(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/52 20060101AFI20230711BHJP
B65D 5/02 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
B65D5/52 K
B65D5/02 K
(21)【出願番号】P 2019224983
(22)【出願日】2019-12-13
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 幸雄
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02179933(EP,A1)
【文献】英国特許出願公開第02364995(GB,A)
【文献】実開昭54-116127(JP,U)
【文献】登録実用新案第3223268(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/52
B65D 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面と底面との間において周壁を構成する少なくとも1つの側板と、
前記側板の天面側罫線に連接され、前記側板の内側に位置される内板と、
前記側板において、前記天面側罫線から底面側罫線の方向に向かって構成される開口部であって、前記内板を外方に臨ませる前記開口部と、
前記側板において、前記開口部を構成するため前記側板から分離可能に構成され、前記内板と前記天面側罫線を介して連接される天面フラップとを備え、
前記天面側罫線は、前記側板に対して前記内板を折曲可能にする第1部分と、前記内板に対して前記天面フラップを折曲可能にする第2部分とを備え、
前記側板は、前記開口部を構成する
前記天面側罫線から底面側罫線の方向に向かって延びる縁部
であって前記底面側罫線よりも前記天面側罫線に近い特定位置と前記天面側罫線における前記内板の両角部または両角部よりもさらに外側位置とを繋ぐ切断線を備える
とともに、前記特定位置から前記開口部の内側に突出した摘み部を備えている
包装箱。
【請求項2】
前記内板は、先端部が前記底面に当接している
請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記側板に隣接する隣接側板において、前記天面側罫線を介して連接され、かつ、前記天面フラップと共に前記天面を構成する更なる天面フラップを備え、
前記更なる天面フラップの位置における前記天面側罫線は、切断可能線で構成されている
請求項1
または2に記載の包装箱。
【請求項4】
相対する一対の側板の各々が前記開口部と前記内板と前記天面フラップとを備えている
請求項1ないし
3のうち何れか1項に記載の包装箱。
【請求項5】
相対する一対の側板のうち一方の側板が前記開口部と前記内板と前記天面フラップとを備え、
前記天面フラップは内フラップであって、
他方の側板は、前記天面側罫線を介して前記天面を構成する蓋部材としての天面外フラップを備えている
請求項1ないし
3のうち何れか1項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送用の箱を展示用にも使用可能な包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、輸送用の箱を展示用にも使用可能な包装箱が記載されている。この種の包装箱では、箱本体の側面や天井面に、ミシン目で構成された切断線で囲まれた切除領域が設けられ、展示には、切除領域を切除することによって開口部を構成する。そして、開口部からは、内部に収納されている商品などが外方に臨むように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1などの包装箱においては、輸送状態で店舗などに輸送されると、展示状態に切り替えて、展示される。したがって、この種の包装箱にあっては、輸送状態から展示状態に変更する作業が容易であることが望まれる。
