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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/03 20120101AFI20230711BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
F16H57/03
H02K7/116
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019122193
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021008901
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】石川 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭吾
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/030371(WO,A1)
【文献】特開2018-105476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/03
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸を中心として回転するロータを有するモータと、
前記モータの動力を車軸に伝達する伝達機構と、
前記モータおよび前記伝達機構を収容するハウジングと、
を備え、
前記ハウジングは、
前記モータ軸に沿って一方側から他方側へ延びる筒状のモータハウジングと、
前記モータハウジングの軸方向他方側の端部から径方向に広がる連結部と、
前記連結部との間に前記伝達機構を収容し、前記連結部と軸方向に接合されるギヤハウジングと、
を有し、
前記伝達機構は、第1ベアリングに支持される第1ギヤと、第2ベアリングに支持される第2ギヤと、第3ベアリングに支持される第3ギヤとが組み合わされるギヤ装置を含み、
前記ギヤハウジングは、
前記第1ベアリングを保持する第1保持部、前記第2ベアリングを保持する第2保持部、および前記第3ベアリングを保持する第3保持部と、
前記ギヤハウジングの壁面から軸方向他方側に突出し、軸方向に見て、前記第1ベアリング、前記第2ベアリングおよび前記第3ベアリングを内包する領域の周囲に巡らされる囲いリブと、
を有し、
前記囲いリブは、
前記第1ベアリング、前記第2ベアリングおよび前記第3ベアリングのそれぞれの外周縁に沿って延びる複数の円弧状リブと、
前記複数の円弧状リブに接続される複数の直線状リブと、
を有し、
1つ以上の前記直線状リブは、前記第1ベアリングと前記第2ベアリングとの共通接線上、または前記第2ベアリングと前記第3ベアリングとの共通接線上、または前記第3ベアリングと前記第1ベアリングとの共通接線上に位置
前記第1ベアリングの外周縁に沿う前記円弧状リブは、前記第1ベアリングと前記第2ベアリングとの共通接線上に位置する前記直線状リブと、前記第3ベアリングと前記第1ベアリングとの共通接線上に位置する前記直線状リブとに接続され、
前記第2ベアリングの外周縁に沿う前記円弧状リブは、前記第1ベアリングと前記第2ベアリングとの共通接線上に位置する前記直線状リブと、前記第2ベアリングと前記第3ベアリングとの共通接線上に位置する前記直線状リブとに接続され、
前記第3ベアリングの外周縁に沿う前記円弧状リブは、前記第1ベアリングと前記第3ベアリングとの共通接線上に位置する前記直線状リブと、前記第2ベアリングと前記第3ベアリングとの共通接線上に位置する前記直線状リブとに接続される、
駆動装置。
【請求項2】
モータ軸を中心として回転するロータを有するモータと、
前記モータの動力を車軸に伝達する伝達機構と、
前記モータおよび前記伝達機構を収容するハウジングと、
を備え、
前記ハウジングは、
前記モータ軸に沿って一方側から他方側へ延びる筒状のモータハウジングと、
前記モータハウジングの軸方向他方側の端部から径方向に広がる連結部と、
前記連結部との間に前記伝達機構を収容し、前記連結部と軸方向に接合されるギヤハウジングと、
を有し、
前記伝達機構は、第1ベアリングに支持される第1ギヤと、第2ベアリングに支持される第2ギヤと、第3ベアリングに支持される第3ギヤとが組み合わされるギヤ装置を含み、
前記ギヤハウジングは、
前記第1ベアリングを保持する第1保持部、前記第2ベアリングを保持する第2保持部、および前記第3ベアリングを保持する第3保持部と、
前記ギヤハウジングの壁面から軸方向他方側に突出し、軸方向に見て、前記第1ベアリング、前記第2ベアリングおよび前記第3ベアリングを内包する領域の周囲に巡らされる囲いリブと、
を有し、
前記囲いリブは、
前記第1ベアリング、前記第2ベアリングおよび前記第3ベアリングのそれぞれの外周縁に沿って延びる複数の円弧状リブと、
前記複数の円弧状リブに接続される複数の直線状リブと、
を有し、
1つ以上の前記直線状リブは、前記第1ベアリングと前記第2ベアリングとの共通接線上、または前記第2ベアリングと前記第3ベアリングとの共通接線上、または前記第3ベアリングと前記第1ベアリングとの共通接線上に位置し、
前記ギヤハウジングは、軸方向に見て前記第1保持部と重なる位置に、内部に流体を流通させる流路部材を有し、
