(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20230711BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20230711BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
G03G21/00 512
G03G21/00 384
G03G21/14
G03G15/16
G03G21/00 310
(21)【出願番号】P 2019153436
(22)【出願日】2019-08-26
【審査請求日】2022-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】佐野 利幸
(72)【発明者】
【氏名】坂口 新太郎
(72)【発明者】
【氏名】池上 悠介
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 正仁
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-190607(JP,A)
【文献】特開2017-009846(JP,A)
【文献】特開2003-186357(JP,A)
【文献】特開2004-038077(JP,A)
【文献】特開2012-215766(JP,A)
【文献】特開2013-228650(JP,A)
【文献】特開2015-161884(JP,A)
【文献】特開2013-190609(JP,A)
【文献】特開2009-204838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 21/14
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する筐体と、
前記開口を開閉するカバーと、
感光ドラムと、
前記感光ドラムにトナーを供給してトナー像を形成する現像ローラと、
前記感光ドラムから異物を回収するドラムクリーニングローラを備えるドラムクリーナであって、前記感光ドラムから前記ドラムクリーニングローラへ異物を回収する回収モードと、前記ドラムクリーニングローラから前記感光ドラムへ異物を排出する排出モードとで動作可能なドラムクリーナと、
前記感光ドラムに接触するベルトと、
前記ベルトから異物を回収するベルトクリーナと、
前記カバーの開閉を検知するセンサと、
前記現像ローラを、前記感光ドラムに接触する接触位置と、前記感光ドラムから離間した離間位置との間で移動可能な離間機構と、
前記カバーの動作に現像ローラを連動させる連動機構であって、前記カバーが開くときに前記現像ローラを前記接触位置に位置させ、前記カバーを閉じるときに、前記現像ローラを前記接触位置に維持する連動機構と、
制御部とを備え、
前記制御部は、次の動作(1)~(4)を実行可能であり、
(1)前記ドラムクリーナを前記回収モードで動作させて前記感光ドラムから前記ドラムクリーニングローラへ異物を回収させる回収動作
(2)前記ドラムクリーナを排出モードで動作させて前記ドラムクリーニングローラから前記感光ドラムへ異物を排出させる排出動作
(3)前記感光ドラムから前記ベルトへ異物を移動させる異物移動動作
(4)前記ベルトクリーナに前記ベルトの表面の異物を回収させるベルトクリーニング動作
さらに、前記制御部は、
印刷中に前記回収動作を行い、印刷後に前記排出動作、前記異物移動動作及び前記ベルトクリーニング動作を実行する印刷時クリーニング処理と、
前記印刷時クリーニング処理とは別のタイミングで、少なくとも前記排出動作、前記異物移動動作及び前記ベルトクリーニング動作を実行する初期クリーニング処理と、
を実行可能であり、
前記センサにより前記カバーが閉じられたことを検出した後、最初の印刷ジョブを受信する前は、前記初期クリーニング処理を実行せず、最初の印刷ジョブを受信した後であって印刷を開始する前の期間に前記初期クリーニング処理を実行
し、
前記初期クリーニング処理において、前記排出動作の前に前記回収動作を実行し、
画像形成装置の電源がONにされた場合、又は、前記センサにより前記カバーが閉じられたことを検知した場合に、前記初期クリーニング処理を実行するより前に、前記離間機構を制御して前記現像ローラを前記接触位置から前記離間位置に位置させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記画像形成装置の電源がONにされた後、最初の印刷ジョブを受信する前は前記初期クリーニング処理を実行せず、最初の印刷ジョブを受信した後であって印刷を開始する前の期間に、前記初期クリーニング処理を実行することを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
開口を有する筐体と、
前記開口を開閉するカバーと、
感光ドラムと、
前記感光ドラムにトナーを供給してトナー像を形成する現像ローラと、
前記感光ドラムから異物を回収するドラムクリーニングローラを備えるドラムクリーナであって、前記感光ドラムから前記ドラムクリーニングローラへ異物を回収する回収モードと、前記ドラムクリーニングローラから前記感光ドラムへ異物を排出する排出モードとで動作可能なドラムクリーナと、
前記感光ドラムに接触するベルトと、
前記ベルトから異物を回収するベルトクリーナと、
前記カバーの開閉を検知するセンサと、
前記現像ローラを、前記感光ドラムに接触する接触位置と、前記感光ドラムから離間した離間位置との間で移動可能な離間機構と、
制御部とを備え、
前記制御部は、次の動作(1)~(4)を実行可能であり、
(1)前記ドラムクリーナを前記回収モードで動作させて前記感光ドラムから前記ドラムクリーニングローラへ異物を回収させる回収動作
(2)前記ドラムクリーナを排出モードで動作させて前記ドラムクリーニングローラから前記感光ドラムへ異物を排出させる排出動作
(3)前記感光ドラムから前記ベルトへ異物を移動させる異物移動動作
(4)前記ベルトクリーナに前記ベルトの表面の異物を回収させるベルトクリーニング動作
さらに、前記制御部は、
印刷中に前記回収動作を行い、印刷後に前記排出動作、前記異物移動動作及び前記ベルトクリーニング動作を実行する印刷時クリーニング処理と、
前記印刷時クリーニング処理とは別のタイミングで、少なくとも前記排出動作、前記異物移動動作及び前記ベルトクリーニング動作を実行する初期クリーニング処理と、
を実行可能であり、
前記センサにより前記カバーが閉じられたことを検出した後、最初の印刷ジョブを受信する前は前記初期クリーニング処理を実行せず、最初の印刷ジョブを受信した後であって印刷を開始する前の期間に前記初期クリーニング処理を実行する第1モードと、前記センサにより前記カバーが閉じられたことを検知した後、最初の印刷ジョブの受信の有無に関わらず、前記初期クリーニング処理を実行し、その後、最初の印刷ジョブを実行する第2モードと、を選択的に実行可能に構成され
、
前記初期クリーニング処理において、前記現像ローラを前記離間位置に位置させた状態で前記排出動作を実行し、
前記印刷時クリーニング処理において、前記現像ローラを前記接触位置に位置させた状態で前記回収動作を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1モードにおいて、前記センサにより前記カバーが閉じられたことを検出した後、前記離間機構を制御して前記現像ローラを前記離間位置に位置させ、その後、最初の印刷ジョブを受信する前は前記初期クリーニング処理を実行せず、最初の印刷ジョブを受信した後であって印刷を開始する前の期間に前記初期クリーニング処理を実行し、
前記第2モードにおいて、前記センサにより前記カバーが閉じられたことを検知した後、前記離間機構を制御して前記現像ローラを前記離間位置に位置させ、最初の印刷ジョブの受信の有無に関わらず、前記初期クリーニング処理を実行し、その後、最初の印刷ジョブを実行すること
