(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】衛生洗浄装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/02 20060101AFI20230711BHJP
E03D 9/08 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
E03D9/02
E03D9/08 B
(21)【出願番号】P 2019098081
(22)【出願日】2019-05-24
【審査請求日】2022-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢岡 寿成
(72)【発明者】
【氏名】田代 啓介
(72)【発明者】
【氏名】持田 真之
(72)【発明者】
【氏名】神 祐紀
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-082615(JP,A)
【文献】特開2011-106175(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0005817(US,A1)
【文献】特開2006-069935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00- 9/16
E03D 1/00- 7/00
E03D 11/00-13/00
A61L 2/00- 2/28
A61L 11/00-12/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が流れる流路と、
前記流路を流れてきた水を噴射して人体局部を洗浄するノズルと、
前記流路に設けられ、ケース内に収容した除菌剤に水が接触することで除菌剤から金属イオンを溶出させ、前記ケース内に水が滞留している時間が長いほど金属イオンの濃度が高くなる除菌水を生成する除菌水生成部と、
前記除菌水生成部において生成された除菌水を前記ノズルに向けて吐出するノズル側吐水部と、
前記除菌水生成部において生成された除菌水を便器のボウル部に向けて吐出する便器側吐水部と、
前記ノズル側吐水部または前記便器側吐水部による吐水を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記便器側吐水部から除菌水を吐水させる場合、前記ノズル側吐水部に供給される場合よりも除菌水に含まれる金属イオンの平均濃度を高く
し、
前記除菌水生成部から前記便器側吐水部に供給される除菌水の圧損を、前記ノズル側吐水部に供給される除菌水の圧損よりも大きくする、衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記便器側吐水部から除菌水を吐出させた後、前記ノズル側吐水部から除菌水を吐出させる、請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記便器側吐水部による除菌水の吐水量が前記除菌水生成部の前記ケースの容量よりも小さい、請求項1または2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記ノズル側吐水部による除菌水の吐水量が前記除菌水生成部の前記ケースの容量よりも大きい、請求項1~3のいずれか一つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記便器側吐水部の吐水孔の径は、前記ノズル側吐水部の吐水孔の径よりも小径に形成される、請求項1~4のいずれか一つに記載の衛生洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノズルから水を噴射して人体局部を洗浄する衛生洗浄装置において、除菌水生成部で生成した除菌水をノズルに向けて吐出することで、ノズル(表面)の除菌処理を行うことが知られている。このような衛生洗浄装置では、たとえば、除菌水生成部において、ケース内に水が流入し、ケース内に収容した固形の除菌剤に水が接触することで、除菌剤から除菌成分である金属イオンを溶出させて除菌水を生成する技術がある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したような従来技術では、ケース内に水が滞留する時間に応じて金属イオンの含有量(濃度)が決まるため、除菌処理を連続で行うなど、ケース内に短い時間しか滞留していない除菌水(低濃度除菌水)は除菌効果の薄いものとなり、汚れの程度が大きい便器のボウル部に対して除菌処理を行う場合、低濃度除菌水では除菌効果が低く、所望の除菌効果が得られない可能性がある。
