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特許7310581無線通信チャネル選択システム、及び、無線通信チャネル選択装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】無線通信チャネル選択システム、及び、無線通信チャネル選択装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/02 20090101AFI20230711BHJP
   H04W 24/02 20090101ALI20230711BHJP
   H04W 24/08 20090101ALI20230711BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20230711BHJP
   H04W 28/16 20090101ALI20230711BHJP
【FI】
H04W16/02
H04W24/02
H04W24/08
H04W24/10
H04W28/16
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019222307
(22)【出願日】2019-12-09
(65)【公開番号】P2021093598
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】栗原 康志
(72)【発明者】
【氏名】濱湊 真
(72)【発明者】
【氏名】菊月 達也
【審査官】伊藤 嘉彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-112495(JP,A)
【文献】国際公開第2014/073706(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0055179(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0059873(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信端末が存在する第1電波到達エリアを有するアクセスポイントと、
前記第1電波到達エリア外に存在する第2通信端末の第2電波到達エリアと、前記第1電波到達エリアとの重複エリアに設置されるデータ収集端末と、
前記アクセスポイントによってデータが収集される前記第1通信端末の複数のチャネルの各々における第1通信時間を含む第1情報と、前記データ収集端末によってデータが収集される前記第2通信端末の前記複数のチャネルの各々における第2通信時間、又は、前記データ収集端末によってデータが収集される前記第1通信端末及び前記第2通信端末の前記複数のチャネルの各々における第2通信時間を含む第2情報との論理和で表される論理和情報を前記チャネル毎に生成する情報生成部と、
前記チャネル毎に生成される論理和情報に含まれる時間が短い方から所定順位内のチャネルを選択するチャネル選択部と
を含む、無線通信チャネル選択システム。
【請求項2】
前記論理和情報は、前記時間と前記第1通信端末及び前記第2通信端末のアドレス情報とを含む、請求項1記載の無線通信チャネル選択システム。
【請求項3】
前記チャネル選択部は、前記第1通信時間と、前記第2通信時間のうちの前記第2通信端末の通信時間とを加算した合計時間を前記チャネル毎に求め、前記合計時間が短い方から前記所定順位内のチャネルを選択する、請求項1又は2記載の無線通信チャネル選択システム。
【請求項4】
前記チャネル選択部は、前記第1通信時間と、前記第2通信時間のうちの前記第2通信端末の通信時間とを加算した合計時間を求める際に、前記第2通信端末の通信時間に重みW(W>1)を乗じる、請求項3記載の無線通信チャネル選択システム。
【請求項5】
前記データ収集端末は複数あり、
前記情報生成部は、前記複数のデータ収集端末毎に、前記論理和情報を前記チャネル毎に生成し、
前記チャネル選択部は、前記複数のデータ収集端末毎の前記合計時間の平均時間を求め、前記平均時間が短い方から前記所定順位内のチャネルを選択する、請求項3又は4記載の無線通信チャネル選択システム。
【請求項6】
前記データ収集端末は複数あり、
前記情報生成部は、前記複数のデータ収集端末毎に、前記論理和情報を前記チャネル毎に生成し、
前記チャネル選択部は、前記複数のデータ収集端末毎の前記合計時間のうちの最大の合計時間が短い方から前記所定順位内のチャネルを選択する、請求項3又は4記載の無線通信チャネル選択システム。
【請求項7】
前記所定順位は1位である、請求項1乃至6のいずれか一項記載の無線通信チャネル選択システム。
【請求項8】
前記データ収集端末がパケットキャプチャを実行している期間内に、前記チャネル選択部によって選択されたチャネルに変更するチャネル変更部をさらに含む、請求項1乃至7のいずれか一項記載の無線通信チャネル選択システム。
【請求項9】
第1通信端末が存在する第1電波到達エリアを有するアクセスポイントによってデータが収集される前記第1通信端末の複数のチャネルの各々における第1通信時間を含む第1情報と、前記第1電波到達エリア外に存在する第2通信端末の第2電波到達エリアと前記第1電波到達エリアとの重複エリアに設置されるデータ収集端末によってデータが収集される前記第2通信端末の前記複数のチャネルの各々における第2通信時間、又は、前記データ収集端末によってデータが収集される前記第1通信端末及び前記第2通信端末の前記複数のチャネルの各々における第2通信時間を含む第2情報との論理和で表される論理和情報を前記チャネル毎に生成する情報生成部と、
前記チャネル毎に生成される論理和情報に含まれる時間が短い方から所定順位内のチャネルを選択するチャネル選択部と
