(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】建築物
(51)【国際特許分類】
E04H 1/02 20060101AFI20230711BHJP
E04F 19/08 20060101ALI20230711BHJP
E04H 1/04 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
E04H1/02
E04F19/08 D
E04H1/04 A
(21)【出願番号】P 2019157567
(22)【出願日】2019-08-30
【審査請求日】2022-04-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年1月2日からウェブサイトに掲載。https://www.sekisuihouse.co.jp/liaison/09/3664210020/
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】梶 彩子
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 文郁
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-106483(JP,A)
【文献】特開2012-167506(JP,A)
【文献】特開2013-075441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/00 - 1/14
E04F 17/00 - 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる階を移動するために設けられる階段と、
前記階段の踊り場と繋がるように設けられるペット用の室とを備え
、
前記階段は、下の階と前記踊り場とを繋ぐ第1階段を有し、
前記ペット用の室は前記ペットの出入口を含み、
前記出入口は、前記第1階段と面し、前記第1階段を利用する居住者が前記第1階段を昇るときに前記ペット用の室の中を視認できるように構成される
建築物。
【請求項2】
前記踊り場の床に対する前記出入口の高さ、および、前記出入口の幅は前記ペットの出入りに適合する寸法に設定される
請求項
1に記載の建築物。
【請求項3】
前記踊り場の床に対する前記出入口の高さ、および、前記出入口の幅は居住者の出入りに適合する寸法に設定される
請求項
1または
2に記載の建築物。
【請求項4】
前記ペット用の室に設けられる収納棚をさらに備え、
前記収納棚は前記階段から前記出入口を介して視認できない位置に配置される
請求項
1~3のいずれか一項に記載の建築物。
【請求項5】
前記ペット用の室は窓を備える
請求項1~
4のいずれか一項に記載の建築物。
【請求項6】
前記窓は南側に面するように設けられる
請求項
5に記載の建築物。
【請求項7】
前記ペット用の室の内装仕上げ材は耐久性が高く、かつ、汚れの付着しにくい材料を含む
請求項1~
6のいずれか一項に記載の建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は階段を備える建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
階段を備える建築物が知られている。例えば、特許文献1は1階と2階とを繋ぐ折り返し階段(50)を備える住宅(1)を開示している。階段(50)は1階と繋がる下部階段(51)、2階と繋がる上部階段(52)、および、下部階段(51)と上部階段(52)との間に設けられる踊り場(53)を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
階段は階を移動する居住者によって利用される。このような階段の主たる用途に加えて、階段に関する構造を利用したさらなる付加価値の提供の余地が存在すると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に関する建築物は異なる階を移動するために設けられる階段と、前記階段の踊り場と繋がるように設けられるペット用の室とを備える。
上記建築物によれば、階を移動するために階段を利用する居住者はペット用の室に滞在するペットの存在を確認できる。従来の通過動線としての用途のみを有する階段が設けられる建築物では得られないペットとの新しいコミュニケーションの場が居住者に提供される。このため、居住者はその居住空間で生活することに関して高い価値を感じることができる。
【0006】
(2)好ましい例では(1)に記載の建築物において、前記ペット用の室は前記ペットの出入口を含み、前記出入口は前記階段を利用する居住者が前記ペット用の室の中を視認できるように構成される。
上記建築物によれば、居住者が階段を利用しているときにペット用の室に滞在するペットの存在を容易に確認できる。
【0007】
(3)好ましい例では(2)に記載の建築物において、前記踊り場の床に対する前記出入口の高さ、および、前記出入口の幅は前記ペットの出入りに適合する寸法に設定される。