前記第1ベアリングの外周縁に沿う前記円弧状リブおよび前記第1ベアリングに向かって延びる前記直線状リブのうちの少なくとも一部が、前記流路部材に接続される、
駆動装置。
【請求項3】
前記複数の円弧状リブは、軸方向に見て、前記第1保持部、前記第2保持部、および前記第3保持部にそれぞれ重なる、
請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記ギヤハウジングは、前記囲いリブの外形縁の内側において前記円弧状リブ同士を接続する補強リブを有する、
請求項1からのいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記ギヤハウジングは、前記囲いリブの外形縁の内側において前記円弧状リブの中心同士を結ぶ直線上に位置し、前記円弧状リブ同士を接続する補強リブを有する、
請求項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記ギヤハウジングは、軸方向に見て、前記第1ベアリング、前記第2ベアリングおよび前記第3ベアリングのうちの少なくとも1つのベアリングを中心として放射状に延びる放射形状リブを有する、
請求項1からのいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記ギヤハウジングは、前記第1ベアリング、前記第2ベアリングおよび前記第3ベアリングのうち少なくとも1つのベアリングと同軸の円筒部を有し、
前記放射形状リブは、前記円筒部の側面から前記円筒部の径方向外側へ延びる、
請求項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記ギヤハウジングは、
前記第1ベアリング、前記第2ベアリングおよび前記第3ベアリングのうちの2つのベアリングと同軸の円筒部と、
2つの前記円筒部の共通接線上に位置し、前記2つの円筒部の側面に接続する円筒部補強リブと、
を有する、
請求項1からのいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記ギヤハウジングは、
前記第1ベアリング、前記第2ベアリングおよび前記第3ベアリングのうち少なくとも1つのベアリングと同軸の円筒部と、
前記ギヤハウジングの壁面から軸方向他方側に突出するボスと、
前記円筒部の側面から前記円筒部の接線方向に延び、前記ボスに接続する円筒部補強リブと、
を有する、
請求項1からのいずれか1項に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータと、減速機構および差動装置と、を備える駆動装置が知られる(特許文献1参照)。駆動装置において、互いに噛み合うギヤ同士には、互いに離れる方向の応力が作用する。ギヤを収容するハウジングでは、ギヤに作用する応力を受け止めるために、ギヤを支持する軸受の周囲に補強用のリブが配置される(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-246180号公報
【文献】特開2015-194221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のハウジングでは、ギヤの軸受に作用する応力に応じてリブを大きくする必要があった。そのため、ハウジングの強度を確保しようとすると、駆動装置が大型化する課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様によれば、モータ軸を中心として回転するロータを有するモータと、前記モータの動力を車軸に伝達する伝達機構と、前記モータおよび前記伝達機構を収容するハウジングと、を備える駆動装置が提供される。前記ハウジングは、前記モータ軸に沿って一方側から他方側へ延びる筒状のモータハウジングと、前記モータハウジングの軸方向他方側の端部から径方向に広がる連結部と、前記連結部との間に前記伝達機構を収容し、前記連結部と軸方向に接合されるギヤハウジングと、を有する。前記伝達機構は、第1ベアリングに支持される第1ギヤと、第2ベアリングに支持される第2ギヤと、第3ベアリングに支持される第3ギヤとが組み合わされるギヤ装置を含む。前記ギヤハウジングは、前記第1ベアリングを保持する第1保持部、前記第2ベアリングを保持する第2保持部、および前記第3ベアリングを保持する第3保持部と、前記ギヤハウジングの壁面から軸方向他方側に突出し、軸方向に見て、前記第1ベアリング、前記第2ベアリングおよび前記第3ベアリングを内包する領域の周囲に巡らされる囲いリブと、を有する。前記囲いリブは、前記第1ベアリング、前記第2ベアリングおよび前記第3ベアリングのそれぞれの外周縁に沿って延びる複数の円弧状リブと、前記複数の円弧状リブに接続される複数の直線状リブと、を有する。1つ以上の前記直線状リブは、前記第1ベアリングと前記第2ベアリングとの共通接線上、または前記第2ベアリングと前記第3ベアリングとの共通接線上、または前記第3ベアリングと前記第1ベアリングとの共通接線上に位置し、前記第1ベアリングの外周縁に沿う前記円弧状リブは、前記第1ベアリングと前記第2ベアリングとの共通接線上に位置する前記直線状リブと、前記第3ベアリングと前記第1ベアリングとの共通接線上に位置する前記直線状リブとに接続される。前記第2ベアリングの外周縁に沿う前記円弧状リブは、前記第1ベアリングと前記第2ベアリングとの共通接線上に位置する前記直線状リブと、前記第2ベアリングと前記第3ベアリングとの共通接線上に位置する前記直線状リブとに接続される。前記第3ベアリングの外周縁に沿う前記円弧状リブは、前記第1ベアリングと前記第3ベアリングとの共通接線上に位置する前記直線状リブと、前記第2ベアリングと前記第3ベアリングとの共通接線上に位置する前記直線状リブとに接続される。
