IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-画像読取装置 図1
  • 特許-画像読取装置 図2
  • 特許-画像読取装置 図3
  • 特許-画像読取装置 図4
  • 特許-画像読取装置 図5
  • 特許-画像読取装置 図6
  • 特許-画像読取装置 図7
  • 特許-画像読取装置 図8
  • 特許-画像読取装置 図9
  • 特許-画像読取装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20230711BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20230711BHJP
   G03B 27/62 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
H04N1/12 Z
G03B27/62
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019195430
(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公開番号】P2021069093
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】小山 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】岡本 佳大
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-269450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04- 1/207
G03B 27/50-27/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置される第1読取面と、原稿が通過する第2読取面と、前記第1読取面と前記第2読取面との間に配置されて前記第2読取面を通過する原稿をすくい上げる第1ガイド部と、が上面に設けられた本体部と、
前記本体部よりも上方に設けられた開閉部と、
前記開閉部に設けられ、前記第2読取面及び前記第1ガイド部を通過するように原稿を搬送する自動搬送機構と、
前記本体部内に設けられ、前記第1読取面に載置される原稿の画像、及び前記第2読取面を通過する原稿の画像を読み取り可能な読取センサと、
前記開閉部を前記本体部に対して開閉可能に連結するヒンジと、
を備えた画像読取装置であって、
原稿が前記第2読取面と平行に搬送されて前記第2読取面を通過する方向と平行な方向を第1方向とし、前記第2読取面と平行、かつ前記第1方向に直交する方向を第2方向とすると、
前記本体部の前記上面には、前記第1読取面及び前記第2読取面に対して前記ヒンジとは反対側、かつ前記第1ガイド部の延長線上に配置され、上向きに突出する位置決め凸部が設けられ、
前記開閉部の下面には、前記開閉部を閉じた状態で前記位置決め凸部に対向する位置に配置され、上向きに凹む位置決め凹部が設けられ、
前記位置決め凸部は、前記第2方向から見て、頂部から前記第1方向の一方と他方とに延びながら下向きに湾曲する湾曲面を有し、
前記位置決め凹部は、前記開閉部を閉じた状態で前記第2方向から見て、前記第1方向の前記一方に延びながら平面状に下り傾斜して前記湾曲面に当接する第1傾斜面と、前記第1方向の前記他方に延びながら平面状に下り傾斜して前記湾曲面に当接する第2傾斜面と、を有していることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記位置決め凸部は、前記第2方向において前記第1ガイド部と連続して設けられている請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記第1ガイド部の下面から上向きに凹み、かつ前記第1ガイド部に沿って前記第2方向に延びる補強板挿入部と、
前記第2方向に延び、前記補強板挿入部に挿入されて前記第1ガイド部を補強する補強板と、をさらに備え、
前記補強板挿入部及び前記補強板は、前記位置決め凸部まで延長されている請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記位置決め凸部における前記第1読取面側で上下方向かつ前記第2方向に延びる端面は、前記第1ガイド部における前記第1読取面側で上下方向かつ前記第2方向に延びる端面と面一である請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記湾曲面は、前記頂部の下方で前記第2方向に延びる軸線を中心とする円筒面の一部である請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記第1傾斜面が前記第1方向に対して下り傾斜する角度と、前記第2傾斜面が前記第1方向に対して下り傾斜する角度とはそれぞれ、45°以下である請求項1乃至5のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項7】
原稿が載置される第1読取面と、原稿が通過する第2読取面と、前記第2読取面に対して前記第1読取面とは反対側に配置されて原稿を前記第2読取面に導く第2ガイド部と、が上面に設けられた本体部と、
前記本体部よりも上方に設けられた開閉部と、
前記開閉部に設けられ、前記第2ガイド部及び前記第2読取面を通過するように原稿を搬送する自動搬送機構と、
前記本体部内に設けられ、前記第1読取面に載置される原稿の画像、及び前記第2読取面を通過する原稿の画像を読み取り可能な読取センサと、
前記開閉部を前記本体部に対して開閉可能に連結するヒンジと、
を備えた画像読取装置であって、
原稿が前記第2読取面と平行に搬送されて前記第2読取面を通過する方向と平行な方向を第1方向とし、前記第2読取面と平行、かつ前記第1方向に直交する方向を第2方向とすると、