上記建築物によれば、ペットがペット用の室に容易に出入りできる。
【0008】
(4)好ましい例では(2)または(3)に記載の建築物において、前記踊り場の床に対する前記出入口の高さ、および、前記出入口の幅は居住者の出入りに適合する寸法に設定される。
上記建築物によれば、居住者がペット用の室に容易に出入りできる。
【0009】
(5)好ましい例では(2)~(4)のいずれか一項に記載の建築物において、前記ペット用の室に設けられる収納棚をさらに備え、前記収納棚は前記階段から前記出入口を介して視認できない位置に配置される。
上記建築物によれば、階段を利用する居住者等から収納棚に収納されている物品が視認されないため、ペット用の室に滞在するペットの存在を容易に確認できる。
【0010】
(6)好ましい例では(1)~(5)のいずれか一項に記載の建築物において、前記ペット用の室は窓を備える。
上記建築物によれば、ペット用の室に滞在するペットが窓を介して外の景色を眺めることができる。
【0011】
(7)好ましい例では(6)に記載の建築物において、前記窓は南側に面するように設けられる。
上記建築物によれば、ペット用の室の日当たりが良好になる。
【0012】
(8)好ましい例では(1)~(7)のいずれか一項に記載の建築物において、前記ペット用の室の内装仕上げ材は耐久性が高く、かつ、汚れの付着しにくい材料を含む。
上記建築物によれば、ペット用の室のメンテナンスを容易に実施できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に関する建築物によれば、居住者がより高い価値を感じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】
図1のペット用の室の第4壁の内側の正面図。
【
図5】
図1のペット用の室の第2壁の内側の正面図。
【
図6】
図1のペット用の室の第3壁の内側の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態)
図1を参照して、建築物10の一例について説明する。建築物10の一例は個別住宅または集合住宅である。
図1等に示される例では、建築物10は複数の階を含む個別住宅である。
図1は個別住宅の1階の室内構造20を示す平面図である。建築物10の外壁11により囲まれる領域10Aは複数の壁12により区画される。領域10Aのうち複数の壁12により区画された箇所には、室内構造20を構成する主な要素である室30、通路40、および、階段50が形成される。
【0016】
室30、通路40、および、階段50の数、ならびに、配置は任意に選択可能である。一例では、室30は玄関31、サニタリー32、キッチン33、パントリー34、ダイニング35、および、リビング36を含む。サニタリー32は洗面室32Aおよび浴室32Bを含む。
【0017】
通路40は第1通路41および第2通路42を含む。第1通路41は玄関31、階段50、ダイニング35、および、リビング36に面する。第2通路42は玄関31、サニタリー32、キッチン33、および、ダイニング35に面する。
【0018】
階段50は居住者100(
図2参照)が
図1に示される建築物10の1階と2階(図示略)とを移動するために設けられる。階段50の具体的な構成は任意に選択可能である。
図2等で示される例では、階段50は吹き抜け階段である。階段50は第1階段51、第2階段52(
図3参照)、および、踊り場53を備える。第1階段51は第1通路41と面するように設けられる。第1階段51は第1壁12Aと第2壁12Bとの間に設けられる。第2階段52は建築物10の2階と繋がるように設けられる。踊り場53は第1階段51と第2階段52との間に設けられる。平面視における踊り場53の形状は任意に選択可能で
ある。
図1等に示される第1例では、平面視における踊り場53の形状は長方形である。第2例では、平面視における踊り場53の形状は正方形、三角形、五角形以上の多角形、円、または、楕円である。
【0019】
室30はペット用の室60(以下では、「ペット室60」という)をさらに含む。ペット室60は居住者100(
図2参照)が階段50を利用しているときにペット室60に滞在するペット200(
図2参照)の存在を確認できるように構成される。ペット200は例えば、猫および犬である。ペット室60は第1壁61、第2壁62、第3壁63、第4壁64、床65、および、天井66を備える。第1壁61、第2壁62(
図5参照)、第3壁63(
図6参照)、第4壁64(
図4参照)、床65、および、天井66はペット200が滞在することができる空間60Aが形成されるように互いに繋がる。第1壁61は例えば、南に面する。第2壁62は例えば、西に面する。第3壁63は例えば、北に面する。第4壁64は例えば、東に面する。各壁61~64、床65、および、天井66の内装仕上げ材は任意の材料によって構成される。好ましい例では、各壁61~64、床65、および、天井66の内装仕上げ材は耐久性が高く、かつ、汚れの付着しにくい材料を含む。その一例は塩化ビニル、ポリオレフィン系樹脂およびアクリル樹脂等を含む樹脂製の建材、ならびに、シリコン樹脂、ウレタン、および、ガラス塗膜等の汚れ防止コーティングが施された建材である。このため、ペット室60のメンテナンスを容易に実施できる。
