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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】モータユニット
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/18 20060101AFI20230711BHJP
【FI】
H02K1/18 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019091655
(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公開番号】P2020188584
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水谷 竜彦
(72)【発明者】
【氏名】初田 匡之
(72)【発明者】
【氏名】藤原 久嗣
(72)【発明者】
【氏名】石川 勇樹
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-306751(JP,A)
【文献】特開平09-209935(JP,A)
【文献】国際公開第2006/090484(WO,A1)
【文献】実開昭54-043504(JP,U)
【文献】実開昭63-187573(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に沿って延びるモータ軸を中心として回転可能なロータと、
前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、
内部に前記ロータおよび前記ステータを収容するハウジングと、を有し、
前記ハウジングは、内部の前記モータ軸に沿う軸方向一方側に前記ステータを保持するステータ保持部を有し、
前記ステータは、
前記軸方向に貫通するとともに周方向に配列された複数のステータ固定孔と、
各前記ステータ固定孔に前記軸方向他方側から挿入されて前記ステータ保持部にねじ止めされる複数の固定ボルトと、を有し、
前記ステータの前記軸方向他方側の端面の少なくとも下部に沿って配置されるとともに、少なくとも2個の前記固定ボルトによって固定される支持部材を有し、
前記支持部材は、径方向外縁から径方向外方に延びる複数の支持凸部を有し、
前記支持凸部の径方向外端部は、前記ステータの外周面よりも径方向外方に位置し、
前記支持凸部は、第1支持凸部と、第2支持凸部と、を含み、
前記第1支持凸部の径方向外端部の一部は、前記ハウジングの内周面上における前記ステータの下部の外周面に対向する部分と接触し
前記第2支持凸部の径方向外端部の一部は、前記ハウジングの内周面上における前記ステータの上部の外周面に対向する部分と隙間をあけて対向するモータユニット。
【請求項2】
前記支持凸部は、前記モータ軸を中心とする周方向において、前記モータ軸を含み鉛直に延びる鉛直面の両側に配置される請求項に記載のモータユニット。
【請求項3】
前記モータ軸を中心とする周方向において、前記モータ軸を含み鉛直に延びる鉛直面は前記第1支持凸部および前記第2支持凸部によって両側から挟まれる請求項1または請求項2に記載のモータユニット。
【請求項4】
前記ステータは、前記軸方向に積層された複数の電磁鋼板を有し、
少なくとも前記軸方向他方側の外端に配置される前記電磁鋼板が、前記支持部材を兼ねる請求項1から請求項のいずれかに記載のモータユニット。
【請求項5】
前記支持部材はアーチ状であり、前記固定ボルトが挿入される支持ボルト孔を少なくとも2個備え、
前記支持ボルト孔の一方には、鉛直方向において最も下に配置される前記固定ボルトが貫通する請求項1から請求項のいずれかに記載のモータユニット。
【請求項6】
前記支持部材は、円環状である請求項1から請求項のいずれかに記載のモータユニット。
【請求項7】
前記ステータは、径方向外縁から径方向に突出するとともに前記軸方向に延びるステータ固定凸部を有し、
前記ステータ固定孔は、前記固定凸部の内部に形成される請求項1から請求項のいずれかに記載のモータユニット。
【請求項8】
前記ハウジングは、内周面から径方向内側に突出するハウジング凸部を有し、
前記ハウジング凸部は、前記ステータの下部の外周面と接触する請求項1から請求項のいずれかに記載のモータユニット。
【請求項9】
前記ステータは、ステータコアを有し、
前記ハウジングは、軸方向に延びる筒状である周壁部を有し、
前記周壁部の内部には、前記ロータおよびステータが収容され、
前記周壁部の内周面には、軸方向他方側が広くなる傾斜が形成されている請求項1から請求項8のいずれかに記載のモータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2017-127103号公報に記載の電動機では、ステータが、複数のティース部よりも径方向外側に周方向に間隔を置いて形成される複数のボルト挿通部を備える。各ボルト挿通部のボルト孔にボルトを挿通し、ボルトの先端部をハウジングに形成されたねじ穴に螺合することで、ステータコアすなわち電動機用ステータがハウジングに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-127103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動機を車両の駆動用に用いる場合、電動機の中心軸が水平となるように配置される。特開2017-127103号公報に記載の電動機において、電動機用ステータは、ボルトによって片持ち保持される。そのため、ステータの重量によって片持ち保持における自由端側が垂れ下がり、電動機の安定した動作が困難になる虞がある。
【0005】