を含む、無線通信チャネル選択装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信チャネル選択システム、及び、無線通信チャネル選択装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、それぞれが機器と連携して所定の制御及び処理を行う、複数の端末と、前記複数の端末との間で無線通信を行う基地局とをそれぞれ所定の領域内に配置し、サーバを、各部屋の前記基地局とネットワークを介して接続した、無線通信システムがある。前記基地局は、雑音電力を測定することにより電波雑音の発生状況測定を行い、前記サーバは、無線通信の障害となる電波雑音の発生状況測定結果を継続的に記録する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-175784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の無線通信システムは、基地局の電波が到達するエリア外に存在し、前記端末によってパケットが収集される干渉源を考慮していない。このような干渉源は、基地局に対して隠れた存在である。
【0005】
このように基地局に対して隠れた干渉源は、基地局とキャリアセンスでお互いの電波を検出できないため、基地局が送信するパケットと、干渉源が送信するパケットとが衝突し、端末が基地局のパケットを受信できなくなるおそれがある。この結果、基地局はパケットを再送信することになり、スループットが低下する。
【0006】
そこで、隠れ干渉源の影響を考慮して、適切な通信が可能なチャネルを選択できる無線通信チャネル選択システム、及び、無線通信チャネル選択装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態の無線通信チャネル選択システムは、第1通信端末が存在する第1電波到達エリアを有するアクセスポイントと、前記第1電波到達エリア外に存在する第2通信端末の第2電波到達エリアと、前記第1電波到達エリアとの重複エリアに設置されるデータ収集端末と、前記アクセスポイントによってデータが収集される前記第1通信端末の複数のチャネルの各々における第1通信時間を含む第1情報と、前記データ収集端末によってデータが収集される前記第2通信端末の前記複数のチャネルの各々における第2通信時間、又は、前記データ収集端末によってデータが収集される前記第1通信端末及び前記第2通信端末の前記複数のチャネルの各々における第2通信時間を含む第2情報との論理和で表される論理和情報を前記チャネル毎に生成する情報生成部と、前記チャネル毎に生成される論理和情報に含まれる時間が短い方から所定順位内のチャネルを選択するチャネル選択部とを含む。
【発明の効果】
【0008】
隠れ干渉源の影響を考慮して、適切な通信が可能なチャネルを選択できる無線通信チャネル選択システム、及び、無線通信チャネル選択装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】隠れ干渉源を説明する図である。
図2】実施の形態の無線通信チャネル選択システム100Aが配備された部屋50Aを示す図である。
図3】無線通信チャネル選択装置100を実現するコンピュータシステム20の斜視図である。
図4】コンピュータシステム20の本体部21内の要部の構成を説明するブロック図である
図5】無線通信チャネル選択装置100の構成を示す図である。
図6】第1リスト及び第2リストを示す図である。図6には、一例としてCH36における第1リスト及び第2リストを示す。
図7】論理和リストの生成方法を説明する図である
図8】通信不可時間の平均値を算出しチャネルを選択する処理を説明する図である。
図9】制御装置110が実行する処理を表すフローチャートを示す図である。
図10】チャネルを切り替える処理を示すタイミングチャートである。
図11】実施の形態の変形例による重み付けを用いた論理和リストの生成方法を説明する図である。
図12】実施の形態の変形例によるチャネルの選択の仕方を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の無線通信チャネル選択システム、及び、無線通信チャネル選択装置を適用した実施の形態について説明する。
【0011】
<実施の形態>
まず、図1を用いて隠れ干渉源について説明する。図1は隠れ干渉源を説明する図である。干渉源は、PC(Personal Computer)等の情報処理装置の端末である。干渉源は、キャリアセンスによって通信に干渉が生じうる端末であり、他の端末の通信における干渉源になり得る端末である。
【0012】
部屋50Aは、一例としてオフィスの居室であり、デスク、椅子、及びその他の什器が配置されている。部屋50Aには、アクセスポイントAP1、プローブP1~P4等が配置されている。また、部屋50Aには、一例として2.4GHzのWiFi(Wireless Fidelity)(登録商標)で無線通信を行うステーション(PC等の端末)を含むメインのシステムが配備されている。図1ではメインのシステムを省略する。
【0013】
アクセスポイントAP1には部屋50Aの外部に設けられるサーバ60が接続されている。また、アクセスポイントAP1とプローブP1~P4の間の距離は、アクセスポイントAP1の電波が到達する距離(電波到達距離)以下であり、アクセスポイントAP1は、一例として5GHzのWiFi(登録商標)のCH(チャネル)36でプローブP1~P4と無線通信を行う。ここでは、アクセスポイントAP1の電波が到達するエリアを破線の曲線で示し、アクセスポイントAP1とプローブP1~P4との接続を両矢印の破線の直線で示す。
【0014】
