IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ車体株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-配送台車、配送システム、配送方法 図1
  • 特許-配送台車、配送システム、配送方法 図2
  • 特許-配送台車、配送システム、配送方法 図3
  • 特許-配送台車、配送システム、配送方法 図4
  • 特許-配送台車、配送システム、配送方法 図5
  • 特許-配送台車、配送システム、配送方法 図6
  • 特許-配送台車、配送システム、配送方法 図7
  • 特許-配送台車、配送システム、配送方法 図8
  • 特許-配送台車、配送システム、配送方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】配送台車、配送システム、配送方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20230711BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
G05D1/02 K
B61B13/00 A
G05D1/02 W
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019214144
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2021086351
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 敏広
(72)【発明者】
【氏名】橋本 圭二
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0025821(US,A1)
【文献】特開2017-167669(JP,A)
【文献】国際公開第2019/039281(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を配送する配送台車であって、
走行用の駆動部と、
上記荷物の配送先情報を紐付けた固体識別情報が付されている可動体を撮影する撮影部と、
上記撮影部による撮影画像に基づいて上記可動体を追尾対象に設定する設定部と、
上記追尾対象の上記固体識別情報を上記撮影部で撮影しながら上記追尾対象を追尾するように上記駆動部を制御する制御部と、
を備え、
上記設定部は、運搬エリアと複数の配送先を包含する配送エリアとの間で移動するときに、判定条件の成立によって、上記固体識別情報が付されていて上記複数の配送先への配送を兼務して移動する別の可動体を上記可動体に代えて追尾対象に設定する、配送台車。
【請求項2】
荷物を配送する配送台車であって、
走行用の駆動部と、
上記荷物の配送先情報を紐付けた固体識別情報が付されている可動体を撮影する撮影部と、
上記撮影部による撮影画像に基づいて上記可動体を追尾対象に設定する設定部と、
上記追尾対象の上記固体識別情報を上記撮影部で撮影しながら上記追尾対象を追尾するように上記駆動部を制御する制御部と、
位置情報を計測する測位部と、報知部と、を備え、
上記設定部は、運搬エリアと複数の配送先を包含する配送エリアとの間で移動するときに、判定条件の成立によって、上記固体識別情報が付されている別の可動体を上記可動体に代えて追尾対象に設定し、
上記制御部は、上記測位部が計測した上記位置情報と上記追尾対象の上記固体識別情報に紐付けられている上記配送先情報との照合結果に基づいて、上記荷物の配送先に到着したと判定したときに上記報知部を作動させる、配送台車。
【請求項3】
複数の配送台車からなる配送台車群と、荷物の配送先情報を紐付けた固体識別情報が付されている可動体と、を備え、
上記配送台車群は、上記複数の配送台車のそれぞれが請求項1または2に記載の配送台車によって構成され、各配送台車には上記配送先情報を紐付けた固体識別情報が付されており、
上記設定部は、上記可動体を上記配送台車群のいずれか1つの上記配送台車の追尾対象に設定し、残りの上記配送台車に対してその前方に配置される上記配送台車を追尾対象に設定し、
上記制御部は、上記配送台車群が上記運搬エリアを隊列走行するように各配送台車の上記駆動部を制御する、配送システム。
【請求項4】
上記可動体は上記運搬エリアを移動する第1可動体であり、上記別の可動体は上記配送エリアを移動する第2可動体あり、上記第1可動体と上記第2可動体のいずれの上記固体識別情報にも上記配送先情報が紐付けられており、
上記配送台車群は、上記運搬エリアでは上記第1可動体を追尾対象として隊列走行し、上記配送エリアでは上記第2可動体を追尾対象とし且つ上記運搬エリアにおける隊列走行時に比べて上記配送台車の数を減らして走行する、請求項3に記載の配送システム。
【請求項5】
配送台車を使用して荷物を配送する配送方法であって、
上記荷物の配送先情報を紐付けた固体識別情報が付されている可動体を撮影する第1撮影ステップと、
上記第1撮影ステップで得られた撮影画像に基づいて上記可動体を追尾対象に設定する第1設定ステップと、
上記第1設定ステップで設定した上記追尾対象の上記固体識別情報を撮影しながら上記追尾対象を追尾するように上記配送台車の駆動部を制御する第1制御ステップと、
運搬エリアと複数の配送先を包含する配送エリアとの間で移動するときに、判定条件の成立によって、上記配送先情報を紐付けた固体識別情報が付されており上記複数の配送先への配送を兼務して移動する別の可動体を撮影する第2撮影ステップと、
上記第2撮影ステップで得られた撮影画像に基づいて上記別の可動体を上記可動体に代えて追尾対象に設定する第2設定ステップと、
上記第2設定ステップで設定した上記追尾対象の上記固体識別情報を撮影しながら上記追尾対象を追尾するように上記配送台車の駆動部を制御する第2制御ステップと、
を有する、配送方法。
【請求項6】
配送台車を使用して荷物を配送する配送方法であって、
上記荷物の配送先情報を紐付けた固体識別情報が付されている可動体を撮影する第1撮影ステップと、
上記第1撮影ステップで得られた撮影画像に基づいて上記可動体を追尾対象に設定する第1設定ステップと、
上記第1設定ステップで設定した上記追尾対象の上記固体識別情報を撮影しながら上記追尾対象を追尾するように上記配送台車の駆動部を制御する第1制御ステップと、
