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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20230711BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20230711BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20230711BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20230711BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20230711BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H04N1/00 838
H04N1/387
H04N1/00 567Z
B41J29/00 Z
B41J29/38
B41J5/30 Z
G03G21/00 378
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019103315
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020198531
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】井上 泰史
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-088462(JP,A)
【文献】特開2006-347658(JP,A)
【文献】特開2009-269345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/38 - 1/393
B41J 29/00 -29/70
B41J 5/00 - 5/52
21/00 -21/18
G03G 15/00
15/36
21/00
21/02
21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーから指示が入力される入力部と、
画像を記録媒体に形成する画像形成部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記入力部を介して、原稿画像を複数の前記記録媒体の第一面に形成させるための指示を受付けている場合に、前記画像形成部に、前記原稿画像を前記複数の記録媒体の前記第一面に形成させるとともに、前記複数の記録媒体のうちから、予め定められているパターンを用いて構成されている透かし防止画像を形成するための記録媒体を決定し、前記画像形成部に、決定された前記記録媒体における前記第一面とは反対の面である第二面のみに、前記透かし防止画像を形成させ、
複数の前記記録媒体を綴じるための紙綴じ部をさらに備え、
前記制御部は、前記入力部を介して、前記紙綴じ部によって前記複数の記録媒体を綴じるための指示をさらに受付けている場合に、前記紙綴じ部によって最後に綴じられる記録媒体を、前記透かし防止画像を形成するための記録媒体として決定する、画像形成装置。
【請求項2】
ユーザーから指示が入力される入力部と、
画像を記録媒体に形成する画像形成部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記入力部を介して、原稿画像を複数の前記記録媒体の第一面に形成させるための指示を受付けている場合に、前記画像形成部に、前記原稿画像を前記複数の記録媒体の前記第一面に形成させるとともに、前記複数の記録媒体のうちから、予め定められているパターンを用いて構成されている透かし防止画像を形成するための記録媒体を決定し、前記画像形成部に、決定された前記記録媒体における前記第一面とは反対の面である第二面のみに、前記透かし防止画像を形成させ、
前記画像が形成された前記記録媒体が排出される排出トレイと、
前記記録媒体を前記排出トレイに排出するための排出機構と、をさらに備え、
前記制御部は、前記記録媒体を、当該記録媒体の第二面が露出されている状態で排出するための設定がなされている場合には、前記複数の記録媒体のうち最後に前記排出トレイに排出される記録媒体を、前記透かし防止画像を形成するための記録媒体として決定する、画像形成装置。
【請求項3】
前記排出機構は、前記記録媒体の排出時における位置を予め定められている単位ごとにずらして前記記録媒体を前記排出トレイに排出可能に構成されており、
前記制御部は、前記入力部を介して、前記記録媒体の排出時の位置をずらして排出するためのシフト排出指示をさらに受付けている場合に、前記予め定められている単位ごとに、当該単位において前記最後に排出される前記記録媒体を、前記透かし防止画像を形成するための記録媒体として決定し、前記画像形成部に、決定された前記記録媒体の第二面において、他の前記記録媒体と重ならない部分として予め定められている部分に、前記透かし防止画像を形成させる、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
ユーザーから指示が入力される入力部と、
画像を記録媒体に形成する画像形成部と、
制御部と、を備える画像形成装置であって
前記制御部は、前記入力部を介して、原稿画像を複数の前記記録媒体の第一面に形成させるための指示を受付けている場合に、前記画像形成部に、前記原稿画像を前記複数の記録媒体の前記第一面に形成させるとともに、前記複数の記録媒体のうちから、予め定められているパターンを用いて構成されている透かし防止画像を形成するための記録媒体を決定し、前記画像形成部に、決定された前記記録媒体における前記第一面とは反対の面である第二面のみに、前記透かし防止画像を形成させ、
前記画像形成装置の周囲の照明色を検出するための検出部と、
照明色と、前記透かし防止画像を構成するためのパターンとして推奨される当該照明色についての推奨パターンと、を照明色毎に対応付けて予め記憶する記憶部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記検出部によって検出された前記照明色に対応する前記推奨パターンを前記記憶部から読出し、読出された前記推奨パターンによって構成されている前記透かし防止画像を、決定された前記記録媒体の第二面に形成させる、画像形成装置。
【請求項5】
