(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
H03K 17/687 20060101AFI20230711BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H03K17/687 A
H02J1/00 310
(21)【出願番号】P 2019229585
(22)【出願日】2019-12-19
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】澤田 凌兵
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】小田 康太
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-022803(JP,A)
【文献】特開2012-129978(JP,A)
【文献】特開平07-240676(JP,A)
【文献】特開2017-212522(JP,A)
【文献】特開2017-073657(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0252637(US,A1)
【文献】特開2012-075032(JP,A)
【文献】特開平06-097375(JP,A)
【文献】特開平01-194606(JP,A)
【文献】特開昭63-311818(JP,A)
【文献】特開昭59-027329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/687
H02J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷を駆動する駆動装置であって、
前記負荷を介して流れる電流の電流経路にて前記負荷の下流側に配置されるNチャネル型のMOSFETと、
直流電源及び前記MOSFETのゲート間に接続される抵抗と、
前記MOSFETのゲート及びソース間に接続される第1スイッチと、
電流が出力される出力端の電位を基準とした制御端の電圧が閾値以上である場合にオンであ
り、入力端が前記直流電源に接続される第2スイッチと、
前記第2スイッチがオンに切替わった場合に前記第1スイッチをオンに切替え、前記第2スイッチがオフに切替わった場合に前記第1スイッチをオフに切替える切替え回路と、
前記第2スイッチの出力端の電位を基準とした電圧を前記第2スイッチの前記制御端に出力する出力部と
を備える駆動装置。
【請求項2】
前記第2スイッチの出力端は第1導線を介してグランド導体に接続され、
前記MOSFETのソースは第2導線を介して前記グランド導体に接続される
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第1スイッチは、電流が出力される出力端の電位を基準とした制御端の電圧が第2の閾値以上である場合にオンであり、
前記第1スイッチの制御端及び出力端間に接続される第2の抵抗を備え、
電流が入力される前記第1スイッチの入力端は前記MOSFETのゲートに接続され、
前記第1スイッチの出力端は前記MOSFETのソースに接続され、
前記切替え回路は、
電流が入力される入力端の電位を基準とした制御端の電圧が第3の閾値未満である場合にオンである第3スイッチと、
前記第3スイッチの制御端及び入力端間に接続される第3の抵抗と
を有し、
前記第3スイッチの入力端は前記直流電源に接続され、
電流が出力される前記第3スイッチの出力端は、前記第1スイッチの制御端に接続され、
前記第3スイッチの制御端は、電流が入力される第2スイッチの入力端に接続される
請求項1又は請求項2に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、直流電源、例えば、バッテリが負荷に電力を供給する電源システムが搭載されている。電源システムは、負荷を駆動する駆動装置を備える。特許文献1には、負荷を駆動する駆動装置が開示されている。この駆動装置は、負荷を介して流れる電流経路において、負荷の下流側に配置されたスイッチと、スイッチをオン又はオフに切替える駆動回路とを有する。スイッチがオンである場合、電流は、直流電源から負荷及びスイッチの順に流れ、負荷に電力が供給される。
【0003】
スイッチはNチャネル型のFET(Field Effect Transistor)である。スイッチのドレインは負荷に接続されている。スイッチのソースは接地されている。駆動回路は、ハイレベル電圧及びローレベル電圧によって構成される制御信号をスイッチのゲートに出力する。スイッチは、ソースの電位を基準としたゲートの電圧が閾値以上となった場合にオンに切替わり、ソースの電位を基準としたゲートの電圧が閾値未満となった場合にオフに切替わる。駆動回路は、制御信号の電圧をハイレベルに切替えることによってスイッチをオンに切替え、制御信号の電圧をローレベル電圧に切替えることによってスイッチをオフに切替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているような従来の駆動装置では、駆動回路は、導線によって接地されている。グランド導体への接続によって接地が実現される。導線の一端が駆動回路に接続されている。導線の他端は接地されている。駆動回路が出力する制御信号の電圧は、導線の一端の電位を基準とした電圧である。車両では、負荷とは異なる電気機器が共通の導線を介して接地される可能性がある。この構成では、電気機器の作動又は動作の停止によって、導線を流れる電流が変動する。導線は、通常、インダクタ成分及び抵抗成分を有する。このため、導線を流れる電流が変動した場合、接地電位を基準とした導線の一端の電圧は変動する。また、電気機器が共通の導線を介して接地されていない場合であっても、ノイズに係る電流が導線を流れるか、又は、グランド導体における導線の接触抵抗が増加したとき、接地電位を基準とした導線の一端の電圧は変動する。