【0005】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、輸送状態から展示状態への変更作業を容易に行うことを可能にした包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための包装箱は、天面と底面との間において周壁を構成する少なくとも1つの側板と、前記側板の天面側罫線に連接され、前記側板の内側に位置される内板と、前記側板において、前記天面側罫線から底面側罫線の方向に向かって構成される開口部であって、前記内板を外方に臨ませる開口部と、前記側板において、前記開口部を構成するため前記側板から分離可能に構成され、前記内板と前記天面側罫線を介して連接される天面フラップとを備え、前記天面側罫線は、前記側板に対して前記内板を折曲可能にする第1部分と、前記内板に対して前記天面フラップを折曲可能にする第2部分とを備え、前記側板は、前記開口部を構成する縁部の特定位置と前記天面側罫線における前記内板の両角部または両角部よりもさらに外側位置とを繋ぐ切断線を備える。上記構成によれば、内板および天面フラップを切断線を介して切除することで、包装箱を輸送に適した輸送状態から展示に適した展示状態に変更することができる。
【0007】
上記包装箱において、前記内板は、先端部が前記底面に当接している構成としてもよい。上記構成によれば、輸送状態において、側板は内側より内板によって補強される。
上記包装箱において、前記側板は、前記切断線に繋がる前記開口部の内側に突出した摘み部を備えている構成としてもよい。上記構成によれば、包装箱を展示状態にするとき、摘み部を摘んで切断線を容易に切断できる。
【0008】
上記包装箱において、前記側板に隣接する隣接側板において、前記天面側罫線を介して連接され、かつ、前記天面フラップと共に前記天面を構成する更なる天面フラップを備え、前記更なる天面フラップの位置における前記天面側罫線は、切断可能線で構成されているようにしてもよい。上記構成によれば、天面フラップは、天面側罫線を構成する切断可能線で隣接側板から容易に切除することができる。
【0009】
上記包装箱において、相対する一対の側板の各々が前記開口部と前記内板と前記天面フラップとを備えている構成としてもよい。上記構成によれば、展示状態において、一対の側板の何れを正面にして展示しても、開口部から収納物を外方に臨ませて展示することができる。
【0010】
上記包装箱において、相対する一対の側板のうち一方の側板が前記開口部と前記内板と前記天面フラップとを備え、前記天面フラップは内フラップであって、他方の側板は、前記天面側罫線を介して前記天面を構成する蓋部材としての天面外フラップを備えている構成としてもよい。上記構成によれば、蓋部材を開き、さらに、内板および天面フラップは切断線を介して切除することで、包装箱を輸送状態から展示状態に変更することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、輸送状態から展示状態への変更作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態としての包装箱であって、輸送状態を示す斜視図。
【
図2】第1実施形態としての包装箱であって、展示状態を示す斜視図。
【
図3】第1実施形態としての包装箱を製造するブランクシートの平面図。
【
図4】第1実施形態としての包装箱の組立方法を説明する図であって、底面がくみ上げられた状態を示す斜視図。
【
図5】
図4の続きであって、天面フラップを側板の上側に位置させ、内板を側板の内側に位置させた状態を示す斜視図。
【
図6】
図5の続きであって、天面フラップを折曲した状態を示す斜視図。
【
図7】展示状態にするため摘み部を切断した状態を示す斜視図。
【
図8】天面フラップと内板を切除した状態を示す斜視図。
【
図9】第2実施形態としての包装箱を製造するブランクシートの平面図。
【
図10】第3実施形態としての包装箱を製造するブランクシートの平面図。
【
図11】第3実施形態としての包装箱の組立方法を説明する図であって、底面がくみ上げられた状態を示す斜視図。
【
図12】第3実施形態としての包装箱であって、輸送状態を示す斜視図。
【
図13】第3実施形態としての包装箱であって、展示状態を示す斜視図。
【
図14】第4実施形態としての包装箱を製造するブランクシートの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明が適用された包装箱を
図1ないし