また、本発明の1つの態様によれば、モータ軸を中心として回転するロータを有するモータと、前記モータの動力を車軸に伝達する伝達機構と、前記モータおよび前記伝達機構を収容するハウジングと、を備える駆動装置が提供される。前記ハウジングは、前記モータ軸に沿って一方側から他方側へ延びる筒状のモータハウジングと、前記モータハウジングの軸方向他方側の端部から径方向に広がる連結部と、前記連結部との間に前記伝達機構を収容し、前記連結部と軸方向に接合されるギヤハウジングと、を有する。前記伝達機構は、第1ベアリングに支持される第1ギヤと、第2ベアリングに支持される第2ギヤと、第3ベアリングに支持される第3ギヤとが組み合わされるギヤ装置を含む。前記ギヤハウジングは、前記第1ベアリングを保持する第1保持部、前記第2ベアリングを保持する第2保持部、および前記第3ベアリングを保持する第3保持部と、前記ギヤハウジングの壁面から軸方向他方側に突出し、軸方向に見て、前記第1ベアリング、前記第2ベアリングおよび前記第3ベアリングを内包する領域の周囲に巡らされる囲いリブと、を有する。前記囲いリブは、前記第1ベアリング、前記第2ベアリングおよび前記第3ベアリングのそれぞれの外周縁に沿って延びる複数の円弧状リブと、前記複数の円弧状リブに接続される複数の直線状リブと、を有する。1つ以上の前記直線状リブは、前記第1ベアリングと前記第2ベアリングとの共通接線上、または前記第2ベアリングと前記第3ベアリングとの共通接線上、または前記第3ベアリングと前記第1ベアリングとの共通接線上に位置し、前記ギヤハウジングは、軸方向に見て前記第1保持部と重なる位置に、内部に流体を流通させる流路部材を有する。前記第1ベアリングの外周縁に沿う前記円弧状リブおよび前記第1ベアリングに向かって延びる前記直線状リブのうちの少なくとも一部が、前記流路部材に接続される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の1つの態様によれば、小型のリブを用いてハウジングの強度を確保でき、小型で高出力の駆動装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態の駆動装置の概念図である。
図2図2は、実施形態の駆動ユニットの斜視図である。
図3図3は、実施形態の駆動ユニットの斜視図である。
図4図4は、実施形態の駆動ユニットの側面図である。
図5図5は、実施形態のギヤハウジングを裏側から見た斜視図である。
図6図6は、囲いリブの他の形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、駆動装置1が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、重力方向を規定して説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。
【0009】
XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向(すなわち上下方向)を示し、+Z方向が上側(重力方向の反対側)であり、-Z方向が下側(重力方向)である。
また、X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって駆動装置1が搭載される車両の前後方向を示し、+X方向が車両前方であり、-X方向が車両後方である。ただし、+X方向が車両後方であり、-X方向が車両前方となることもありうる。
Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の幅方向(左右方向)を示し、+Y方向が車両左方であり、-Y方向が車両右方である。+X方向が車両後方となる場合には、+Y方向が車両右方であり、-Y方向が車両左方となることもありうる。すなわち、X軸の方向に関わらず、単に+Y方向が車両左右方向の一方側となり、-Y方向が車両左右方向の他方側となる。
【0010】
以下の説明において特に断りのない限り、モータ2のモータ軸J2に平行な方向(Y軸方向)を単に「軸方向」と呼び、モータ軸J2を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸J2を中心とする周方向、すなわち、モータ軸J2の軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。ただし、上記の「平行な方向」は、略平行な方向も含む。
【0011】
本実施形態の駆動装置1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。
【0012】
駆動装置1は、図1から図3に示すように、モータ2と、伝達機構3と、ハウジング6と、ハウジング6内に収容されるオイルOと、インバータユニット8(図2参照)と、オイルクーラー9と、電動オイルポンプ10と、を備える。