プローブP1~P4は、サーバ60からアクセスポイントAP1を介して送信されるキャプチャ命令を含むパケットを受信すると、図示しない部屋50A内の干渉源が送信するパケットをキャプチャし、アクセスポイントAP1を介してサーバ60に送信する。このように、プローブP1~P4は、データを収集する端末である。
【0015】
また、アクセスポイントAP1は、プローブP1~P4からパケットを受信し、サーバ60に転送するとともに、キャプチャを行い、周囲の干渉源から取得したパケットをサーバ60に送信する。サーバ60は、アクセスポイントAP1を介して入手するパケットに基づき、図示しない部屋50A内の干渉源の位置及び障害等を解析する。
【0016】
ここで、部屋50Aの隣の部屋50Bには干渉源としてのPC51Bがある。部屋50BにもアクセスポイントAP1と同様のアクセスポイントが設けられている。PC51Bは、一例として5GHzのWiFi(登録商標)のW52のCH36で無線通信を行い、部屋50B内の図示しないアクセスポイントと通信を行うとともに、部屋50B内の図示しない他の干渉源にパケットを送信するとする。PC51Bの電波が到達するエリアを破線の曲線で示す。
【0017】
PC51Bは、アクセスポイントAP1の電波到達距離以下のエリアには位置せず、アクセスポイントAP1は、PC51Bの電波到達距離以下のエリアには位置しない。また、プローブP1は、AP1の電波到達距離以下のエリアに位置し、かつPC51Bの電波到達距離以下のエリアに位置する。
【0018】
このような状況では、アクセスポイントAP1とPC51Bとは、キャリアセンスでお互いの電波を検出できず、アクセスポイントAP1が送信するパケットと、PC51Bが送信するパケットとが衝突し、プローブP1がアクセスポイントAP1のパケットを受信できなくなるおそれがある。
【0019】
このようなPC51Bは、アクセスポイントAP1では検出できず、アクセスポイントAP1に対して隠れている隠れ干渉源(隠れ端末)である。
【0020】
以下では、このような隠れ干渉源の影響を考慮して、適切な通信が可能なチャネルを選択できる無線通信チャネル選択システム、及び、無線通信チャネル選択装置について説明する。
【0021】
図2は、実施の形態の無線通信チャネル選択システム100Aが配備された部屋50Aを示す図である。部屋50Aは、図1に示す部屋50Aと同様であり、隣りには部屋50B、50C、50Dがある。
【0022】
無線通信チャネル選択システム100Aは、無線通信チャネル選択装置100、アクセスポイントAP1、プローブP1~P4を含む。このため、無線通信チャネル選択装置100、アクセスポイントAP1、プローブP1~P4には括弧書きで符号100Aを記す。
【0023】
無線通信チャネル選択装置100は、部屋50Aの外部に設けられるサーバであり、アクセスポイントAP1に接続されている。アクセスポイントAP1及びプローブP1~P4は、図1に示すアクセスポイントAP1及びプローブP1~P4と同様である。ただし、以下では、プローブP1~P4は、キャプチャと通信(アクセスポイントAP1との無線通信)を同時に行わないものとする。
【0024】
また、図2には、一例としてCH36で通信を行う干渉源1~14を示す。部屋50A内のアクセスポイントAP1の電波到達距離以下のエリアには、干渉源1~4及び14が存在し、干渉源1の電波到達距離以下のエリアには干渉源2~4が存在する。電波到達距離とは、電波の信号レベルが通信に必要な所定値以上になる距離である。電波到達距離以下のエリアは、通信可能なエリア(通信エリア)である。
【0025】
干渉源1の電波が到達するエリアを破線の円で示す。アクセスポイントAP1の電波到達距離以下のエリアは、第1電波到達エリアの一例である。また、アクセスポイントAP1の電波到達距離以下のエリアに存在する干渉源1~4及び14は、第1通信端末の一例である。
【0026】
また、部屋50B内には干渉源5~7が存在し、部屋50C内には干渉源8~11が存在し、部屋50D内には干渉源12~13が存在する。干渉源5~13は、アクセスポイントAP1の電波到達距離以下のエリアの外に存在し、アクセスポイントAP1の電波が届かないため、アクセスポイントAP1とキャリアセンスを行うことができない。干渉源5~13は、アクセスポイントAP1の電波到達距離以下のエリアの外に存在する第2通信端末の一例である。
【0027】
プローブP1は、アクセスポイントAP1の電波到達距離以下のエリアと、干渉源5の電波到達距離以下のエリアとの重複エリア内に配置されるデータ収集端末の一例である。干渉源5の電波が到達するエリアを破線の曲線で示す。干渉源5の電波が到達するエリアは、第2電波到達エリアの一例である。
【0028】
また、干渉源4及び6の電波が到達するエリアの図示を省略するが、プローブP1は、干渉源4及び6の電波到達距離以下のエリアに位置する。同様に、プローブP2は、干渉源13及び14の電波到達距離以下のエリアに位置し、プローブP3は、干渉源6~9の電波到達距離以下のエリアに位置し、プローブP4は、干渉源9~12の電波到達距離以下のエリアに位置する。
【0029】
無線通信チャネル選択装置100は、通信状況に応じて、アクセスポイントAP1及びプローブP1~P4が通信に用いるチャネルを選択して切り替える。5GHzのWiFiのW52では、CH36の他に、例えばCH40、CH44、CH48がある。CH40、CH44、CH48では、干渉源1~14とは異なる干渉源が存在することになる。
【0030】
図3は、無線通信チャネル選択装置100を実現するコンピュータシステム20の斜視図である。図3に示すコンピュータシステム20は、本体部21、ディスプレイ22、キーボード23、マウス24、及び通信モジュール25を含む。
【0031】
