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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/14 20060101AFI20230711BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20230711BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20230711BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
G03G21/14
G03G21/16 147
G03G15/16
G03G15/01 Y
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019190549
(22)【出願日】2019-10-17
(65)【公開番号】P2021067714
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板橋 奈緒
(72)【発明者】
【氏名】太田 修司
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-084144(JP,U)
【文献】特開平10-339976(JP,A)
【文献】特開2007-264407(JP,A)
【文献】特開2006-189493(JP,A)
【文献】特開2010-186155(JP,A)
【文献】特開2001-083753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/14
G03G 21/16
G03G 15/16
G03G 15/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の感光体ドラムと、
前記複数の感光体ドラムと当接する転写ベルトと、
前記各感光体ドラムと嵌合可能であり、前記感光体ドラムと嵌合したときに前記感光体ドラムと一体的に回転可能な複数のカップリング部材と、
前記複数のカップリング部材を駆動するドラム駆動部と、
前記転写ベルトを駆動するベルト駆動部と、
前記ドラム駆動部からの駆動力を前記複数のカップリング部材に伝達する伝達機構と、
前記伝達機構における前記ドラム駆動部から前記複数のカップリング部材への前記駆動力の伝達を解除する解除機構と、
前記複数の感光体ドラムの位相を合わせる位相合わせを実行する際に、前記解除機構による前記駆動力の伝達の解除を実行した後に、前記感光体ドラムが前記転写ベルトに当接した状態で、前記ベルト駆動部を駆動させ、前記感光ドラムを前記転写ベルトに連れ回りさせる制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記各カップリング部材はギア部を有し、
前記伝達機構は、前記各カップリング部材の前記ギア部に連結される複数の伝達ギアを有し、
前記解除機構は、前記各伝達ギアから前記各カップリング部材の前記ギア部への前記駆動力の伝達を解除するものである
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記解除機構は、前記各伝達ギアに設けられ前記伝達ギアから前記ギア部への前記駆動力の伝達を解除可能な遊星ギア機構もしくは電磁クラッチ、または前記各カップリング部材の前記ギア部と噛み合う前記伝達ギアを、前記ギア部との噛み合いが解除される位置へ移動させるソレノイドを有する
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記各カップリング部材はギア部を有し、
前記伝達機構は、前記各カップリング部材の前記ギア部に連結される複数の伝達ギアと、前記複数の前記伝達ギアと前記ドラム駆動部との間に設けられ、前記複数の伝達ギアのうちの2つ以上の伝達ギアに連結される中間ギアとを有し、
前記解除機構は、前記中間ギアから前記各伝達ギアへの前記駆動力の伝達を解除するものである
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記解除機構は、前記中間ギアに設けられ前記中間ギアから前記伝達ギアへの前記駆動力の伝達を解除可能な遊星ギア機構もしくは電磁クラッチ、または前記2つ以上の伝達ギアと噛み合う前記中間ギアを、前記各伝達ギアとの噛み合いが解除される位置へ移動させるソレノイドを有する
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記各カップリング部材はギア部を有し、
前記伝達機構は、前記各カップリング部材の前記ギア部に連結される複数の伝達ギアと、前記複数の伝達ギアと前記ドラム駆動部との間に設けられ、前記ドラム駆動部に連結される中間ギアとを有し、
前記解除機構は、前記ドラム駆動部から前記中間ギアへの前記駆動力の伝達を解除するものである
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記解除機構は、前記ドラム駆動部の駆動軸に設けられ前記ドラム駆動部から前記中間ギアへの前記駆動力の伝達を解除可能な遊星ギア機構または電磁クラッチを有する
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記複数の感光体ドラムを収容し、前記複数の感光体ドラムを着脱可能な開口部を有する装置本体と、
前記装置本体の前記開口部を開閉可能なカバーと、
前記カバーの開閉を検知する第1検知手段とを有し、
前記各カップリング部材は、一位相のカップリングであり、
前記制御部は、
前記各感光体ドラムのシートに対する画像形成位置のずれの補正を行う色ずれ補正を実行可能に構成され、
前記各感光体ドラムに対する初期の色ずれ補正が完了した状態において、前記第1検知手段により前記カバーの開閉が検知された後に、前記装置本体に収容される前記感光体ドラムの交換が行われたか否かを判断し、前記感光体ドラムの交換が行われたと判断した場合には前記色ずれ補正を再度実行し、前記感光体ドラムの交換が行われていないと判断した場合には前記色ずれ補正を実行しない
請求項1~請求項7の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記感光体ドラムに当接して前記感光体ドラムにトナーを供給する現像ローラと、
前記現像ローラを前記感光体ドラムから離間させる離間機構とを有し、
制御部は、
前記位相合わせを実行する際に、前記離間機構による前記現像ローラの前記感光体ドラムからの離間、及び、前記解除機構による前記駆動力の伝達の解除を実行した後に、前記ベルト駆動部を駆動させる
請求項1~請求項8の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記ベルト駆動部を駆動させた後、前記複数の感光体ドラムが少なくとも1回転するまでの間、前記解除機構による前記駆動力の伝達の解除を維持させる
請求項1~請求項9の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記各カップリング部材が前記各感光体ドラムと嵌合したことを検知する第2検知手段を有し、
前記制御部は、前記第2検知手段が前記各カップリング部材と前記感光体ドラムとの嵌合を検知したことに基づいて、前記解除機構により前記駆動力の伝達を解除された伝達機構を、駆動力を伝達可能な状態とする
請求項1~請求項9の何れか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の感光体ドラムと、複数の感光体ドラムに当接するベルトと、駆動源を有する駆動部とを備え、駆動源からの駆動力をカップリング部材を用いて複数の感光体ドラムに伝達する構成の画像形成装置が知られている。
【0003】
このような構成の画像形成装置では、カップリング部材と感光体ドラムとが嵌合していない状態において、カップリング部材およびベルトを駆動して、カップリング部材と感光体ドラムとを嵌合させ、複数の感光体ドラムの位相を合わせることが行われている。
【0004】
ここで、カップリング部材およびベルトを駆動して、カップリング部材と感光体ドラムとを嵌合させる場合、カップリング部材と感光体ドラムとが嵌合するまでの間は、感光体ドラムが停止した状態でベルトが駆動されるため、感光体ドラムとベルトとの間に擦れが生じることとなる。
【0005】