そこで本発明は、簡単な構造を有するとともに安定した動作が可能なモータユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なモータユニットは、水平方向に沿って延びるモータ軸を中心として回転可能なロータと、前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、内部に前記ロータおよび前記ステータを収容するハウジングと、を有し、前記ハウジングは、内部の前記モータ軸に沿う軸方向一方側に前記ステータを保持するステータ保持部を有し、前記ステータは、前記軸方向に貫通するとともに周方向に配列された複数のステータ固定孔と、各前記ステータ固定孔に前記軸方向他方側から挿入されて前記ステータ保持部にねじ止めされる複数の固定ボルトと、を有し、前記ステータの前記軸方向他方側の端面の少なくとも下部に沿って配置されるとともに、少なくとも2個の前記固定ボルトによって固定される支持部材を有し、前記支持部材は、径方向外縁から径方向外方に延びる複数の支持凸部を有し、前記支持凸部の径方向外端部は、前記ステータの外周面よりも径方向外方に位置し、前記支持凸部は、第1支持凸部と、第2支持凸部と、を含み、前記第1支持凸部の径方向外端部の一部は、前記ハウジングの内周面上における前記ステータの下部の外周面に対向する部分と接触し、前記第2支持凸部の径方向外端部の一部は、前記ハウジングの内周面上における前記ステータの上部の外周面に対向する部分と隙間をあけて対向するモータユニット。
【発明の効果】
【0007】
本発明の例示的なモータユニットによれば、簡単な構造を有するとともに安定した動作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態のモータユニットの概念図である。
図2図2は、モータユニットの斜視図である。
図3図3は、モータユニットの閉塞部材53を取り外した側面図である。
図4図4は、図3に示すモータユニット1のIV-IV線で切断した断面図である。
図5図5は、図3に示すモータユニットのV-V線で切断した断面図である。
図6図6は、モータユニットのギヤ部を示す斜視図である。
図7図7は、ハウジングの分解斜視図である。
図8図8は、支持部材を示す平面図である。
図9図9は、支持部材の周方向中間部に配置された第1支持凸部と周壁部の内周面との接触部分の拡大図である。
図10図10は、支持部材の周方向端部に配置された第1支持凸部と周壁部の内周面との接触部分の拡大図である。
図11図11は、支持部材の第2支持凸部と周壁部の内周面との接触部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータユニットについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
以下の説明では、モータユニット1が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、重力方向を規定して説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向(すなわち上下方向)を示し、+Z方向が上側(重力方向の反対側)であり、-Z方向が下側(重力方向)である。また、X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であってモータユニット1が搭載される車両の前後方向を示し、+X方向が車両前方であり、-X方向が車両後方である。ただし、+X方向が車両後方であり、-X方向が車両前方となることもありうる。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の幅方向(左右方向)を示し、+Y方向が車両左方であり、-Y方向が車両右方である。但し、+X方向が車両後方となる場合には、+Y方向が車両右方であり、-Y方向が車両左方となることもありうる。すなわち、X軸の方向に関わらず、単に+Y方向が車両左右方向の一方側となり、-Y方向が車両左右方向の他方側となる。また、モータユニット1の車両への搭載方法によっては、X軸方向が車両の幅方向(左右方向)で、Y軸方向が車両の前後方向になることもありうる。
【0011】
以下の説明において特に断りのない限り、モータ2のモータ軸J2に平行な方向(Y軸方向)を単に「軸方向」と呼び、モータ軸J2と直交する径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸J2を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。さらに、上述した「平行な方向」は、完全に平行な場合のみでなく、略平行な方向も含む。
【0012】
<1.モータユニット1>
以下、図面を基に本発明の例示的な一実施形態にかかるモータユニット1について説明する。図1は、一実施形態のモータユニット1の概念図である。図2は、モータユニット1の斜視図である。図3は、モータユニット1の閉塞部材53を取り外した側面図である。図4は、図3に示すモータユニット1のIV-IV線で切断した断面図である。図5は、図3に示すモータユニット1のV-V線で切断した断面図である。なお、図1は、あくまで概念図であり、各部の配置および寸法は、実際のモータユニット1と同じであるとは限らない。また、図3では、インバータユニット7の図示を省略している。さらに、図4図5では、ギヤ部3およびインバータユニット7の図示を省略している。
【0013】
モータユニット1は、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、少なくともモータを動力源とする車両に搭載される。モータユニット1は、上記の自動車の動力源として使用される。