図14を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、包装箱10は、商品輸送時などに使用する輸送箱として使用されるとともに、店頭での商品陳列時にも使用される包装箱である。
【0014】
図1に示すように、包装箱10は、第1側板としての前側板11と、第2側板としての右側板12と、第3側板としての後側板13と、第4側板として左側板14とを備え、これらの側板11~14が天面と底面との間に位置する周壁を構成する。前側板11および後側板13は、相対する側面であって長さ面を構成し、右側板12および左側板14は、相対する側面であって幅面を構成する。右側板12および左側板14は、前側板11および後側板13に対し隣接する隣接側板である。
【0015】
包装箱10の底面は、前側板11に連接された前底面フラップ16と、右側板12に連接された右底面フラップ17と、後側板13に連接された後底面フラップ18と、左側板14に連接された左底面フラップ19とを組み合わせて構成される。包装箱10の天面は、前側板11に連接される前天面フラップ21(
図3,5参照)と、右側板12に連接される右天面フラップ22と、後側板13に連接される後天面フラップ23(
図3,5参照)と、左側板14に連接される左天面フラップ24とを組み合わせて構成される。
【0016】
前側板11は、天面側の上縁から底面側に向かって切り欠かれた前開口部41を備え、前開口部41は、前側板11の内側から前内板42で塞がれている。後側板13も、天面側の上縁から底面側に向かって切り欠かれた後開口部43を備え、後開口部43は、後側板13の内側から後内板44で塞がれている。前天面フラップ21は、前開口部41を構成するための打抜線の内側に構成され、後天面フラップ23は、後開口部43を構成するための打抜線の内側に構成されている。
【0017】
前側板11には、前開口部41の縁部であって天面に近い2つの特定位置から前内板42の天面側の基端側両角部とを繋ぐ前切断線45を備えている。後側板13には、後開口部43の縁部であって天面に近い特定位置から後内板44の天面側の基端側両角部とを繋ぐ後切断線46を備えている。
【0018】
包装箱10は、
図1に示す輸送状態で輸送され、展示時は、
図2に示す展示状態となる。すなわち、輸送状態では、前開口部41が前側板11の内側から前内板42で塞がれ、後開口部43が後側板13の内側から後内板44で塞がれて、内部の収納物が隠れた状態となっている。展示状態にするとき、包装箱10は、前切断線45を切断するとともに、後切断線46を切断する。これにより、前側板11からは前内板42および前天面フラップ21が除去され、前開口部41が開放された状態となる。また、後側板13からは後内板44および後天面フラップ23が除去され、後開口部43が開放された状態となる。また、右天面フラップ22が右側板12から除去され、左天面フラップ24が左側板14から除去される。これにより、包装箱の前面、天面、後面に亘る領域が開口され、当該開口部から包装箱10に収納されている収納物9が露出される。
【0019】
図3は、包装箱10のブランクシート1である。
ブランクシート1は、前側板11、右側板12、後側板13、左側板14がこの順に並んでいる。前側板11には、底面側に、前底面フラップ16が連接され、天面側に、前内板42が連接されている。左側板14には、底面側に、左底面フラップ19が連接され、天面側に、左天面フラップ24が連接されている。後側板13には、底面側に、後底面フラップ18が連接され、天面側に、後内板44が連接されている。左側板14には、底面側に、左底面フラップ19が連接され、天面側に、左天面フラップ24が連接されている。
【0020】
側板11~14に対して底面フラップ16~19は、側板11~14の下縁部に位置する底面側罫線31によって折曲可能である。底面側罫線31は、切断を前提としない圧縮溝で構成されている。天面フラップ21~24は、側板11~14の上縁部に位置する天面側罫線32によって折曲可能である。天面側罫線32は、前天面フラップ21および後天面フラップ23の位置が切断を前提としない圧縮溝で構成された折線32aであり、右天面フラップ22および左天面フラップ24の位置が切断可能線である破断線32bである。破断線32bは、一例として、鍵形に屈曲した切れ目が並んで構成されている。
【0021】
