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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】スイッチ回路
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/54 20060101AFI20230711BHJP
   B60T 13/74 20060101ALI20230711BHJP
   B60T 7/02 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H01H9/54 B
B60T13/74 H
B60T7/02 A
B60T13/74 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019172624
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021051848
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】染矢 萌子
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-073520(JP,A)
【文献】特開2015-177223(JP,A)
【文献】特開2017-149220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/54 - 9/56
B60T 7/02
B60T 13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並列に接続されるとともに、印加される電圧を分圧する第1分圧回路および第2分圧回路と、
共通の入力ポートを介して前記第1分圧回路の分圧点と前記第2分圧回路の分圧点とが接続される入力部、および、前記電圧が印加される印加状態と前記電圧が印加されない非印加状態とを共に一定周期で且つ互いに異なる周期で切り替える第1切替部および第2切替部、を有する制御装置と、
第1スイッチおよび第2スイッチを有し、前記第1スイッチの操作時には前記第1切替部および前記第2切替部のうちの第1切替部のみを前記第1分圧回路および前記第2分圧回路に接続し、前記第2スイッチの操作時には前記第1切替部および前記第2切替部のうちの前記第2切替部のみを前記第1分圧回路および第2分圧回路に接続する操作スイッチと、
を備えるスイッチ回路。
【請求項2】
前記操作スイッチは、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチが共に操作されていない非操作時には、前記第1切替部および前記第2切替部の一方を前記第1分圧回路に接続するとともに、前記第1切替部および前記第2切替部の他方を前記第2分圧回路に接続する
請求項1に記載のスイッチ回路。
【請求項3】
前記制御装置は、
異常発生時において前記入力部に入力される電圧の変動パターンを判定パターンとして予め記憶する記憶部を有し、
前記入力部に入力される電圧の変動パターンと前記記憶部に記憶されている前記判定パターンとの照合を通じて異常発生を判定する
請求項1または2に記載のスイッチ回路。
【請求項4】
前記第1分圧回路および前記第2分圧回路は前記電圧を分圧する分圧比が互いに異なっている
請求項1~3のいずれか一項に記載のスイッチ回路。
【請求項5】
前記第1分圧回路は、直列接続された第1抵抗器および第2抵抗器によって構成されており、
前記第2分圧回路は、直列接続された前記第1抵抗器および第3抵抗器によって構成されており、
前記第1スイッチは、並列接続された常開型のスイッチである第1常開スイッチと常閉型のスイッチである第1常閉スイッチとを有して、前記第1常開スイッチは前記第1分圧回路と前記第1切替部との接続および非接続を切り替えるものであり、前記第1常閉スイッチは前記第1分圧回路と前記第2切替部との接続および非接続を切り替えるものであり、
前記第2スイッチは、並列接続された常開型のスイッチである第2常開スイッチと常閉型のスイッチである第2常閉スイッチとを有して、前記第2常開スイッチは前記第2分圧回路と前記第2切替部との接続および非接続を切り替えるものであり、前記第2常閉スイッチは前記第2分圧回路と前記第1切替部との接続および非接続を切り替えるものである
請求項1~4のいずれか一項に記載のスイッチ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチの操作位置を検出するスイッチ回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動パーキングブレーキ装置におけるロック操作およびリリース操作に用いる操作スイッチとして、ロック操作に際して連動する一対のスイッチ部とリリース操作に際して連動する一対のスイッチ部とを有する操作スイッチが記載されている。
【0003】
特許文献1には、上記操作スイッチの他、二系統の分圧回路や、制御装置における信号入力用の二つの入力ポート、同制御装置における所定電圧を出力するための二つの出力ポートを有するスイッチ回路が開示されている。このスイッチ回路では、操作スイッチおよび二系統の分圧回路が二つの入力ポートと二つの出力ポートとの間に接続されている。
【0004】
上記スイッチ回路では、操作スイッチがロック位置に操作されたときとリリース位置に操作されたときとで、入力ポートに接続された各分圧回路の分圧点が変更されるため、同入力ポートに入力される電圧信号が相異する。そうした各入力ポートの入力信号を監視することにより、操作スイッチの操作位置を検出可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-149220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記スイッチ回路では、操作スイッチの操作位置を検出することが可能になるものの、その実現のために制御装置の入力ポートおよび出力ポートとして二つのポートが必要になる。近年では、制御装置において使用するポート数の低減が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためのスイッチ回路は、互いに並列に接続されるとともに、印加される電圧を分圧する第1分圧回路および第2分圧回路と、共通の入力ポートを介して前記第1分圧回路の分圧点と前記第2分圧回路の分圧点とが接続される入力部、および、前記電圧が印加される印加状態と前記電圧が印加されない非印加状態とを共に一定周期で且つ互いに異なる周期で切り替える第1切替部および第2切替部、を有する制御装置と、第1スイッチおよび第2スイッチを有し、前記第1スイッチの操作時には前記第1切替部および前記第2切替部のうちの第1切替部のみを前記第1分圧回路および前記第2分圧回路に接続し、前記第2スイッチの操作時には前記第1切替部および前記第2切替部のうちの前記第2切替部のみを前記第1分圧回路および第2分圧回路に接続する操作スイッチと、を備える。