運搬エリアと複数の配送先を包含する配送エリアとの間で移動するときに、判定条件の成立によって、上記配送先情報を紐付けた固体識別情報が付されている別の可動体を撮影する第2撮影ステップと、
上記第2撮影ステップで得られた撮影画像に基づいて上記別の可動体を上記可動体に代えて追尾対象に設定する第2設定ステップと、
上記第2設定ステップで設定した上記追尾対象の上記固体識別情報を撮影しながら上記追尾対象を追尾するように上記配送台車の駆動部を制御する第2制御ステップと、
上記配送台車の位置情報と上記追尾対象の上記固体識別情報に紐付けられている上記配送先情報との照合結果に基づいて、上記配送台車が上記荷物の配送先に到着したことを報知する報知ステップと、
を有する、配送方法。
【請求項7】
上記配送台車の複数からなる配送台車群が準備され、上記第1設定ステップにおいて、上記可動体を上記配送台車群のいずれか1つの上記配送台車の追尾対象に設定し、残りの上記配送台車に対してその前方に配置される上記配送台車を追尾対象に設定し、上記第1制御ステップにおいて、上記配送台車群が上記運搬エリアを隊列走行するように各配送台車の上記駆動部を制御する、請求項5または6に記載の配送方法。
【請求項8】
上記可動体上記運搬エリアを移動する第1可動体であり上記別の可動体は上記配送エリアを移動する第2可動体あり、上記第1可動体と上記第2可動体のいずれの上記固体識別情報にも上記配送先情報が紐付けられており、
上記第1制御ステップにおいて、上記運搬エリアでは上記配送台車群が上記第1可動体を追尾対象として隊列走行するように各配送台車の上記駆動部を制御し、
上記第2制御ステップにおいて、上記配送エリアでは上記配送台車群が上記第2可動体を追尾対象とし且つ上記運搬エリアにおける隊列走行時に比べて上記配送台車の数を減らして走行するように各配送台車の上記駆動部を制御する、請求項7に記載の配送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を配送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物の配送は、集荷した荷物を運搬車で運搬して配送先へ届ける一連の配送作業によって実施されるのが一般的である。この配送作業では、先ず、配送センターで荷物を同一の配送エリア毎に仕分けて一台の運搬車に積み込む。次に、この運搬車で屋外の運搬エリアを配送エリアまで荷物を運搬する。その後、作業者は、配送エリアに到着した運搬車の荷室で配送先毎に荷物を仕分けし、仕分けした各荷物を荷室から取り出して配送先へ届ける。このように、配送作業は、配送センターでの荷物の仕分け作業(以下、「一次仕分け作業」という。)と、運搬車による運搬作業と、運搬車の荷室での荷物の仕分け作業(以下、「二次仕分け作業」という。)と、仕分けた荷物を配送先へ届ける作業と、に大別される。
【0003】
配送業者によるこの種の配送作業では、とりわけ二次仕分け作業の作業負担が大きく、この作業負担を軽減することが望まれている。そこで、このような要請に応えるべく、例えば、下記特許文献1に開示の貨物車両を採用することができる。この貨物車両は、荷室にスタッククレーン及びコンベアからなる仕分け装置を備えている。仕分け装置は、荷物格納棚からの荷物の搬出や荷物格納棚への荷物の搬出を行うためのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭62-295738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の貨物車両のように、荷室に設けられた仕分け装置を使用することによって仕分けの自動化が可能になる。このため、二次仕分け作業の作業負担を抑えることができる可能性を有する。しかしながら、各運搬車の荷室に大掛かりな仕分け装置を設けるという対策は、荷室の構造が複雑になりコスト負担が大きくなるうえ、仕分け装置によって荷物を搬出するまでに時間を要するという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、荷物を効率良く配送するのに有効な配送技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
荷物を配送する配送台車であって、
走行用の駆動部と、
上記荷物の配送先情報を紐付けた固体識別情報が付されている可動体を撮影する撮影部と、
上記撮影部による撮影画像に基づいて上記可動体を追尾対象に設定する設定部と、
上記追尾対象の上記固体識別情報を上記撮影部で撮影しながら上記追尾対象を追尾するように上記駆動部を制御する制御部と、
を備え、
上記設定部は、運搬エリアと複数の配送先を包含する配送エリアとの間で移動するときに、判定条件の成立によって、上記固体識別情報が付されていて上記複数の配送先への配送を兼務して移動する別の可動体を上記可動体に代えて追尾対象に設定する、配送台車、
にある。
また、上記一態様に関連する別の態様は、
荷物を配送する配送台車であって、
走行用の駆動部と、
上記荷物の配送先情報を紐付けた固体識別情報が付されている可動体を撮影する撮影部と、
上記撮影部による撮影画像に基づいて上記可動体を追尾対象に設定する設定部と、
上記追尾対象の上記固体識別情報を上記撮影部で撮影しながら上記追尾対象を追尾するように上記駆動部を制御する制御部と、
位置情報を計測する測位部と、
報知部と、
を備え、
上記設定部は、運搬エリアと複数の配送先を包含する配送エリアとの間で移動するときに、判定条件の成立によって、上記固体識別情報が付されている別の可動体を上記可動体に代えて追尾対象に設定し、
上記制御部は、上記測位部が計測した上記位置情報と上記追尾対象の上記固体識別情報に紐付けられている上記配送先情報との照合結果に基づいて、上記荷物の配送先に到着したと判定したときに上記報知部を作動させる、配送台車、
にある。
【0008】
本発明の他の態様は、
配送台車を使用して荷物を配送する配送方法であって、
上記荷物の配送先情報を紐付けた固体識別情報が付されている可動体を撮影する第1撮影ステップと、
上記第1撮影ステップで得られた撮影画像に基づいて上記可動体を追尾対象に設定する第1設定ステップと、
上記第1設定ステップで設定した上記追尾対象の上記固体識別情報を撮影しながら上記追尾対象を追尾するように上記配送台車の駆動部を制御する第1制御ステップと、
運搬エリアと複数の配送先を包含する配送エリアとの間で移動するときに、判定条件の成立によって、上記配送先情報を紐付けた固体識別情報が付されていて上記複数の配送先への配送を兼務して移動する別の可動体を撮影する第2撮影ステップと、