前面および後面側の辺である折線32aは、第1部分32xと第2部分32yとを備えている。第1部分32xは、内板42,44を支持する部分であって、第2部分32yは、前後の天面フラップ21,23を支持する部分である。すなわち、第1部分32xは、前面側の辺および後面側の辺において、両側に位置し、内板42,44を折曲可能に支持し、第2部分32yは、各辺2つの第1部分32xの間に位置し、前後の天面フラップ21,23を折曲可能に支持する。
【0022】
また、右側板12は、前側板11に対して第1罫線33によって折曲可能であり、後側板13は、右側板12に対して第2罫線34によって折曲可能であり、左側板14は、後側板13に対して第3罫線35によって折曲可能である。前側板11の高さ方向の側縁には、継ぎしろ26が設けられており、継ぎしろ26は、第4罫線36によって前側板11に対して折曲可能である。継ぎしろ26は、接着剤、ステープル、粘着テープなどの接着手段で左側板14と接続される。罫線33~36は、切断を前提としない圧縮溝で構成されている。
【0023】
前側板11は、天面側罫線32上に2つの端部を配置した第1切断線としての前打抜線37を備えている。前打抜線37は、貫通しかつ連続した線である。前打抜線37は、天面側罫線32のうち、第1罫線33および第4罫線36に近い位置に2つの端部が位置し、底面側罫線31の方向に台形形状をなすように延在している。天面側罫線32および前打抜線37で囲まれた領域は、前天面フラップ21となる部分である。また、前側板11は、前打抜線37の天面に近い特定位置から前内板42の天面側の基端側両角部とを繋ぐ第2切断線としての前切断線45を備えている。前内板42の天面側の基端側両角部は、天面側罫線32の前面側の辺における両端部でもある。そして、前切断線45の延長線上には、天面側罫線32および前打抜線37で囲まれた領域に入り込むように前摘み部37aが設けられている。
【0024】
後側板13も、天面側罫線32上に2つの端部を配置した第1切断線としての後打抜線38を備えている。後打抜線38も、貫通しかつ連続した線である。後打抜線38は、天面側罫線32のうち、第2罫線34および第3罫線35に近い位置に2つの端部が位置し、底面側罫線31の方向に台形形状をなすように延在している。天面側罫線32および後打抜線38で囲まれた領域は、後天面フラップ23となる部分である。また、後側板13は、後打抜線38の天面に近い特定位置から後内板44の天面側の基端側両角部とを繋ぐ第2切断線としての後切断線46を備えている。後内板44の天面側の基端側両角部は、天面側罫線32の後面側の辺における両端部でもある。そして、後切断線46の延長線上には、天面側罫線32および後打抜線38で囲まれた領域に入り込むように後摘み部38aが設けられている。
【0025】
ブランクシート1は、包装箱10の表面に印刷が施される。ただし、内板42,44は、開口部41,43から内面が外方に臨まされる。このため、内板42,44の内面に印刷が施されていれば、当該印刷が開口部41,43から外方に臨むことになる。
【0026】
次に、包装箱10の組立方法について説明する。
図4に示すように、継ぎしろ26で前側板11と左側板14とを接続して筒状とし、次いで、右底面フラップ17および左底面フラップ19を底面側罫線31で折曲し、次いで、前底面フラップ16および後底面フラップ18を底面側罫線31で折曲する。前底面フラップ16は、先端部に係合突部16aを備え、後底面フラップ18は、先端部に係合凹部18aを備えている。底面は、係合突部16aと係合凹部18aとを係合させることにより構成される。そして、天面側は、前側板11からは前内板42が上方に延び、右側板12からは右天面フラップ22が上方に延び、後側板13からは後内板44が上方に延び、左側板14からは左天面フラップ24が上方に延びた状態となる。
【0027】
図5に示すように、前側板11において、天面側罫線32を軸として、前打抜線37で囲まれた前天面フラップ21を内側から外側に、前内板42を外側から内側に向かって回転させ、前天面フラップ21を前側板11から分離させて、前側板11の上側に位置させ、前内板42を前側板11の内側に位置させる。また、後側板13において、天面側罫線32を軸として、後打抜線38で囲まれた後天面フラップ23を内側から外側に、後内板44を外側から内側に向かって回転させ、後天面フラップ23を後側板13から分離させて、後側板13の上側に位置させ、後内板44を後側板13の内側に位置させる。