【0006】
スイッチのソースは接地されているので、スイッチは、接地電位を基準としたゲートの電圧に応じてオン又はオフに切替わる。接地電位を基準とした導線の一端の電圧が負の電圧である場合、制御信号の電圧がハイレベル電圧を出力しているにも関わらず、スイッチがオンに切替わらない可能性がある。接地電位を基準とした導線の一端の電圧が高い場合、制御信号の電圧がローレベル電圧を出力しているにも関わらず、スイッチがオフに切替わらない可能性がある。
【0007】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、制御用の電圧の基準電位が変動した場合であっても、誤りなくスイッチをオン又はオフに切替えることができる駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る駆動装置は、負荷を駆動する駆動装置であって、前記負荷を介して流れる電流の電流経路にて前記負荷の下流側に配置されるNチャネル型のMOSFETと、直流電源及び前記MOSFETのゲート間に接続される抵抗と、前記MOSFETのゲート及びソース間に接続される第1スイッチと、電流が出力される出力端の電位を基準とした制御端の電圧が閾値以上である場合にオンである第2スイッチと、前記第2スイッチがオンに切替わった場合に前記第1スイッチをオンに切替え、前記第2スイッチがオフに切替わった場合に前記第1スイッチをオフに切替える切替え回路と、前記第2スイッチの出力端の電位を基準とした電圧を前記第2スイッチの前記制御端に出力する出力部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
上記の態様によれば、制御用の電圧の基準電位が変動した場合であっても、誤りなくMOSFETをオン又はオフに切替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図3】MOSFETの切替えを説明するためのタイミングチャートである。
【
図4】実施形態2における駆動装置の要部構成を示すブロック図である。
【
図5】駆動装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
(1)本開示の一態様に係る駆動装置は、負荷を駆動する駆動装置であって、前記負荷を介して流れる電流の電流経路にて前記負荷の下流側に配置されるNチャネル型のMOSFETと、直流電源及び前記MOSFETのゲート間に接続される抵抗と、前記MOSFETのゲート及びソース間に接続される第1スイッチと、電流が出力される出力端の電位を基準とした制御端の電圧が閾値以上である場合にオンである第2スイッチと、前記第2スイッチがオンに切替わった場合に前記第1スイッチをオンに切替え、前記第2スイッチがオフに切替わった場合に前記第1スイッチをオフに切替える切替え回路と、前記第2スイッチの出力端の電位を基準とした電圧を前記第2スイッチの前記制御端に出力する出力部とを備える。
【0013】
上記の一態様にあっては、出力部は、第2スイッチの出力端の電位を基準とした制御用の電圧を出力する。第2スイッチは、出力端の電位を基準とした制御端の電圧に応じてオン又はオフに切替わる。このため、制御用の電圧の基準電位、即ち、接地電位を基準とした第2スイッチの出力端の電圧が変動した場合であっても、第2スイッチは、誤りなくオン又はオフに切替わる。
【0014】
切替え回路は、第2スイッチがオンに切替わった場合、第1スイッチをオンに切替える。第1スイッチがオンに切替わった場合、MOSFETにおいて、ソースの電位を基準としたゲートの電圧はゼロVに低下し、MOSFETはオフに切替わる。切替え回路は、第2スイッチがオフに切替わった場合、第1スイッチをオフに切替える。第1スイッチがオフに切替わった場合、MOSFETにおいて、ソースの電位を基準としたゲートの電圧が上昇し、MOSFETはオンに切替わる。第2スイッチの切替えに誤りがない場合、MOSFETの切替えも誤りなく行われる。結果、制御用の電圧の基準電位が変動した場合であっても、MOSFETは誤りなくオン又はオフに切替わる。
【0015】
(2)本開示の一態様に係る駆動装置では、前記第2スイッチの出力端は第1導線を介してグランド導体に接続され、前記MOSFETのソースは第2導線を介して前記グランド導体に接続される。
【0016】
上記の一態様にあっては、グランド導体への接続により、接地が実現されている。第1導線は、インダクタ成分及び抵抗成分を有する。このため、第1導線を流れる電流が変動した場合、グランド導体の電位、即ち、接地電位を基準とした第2スイッチの出力端の電圧が変動する。
【0017】