を特徴とする請求項
3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記初期クリーニング処理において、前記現像ローラを前記離間位置に位置させた状態で前記
排出動作を実行し、
前記印刷時クリーニング処理において、前記現像ローラを前記接触位置に位置させた状態で前記回収動作を実行することを特徴とする請求項1
または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ベルトは、シートを前記感光ドラムと接触させながら搬送して前記感光ドラムに形成されたトナー像をシートへ転写する搬送ベルトであることを特徴とする請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ドラムクリーニングローラにバイアスを印加するクリーニングバイアス印加回路をさらに備え、
前記制御部は、前記クリーニングバイアス印加回路に、
前記回収モードで前記ドラムクリーナを動作させる場合に、前記感光ドラムから前記ドラムクリーニングローラへ異物が移動する向きのバイアスを印加させ、
前記排出モードで前記ドラムクリーナを動作させる場合に、前記ドラムクリーニングローラから前記感光ドラムへ異物が移動する向きのバイアスを印加させることを特徴とする請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
開口を有する筐体と、
前記開口を開閉するカバーと、
感光ドラムと、
前記感光ドラムにトナーを供給してトナー像を形成する現像ローラと、
前記感光ドラムに接触するドラムクリーニングローラと、
前記ドラムクリーニングローラにバイアスを印加するクリーニングバイアス印加回路と、
前記感光ドラムに接触するベルトと、
前記感光ドラムに前記ベルトを挟んで対向する転写ローラと、
前記転写ローラにバイアスを印加する転写バイアス印加回路と、
前記ベルトから異物を回収するベルトクリーナと、
前記カバーの開閉を検知するセンサと、
前記現像ローラを、前記感光ドラムに接触する接触位置と、前記感光ドラムから離間した離間位置との間で移動可能な離間機構と、
前記カバーの動作に現像ローラを連動させる連動機構であって、前記カバーが開くときに前記現像ローラを前記接触位置に位置させ、前記カバーを閉じるときに、前記現像ローラを前記接触位置に維持する連動機構と、
制御部とを備え、
前記制御部は、次の動作(1)~(4)を実行可能であり、
(1)前記クリーニングバイアス印加回路に、前記感光ドラムから前記ドラムクリーニングローラへ異物が移動する向きのバイアスを印加させる回収動作
(2)前記クリーニングバイアス印加回路に、前記ドラムクリーニングローラから前記感光ドラムへ異物が移動する向きのバイアスを印加させる排出動作
(3)前記転写バイアス印加回路に、前記感光ドラムから前記ベルトへ異物が移動する向きのバイアスを印加させる異物移動動作
(4)前記ベルトクリーナに前記ベルトの表面の異物を回収させるベルトクリーニング動作
さらに、前記制御部は、
印刷中に前記回収動作を行い、印刷後に前記排出動作、前記異物移動動作及び前記ベルトクリーニング動作を実行する印刷時クリーニング処理と、
前記印刷時クリーニング処理とは別のタイミングで、少なくとも前記排出動作、前記異物移動動作及び前記ベルトクリーニング動作を実行する初期クリーニング処理と、
を実行可能であり、
前記センサにより前記カバーが閉じられたことを検出した後、最初の印刷ジョブを受信する前は、前記初期クリーニング処理を実行せず、最初の印刷ジョブを受信した後であって印刷を開始する前の期間に前記初期クリーニング処理を実行
し、
前記初期クリーニング処理において、前記排出動作の前に前記回収動作を実行し、
画像形成装置の電源がONにされた場合、又は、前記センサにより前記カバーが閉じられたことを検知した場合に、前記初期クリーニング処理を実行するより前に、前記離間機構を制御して前記現像ローラを前記接触位置から前記離間位置に位置させることを特徴とすることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光ドラムとベルトをクリーニングすることが可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カバーが開閉された後、カバーの開閉量や、開いていた時間等に応じて、その後の初期化処理の実行の有無を決定する画像形成装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カバーが開閉された後は、消耗品が取り替えられるなど、何らかの部品の着脱がされる可能性がある。そのため、次に印刷する前には、高品質の印刷を実現するために、感光ドラムやベルト類をクリーニングすることが望まれる。しかし、クリーニング動作が行われると、感光ドラムやベルト類も少しずつ劣化する。このため、不必要にクリーニング動作を実行すると、ユーザにとっては何も印刷していないのに感光ドラムとベルトの劣化が進むことになり、好ましくない。
【0005】
そこで、本発明は、感光ドラムとベルトをクリーニングすることが可能な画像形成装置において、感光ドラムとベルトの劣化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、開口を有する筐体と、開口を開閉するカバーと、感光ドラムと、感光ドラムにトナーを供給してトナー像を形成する現像ローラと、感光ドラムから異物を回収するドラムクリーニングローラを備えるドラムクリーナであって、感光ドラムからドラムクリーニングローラへ異物を回収する回収モード、及び、ドラムクリーニングローラから感光ドラムへ異物を排出する排出モードで動作可能なドラムクリーナと、感光ドラムに接触するベルトと、ベルトから異物を回収するベルトクリーナと、カバーの開閉を検知するセンサと、制御部とを備える。
制御部は、次の動作(1)~(4)を実行可能である。
(1)ドラムクリーナを回収モードで動作させて感光ドラムからドラムクリーニングローラへ異物を回収させる回収動作
(2)ドラムクリーナを排出モードで動作させてドラムクリーニングローラから感光ドラムへ異物を排出させる排出動作
(3)感光ドラムからベルトへ異物を移動させる異物移動動作
(4)ベルトクリーナにベルトの表面の異物を回収させるベルトクリーニング動作
さらに、制御部は、印刷中に回収動作を行い、印刷後に排出動作、異物移動動作及びベルトクリーニング動作を実行する印刷時クリーニング処理と、印刷時クリーニング処理とは別のタイミングで、少なくとも排出動作、異物移動動作及びベルトクリーニング動作を実行する初期クリーニング処理と、を実行可能である。
そして、制御部は、センサによりカバーが閉じられたことを検出した後、最初の印刷ジョブを受信する前は、初期クリーニング処理を実行せず、最初の印刷ジョブを受信した後であって印刷を開始する前の期間に初期クリーニング処理を実行する。
【0007】
このような構成によれば、制御部は、印刷時には、回収動作、排出動作、異物移動動作及びベルトクリーニング動作を含む印刷時クリーニング処理を実行する一方、カバーが閉じられた場合には、最初の印刷ジョブを受信する前に初期クリーニング処理を実行しない。そして、カバーが閉じられた場合、最初の印刷ジョブを受信した後、印刷を開始する前の期間に少なくとも排出動作、異物移動動作及びベルトクリーニング動作を含む初期クリーニング処理を実行する。このため、カバーが閉じられた後に印刷を実行しない場合には、初期クリーニング処理を実行しないので、感光ドラム及びベルトの劣化を抑制することができる。
【0008】
