(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】遮断器状態診断装置、遮断器状態診断システム、遮断器状態診断方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H01H 33/00 20060101AFI20230711BHJP
H01H 9/54 20060101ALI20230711BHJP
G01R 31/333 20060101ALI20230711BHJP
H01H 33/59 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H01H33/00 A
H01H9/54 C
G01R31/333 E
H01H33/59 K
(21)【出願番号】P 2019015381
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2021-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】武井 明久
(72)【発明者】
【氏名】勅使川原 俊和
(72)【発明者】
【氏名】杉村 拓也
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-308751(JP,A)
【文献】特開2010-178475(JP,A)
【文献】特開2001-135205(JP,A)
【文献】特開平06-260062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/30 - 9/56
H01H 33/00 - 33/59
G01R 31/333
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮断器の投入コイルと開放コイルとに流れる電流である指令電流を検出する指令電流検出部と、
前記遮断器の主接点と連動して開閉する補助開閉
器接点間に印加されている電圧に基づいて、前記主接点の開閉状態の変化を検出する開閉状態検出部と、
前記指令電流検出部が前記指令電流を検出してから、前記開閉状態検出部が前記主接点
と連動して開閉する補助開閉器接点の開閉状態の変化を検出するまでの時間を測定する時間測定部と、
前記時間測定部が測定した時間に基づいて、前記遮断器の状態を判定する判定部と、
を備え
、
前記補助開閉器は、前記主接点が開放状態の場合には開であり、前記主接点が投入状態の場合には閉である常開接点と、前記主接点が開放状態の場合には閉であり、前記主接点が投入状態の場合には開である常閉接点とを含み、
前記時間測定部は、前記指令電流検出部によって前記投入コイルに流れる電流である指令電流が検出された日時から、前記開閉状態検出部によって前記常開接点が開から閉へ変化したことが検出された日時までの投入指令常開接点応答時間または開放指令常開接点応答時間を計測し、前記指令電流検出部によって前記開放コイルに流れる電流である指令電流が検出された日時から、前記開閉状態検出部によって前記常閉接点が閉から開へ変化したことが検出された日時までの投入指令常閉接点応答時間または開放指令常閉接点応答時間を計測し、
前記判定部は、予め設定されている投入指令常開接点応答時間閾値と、投入指令常閉接点応答時間閾値とに基づいて、前記投入指令常開接点応答時間が前記投入指令常開接点応答時間閾値未満であり、且つ前記投入指令常閉接点応答時間が前記投入指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、前記遮断器が正常であると判定し、前記投入指令常開接点応答時間が前記投入指令常開接点応答時間閾値以上、又は前記投入指令常閉接点応答時間が前記投入指令常閉接点応答時間閾値以上である場合に、前記遮断器が異常であると判定し、予め設定されている開放指令常開接点応答時間閾値と、開放指令常閉接点応答時間閾値とに基づいて、前記開放指令常開接点応答時間が前記開放指令常開接点応答時間閾値未満であり、且つ前記開放指令常閉接点応答時間が前記開放指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、前記遮断器が正常であると判定し、前記開放指令常開接点応答時間が前記開放指令常開接点応答時間閾値以上、又は前記開放指令常閉接点応答時間が前記開放指令常閉接点応答時間閾値以上である場合に、前記遮断器が異常であると判定する遮断器状態診断装置。
【請求項2】
遮断器の投入コイルと開放コイルとに流れる電流からノイズを除去する処理を行うノイズ除去部と、
前記遮断器の主接点
と連動して開閉する補助開閉器接点間に印加されている電圧からチャタリングを除去する処理を行うチャタリング除去部と
を備え、
前記指令電流検出部は、前記ノイズ除去部が前記ノイズを除去する処理を行った電流である指令電流を検出し、
前記開閉状態検出部は、前記チャタリング除去部が前記チャタリングを除去する処理を行った電圧に基づいて、前記主接点
と連動して開閉する前記補助開閉器接点の開閉状態の変化を検出する、請求項1に記載の遮断器状態診断装置。
【請求項3】
前記チャタリング除去部は、前記主接点と機械的にリンクした常開接点と常閉接点とのいずれか一方又は両方に印加されている電圧からチャタリングを除去する処理を行い、
前記開閉状態検出部は、前記チャタリング除去部が前記チャタリングを除去する処理を行った前記常開接点と前記常閉接点とのいずれか一方又は両方に印加されている電圧に基づいて、前記主接点の開閉状態の変化を検出する、請求項2に記載の遮断器状態診断装置。
【請求項4】
前記開閉状態検出部は、前記常開接点が開と閉との間で変化したことによって生じる電圧の変化と、前記常閉接点が閉と開との間で変化したことによって生じる電圧の変化とのいずれか一方又は両方に基づいて、前記主接点の開閉状態の変化を検出する、請求項3に記載の遮断器状態診断装置。
【請求項5】
前記判定部の判定結果に基づいて、前記遮断器の点検時期を導出する導出部
を備える、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の遮断器状態診断装置。
【請求項6】
遮断器の投入コイルと開放コイルとに流れる電流である指令電流を検出する指令電流検出部と、
前記遮断器の主接点と連動して開閉する補助開閉
器接点間に印加されている電圧に基づいて、前記主接点の開閉状態の変化を検出する開閉状態検出部と、
前記指令電流検出部が前記指令電流を検出してから、前記開閉状態検出部が前記主接点
と連動して開閉する補助開閉器接点の開閉状態の変化を検出するまでの時間を測定する時間測定部と、
前記時間測定部が測定した時間に基づいて、前記遮断器の状態を判定する判定部と、
を備え
、
前記補助開閉器は、前記主接点が開放状態の場合には開であり、前記主接点が投入状態の場合には閉である常開接点と、前記主接点が開放状態の場合には閉であり、前記主接点が投入状態の場合には開である常閉接点とを含み、
前記時間測定部は、前記指令電流検出部によって前記投入コイルに流れる電流である指令電流が検出された日時から、前記開閉状態検出部によって前記常開接点が開から閉へ変化したことが検出された日時までの投入指令常開接点応答時間または開放指令常開接点応答時間を計測し、前記指令電流検出部によって前記開放コイルに流れる電流である指令電流が検出された日時から、前記開閉状態検出部によって前記常閉接点が閉から開へ変化したことが検出された日時までの投入指令常閉接点応答時間または開放指令常閉接点応答時間を計測し、
前記判定部は、予め設定されている投入指令常開接点応答時間閾値と、投入指令常閉接点応答時間閾値とに基づいて、前記投入指令常開接点応答時間が前記投入指令常開接点応答時間閾値未満であり、且つ前記投入指令常閉接点応答時間が前記投入指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、前記遮断器が正常であると判定し、前記投入指令常開接点応答時間が前記投入指令常開接点応答時間閾値以上、又は前記投入指令常閉接点応答時間が前記投入指令常閉接点応答時間閾値以上である場合に、前記遮断器が異常であると判定し、予め設定されている開放指令常開接点応答時間閾値と、開放指令常閉接点応答時間閾値とに基づいて、前記開放指令常開接点応答時間が前記開放指令常開接点応答時間閾値未満であり、且つ前記開放指令常閉接点応答時間が前記開放指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、前記遮断器が正常であると判定し、前記開放指令常開接点応答時間が前記開放指令常開接点応答時間閾値以上、又は前記開放指令常閉接点応答時間が前記開放指令常閉接点応答時間閾値以上である場合に、前記遮断器が異常であると判定する、遮断器状態診断システム。
【請求項7】
遮断器状態診断装置が実行する遮断器状態診断方法であって、
遮断器の投入コイルと開放コイルとに流れる電流である指令電流を検出するステップと、
前記遮断器の主接点と連動して開閉する補助開閉
器接点間に印加されている電圧に基づいて、前記主接点の開閉状態の変化を検出するステップと、
前記指令電流を検出するステップで、前記指令電流を検出してから、前記開閉状態を検出するステップで、前記主接点
と連動して開閉する補助開閉器接点の開閉状態の変化を検出するまでの時間を測定するステップと、
前記時間を測定するステップで測定した時間に基づいて、前記遮断器の状態を判定するステップと
を有
し、
前記補助開閉器は、前記主接点が開放状態の場合には開であり、前記主接点が投入状態の場合には閉である常開接点と、前記主接点が開放状態の場合には閉であり、前記主接点が投入状態の場合には開である常閉接点とを含み、
前記時間を測定するステップでは、前記指令電流を検出するステップによって前記投入コイルに流れる電流である指令電流が検出された日時から、前記開閉状態の変化を検出するステップによって前記常開接点が開から閉へ変化したことが検出された日時までの投入指令常開接点応答時間または開放指令常開接点応答時間を計測し、前記指令電流を検出するステップによって前記開放コイルに流れる電流である指令電流が検出された日時から、前記開閉状態の変化を検出するステップによって前記常閉接点が閉から開へ変化したことが検出された日時までの投入指令常閉接点応答時間または開放指令常閉接点応答時間を計測し、
前記判定するステップでは、予め設定されている投入指令常開接点応答時間閾値と、投入指令常閉接点応答時間閾値とに基づいて、前記投入指令常開接点応答時間が前記投入指令常開接点応答時間閾値未満であり、且つ前記投入指令常閉接点応答時間が前記投入指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、前記遮断器が正常であると判定し、前記投入指令常開接点応答時間が前記投入指令常開接点応答時間閾値以上、又は前記投入指令常閉接点応答時間が前記投入指令常閉接点応答時間閾値以上である場合に、前記遮断器が異常であると判定し、予め設定されている開放指令常開接点応答時間閾値と、開放指令常閉接点応答時間閾値とに基づいて、前記開放指令常開接点応答時間が前記開放指令常開接点応答時間閾値未満であり、且つ前記開放指令常閉接点応答時間が前記開放指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、前記遮断器が正常であると判定し、前記開放指令常開接点応答時間が前記開放指令常開接点応答時間閾値以上、又は前記開放指令常閉接点応答時間が前記開放指令常閉接点応答時間閾値以上である場合に、前記遮断器が異常であると判定する、遮断器状態診断方法。
【請求項8】
コンピュータに、
遮断器の投入コイルと開放コイルとに流れる電流である指令電流を検出するステップと、
前記遮断器の主接点と連動して開閉する補助開閉
器接点間に印加されている電圧に基づいて、前記主接点の開閉状態の変化を検出するステップと、
前記指令電流を検出するステップで、前記指令電流を検出してから、前記開閉状態を検出するステップで、前記主接点
と連動して開閉する補助開閉器接点の開閉状態の変化を検出するまでの時間を測定するステップと、
前記時間を測定するステップで測定した時間に基づいて、前記遮断器の状態を判定するステップと
を実行させ
、
前記補助開閉器は、前記主接点が開放状態の場合には開であり、前記主接点が投入状態の場合には閉である常開接点と、前記主接点が開放状態の場合には閉であり、前記主接点が投入状態の場合には開である常閉接点とを含み、
前記コンピュータに、
前記時間を測定するステップでは、前記指令電流を検出するステップによって前記投入コイルに流れる電流である指令電流が検出された日時から、前記開閉状態の変化を検出するステップによって前記常開接点が開から閉へ変化したことが検出された日時までの投入指令常開接点応答時間または開放指令常開接点応答時間を計測させ、前記指令電流を検出するステップによって前記開放コイルに流れる電流である指令電流が検出された日時から、前記開閉状態の変化を検出するステップによって前記常閉接点が閉から開へ変化したことが検出された日時までの投入指令常閉接点応答時間または開放指令常閉接点応答時間を計測させ、
