(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】トレイおよびブランクシート
(51)【国際特許分類】
B65D 5/495 20060101AFI20230711BHJP
B65D 5/22 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
B65D5/495
B65D5/22 G
(21)【出願番号】P 2019015674
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2021-07-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏川 準司
(72)【発明者】
【氏名】中路 哲也
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3193465(JP,U)
【文献】米国特許第04272008(US,A)
【文献】米国特許第01704948(US,A)
【文献】米国特許第04361264(US,A)
【文献】実公昭43-017432(JP,Y1)
【文献】特開2005-067671(JP,A)
【文献】特開2012-116537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/495
B65D 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、
前記底板に連設された前後一対の端壁と、
前記底板に連設された左右一対の側壁と、
左右方向に延びている第一仕切り壁と、
前後方向に延びている第二仕切り壁と、を備え、
前記側壁の上縁部には、前記側壁の内方に折り返された内壁が連設されており、
前記内壁の前後の縁部には、内方に折り曲げられた第一支持片がそれぞれ連設され、
前記内壁の下部には、上方に向けて折り曲げ可能な第二支持片が形成されており、
前記第一仕切り壁は、左右の前記内壁の間に介設され、
前記第二仕切り壁は、左右の壁板からなり、
前記第一仕切り壁の上下一方の縁部には、三つの差込凹部が左右方向に間隔を空けて形成され
、
左右の前記差込凹部は、中央の前記差込凹部よりも深く形成されており、
前記各差込凹部が上側となるように前記第一仕切り壁を配置し、前記両壁板を筒状に開いた状態で、前記両壁板を左右の前記差込凹部にそれぞれ差し込んで前記第一仕切り壁に組み付け可能であるとともに、
前記各差込凹部が下側となるように前記第一仕切り壁を配置し、前記両壁板を左右に重ねた状態で、前記両壁板を中央の前記差込凹部に差し込んで前記第一仕切り壁に組み付け可能であることを特徴とするトレイ。
【請求項2】
請求項1に記載のトレイであって、
前記側壁の前後の縁部には、連結片が連設されるとともに、
前記端壁には、差込口が形成されており、
前記連結片の先端部が前記差込口に差し込まれていることを特徴とするトレイ。
【請求項3】
請求項2に記載のトレイであって、
前記連結片の先端部は、前記端壁の外面側から前記差込口に差し込まれ、前記端壁の内面側に突出していることを特徴とするトレイ。
【請求項4】
トレイを形成するためのブランクシートであって、
本体用シートと、仕切り用シートと、を備え、
前記本体用シートには、
底板と、
前記底板に連設された前後一対の端壁と、
前記底板に連設された左右一対の側壁と、が形成され、
前記側壁を前記底板に対して立ち上げたときに前記側壁の上縁部となる縁部には、前記側壁の内方に折り返される内壁が連設されており、
前記内壁の前後の縁部には、内方に折り曲げられる第一支持片がそれぞれ連設され、
前記内壁を前記側壁の内方に折り返したときに前記内壁の下部となる部位には、上方に向けて折り曲げ可能な第二支持片が形成されており、
前記仕切り用シートには、
左右方向に延びた状態で、左右の前記内壁の間に介設される第一仕切り壁と、
前後方向に延びた状態で、前記第一仕切り壁に組み付けられる第二仕切り壁と、が形成され、
前記第二仕切り壁は、左右の壁板からなり、
前記第一仕切り壁の上下一方の縁部には、三つの差込凹部が左右方向に間隔を空けて形成され
、
左右の前記差込凹部は、中央の前記差込凹部よりも深く形成されており、