【0008】
上記構成によれば、第1スイッチの操作時には、第1分圧回路および第2分圧回路が並列接続された構造の分圧回路(以下、合成分圧回路)に対して、第1切替部によって一定周期(第1所定周期)でオン/オフする電圧が印加されて、合成分圧回路における分圧点の電圧が制御装置の入力部に入力される。また、第2スイッチの操作時には、第2切替部によって上記第1所定周期と異なる一定周期(第2所定周期)でオン/オフする電圧が合成分圧回路に印加されて、同合成分圧回路における分圧点の電圧が制御装置の入力部に入力される。このように上記構成では、合成分圧回路における分圧点の電圧が一つの入力部(入力ポート)に入力されるとはいえ、第1スイッチの操作時と第2スイッチの操作時とで、合成分圧回路に印加される電圧の変動周期が異なるために、制御装置の入力部に入力される信号の変動パターンも異なったものになる。そのため、この信号の変動パターンを監視することにより、操作スイッチの操作位置を検出することができる。したがって上記構成によれば、第1スイッチおよび第2スイッチを有する操作スイッチが設けられるスイッチ回路において、一つの入力部の入力信号を監視することによって操作スイッチの操作位置を検出することができる。そのため、二つの入力ポートを有するスイッチ回路と比較して、入力ポートを少なくすることができ、制御装置において使用されるポート数の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態のスイッチ回路の概略構成図。
図2】操作スイッチの操作位置と作動態様との関係を示す表。
図3】(a)~(c)は操作スイッチの非操作時におけるタイミングチャート。
図4】ロックスイッチの操作時におけるスイッチ回路の概略構成図。
図5】(a)~(c)はロックスイッチの操作時におけるタイミングチャート。
図6】リリーススイッチの操作時におけるスイッチ回路の概略構成図。
図7】(a)~(c)はリリーススイッチの操作時におけるタイミングチャート。
図8】スイッチ回路における異常発生態様と異常判定用の判定パターンとの関係を示す表。
図9】判定パターンAを概念的に示すタイミングチャート。
図10】判定パターンBを概念的に示すタイミングチャート。
図11】判定パターンCを概念的に示すタイミングチャート。
図12】判定パターンDを概念的に示すタイミングチャート。
図13】判定パターンEを概念的に示すタイミングチャート。
図14】判定パターンFを概念的に示すタイミングチャート。
図15】他の実施形態のスイッチ回路の概略構成図。
図16】その他の実施形態のスイッチ回路の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、スイッチ回路の一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態のスイッチ回路20は操作スイッチ21を有している。操作スイッチ21は車両の電動パーキングブレーキ装置を作動させる際に操作されるスイッチである。車両には電動パーキングブレーキ装置を駆動するための電動アクチュエータ22が設けられている。車両では、操作スイッチ21の操作に応じて電動アクチュエータ22の作動制御を実行することにより、電動パーキングブレーキ装置が作動しているブレーキ締結状態と作動していないブレーキ開放状態とが切り替えられる。
【0011】
操作スイッチ21の操作位置としては、ブレーキ締結状態にする際に操作されるロック位置と、ブレーキ開放状態にする際に操作されるリリース位置と、それらロック位置およびリリース位置の間のニュートラル位置とが設定されている。操作スイッチ21は、ロック位置への操作やリリース位置への操作が停止されたときに、ニュートラル位置に自動復帰する構造になっている。
【0012】
操作スイッチ21が操作されていない非操作時においては、操作スイッチ21はニュートラル位置になり、基本的に電動アクチュエータ22は作動しない。そして、操作スイッチ21がロック位置に操作されると、その後において電動パーキングブレーキ装置がブレーキ締結状態になるまで電動アクチュエータ22が作動するようになる。一方、操作スイッチ21がリリース位置に操作されると、その後においてブレーキ開放状態になるまで電動アクチュエータ22が作動するようになる。
【0013】
スイッチ回路20は、マイクロプロセッサ23を中心に構成される電子制御装置24を有している。電子制御装置24には、操作スイッチ21の出力信号が取り込まれており、電動アクチュエータ22の駆動回路が接続されている。電子制御装置24は操作スイッチ21の出力信号をもとに各種の演算を行うとともに、その演算結果に基づいて電動アクチュエータ22の作動制御を実行する。
【0014】
以下、本実施形態のスイッチ回路20の具体構成について説明する。
上記操作スイッチ21は、ブレーキ締結状態にするべくロック位置に操作された際に作動するロックスイッチ25を有している。ロックスイッチ25は、常開型のスイッチである第1常開スイッチ部SW1と常閉型のスイッチである第1常閉スイッチ部SW2とを有している。これら第1常開スイッチ部SW1および第1常閉スイッチ部SW2は連動する態様で並列に接続されている。ロックスイッチ25は、その作動時には第1常開スイッチ部SW1がオン状態になる一方で非作動時には第1常閉スイッチ部SW2が「オン」状態になるといったように、第1常開スイッチ部SW1および第1常閉スイッチ部SW2の一方が択一的にオン状態になる構造になっている。本実施形態では、ロックスイッチ25が第1スイッチに相当する。
【0015】
