する固定センサの検知範囲内に検出対象が存在し、且つ、移動方向特定部により特定された当該検出対象の移動方向が当該第2固定センサの検知範囲に向かう方向であれば、当該第2固定センサを第1優先度に設定し、第2固定センサのうち、検出対象判定部により当該第2固定センサに隣接する固定センサの検知範囲内に検出対象が存在しないと判定された当該第2固定センサを第2優先度に設定し、複数の固定センサのうち、第1優先度及び第2優先度のいずれにも設定されていない固定センサを第3優先度に設定し、第3優先度は、第1優先度よりも低く、第2優先度よりも高く、リソース調整部は、複数の固定センサのうち、第2優先度に設定された固定センサに割当てられているリソースを低減させる、又は、第2優先度及び第3優先度に設定された固定センサに割当てられているリソースを低減させる。これにより、複数の固定センサのそれぞれから送信されるセンサデータを適切に収集及び解析でき、収集及び解析時に支障が生じることを回避できる。
【0020】
(3)より好ましくは、情報解析装置は、優先度判定部による判定結果に応じて、複数の固定センサのうち、より低い優先度に設定された固定センサに対して、当該固定センサからのセンサデータの送信を制限する指示を送信する制限部をさらに含む。これにより、センサデータの収集リソースの逼迫を抑制できる。
【0021】
(4)さらに好ましくは、情報解析装置は、解析リソースの逼迫の有無を判定する解析リソース判定部をさらに含み、リソース調整部は、解析リソース判定部による判定結果に応じて、解析リソースを調整する。これにより、センサデータの解析において、解析リソースが逼迫した場合に、速やかに逼迫を解消できる。
【0022】
(5)好ましくは、情報解析装置は、収集リソースの逼迫の有無を判定する収集リソース判定部をさらに含み、リソース調整部は、収集リソース判定部による判定結果に応じて、収集リソースを調整する。これにより、センサデータの収集において、収集リソースが逼迫した場合に、速やかに逼迫を解消できる。
【0023】
(6)より好ましくは、収集部は、車両に搭載された車載装置から送信される車載センサのセンサデータをさらに収集し、情報解析装置は、車載センサの検知範囲と、複数の固定センサのそれぞれの検知範囲との重複の有無を判定する重複判定部をさらに含み、重複判定部により、重複が存在すると判定されたことを受けて、リソース調整部は、検知範囲が重複している車載センサのセンサデータの解析処理に割当てる解析リソース、及び、検知範囲が重複している車載センサのセンサデータを収集するために使用される収集リソースの少なくとも一方のリソース割当てを低減させる。これにより、車載センサよりも固定センサのセンサデータを優先的に収集及び解析でき、不要なセンサデータの収集及び解析を抑制できる。
【0024】
(7)さらに好ましくは、収集部は、車両に搭載された車載装置から送信される車載センサのセンサデータをさらに収集し、情報解析装置は、車載センサの検知範囲と、複数の固定センサのそれぞれの検知範囲との重複の有無を判定する重複判定部をさらに含み、重複判定部により、重複が存在すると判定されたことを受けて、リソース調整部は、検知範囲が重複している車載センサ及び固定センサのうち、より性能が低いセンサのセンサデータの解析処理に割当てる解析リソース、及び、より性能が低いセンサのセンサデータを収集するために使用される収集リソースの少なくとも一方のリソース割当てを低減させる。これにより、車載センサ及び固定センサのうちより高性能なセンサのセンサデータを優先的に収集及び解析でき、不要なセンサデータの収集及び解析を抑制できる。
【0025】
(8)好ましくは、解析リソースは、解析処理を実行する演算素子の演算時間、解析処理を実行するときに使用されるメモリ容量、及び、タスクの実行順序の少なくともいずれか1つを含む。これにより、複数の固定センサのそれぞれから送信されるセンサデータを適切に解析でき、解析時に支障が生じることを回避できる。
【0026】
(9)より好ましくは、収集リソースは、センサデータの受信時に使用されるバッファ容量、及び、通信プロトコルのリソースの少なくともいずれか一方を含む。これにより、複数の固定センサのそれぞれから送信されるセンサデータを適切に収集でき、収集時に支障が生じることを回避できる。
【0027】
(10)本発明の第2の局面に係る情報解析システムは、複数の固定センサと、複数の固定センサから送信されるセンサデータを収集し、収集されたセンサデータに対して解析処理を実行するサーバコンピュータとを含み、サーバコンピュータは、複数の固定センサのそれぞれの優先度を判定し、優先度の判定結果に応じて、解析処理を実行するために使用されるリソースである解析リソース、及び、センサデータを収集するために使用されるリソースである収集リソースの少なくとも一方のリソースを調整する。これにより、センサデータの収集及び解析において、リソースの逼迫を抑制できる。
【0028】
(11)本発明の第3の局面に係る情報解析方法は、複数の固定センサから送信されるセンサデータを収集する収集ステップと、収集ステップにより収集されたセンサデータに対して解析処理を実行する解析ステップと、複数の固定センサのそれぞれの優先度を判定する判定ステップと、判定ステップによる判定結果に応じて、解析処理を実行するために使用されるリソースである解析リソース、及び、センサデータを収集するために使用されるリソースである収集リソースの少なくとも一方のリソースを調整する調整ステップとを含む。これにより、センサデータの収集及び解析において、リソースの逼迫を抑制できる。
【0029】
(12)本発明の第4の局面に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、複数の固定センサから送信されるセンサデータを収集する収集機能と、収集機能により収集されたセンサデータに対して解析処理を実行する解析機能と、複数の固定センサのそれぞれの優先度を判定する判定機能と、判定機能による判定結果に応じて、解析処理を実行するために使用されるリソースである解析リソース、及び、センサデータを収集するために使用されるリソースである収集リソースの少なくとも一方のリソースを調整する調整機能とを実行させる。これにより、センサデータの収集及び解析において、リソースの逼迫を抑制できる。
【0030】
[本発明の実施形態の詳細]
以下の実施形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0031】
(実施形態)
[全体構成]