(3)本開示の一態様に係る駆動装置は、前記第1スイッチは、電流が出力される出力端の電位を基準とした制御端の電圧が第2の閾値以上である場合にオンであり、前記第1スイッチの制御端及び出力端間に接続される第2の抵抗を備え、電流が入力される前記第1スイッチの入力端は前記MOSFETのゲートに接続され、前記第1スイッチの出力端は前記MOSFETのソースに接続され、前記切替え回路は、電流が入力される入力端の電位を基準とした制御端の電圧が第3の閾値未満である場合にオンである第3スイッチと、前記第3スイッチの制御端及び入力端間に接続される第3の抵抗とを有し、前記第3スイッチの入力端は前記直流電源に接続され、電流が出力される前記第3スイッチの出力端は、前記第1スイッチの制御端に接続され、前記第3スイッチの制御端は、電流が入力される第2スイッチの入力端に接続される。
【0018】
上記の一態様にあっては、例えば、MOSFETのソース及び第2スイッチの出力端が各別に接地される。第2スイッチがオンである場合、電流が第3の抵抗及び第2スイッチの順に流れる。このとき、第3スイッチにおいて、入力端の電位を基準とした制御端の電圧は、負の電圧であり、第3の閾値未満である。従って、第2スイッチがオンである場合、第3スイッチはオンである。第3スイッチがオンである場合、電流が第3スイッチ及び第2の抵抗の順に流れる。このとき、第1スイッチにおいて、出力端の電位を基準とした制御端の電圧は、正の電圧であり、第2の閾値以上である。従って、第3スイッチがオンである場合、第1スイッチはオンである。
【0019】
第2スイッチがオフである場合、第3の抵抗を電流が流れない。このとき、第3スイッチにおいて、入力端の電位を基準とした制御端の電圧は、ゼロVであり、第3の閾値以上である。従って、第2スイッチがオフである場合、第3スイッチはオフである。第3スイッチがオフである場合、電流が第2の抵抗を流れない。このとき、第1スイッチにおいて、出力端の電位を基準とした制御端の電圧が、ゼロVであり、第2の閾値未満である。従って、第3スイッチがオフである場合、第1スイッチはオフである。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る電源システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
(実施形態1)
<電源システムの構成>
図1は実施形態1における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。電源システム1は、好適に車両に搭載されており、直流電源10、駆動装置11、複数の電気機器12、負荷13、第1導線14、第2導線15及びグランド導体16を備える。直流電源10は、例えば、バッテリである。負荷13は、車両に搭載される電気機器である。電気機器12は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)である。第1導線14及び第2導線15それぞれは、インダクタ成分及び抵抗成分を有する。第1導線14の等価回路は、インダクタ14a及び導線抵抗14bの直列回路で表される。第1導線14の一端及び他端それぞれは直列回路の一端及び他端に対応する。第2導線15の等価回路も、インダクタ及び導線抵抗の直列回路で表される。
【0022】
直流電源10の正極は、駆動装置11及び複数の電気機器12に各別に接続されている。駆動装置11は、負荷13の一端及び他端に各別に接続されている。直流電源10の負極はグランド導体16に接続されている。駆動装置11及び複数の電気機器12は、第1導線14の一端に接続されている。第1導線14の他端はグランド導体16に接続されている。駆動装置11は、更に、第2導線15の一端に接続されている。第2導線15の他端はグランド導体16に接続されている。
【0023】
グランド導体16は例えば車両のボディである。直流電源10の負極をグランド導体16に接続することによって、直流電源10の負極の接地が実現されている。駆動装置11及び複数の電気機器12を、第1導線14を介してグランド導体16に接続することによって、駆動装置11及び複数の電気機器12の接地が実現されている。
【0024】
直流電源10は、駆動装置11及び複数の電気機器12に電力を供給する。直流電源10が駆動装置11に電力を供給している場合、電流は、直流電源10の正極から駆動装置11、第1導線14及びグランド導体16の順に流れ、直流電源10の負極に戻る。直流電源10が電気機器12に電力を供給している場合、電流は、直流電源10の正極から電気機器12、第1導線14及びグランド導体16の順に流れ、直流電源10の負極に戻る。
【0025】
電気機器12が作動した場合、又は、電気機器12が動作を停止した場合、電気機器12から第1導線14に出力される電流は変動する。電気機器12が作動した場合、電気機器12から第1導線14に出力される電流は上昇する。電気機器12が動作を停止した場合、電気機器12から第1導線14に出力される電流は低下する。
【0026】
複数の電気機器12は、作動又は動作の停止を各別に行う。このため、第1導線14を流れる電流は大きく変動する。第1導線14を流れる電流が上昇した場合、第1導線14の導線抵抗14bが生じる電圧降下の幅が上昇するので、グランド導体16の電位を基準とした第1導線14の一端の電圧は上昇する。第1導線14を流れる電流の上昇幅が大きい程、グランド導体16の電位を基準とした第1導線14の一端の電圧の上昇幅は大きい。
【0027】