操作スイッチ21は、ブレーキ開放状態にするべくリリース位置に操作された際に作動するリリーススイッチ26を有している。リリーススイッチ26は、常閉型のスイッチである第2常閉スイッチ部SW3と常開型のスイッチである第2常開スイッチ部SW4とを有している。これら第2常閉スイッチ部SW3および第2常開スイッチ部SW4は連動する態様で並列に接続されている。リリーススイッチ26は、その作動時には第2常開スイッチ部SW4がオン状態になり、非作動時には第2常閉スイッチ部SW3がオン状態になるといったように、第2常閉スイッチ部SW3および第2常開スイッチ部SW4の一方が択一的にオン状態になる構造になっている。本実施形態では、リリーススイッチ26が第2スイッチに相当する。
【0016】
上記ロックスイッチ25とリリーススイッチ26とは直列接続されている。具体的には、第1常開スイッチ部SW1と第2常閉スイッチ部SW3とが直列接続されるとともに、第1常閉スイッチ部SW2と第2常開スイッチ部SW4とが直列接続されている。
【0017】
図2に示すように、操作スイッチ21がニュートラル位置であるときには、ロックスイッチ25およびリリーススイッチ26が共に作動しておらず、第1常開スイッチ部SW1がオフ状態になり、第1常閉スイッチ部SW2がオン状態になり、第2常閉スイッチ部SW3がオン状態になり、第2常開スイッチ部SW4がオフ状態になる。
【0018】
一方、操作スイッチ21がロック位置であるときには、ロックスイッチ25が作動しているため、第1常開スイッチ部SW1がオン状態になり、第1常閉スイッチ部SW2がオフ状態になり、第2常閉スイッチ部SW3がオン状態になり、第2常開スイッチ部SW4がオフ状態になる。
【0019】
他方、操作スイッチ21がリリース位置であるときには、リリーススイッチ26が作動しているため、第1常開スイッチ部SW1がオフ状態になり、第1常閉スイッチ部SW2がオン状態になり、第2常閉スイッチ部SW3がオフ状態になり、第2常開スイッチ部SW4がオン状態になる。
【0020】
図1に示すように、操作スイッチ21には、電子制御装置24との接続に用いるコネクタ30が設けられている。このコネクタ30は、第1入力接続端子31、第2入力接続端子32、第1出力接続端子33、および第2出力接続端子34を有している。
【0021】
コネクタ30の第1入力接続端子31には、第1入力線35を介して、ロックスイッチ25における第1常開スイッチ部SW1と第1常閉スイッチ部SW2との接続部分が接続されている。第2入力接続端子32には、第2入力線36を介して、リリーススイッチ26における第2常閉スイッチ部SW3と第2常開スイッチ部SW4との接続部分が接続されている。第1出力接続端子33には、第1出力線37を介して、ロックスイッチ25の第1常開スイッチ部SW1とリリーススイッチ26の第2常閉スイッチ部SW3との接続部分が接続されている。第2出力接続端子34には、第2出力線38を介して、ロックスイッチ25の第1常閉スイッチ部SW2とリリーススイッチ26の第2常開スイッチ部SW4との接続部分が接続されている。
【0022】
電子制御装置24は、操作スイッチ21との接続に用いるコネクタ40を有している。このコネクタ40は、第1入力接続端子41、第2入力接続端子42、第1出力接続端子43、および第2出力接続端子44を有している。電子制御装置24のコネクタ40に操作スイッチ21用のコネクタ30を嵌めることにより、第1入力接続端子41と第1入力接続端子31とが接続され、第2入力接続端子42と第2入力接続端子32とが接続され、第1出力接続端子43と第1出力接続端子33とが接続され、第2出力接続端子44と第2出力接続端子34とが接続される。
【0023】
電子制御装置24のコネクタ40の第1入力接続端子41には、第1入力線45を介して、マイクロプロセッサ23の入力ポート27Pが接続されている。この入力ポート27Pには電圧信号をA/D変換しつつ電子制御装置24に取り込むための入力部27が接続されている。
【0024】
第1入力線45は、第1抵抗器50を介して電源回路の電源線201に接続されている。また、第1入力線45における第1抵抗器50が接続された部分よりもコネクタ40側の部分には第2抵抗器51が設けられている。本実施形態では、電源回路の電源線201に「5.0ボルト」の直流電圧が供給されている。
【0025】
本実施形態では、第1抵抗器50と第2抵抗器51とによって第1分圧回路511が構成されており、この第1分圧回路511の分圧点、詳しくは第1抵抗器50と第2抵抗器51とを接続している部分がマイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに接続されている。また本実施形態では、第1抵抗器50として抵抗値R0が「5KΩ」の抵抗器が採用されており、第2抵抗器51として抵抗値R1が「5KΩ」の抵抗器が採用されている。
【0026】
コネクタ40の第2入力接続端子42には、第2入力線46を介して、第1入力線45における第2抵抗器51よりも入力ポート27P側の部分が接続されている。これにより、第2入力接続端子42にはマイクロプロセッサ23の入力ポート27Pが接続されている。第2入力線46の途中には第3抵抗器52が設けられている。
【0027】
本実施形態では、第1抵抗器50と第3抵抗器52とによって第2分圧回路521が構成されており、この第2分圧回路521の分圧点、詳しくは第1抵抗器50と第3抵抗器52とを接続している部分がマイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに接続されている。本実施形態では、第3抵抗器52として抵抗値R2が「10KΩ」の抵抗器が採用されている。すなわち、第3抵抗器52の抵抗値R2は、第2抵抗器51の抵抗値R1と異なっている。
【0028】
本実施形態の電子制御装置24では、電源回路の電源電圧が第1分圧回路511によって分圧された上で電圧信号としてマイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに入力される。また、電源回路の電源電圧が第2分圧回路521によって分圧された上で電圧信号としてマイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに入力される。そして、電子制御装置24は、マイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに入力される電圧信号を、同入力ポート27Pに接続された入力部27によって取り込む。
【0029】