従って、従来においては、例えば特許文献1に記載されるように、感光体ドラムとベルトとを離間した状態で感光体ドラムの位相合わせを行い、感光体ドラムの位相合わせが完了した後に感光体ドラムとベルトとを接触させることで、感光体ドラムとベルトとの間に擦れが生じることを抑制することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-128698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の特許文献1に記載された構成は、感光体ドラムの位相合わせを行う際に感光体ドラムとベルトとが離間する構成であるため、感光体ドラムとベルトとのニップ点の位置が安定せずに、画像形成の品質に影響をおよぼすおそれがある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものである。つまり、感光体ドラムの位相合わせを行う際に、駆動部からカップリング部材に駆動力を伝達する伝達機構における駆動力の伝達を解除するとともに、駆動したベルトの回転に感光体ドラムを連れ回りさせることにより、感光体ドラムの位相合わせ時に感光体ドラムとベルトとの接触を維持しつつ感光体ドラムとベルトとの間に擦れが生じることを抑制するものである。また、感光体ドラムの位相合わせ時に感光体ドラムとベルトとが離間しない構成とすることで、感光体ドラムとベルトとのニップ点の位置を安定させて、画像形成の品質に影響をおよぼすことを抑制するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する画像形成装置は、以下の特徴を有する。即ち、画像形成装置は、複数の感光体ドラムと、前記複数の感光体ドラムと当接するベルトと、前記各感光体ドラムと嵌合可能であり、前記感光体ドラムと嵌合したときに前記感光体ドラムと一体的に回転可能な複数のカップリング部材と、前記複数のカップリング部材を駆動するドラム駆動部と、前記ベルトを駆動するベルト駆動部と、前記ドラム駆動部からの駆動力を前記複数のカップリング部材に伝達する伝達機構と、前記伝達機構における前記ドラム駆動部から前記複数のカップリング部材への前記駆動力の伝達を解除する解除機構と、前記複数の感光体ドラムの位相を合わせる位相合わせを実行する際に、前記解除機構による前記駆動力の伝達の解除を実行した後に、前記ベルト駆動部を駆動させる制御部と、を備える。
【0010】
これにより、伝達機構における駆動力の伝達が解除された状態でベルト駆動部を駆動させて感光体ドラムをベルトに連れ回りさせることができ、感光体ドラムとベルトとの間に擦れが発生することを抑制できる。この場合、感光体ドラムの位相合わせ時に感光体ドラムとベルトとが離間しないため、感光体ドラムとベルトとのニップ点の位置を安定させて、画像形成の品質に影響をおよぼすことを抑制できる。
【0011】
また、前記各カップリング部材はギア部を有し、前記伝達機構は、前記各カップリング部材の前記ギア部に連結される複数の伝達ギアを有し、前記解除機構は、前記各伝達ギアから前記各カップリング部材の前記ギア部への前記駆動力の伝達を解除するものである。
【0012】
これにより、感光体ドラムとともに回転するギアの数を少なくして感光体ドラムにかかる負荷を小さくすることができ、感光体ドラムを容易にベルトに連れ回りさせることが可能である。
【0013】
また、前記解除機構は、前記各伝達ギアに設けられ前記伝達ギアから前記ギア部への前記駆動力の伝達を解除可能な遊星ギア機構もしくは電磁クラッチ、または前記各カップリング部材の前記ギア部と噛み合う前記伝達ギアを、前記ギア部との噛み合いが解除される位置へ移動させるソレノイドを有する。
【0014】
これにより、簡単な構成で容易に駆動力の伝達を解除することが可能である。
【0015】
また、前記各カップリング部材はギア部を有し、前記伝達機構は、前記各カップリング部材の前記ギア部に連結される複数の伝達ギアと、前記複数の前記伝達ギアと前記ドラム駆動部との間に設けられ、前記複数の伝達ギアのうちの2つ以上の伝達ギアに連結される中間ギアとを有し、前記解除機構は、前記中間ギアから前記各伝達ギアへの前記駆動力の伝達を解除するものである。
【0016】
これにより、画像形成装置に設ける解除機構の数を少なくすることができる。
【0017】
また、前記解除機構は、前記中間ギアに設けられ前記中間ギアから前記伝達ギアへの前記駆動力の伝達を解除可能な遊星ギア機構もしくは電磁クラッチ、または前記2つ以上の伝達ギアと噛み合う前記中間ギアを、前記各伝達ギアとの噛み合いが解除される位置へ移動させるソレノイドを有する。
【0018】
これにより、簡単な構成で容易に駆動力の伝達を解除することが可能である。
【0019】
また、前記各カップリング部材はギア部を有し、前記伝達機構は、前記各カップリング部材の前記ギア部に連結される複数の伝達ギアと、前記複数の伝達ギアと前記ドラム駆動部との間に設けられ、前記ドラム駆動部に連結される中間ギアとを有し、前記解除機構は、前記ドラム駆動部から前記中間ギアへの前記駆動力の伝達を解除するものである。
【0020】
これにより、画像形成装置に設ける解除機構の数を少なくすることができる。特に、解除機構をドラム駆動部の駆動軸に設けた場合には、画像形成装置に設ける解除機構の数を1つにすることができる。
【0021】
また、前記解除機構は、前記ドラム駆動部の駆動軸に設けられ前記ドラム駆動部から前記中間ギアへの前記駆動力の伝達を解除可能な遊星ギア機構または電磁クラッチを有する。
【0022】
これにより、簡単な構成で容易に駆動力の伝達を解除することが可能である。
【0023】
また、前記複数の感光体ドラムを収容し、前記複数の感光体ドラムを着脱可能な開口部を有する装置本体と、前記装置本体の前記開口部を開閉可能なカバーと、前記カバーの開閉を検知する第1検知手段とを有し、前記各カップリング部材は、一位相のカップリングであり、前記制御部は、前記各感光体ドラムのシートに対する画像形成位置のずれの補正を行う色ずれ補正を実行可能に構成され、前記各感光体ドラムに対する初期の色ずれ補正が完了した状態において、前記第1検知手段により前記カバーの開閉が検知された後に、前記装置本体に収容される前記感光体ドラムの交換が行われたか否かを判断し、前記感光体ドラムの交換が行われたと判断した場合には前記色ずれ補正を再度実行し、前記感光体ドラムの交換が行われていないと判断した場合には前記色ずれ補正を実行しない。
【0024】
このように、カップリング部材を一位相のカップリングとすることで、カバーが開閉された場合であっても、感光体ドラムの交換が行われていないときには、各感光体ドラムに色ずれが生じることがなく、余分な色ずれ補正が実行されることがない。
【0025】
また、前記感光体ドラムに当接して前記感光体ドラムにトナーを供給する現像ローラと、前記現像ローラを前記感光体ドラムから離間させる離間機構とを有し、制御部は、前記位相合わせを実行する際に、前記離間機構による前記現像ローラの前記感光体ドラムからの離間、及び、前記解除機構による前記駆動力の伝達の解除を実行した後に、前記ベルト駆動部を駆動させる。
【0026】
これにより、位相合わせを実行する際に、現像ローラに起因する負荷が感光体ドラムにかかることがなく、感光体ドラムをより容易にベルトに連れ回りさせることが可能である。
【0027】
また、前記制御部は、前記ベルト駆動部を駆動させた後、前記複数の感光体ドラムが少なくとも1回転するまでの間、前記解除機構による前記駆動力の伝達の解除を維持させる。
【0028】
これにより、感光体ドラムとベルトとの間に擦れを生じさせることなく、全ての感光体ドラムとカップリング部材とを嵌合させることができる。
【0029】
また、前記各カップリング部材が前記各感光体ドラムと嵌合したことを検知する第2検知手段を有し、前記制御部は、前記第2検知手段が前記各カップリング部材と前記感光体ドラムとの嵌合を検知したことに基づいて、前記解除機構により前記駆動力の伝達を解除された伝達機構を、駆動力を伝達可能な状態とする。
【0030】
これにより、感光体ドラムの位相合わせを早期に完了させることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、伝達機構における駆動力の伝達が解除された状態でベルト駆動部を駆動させて感光体ドラムをベルトに連れ回りさせることができ、感光体ドラムとベルトとの間に擦れが発生することを抑制できる。この場合、感光体ドラムの位相合わせ時に感光体ドラムとベルトとが離間しないため、感光体ドラムとベルトとのニップ点の位置を安定させて、画像形成の品質に影響をおよぼすことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】画像形成装置を示す中央断面図である。
図2】感光体ドラムの駆動機構である。
図3】ドラム駆動部からカップリング部材へ駆動力を伝達する伝達機構を示す側面図である。
図4】伝達ギアからカップリング部材への駆動力の伝達を解除する解除機構であって、伝達ギアを解除位置に移動させるソレノイドを有する解除機構を示す側面図である。
図5】現像ローラを感光体ドラムから離間させる離間機構を示す側面図である。
図6】画像形成装置の電気的構成を示す側面断面図である。
図7】画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
図8】伝達解除制御を示すフローチャートである。
図9】伝達ギアからカップリング部材への駆動力の伝達を解除する解除機構であって、電磁クラッチを有する解除機構を示す正面図である。
図10】伝達ギアからカップリング部材への駆動力の伝達を解除する解除機構であって、遊星ギア機構を有する解除機構を示す正面図である。
図11】中間ギアが噛合位置と解除位置との間で移動可能な伝達機構を示す側面図である。
図12】中間ギアから伝達ギアへの駆動力の伝達を解除する解除機構であって、電磁クラッチを有する解除機構を示す正面図である。
図13】中間ギアから伝達ギアへの駆動力の伝達を解除する解除機構であって、遊星ギア機構を有する解除機構を示す正面図である。
図14】ベルト駆動部から中間ギアからへの駆動力の伝達を解除する解除機構であって、電磁クラッチを有する解除機構を示す正面図である。
図15】ベルト駆動部から中間ギアからへの駆動力の伝達を解除する解除機構であって、遊星ギア機構を有する解除機構を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0034】
[画像形成装置の全体構成]
図1に示す画像形成装置1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態であり、電子写真方式により、用紙Sに複数色の画像を形成するカラーレーザプリンタである。