本体部21は、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)、及びディスクドライブ等を内蔵する。ディスプレイ22は、本体部21からの指示により画面22A上に処理結果等を表示する。ディスプレイ22は、例えば、液晶モニタであればよい。キーボード23は、コンピュータシステム20に種々の情報を入力するための入力部である。マウス24は、ディスプレイ22の画面22A上の任意の位置を指定する入力部である。通信モジュール25は、無線通信又は有線通信で外部の装置と通信する。
【0032】
コンピュータシステム20に無線通信チャネル選択装置100としての機能を持たせる無線通信チャネル選択プログラムは、情報処理プログラムの一例であり、ディスク27等の可搬型記録媒体に格納されるか、通信モジュール25等の通信装置を使って他のコンピュータシステムの記録媒体26からダウンロードされ、コンピュータシステム20に入力されてコンパイルされる。
【0033】
コンピュータシステム20に無線通信チャネル選択装置100としての機能を持たせる無線通信チャネル選択プログラムは、コンピュータシステム20を無線通信チャネル選択装置100として動作させる。この無線通信チャネル選択プログラムは、例えばディスク27等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されていてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、ディスク27、ICカードメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記録媒体に限定されるものではない。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、通信モジュール25又はLAN等の通信装置を介して接続されるコンピュータシステムでアクセス可能な各種記録媒体を含む。
【0034】
図4は、コンピュータシステム20の本体部21内の要部の構成を説明するブロック図である。本体部21は、バス30によって接続されたCPU31、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等を含むメモリ部32、ディスク27用のディスクドライブ33、及びハードディスクドライブ(HDD)34を含む。
【0035】
なお、コンピュータシステム20は、図3及び図4に示す構成のものに限定されず、各種周知の要素を付加してもよく、又は代替的に用いてもよい。
【0036】
図5は、無線通信チャネル選択装置100の構成を示す図である。無線通信チャネル選択装置100は、制御装置110及び通信部120を含む。制御装置110は、図3に示すコンピュータシステム20によって実現される。通信部120は、図3に示す通信モジュール25に相当し、図2に示すアクセスポイントAP1を介して図2に示すプローブP1~P4にキャプチャ命令を送信し、プローブP1~P4にてキャプチャされたパケット情報を受信する。
【0037】
制御装置110は、主制御部111、情報生成部112、チャネル選択部113、チャネル変更部114、メモリ115を有する。
【0038】
主制御部111は、制御装置110の処理を統括する処理部であり、情報生成部112、チャネル選択部113が行う処理以外の処理を実行する。また、主制御部111は、キャプチャ命令を出力する。
【0039】
情報生成部112は、CH36について、アクセスポイントAP1によってパケットがキャプチャされた干渉源1~4及び14の通信時間(第1通信時間の一例)と、干渉源1~4及び14のMAC(Media Access Control)アドレスとを含む第1リスト(第1情報の一例)を生成する。アクセスポイントAP1は、電波到達距離以下のエリア内に存在する干渉源1~4及び14が送信するパケットをキャプチャし、干渉源1~4及び14の各々の通信時間を検出する。
【0040】
情報生成部112は、このような処理を複数のチャネルの各々について行う。複数のチャネルは、ここでは一例として5GHzのWiFiのW52の4つのチャネル(CH36、CH40、CH44、CH48)である。
【0041】
このため、情報生成部112は、CH40、CH44、CH48についても、アクセスポイントAP1の電波到達距離以下のエリア内に存在する干渉源の通信時間(第1通信時間の一例)と、干渉源のMACアドレスとを含む第1リスト(第1情報の一例)を生成する。
【0042】
また、情報生成部112は、CH36について、プローブP1~P4によってパケットがキャプチャされた干渉源4~14の複数のチャネルの各々における通信時間(第2通信時間の一例)と、干渉源4~14のMACアドレスとを含む第2リスト(第2情報の一例)をプローブP1~P4の各々について生成する。
【0043】
さらに情報生成部112は、第1リストと、プローブP1~P4の各々についての第2リストとの論理和で表される論理和リスト(論理和情報の一例)をチャネル毎に生成する。論理和リストは、第1リストとプローブP1の第2リスト、第1リストとプローブP2の第2リスト、第1リストとプローブP3の第2リスト、第1リストとプローブP4の第2リストについて生成される。
【0044】
論理和リストには、チャネル毎に、第1リストに含まれるMACアドレスと、第2リストに含まれるMACアドレスとの論理和で表されるMACアドレスと、論理和で表されるMACアドレスの各々に対応した通信時間とが含まれる。
【0045】
なお、ここでは、プローブP1が第1干渉源の一例である干渉源4と、第2干渉源の一例である干渉源5及び6との電波が到達するエリア内に位置するとともに、プローブP2が第1干渉源の一例である干渉源14と、第2干渉源の一例である干渉源13との電波が到達するエリア内に位置する形態について説明する。
【0046】