図1を参照して、本発明の実施形態に係る情報解析システム100は、道路及びその周辺等(以下、路上ともいう)に固定して設置された複数のインフラセンサ102a及び102bと、サーバ104とを含む。インフラセンサ102a及び102bは、それぞれが検知したセンサデータを、ネットワーク106を介してサーバ104に送信する(以下、アップロードともいう)。
【0032】
インフラセンサ102a及び102bは路上に設置され、路上における情報を取得する機能を備えた装置である。インフラセンサ102a及び102bは、基地局108との通信機能を有していてもよい。インフラセンサ102a及び102bは、例えば、イメージセンサ(デジタルの監視カメラ等)、レーダ(ミリ波レーダ等)、又はレーザセンサ(LiDAR等)等である。車両110及び歩行者900は、インフラセンサ102a及び102bの検出対象である。
【0033】
サーバ104は、ネットワーク106を介して無線通信の基地局108と通信し、基地局108を介して、車両110に搭載されている車載装置140からアップロードされる車載センサのセンサデータを収集する。基地局108は、例えば5G(第5世代移動通信システム)回線等による移動通信サービスを提供している。車両110が搭載している車載装置140は、基地局108がサービスしている通信仕様による通信機能を有している。歩行者900は、車載センサの検出対象でもある。
【0034】
サーバ104は、インフラセンサ102a及び102bからアップロードされるセンサデータを受信(収集)して解析し、運転支援のための情報(以下、運転支援情報ともいう)を生成して、車両110の車載装置140等に送信する。また、サーバ104は、車両110の車載装置140からアップロードされる車両センサのセンサデータをも解析し、インフラセンサ102a及び102bのセンサデータの解析結果と統合して、運転支援情報を生成して、車両110の車載装置140又はその他の車両の車載装置に送信する。
【0035】
図1には、例示的に2つのインフラセンサ102a及び102b、1つの基地局108、並びに1台の車両110を示しているが、通常、3つ以上のインフラセンサが設けられ、複数の基地局が設けられ、複数の車両に移動通信機能が提供されている。インフラセンサに関しては、例えば、
図2に示したように、道路に沿ってインフラセンサ102a~102hが設けられる。通常、各インフラセンサの設置位置は、インフラセンサの検知範囲(斜線を付した領域)が重ならないように、又は、必要以上に重ならないように調整される。
【0036】
[サーバのハードウェア構成]
図3を参照して、サーバ104は、各部を制御する制御部120と、データを記憶するメモリ122と、通信を行なう通信部124と、各部の間でデータを交換するためのバス126とを含む。制御部120は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成されており、各部を制御することにより、後述する機能を実現する。メモリ122は、書換可能な半導体の不揮発性メモリ及びハードディスクドライブ(以下、HDDという)等の大容量記憶装置を含む。通信部124は、路上に配置されたインフラセンサ102a~102hからアップロードされるセンサデータ、車両110の車載装置140からアップロードされるセンサデータを受信する。通信部124により受信されたデータは、メモリ122に伝送されて記憶される。これにより、サーバ104は、後述するように情報解析装置として機能する。
【0037】
[車載装置のハードウェア構成及び機能]
図4を参照して、車両110に搭載されている車載装置140のハードウェア構成の一例を示す。車載装置140は、車両110に搭載されている1又は複数のセンサ142に接続されたインターフェイス部(以下、I/F部という)144、無線通信を行なう通信部146、データを記憶するメモリ148、それらを制御する制御部150、及び、各部の間でデータを交換するためのバス152を含む。
【0038】
センサ142は、車両110に搭載されている公知のビデオ映像の撮像装置(例えば、デジタルカメラ(CCDカメラ、CMOSカメラ))、レーザセンサ(LiDAR)等である。センサ142がデジタルカメラであれば、所定のビデオ信号(アナログ信号又はデジタルデータ)を出力する。センサ142からの信号はI/F部144に入力される。I/F部144はA/D変換部を含み、アナログ信号が入力されると所定周波数でサンプリングし、デジタルデータを生成して出力する。生成されたデジタルデータは、メモリ148に伝送されて記憶される。センサ142からの出力信号がデジタルデータであれば、I/F部144は、入力されるデジタルデータをメモリ148に記憶する。メモリ148は、例えば書換可能な不揮発性の半導体メモリ又はHDDである。
【0039】
通信部146は、5G回線等の移動通信機能を有し、サーバ104との通信を行なう。車載装置140とサーバ104との間の通信は基地局108を介して行なわれる。通信部146は、5G回線等で採用されている変調及び多重化を行なうためのIC、所定周波数の電波を放射及び受信するためのアンテナ、並びにRF回路等により構成されている。
【0040】
制御部150は、CPUを含んで構成されており、各部を制御することにより車載装置140の機能を実現する。例えば、制御部150は、センサ142から取得したセンサデータをサーバ104に送信する。このとき、制御部150は、車載装置140を特定する情報、車両110の現在位置及び向きの情報、並びに、センサ142に関する情報を、センサデータに付加して送信する。車載装置140を特定する情報は、例えば、各車載装置に予め一意に付与されたIDである。制御部150は、GPSにより、車両110の現在位置を取得する。送信されたセンサデータは、サーバ104により運転支援情報の生成に利用される。車両110の現在位置及び向きの情報、並びに、センサ142に関する情報は、センサデータ(例えば、センサにより得られた画像)と地図上の位置との対応を特定するために利用される。制御部150は、サーバ104から運転支援情報を受信して、車両110の走行を制御する、運転者を支援する情報を提供する等の処理を行なう。また、制御部150は、センサ142により取得したデータを解析して、車両110周辺の対象物を検出し、運転支援に利用する。また、制御部150は、センサデータの送信とは別に、車両110の現在位置を、適宜又はサーバ104からの要求を受けて、サーバ104に送信する。
【0041】
[インフラセンサのハードウェア構成及び機能]
図5を参照して、インフラセンサ102aのハードウェア構成の一例を示す。
図1及び