【0035】
以下の説明では、図1における左側を画像形成装置1の前側、図1における右側を画像形成装置1の後側と規定し、図1おける紙面手前側を画像形成装置1の右側、図1における紙面奥側を画像形成装置1の左側と規定する。また、図1における上側および下側を、それぞれ画像形成装置1の上側および下側と規定する。
【0036】
画像形成装置1は、装置本体2と、給紙トレイ10及び用紙搬送部30を有する給紙部3と、給紙部3により搬送されてきた用紙Sに画像を形成する画像形成部5とを備えている。
【0037】
装置本体2は略直方体形状に形成されており、給紙部3および画像形成部5を収容している。装置本体2の前面21には開口部2Aが形成されている。装置本体2は、開口部2Aを開閉可能な前面カバー22を有している。前面カバー22は、開口部を開閉可能なカバーの一例である。装置本体2の上面23には前側から後側へ向かうにつれて下方に傾斜する排紙トレイ23aが形成されている。
【0038】
給紙部3は、装置本体2の下部に配置されており、給紙トレイ10に支持される用紙Sを用紙搬送部30によって画像形成部5に搬送するものである。給紙トレイ10は、前後方向へスライド可能に構成されており、装置本体2に収容される収容位置と、収容位置から前方へ引き出された引出位置との間で移動可能に構成されている。
【0039】
用紙搬送部30は、給紙ローラ32と、分離ローラ33と、分離パッド33aと、搬送ローラ対34と、レジストローラ対35とを備えている。装置本体2内には、給紙トレイ10から画像形成部5を経由して排紙トレイ23aへ至る用紙Sの搬送経路Pが構成されている。
【0040】
給紙トレイ10に支持される用紙Sは、給紙ローラ32、分離ローラ33および分離パッド33aにより1枚ずつ分離されて搬送経路Pに送り出される。給紙ローラ32は、給紙トレイ10から画像形成部5に向けて用紙Sを給紙するローラである。分離ローラ33および分離パッド33aは、給紙トレイ10に支持される用紙Sを一枚ずつ分離する。
【0041】
搬送経路Pに送り出された用紙Sは、搬送ローラ対34と、レジストローラ対35とにより画像形成部5に向けて搬送される。レジストローラ対35は、搬送される用紙Sの先端の移動を規制して一旦停止させた後、用紙Sを所定のタイミングにて画像形成ユニット5に向けて搬送する。
【0042】
画像形成部5は給紙部3の上方に配置されており、前後方向に並設される4つのドラムユニット50を備えている。各ドラムユニット50は、ブラック、イエロー、マゼンタ、およびシアンの各色に対応して設けられている。ドラムユニット50は、感光体ドラム51、および感光体ドラム51に当接する現像ローラ52を備えている。
【0043】
以降、画像形成部5に設けられる4つの感光体ドラム51については、用紙搬送方向の最も上流側に配置される感光体ドラム51を第1感光体ドラム51-1と、第1感光体ドラム51-1よりも用紙搬送方向の下流側に配置される感光体ドラム51を第2感光体ドラム51-2と、第2感光体ドラム51-2よりも用紙搬送方向の下流側に配置される感光体ドラム51を第3感光体ドラム51-3と、第3感光体ドラム51-3よりも用紙搬送方向の下流側に配置される感光体ドラム51を第4感光体ドラム51-4と、必要に応じて適宜記載する。
【0044】
画像形成部5は、感光体ドラム51の表面を露光する露光ユニット53、および用紙Sの搬送方向における感光体ドラム51の下流側に配置される定着装置60を備えている。感光体ドラム51は、装置本体2の前面21に形成される開口部2Aを介して、装置本体2に対して着脱可能に構成されている。つまり、開口部2Aは、装置本体2に収容される4つの感光体ドラム51を着脱可能な開口部である。
【0045】
感光体ドラム51の搬送経路Pを挟んだ下方には、転写ベルト41が対向配置されている。転写ベルト41は、駆動ローラ42と駆動ローラ42の前方に配置される従動ローラ43との間に掛け渡されている。転写ベルト41は、複数の感光体ドラムと当接するベルトの一例である。
【0046】
転写ベルト41を挟んだ各感光体ドラム51に対向する位置には、それぞれ転写ローラ44が配置されている。転写ベルト41、駆動ローラ42、従動ローラ43、および転写ローラ44によりベルト装置40が構成されている。
【0047】
画像形成部5においては、帯電器によって一様に帯電された感光体ドラム51が、それぞれ露光ユニット53によって選択的に露光される。この露光により、感光体ドラム51の表面から電荷が選択的に除去され、感光体ドラム51の表面に静電潜像が形成される。
【0048】
現像ローラ52には現像バイアスが印加されており、感光体ドラム51に形成された静電潜像が現像ローラ52に対向すると、静電潜像と現像ローラ52との間の電位差により、現像ローラ52から感光体ドラム51の静電潜像にトナーが供給される。これによって、感光体ドラム51の表面にトナー像が形成される。
【0049】
画像形成部5へ向けて搬送された用紙Sが転写ベルト41上に到達すると、転写ベルト41により搬送されて、転写ベルト41と各感光体ドラム51との間を順次通過する。そして、感光体ドラム51の表面上のトナー像は、用紙Sと対向したときに、転写ローラ44に印加された転写バイアスによって用紙Sに転写される。
【0050】
なお、本実施形態における転写ベルト41は、トナー像が転写される用紙Sを搬送する搬送ベルトに構成されているが、トナー像がベルト自身に転写され、ベルトに転写されたトナー像がさらに用紙Sに転写される中間転写ベルトに構成することも可能である。
【0051】
トナー像が転写された用紙Sは定着装置60に搬送される。定着装置60は加熱ローラ61と加熱ローラ61に圧接する加圧ローラ62とを備えており、定着装置60に搬送された用紙Sは、加熱ローラ61と加圧ローラ62との間を通過する間にトナー像が熱定着される。
【0052】
トナー像が熱定着された用紙Sは、定着装置60から搬送方向下流側に搬送され、さらに中間排紙ローラ対63、および中間排紙ローラ対63の搬送方向下流側に配置される排紙ローラ対64により搬送されて、排紙トレイ23aに排紙される。
【0053】
[感光体ドラムの駆動機構]
図2に示すように、画像形成装置1は、駆動力を出力するドラム駆動部97と、感光体ドラム51と嵌合可能なカップリング部材55とを備えており、感光体ドラム51はドラム駆動部97からの駆動力によりカップリング部材55を介して駆動される。カップリング部材55は、4つの感光体ドラム51に対応して4つ設けられている。
【0054】
以降、4つのカップリング部材55については、第1感光体ドラム51-1に対応するカップリング部材55を第1カップリング部材55-1と、第2感光体ドラム51-2に対応するカップリング部材55を第2カップリング部材55-2と、第3感光体ドラム51-3に対応するカップリング部材55を第3カップリング部材55-3と、第4感光体ドラム51-4に対応するカップリング部材55を第4カップリング部材55-4と、必要に応じて適宜記載する。
【0055】
画像形成装置1は、伝達機構7と解除機構80とを備えている。伝達機構7は、ドラム駆動部97とカップリング部材55との間に設けられており、ドラム駆動部97からの駆動力をカップリング部材55に伝達可能に構成されている。解除機構80は伝達機構7に接続されており、解除機構80によって、伝達機構7におけるドラム駆動部97からカップリング部材55への駆動力の伝達を解除することが可能となっている。
【0056】
感光体ドラム51は、ドラム駆動部97からの駆動力により駆動されることで、回転軸線Cを中心として回転する。ドラム駆動部97は、例えばモータにより構成される。カップリング部材55は感光体ドラム51の左右方向における一側端部に配置されている。カップリング部材55は、装置本体2に回転可能に支持されており、ドラム駆動部97からの駆動力により駆動されて回転する。
【0057】
カップリング部材55の感光体ドラム51と対向する面には、感光体ドラム51側へ向けて突出する突起部55aが形成されている。カップリング部材55は左右方向へ移動可能に構成されている。感光体ドラム51のカップリング部材55と対向する面には、突起部55aが嵌合可能な凹溝51aが形成されている。
【0058】
カップリング部材55は回転軸線Cを中心として回転可能に構成されており、突起部55aが凹溝51aと嵌合していないときには、カップリング部材55と感光体ドラム51とが相対的に回転可能となっている。また、突起部55aが凹溝51aと嵌合しているときには、感光体ドラム51とカップリング部材55とが一体的に回転可能となっている。つまり、カップリング部材55は、感光体ドラム51と嵌合したときに感光体ドラム51と一体的に回転可能に構成されている。
【0059】
カップリング部材55はバネ56によって感光体ドラム51側へ向けて付勢されている。図2(a)に示すように、突起部55aが凹溝51aと嵌合していない状態のカップリング部材55が感光体ドラム51に対して相対的に回転して、突起部55aと凹溝51aとの周方向における位置が一致すると、図2(b)に示すようにバネ56の付勢力によって突起部55aが凹溝51aに嵌合するように構成されている。
【0060】
凹溝51aは感光体ドラム51の周方向における一箇所に形成され、突起部55aはカップリング部材55の周方向における一箇所に形成されており、突起部55aは常に同じ凹溝51aに嵌合するように構成されている。
【0061】