表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記表示部に、読出された前記推奨パターンを表示させ、前記入力部を介して、表示されている前記推奨パターンを用いて前記透かし防止画像を構成するための指示を受付けた場合、読出された前記推奨パターンを用いて構成されている前記透かし防止画像を、決定された前記記録媒体の第二面に形成させ、前記入力部を介して、前記予め定められているパターンを用いて前記透かし防止画像を構成するための指示を受付けた場合、前記予め定められているパターンを用いて構成されている前記透かし防止画像を、決定された前記記録媒体の第二面に形成させる、請求項4に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、透かし防止画像を形成するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
記録紙に印刷されている原稿画像を、当該原稿画像の印刷面の反対側から見えにくくするために、透かし防止画像を印刷する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、原稿に基づいて生成された画像データにおける文字領域、画像領域、及び背景領域等を認識し、認識された各領域の種別に応じて決定された透かし見防止パターンを、表面に原稿画像が印刷された記録紙の裏面であって、認識された各領域に対応する部分に印刷させる技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、原稿画像を第1の記録紙に印刷し、特許文献1と同様に決定された透かし見防止パターンを、第2の記録紙における上記認識された各領域に対応する部分に印刷し、第1の記録紙における原稿画像の印刷面と、第2の記録紙における透かし見防止パターンの印刷面とが対向するように、第1及び第2の記録紙を綴じ合わせる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-105843号公報
【文献】特開2009-182850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
原稿画像が印刷されている複数の記録紙が重ねられている場合、最後に重ねられている記録紙に印刷されている原稿画像以外は、原稿画像の印刷面の反対側からは見えにくい状態となっている。しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されている技術では、原稿画像が複数の記録紙に印刷されている場合には、透かし防止画像も複数の記録紙に印刷されているため、トナーが無駄に消費されてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、原稿画像が複数の記録媒体に形成される場合に、透かし防止画像を用いて原稿画像を秘匿しつつ、全ての記録媒体に透かし防止画像を形成する場合と比較して、トナーの消費量を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、ユーザーから指示が入力される入力部と、画像を記録媒体に形成する画像形成部と、制御部と、を備えている。制御部は、入力部を介して、原稿画像を複数の記録媒体の第一面に形成させるための指示を受付けている場合に、画像形成部に、原稿画像を複数の記録媒体の第一面に形成させるとともに、複数の記録媒体のうちから、予め定められているパターンを用いて構成されている透かし防止画像を形成するための記録媒体を決定し、画像形成部に、決定された記録媒体における第一面とは反対の面である第二面のみに、透かし防止画像を形成させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の記録媒体のうちから決定された記録媒体のみに透かし防止画像が形成されるので、原稿画像が複数の記録媒体に形成される場合に、透かし防止画像を用いて原稿画像を秘匿しつつ、全ての記録媒体に透かし防止画像を形成する場合と比較して、トナーの消費量を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構造を示す正面断面図である。
図2】画像形成装置の内部構成を示すブロック図である。
図3】推奨パターン情報の一例を示す図である。
図4A】画像形成処理を示すフローチャートである。
図4B】画像形成処理を示すフローチャートである。
図5】推奨画面の一例を示す図である。
図6】推奨画面の他の一例を示す図である。
図7】透かし防止画像の印刷範囲として予め定められている部分の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構造を示す正面断面図である。図2は、画像形成装置の内部構成を示すブロック図である。
【0012】
図1を参照して、画像形成装置1は、装置本体2と、後処理装置3と、を備えている。以下、装置本体2の構成、及び後処理装置3の構成について説明する。
【0013】
[装置本体2の構成]
装置本体2は、ファクシミリ機能、コピー機能、プリンター機能、及びスキャナー機能等の複数の機能を有している。装置本体2は、画像読取部11、画像形成部12、定着部13、給紙部14、表示部15、操作部16、検出部17等を備えている。
【0014】
画像読取部11は、原稿台4Aに載置されている原稿を搬送する原稿搬送部4と、原稿搬送部4により搬送されてくる原稿又はプラテンガラスに載置されている原稿を光学的に読取るスキャナーと、を含むADF(Auto Document Feeder)である。画像読取部11は、光照射部により原稿を照射し、その反射光をCCD(Charge-Coupled Device)センサーで受光することによって、原稿画像を読取って画像データを生成する。
【0015】
画像形成部12は、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、及び転写装置を含んでいる。画像形成部12は、画像読取部11によって生成された画像データ等に基づいて、給紙部14から搬送されてくる記録紙Pに、トナー像によって構成されている画像を形成する。
【0016】
定着部13は、画像形成部12によってトナー像が形成された記録紙Pを加熱及び加圧することによってトナー像を記録紙に定着させる。定着部13によってトナー像が定着された記録紙Pは、第1排出トレイ7に排出されるか、又は、後処理装置3に向けて搬送される。
【0017】
給紙部14は、手差しトレイ141と、給紙カセット142A乃至142Cと、を備えている。給紙部14は、給紙カセット142A乃至142Cのいずれかに収容されている記録紙P、又は手差しトレイ141に載置されている記録紙Pを一枚ずつ引出して、画像形成部12に向けて給紙する。