前記判定するステップでは、予め設定されている投入指令常開接点応答時間閾値と、投入指令常閉接点応答時間閾値とに基づいて、前記投入指令常開接点応答時間が前記投入指令常開接点応答時間閾値未満であり、且つ前記投入指令常閉接点応答時間が前記投入指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、前記遮断器が正常であると判定させ、前記投入指令常開接点応答時間が前記投入指令常開接点応答時間閾値以上、又は前記投入指令常閉接点応答時間が前記投入指令常閉接点応答時間閾値以上である場合に、前記遮断器が異常であると判定させ、予め設定されている開放指令常開接点応答時間閾値と、開放指令常閉接点応答時間閾値とに基づいて、前記開放指令常開接点応答時間が前記開放指令常開接点応答時間閾値未満であり、且つ前記開放指令常閉接点応答時間が前記開放指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、前記遮断器が正常であると判定させ、前記開放指令常開接点応答時間が前記開放指令常開接点応答時間閾値以上、又は前記開放指令常閉接点応答時間が前記開放指令常閉接点応答時間閾値以上である場合に、前記遮断器が異常であると判定させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、遮断器状態診断装置、遮断器状態診断システム、遮断器状態診断方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電所、変電所、開閉所などの電気所には、送電線や変圧器に流れる電流を開閉するための遮断器が設けられている。遮断器は、油圧やばねなどの動力を用いて、特別高圧や高圧の電気回路を開閉するための主接点を駆動している。
遮断器の性能を維持するために、定期的に機能確認のための点検と、機能回復のための点検とが行われている。
機能確認のための点検では、遮断器の主接点を開閉した場合の動作速度の測定と、管理とが行われる。これらは、遮断器の機能を維持するうえで非常に重要である。
動作速度を測定する方法として、主接点の駆動部に直接センサを取り付けて、直接動作速度を測定し、管理する方法がある。動作速度の測定結果から、遮断器の経年による機能低下を把握でき、機能回復のための適切な点検時期を設定することができる。
また、主接点の駆動ストロークは予め決まっているため、駆動時間を測定し管理することで、間接的に動作速度を管理する方法がある。駆動時間を測定する方法の一例として、投入もしくは開放するための操作指令を検出した場合に計時を開始し、主接点の開閉状態が変化(入りまたは切)した場合に計時を終了する方法がある。
【0003】
また、状態表示用の補助開閉器が駆動軸に機械的にリンクされている場合には、投入もしくは開放するための操作指令を検出した場合に計時を開始し、補助開閉器の常開接点(a接点)又は常閉接点(b接点)の接点状態が反転した場合に、計時を終了することで駆動時間を測定する。
遮断器を監視する技術に関して、複数の遮断器を精度良く監視する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術は、投入指令に応じて閉じるとともに引外し指令に応じて開く主接点と、主接点の開閉動作に連動して開閉する補助接点と、をそれぞれが有する複数の遮断器のための遮断器監視装置において、複数の遮断器それぞれの補助接点の入口端に電圧を常時印加する電源回路と、複数の遮断器それぞれの補助接点の出口端の電圧を監視し、複数の遮断器のうち、補助接点の出口端の電圧が所定の変化をする遮断器を動作している遮断器として特定する監視装置と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
仮に、駆動時間を測定し管理することで、間接的に動作速度を管理する方法を採用する場合には、点検では、可搬型の測定器を、点検対象の遮断器に取り付けて、その遮断器を動作させて、駆動時間を測定する。点検では、駆動時間の測定結果に基づいて、機能確認を行うため、手間がかかる。
【0006】
本発明は、前述した点に鑑みてなされたものであり、その目的は、遮断器の状態を容易に診断できる遮断器状態診断装置、遮断器状態診断システム、遮断器状態診断方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、遮断器の投入コイルと開放コイルとに流れる電流である指令電流を検出する指令電流検出部と、前記遮断器の主接点と連動して開閉する補助開閉器接点間に印加されている電圧に基づいて、前記主接点の開閉状態の変化を検出する開閉状態検出部と、前記指令電流検出部が前記指令電流を検出してから、前記開閉状態検出部が前記主接点と連動して開閉する補助開閉器接点の開閉状態の変化を検出するまでの時間を測定する時間測定部と、前記時間測定部が測定した時間に基づいて、前記遮断器の状態を判定する判定部と、を備え、前記補助開閉器は、前記主接点が開放状態の場合には開であり、前記主接点が投入状態の場合には閉である常開接点と、前記主接点が開放状態の場合には閉であり、前記主接点が投入状態の場合には開である常閉接点とを含み、前記時間測定部は、前記指令電流検出部によって前記投入コイルに流れる電流である指令電流が検出された日時から、前記開閉状態検出部によって前記常開接点が開から閉へ変化したことが検出された日時までの投入指令常開接点応答時間または開放指令常開接点応答時間を計測し、前記指令電流検出部によって前記開放コイルに流れる電流である指令電流が検出された日時から、前記開閉状態検出部によって前記常閉接点が閉から開へ変化したことが検出された日時までの投入指令常閉接点応答時間または開放指令常閉接点応答時間を計測し、前記判定部は、予め設定されている投入指令常開接点応答時間閾値と、投入指令常閉接点応答時間閾値とに基づいて、前記投入指令常開接点応答時間が前記投入指令常開接点応答時間閾値未満であり、且つ前記投入指令常閉接点応答時間が前記投入指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、前記遮断器が正常であると判定し、前記投入指令常開接点応答時間が前記投入指令常開接点応答時間閾値以上、又は前記投入指令常閉接点応答時間が前記投入指令常閉接点応答時間閾値以上である場合に、前記遮断器が異常であると判定し、予め設定されている開放指令常開接点応答時間閾値と、開放指令常閉接点応答時間閾値とに基づいて、前記開放指令常開接点応答時間が前記開放指令常開接点応答時間閾値未満であり、且つ前記開放指令常閉接点応答時間が前記開放指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、前記遮断器が正常であると判定し、前記開放指令常開接点応答時間が前記開放指令常開接点応答時間閾値以上、又は前記開放指令常閉接点応答時間が前記開放指令常閉接点応答時間閾値以上である場合に、前記遮断器が異常であると判定する遮断器状態診断装置である。
本発明の一態様の遮断器状態診断装置において、遮断器の投入コイルと開放コイルとに流れる電流からノイズを除去する処理を行うノイズ除去部と、前記遮断器の主接点と連動して開閉する補助開閉器接点間に印加されている電圧からチャタリングを除去する処理を行うチャタリング除去部とを備え、前記指令電流検出部は、前記ノイズ除去部が前記ノイズを除去する処理を行った電流である指令電流を検出し、前記開閉状態検出部は、前記チャタリング除去部が前記チャタリングを除去する処理を行った電圧に基づいて、前記主接点と連動して開閉する前記補助開閉器接点の開閉状態の変化を検出する。
本発明の一態様の遮断器状態診断装置において、前記チャタリング除去部は、前記主接点と機械的にリンクした常開接点と常閉接点とのいずれか一方又は両方に印加されている電圧からチャタリングを除去する処理を行い、前記開閉状態検出部は、前記チャタリング除去部が前記チャタリングを除去する処理を行った前記常開接点と前記常閉接点とのいずれか一方又は両方に印加されている電圧に基づいて、前記主接点の開閉状態の変化を検出する。
本発明の一態様の遮断器状態診断装置において、前記開閉状態検出部は、前記常開接点が開と閉との間で変化したことによって生じる電圧の変化と、前記常閉接点が閉と開との間で変化したことによって生じる電圧の変化とのいずれか一方又は両方に基づいて、前記主接点の開閉状態の変化を検出する。
本発明の一態様の遮断器状態診断装置において、前記判定部の判定結果に基づいて、前記遮断器の点検時期を導出する導出部を備える。
【0008】
本発明の一態様は、遮断器の投入コイルと開放コイルとに流れる電流である指令電流を検出する指令電流検出部と、前記遮断器の主接点と連動して開閉する補助開閉器接点間に印加されている電圧に基づいて、前記主接点の開閉状態の変化を検出する開閉状態検出部と、前記指令電流検出部が前記指令電流を検出してから、前記開閉状態検出部が前記主接点と連動して開閉する補助開閉器接点の開閉状態の変化を検出するまでの時間を測定する時間測定部と、前記時間測定部が測定した時間に基づいて、前記遮断器の状態を判定する判定部と、を備え、前記補助開閉器は、前記主接点が開放状態の場合には開であり、前記主接点が投入状態の場合には閉である常開接点と、前記主接点が開放状態の場合には閉であり、前記主接点が投入状態の場合には開である常閉接点とを含み、前記時間測定部は、前記指令電流検出部によって前記投入コイルに流れる電流である指令電流が検出された日時から、前記開閉状態検出部によって前記常開接点が開から閉へ変化したことが検出された日時までの投入指令常開接点応答時間または開放指令常開接点応答時間を計測し、前記指令電流検出部によって前記開放コイルに流れる電流である指令電流が検出された日時から、前記開閉状態検出部によって前記常閉接点が閉から開へ変化したことが検出された日時までの投入指令常閉接点応答時間または開放指令常閉接点応答時間を計測し、前記判定部は、予め設定されている投入指令常開接点応答時間閾値と、投入指令常閉接点応答時間閾値とに基づいて、前記投入指令常開接点応答時間が前記投入指令常開接点応答時間閾値未満であり、且つ前記投入指令常閉接点応答時間が前記投入指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、前記遮断器が正常であると判定し、前記投入指令常開接点応答時間が前記投入指令常開接点応答時間閾値以上、又は前記投入指令常閉接点応答時間が前記投入指令常閉接点応答時間閾値以上である場合に、前記遮断器が異常であると判定し、予め設定されている開放指令常開接点応答時間閾値と、開放指令常閉接点応答時間閾値とに基づいて、前記開放指令常開接点応答時間が前記開放指令常開接点応答時間閾値未満であり、且つ前記開放指令常閉接点応答時間が前記開放指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、前記遮断器が正常であると判定し、前記開放指令常開接点応答時間が前記開放指令常開接点応答時間閾値以上、又は前記開放指令常閉接点応答時間が前記開放指令常閉接点応答時間閾値以上である場合に、前記遮断器が異常であると判定する、遮断器状態診断システムである。
【0009】
本発明の一態様は、遮断器状態診断装置が実行する遮断器状態診断方法であって、遮断器の投入コイルと開放コイルとに流れる電流である指令電流を検出するステップと、前記遮断器の主接点と連動して開閉する補助開閉器接点間に印加されている電圧に基づいて、前記主接点の開閉状態の変化を検出するステップと、前記指令電流を検出するステップで、前記指令電流を検出してから、前記開閉状態を検出するステップで、前記主接点と連動して開閉する補助開閉器接点の開閉状態の変化を検出するまでの時間を測定するステップと、前記時間を測定するステップで測定した時間に基づいて、前記遮断器の状態を判定するステップとを有し、前記補助開閉器は、前記主接点が開放状態の場合には開であり、前記主接点が投入状態の場合には閉である常開接点と、前記主接点が開放状態の場合には閉であり、前記主接点が投入状態の場合には開である常閉接点とを含み、前記時間を測定するステップでは、前記指令電流を検出するステップによって前記投入コイルに流れる電流である指令電流が検出された日時から、前記開閉状態の変化を検出するステップによって前記常開接点が開から閉へ変化したことが検出された日時までの投入指令常開接点応答時間または開放指令常開接点応答時間を計測し、前記指令電流を検出するステップによって前記開放コイルに流れる電流である指令電流が検出された日時から、前記開閉状態の変化を検出するステップによって前記常閉接点が閉から開へ変化したことが検出された日時までの投入指令常閉接点応答時間または開放指令常閉接点応答時間を計測し、前記判定するステップでは、予め設定されている投入指令常開接点応答時間閾値と、投入指令常閉接点応答時間閾値とに基づいて、前記投入指令常開接点応答時間が前記投入指令常開接点応答時間閾値未満であり、且つ前記投入指令常閉接点応答時間が前記投入指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、前記遮断器が正常であると判定し、前記投入指令常開接点応答時間が前記投入指令常開接点応答時間閾値以上、又は前記投入指令常閉接点応答時間が前記投入指令常閉接点応答時間閾値以上である場合に、前記遮断器が異常であると判定し、予め設定されている開放指令常開接点応答時間閾値と、開放指令常閉接点応答時間閾値とに基づいて、前記開放指令常開接点応答時間が前記開放指令常開接点応答時間閾値未満であり、且つ前記開放指令常閉接点応答時間が前記開放指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、前記遮断器が正常であると判定し、前記開放指令常開接点応答時間が前記開放指令常開接点応答時間閾値以上、又は前記開放指令常閉接点応答時間が前記開放指令常閉接点応答時間閾値以上である場合に、前記遮断器が異常であると判定する、遮断器状態診断方法である。
【0010】