【0005】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、ボウル部の除菌効果を高めることができる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る衛生洗浄装置は、水が流れる流路と、前記流路を流れてきた水を噴射して人体局部を洗浄するノズルと、前記流路に設けられ、ケース内に収容した除菌剤に水が接触することで除菌剤から金属イオンを溶出させ、前記ケース内に水が滞留している時間が長いほど金属イオンの濃度が高くなる除菌水を生成する除菌水生成部と、前記除菌水生成部において生成された除菌水を前記ノズルに向けて吐出するノズル側吐水部と、前記除菌水生成部において生成された除菌水を便器のボウル部に向けて吐出する便器側吐水部と、前記ノズル側吐水部または前記便器側吐水部による吐水を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記便器側吐水部から除菌水を吐水させる場合、前記ノズル側吐水部に供給される場合よりも除菌水に含まれる金属イオンの平均濃度を高くする。
【0007】
このような構成によれば、汚れの程度が大きいボウル部に吐出される除菌水の方が金属イオンの平均濃度が高いため、除菌効果の薄い低濃度除菌水によるボウル部の除菌処理を行うことを抑制することができ、ボウル部の除菌効果を高めることができる。また、汚れの程度が小さいノズルには低濃度の除菌水でも除菌効果が得られるため、除菌処理全体としても効率的となる。
【0008】
また、上記した衛生洗浄装置では、前記制御部は、前記便器側吐水部から除菌水を吐出させた後、前記ノズル側吐水部から除菌水を吐出させる。
【0009】
このような構成によれば、汚れの程度が大きいボウル部の除菌処理を先、汚れの程度が小さいノズルの除菌処理を後の順で行うため、ボウル部に対して比較的濃度の高い除菌水で除菌処理を行うことができ、ボウル部の除菌効果を高めることができる。
【0010】
また、上記した衛生洗浄装置では、前記便器側吐水部による除菌水の吐水量が前記除菌水生成部の前記ケースの容量よりも小さい。
【0011】
このような構成によれば、ボウル部に付着させた除菌水が、ケース内に後から流入して濃度が薄まった低濃度除菌水で流れてしまうのを抑制することができる。これにより、ボウル部の除菌効果を高めることができる。
【0012】
また、上記した衛生洗浄装置では、前記ノズル側吐水部による除菌水の吐水量が前記除菌水生成部の前記ケースの容量よりも大きい。
【0013】
このような構成によれば、ノズルに対して除菌水による物理洗浄を行うことができ、物理洗浄効果とあわせることで、ノズルの除菌効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
実施形態の一態様によれば、ボウル部の除菌効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態に係る衛生洗浄装置を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、衛生洗浄装置の流路構成の説明図である。
【
図3】
図3は、衛生洗浄装置の流路構成の変形例の説明図である。
【
図4】
図4は、金属イオン溶出ユニットの説明図である。
【
図5】
図5は、ノズルおよびボウル部の一連の除菌処理(自動除菌モード)の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する衛生洗浄装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0017】
図1は、実施形態に係る衛生洗浄装置10を示す概略斜視図である。
図1に示すように、衛生洗浄装置10は、便器20の上部に設けられる。衛生洗浄装置10は、本体部11と、弁蓋12と、便座13とを備える。本体部11は、ケーシング111と、ケーシング111内に収納され、人体局部に向けて水を吐出(噴射)するノズル112とを備える。
【0018】
図2は、衛生洗浄装置10の流路構成の説明図である。なお、