制御部は、画像形成装置の電源がONにされた後、最初の印刷ジョブを受信する前は初期クリーニング処理を実行せず、最初の印刷ジョブを受信した後であって印刷を開始する前の期間に、初期クリーニング処理を実行することが望ましい。
【0009】
このような構成によれば、画像形成装置の電源がONにされた後に、印刷をしない場合には、初期クリーニング処理を実行しないので、感光ドラムとベルトの劣化を抑制することができる。
【0010】
前記した画像形成装置は、現像ローラを、感光ドラムに接触する接触位置と、感光ドラムから離間した離間位置との間で移動可能な離間機構と、カバーの動作に現像ローラを連動させる連動機構であって、カバーが開くときに現像ローラを接触位置に位置させ、カバーを閉じるときに、現像ローラを接触位置に維持する連動機構とをさらに備えることができる。
この場合、制御部は、初期クリーニング処理において、排出動作の前に回収動作を実行し、画像形成装置の電源がONにされた場合、又は、センサによりカバーが閉じられたことを検知した場合に、初期クリーニング処理を実行するより前に、離間機構を制御して現像ローラを接触位置から離間位置に位置させることが望ましい。
【0011】
このような構成によれば、初期クリーニング処理における回収動作の実行の際に、現像ローラが離間位置に位置するので、現像ローラが不必要に感光ドラムと接触せず、現像ローラの劣化を抑制することができる。
【0012】
前記した課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、開口を有する筐体と、開口を開閉するカバーと、感光ドラムと、感光ドラムにトナーを供給してトナー像を形成する現像ローラと、感光ドラムから異物を回収するドラムクリーニングローラを備えるドラムクリーナであって、感光ドラムからドラムクリーニングローラへ異物を回収する回収モード、及び、ドラムクリーニングローラから感光ドラムへ異物を排出する排出モードで動作可能なドラムクリーナと、感光ドラムに接触するベルトと、ベルトから異物を回収するベルトクリーナと、カバーの開閉を検知するセンサと、制御部とを備える。
制御部は、次の動作(1)~(4)を実行可能である。
(1)ドラムクリーナを回収モードで動作させて感光ドラムからドラムクリーニングローラへ異物を回収させる回収動作
(2)ドラムクリーナを排出モードで動作させてドラムクリーニングローラから感光ドラムへ異物を排出させる排出動作
(3)感光ドラムからベルトへ異物を移動させる異物移動動作
(4)ベルトクリーナにベルトの表面の異物を回収させるベルトクリーニング動作
さらに、制御部は、印刷中に回収動作を行い、印刷後に排出動作、異物移動動作及びベルトクリーニング動作を実行する印刷時クリーニング処理と、印刷時クリーニング処理とは別のタイミングで、少なくとも排出動作、異物移動動作及びベルトクリーニング動作を実行する初期クリーニング処理と、を実行可能である。
そして、制御部は、センサによりカバーが閉じられたことを検出した後、最初の印刷ジョブを受信する前は初期クリーニング処理を実行せず、最初の印刷ジョブを受信した後であって印刷を開始する前の期間に初期クリーニング処理を実行する第1モードと、センサによりカバーが閉じられたことを検知した後、最初の印刷ジョブの受信の有無に関わらず、初期クリーニング処理を実行し、その後、最初の印刷ジョブを実行する第2モードと、を選択的に実行可能に構成されていてもよい。
【0013】
このような構成によれば、ユーザが第2モードを選択した場合には、制御部は、カバーが閉じられた場合に、最初の印刷ジョブの受信の有無に関わらず初期クリーニング処理を実行する。このため、最初の印刷ジョブを受信した場合に、迅速に印刷動作を開始することができる。一方、ユーザが第1モードを選択した場合には、感光ドラムとベルトの劣化を抑制することができる。
【0014】
前記した画像形成装置は、現像ローラを、感光ドラムに接触する接触位置と、感光ドラムから離間した離間位置との間で移動可能な離間機構をさらに備えることができる。この場合、制御部は、第1モードにおいて、センサによりカバーが閉じられたことを検出した後、離間機構を制御して現像ローラを離間位置に位置させ、その後、最初の印刷ジョブを受信する前は初期クリーニング処理を実行せず、最初の印刷ジョブを受信した後であって印刷を開始する前の期間に初期クリーニング処理を実行し、第2モードにおいて、センサによりカバーが閉じられたことを検知した後、離間機構を制御して現像ローラを離間位置に位置させ、最初の印刷ジョブの受信の有無に関わらず、初期クリーニング処理を実行し、その後、最初の印刷ジョブを実行することができる。
【0015】
前記した各画像形成装置においては、現像ローラを、感光ドラムに接触する接触位置と、感光ドラムから離間した離間位置との間で移動可能な離間機構をさらに備えることができる。制御部は、初期クリーニング処理において、現像ローラを離間位置に位置させた状態で回収動作を実行し、印刷時クリーニング処理において、現像ローラを接触位置に位置させた状態で回収動作を実行することができる。
【0016】
このような構成によれば、初期クリーニング処理における回収動作の実行の際に、現像ローラが離間位置に位置するので、現像ローラが不必要に感光ドラムに接触せず、現像ローラの劣化を抑制することができる。
【0017】
前記したベルトは、シートを感光ドラムと接触させながら搬送して感光ドラムに形成されたトナー像をシートへ転写する搬送ベルトであってもよい。
【0018】
前記した画像形成装置は、ドラムクリーニングローラにバイアスを印加するクリーニングバイアス印加回路をさらに備えることができる。制御部は、クリーニングバイアス印加回路に、回収モードでドラムクリーナを動作させる場合に、感光ドラムからドラムクリーニングローラへ異物が移動する向きのバイアスを印加させ、排出モードでドラムクリーナを動作させる場合に、ドラムクリーニングローラから感光ドラムへ異物が移動する向きのバイアスを印加させる構成であってもよい。
【0019】
前記した課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、開口を有する筐体と、開口を開閉するカバーと、感光ドラムと、感光ドラムにトナーを供給してトナー像を形成する現像ローラと、感光ドラムに接触するドラムクリーニングローラと、ドラムクリーニングローラにバイアスを印加するクリーニングバイアス印加回路と、感光ドラムに接触するベルトと、
感光ドラムにベルトを挟んで対向する転写ローラと、転写ローラにバイアスを印加する転写バイアス印加回路と、ベルトから異物を回収するベルトクリーナと、カバーの開閉を検知するセンサと、制御部とを備える。
制御部は、次の動作(1)~(4)を実行可能である。
(1)クリーニングバイアス印加回路に、感光ドラムからドラムクリーニングローラへ異物が移動する向きのバイアスを印加させる回収動作
(2)クリーニングバイアス印加回路に、ドラムクリーニングローラから感光ドラムへ異物が移動する向きのバイアスを印加させる排出動作
(3)転写バイアス印加回路に、感光ドラムからベルトへ異物が移動する向きのバイアスを印加させる異物移動動作
(4)ベルトクリーナにベルトの表面の異物を回収させるベルトクリーニング動作
さらに、制御部は、印刷中に回収動作を行い、印刷後に排出動作、異物移動動作及びベルトクリーニング動作を実行する印刷時クリーニング処理と、印刷時クリーニング処理とは別のタイミングで、少なくとも排出動作、異物移動動作及びベルトクリーニング動作を実行する初期クリーニング処理と、を実行可能である。
そして、制御部は、センサによりカバーが閉じられたことを検出した後、最初の印刷ジョブを受信する前は、初期クリーニング処理を実行せず、最初の印刷ジョブを受信した後であって印刷を開始する前の期間に初期クリーニング処理を実行する。
【0020】