本発明の一態様は、コンピュータに、遮断器の投入コイルと開放コイルとに流れる電流である指令電流を検出するステップと、前記遮断器の主接点と連動して開閉する補助開閉器接点間に印加されている電圧に基づいて、前記主接点の開閉状態の変化を検出するステップと、前記指令電流を検出するステップで、前記指令電流を検出してから、前記開閉状態を検出するステップで、前記主接点と連動して開閉する補助開閉器接点の開閉状態の変化を検出するまでの時間を測定するステップと、前記時間を測定するステップで測定した時間に基づいて、前記遮断器の状態を判定するステップとを実行させ、前記補助開閉器は、前記主接点が開放状態の場合には開であり、前記主接点が投入状態の場合には閉である常開接点と、前記主接点が開放状態の場合には閉であり、前記主接点が投入状態の場合には開である常閉接点とを含み、前記コンピュータに、前記時間を測定するステップでは、前記指令電流を検出するステップによって前記投入コイルに流れる電流である指令電流が検出された日時から、前記開閉状態の変化を検出するステップによって前記常開接点が開から閉へ変化したことが検出された日時までの投入指令常開接点応答時間または開放指令常開接点応答時間を計測させ、前記指令電流を検出するステップによって前記開放コイルに流れる電流である指令電流が検出された日時から、前記開閉状態の変化を検出するステップによって前記常閉接点が閉から開へ変化したことが検出された日時までの投入指令常閉接点応答時間または開放指令常閉接点応答時間を計測させ、前記判定するステップでは、予め設定されている投入指令常開接点応答時間閾値と、投入指令常閉接点応答時間閾値とに基づいて、前記投入指令常開接点応答時間が前記投入指令常開接点応答時間閾値未満であり、且つ前記投入指令常閉接点応答時間が前記投入指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、前記遮断器が正常であると判定させ、前記投入指令常開接点応答時間が前記投入指令常開接点応答時間閾値以上、又は前記投入指令常閉接点応答時間が前記投入指令常閉接点応答時間閾値以上である場合に、前記遮断器が異常であると判定させ、予め設定されている開放指令常開接点応答時間閾値と、開放指令常閉接点応答時間閾値とに基づいて、前記開放指令常開接点応答時間が前記開放指令常開接点応答時間閾値未満であり、且つ前記開放指令常閉接点応答時間が前記開放指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、前記遮断器が正常であると判定させ、前記開放指令常開接点応答時間が前記開放指令常開接点応答時間閾値以上、又は前記開放指令常閉接点応答時間が前記開放指令常閉接点応答時間閾値以上である場合に、前記遮断器が異常であると判定させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、遮断器の状態を容易に診断できる遮断器状態診断装置、遮断器状態診断システム、遮断器状態診断方法、およびプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態の遮断器状態診断装置が診断する遮断器の一例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態の遮断器状態診断装置の一例を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態の遮断器状態診断装置の動作の一例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態の遮断器状態診断装置の動作の一例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態の遮断器状態診断装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】第2の実施形態の遮断器状態診断システムが診断する遮断器の一例を示す図である。
【
図7】第2の実施形態の遮断器状態収集システムの一例を示すブロック図である。
【
図8】第2の実施形態の遮断器状態診断システムの一例を示す図である。
【
図9】第2の実施形態の遮断器状態診断システムの動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図10】第2の実施形態の遮断器状態診断システムの動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本実施形態の遮断器状態診断装置、遮断器状態診断システム、遮断器状態診断方法、およびプログラムを、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づいて」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づいて」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0014】
(第1の実施形態)
(遮断器状態診断装置)
本発明の第1の実施形態の遮断器状態診断装置を、図面を参照して説明する。第1の実施形態の遮断器状態診断装置は、遮断器の投入コイルと開放コイルとに流れる電流である指令電流を検出する。第1の実施形態の遮断器状態診断装置は、遮断器の主接点間に印加されている電圧に基づいて、主接点の開閉状態の変化を検出する。第1の実施形態の遮断器状態診断装置は、指令電流を検出してから、主接点の開閉状態の変化を検出するまでの時間を測定し、測定した時間に基づいて、遮断器の状態を判定する。ここで、遮断器について説明する。
【0015】
(遮断器)
図1は、第1の実施形態の遮断器状態診断装置が状態を診断する遮断器の一例を示す図である。本実施形態の遮断器状態診断装置100は、遮断器10に含まれる操作箱に常設される。遮断器10は、例えば発電所、変電所、開閉所などの電気所に設置されている。
遮断器10は、ブッシング1-1と、ブッシング1-2と、主回路導体2-1と、主回路導体2-2と、主接点3と、常開接点4aと、常閉接点4bと、電流センサ5と、開放コイル6と、投入コイル7と、遮断装置9と、遮断器状態診断装置100とを備える。また、遮断器10は外部操作部20と接続され、外部操作部20は制御電源(DC)8と接続される。
遮断装置9には、主接点3が含まれる。遮断装置9の上部には、ブッシング1-1と、ブッシング1-2とが設けられている。ブッシング1-1と、ブッシング1-2との内部には、主回路導体2-1と、主回路導体2-2とがそれぞれ配置されている。主回路導体2-1と、主回路導体2-2とは、それぞれ金属端子を介して、送電線と接続される。
主接点3は、二つの電極を含み、正常時には、その二つの電極がつながった状態(以下「投入状態」という)である。主接点3は、その二つの電極が引き離されることによって、電気を瞬時に遮断できる。つまり、二つの電極が隔離されることによって、二つの電極が開放された状態(以下「開放状態」という)となる。主接点3は、開放状態へ移行したが、開放状態から投入状態に復帰させる場合に、投入動作が行われることによって、投入状態にできる。
主接点3が投入状態において、制御電源8に接続された外部操作部20が操作されることによって開放コイル6が動作すると、遮断器10は開放状態に移行する。すなわち、遮断装置9の主接点3は、遮断される。具体的には、外部操作部20の開放コイル6に接続されるスイッチs1がオンにされることによって、開放コイル6が動作する。
遮断器10が開放状態において、制御電源8に接続された外部操作部20が操作されることによって投入コイル7が動作すると、遮断器10は投入状態に移行する。すなわち、遮断装置9の主接点3は、接続される。具体的には、外部操作部20の投入コイル7に接続されるスイッチs2がオンにされることによって、投入コイル7が動作する。
【0016】
開放コイル6が動作して遮断器10が開放状態となる場合に、開放コイル6に流れる電流は、電流センサ5によって検出される。電流センサ5が検出した電流は、遮断器状態診断装置100へ出力される。具体的には、外部操作部20のスイッチs1と開放コイル6とを接続する電線は、クランプ型の電流センサ5で挟まれており、スイッチs1がオンにされることによって開放コイル6に流れる電流を、電流センサ5は検出する。
投入コイル7が動作して遮断器10が投入状態となる場合に、投入コイル7に流れる電流は、電流センサ5によって検出される。電流センサ5が検出した電流は、遮断器状態診断装置100へ出力される。具体的には、外部操作部20のスイッチs2と開放コイル6とを接続する電線は、クランプ型の電流センサ5で挟まれており、スイッチs2がオンにされることによって投入コイル7に流れる電流を、電流センサ5は検出する。
常開接点4aは、主接点3の駆動軸に機械的にリンクされている補助開閉器に含まれ、主接点3が開放状態の場合には開であり、主接点3が投入状態の場合には閉である。つまり、主接点3が開放状態から投入状態へ変化した場合には、その主接点3の動作に連動して、常開接点4aは開から閉へ変化する。主接点3が投入状態から開放状態へ変化した場合には、その主接点3の動作に連動して、常開接点4aは閉から開へ変化する。
また、常開接点4aは、遮断器状態診断装置100に接続されており、遮断器状態診断装置100は、主接点3が開放状態から投入状態へ変化した場合に、常開接点4aが開から閉へ変化したことを、常開接点4a間の電圧の変化によって検出する。遮断器状態診断装置100は、主接点3が投入状態から開放状態へ変化した場合に、常開接点4aが閉から開へ変化したことを、常開接点4a間の電圧の変化によって検出する。
常閉接点4bは、主接点3の駆動軸に機械的にリンクされている補助開閉器に含まれ、主接点3が開放状態の場合には閉であり、主接点3が投入状態の場合には開である。つまり、主接点3が開放状態から投入状態へ変化した場合には、その主接点3の動作に連動して、常閉接点4bは閉から開へ変化する。主接点3が投入状態から開放状態へ変化した場合には、その主接点3の動作に連動して、常閉接点4bは開から閉へ変化する。
また、常閉接点4bは、遮断器状態診断装置100に接続されており、遮断器状態診断装置100は、主接点3が開放状態から投入状態へ変化した場合に、常閉接点4bが閉から開へ変化したことを、常閉接点4b間の電圧の変化によって検出する。遮断器状態診断装置100は、主接点3が投入状態から開放状態へ変化した場合に、常閉接点4bが開から閉へ変化したことを、常閉接点4b間の電圧の変化によって検出する。
【0017】
次に、遮断器10に含まれる操作箱に常設される遮断器状態診断装置100の一例について説明する。
(遮断器状態診断装置)
図2は、第1の実施形態の遮断器状態診断装置の一例を示すブロック図である。
第1の実施形態の遮断器状態診断装置100は、接点入力インターフェース(FL)101-1と、接点入力インターフェース(FL)101-2と、電流入力インターフェース(DT)102と、入力ポート(I/P)103と、情報処理部104と、動作状態監視部(WDT)105と、ディスプレイ(DISP)106と、リアルタイム時計(RTC)107と、記憶部(EEPROM)108と、出力ポート(O/P)109とを備える。
【0018】
接点入力インターフェース(FL)101-1は、常開接点4aと、接点fla1と接点flb1とによって接続されている。接点入力インターフェース101-1は、アナログフィルターと、電圧印加回路と、過電圧保護回路とのいずれか又は2つ又は全てを含む。本実施形態では、接点入力インターフェース101-1が、アナログフィルターと、電圧印加回路と、過電圧保護回路との全てを含む場合について説明を続ける。アナログフィルターは、アナログ信号において必要な周波数成分のみ抽出または不要な成分を除去する。電圧印加回路は、電圧を印加する。過電圧保護回路は、設定値以上の電圧が掛からないようにする。アナログフィルターと、過電圧保護回路とによって、ノイズが除去される。接点入力インターフェース101-1には、常開接点4a間に印加されている電圧が入力される。接点入力インターフェース101-1は、入力された電圧のノイズを除去し、ノイズを除去した電圧(以下「常開接点電圧」という)を、入力ポート1-3へ出力する。
接点入力インターフェース(FL)101-2は、常閉接点4bと、接点fla2と接点flb2とによって接続されている。接点入力インターフェース101-2は、アナログフィルターと、電圧印加回路と、過電圧保護回路とのいずれか又は2つ又は全てを含む。本実施形態では、接点入力インターフェース101-1が、アナログフィルターと、電圧印加回路と、過電圧保護回路との全てを含む場合について説明を続ける。アナログフィルターと、過電圧保護回路とによって、ノイズが除去される。接点入力インターフェース101-2には、常閉接点4b間に印加されている電圧が入力される。接点入力インターフェース101-2は、入力された電圧のノイズを除去し、ノイズを除去した電圧(以下「常閉接点電圧」という)を、入力ポート1-3へ出力する。
電流入力インターフェース(DT)102は、電流センサ5と、接点dt1と接点dt2とによって接続されている。電流入力インターフェース102は、波形整形回路と、過電圧保護回路とを含む。波形整形回路は、入力波形の一部を切り取り、残った部分を出力する。電流入力インターフェース102は、電流センサ5が出力した電流の一部を切り取り、残った部分である開放指令電流と投入指令電流とのいずれか一方を、入力ポート103へ出力する。