【0013】
ハウジング6は、モータ2を収容するモータハウジング60と、モータハウジング60の軸方向他方側(-Y側)の端部から径方向に広がる連結部63と、連結部63との間に伝達機構3を収容し連結部63と軸方向に接合されるギヤハウジング62と、を有する。
【0014】
モータ2は、水平方向に延びるモータ軸J2を中心として回転するロータ20と、ロータ20の径方向外側に位置するステータ30と、を備える。モータ2は、ステータ30の内側にロータ20が配置されるインナーロータ型モータである。ロータ20は、シャフト21と、ロータコア24と、図示しないロータマグネットと、を有する。
【0015】
シャフト21は、水平方向かつ車両の幅方向に延びるモータ軸J2を中心とする。シャフト21は、内部に中空部を有する中空シャフトである。シャフト21は、モータハウジング60からギヤハウジング62内へ突出する。ギヤハウジング62に突出するシャフト21の端部は、伝達機構3に連結される。具体的には、シャフト21は、入力ギヤ(第1ギヤ)41に連結される。
【0016】
ステータ30は、ロータ20を径方向外側から囲む。ステータ30は、ステータコア32と、コイル31と、ステータコア32とコイル31との間に介在するインシュレータ(図示略)とを有する。ステータ30は、モータハウジング60に保持される。コイル31はインバータユニット8に接続される。
【0017】
伝達機構3は、ギヤハウジング62に収容される。伝達機構3は、モータ軸J2の軸方向他方側(-Y側)においてシャフト21に接続される。伝達機構3は、減速装置4と差動装置5とを有する。モータ2から出力されるトルクは、減速装置4を介して差動装置5に伝達される。
【0018】
減速装置4は、モータ2のシャフト21に接続される。減速装置4は、入力ギヤ41と、カウンタギヤ(第2ギヤ)42と、ドライブギヤ43と、中間シャフト45とを有する。減速装置4は、各ギヤの軸芯が平行に配置される平行軸歯車タイプの減速機である。
【0019】
入力ギヤ41は、モータ2のシャフト21に連結される。シャフト21は、伝達機構3内において第1ベアリング71と第4ベアリング74とに支持される。すなわち、入力ギヤ41は、第1ベアリング71に支持される。第1ベアリング71は、ギヤハウジング62の第1保持部81に保持される。
【0020】
中間シャフト45は、モータ軸J2と平行な中間軸J4に沿って延びる。中間シャフト45は、第2ベアリング72と、第5ベアリング75とに支持される。カウンタギヤ42およびドライブギヤ43は、中間シャフト45の両端に固定される。カウンタギヤ42およびドライブギヤ43は、中間シャフト45を介して接続される。すなわち、第2ギヤであるカウンタギヤ42は、第2ベアリング72に支持される。第2ベアリング72は、ギヤハウジング62の第2保持部82に保持される。カウンタギヤ42は、入力ギヤ41に噛み合う。ドライブギヤ43は、差動装置5のリングギヤ(第3ギヤ)51と噛み合う。
【0021】
差動装置5は、モータ2から出力されるトルクを車両の車軸に伝達する。差動装置5は、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ、左右両輪の車軸55に同トルクを伝達する。差動装置5は、減速装置4のドライブギヤに噛み合うリングギヤ51と、リングギヤ51に固定されるデフケース50とを有する。
【0022】
デフケース50内には、図示しないピニオンギヤ、ピニオンシャフト、サイドギヤ等が収容される。デフケース50は、第3ベアリング73と第6ベアリング76とにより、回転軸J5の軸回りに回転可能に支持される。したがって、第3ギヤであるリングギヤ51は、第3ベアリング73に支持される。第3ベアリング73は、ギヤハウジング62の第3保持部83に保持される。
【0023】
モータ2から出力されるトルクは、モータ2のシャフト21、入力ギヤ41、カウンタギヤ42、中間シャフト45およびドライブギヤ43を介して差動装置5のリングギヤ51に伝達される。すなわち、伝達機構3は、第1ベアリング71に支持される入力ギヤ41と、第2ベアリング72に支持されるカウンタギヤ42およびドライブギヤ43と、第3ベアリング73に支持されるリングギヤ51とが組み合わされるギヤ装置3Aを含む。ギヤ装置3Aにおいて、各ギヤのギヤ比およびギヤの個数等は、必要とされる減速比に応じて種々変更可能である。
【0024】
ギヤハウジング62内の下部領域には、オイルOが溜るオイル溜りPが設けられる。本実施形態では、モータハウジング60の底部は、ギヤハウジング62の底部より上側に位置する。この構成により、モータ2を冷却した後のオイルOを、モータハウジング60の下部領域からギヤハウジング62のオイル溜りPに容易に回収できる。
【0025】
オイル溜りPには、ギヤ装置3Aの一部が浸かる。本実施形態では、ドライブギヤ43の下側部分がオイルOに浸かる。差動装置5のリングギヤ51の一部がオイルOに浸かっていてもよい。オイル溜りPに溜るオイルOは、ギヤ装置3Aの動作によってかき上げられる。かき上げられたオイルOの一部は、リザーバ93に供給される。オイルOは、リザーバ93からシャフト21の内部、および第3ベアリング73に供給される。オイルOの他の一部は、ギヤハウジング62内に拡散され、減速装置4および差動装置5の各ギヤに供給される。減速装置4および差動装置5の潤滑に使用されたオイルOは、滴下してギヤハウジング62の下側に位置するオイル溜りPに回収される。