前記本体部の前記上面には、前記第1読取面及び前記第2読取面に対して前記ヒンジとは反対側、かつ前記第2ガイド部の延長線上に配置され、上向きに突出する位置決め凸部が設けられ、
前記開閉部の下面には、前記開閉部を閉じた状態で前記位置決め凸部に対向する位置に配置され、上向きに凹む位置決め凹部が設けられ、
前記位置決め凸部は、前記第2方向から見て、頂部から前記第1方向の一方と他方とに延びながら下向きに湾曲する湾曲面を有し、
前記位置決め凹部は、前記開閉部を閉じた状態で前記第2方向から見て、前記第1方向の前記一方に延びながら平面状に下り傾斜して前記湾曲面に当接する第1傾斜面と、前記第1方向の前記他方に延びながら平面状に下り傾斜して前記湾曲面に当接する第2傾斜面と、を有していることを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の画像読取装置の一例である原稿読取装置が開示されている。この原稿読取装置は、原稿読取部、原稿押さえ装置、自動原稿送り装置及びヒンジを備えている。
【0003】
原稿読取部は、原稿が載置される第1のコンタクトガラスと、原稿が通過する第2のコンタクトガラスと、が上面に設けられている。原稿押さえ装置は、原稿読取部よりも上方に設けられている。自動原稿送り装置は、原稿押さえ装置に設けられ、第2のコンタクトガラスを通過するように原稿を搬送する。ヒンジは、原稿押さえ装置を原稿読取部に対して開閉可能に連結している。
【0004】
特許文献1には明記されていないが、通常、原稿読取部内には、第1のコンタクトガラスに載置される原稿の画像、及び第2のコンタクトガラスを通過する原稿の画像を読み取り可能な読取センサが設けられている。
【0005】
特許文献1の図1に図示されているように、原稿読取部の上面には、凸形状部が設けられている。凸形状部は、第1のコンタクトガラス及び第2のコンタクトガラスに対してヒンジとは反対側、かつ第2のコンタクトガラスの長手方向の延長線上に配置され、上向きに突出している。原稿押さえ装置の下面には、凹形状部が設けられている。凹形状部は、原稿押さえ装置を閉じた状態で凸形状部に対向する位置に配置され、凸形状部と嵌合し得るように上向きに凹んでいる。
【0006】
上記構成である原稿読取装置では、原稿押さえ装置を閉じた状態で、ヒンジと、互いに嵌合する凸形状部及び凹形状部とによって、原稿押さえ装置を原稿読取部に対して位置決めするようになっている。また、この原稿読取装置では、第1のコンタクトガラスに載置される原稿の一部が凸形状部を覆う状態で原稿押さえ装置を閉じたときに、その原稿が凸形状部と凹形状部とに挟まれても凸形状部が凹むので、その原稿の破損が抑制される。
【0007】
また、特許文献2に従来の画像読取装置の別の一例が開示されている。この画像読取装置では、特許文献1に係る凸形状部及び凹形状部の代わりに、特許文献2の図8及び図10に図示されているように、リーダの上面に設けられた位置決めピンと、ヒンジによってリーダに対して開閉可能に連結された自動原稿給紙装置の下面に設けられた位置決め用のボス穴と、を備えている。
【0008】
自動原稿給紙装置の搬送ユニット等を使用する場合、位置決めピンがリーダの上面よりも上方に突出する。そして、自動原稿給紙装置が閉じた状態で、位置決めピンと位置決め用のボス穴とが嵌合することによって、搬送ユニットをリーダ内に設けられた画像読取ユニットに対して位置決めするようになっている。
【0009】
その一方、自動原稿給紙装置の搬送ユニット等を使用しない場合、位置決めピンがリーダの上面よりも下方に退避する。これにより、リーダのプラテンガラスに載置される原稿の一部が位置決めピンを覆う状態で自動原稿給紙装置を閉じたときに、その原稿が位置決めピンと位置決め用のボス穴とに挟まれることがないので、その原稿の破損が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2007-74065号公報
【文献】特開2012-15839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上記特許文献1の原稿読取装置では、自動原稿送り装置を使用する場合、原稿押さえ装置が閉じて凸形状部と凹形状部とが嵌合する状態となっているので、原稿押さえ装置を横にずらすような力が作用すると、凸形状部に剪断力が作用し、凸形状部又は凹形状部が破損するおそれがある。
【0012】
また、上記特許文献2の画像読取装置でも、自動原稿給紙装置の搬送ユニット等を使用する場合、自動原稿給紙装置が閉じて位置決めピンと位置決め用のボス穴とが嵌合する状態となっているので、自動原稿給紙装置を横にずらすような力が作用すると、位置決めピンに剪断力が作用し、位置決めピン又は位置決め用のボス穴が破損するおそれがある。
【0013】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、本体部の第1読取面に載置される原稿の一部が位置決め凸部を覆う状態で開閉部を閉じたときにその原稿の破損を抑制できるとともに、自動搬送機構の使用時に閉じた状態の開閉部を横にずらすような力が作用しても位置決め凸部及び位置決め凹部の破損を抑制できる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の画像読取装置は、原稿が載置される第1読取面と、原稿が通過する第2読取面と、前記第1読取面と前記第2読取面との間に配置されて前記第2読取面を通過する原稿をすくい上げる第1ガイド部と、が上面に設けられた本体部と、
前記本体部よりも上方に設けられた開閉部と、
前記開閉部に設けられ、前記第2読取面及び前記第1ガイド部を通過するように原稿を搬送する自動搬送機構と、
前記本体部内に設けられ、前記第1読取面に載置される原稿の画像、及び前記第2読取面を通過する原稿の画像を読み取り可能な読取センサと、
前記開閉部を前記本体部に対して開閉可能に連結するヒンジと、
を備えた画像読取装置であって、