【0018】
表示部15は、液晶ディスプレイ等によって構成されている表示装置である。表示部15は、画像形成装置1によって実行可能な各種機能に関する各種の画面を表示する。
【0019】
操作部16は、各種機能の実行の開始を指示するためのスタートキー16A等の複数のハードキーを含んでいる。操作部16はまた、表示部15に重ねて配置されているタッチパネル16Bを含んでいる。ユーザーは、操作部16を介して、画像形成装置1によって実行可能な各種機能についての指示等の各種の情報を入力する。操作部16は、特許請求の範囲における入力部の一例である。
【0020】
検出部17は、画像形成装置1の周囲の照明色を検出する。検出部17としては、特に限定されないが、ここでは、検出部17として、照明色を相関色温度として検出する色彩照度計を用いるものとする。
【0021】
図2を参照して、装置本体2は、制御ユニット100を含む。制御ユニット100は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を含む。プロセッサーは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。
【0022】
制御ユニット100は、内蔵するROM又はHDD(Hard Disk Drive)18に記憶されている制御プログラムが上記のプロセッサーによって実行されることにより、制御部10として機能する。なお、制御部10は、上記制御プログラムに基づく動作によらず、ハード回路により構成されてもよい。
【0023】
制御ユニット100は、後処理装置3、原稿搬送部4、画像読取部11、画像形成部12、定着部13、給紙部14、表示部15、操作部16、検出部17、HDD18、第1搬送機構19、画像処理部20、画像メモリー21、ファクシミリ通信部22、及び通信部23等と電気的に接続されている。
【0024】
第1搬送機構19は、搬送ローラー対191,192等、及び排出ローラー対193等から構成されている。第1搬送機構19は、排出先として第1排出トレイ7が設定されている場合には、制御部10による制御にしたがって、記録紙Pを搬送路190に沿って第1排出トレイ7に向けて搬送し、記録紙Pを第1排出トレイ7に排出する。第1搬送機構19は、後処理装置3による後処理を実行するための設定がなされている場合には、制御部10による制御にしたがって、記録紙Pを搬送路190に沿って搬送した後、後処理装置3に向けて送り出す。
【0025】
制御部10は、画像形成装置1の全体制御を司る。より詳細には、制御部10は、画像形成装置1の各部の動作、並びに、ネットワーク回線5を介して接続されているパーソナルコンピューター等の情報処理装置6との通信等の処理を実行する。
【0026】
HDD18は、画像読取部11によって生成された画像データ等の各種データを記憶する大容量の記憶装置である。HDD18は、画像形成装置1の一般的な動作を実現するための各種制御プログラムを記憶している。HDD18は、各種制御プログラムの1つとして、本発明の一実施形態に係る画像形成処理を実行するための制御プログラムを記憶している。HDD18は、特許請求の範囲における記憶部の一例である。
【0027】
HDD18は、色温度の値と、照明色とを対応付けて、照明色情報として予め記憶している。ここでは、HDD18は、「5700(K)以上7100(K)以下」の色温度の値と、「昼光色」とを対応付けて記憶しているものとする。HDD18は、「4600(K)以上5500(K)以下」の色温度の値と、「昼白色」とを対応付けて記憶しているものとする。HDD18は、「2600(K)以上3250(K)以下」の色温度の値と、「電球色」とを対応付けて記憶しているものとする。
【0028】
HDD18は、照明色と、透かし防止画像を構成するパターンとして推奨される当該照明色についての推奨パターンと、を照明色毎に対応付けて、推奨パターン情報として予め記憶している。図3は、推奨パターン情報の一例を示す図である。図3を参照して、HDD18は、「昼光色」と、第1パターン32とを対応付けて記憶している。HDD18は、「昼白色」と、第2パターン34とを対応付けて記憶している。HDD18は、「電球色」と、第3パターン36とを対応付けて記憶している。
【0029】
昼光色の照明下では、記録紙Pの表面に形成されている原稿画像は、記録紙Pの裏側から最も透けて見えやすくなる。したがって、第1パターン32には、原稿画像が最も透けにくくなるように、トナー消費量が最も多くなる画像が選択されている。第1パターン32は、特に限定されないが、ここでは、第1パターン32として、単色で塗りつぶされている画像を用いるものとする。
【0030】
昼白色の照明下では、記録紙Pの表面に形成されている原稿画像は、記録紙Pの裏側から2番目に透けて見えやすくなる。したがって、第2パターン34には、原稿画像が2番目に透けにくくなるように、トナー消費量が2番目に多くなる画像が選択されている。第2パターン34は、特に限定されないが、ここでは、第2パターン34として、予め定められている第1方向に沿って伸びている複数の線を含んでいる画像を用いるものとする。第2パターン34における当該複数の線は、第一方向に対して直交する第2方向に沿って等間隔に並ぶように配置されているものとする。
【0031】
電球色の照明下では、記録紙Pの表面に形成されている原稿画像は、記録紙Pの裏側から最も透けて見えにくくなる。したがって、第3パターン36には、原稿画像が3番目に透けにくくなるように、トナー消費量が最も少なくなる画像が選択されている。第3パターン36は、特に限定されないが、ここでは、第3パターン36として、第1方向及び第2方向に沿って等間隔に配置されている複数のドットを含んでいる画像を用いるものとする。
【0032】
画像処理部20は、画像読取部11によって生成された画像データに対して、必要に応じて画像処理を実行する。
【0033】
画像メモリー21は、画像読取部11によって生成された画像形成対象の画像データを一時的に記憶する領域を含む。
【0034】
ファクシミリ通信部22は、公衆回線への接続を行ない、公衆回線を介して画像データの送受信を行なう。
【0035】
通信部23は、LAN(Local Area Network)ボード等の通信モジュールを含んでいる。装置本体2は、通信部23を介して、ネットワークを介して接続されているパーソナルコンピューター等の情報処理装置24とデータ通信を行なう。
【0036】
装置本体2の各部には図示しない電源が接続されており、この電源から電力が供給されることによって、装置本体2及び後処理装置3の各部が動作する。
【0037】
[後処理装置3の構成]