上記第2撮影ステップで得られた撮影画像に基づいて上記別の可動体を上記可動体に代えて追尾対象に設定する第2設定ステップと、
上記第2設定ステップで設定した上記追尾対象の上記固体識別情報を撮影しながら上記追尾対象を追尾するように上記配送台車の駆動部を制御する第2制御ステップと、
を有する、配送方法、
にある。
また、上記他の態様に関連する別の態様は、
配送台車を使用して荷物を配送する配送方法であって、
上記荷物の配送先情報を紐付けた固体識別情報が付されている可動体を撮影する第1撮影ステップと、
上記第1撮影ステップで得られた撮影画像に基づいて上記可動体を追尾対象に設定する第1設定ステップと、
上記第1設定ステップで設定した上記追尾対象の上記固体識別情報を撮影しながら上記追尾対象を追尾するように上記配送台車の駆動部を制御する第1制御ステップと、
運搬エリアと複数の配送先を包含する配送エリアとの間で移動するときに、判定条件の成立によって、上記配送先情報を紐付けた固体識別情報が付されている別の可動体を撮影する第2撮影ステップと、
上記第2撮影ステップで得られた撮影画像に基づいて上記別の可動体を上記可動体に代えて追尾対象に設定する第2設定ステップと、
上記第2設定ステップで設定した上記追尾対象の上記固体識別情報を撮影しながら上記追尾対象を追尾するように上記配送台車の駆動部を制御する第2制御ステップと、
上記配送台車の位置情報と上記追尾対象の上記固体識別情報に紐付けられている上記配送先情報との照合結果に基づいて、上記配送台車が上記荷物の配送先に到着したことを報知する報知ステップと、
を有する、配送方法、
にある。
【発明の効果】
【0009】
上記の配送台車において、荷物の配送先情報を紐付けた固体識別情報が付されている可動体が撮影されると、この撮影画像に基づいて可動体が追尾対象に設定される。そして、追尾対象の固体識別情報を撮影しながらこの追尾対象を追尾するように駆動部が制御される。配送台車が運搬エリアと複数の配送先を包含する配送エリアとの間で移動するときには、判定条件の成立によって、既に追尾対象に設定している可動体に代えて、固体識別情報が付されている別の可動体が追尾対象に設定される。
【0010】
上記の配送方法において、荷物の配送先情報を紐付けた固体識別情報が付されている可動体を第1撮影ステップで撮影し、この可動体を第1設定ステップで追尾対象に設定する。そして、第1制御ステップでは、第1設定ステップで設定した追尾対象の固体識別情報を撮影しながら追尾対象を追尾するように配送台車の駆動部を制御する。また、第2撮影ステップでは、運搬エリアと複数の配送先を包含する配送エリアとの間で移動するときに、判定条件の成立によって、別の可動体を撮影し、この別の可動体を第2設定ステップで、第1設定ステップで既に追尾対象に設定している可動体に代えて追尾対象に設定する。そして、第2制御ステップでは、第2設定ステップで設定した追尾対象の固体識別情報を撮影しながら追尾対象を追尾するように配送台車の駆動部を制御する。
【0011】
上記の各態様によれば、配送台車が運搬エリアから配送エリアへ移動するとき、或いは配送台車が配送エリアから運搬エリアへ移動するときに、判定条件の成立によって追尾対象となる可動体が変更される。このため、エリア間での配送台車の受け渡しが可能になる。例えば、配送台車が運搬エリアから配送エリアへ移動して配送エリアを移動する可動体に受け渡されることによって、この配送台車に積み込まれている荷物を配送エリア向けの荷物として仕分けするのと同様の効果が得られる。このように、配送台車の受け渡しを利用して配送エリアでの仕分け作業を行うことによって、この仕分け作業に要する時間を短縮でき、作業者の体力負担や気遣い負担を軽減できる。この仕分け作業は、一般的な配送作業で行われるような運搬車の荷室での荷物の仕分け作業に相当する。
【0012】
以上のごとく、上記の各態様によれば、荷物を効率良く配送するのに有効な配送技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1の配送システムについて配送台車が運搬エリアを走行する様子を示す側面図。
図2】実施形態1の配送システムについて配送台車が配送エリアを走行する様子を示す側面図。
図3】実施形態1の配送台車のシステム構成図。
図4】実施形態1の配送方法のフローチャート。
図5】配送センターにおける配送台車の配置を示す平面図。
図6】配送台車群が運搬エリアを隊列走行する様子を示す平面図。
図7】配送台車が配送エリアを走行する様子を示す平面図。
図8】実施形態2の配送台車のシステム構成図。
図9】実施形態2の配送方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上述の各態様の好ましい実施形態について説明する。
【0015】
上記の配送台車は、位置情報を計測する測位部と、報知部と、を備え、
上記制御部は、上記測位部が計測した上記位置情報と上記追尾対象の上記固体識別情報に紐付けられている上記配送先情報との照合結果に基づいて、上記荷物の配送先に到着したと判定したときに上記報知部を作動させるのが好ましい。
【0016】
この配送台車によれば、配送台車が実際に配送先に到着したことを報知部で報知することで、このことを作業者に速やかに認識させることができ、荷物の配送作業に要する時間を短縮することができる。
【0017】
配送システムは、複数の配送台車からなる配送台車群と、荷物の配送先情報を紐付けた固体識別情報が付されている可動体と、を備え、
上記配送台車群は、上記複数の配送台車のそれぞれが請求項1または2に記載の配送台車によって構成され、各配送台車には上記配送先情報を紐付けた固体識別情報が付されており、
上記設定部は、上記可動体を上記配送台車群のいずれか1つの上記配送台車の追尾対象に設定し、残りの上記配送台車に対してその前方に配置される上記配送台車を追尾対象に設定し、
上記制御部は、上記配送台車群が上記運搬エリアを隊列走行するように各配送台車の上記駆動部を制御するのが好ましい。
【0018】
この配送システムによれば、複数の配送台車からなる配送台車群を運搬エリアで隊列走行させることができ、配送エリアでの仕分け作業に加えて、配送エリアに至るまでの荷物の運搬作業も効率良く実行することが可能になる。
【0019】
上記の配送システムでは、上記可動体には、上記運搬エリアを移動する第1可動体と、上記配送エリアを移動する第2可動体と、があり、上記第1可動体と上記第2可動体のいずれの上記固体識別情報にも上記配送先情報が紐付けられており、