【0026】
インバータユニット8は、モータ2に供給される電流を制御する。図2および図3に示すように、インバータユニット8は、ハウジング6に固定される。本実施形態の場合、インバータユニット8は、ハウジング6の一部である箱形のインバータ収容部66と、インバータ収容部66に収容される図示しないインバータ本体と、インバータ収容部66を上側から覆う蓋部69と、を有する。インバータユニット8には、車両のラジエータから延びる冷却水配管95が接続される。冷却水配管95は、インバータユニット8を経由してオイルクーラー9に延びる。
【0027】
オイルクーラー9は、ハウジング6の側面に位置する。本実施形態の場合、オイルクーラー9は、モータハウジング60の周壁部60aの側面に位置する。オイルクーラー9には、インバータユニット8から延びる冷却水配管と、電動オイルポンプ10から延びるオイル配管とが接続される。
【0028】
電動オイルポンプ10は、オイル溜りPからオイルOを吸い上げ、オイルクーラー9に供給する。電動オイルポンプ10は、ハウジング6の連結部63に固定される。電動オイルポンプ10の側面とモータハウジング60の周壁部60aの側面とが接続されていてもよい。電動オイルポンプ10から供給され、オイルクーラー9の内部を通過するオイルOは、冷却水配管を通過する冷却水との熱交換により冷却される。オイルクーラー9で冷却されたオイルOはモータ2に供給される。
【0029】
図1に示すように、オイルOは、ハウジング6に設けられた油路90内を循環する。油路90は、オイル溜りPからオイルOをモータ2に供給するオイルOの経路である。油路90は、オイルOを循環させモータ2を冷却する。
オイルOは、減速装置4および差動装置5の潤滑用として使用される。また、オイルOは、モータ2の冷却用として使用される。オイルOは、ギヤハウジング62下部のオイル溜りPに溜る。オイルOは、潤滑油および冷却油の機能を奏するため、粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のオイルを用いることが好ましい。
【0030】
図1に示すように、油路90は、モータ2の下側のオイル溜りPからモータ2を経て、再びモータ2の下側のオイル溜りPに導くオイルOの経路である。油路90は、モータ2の内部を通る第1の油路91と、モータ2の外部を通る第2の油路92と、を有する。オイルOは、第1の油路91および第2の油路92において、モータ2を内部および外部から冷却する。
【0031】
第1の油路91において、オイルOは、オイル溜りPからカウンタギヤ42によりかき上げられてロータ20の内部に導かれる。オイルOは、ロータ20からコイル31に向かって噴射され、ステータ30を冷却する。ステータ30を冷却したオイルOは、モータハウジング60の下部領域を経由してギヤハウジング62のオイル溜まりPに移動する。
【0032】
第2の油路92において、オイルOは、電動オイルポンプ10によってオイル溜りPから汲み上げられる。オイルOは、オイルクーラー9を経由してモータ2の上部に汲み上げられ、モータ2の上側からモータ2に供給される。モータ2を冷却したオイルOは、モータハウジング60の下部領域を経由してギヤハウジング62のオイル溜まりPに移動する。
【0033】
図2および図3に示すように、ハウジング6は、モータ軸J2に沿って延びる筒状のモータハウジング60と、モータハウジング60の軸方向一方側(+Y側)の端部に締結されるカバー部材61と、モータハウジング60の軸方向他方側(-Y側)の端部から径方向に広がる連結部63と、連結部63と軸方向に接合されるギヤハウジング62と、を有する。
【0034】
モータハウジング60は、モータ2を径方向外側から囲む筒状の周壁部60aと、周壁部60aの軸方向一方側(+Y側)の端部から径方向に広がるフランジ部60bと、を有する。周壁部60aの外周面に、オイルクーラー9がボルト締結される。インバータユニット8を構成するインバータ収容部66は、周壁部60aから前方側(+X側)へ延びる。周壁部60aの底部に、電動オイルポンプ10が取り付けられる。本実施形態の場合、モータハウジング60は、単一のダイカスト部品である。
【0035】
周壁部60aの内側にモータ2のステータ30が固定される。
フランジ部60bは、周壁部60aおよびインバータ収容部66の軸方向一方側(+Y側)の側面に位置する。フランジ部60bに、カバー部材61がボルト締結される。カバー部材61は、周壁部60aとインバータ収容部66の軸方向一方側の側面の一部または全部を覆う。
【0036】
連結部63は、モータ2の軸方向他方側(-Y側)に位置する。連結部63は、周壁部60aの軸方向他方側の端部から前方側(+X側)に大きく張り出す。連結部63は、周壁部60aとインバータ収容部66の軸方向他方側(+Y側)の側面に位置する。連結部63に、ギヤハウジング62が軸方向他方側からボルト締結される。
【0037】
ギヤハウジング62は、軸方向一方側(+Y側)に開口する凹形状である。ギヤハウジング62は、内部に伝達機構3を収容する。ギヤハウジング62は、軸方向に見た外周部に複数のボルト挿入孔を有する。複数のボルト挿入孔に挿入されるボルトは、連結部63のねじ穴に締め込まれる。