【0028】
このとき、内板42,44が天面側罫線32の中でも第1部分32xで側板11,13に対して折曲される。これにより、前側板11の前開口部41は、前内板42によって内側から塞がれ、後側板13の後開口部43は、後内板44によって内側から塞がれる。前内板42および後内板44は、先端部が底面に当接し、前面および後面を補強した状態となる。
【0029】
図5に示す状態で、包装箱10は、収納物9が収納可能な状態となる。包装箱10の前面は、前開口部41の周囲において前側板11の表面に印刷されたデザインが外方に表れるが、前開口部41からは、前内板42の内面に印刷されたデザインが外方に表れることになる。同様に、包装箱10の後面は、後開口部43の周囲において後側板13の表面に印刷されたデザインが外方に表れるが、後開口部43からは、後内板44の内面に印刷されたデザインが外方に表れることになる。
【0030】
収納物9が収納されると、
図6に示すように、天面側罫線32の第2部分32yを介して前天面フラップ21および後天面フラップ23を内側に折曲する。前天面フラップ21および後天面フラップ23は、内フラップであり、重ね合わせフラップである。次いで、右天面フラップ22および左天面フラップ24を天面側罫線32の破断線32bの部分で内側に折曲する。右天面フラップ22および左天面フラップ24は、外フラップであり、突き合わせフラップである。そして、右天面フラップ22および左天面フラップ24は、接着剤、ステープル、粘着テープなどの接着手段で封かんされ、輸送状態となる(
図1参照)。この状態で、包装箱10は、輸送される。
【0031】
商品の展示時においては、
図7に示すように、前側板11は、前摘み部37aを起点に前切断線45が切断される。これにより、
図8に示すように、前側板11に対して、天面側罫線32の第1部分32xが除去され、前天面フラップ21および前内板42が切除される。同様に、後側板13も、後摘み部38aを起点に後切断線46が切断される。これにより、後側板13に対して、天面側罫線32の第1部分32xが除去され、後天面フラップ23および後内板44が切除される。さらに、右天面フラップ22および左天面フラップ24も、破断線32bが切断されることで、右側板12および左側板14から切除される。これにより、
図2に示すように、包装箱10は、収納物9が露出され、商品棚などに陳列される。
【0032】
以上のような包装箱10によれば以下に列挙する効果を得ることができる。
(1-1)包装箱10は、切断線45,46を切断するだけで、天面フラップ21,23および内板42,44を切除することができる。したがって、包装箱10は、輸送状態から展示状態への変更作業が容易である。
【0033】
(1-2)輸送状態において、包装箱10の前面および後面は、側板11,13の表面に印刷されたデザインが外方に表れるが、開口部41,43からは、内面に印刷されたデザインが外方に表れることになる。これにより、包装箱10のデザイン上の自由度を高めることができる。
【0034】
(1-3)輸送状態において、包装箱10の前面および後面は、開口部41,43を有する前後の側板11,13と前内板42の二重構造となる。したがって、包装箱10は、輸送状態における強度を高めることができる。
【0035】
(1-4)輸送状態において、包装箱10の前面および後面は、開口部41,43が内板42,44で塞がれており、脆弱な箇所は小さな切断線45,46だけである。したがって、輸送時などに包装箱10の前面や後面に障害物などが当たったときにも、その外力で切断線45,46が破れ、部分的であれ収納物9が露出することを防止できる。
【0036】
(1-5)輸送状態において、内板42,44の先端部が包装箱10の底面に当接することで、前面および後面を補強することができる。
(1-6)包装箱10を展示状態にするとき、摘み部37a,38aを摘んで切断線45,46を容易に切断できる。
【0037】
(1-7)包装箱10を展示状態にするとき、右天面フラップ22および左天面フラップ24は、天面側罫線32を構成する破断線32bで右側板12および左側板14から容易に切除することができる。
【0038】