上記配送台車群は、上記運搬エリアでは上記第1可動体を追尾対象として隊列走行し、上記配送エリアでは上記第2可動体を追尾対象とし且つ上記運搬エリアにおける隊列走行時に比べて上記配送台車の数を減らして走行するのが好ましい。
【0020】
この配送システムによれば、配送台車が運搬エリアから配送エリアへ移動するとき、配送台車群の配送台車の数を減らして、配送エリアを移動する可動体に受け渡すことができる。このため、運搬エリアを運搬した荷物を配送エリアごとに小口に仕分けて配送エリアで配送することが可能になる。
【0021】
上記の配送方法は、上記配送台車の位置情報と上記追尾対象の上記固体識別情報に紐付けられている上記配送先情報との照合結果に基づいて、上記配送台車が上記荷物の配送先に到着したことを報知する報知ステップを有するのが好ましい。
【0022】
この配送方法によれば、配送台車が実際に配送先に到着したことを報知部で報知することで、このことを作業者に速やかに認識させることができ、作業者が認識できる荷物の配送作業に要する時間を短縮することができる。
【0023】
上記の配送方法では、上記配送台車の複数からなる配送台車群が準備され、上記第1設定ステップにおいて、上記可動体を上記配送台車群のいずれか1つの上記配送台車の追尾対象に設定し、残りの上記配送台車に対してその前方に配置される上記配送台車を追尾対象に設定し、上記第1制御ステップにおいて、上記配送台車群が上記運搬エリアを隊列走行するように各配送台車の上記駆動部を制御するのが好ましい。
【0024】
この配送方法によれば、複数の配送台車からなる配送台車群を運搬エリアで隊列走行させることができ、配送エリアでの仕分け作業に加えて、配送エリアに至るまでの荷物の運搬作業も効率良く実行することが可能になる。
【0025】
上記の配送方法では、上記可動体には、上記運搬エリアを移動する第1可動体と、上記配送エリアを移動する第2可動体と、があり、上記第1可動体と上記第2可動体のいずれの上記固体識別情報にも上記配送先情報が紐付けられており、
上記第1制御ステップにおいて、上記運搬エリアでは上記配送台車群が上記第1可動体を追尾対象として隊列走行するように各配送台車の上記駆動部を制御し、
上記第2制御ステップにおいて、上記配送エリアでは上記配送台車群が上記第2可動体を追尾対象とし且つ上記運搬エリアにおける隊列走行時に比べて上記配送台車の数を減らして走行するように各配送台車の上記駆動部を制御するのが好ましい。
【0026】
この配送方法によれば、配送台車が運搬エリアから配送エリアへ移動するとき、配送台車群の配送台車の数を減らして、配送エリアを移動する可動体に受け渡すことができる。このため、運搬エリアを運搬した荷物を配送エリアごとに小口に仕分けて配送エリアで配送することが可能になる。
【0027】
以下、図面を参照しつつ、実施形態をより具体的に説明する。
【0028】
なお、本明細書の説明で使用する図面では、特に断わらない限り、運搬エリア及び配送エリアにおける可動体や配送台車の進行方向を矢印Xで示すものとする。
【0029】
(実施形態1)
図1に示されるように、実施形態1の配送システム100は、荷物Wを屋外で配送するためのものである。この配送システム100は、配送台車群Gと、1つの可動体である走行車両1と、走行車両1とは別の可動体である作業者2と、を備えている。配送台車群Gは、実施形態1の配送台車10の複数によって構成されている。
【0030】
配送台車群Gを構成する各配送台車10は、荷物Wを配送するものであり、走行車両1及び作業者2とは別の可動体となる。荷物Wは、1つの物品によって、或いは複数の物品の集合体によって構成される。
【0031】
配送システム100は、荷物Wを配送元(後述の「配送センターH1」)から配送先(後述の「配送先H3,H4」)まで届けるためのものである。配送元から配送先までの走行経路は、運搬エリアAと、複数の配送先を包含する配送エリアB(図2を参照)と、に大別される。配送エリアBを「配達エリアB」ということもできる。
【0032】
運搬エリアAと配送エリアBとの間の領域は、荷物Wを仕分けて個別に分配するための分配地点(後述の「分配地点H2」)となる。この分配地点は、運搬エリアA及び配送エリアBの少なくとも一方に含まれていてもよいし、或いは運搬エリアA及び配送エリアBの両方とは別の領域に含まれていてもよい。
【0033】
配送台車群Gを構成する複数の配送台車10には、進行方向Xの先頭に配置される先頭配送台車としての配送台車10Aと、その後方に配置される後方配送台車としての配送台車10Bと、が含まれている。
【0034】
なお、配送台車群Gを構成する配送台車10の台数は、特に限定されるものではない。必要に応じて2台以上の適宜の配送台車10を使用することができる。例えば、1台の配送台車10Aと、1台或いは2台以上の配送台車10Bと、によって配送台車群Gを構成することができる
【0035】
各配送台車10は、荷物Wを載せるための荷室11を備えている。配送台車10Aの荷室11には荷物W1が積まれ、配送台車10Bの荷室11には、荷物W1とは配送別の荷物W2が積まれる。この場合、荷物W1と荷物W2は、配送エリアAが同じである一方で配送先が異なる。また、各配送台車10の背面には表示部10aが設けられており、この表示部10aに個体識別情報Fが付されている。
【0036】
走行車両1は、自走を可能とする走行用の駆動部3を備えた有人の電動車両である。駆動部3は、駆動輪3a、モータ及びバッテリ(図示省略)などによって構成されている。走行車両1の背面には表示部4が設けられており、この表示部4に固体識別情報Dが付されている。
【0037】
走行車両1は、作業者2の運転によって運搬エリアAを進行方向Xに移動する。このため、走行車両1は、運搬エリアAを移動する第1可動体となる。一方で、作業者2は、走行車両1から降車して配送エリアBを進行方向Xに移動する(図2参照)。このため、作業者2は、配送エリアBを移動する第2可動体となる。
【0038】
作業者2が身に付けているシャツ、ベスト状のビブス、ゼッケンなどの着衣2aの背中部分には、固体識別情報Eが付されている。なお、作業者2の着衣2aに代えて、携帯端末、ウェラブル端末などを使用することもできる。
【0039】