【0014】
図1に示すように、モータユニット1は、モータ2と、ギヤ部3と、ポンプ4と、ハウジング5と、インバータユニット7と、を有する。
【0015】
図1に示すように、モータ2は、水平方向に延びるモータ軸J2を中心として回転するロータ21と、ロータ21の径方向外側に位置するステータ25と、を有する。ハウジング5の内部は、モータ2およびギヤ部3を収容する収容空間6が設けられる。収容空間6は、モータ2を収容するモータ収容部61と、ギヤ部3を収容するギヤ収容部62と、に区画される。
【0016】
<2.モータ2>
モータ2は、ハウジング5のモータ収容部61に収容される。モータ2は、ロータ21と、ステータ25と、を有する。
【0017】
<2.1 ロータ21>
ロータ21は、図示略のバッテリからステータ25に電力が供給されることで回転する。ロータ21は、モータシャフト22と、ロータコア23と、ロータマグネット(不図示)と、を有する。ロータ21は、水平方向に延びるモータ軸J2を中心として回転可能である。
【0018】
モータシャフト22は、水平方向かつ車両の幅方向に延びるモータ軸J2を中心として軸方向に延びる。モータシャフト22は、モータ軸J2を中心として回転する。モータシャフト22は、内部にモータ軸J2に沿って延びる内周面を有する中空部220が設けられた中空シャフトである。
【0019】
モータシャフト22は、ハウジング5のモータ収容部61とギヤ収容部62とを跨いで延びる。モータシャフト22の一方の端部(+Y側)は、ギヤ収容部62側に突出する。ギヤ収容部62内に突出するモータシャフト22の端部には、ギヤ部3の後述する第1ギヤ311が固定される。モータシャフト22は、不図示のベアリングによってハウジング5に回転可能に支持される。
【0020】
また、モータシャフト22は、モータ収容部61内の部分と、ギヤ収容部62内の部分とに分割可能であってもよい。モータシャフト22が分割可能である場合、分割されたモータシャフト22は、例えば、雄ねじおよび雌ねじを用いたねじカップリングを採用することが可能である。また、分割されたモータシャフト22を溶接等の固定方法にて接合してもよい。
【0021】
ロータコア23は、珪素鋼板を積層して形成される。ロータコア23は、軸方向に沿って延びる円柱体である。ロータコア23には、複数のロータマグネット(不図示)が固定される。複数のロータマグネット(不図示)は、磁極を交互にして周方向に沿って並ぶ。
【0022】
<2.2 ステータ25>
ステータ25は、ロータ21を径方向外側から囲む。すなわち、ステータ25は、ロータ21と径方向に隙間を介して対向する。モータ2は、ステータ25の内側にロータ21が回転可能に配置されたインナーロータ型モータである。ステータ25は、ステータコア26と、コイル27と、固定ボルト28と、ステータコア26とコイル27との間に介在するインシュレータ(図示略)とを有する。ステータ25は、ハウジング5に保持される。
【0023】
<2.2.1 ステータコア26>
ステータコア26は、複数枚のケイ素鋼板等の電磁鋼板を積層して構成される。なお、磁性体の粉末を焼結等によって成形した成形体であってもよい。ステータコア26は、円環状のヨークの内周面から径方向内方に複数の磁極歯(不図示)を有する。磁極歯の間には、コイル線が掛けまわされる。磁極歯に掛けまわされたコイル線は、コイル27を構成する。コイル線は、図示略のバスバーを介してインバータユニット7に接続される。コイル27は、ステータコア26の軸方向端面から突出するコイルエンド271を有する。コイルエンド271は、ロータ21のロータコア23の端部よりも軸方向に突出する。
【0024】
ステータコア26は、ステータ固定凸部261と、ステータ固定孔262と、を有する。ステータ固定凸部261は、ステータコア26の径方向外縁から径方向外方に突出するとともに、軸方向に延びる。ステータ固定凸部261は、ステータコア26と同一の部材で形成される。ステータ固定孔262は、ステータ固定凸部261の内部に形成され、ステータ固定凸部261を軸方向に貫通する。すなわち、ステータ2は、径方向外縁から径方向に突出するとともに軸方向に延びるステータ固定凸部261を有し、ステータ固定孔262は、ステータ固定凸部261の内部に形成される。ステータ固定凸部261がステータコア26の径方向外縁から径方向外方に突出させるとともに、ステータ固定凸部261にステータ固定孔262を形成することで、ステータコア26の内部で発生する磁力の乱れを抑制できる。
【0025】
固定ボルト28は、ステータ固定孔262に挿入される。固定ボルト28は、ステータコア26の軸方向の長さよりも長く、少なくとも先端に雄ねじを有する。固定ボルト28をステータ固定孔262の軸方向他方側(-Y方向側)の開口から挿入したとき、固定ボルト28の先端は、ステータ固定孔262の軸方向一方側(+Y方向側)から突出する。つまり、固定ボルト28に形成された雄ねじがステータ固定孔262の軸方向一方側(+Y方向側)から突出する。固定ボルト28のステータ固定孔262から突出した先端の雄ねじを、ハウジング5の後述するステータ保持部517のねじ穴519にねじ込むことで、ステータコア26が固定される。
【0026】
すなわち、ステータ2は、軸方向に貫通するとともに周方向に配列された複数のステータ固定孔262と、ステータ固定孔262に軸方向他方側から挿入されてステータ保持部517にねじ止めされる複数の固定ボルト28と、を有する。
【0027】
上述したように、ステータコア26は、ステータ固定凸部261に形成されたステータ固定孔262に固定ボルト28を挿入し、ハウジング5のステータ保持部517に固定ボルト28をねじ込むことで固定される。本実施形態のステータコア26では、安定して保持するため、ステータ固定凸部261およびステータ固定孔262を4個備えている。そして、4個のステータ固定凸部261およびステータ固定孔262は、いずれも周方向に等間隔で配置される。しかしながら、ステータ固定凸部261およびステータ固定孔262の数および配置はこれに限定されない。4個以外であってもよいし、周方向間隔にばらつきがあってもよい。