スイッチsw1~スイッチswn(nは、n>0の整数)は、遮断器状態診断装置100を操作するためのスイッチである。スイッチsw1~スイッチswnが操作されることによって、遮断器状態診断装置100は動作する。
【0019】
入力ポート103は、接点入力インターフェース101-1と、接点入力インターフェース101-2と、電流入力インターフェース102と、スイッチsw1~スイッチswnと接続される。入力ポート103は、接点入力インターフェース101-1が出力した
常開接点電圧と、接点入力インターフェース101-2が出力した常閉接点電圧とを取得し、取得した常開接点電圧と、常閉接点電圧とを、情報処理部104へ出力する。
入力ポート103は、電流入力インターフェース102が出力した投入指令電流と、開放指令電流とのいずれかを取得し、取得した投入指令電流と、開放指令電流とのいずれかを、情報処理部104へ出力する。
入力ポート103は、スイッチsw1~スイッチswnが出力した操作情報を取得し、取得した操作情報を、情報処理部104へ出力する。
動作状態監視部105は、情報処理部104と接続される。動作状態監視部105は、情報処理部104にエラーが発生していないことを監視することによって、遮断器状態診断装置100が正常に動作していることを監視する。動作状態監視部105は、情報処理部104にエラーが発生していることを検出したことによって、遮断器状態診断装置100が正常に動作していないと判定した場合に、遮断器状態診断装置100に異常が発生したことを示す情報を、出力ポート109へ出力する。
ディスプレイ106は、情報処理部104と接続される。ディスプレイ106は、情報処理部104が出力した情報等を表示する。具体的には、ディスプレイ106は、開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とを表示する。ディスプレイ106は、遮断器10が異常であるか否かの判定結果を表示する。
リアルタイム時計107は、情報処理部104と接続される。リアルタイム時計107は、計測日時を特定するために使用される。
【0020】
記憶部108は、情報処理部104と接続される。記憶部108は、情報処理部104により実行されるプログラム1081が記憶される。
プログラム1081は、遮断器状態診断装置100に、遮断器10の投入コイル7に流れる投入指令電流と、開放コイル6に流れる開放指令電流とのいずれかを検出させる。プログラム1081は、遮断器状態診断装置100に、主接点3が開放状態から投入状態へ変化した場合に、入力ポート103が出力した常開接点電圧に基づいて、常開接点4aが開から閉へ変化したことを検出させる。プログラム1081は、遮断器状態診断装置100に、主接点3が開放状態から投入状態へ変化した場合に、入力ポート103が出力した常閉接点電圧に基づいて、常閉接点4bが閉から開へ変化したことを検出させる。
プログラム1081は、遮断器状態診断装置100に、投入指令電流を検出した日時から、常開接点4aが開から閉へ変化したことを検出した日時までに要した時間(以下「投入指令常開接点応答時間」という)を測定させる。プログラム1081は、遮断器状態診断装置100に、投入指令電流を検出した日時から、常閉接点4bが閉から開へ変化したことを検出した日時までに要した時間(以下「投入指令常閉接点応答時間」という)を測定させる。プログラム1081は、遮断器状態診断装置100に、測定させた投入指令常開接点応答時間と、投入指令常閉接点応答時間とに基づいて、遮断器10の状態を判定させる。
【0021】
プログラム1081は、遮断器状態診断装置100に、主接点3が投入状態から開放状態へ変換した場合に、入力ポート103が出力した常開接点電圧に基づいて、常開接点4aが閉から開へ変化したことを検出させる。プログラム1081は、遮断器状態診断装置100に、主接点3が投入状態から開放状態へ変換した場合に、入力ポート103が出力した常閉接点電圧に基づいて、常閉接点4bが開から閉へ変化したことを検出させる。
プログラム1081は、遮断器状態診断装置100に、開放指令電流を検出した日時から、常閉接点4bが開から閉へ変化したことを検出した日時までに要した時間(以下「開放指令常閉接点応答時間」という)を測定させる。プログラム1081は、遮断器状態診断装置100に、開放指令電流を検出した日時から、常開接点4aが閉から開へ変化したことを検出した日時までに要した時間(以下「開放指令常開接点応答時間」という)を測定させる。プログラム1081は、遮断器状態診断装置100に、測定させた開放指令常閉接点応答時間と、開放指定常開接点応答時間とに基づいて、遮断器10の状態を判定させる。
出力ポート109は、情報処理部104と、動作状態監視部105と接続される。出力ポート109は、異常を検出した場合に、アラームを出力するための情報通信ポートと、上位系データサーバ等とのデータリンクのための情報通信ポートとを含む。出力ポート109は、動作状態監視部105が出力した遮断器状態診断装置100に異常が発生したことを示す情報を取得し、取得した遮断器状態診断装置100に異常が発生したことを示す情報に基づいて、情報通信ポートからアラームを出力する。
【0022】
情報処理部104の全部または一部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが記憶部108に格納されたプログラム1081を実行することにより実現される機能部(以下、ソフトウェア機能部と称する)である。なお、情報処理部104の全部または一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
情報処理部104は、例えば、指令電流検出部1041と、開閉状態検出部1042と、時間測定部1043と、判定部1044として機能する。
指令電流検出部1041は、入力ポート103が出力した投入指令電流と、開放指令電流とのいずれかを取得する。指令電流検出部1041は、投入指令電流を検出した場合には、投入指令電流を検出したことを示す情報を、時間測定部1043へ出力する。指令電流検出部1041は、開放指令電流を検出した場合には、開放指令電流を検出したことを示す情報を、時間測定部1043へ出力する。
開閉状態検出部1042は、入力ポート103が出力した常開接点電圧に基づいて、常開接点4aが開放状態から投入状態へ変化したことを検出し、常開接点4aが開放状態から投入状態へ変化したことを示す情報を、時間測定部1043へ出力する。
開閉状態検出部1042は、入力ポート103が出力した常閉接点電圧に基づいて、常閉接点4bが投入状態から開放状態へ変化したことを検出し、常閉接点4bが投入状態から開放状態へ変化したことを示す情報を、時間測定部1043へ出力する。
開閉状態検出部1042は、入力ポート103が出力した常開接点電圧に基づいて、常開接点4aが投入状態から開放状態へ変化したことを検出し、常開接点4aが投入状態から開放状態へ変化したことを示す情報を、時間測定部1043へ出力する。
開閉状態検出部1042は、入力ポート103が出力した常閉接点電圧に基づいて、常閉接点4bが開放状態から投入状態へ変化したことを検出し、常閉接点4bが開放状態から投入状態へ変化したことを示す情報を、時間測定部1043へ出力する。
【0023】
時間測定部1043は、指令電流検出部1041が出力した投入指令電流を検出したことを示す情報を取得する。時間測定部1043は、投入指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時を、リアルタイム時計107から取得する。
時間測定部1043は、開閉状態検出部1042が出力した常開接点4aが開放状態から投入状態へ変化したことを示す情報を取得する。時間測定部1043は、開閉状態検出部1042が出力した常閉接点4bが投入状態から開放状態へ変化したことを示す情報を取得する。
時間測定部1043は、常開接点4aが開放状態から投入状態へ変化したことを示す情報を取得した日時と、常閉接点4bが投入状態から開放状態へ変化したことを示す情報を取得した日時とを、リアルタイム時計107から取得する。
時間測定部1043は、指令電流検出部1041が出力した投入指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時から、常開接点4aが開放状態から投入状態へ変化したことを示す情報を取得した日時までに経過した時間である投入指令常開接点応答時間を測定する。
時間測定部1043は、指令電流検出部1041が出力した投入指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時から、常閉接点4bが投入状態から開放状態へ変化したことを示す情報を取得した日時までに経過した時間である投入指令常閉接点応答時間を測定する。
時間測定部1043は、測定した投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを、判定部1044と、ディスプレイ106とへ出力する。
【0024】
時間測定部1043は、指令電流検出部1041が出力した開放指令電流を検出したことを示す情報を取得する。時間測定部1043は、開放指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時を、リアルタイム時計107から取得する。
時間測定部1043は、開閉状態検出部1042が出力した常閉接点4bが開放状態から投入状態へ変化したことを示す情報を取得する。時間測定部1043は、開閉状態検出部1042が出力した常開接点4aが投入状態から開放状態へ変化したことを示す情報を取得する。
時間測定部1043は、常閉接点4bが開放状態から投入状態へ変化したことを示す情報を取得した日時と、常開接点4aが投入状態から開放状態へ変化したことを示す情報を取得した日時とを、リアルタイム時計107から取得する。
【0025】
時間測定部1043は、指令電流検出部1041が出力した開放指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時から、常閉接点4bが開放状態から投入状態へ変化したことを示す情報を取得した日時までに経過した時間である開放指令常閉接点応答時間を測定する。
時間測定部1043は、指令電流検出部1041が出力した開放指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時から、常開接点4aが投入状態から開放状態へ変化したことを示す情報を取得した日時までに経過した時間である開放指令常開接点応答時間を測定する。
時間測定部1043は、測定した開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とを、判定部1044と、ディスプレイ106とへ出力する。
【0026】
判定部1044は、時間測定部1043が出力した投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを取得する。判定部1044は、取得した投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とに基づいて、遮断器10が正常であるか否かを判定する。
具体的には、判定部1044は、予め設定されている投入指令常開接点応答時間閾値と、投入指令常閉接点応答時間閾値とに基づいて、投入指令常開接点応答時間が投入指令常開接点応答時間閾値未満であり、且つ投入指令常閉接点応答時間が投入指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、遮断器10が正常であると判定する。判定部1044は、投入指令常開接点応答時間が投入指令常開接点応答時間閾値以上、又は投入指令常閉接点応答時間が投入指令常閉接点応答時間閾値以上である場合に、遮断器10が異常であると判定する。判定部1044は、遮断器10が異常であるか否かの判定結果を、ディスプレイ106へ出力する。
判定部1044は、時間測定部1043が出力した開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とを取得する。判定部1044は、取得した開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とに基づいて、遮断器10が正常であるか否かを判定する。
具体的には、判定部1044は、予め設定されている開放指令常開接点応答時間閾値と、開放指令常閉接点応答時間閾値とに基づいて、開放指令常開接点応答時間が開放指令常開接点応答時間閾値未満であり、且つ開放指令常閉接点応答時間が開放指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、遮断器10が正常であると判定する。判定部1044は、開放指令常開接点応答時間が開放指令常開接点応答時間閾値以上、又は開放指令常閉接点応答時間が開放指令常閉接点応答時間閾値以上である場合に、遮断器10が異常であると判定する。判定部1044は、遮断器10が異常であるか否かの判定結果を、ディスプレイ106へ出力する。
【0027】
(遮断器状態診断装置の動作)
ここで、情報処理部104の判定部1044の動作について、外部操作部20が操作されることによって、電流センサ5が開放コイル6に流れる電流を検出する場合と、電流センサ5が投入コイル7に流れる電流を検出する場合とに分けて説明する。
(電流センサ5が開放コイル6に流れる電流を検出する場合)
図3は、第1の実施形態の遮断器状態診断装置の動作の一例を示す図である。