第1導線14を流れる電流が低下した場合、インダクタ14aは、グランド導体16側の一端の電位を基準とした第1導線14の一端の電圧を低下させる。これにより、グランド導体16の電位を基準とした第1導線14の一端の電圧は低下する。第1導線14を流れる電流が低下する幅が大きい程、グランド導体16の電位を基準とした第1導線14の一端の電圧が低下する幅は大きい。
以上のことから、グランド導体16の電位を基準とした第1導線14の一端の電圧は変動する。第1導線14の一端の電圧は、駆動装置11及び第1導線14間の接続ノードの電圧である。
【0028】
なお、電源システム1は電気機器12を有していなくてもよい。即ち、第1導線14の一端に電気機器12が接続されていなくてもよい。この場合であっても、ノイズに係る電流が第1導線14を流れるか、又は、グランド導体16における第1導線14の接触抵抗が増加したとき、第1導線14を流れる電流が変動する。結果、グランド導体16の電位を基準とした第1導線14の一端の電圧は変動する。
以下では、例として、複数の電気機器12が第1導線14の一端に接続されている構成を説明する。
【0029】
負荷13の一端は駆動装置11を介して直流電源10の正極に接続されている。駆動装置11は、スイッチとして機能するNチャネル型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)20(
図2参照)を有する。負荷13の他端は、MOSFET20及び第2導線15を介してグランド導体16に接続されている。駆動装置11は、MOSFET20をオンに切替える。これにより、直流電源10は負荷13に電力を供給し、負荷13は作動する。駆動装置11は、MOSFET20をオンに切替えることによって負荷13を駆動する。駆動装置11は、MOSFET20をオフに切替える。これにより、直流電源10は負荷13への電力供給を停止し、負荷13は動作を停止する。
駆動装置11は、後述するように、グランド導体16の電位を基準とした第1導線14の一端の電圧が変動した場合であっても、MOSFET20をオン又はオフに誤りなく切替えることできる。
【0030】
<駆動装置11の構成>
図2は駆動装置11の回路図である。駆動装置11は、MOSFET20に加えて、回路抵抗21、第1スイッチ22、第1スイッチ抵抗23,24、切替え回路25、第2スイッチ26、第2スイッチ抵抗27,28、レギュレータ29及びマイクロコンピュータ(以下、マイコン)30を有する。切替え回路25は、第3スイッチ40及び第3スイッチ抵抗41,42を有する。第1スイッチ22及び第2スイッチ26それぞれは、NPN型のバイポーラトランジスタである。第3スイッチ40はPNP型のバイポーラトランジスタである。
【0031】
MOSFET20のドレインは負荷13の他端に接続されている。MOSFET20のソースは第2導線15を介してグランド導体16に接続されている。回路抵抗21の一端は、直流電源10の正極に接続されている。回路抵抗21の他端はMOSFET20のゲートに接続されている。MOSFET20のゲートは、更に、第1スイッチ22のコレクタに接続されている。第1スイッチ22のエミッタは、MOSFET20のソースと、第2導線15の一端とに接続されている。第1スイッチ22のベース及びエミッタ間に第1スイッチ抵抗23が接続されている。第1スイッチ抵抗23は第2の抵抗として機能する。第1スイッチ22のベースは、更に、第1スイッチ抵抗24の一端に接続されている。
【0032】
直流電源10の正極は、切替え回路25が有する第3スイッチ40のエミッタに接続されている。第3スイッチ40のコレクタは第1スイッチ抵抗24の他端に接続されている。切替え回路25内では、第3スイッチ40のベース及びエミッタ間に第3スイッチ抵抗41が接続されている。第3スイッチ抵抗41は第3の抵抗として機能する。第3スイッチ40のベースは、更に、第3スイッチ抵抗42の一端に接続されている。
【0033】
第3スイッチ抵抗42の他端は、第2スイッチ26のコレクタに接続されている。第2スイッチ26のエミッタは第1導線14の一端に接続されている。第2スイッチ26のベース及びエミッタ間に第2スイッチ抵抗27が接続されている。第2スイッチ26のベースは、更に、第2スイッチ抵抗28の一端に接続されている。第2スイッチ抵抗28の他端はマイコン30に接続されている。
直流電源10の正極はレギュレータ29に接続されている。レギュレータ29は、更にマイコン30に接続されている。マイコン30は、更に、第1導線14の一端に接続されている。
【0034】
以上のように、MOSFET20のゲート及びソース間に第1スイッチ22が接続されている。第2スイッチ26のエミッタは、第1導線14を介してグランド導体16に接続されている。第2スイッチのエミッタ、及び、第1導線14間の接続ノードには、複数の電気機器12が接続されている。第3スイッチ40のコレクタは、第1スイッチ抵抗24を介して第1スイッチ22のベースに接続されている。第3スイッチ40のベースは第3スイッチ抵抗42を介して第2スイッチ26のコレクタに接続されている。
【0035】
<駆動装置11の動作>