前記各差込凹部が上側となるように前記第一仕切り壁を配置し、前記両壁板を筒状に開いた状態で、前記両壁板を左右の前記差込凹部にそれぞれ差し込んで前記第一仕切り壁に組み付け可能であるとともに、
前記各差込凹部が下側となるように前記第一仕切り壁を配置し、前記両壁板を左右に重ねた状態で、前記両壁板を中央の前記差込凹部に差し込んで前記第一仕切り壁に組み付け可能であることを特徴とするブランクシート。
【請求項5】
請求項4に記載のブランクシートであって、
前記側壁の前後の縁部には、連結片が連設されるとともに、
前記端壁には、前記連結片の先端部が差し込まれる差込口が形成されていることを特徴とするブランクシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイおよびトレイを形成するためのブランクシートに関する。
【背景技術】
【0002】
イチゴなどの青果物を詰めた容器を収容するための段ボール製のトレイとしては、底板と、底板に連設された前後一対の端壁と、底板に連設された左右一対の側壁と、底板上に設けられた十字形状の仕切り壁と、を備えているものがある。
【0003】
前記したトレイとしては、容器の開口縁部を仕切り壁および端壁に引っ掛けて、容器を宙吊りに収容できるものがある(例えば、特許文献1参照)。このように、容器を底板から離すことで、運搬時の振動が青果物に直接伝わるのを防止でき、また、重力による青果物の底つぶれを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のトレイとしては、容器を底板上に載せる平置きタイプのトレイも存在している。平置きタイプのトレイでは、容器を安定させることができる。ところで、宙吊りタイプおよび平置きタイプのどちらかを選ぶかは、使用者の好みに応じて異なるため、使用者のニーズに応えられるように、二種類のトレイを用意しておくことが望まれる。しかしながら、二種類のトレイを別々に製造する必要があるため、トレイの製造コストが高くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、前記した問題を解決し、宙吊りタイプおよび平置きタイプの両方に対応できるトレイおよびブランクシートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、第一の発明は、トレイであって、底板と、前記底板に連設された前後一対の端壁と、前記底板に連設された左右一対の側壁と、左右方向に延びている第一仕切り壁と、前後方向に延びている第二仕切り壁と、を備えている。前記側壁の上縁部には、前記側壁の内方に折り返された内壁が連設されている。前記内壁の前後の縁部には、内方に折り曲げられた第一支持片がそれぞれ連設され、前記内壁の下部には、上方に向けて折り曲げ可能な第二支持片が形成されている。前記第一仕切り壁は、左右の前記内壁の間に介設されている。前記第二仕切り壁は、左右の壁板からなる。前記第一仕切り壁の上下一方の縁部には、三つの差込凹部が左右方向に間隔を空けて形成され、左右の前記差込凹部は、中央の前記差込凹部よりも深く形成されている。前記各差込凹部が上側となるように前記第一仕切り壁を配置し、前記両壁板を筒状に開いた状態で、前記両壁板を左右の前記差込凹部にそれぞれ差し込んで前記第一仕切り壁に組み付け可能であるとともに、前記各差込凹部が下側となるように前記第一仕切り壁を配置し、前記両壁板を左右に重ねた状態で、前記両壁板を中央の前記差込凹部に差し込んで前記第一仕切り壁に組み付け可能である。
【0008】
前記課題を解決するため、第二の発明は、トレイを形成するためのブランクシートであって、本体用シートと、仕切り用シートと、を備えている。前記本体用シートには、底板と、前記底板に連設された前後一対の端壁と、前記底板に連設された左右一対の側壁と、が形成されている。前記側壁を前記底板に対して立ち上げたときに前記側壁の上縁部となる縁部には、前記側壁の内方に折り返される内壁が連設されている。前記内壁の前後の縁部には、内方に折り曲げられる第一支持片がそれぞれ連設されている。前記内壁を前記側壁の内方に折り返したときに前記内壁の下部となる部位には、上方に向けて折り曲げ可能な第二支持片が形成されている。前記仕切り用シートには、左右方向に延びた状態で、左右の前記内壁の間に介設される第一仕切り壁と、前後方向に延びた状態で、前記第一仕切り壁に組み付けられる第二仕切り壁と、が形成されている。前記第二仕切り壁は、左右の壁板からなる。前記第一仕切り壁の上下一方の縁部には、三つの差込凹部が左右方向に間隔を空けて形成され、左右の前記差込凹部は、中央の前記差込凹部よりも深く形成されている。前記各差込凹部が上側となるように前記第一仕切り壁を配置し、前記両壁板を筒状に開いた状態で、前記両壁板を左右の前記差込凹部にそれぞれ差し込んで前記第一仕切り壁に組み付け可能であるとともに、前記各差込凹部が下側となるように前記第一仕切り壁を配置し、前記両壁板を左右に重ねた状態で、前記両壁板を中央の前記差込凹部に差し込んで前記第一仕切り壁に組み付け可能である。