コネクタ40の第1出力接続端子43は、第1出力線47を介して、マイクロプロセッサ23の第1出力ポート28Pに接続されている。この第1出力ポート28Pは第1切替部28に接続されている。第1切替部28は、第1出力ポート28Pを電源回路のGND線202に接続する状態と接続しない状態とを一定の周期(第1所定周期)で切り替えるものである。この第1切替部28は、言い換えれば、第1出力線47および第1出力ポート28Pを介して接続される電気回路に対して、電源回路の電源電圧を印加する印加状態と同電圧を印加しない非印加状態とを一定周期で切り替えるものである。
【0030】
コネクタ40の第2出力接続端子44は、第2出力線48を介して、マイクロプロセッサ23の第2出力ポート29Pに接続されている。この第2出力ポート29Pは第2切替部29に接続されている。第2切替部29は、第2出力ポート29Pを電源回路のGND線202に接続する状態と接続しない状態とを一定の周期(第2所定周期)で切り替えるものである。第2切替部29は、言い換えれば、第2出力線48および第2出力ポート29Pを介して接続される電気回路に対して、電源回路の電源電圧を印加する印加状態と同電圧を印加しない非印加状態とを一定周期で切り替えるものである。本実施形態では、第2切替部29の切り替え周期である第2所定周期が、第1切替部28の切り替え周期である第1所定周期の二倍の長さに設定されている。
【0031】
以下、本実施形態のスイッチ回路20による作用効果について説明する。
本実施形態のスイッチ回路20では、第1切替部28や第2切替部29の作動状況、ロックスイッチ25やリリーススイッチ26の作動状況に応じて、第1分圧回路511に対する電源電圧の印加態様や、第2分圧回路521に対する電源電圧の印加態様が切り替わるようになっている。
【0032】
そして、第1分圧回路511および第2分圧回路521が共に電源電圧の印加されない非印加状態になる期間では、各分圧回路511,521における電圧降下が生じないため、電源回路の電源電圧V0がマイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに入力される。
【0033】
各分圧回路511,521のうちの第2分圧回路521のみが電源電圧の印加される印加状態になる期間では、第2分圧回路521の分圧点からマイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに電圧信号が入力されるようになる。この期間における入力信号の電圧VS1は、第1抵抗器50の抵抗値R0、第3抵抗器52の抵抗値R2、および電源電圧V0をもとに、以下の関係式(1)から求めることができる。具体的には、この期間における入力信号の電圧VS1は「3.3ボルト」になる。
【0034】

VS1=R2/(R0+R2)×V0 …(1)

各分圧回路511,521のうちの第1分圧回路511のみが印加状態になる期間では、第1分圧回路511の分圧点からマイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに電圧信号が入力されるようになる。この期間における入力信号の電圧VS2は、第1抵抗器50の抵抗値R0、第2抵抗器51の抵抗値R1、および電源電圧V0をもとに、以下の関係式(2)から求めることができる。具体的には、この期間における入力信号の電圧VS2は「2.5ボルト」になる。
【0035】

VS2=R1/(R0+R1)×V0 …(2)

第1分圧回路511および第2分圧回路521が共に印加状態になる期間では、第1分圧回路511および第2分圧回路521が並列接続された構造の合成分圧回路の分圧点からマイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに電圧信号が入力されるようになる。この期間における入力信号の電圧VS3は、第1抵抗器50の抵抗値R0、第2抵抗器51の抵抗値R1、第3抵抗器52の抵抗値R2、および電源電圧V0をもとに、以下の関係式(3)および(4)から求められる。具体的には、この期間における入力信号の電圧VS3は「2.0ボルト」になる。
【0036】

VS3=RA/(R0+RA)×V0=2.0V …(3)
ただし、RA=R1×R2/(R1+R2) …(4)

図1および図3に示すように、操作スイッチ21の非操作時、すなわち操作スイッチ21がニュートラル位置になっているときには、マイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに入力される電圧信号は次のように変動するようになる。
【0037】
操作スイッチ21の非操作時においては、第1切替部28が第2分圧回路521に接続される一方、第2切替部29が第1分圧回路511に接続される。
そのため、第1切替部28および第2切替部29が共にオフ状態になる期間T10においては、図3(a)に示す第1分圧回路511および図3(b)に示す第2分圧回路521が共に非印加状態になるため、図3(c)に示すように電源回路の電源電圧V0が入力ポート27Pに入力される。
【0038】
その直後において各切替部28,29のうちの第1切替部28のみがオン状態になる第1期間T11では、第1分圧回路511および第2分圧回路521のうち、第1切替部28に接続された第2分圧回路521のみが印加状態になる。そのため、関係式(1)によって定まる電圧VS1が入力ポート27Pに入力される。
【0039】
その直後において各切替部28,29のうちの第2切替部29のみがオン状態になる第2期間T12では、第1分圧回路511および第2分圧回路521のうち、第2切替部29に接続された第1分圧回路511のみが印加状態になる。そのため、関係式(2)によって定まる電圧VS2が入力ポート27Pに入力される。
【0040】
その直後において第1切替部28および第2切替部29が共にオン状態になる第3期間T13においては、第1分圧回路511および第2分圧回路521が共に印加状態になるため、関係式(3)および(4)によって定まる電圧VS3が入力ポート27Pに入力される。
【0041】
このように操作スイッチ21の非操作時においては、マイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに入力される電圧信号が、V0(5.0ボルト)→VS1(3.3ボルト)→VS2(2.5ボルト)→VS3(2.0ボルト)といった変動パターンで繰り返し変動するようになる。
【0042】