後処理装置3は、装置本体2に対して着脱可能に構成されているオプション装置である。後処理装置3は、記録紙Pを搬送するための第2搬送機構と、記録紙Pにパンチ穴を形成する穴形成装置310と、複数の記録紙Pを綴じるための紙綴じ部320と、記録紙Pを折り曲げる紙折り処理を施す紙折り装置330と、を備えている。後処理装置3の各部は、装置本体2の制御部10による制御の元で動作する。
【0038】
第2搬送機構は、搬送ローラー対303,305等、排出ローラー対304等から構成されている。第2搬送機構は、排出先として設定されている第2排出トレイ306又は第3排出トレイ311に向けて、記録紙Pを搬送路301に沿って搬送する。
【0039】
後処理として穴形成処理を実行するための設定がなされている場合、穴形成装置310は、搬送路301内を搬送されてくる記録紙Pの予め定められている位置にパンチ穴を形成する。後処理として穴形成処理のみを実行するための設定がなされている場合、第2搬送機構は、パンチ穴が形成された記録紙Pを、第2排出トレイ306に向けて搬送し、記録紙Pを第2排出トレイ306に排出する。
【0040】
後処理として紙綴じ処理及び紙折り処理のうちの少なくともいずれか一方を実行するための設定がなされている場合、第2搬送機構は、パンチ穴が形成された記録紙P、又は、パンチ穴が形成されることなく穴形成装置310を通過した記録紙Pを、処理トレイ307に向けて搬送する。後処理として紙綴じ処理を実行するための設定がなされている場合、処理トレイ307に向けて搬送された複数の記録紙Pは、先端が揃えられている状態で処理トレイ307に一時的に蓄積される。
【0041】
紙綴じ部320は、処理トレイ307に積載されている複数の記録紙Pの端部を綴じる端部紙綴じ処理、又は、複数の記録紙Pの中央部を綴じる中央部紙綴じ処理を実行する。紙綴じ部320としては、特に限定されないが、例えば、ステープラーである。後処理として紙折り処理を実行するための設定がなされていない場合、第2搬送機構は、紙綴じ処理が実行された記録紙Pの束を、第2排出トレイ306に向けて搬送し、記録紙Pの束を第2排出トレイ306に排出する。
【0042】
後処理として紙折り処理を実行するための設定がなされている場合、第2搬送機構は、紙綴じ処理が実行された記録紙Pの束、又は、紙綴じ処理が実行されることなく紙綴じ部320を通過した記録紙Pを、紙折り装置330に向けて搬送する。紙折り装置330は、第2搬送機構によって搬送されてくる記録紙Pの束又は記録紙Pを折り曲げる。第2搬送機構は、紙折り処理が実行された記録紙Pの束又は記録紙Pを、第3排出トレイ311に排出する。
【0043】
[動作]
以下、本実施形態に係る画像形成装置1の動作について説明する。図4A及び図4Bは、画像形成処理を示すフローチャートである。以下、画像形成装置1は、電源が投入されている状態であるものとする。ユーザーは、タッチパネル16Bを介して、コピー機能を実行するための指示を入力したものとする。タッチパネル16Bを介して上記指示を受付けると、制御部10は、表示部15に、コピー機能に関する各種設定を行なうための設定画面を表示させる。
【0044】
(1)透かし防止処理を実行する場合
(1-1)端部紙綴じ処理を実行する場合
ユーザーは、設定画面を確認し、操作部16を介して、コピー機能に関する各種設定内容を入力する。この場合、ユーザーは、記録紙Pの給紙元を給紙カセット142Aに設定するとともに、印刷部数を10部に設定したものとする。ユーザーはまた、記録紙Pの裏面に透かし防止画像を形成するための透かし防止処理、及び端部紙綴じ処理を実行するための設定を行なったものとする。ユーザーはさらに、記録紙Pを、当該記録紙Pの裏面が露出されている状態で排出するための設定(以下「フェイスダウン設定」と記す。)を行なったものとする。
【0045】
このとき、端部紙綴じ処理を実行するための設定がなされているので、制御部10は、記録紙Pの排出先を第2排出トレイ306に設定する。制御部10はまた、透かし防止画像を形成するための頁(以下、「印刷頁」と記す。)、及び透かし防止画像を形成するための範囲(以下、「印刷範囲」と記す。)を標準設定として予め定められている「全頁」及び「全面」に設定するとともに、透かし防止画像を構成するためのパターンを標準パターンとして予め定められている「第2パターン34」に設定する。制御部10は、上記設定内容を、HDD18に記憶させる。
【0046】
上記各種設定の入力後、ユーザーは、給紙カセット142Aに複数の記録紙Pを載置し、さらに原稿搬送部4の原稿台4Aに、複数枚の原稿を載置する。記録紙P及び原稿の載置後、ユーザーは、コピーを開始するために、スタートキー16Aを押下したものとする。スタートキー16Aの押下を検知すると、制御部10は、画像形成処理の実行を開始する。
【0047】
図4Aを参照して、画像形成処理において、制御部10は、画像読取部11に、原稿搬送部4によって順次搬送されてくる複数枚の原稿の画像を読取らせて、複数頁によって構成されている画像データを生成させる(ステップS11)。画像データの生成後、制御部10は、HDD18に記憶されている設定内容に基づいて、透かし防止処理を実行するための指示を受付けていると判定するとともに(ステップ12にてYES)、端部紙綴じ処理を実行するための指示を受付けていると判定し(ステップ13にてYES)、透かし防止画像の印刷頁を、紙綴じ部320によって最後に綴じられる記録紙Pを示す「最終頁」に決定して、HDD18に記憶されている印刷頁についての設定内容を「全頁」から「最終頁のみ」に変更する(ステップS14)。
【0048】
設定内容の変更後、制御部10は、検出部17から出力されてくる色温度の値と、HDD18に記憶されている照明色情報とに基づいて、画像形成装置1の周囲の照明色を決定する(ステップS15)。このとき、画像形成装置1の上方には、昼光色の蛍光灯が点灯しているものとする。検出部17から出力されてくる色温度の値は、例えば「6000(K)」であり、制御部10は、ステップS15において、照明色を「昼光色」に決定する。
【0049】
図4Bを参照して、照明色の決定後、制御部10は、HDD18に記憶されている推奨パターン情報から、決定された照明色である「昼光色」に対応付けられている推奨パターンとして、第1パターン32を読出す(ステップS16)。推奨パターンの読出し後、制御部10は、推奨パターンとして読出された第1パターン32が、HDD18に設定内容として記憶されている標準パターンと一致していないと判定して(ステップS17にてNO)、表示部15に、推奨パターンを示すための推奨画面を表示させる(ステップS18)。
【0050】