走行車両1に付されている固体識別情報D、作業者2に付されている固体識別情報E、及び配送台車10に付されている個体識別情報Fにはいずれも、荷物Wの配送先情報Cが紐付けされている。このため、走行車両1、作業者2及び配送台車10はいずれも、配送台車10の追尾対象Tに成り得る。この追尾対象Tには、配送台車10があとをつけて追尾(「追従」或いは「追走」ともいう。)できる各種の可動体が広く包含される。
【0040】
配送先情報Cとして典型的には、配送先に関する住所、配送エリア名、配送先名、電話番号、メールアドレスなどが挙げられる。
【0041】
固体識別情報D,E,Fとして典型的には、各固体識別情報が付されている可動体に関する管理番号、名称、所属名、型式などが挙げられる。これらの固体識別情報D,E,Fを、認証コード、ロゴタイプ、文字、数字などのうちの少なくとも1つを直にペイントしたり、貼付け用シールに印刷したり、液晶パネルなどの表示器に出力したりすることによって、表示することができる。
【0042】
ここでいう「紐付け」なる態様として、例えば、固体識別情報D,E,Fが配送先情報Cを含むような第1の紐付け態様や、固体識別情報D,E,Fに配送先情報Cが予め結び付けられて記憶されているような第2の紐付け態様などが挙げられる。第1の紐付け態様によれば、撮影などによって固体識別情報D,E,Fと配送先情報Cが同時に画像検出される。これに対して、第2の紐付け態様によれば、撮影などによって固体識別情報D,E,Fのみが画像検出され、この検出を条件に配送先情報Cが読み出される。
【0043】
図1図3に示されるように、各配送台車10は、自走を可能とする走行用の駆動部12と、撮影部としてのカメラ13と、コントローラ14と、を備えている。
【0044】
駆動部12は、駆動輪12a、モータ12b及びバッテリ12c(図3を参照)などによって構成されている。この駆動部12は、コントローラ14からの制御信号に基づいて制御される。また、各配送台車10は、単独での自走が可能となるように、作業者2による操作部(図示省略)の手動操作によって駆動部12が制御されるように構成されているのが好ましい。
【0045】
カメラ13は、各配送台車10の前部に設けられている。このカメラ13は、追尾対象Tに成り得る、走行車両1、作業者2、他の配送台車10のそれぞれを撮影することができる既知のデジタルカメラである。即ち、このカメラ13は、荷物Wの配送先情報Cを紐付けた固体識別情報D,E,Fが付されている可動体を撮影して、その可動体の画像情報Pであるデジタル画像を得るためのものである。
【0046】
このカメラ13によれば、走行車両1の表示部4に付されている固体識別情報Dや、作業者2の着衣2aに付されている固体識別情報Eや、他の配送台車10の表示部10aに付されている固体識別情報Fを撮影して、その撮影画像Pを得ることができる。この撮影画像Pは、コントローラ14に伝送されて適宜に処理され、コントローラ14による駆動部12の制御に利用される。
【0047】
カメラ13は、配送台車10と追尾対象Tとの間の距離を計測可能な単眼カメラ或いはステレオカメラであるのが好ましい。この場合、カメラ13で計測された距離に基づいて駆動部12を制御することで、各配送台車10が追尾対象Tを一定間隔で追尾するようにできる。なお、配送台車10と追尾対象Tとの間の距離を、ミリ波レーダーセンサーなどのセンサ類による距離計測の機能を利用して計測するようにしてもよい。
【0048】
コントローラ14は、配送台車10の全般的な制御を行うためのものであり、記憶部15と、設定部16と、制御部17と、を少なくとも備えている。
【0049】
記憶部15は、メモリなどの記憶手段によって構成されている。この記憶部15には、カメラ13から入力された画像情報Pをはじめ、予め入力された入力情報などの各種の情報が格納される。この記憶部15は、設定部16からの要請に応じて、格納している情報を読み出す。
【0050】
設定部16は、カメラ13による撮影画像Pに基づいて、固体識別情報Dが付されている走行車両1や、固体識別情報Eが付されている作業者2や、固体識別情報Fが付されている別の配送台車10を追尾対象Tに設定する機能を有する。
【0051】
また、この設定部16は、運搬エリアAと配送エリアBとの間で移動するときに、第1判定条件J1或いは第2判定条件J2の成立によって、追尾対象Tに設定している可動体に代えて別の可動体を追尾対象Tに設定する機能を有する。
【0052】
制御部17は、追尾対象Tに付されている固体識別情報をカメラ13で撮影しながらこの追尾対象Tを追尾するように駆動部12を制御する機能を有する。
【0053】
図1の場合、配送台車10Aのカメラ13で走行車両1の表示部4を撮影したときの撮影画像Pから固体識別情報Dを検出することによって、走行車両1が配送台車10Aに対する追尾対象Tに設定される。また、進行方向Xの後方側の配送台車10Bのカメラ13でその前方の配送台車10Aの表示部10aを撮影したときの撮影画像Pから固体情報Fを検出することによって、配送台車10Aが設定部16によって配送台車10Bに対する追尾対象Tに設定される。
【0054】
この場合、走行車両1を配送台車群Gの1つの配送台車10Aの追尾対象Tとし、残りの配送台車10Bに対してその前方に配置される配送台車10Aを追尾対象Tに設定することによって、配送台車群Gが運搬エリアAを隊列走行する。このとき、配送台車10Bは、そのカメラ13で計測された距離に基づいて駆動部12が制御されることで、配送台車10Aを概ね一定間隔で追尾することが可能になる。
【0055】
図2の場合、配送台車10Aのカメラ13で作業者2を撮影したときの撮影画像Pから固体識別情報Eを検出することによって、作業者2が配送台車10Aに対する追尾対象Tに設定される。或いは、配送台車10Bのカメラ13で作業者2を撮影したときの撮影画像Pから固体識別情報Eを検出することによって、作業者2が配送台車10Bに対する追尾対象Tに設定される。
【0056】
この場合、配送台車10A或いは配送台車10Bは、配送エリアBでは作業者2を追尾対象Tとし且つ運搬エリアAにおける隊列走行時に比べて配送台車10の台数を減らして走行する。
【0057】
なお、配送エリアBを走行する配送台車10の台数や、運搬エリアAの隊列走行時に対する配送台車10の減数については、特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜の変更が可能である。配送エリアBを走行する配送台車10の台数は1台以上とすることができる。配送台車10の減数は0以上とすることができる。
【0058】