本実施形態では、こうした操作スイッチ21の非操作時における入力信号の変動パターンが発明者による各種のシミュレーションの結果等をもとに予め求められており、同変動パターンがニュートラル判定用の判定パターンJnとして電子制御装置24のメモリ24Mに予め記憶されている。電子制御装置24は、入力ポート27Pに実際に入力される電圧信号の変動パターンが上記メモリ24Mに記憶されている判定パターンJnと一致したことをもって、操作スイッチ21が非操作であることを検出する。本実施形態では、メモリ24Mが記憶部に相当する。
【0043】
一方、図4および図5に示すように、ロックスイッチ25の操作時、すなわち操作スイッチ21がロック位置になっているときには、マイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに入力される電圧信号が次のように変動する。
【0044】
ロックスイッチ25の操作時においては、各切替部28,29のうちの第1切替部28のみが第1分圧回路511および第2分圧回路521に接続される。この場合、第2切替部29は、第1分圧回路511および第2分圧回路521の両者に接続されない。
【0045】
そのため、第1切替部28がオフ状態になる期間T20においては、図5(a)に示す第1分圧回路511および図5(b)に示す第2分圧回路521が共に非印加状態になるため、図5(c)に示すように電源回路の電源電圧V0が入力ポート27Pに入力される。
【0046】
その直後において第1切替部28がオン状態になる期間T21においては、第1分圧回路511および第2分圧回路521が共に印加状態になるため、関係式(3)および(4)によって定まる電圧VS3が入力ポート27Pに入力される。
【0047】
このようにスイッチ回路20では、ロックスイッチ25の操作時においては、マイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに入力される電圧信号が、V0(5.0ボルト)→VS3(2.0ボルト)といった変動パターンで繰り返し変動するようになる。
【0048】
本実施形態では、こうしたロックスイッチ25の操作時における入力信号の変動パターンが発明者による各種のシミュレーションの結果等をもとに予め求められており、同変動パターンがロック判定用の判定パターンJlとして電子制御装置24のメモリ24Mに予め記憶されている。電子制御装置24は、入力ポート27Pに実際に入力される電圧信号の変動パターンが上記メモリ24Mに記憶されている判定パターンJlと一致したことをもって、ロックスイッチ25が操作されたことを検出する。
【0049】
他方、図6および図7に示すように、リリーススイッチ26の操作時、すなわち操作スイッチ21がリリース位置になっているときには、マイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに入力される電圧信号が次のように変動する。
【0050】
リリーススイッチ26の操作時においては、各切替部28,29のうちの第2切替部29のみが第1分圧回路511および第2分圧回路521に接続される。この場合、第1切替部28は、第1分圧回路511および第2分圧回路521の両者に接続されない。
【0051】
そのため、第2切替部29がオフ状態になる期間T30においては、図7(a)に示す第1分圧回路511および図7(b)に示す第2分圧回路521が共に非印加状態になるため、図7(c)に示すように電源回路の電源電圧V0が入力ポート27Pに入力される。
【0052】
その直後において第2切替部29がオン状態になる期間T31においては、第1分圧回路511および第2分圧回路521が共に印加状態になるため、関係式(3)および(4)によって定まる電圧VS3が入力ポート27Pに入力される。
【0053】
このようにスイッチ回路20では、リリーススイッチ26の操作時においては、マイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに入力される電圧信号が、V0(5.0ボルト)→VS3(2.0ボルト)といった変動パターンで繰り返し変動するようになる。なお、リリーススイッチ26の操作時における変動パターンの期間T30,T31は、ロックスイッチ25の操作時における変動パターンの期間T20,T21の二倍の長さになる。
【0054】
本実施形態では、こうしたリリーススイッチ26の操作時における入力信号の変動パターンが発明者による各種のシミュレーションの結果等をもとに予め求められており、同変動パターンがリリース判定用の判定パターンJrとして電子制御装置24のメモリ24Mに予め記憶されている。電子制御装置24は、入力ポート27Pに実際に入力される電圧信号の変動パターンが上記メモリ24Mに記憶されている判定パターンJrと一致したことをもって、リリーススイッチ26が操作されたことを検出する。
【0055】
本実施形態のスイッチ回路20では、ロックスイッチ25の操作時においては、第1分圧回路511および第2分圧回路521が並列接続された構造の合成分圧回路に対して、第1切替部28によって第1所定周期でオン/オフする電圧が印加される。そして、このときの合成分圧回路における分圧点の電圧がマイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに入力される。
【0056】
一方、リリーススイッチ26の操作時においては、第2切替部29によって上記第1所定周期の二倍の長さの第2所定周期でオン/オフする電圧が合成分圧回路に印加されて、同合成分圧回路における分圧点の電圧がマイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに入力される。
【0057】
このように上記スイッチ回路20では、合成分圧回路における分圧点の電圧が一つの入力ポート27Pに入力されるとはいえ、ロックスイッチ25の操作時とリリーススイッチ26の操作時とで、合成分圧回路に印加される電圧の変動周期が異なる。そのため、マイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに入力される信号の変動パターン(図5および図7参照)も、ロックスイッチ25の操作時とリリーススイッチ26の操作時とで異なったものになる。したがって、入力ポート27Pに入力される電圧信号の変動パターンを監視することにより、操作スイッチ21がロック位置に操作されたこととリリース位置に操作されたこととを各別に検出することができる。