MOSFET20において、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がゲート閾値以上である場合、ドレイン及びソース間の抵抗値が十分に小さい。このとき、MOSFET20はオンであり、ドレイン及びソースを介して電流が流れることが可能である。MOSFET20において、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がゲート閾値未満である場合、ドレイン及びソース間の抵抗値が十分に大きい。このとき、MOSFET20はオフであり、ドレイン及びソースを介して電流が流れることはない。ゲート閾値は、正の一定値であり、予め設定されている。
【0036】
第1スイッチ22において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が第1電圧閾値以上である場合、コレクタ及びエミッタ間の抵抗値が十分に小さい。このとき、第1スイッチ22はオンであり、コレクタ及びエミッタを介して電流が流れることが可能である。第1スイッチ22において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が第1電圧閾値未満である場合、コレクタ及びエミッタ間の抵抗値が十分に大きい。このとき、第1スイッチ22はオフであり、コレクタ及びエミッタを介して電流が流れることはない。第1電圧閾値は、正の一定値であり、予め設定されている。第1電圧閾値は第2の閾値に相当する。
【0037】
第2スイッチ26は、第1スイッチ22と同様に構成されている。第2スイッチ26において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が第2電圧閾値以上である場合、第2スイッチ26はオンである。第2スイッチ26において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が第2電圧閾値未満である場合、第2スイッチ26はオフである。第2電圧閾値は、正の一定値であり、予め設定されている。
【0038】
第3スイッチ40において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が第3電圧閾値未満である場合、エミッタ及びコレクタ間の抵抗値が十分に小さい。このとき、第3スイッチ40はオンであり、エミッタ及びコレクタを介して電流が流れることが可能である。第3スイッチ40において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が第3電圧閾値以上である場合、エミッタ及びコレクタ間の抵抗値が十分に大きい。このとき、第3スイッチ40はオフであり、エミッタ及びコレクタを介して電流が流れることはない。第3電圧閾値は、負の一定値であり、予め設定されている。第3電圧閾値は第3の閾値に相当する。
【0039】
以下では、グランド導体16の電位を基準とした直流電源10の電圧を電源電圧と記載する。レギュレータ29は、電源電圧を目標電圧に降圧し、目標電圧をマイコン30に印加する。これにより、マイコン30に電力が供給される。電源電圧は、例えば12Vである。目標電圧は例えば5Vである。マイコン30に電力が供給されている場合、電流は、直流電源10の正極から、レギュレータ29、マイコン30、第1導線14及びグランド導体16の順に流れる。
【0040】
マイコン30は、ハイレベル電圧及びローレベル電圧によって構成される制御信号を、第2スイッチ抵抗28を介して、第2スイッチ26の制御端に出力する。ハイレベル電圧及びローレベル電圧それぞれは、第2スイッチ26のエミッタの電位とした電圧である。ハイレベル電圧はローレベル電圧よりも高い。ローレベル電圧は例えばゼロVである。マイコン30は、制御信号の電圧を切替えることによってMOSFET20をオン又はオフに切替える。マイコン30は出力部として機能する。
【0041】
前述したように、複数の電気機器の作動又は動作の停止によって、第1導線14を流れる電流は変動する。第1導線14を流れる電流が変動した場合、第2スイッチ26のエミッタの電位、即ち、グランド導体16の電位を基準とした第1導線14の一端の電圧は変動する。
なお、前述したように、ノイズに係る電流が第1導線14を流れるか、又は、グランド導体16における第1導線14の接触抵抗が増加した場合も、第1導線14を流れる電流が変動し、グランド導体16の電位を基準とした第1導線14の一端の電圧は変動する。
【0042】
図3は、MOSFET20の切替えを説明するためのタイミングチャートである。
図3では、ハイレベル電圧が「H」で示され、ローレベル電圧が「L」で示されている。制御信号の電圧の推移と、第2スイッチ26、第3スイッチ40、第1スイッチ22及びMOSFET20の状態の推移とが示されている。これらの推移について横軸には時間が示されている。
【0043】
制御信号の電圧がゼロVを超えている場合、電流は、マイコン30から第2スイッチ抵抗28,27の順に流れ、マイコン30に戻る。マイコン30は、負荷13を駆動する場合、制御信号の電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。制御信号の電圧がローレベル電圧である場合、第2スイッチ抵抗を流れる電流は、十分に小さいか、又は、ゼロAである。このため、第2スイッチ26において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧は、十分に低いか、又は、ゼロVであり、第2電圧閾値未満である。このため、第2スイッチ26はオフである。
【0044】