図2には、制御部60を中心とする制御系を共に示している。
図2に示すように、衛生洗浄装置10は、水(洗浄水という)が流れる流路30を備える。流路30は、主流路31と、主流路31から分岐する副流路32とを備える。
【0019】
衛生洗浄装置10は、主流路31において上流側から、給水源41と、電磁弁42と、調圧弁43と、熱交換器ユニット44と、流量センサ45と、バキュームブレーカ(VB)46と、圧力変調装置47と、流路切替部48a,48bと、流量調整部49と、上記したノズル112とを備える。なお、ノズル112は、駆動源(ノズルモータ)113によって進退駆動される。
【0020】
また、衛生洗浄装置10は、副流路32において上流側から、除菌水生成部(金属イオン溶出ユニット)50と、流路切替部48cと、吐水部114とを備える。さらに、衛生洗浄装置10は、制御部60と、電源回路61と、人体検知部62と、操作部63とを備える。
【0021】
給水源41は、流路30(主流路31)に洗浄水を供給する。電磁弁42は、給水源41からの洗浄水の供給を開閉によって制御する。なお、電磁弁42は、後述する制御部60からの制御信号に応じて駆動する。調圧弁43は、供給された洗浄水の水圧を調整する。熱交換器ユニット44は、使用者によって設定された所定温度(たとえば、38℃)になるよう洗浄水を加熱する。
【0022】
流量センサ45は、洗浄水の流量(主流路31における流量センサ45が配置された位置の単位時間あたりの流量)を検知する。流量センサ45の検知結果は制御部60に送信される。バキュームブレーカ46は、主流路31に負圧が発生した場合に、逆流する洗浄水を図示しない大気開放経路に流すことで、ノズル114から洗浄水が逆流するのを防止する。
【0023】
圧力変調装置47は、たとえば、流路容積を変化させて洗浄水を脈動させる。圧力変調装置47は、洗浄水を脈動させることで、洗浄水の流量が比較的少ない場合においても、人体局部を洗浄する水勢を強化することができる。
【0024】
流路切替部48aは、制御部60からの制御信号に応じて駆動する切替弁であり、主流路31を流れる洗浄水の流出先を副流路32に切り替える。流量調整部49は、洗浄水の流量を調整する。流路切替部48bは、制御部60からの制御信号に応じて駆動する切替弁であり、洗浄水の流出先を、ノズル114の複数の吐水口のいずれかに切り替える。
【0025】
ノズル112は、上記したように、便座13(
図1参照)に着座した使用者の局部に向けて洗浄水を噴射する。ノズル112は、ケーシング111(
図1参照)に対して進退自在である。ノズル112は、前進(進出)した位置で人体局部に向けて洗浄水を噴射して人体局部を洗浄し、後退した位置でケーシング111内に収納される。
【0026】
除菌水生成部である金属イオン溶出ユニット50は、副流路32を流れる洗浄水に除菌成分を加えて除菌水を生成する。なお、除菌水生成部(金属イオン溶出ユニット)50については、
図4を用いて後述する。流路切替部48cは、制御部60からの制御信号に応じて駆動する切替弁であり、洗浄水の流出先を、吐水部114のうち、ノズル側吐水部(ノズル洗浄室)115または便器側吐水部(噴霧ノズル)116に切り替える。
【0027】
ノズル側吐水部であるノズル洗浄室115は、除菌水が供給されると、除菌水をノズル112に向けて吐出する。ノズル洗浄室115は、吐水孔からノズル112の表面に除菌水を流し、ノズル112の表面を洗浄(除菌)する。
【0028】
便器側吐水部である噴霧ノズル116は、除菌水が供給されると、便器20において汚物を受けるボウル部21に向けて除菌水を吐出する。噴霧ノズル116は、吐水孔からボウル部21の表面に除菌水をミスト状に吐出(噴霧)する。噴霧ノズル116は、除菌水を噴霧することで、ボウル部21の表面を濡らして汚物の付着を抑制するとともに、ボウル部21の表面を除菌する。
【0029】
制御部60は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などによって、記憶部に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部60は、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路によって実現され得る。
【0030】