(1-8)包装箱10が展示状態のとき、包装箱10は、前面側から前天面フラップ21および前内板42が切除され、後面側から後天面フラップ23および後内板44が切除される。さらに、右天面フラップ22および左天面フラップ24も切除することができる。したがって、包装箱10は、収納物9を露出させる範囲を大きくすることができる。そして、包装箱10は、前面、後面の何れを前にして載置しても、前側に位置した開口部から収納物9を露出させることができる。
【0039】
〔第2実施形態〕
図9は、第2実施形態における包装箱10のブランクシート1を示している。
第1実施形態では、前天面フラップ21および後天面フラップ23が重ね合わせフラップであったが、第2実施形態では、ここでは前天面フラップ21の先端部と後天面フラップ23の先端部が突き当たる突き合わせフラップとなっている。
【0040】
このため、ブランクシート1において、前天面フラップ21の天面側罫線32から先端までの距離L1が前開口部41の天面側罫線32から底面側罫線31に最も近い縁部までの距離L2より短くなる。したがって、ブランクシート1の状態において、前側板11には前貫通孔48が形成される。同様に、後天面フラップ23の天面側罫線32から先端までの距離L1が後開口部43の天面側罫線32から底面側罫線31に最も近い縁部までの距離L2より短くなる。したがって、ブランクシート1の状態において、後側板13には後貫通孔49が形成される。以上のような第2実施形態によっても第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0041】
なお、上記第1実施形態~第2実施形態は以下のように適宜変更して実施することもできる。
・展示状態において、右天面フラップ22および左天面フラップ24も右側板12および左側板14から切除されなくてもよい。この場合、天面側罫線32において、右天面フラップ22および左天面フラップ24を支持する部分は、ミシン目で構成せず、他の構成の切断可能線であってもよい。
【0042】
・天面側罫線32において、右天面フラップ22および左天面フラップ24を支持する部分は、切断を前提としない溝で構成してもよい。
・前摘み部37aおよび後摘み部38aは、形状や大きさが異なっていなくてもよいし、前摘み部37aおよび後摘み部38aのうちの何れか一方を省略してもよいし、前摘み部37aおよび後摘み部38aの両方を省略してもよい。
【0043】
・開口部41,43の形状は、台形形状に限定されるものではない。また、大きさも、特に限定されるものではない。さらに、前開口部41と後開口部43の形状や大きさは同じでなくてよい。
【0044】
・前内板42および後内板44は、開口部41,43を塞ぐことができる大きさを有していれば、先端部が包装箱10の底面に当接しなくてもよい。
・切断線45,46は、内板42,44を側板11,13から切除できるように設けられていればよい。すなわち、切断線45,46は、打抜線37,38の天面に近い特定位置から内板42,44の天面側の基端側両角部よりさらに外側位置とを繋ぐものであってもよい。より具体的に、切断線45,46は、特定位置から天面側罫線32上であって、内板42,44の天面側の基端側両角部さらに外側で、かつ、前面および後面の両角部より内側の位置を繋ぐものであってもよい。
【0045】
・切断線45,46は、開口部41,43の縁部であって天面に近い2つの特定位置から延びる構成に限定されるものではない。例えば、切断線45,46は、開口部41,43の底面に近い位置から延びるものであってもよい。
【0046】
・第1切断線としての前打抜線37および後打抜線38は、天面フラップ21および天面フラップ23を前側板11および後側板13から容易に分離可能であればよく、ミシン目などで構成されていてもよい。
【0047】
・開口部41,43、内板42,44、および、天面フラップ21,23の構成は、包装箱10の前側板11および後側板13に設けるのではなく、右側板12および左側板14に設けるようにしてもよい。また、前側板11および後側板13のうちの何れか一方だけに設けるようにしてもよい。さらに、右側板12および左側板14のうちの何れか一方だけに設けるようにしてもよい。さらに、前側板11および右側板12や後側板13および左側板14のように互いに隣接する側板に設けるようにしてもよい。さらに、周壁を構成する4つの側板全てに設けるようにしてもよい。
【0048】
〔第3実施形態〕
図10~