第2スイッチ26がオフである場合、第3スイッチ抵抗41,42を電流が流れることはない。このため、第3スイッチ40において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧は、ゼロVであり、第3電圧閾値以上である。このため、第3スイッチ40はオフである。
【0045】
第3スイッチ40がオフである場合、第1スイッチ抵抗23,24を電流が流れることはない。このため、第1スイッチ22において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧は、ゼロVであり、第1電圧閾値未満である。このため、第1スイッチ22はオフである。従って、切替え回路25は、第2スイッチ26がオフに切替わった場合、第1スイッチ22をオフに切替える。
【0046】
第1スイッチ22がオフである場合、回路抵抗21に電流が流れないので、グランド導体16の電位を基準としたゲートの電圧は、電源電圧である。ノイズに係る電流が第2導線15を流れるか、又は、グランド導体16において第2導線15の接触抵抗が増加した場合、グランド導体16の電位を基準とした第2導線15の一端、即ち、MOSFET20のソースの電圧は変動する。電源電圧は、グランド導体16の電位を基準としたMOSFET20のソースの電圧の最大値よりも十分に大きい。この最大値と電源電圧との差はゲート閾値以上である。このため、第1スイッチ22がオフである場合、MOSFET20において、ソースの電位を基準としたゲートの電圧は、ゲート閾値以上であり、MOSFET20はオンである。
【0047】
MOSFET20がオンである場合、電流は、直流電源10の正極から負荷13、MOSFET20、第2導線15及びグランド導体16の順に流れ、直流電源10の負極に戻る。これにより、負荷13に電力が供給され、負荷13が作動する。このとき、MOSFET20のドレインに電流が入力され、MOSFET20のソースから電流が出力される。
【0048】
直流電源10の正極から負荷13、MOSFET20、第2導線15及びグランド導体16の順に流れる電流の電流経路は、負荷13を介して流れる電流の電流経路である。MOSFET20は、この電流経路における負荷13の下流側に配置されている。
【0049】
マイコン30は、負荷13の動作を停止させる場合、制御信号の電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替える。制御信号の電圧がハイレベル電圧である場合、第2スイッチ抵抗28,27の順に流れる電流は十分に大きい。このため、制御信号の電圧がハイレベル電圧である場合、第2スイッチ26において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧は、第2電圧閾値以上であり、第2スイッチ26はオンである。
【0050】
第2スイッチ26がオンである場合、電流は、直流電源10の正極から、第3スイッチ抵抗41,42、第2スイッチ26、第1導線14及びグランド導体16の順に流れ、直流電源10の負極に戻る。これにより、第3スイッチ抵抗41において電圧降下が生じ、第3スイッチ40において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧は第3電圧閾値未満である。結果、第2スイッチ26がオンである場合、第3スイッチ40はオンである。
【0051】
第2スイッチ26がオンである場合、第2スイッチ26のコレクタに電流が入力され、第2スイッチ26のエミッタから電流が出力される。第2スイッチ26について、コレクタ、エミッタ及びベースそれぞれは、入力端、出力端及び制御端として機能する。
【0052】
第3スイッチ40がオンである場合、電流は、直流電源10の正極から、第3スイッチ40、第1スイッチ抵抗24,23、第2導線15及びグランド導体16の順に流れ、直流電源10の負極に戻る。これにより、第1スイッチ抵抗23において電圧降下が生じ、第1スイッチ22において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧は第1電圧閾値以上である。結果、第3スイッチ40がオンである場合、第1スイッチ22はオンである。切替え回路25は、第2スイッチ26がオンに切替わった場合、第1スイッチ22をオンに切替える。
【0053】
前述したように、電源電圧は、グランド導体16の電位を基準としたMOSFET20のソース、即ち、第1スイッチ22のエミッタの電圧の最大値よりも十分に大きい。このため、第1スイッチ抵抗23を流れる電流は大きく、第1スイッチ抵抗23における電圧降下の幅は第1電圧閾値以上である。従って、第3スイッチ40がオンである場合、第1スイッチ22は確実にオンに切替わる。
【0054】
第3スイッチ40がオンである場合、第3スイッチ40のエミッタに電流が入力され、第3スイッチ40のコレクタから電流が出力される。第3スイッチ40について、エミッタ、コレクタ及びベースそれぞれは、入力端、出力端及び制御端として機能する。
【0055】
第1スイッチ22がオンである場合、MOSFET20において、ソースの電位を基準としたゲートの電圧は、ゼロVであり、ゲート閾値未満である。従って、第1スイッチ22がオンである場合、MOSFET20はオフである。
【0056】