【0028】
図3に示すように、本実施形態にかかるモータユニット1において、ステータ保持部517は、軸方向から見て、モータ軸J2の上下左右に配置される。なお、ここで、上下は、モータ軸J2に対して正確に鉛直方向上方、下方だけでなく、ステータコア26全体に対する上方、下方も含む。左右も同様に、ステータコア26の全体に対する左方、右方も含む。
【0029】
<3. ギヤ部3>
ギヤ部3は、モータの駆動力を車両の車輪を駆動する駆動シャフトDsに伝達する。ギヤ部3の詳細について、図面を参照して説明する。図6は、モータユニット1のギヤ部3を示す斜視図である。図1図6に示すように、ギヤ部3は、ハウジング5のギヤ収容部62に収容される。ギヤ部3は、軸方向一方側(+Y方向側)においてモータシャフト22に接続される。ギヤ部3は、減速装置31と、差動装置32と、を有する。
【0030】
<3.1 減速装置31>
図1図6に示すように、減速装置31は、モータシャフト22に接続される。減速装置31は、モータ2の回転速度を減じて、モータ2から出力されるトルクを減速比に応じて増大させる機能を有する。減速装置31は、モータ2から出力されるトルクを差動装置32へ伝達する。
【0031】
減速装置31は、第1ギヤ(中間ドライブギヤ)311と、第2ギヤ(中間ギヤ)312と、第3ギヤ(ファイルナルドライブギヤ)313と、中間シャフト314と、を有する。モータ2から出力されるトルクは、モータシャフト22、第1ギヤ311、第2ギヤ312、中間シャフト314および第3ギヤ313を介して差動装置32のリングギヤ(ギヤ)321へ伝達される。各ギヤのギヤ比およびギヤの個数等は、必要とされる減速比に応じて種々変更可能である。減速装置31は、各ギヤの軸芯が平行に配置される平行軸歯車タイプの減速機である。
【0032】
第1ギヤ311は、モータシャフト22の外周面に設けられる。第1ギヤ311は、モータシャフト22と同一の部材であってもよいし、別の部材であって強固に固定されてもよい。第1ギヤ311は、モータシャフト22とともに、モータ軸J2を中心に回転する。
【0033】
中間シャフト314は、モータ軸J2と平行な中間軸J4に沿って延びる。中間シャフト314の両端は、ベアリングを介して後述する第1ハウジング部材51の側板部512および第2ハウジング部材52に回転可能に支持される。
【0034】
中間シャフト314は、ハウジング5に中間軸J4を中心として回転可能に支持される。第2ギヤ312および第3ギヤ313は、中間シャフト314の外周面に設けられる。第2ギヤ312は、中間シャフト314と同一の部材であってもよいし、別の部材であって強固に固定されてもよい。第3ギヤ313も第2ギヤ312と同様である。第3ギヤ313は、第2ギヤ312に対して側板部512側に位置する。
【0035】
第2ギヤ312と第3ギヤ313とは、中間シャフト314を介して接続される。第2ギヤ312および第3ギヤ313は、中間軸J4を中心として回転する。第2ギヤ312は、第1ギヤ311に噛み合う。第3ギヤ313は、差動装置32のリングギヤ321と噛み合う。
【0036】
モータシャフト22のトルクは、第1ギヤ311から第2ギヤ312に伝達される。そして、第2ギヤ312に伝達されたトルクは、中間シャフト314を介して第3ギヤ313に伝達される。さらに、第3ギヤ313に伝達されたトルクは、差動装置32のリングギヤ321に伝達される。このようにして、減速装置31は、モータ2から出力されたトルクを、差動装置32に伝達する。
【0037】
<3.2 差動装置32>
差動装置32は、車両の駆動シャフトDsに取り付けられる。差動装置32は、モータ2の出力トルクを駆動シャフトDsに伝達する。駆動シャフトDsは、差動装置32の左右にそれぞれ取り付けられている。差動装置32は、例えば、車両の旋回時に、左右の車輪(駆動シャフトDs)の速度差を吸収しつつ、左右の駆動シャフトDsに同トルクを伝える機能を有する。差動装置32は、リングギヤ321と、ギヤハウジング(不図示)と、一対のピニオンギヤ(不図示)と、ピニオンシャフト(不図示)と、一対のサイドギヤ(不図示)と、を有する。
【0038】
リングギヤ321は、モータ軸J2と平行な差動軸J5を中心として回転する。リングギヤ321には、モータ2から出力されるトルクが減速装置31を介して伝えられる。
【0039】
<3.3 パーキング機構33>
例えば、電気自動車では、サイドブレーキ以外に車両にブレーキをかける制動機構がない。そのため、モータユニット1には、シフトレバー(不図示)をパーキングの位置に移動させたときに、車両をロックするパーキング機構33が取り付けられる場合がある。
【0040】
図6に示すように、パーキング機構33は、パーキングギヤ331と、回転阻止部332と、パーキングモータ333と、を有する。パーキングギヤ331は、中間シャフト314に固定され、中間シャフト314とともに中間軸J4周りに回転する。回転阻止部332は、パーキングギヤ331の歯間に移動してパーキングギヤ331の回転を阻止する。パーキングモータ333は、回転阻止部332を駆動する。
【0041】
モータ2の動作時において、回転阻止部332は、パーキングギヤ331から退避する。なお、回転阻止部332のパーキングギヤ331からの退避は、例えば、ばね等の弾性部材によってなされる。一方、シフトレバーがパーキングの位置にあるときは、パーキングモータ333が回転阻止部332をパーキングギヤ331の歯間に移動させる。これにより、回転阻止部332が、パーキングギヤ331の回転を阻止し、車両を制動状態に維持する。車両がHV、PHV等で、内燃機関および変速機を有する場合、パーキング機構33は省略可能である。