このような構成によっても、カバーを閉じた後に印刷を実行しない場合には、初期クリーニング処理を実行しないので、感光ドラム及びベルトの劣化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、カバーを閉じた後に印刷を実行しない場合には、初期クリーニング処理を実行しないので、感光ドラム及びベルトの劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【
図2】ドロワ、カム及びカムフォロワの斜視図である。
【
図3】現像カートリッジの斜視図(a)と、側面図(b)である。
【
図4】スライド部材を説明する、現像カートリッジの周辺を上から見た模式図であり、カムフォロワが待機位置に位置するとき(a)と突出位置に位置するとき(b)を示す。
【
図5】連動機構を説明する図であり、カバーを閉めたとき(a)と、カバーを開けたとき(b)を示す。
【
図6】現像ローラが接触位置にあるときのカム、カムフォロワ及びリリース部材を示す斜視図(a)と、側面図(b)である。
【
図7】現像ローラが離間位置にあるときのカム、カムフォロワ及びリリース部材を示す斜視図(a)と、側面図(b)である。
【
図8】カバーが開放位置にあるときのカム、カムフォロワ及びリリース部材を示す斜視図(a)と、側面図(b)である。
【
図9】
図8の状態から、カバーを開放位置から閉鎖位置に移動させたときのカム、カムフォロワ及びリリース部材を示す斜視図(a)と、側面図(b)である。
【
図10】制御部によるバイアスの印加を説明する図である。
【
図11】電源ON又はカバーを閉じた後の制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】初期クリーニング処理のフローチャートである。
【
図13】排出及びベルトクリーニングの処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示すように、実施形態に係る画像形成装置1は、カラープリンタであり、筐体10と、カバー11と、シート供給部20と、画像形成部30と、制御部2とを主に備えている。なお、本明細書において、便宜上、前後等の方向は、シートトレイ21が引き出される
図1の左を前として説明する。すなわち、
図1の左側を前、右側を後、上下をそのまま上下とし、
図1の紙面手前側を右、紙面奥側を左とする。
【0024】
筐体10は、前側に、開口10Aを有する。カバー11は、実線で示した開口10Aを閉鎖する閉鎖位置と、仮想線で示した開口10Aを開放する開放位置との間で移動可能である。筐体10には、カバー11の開閉状態を検出するセンサ10Bが設けられており、制御部2は、センサ10Bの信号に基づいて、カバー11の開閉状態を判定することが可能である。
【0025】
シート供給部20は、筐体10内の下部に設けられ、シートSを収容するシートトレイ21と、シートトレイ21からシートSを画像形成部30に供給する供給機構22とを備えている。シートトレイ21は筐体10から
図1の左側に引き出して取り外し可能に構成されている。供給機構22は、筐体10内の前部に設けられ、給紙ローラ23と、分離ローラ24と、分離パッド25と、レジストレーションローラ27とを備えている。本明細書のシートSは、画像形成装置1が画像を形成することができる媒体であって、普通紙、封筒、葉書、薄紙、厚紙、光沢紙、樹脂シート、シール等を含む。
【0026】
シート供給部20では、シートトレイ21内のシートSが給紙ローラ23により送り出された後、分離ローラ24と分離パッド25との間でシートSが1枚ずつに分離される。その後、シートSは、回転が停止した状態のレジストレーションローラ27によって先端位置が規制された後、レジストレーションローラ27が回転することで画像形成部30に供給される。
【0027】
画像形成部30は、露光装置40と、複数の感光ドラム50を有するドロワ90(
図2参照)と、複数の現像カートリッジ60と、搬送装置70と、ベルトクリーナ75と、定着器80とを備えている。
【0028】
露光装置40は、図示しないレーザダイオード、偏向器、レンズ及びミラーを有している。露光装置40は、複数の感光ドラム50を露光する複数のレーザ光を発して、感光ドラム50の表面を走査するように構成されている。
【0029】
感光ドラム50は、イエローに対応した第1感光ドラム50Yと、マゼンタに対応した第2感光ドラム50Mと、シアンに対応した第3感光ドラム50Cと、ブラックに対応した第4感光ドラム50Kとを含む。なお、本明細書及び図面において、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色に対応して設けられている部材には、色を区別して示す場合に、それぞれ、Y,M,C,Kを付して示す。一方、色を区別しないで説明する場合には、符号にY,M,C,Kを付さず、名称も第1、第2などを省略する。
【0030】
現像カートリッジ60は、各感光ドラム50に対応して設けられている。具体的には、現像カートリッジ60は、第1感光ドラム50Yにトナーを供給してトナー像を形成する第1現像ローラ61Yを有する第1現像カートリッジ60Yと、第2感光ドラム50Mにトナーを供給してトナー像を形成する第2現像ローラ61Mを有する第2現像カートリッジ60Mと、第3感光ドラム50Cにトナーを供給してトナー像を形成する第3現像ローラ61Cを有する第3現像カートリッジ60Cと、第4感光ドラム50Kにトナーを供給してトナー像を形成する第4現像ローラ61Kを有する第4現像カートリッジ60Kとを含む。
【0031】
第1現像ローラ61Y、第2現像ローラ61M、第3現像ローラ61C及び第4現像ローラ61Kは、シートSの移動方向の上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。
【0032】
各現像カートリッジ60は、
図1に実線で示した、現像ローラ61が対応する感光ドラム50に接触する接触位置と、
図1に仮想線で示した、現像ローラ61が対応する感光ドラム50から離間する離間位置との間で移動可能である。
【0033】
搬送装置70は、シートトレイ21と感光ドラム50との間に設けられている。搬送装置70は、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、ベルト73と、4つの転写ローラ74とを備えている。ベルト73は、駆動ローラ71と従動ローラ72との間に張設され、外側の面が各感光ドラム50に接触可能に対向配置されている。ベルト73は、シートSを感光ドラム50と接触させながら搬送して感光ドラム50に形成されたトナー像をシートSへ転写する搬送ベルトである。各転写ローラ74は、各感光ドラム50との間でベルト73を挟んで対向するようにベルト73の内側に配置されている。搬送装置70は、上側の外周面にシートSを載せた状態でベルト73を移動させることでシートSを搬送し、このときに、複数の感光ドラム50のトナー像をシートSに転写する。
【0034】
ベルトクリーナ75は、ベルト73から異物を回収するクリーナである。ベルトクリーナ75は、ベルトクリーニングローラ75Aと、第2クリーニングローラ75Bと、ブレード75Cと、廃トナーボックス75Dとを有する。なお、本明細書でいう異物は、印刷に使用されずに残ったトナーや、紙粉、その他の塵埃を含む。
【0035】
ベルトクリーニングローラ75Aは、スポンジ状のローラからなり、ベルト73の表面に接触する。ベルトクリーニングローラ75Aは、制御部2により制御される図示しないモータにより駆動されてベルト73の表面の異物を掻き取る。
【0036】
第2クリーニングローラ75Bは、金属のローラであり、ベルトクリーニングローラ75Aと接触して回転する。第2クリーニングローラ75Bは、バイアスが印加されることで、ベルトクリーニングローラ75Aから異物を引き寄せる。
【0037】