【0009】
本発明のトレイおよび本発明のブランクシートから形成されるトレイにおいて、容器を宙吊りに収容する場合には、内壁に連設された第一支持片を端壁の内面側に配置するとともに、内壁の第二支持片を上方に向けて折り曲げる。また、第二仕切り壁の両壁板を筒状に開いた状態で、第一仕切り壁に組み付けて、仕切り部材を底面上に配置する。このようにトレイを組み立てて、第一支持片の上縁部、第二支持片の上縁部および第二仕切り壁の筒状部位の上縁部によって、容器の開口縁部を三点支持することにより、容器を宙吊りの状態でトレイに収容できる。
【0010】
本発明のトレイおよび本発明のブランクシートから形成されるトレイにおいて、容器を平置きに収容する場合には、内壁に連設された第一支持片は内壁と側壁との間に挟み込み、内壁の第二支持片は折り曲げない。また、第二仕切り壁の両壁板を重ねた状態で、第一仕切り壁に組み付けて、第一仕切り壁および第二仕切り壁を底板の上面に配置する。このようにトレイを組み立てると、端壁、内壁、第一仕切り壁および第二仕切り壁によって区画された底板の上面の領域に容器を載置できる。
【0011】
以上のように、本発明のトレイおよび本発明のブランクシートから形成されるトレイでは、第一支持片、第二支持片、第一仕切り壁および第二仕切り壁の組み立て方を変えることで、宙吊りタイプおよび平置きタイプの両方に対応できる。
【0012】
前記したトレイおよびブランクシートにおいて、前記側壁の前後の縁部に連結片を連設するとともに、前記端壁に差込口を形成し、前記連結片の先端部を前記差込口に差し込むように構成することが好ましい。
【0013】
この構成では、トレイの組み立て工程において、底板に対して両端壁および両側壁を立ち上げたときに連結片の先端部を差込口に差し込むことで、両端壁および両側壁を筒状に固定できるため、トレイを組み立て易くなる。
【0014】
前記したトレイにおいて、前記連結片の先端部を前記端壁の外面側から前記差込口に差し込んで、前記端壁の内面側に突出させることが好ましい。
【0015】
この構成では、容器を宙吊りに収容する場合に、端壁の内面側に配置された第一支持片を連結片の先端部によって内側に押し出すことができるため、容器の開口縁部を第一支持片に引っ掛け易くなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のトレイおよびブランクシートでは、使用者のニーズに応えて、宙吊りタイプおよび平置きタイプの両方に対応できるため、トレイの製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係るトレイを宙吊りタイプに組み立てたときの斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るトレイのブランクシートを示した図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るトレイを宙吊りタイプに組み立てるときの仕切り部材を示した分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るトレイを宙吊りタイプに組み立てたときの平面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るトレイを平置きタイプに組み立てたときの斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るトレイを平置きタイプに組み立てるときの仕切り部材を示した分解斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るトレイを平置きタイプに組み立てたときの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右方向とは、本実施形態のトレイを説明する上で便宜上設定したものであり、トレイの構成を限定するものではない。