原稿が前記第2読取面と平行に搬送されて前記第2読取面を通過する方向と平行な方向を第1方向とし、前記第2読取面と平行、かつ前記第1方向に直交する方向を第2方向とすると、
前記本体部の前記上面には、前記第1読取面及び前記第2読取面に対して前記ヒンジとは反対側、かつ前記第1ガイド部の延長線上に配置され、上向きに突出する位置決め凸部が設けられ、
前記開閉部の下面には、前記開閉部を閉じた状態で前記位置決め凸部に対向する位置に配置され、上向きに凹む位置決め凹部が設けられ、
前記位置決め凸部は、前記第2方向から見て、頂部から前記第1方向の一方と他方とに延びながら下向きに湾曲する湾曲面を有し、
前記位置決め凹部は、前記開閉部を閉じた状態で前記第2方向から見て、前記第1方向の前記一方に延びながら平面状に下り傾斜して前記湾曲面に当接する第1傾斜面と、前記第1方向の前記他方に延びながら平面状に下り傾斜して前記湾曲面に当接する第2傾斜面と、を有していることを特徴とする。
【0015】
本発明の画像読取装置では、開閉部が閉じたときに、湾曲面における頂部から第1方向の一方に離間した部分に第1傾斜面が当接し、湾曲面における頂部から第1方向の他方に離間した部分に第2傾斜面が当接することで、位置決め凹部の位置決め凸部に対する第1方向の位置が定まる。こうして、この画像読取装置では、開閉部を閉じた状態で、ヒンジと、互いに当接する位置決め凸部及び位置決め凹部とによって、開閉部を本体部に対して精度良く位置決めする。
【0016】
また、この画像読取装置では、本体部の第1読取面に載置される原稿の一部が位置決め凸部を覆う状態で開閉部を閉じたときに、その原稿は、位置決め凸部と位置決め凹部とに挟まれる。すると、その原稿は、湾曲面の頂部に沿って湾曲し、湾曲面における頂部から第1方向の一方に離間した部分と第1傾斜面とによって挟まれ、湾曲面における頂部から第1方向の他方に離間した部分と第2傾斜面とによって挟まれ、その結果、緩やかな山形状となるように主に2次元的に形状変化する。これにより、この画像読取装置では、その原稿の3次元的な形状変化を抑制できるとともに、その原稿に剪断力が作用することを抑制でき、その結果、その原稿に破れや穴明き等が発生し難い。
【0017】
さらに、この画像読取装置では、自動搬送機構の使用時に閉じた状態の開閉部を横にずらすような力、すなわち第1方向にずらすような力が作用する場合がある。そして、その力によって開閉部が第1方向の他方にずれる場合、位置決め凹部の第1傾斜面が湾曲面に摺接しながら第1方向の他方に向かって上り傾斜する方向に逃げるように変位し、それに応じて開閉部も僅かに上向き、かつ第1方向の他方に変位する。また、その力によって開閉部が第1方向の一方にずれる場合、位置決め凹部の第2傾斜面が湾曲面に摺接しながら第1方向の一方に向かって上り傾斜する方向に逃げるように変位し、それに応じて開閉部も僅かに上向き、かつ第1方向の一方に変位する。その結果、位置決め凸部に剪断力が作用し難い。
【0018】
したがって、本発明の画像読取装置では、本体部の第1読取面に載置される原稿の一部が位置決め凸部を覆う状態で開閉部を閉じたときにその原稿の破損を抑制できるとともに、自動搬送機構の使用時に閉じた状態の開閉部を横にずらすような力が作用しても位置決め凸部及び位置決め凹部の破損を抑制できる。
【0019】
また、この画像読取装置では、ヒンジと、互いに当接する1組の位置決め凸部及び位置決め凹部とによって、開閉部を本体部に対して位置決めし、かつ、位置決め凸部が変位しない簡素な構成により、製造コストの低廉化や、本体部及び開閉部における他の部品の配置スペースの確保を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例1の画像読取装置の斜視図である。
図2】実施例1の画像読取装置の部分模式断面図である。
図3】第1ガイド部、位置決め凸部及び第2ガイド部を主に示す部分斜視図である。
図4】第1ガイド部及び位置決め凸部を主に示す部分斜視図である。
図5】位置決め凸部の湾曲面に位置決め凹部の第1傾斜面及び第2傾斜面が当接した状態を示す部分断面図である。
図6】位置決め凸部と位置決め凹部とに挟まれた原稿を示す部分断面図である。
図7】閉じた状態の開閉部を横にずらすような力が作用したときの位置決め凸部に対する位置決め凹部の挙動を説明する部分断面図である。
図8】閉じた状態の開閉部を横にずらすような力が作用したときの位置決め凸部に対する位置決め凹部の挙動を説明する部分断面図である。
図9】実施例2の画像読取装置の斜視図である。
図10】第2ガイド部及び位置決め凸部を主に示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施例1、2について図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の画像読取装置1は、本発明の画像読取装置の具体的態様の一例である。図1では、操作パネル8Pが配置される側を装置の前方と規定し、操作パネル8Pに向かった場合に左に来る側を左方と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降の各図に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1等に基づいて、画像読取装置1が備える各構成要素について説明する。
【0023】
<全体構成>
図1及び図2に示すように、画像読取装置1は、本体部8と、本体部8の上側に配置された開閉部9とを備えている。本体部8は、扁平な略箱状体である。図1に示すように、本体部8の前面には、タッチパネル等である操作パネル8Pが設けられている。本体部8内には、読取ユニット3が設けられている。読取ユニット3は、原稿SH1、SH2の画像を読み取る際に使用される。
【0024】
本体部8の後端部には、2個のヒンジ70、70が左右方向において互いに離間するように配置されている。ヒンジ70、70は、開閉部9を本体部8に対して左右方向に延びる開閉軸心X9周りに開閉可能に連結している。
【0025】