ブレード75Cは、第2クリーニングローラ75Bに先端が接触している。ブレード75Cは、第2クリーニングローラ75Bの表面に付着している異物を掻き取る。
【0038】
廃トナーボックス75Dは、ベルトクリーニングローラ75A、第2クリーニングローラ75B及びブレード75Cを支持する。ブレード75Cが掻き取った異物は、廃トナーボックス75D内に蓄積されるようになっている。
【0039】
定着器80は、感光ドラム50及び搬送装置70の後方に設けられている。定着器80は、加熱ローラ81と、加熱ローラ81に対向して配置された加圧ローラ82とを備えている。定着器80の上方には搬送ローラ15が設けられ、搬送ローラ15の上方には排出ローラ16が設けられている。
【0040】
このように構成される画像形成部30では、まず、各感光ドラム50の表面が、帯電器52により一様に帯電された後、露光装置40から照射される光により露光される。これにより、各感光ドラム50上に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0041】
また、ケース63内のトナーは現像ローラ61の表面に担持され、現像ローラ61が感光ドラム50に対向して接触するときに、感光ドラム50上に形成された静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム50上でトナー像が形成される。
【0042】
次に、ベルト73上に供給されたシートSが各感光ドラム50と各転写ローラ74との間を通過することで、各感光ドラム50上に形成されたトナー像がシートS上に転写される。そして、シートSが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、シートS上に転写されたトナー像がシートSに熱定着される。
【0043】
定着器80から排出されたシートSは、搬送ローラ15及び排出ローラ16によって筐体10の上面の排紙トレイ13に蓄積される。
【0044】
図2に示すように、感光ドラム50は、ドロワ90に回転可能に支持されている。また、ドロワ90は、第1現像カートリッジ60Y、第2現像カートリッジ60M、第3現像カートリッジ60C及び第4現像カートリッジ60Kを着脱可能に支持する。ドロワ90は、筐体10のカバー11(
図1参照)を開くことで形成される開口10Aを通って、筐体10に対して着脱可能である。ドロワ90は、感光ドラム50の軸方向に離れて配置された一対のサイドフレーム91と、一対のサイドフレーム91の前部同士を連結する連結フレーム92と、一対のサイドフレーム91の後部同士を連結する連結フレーム93とを備える。一対のサイドフレーム91は、右側のサイドフレーム91Rと、左側のサイドフレーム91Lとを含む。なお、ドロワ90には、各感光ドラム50に対向して配置された、感光ドラム50を帯電させるための帯電器52と、感光ドラム50の表面をクリーニングするドラムクリーナ53が設けられている(
図1参照)。
【0045】
一方のサイドフレーム91、ここでは、左側のサイドフレーム91Lは、第2開口91Aを有する。第2開口91Aは、サイドフレーム91Lの上縁に、下方に凹む切欠として形成されている。これにより、第2開口91Aは、サイドフレーム91Lを左右に貫通しており、後述するカムフォロワ170が入ることが可能になっている。
【0046】
画像形成装置1は、第1現像ローラ61Y、第2現像ローラ61M、第3現像ローラ61C及び第4現像ローラ61Kを、複数の感光ドラム50のうち対応する感光ドラム50に接触する接触位置と、当該感光ドラム50から離間した離間位置との間で移動させる離間機構を有する。離間機構は、各色に対応して設けられている。
【0047】
具体的に、各離間機構は、現像ローラ61の回転軸線61X(
図1参照)と平行な軸周りに回転するカム150(150Y,150M,150C,150K)と、支持軸179と、カムフォロワ170とを有する。
カム150は、現像ローラ61の回転軸線方向(以下、単に「回転軸線方向」という。)に突出する第1カム部152を有する。
【0048】
支持軸179は、左右に長く延びるシャフトである。支持軸179は、筐体10の図示しないサイドフレームに設けられている。
【0049】
カムフォロワ170は、支持軸179と係合し、支持軸179の軸方向に沿ってスライド移動可能であるとともに、支持軸179の軸周りに回動可能である。カムフォロワ170は、第1カム部152と接触可能な接触部172を有する。
【0050】
具体的に、カムフォロワ170は、
図7(a),(b)に示す、接触部172が第1カム部152の端面に接触可能な作動位置と、
図8(a),(b)に示す、接触部172が第1カム部152の端面に接触不可能な非作動位置との間で回動可能である。カムフォロワ170は、非作動位置においては、回転軸線方向から見て第1カム部152と重ならない位置に配置される。
また、カムフォロワ170は、作動位置にある場合は、カム150の第1カム部152の端面であるカム面152Fに接触するので、カム150が回転するにつれて第1カム部152に案内されて、
図4(b)に示す、現像ローラ61を離間位置に位置させる突出位置と、
図4(a)に示す、現像ローラ61を接触位置に位置させる待機位置との間でスライド移動可能である。
【0051】
カムフォロワ170は、突出位置にある場合は、第2開口91Aに入って現像カートリッジ60を押圧し現像ローラ61を離間位置に位置させ、待機位置にある場合は、第2開口91Aから抜けて現像ローラ61を接触位置に位置させる。
一方、カムフォロワ170が非作動位置にある場合は、接触部172は、第1カム部152に案内されないので、カムフォロワ170は、カム150の位相とは無関係に待機位置に維持される。
【0052】
図2に戻り、カム150と、カムフォロワ170とは、各現像カートリッジ60に対応して設けられている。カム150及びカムフォロワ170は、左側のサイドフレーム91Lの左右方向外側に配置されている。
【0053】
ドロワ90は、サイドフレーム91R,91Lの上部に、後述するスライド部材64に当接する被当接部94が設けられている。被当接部94は、例えば、感光ドラム50の軸方向と平行な第1方向と、感光ドラム50が並ぶ第2方向との両方に直交する第3方向(上下方向)に沿った軸回りに回転可能なローラからなる。
【0054】
また、ドロワ90は、各現像カートリッジ60に対応して設けられた、押圧部材95を備えている。押圧部材95は、各現像カートリッジ60ごとに、感光ドラム50の軸方向の両端部に設けられている。押圧部材95は、バネ95A(
図4(a),(b)参照)により後方へ向けて付勢されており、ドロワ90に現像カートリッジ60が装着されると、現像カートリッジ60の突起63Dを押圧して、現像ローラ61を対応する感光ドラム50に接触させるようになっている。
【0055】
図3(a),(b)に示すように、現像カートリッジ60(60Y,60M,60C,60K)は、トナーを収容するケース63と、スライド部材64と、カップリング65を有する。
【0056】
ケース63は、側面に、押圧部材95により押圧される突起63Dを有している。突起63Dは、ケース63の、回転軸線方向における両端部に設けられている。
【0057】
カップリング65は、後述するカップリング軸119と係合して、カップリング軸119から回転駆動力が入力される。
【0058】
スライド部材64は、ケース63に対して回転軸線方向にスライド移動可能な部材である。スライド部材64は、カムフォロワ170に押圧されることで回転軸線方向にスライド移動可能である。
【0059】
図4(a),(b)に示すように、スライド部材64は、シャフト191と、第1当接部材192と、第2当接部材193とを備える。第1当接部材192は、シャフト191の一端に固定され、第2当接部材193は、シャフト191の他端に固定されている。