【0058】
また本実施形態のスイッチ回路20では、操作スイッチ21の非操作時には、第1切替部28が第2分圧回路521に接続されるとともに第2切替部29が第1分圧回路511に接続される。そのため、図3に示すように、入力ポート27Pに入力される電圧信号が、第1切替部28および第2切替部29が共にオフ状態になる期間T10と、第1切替部28のみがオン状態になる第1期間T11と、第2切替部29のみがオン状態になる第2期間T12と、各切替部28,29が共にオン状態になる第3期間T13とで異なる値になる。
【0059】
これにより、操作スイッチ21の非操作時において入力ポート27Pに入力される電圧信号の変動パターンが、ロックスイッチ25の操作時における変動パターンやリリーススイッチ26の操作時における変動パターンとは異なったものになる。そのため、入力ポート27Pに入力される電圧信号の変動パターンを監視することにより、操作スイッチ21がロック位置に操作されたことや、リリース位置に操作されたことを検出することとは別に、操作スイッチ21が非操作であることを検出することもできる。
【0060】
このように本実施形態によれば、ロックスイッチ25およびリリーススイッチ26を有する操作スイッチ21が設けられるスイッチ回路20において、一つの入力ポート27Pの入力信号を監視することによって、操作スイッチ21の操作位置がロック位置、リリース位置、およびニュートラル位置といった三つの位置になったことを各別に検出することができる。これにより、二つの入力ポートを利用するスイッチ回路と比較して、スイッチ回路20によって利用されるマイクロプロセッサ23の入力ポート27Pの数を少なくすることができるため、マイクロプロセッサ23において使用されるポート数の低減を図ることができる。
【0061】
本実施形態のスイッチ回路20では、各スイッチ部SW1,SW2,SW3,SW4の固着異常や各線35~38の断線異常など、スイッチ回路20の各部に異常が生じた場合に、第1分圧回路511や第2分圧回路521、合成分圧回路の回路構造が変化することがある。そして、この場合に、マイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに入力される電圧信号の変動パターンがスイッチ回路20の正常時と異なった変動パターンになることがある。
【0062】
本実施形態では、発明者による各種の実験やシミュレーションの結果に基づいて、スイッチ回路20における各種異常の発生時においてマイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに入力される電圧信号の変動パターンが予め求められている。また、そうした異常発生時における電圧信号の変動パターンが判定パターンA~Fとして電子制御装置24のメモリ24Mに予め記憶されている。そして、マイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに実際に入力される電圧信号の変動パターンとメモリ24Mに記憶されている判定パターンA~Fとが照合されて、実際の変動パターンが各判定パターンA~Fのいずれかと一致した場合に、スイッチ回路20における異常発生が判定される。
【0063】
このように本実施形態によれば、入力ポート27Pに入力される電圧信号の変動パターンがスイッチ回路20の異常発生時における変動パターンになったことを、実際の変動パターンと判定パターンA~Fとの照合を通じて判定することによって、スイッチ回路20の異常発生を判定することができる。なお、スイッチ回路20の異常発生が判定されたときには、警告灯を点灯させたり、異常発生の履歴を電子制御装置24のメモリ24Mに記憶させたりすることができる。
【0064】
以下、上記判定パターンA~Fについて各別に説明する。
図8に示すように、判定パターンAは、次の状況(A-1)~(A-5)において現れる上記電圧信号の変動パターンに相当する。
【0065】
(A-1)第1常開スイッチ部SW1が開固着した状態で、ロックスイッチ25がオン操作されている。
(A-2)第1常閉スイッチ部SW2が開固着した状態で、操作スイッチ21が操作されていない。
【0066】
(A-3)第2出力線38が断線した状態で、操作スイッチ21が操作されていない。
(A-4)第1入力線35が断線した状態で、操作スイッチ21が操作されていない。
(A-5)第1入力線35が断線した状態で、ロックスイッチ25が操作されている。
【0067】
判定パターンAと実際の変動パターンとが一致する状況は、具体的には、第2分圧回路521には第1切替部28によって電源電圧V0が印加されるとともに、第1分圧回路511には電源電圧V0が印加されない状況である。
【0068】
そのため、図9に示すように、判定パターンAとしては、第1切替部28がオフ状態になって電圧信号が電源回路の電源電圧V0に等しくなる期間T1A,T1Cと、第1切替部28がオン状態になって電圧信号が前記関係式(1)によって定まる電圧VS1になる期間T1B,T1Dとを交互に二回繰り返すパターンが定められている。判定パターンAとしては、具体的には、V0(5.0ボルト)→VS1(3.3ボルト)→V0(5.0ボルト)→VS1(3.3ボルト)といった順に電圧が変動するパターンが定められている。
【0069】
本実施形態によれば、実際の変動パターンと判定パターンAとが一致することをもって、第1常開スイッチ部SW1の開固着異常、第1常閉スイッチ部SW2の開固着異常、第2出力線38の断線異常、第1入力線35の断線異常のいずれかが生じていることを判定することができる。
【0070】
図8に示すように、判定パターンBは、次の状況(B-1)~(B-6)において現れる電圧信号の変動パターンに相当する。
(B-1)第1常開スイッチ部SW1が閉固着した状態で、操作スイッチ21が操作されていない。
【0071】
(B-2)第1常開スイッチ部SW1が閉固着した状態で、リリーススイッチ26が操作されている。
(B-3)第1常閉スイッチ部SW2が閉固着した状態で、ロックスイッチ25が操作されている。
【0072】
(B-4)第2常閉スイッチ部SW3が閉固着した状態で、リリーススイッチ26が操作されている。
(B-5)第2常開スイッチ部SW4が閉固着した状態で、操作スイッチ21が操作されていない。
【0073】
(B-6)第2常開スイッチ部SW4が閉固着した状態で、ロックスイッチ25が操作されている。