図3の左図は、電流センサ5から遮断器状態診断装置100へ入力される電流波形(トリガ)と、常開接点4a間の電圧波形(aコン)と、常閉接点4b間の電圧波形(bコン)とが示される。つまり、
図3の左図は、通常のモニタリングの結果を示す。
図3の左図によれば、遮断器状態診断装置100へ入力される電流波形(トリガ)が所定の電流閾値以上変化した後に、常開接点4a間の電圧波形(aコン)が所定の常開接点電圧閾値以上変化し、その後、常閉接点4b間の電圧波形(bコン)が所定の常閉接点電圧閾値以上変化する。具体的には、遮断器状態診断装置100へ入力される電流波形(トリガ)が所定の電流閾値上昇した後に、常開接点4a間の電圧波形(aコン)が所定の常開接点電圧閾値以上低下し、その後、常閉接点4b間の電圧波形(bコン)が所定の常閉接点電圧閾値以上上昇する。この場合、投入指令常開接点応答時間は25[ms]であり、投入指令常閉接点応答時間は35[ms]である。
図3の右図は、遮断器状態診断装置100の情報処理部104へ入力される投入指令電流(トリガ)と、常開接点4a間の常開接点電圧波形(aコン)と、常閉接点4b間の常閉接点電圧波形(bコン)とが示される。つまり、
図3の右図は、本実施形態の遮断器状態診断装置100による結果を示す。
図3の右図によれば、遮断器状態診断装置100の情報処理部104へ入力される投入指令電流(トリガ)が所定の投入指令電流閾値以上変化した後に、常開接点4a間の電圧波形(aコン)が所定の常開接点電圧閾値以上変化し、その後、常閉接点4b間の電圧波形(bコン)が所定の常閉接点電圧閾値以上変化する。具体的には、遮断器状態診断装置100の情報処理部104へ入力される投入指令電流(トリガ)が所定の投入指令電流閾値以上上昇した後に、常開接点4a間の電圧波形(aコン)が所定の常開接点電圧閾値以上低下し、常閉接点4b間の電圧波形(bコン)が所定の常閉接点電圧閾値以上上昇する。この場合、投入指令常開接点応答時間は25.5[ms]であり、投入指令常閉接点応答時間は35.2[ms]である。
図3の左図と右図とによれば、遮断器状態診断装置100へ入力される電流波形(トリガ)と、常開接点4a間の電圧波形(aコン)と、常閉接点4b間の電圧波形(bコン)とに基づいて導出した投入指令常開接点応答時間と、投入指令常閉接点応答時間と、遮断器状態診断装置100の情報処理部104へ入力される投入指令電流(トリガ)と、常開接点4a間の電圧波形(aコン)と、常閉接点4b間の電圧波形(bコン)とに基づいて導出した投入指令常開接点応答時間と、投入指令常閉接点応答時間との間で、同様の結果が得られることが分かる。
【0028】
(電流センサ5が投入コイル7流れる電流を検出する場合)
図4は、第1の実施形態の遮断器状態診断装置の動作の一例を示す図である。
図4の左図は、電流センサ5から遮断器状態診断装置100へ入力される電流波形(トリガ)と、常開接点4a間の電圧波形(aコン)と、常閉接点4b間の電圧波形(bコン)とが示される。つまり、
図4の左図は、通常のモニタリングの結果を示す。
図4の左図によれば、遮断器状態診断装置100へ入力される電流波形(トリガ)が所定の電流閾値以上変化した後に、常閉接点4b間の電圧波形(bコン)が所定の常閉接点電圧閾値以上変化し、その後、常開接点4a間の電圧波形(aコン)が所定の常開接点電圧閾値以上変化する。具体的には、遮断器状態診断装置100へ入力される電流波形(トリガ)が所定の電流閾値上昇した後に、常閉接点4b間の電圧波形(bコン)が所定の常閉接点電圧閾値以上低下し、常開接点4a間の電圧波形(aコン)が所定の常開接点電圧閾値以上上昇する。この場合、投入指令常閉接点応答時間は69[ms]であり、投入指令常開接点応答時間は109[ms]である。
図4の右図は、遮断器状態診断装置100の情報処理部104へ入力される投入指令電流(トリガ)と、常開接点4a間の常開接点電圧波形(aコン)と、常閉接点4b間の常閉接点電圧波形(bコン)とが示される。つまり、
図4の右図は、本実施形態の遮断器状態診断装置100による結果を示す。
図4の右図によれば、遮断器状態診断装置100の情報処理部104へ入力される投入指令電流(トリガ)が所定の投入指令電流閾値以上変化した後に、常閉接点4b間の電圧波形(bコン)が所定の常閉接点電圧閾値以上変化し、その後、常開接点4a間の電圧波形(aコン)が所定の常開接点電圧閾値以上変化する。具体的には、遮断器状態診断装置100の情報処理部104へ入力される投入指令電流(トリガ)が所定の投入指令電流閾値以上上昇した後に、常閉接点4b間の電圧波形(bコン)が所定の常閉接点電圧閾値以上低下し、常開接点4a間の電圧波形(aコン)が所定の常開接点電圧閾値以上情上昇する。この場合、投入指令常閉接点応答時間は68.4[ms]であり、投入指令常開接点応答時間は109.1[ms]である。
図4の左図と右図とによれば、遮断器状態診断装置100へ入力される電流波形(トリガ)と、常開接点4a間の電圧波形(aコン)と、常閉接点4b間の電圧波形(bコン)とに基づいて導出した開放指令常開接点応答時間と、開放指令常閉接点応答時間と、遮断器状態診断装置100の情報処理部104へ入力される開放指令電流(トリガ)と、常開接点4a間の電圧波形(aコン)と、常閉接点4b間の電圧波形(bコン)とに基づいて導出した開放指令常開接点応答時間と、開放指令常閉接点応答時間との間で、同様の結果が得られることが分かる。
【0029】
(遮断器状態診断装置の動作)
図5は、第1の実施形態の遮断器状態診断装置の動作の一例を示すフローチャートである。
(ステップS1)
遮断器状態診断装置100の指令電流検出部1041は、入力ポート103が出力した投入指令電流と、開放指令電流とのいずれかを検出する。
(ステップS2)
指令電流検出部1041は、投入指令電流を検出したか否かを判定する。
(ステップS3)
指令電流検出部1041は、投入指令電流を検出した場合には、投入指令電流を検出したことを示す情報を、時間測定部1043へ出力する。時間測定部1043は、指令電流検出部1041が出力した投入指令電流を検出したことを示す情報を取得し、投入指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時を、リアルタイム時計107から取得する。時間測定部1043は、投入指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時を、記憶部108に記憶する。
(ステップS4)
開閉状態検出部1042は、入力ポート103が出力した常開接点電圧に基づいて、常開接点4aが開放状態から投入状態へ変化したことを検出し、常開接点4aが開放状態から投入状態へ変化したことを示す情報を、時間測定部1043へ出力する。
(ステップS5)
時間測定部1043は、開閉状態検出部1042が出力した常開接点4aが開放状態から投入状態へ変化したことを示す情報を取得する。時間測定部1043は、常開接点4aが開放状態から投入状態へ変化したことを示す情報を取得した日時を、リアルタイム時計107から取得する。時間測定部1043は、常開接点4aが開放状態から投入状態へ変化したことを示す情報を取得した日時を、記憶部108に記憶する。
(ステップS6)
時間測定部1043は、指令電流検出部1041が出力した投入指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時と、常開接点4aが開放状態から投入状態へ変化したことを示す情報を取得した日時とに基づいて、投入指令常開接点応答時間を測定する。時間測定部1043は、測定した投入指令常開接点応答時間を示す情報を、判定部1044と、ディスプレイ106とへ出力する。
(ステップS7)
開閉状態検出部1042は、入力ポート103が出力した常閉接点電圧に基づいて、常閉接点4bが投入状態から開放状態へ変化したことを検出し、常閉接点4bが投入状態から開放状態へ変化したことを示す情報を、時間測定部1043へ出力する。
(ステップS8)
時間測定部1043は、開閉状態検出部1042が出力した常閉接点4bが投入状態から開放状態へ変化したことを示す情報を取得する。時間測定部1043は、常閉接点4bが投入状態から開放状態へ変化したことを示す情報を取得した日時を、リアルタイム時計107から取得する。時間測定部1043は、常閉接点4bが投入状態から開放状態へ変化したことを示す情報を取得した日時を、記憶部108に記憶する。
(ステップS9)
時間測定部1043は、指令電流検出部1041が出力した投入指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時と、常閉接点4bが投入状態から開放状態へ変化したことを示す情報を取得した日時とに基づいて、投入指令常閉接点応答時間を測定する。時間測定部1043は、測定した投入指令常閉接点応答時間を示す情報を、記憶部108に記憶するとともに、判定部1044と、ディスプレイ106とへ出力する。
(ステップS10)
判定部1044は、時間測定部1043が出力した投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを取得する。判定部1044は、取得した投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とに基づいて、遮断器10が正常であるか否かを判定する。判定部1044は、遮断器10が異常であるか否かの判定結果を、ディスプレイ106へ出力する。
【0030】
(ステップS11)
ディスプレイ106は、時間測定部1043が出力した投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを取得し、取得した投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを表示する。
ディスプレイ106は、判定部1044が出力した遮断器10が異常であるか否かの判定結果を取得し、取得した遮断器10が異常であるか否かの判定結果を表示する。
(ステップS12)
指令電流検出部1041は、開放指令電流を検出した場合には、開放指令電流を検出したことを示す情報を、時間測定部1043へ出力する。時間測定部1043は、指令電流検出部1041が出力した開放指令電流を検出したことを示す情報を取得し、開放指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時を、リアルタイム時計107から取得する。時間測定部1043は、開放指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時を、記憶部108に記憶する。
(ステップS13)
開閉状態検出部1042は、入力ポート103が出力した常開接点電圧に基づいて、常開接点4aが投入状態から開放状態へ変化したことを検出し、常開接点4aが投入状態から開放状態へ変化したことを示す情報を、時間測定部1043へ出力する。
(ステップS14)
時間測定部1043は、開閉状態検出部1042が出力した常開接点4aが投入状態から開放状態へ変化したことを示す情報を取得する。時間測定部1043は、常開接点4aが投入状態から開放状態へ変化したことを示す情報を取得した日時を、リアルタイム時計107から取得する。時間測定部1043は、常開接点4aが投入状態から開放状態へ変化したことを示す情報を取得した日時を、記憶部108に記憶する。
(ステップS15)
時間測定部1043は、指令電流検出部1041が出力した開放指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時と、常開接点4aが投入状態から開放状態へ変化したことを示す情報を取得した日時とに基づいて、開放指令常開接点応答時間を測定する。時間測定部1043は、測定した開放指令常開接点応答時間を示す情報を、判定部1044と、ディスプレイ106とへ出力する。
【0031】
(ステップS16)
開閉状態検出部1042は、入力ポート103が出力した常閉接点電圧に基づいて、常閉接点4bが開放状態から投入状態へ変化したことを検出し、常閉接点4bが開放状態から投入状態へ変化したことを示す情報を、時間測定部1043へ出力する。
(ステップS17)
時間測定部1043は、開閉状態検出部1042が出力した常閉接点4bが開放状態から投入状態へ変化したことを示す情報を取得する。時間測定部1043は、常閉接点4bが開放状態から投入状態へ変化したことを示す情報を取得した日時を、リアルタイム時計107から取得する。時間測定部1043は、常閉接点4bが開放状態から投入状態へ変化したことを示す情報を取得した日時を、記憶部108に記憶する。
(ステップS18)
時間測定部1043は、指令電流検出部1041が出力した開放指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時と、常閉接点4bが開放状態から投入状態へ変化したことを示す情報を取得した日時とに基づいて、開放指令常閉接点応答時間を測定する。時間測定部1043は、測定した開放指令常閉接点応答時間を示す情報を、記憶部108に記憶するとともに、判定部1044と、ディスプレイ106とへ出力する。
(ステップS19)
判定部1044は、時間測定部1043が出力した開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とを取得する。判定部1044は、取得した開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とに基づいて、遮断器10が正常であるか否かを判定する。判定部1044は、遮断器10が異常であるか否かの判定結果を、ディスプレイ106へ出力する。