【0060】
シャフト191は、ケース63に形成された、回転軸線方向に延びる孔に貫通して配置され、ケース63にスライド移動可能に支持されている。
【0061】
第1当接部材192は、押圧面192Aと、回転軸線方向に対して傾斜した斜面192Bとを有する。
押圧面192Aは、カムフォロワ170により押圧される面である。
斜面192Bは、スライド部材64がカムフォロワ170により回転軸線方向に押圧された場合に、ドロワ90の被当接部94に当接して、現像カートリッジ60(60Y,60M,60C,60K)をシートSの移動方向に平行な方向へ向けて付勢し、現像カートリッジ60を移動させる(
図4(b)参照)。斜面192Bは、シャフト191の一端から他端に向かうにつれて、第2方向における感光ドラム50から対応する現像ローラ61に向かう方向(前方)に位置するように傾斜している。
【0062】
第2当接部材193は、第1当接部材192の斜面192Bと同様に傾斜した斜面193Bを有している。斜面193Bもスライド部材64がカムフォロワ170により回転軸線方向に押圧された場合に、ドロワ90の被当接部94に当接して、現像カートリッジ60(60Y,60M,60C,60K)をシートSの移動方向に平行な方向へ向けて付勢し、現像カートリッジ60を移動させる(
図4(b)参照)。
【0063】
第1当接部材192とケース63の間には、スライド部材64を回転軸線方向の一方、ここでは、左側に向けて付勢するバネ194が配置されている。バネ194は、圧縮コイルバネであり、コイル内にシャフト191が通るようにシャフト191の外側に配置されている。
【0064】
図6(a),(b)に示すように、カム150は、円板部151と、ギヤ部150Gと、第1カム部152と、第2カム部153とを有する。カム150は、回転することにより、対応する現像ローラ61を接触位置と離間位置との間で移動させる部材である。
【0065】
円板部151は、略円板形状を有し、図示しない支持プレートに回転可能に支持されている。
ギヤ部150Gは、円板部151の外周に形成されている。
第1カム部152は、現像ローラ61の離間機構を構成する、円板部151から突出した部分である。第1カム部152は、回転軸線方向における端面にカム面152Fを有する。
カム面152Fは、第1保持面F1と、第2保持面F2と、第1案内面F3と、第2案内面F4とを有する。
【0066】
第1保持面F1は、カムフォロワ170を待機位置に保持する。
第2保持面F2は、カムフォロワ170を突出位置に保持する。
第1案内面F3は、第1保持面F1と第2保持面F2を繋ぐ、第1保持面F1に対して傾斜した面である。第1案内面F3は、カム150が回転するにつれてカムフォロワ170を第1保持面F1から第2保持面F2に案内する。
第2案内面F4は、第2保持面F2と第1保持面F1を繋ぐ、第1保持面F1に対して傾斜した面である。第2案内面F4は、カム150が回転するにつれてカムフォロワ170を第2保持面F2から第1保持面F1に案内する。
なお、
図6から
図9において、第1カム部152に付したドットハッチは、第2保持面F2を表す。
【0067】
第2カム部153は、レバー160と協働して、現像ローラ61を回転させる動力伝達機構に設けられたクラッチ120の伝達・切断を切り換える部分である。第2カム部153は、円板部151から回転軸線方向に突出している。
【0068】
カムフォロワ170は、スライド軸部171と、接触部172と、アーム173と、バネ掛け部174とを有する。
スライド軸部171は、筐体10に固定された支持軸179にスライド移動可能に支持されて、回転軸線方向にスライド移動可能である。
接触部172は、スライド軸部171から延出して設けられている。接触部172の、回転軸線方向の端面は、第1カム部152のカム面152Fに対向し、カム面152Fに接触可能である。
アーム173は、支持軸179及びスライド軸部171から離れる方向に延びている。アーム173は、スライド軸部171から、接触部172とは異なる方向、本実施形態では、一例として下方に延びている。
バネ掛け部174は、スライド軸部171から離れる方向に延びている。本実施形態では、バネ掛け部174は、一例として前方に延びている。
【0069】
バネ掛け部174には、引張バネからなる第1バネ176が係合している。第1バネ176は、バネ掛け部174を下方かつ左の方へ引っ張るように設けられている。これにより、第1バネ176は、カムフォロワ170を、突出位置から待機位置へ向けて付勢する。また、第1バネ176は、カムフォロワ170を、
図6(a),(b)における反時計回り、すなわち、非作動位置から作動位置へ向けて付勢する。
【0070】
このような構成により、
図6(a),(b)に示すように、カムフォロワ170が第1カム部152の端面に接触可能な作動位置にある場合において、第1保持面F1が接触部172と対面するような位相にカム150があると、カムフォロワ170は、待機位置に位置し、現像ローラ61は、接触位置に位置する。一方、カムフォロワ170が作動位置にある場合において、第2保持面F2が接触部172と対面するような位相にカム150があると、カムフォロワ170は、突出位置に位置し、現像ローラ61は、離間位置に位置する。
【0071】
次に、カバー11の動作に現像ローラ61を連動させる連動機構について説明する。
図5(a),(b)に示すように、連動機構は、リリース部材180と、リンク11Aとを有してなる。
リリース部材180は、筐体10によって、前後方向に直動可能に支持されている。
リンク11Aは、リリース部材180の前端とカバー11を連結しており、
図5(a)から
図5(b)に示すように、カバー11を開くときにリリース部材180を前方に直動させ、
図5(b)から
図5(a)に示すように、カバー11を閉じるときにリリース部材180を後方へ直動させる。
【0072】
リリース部材180は、カバー11を開くのに連動してカップリング軸119を回転軸線方向に移動させるともに、カムフォロワ170を作動位置から非作動位置へ移動させる部材である。
【0073】
図6(a),(b)に示すように、リリース部材180は、カップリング軸119を移動させるカップリング連動部材181と、カムフォロワ170を移動させるカムフォロワ連動部材182とを有する。また、画像形成装置1は、リリース部材180に対して揺動可能なストッパ183と、ストッパ付勢バネ184をさらに備える。
【0074】
カムフォロワ連動部材182は、リリース係合部182Aと、カムフォロワ保持部182Bとを有する。
【0075】
リリース係合部182Aは、作動位置にあるカムフォロワ170のアーム173の後側で上方に突出し、アーム173の後側に位置する。このため、カバー11が閉鎖位置から開放位置に移動するときに、リリース部材180が前方へ直動すると、リリース係合部182Aがアーム173に接触してカムフォロワ170を作動位置から非作動位置へ回動させることが可能となっている。
【0076】
カムフォロワ保持部182Bは、リリース係合部182Aの上端から後方に延びている。カムフォロワ保持部182Bは、上を向く面を有し、カバー11を閉鎖位置から開放位置に移動したときに非作動位置となったカムフォロワ170のアーム173と接触し、カムフォロワ170の姿勢を保持する部分である。
【0077】
ストッパ183は、前端部においてカムフォロワ連動部材182に回動可能に支持されている。具体的には、ストッパ183は、回動軸線方向に延びる軸線周りに回動可能であり、
図6(b)に実線で示す回動規制位置と、仮想線で示す、回動規制位置よりも下の回動許容位置との間で上下に回動可能である。
【0078】
ストッパ付勢バネ184は、ストッパ183を常時、回動許容位置から回動規制位置へ向けて付勢している。
【0079】