【0020】
ペット室60はペット200が外の景色を眺めることができるように設けられる窓70をさらに備える。ペット室60において窓70が設けられる位置は任意に選択可能である。好ましい例では、窓70はペット室60の日当たりが良好となるように南向きに設けられる。
図2等に示される例では、窓70は第1壁61に設けられる。窓70の種類は任意に選択可能である。一例では、窓70の種類はFIX窓である。建築物10の周囲には、第1壁61と面する位置に庭300が設けられる。ペット200が窓70を介して外の景色を眺めている場合、庭300に滞在する居住者100はペット200の存在を確認できる。
【0021】
図6に示されるように、ペット室60には、物品を収納可能である可動式収納棚80が配置される。可動式収納棚80は例えば、一対の縦枠81、天板82、仕切板83、および、複数の棚板84を備える。一対の縦枠81の一方は第2壁62に固定される。一対の縦枠81の他方は第4壁64に固定される。天板82は天井66に固定される。仕切板83は天板82および床65に固定される。複数の棚板84は一対の縦枠81および仕切板83に取り付けられるダボ(図示略)によって支持される。可動式収納棚80は収納する物品に応じて、一対の縦枠81および仕切板83に対する複数の棚板84の取り付け位置を変更可能である。
【0022】
図1および
図2に示されるように、第4壁64の端面64Aと第1壁61との間にはペット200がペット室60に出入りするための出入口60Bが設けられる。出入口60Bには建具等は設けられていない。出入口60Bは第1階段51と面する。このため、第1階段51を昇る居住者100は出入口60Bを介してペット室60に滞在するペット200の存在を確認できる。
【0023】
図3に示される踊り場53の床53Aに対する出入口60Bの高さLA、および、
図4に示される出入口60Bの幅HAは任意に選択可能である。好ましい例では、高さLAおよび幅HAはペット200、および、可動式収納棚80を利用する居住者100の出入りに適合する寸法に設定される。高さLAは650mm以上であることが好ましい。高さLAの好ましい一例は850mmである。幅HAの好ましい一例は850mmである。
【0024】
図3および
図4に示されるペット室60の床65に対する天井66の高さLBは任意に
選択可能である。好ましい例では、高さLBはペット室60の空間60Aの広さと2階の空間の広さとの関係に基づいて設定される。高さLBの好ましい一例は1184mmである。
【0025】
高さLAと高さLBとの関係は任意に選択可能である。
図3等に示される第1例では、高さLBは高さLAよりも高い。このため、ペット室60の空間60Aを広く形成できる。第2例では、高さLBは高さLAと等しい。
【0026】
図4に示されるように、出入口60Bの幅HAは第4壁64の幅HBよりも短い。第4壁64の背面に可動式収納棚80が配置されているため、ペット室60の外から出入口60Bを介して可動式収納棚80が視認されない。階段50を利用する居住者100等から可動式収納棚80に収納されている物品が視認されないため、ペット室60に滞在するペット200(
図2参照)の存在を容易に確認できる。
【0027】
ペット室60の床65と踊り場53の床53Aとの高さの関係は任意に選択可能である。
図3等に示される第1例では、床65と床53Aとは面一である。出入口60Bにおいて段差が形成されないため、ペット200がペット室60に容易に出入りできる。第2例では、床65は床53Aよりも高いまたは低い。
【0028】
建築物10によれば、次のような作用および効果が得られる。
階を移動するために階段50を利用する居住者100はペット室60に滞在するペット200の存在を確認できる。従来の通過動線としての用途のみを有する階段50が設けられる建築物10では得られないペット200との新しいコミュニケーションの場が居住者100に提供される。このため、居住者100はその居住空間で生活することに関して高い価値を感じることができる。
【0029】
(変形例)
上記実施形態は本発明に関する建築物が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関する建築物は実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の一例を示す。
【0030】
・階段50においてペット室60が設けられる箇所は任意に選択可能である。変形例の建築物10は第2階段52と面する位置にペット室60が設けられる。この変形例では、出入口60Bが第2階段52と面するため、第2階段52を降る居住者100は出入口60Bを介してペット室60に滞在するペット200の存在を確認できる。
【符号の説明】
【0031】
10 :建築物
50 :階段
53 :踊り場
53A:床面
60 :ペット室(ペット用の室)
60B:出入口
70 :窓
80 :可動式収納棚(収納棚)
100:居住者
200:ペット