(ステップS20)
ディスプレイ106は、時間測定部1043が出力した開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とを取得し、取得した開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とを表示する。
ディスプレイ106は、判定部1044が出力した遮断器10が異常であるか否かの判定結果を取得し、取得した遮断器10が異常であるか否かの判定結果を表示する。
図5に示されるフローチャートにおいて、ステップS4からS6と、ステップS7からS9との順序を入れ替えてもよいし、ステップS13からS15と、ステップS16からS18との順序を入れ替えてもよい。
【0032】
前述した第1の実施形態では、遮断器状態診断装置100が、遮断器10に含まれる操作箱に常設される場合について説明したが、この限りでない。例えば、遮断器状態診断装置100を、遮断器10に取り付けるようにしてもよい。
前述した第1の実施形態では、遮断器状態診断装置100が、開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報との両方に基づいて、遮断器10が正常であるか否かを判定する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、遮断器状態診断装置100が、開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とのいずれかに基づいて、遮断器10が正常であるか否かを判定してもよい。また、例えば、遮断器状態診断装置100が、開放指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時から、主接点3が投入状態から開放状態へ変化した日時までに経過した時間と、投入指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時から、主接点3が開放状態から投入状態へ変化した日時までに経過した時間とのいずれか一方又は両方に基づいて、遮断器10が正常であるか否かを判定してもよい。
前述した第1の実施形態では、遮断器状態診断装置100が、遮断器10が正常であるか否かを判定する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、遮断器状態診断装置100は、遮断器10が正常であるか否かを判定するとともに、遮断器10が正常であるか否かの判定結果に基づいて、遮断器10の点検時期を導出するようにしてもよい。具体的には、判定部1044は、開放指令常開接点応答時間が開放指令常開接点応答時間閾値未満である場合に、その差に応じて、差が小さくなるにしたがって点検時期を早い時期とし、差が大きくなるにしたがって点検時期を遅い時期としてもよい。また、判定部1044は、開放指令常閉接点応答時間が開放指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、その差に応じて、差が小さくなるにしたがって点検時期を早い時期とし、差が大きくなるにしたがって点検時期を遅い時期としてもよい。
第1の実施形態の遮断器状態診断装置100によれば、遮断器状態診断装置100は、遮断器10の投入コイル7と開放コイル6とに流れる電流である指令電流を検出する指令電流検出部と、遮断器10の主接点3間に印加されている電圧に基づいて、主接点3の開閉状態の変化を検出する開閉状態検出部と、指令電流検出部が指令電流を検出してから、開閉状態検出部が主接点3の開閉状態の変化を検出するまでの時間を測定する時間測定部と、時間測定部が測定した時間に基づいて、遮断器10の状態を判定する判定部とを備える。このように構成することによって、遮断器状態診断装置100のサイズをコンパクトにできる。遮断器状態診断装置100のサイズをコンパクトにしたことによって、遮断器10に内蔵できる。遮断器状態診断装置100を、遮断器10に内蔵できる。これによって、遮断器10の主接点3が開放状態と投入状態との間で変化するたびに、動作時間(投入指令常開接点応答時間、投入指令常閉接点応答時間、開放指令常開接点応答時間、開放指令常閉接点応答時間)を導出できるため、遮断器10を停止させることなく、動作確認のための点検を代替できる。
【0033】
従来は、オシログラフや波形記録計などにより、指令電流と主接点、もしくは補助開閉器の常閉接点および常開接点の状態を記録し、記録した状態から、動作時間を技術員が読み取っていた。
また、遮断器10の投入コイル7と開放コイル6とに流れる電流からノイズを除去する処理を行うノイズ除去部と、遮断器10の主接点3間に印加されている電圧からチャタリングを除去する処理を行うチャタリング除去部とを備え、指令電流検出部は、ノイズ除去部がノイズを除去する処理を行った電流である指令電流を検出し、開閉状態検出部は、チャタリング除去部がチャタリングを除去する処理を行った電圧に基づいて、主接点3の開閉状態の変化を検出する。
ここで、チャタリング除去部は、主接点3と機械的にリンクした常開接点と常閉接点とのいずれか一方又は両方に印加されている電圧からチャタリングを除去する処理を行い、開閉状態検出部は、チャタリング除去部がチャタリングを除去する処理を行った常開接点と常閉接点とのいずれか一方又は両方に印加されている電圧に基づいて、主接点の開閉状態の変化を検出する。
遮断器10の主接点3の開閉動作(開放状態と投入状態との間の変化)は高速であるため、主接点3の開閉動作の途上において、主接点3とリンクして動作する補助開閉器の接点が完全閉又は完全開となる過程において、チャタリング(ばたつき)が生じるおそれがある。遮断器状態診断装置100は、接点入力インターフェース(FL)101-1と、接点入力インターフェース(FL)101-2とを備え、接点入力インターフェース(FL)101-1と、接点入力インターフェース(FL)101-2との各々は、アナログフィルターと、過電圧保護回路とを備えるため、ノイズを除去できる。このため、チャタリングの影響を低減できる。
また、遮断器の操作箱の近傍では、主回路からの電磁誘導や開閉時の開閉サージにより、操作電流を検出する回路や補助開閉器の接点状態の検出回路に様々なノイズが重畳する。遮断器状態診断装置100は、接点入力インターフェース(FL)101-1と、接点入力インターフェース(FL)101-2と、電流入力インターフェース(DT)102とを備え、接点入力インターフェース(FL)101-1と、接点入力インターフェース(FL)101-2と、電流入力インターフェース(DT)102との各々は、アナログフィルターと、過電圧保護回路とを備えるため、ノイズを除去できる。
【0034】
(第2の実施形態)
(遮断器状態診断システム)
本発明の第2の実施形態の遮断器状態診断システムを、図面を参照して説明する。
図6は、第2の実施形態の遮断器状態診断システムが診断する遮断器の一例を示す図である。第2の実施形態の遮断器状態診断システムは、第1の実施形態と比較して、遮断器状態収集装置100aと、遮断器状態診断装置100bとを備える点で異なる。遮断器状態収集装置100aと、遮断器状態診断装置100bとは、インターネットなどのネットワーク50を介して接続される。
第2の実施形態の遮断器状態収集装置100aは、遮断器10の投入コイル7と開放コイル6とに流れる電流である指令電流を検出する。第2の実施形態の遮断器状態収集装置100aは、遮断器10の主接点3間に印加されている電圧に基づいて、主接点3の開閉状態の変化を検出する。第2の実施形態の遮断器状態収集装置100aは、指令電流を検出してから、主接点3の開閉状態の変化を検出するまでの時間を測定する。第2の実施形態の遮断器状態収集装置100aは、指令電流を検出してから、主接点3の開閉状態の変化を検出するまでの時間の測定結果を示す情報を含み、遮断器状態診断装置100bをあて先とする通知情報を作成し、作成した通知情報を、遮断器状態診断装置100bへ送信する。
第2の実施形態の遮断器状態診断装置100bは、遮断器状態診断装置100bは、遮断器状態収集装置が送信した通知情報を受信し、受信した通知情報に含まれる指令電流を検出してから、主接点の開閉状態の変化を検出するまでの時間の測定結果を取得する。第2の実施形態の遮断器状態診断装置100bは、取得した指令電流を検出してから、主接点の開閉状態の変化を検出するまでの時間の測定結果に基づいて、遮断器10の状態を判定する。ここで、遮断器状態収集装置100aと、遮断器状態診断装置100bとについて順次説明する。
【0035】
(遮断器状態診断装置)
図7は、第2の実施形態の遮断器状態収集装置の一例を示すブロック図である。
第2の実施形態の遮断器状態収集装置100aは、接点入力インターフェース(FL)101-1と、接点入力インターフェース(FL)101-2と、電流入力インターフェース(DT)102と、入力ポート(I/P)103と、情報処理部104aと、動作状態監視部(WDT)105と、ディスプレイ(DISP)106と、リアルタイム時計(RTC)107と、記憶部(EEPROM)108aと、出力ポート(O/P)109と、通信部110aとを備える。
【0036】
記憶部108aは、情報処理部104aと接続される。記憶部108aは、情報処理部104aにより実行されるプログラム1081aが記憶される。
プログラム1081aは、遮断器状態収集装置100aに、遮断器10の投入コイル7に流れる投入指令電流と、開放コイル6に流れる開放指令電流とのいずれかを検出させる。プログラム1081aは、遮断器状態収集装置100aに、主接点3が開放状態から投入状態へ変化した場合に、入力ポート103が出力した常開接点電圧に基づいて、常開接点4aが開から閉へ変化したことを検出させる。プログラム1081aは、遮断器状態収集装置100aに、主接点3が開放状態から投入状態へ変化した場合に、入力ポート103が出力した常閉接点電圧に基づいて、常閉接点4bが閉から開へ変化したことを検出させる。
プログラム1081aは、遮断器状態収集装置100aに、投入指令電流を検出した日時から、常開接点4aが開から閉へ変化したことを検出した日時までに要した時間である投入指令常開接点応答時間を測定させる。プログラム1081aは、遮断器状態収集装置100aに、投入指令電流を検出した日時から、常閉接点4bが閉から開へ変化したことを検出した日時までに要した時間である投入指令常閉接点応答時間を測定させる。プログラム1081aは、遮断器状態収集装置100aに、測定させた投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを含み、遮断器状態診断装置100bをあて先とする通知情報を作成させ、作成させた通知情報を、遮断器状態診断装置100bへ送信させる。
【0037】
プログラム1081aは、遮断器状態収集装置100aに、主接点3が投入状態から開放状態へ変換した場合に、入力ポート103が出力した常開接点電圧に基づいて、常開接点4aが閉から開へ変化したことを検出させる。プログラム1081aは、遮断器状態収集装置100aに、主接点3が投入状態から開放状態へ変換した場合に、入力ポート103が出力した常閉接点電圧に基づいて、常閉接点4bが開から閉へ変化したことを検出させる。
プログラム1081aは、遮断器状態収集装置100aに、開放指令電流を検出した日時から、常閉接点4bが開から閉へ変化したことを検出した日時までに要した時間である開放指令常閉接点応答時間を測定させる。プログラム1081aは、遮断器状態収集装置100aに、開放指令電流を検出した日時から、常開接点4aが閉から開へ変化したことを検出した日時までに要した時間である開放指令常開接点応答時間を測定させる。プログラム1081aは、遮断器状態収集装置100aに、測定させた投入指令常閉接点応答時間を示す情報と、投入指令常開接点応答時間を示す情報とを含み、遮断器状態診断装置100bをあて先とする通知情報を作成させ、作成させた通知情報を、遮断器状態診断装置100bへ送信させる。
【0038】
通信部110は、通信モジュールによって実現される。具体的には、通信部110は、LTE、無線LAN等の無線通信技術で無線通信を行う無線デバイスによって構成される。また、通信部110は、有線通信を行うデバイスによって構成されてもよい。通信部110は、ネットワーク50を介して、遮断器状態診断装置100bなどの外部の通信装置と通信する。具体的には、通信部110は、情報処理部104aが出力した通知情報を取得し、取得した通知情報を、遮断器状態診断装置100bへ送信する。
情報処理部104aの全部または一部は、例えば、CPUなどのプロセッサが記憶部108aに格納されたプログラム1081aを実行することにより実現されるソフトウェア機能部である。なお、情報処理部104aの全部または一部は、LSI、ASIC、またはFPGAなどのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
情報処理部104aは、例えば、指令電流検出部1041と、開閉状態検出部1042と、時間測定部1043と、作成部1045として機能する。
時間測定部1043は、測定した投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを、作成部1045と、ディスプレイ106とへ出力する。
時間測定部1043は、測定した開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とを、作成部1045と、ディスプレイ106とへ出力する。
【0039】