判定パターンBと実際の変動パターンとが一致する状況は、具体的には、第1分圧回路511および第2分圧回路521の両方に対して第1切替部28および第2切替部29によって電源電圧V0が印加される状況である。
【0074】
そのため、図10に示すように、判定パターンBとしては、電源回路の電源電圧V0に等しくなる期間T2Aと、その後に前記関係式(3)および(4)によって定まる電圧VS3になる期間T2B,T2C,T2Dとからなるパターンが定められている。期間T2Aは、第1切替部28および第2切替部29が共にオフ状態になる期間であり、その後の期間T2B,T2C,T2Dは、第1切替部28および第2切替部29の少なくとも一方がオン状態になる期間である。判定パターンBとしては、具体的には、V0(5.0ボルト)→VS3(2.0ボルト)→VS3(2.0ボルト)→VS3(2.0ボルト)といった順に電圧が変動するパターンが定められている。
【0075】
本実施形態によれば、実際の変動パターンと判定パターンBとが一致することをもって、各スイッチ部SW1~SW4に閉固着異常が生じていることを判定することができる。
図8に示すように、判定パターンCは、次の状況(C-1)~(C-5)において現れる電圧信号の変動パターンに相当する。
【0076】
(C-1)第2常閉スイッチ部SW3が開固着した状態で、操作スイッチ21が操作されていない。
(C-2)第2常開スイッチ部SW4が開固着した状態で、リリーススイッチ26が操作されている。
【0077】
(C-3)第1出力線37が断線した状態で、操作スイッチ21が操作されていない。
(C-4)第2入力線36が断線した状態で、操作スイッチ21が操作されていない。
(C-5)第2入力線36が断線した状態で、リリーススイッチ26が操作されている。
【0078】
判定パターンCと実際の変動パターンとが一致する状況は、具体的には、第1分圧回路511には第2切替部29によって電源電圧V0が印加されるとともに、第2分圧回路521には電源電圧V0が印加されない状況である。
【0079】
そのため、図11に示すように、判定パターンCとしては、第2切替部29がオフ状態になって電圧信号が電源回路の電源電圧V0に等しくなる期間T3A,T3Bと、その後に第2切替部29がオン状態になって電圧信号が前記関係式(2)によって定まる電圧VS2になる期間T3C,T3Dとからなるパターンが定められている。具体的には、V0(5.0ボルト)→V0(5.0ボルト)→VS2(2.5ボルト)→VS2(2.5ボルト)といった順に電圧が変動するパターンが定められている。
【0080】
本実施形態によれば、実際の変動パターンと判定パターンCとが一致することをもって、第2常閉スイッチ部SW3の開固着異常、第2常開スイッチ部SW4の開固着異常、第1出力線37の断線異常、第2入力線36の断線異常のいずれかが生じていることを判定することができる。
【0081】
図8に示すように、判定パターンDは、次の状況(D-1)~(D-2)において現れる電圧信号の変動パターンに相当する。
(D-1)第2常閉スイッチ部SW3が開固着した状態で、ロックスイッチ25が操作されている。
【0082】
(D-2)第2入力線36が断線した状態で、ロックスイッチ25が操作されている。
判定パターンDと実際の変動パターンとが一致する状況は、具体的には、第1分圧回路511には第1切替部28によって電源電圧V0が印加されるとともに、第2分圧回路521には電源電圧V0が印加されない状況である。
【0083】
そのため、図12に示すように、判定パターンDとしては、第1切替部28がオフ状態になって電圧信号が電源回路の電源電圧V0に等しくなる期間T4A,T4Cと、第1切替部28がオン状態になって電圧信号が前記関係式(2)によって定まる電圧VS2になる期間T4B,T4Dとを交互に二回繰り返すパターンが定められている。判定パターンDとしては、具体的には、V0(5.0ボルト)→VS2(2.5ボルト)→V0(5.0ボルト)→VS2(2.5ボルト)といった順に電圧が変動するパターンが定められている。
【0084】
本実施形態によれば、実際の変動パターンと判定パターンDとが一致することをもって、第2常閉スイッチ部SW3の開固着異常、第2入力線36の断線異常が発生していることを判定することができる。
【0085】
図8に示すように、判定パターンEは、次の状況(E-1)、(E-2)において現れる電圧信号の変動パターンに相当する。
(E-1)第1出力線37が断線した状態で、ロックスイッチ25が操作されている。
【0086】
(E-2)第2出力線38が断線した状態で、リリーススイッチ26が操作されている。
判定パターンEと実際の変動パターンとが一致する状況は、具体的には、第1分圧回路511および第2分圧回路521のいずれにも電源電圧V0が印加されていない状況である。
【0087】
そのため、図13に示すように、判定パターンEとしては、全期間(T5A,T5B,T5C,T5D)にわたって電圧信号が電源回路の電源電圧V0に等しくなるパターンが定められている。判定パターンEとしては、具体的には、V0(5.0ボルト)→V0(5.0ボルト)→V0(5.0ボルト)→V0(5.0ボルト)といったように電圧が推移するパターンが定められている。
【0088】
本実施形態によれば、実際の変動パターンと判定パターンEとが一致することをもって、第1出力線37の断線異常や第2出力線38の断線異常が発生していることを判定することができる。
【0089】
図8に示すように、判定パターンFは、次の状況(F-1)~(F-2)において現れる電圧信号の変動パターンに相当する。
(F-1)第1常閉スイッチ部SW2が開固着した状態で、リリーススイッチ26が操作されている。
【0090】
(F-2)第1入力線35が断線した状態で、リリーススイッチ26が操作されている。
判定パターンFと実際の変動パターンとが一致する状況は、具体的には、第2分圧回路521には第2切替部29によって電源電圧V0が印加されるとともに、第1分圧回路511には電源電圧V0が印加されない状況である。
【0091】
そのため、図14に示すように、判定パターンFとしては、第2切替部29がオフ状態になって電圧信号が電源回路の電源電圧V0に等しくなる期間T6A,T6Bと、その後に第2切替部29がオン状態になって電圧信号が前記関係式(1)によって定まる電圧VS1になる期間T6C,T6Dとからなるパターンが定められている。
【0092】