【0019】
本実施形態のトレイ1は、
図4に示すように、イチゴなどの青果物を詰めたプラスチック製の容器Pを収容するものである。容器Pは、上面が開口したトレイ形状であり、開口縁部は外側に突出している。本実施形態のトレイ1では、四つの容器Pを前後左右に並べて収容できる。
【0020】
本実施形態のトレイ1は、
図1および
図4に示すように、容器Pを宙吊りに収容する宙吊りタイプと、
図5および
図7に示すように、容器Pを平置きに収容する平置きタイプとの両方に対応できる。
以下の説明では、
図1に示す宙吊りタイプのトレイ1について説明した後に、
図5に示す平置きタイプのトレイ1について説明する。
【0021】
[宙吊りタイプ]
本実施形態のトレイ1は、
図1に示すように、底板10と、前後一対の端壁20,20と、左右一対の側壁30,30と、左右方向に延びている第一仕切り壁70と、前後方向に延びている第二仕切り壁80と、を備えている。
【0022】
底板10、両端壁20,20および両側壁30,30は、トレイ1の箱本体100を構成するものである。また、第一仕切り壁70および第二仕切り壁80は、トレイ1の仕切り部材90を構成するものである。
【0023】
トレイ1は、
図2に示すように、一枚の段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートSを各罫線において山折りまたは谷折りすることで形成される。
図2に示すブランクシートSは内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートSの各罫線(折線)は、ブランクシートSの表面を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。なお、罫線上に断続的なスリットを形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートSを折り曲げ易くなる。
【0024】
本実施形態のブランクシートSには、本体用シートS1および仕切り用シートS2が形成されている。
本体用シートS1は、箱本体100(
図1参照)を構成するパーツが形成された略正方形のシートである。仕切り用シートS2は、仕切り部材90(
図1参照)を構成するパーツが形成された略長方形のシートである。
本実施形態では、本体用シートS1の一辺に切断誘導線を介して仕切り用シートS2が連設されており、本体用シートS1および仕切り用シートS2によって一枚の四角形のブランクシートSが構成されている。
【0025】
底板10は、
図1に示すように、四角形に形成されている(
図2参照)。
底板10の前縁部には、罫線を介して、前側の端壁20が連設されている。端壁20は、四角形の壁板であり、底板10の前縁部から上方に向けて延びている。端壁20は、底板10に対して垂直に形成されている。
【0026】
端壁20の上縁部には、左右の差込口21,21(
図2参照)が形成されている。本実施形態の差込口21は、前側の端壁20の上縁部から下方に向けて延びている凹部である。左右の差込口21,21は、左右方向に間隔を空けて形成されており、左右対称に形成されている。
【0027】
底板10の後縁部には、罫線を介して、後側の端壁20が連設されている。前後の端壁20,20は前後対称に形成されている。
【0028】
底板10の左縁部には、罫線を介して、左側の側壁30が連設されている。側壁30は、四角形の壁板であり、底板10の左縁部から上方に向けて延びている。側壁30は、底板10に対して垂直に形成されている。
【0029】
側壁30の前縁部には、連結片31が連設されている。連結片31は、前側の端壁20の外面(前面)に重ねられている。連結片31の先端部は、端壁20の外面側から差込口21に差し込まれており、端壁20の内面側に突出している。
側壁30の後縁部にも、前縁部と同様に、連結片31が連設されており、この連結片31の先端部は後側の端壁20の外面側から差込口21に差し込まれている。
このように、側壁30の連結片31を端壁20の差込口21に差し込むことで、側壁30が端壁20に連結されている。