図1に示すように、開閉部9は、開いた状態で本体部8の上面を露出させる。その一方、図2に示すように、開閉部9は、閉じた状態で本体部8の上面を覆う。なお、開閉部9の構成や内部構造等について説明する際には、上下方向及び前後方向について、閉じた状態の開閉部9の姿勢を基準とする。
【0026】
開閉部9には、原稿トレイ91、排出トレイ96及び自動搬送機構4が設けられている。原稿トレイ91及び排出トレイ96は、開閉部9の右部分に設けられている。
【0027】
原稿トレイ91は、開閉部9の前端部側及び後端部側にそれぞれ配置された図示しないサイドフレームに支持されることにより、排出トレイ96よりも上方の位置で、排出トレイ96に重なるように設けられている。原稿トレイ91は、開閉部9の右端部側から左向きに緩やかに下り傾斜している。
【0028】
原稿トレイ91は、自動搬送機構4の搬送対象であるシート状の原稿SH2を支持する。自動搬送機構4は、原稿トレイ91に対して原稿SH2の搬送方向D1の下流側に設けられた搬送ガイド30を含んでいる。搬送ガイド30によって案内される原稿SH2の搬送方向D1は、原稿トレイ91から左向きに進み、開閉部9の左端部側で下向きにUターンし、排出トレイ96まで右向きに進む方向である。
【0029】
自動搬送機構4は、原稿トレイ91に支持された原稿SH2を搬送ガイド30に沿って搬送方向D1に順次搬送し、排出トレイ96に排出しながら、その搬送途中の原稿SH2の画像を読取ユニット3に読み取らせる際に使用される。
【0030】
図1に示すように、本体部8の上面は、枠体8W、第1プラテンガラス8G1及び第2プラテンガラス8G2によって構成されている。枠体8Wは、第1プラテンガラス8G1を囲む矩形状の開口部と、第2プラテンガラス8G2を囲む別の矩形状の開口部とが形成された樹脂製部材である。
【0031】
第1プラテンガラス8G1における枠体8Wから露出する上面によって、大面積の第1読取面8Aが形成されている。第2プラテンガラス8G2は、第1プラテンガラス8G1よりも左方に配設されている。第2プラテンガラス8G2における枠体8Wから露出する上面によって、前後方向に細長い第2読取面8Bが形成されている。
【0032】
第1読取面8Aは、静止した状態の原稿SH1の画像を読取ユニット3が読み取る際に、その原稿SH1を下から支持する。第1読取面8Aに載置される原稿SH1には、用紙、OHPシート、書籍、用紙がステープルやクリップ等でまとめられた小冊子等が含まれる。また、原稿SH1には、第1読取面8Aからはみ出すような大きなサイズのシートやポスター等が含まれる。
【0033】
なお、本実施例においては、第1読取面8Aを使用して画像が読み取られる対象を原稿SH1と記載し、自動搬送機構4により搬送しながら画像が読み取られる対象を原稿SH2と記載する。原稿SH1と原稿SH2とは、実質的に同じものであってもよい。
【0034】
図2に示すように、自動搬送機構4によって1枚ずつ搬送される原稿SH2は、第2読取面8Bに下から接触されながら第2読取面8Bを通過する。
【0035】
原稿SH2が第2読取面8Bと平行に搬送されて第2読取面8Bを通過する方向をDR1とする。方向DR1は、左から右に水平に進む方向である。方向DR1と平行な左右方向は、本発明の「第1方向」の一例である。左方は、本発明の「第1方向の一方」の一例である。右方は、本発明の「第1方向の他方」の一例である。第2読取面8Bと平行、かつ左右方向に直交する前後方向は、本発明の「第2方向」の一例である。
【0036】
図1図4に示すように、本体部8の上面には、第1ガイド部81及び第2ガイド部82が設けられている。
【0037】
第1ガイド部81は、枠体8Wにおける第1読取面8Aと第2読取面8Bとの間に配置され、上向きに突出する断面略直角三角形状の凸部である。第1ガイド部81は、前後方向において、第2読取面8Bの前端縁の近傍から後端縁の近傍まで延びている。
【0038】
第1ガイド部81には、上り傾斜面81A及び端面81Eが形成されている。上り傾斜面81Aは、第2読取面8Bの右端縁に隣接する位置から右向きに上り傾斜している。図5に示すように、端面81Eは、上り傾斜面81Aの右端縁に接続し、第1読取面8A側で上下方向かつ前後方向に延びる平坦面である。
【0039】
図2に示すように、自動搬送機構4は、原稿SH2を方向DR1に搬送して第2読取面8Bを通過させ、さらに第1ガイド部81を通過させる。このとき、第1ガイド部81は、その原稿SH2を上り傾斜面81Aによってすくい上げる。
【0040】
枠体8Wにおける第1ガイド部81の下面側には、補強板89及び補強板挿入部87が設けられている。
【0041】
補強板89は、断面略W形状で前後方向に延びる金属部材である。補強板挿入部87は、補強板89の形状に整合するように第1ガイド部81の下面から上向きに凹み、かつ第1ガイド部81に沿って前後方向に延びている。補強板89は、上向きに突出する部分が補強板挿入部87に挿入されて第1ガイド部81を補強している。
【0042】
図1図3に示すように、第2ガイド部82は、枠体8Wにおける第2読取面8Bに対して第1読取面8Aとは反対側、すなわち左側に配置され、上向きに突出する断面略三角形状の凸部である。第2ガイド部82は、前後方向において、第2読取面8Bの前端縁の近傍から後端縁の近傍まで延びている。
【0043】
第2ガイド部82には、下り傾斜面82Aが形成されている。下り傾斜面82Aは、第2読取面8Bの左端縁に隣接する位置に向かって右向きに下り傾斜している。
【0044】
図2に示すように、自動搬送機構4は、原稿SH2を搬送して第2ガイド部82を通過させ、さらに第2読取面8Bを通過させる。このとき、第2ガイド部82は、その原稿SH2を下り傾斜面82Aによって第2読取面8Bに導く。
【0045】
読取ユニット3は、本体部8内に収容された第1読取センサ3Aと、図示しない走査機構駆動源と、走査機構駆動源に駆動される図示しない走査機構とを有している。第1読取センサ3Aは、本発明の「読取センサ」の一例である。第1読取センサ3Aとしては、CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等の周知の画像読取センサが使用される。