図2に示したインフラセンサ102b~102hも同様に構成されている。インフラセンサ102aは、センサ部160に接続されたI/F部162、ネットワーク106を介してサーバ104との通信を行なう通信部164、データを記憶するメモリ166、それらを制御する制御部168、及び、各部の間でデータを交換するためのバス170を含む。通信部164は、ネットワーク106との通信機能に加えて、又は、ネットワーク106との通信機能の代わりに基地局108との通信機能を有していてもよい。
【0042】
センサ部160は、例えば、公知のビデオ映像の撮像装置(例えば、デジタルカメラ)である。センサ部160は、検知範囲(カメラであれば撮像範囲)内の情報を取得してセンサデータとして出力する。デジタルカメラであれば、デジタルの画像データを出力する。センサ部160からの信号(アナログ又はデジタル)はI/F部162に入力される。I/F部162はA/D変換部を含み、アナログ信号が入力されるとデジタルデータを生成して出力する。生成されたデジタルデータは、メモリ166に伝送されて記憶される。センサ部160からの出力信号がデジタルデータであれば、I/F部162は、入力されるデジタルデータをメモリ166に記憶する。メモリ166は、例えば書換可能な不揮発性の半導体メモリ又はHDDである。
【0043】
固定設置されているインフラセンサ102aの通信機能は、任意である。有線LAN、又はWiFi等の無線LANによる通信機能であってもよい。WiFi通信の場合、移動通信の基地局108とは別にWiFiサービスを提供する装置(無線ルータ等)が設けられ、インフラセンサ102aはサーバ104とネットワーク106を介して通信する。上記したように、基地局108との通信機能を有していてもよい。通信部164が、移動通信機能を有する場合、基地局108を介してサーバ104との通信を行なう。インフラセンサ102aは固定設置されているので、複数の移動通信方式に対応している必要はなく、近くにある基地局108により提供されている移動通信方式(例えば5G回線)に対応していればよい。通信部164は、採用されている変調及び多重化を行なうためのIC、所定周波数の電波を放射及び受信するためのアンテナ、並びにRF回路等により構成されている。
【0044】
制御部168は、CPUを含んで構成されており、各部を制御することによりインフラセンサ102aの機能を実現する。即ち、制御部168は、センサ部160により取得されメモリ166に記憶されたセンサデータ(例えば、動画像データ)を所定の時間間隔で読出し、パケットデータを生成し、通信部164からネットワーク106を介してサーバ104に送信する。このとき、制御部168は、インフラセンサ102aのIDをセンサデータに付加して送信する。インフラセンサ102aのIDは予め割当てられており、サーバ104のメモリ122に記憶され、管理されている。IDは、例えば、通信部のMACアドレス(Media Access Control address)であってもよい。
【0045】
サーバ104が、インフラセンサ102aを特定する情報(例えば、ID)に対応させて、インフラセンサ102aのセンサ部160の検知範囲の情報(例えば、カメラにより撮像される画像と地図情報との対応を示す情報)を記憶していれば、インフラセンサ102aは自己のIDをセンサデータに付加して送信すれば、サーバ104は、インフラセンサ102aの検知範囲を特定することができる。また、インフラセンサ102aは、センサ部160の検知範囲の情報をセンサデータに付加してサーバ104に送信してもよい。
【0046】
[サーバの機能的構成]
図6を参照して、サーバ104の機能について説明する。サーバ104は、パケットデータを受信するパケット受信部180と、パケットデータを送信するパケット送信部182と、入力されるデータ(センサデータ)を集約し解析処理を実行する解析処理部184と、運転支援情報を生成する運転支援情報生成部186と、サーバ104のリソースに関する情報を記憶し管理するリソース管理部188と、リソース逼迫度判定部190と、優先度判定部192と、リソース調整部194とを含む。これら各部の機能は、
図3の制御部120が、メモリ122及び通信部124を用いて実現する。なお、これら各部の機能は、専用のハードウェア(回路基板、ASIC等)により実現されてもよい。
図6においては、複数の車載装置を代表する車載装置140と、複数のインフラセンサを代表するインフラセンサ102aとを示している。
【0047】
パケット受信部180は、インフラセンサ102a及び車載装置140からパケットデータを受信し、受信データ(センサデータ)を解析処理部184に入力する。なお、パケット受信部180により受信されたセンサデータには、車両(車載装置)を特定する情報又はインフラセンサを特定する情報が付加されている。
【0048】
解析処理部184は、入力されるデータを用いて解析処理を実行して、車両の交通に影響する対象を検出し、それに関する情報等(位置、大きさ、属性情報(人又は車両)、移動速度、移動方向等)を算出する。ここで、車両の交通に影響する対象(以下、検出対象ともいう)とは、歩行者及び車両に限らず、路上の落下物等をも含む。「歩行者」は、任意の速度(“0”を含む)で移動している人を意味し、歩いている人に限らず、停止している人、及び、走っている人を含む。
【0049】
解析処理部184は、パケット受信部180から入力されるセンサデータを、リソース管理部188から割当てられた解析リソースを用いて解析処理を実行する。解析リソースは、例えば、制御部120の計算リソース(複数のタスクに割当てられる演算素子(CPU、GPU等)の演算時間)、メモリリソース(複数のタスクに割当てられるメモリ122のメモリ容量)、タスクの実行順序等である。即ち、解析リソースの調整には、タスクの実行順序を変更することも含まれる。例えば、後述する優先度が高いインフラセンサのセンサデータを解析するタスクの実行を早くし、優先度が低いインフラセンサのセンサデータを解析するタスクの実行を遅らせる。ここで、タスクとは、いわゆるプロセス、スレッド等の処理単位をも意味する。例えば、センサ(インフラセンサ及び車載センサを含む)毎に、センサデータの処理タスクを割当てる場合、各センサのデータを処理するタスクに割当てられる解析リソースは、リソース管理部188により指定される。
【0050】
解析処理部184による解析結果は運転支援情報生成部186に入力される。運転支援情報生成部186は、入力される解析結果を用いて運転支援情報を生成する。運転支援情報生成部186も、解析処理部184と同様に、リソース管理部188から割当てられた解析リソースを用いて運転支援情報の生成処理を実行する。生成された運転支援情報はパケット送信部182に出力され、パケット送信部182により車載装置140に送信される。