作成部1045は、時間測定部1043が出力した投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを取得する。作成部1045は、取得した投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを含み、遮断器状態診断装置100bをあて先とする通知情報を作成し、作成した通知情報を、通信部110aへ出力する。
作成部1045は、時間測定部1043が出力した開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とを取得する。作成部1045は、取得した開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とを含み、遮断器状態診断装置100bをあて先とする通知情報を作成し、作成した通知情報を、通信部110aへ出力する。次に、遮断器状態診断装置100bについて説明する。
【0040】
(遮断器状態診断装置)
図8は、第2の実施形態の遮断器状態診断装置の一例を示す図である。遮断器状態診断装置100bは、パーソナルコンピュータ、サーバー、又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。遮断器状態診断装置100bは、通信部110bと、記憶部108bと、操作部120と、情報処理部104bと、ディスプレイ(DISP)106bと、各構成要素を
図8に示されているように電気的に接続するためのアドレスバスやデータバスなどのバスライン150とを備える。
通信部110bは、通信モジュールによって実現される。具体的には、通信部110bは、LTE、無線LAN等の無線通信技術で無線通信を行う無線デバイスによって構成される。また、通信部110bは、有線通信を行うデバイスによって構成されてもよい。通信部110bは、ネットワーク50を介して、遮断器状態収集装置100aなどの外部の通信装置と通信する。具体的には、通信部110bは、遮断器状態収集装置100aが送信した通知情報を受信し、受信した通知情報を、情報処理部104bへ出力する。
【0041】
記憶部108bは、例えば、RAM、ROM、HDD、フラッシュメモリ、またはこれらのうち複数が組み合わされたハイブリッド型記憶装置などにより実現される。記憶部108bには、情報処理部104bにより実行されるプログラム1082と、アプリ1083とが記憶される。
プログラム1082は、例えば、オペレーティングシステムであり、ユーザやアプリケーションプログラムとハードウェアの中間に位置し、ユーザやアプリケーションプログラムに対して標準的なインターフェースを提供すると同時に、ハードウェアなどの各リソースに対して効率的な管理を行う。
アプリ1083は、遮断器状態診断装置100bに、遮断器状態収集装置100aが送信した通知情報を受信させ、受信させた通知情報に含まれる投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを取得させる。アプリ1083は、遮断器状態診断装置100bに、取得させた投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とに基づいて、遮断器10が正常であるか否かを判定させる。アプリ1083は、遮断器状態診断装置100bに、遮断器10が異常であるか否かの判定結果を、ディスプレイ106bへ出力させる。
アプリ1083は、遮断器状態診断装置100bに、遮断器状態収集装置100aが送信した通知情報を受信させ、受信させた通知情報に含まれる開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とを取得させる。アプリ1083は、遮断器状態診断装置100bに、取得させた開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とに基づいて、遮断器10が正常であるか否かを判定させる。アプリ1083は、遮断器状態診断装置100bに、遮断器10が異常であるか否かの判定結果を、ディスプレイ106bへ出力させる。
ディスプレイ106bは、情報処理部104bが出力した遮断器10が異常であるか否かの判定結果を、表示する。
操作部120は、例えば、タッチパネルなどによって構成され、ディスプレイ106bに表示される画面に対するタッチ操作を検出し、タッチ操作の検出結果を、情報処理部104bへ出力する。
【0042】
情報処理部104bの全部または一部は、例えば、CPUなどのプロセッサが記憶部108bに格納されたプログラム1082とアプリ1083とを実行することにより実現されるソフトウェア機能部である。なお、情報処理部104bの全部または一部は、LSI、ASIC、またはFPGAなどのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
情報処理部104bは、例えば、受付部1046と、判定部1044bとを備える。
受付部1046は、通信部110bが出力した通知情報を取得し、取得した通知情報に含まれる投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを取得する。受付部1046は、取得した投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを受け付ける。受付部1046は、受け付けた投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを、判定部1044bへ出力する。
受付部1046は、通信部110bが出力した通知情報を取得し、取得した通知情報に含まれる開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とを取得する。受付部1046は、取得した開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とを受け付ける。受付部1046は、受け付けた開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とを、判定部1044bへ出力する。
【0043】
判定部1044bは、受付部1046が出力した投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを取得する。判定部1044bは、取得した投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とに基づいて、遮断器10が正常であるか否かを判定する。
具体的には、判定部1044bは、予め設定されている投入指令常開接点応答時間閾値と、投入指令常閉接点応答時間閾値とに基づいて、投入指令常開接点応答時間が投入指令常開接点応答時間閾値未満であり、且つ投入指令常閉接点応答時間が投入指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、遮断器10が正常であると判定する。判定部1044bは、投入指令常開接点応答時間が投入指令常開接点応答時間閾値以上、又は投入指令常閉接点応答時間が投入指令常閉接点応答時間閾値以上である場合に、遮断器10が異常であると判定する。判定部1044bは、遮断器10が異常であるか否かの判定結果を、ディスプレイ106bへ出力する。
判定部1044bは、受付部1046が出力した開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とを取得する。判定部1044bは、取得した開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とに基づいて、遮断器10が正常であるか否かを判定する。
具体的には、判定部1044bは、予め設定されている開放指令常開接点応答時間閾値と、開放指令常閉接点応答時間閾値とに基づいて、開放指令常開接点応答時間が開放指令常開接点応答時間閾値未満であり、且つ開放指令常閉接点応答時間が開放指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、遮断器10が正常であると判定する。判定部1044bは、開放指令常開接点応答時間が開放指令常開接点応答時間閾値以上、又は開放指令常閉接点応答時間が開放指令常閉接点応答時間閾値以上である場合に、遮断器10が異常であると判定する。判定部1044bは、遮断器10が異常であるか否かの判定結果を、ディスプレイ106bへ出力する。
【0044】
(遮断器状態診断システムの動作)
遮断器状態診断システムの動作を、電流センサ5が投入コイル7流れる電流を検出する場合と、電流センサ5が開放コイル6に流れる電流を検出する場合とに分けて説明する。
(電流センサ5が投入コイル7流れる電流を検出する場合)
図9は、第2の実施形態の遮断器状態診断システムの動作の一例を示すシーケンスチャートである。
(ステップS21)
遮断器状態収集装置100aの指令電流検出部1041は、入力ポート103が出力した投入指令電流を検出する。
(ステップS22)
指令電流検出部1041は、投入指令電流を検出したことを示す情報を、時間測定部1043へ出力する。時間測定部1043は、指令電流検出部1041が出力した投入指令電流を検出したことを示す情報を取得し、投入指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時を、リアルタイム時計107から取得する。時間測定部1043は、投入指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時を、記憶部108aに記憶する。
ステップS23からステップS28は、前述したステップS4からステップS9を適用できる。ただし、ステップS25では、時間測定部1043は、測定した投入指令常開接点応答時間を示す情報を、作成部1045と、ディスプレイ106とへ出力する。ステップS28では、時間測定部1043は、測定した投入指令常閉接点応答時間を示す情報を、記憶部108aに記憶するとともに、作成部1045と、ディスプレイ106とへ出力する。
(ステップS29)
作成部1045は、時間測定部1043が出力した投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを取得し、取得した投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを含み、遮断器状態診断装置100bをあて先とする通知情報を作成し、作成した通知情報を、通信部110aへ出力する。
(ステップS30)
通信部110aは、作成部1045が出力した通知情報を作成し、作成した通知情報を、遮断器状態診断装置100bへ送信する。
(ステップS31)
遮断器状態診断装置100bの通信部110bは、遮断器状態収集装置100aが送信した通知情報を受信し、受信した通知情報を、情報処理部104bへ出力する。情報処理部104bの受付部1046は、遮断器状態収集装置100aが送信した通知情報を取得し、取得した通知情報に含まれる投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを取得し、取得した投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを受け付ける。受付部1046は、受け付けた投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを、記憶部108bに記憶するとともに、判定部1044bへ出力する。
判定部1044bは、受付部1046が出力した投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを取得する。判定部1044bは、取得した投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とに基づいて、遮断器10が正常であるか否かを判定する。判定部1044bは、遮断器10が異常であるか否かの判定結果を、ディスプレイ106bへ出力する。
(ステップS32)
ディスプレイ106bは、判定部1044bが出力した遮断器10が異常であるか否かの判定結果を取得し、取得した遮断器10が異常であるか否かの判定結果を処理することによって表示する。
図9に示されるフローチャートにおいて、ステップS23からS25と、ステップS26からS28との順序を入れ替えてもよい。
【0045】
(電流センサ5が開放コイル6に流れる電流を検出する場合)
図10は、第2の実施形態の遮断器状態診断システムの動作の一例を示すシーケンスチャートである。
(ステップS41)
遮断器状態収集装置100aの指令電流検出部1041は、入力ポート103が出力した開放指令電流を検出する。
(ステップS42)
指令電流検出部1041は、開放指令電流を検出したことを示す情報を、時間測定部1043へ出力する。時間測定部1043は、指令電流検出部1041が出力した開放指令電流を検出したことを示す情報を取得し、開放指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時を、リアルタイム時計107から取得する。時間測定部1043は、開放指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時を、記憶部108aに記憶する。
ステップS43からステップS48は、前述したステップS13からステップS18を適用できる。