このため、情報生成部112は、プローブP1については、干渉源4~6の複数のチャネルの各々における通信時間(第2通信時間の一例)と、干渉源4~6のMACアドレスとを含む第2リストを生成する。また、情報生成部112は、プローブP2については、干渉源13~14の複数のチャネルの各々における通信時間(第2通信時間の一例)と、干渉源13~14のMACアドレスとを含む第2リストを生成する。
【0047】
しかしながら、プローブP1が干渉源4の電波が到達するエリア内に位置せず、干渉源5及び6の電波が到達するエリア内に位置する場合は、プローブP1についての第2リストには、干渉源4の複数のチャネルの各々における通信時間と、干渉源4のMACアドレスとは含まれない。
【0048】
同様に、プローブP2が干渉源14の電波が到達するエリア内に位置せず、干渉源13の電波が到達するエリア内に位置する場合は、プローブP2についての第2リストには、干渉源14の複数のチャネルの各々における通信時間と、干渉源14のMACアドレスとは含まれない。
【0049】
情報生成部112は、CH40、CH44、CH48についても、プローブP1~P4によってパケットがキャプチャされる干渉源の通信時間とMACアドレスとを含む第2リストをプローブP1~P4の各々について生成し、さらに論理和リストをプローブP1~P4の各々についてチャネル毎に生成する。
【0050】
なお、情報生成部112の具体的な処理については、図6及び図7を用いて後述する。
【0051】
チャネル選択部113は、情報生成部112によって生成される複数の論理和リストの各々について、チャネル毎の論理和リストに含まれる通信時間の和を求め、チャネル毎の各論理和リストについて求めた通信時間の和の平均値を求める。チャネル毎の論理和リストに含まれる通信時間の和は、各チャネルにおいて、ある一定期間のうちに通信が行われる時間(チャネルが占有される時間)を表しており、各チャネルにおける新たな通信を行うことができない通信不可時間を表す。このため、チャネル毎の通信時間の和の平均値は、チャネル毎の平均通信不可時間である。
【0052】
チャネル選択部113は、平均通信不可時間を求めると、平均通信不可時間が最も短いチャネルを選択する。
【0053】
チャネル変更部114は、チャネル選択部113によって選択されたチャネルに変更する処理を行う。
【0054】
メモリ115は、コンピュータシステム20に無線通信チャネル選択装置100としての機能を持たせる無線通信チャネル選択プログラム、及び、無線通信チャネル選択プログラムに必要なデータ等の他に、上述のような処理において生じる第1リスト、第2リスト、及び論理和リスト等のデータを格納する。
【0055】
図6は、第1リスト及び第2リストを示す図である。図6には、一例としてCH36における第1リスト及び第2リストを示す。第1リスト及び第2リストは、干渉源のMACアドレスと、干渉源の通信時間とを関連付けたリスト形式のデータである。第1リスト及び第2リストは、情報生成部112によって生成される。
【0056】
ここでは通信時間を干渉源毎の総通信時間で表す。総通信時間(秒)は、100秒の間において、各干渉源が他の干渉源等と通信を行った時間(通信時間)の総和である。
【0057】
アクセスポイントAP1の第1リストは、干渉源1~4及び14のMACアドレスと、総通信時間とを含む。プローブP1の第2リストは、干渉源4~6のMACアドレスと、総通信時間とを含む。プローブP2の第2リストは、干渉源13~14のMACアドレスと、総通信時間とを含む。プローブP3の第2リストは、干渉源6~9のMACアドレスと、総通信時間とを含む。プローブP4の第2リストは、干渉源9~12のMACアドレスと、総通信時間とを含む。
【0058】
このように、第1リスト及び第2リストは、アクセスポイントAP1と、無線通信チャネル選択装置100からアクセスポイントAP1を介してキャプチャ命令を受信するプローブP1~P4の各々とについて、チャネル毎に作成される。CH40、CH44、CH48の第1リスト及び第2リストもアクセスポイントAP1及びプローブP1~P4の各々について作成される。
【0059】
図7は、論理和リストの生成方法を説明する図である。図7には、CH36における論理和リストの生成方法を示す。図7では図6と同様に、通信時間を干渉源毎の総通信時間(秒)で表す。論理和リストは、情報生成部112によって生成される。
【0060】
プローブP1の論理和リストは、アクセスポイントAP1の第1リストと、プローブP1の第2リストとの論理和を取ることで生成される。MACアドレスについては、アクセスポイントAP1の第1リストに干渉源1~4及び14のMACアドレスが含まれ、プローブP1の第2リストに干渉源4~6のMACアドレスが含まれ、干渉源4が両方に含まれるため、干渉源1~6及び14のMACアドレスが論理和になる。また、各干渉源の総通信時間は、第1リスト及び第2リスト内で関連付けられた値である。両方に含まれる干渉源4についての総通信時間の値は1つである。
【0061】
プローブP2の論理和リストは、アクセスポイントAP1の第1リストと、プローブP2の第2リストとの論理和を取ることで生成される。MACアドレスについては、アクセスポイントAP1の第1リストに干渉源1~4及び14のMACアドレスが含まれ、プローブP2の第2リストに干渉源13~14のMACアドレスが含まれるため、干渉源1~4及び13~14のMACアドレスが論理和になる。また、各干渉源の総通信時間は、第1リスト及び第2リスト内で関連付けられた値である。
【0062】
プローブP3の論理和リストは、アクセスポイントAP1の第1リストと、プローブP3の第2リストとの論理和を取ることで生成される。MACアドレスについては、アクセスポイントAP1の第1リストに干渉源1~4及び14のMACアドレスが含まれ、プローブP3の第2リストに干渉源6~9のMACアドレスが含まれるため、干渉源1~9及び14のMACアドレスが論理和になる。また、各干渉源の総通信時間は、第1リスト及び第2リスト内で関連付けられた値である。