【0051】
解析処理部184による解析結果には、各インフラセンサについて、検知範囲内に検出対象が存在するか否かの情報、及び、検出対象が存在する場合、その移動方向の情報を含む。これらの解析結果は、優先度判定部192に出力される。
【0052】
リソース逼迫度判定部190は、リソース管理部188から現在のリソースに関する情報を取得し、リソースが逼迫しているか否かを判定する。リソース逼迫度判定部190が判定の対象とするリソースは、上記の解析リソースに加えて、センサデータの収集に関するリソース(以下、収集リソースともいう)を含む。収集リソースは、例えば、インフラセンサ及び車載装置から送信されるセンサデータを受信するために割当てられたバッファ容量、通信プロトコルのリソース等である。リソース逼迫度判定部190の判定結果は、リソース調整部194に出力される。これにより、後述するように、センサデータの解析において、解析リソースが逼迫した場合に、速やかに逼迫を解消できる。また、センサデータの収集において、収集リソースが逼迫した場合にも、速やかに逼迫を解消できる。
【0053】
優先度判定部192は、入力される解析処理部184の解析結果から、所定の判定基準(例えば、メモリ122に記憶されている)に基づいて、各インフラセンサの優先度を判定し、各インフラセンサの優先度を決定し、各インフラセンサに決定した優先度を設定する(インフラセンサと優先度とを対応付ける)。決定された各インフラセンサの優先度は、リソース調整部194に出力される。
【0054】
リソース調整部194は、入力されるリソース逼迫度判定部190の判定結果及び優先度判定部192により決定された優先度にしたがって、解析リソース及び収集リソースを調整する。リソース逼迫度判定部190の判定結果が解析リソースの逼迫を示すものであれば、リソース調整部194は、インフラセンサから受信したセンサデータを解析する複数のタスクに、優先度に応じて解析リソースを割当てる。例えば、より低い優先度に設定されたインフラセンサのセンサデータを解析するタスクには、より少ない解析リソースが割当てられるように、現在の解析リソースの割当てを変更する。具体的には、より低い優先度に設定されたインフラセンサのセンサデータを解析するタスクに現在割当てられている解析リソースを低減させる。
【0055】
リソース逼迫度判定部190の判定結果が収集リソースの逼迫を示すものであれば、リソース調整部194は、インフラセンサから送信されるセンサデータを収集する複数の通信プロセスに、優先度に応じて収集リソースを割当てる。例えば、より低い優先度に設定されたインフラセンサからのセンサデータを受信するプロセスには、より少ない収集リソースが割当てられるように、現在の収集リソースの割当てを変更する。リソース調整部194は新たに決定したリソース割当てを、リソース管理部188に出力する。具体的には、より低い優先度に設定されたインフラセンサからのセンサデータを受信するプロセスに現在割当てられている収集リソースを低減させる。
【0056】
リソース管理部188は、リソース調整部194から入力されるリソース割当てにしたがって、解析処理部184に新たな解析リソースの割当てを指示する。解析処理部184は、新たな解析リソースの割当てにしたがって、インフラセンサのセンサデータを解析する。また、リソース管理部188は、パケット受信部180に対して、新たな収集リソースの割当てを指示する。パケット受信部180は、新たな収集リソースの割当てにしたがって、インフラセンサのセンサデータを受信する。
【0057】
また、リソース調整部194は、センサデータを受信するプロセスに割当てるリソースを調整することに代えて、又は、それに加えて、各インフラセンサからサーバ104に送信するセンサデータの送信に関する条件(以下、アップロード条件ともいう)を変更する。アップロード条件は、例えば、センサの解像度、センサデータの送信周期等である。アップロード条件を変更することにより、サーバ104に送信される単位時間当たりのセンサデータの量を調整することができる。リソース調整部194は、パケット送信部182を介して各インフラセンサに、対応する新たなアップロード条件を送信する。アップロード条件を受信したインフラセンサは、受信したアップロード条件にしたがって、サーバ104へのセンサデータの送信を行なう。アップロード条件は、センサデータを送信しない指示(停止指示)を含んでいてもよい。これにより、センサデータの収集リソースの逼迫を抑制できる。
【0058】
リソース逼迫度判定部190の判定結果が解析リソース及び収集リソースのいずれの逼迫を示すものでもなければ、リソース調整部194は、リソースの調整を行なわない。なお、一旦リソースの逼迫が生じ、リソースを調整した後に、リソースの逼迫が解消すれば、リソース調整部194はリソースの割当てを通常状態に戻し、アップロード条件を制限していた場合には、通常のアップロード条件をインフラセンサに送信する。
【0059】
[サーバの動作]
図7を参照して、サーバ104による処理に関して、より具体的に説明する。
図7に示した処理は、制御部120が、所定のプログラムをメモリ122から読出して実行することにより実現される。ここでは、
図2に示したインフラセンサ102a~102hからセンサデータがサーバ104に送信され、インフラセンサ102a~102hがサーバ104による優先度判定の対象であるとする。サーバ104のメモリ122には、インフラセンサ102a~102hに関する情報(ID、設置位置、センサの検知範囲、解像度、センサデータの送信周期等)が予め記憶されているとする。インフラセンサ102a~102hは、サーバ104に送信するパケットデータに、自己のIDを付加して送信する。
【0060】
ステップ300において、制御部120は、データを受信したか否かを判定する。受信したと判定された場合、制御部120は受信データをメモリ122に記憶し、制御はステップ302に移行する。そうでなければ、制御はステップ308に移行する。
【0061】
ステップ302において、制御部120は、ステップ300で受信したデータが、センサデータを含むか否かを判定する。ここでセンサデータは、インフラセンサ102a~102h、及び、車両110の車載装置140から送信される。センサデータを含むと判定された場合、制御はステップ304に移行する。そうでなければ、制御は308に移行する。
【0062】