つまり、カップリング部材55は一位相のカップリングに構成されており、一の感光体ドラム51(例えば、第1感光体ドラム51-1)と、当該一の感光体ドラム51に対応するカップリング部材55(例えば、第1カップリング部材55-1)とがかみ合う位相と、他の感光体ドラム51(例えば、第2感光体ドラム51-2)と、当該他の感光体ドラム51に対応するカップリング部材55(例えば、第2カップリング部材55-2)とがかみ合う位相とを、常に一致させることができる。これにより、感光体ドラム51が有している寸法誤差を修正することが容易であり、画像形成時における各色の色ずれを減少させることが可能となっている。
【0062】
カップリング部材55の外周部にはギア部55bが形成されており、ギア部55bは伝達機構7に連結されている。
【0063】
[伝達機構]
図3に示すように、伝達機構7は、ドラム駆動部97に接続される駆動ギア71と、駆動ギア71と噛み合う中間ギア72と、中間ギア72と噛み合う伝達ギア73とを有している。駆動ギア71にはドラム駆動部97からの駆動力が入力され、駆動ギア71はドラム駆動部97からの駆動力によって駆動される。中間ギア72はドラム駆動部97に連結されるギアであり、ドラム駆動部97と伝達ギア73との間に設けられている。中間ギア72は複数設けられている。本実施形態においては、中間ギア72は2つ設けられている
【0064】
伝達ギア72は、カップリング部材55のギア部55bと噛み合っている。伝達ギア72は、ギア部55bに連結されるギアである。伝達ギア73は複数設けられている。本実施形態においては、伝達ギア73は4つのカップリング部材55に対応して4つ設けられている。
【0065】
以降、4つの伝達ギア73については、第1カップリング部材55-1のギア部55bと噛み合う伝達ギア73を第1伝達ギア73-1と、第2カップリング部材55-2のギア部55bと噛み合う伝達ギア73を第2伝達ギア73-2と、第3カップリング部材55-3のギア部55bと噛み合う伝達ギア73を第3伝達ギア73-3と、第4カップリング部材55-4のギア部55bと噛み合う伝達ギア73を第4伝達ギア73-4と、必要に応じて適宜記載する。
【0066】
伝達機構7においては、第1伝達ギア73-1および第2伝達ギア73-2が一の中間ギア72と噛み合っており、第3伝達ギア73-3および第4伝達ギア73-4が他の中間ギア72と噛み合っている。
【0067】
以降、2つの中間ギア72については、第1伝達ギア73-1および第2伝達ギア73-2が噛み合う中間ギア72を第1中間ギア72-1と、第3伝達ギア73-3および第4伝達ギア73-4が噛み合う中間ギア72を第2中間ギア72-2と、必要に応じて適宜記載する。
【0068】
このような構成により、ドラム駆動部97からの駆動力は、駆動ギア71、第1中間ギア72-1、および第1伝達ギア73-1を順に介して、第1カップリング部材55-1のギア部55bに伝達され、第1カップリング部材55-1が駆動される。また、ドラム駆動部97からの駆動力は、駆動ギア71、第1中間ギア72-1、および第2伝達ギア73-2を順に介して、第2カップリング部材55-2のギア部55bに伝達され、第2カップリング部材55-2が駆動される。
【0069】
さらに、ドラム駆動部97からの駆動力は、駆動ギア71、第2中間ギア72-2、および第3伝達ギア73-3を順に介して、第3カップリング部材55-3のギア部55bに伝達され、第3カップリング部材55-3が駆動される。また、ドラム駆動部97からの駆動力は、駆動ギア71、第2中間ギア72-2、および第4伝達ギア73-4を順に介して、第4カップリング部材55-4のギア部55bに伝達され、第4カップリング部材55-4が駆動される。
【0070】
伝達機構7の伝達ギア73は、カップリング部材55のギア部55bと噛み合う噛合位置(図3(a)に示す位置)と、カップリング部材55のギア部55bとの噛み合いが解除される解除位置(図3(b)に示す位置)との間で移動可能に構成されている。伝達ギア73が噛合位置にあるときには、ドラム駆動部97からの駆動力が伝達ギア73を介してカップリング部材55に伝達され、伝達ギア73が解除位置にあるときには、ドラム駆動部97からの駆動力は伝達ギア73からカップリング部材55に伝達されない。
【0071】
[解除機構]
解除機構80は、伝達ギア73を噛合位置と解除位置との間で移動させることが可能であり、伝達ギア73を噛合位置から解除位置へ移動させることで、ドラム駆動部97からカップリング部材55への駆動力の伝達を解除することが可能となっている。
【0072】
図4に示すように、解除機構80は、回動軸81と、回動軸81に回動可能に支持され、伝達ギア73が取り付けられるアーム82と、アーム82を回動させるための第1ソレノイド83とを有している。
【0073】
アーム82は、延出方向の途中部が回動軸81により支持されており、回動軸81を中心として回動可能に構成されている。アーム82の一端部82aには、伝達ギア73が回転可能に取り付けられている。第1ソレノイド83は伸縮可能なプランジャ83aを有しており、プランジャ83aはアーム82の他端部82bに当接している。
【0074】
図4において実線で示すように、第1ソレノイド83のプランジャ83aが縮小した状態にあるときには、アーム82は伝達ギア73が噛合位置に移動した状態となる回動位置に回動する。一方、図4において2点鎖線で示すように、第1ソレノイド83のプランジャ83aが伸長した状態にあるときには、アーム82は伝達ギア73が解除位置に移動した状態となる回動位置に回動する。
【0075】
このように、解除機構80においては、第1ソレノイド83のプランジャ83aを伸縮動作させることで、伝達ギア73を噛合位置と解除位置との間で移動させることが可能となっている。そして、伝達ギア73が解除位置に移動することで、伝達ギア73からカップリング部材55のギア部55bへの駆動力の伝達が解除されることとなる。
【0076】
[離間機構]
現像ローラ52は、感光体ドラム51に当接した当接位置と、感光体ドラム51から離間した離間位置との間で移動可能に構成されている。画像形成装置1は、現像ローラ52を当接位置と離間位置との間で移動させる離間機構84を備えている。図5に示すように、離間機構84は、回動軸85と、回動軸85に回動可能に支持され、現像ローラ52が取り付けられるアーム86と、アーム86を回動させるための第2ソレノイド87とを有している。
【0077】
アーム86は、延出方向の途中部が回動軸85により支持されており、回動軸85を中心として回動可能に構成されている。アーム86の一端部86aには、現像ローラ52が回転可能に取り付けられている。第2ソレノイド87は伸縮可能なプランジャ87aを有しており、プランジャ87aはアーム86の他端部86bに当接している。
【0078】
図5において実線で示すように、第2ソレノイド87のプランジャ87aが縮小した状態にあるときには、アーム86は現像ローラ52が当接位置に移動した状態となる回動位置に回動する。一方、図5において2点鎖線で示すように、第2ソレノイド87のプランジャ87aが伸長した状態にあるときには、アーム86は現像ローラ52が離間位置に移動した状態となる回動位置に回動する。このように、離間機構84は、第2ソレノイド87のプランジャ87aを伸縮動作させることで、現像ローラ52を当接位置と離間位置との間で移動させることが可能となっている。
【0079】
[転写ベルトの駆動部]
図6に示すように、画像形成装置1は駆動力を出力するベルト駆動部98を備えている。ベルト駆動部98はベルト装置40の駆動ローラ42に接続されており、ベルト駆動部98から出力される駆動力により駆動ローラ42が駆動されて、転写ベルト41が回転する。
【0080】
画像形成装置1においては、感光体ドラム51とカップリング部材55とが嵌合していない状態のときに、転写ベルト41がベルト駆動部98により駆動されると、転写ベルト41に当接する感光体ドラム51が、転写ベルト41と連れ回り可能となっている。
【0081】
また、感光体ドラム51とカップリング部材55とが嵌合している状態であるとともに、解除機構80によって伝達機構7におけるドラム駆動部97からカップリング部材55への駆動力の伝達が解除された状態であるときに、転写ベルト41がベルト駆動部98により駆動されると、転写ベルト41に当接する感光体ドラム51が、転写ベルト41と連れ回り可能となっている。
【0082】
[画像形成装置の電気的構成]
図6に示すように、画像形成装置1は、前面カバー22の開閉を検知する開閉センサ94を備えている。開閉センサ94は、カバーの開閉を検知する第1検出手段の一例である。装置本体2の前面21に設けられる前面カバー22は、下端部の回動軸部22aを中心として回動可能に構成されており、上端部に検出子22bを有している。
【0083】
開閉センサ94は、前面カバー22が閉じて開口部2Aを閉塞しているときに検出子22bを検出することにより前面カバー22が閉じていることを検知する。また、開閉センサ94は、前面カバー22が開いて開口部2Aを開放しているときに検出子22bを検出しないことにより前面カバー22が開いていることを検知する。
【0084】
画像形成装置1は、カップリング部材55が感光体ドラム51と嵌合したことを検知するカップリングセンサ95、および装置本体2に収容される感光体ドラム51の交換が行われたことを検知する交換センサ96を備えている。
【0085】
カップリングセンサ95は、カップリング部材が感光体ドラムと嵌合したことを検知する第2検知手段の一例である。交換センサ96としては、例えば感光体ドラム51を帯電させるための帯電バイアス電圧を検知するセンサ、または感光体ドラム51に設けられ当該感光体ドラム51に関する情報が記憶された記憶部材の情報を読み取り可能なセンサを用いることができる。