【0046】
第1読取センサ3Aは、第1読取面8A及び第2読取面8Bの下方に位置している。図示しない走査機構は、第1読取面8Aに載置される原稿SH1の画像を読み取る際に図示しない走査機構駆動源によって駆動され、第1読取センサ3Aを本体部8内における第1読取面8Aの下方で左右方向に往復動させる。また、図示しない走査機構は、自動搬送機構4によって搬送される原稿SH2の画像を第1読取センサ3Aが読み取る際に図示しない走査機構駆動源によって駆動され、第1読取センサ3Aを本体部8内における第2読取面8Bの下で停止させる。第1読取センサ3Aが第2読取面8Bの下で停止する位置は、予め定められた静止読取位置である。
【0047】
<ベース部材、第1シュート部材、第2シュート部材及びカバー部材の構成>
開閉部9は、ベース部材39、第1シュート部材35、第2シュート部材37及びカバー部材38を備えている。
【0048】
ベース部材39は、開閉部9の底壁を形成している。ベース部材39の下面は、開閉部9の下面である。ベース部材39の右部分には、排出トレイ96が形成されている。また、ベース部材39の左部分には、第2読取面8B、第1ガイド部81及び第2ガイド部82に対向する領域が略矩形状に切り欠かれてなる読取開口39Hが形成されている。
【0049】
ベース部材39の左端部には、搬送面39G1が形成されている。搬送面39G1は、下向きから向きを変えて右向きに下り傾斜するように湾曲している。
【0050】
ベース部材39における読取開口39Hと搬送面39G1との間に位置する部分には、第2押圧部材保持部39Fが設けられている。第2押圧部材保持部39Fには、第2押圧部材39Pが変位可能に保持されている。第2押圧部材39Pは、搬送ガイド30に沿って搬送される原稿SH2を後述する第2読取センサ3Bに向けて押圧するためのものである。第2押圧部材39Pの上面は、搬送面39G1の右端から本体部8の第2ガイド部82に向かって右向きに下り傾斜している。
【0051】
ベース部材39における読取開口39Hよりも右方に位置する部分には、搬送面39G2が形成されている。搬送面39G2は、本体部8の第1ガイド部81に隣接する位置から右向きに上り傾斜している。
【0052】
第2シュート部材37は、ベース部材39の左部分の上方に配設されている。第2シュート部材37には、第1押圧部材保持部37F及び案内面37G1、37G2が形成されている。
【0053】
第1押圧部材保持部37Fは、第2読取面8Bに対向する位置で上向きに凹む凹部である。第1押圧部材保持部37Fには、第1押圧部材37Pが変位可能に保持されている。第1押圧部材37Pは、第2読取面8Bに接触しながら搬送される原稿SH2を上から押圧して、その原稿SH2が第2読取面8Bから浮き上がることを抑制する。
【0054】
案内面37G1は、第1押圧部材保持部37Fよりも左方に位置している。案内面37G1は、ベース部材39の搬送面39G1に沿って湾曲している。そして、案内面37G1は、第2押圧部材39Pと、本体部8の第2ガイド部82とに沿って右向きに下り傾斜している。
【0055】
案内面37G1における搬送方向D1の中間部には、第2読取センサ3Bが配置されている。図示しない制御部は、自動搬送機構4によって搬送される原稿SH2の両面の画像を読み取る際に、第2読取センサ3Bを第1読取センサ3Aと共に作動させる。
【0056】
案内面37G2は、第1押圧部材保持部37Fよりも右方に位置している。案内面37G2は、本体部8の第1ガイド部81と、ベース部材39の搬送面39G2とに沿って右向きに上り傾斜している。
【0057】
第1シュート部材35は、第2シュート部材37の上方に配設されている。第1シュート部材35には、搬送面36が形成されている。搬送面36は、原稿トレイ91に対して搬送方向D1の下流側に位置して左向きに緩やかに上り傾斜するように延びている。搬送面36の左端部は、左向きから下向きに向きを変えるように湾曲している。
【0058】
カバー部材38は、第1シュート部材35の上方に配設されている。カバー部材38は、原稿トレイ91の左部分を上から覆っている。カバー部材38には、下向きに突出する複数のリブ38Rの下端縁からなる案内面38Gが形成されている。案内面38Gは、第1シュート部材35の搬送面36に沿って左向きに緩やかに上り傾斜するように延びている。案内面38Gの左端部は、第1シュート部材35の搬送面36の左端部に沿って湾曲している。
【0059】
第1シュート部材35の搬送面36と、カバー部材38の案内面38Gと、ベース部材39の搬送面39G1、39G2と、第2シュート部材27の案内面37G1、37G2とによって、搬送ガイド30が構成されている。
【0060】
搬送面36、39G1、39G2及び案内面38G、37G1、37G2は、搬送方向D1に沿って延びており、原稿トレイ91から排出トレイ96に向けて原稿SH2を搬送するための搬送経路を規定している。本体部8の第2読取面8B、第1ガイド部81及び第2ガイド部82も、その搬送経路の一部を下から規定している。
【0061】
<位置決め凸部及び位置決め凹部の構成>
画像読取装置1は、本体部8における静止読取位置に停止した第1読取センサ3A、第2読取面8B、第1ガイド部81及び第2ガイド部82に対して、開閉部9の自動搬送機構4における搬送ガイド30及び第2読取センサ3Bを精度良く位置決めするため、図1及び図3図5に示す位置決め凸部50と、図1及び図5に示す位置決め凹部60とを備えている。
【0062】
図1に示すように、位置決め凸部50は、本体部8の上面に設けられている。位置決め凸部50は、枠体8Wにおける第1読取面8A及び第2読取面8Bに対してヒンジ70、70とは反対側、かつ第1ガイド部81の延長線L1上に配置されて、枠体8Wの上面から上向きに突出している。
【0063】