ステップ304において、制御部120は、ステップ300で受信したセンサデータに対して解析処理を実行する。具体的には、解析処理部184によりセンサデータに対して上記した解析処理が実行される。解析結果は、メモリ122に記憶される。その後、制御はステップ306に移行する。
【0063】
ステップ306において、制御部120は、ステップ304による解析結果から、運転支援情報を生成し、車載装置に送信する。具体的には、メモリ122に記憶された解析結果から、上記したように運転支援情報生成部186により運転支援情報が生成され、車載装置に送信される。送信は、例えば、各車載装置毎に送信しても、車載装置を特定せずにブロードキャストで送信してもよい。その後、制御はステップ308に移行する。
【0064】
ステップ308において、制御部120は、解析リソースが逼迫しているか否かを判定する。解析リソースが逼迫していると判定された場合、制御はステップ310に移行する。そうでなければ、制御はステップ314に移行する。具体的には、上記したように、リソース逼迫度判定部190により、解析処理部184の処理に割当てられている解析リソースが逼迫しているか否かが判定される。解析リソースが逼迫しているか否かは、例えば、解析処理部184が入力されるセンサデータを処理するために割当てられる解析リソースが所定のしきい値を超えるか否かにより判定することができる。解析リソースのしきい値は、解析処理部184による解析処理に支障が生じない範囲で、適切な値に設定すればよい。解析処理部184による解析処理に割当てられる解析リソースが、入力されるセンサデータを支障なく処理するために必要な解析リソースよりも少ないと、解析処理に遅れが生じ、運転支援情報の生成及び送信が遅れる。
【0065】
なお、解析リソースのしきい値は、解析リソースの種類によらず一律に設定しても、解析リソースの種類毎に設定してもよい。一律に設定する場合には、例えば、CPUの演算時間、メモリ容量等のそれぞれの最大値に対する割合(%)でしきい値を設定することができる。解析リソースの種類毎に設定する場合、CPUの演算時間、メモリ容量等のそれぞれに関して、異なるしきい値を設定することができる。
【0066】
解析リソースの逼迫が発生していれば、後述するステップにおいて、解析リソースの調整が行なわれるので、ステップ308でのNO(解析リソースが逼迫していない)との判定結果は、連続して解析リソースの逼迫が発生していない状態に限らず、一旦解析リソースの逼迫が生じて解析リソースの調整が行なわれた後に解析リソースの逼迫が解消した状態をも含む。したがって、制御がステップ314に移される場合には、その前に制御部120は、解析リソースを通常の状態に戻す。
【0067】
ステップ310において、制御部120は、所定の判定基準にしたがって各インフラセンサの優先度を判定する。その後、制御はステップ312に移行する。具体的には、上記したように、優先度判定部192は、解析処理部184から解析結果(各インフラセンサの検知範囲内に検出対象が存在するか否か、及び、検出対象の移動方向)を取得して、例えば、表1の判定基準にしたがって、各インフラセンサの優先度を決定する。
【0068】
【0069】
表1の判定基準を、
図2に示した状態に適用すれば、インフラセンサ102cはNo.1の条件を満たす(検知範囲112cに車両110が存在する。)ので、優先度は「高」に設定される。インフラセンサ102dはNo.2の条件を満たす(車両110の移動方向は検知範囲112dの方向)ので、優先度は「高」に設定される。インフラセンサ102bは、No.1~3の何れの条件も満たさず(検知範囲112bには検出対象が存在せず、隣接インフラセンサ102cの検知範囲112cに車両110及び歩行者900が存在するが、車両110の移動方向はインフラセンサ102bの検知範囲112bの方向ではなく、歩行者900は移動していない。)、No.4の条件を満たすので、優先度は「低」に設定される。インフラセンサ102aは、No.1~4の何れの条件も満たさず、No.5の条件を満たすので、優先度は「中」に設定される(インフラセンサ102aの左側には隣接インフラセンサが存在しない)。同様にして、インフラセンサ102hの優先度も「中」に設定される(インフラセンサ102hの右側には隣接インフラセンサが存在しない)。その他のインフラセンサ102e~102gは、No.3の条件を満たすので、優先度は「低」に設定される。このように、優先度を決定することより、後述するように、複数の固定センサのそれぞれから送信されるセンサデータを適切に収集及び解析できる。
【0070】
優先度の判定において考慮される検出対象には、基地局108を介してサーバ104にセンサデータを送信する機能を有する車載装置を搭載していない車両も含まれる。サーバ104は、車載装置を搭載していない車両であっても、インフラセンサから送信されるセンサデータを解析することにより、車両の位置及び移動方向を特定することができる。
【0071】
なお、
図2では、複数のインフラセンサが1本の道路に沿って設置されており、隣接インフラセンサは、道路に沿って左右に隣接するインフラセンサに限られるが、交差する道路(
図2における上下方向)にインフラセンサが設置されていれば、それらのインフラセンサも考慮される。即ち、1つのインフラセンサに関する隣接インフラセンサは、複数のインフラセンサの検知範囲の2次元的な配置(相対距離、検知範囲の大きさ等)を考慮して予め決定しておけばよい。
【0072】
ステップ312において、制御部120は、ステップ310により各インフラセンサに設定された優先度に応じて、解析リソースを調整する。その後、制御はステップ320に移行する。具体的には、上記したように、リソース調整部194は、より低い優先度に設定されたインフラセンサのセンサデータを解析するタスクには、より少ない解析リソースが割当てられるように、現在の解析リソースの割当てを変更する。例えば、表1のように、優先度が高、中、低の3レベルである場合、優先度が「低」に設定されたインフラセンサのセンサデータを解析するタスクに現在割当てられている解析リソースを低減させる。それに加えて、優先度が「中」に設定されたインフラセンサのセンサデータを解析するタスクに現在割当てられている解析リソースを低減させてもよい。
【0073】