【0030】
底板10の右縁部には、右側の側壁30が連設されている。左右の側壁30,30は左右対称に形成されている。
そして、左右の側壁30,30を前後の端壁20,20に連結することで、
図4に示すように、前後の端壁20,20および左右の側壁30,30によって平面視で四角形の筒状の壁部が形成されている。
【0031】
右側の側壁30の上縁部には、
図1に示すように、罫線を介して、上縁板32が連設されている。上縁板32は、側壁30の上縁部から内方に向けて延びており、側壁30に対して垂直に形成されている。上縁板32は、側壁30の上縁部に沿って帯状に形成されている。
上縁板32の外側の縁部には、前後の受け部33,33が前後方向に間隔を空けて形成されている。受け部33は、上縁板32の上面よりも上方に突出している。
【0032】
上縁板32の内縁部には、罫線を介して、内壁40が連設されている。内壁40は、四角形の壁板であり、上縁板32の内縁部から下方に向けて延びている。内壁40は、側壁30の内面に重なっている。
内壁40の下縁部に形成された突起部を、底板10の左右の縁部に形成された係合穴に差し込むことで、内壁40の下縁部が底板10の上面に連結されている。
内壁40の上縁部において、前後方向の中央部には、取付穴40aが開口している。
【0033】
内壁40の後縁部には、罫線を介して、後側の第一支持片41が連設されている。第一支持片41は、内壁40に対して内方に折り曲げられており、後側の端壁20の内面側に配置されている。第一支持片41は、端壁20の内面側に突出した連結片31の先端部によって、トレイ1の内側に押し出されている。第一支持片41の上縁部は、内壁40の上縁部よりも低くなっている。
【0034】
内壁40の前縁部には、後側の第一支持片41と同様に、前側の第一支持片41が連設されている。前側の第一支持片41は、前側の端壁20の内面側に配置されており、連結片31の先端部によって、トレイ1の内側に押し出されている。
【0035】
内壁40の前後方向の中央部には、第二支持片42が形成されている。宙吊りタイプのトレイ1の第二支持片42は、内壁40の前後方向の中央部の下部を上方に向けて折り返した部位である。
図2に示すブランクシートSでは、第二支持片42は内壁40に対して折り返されておらず、内壁40と第二支持片42とが平坦な一枚の壁板を構成している。
【0036】
図1に示すように、第二支持片42を内壁40に対して折り返した状態では、第二支持片42の前部および後部の下縁部が、罫線を介して内壁40に連設されている。内壁40と第二支持片42との間の罫線は、内壁40の下縁部に沿って前後方向に延びている。
【0037】
第二支持片42を内壁40に対して折り返した状態では、第二支持片42の上縁部が内壁40の上縁部よりも低くなっている。また、第二支持片42の上縁部の中央部には、第二支持片42を折り返すときに指を掛けるための半円状の窪み部が形成されている。
【0038】
第二支持片42を内壁40に対して折り返した状態では、第二支持片42の前後方向の中央部から突出部42aが下方に突出している。突出部42aは、第二支持片42を内壁40に対して上方に向けて折り返す際に、内壁40の上部から切り離されて、下方に反転される。突出部42aの下縁部は、底板10の上面に当接している。
突出部42aの下縁部の中央部には、上方に向けて窪んでいる取付凹部42bが形成されている。
【0039】
左側の側壁30の上縁部には、右側の側壁30と同様に、上縁板32および内壁40が連設されており、内壁40に前後の第一支持片41,41が連設されるとともに、内壁40に第二支持片42が形成されている。
【0040】
第一仕切り壁70は、左右方向に延びている四角形の壁板であり、底板10の上面に垂直に立ち上げられている。本実施形態では、第一仕切り壁70の後面において左右方向の中央部に四角形の補強壁板75が重ねられている。
【0041】
第一仕切り壁70は、底板10の前後方向の中央部に配置されている。また、第一仕切り壁70は、左右の内壁40,40の間に介設されている。そして、第一仕切り壁70によって箱本体100の内部空間が前後に区画されている。
【0042】
第一仕切り壁70は、
図3に示すように、上下のいずれかに配置される二つの縁部のうち一方の縁部が他方の縁部よりも短くなっている。第一仕切り壁70の左右の側縁部は、他方の縁部よりも一方の縁部が内側に配置されるように傾斜している。