以上のように、制御信号の電圧がローレベル電圧である場合、即ち、マイコン30がローレベル電圧を第2スイッチ26のゲートに出力している場合、MOSFET20はオンである。制御信号の電圧がハイレベル電圧である場合、即ち、マイコン30がハイレベル電圧を第2スイッチ26のゲートに出力している場合、MOSFET20はオフである。
【0057】
第1スイッチ22がオンである場合、電流は、直流電源10の正極から回路抵抗21、第1スイッチ22、第2導線15及びグランド導体16の順に流れ、直流電源10の負極に戻る。第1スイッチ22がオンである場合、第1スイッチ22のコレクタに電流が入力され、第1スイッチ22のエミッタから電流が出力される。第1スイッチ22について、コレクタ、エミッタ及びベースそれぞれは、入力端、出力端及び制御端として機能する。
【0058】
第1導線14が断線した場合、又は、第1導線14を介した駆動装置11とグランド導体16との接続が外れた場合、第2スイッチ26のエミッタが開放される。この場合、第2スイッチ抵抗27に電流が流れないので、第2スイッチ26において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧は、ゼロVであり、第2電圧閾値未満である。このとき、第2スイッチ26はオフである。前述したように、第2スイッチ26がオフである場合、第3スイッチ40及び第1スイッチ22はオフであり、MOSFET20はオンである。従って、第2スイッチ26のエミッタが開放された場合、MOSFET20はオンに維持される。
【0059】
<駆動装置11の効果>
マイコン30が第2スイッチ26に出力するハイレベル電圧及びローレベル電圧は、第2スイッチ26のエミッタの電位を基準とした電圧である。第2スイッチ26は、エミッタの電位を基準としたベースの電圧に応じてオン又はオフに切替わる。このため、ハイレベル電圧及びローレベル電圧の基準電位、即ち、グランド導体16の電位を基準とした第2スイッチ26のエミッタの電圧が変動した場合であっても、第2スイッチ26は誤りなくオン又はオフに切替わる。
【0060】
また、直流電源10の電源電圧は、グランド導体16の電位を基準とした第1導線14の一端の電圧の最大値よりも十分に高い。このため、第2スイッチ26がオンである場合、第3スイッチ抵抗41を十分に大きな電流が流れ、第3スイッチ40において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧は第3電圧閾値未満である。結果、第2スイッチ26がオンに切替わった場合、グランド導体16の電位を基準とした第1導線14の一端の電圧に無関係に、第3スイッチ40がオンに切替わる。前述したように、第3スイッチ40がオンに切替わった場合、第1スイッチ22がオンに切替わり、MOSFET20がオフに切替わる。
【0061】
第2スイッチ26がオフに切替わった場合、グランド導体16の電位を基準とした第1導線14の一端の電圧に無関係に、第3スイッチ抵抗41を介して電流の通流は停止し、第3スイッチ40はオフに切替わる。前述したように、第3スイッチ40がオフに切替わった場合、第1スイッチ22はオフに切替わり、MOSFET20はオンに切替わる。
以上のように、第2スイッチ26の切替えに誤りがない場合、MOSFET20の切替えも誤りなく行われる。結果、制御信号の電圧の基準電位、即ち、グランド導体16の電位を基準とした第1導線14の一端の電圧が変動した場合であっても、MOSFET20は誤りなくオン又はオフに切替わる。
【0062】
<なお書き>
MOSFET20は、電流が出力される出力端の電位を基準とした制御端の電圧を上昇させることによってオンに切替わるスイッチであればよい。このため、MOSFET20の代わりに、MOSFETとは異なるNチャネル型のFET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又は、NPN型のバイポーラトランジスタ等を用いてもよい。
【0063】
(実施形態2)
実施形態1においては、負荷13の電力供給の制御に用いるスイッチの数は、1つである。しかしながら、負荷13の電力供給の制御に用いるスイッチの数は、1に限定されず、2以上であってもよい。
以下では、実施形態2について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は、実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0064】
<駆動装置11の概要>
図4は、実施形態2における駆動装置11の要部構成を示すブロック図である。実施形態2における電源システム1では、駆動装置11は、負荷13として、モータMを駆動する。実施形態2における電源システム1は、実施形態1と同様に、電気機器12を有していなくてもよい。駆動装置11は、第1上流スイッチ50u、第1下流スイッチ50d、第2上流スイッチ51u及び第2下流スイッチ51dを有する。直流電源10の正極からモータMを介して流れる電流の電流経路として、第1電流経路及び第2電流経路が設けられている。
【0065】
第1電流経路において、モータMの上流側及び下流側それぞれに第1上流スイッチ50u及び第1下流スイッチ50dが配置されている。第2電流経路において、モータMの上流側及び下流側それぞれに第2上流スイッチ51u及び第2下流スイッチ51dが配置されている。第1電流経路を電流が流れている場合にモータMを流れる電流の方向は、第1方向であり、