図3及び図4に示すように、位置決め凸部50は、前後方向において第1ガイド部81と連続して設けられている。
【0064】
位置決め凸部50は、湾曲面51を有している。図5に示すように、湾曲面51は、前後方向から見て、頂部51Tから左方と右方とに延びながら下向きに湾曲している。より詳しくは、湾曲面51は、頂部51Tの下方で前後方向に延びる軸線CL1を中心とする円筒面の上側の一部である。
【0065】
第1ガイド部81の下面側に設けられた補強板挿入部87及び補強板89は、位置決め凸部50まで延長されている。これにより、位置決め凸部50は、補強板89によって補強されている。
【0066】
図4に示すように、位置決め凸部50における第1読取面8A側で上下方向かつ前後方向に延びる端面50Eは、第1ガイド部81における第1読取面8A側で上下方向かつ前後方向に延びる端面81Eと面一な平坦面である。
【0067】
図1に示すように、位置決め凹部60は、開閉部9の下面に設けられている。位置決め凹部60は、ベース部材39における読取開口39Hに対してヒンジ70、70とは反対側に配置されている。
【0068】
図5に示すように、位置決め凹部60は、開閉部9を閉じた状態で位置決め凸部50に対向する位置に配置されて、ベース部材39の下面から上向きに凹んでいる。
【0069】
位置決め凹部60は、第1傾斜面61及び第2傾斜面62を有している。第1傾斜面61は、開閉部9を閉じた状態で前後方向から見て、左方に延びながら平面状に下り傾斜している。また、第1傾斜面61は、開閉部9を閉じた状態で前後方向から見て、その下端側の角部が大きな曲率で丸められており、第1ガイド部81の上り傾斜面81Aと重ならないようになっている。第2傾斜面62は、開閉部9を閉じた状態で前後方向から見て、右方に延びながら平面状に下り傾斜している。
【0070】
第1傾斜面61が左右方向に対して下り傾斜する角度をα1とする。第2傾斜面62が左右方向に対して下り傾斜する角度をα2とする。角度α1、α2はそれぞれ、45°以下である。本実施例では、角度α1、α2がそれぞれ45°に設定されている。つまり、第1傾斜面61と第2傾斜面62とがなす角度が90°に設定されている。
【0071】
開閉部9を閉じた状態で、第1傾斜面61が湾曲面51における頂部51Tから左方に離間した部分に当接し、第2傾斜面62が湾曲面51における頂部51Tから右方に離間した部分に当接する。これにより、位置決め凹部60の位置決め凸部50に対する左右方向の位置が定まる。こうして、この画像読取装置1では、開閉部9を閉じた状態で、ヒンジ70、70と、互いに当接する位置決め凸部50及び位置決め凹部60とによって、開閉部9を本体部8に対して精度良く位置決めする。その結果、本体部8側の第1読取センサ3A、第2読取面8B、第1ガイド部81及び第2ガイド部82に対して、開閉部9側の搬送ガイド30及び第2読取センサ3Bを精度良く位置決めできる。
【0072】
<給送ローラ、分離ローラ、第1、2搬送ローラ及び排出ローラ等の構成>
自動搬送機構4は、原稿SH2を搬送ガイド30に沿って搬送するための給送ローラ41、分離ローラ42、分離パッド42A、第1搬送ローラ43、第1ピンチローラ43P、第2搬送ローラ44、第2ピンチローラ44P、排出ローラ47及び排出ピンチローラ47Pを有している。
【0073】
分離ローラ42は、第1シュート部材35における搬送面36の上方に配置されている。分離ローラ42の回転軸42Sには、ホルダ42Fが回動可能に支持されている。
【0074】
給送ローラ41は、ホルダ42Fの右端部に回転可能に保持されて原稿トレイ91に上から対向している。給送ローラ41は、原稿トレイ91に支持された原稿SH2を搬送ガイド30の搬送面36に向けて給送する。
【0075】
分離パッド42Aは、分離ローラ42の真下の位置で、搬送面36から露出するように第1シュート部材35に支持されている。分離パッド42Aは、分離ローラ42に向けて押圧されている。
【0076】
分離ローラ42は、分離ローラ42と分離パッド42Aとのニップ位置に到達した原稿SH2に対して搬送方向D1の下流側に向かう搬送力を付与する。分離パッド42Aは、ニップ位置に到達した原稿SH2が複数枚であれば、分離ローラ42に接触する原稿SH2以外の原稿SH2に対し、その原稿SH2の搬送を止める力を付与する。
【0077】
第1搬送ローラ43は、第1シュート部材35の搬送面36における搬送方向D1の中間部に支持されている。第1ピンチローラ43Pは、カバー部材38の案内面38G側に支持され、第1搬送ローラ43に向けて押圧されている。
【0078】
第2搬送ローラ44は、第2シュート部材37の案内面37G1における第2読取センサ3Bよりも搬送方向D1の上流側に支持されている。第2ピンチローラ44Pは、ベース部材39の搬送面39G1側に支持され、第2搬送ローラ44に向けて押圧されている。
【0079】
第1搬送ローラ43、第1ピンチローラ43P、第2搬送ローラ44及び第2ピンチローラ44Pは、分離ローラ42及び分離パッド42Aによって1枚ずつに分離された原稿SH2を第2読取面8Bに向けて、すなわち、静止読取位置に停止する第1読取センサ3Aに向けて搬送する。
【0080】
排出ローラ47は、第2シュート部材37の案内面37G2の右端部に支持されている。排出ピンチローラ47Pは、ベース部材39の搬送面39G2の右端部に支持され、排出ローラ47に向けて押圧されている。排出ローラ47及び排出ピンチローラ47Pは、第2読取面8Bを通過して搬送面39G2及び案内面37G2によって案内される原稿SH2を排出トレイ96に向けて排出する。
【0081】
<画像読取動作>
この画像読取装置1では、第1読取面8Aに支持された原稿の画像を読み取る場合、図示しない制御部が読取ユニット3の図示しない走査機構駆動源を制御して図示しない走査機構を作動させ、第1読取センサ3Aを第1読取面8Aの左端縁の下方である読取開始位置から右端縁の下方である読取終了位置までの間で左右方向に移動させる。これにより、第1読取センサ3Aは、第1読取面8Aに支持された原稿の画像を読み取る。その後、図示しない制御部は、読取ユニット3の図示しない走査機構駆動源を制御して図示しない走査機構を逆向きに作動させ、読み取りを終えた第1読取センサ3Aを読取ユニット3内における右端から左端に移動させて待機位置に復帰させる。