図5は、推奨画面の一例を示す図である。図5を参照して、ステップS18において、制御部10は、「現在の照明下では、印刷内容が透けやすくなります。以下に示すパターンの使用を推奨します。」というメッセージ52と、推奨パターンとして読出された第1パターン32と、推奨パターンの使用を指示するためのソフトキー54と、標準パターンの使用を指示するためのソフトキー56と、を含んでいる推奨画面50を生成して、表示部15に表示させる。推奨画面50の表示後、制御部10は、タッチパネル16Bを介して、キー54又はキー56に対するタッチ操作を受付けるまで待機する(ステップS19にてNO、ステップS20にてNO)。
【0051】
なお、例えば、画像形成装置1の上方において、電球色の蛍光灯が点灯しており、検出部17から出力されてくる色温度の値が、例えば「3000(K)」である場合、制御部10は、照明色を「電球色」に決定し(ステップS15)、「電球色」に対応する推奨パターンとして、第3パターン36を読出す(ステップS16)。制御部10はさらに、読出された第3パターン36が、HDD18に設定内容として記憶されている標準パターンと一致していないと判定し(ステップS17にてNO)、表示部15に、推奨画面を表示させる(ステップS18)。
【0052】
図6は、推奨画面の他の一例を示す図である。図6を参照して、ステップS18において、制御部10は、「現在の照明下では、印刷内容が透けにくくなります。以下に示すパターンの使用を推奨します。」というメッセージ62と、推奨パターンとして読出された第3パターン36と、推奨パターンの使用を指示するためのソフトキー64と、標準パターンの使用を指示するためのソフトキー66と、を含んでいる推奨画面60を生成して、表示部15に表示させる。推奨画面60の表示後、制御部10は、タッチパネル16Bを介して、キー64又はキー66に対するタッチ操作を受付けるまで待機する(ステップS19にてNO、ステップS20にてNO)。
【0053】
以下、表示部15に推奨画面50が表示されている場合の動作について説明するが、表示部15に推奨画面60が表示されている場合の動作は、推奨パターンが第3パターン36である点を除き、以下に説明する動作と同じである。
【0054】
(1-1-1)推奨パターンを使用する場合
ユーザーは、推奨画面50を確認して、キー54をタッチしたものとする。制御部10は、タッチパネル16Bを介してキー54に対するタッチ操作を受付けることによって、推奨パターンを使用するための指示を受付けると(ステップS19にてYES)、HDD18に記憶されている、透かし防止画像を構成するためのパターンについての設定内容を「第2パターン34」から推奨パターンである「第1パターン32」に変更する(ステップS21)。
【0055】
設定内容の変更後、制御部10は、以下のようにして、HDD18に記憶されている設定内容にしたがって、画像形成部12等に、原稿画像及び透かし防止画像を記録紙Pに形成させる(ステップS22)。具体的には、制御部10は、画像形成部12等に、給紙部14によって給紙カセット142Aから一枚ずつ給紙されてくる記録紙Pのそれぞれの表面に、画像読取部11によって生成された画像データに基づいて、原稿画像を頁順に順次形成させるとともに、最終頁の原稿画像が形成されている記録紙Pの裏面全面に、第1パターン32を用いて構成されている透かし防止画像を形成させる。
【0056】
画像が形成された第一頁から最終頁までの複数の記録紙Pは、第1搬送機構19によって後処理装置3に向けて送り出され、第2搬送機構によって、処理トレイ307に向けて搬送される。処理トレイ307に向けて搬送された複数の記録紙Pは、先端が揃えられている状態で、処理トレイ307に一時的に蓄積される。制御部10は、紙綴じ部320に、処理トレイ307に積載されている複数の記録紙Pの端部を綴じさせる。このとき、透かし防止画像が形成されている記録紙Pは、紙綴じ部320によって最後に綴じられた記録紙Pとなる。
【0057】
端部紙綴じ処理が実行された記録紙Pの束は、第2搬送機構によって第2排出トレイ306に向けて搬送され、最後に綴じられている記録紙Pの裏面が露出されている状態で、第2排出トレイ306に排出される。制御部10は、上記した動作をさらに9回繰返して実行することによって、第1部目から第10部目までの印刷物を生成する。
【0058】
(1-1-2)標準パターンを使用する場合
ユーザーは、推奨画面50を確認して、キー56をタッチしたものとする。制御部10は、タッチパネル16Bを介してキー56に対するタッチ操作を受付けることによって、標準パターンを使用するための指示を受付けると(ステップS20にてYES)、ステップS21の処理を実行することなく、以下のようにして、ステップS22の処理を実行する。
【0059】
具体的には、制御部10は、画像形成部12等に、給紙部14によって給紙カセット142Aから一枚ずつ給紙されてくる記録紙Pのそれぞれの表面に原稿画像を頁順に順次形成させるとともに、最終頁の原稿画像が形成されている記録紙Pの裏面全面に、第2パターン34を用いて構成されている透かし防止画像を形成させる。画像が形成された第一頁から最終頁までの複数の記録紙Pは、上記と同様にして、紙綴じ部320によって端部紙綴じ処理が実行された後、第2搬送機構によって、記録紙Pの束として第2排出トレイ306に排出される。制御部10は、上記した動作をさらに9回繰返して実行することによって、第1部目から第10部目までの印刷物を生成する。
【0060】
(1-2)シフト排出処理を実行する場合
ユーザーは、設定画面を確認し、操作部16を介して、コピー機能に関する各種設定内容を入力する。この場合、ユーザーは、記録紙Pの給紙元を給紙カセット142A及び給紙カセット142Bに設定するとともに、印刷部数を10部に設定したものとする。ユーザーはまた、透かし防止処理及びシフト排出処理を実行するための設定を行なったものとする。ここで、シフト排出処理とは、記録紙Pにおける長手方向の向きを部数ごとに90度変更することによって記録紙Pの排出時における位置を部数ごとにずらして、記録紙Pを第1排出トレイ7に排出するための処理を示す。ユーザーはさらに、フェイスダウン設定を行なったものとする。
【0061】
このとき、後処理装置3による後処理を実行するための設定がなされていないので、制御部10は、記録紙Pの排出先を第1排出トレイ7に設定する。制御部10はまた、透かし防止画像の印刷頁及び印刷範囲を上記した標準設定の内容に設定するとともに、透かし防止画像を構成するためのパターンを上記した標準パターンに設定する。制御部10は、上記設定内容を、HDD18に記憶させる。
【0062】