図3に示されるように、各配送台車10の駆動部12は、左右の駆動輪12aと、左右の駆動輪12aを駆動するための左右のモータ12bと、左右のモータ12bへの電源供給のためのバッテリ12cと、を備えている。バッテリ12cは、コントローラ14へ電源供給を行うとともに、その電圧情報をコントローラ14へ出力する。コントローラ14の制御部17は、左右のモータ12bに制御信号を出力する一方で、左右のモータ12bから速度情報を受け取る。
【0059】
ここで、実施形態1の配送方法を、図4図7を参照しながら説明する。この配送方法は、予定台数の複数の配送台車10を準備し、これら複数の配送台車10を使用して荷物Wを配送する方法である。
【0060】
実施形態1の配送方法は、図4のステップS101からステップS112までの複数のステップを順次実行することによって実行される。なお、必要に応じて、図4中の複数のステップに別のステップが追加されてもよいし、或いは図4中の各ステップが複数に分割されてもよい。
【0061】
図4のステップS101は、配送台車群Gの各配送台車10に実際に荷物Wを積み込む積荷ステップである。このステップS101によれば、図5に示されるように、配送元である配送センターH1で配送台車10Aの荷室11に荷物W1が積み込まれ、配送台車10Bの荷室11に荷物W2が積み込まれる。配送台車10Aと配送台車10Bは、荷物Wの配送エリアAが同一であるため予めグルーピングされるのが好ましい。
【0062】
図4のステップS102は、ステップS101の後で、荷物Wの配送先情報Cを紐付けた固体識別情報Dが付されている走行車両1を配送台車10Aのカメラ13で撮影し、また荷物Wの配送先情報Cを紐付けた固体識別情報Fが付されている配送台車10Aを配送台車10Bのカメラ13で撮影する撮影ステップである。
【0063】
このステップS102では、図5に示されるように、配送台車10Aのカメラ13の視界に走行車両1の表示部4が入るように、走行車両1と配送台車10Aとの相対位置が調整され、配送台車10Bのカメラ13の視界に配送台車10Aの表示部10aが入るように、配送台車10Aと配送台車10Bとの相対位置が調整される。これにより、配送台車10Aのカメラ13で固体識別情報Dを含む撮影画像Pが検出され、配送台車10Bのカメラ13で固体識別情報Fを含む撮影画像Pが検出される。
【0064】
図4のステップS103は、ステップS102で得られた撮影画像Pに基づいて追尾対象Tを設定する設定ステップである。このステップS103によれば、走行車両1が配送台車10Aの追尾対象Tに設定され、配送台車10Aが配送台車10Bの追尾対象Tに設定される。
【0065】
図4のステップS104は、ステップS103で設定した追尾対象Tの固体識別情報(配送台車10Aについては走行車両1の固体識別情報D、配送台車10Bについては配送台車10Aの固体識別情報F)をカメラ13で撮影しながら当該追尾対象Tを追尾するように配送台車10A及び配送台車10Bのそれぞれの駆動部12を制御する制御ステップである。このステップS104によれば、図6に示されるように、作業者2が走行車両1に乗車して運搬エリアAを分配地点H2に向けて走行することによって、配送台車群Gが運搬エリアAを一列になって隊列走行する。
【0066】
図4のステップS105は、ステップS104の後で、配送エリアBへ移動するときに第1判定条件J1の成立を判定する判定ステップである。作業者2は、走行車両1を分配地点H2で停車させる。これにより、配送台車群Gも分配地点H2で停止する。このとき、走行車両1のイグニッションがオフになることによって第1判定条件J1が成立したと判定される(ステップS105の「Yes」)。このステップS105によれば、配送台車10Aが走行車両1を追尾対象Tとする関係が解消される。
【0067】
本実施形態では、「第1判定条件J1」として、走行車両1のイグニッションがオフになったか否かという条件を採用している。一方で、この条件とは別の条件を採用することもできる。例えば、走行車両1が運搬エリアAを通った後に分配地点H2に到達したか否かという条件や、所定の操作部(スイッチ類、ボタン類等)が操作されたか否かという条件などを、第1判定条件J1にしてもよい。
【0068】
図4のステップS106は、ステップS105で第1判定条件J1が成立したと判定した後、走行車両1とは別の可動体である作業者2を、配送台車10Aのカメラ13で撮影し、或いは配送台車10Bのカメラ13で撮影する撮影ステップである。ここで、作業者2の着衣2aには配送先情報Cを紐付けた固体識別情報Eが付されている。このステップS106は、ステップS102を「第1撮影ステップ」としたとき、第1撮影ステップS102に対する「第2撮影ステップ」となる。
【0069】
このステップS106では、図7に示されるように、配送台車10Aの荷物W1を配送先H3へ届ける場合、分配地点H2で配送台車10Aのカメラ13の視界に作業者2の着衣2aの背中部分が入るように作業者2が移動する。これにより、配送台車10Aのカメラ13で固体識別情報Eを含む撮影画像Pが検出される。
【0070】
一方で、図7に示されるように、配送台車10Bの荷物W2を配送先H4へ届ける場合、分配地点H2で配送台車10Bのカメラ13の視界に作業者2の着衣2aの背中部分が入るように作業者2が移動する。これにより、配送台車10Bのカメラ13で固体識別情報Eを含む撮影画像Pが検出される。
【0071】
図4のステップS107は、ステップS106で得られた撮影画像Pに基づいて作業者2を走行車両1に代えて追尾対象Tに設定する設定ステップである。このステップS107は、ステップS103を「第1設定ステップ」としたとき、第1設定ステップS103に対する「第2設定ステップ」となる。このステップS107によれば、作業者2が配送台車10A或いは配送台車10Bの新たな追尾対象Tに設定される。
【0072】
図4のステップS108は、ステップS107で設定した追尾対象Tの固体識別情報Eをカメラ13で撮影しながらこの追尾対象Tを追尾するように、配送台車10A或いは配送台車10Bの駆動部12を制御する制御ステップである。このステップS108は、ステップS104を「第1制御ステップ」としたとき、第1制御ステップS104に対する「第2制御ステップ」となる。配送エリアBでは、運搬エリアAにおける隊列走行時に比べて配送台車10の台数が少なくなる。
【0073】