【0063】
プローブP4の論理和リストは、アクセスポイントAP1の第1リストと、プローブP4の第2リストとの論理和を取ることで生成される。MACアドレスについては、アクセスポイントAP1の第1リストに干渉源1~4及び14のMACアドレスが含まれ、プローブP4の第2リストに干渉源9~12のMACアドレスが含まれるため、干渉源1~4、9~12、及び14のMACアドレスが論理和になる。また、各干渉源の総通信時間は、第1リスト及び第2リスト内で関連付けられた値である。
【0064】
このように、論理和リストは、無線通信チャネル選択装置100からアクセスポイントAP1を介してキャプチャ命令を受信するプローブP1~P4の各々について、チャネル毎に作成される。CH40、CH44、CH48の論理和リストも同様に作成される。
【0065】
図8は、通信不可時間の平均値を算出しチャネルを選択する処理を説明する図である。図8に示す論理和リストは、CH36のものである。図8に示す処理は、チャネル選択部113によって行われる。
【0066】
まず、論理和リスト毎に総通信時間の和である通信不可時間を求める。アクセスポイントAP1とプローブP1の論理和リストから求まる通信不可時間は、39(秒)であり、アクセスポイントAP1とプローブP2の論理和リストから求まる通信不可時間は、28(秒)である。アクセスポイントAP1とプローブP3の論理和リストから求まる通信不可時間は、57(秒)であり、アクセスポイントAP1とプローブP4の論理和リストから求まる通信不可時間は、45(秒)である。
【0067】
次に、各通信不可時間の平均(平均通信不可時間)を求める。CH36については42.3秒であり、CH40については36.2秒であり、CH44については50.1秒であり、CH48については80.7秒である。
【0068】
以上より、チャネル選択部113は、平均通信不可時間が最も短いCH40を選択する。
【0069】
なお、ここでは平均通信不可時間が最も短いチャネルを選択する形態について説明するが、選択するチャネルは、平均通信不可時間が最も短いチャネルに限られない。平均通信不可時間が最も短い方から所定順位内(ここでは例えば2位以内)のチャネルを選択してもよい。
【0070】
図9は、制御装置110が実行する処理を表すフローチャートを示す図である。ここでは、部屋50A(図2参照)のアクセスポイントAP1とプローブP1~P4を用いて処理を行う形態について説明する。
【0071】
主制御部111は、一連の処理を開始すると(スタート)、まず選択候補の複数のチャネルについてのループ処理を開始する。選択候補の複数のチャネルは、一例として、5GHzのWiFi(登録商標)のW52のCH36、CH40、CH44、CH48であり、一例として、まずCH36についての処理を開始する。
【0072】
情報生成部112は、第1リスト及び第2リストを作成する(ステップS1)。より具体的には、情報生成部112は、ステップS1では、アクセスポイントAP1の第1リスト、及び、プローブP1~P4の第2リスト(図6参照)を作成する。
【0073】
次いで、主制御部111は、複数のプローブについてのループ処理を開始する。複数のプローブは、一例として部屋50Aに配置されるプローブP1~P4である。
【0074】
情報生成部112は、論理和リストをプローブP1~P4の各々についてチャネル毎に生成する(ステップS2)。一例として、まずプローブP1について第1リスト及び第2リストから論理和リストを作成する(図7参照)。
【0075】
次いで、チャネル選択部113は、情報生成部112によって生成される論理和リストに含まれる通信時間の和を求める(ステップS3)。ステップS3では、図8に示す各論理和リストに含まれる通信時間の和を求める。
【0076】
主制御部111は、ステップS2及びS3を含む複数のプローブについてのループ処理をすべてのプローブP1~P4について行い、プローブP1~P4についてのループ処理が終了すると、フローをステップS4に進行させる。
【0077】
チャネル選択部113は、各論理和リストについて求めた通信時間の和の平均値(平均通信不可時間)を求める(ステップS4)。
【0078】
主制御部111は、選択候補の複数のチャネルのすべてについてのループ処理を行うように、情報生成部112及びチャネル選択部113にステップS1~S4のフローを繰り返し実行させ、すべてのチャネルについての処理を終えて平均通信不可時間を求めると、フローをステップS5に進行させる。
【0079】
チャネル選択部113は、平均通信不可時間が最も短いチャネルを選択する(ステップS5)。
【0080】
次いで、チャネル選択部113は、選択したチャネルが現在通信に利用しているチャネルと等しいかどうかを判定する(ステップS6)。現在通信に利用しているチャネルとは、現時点で、アクセスポイントAP1及びプローブP1~P4の間での通信に利用しているチャネルのことであり、ここでは一例として、5GHzのWiFi(登録商標)のCH36、CH40、CH44、CH48のうちのいずれか1つである。
【0081】
チャネル選択部113は、選択したチャネルが現在通信に利用しているチャネルと等しくない(S6:NO)と判定すると、主制御部111によってプローブP1~P4へのキャプチャ命令の送信が開始されたかどうかを判定する(ステップS7)。
【0082】
チャネル選択部113は、キャプチャ命令の送信が開始された(S7:YES)と判定すると、プローブP1~P4へのキャプチャ命令の送信が完了したどうかを判定する(ステップS8)。
【0083】