上記各種設定の入力後、ユーザーは、給紙カセット142A及び給紙カセット142Bのそれぞれに、複数の記録紙Pを載置する。このとき、給紙カセット142A及び給紙カセット142Bには、給紙カセット142Aに載置されている複数の記録紙Pの長手方向と、給紙カセット142Bに載置されている複数の記録紙Pの長手方向とが直交するように、複数の記録紙Pが載置されているものとする。ユーザーはさらに、原稿搬送部4の原稿台4Aに複数枚の原稿を載置して、スタートキー16Aを押下したものとする。
【0063】
再び図4Aを参照して、スタートキー16Aの押下を検知すると、制御部10は、上記と同様にしてステップS11の処理を実行する。ステップS11の処理の実行後、制御部10は、HDD18に記憶されている設定内容に基づいて、透かし防止処理を実行するための指示を受付けていると判定するとともに(ステップ12にてYES)、端部紙綴じ処理を実行するための指示を受付けていないと判定する(ステップS13にてNO)。
【0064】
制御部10はさらに、シフト排出処理を実行するためのシフト排出指示を受付けていると判定して(ステップS23にてYES)、透かし防止画像の印刷頁を、各部について最後に第1排出トレイ7に排出される記録紙Pを示す「最終頁」に決定して、HDD18に記憶されている印刷頁についての設定内容を「全頁」から「最終頁のみ」に変更するとともに、透かし防止画像の印刷範囲を「予め定められている部分」に決定して、HDD18に記憶されている印刷範囲についての設定内容を「全面」から「予め定められている部分」に変更する(ステップS24)。
【0065】
図7は、透かし防止画像の印刷範囲として予め定められている部分の一例を示す図である。図7(A)を参照して、印刷部数が奇数の印刷物は、記録紙Pの短手方向の向きが排出方向Dと同じになるように、第1排出トレイ7に排出される。印刷部数が奇数の印刷物については、最後に排出される記録紙Pの裏面において、直後に排出される偶数部の印刷物に含まれている記録紙と重ならない部分である、記録紙Pの長手方向両端部分72A,72Bが、透かし防止画像の印刷範囲として予め定められている。
【0066】
図7(B)を参照して、印刷部数が偶数の印刷物は、記録紙Pの長手方向の向きが排出方向Dと同じになるように、第1排出トレイ7に排出される。印刷部数が偶数の印刷物については、最後に排出される記録紙Pの裏面において、直後に排出される奇数部の印刷物に含まれている記録紙と重ならない部分である、記録紙Pの長手方向一端部分74が、透かし防止画像の印刷範囲として予め定められている。図7(C)を参照して、最終部の印刷物は、印刷部数が奇数であるか偶数であるかにかかわりなく、最後に排出される記録紙Pの全面76が、透かし防止画像の印刷範囲として予め定められている。
【0067】
設定内容の変更後、制御部10は、上記と同様にしてステップS15の処理を実行する。このとき、画像形成装置1の上方には、昼白色の蛍光灯が点灯しているものとする。検出部17から出力されてくる色温度の値は、例えば「5000(K)」であり、制御部10は、ステップS15において、照明色を「昼白色」に決定する。
【0068】
再び図4Bを参照して、照明色の決定後、制御部10は、HDD18に記憶されている推奨パターン情報から、「昼白色」に対応付けられている推奨パターンとして、第2パターン34を読出す(ステップS16)。推奨パターンの読出し後、制御部10は、読出された第2パターン34が、HDD18に設定内容として記憶されている標準パターンと一致していると判定し(ステップS17にてYES)、ステップS18からステップS21までの処理を実行することなく、以下のようにして、ステップS22の処理を実行する。
【0069】
具体的には、制御部10は、画像形成部12等に、給紙部14によって給紙カセット142Aから一枚ずつ給紙されてくる記録紙Pのそれぞれの表面に原稿画像を頁順に順次形成させるとともに、最終頁の原稿画像が形成されている記録紙Pの裏面における予め定められている部分72A,72Bに、第2パターン34を用いて構成されている透かし防止画像を形成させる。画像が形成された第一頁から最終頁までの複数の記録紙Pは、第1搬送機構19によって、第1排出トレイ7に向けて搬送され、最終頁の原稿画像が形成されている記録紙Pの裏面が露出されている状態で、第1部目の印刷物として第1排出トレイ7に排出される。
【0070】
制御部10は次いで、記録紙Pの給紙元を給紙カセット142Aから給紙カセット142Bに変更し、画像形成部12等に、給紙部14によって給紙カセット142Bから一枚ずつ給紙されてくる記録紙Pのそれぞれの表面に原稿画像を頁順に順次形成させるとともに、最終頁の原稿画像が形成されている記録紙Pの裏面における予め定められている部分74に、第2パターン34を用いて構成されている透かし防止画像を形成させる。画像が形成された第一頁から最終頁までの複数の記録紙Pは、第1搬送機構19によって、第1排出トレイ7に向けて搬送され、最終頁の原稿画像が形成されている記録紙Pの裏面が露出されている状態で、第2部目の印刷物として第1排出トレイ7に排出される。
【0071】
このとき、第2部目の印刷物は、第2部目の印刷物に含まれている記録紙Pにおける長手方向の向きが、第1部目の印刷物に含まれている記録紙Pにおける長手方向の向きに対して直交する状態で、第1部目の印刷物に重なるように排出される。制御部10はさらに、上記した第1部目の印刷物を生成する動作と、上記した第2部目の印刷物を生成する動作とを交互に繰返して実行して、第1部目から第9部目までの印刷物を生成する。
【0072】
第9部目の印刷物の生成後、制御部10は、記録紙Pの給紙元を給紙カセット142Aから給紙カセット142Bに変更し、画像形成部12等に、給紙部14によって給紙カセット142Bから一枚ずつ給紙されてくる記録紙Pのそれぞれの表面に原稿画像を頁順に順次形成させるとともに、最終頁の原稿画像が形成されている記録紙Pの裏面全面に、第2パターン34を用いて構成されている透かし防止画像を形成させる。画像が形成された第一頁から最終頁までの複数の記録紙Pは、第1搬送機構19によって、第1排出トレイ7に向けて搬送され、最終頁の原稿画像が形成されている記録紙Pの裏面が露出されている状態で、第10部目の印刷物として第1排出トレイ7に排出される。
【0073】
上記したように、制御部10は、給紙部14に、異なる向きで記録紙Pがそれぞれ収容されている給紙カセット142A及び給紙カセット142Bから部数ごとに記録紙Pを交互に給紙させるとともに、第1搬送機構19に、画像が形成された記録紙Pを、第1排出トレイ7に向けて搬送させて第1排出トレイ7に排出させることによって、シフト排出処理を実行する。なお、給紙部14及び第1搬送機構19は、特許請求の範囲における排出機構の一例である。