ただし、ステップS45では、時間測定部1043は、測定した開放指令常開接点応答時間を示す情報を、作成部1045と、ディスプレイ106とへ出力する。ステップS48では、時間測定部1043は、測定した開放指令常閉接点応答時間を示す情報を、記憶部108aに記憶するとともに、作成部1045と、ディスプレイ106とへ出力する。
(ステップS49)
作成部1045は、時間測定部1043が出力した投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを取得し、取得した投入指令常開接点応答時間を示す情報と、投入指令常閉接点応答時間を示す情報とを含み、遮断器状態診断装置100bをあて先とする通知情報を作成し、作成した通知情報を、通信部110aへ出力する。
(ステップS50)
通信部110aは、作成部1045が出力した通知情報を作成し、作成した通知情報を、遮断器状態診断装置100bへ送信する。
(ステップS51)
遮断器状態診断装置100bの通信部110bは、遮断器状態収集装置100aが送信した通知情報を受信し、受信した通知情報を、情報処理部104bへ出力する。情報処理部104bの受付部1046は、遮断器状態収集装置100aが送信した通知情報を取得し、取得した通知情報に含まれる開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とを取得し、取得した開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とを受け付ける。受付部1046は、受け付けた開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とを、記憶部108bに記憶するとともに、判定部1044bへ出力する。
判定部1044bは、受付部1046が出力した開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とを取得する。判定部1044bは、取得した開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とに基づいて、遮断器10が正常であるか否かを判定する。判定部1044bは、遮断器10が異常であるか否かの判定結果を、ディスプレイ106bへ出力する。
(ステップS52)
ディスプレイ106bは、判定部1044bが出力した遮断器10が異常であるか否かの判定結果を取得し、取得した遮断器10が異常であるか否かの判定結果を処理することによって表示する。
図10に示されるフローチャートにおいて、ステップS43からS45と、ステップS46からS48との順序を入れ替えてもよい。
【0046】
前述した第2の実施形態では、遮断器状態収集装置100aが、遮断器10に含まれる操作箱に常設される場合について説明したが、この限りでない。例えば、遮断器状態収集装置100aを、遮断器10に取り付けるようにしてもよい。
前述した第2の実施形態では、遮断器状態診断装置100bが、開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報との両方に基づいて、遮断器10が正常であるか否かを判定する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、遮断器状態診断装置100bが、開放指令常開接点応答時間を示す情報と、開放指令常閉接点応答時間を示す情報とのいずれかに基づいて、遮断器10が正常であるか否かを判定してもよい。また、例えば、遮断器状態診断装置100bが、開放指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時から、主接点3が投入状態から開放状態へ変化した日時までに経過した時間と、投入指令電流を検出したことを示す情報を取得した日時から、主接点3が開放状態から投入状態へ変化した日時までに経過した時間とのいずれか一方又は両方に基づいて、遮断器10が正常であるか否かを判定してもよい。
前述した第2の実施形態では、遮断器状態診断装置100bが、遮断器10が正常であるか否かを判定する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、遮断器状態診断装置100bは、遮断器10が正常であるか否かを判定するとともに、遮断器10が正常であるか否かの判定結果に基づいて、遮断器10の点検時期を導出するようにしてもよい。具体的には、判定部1044は、開放指令常開接点応答時間が開放指令常開接点応答時間閾値未満である場合に、その差に応じて、差が小さくなるにしたがって点検時期を早い時期とし、差が大きくなるにしたがって点検時期を遅い時期としてもよい。また、判定部1044bは、開放指令常閉接点応答時間が開放指令常閉接点応答時間閾値未満である場合に、その差に応じて、差が小さくなるにしたがって点検時期を早い時期とし、差が大きくなるにしたがって点検時期を遅い時期としてもよい。
【0047】
第2の実施形態の遮断器診断システムによれば、遮断器状態収集装置100aと、遮断器状態診断装置100bとを備えるようにしてことによって、遮断器10に内蔵される遮断器状態収集装置100aを、前述した第1の実施形態の遮断器状態診断装置100よりもコンパクトにできる。遮断器状態収集装置100aを、遮断器10に内蔵できることによって、遮断器10の主接点3が開放状態と投入状態との間で変化するたびに、動作時間(投入指令常開接点応答時間、投入指令常閉接点応答時間、開放指令常開接点応答時間、開放指令常閉接点応答時間)を導出できるため、遮断器10を停止させることなく、動作確認のための点検を代替できる。
従来は、オシログラフや波形記録計などにより、指令電流と主接点、もしくは補助開閉器の常閉接点および常開接点の状態を記録し、記録した状態から、動作時間を技術員が読み取っていた。
遮断器10の主接点3の開閉動作(開放状態と投入状態との間の変化)は高速であるため、主接点3の開閉動作の途上において、主接点とリンクして動作する補助開閉器の接点が完全閉又は完全開となる過程において、チャタリング(ばたつき)が生じるおそれがある。遮断器状態収集装置100aは、接点入力インターフェース(FL)101-1と、接点入力インターフェース(FL)101-2とを備え、接点入力インターフェース(FL)101-1と、接点入力インターフェース(FL)101-2との各々は、アナログフィルターと、過電圧保護回路とを備えるため、ノイズを除去できる。このため、チャタリングの影響を低減できる。
また、遮断器の操作箱の近傍では、主回路からの電磁誘導や開閉時の開閉サージにより、操作電流を検出する回路や補助開閉器の接点状態の検出回路に様々なノイズが重畳する。遮断器状態診断装置100は、接点入力インターフェース(FL)101-1と、接点入力インターフェース(FL)101-2と、電流入力インターフェース(DT)102とを備え、接点入力インターフェース(FL)101-1と、接点入力インターフェース(FL)101-2と、電流入力インターフェース(DT)102との各々は、アナログフィルターと、過電圧保護回路とを備えるため、ノイズを除去できる。
【0048】
<構成例>
一構成例として、遮断器の投入コイルと開放コイルとに流れる電流である指令電流を検出する指令電流検出部と、前記遮断器の主接点間に印加されている電圧に基づいて、前記主接点の開閉状態の変化を検出する開閉状態検出部と、前記指令電流検出部が前記指令電流を検出してから、前記開閉状態検出部が前記主接点の開閉状態の変化を検出するまでの時間を測定する時間測定部と、前記時間測定部が測定した時間に基づいて、前記遮断器の状態を判定する判定部と、を備える遮断器状態診断装置である。
一構成例として、遮断器の投入コイルと開放コイルとに流れる電流からノイズを除去する処理を行うノイズ除去部(実施形態では、電流入力インターフェース(DT)102)と、前記遮断器の主接点間に印加されている電圧からチャタリングを除去する処理を行うチャタリング除去部(実施形態では、接点入力インターフェース(FL)101-1と、接点入力インターフェース(FL)101-2)とを備え、前記指令電流検出部は、前記ノイズ除去部が前記ノイズを除去する処理を行った電流である指令電流を検出し、前記開閉状態検出部は、前記チャタリング除去部が前記チャタリングを除去する処理を行った電圧に基づいて、前記主接点の開閉状態の変化を検出する。
一構成例として、前記チャタリング除去部は、前記主接点と機械的にリンクした常開接点と常閉接点とのいずれか一方又は両方に印加されている電圧からチャタリングを除去する処理を行い、前記開閉状態検出部は、前記チャタリング除去部が前記チャタリングを除去する処理を行った前記常開接点と前記常閉接点とのいずれか一方又は両方に印加されている電圧に基づいて、前記主接点の開閉状態の変化を検出する。
一構成例として、前記開閉状態検出部は、前記常開接点が開と閉との間で変化したことによって生じる電圧の変化と、前記常閉接点が閉と開との間で変化したことによって生じる電圧の変化とのいずれか一方又は両方に基づいて、前記主接点の開閉状態の変化を検出する。
一構成例として、前記判定部の判定結果に基づいて、前記遮断器の点検時期を導出する導出部を備える。
一構成例として、遮断器の投入コイルと開放コイルとに流れる電流である指令電流を検出する指令電流検出部と、前記遮断器の主接点間に印加されている電圧に基づいて、前記主接点の開閉状態の変化を検出する開閉状態検出部と、前記指令電流検出部が前記指令電流を検出してから、前記開閉状態検出部が前記主接点の開閉状態の変化を検出するまでの時間を測定する時間測定部と、前記時間測定部が測定した時間に基づいて、前記遮断器の状態を判定する判定部と、を備える、遮断器状態診断システムである。
【0049】
以上、実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組合せを行うことができる。これら実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
なお、上述した遮断器状態診断装置100と、遮断器状態収集装置100aと、遮断器状態診断装置100bとは、コンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、各機能ブロックの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録する。この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、CPUが実行することで実現してもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROMなどの可搬媒体のことをいう。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクなどの記憶装置を含む。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、短時間の間、動的にプログラムを保持するものを含んでいてもよい。短時間の間、動的にプログラムを保持するものは、例えば、インターネットなどのネットワークや電話回線などの通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線である。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」には、サーバーやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。また、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。また、上記プログラムは、プログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。プログラマブルロジックデバイスは、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)である。
【0050】
なお、上述の遮断器状態診断装置100と、遮断器状態収集装置100aと、遮断器状態診断装置100bとは内部にコンピュータを有している。そして、上述した遮断器状態診断装置100と、遮断器状態収集装置100aと、遮断器状態診断装置100bとの各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。
ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどをいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1-1、1-2…ブッシング、2-1、2-2…主回路導体、3…主接点、4a…常開接点、4b…常閉接点、5…電流センサ、6…開放コイル、7…投入コイル、8…制御電源、9…遮断装置、10…遮断器、50…ネットワーク、100…遮断器状態診断装置、100a…遮断器状態収集装置、100b…遮断器状態診断装置、101-1、101-2…接点入力インターフェース、102…電流入力インターフェース、103…入力ポート、104、104a、104b…情報処理部、105…動作状態監視部、106、106b…ディスプレイ、107…リアルタイム時計、108、108a、108b…記憶部、109…出力ポート、110a、110b…通信部、120…操作部、1041…指令電流検出部、1042…開閉状態検出部、1043…時間測定部、1044、1044b…判定部、1045…作成部、1046…受付部、1081、1081a、1082…プログラム、1083…アプリ