【0038】
ギヤハウジング62は、ギヤハウジング62を軸方向に貫通する貫通孔62aを有する。貫通孔62aは、連結部63の図示しない貫通孔と軸方向に通じる。ギヤハウジング62の貫通孔62aと連結部63の貫通孔に、図1に示す車軸55が通される。
【0039】
ギヤハウジング62は、図5に示すように、軸方向一方側(+Y側)を向く面に、第1保持部81、第2保持部82および第3保持部83を有する。第1保持部81、第2保持部82および第3保持部83は、いずれも軸方向一方側に向かって開口する円筒状である。第1保持部81の内周面に第1ベアリング71が保持される。第2保持部82の内周面に第2ベアリング72が保持される。第3保持部83の内周面に第3ベアリング73が保持される。
【0040】
ギヤハウジング62は、図2から図4に示すように、第1ベアリング71と同軸の円筒部111と、第2ベアリング72と同軸の円筒部112および円筒部114と、第3ベアリング73と同軸の円筒部113および円筒部115と、を有する。
【0041】
円筒部111の内側には、シャフト21が配置される。円筒部112の内側には、ドライブギヤ43が配置される。円筒部114は、円筒部112よりも軸方向一方側(+Y側)に位置し、円筒部112よりも大径の円筒部である。円筒部114の内側には、カウンタギヤ42が配置される。円筒部113の内側には、リングギヤ51が配置される。円筒部115は、円筒部113よりも軸方向他方側(-Y側)に突出し、円筒部113よりも小径の円筒部である。円筒部115に囲まれる円形孔が、車軸55が通される貫通孔62aである。
【0042】
ギヤハウジング62は、軸方向他方側(-Y側)を向く面に、内部に流体を流通させる流路部材120を有する。流路部材120は、軸方向に見て第1保持部81と重なる。流路部材120は、図5に示すリザーバ93とシャフト21の内部流路とを繋ぐ流路配管121と、リザーバ93と第3保持部83とを繋ぐ流路配管122とを有する。本実施形態の場合、流路部材120は、単一のダイカスト部品からなるギヤハウジング62の一部分である。流路部材120は、円筒部111の軸方向他方側の端部に接続する。流路部材120は、ギヤハウジング62の他の位置に配置されていてもよい。
【0043】
ギヤハウジング62は、図2から図4に示すように、ギヤハウジング62の壁面から軸方向他方側(-Y側)に突出する囲いリブ100を有する。囲いリブ100は、図4に示すように、軸方向に見て、第1ベアリング71、第2ベアリング72および第3ベアリング73を内包する領域の周囲に巡らされる。
【0044】
囲いリブ100は、第1ベアリング71の外周縁に沿って延びる円弧状リブ101と、第2ベアリング72の外周縁に沿って延びる円弧状リブ102と、第3ベアリング73の外周縁に沿って延びる円弧状リブ103と、円弧状リブ101と円弧状リブ102とを接続する直線状リブ104と、円弧状リブ102と円弧状リブ103とを接続する直線状リブ105と、円弧状リブ103から第1ベアリング71側へ延びる直線状リブ106とを有する。
【0045】
円弧状リブ101は、図4に示すように、軸方向に見て、第1保持部81と重なる。円弧状リブ101は、軸方向に見て、流路部材120とは重ならない。円弧状リブ101の一部は、直線状リブ104の内側(+X側)に位置する。
【0046】
円弧状リブ102は、第2保持部82と重なる。円弧状リブ102は、軸方向に見て、第1保持部81とは重ならない。円弧状リブ102は、軸方向に見てほぼ円環状である。円弧状リブ102の一部は、直線状リブ104の内側(+X側)に位置し、他の一部は、直線状リブ105の内側(+Z側)に位置する。
【0047】
円弧状リブ103は、第3保持部83と重なる。円弧状リブ103は、車軸55が挿入される貫通孔62aを囲むほぼ円環状である。円弧状リブ103の一部は、直線状リブ105と直線状リブ106との間に位置する。
【0048】
上記構成によれば、円弧状リブ101~103によって、第1保持部81、第2保持部82および第3保持部83の変形を効果的に抑制できる。
【0049】
図4に示すように、直線状リブ104は、第1ベアリング71と第2ベアリング72との共通接線上に位置する。図3に示すように、円弧状リブ101と円弧状リブ102は、軸方向位置が異なり、円弧状リブ101は円弧状リブ102よりも軸方向他方側(-Y側)に位置する。円弧状リブ101と円弧状リブ102とを接続する直線状リブ104は、直線状リブ104が延びる方向の中央部に、円弧状リブ102側に向かって低くなる傾斜部104aを有する。
【0050】
直線状リブ105は、第2ベアリング72と第3ベアリング73との共通接線上に位置する。図3に示すように、円弧状リブ102と円弧状リブ103は、軸方向位置が異なる。円弧状リブ102は、円弧状リブ103よりも軸方向他方側に位置する。円弧状リブ102と円弧状リブ103とを接続する直線状リブ105は、直線状リブ105が延びる方向の中央部に、円弧状リブ103側に向かって低くなる傾斜部105aを有する。
【0051】
直線状リブ106は、第3ベアリング73の接線上に位置し、第1ベアリング71に向かって延び、流路部材120に接続される。直線状リブ106の軸方向他方側を向く端面の軸方向位置は、直線状リブ106が延びる方向に沿ってほぼ一定である。