【0086】
図7に示すように、画像形成装置1は、ドラム駆動部97、ベルト駆動部98、第1ソレノイド83、および第2ソレノイド87等の動作を制御するASIC(Application Specific Integrated Circuit)90を有している。ASIC90はCPU91を有している。CPU91は制御部の一例である。
【0087】
CPU91は、ASIC90に入力される情報に基づいて各種の処理のためのプログラムを実行することにより、ドラム駆動部97、ベルト駆動部98、第1ソレノイド83、および第2ソレノイド87等の各部を制御する。
【0088】
ASIC90には、ROM92と、RAM93と、開閉センサ94と、カップリングセンサ95と、交換センサ96と、ドラム駆動部97と、ベルト駆動部98と、第1ソレノイド83と、第2ソレノイド87とが接続されている。
【0089】
ROM92には、CPU91によって実行されるプログラムおよび各種のデータ等が記憶されている。RAM93は、CPU91がプログラムを実行する際のワークエリアとして使用される。また、RAM93には、各種のデータ等が一時的に記憶される。
【0090】
[伝達解除制御]
CPU91は、ドラム駆動部97からカップリング部材55への駆動力の伝達を解除機構80によって解除する、伝達解除制御を実行可能に構成されている。伝達解除制御は、各感光体ドラム51の位相を合わせる位相合わせを実行する際に行われる。また、感光体ドラム51の位相合わせは、例えば前面カバー22が開いた後に閉じた場合に実行される。
【0091】
前面カバー22が開いた後に閉じた場合は、感光体ドラム51が装置本体2から取り外されて再度装着された状態になっていることが考えられる。また、再度装着された感光体ドラム51の周方向の位相は、感光体ドラム51間でずれている(例えば、第1感光体ドラム51-1の位相と、第2感光体ドラム51-2の位相とがずれている)可能性が高いと考えられる。従って、前面カバー22が開いた後に閉じた場合に感光体ドラム51の位相合わせを行うようにしている。
【0092】
CPU91による伝達解除制御について説明する。なお、伝達解除制御の開始時には、解除機構80における第1ソレノイド83のプランジャ83aは縮小した状態にあって伝達ギア73は噛合位置に移動しており、ドラム駆動部97からの駆動力が伝達機構7によってカップリング部材55に伝達可能となっているものとする。また、離間機構84における第2ソレノイド87のプランジャ87aは縮小した状態にあって、現像ローラ52は当接位置にあるものとする。さらに、感光体ドラム51は転写ベルト41に当接した状態となっているものとする。
【0093】
また、CPU91は、各感光体ドラム51のシートSに対する画像形成位置のずれの補正を行う色ずれ補正を実行可能に構成されており、伝達解除制御の開始時には画像形成装置1において初期の色ずれ補正が完了しているものとする。
【0094】
図8に示すように、伝達解除制御においては、CPU91は、まず開閉センサ94の検知結果に基づいて前面カバー22が閉じた状態から開いた状態に変化したか否かの判断を行う(ステップS01)。
【0095】
CPU91は、ステップS01において、前面カバー22が閉じた状態から開いた状態に変化していないと判断したときには(ステップS01:No)、前面カバー22が閉じた状態から開いた状態に変化したと判断するまでステップS01を繰り返し実行する。CPU91は、ステップS01において、前面カバー22が閉じた状態から開いた状態に変化したと判断すると(ステップS01:Yes)、ステップS02を実行する。
【0096】
CPU91は、ステップS02において、解除機構80における第1ソレノイド83のプランジャ83を縮小状態から伸長状態に切り替えて、伝達ギア73を解除位置へ移動させ、ドラム駆動部97からカップリング部材55への駆動力の伝達を解除する。なお、伝達解除制御の開始時に、ドラム駆動部97からカップリング部材55への駆動力の伝達が解除されていた場合は、CPU91はプランジャ83を伸長状態に保持させ、駆動力の伝達が解除された状態を維持する
【0097】
CPU91は、ステップS02の後にステップS03を実行し、離間機構84における第2ソレノイド87のプランジャ87aを縮小状態から伸長状態に切り替えて、現像ローラ52を離間位置に移動させ、現像ローラ52を感光体ドラム51から離間させる。なお、伝達解除制御の開始時に、現像ローラ52が離間位置にあった場合には、CPU91はプランジャ87aを伸長状態に保持させ、現像ローラ52を離間位置に維持する。
【0098】
次に、CPU91は、開閉センサ94の検知結果に基づいて、前面カバー22が開いた状態から閉じた状態に変化したか否かの判断を行う(ステップS04)。CPU91は、ステップS04において、前面カバー22が開いた状態から閉じた状態に変化していないと判断したときには(ステップS04:No)、前面カバー22が開いた状態から閉じた状態に変化したと判断するまでステップS04を繰り返し実行する。CPU91は、ステップS04において、前面カバー22が開いた状態から閉じた状態に変化したと判断したときには(ステップS04:Yes)、ステップS05を実行する。
【0099】
CPU91は、ステップS05において、ベルト駆動部98を駆動して、転写ベルト41を回転させる。転写ベルト41が回転することにより、感光体ドラム51が転写ベルト41に連れ回る。
【0100】
前面カバー22が開いた後に閉じた場合は、感光体ドラム51が装置本体2に対して着脱されて、複数の感光体ドラム51の周方向の位相がずれていることがある。感光体ドラム51間の位相がずれている場合には、カップリング部材55と嵌合していない感光体ドラム51が存在するが、ベルト駆動部98を駆動して感光体ドラム51を転写ベルト41に連れ回りさせることで、感光体ドラム51をカップリング部材55に対して相対的に回転させて、カップリング部材55と感光体ドラム51とを嵌合させることができる。
【0101】
このように、CPU91は、解除機構80によるドラム駆動部97からカップリング部材55への駆動力の伝達の解除、および離間機構84による現像ローラ52の感光体ドラム51からの離間を実行した後に、ベルト駆動部98を駆動させる。
【0102】
CPU91は、ベルト駆動部98を駆動した後、全ての感光体ドラム51とカップリング部材55と嵌合したか否かを判断する。具体的には、CPU91は、ステップS05においてベルト駆動部98の駆動を開始してから所定時間が経過したか否かの判断を行う(ステップS06)。この場合、前記所定時間は、ベルト駆動部98の駆動を開始してから感光体ドラム51が少なくとも1回転するまでの間の時間に設定される。
【0103】
カップリング部材55は一位相のカップリングに構成されているため、感光体ドラム51が1回転する間に感光体ドラム51とカップリング部材55とが嵌合することとなる。従って、前記所定時間を感光体ドラム51が少なくとも1回転する間の時間に設定することで、前記所定時間が経過した時点で全ての感光体ドラム51とカップリング部材55とが嵌合したと判断することが可能になる。
【0104】
なお、感光体ドラム51が回転して感光体ドラム51とカップリング部材55とが嵌合した際には、感光体ドラム51とカップリング部材55とが嵌合したことがカップリングセンサ95により検知される。
【0105】
CPU91は、ステップS06において、ベルト駆動部98の駆動を開始してから所定時間が経過していないと判断したときには(ステップS06:No)、ベルト駆動部98の駆動を開始してから所定時間が経過したと判断するまでステップS06を繰り返し実行する。
【0106】
CPU91は、ステップS06において、ベルト駆動部98の駆動を開始してから所定時間が経過したと判断すると(ステップS06:Yes)、ステップS07を実行する。CPU91は、ステップS07において、ベルト駆動部98の駆動を停止する。これにより、感光体ドラム51の位相合わせが完了する。
【0107】
次に、CPU91は、ステップS08を実行し、解除機構80における第1ソレノイド83のプランジャ83を伸長状態から縮小状態に切り替えて、伝達ギア73を噛合位置へ移動させ、伝達機構7をドラム駆動部97からの駆動力をカップリング部材55へ伝達可能な状態に切り替える。つまり、CPU91は、ステップS08において、伝達機構7をドラム駆動部97からの駆動力をカップリング部材55へ伝達可能な状態とする。このように、ドラム駆動部97からの駆動力をカップリング部材55へ伝達可能とすることにより、感光体ドラム51がドラム駆動部97により駆動可能な状態となる。
【0108】
また、CPU91は、ステップS09を実行し、離間機構84における第2ソレノイド87のプランジャ87aを伸長状態から縮小状態に切り替えて、現像ローラ52を当接位置に移動させて感光体ドラム51に当接させる。
【0109】
このように、伝達解除制御においては、CPU91は、複数の感光体ドラム51の位相を合わせる位相合わせを実行する際に、解除機構80によるドラム駆動部97からの駆動力の伝達の解除を実行した後に、ベルト駆動部98を駆動させている。
【0110】
ここで、伝達機構7がドラム駆動部97からの駆動力をカップリング部材55へ伝達可能な状態にあると、感光体ドラム51にはドラム駆動部97に起因する負荷がかかった状態となる。この状態において、ベルト駆動部98を駆動して転写ベルト41を回転させた場合、感光体ドラム51を転写ベルト41に連れ回りさせることが困難となり、感光体ドラム51と転写ベルト41との間に回転差が生じて、感光体ドラム51と転写ベルト41との間に擦れが発生することとなる。