【0042】
<4. ハウジング5>
図7は、ハウジング5の分解斜視図である。ハウジング5は、第1ハウジング部材51と、第2ハウジング部材52と、閉塞部材53と、を有する。第2ハウジング部材52は、第1ハウジング部材51の軸方向一方側(+Y方向側)に位置する。閉塞部材53は、第1ハウジング部材51の軸方向他方側(-Y方向側)に位置する。ハウジング5は4以上の部材で構成されてもよい。
【0043】
図1において、ハウジング5は、内部に収容空間6を有する。収容空間6内には、モータ2およびギヤ部3が収容される。収容空間6は、後述する側板部512によってモータ収容部61とギヤ収容部62とに区画される。モータ収容部61には、モータ2が収容される。ギヤ収容部62には、ギヤ部3(すなわち、減速装置31および差動装置32)が収容される。閉塞部材53は、第1ハウジング部材51の周壁部511に固定される。閉塞部材53は、筒状の第1ハウジング部材51の開口を塞ぐ。すなわち、ハウジング5は、内部にロータ21およびステータ25を収容する。
【0044】
第1ハウジング部材51の周壁部511と閉塞部材53とによって囲まれた空間にモータ2が収容される。すなわち、周壁部511と閉塞部材53とは、モータ収容部61を構成する。同様に、第1ハウジング部材51の側板部512と第2ハウジング部材52とによって囲まれた空間にギヤ部3が収容される。側板部512と第2ハウジング部材52とは、ギヤ収容部62を構成する。
【0045】
第1ハウジング部材51は、周壁部511と、側板部512と、挿通孔514と、第1駆動シャフト通過孔515と、側板開口516と、ステータ保持部517と、を有する。
【0046】
周壁部511は、軸方向に延びる筒状である。周壁部511の内部には、モータ2が収容される。周壁部511の内側の空間は、モータ収容部61を構成する。本実施形態の第1ハウジング部材51において、周壁部511と、側板部512とは、同一の部材で形成される。周壁部511の軸方向一方側(+Y方向側)の端部は側板部512にて閉じられる。
【0047】
側板部512は、突出部513を有する。突出部513は、周壁部511よりも鉛直方向下方側(-Z方向側)に突出する。第1駆動シャフト通過孔515は、突出部513に備えられる。駆動シャフトDsは、第1駆動シャフト通過孔515を回転可能な状態で貫通する。駆動シャフトDsと第1駆動シャフト通過孔515との間は、オイルCLの漏れを抑制するため、オイルシール(不図示)が設けられる。駆動シャフトDsの先端には、車輪を回転させる車軸(不図示)が接続される。また、突出部513の軸方向他方側(-Y方向側)には、ポンプ収容部54が備えられる。
【0048】
挿通孔514は、側板部512に形成され、軸方向に貫通する。挿通孔514の中心は、モータ軸J2と一致する。そして、挿通孔514には、モータシャフト22が挿通される。側板開口516は、モータ収容部61とギヤ収容部62とを区画する側板部512に設けられる。側板開口516は、モータ収容部61とギヤ収容部62とを連通させる。
【0049】
ステータ保持部517は、ステータコア26を保持する。図4に示すように、ステータ保持部517は、周壁部511の内部に配置され、径方向内方に突出する。さらに詳しくは、ステータ保持部517は、周壁部511の内部の軸方向一方側(+Y方向側)に配置される。すなわち、ステータ保持部517は、ハウジング5内部のモータ軸J2に沿う軸方向一方側に配置されてステータ2を保持する。ステータ保持部517は、軸方向に延びるねじ穴519を有する。
【0050】
ステータ保持部517のねじ穴519は、ステータ固定孔262に挿入された固定ボルト28のステータ固定孔262の軸方向一方側(+Y方向側)から突出する部分が挿入される。固定ボルト28の少なくとも先端には、雄ねじが形成されている。そして、ねじ穴519には、固定ボルト28に形成された雄ねじをねじ止め可能な雌ねじを有する。ステータコア26が4個のステータ固定凸部261およびステータ固定孔262を有しているため、ステータ保持部517も同数、すなわち、4個備えられる。
【0051】
ここで、ステータコア26の周壁部511の内部への取り付けについて説明する。インシュレータ、コイル27、固定ボルト28等の部品が取り付けられたステータコア26が周壁部511の軸方向他方側の開口から挿入される。このとき、ステータコア26は、ステータ固定凸部261がステータ保持部517と軸方向に重なった状態でモータ軸J2に沿って軸方向他方側から一方側に周壁部511の内部に挿入される。このとき、固定ボルト28は、ステータ固定孔262に挿入されている。
【0052】
ステータ固定凸部261の軸方向一方側(+Y方向側)の端面をステータ保持部517に接触させ、固定ボルト28の雄ねじを、ステータ保持部517のねじ穴519にねじ込む。4か所のすべての固定ボルト28の雄ねじをねじ穴519にねじ込むことで、ステータコア26は、ステータ保持部517に接触した状態で、保持される。つまり、ステータコア26は、第1ハウジング部材51の内部に固定される。
【0053】
モータユニット1において、ステータコア26は、周壁部511の内部に収容される。このとき、周壁部511の内周面は、ステータコア26の挿入を容易にするため、開口側、つまり、軸方向他方側が広くなる傾斜が形成されている。
【0054】
図4に示すように、周壁部511の内部には、ハウジング凸部518が形成される。ハウジング凸部518は、周壁部511の内周面の下部から径方向内側に突出する。ハウジング凸部518の径方向内端は、周壁部511の内部に保持されたステータコア26の外周面の鉛直下側の部分と接触する。すなわち、ハウジング5は、内周面から径方向内側に突出するハウジング凸部518を有し、ハウジング凸部518は、ステータ2の外周面の鉛直下方に面する部分と接触する。