制御部60は、入力される各種の信号に基づいて、流路切替部48a,48b,48cなどを制御する。制御部60は、流路切替部48a,48b,48cを制御することで、主流路31におけるノズル112の吐水や、副流路32における吐水部114、すなわち、ノズル洗浄室115や噴霧ノズル116による吐水を制御する。
【0031】
記憶部は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子などによって実現される。
【0032】
電源回路61は、制御部60に対して電力を供給する。人体検知部62は、使用者などの人体を検知する。人体検知部62は、たとえば、使用者がトイレルームに入室したことを検知する入室センサ62a、使用者が便座13(
図1参照)に着座したことを検知する着座センサ62b、便蓋13の開閉を検知する便蓋センサ62cを備える。人体検知部62は、検知信号を制御部60に送信する。
【0033】
操作部63は、使用者により手動操作されることで、便器洗浄の他、ノズル112、ノズル洗浄室115および噴霧ノズル116からの洗浄水や除菌水の吐水を行うよう制御部60に指示信号を送信する。制御部60は、操作部63からの信号を受けると、信号に応じて各部の制御を行う。
【0034】
図3は、衛生洗浄装置10の流路構成の変形例の説明図である。
図3に示すように、変形例は、上流側の流路切替部48aを省略して下流側の流路切替部48aにおいて副流路32の金属イオン溶出ユニット50に向けて洗浄水を供給する点について、
図2に示す例とは異なる。なお、
図3に示す変形例において、
図2に示す流路構成と同一または同等の箇所には同一の符号を付し、各部の説明は省略する。
【0035】
また、
図2および
図3に示す流路構成では、金属イオン溶出ユニット50がノズル洗浄室115および噴霧ノズル116を切り替える流路切替部48cの上流側に配置されているが、たとえば、汚れの程度が大きいボウル部21(
図1参照)の除菌処理を優先して、流路切替部48cから噴霧ノズル116までの間、すなわち、噴霧ノズル116のすぐ上流に配置されてもよい。
【0036】
次に、
図4を参照して除菌水生成部(金属イオン溶出ユニット)50について説明する。
図4は、金属イオン溶出ユニット50の説明図である。除菌水生成部である金属イオン溶出ユニット50は、副流路32(
図2参照)に配置される。
図4に示すように、金属イオン溶出ユニット50は、ケース51と、除菌剤52とを備える。ケース51は、たとえば、矩形箱型であり、上流側に円筒状の入口部511と、下流側に円筒状の出口部512とを備える。
【0037】
除菌剤52は、ケース51内に収容される。除菌剤52は、固形状であり、水W1が接触することで、除菌成分を溶出する。除菌剤52は、たとえば、抗菌ガラスであり、除菌成分である金属イオン(銀イオン)を溶出する。金属イオン溶出ユニット50は、除菌剤52に金属イオンを溶出させることで、除菌水(銀イオン水)W2を生成する。金属イオン溶出ユニット50は、その構成の特性上、ケース51内に水が滞留している時間が長いほど金属イオンの濃度が高まる。
【0038】
金属イオン溶出ユニット50は、噴霧ノズル116(
図2参照)からの除菌水の噴霧量よりもケース51の容積が大きい。また、金属イオン溶出ユニット50は、ノズル洗浄室115(
図2参照)からの除菌水の吐出量よりもケース51の容積が大きい。
【0039】
また、制御部60は、各部を制御することにより、ノズル洗浄室115および噴霧ノズル116のそれぞれによる吐水を所定タイミングで行う。また、制御部60は、各部を制御することにより、ノズル洗浄室115および噴霧ノズル116のそれぞれによる吐水を定期的に行う。このように、制御部60は、便器20のボウル部21(
図1参照)の除菌処理を含む自動除菌(自動吐水ともいう)モードを有する。
【0040】
また、上記した金属イオン溶出ユニット50の場合、ケース51内に水が滞留する時間に応じて金属イオンの含有量(濃度)が決まるため、除菌処理を連続で行うなど、ケース51内に短い時間しか滞留していない除菌水(低濃度除菌水)は除菌効果の薄いものとなり、汚れの程度が大きい便器20のボウル部21に対して除菌処理を行う場合、低濃度除菌水では除菌効果が低く、所望の除菌効果が得られない可能性がある。このため、本実施形態では、ボウル部21の除菌処理に用いる除菌水の平均濃度を、ノズル112の除菌処理に用いる除菌水よりも高くする。
【0041】
次に、
図5を参照して自動除菌モードについて説明する。