チャネル選択部113は、キャプチャ命令の送信が完了した(S8:YES)と判定すると、通信に利用するチャネルをステップS5で選択したチャネルに変更する(ステップS9)。
【0084】
以上で一連の処理が終了する(エンド)。
【0085】
なお、チャネル選択部113は、ステップS6で選択したチャネルが現在通信に利用しているチャネルと等しい(S6:YES)と判定すると、処理を終了する(エンド)。チャネルを変更する必要がないからである。
【0086】
また、チャネル選択部113は、ステップS7でキャプチャ命令の送信が開始されていない(S7:NO)と判定すると、ステップS7の処理を繰り返し実行する。キャプチャ命令の送信が開始されるまで待つためである。
【0087】
また、チャネル選択部113は、ステップS8でキャプチャ命令の送信が完了していない(S8:NO)と判定すると、ステップS8の処理を繰り返し実行する。キャプチャ命令の送信が完了するまで待つためである。
【0088】
図10は、チャネルを切り替える処理を示すタイミングチャートである。図10において、横軸は時間である。図10には、無線通信チャネル選択装置100、プローブP1~P4の動作を示す。
【0089】
まず、時刻t1において無線通信チャネル選択装置100がキャプチャ命令を送信すると、時刻t2においてプローブP1~P4がパケットキャプチャを実行し、時刻t3においてキャプチャしたパケット(キャプチャ結果)を無線通信チャネル選択装置100に送信する。そして、時刻t4においてサーバはキャプチャ結果を解析する。
【0090】
また、時刻t5において無線通信チャネル選択装置100がキャプチャ命令を送信すると、時刻t6においてプローブP1~P4がパケットキャプチャを実行し、時刻t7においてキャプチャしたパケット(キャプチャ結果)を無線通信チャネル選択装置100に送信する。そして、時刻t8においてサーバはキャプチャ結果を解析する。このような処理が繰り返し行われることになる。
【0091】
ここで、プローブP1~P4がパケットキャプチャを実行する時刻t2~t3と時刻t6~t7は、無線通信チャネル選択装置100及びプローブP1~P4が通信を行っていない期間である。
【0092】
このため、無線通信チャネル選択装置100は、プローブP1~P4がパケットキャプチャを実行している期間中にプローブP1~P4のチャネルを変更すればよい。
【0093】
なお、プローブP1~P4におけるパケットキャプチャを同時に行うことで同期したキャプチャ結果が得られる。このためには、無線通信チャネル選択装置100が送信するキャプチャ命令がプローブP1~P4に確実に到達し、再送を行わないで済むことが好ましい。
【0094】
また、いずれかの干渉源の位置を特定(測位)するためには、3つ以上のキャプチャ結果を取得すればよい。
【0095】
以上のように、実施の形態によれば、アクセスポイントAP1の第1リストと、プローブP1~P4の第2リストとの論理和を取った論理和リストをアクセスポイントAP1とプローブP1、アクセスポイントAP1とプローブP2、アクセスポイントAP1とプローブP3、アクセスポイントAP1とプローブP4についてチャネル毎に生成する。
【0096】
そして、各論理和リストに含まれる総通信時間の和を求め、さらにチャネル毎に総通信時間の和の平均(平均通信不可時間)を求め、平均通信不可時間が最も短いチャネルを選択する。
【0097】
このように、アクセスポイントAP1の第1リストと、プローブP1~P4の第2リストとの論理和を取った論理和リストを用いるため、アクセスポイントAP1とはキャリアセンスを行うことができない隠れ干渉源を考慮してチャネルを選択することができる。
【0098】
したがって、隠れ干渉源の影響を考慮して、適切な通信が可能なチャネルを選択できる無線通信チャネル選択システム100A、及び、無線通信チャネル選択装置100を提供することができる。
【0099】
アクセスポイントAP1の電波が到達するエリア外に隠れ干渉源5~13があるような環境においても、隠れ干渉源5~13を監視することができ、無線通信チャネル選択装置100及びプローブP1~P4の間で適切な通信が可能なチャネルを選択することができる。
【0100】
また、無線通信チャネル選択装置100は、アクセスポイントAP1を介して入手するパケットに基づき、干渉源の位置及び障害等を解析することができる。
【0101】
また、プローブP1~P4がパケットキャプチャを実行している期間中にチャネルを変更すれば、無線通信チャネル選択装置100がキャプチャ結果を確実に取得することができ、パケットロス等の通信障害を生じさせることなく、無線通信チャネル選択装置100及びプローブP1~P4が通信に用いるチャネルを変更することができる。
【0102】
なお、アクセスポイントAP1の第1リストと、プローブP1~P4の第2リストとの論理和を取った論理和リストをチャネル毎に生成する際に重み付けを行ってもよい。
【0103】
図11は、実施の形態の変形例による重み付けを用いた論理和リストの生成方法を説明する図である。ここでは、アクセスポイントAP1の第1リストに含まれておらず、プローブP1~P4の第2リストに含まれている干渉源の総通信時間を1.5倍にする重みを付けている。重みは1.5である。プローブP1~P4の第2リストにもに含まれる干渉源は隠れ干渉源であり、アクセスポイントAP1の第1リストと、プローブP1~P4の第2リストとに共通する干渉源に比べてパケットの衝突による再送信のようなオーバヘッドの負荷が大きくなると考えられるため、重みを付けている。なお、重みは1よりも大きければよく、1.5に限られるものではない。
【0104】
このように、隠れ干渉源の総通信時間に重みを付けてチャネルを選択すれば、隠れ干渉源の影響がより少ないチャネルを選択することができる。
【0105】