【0055】
つまり、ハウジング凸部518は、ステータコア26を鉛直下側から支持する。ハウジング凸部518は、周壁部511の内部に配置された、ステータ保持部517よりも軸方向他方側に配置され、軸方向に延びる。つまり、ハウジング凸部518は、ステータコア26の外周面の鉛直下側の部分の軸方向一方側(+Y方向側)の一部を鉛直下側から支持する。なお、図4に示すモータユニット1では、ハウジング凸部518は、ステータコア26のステータ固定凸部261の鉛直下側を支持しているが、これに限定されない。ステータコア26の下部の外周面と接触すればよい。
【0056】
本実施形態にかかるモータユニット1では、モータ軸J2が水平方向に延びる。そのため、ステータコア26は、軸方向一方側(+Y方向側)の端部がステータ保持部517に固定ボルト28で固定されて軸方向一方側(+Y方向側)の一部がハウジング凸部518に支持される。
【0057】
上述したとおり、ステータコア26は、電磁鋼板を積層した構成であり重量が大きい。そのため、ステータコア26の軸方向他方側(-Y方向側)の端部が自由端である場合、軸方向他方側(-Y方向側)の端部が下方にたわむ。本実施形態にかかるモータユニット1は、ステータコア26の軸方向他方側(-Y方向側)のたわみを防止する支持部材8を備える。
【0058】
図8は、支持部材8を示す平面図である。図9は、支持部材8の周方向中間部に配置された第1支持凸部841と周壁部511の内周面との接触部分の拡大図である。図10は、支持部材8の周方向端部に配置された第1支持凸部841と周壁部511の内周面との接触部分の拡大図である。図11は、支持部材8の第2支持凸部842と周壁部511の内周面との接触部分の拡大図である。
【0059】
図8に示すように、支持部材8は、支持フレーム81と、フレーム取付凸部82と、フレーム取付孔83と、支持凸部84とを有する。支持部材8は、ステータコア26の重量を支持可能な強度を有する。支持フレーム81は、円環を周方向に切断した形状、換言すると、アーチ状の板部材である。以下の説明において、支持フレーム81に対し、ステータコア26に取り付けた状態を基準として軸方向、径方向、周方向を定義する。なお、支持フレーム81は、アーチ状に限定されない。例えば、折れ線状であってもよいし、棒状であってもよい。また、支持フレーム81は円環状であってもよい。すなわち、支持部材8は、円環状であってもよい。
【0060】
フレーム取付凸部82は、支持フレーム81の径方向外縁から径方向外側に延びる。本実施形態において、支持部材8は、2個のフレーム取付凸部82を有する。2個のフレーム取付凸部82は、周方向に離れて配置される。2個のフレーム取付凸部82の周方向の間隔は、周方向に隣り合うステータ保持部517の周方向の間隔と同じである。さらに説明すると、軸方向他方側(-Y方向側)から軸方向一方側(+Y方向側)に見たとき、鉛直方向の最も下に配置されるステータ保持部517と反時計回り方向に隣り合うステータ保持部517との周方向の間隔と同じである。
【0061】
そして、2個のフレーム取付凸部82のそれぞれには、軸方向に貫通するフレーム取付孔83が形成される。2個のフレーム取付孔83の周方向の間隔は、周方向に隣り合うステータ保持部517の周方向の間隔と同じである。さらに説明すると、軸方向他方側(-Y方向側)から軸方向一方側(+Y方向側)に見たとき、鉛直方向の最も下に配置されるステータ保持部517と反時計回り方向に隣り合うステータ保持部517との周方向の間隔と同じである。なお、本実施形態における支持部材8は、フレーム取付凸部82およびフレーム取付孔83を2個ずつ有するが、これに限定されない。例えば、フレーム取付凸部82およびフレーム取付孔83を3個ずつ備えていてもよい。少なくとも2個以上で、ステータ固定凸部261およびステータ固定孔262の個数以下であればよい。
【0062】
図8に示すように、支持部材8は、4個の支持凸部84を備える。支持凸部84は、支持フレーム81の径方向外縁から径方向外側に突出する。すなわち、支持部材8は、径方向外縁から径方向外方に延びる支持凸部84を有する。図8に示すように、支持部材8は、周方向の中央を通る面を挟んで線対称形状である。そのため、周方向両端の支持凸部84は、同じ形状である。なお、これに限定されず、非対称形状であってもよい。
【0063】
図8に示す支持部材8では、4個の支持凸部84のうち、左側から3個の支持凸部84を第1支持凸部841とし、右端の支持凸部84を第2支持凸部842として説明する。
【0064】
次に、支持部材8のステータコア26への取り付けについて説明する。支持部材8は、ステータコア26の軸方向他方側(-Y方向側)の端面の下部に沿って配置される。固定ボルト28を2個のフレーム取付孔83に貫通させて、ステータ保持部517のねじ穴519にねじ込むことにより、支持部材8は、ステータコア26の軸方向他方側(-Y方向側)の端面に取り付けられる。すなわち、支持部材8は、少なくともステータ2の軸方向他端面の下部に沿って配置されるとともに、少なくとも2個の固定ボルト28によってステータ2に固定される。
【0065】
さらに説明すると、2個の支持ボルト孔83の一方に、鉛直方向において最も下方に配置される固定ボルト28を貫通させる。そして、他方の支持ボルト孔83に周方向に隣り合う固定ボルト28を貫通させる。固定ボルト28の先端を、ステータ保持部517のねじ穴519にねじ込むことで支持部材8は、固定ボルト28によって、ステータコア26の軸方向他端面に取り付けられる。すなわち、支持部材8はアーチ状であり、固定ボルト28が挿入される支持ボルト孔83を少なくとも2個備え、支持ボルト孔83の一方には、鉛直方向において最も下に配置される固定ボルト28が貫通する。このように、支持部材8を固定することで、ステータコア26の鉛直方向下方に向く部分を支持することができ、ステータ2のたわみを抑制できる。