【0111】
しかし、伝達機構7におけるドラム駆動部97からの駆動力の伝達が解除された状態でベルト駆動部98を駆動させると、感光体ドラム51にはドラム駆動部97に起因する負荷がかかっていない状態で、感光体ドラム51を転写ベルト41に連れ回りさせることが可能となる。
【0112】
これにより、感光体ドラム51と転写ベルト41との間に擦れが発生することを抑制可能となる。この場合、感光体ドラム51の位相合わせ時に感光体ドラム51と転写ベルト41とが離間しないため、感光体ドラム51と転写ベルト41とのニップ点の位置を安定させて、画像形成の品質に影響をおよぼすことを抑制できる。
【0113】
また、伝達機構7がドラム駆動部97からの駆動力をカップリング部材55へ伝達可能な状態にある場合、感光体ドラム51には伝達機構7に起因する負荷がかかることとなるが、本実施形態の解除機構80においては、カップリング部材55のギア部55bに連結されている伝達ギア73からギア部55bへの駆動力の伝達を解除するように構成されている。
【0114】
従って、伝達機構7における中間ギア72および駆動ギア71は感光体ドラム51とともに回転することがなく、伝達機構7において感光体ドラム51とともに回転するギアは伝達ギア73のみとなる。これにより、感光体ドラム51とともに回転するギアの数を少なくして感光体ドラム51にかかる負荷を小さくすることができ、感光体ドラム51を容易に転写ベルト41に連れ回りさせることが可能となっている。
【0115】
また、解除機構80は、第1ソレノイド83により伝達ギア73をギア部55bとの噛み合いが解除される解除位置に移動させることで、伝達ギア73からギア部55bへの駆動力の伝達を解除するように構成しているため、簡単な構成で容易に駆動力の伝達を解除することが可能となっている。
【0116】
また、伝達解除制御においては、CPU91は、複数の感光体ドラム51の位相を合わせる位相合わせを実行する際に、解除機構80によるドラム駆動部97からの駆動力の伝達の解除を実行するとともに、離間機構84より現像ローラ52を感光体ドラム51から離間させた後に、ベルト駆動部98を駆動させている。
【0117】
これにより、感光体ドラム51にはドラム駆動部97に起因する負荷に加えて、現像ローラ52に起因する負荷がかかることがなく、感光体ドラム51にかかる負荷をさらに小さくすることができ、感光体ドラム51をより容易に転写ベルト41に連れ回りさせることが可能となっている。
【0118】
但し、現像ローラ52が感光体ドラム51に当接した状態において、ベルト駆動部98により感光体ドラム51を転写ベルト41に連れ回りさせることが可能である場合には、CPU91は、現像ローラ52を感光体ドラム51から離間させるステップS03を実行しなくてもよい。この場合、CPU91はステップS05において、現像ローラ52が感光体ドラム51に当接した状態でベルト駆動部98を駆動して、感光体ドラム51を転写ベルト41に連れ回りさせる。
【0119】
また、伝達解除制御においては、CPU91は、ベルト駆動部98の駆動を開始してから感光体ドラム51が少なくとも1回転するまでの間、解除機構80によるドラム駆動部97からの駆動力の伝達の解除を維持させているため、位相合わせを実行する前の感光体ドラム51の位相にかかわらず、駆動力の伝達を解除している間に全ての感光体ドラム51とカップリング部材55とを嵌合させることが可能である。
【0120】
これにより、感光体ドラム51と転写ベルト41との間に擦れを生じさせることなく、全ての感光体ドラム51とカップリング部材55とを嵌合させて位相合わせを完了することができる。
【0121】
但し、伝達解除制御においては、CPU91は、次のようなタイミングでドラム駆動部97からの駆動力をカップリング部材55へ伝達可能な状態とすることもできる。つまり、CPU91は、カップリングセンサ95がカップリング部材55と感光体ドラム51との嵌合を検知したことに基づいて駆動力を伝達可能な状態とすることができる。
【0122】
具体的には、転写ベルト41に連れ回りする複数の感光体ドラム51は、順にカップリング部材55と嵌合していくが、CPU91は、最後の感光体ドラム51についてカップリングセンサ95によるカップリング部材55との嵌合が検知された時点で駆動力を伝達可能な状態とすることができる。
【0123】
この場合、例えばカップリングセンサ95によるカップリング部材55との嵌合の検知が、第1感光体ドラム51-1、第3感光体ドラム51-3、第2感光体ドラム51-2、第4感光体ドラム51-4の順に行われたとすると、第4感光体ドラム51-4のカップリング部材55との嵌合がカップリングセンサ95によって検知された時点で駆動力を伝達可能な状態とする。
【0124】
このようにして駆動力を伝達可能な状態とすることで、ベルト駆動部98の駆動を開始してから感光体ドラム51が1回転する前のタイミングであっても、全ての感光体ドラム51がカップリング部材55と嵌合した時点で、ドラム駆動部97による感光体ドラム51の駆動を開始することでき、感光体ドラム51の位相合わせを早期に完了させることができる。
【0125】
また、CPU91は、複数の感光体ドラム51のうち、カップリングセンサ95によりカップリング部材55との嵌合が検知された感光体ドラム51から順に、当該感光体ドラム51に対応する伝達ギア73からカップリング部材55へ駆動力を伝達可能な状態とすることもできる。
【0126】
この場合、例えばカップリングセンサ95によるカップリング部材55との嵌合の検知が、第1感光体ドラム51-1、第3感光体ドラム51-3、第2感光体ドラム51-2、第4感光体ドラム51-4の順に行われたとすると、CPU91は、第1感光体ドラム51-1の嵌合が検知された時点で第1伝達ギア73-1を駆動力を伝達可能な状態とし、その後第3感光体ドラム51-3の嵌合が検知された時点で第3伝達ギア73-3を駆動力を伝達可能な状態とし、さらに第2感光体ドラム51-2の嵌合が検知された時点で第2伝達ギア73-2を駆動力を伝達可能な状態とし、最後に第4感光体ドラム51-4の嵌合が検知された時点で第4伝達ギア73-4を駆動力を伝達可能な状態とする。
【0127】
このようにして駆動力を伝達可能な状態とした場合、感光体ドラム51と転写ベルト41との間に生じる擦れを最小限に抑えつつ、感光体ドラム51の位相合わせを早期に完了させることができる。
【0128】
CPU91は、ステップS09を実行した後にステップS10を実行する。CPU91は、ステップS10において、交換センサ96の検知結果に基づいて、装置本体2に収容される感光体ドラム51の交換が行われたか否かの判断を行う。
【0129】
CPU91は、ステップS10において、交換センサ96が感光体ドラム51の交換が行われたことを検知しており、感光体ドラム51の交換が行われたと判断した場合は(ステップS10:Yes)、ステップS11において、感光体ドラム51のシートSに対する色ずれ補正を再度実行する。
【0130】
一方、CPU91は、ステップS10において、交換センサ96が感光体ドラム51の交換が行われたことを検知しておらず、感光体ドラム51の交換が行われていないと判断した場合は(ステップS10:No)、色ずれ補正を実行することなく伝達解除制御を終了する。
【0131】
このように、CPU91は、開閉センサ94により前面カバー22の開閉が検知された後に、装置本体2に収容される感光体ドラム51の交換が行われたか否かを判断し、感光体ドラム51の交換が行われたと判断した場合には色ずれ補正を再度実行し、感光体ドラムの交換が行われていないと判断した場合には色ずれ補正を実行しない。
【0132】
画像形成装置1においては、カップリング部材55は一位相のカップリングに構成されており、感光体ドラム51に対する初期の色ずれ補正が完了した状態において前面カバー22が開閉された場合であっても、感光体ドラム51の交換が行われていないときには、各感光体ドラム51に色ずれが生じることがないため、再度の色ずれ補正を実行する必要がない。
【0133】
従って、CPU91が感光体ドラムの交換が行われていないと判断した場合には色ずれ補正を実行しないように構成することで、余分な色ずれ補正が実行されることがなく、画像形成装置1の取り扱いを容易にすることが可能である。
【0134】
[変形例1-1]
上述した実施形態では、解除機構80は、第1ソレノイド83により伝達ギア73を噛合位置から解除位置へ移動させることで、伝達ギア73からギア部55bへの駆動力の伝達を解除するように構成されているが、伝達ギア73からギア部55bへの駆動力の伝達を解除する構成としては、次のような構成とすることもできる。
【0135】
図9に示す解除機構80は、伝達ギア73に設けられ、伝達ギア73からカップリング部材55のギア部55bへの駆動力の伝達を解除可能な電磁クラッチ88を有している。
【0136】
電磁クラッチ88は、伝達ギア73の回転軸73aを中心として回転可能、かつ回転軸73aに沿った方向へ移動可能に支持されるクラッチギア881と、クラッチギア881を回転軸73aに沿った方向へ移動させる駆動部882とを有している。電磁クラッチ88の駆動部882はASIC90に接続されており、駆動部882の動作はCPU91により制御される。
【0137】