したがって、隠れ干渉源の影響を考慮して、適切な通信が可能なチャネルを選択できる無線通信チャネル選択システム100A、及び、無線通信チャネル選択装置100を提供することができる。
【0106】
また、以上では、各論理和リストに含まれる総通信時間の和を求め、さらにチャネル毎に総通信時間の和の平均(平均通信不可時間)を求め、平均通信不可時間が最も短いチャネルを選択する形態について説明した。
【0107】
しかしながら、このような形態には限られず、例えば次のように変形してもよい。図12は、実施の形態の変形例によるチャネルの選択の仕方を説明する図である。
【0108】
図12では、チャネル毎に論理和リスト毎に総通信時間の和である通信不可時間を求め、チャネル毎に通信不可時間の最大値(最大通信不可時間)を求めている。一例として、CH36の場合は、4つの通信不可時間が39(秒)、28(秒)、57(秒)、45(秒)であるため、最大値である57(秒)が最大通信不可時間になる。
【0109】
他のチャネルについても同様に最大通信不可時間を求め、最大通信不可時間が最も短いチャネルを選択すればよい。図12ではCH40が選択されることになる。
【0110】
このように、最大通信不可時間が最も短いチャネルを選択する形態においても、アクセスポイントAP1とはキャリアセンスを行うことができない隠れ干渉源を考慮してチャネルを選択することができる。
【0111】
したがって、隠れ干渉源の影響を考慮して、適切な通信が可能なチャネルを選択できる無線通信チャネル選択システム100A、及び、無線通信チャネル選択装置100を提供することができる。
【0112】
以上、本発明の例示的な実施の形態の無線通信チャネル選択システム、及び、無線通信チャネル選択装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
第1通信端末が存在する第1電波到達エリアを有するアクセスポイントと、
前記第1電波到達エリア外に存在する第2通信端末の第2電波到達エリアと、前記第1電波到達エリアとの重複エリアに設置されるデータ収集端末と、
前記アクセスポイントによってデータが収集される前記第1通信端末の複数のチャネルの各々における第1通信時間を含む第1情報と、前記データ収集端末によってデータが収集される前記第2通信端末の前記複数のチャネルの各々における第2通信時間、又は、前記データ収集端末によってデータが収集される前記第1通信端末及び前記第2通信端末の前記複数のチャネルの各々における第2通信時間を含む第2情報との論理和で表される論理和情報を前記チャネル毎に生成する情報生成部と、
前記チャネル毎に生成される論理和情報に含まれる時間が短い方から所定順位内のチャネルを選択するチャネル選択部と
を含む、無線通信チャネル選択システム。
(付記2)
前記論理和情報は、前記時間と前記第1通信端末及び前記第2通信端末のアドレス情報とを含む、付記1記載の無線通信チャネル選択システム。
(付記3)
前記チャネル選択部は、前記第1通信時間と、前記第2通信時間のうちの前記第2通信端末の通信時間とを加算した合計時間を前記チャネル毎に求め、前記合計時間が短い方から前記所定順位内のチャネルを選択する、付記1又は2記載の無線通信チャネル選択システム。
(付記4)
前記チャネル選択部は、前記第1通信時間と、前記第2通信時間のうちの前記第2通信端末の通信時間とを加算した合計時間を求める際に、前記第2通信端末の通信時間に重みW(W>1)を乗じる、付記3記載の無線通信チャネル選択システム。
(付記5)
前記データ収集端末は複数あり、
前記情報生成部は、前記複数のデータ収集端末毎に、前記論理和情報を前記チャネル毎に生成し、
前記チャネル選択部は、前記複数のデータ収集端末毎の前記合計時間の平均時間を求め、前記平均時間が短い方から前記所定順位内のチャネルを選択する、付記3又は4記載の無線通信チャネル選択システム。
(付記6)
前記データ収集端末は複数あり、
前記情報生成部は、前記複数のデータ収集端末毎に、前記論理和情報を前記チャネル毎に生成し、
前記チャネル選択部は、前記複数のデータ収集端末毎の前記合計時間のうちの最大の合計時間が短い方から前記所定順位内のチャネルを選択する、付記3又は4記載の無線通信チャネル選択システム。
(付記7)
前記所定順位は1位である、付記1乃至6のいずれか一項記載の無線通信チャネル選択システム。
(付記8)
前記データ収集端末がパケットキャプチャを実行している期間内に、前記チャネル選択部によって選択されたチャネルに変更するチャネル変更部をさらに含む、付記1乃至7のいずれか一項記載の無線通信チャネル選択システム。
(付記9)
第1通信端末が存在する第1電波到達エリアを有するアクセスポイントによってデータが収集される前記第1通信端末の複数のチャネルの各々における第1通信時間を含む第1情報と、前記第1電波到達エリア外に存在する第2通信端末の第2電波到達エリアと前記第1電波到達エリアとの重複エリアに設置されるデータ収集端末によってデータが収集される前記第2通信端末の前記複数のチャネルの各々における第2通信時間、又は、前記データ収集端末によってデータが収集される前記第1通信端末及び前記第2通信端末の前記複数のチャネルの各々における第2通信時間を含む第2情報との論理和で表される論理和情報を前記チャネル毎に生成する情報生成部と、
前記チャネル毎に生成される論理和情報に含まれる時間が短い方から所定順位内のチャネルを選択するチャネル選択部と
を含む、無線通信チャネル選択装置。
【符号の説明】
【0113】
AP1 アクセスポイント
P1~P4 プローブ
100 無線通信チャネル選択装置
100A 無線通信チャネル選択システム
110 制御装置
111 主制御部(チャネル変更部)
112 情報生成部
113 チャネル選択部
120 通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12