【0052】
ギヤ装置3Aでは、動作時に、互いに噛み合う入力ギヤ41とカウンタギヤ42との間、およびドライブギヤ43とリングギヤ51との間に、ギヤ同士が離れる方向の応力が作用する。したがって、入力ギヤ41を支持する第1ベアリング71と、カウンタギヤ42およびドライブギヤ43を支持する第2ベアリング72との間にも、ベアリング同士が離れる方向の応力が作用する。また、第2ベアリング72と第3ベアリング73との間にも、ベアリング同士が離れる方向の応力が作用する。
【0053】
上記の応力によってギヤハウジング62が変形すると、例えば、互いに噛み合う入力ギヤ41とカウンタギヤ42とが互いに離れる方向に移動し、位置がずれる。ギヤの位置がずれることにより、駆動装置1の振動および騒音が大きくなるおそれがある。これに対して、本実施形態の囲みリブ100は、第1ベアリング71、第2ベアリング72および第3ベアリング73が相互に離れる方向に沿って延びる直線状リブ104~106を備えているため、第1ベアリング71、第2ベアリング72および第3ベアリング73が相互に離れる方向に移動するのを抑制できる。これにより、ギヤの位置ずれが抑制される。
【0054】
また囲みリブ100の直線状リブ104~106は、第1ベアリング71、第2ベアリング72および第3ベアリング73の接線上に位置する。この構成によれば、円弧状リブ101~103と直線状リブ104~106とが、第1ベアリング71、第2ベアリング72および第3ベアリング73の全体を外周側から囲んで固定する。これにより、第1ベアリング71、第2ベアリング72および第3ベアリング73の外側へ広がろうとする動きを、最小限の長さのリブで効果的に抑制できる。
【0055】
本実施形態では、囲いリブ100は、流路部材120に接続される円弧状リブ101および直線状リブ106を含む。すなわち、ギヤハウジング62が、第1ベアリング71、第2ベアリング72および第3ベアリング73の相互の間に構成部品を有する場合、囲いリブ100を構成する円弧状リブ101~103および直線状リブ104~106の一部が、流路部材120等の構成部品に接続されていてもよい。この構成においても、流路部材120を介して円弧状リブ101と直線状リブ106とが間接的に接続されるため、第1ベアリング71と第3ベアリング73とが互いに離れる方向にギヤハウジング62が変形するのを抑制できる。
【0056】
本実施形態において、流路部材120に接続される直線状リブ106は、第1ベアリング71と第3ベアリング73の共通接線から若干ずれている。仮に、ギヤハウジング62が流路部材120が備えておらず、直線状リブ106が円弧状リブ101に接続される構成である場合には、直線状リブ106は、第1ベアリング71と第3ベアリング73の共通接線上に位置することが好ましい。具体的に、ギヤハウジング62は、図6に例示する囲みリブ100Aを備えていてもよい。囲みリブ100Aは、いずれも円環状の円弧状リブ101~103を有する。すなわち本明細書における円弧状リブ101~103は、円周の2点間を結ぶ円弧状であっても、閉じた円環状であってもよい。直線状リブ104は、円弧状リブ101、102の共通接線上に位置する。直線状リブ105は、円弧状リブ102、103の共通接線上に位置する。直線状リブ106は、円弧状リブ103、101の共通接線上に位置する。囲みリブ100Aの外形縁は、第1ベアリング71、第2ベアリング72および第3ベアリング73の全体を外周側から囲む環状である。この構成によれば、必要最小限の長さの直線状リブ104~106を有する囲みリブ100Aによって、ギヤの位置ずれを効果的に抑制できる。
【0057】
ギヤハウジング62は、図2から図4に示すように、囲いリブ100の外形縁の内側において円弧状リブ101と円弧状リブ103とを接続する補強リブ107と、円弧状リブ102と円弧状リブ103とを接続する補強リブ108と、を有する。この構成によれば、補強リブ107によって、第1ベアリング71と第3ベアリング73とが互いに離れる方向のギヤハウジング62の変形が抑制される。また補強リブ108によって、第2ベアリング72と第3ベアリング73とが互いに離れる方向のギヤハウジング62の変形が抑制される。これにより、ギヤの位置ずれをより効果的に抑制できる。
【0058】
本実施形態では、補強リブ107は、囲いリブ100の外形縁の内側において円弧状リブ101、103の中心同士を結ぶ直線上に位置し、円弧状リブ101と円弧状リブ103とを接続する。この構成によれば、第1ベアリング71と第3ベアリング73とが互いに離れる方向の変形に対して、補強リブ107が最も強度を発揮する位置に配置される。また、補強リブ107の長さが最短になる。したがって、短いリブを用いながらギヤの位置ずれを効果的に抑制できる。
【0059】
ギヤハウジング62は、図4に示すように、軸方向に見て、第1ベアリング71を中心として放射状に延びる放射形状リブ131と、第2ベアリング72を中心として放射状に延びる放射形状リブ132と、第3ベアリング73を中心として放射状に延びる放射形状リブ133と、を有する。ギヤハウジング62は、第3ベアリング73と同軸の円筒部113の軸方向他方側の端面に沿って延びる円弧状リブ141と、第2ベアリング72と同軸の円筒部114の軸方向他方側の端面に沿って延びる円弧状リブ142と、を有する。