【0082】
また、この画像読取装置1では、原稿トレイ91に支持された原稿SH2を自動搬送機構4によって搬送し、その原稿SH2の画像を読み取る場合、図示しない制御部が読取ユニット3の図示しない走査機構駆動源を制御して図示しない走査機構を作動させ、第1読取センサ3Aを第2読取面8Bの下方である静止読取位置に停止させる。
【0083】
次に、図示しない制御部は、給送ローラ41、分離ローラ42、第1搬送ローラ43、第2搬送ローラ44及び排出ローラ47を作動させ、原稿トレイ91に支持された原稿SH2を搬送ガイド30に沿って順次搬送する。
【0084】
そして、図示しない制御部は、搬送面36、39G1、39G2上を搬送される原稿SH2が第2読取面8Bを通過する際、静止読取位置に停止した第1読取センサ3Aによって、その原稿SH2の画像を読み取る。
【0085】
なお、搬送される原稿SH2の両面の画像を読み取る場合、図示しない制御部は、第2読取センサ3Bを第1読取センサ3Aと共に作動させ、第2読取センサ3によって、第1読取センサ3Aが読み取る面とは反対側の面の画像を読み取る。
【0086】
そして、図示しない制御部は、画像が読み取られた原稿SH2を排出ローラ47及び排出ピンチローラ47Pによって排出トレイ96に向けて排出する。
【0087】
<作用効果>
実施例1の画像読取装置1では、図5に示すように、開閉部9が閉じたときに、湾曲面51における頂部51Tから左方に離間した部分に第1傾斜面61が当接し、湾曲面51における頂部51Tから右方に離間した部分に第2傾斜面62が当接することで、位置決め凹部60の位置決め凸部50に対する左右方向の位置が定まる。こうして、この画像読取装置1では、開閉部9を閉じた状態で、ヒンジ70、70と、互いに当接する位置決め凸部50及び位置決め凹部60とによって、開閉部9を本体部8に対して精度良く位置決めする。
【0088】
また、この画像読取装置1では、図6に示すように、本体部8の第1読取面8Aに載置される原稿SH1が例えば、第1読取面8Aに対してずれて配置されたり、第1読取面8Aよりも大きいサイズであったりすることにより、その原稿SH1の一部が位置決め凸部50を覆う状態となる場合がある。
【0089】
そして、その状態のままで開閉部9を閉じるときに、その原稿SH1は、位置決め凸部50と位置決め凹部60とに挟まれる。すると、その原稿SH1は、湾曲面51の頂部51Tに沿って湾曲し、湾曲面51における頂部51Tから左方に離間した部分と第1傾斜面61とによって挟まれ、湾曲面51における頂部51Tから右方に離間した部分と第2傾斜面62とによって挟まれ、その結果、緩やかな山形状となるように主に2次元的に形状変化する。これにより、この画像読取装置1では、その原稿SH1の3次元的な形状変化を抑制できるとともに、その原稿SH1に剪断力が作用することを抑制でき、その結果、その原稿SH1に破れや穴明き等が発生し難い。
【0090】
さらに、この画像読取装置1では、図7及び図8に示すように、自動搬送機構4の使用時に閉じた状態の開閉部9を横にずらすような力、すなわち左右方向にずらすような力F1、F2が作用する場合がある。
【0091】
そして、図7に示すように、右向きの力F1によって開閉部9が右方にずれる場合、位置決め凹部60の第1傾斜面61が湾曲面51に摺接しながら右方に向かって上り傾斜する方向に逃げるように変位し、それに応じて開閉部9も僅かに上向き、かつ右向きに変位する。
【0092】
また、図8に示すように、左向きの力F2によって開閉部9が左方にずれる場合、位置決め凹部60の第2傾斜面62が湾曲面51に摺接しながら左方に向かって上り傾斜する方向に逃げるように変位し、それに応じて開閉部9も僅かに上向き、かつ左向きに変位する。
【0093】
その結果、この画像読取装置1では、位置決め凸部50に剪断力が作用し難い。
【0094】
したがって、実施例1の画像読取装置1では、本体部8の第1読取面8Aに載置される原稿SH1の一部が位置決め凸部50を覆う状態で開閉部9を閉じたときにその原稿SH1の破損を抑制できるとともに、自動搬送機構4の使用時に閉じた状態の開閉部9を横にずらすような力が作用しても位置決め凸部50及び位置決め凹部60の破損を抑制できる。
【0095】
また、この画像読取装置1では、図1に示すように、ヒンジ70、70と、互いに当接する1組の位置決め凸部50及び位置決め凹部60とによって、開閉部9を本体部8に対して位置決めし、かつ、位置決め凸部50が変位しない簡素な構成により、製造コストの低廉化や、本体部8及び開閉部9における他の部品の配置スペースの確保を実現できる。
【0096】
さらに、この画像読取装置1では、図3及び図4に示すように、位置決め凸部50は、前後方向において第1ガイド部81と連続して設けられている。この構成により、仮に第1ガイド部81と位置決め凸部50とが不連続で双方の間に隙間があるように変更した場合と比較して、位置決め凸部50を覆う原稿SH1の形状変化を少なくできる。このため、この画像読取装置1では、位置決め凸部50を覆う原稿SH1に係る面圧を分散でき、その結果、原稿SH1の破損を一層抑制できる。また、位置決め凸部50が第1ガイド部81と一体となることで補強されているため、位置決め凸部50自体も破損し難い。
【0097】
また、この画像読取装置1では、図2に示すように、第1ガイド部81の下面側に設けられた補強板挿入部87及び補強板89は、図5に示すように、位置決め凸部50まで延長されている。この構成により、第1ガイド部81を補強する補強板89が位置決め凸部50の補強も兼ねる。その結果、この画像読取装置1では、図7及び図8に示すように、自動搬送機構4の使用時に閉じた状態の開閉部9を横にずらすような力F1、F2が作用しても、位置決め凸部50の破損を一層抑制できる。