ステップ308での判定結果がNO(解析リソースは逼迫していない)の場合には、ステップ314において、制御部120は、収集リソースが逼迫しているか否かを判定する。収集リソースが逼迫していると判定された場合、制御はステップ316に移行する。そうでなければ、制御はステップ320に移行する。具体的には、上記したように、リソース逼迫度判定部190により、インフラセンサから送信されるセンサデータを収集するための収集リソースが逼迫しているか否かが判定される。収集リソースが逼迫しているか否かは、例えば、インフラセンサ及び車載装置から送信されるセンサデータを受信するためにパケット受信部180に割当てられる収集リソースが所定のしきい値を超えるか否かにより判定することができる。収集リソースのしきい値は、パケット受信部180のデータ受信処理に支障が生じない範囲で、適切な値に設定すればよい。収集リソースのしきい値は、解析リソースと同様に、収集リソースの種類によらず一律にしきい値を設定しても、収集リソースの種類毎にしきい値を設定してもよい。
【0074】
収集リソースの逼迫が発生していれば、後述するステップにおいて、収集リソースの調整が行なわれるので、ステップ314でのNO(収集リソースが逼迫していない)との判定結果は、連続して収集リソースの逼迫が発生していない状態に限らず、一旦収集リソースの逼迫が生じて収集リソースの調整が行なわれた後に収集リソースの逼迫が解消した状態をも含む。したがって、制御がステップ320に移される場合には、その前に制御部120は、収集リソースを通常の状態に戻す。
【0075】
ステップ316において、制御部120は、所定の判定基準にしたがって各インフラセンサの優先度を判定する。その後、制御はステップ318に移行する。ステップ316の処理はステップ310の処理と同じである。
【0076】
ステップ318において、制御部120は、ステップ316により各インフラセンサに設定された優先度に応じて、収集リソースを調整する。その後、制御はステップ320に移行する。具体的には、上記したように、リソース調整部194は、より低い優先度に設定されたインフラセンサからのセンサデータを受信するプロセスには、より少ない収集リソースが割当てられるように、現在の収集リソースの割当てを変更する。例えば、表1のように、優先度が高、中、低の3レベルである場合、優先度が「低」に設定されたインフラセンサのセンサデータを受信するプロセスに現在割当てられている収集リソースを低減させる。それに加えて、優先度が「中」に設定されたインフラセンサのセンサデータを受信するプロセスに現在割当てられている収集リソースを低減させてもよい。また、リソース調整部194は、ステップ316により各インフラセンサに設定された優先度に応じて、各インフラセンサのアップロード条件(センサの解像度、センサデータの送信周期等)を決定し、パケット送信部182を介して各インフラセンサに、対応する新たなアップロード条件を送信する。
【0077】
ステップ320において、制御部120は、終了の指示を受けたか否かを判定する。終了の指示を受けたと判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ300に戻り、上記した処理が繰返される。終了の指示は、例えば、サーバ104が管理者等により操作されることにより成される。
【0078】
以上により、サーバ104は、解析リソース及び収集リソースの少なくとも一方が逼迫すれば、各インフラセンサに設定された優先度に応じて、逼迫しているリソースを調整して逼迫した状態を速やかに解消できる。したがって、センサデータの解析処理及び収集処理に支障が生じることを回避することができる。上記した処理では、解析リソース及び収集リソースの両方が逼迫している場合には、解析リソースの逼迫した状態を解消した後に収集リソースの逼迫した状態が解消されるように構成されているが、両方の逼迫した状態を並行して解消されるように構成されていてもよい。
【0079】
解析リソースに、解析処理を実行する演算素子の演算時間、解析処理を実行するときに使用されるメモリ容量、及び、タスクの実行順序の少なくともいずれか1つを含めることにより、複数の固定センサのそれぞれから送信されるセンサデータを適切に解析でき、解析時に支障が生じることを回避できる。収集リソースに、センサデータの受信時に使用されるバッファ容量、及び、通信プロトコルのリソースの少なくともいずれか一方を含めることにより、複数の固定センサのそれぞれから送信されるセンサデータを適切に収集でき、収集時に支障が生じることを回避できる。
【0080】
上記の表1は、優先度の判定基準の一例であり、これに限定されない。検出対象を検出している状態のインフラセンサの優先度を高くし、検出対象を検出していない状態のインフラセンサの優先度を低く設定すればよい。それに加えて、現在検出対象を検出していないインフラセンサであっても、近い将来に検出対象を検出することが予想されるインフラセンサに関しては、優先度を高くしてもよい。そのためには、例えば、検出対象の移動情報(方向、移動速度等)を考慮して、インフラセンサの優先度を決定してもよい。また、検出された検出対象の数を考慮して、インフラセンサの優先度を決定してもよい。例えば、より多くの検出対象を検出しているインフラセンサの優先度をより高く設定してもよい。
【0081】
優先度の区分数は、高、中、低の3レベルに限定されない。4レベル以上に区分しても、2レベルに区分してもよい。例えば、表1であれば、No.1の条件を満たす場合とNo.2の条件を満たす場合とを別の優先度にし、No.1の条件を満たす場合に、No.2の条件を満たす場合よりもより高い優先度を設定してもよい。
【0082】
(第1変形例)
上記では、リソースが逼迫するときにリソースを調整する場合を説明したが、第1変形例では、リソースの逼迫を判定することなくリソースを調整する。
【0083】
第1変形例に係る情報解析システムの構成は、
図1~5と同じである。機能に関しては、
図8のように構成される。
図8は、
図6の構成において、リソース逼迫度判定部190が削除され、リソース調整部194が、リソース調整部194aに代替された構成である。
図6のリソース調整部194は、リソースの逼迫の判定結果に応じて、リソースの調整を行なったが、
図8のリソース調整部194aは常にリソースの調整を行なう。
【0084】
図9を参照して、第1変形例に係る情報解析システムのサーバ104の処理を説明する。
図9は、
図7のフローチャートにおいて、ステップ308、ステップ314及びステップ316を削除し、ステップ312に続いてステップ318を実行するように変更されたフローチャートである。
図9において、
図7と同じ番号が付されたステップの処理は
図7と同じであるので、重複説明を繰返さない。
図9に示した処理は、制御部120が、所定のプログラムをメモリ122から読出して実行することにより実現される。
【0085】