図13は、第3実施形態における包装箱10のブランクシート1を示している。第3実施形態における包装箱10では、前側板11に連接された前天面フラップ51が天面外フラップであって、輸送状態での蓋部材になる。
【0049】
図10は、第3実施形態における包装箱10のブランクシート1を示す。
前側板11は、天面側罫線32を介して前天面フラップ51を備えている。そして、前天面フラップ51の先端部は、差込片52を備えている。差込片52は、第5罫線53を介して設けられている。前側板11には、上述した第1実施形態および第2実施形態における包装箱10の前側板11のように、前側板11内に前天面フラップは設けられておらず、また、前内板42も設けられていない。
【0050】
後側板13は、第1実施形態と同じ構成を備えている。すなわち、後側板13は、後打抜線38を備えている。天面側罫線32および後打抜線38で囲まれた領域は、後天面フラップ23となる領域である。また、後側板13は、後切断線46を備え、後切断線46の延長線上には、後摘み部38aを備えている。ただし、後天面フラップ23の基端部である天面側罫線32は、差込孔54を備えている。
【0051】
以上のような、第3実施形態における包装箱10は、次のように組み立てられる。
底面を組み立てると、天面側は、前側板11からは前天面フラップ51が上方に延び、右側板12からは右天面フラップ22が上方に延び、後側板13からは後内板44が上方に延び、左側板14からは左天面フラップ24が上方に延びた状態となる。
【0052】
そして、
図11に示すように、後側板13において、天面側罫線32を軸として、後打抜線38で囲まれた後天面フラップ23を内側から外側に、後内板44を外側から内側に向かって回転させ、後天面フラップ23を後側板13から分離させて、後側板13の上側に位置させ、後内板44を後側板13の内側に位置させる。これにより、後側板13の後開口部43は、後内板44によって内側から塞がれる。包装箱10は、この状態で、収納物9が収納されることになる。
【0053】
図12に示すように、収納物9が収納されると、天面側罫線32を介して、右天面フラップ22および左天面フラップ24を内側に折曲する。また、後天面フラップ23を天面側罫線32の第2部分32yを介して内側に折曲する。そして、前天面フラップ21を天面側罫線32を介して内側に折曲し、差込片52を差込孔54に挿入する。これにより、包装箱10は、輸送状態となり、輸送される。
【0054】
商品の展示時においては、
図13に示すように、後側板13は、後摘み部38aを起点に後切断線46が切断される。これにより、後側板13に対して、第2部分32yが除去され、後天面フラップ23および後内板44が切除される。また、差込孔54からは、差込片52が外れる。これにより、前天面フラップ51は、開く状態となる。さらに、右天面フラップ22および左天面フラップ24も破断線32bで右側板12および左側板14から切除される。これにより、包装箱10は、収納物9が露出され、商品棚などに陳列される。
【0055】
以上のような包装箱10によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(3-1)包装箱10の後面は、後側板13の表面に印刷されたデザインが外方に表れるが、前開口部41および後開口部43を塞ぐ後内板44は、内面に印刷されたデザインが外方に表れることになる。これにより、包装箱10のデザイン上の自由度を高めることができる。
【0056】
(3-2)輸送状態において、包装箱10の後面は、後側板13と後内板44との二重構造となり、強度を高めることができる。
(3-3)輸送状態において、包装箱10の後面は、後開口部43が後内板44で塞がれており、脆弱な箇所は小さな後切断線46を備えるだけである。したがって、輸送時などに包装箱10の後面に障害物などが当たったときにも、その外力で切断線が破れ、部分的であれ収納物9が露出することを防止できる。
【0057】
(3-4)包装箱10を展示状態にするとき、後摘み部38aを起点に後切断線46が破断され、後側板13に対して、後天面フラップ23および後内板44を容易に切除することができる。
【0058】
(3-5)包装箱10が展示状態のとき、包装箱10は、後面側から後天面フラップ23および後内板44が切除される。さらに、右天面フラップ22および左天面フラップ24も切除することができる。したがって、収納物9を露出させる範囲を大きくすることができる。