【0098】
さらに、この画像読取装置1では、図4に示すように、位置決め凸部50における第1読取面8A側で上下方向かつ前後方向に延びる端面50Eは、第1ガイド部81における第1読取面8A側で上下方向かつ前後方向に延びる端面81Eと面一な平坦面である。この構成により、第1ガイド部81の端面81Eと、位置決め凸部50の端面50Eとによって広い範囲で、第1読取面8Aに載置される原稿SH1の端縁に当接できるので、その原稿SH1が左右方向において第2読取面8B側にずれて位置決め凸部50を覆うことを抑制できる。
【0099】
また、この画像読取装置1では、図5に示すように、湾曲面51は、頂部51Tの下方で前後方向に延びる軸線CL1を中心とする円筒面の上側の一部である。この構成により、湾曲面51が適度に緩やかに湾曲するので、位置決め凸部50と位置決め凹部60とに挟まれた原稿SH1の3次元的な形状変化を一層抑制できるとともに、その原稿SH1に剪断力が作用することを一層抑制できる。
【0100】
さらに、この画像読取装置1では、第1傾斜面61が左右方向に対して下り傾斜する角度α1と、第2傾斜面62が左右方向に対して下り傾斜する角度α2とはそれぞれ、45°以下である。この構成により、第1傾斜面61及び第2傾斜面62が適度に緩やかに傾斜するので、位置決め凸部50と位置決め凹部60とに挟まれた原稿SH1の3次元的な形状変化を一層抑制できるとともに、その原稿SH1に剪断力が作用することを一層抑制できる。
【0101】
(実施例2)
図9及び図10に示すように、実施例2の画像読取装置では、実施例1の画像読取装置1に係る位置決め凸部50と位置決め凹部60の代わりに、位置決め凸部250及び位置決め凹部260を採用している。
【0102】
実施例2のその他の構成は実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0103】
位置決め凸部250は、本体部8の上面に設けられている。位置決め凸部250は、枠体8Wにおける第1読取面8A及び第2読取面8Bに対してヒンジ70、70とは反対側、かつ第2ガイド部82の延長線L2上に配置されて、枠体8Wの上面から上向きに突出している。位置決め凸部250は、前後方向において第2ガイド部82と連続して設けられている。
【0104】
位置決め凸部250は、湾曲面251を有している。湾曲面251は、前後方向から見て、頂部251Tから左方と右方とに延びながら下向きに湾曲している。図示は省略するが、湾曲面251は、実施例1に係る湾曲面51と同様に、頂部251Tの下方で前後方向に延びる軸線を中心とする円筒面の上側の一部である。
【0105】
図9に示すように、位置決め凹部260は、開閉部9の下面に設けられている。位置決め凹部260は、ベース部材39における読取開口39Hに対してヒンジ70、70とは反対側に配置されている。
【0106】
図示は省略するが、位置決め凹部260は、実施例1に係る位置決め凹部60と同様に、開閉部9を閉じた状態で位置決め凸部250に対向する位置に配置されて、ベース部材39の下面から上向きに凹んでいる。
【0107】
位置決め凹部260は、第1傾斜面261及び第2傾斜面262を有している。図示は省略するが、第1傾斜面261は、実施例1に係る第1傾斜面61と同様に、開閉部9を閉じた状態で前後方向から見て、左方に延びながら平面状に下り傾斜して、湾曲面251における頂部251Tから左方に離間した部分に当接する。第2傾斜面262は、実施例1に係る第2傾斜面62と同様に、開閉部9を閉じた状態で前後方向から見て、右方に延びながら平面状に下り傾斜して、湾曲面251における頂部251Tから右方に離間した部分に当接する。
【0108】
上記構成である実施例2の画像読取装置では、実施例1の画像読取装置1と同様に、本体部8の第1読取面8Aに載置される原稿SH1の一部が位置決め凸部250を覆う状態で開閉部9を閉じたときに、その原稿SH1の破損を抑制できるとともに、自動搬送機構4の使用時に閉じた状態の開閉部9を横にずらすような力が作用しても、位置決め凸部250及び位置決め凹部260の破損を抑制できる。
【0109】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0110】
実施例1、2では、位置決め凸部50、250の湾曲面51、251は、円筒面の一部であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、位置決め凸部50の湾曲面51について、頂部51Tから左方及び右方に向かうにつれて軸線CL1からの距離が長くなるように変更した構成も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は例えば、画像読取装置又は複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0112】
1…画像読取装置、SH1、SH2…原稿、8A…第1読取面
8B…第2読取面、81…第1ガイド部、8…本体部、9…開閉部
4…自動搬送機構、3A…読取センサ(第1読取センサ)、70…ヒンジ
DR1…原稿が第2読取面と平行に搬送されて第2読取面を通過する方向
L1…第1ガイド部の延長線、50、250…位置決め凸部
60、260…位置決め凹部、51T、251T…位置決め凸部の頂部
51、251…湾曲面、61、261…第1傾斜面
62、262…第2傾斜面、87…補強板挿入部、89…補強板
50E…位置決め凸部における第1読取面側で上下方向かつ第2方向に延びる端面
81E…第1ガイド部における第1読取面側で上下方向かつ第2方向に延びる端面
CL1…位置決め凸部の頂部の下方で第2方向に延びる軸線
α1…第1傾斜面が第1方向に対して下り傾斜する角度
α2…第2傾斜面が第1方向に対して下り傾斜する角度
82…第2ガイド部、L2…第2ガイド部の延長線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10