宙吊りタイプのトレイ1における第一仕切り壁70は、
図1に示すように、下縁部よりも上縁部が短くなるように配置されている。この状態では、第一仕切り壁70の左右の側縁部は、下端部よりも上端部がトレイ1の内側に配置されるように傾斜している。
【0043】
第一仕切り壁70の左右の側縁部の下端部は、左右の第二支持片42,42の取付凹部42b,42bにそれぞれ差し込まれている。これにより、第一仕切り壁70は、左右の第二支持片42,42に支持されている。
第二支持片42の内面は、第一仕切り壁70の側縁部に接している。これにより、第二支持片42は、下縁部よりも上縁部がトレイ1の内側に配置されるように傾斜した状態で、第一仕切り壁70の側縁部に支持されている。
【0044】
宙吊りタイプのトレイ1における第一仕切り壁70の上縁部には、
図3に示すように、三つの差込凹部71が左右方向に間隔を空けて形成されている。中央の差込凹部71は、第一仕切り壁70の上縁部の中央部に配置されている。左右の差込凹部71,71は、中央の差込凹部71の左右両側に配置されており、中央の差込凹部71よりも深く形成されている。
【0045】
第二仕切り壁80は、前後方向に延びており、左右の壁板81,81からなる。左右の壁板81,81の上縁部の前部および後部は、罫線を介して連設されている。第二仕切り壁80は、一枚の長方形のシートを折り畳んだものである。
【0046】
また、左右の壁板81,81の上縁部の中央部は切り離されている。左右の壁板81,81の上縁部の中央部は、前部および後部よりも低くなっている。壁板81の前後方向の中間点の前後両側は、上方に向けて凸形状となるように円弧状に形成されている。
【0047】
左右の壁板81,81の前後方向の中央部には、上下方向に延びている三本の罫線が前後方向に間隔を空けて形成されている。そして、宙吊りタイプのトレイ1(
図1参照)では、各罫線において左右の壁板81,81を折り曲げることで、左右の壁板81,81の前後方向の中央部が平面視で菱形の筒状に開かれている。
【0048】
宙吊りタイプのトレイ1では、
図1に示すように、左側の壁板81の中央部を第一仕切り壁70の左側の差込凹部71に差し込む。また、右側の壁板81の中央部を第一仕切り壁70の右側の差込凹部71に差し込む。このようにして、第二仕切り壁80が第一仕切り壁70に組み付けられている。
【0049】
第一仕切り壁70と第二仕切り壁80とを組み合わせることで、十字形状の仕切り部材90が形成されている。そして、
図4に示すように、仕切り部材90が底板10の上面の中央部に固定されることで、仕切り部材90によって箱本体100の内部空間が前後左右の四つの領域に区画されている。
【0050】
宙吊りタイプのトレイ1において、例えば、箱本体100内の右前の領域に上方から容器Pを入れると、右前の第一支持片41の上縁部、右側の第二支持片42の前部の上縁部、第二仕切り壁80の中央部の右前の上縁部によって、容器Pの開口縁部が三点支持される。
このとき、容器Pの底面が底板10の上面から離れるように、第一支持片41、第二支持片42および第二仕切り壁80の各上縁部の高さが設定されている。したがって、宙吊りタイプのトレイ1では、容器Pが宙吊りに収容される。
【0051】
前記した箱本体100内の右前の領域と同様に、右後の領域、左前の領域、左後の領域においても、第一支持片41の上縁部、第二支持片42の上縁部、第二仕切り壁80の中央部の上縁部によって、容器Pの開口縁部が三点支持される。
【0052】
[平置きタイプ]
次に、本実施形態のトレイ1を平置きタイプに組み立てた場合について説明する。
本実施形態のトレイ1では、
図5に示すように、前記した宙吊りタイプ(
図1参照)と同じパーツを用いて平置きタイプに組み立てることができる。つまり、
図2に示すブランクシートSを用いて宙吊りタイプおよび平置きタイプの両方を組み立てることができる。
【0053】
平置きタイプのトレイ1では、
図5に示すように、内壁40に連設された第一支持片41を内壁40と側壁30との間に挟み込む。また、内壁40の第二支持片42は折り曲げずに、内壁40と第二支持片42とを一つの平面にしておく。
【0054】
平置きタイプのトレイ1では、
図6に示すように、第一仕切り壁70が宙吊りタイプのトレイ1(