このような構成の連動機構によると、リリース部材180が、カバー11を開くことよって前方へ直動すると、
図8に示すように、アーム173がリリース係合部182Aによって押されることでカムフォロワ170が時計回りに回動し、カムフォロワ170が非作動位置に位置する。そして、カムフォロワ170は、カバー11が開く前に突出位置に位置していたとしても、第1バネ176で引かれることで待機位置に位置する。このため、仮に、カバー11を開く前に現像ローラ61が離間位置に位置していたとしても、カムフォロワ170が非作動位置かつ待機位置に位置することで、現像ローラ61は、接触位置に位置する。
【0080】
そして、カバー11を閉じると、
図9に示すように、リリース部材180が後方へ直動する。
図9の場合には、カムフォロワ170の接触部172がカム150の第1カム部152と当たることで、カムフォロワ170が非作動位置かつ待機位置に位置している。このため、カバー11を閉じても、現像ローラ61は、接触位置に維持される。カム150が
図9の状態から回転することで、第1カム部152が移動すれば、カムフォロワ170は、ストッパ183を押し下げて作動位置へ戻ることができる。なお、カバー11を閉じたときに、カムフォロワ170の接触部172が第1カム部152と当たらないような位相にカム150がある場合には、カムフォロワ170は、作動位置へ戻るが、接触部172は、第1保持面F1と対面するので、カムフォロワ170は、待機位置に位置する。したがって、この場合にも、カバー11を閉じたときに、現像ローラ61は、接触位置に維持される。
【0081】
次に、感光ドラム50のクリーニングのための構成と、制御部2による制御について説明する。制御部2は、画像形成装置1の全体の動作を制御する装置である。制御部2は、CPU、ROM、RAM、入出力部等を有し、予め記憶されたプログラムを実行することで各処理を実行する。
【0082】
図10に示すように、ドラムクリーナ53は、感光ドラム50から異物を回収するドラムクリーニングローラ53Aと、クリーニングバイアス印加回路53Bとを有する。ドラムクリーナ53は、感光ドラム50からドラムクリーニングローラ53Aへ異物を回収する回収モードと、ドラムクリーニングローラ53Aから感光ドラム50へ異物を排出する排出モードとで動作可能である。
【0083】
ドラムクリーニングローラ53Aは、感光ドラム50Kに接触しながら回転可能に設けられている。ドラムクリーニングローラ53Aには、ドラムクリーニングローラ53Aにバイアスを印加するクリーニングバイアス印加回路53Bが接続されている。制御部2は、クリーニングバイアス印加回路53Bに信号を送ることでドラムクリーニングローラ53Aにバイアスを印加することが可能である。
【0084】
また、画像形成装置1は、転写ローラ74にバイアスを印加する転写バイアス印加回路74Bを備えている。転写バイアス印加回路74Bは、各転写ローラ74に接続されているとともに、制御部2に接続されている。制御部2は、転写バイアス印加回路74Bに信号を送って、感光ドラム50から転写ローラ74へ向けて、トナーを含む異物を引き寄せることが可能である。
【0085】
制御部2は、ドラムクリーナ53、転写バイアス印加回路74B、ベルトクリーナ75を制御して、次の動作(1)~(4)を実行可能である。
(1)クリーニングバイアス印加回路53Bに、感光ドラム50からドラムクリーニングローラ53Aへ異物が移動する向きのバイアス(「回収バイアス」という。)を印加させてドラムクリーナ53を回収モードで動作させ、感光ドラム50からドラムクリーニングローラ53Aへ異物を回収させる回収動作
(2)クリーニングバイアス印加回路53Bに、ドラムクリーニングローラ53Aから感光ドラム50へ異物が移動する向きのバイアス(「排出バイアス」という。)を印加させてドラムクリーナ53を排出モードで動作させ、ドラムクリーニングローラ53Aから感光ドラム50へ異物を排出させる排出動作
(3)転写バイアス印加回路74Bに、感光ドラム50からベルト73へ異物が移動する向きのバイアスを印加させ、感光ドラム50からベルト73へ異物を回収させる異物移動動作
(4)ベルトクリーナ75にベルト73の表面の異物を回収させるベルトクリーニング動作
【0086】
そして、制御部2は、印刷中に回収動作を行い、印刷後に排出動作、異物移動動作及びベルトクリーニング動作を実行する印刷時クリーニング処理と、印刷時クリーニング処理とは別のタイミングで、少なくとも排出動作、異物移動動作及びベルトクリーニング動作を実行する初期クリーニング処理とを実行可能である。本実施形態においては、制御部2は、初期クリーニング処理において、排出動作の前に回収動作を実行するものとする。回収動作を実行する時間は、感光ドラム50の1周分以上をクリーニングできる時間とするとよい。
【0087】
なお、初期クリーニング処理と印刷時クリーニング処理とでは、主として回収等される異物が異なる。
初期クリーニング処理においては、ドラムクリーニングローラ53Aが排出する異物は、主にドラムクリーニングローラ53Aに蓄積された転写残トナーである。そして、ベルトクリーナ75が回収する異物は、ドラムクリーニングローラ53Aから排出された転写残トナーと、感光ドラム50やベルト73に付着した紙粉、その他の異物の混合物である。
一方、印刷時クリーニング処理においては、ドラムクリーニングローラ53Aが回収する異物は、主に感光ドラム50に付着した転写残トナーと紙粉である。ドラムクリーニングローラ53Aが排出する異物は、主にドラムクリーニングローラ53Aに蓄積された転写残トナーである。そして、ベルトクリーナ75が回収する異物は、主にベルトクリーニングローラ75Aから排出された転写残トナーと、感光ドラム50やベルト73に付着した紙粉の混合物である。
なお、異物には、トナー及び紙粉の他に、カバー11の開閉やカートリッジ交換のときに筐体10に入った、塵や埃などが含まれる場合もある。
【0088】
制御部2は、センサ10Bによりカバー11が閉じられたことを検出した後、最初の印刷ジョブを受信する前は、初期クリーニング処理を実行せず、最初の印刷ジョブを受信した後であって印刷を開始する前の期間に初期クリーニング処理を実行する。
また、制御部2は、画像形成装置1の電源がONにされた後、最初の印刷ジョブを受信する前は初期クリーニング処理を実行せず、最初の印刷ジョブを受信した後であって印刷を開始する前の期間に、初期クリーニング処理を実行する。
そして、制御部2は、画像形成装置1の電源がONにされた場合、又は、センサ10Bによりカバー11が閉じられたことを検知した場合に、初期クリーニング処理を実行するより前に、離間機構を制御して現像ローラ61を接触位置から離間位置に位置させる。
これにより、初期クリーニング処理において、現像ローラ61を離間位置に位置させた状態で回収動作を実行することができる。また、初期クリーニング処理における回収動作では、印刷時クリーニング処理における回収動作と異なり、露光装置40を停止させる。
一方、制御部2は、印刷時クリーニング処理においては、印刷を実行しながら回収動作を実行するので、露光装置40を作動させ、現像ローラ61を接触位置に位置させた状態で回収動作を実行する。
【0089】
以上のような動作を実現するための制御部2の処理について、
図11から
図13のフローチャートを参照しながら説明する。
図11に示すように、制御部2は、電源がONされたか、又は、センサ10Bによりカバー11が閉じられたことを検知したかを判断する(S1)。そして、電源ONがされたと判定したか、センサ10Bによりカバー11が閉じられたことを検知したと判定した場合(S1,Yes)に、ステップS2以下の処理を実行する。
【0090】