このステップS108では、図7に示されるように、配送台車10Aの荷物W1を配送先H3へ届ける場合、配送エリアBを移動する作業者2を追尾して配送台車10Aが移動する。これにより、配送台車10Aの荷物W1を配送先H3へ届けることができる。その後、作業者2が分配地点H2まで戻ることによって、配送台車10Aは、空の状態或いは不在などの理由により未配達の荷物Wを積んだ状態で、作業者2を追尾して分配地点H2まで移動する。
【0074】
一方で、図7に示されるように、配送台車10Bの荷物W2を配送先H4へ届ける場合、配送エリアBを移動する作業者2を追尾して配送台車10Bが移動する。これにより、配送台車10Bの荷物W2を配送先H4へ届けることができる。その後、作業者2が分配地点H2まで戻ることによって、配送台車10Bは、空の状態或いは不在などの理由により未配達の荷物Wを積んだ状態で、作業者2を追尾して分配地点H2まで移動する。
【0075】
図4のステップS109は、ステップS108の後で、運搬エリアAへ移動するときに第2判定条件J2の成立を判定する判定ステップである。作業者2は、分配地点H2で走行車両1に乗車する。このとき、走行車両1のイグニッションがオンになることによって第2判定条件J2が成立したと判定される(ステップS109の「Yes」)。
【0076】
本実施形態では、「第2判定条件J2」として、走行車両1のイグニッションがオンになったか否かという条件を採用している。一方で、この条件とは別の条件を採用することもできる。例えば、作業者2が配送エリアBを通った後に分配地点H2に到達したか否かという条件や、所定の操作部(スイッチ類、ボタン類等)が操作されたか否かという条件などを、第2判定条件J2にしてもよい。
【0077】
図4のステップS110は、ステップS109で第2判定条件J2が成立したと判定した後、作業者2とは別の可動体である走行車両1を、配送台車10Aのカメラ13で撮影し、また配送台車10Aを配送台車10Bのカメラ13で撮影する撮影ステップである。即ち、このステップS110は、前述のステップS102と本質的に同様のステップである。このステップS110は、ステップS106を「第1撮影ステップ」としたとき、第1撮影ステップS106に対する「第2撮影ステップ」となる。
【0078】
図4のステップS111は、ステップS110で得られた撮影画像Pに基づいて走行車両1及び配送台車10Aを作業者2に代えて追尾対象Tに設定する設定ステップである。このステップS111は、ステップS107を「第1設定ステップ」としたとき、第1設定ステップS107に対する「第2設定ステップ」となる。このステップS111によれば、走行車両1が配送台車10Aの新たな追尾対象Tに設定され、また配送台車10Aが配送台車10Bの新たな追尾対象Tに設定される。
【0079】
図4のステップS112は、ステップS111で設定した追尾対象Tの固体識別情報D或いは固体識別情報Fをカメラ13で撮影しながらこの追尾対象Tを追尾するように配送台車10A及び配送台車10Bの駆動部12を制御する制御ステップである。このステップS112は、ステップS108を「第1制御ステップ」としたとき、第1制御ステップS108に対する「第2制御ステップ」となる。このステップS112によれば、作業者2が走行車両1を運転しながら運搬エリアAを配送センターH1に向けて走行することによって、配送台車群Gが運搬エリアAを一列になって隊列走行する。運搬エリアAでは、配送エリアBにおける走行時に比べて配送台車10の台数が多くなる。
【0080】
次に、上述の実施形態1の作用効果について説明する。
【0081】
実施形態1の配送台車10において、荷物Wの配送先情報Cを紐付けた固体識別情報D,E,Fが付されている可動体がカメラ13で撮影されると、この撮影画像Pに基づいて可動体が追尾対象Tに設定される。そして、追尾対象Tの固体識別情報D,E,Fをカメラ13で撮影しながらこの追尾対象Tを追尾するように駆動部12が制御される。
【0082】
配送台車10が運搬エリアAから配送エリアBへ移動するときには、第1判定条件J1の成立によって、既に追尾対象Tに設定している走行車両1に代えて、固体識別情報Eが付されている作業者2が追尾対象Tに設定される。一方で、配送台車10が配送エリアBから運搬エリアAへ移動するときには、第2判定条件J2の成立によって、既に追尾対象Tに設定している走行車両1に代えて、固体識別情報Dが付されている走行車両1が追尾対象Tに設定される。
【0083】
実施形態1の配送方法において、荷物Wの配送先情報Cを紐付けた固体識別情報D,E,Fが付されている可動体を第1撮影ステップS102,S106でカメラ13により撮影し、この可動体を第1設定ステップS103,S107で追尾対象Tに設定する。そして、第1制御ステップS104,S108では、第1設定ステップS103,S107で設定した追尾対象Tの固体識別情報D,E,Fをカメラ13で撮影しながら追尾対象Tを追尾するように配送台車10の駆動部12を制御する。
【0084】
また、第2撮影ステップS106,S110では、運搬エリアAと配送エリアBとの間で移動するときに、第1判定条件J1或いは第2判定条件J2の成立によって、別の可動体をカメラ13で撮影し、この別の可動体を第2設定ステップS107,S111で、第1設定ステップS103,S107で既に追尾対象Tに設定している可動体に代えて追尾対象Tに設定する。そして、第2制御ステップS108,S112では、第2設定ステップS107,S111で設定した追尾対象Tの固体識別情報D,E,Fをカメラ13で撮影しながら追尾対象Tを追尾するように配送台車10の駆動部12を制御する。
【0085】
上述の実施形態1によれば、配送台車10が運搬エリアAから配送エリアBへ移動するとき、或いは配送台車10が配送エリアBから運搬エリアAへ移動するときに、第1判定条件J1或いは第2判定条件J2の成立によって追尾対象となる可動体が変更される。このため、エリア間での配送台車10の受け渡しが可能になる。
【0086】
例えば、配送台車10が運搬エリアAから配送エリアBへ移動して配送エリアBを移動する作業者2に受け渡されることによって、この配送台車10に積み込まれている荷物Wを配送エリア向けの荷物Wとして仕分けするのと同様の効果が得られる。このように、配送台車10の受け渡しを利用して配送エリアBでの仕分け作業を行うことによって、この仕分け作業に要する時間を短縮でき、作業者2の体力負担や気遣い負担を軽減できる。この仕分け作業は、一般的な配送作業で行われるような運搬車の荷室での荷物の仕分け作業に相当する。
【0087】