【0066】
図3に示すように、支持フレーム81の径方向外縁は、ステータコア26の径方向外縁と軸方向に重なる。そして、軸方向から見たとき、4個の支持凸部84の径方向外端部は、ステータコア26の径方向外縁よりも径方向外側に突出し、第1ハウジング部材51の周壁部511の内周壁と接触する。なお、支持フレーム81の径方向外縁は、ステータコア26の径方向外縁よりも径方向内側に位置してもよい。
【0067】
図3等に示すように、閉塞部材53側からモータ軸J2の軸方向に見て、支持部材8の左端の第1支持凸部841は、モータ軸J2を含む鉛直面Vpよりも左側にある。一方で、残りの第1支持凸部841は、鉛直面Vpよりも右側にある。また、支持部材8は、複数の支持凸部84を有し、モータ軸J2を中心とする周方向において、モータ軸J2を含み鉛直に延びる鉛直面Vpを挟んだ両側に少なくとも1つずつ支持凸部84(841)が配置される。ステータコア26は、モータ軸J2の軸方向に見て鉛直面Vpの左右両側を第1支持凸部841に支持される。これにより、ステータコア26が安定して支持される。
【0068】
図3図9図10に示すように、第1支持凸部841は、支持部材8をステータコア26とともに第1ハウジング部材51に取り付けたとき、ステータコア26の第1ハウジング部材51の周壁部511の内周面上におけるステータコア26の下部の外周面(鉛直下方に向く面)に対向する部分と接触する。
【0069】
すなわち、支持凸部84(841)の径方向外端部は、ステータ2の外周面よりも径方向外方に位置するとともに少なくともハウジング5の内周面上におけるステータ2の下部の外周面と対向する部分と接触する。図8図11に示すように、第2支持凸部842は、第1ハウジング部材51の周壁部511の内周面上におけるステータコア26の上部の外周面(ステータコア26の鉛直上方に向く面)に対向する部分と隙間をあけて対向する。なお、第2支持凸部842は、周壁部511と常時接触してもよい。すなわち、支持凸部84(842)の径方向外端部は、ハウジング5の内周面上におけるステータ2の上部の外周面にと対向する部分と接触または隙間をあけて対向する。
【0070】
支持部材8は、ステータコア26の軸方向他方側(-Y方向側)に取り付けられる。そして、第1支持凸部841が周壁部511の内周面のステータコア26の鉛直下方に向く面に対向する部分と接触する。このため、ステータコア26は、ステータ保持部517および支持部材8によって両端支持される。これにより、ステータコア26の自重によるたわみを抑制することが可能である。
【0071】
また、第2支持凸部842が周壁部511の内周面上におけるステータコア26の上部の外周面に対向する部分と隙間をあけて対向する。ステータコア26に振動、衝撃等により鉛直上向きの力が作用したとき、第2支持凸部842が周壁部511と接触してステータコア26の上方に向かう変形を抑制する。
【0072】
以上示したとおり、支持部材8をステータコア26に取り付けることで、ステータコア26の軸方向他方側(-Y方向側)の変形を抑制し、ロータ21とステータコア26との径方向の距離の変動を抑制できる。これにより、ロータ21を円滑に回転させることが可能である。
【0073】
第2ハウジング部材52は、第1ハウジング部材51の側板部512の軸方向一方側(+Y方向側)に固定される。第2ハウジング部材52の形状は、側板部512側に開口する凹形状である。第2ハウジング部材52の開口は、側板部512に覆われる。第2ハウジング部材52は、第2駆動シャフト通過孔521と、オイルリザーブ皿522とを有する(図1参照)。
【0074】
第2駆動シャフト通過孔521は、第2ハウジング部材52を軸方向に貫通する孔である。駆動シャフトDsは、第1駆動シャフト通過孔515を回転可能な状態で貫通する。駆動シャフトDsと第1駆動シャフト通過孔515との間は、オイルCLの漏れを抑制するため、オイルシール(不図示)が設けられる。駆動シャフトDsの先端には、車輪を回転させる車軸(不図示)が接続される。第2駆動シャフト通過孔521は、軸方向から見て第1駆動シャフト通過孔515と重なる。これにより、差動装置32の軸方向(Y方向)の両端に配置される駆動シャフトDsは、差動軸J5回りに回転する。
【0075】
第2ハウジング部材52の内部の下部にはオイルCLが溜まるオイル溜りPが形成される。リングギヤ321の一部がオイル溜りPの内部に浸かっている。リングギヤ321が回転することで、オイル溜りPのオイルCLが掻き揚げられる。掻き揚げられたオイルCLは、第2ハウジング部材52の内周面に沿って、上方に移動し、オイルリザーブ皿522に溜まる。オイルCLは、オイルリザーブ皿522から、図示を省略した流路を通って、モータシャフト22の中空部220に流入する。オイルCLは、モータシャフト22の中空部220の内部を移動し、モータ2のコイルエンド271に散布される。モータ2は、オイルCLによって冷却される。
【0076】
また、オイルリザーブ皿522は、オイルCLを第2ハウジング部材52内部のギヤ部3の各ギヤ311、312、313に滴下可能である。ギヤ部3の各ギヤ311、312、313は、オイルCLによって潤滑される。また、モータシャフト22、中間シャフト314を回転可能に支持するベアリングの潤滑も行う。各部を潤滑したオイルCLは、下方に流れ、オイル溜りPに戻る。
【0077】
<5. ポンプ4>