【0074】
(1-3)端部紙綴じ処理及びシフト排出処理を実行しない場合
ユーザーは、設定画面を確認し、操作部16を介して、コピー機能に関する各種設定内容を入力する。この場合、ユーザーは、記録紙Pの給紙元を給紙カセット142Aに設定するとともに、印刷部数を1部に設定したものとする。ユーザーはまた、透かし防止処理を実行するための設定を行なったものとする。ユーザーはさらに、フェイスダウン設定を行なったものとする。ユーザーは、後処理及びシフト排出処理を実行するための設定は行なわなかったものとする。
【0075】
このとき、後処理を実行するための設定がなされていないので、制御部10は、記録紙Pの排出先を第1排出トレイ7に設定する。制御部10はまた、透かし防止画像の印刷頁及び印刷範囲を上記した標準設定の内容に設定するとともに、透かし防止画像を構成するためのパターンを上記した標準パターンに設定する。制御部10は、上記設定内容を、HDD18に記憶させる。
【0076】
上記各種設定の入力後、ユーザーは、給紙カセット142Aに、複数の記録紙Pを載置するとともに、原稿搬送部4の原稿台4Aに複数枚の原稿を載置する。記録紙P及び原稿の載置後、ユーザーは、スタートキー16Aを押下したものとする。再び図4Aを参照して、スタートキー16Aの押下を検知すると、制御部10は、上記と同様にしてステップS11の処理を実行する。ステップS11の処理の実行後、制御部10は、HDD18に記憶されている設定内容に基づいて、透かし防止処理を実行するための指示を受付けていると判定するとともに(ステップ12にてYES)、端部紙綴じ処理を実行するための指示を受付けていないと判定する(ステップS13にてNO)。
【0077】
制御部10はさらに、シフト排出指示を受付けていないと判定して(ステップS23にてNO)、以下のようにして、ステップS22の処理を実行する。具体的には、制御部10は、画像形成部12等に、給紙部14によって給紙カセット142Aから一枚ずつ給紙されてくる記録紙Pのそれぞれの表面に原稿画像を頁順に順次形成させるとともに、原稿画像が形成されている全頁の記録紙Pの裏面全面に、第2パターン34を用いて構成されている透かし防止画像を形成させる。画像が形成された第一頁から最終頁までの複数の記録紙Pは、第1搬送機構19によって、第1排出トレイ7に向けて搬送され、最後に排出される記録紙Pの裏面が露出されている状態で、第1部目の印刷物として第1排出トレイ7に排出される。
【0078】
(2)透かし防止処理を実行しない場合
ユーザーは、設定画面を確認し、操作部16を介して、コピー機能に関する各種設定内容を入力する。この場合、ユーザーは、記録紙Pの給紙元を給紙カセット142Cに設定するとともに、印刷部数を1部に設定したものとする。ユーザーはまた、フェイスダウン設定を行なったものとする。ユーザーは、透かし防止処理、後処理、及びシフト排出処理を実行するための設定は行なわなかったものとする。
【0079】
このとき、後処理を実行するための設定がなされていないので、制御部10は、記録紙Pの排出先を第1排出トレイ7に設定する。制御部10は、透かし防止処理を実行するための設定がなされていないので、透かし防止画像の印刷頁及び印刷範囲、並びに透かし防止画像を構成するためのパターンの設定を行なわない。制御部10は、上記設定内容を、HDD18に記憶させる。
【0080】
上記各種設定の入力後、ユーザーは、給紙カセット142Cに複数の記録紙Pを載置し、さらに原稿搬送部4の原稿台4Aに複数枚の原稿を載置する。記録紙P及び原稿の載置後、ユーザーは、スタートキー16Aを押下したものとする。再び図4Aを参照して、スタートキー16Aの押下を検知すると、制御部10は、上記と同様にしてステップS11の処理を実行する。ステップS11の処理の実行後、制御部10は、HDD18に記憶されている設定内容に基づいて、透かし防止処理を実行するための指示を受付けていないと判定し(ステップ12にてNO)、以下のようにして、ステップS22の処理を実行する。
【0081】
具体的には、制御部10は、画像形成部12等に、給紙部14によって給紙カセット142Cから一枚ずつ給紙されてくる記録紙Pのそれぞれの表面に原稿画像を頁順に順次形成させ、透かし防止画像の形成は行なわない。画像が形成された第一頁から最終頁までの複数の記録紙Pは、第1搬送機構19によって、第1排出トレイ7に向けて搬送され、最後に排出される記録紙Pの裏面が露出されている状態で、第1部目の印刷物として第1排出トレイ7に排出される。
【0082】
上記実施の形態によれば、制御部10は、操作部16を介して、原稿画像を複数の記録紙Pの表面に形成させるための指示を受付けている場合に、画像形成部12等に、原稿画像を複数の記録紙Pの表面に形成させるとともに、複数の記録紙Pのうちから透かし防止画像を形成するための記録紙Pを決定し、画像形成部12等に、決定された記録紙Pの裏面のみに、透かし防止画像を形成させる。
【0083】
このように、複数の記録紙Pのうちから決定された記録紙Pのみに透かし防止画像が形成されるので、原稿画像が複数の記録紙Pに形成される場合に、透かし防止画像を用いて原稿画像を秘匿しつつ、全ての記録紙Pに透かし防止画像を形成する場合と比較して、トナーの消費量を抑えることができる。なお、「表面」は、特許請求の範囲における「第一面」に対応し、「裏面」は、特許請求の範囲における「第二面」に対応している。
【0084】
また上記実施の形態によれば、制御部10は、操作部16を介して、端部紙綴じ処理を実行するための指示をさらに受付けている場合に、紙綴じ部320によって最後に綴じられる記録紙Pを、透かし防止画像を形成するための記録紙Pとして決定する。これによって、原稿画像が印刷されている複数の記録紙Pが綴じられている場合には、例えば、綴じられている状態の記録紙Pの束を、原稿画像の印刷面をユーザー側に向けて持ち運んでいる場合等に、印刷面の反対側から原稿画像が見えやすい状態となっている記録紙Pのみに透かし防止画像が形成されるので、原稿画像を透かし防止画像を用いて確実に秘匿しつつ、トナーの消費量を抑えることができる。
【0085】
また上記実施の形態によれば、制御部10は、記録紙Pを、当該記録紙Pの裏面が露出されている状態で排出するための設定がなされている場合には、複数の記録紙Pのうち最後に第1排出トレイ7に排出される記録紙Pを、透かし防止画像を形成するための記録紙Pとして決定する。これによって、複数の記録紙Pが第1排出トレイ7に重ねて排出されている場合に、印刷面の反対側から原稿画像が見えやすい状態となっている記録紙Pのみに透かし防止画像が形成されるので、原稿画像を透かし防止画像を用いて確実に秘匿しつつ、トナーの消費量を抑えることができる。