制御部2は、電源がONされたことを判定、又はカバー11が閉じられたことを検知した後、カム150を制御して、現像ローラ61を離間位置に位置させる(S2)。そして、最初の印刷ジョブがあるかどうかを判定し(S3)、最初の印刷ジョブを受信していない場合には(S3,No)、最初の印刷ジョブを受信するまで待機する。
【0091】
制御部2は、最初の印刷ジョブを受信したと判定すると(S3,Yes)、初期クリーニング処理(S10)を実行する。
図12に示すように、初期クリーニング処理において、制御部2は、ドラムクリーナ53に回収バイアスを印加して回収動作を実行する(S11)。感光ドラム50を1周分クリーニングするのに十分な時間、回収動作を実行した後、制御部2は、排出動作、異物移動動作及びベルトクリーニング動作を実行する(S12)。これら3つの動作は同時に実行する。ドラムクリーニングローラ53Aから排出した異物が感光ドラム50及びベルト73を介してベルトクリーナ75に回収されるのに十分な時間、これらの動作を実行すると、初期クリーニング処理を終了する。
【0092】
図11に戻り、初期クリーニング処理(S10)の後、制御部2は、印刷処理を開始する(S4)。そして、印刷中に、回収動作を実行して(S5)、感光ドラム50の表面の残トナーをドラムクリーナ53に回収する。そして、印刷に関する詳細な処理の説明は省略するが、各ページの印刷が終わった後に、排出及びベルトクリーニングの処理(S20)を実行する。
【0093】
図13に示すように、排出及びベルトクリーニングの処理(S20)においては、まず、所定のクリーニング条件を満たすか否かを判定する(S21)。所定のクリーニング条件とは、例えば、前回のクリーニングから所定枚数印刷したとか、所定ドット数以上印字したとか、所定時間以上印刷処理を実行したなどが挙げられる。また、印刷ジョブが終了したことを、クリーニング条件としてもよい。制御部2は、所定のクリーニング条件を満たすと判定した場合(S21,Yes)、排出動作、異物移動動作及びベルトクリーニング動作を実行して(S22)、排出及びベルトクリーニングの処理を終了し、満たさないと判定した場合(S21,No)、これらのクリーニング動作をせずに排出及びベルトクリーニングの処理を終了する。
【0094】
図11に戻り、排出及びベルトクリーニングの処理(S20)の後、制御部2は、印刷ジョブが終了したかを判定し(S6)、終了していなければ(S6,No)、ステップS4に戻って、印刷処理と、回収動作と、排出及びベルトクリーニングの処理とを繰り返す。一方、制御部2は、印刷ジョブが終了したと判定したら(S6,Yes)、排出及びベルトクリーニングの処理(S20)を実行する。すなわち、所定のクリーニング条件を満たしていれば、排出動作、異物移動動作及びベルトクリーニング動作を実行する。
【0095】
そして、制御部2は、画像形成装置1をレディ状態とし、印刷ジョブを待つ(S7,No)。制御部2は、印刷ジョブを受信した場合には(S7,Yes)、ステップS4から印刷処理を開始する。
【0096】
以上のような制御部2の処理によると、制御部2は、印刷時には、回収動作、排出動作、異物移動動作及びベルトクリーニング動作を含む印刷時クリーニング処理を実行する一方、電源がONにされた場合又はカバー11が閉じられた場合には、最初の印刷ジョブを受信する前に初期クリーニング処理を実行しない。そして、カバー11が閉じられた場合、最初の印刷ジョブを受信した後、印刷を開始する前の期間に、回収動作、排出動作、異物移動動作及びベルトクリーニング動作を含む初期クリーニング処理を実行する。また、電源がONにされた場合にも、最初の印刷ジョブを受信した後、印刷を開始する前の期間に、回収動作、排出動作、異物移動動作及びベルトクリーニング動作を含む初期クリーニング処理を実行する。このため、電源がONにされた場合又はカバー11が閉じられた場合に、印刷を実行しない場合には、初期クリーニング処理を実行しないので、感光ドラム50及びベルト73の劣化を抑制することができる。
【0097】
そして、画像形成装置1は、初期クリーニング処理における回収動作の実行の際に、現像ローラ61が離間位置に位置するので、現像ローラ61が不必要に感光ドラム50と接触せず、現像ローラ61の劣化を抑制することができる。
【0098】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することが可能である。
【0099】
例えば、前記実施形態においては、電源がONにされた場合又はカバー11が閉じられた場合には、最初の印刷ジョブを受信するまでは初期クリーニング動作を行わなかったが、ユーザの選択により、最初の印刷ジョブを受信するか否かに関わらず、初期クリーニング処理を実行するように構成してもよい。
【0100】
すなわち、制御部は、センサによりカバーが閉じられたことを検出した後、最初の印刷ジョブを受信する前は初期クリーニング処理を実行せず、最初の印刷ジョブを受信した後であって印刷を開始する前の期間に初期クリーニング処理を実行する第1モードと、センサによりカバーが閉じられたことを検知した後、最初の印刷ジョブの受信の有無に関わらず、初期クリーニング処理を実行し、その後、最初の印刷ジョブを実行する第2モードと、を選択的に実行可能に構成されていてもよい。
【0101】
このために、画像形成装置は、オンラインによる設定項目の入力又は操作パネルの操作により、第1モードと第2モードのいずれかを選択し、記憶させることが可能なユーザインタフェイスを提供するように構成されるとよい。
そして、第1モードと第2モードを選択可能にする場合、制御部は、第1モードにおいて、センサによりカバーが閉じられたことを検出した後、離間機構を制御して現像ローラを離間位置に位置させ、その後、最初の印刷ジョブを受信する前は初期クリーニング処理を実行せず、最初の印刷ジョブを受信した後であって印刷を開始する前の期間に初期クリーニング処理を実行する。一方、第2モードにおいては、センサによりカバーが閉じられたことを検知した後、離間機構を制御して現像ローラを離間位置に位置させ、最初の印刷ジョブの受信の有無に関わらず、初期クリーニング処理を実行し、その後、最初の印刷ジョブを実行するとよい。
【0102】
このような構成によれば、ユーザが第2モードを選択した場合には、制御部は、カバーが閉じられた場合に最初の印刷ジョブの受信の有無に関わらず初期クリーニング処理を実行する。このため、最初の印刷ジョブを受信した場合に、迅速に印刷動作を開始することができる。一方、ユーザが第1モードを選択した場合には、感光ドラムとベルトの劣化を抑制することができる。
【0103】
前記実施形態においては、ベルトとして、シートを搬送する搬送ベルトを例示したが、ベルトは、感光ドラムからトナー像を一時的に保持した後、シートへトナー像を転写する中間転写ベルトであってもよい。
【0104】
前記実施形態においては、初期クリーニング処理において回収動作を実行していたが、初期クリーニング処理において回収動作を実行しなくてもよい。
【0105】
また、前記実施形態においては、4色のトナーを用いてカラー画像を印刷する画像形成装置を例示したが、画像形成装置は、モノクロ印刷しかできないものであってもよいし、3色や5色のトナーを用いてカラー画像を印刷する装置であってもよい。
【0106】
また、画像形成装置は、複合機やコピー機であってもよい。
【0107】
さらに、前記した各実施形態及び変形例で説明した各要素は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 画像形成装置
2 制御部
10 筐体
10A 開口
10B センサ
50 感光ドラム
53 ドラムクリーナ
53A ドラムクリーニングローラ
53B クリーニングバイアス印加回路
60 現像カートリッジ
61 現像ローラ
73 ベルト
74 転写ローラ
74B 転写バイアス印加回路
75 ベルトクリーナ
150 カム
170 カムフォロワ
180 リリース部材