ポンプ4は、オイルCLをモータ2に供給する。ポンプ4はポンプ収容部54に収容される。ポンプ4は、電気により駆動する電動ポンプである。ポンプ4は、図示略の外歯車と内歯車がかみ合って回転するトロコイダルポンプである。なお、ポンプ4は、遠心ポンプ等、トロコイダルポンプ以外のポンプであってもよい。
【0078】
<6. オイルクーラ9>
ポンプ4によってオイル溜りPから吸い込まれたオイルCLは、オイル配管部55の経路の途中に設けられた、オイルクーラ9に流入する。オイルクーラ9は、オイル配管部55を流れるオイルCLを冷却する。
【0079】
図1図2等に示すように、インバータユニット7には、図示略のラジエータから延びる冷媒配管71が接続される。そして、インバータユニット7を冷却した冷却水(冷媒)を流入させ、冷却水とオイルCLとを熱交換して、オイルCLを冷却する。なお、本実施形態では、インバータユニット7を冷却した冷却水でオイルCLを冷却しているが、これに限定されない。インバータユニット7を冷却する冷媒配管とは別の配管を設けてもよい。
【0080】
オイルクーラ9で冷却されたオイルは、オイル配管部55を通って、第1ハウジング部材51の周壁部511の内部に配置される、モータオイルリザーバ56に流入する。モータオイルリザーバ56は、モータ2の鉛直方向上方に配置され、モータ2にオイルCLを滴下する。モータ2内部にオイルCLが流入することで、モータ2のベアリングが潤滑されるとともに、ステータコア26、コイル27等が冷却される。そして、ベアリングを潤滑した、または、モータ2を冷却したオイルCLは周壁部511の下部に流れる。側板部512には、側板開口516が設けられており、オイルCLは、側板開口516を通って、第2ハウジング部材52のオイル溜りPに戻る。
【0081】
<7. インバータユニット7>
インバータユニット7は、モータ2と電気的に接続される。インバータユニット7は、モータ2に供給される電流を制御する。図2に示すように、インバータユニット7は、ハウジング5に固定される。
【0082】
<8. 変形例等>
本実施形態において、支持部材8は、複数(4個)の支持凸部84を備えていたが、これに限定されない。支持凸部84は、1個でもよい。支持凸部84が1個の場合、支持凸部84は、周壁部511の内周面の鉛直下側に配置される面と接触する。これにより、ステータコア26は、両端支持される。なお、支持凸部84が1個の場合、1個の支持凸部84は、モータ軸J2を含む鉛直面Vpの両側に配置されることが好ましい。すなわち、支持凸部84(841)は、モータ軸J2を中心とする周方向において、モータ軸J2を含み鉛直に延びる鉛直面Vpの両側に配置される。このように配置することで、モータ2は鉛直面Vpを挟む両側の鉛直下部を支持凸部84で支持される。これにより、モータ2の支持が安定する。なお、支持凸部84は、支持フレーム81の径方向外縁の全周にわたって形成されてもよい。
【0083】
本実施形態において、支持部材8は、ステータコア26と別部材として取り付けられる。しかしながら、これに限定されない。例えば、ステータコア26が、複数枚の電磁鋼板を軸方向に積層した積層コアの場合、複数枚の電磁鋼板のうち、軸方向他方側(-Y方向側)の端部に配置される少なくとも1枚の電磁鋼板の径方向外縁に、支持凸部を形成し、電磁鋼板の支持凸部でステータコア26を支持してもよい。すなわち、ステータ2は、軸方向に積層された複数の電磁鋼板を有し、少なくとも軸方向他方側の端部に配置される電磁鋼板が、支持部材を兼ねる。
【0084】
このとき、支持凸部は、1枚の電磁鋼板に形成されてもよいし、複数枚の電磁鋼板に形成されてもよい。このように、電磁鋼板に支持凸部を形成することで、モータユニット1の部品点数を減らすことが可能である。また、ステータコア26を取り付けるときに、支持部材8を共締めしなくてよいため、ステータコア26のハウジング5への取り付け作業を簡略化できる。
【0085】
以上に、本発明の実施形態および変形例を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明のモータユニットは、例えば、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)および電気自動車(EV)の駆動用モータとして用いることができる。
【符号の説明】
【0087】
1 モータユニット
2 モータ
21 ロータ
22 モータシャフト
220 中空部
23 ロータコア
25 ステータ
26 ステータコア
261 ステータ固定凸部
262 ステータ固定孔
27 コイル
271 コイルエンド
28 固定ボルト
3 ギヤ部
31 減速装置
311 第1ギヤ
312 第2ギヤ
313 第3ギヤ
314 中間シャフト
32 差動装置
321 リングギヤ
33 パーキング機構
331 パーキングギヤ
332 回転阻止部
333 パーキングモータ
4 ポンプ
5 ハウジング
51 第1ハウジング部材
511 周壁部
512 側板部
513 突出部
514 挿通孔
515 第1駆動シャフト通過孔
516 側板開口
517 ステータ保持部
518 ハウジング凸部
519 穴
52 第2ハウジング部材
521 第2駆動シャフト通過孔
522 オイルリザーブ皿
53 閉塞部材
54 ポンプ収容部
55 オイル配管部
56 モータオイルリザーバ
6 収容空間
61 モータ収容部
62 ギヤ収容部
7 インバータユニット
71 冷媒配管
8 支持部材
81 支持フレーム
82 フレーム取付凸部
83 フレーム取付孔
84 支持凸部
841 第1支持凸部
842 第2支持凸部
9 オイルクーラ
CL オイル
Ds 駆動シャフト
J2 モータ軸
J4 中間軸
J5 差動軸
P オイル溜り
Vp 鉛直面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11