ステップ300~306により、制御部120は、センサデータを受信すると、受信したセンサデータを解析し、運転支援情報を生成し、車載装置に送信する。その後、制御部120は、ステップ310において、上記したように所定の判定基準にしたがって各インフラセンサの優先度を判定した後、ステップ312において、上記したようにステップ310で各インフラセンサに設定された優先度に応じて、解析リソースを調整する。その後、ステップ318において、制御部120は、上記したようにステップ310で各インフラセンサに設定された優先度に応じて、収集リソースを調整する。その後、ステップ320により終了する指示を受けたと判定されるまで、ステップ300~318の処理が繰返される。
【0086】
以上により、第1変形例に係る情報解析システムのサーバ104は、例えば、一定の時間間隔で、インフラセンサの優先度を決定し、その結果に応じて、解析リソース及び収集リソースを調整するので、解析リソース及び収集リソースの逼迫を回避できる。したがって、センサデータの解析処理及び収集処理に支障が生じることを回避できる。
【0087】
(第2変形例)
車載センサの検知範囲は、車両の移動に伴って移動するので、インフラセンサの検知範囲と重なる状態が生じる。例えば、
図2において、車両114の車載センサの検知範囲116と、インフラセンサ102hの検知範囲112hとが重なっている(1点鎖線の楕円参照)。そのような場合に、インフラセンサから送信されるセンサデータと、車載装置から送信されるセンサデータとを共に解析しても、同じ又は類似する解析結果が得られることが予想される。したがって、リソースを無駄に使用していると言え、リソースが逼迫する1つの原因になるとも言える。第2変形例では、これに対応するために、複数のセンサの検知範囲の重複を考慮して、リソースを調整する。
【0088】
第2変形例に係る情報解析システムの構成は、
図1~5と同じである。機能に関しては、
図10のように構成される。
図10は、
図6の構成からリソース逼迫度判定部190が削除され、リソース調整部194がリソース調整部194bに代替され、検知範囲重複判定部196が追加された構成である。
図10は、
図8の構成において、リソース調整部194aがリソース調整部194bに代替され、検知範囲重複判定部196が追加された構成でもある。
図6のリソース調整部194は、リソースの逼迫の判定結果に応じて、リソースの調整を行なったが、
図10のリソース調整部194bは、検知範囲重複判定部196の判定結果を考慮して、常にリソースの調整を行なう。
【0089】
検知範囲重複判定部196には、パケット受信部180により受信されたデータが入力される。受信データは、センサデータ及びそのセンサデータの送信元に関する情報が含まれる。インフラセンサから送信されたデータであれば、送信元に関する情報は、例えば、ID、又は、センサの検知範囲を特定するための情報としてセンサの設置位置(2次元位置座標及び高さ)、センサの向き、視野角等を含む。上記したように、サーバ104が、各インフラセンサの検知範囲の情報を記憶していれば、インフラセンサのIDを受信すれば、該当する検知範囲を特定できる。サーバ104が、各インフラセンサの検知範囲の情報を記憶していなければ、サーバ104は、インフラセンサから受信したセンサの検知範囲を特定するための情報から、該当する検知範囲を特定する。車載装置から送信されたデータであれば、送信元に関する情報は、例えば、センサの検知範囲を特定するための情報として車両の2次元位置座標、走行方向、走行方向に対するセンサの向き、視野角等を含む。サーバ104は、車載装置から受信したセンサの検知範囲を特定するための情報から、該当する検知範囲を特定する。
【0090】
検知範囲重複判定部196は、入力されるデータを用いて特定された各IDに対応するセンサ(インフラセンサ又は車載センサ)の検知範囲に関して、インフラセンサの検知範囲と車載センサの検知範囲とが重複するか否かを判定する。検知範囲重複判定部196は、判定結果をリソース調整部194bに出力する。例えば、検知範囲が、一定以上の面積で重複しているインフラセンサのIDと車載センサ(車載装置)のIDとが、リソース調整部194bに入力される。但し、重複があっても、狭小な重複であれば重複していないと判定してもよい。例えば、重複があってもインフラセンサ及び車載センサの各々の重複していない検出範囲で動的物体が検知可能な場合、又は、インフラセンサ及び車載センサの各々の単独の検出範囲のうち重複範囲の占める割合が所定割合(例えば1%)未満の場合等には、重複していないと判定してもよい。
【0091】
リソース調整部194bは、リソース調整部194と同様に、各インフラセンサに設定された優先度に応じて、解析リソース及び収集リソースの調整を行なうことに加えて、検知範囲重複判定部196の判定結果を考慮して、解析リソース及び収集リソースの調整を行なう。例えば、リソース調整部194bは、検知範囲重複判定部196から入力される車載装置のID(インフラセンサと検知範囲が重複)に対応するセンサデータを解析するタスクに対しては、検知範囲重複判定部196から入力されるインフラセンサのIDに対応するセンサデータを解析するタスクよりも、割当てる解析リソースを少なくする。これにより、検知範囲重複判定部196から入力される車載装置のIDに対応するセンサデータは、例えば、粗く解析される。リソース調整部194bは、検知範囲重複判定部196から入力される車載装置のID(インフラセンサと検知範囲が重複)に対応するセンサデータを解析するタスクに対しては、解析リソースを割当てない、即ち解析処理を実行しないようにしてもよい。
【0092】
また、リソース調整部194bは、検知範囲重複判定部196から入力される車載装置のIDに対応するセンサデータを受信するプロセスに対しては、検知範囲重複判定部196から入力されるインフラセンサのIDに対応するセンサデータを受信するプロセスよりも、割当てる収集リソースを少なくする。これにより、検知範囲重複判定部196から入力される車載装置のIDに対応するセンサデータは、受信されて解析処理部184に入力されるデータ量がより少なくなる。リソース調整部194bは、検知範囲重複判定部196から入力される車載装置のIDに対応するセンサデータを受信するプロセスに対しては、収集リソースを割当てない、即ち受信しないようにしてもよい。
【0093】
また、リソース調整部194bは、検知範囲重複判定部196から入力される車載装置のIDに対応する車載装置に対して、より制限されたアップロード条件を送信してもよい。例えば、リソース調整部194bは、センサデータの送信周期を長くする指示、車載センサの解像度を下げる指示等を送信する。
【0094】