図5は、ノズル112およびボウル部21の除菌処理を含む一連の除菌処理(自動除菌モード)の手順の一例を示すフローチャートである。
図5に示すように、制御部60は、人体検知部62(たとえば、入室センサ62a、着座センサ62bおよび便蓋開閉センサ62cのうちいずれか)による人体検知信号または操作部63の操作により(ステップS101)、ノズル112に向けて局部洗浄指示が出力されたか否かを判定する(ステップS102)。
【0042】
制御部60は、局部洗浄指示が出力された場合(ステップS102:Yes)、ノズル112から洗浄水を噴射させて局部洗浄を開始する(ステップS103)。なお、制御部60は、ステップS102の処理において局部洗浄指示が出力されない場合(ステップS102:No)、ステップS101の処理の前に戻る。
【0043】
制御部60は、局部洗浄を開始した後、局部洗浄終了指示が入力されると(ステップS104)、流路切替部48bを制御し、ノズル112からの吐水を停止し(ステップS105)、ノズル112を収納する(ステップS106)。次いで、制御部60は、使用者からの手動操作または着座センサ62bからの信号により、便器洗浄指示が入力されると(ステップS107)、ボウル部21に洗浄水を流して便器洗浄を行う(ステップS108)。
【0044】
次いで、制御部60は、ボウル部21の除菌処理を行う(ステップS109)。この場合、制御部60は、流路切替部48a,48cをそれぞれ切り替え、噴霧ノズル116から除菌水を噴霧させる。次いで、制御部60は、ノズル112の除菌処理を行う(ステップS110)。この場合、制御部60は、流路切替部48a,48cをそれぞれ切り替え、ノズル洗浄室115から除菌水を吐出させる。
【0045】
上記したように、噴霧ノズル116から除菌水を噴霧させる場合、ノズル洗浄室に供給させる除菌水よりも除菌水に含まれる金属イオンの平均濃度が高くなるように、噴霧ノズル116に供給される除菌水の圧損を大きくしている。このために、噴霧ノズル116の吐水孔の径をノズル洗浄室115の吐水孔の径よりも小径に形成したうえで、制御部60は、噴霧ノズル116に供給される除菌水の流量を大きくする。
【0046】
このように、上記した実施形態によれば、汚れの程度が大きいボウル部21に吐出される除菌水の方が金属イオンの平均濃度が高いため、除菌効果の薄い低濃度除菌水によるボウル部21の除菌処理を行うことを抑制することができ、ボウル部21の除菌効果を高めることができる。また、汚れの程度が小さいノズル112には低濃度の除菌水でも除菌効果が得られるため、除菌処理全体としても効率的となる。
【0047】
また、汚れの程度が大きいボウル部21の除菌処理を先、汚れの程度が小さいノズル112の除菌処理を後の順で行うため、ボウル部21に対して比較的濃度の高い除菌水で除菌処理を行うことができ、ボウル部21の除菌効果を高めることができる。なお、ノズルに対しては、後からケース51内に流れ込んできた水により希釈されて濃度が低くなった除菌水で除菌処理を行うことになるが、ノズル112は汚れの程度が小さいため、除菌効果には影響しない。
【0048】
また、噴霧ノズル116における除菌水の噴霧量が金属イオン溶出ユニット50のケース51の容量よりも小さいことで、ボウル部21に付着させた除菌水が、ケース51内に後から流入して濃度が薄まった低濃度除菌水で流れてしまうのを抑制することができる。これにより、除菌水が銀イオン水のような遅効性の場合など、後から噴霧された低濃度除菌水で流れてしまうことを抑えて、ボウル部21の除菌効果を高めることができる。
【0049】
また、ノズル洗浄室における除菌水の吐出量が金属イオン溶出ユニット50のケース51の容量よりも小さいことで、ノズル112に対して除菌水による物理洗浄を行うことができ、物理洗浄効果とあわせることで、ノズル112の除菌効果を高めることができる。また、金属イオン溶出ユニット50からノズル洗浄室115までの流路に除菌水が残存するのを抑制することができ、ノズル洗浄室115に供給される除菌水に、流路に残存する除菌水が混入するのを抑制することができる。
【0050】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 衛生洗浄装置
112 ノズル
115 ノズル側吐水部
116 便器側吐水部
30 流路
50 除菌水生成部
51 ケース
52 除菌剤
60 制御部
W1 水
W2 除菌水