【0086】
また上記実施の形態によれば、制御部10は、操作部16を介して、シフト排出指示をさらに受付けている場合に、部数ごとに、各部において最後に第1排出トレイ7に排出される記録紙Pを、透かし防止画像を形成するための記録媒体として決定し、画像形成部12等に、決定された記録紙Pの裏面において、他の記録紙Pと重ならない部分として予め定められている部分に、透かし防止画像を形成させる。これによって、部数ごとに向きが変更された状態で印刷物が第1排出トレイ7に排出されている場合に、印刷面の反対側から原稿画像が見えやすい状態となっている部分のみに透かし防止画像が形成されるので、原稿画像を透かし防止画像を用いて確実に秘匿しつつ、トナーの消費量をさらに抑えることができる。
【0087】
また上記実施の形態によれば、制御部10は、検出部17によって検出された色温度の値と照明色情報とに基づいて決定された照明色に対応付けられている推奨パターンをHDD18から読出し、読出された推奨パターンを用いて構成されている透かし防止画像を、決定された記録紙Pの裏面に形成させる。これによって、画像形成装置1の周囲の照明色に応じた適切な透かし防止画像が形成されるので、原稿画像を透かし防止画像を用いてより一層確実に秘匿しつつ、トナーの消費量を効率よく抑えることができる。
【0088】
また上記実施の形態によれば、制御部10は、表示部15に、読出された推奨パターンを表示させ、操作部16を介して、表示されている推奨パターンを使用するための指示を受付けると、読出された推奨パターンを用いて構成されている透かし防止画像を、決定された記録紙Pの裏面に形成させる。制御部10は、操作部16を介して、標準パターンを使用するための指示を受付けた場合、標準パターンを用いて構成されている透かし防止画像を、決定された記録紙Pの裏面に形成させる。これによって、ユーザーは、例えば、画像形成装置1が設置されていない部屋において印刷物を使用する予定がある場合等、印刷物の用途に応じて適切な透かし防止画像を選択して形成させることができるので、ユーザーの利便性が向上する。
【0089】
(その他の変形例)
上記実施の形態では、制御部10は、給紙部14及び第1搬送機構19に、予め定められる単位としての「部数」ごとにシフト排出処理を実行させたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、制御部10は、給紙部14及び第1搬送機構19に、予め定められる単位としての「頁」ごとにシフト排出処理を実行させてもよい。
【0090】
また上記実施の形態では、制御部10は、記録紙Pにおける長手方向の向きを部数ごとに変更することによって、シフト排出処理を実行したが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、画像形成装置1が、複数の排出トレイを備えており、制御部10は、記録紙Pを部数ごとに当該複数の排出トレイのそれぞれに仕分けて排出することによって、シフト排出処理を実行してもよい。この場合、ステップS24において、制御部10は、HDD18に記憶されている印刷頁についての設定内容を「全頁」から「最終頁のみ」に変更し、印刷範囲についての設定内容は「全面」のまま変更しない。
【0091】
また上記実施の形態では、制御部10は、コピー機能を実行する際に、上記
画像形成処理を実行したが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、制御部10は、情報処理装置24等から通信部23を介して送信されてくる画像データに基づいて原稿画像の形成を行なうプリンター機能の実行時において、当該画像形成処理を実行してもよい。この場合、制御部10は、ステップS11の処理を実行することなく、ステップS12からステップS24までの処理を実行する。
【0092】
また上記実施の形態では、制御部10は、透かし防止処理として、記録紙Pの裏面に透かし防止画像を形成するための処理のみを実行したが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、透かし防止処理として、さらに、原稿画像の印字濃度を薄くするための処理を実行してもよい。この場合、制御部10は、照明色が電球色である場合に、印字濃度を予め定められている第1濃度とし、照明色が昼白色である場合に、印字濃度を第1濃度よりも薄い第2濃度とし、照明色が昼光色である場合に、印字濃度を第2濃度よりも薄い第33とするように構成されていてもよい。
【0093】
また上記実施形態では、制御部10は、給紙部14及び第1搬送機構19に、記録紙Pにおける長手方向の向きを部数ごとに90度変更させることによってシフト排出処理を実行したが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、制御部10は、給紙部14及び第1搬送機構19に、記録紙Pの排出方向の位置を部数ごとにずらして記録紙Pを排出させることによってシフト排出処理を実行してもよい。この場合においても、各部の印刷物において最後に排出される記録紙Pの裏面における、直後に排出される部の印刷物に含まれている記録紙と重ならない部分が、透かし防止画像の印刷範囲として予め定められている。なお、最終部の印刷物については、最後に排出される記録紙Pの全面が、透かし防止画像の印刷範囲として予め定められている。
【0094】
また上記実施の形態では、画像形成部12等は、記録紙に画像を形成したが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。画像形成部12等は、記録紙に限らず、他の記録媒体に画像を形成してもよい。他の記録媒体としては、例えば、OHP(Overhead Projector)シートを例示できる。
【0095】
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置としてカラー複合機を用いているが、これは一例に過ぎず、画像形成装置として、モノクロ複合機、プリンター、コピー機、又はファクシミリ装置等を用いてもよい。
【0096】
図1乃至図7を用いて示した上記実施形態の構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0097】
1 画像形成装置
7 第1排出トレイ
10 制御部
12 画像形成部
14 給紙部
15 表示部
16 操作部
17 検出部
18 HDD
19 第1搬送機構
320 紙綴じ部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7