これにより、車載センサよりも固定センサのセンサデータを優先的に収集及び解析でき、不要なセンサデータの収集及び解析を抑制できる。通常、インフラセンサの性能は車載センサの性能よりも高いので、リソース調整部194bが、上記のようにリソースを調整することにより、より精度の高いセンサデータを優先的に受信し、優先的に解析することができ、より高精度の運転支援情報を生成できる。
【0095】
図11を参照して、第2変形例に係る情報解析システムのサーバ104の処理を説明する。
図11は、
図9のフローチャートにおいて、ステップ330~334が追加されたフローチャートである。
図11において、
図9と同じ番号が付されたステップの処理は
図9と同じであるので、重複説明を繰返さない。
図11に示した処理は、制御部120が、所定のプログラムをメモリ122から読出して実行することにより実現される。
【0096】
ステップ300~306により、制御部120は、センサデータを受信すると、受信したセンサデータを解析し、運転支援情報を生成し、車載装置に送信する。その後、制御部120は、ステップ310において、上記したように、所定の判定基準にしたがって各インフラセンサの優先度を判定した後、ステップ330において、複数のセンサの検知範囲が重複しているか否かを判定する。具体的には、検知範囲重複判定部196により、上記したように、インフラセンサの検知範囲と車載センサの検知範囲とが重複するか否かが判定される。重複していないと判定された場合、制御はステップ312に移行する。そうでなければ(重複している)、重複するインフラセンサのIDと、車載センサ(車載装置)のIDとが特定された後、制御はステップ332に移行する。
【0097】
センサの検知範囲が重複していなければ、制御部120は、ステップ312において、上記したようにステップ310で設定された優先度に応じて、解析リソースを調整し、ステップ318において、上記したようにステップ310で設定された優先度に応じて、収集リソースを調整する。
【0098】
一方、センサの検知範囲が重複していれば、ステップ332において、制御部120は、上記したようにステップ310での判定結果の優先度に応じて解析リソースを調整する処理を行ない、それに加えて、ステップ330で重複すると判定されたインフラセンサ及び車載センサ(車載装置)に関して、解析リソースの調整を行なう。具体的には、リソース調整部194bにより、上記したように解析リソースが調整される。
【0099】
ステップ334において、制御部120は、上記したようにステップ310での判定結果の優先度に応じて収集リソースを調整する処理を行ない、それに加えて、ステップ330で重複すると判定されたインフラセンサ及び車載センサ(車載装置)に関して、収集リソースの調整を行なう。具体的には、リソース調整部194bにより、上記したように収集リソースが調整される。
【0100】
その後、ステップ320により終了する指示を受けたと判定されるまで、制御はステップ300に戻り、ステップ300以降の処理が繰返される。
【0101】
以上により、第2変形例に係る情報解析システムでは、例えば、一定の時間間隔で、インフラセンサの優先度を決定し、その結果に応じて、解析リソース及び収集リソースを調整することに加えて、インフラセンサと車載センサとの検知範囲の重複を考慮して解析リソース及び収集リソースを調整するので、解析リソース及び収集リソースの逼迫をより確実に回避できる。したがって、センサデータの解析処理及び収集処理に支障が生じることをより確実に回避できる。
【0102】
上記の第2変形例では、検知範囲が重複した場合に、インフラセンサのセンサデータを車載センサのセンサデータよりも優先する場合を説明したがこれに限定されない。車載センサによっては、インフラセンサよりも高性能であるものもある。したがって、一律にインフラセンサのセンサデータを優先的に扱う(車載センサのセンサデータを受信及び解析する処理に、より少ないリソースを割当てる)ことが適切でない場合もあり得る。したがって、例えば、インフラセンサの性能を予めサーバ104が記憶しておき、車載センサの性能を特定するための情報を車載装置から送信するようにし、サーバ104が、受信した車載センサの性能とインフラセンサの性能とを比較して、より性能が低いセンサにより得られるセンサデータの処理(受信及び解析)に対して、より少ないリソースを割当てるようにすればよい。これにより、車載センサ及び固定センサのうちより高性能なセンサのセンサデータを優先的に収集及び解析できるので、より高精度の運転支援情報を生成でき、不要なセンサデータの収集及び解析を抑制できる。
【0103】
上記では、解析リソース及び収集リソースの両方を調整する場合を説明したが、これに限定されない。いずれか一方のリソースのみを調整してもよい。
【0104】
上記では、複数のインフラセンサのそれぞれに設定された優先度に応じて、リソースを調整する場合を説明したがこれに限定されない。車載装置からも車載センサによるセンサデータが送信されるので、車載装置を、インフラセンサと同様に優先度判定の対象(リソース調整の対象)としてもよい。車両は移動するので、例えば、優先度判定の対象である複数のインフラセンサが設置されている領域に存在する車載装置、又は、優先度判定の対象である複数のインフラセンサの全ての検知範囲に存在する車載装置を、インフラセンサと同様に優先度判定の対象とし、決定された優先度に応じて、車載センサのセンサデータの収集及び解析に割当てるリソースを調整してもよい。
【0105】
以上、実施の形態を説明することにより本発明を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本発明は上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0106】
100 情報解析システム
102a、102b、102c、102d、102e、102f、102g、102h インフラセンサ
104 サーバ
106 ネットワーク
108 基地局
110、114 車両
112b、112c、112d、112h、116 検知範囲
120、150、168 制御部
122、148、166 メモリ
124、146、164 通信部
126、152、170 バス
140 車載装置
142 センサ
144、162 I/F部
160 センサ部
180 パケット受信部
182 パケット送信部
184 解析処理部
186 運転支援情報生成部
188 リソース管理部
190 リソース逼迫度判定部
192 優先度判定部
194、194a、194b リソース調整部
196 検知範囲重複判定部
900 歩行者