クラッチギア881は、回転軸73aに沿った方向において、伝達ギア73に密着して伝達ギア73と一体的に回転可能となる接続位置(図9(a)に示す位置)と、伝達ギア73から離間して伝達ギア73に対して相対的に回転可能となる分離位置(図9(b)に示す位置)との間で移動可能に構成されている。クラッチギア881はカップリング部材55のギア部55bと噛み合っている。駆動部882は、クラッチギア881を接続位置と分離位置との間で移動させることが可能である。
【0138】
クラッチギア881が駆動部882により接続位置に移動されているときには、クラッチギア881と伝達ギア73とが一体的に回転して、伝達ギア73からギア部55bへ駆動力を伝達することが可能である。一方、クラッチギア881が駆動部882により分離位置に移動されているときには、クラッチギア881と伝達ギア73とは相対的に回転可能であるため、駆動力は伝達ギア73からギア部55bへ伝達されない。つまり、伝達ギア73からギア部55bへの駆動力の伝達が解除される。
【0139】
図9に示す解除機構80においては、電磁クラッチ88のクラッチギア881を接続位置から分離位置に移動させることによって、伝達ギア73からギア部55bへの駆動力の伝達を解除することが可能である。この場合、解除機構80は、電磁クラッチ88を用いて駆動力の伝達を解除するように構成しているため、簡単な構成で容易に駆動力の伝達を解除することが可能である。
【0140】
[変形例1-2]
上述した実施形態では、解除機構80は、第1ソレノイド83により伝達ギア73を噛合位置から噛合解除位置へ移動させることで、伝達ギア73からギア部55bへの駆動力の伝達を解除するように構成されているが、伝達ギア73からギア部55bへの駆動力の伝達を解除する構成としては、次のような構成とすることもできる。
【0141】
図10に示す解除機構80は、伝達ギア73に設けられ、伝達ギア73からカップリング部材55のギア部55bへの駆動力の伝達を解除可能な遊星ギア機構89を有している。
【0142】
遊星ギア機構89は、伝達ギア73の回転軸73aを中心として伝達ギア73と一体的に回転可能な太陽ギア891と、回転軸73aを中心として回転可能に設けられるリングギア892と、太陽ギア891とリングギア892との間に設けられる複数の遊星ギア893と、回転軸73aを中心として回転可能に設けられるキャリア894とを有している。
【0143】
リングギア892は、内周面に形成される内歯ギア892aと外周面に形成される外歯ギア892bとを有しており、伝達ギア73および太陽ギア891に対して相対的に回転可能に構成されている。遊星ギア893は、太陽ギア891と内歯ギア892aとの両方に噛み合っている。リングギア892の外歯ギア892bは、カップリング部材55のギア部55bと噛み合っている。
【0144】
キャリア894は、遊星ギア893を回転可能に支持する支持部894aを有している。遊星ギア893は、支持部894aによって、支持部894aを中心として自転可能、かつ回転軸73aを中心として公転可能に支持されている。キャリア894は、太陽ギア891および内歯ギア892aに対して相対的に回転可能に構成されている。キャリア894の外周面には、解除ギア894bが形成されている。
【0145】
遊星ギア機構89は、解除ギア894bに係止可能な係止爪895を有しており、係止爪895が解除ギア894bに係止した状態(図10(a)に示す状態)ではキャリア894は回転が規制され、係止爪895が解除ギア894bから離間した状態(図10(b)に示す状態)ではキャリア894は回転が許容される。
【0146】
遊星ギア機構89においては、係止爪895が解除ギア894bに係止してキャリア894の回転が規制された状態で太陽ギア891が回転すると、太陽ギア891に噛み合う遊星ギア893が太陽ギア891の回転に伴って回転しようとする。この場合、キャリア894は回転が規制されているため、遊星ギア893は回転軸73aを中心とした公転をすることなく、支持部894aを中心として自転する。
【0147】
遊星ギア893が支持部894aを中心として自転することにより、遊星ギア893と噛み合う内歯ギア892aを有するリングギア892が回転する。リングギア892が回転することにより、カップリング部材55のギア部55bが駆動される。
【0148】
このように、キャリア894の回転が規制された状態の遊星ギア機構89においては、伝達ギア73と一体的に回転可能な太陽ギア891が回転すると、カップリング部材55のギア部55bが駆動され、伝達ギア73からカップリング部材55へ駆動力が伝達されることとなる。
【0149】
一方、遊星ギア機構89においては、係止爪895が解除ギア894bから離間してキャリア894の回転が許容された状態で太陽ギア891が回転すると、太陽ギア891に噛み合う遊星ギア893が太陽ギア891の回転に伴って回転しようとする。
【0150】
この場合、キャリア894は回転が許容されており、リングギア892には外歯ギア892bに噛み合うギア部55bを起因とする負荷がかかっているため、遊星ギア893は回転軸73aを中心として公転しながら支持部894aを中心として自転し、リングギア892は回転しない。リングギア892が回転しないため、カップリング部材55のギア部55bは駆動されない。
【0151】
このように、キャリア894の回転が許容された状態の遊星ギア機構89においては、伝達ギア73と一体的に回転可能な太陽ギア891が回転すると、カップリング部材55のギア部55bは駆動されず、伝達ギア73からカップリング部材55への駆動力の伝達が解除されることとなる。
【0152】
図10に示す解除機構80においては、遊星ギア機構89をキャリア894の回転が規制された状態から、キャリア894の回転が許容された状態に切り替えることによって、伝達ギア73からギア部55bへの駆動力の伝達を解除することが可能である。この場合、解除機構80は、遊星ギア機構89を用いて駆動力の伝達を解除するように構成しているため、簡単な構成で容易に駆動力の伝達を解除することが可能である。
【0153】
[変形例2-1]
上述した実施形態では、解除機構80は、伝達機構7における伝達ギア73からギア部55bへの駆動力の伝達を解除するように構成されているが、伝達機構7における駆動力の伝達を解除する構成としては、伝達機構7における中間ギア72から伝達ギア73への駆動力の伝達を解除するように構成することもできる。
【0154】
図11に示す伝達機構7においては、中間ギア72が、伝達ギア73と噛み合う噛合位置(図11において2点鎖線で示した位置)と、伝達ギア73との噛み合いが解除される噛合解除位置(図11において実線で示した位置)との間で移動可能に構成されている。
【0155】
図11に示す解除機構180は、中間ギア72を噛合位置と解除位置との間で移動させることが可能であり、中間ギア72を噛合位置から解除位置へ移動させることで、中間ギア72から伝達ギア73への駆動力の伝達を解除することが可能となっている。これにより、ドラム駆動部97からカップリング部材55への駆動力の伝達を解除することが可能である。
【0156】
解除機構180は、図4に示した構成と同様の構成により、中間ギア72を噛合位置と解除位置との間で移動させることが可能である。つまり、解除機構180は、図4に示したアーム82の一端部82aに中間ギア72を回転可能に取り付けて、第1ソレノイド83によりアーム82を回動させることにより、中間ギア72を噛合位置と解除位置との間で移動させるように構成することができる。
【0157】
この場合、第1ソレノイド83のプランジャ83aが縮小したときにはアーム82により中間ギア72が噛合位置に移動され、第1ソレノイド83のプランジャ83aが伸長したときにはアーム82により中間ギア72が解除位置に移動される。
【0158】
このように、解除機構180を、中間ギア72を移動させることにより中間ギア72から伝達ギア73への駆動力の伝達を解除するように構成した場合、中間ギア72は2つの伝達ギア73に連結されていて、4つの伝達ギア73に対して2つ設けられているのみであるため、画像形成装置に設ける解除機構180の数を少なくすることができる。
【0159】
また、解除機構180は、第1ソレノイド83により中間ギア72を伝達ギア73との噛み合いが解除される解除位置に移動させることで、中間ギア72から伝達ギア73への駆動力の伝達を解除するように構成しているため、簡単な構成で駆動力の伝達を解除することが可能となっている。
【0160】
[変形例2-2]
上述の変形例2-1に示した解除機構180においては、中間ギア72を第1ソレノイド83により解除位置に移動させるように構成しているが、解除機構180は、中間ギア72から伝達ギア73への駆動力の伝達を解除可能な電磁クラッチを中間ギア72に設けた構成とすることもできる。
【0161】
この場合、中間ギア72から伝達ギア73への駆動力の伝達を解除可能な電磁クラッチとしては、例えば図9に示した電磁クラッチ88と同様の構成の電磁クラッチを用いることができる。つまり、図12に示すように、解除機構180は、電磁クラッチ88のクラッチギア881を、中間ギア72の回転軸72aを中心として回転可能、かつ回転軸72aに沿った方向へ移動可能に支持し、駆動部882によりクラッチギア881を回転軸72aに沿った方向へ移動させるように構成することができる。
【0162】
図12に示す解除機構180においては、クラッチギア881は、回転軸72aに沿った方向において、中間ギア72に密着して中間ギア72と一体的に回転可能となる接続位置(図12において2点鎖線で示す位置)と、中間ギア72から離間して中間ギア72に対して相対的に回転可能となる分離位置(図12において実線で示す位置)との間で移動可能に構成されている。クラッチギア881は伝達ギア73と噛み合っている。駆動部882は、クラッチギア881を接続位置と分離位置との間で移動させることが可能である。