判定パターンFとしては、具体的には、V0(5.0ボルト)→V0(5.0ボルト)→VS1(3.3ボルト)→VS1(3.3ボルト)といった順に電圧が変動するパターンが定められている。
【0093】
本実施形態によれば、実際の変動パターンと判定パターンFとが一致することをもって、第1常閉スイッチ部SW2の開固着異常、第1入力線35の断線異常が発生していることを判定することができる。
【0094】
ここで、本実施形態のスイッチ回路20では、第1分圧回路511の分圧比が「1/2」になっており、第2分圧回路521の分圧比が「2/3」になっている。そのため、電源電圧V0を印加した場合における第1分圧回路511の分圧点の電圧は「2.5V」になり、第2分圧回路521の分圧点の電圧は「3.3V」になる。
【0095】
そのため、第1分圧回路511の分圧比と第2分圧回路521の分圧比とを同一にする場合と比較して、第1分圧回路511および第2分圧回路521の分圧点から入力ポート27Pに入力される電圧信号の変動パターンのバリエーションを多くすることができる。したがって、スイッチ回路20の異常時において、マイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに入力される電圧信号の変動パターン、ひいては前記判定パターンA~Fのバリエーションを多くすることができる。これにより、異常発生の判定に利用した判定パターンをもとにスイッチ回路20における異常発生箇所をある程度特定しつつ、スイッチ回路20における異常発生を判定することができるようになる。
【0096】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0097】
・マイクロプロセッサ23の入力ポート27Pに入力される電圧信号の実際の変動パターンが、異常判定用の判定パターンA~Fおよび位置判定用の判定パターンJn,Jl,Jrのうちの二つまたは三つと一致した履歴があることをもって、スイッチ回路20における異常発生箇所を特定するようにしてもよい。例えば前記状況(A-1)では、実際の変動パターンが、ロックスイッチ25の操作時には判定パターンAと一致し、リリーススイッチ26の操作時には判定パターンJrと一致し、操作スイッチ21の非操作時には判定パターンJnと一致するようになる。そして、図8から明らかなように、前記状況(A-1)以外の状況においては、実際の変動パターンが三つの判定パターンA,Jr,Jnの全てと一致するようにはならない。したがって、実際の変動パターンが三つの判定パターンA,Jr,Jnの全てと一致した履歴があることをもって、状況(A-1)であること、ひいては第1常開スイッチ部SW1の開固着異常が発生していることを特定することができる。また、上記スイッチ回路20においては、実際の変動パターンが三つの判定パターンA,Jl,Fの全てと一致した履歴があることをもって、状況(A-2)であること、ひいては第1常閉スイッチ部SW2の開固着異常が発生していることを特定することができる。その他、実際の変動パターンが三つの判定パターンC,E,Jrの全てと一致した履歴があることをもって、第1出力線37の断線異常が発生していることを特定することなども可能である。
【0098】
・スイッチ回路20における異常発生を判定するための構成は省略することができる。
・スイッチ回路20において電源回路の電源線201に接続される部分とGND線202に接続される部分とを入れ替えてもよい。具体的には、図15に示すように、第1切替部28によって第1出力線37,47を電源回路の電源線201に接続する状態と接続しない状態とを一定の周期で切り替えるようにするとともに、第2切替部29によって第2出力線38,48を電源回路の電源線201に接続する状態と接続しない状態とを一定の周期で切り替えるようにすることができる。また、第1抵抗器50を介して第1入力線35,45に電源回路のGND線202を接続することができる。図15に示す例では、第1分圧回路511の一部をなす第2抵抗器51を介して電源回路の電源線201が第1出力線47に接続されており、第2分圧回路521の一部をなす第3抵抗器52を介して電源回路の電源線201が第2出力線48に接続されている。これにより、コネクタ30,40の第2入力接続端子32,42(図1参照)を省略可能な構造になっている。
【0099】
図16に示すように、第2抵抗器51を、電子制御装置24の第1入力線45に設けることに代えて、操作スイッチ21に接続された第1入力線35に設けるようにしてもよい。また第3抵抗器52を、電子制御装置24の第2入力線46に設けることに代えて、操作スイッチ21に接続された第2入力線36に設けるようにしてもよい。図16に示すスイッチ回路では、第1入力線35と第2入力線36とが、コネクタ30よりも操作スイッチ21側の部分において分岐している。これにより、コネクタ30,40の第2入力接続端子32,42(図1参照)を省略可能な構造になっている。
【0100】
・第1分圧回路511の分圧比や第2分圧回路521の分圧比は任意に変更することができる。第1分圧回路511の分圧比と第2分圧回路521の分圧比とを同一にすることなども可能である。
【0101】
・上記実施形態にかかるスイッチ回路は、二つの操作位置、詳しくはロック位置およびリリース位置のみが定められた操作スイッチにも適用することができる。
・上記実施形態にかかるスイッチ回路は、電動パーキング装置の操作スイッチに限らず、パワーウインドウの操作スイッチやパワードアミラーの操作スイッチなどにも適用することができる。
【符号の説明】
【0102】
20…スイッチ回路、201…電源線、202…GND線、21…操作スイッチ、22…電動アクチュエータ、23…マイクロプロセッサ、24…電子制御装置、24M…メモリ、25…ロックスイッチ、26…リリーススイッチ、27…入力部、27P…入力ポート、28…第1切替部、28P…第1出力ポート、29…第2切替部、29P…第2出力ポート、30,40…コネクタ、31,41…第1入力接続端子、32,42…第2入力接続端子、33,43…第1出力接続端子、34,44…第2出力接続端子、35,45…第1入力線、36,46…第2入力線、37,47…第1出力線、38,48…第2出力線、50…第1抵抗器、51…第2抵抗器、511…第1分圧回路、52…第3抵抗器、521…第2分圧回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16