図1参照)における第一仕切り壁70とは上下が反対に配置されている。つまり、第一仕切り壁70の下縁部に差込凹部71が形成された状態となっている。
また、第二仕切り壁80は、両壁板81,81を重ねた状態で、第一仕切り壁70の中央の差込凹部71に差し込まれている。
このように、第一仕切り壁70と第二仕切り壁80とを組み合わせることで、十字形状の仕切り部材90が形成されている。
【0055】
平置きタイプのトレイ1では、第一仕切り壁70の左右の側縁部の上端部を、左右の内壁40,40の取付穴40a,40aに差し込むことで、第一仕切り壁70が左右の内壁40,40に支持されている。
平置きタイプのトレイ1において、仕切り部材90を底板10の上面の中央部に固定すると、
図7に示すように、仕切り部材90によって底板10の上面が前後左右の四つの領域に区画される。
そして、平置きタイプのトレイ1では、底板10の上面に形成された各領域に容器Pを上方から載置することで、四つの容器Pを平置きに収容できる。
【0056】
[トレイの作用効果]
本実施形態のブランクシートS(
図2参照)から形成されるトレイ1は、
図1および
図5に示すように、第一支持片41、第二支持片42、第一仕切り壁70および第二仕切り壁80の組み立て方を変えることで、宙吊りタイプおよび平置きタイプに対応できる。
したがって、本実施形態のトレイ1では、使用者のニーズに応えて、宙吊りタイプおよび平置きタイプの両方に対応できるため、トレイ1の製造コストを低減できる。
【0057】
本実施形態のトレイ1では、組み立て工程において、底板10に対して両端壁20,20および両側壁30,30を立ち上げたときに、連結片31の先端部を端壁20の差込口21に差し込む。これにより、両端壁20,20および両側壁30,30を筒状に固定できるため、トレイ1を組み立て易くなる。
【0058】
本実施形態のトレイ1では、
図4に示すように、宙吊りタイプに組み立てたときに、第一支持片41が連結片31の先端部によってトレイ1の内側に押し出されている。また、第二支持片42の内面が第一仕切り壁70の側縁部に接することで、第二支持片42がトレイ1の内側に入り込んでいる。これにより、本実施形態のトレイ1では、容器Pの開口縁部を第一支持片41および第二支持片42に引っ掛け易くなっている。
【0059】
本実施形態のトレイ1の上側に他のトレイ1を重ねた場合には、上縁板32から突出した受け部33が、他のトレイ1の底板10の係合穴に差し込まれるため、上下のトレイ1,1を安定して重ねることができる。
【0060】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態の第一仕切り壁70および第二仕切り壁80では、
図1に示すように、第一仕切り壁70の差込凹部71に第二仕切り壁80を差し込んでいるが、
本発明の参考例としては、第二仕切り壁80に差込凹部を形成し、その差込凹部に第一仕切り壁70を差し込んでもよい。
【0061】
本実施形態のトレイ1では、前後の端壁20,20および左右の側壁30,30が平面視で四角形の筒状になっているが、例えば、端壁20と側壁30との間に傾斜壁を形成し、壁部を平面視で六角形や八角形などの多角形の筒状に形成してもよい。
【0062】
本実施形態では、
図2に示すように、本体用シートS1および仕切り用シートS2が一枚のブランクシートSに設けられているが、本体用シートS1、第一仕切り壁70、補強壁75および第二仕切り壁80を別々のシートで構成してもよい。
【0063】
本実施形態のトレイ1は、
図4に示すように、青果物を詰めたプラスチック製の容器Pを収容するものであるが、本発明のトレイに収容される収容物は限定されるものではない。
【0064】
本実施形態のトレイ1は段ボール製であるが、各種公知の板紙によってトレイを形成してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 トレイ
10 底板
20 端壁
21 差込口
30 側壁
31 連結片
32 上縁板
40 内壁
40a 取付穴
41 第一支持片
42 第二支持片
42a 突出部
42b 取付凹部
70 第一仕切り壁
71 差込凹部
75 補強壁板
80 第二仕切り壁
81 壁板
90 仕切り部材
100 箱本体
P 容器
S ブランクシート
S1 本体用シート
S2 仕切り用シート