その結果、荷物Wを効率良く配送するのに有効な配送技術を提供できる。
【0088】
上述の実施形態1によれば、複数の配送台車10からなる配送台車群Gを運搬エリアAで隊列走行させることができ、配送エリアBでの仕分け作業に加えて、配送エリアBに至るまでの荷物Wの運搬作業も効率良く実行することが可能になる。
【0089】
上述の実施形態1によれば、配送台車10が運搬エリアAから配送エリアBへ移動するとき、配送台車群Gの配送台車10の台数を減らして、配送エリアBを移動する作業者2に受け渡すことができる。このため、運搬エリアAを運搬した荷物Wを配送エリアBごとに小口に仕分けて配送エリアBで配送することが可能になる。
【0090】
以下、実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の実施形態において、実施形態1の要素と同一の要素には同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明は省略する。
【0091】
(実施形態2)
図8に示されるように、実施形態2の配送システム200では、実施形態1の配送台車10とは異なる配送台車20が使用されている。実施形態2の配送台車20は、配送台車10の構成要素に加えて、位置情報Qを計測する測位部としてのGPS受信機18と、報知部としての報知器19と、を備えている。
【0092】
GPS受信機18は、GPS衛星との通信によって位置情報Qをリアルタイムで計測するためのものである。報知器19は、報知音及び報知光の少なくとも一方を出力可能に構成されている。
【0093】
制御部17は、GPS受信機18が計測した位置情報Qと追尾対象Tの固体識別情報D,E,Fに紐付けられている配送先情報Cとの照合結果に基づいて、荷物Wの配送先に到着したと判定したとき報知器19を作動させる。これにより、報知器19から報知音及び報知光の少なくとも一方が出力される。
【0094】
その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0095】
実施形態2の配送方法は、図9のステップS201からステップS212までの複数のステップを順次実行することによって実行される。なお、必要に応じて、図9中の複数のステップに別のステップが追加されてもよいし、或いは図9中の各ステップが複数に分割されてもよい。
【0096】
図9において、ステップS208Aを除く他のステップ(ステップS201からステップS212)は、図4のステップS101からステップS112までのステップと同様の内容であるため、ここでは各ステップについての説明を省略する。
【0097】
ステップS208Aは、ステップS208とステップS209との間で実行される。このステップS208Aは、配送台車20の位置情報Qと追尾対象Tである作業者2の固体識別情報Eに紐付けられている配送先情報Cとの照合結果に基づいて、配送台車20が荷物Wの配送先H3,H4に到着したことを報知する報知ステップである。このステップS208Aによれば、報知器19から報知音及び報知光の少なくとも一方が出力される。
【0098】
上述の実施形態2によれば、配送台車20が実際に配送先H3,H4に到着したことを報知器19で報知することで、このことを作業者2に速やかに認識させることができ、荷物Wの配送作業に要する時間を短縮することができる。
【0099】
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0100】
この実施形態2に特に関連する変更例として、ステップS208Aにおける報知ステップを報知器19以外の手段を利用して実行することもできる。例えば、配送台車20の動きを利用した報知を実施することができる。一例として、複数の配送台車20が実際に配送先H3に到着したときに、複数の配送台車20の中で配送先H3に届ける荷物Wを載せている配送台車20が作業者2の一番近くに移動するようにしてもよい。
【0101】
本発明は、上述の典型的な実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変形が考えられる。例えば、上述の実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0102】
上述の実施形態では、運搬エリアAを移動する走行車両1が有人の電動車両である場合について例示したが、これに代えて、無人の電動車両、有人のエンジン車両、有人のハイブリッド車両などを採用することもできる。
【0103】
上述の実施形態では、配送エリアBを移動する可動体が作業者2である場合について例示したが、作業者2を有人或いは無人の走行車両に置き換えるようにしてもよい。また、運搬エリアAで走行車両1を運転する作業者2は、配送エリアBを移動する作業者2と同一人物であってもよいし、或いは異なる人物であってもよい。
【0104】
上述の実施形態では、分配地点H2が1つである場合について例示したが、これに代えて、分配地点H2を複数設けて、運搬エリアAを運搬した荷物Wを複数段階で仕分けするようにしてもよい。
【0105】
上述の実施形態では、荷物Wを屋外で配送するための技術について例示したが、この技術を、荷物Wを屋内で配送する技術に適用することもできる。
【符号の説明】
【0106】
1 走行車両(第1可動体、可動体)
2 作業者(第2可動体、可動体)
10,10A,10B,20 配送台車(可動体)
12 駆動部
13 カメラ(撮影部)
16 設定部
17 制御部
18 GPS受信機(測位部)
19 報知器(報知部)
100,200 配送システム
A 運搬エリア
B 配送エリア
C 配送先情報
D,E,F 固体識別情報
G 配送台車群
H3,H4 配送先
J1 第1判定条件(判定条件)
J2 第2判定条件(判定条件)
P 撮影画像
Q 位置情報
S102,S202 第1撮影ステップ
S103,S203 第1設定ステップ
S104,S204 第1制御ステップ
S106,S206 第2撮影ステップ(第1撮影ステップ)
S107,S207 第2設定ステップ(第1設定ステップ)
S108,S208 第2制御ステップ(第1制御ステップ)
S110,S210 第2撮影ステップ
S111,S211 第2設定ステップ
S112,S212 第2制御ステップ
S208A 報知ステップ
T 追尾対象
W,W1,W2 荷物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9