【0060】
放射形状リブ131は、3本の板状リブからなる。放射形状リブ131は、図3および図4に示すように、第1ベアリング71と同軸の円筒部111の側面から、円筒部111の径方向外側へ延びる。本実施形態の場合、放射形状リブ131は、円筒部111の上側へ延びる。この構成によれば、放射形状リブ131により円筒部111の変形が抑制される。これにより、第1ベアリング71の移動がさらに抑制され、ギヤの位置ずれが抑制される。
【0061】
放射形状リブ132は、4本の板状リブからなる。放射形状リブ132は、図4に示すように、第2ベアリング72と同軸の円筒部112の側面から、円筒部112の径方向外側へ延びる。放射形状リブ132は、円筒部114の径方向外側まで延びている。本実施形態の場合、放射形状リブ132は、円筒部112、114の下側へ延びる。この構成によれば、放射形状リブ132により円筒部112および円筒部114の変形が抑制される。これにより、第2ベアリング72の移動がさらに抑制され、ギヤの位置ずれが抑制される。
【0062】
放射形状リブ133は、11本の板状リブからなる。放射形状リブ133は、図3および図4に示すように、第3ベアリング73と同軸の円筒部115の側面から、円筒部115の径方向外側へ放射状に延びる。放射形状リブ133の外周側の端部は、円筒部113の軸方向他方側の端面に沿って延びる円弧状リブ141に接続される。この構成によれば、放射形状リブ133により円筒部115の変形が抑制される。これにより、駆動装置1において車軸55を保持する部位の強度を高めることができ、振動による車軸55のブレを小さくできる。
【0063】
ギヤハウジング62は、円弧状リブ103と円弧状リブ141との間に位置する円弧状リブ144を有する。円弧状リブ144は、第3ベアリング73と同軸の円弧状である。放射形状リブ133は、円弧状リブ103、円弧状リブ144とそれぞれ交差する。この構成により、車軸55のブレをさらに抑制できる。また円弧状リブ103が補強されるため、ギヤの位置ずれをより効果的に抑制できる。
【0064】
放射形状リブ133は、図3に示すように、円筒部115の側面と接続される内周端が最も軸方向他方側(-Y側)に位置し、円弧状リブ141と接続される外周端が最も軸方向一方側(+Y側)に位置する。すなわち、放射形状リブ133の軸方向他方側を向く端面は、内周から外周に向かって低くなる傾斜面である。
【0065】
ギヤハウジング62は、図4に示すように、第2ベアリング72と同軸の円筒部114と、第3ベアリング73と同軸の円筒部113との共通接線上に位置し、2つの円筒部114、113の側面に接続する円筒部補強リブ143を有する。円筒部補強リブ143の両端の一部は、円筒部113上の円弧状リブ141と、円筒部114上の円弧状リブ142にそれぞれ接続される。上記構成によれば、ギヤを収容する円筒部113、114の変形も抑制される。
【0066】
ギヤハウジング62は、第1ベアリング71と同軸の円筒部111と、第3ベアリング73と同軸の円筒部113との共通接線上に位置し、2つの円筒部111、113の側面に接続する円筒部補強リブ145を有する。円筒部補強リブ145の円筒部113側の端部は、円筒部113の側面と円弧状リブ141とに接続される。上記構成によれば、円筒部111、113の変形も抑制される。
【0067】
ギヤハウジング62は、図4に示すように、ギヤハウジング62の壁面62bから軸方向他方側(-Y側)に突出するボス160を有する。ボス160は円柱状であり、軸方向他方側の端面にネジ穴を有する。ギヤハウジング62は、円筒部111の側面から円筒部111の接線方向に延び、ボス160の側面に接続する円筒部補強リブ146、147を有する。ギヤハウジング62は、円筒部114の側面から円筒部114の接線方向に延び、ボス160の側面に接続する円筒部補強リブ148を有する。この構成によれば、車両への取付部となるボス160の強度と、円筒部111、114の強度の両方を高めることができる。
【0068】
ギヤハウジング62は、ボス160の側面からボス160の径方向に延びる複数のリブ134を有する。円筒部補強リブ146~148に加えて、複数のリブ134を備える構成とすることにより、車両への取付部となるボス160の強度を高めることができる。
【0069】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0070】
1…駆動装置、2…モータ、3…伝達機構、3A…ギヤ装置、6…ハウジング、20…ロータ、41…入力ギヤ(第1ギヤ)、42…カウンタギヤ(第2ギヤ)、51…リングギヤ(第3ギヤ)、55…車軸、60…モータハウジング、62…ギヤハウジング、62b…壁面、63…連結部、71…第1ベアリング、72…第2ベアリング、73…第3ベアリング、81…第1保持部、82…第2保持部、83…第3保持部、100…リブ、101,102,103,141,142,144…円弧状リブ、104,105,106…直線状リブ、107,108…補強リブ、111,112,113,114,115…円筒部、120…流路部材、131,132,133…放射形状リブ、143,145,146,148…円筒部補強リブ、160…ボス、J2…モータ軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6