【0163】
クラッチギア881が駆動部882により接続位置に移動されているときには、クラッチギア881と中間ギア72とが一体的に回転して、中間ギア72から伝達ギア73へ駆動力を伝達することが可能である。一方、クラッチギア881が駆動部882により分離位置に移動されているときには、クラッチギア881と中間ギア72とは相対的に回転可能であるため、駆動力は中間ギア72から伝達ギア73へ伝達されない。つまり、中間ギア72から伝達ギア73への駆動力の伝達が解除される。
【0164】
図12に示す解除機構180においては、電磁クラッチ88のクラッチギア881を接続位置から分離位置に移動させることによって、中間ギア72から伝達ギア73への駆動力の伝達を解除することが可能である。この場合、解除機構180は、電磁クラッチ88を用いて駆動力の伝達を解除するように構成しているため、簡単な構成で容易に駆動力の伝達を解除することが可能である。また、電磁クラッチ88は、複数の伝達ギア73に連結される中間ギア72に設けられているため、解除機構180の数を少なくすることができる。
【0165】
[変形例2-3]
上述の変形例2-1に示した解除機構180においては、中間ギア72を第1ソレノイド83により解除位置に移動させるように構成しているが、解除機構180は、中間ギア72から伝達ギア73への駆動力の伝達を解除可能な遊星ギア機構を中間ギア72に設けた構成とすることもできる。
【0166】
この場合、中間ギア72から伝達ギア73への駆動力の伝達を解除可能な遊星ギア機構としては、例えば図10に示した遊星ギア機構89と同様の構成の遊星ギア機構を用いることができる。変形例2-3の解除機構180においては、遊星ギア機構89の太陽ギア891は中間ギア72と一体的に回転可能に構成され、リングギア892の外歯ギア892bは伝達ギア73と噛み合うように構成される。
【0167】
これにより、図13に示すように、キャリア894の回転が規制された状態では、遊星ギア機構89により伝達ギア73が駆動されて、中間ギア72から伝達ギア73へ駆動力が伝達される(図13(a)参照)。一方、キャリア894の回転が許容された状態では、遊星ギア機構89により伝達ギア73が駆動されず、中間ギア72から伝達ギア73への駆動力の伝達が解除される(図13(b)参照)。
【0168】
変形例2-3の解除機構180においては、遊星ギア機構89をキャリア894の回転が規制された状態から、キャリア894の回転が許容された状態に切り替えることによって、中間ギア72から伝達ギア73への駆動力の伝達を解除することが可能である。この場合、解除機構180は、遊星ギア機構89を用いて駆動力の伝達を解除するように構成しているため、簡単な構成で容易に駆動力の伝達を解除することが可能である。また、遊星ギア機構89は、複数の伝達ギア73に連結される中間ギア72に設けられているため、解除機構180の数を少なくすることができる。
【0169】
[変形例3-1]
上述した実施形態では、解除機構80は、伝達機構7における伝達ギア73からギア部55bへの駆動力の伝達を解除するように構成されているが、伝達機構7における駆動力の伝達を解除する構成としては、伝達機構7におけるドラム駆動部97から中間ギア72への駆動力の伝達を解除するように構成することもできる。
【0170】
ドラム駆動部97から中間ギア72への駆動力の伝達を解除する構成としては、例えばドラム駆動部97から中間ギア72への駆動力の伝達を電磁クラッチにより解除するように構成することができる。この場合、ドラム駆動部97から中間ギア72への駆動力の伝達を解除する電磁クラッチとしては、例えば図9に示した電磁クラッチ88と同様の構成の電磁クラッチを用いることができる。
【0171】
図14に示す伝達機構7においては、駆動ギア71がドラム駆動部97の回転軸97aに一体的に回転可能に取り付けられている。また、図14に示す解除機構280においては、電磁クラッチ88はドラム駆動部97の回転軸97aに設けられている。電磁クラッチ88のクラッチギア881は、ドラム駆動部97の回転軸97aを中心として回転可能、かつ回転軸97aに沿った方向へ移動可能に支持されるとともに、駆動部882により回転軸97aに沿った方向へ移動されるように構成されている。回転軸97aは、ドラム駆動部の駆動軸の一例である。
【0172】
図14に示す解除機構280においては、クラッチギア881は、回転軸97aに沿った方向において、駆動ギア71に密着して駆動ギア71と一体的に回転可能となる接続位置(図14において2点鎖線で示す位置)と、駆動ギア71から離間して駆動ギア71に対して相対的に回転可能となる分離位置(図14において実線で示す位置)との間で移動可能に構成されている。クラッチギア881は中間ギア72と噛み合っている。駆動部882は、クラッチギア881を接続位置と分離位置との間で移動させることが可能である。
【0173】
クラッチギア881が駆動部882により接続位置に移動されているときには、クラッチギア881と駆動ギア71とが一体的に回転して、駆動ギア71から中間ギア72へ駆動力を伝達することが可能である。一方、クラッチギア881が駆動部882により分離位置に移動されているときには、クラッチギア881と駆動ギア71とは相対的に回転可能であるため、駆動力は駆動ギア71から中間ギア72へ伝達されない。つまり、ドラム駆動部97から中間ギア72への駆動力の伝達が解除される。
【0174】
図14に示す解除機構280においては、電磁クラッチ88のクラッチギア881を接続位置から分離位置に移動させることによって、ドラム駆動部97から中間ギア72への駆動力の伝達を解除することが可能である。この場合、解除機構280は、電磁クラッチ88を用いて駆動力の伝達を解除するように構成しているため、簡単な構成で容易に駆動力の伝達を解除することが可能である。
【0175】
また、電磁クラッチ88は、ドラム駆動部97の回転軸97aに設けられており、回転軸97aに設けた電磁クラッチ88により全てのカップリング部材55への駆動力の伝達を解除することが可能である。つまり、ドラム駆動部97の回転軸97aに電磁クラッチ88を設けることで、画像形成装置1に設ける解除機構280の数を減少させて1つにすることができる。
【0176】
[変形例3-2]
上述の変形例3-1に示した解除機構280は、ドラム駆動部97から中間ギア72への駆動力の伝達を解除可能な電磁クラッチ88を設けた構成としているが、解除機構280は、ドラム駆動部97から中間ギア72への駆動力の伝達を解除可能な遊星ギア機構をドラム駆動部97の回転軸97aに設けた構成とすることもできる。
【0177】
この場合、ドラム駆動部97から中間ギア72への駆動力の伝達を解除可能な遊星ギア機構としては、例えば図10に示した遊星ギア機構89と同様の構成の遊星ギア機構を用いることができる。変形例3-2の解除機構280においては、遊星ギア機構89の太陽ギア891は回転軸97aに設けられて駆動ギア71と一体的に回転可能に構成され、リングギア892の外歯ギア892bは中間ギア72と噛み合うように構成される。
【0178】
これにより、図15に示すように、キャリア894の回転が規制された状態では、遊星ギア機構89により中間ギア72が駆動されて、ドラム駆動部97から中間ギア72へ駆動力が伝達される(図15(a)参照)。一方、キャリア894の回転が許容された状態では、遊星ギア機構89により中間ギア72が駆動されず、ドラム駆動部97から中間ギア72への駆動力の伝達が解除される(図15(b)参照)。
【0179】
変形例3-2の解除機構280においては、遊星ギア機構89をキャリア894の回転が規制された状態から、キャリア894の回転が許容された状態に切り替えることによって、ドラム駆動部97から中間ギア72への駆動力の伝達を解除することが可能である。この場合、解除機構280は、遊星ギア機構89を用いて駆動力の伝達を解除するように構成しているため、簡単な構成で容易に駆動力の伝達を解除することが可能である。
【0180】
また、遊星ギア機構89は、ドラム駆動部97の回転軸97aに設けられており、回転軸97aに設けた遊星ギア機構89により全てのカップリング部材55への駆動力の伝達を解除することが可能である。つまり、ドラム駆動部97の回転軸97aに遊星ギア機構89を設けることで、画像形成装置1に設ける解除機構280の数を減少させて1つにすることができる。
【0181】
なお、本実施形態においては、一位相のカップリングに構成されるカップリング部材55について説明したが、カップリング部材55としては、二位相のカップリングまたは四位相のカップリング等、複数位相のカップリングに構成されるカップリング部材を用いることが可能である。
【符号の説明】
【0182】
1 画像形成装置
2 装置本体
2A 開口部
5 画像形成部
7 伝達機構
22 前面カバー
40 ベルト装置
41 転写ベルト
51 感光体ドラム
55 カップリング部材
55b ギア部
71 駆動ギア
72 中間ギア
73 伝達ギア
80、180、280 解除機構
83 第1ソレノイド
84 離間機構
87 第2ソレノイド
88 電磁クラッチ
89 遊星ギア機構
91 CPU
94 開閉センサ
95 カップリングセンサ
96 交換センサ
97 ドラム駆動部
98 ベルト駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15