【0059】
なお、上記第3実施形態は以下のように適宜変更して実施することもできる。
・後側板に連接された後天面フラップが外フラップであって、輸送状態での蓋部材となるようにしてもよい。この場合、前側板には、開口部を設けるとともに、内板および開口部を構成するため前側板から分離する天面フラップを設けるようにすればよい。
【0060】
・展示状態において、必要に応じて、蓋部材である前天面フラップ21も切除してもよい。前天面フラップ21を切除する場合、天面側罫線32の前天面フラップ21の部分は、折線32aではなく、破断線32bで構成してもよい。
【0061】
〔第4実施形態〕
図14は、第4実施形態における包装箱10のブランクシート1を示している。
第1実施形態~第3実施形態までの包装箱10は、内板42,44や打抜線37,38の内側に構成される天面フラップ21,23を、幅面である右側板12に設けるようにしている。なお、第4実施形態でも、差込片52や差込孔54を設けてもよいが、ここでは設けていない。
【0062】
具体的に、右側板12は、天面側罫線32上に2つの端部を配置した第1切断線としての右打抜線63を備えている。右打抜線63は、天面側罫線32のうち、第1罫線33および第2罫線34に近い位置に2つの端部が位置し、底面側罫線31の方向に延在している。天面側罫線32および右打抜線63で囲まれた領域は、右天面フラップ62となる部分である。また、右側板12は、右打抜線63の天面に近い特定位置から右内板61の天面側の基端側両角部とを繋ぐ右切断線64を備えている。そして、右切断線64の延長線上には、天面側罫線32および右打抜線63で囲まれた領域に入り込むように右摘み部64aが設けられている。
【0063】
天面側罫線32は、前天面フラップ21および後天面フラップ23の位置が破断線32bであり、右天面フラップ62および左天面フラップ24の位置が切断を前提としない圧縮溝で構成された折線32aである。
【0064】
以上のような、第4実施形態における包装箱10は、次のように組み立てられる。
底面を組み立てると、天面側は、前側板11からは前天面フラップ21が上方に延び、右側板12からは内板61が上方に延び、後側板13からは後天面フラップ23が上方に延び、左側板14からは左天面フラップ24が上方に延びた状態となる。そして、右側板12において、右打抜線63で囲まれた右天面フラップ62を内側から外側に、右内板61を外側から内側に向かって回転させ、右天面フラップ62を右側板12から分離させて、右側板12の上側に位置させ、右内板61を右側板12の内側に位置させる。これにより、右側板12の右開口部65は、右内板61によって内側から塞がれる。包装箱10は、この状態で、収納物9が収納される。
【0065】
収納物9が収納されると、右天面フラップ62および左天面フラップ24が第2部分32yで内側に折曲され、次いで、前天面フラップ21および後天面フラップ23が内側に折曲される。この状態で、包装箱10は、輸送される。そして、商品の展示時においては、右側板12は、右摘み部64aを摘んで右切断線64が切断される。これにより、右側板12に対して、第1部分32xが除去され、右天面フラップ62および右内板61が切除される。また、前天面フラップ21および後天面フラップ23も天面側罫線32が切除される。これにより、包装箱10は、収納物9が露出され、商品棚などに陳列される。以上のような第4実施形態によっても第3実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0066】
〔その他実施形態〕
なお、上記第1~第4実施形態は以下のように適宜変更して実施することもできる。
・包装箱の材料は、段ボールに限定されるものではなく、例えば厚紙であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…ブランクシート
10…包装箱
11~14…側板
16~19…底面フラップ
21~24…天面フラップ
31…底面側罫線
32…天面側罫線
32a…折線
32b…破断線
32x…第1部分
32y…第2部分
33~36…罫線
37,38…打抜線
37a,38a…摘み部
41,43…開口部
42,44…内板
45,46…切断線