図4においては下向きである。第2電流経路を電流が流れている場合にモータMを流れる電流の方向は、第2方向であり、
図4において上向きである。第1方向は第2方向と異なる。
【0066】
駆動装置11は、第2上流スイッチ51u及び第2下流スイッチ51dがオフである状態で第1上流スイッチ50u及び第1下流スイッチ50dをオンに切替える。これにより、第1方向の電流がモータMに流れ、モータMは正方向に回転する。モータMは円柱状のロータを有する。モータMの回転は、ロータの軸回りの回転を意味する。正方向は例えば時計回りの方向である。
【0067】
駆動装置11は、第1上流スイッチ50u及び第1下流スイッチ50dがオフである状態で第2上流スイッチ51u及び第2下流スイッチ51dをオンに切替える。これにより、第2方向の電流がモータMに流れ、モータMは逆方向に回転する。正方向が時計回りである場合、逆方向は反時計回りの方向である。
モータMは、例えば、車両の窓を開閉するために用いられる。モータMが正方向に回転した場合、例えば、車両の窓が開放される。モータMが逆方向に回転した場合、例えば、車両の窓が閉鎖される。
【0068】
駆動装置11は、第1上流スイッチ50u及び第2上流スイッチ51uをオフに切替える。これにより、直流電源10からモータMへの電力供給が停止し、モータMが動作を停止する。
【0069】
<駆動装置11の構成>
図4に示すように、駆動装置11は、第1上流スイッチ50u、第1下流スイッチ50d、第2上流スイッチ51u及び第2下流スイッチ51dに加えて、レギュレータ29、マイコン30、第1上流駆動回路52u、第1下流駆動回路52d、第2上流駆動回路53u、第2下流駆動回路53d及びスイッチ抵抗54,55を有する。第1上流スイッチ50u、第1下流スイッチ50d、第2上流スイッチ51u及び第2下流スイッチ51dそれぞれは、Nチャネル型のMOSFETである。
【0070】
直流電源10、レギュレータ29、マイコン30、第1導線14及びグランド導体16は実施形態1と同様に接続されている。第1導線14の一端には、複数の電気機器12が接続されている。第1上流スイッチ50uのドレインは、直流電源10の正極に接続されている。第1上流スイッチ50uのソースは、モータMの一端に接続されている。モータMの他端は、第1下流スイッチ50dのドレインに接続されている。第1下流スイッチ50dのソースは、第2導線15を介してグランド導体16に接続されている。第1下流スイッチ50dのゲート及びソース間には、スイッチ抵抗54が接続されている。
【0071】
第2上流スイッチ51uのドレインは、直流電源10の正極に接続されている。第2上流スイッチ51uのソースは、第1下流スイッチ50d及びモータM間の接続ノードに接続されている。第1上流スイッチ50u及びモータM間の接続ノードは、第2下流スイッチ51dのドレインに接続されている。第2下流スイッチ51dのソースは、第2導線15を介してグランド導体16に接続されている。第2下流スイッチ51dのゲート及びソース間には、スイッチ抵抗55が接続されている。
【0072】
第1上流スイッチ50u、第1下流スイッチ50d、第2上流スイッチ51u及び第2下流スイッチ51dそれぞれのゲートは、第1上流駆動回路52u、第1下流駆動回路52d、第2上流駆動回路53u及び第2下流駆動回路53dに接続されている。第1上流駆動回路52uはマイコン30に接続されている。第1上流駆動回路52u及びマイコン30間の接続ノードは、第2下流駆動回路53dに接続されている。第2上流駆動回路53uはマイコン30に接続されている。第2上流駆動回路53u及びマイコン30間の接続ノードは、第1下流駆動回路52dに接続されている。
【0073】
マイコン30は、更に、第1下流駆動回路52d及び第2下流駆動回路53dそれぞれに直接に接続されている。第1下流駆動回路52d及び第2下流駆動回路53dそれぞれは、マイコン30及び第1導線14間の接続ノードに接続されている。第1下流駆動回路52dは、更に、第1下流スイッチ50dのソースに接続されている。第2下流駆動回路53dは、更に、第2下流スイッチ51dのソースに接続されている。
【0074】
第1下流駆動回路52d及び第2下流駆動回路53dそれぞれは、直流電源10の正極に接続されている。図面が煩雑になることを防ぐため、これらの接続線の記載を
図4では省略している。
【0075】
<駆動装置11の動作>
第1上流スイッチ50u、第1下流スイッチ50d、第2上流スイッチ51u及び第2下流スイッチ51dそれぞれについて、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がスイッチ閾値以上である場合、ドレイン及びソース間の抵抗値は十分に小さい。このとき、第1上流スイッチ50u、第1下流スイッチ50d、第2上流スイッチ51u及び第2下流スイッチ51dそれぞれはオンであり、ドレイン及びソースを介して電流が流れることが可能である。
【0076】
第1上流スイッチ50u、第1下流スイッチ50d、第2上流スイッチ51u及び第2下流スイッチ51dそれぞれについて、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がスイッチ閾値未満である場合、ドレイン及びソース間の抵抗値は十分に大きい。このとき、第1上流スイッチ50u、第1下流スイッチ50d、第2上流スイッチ51u及び第2下流スイッチ51dそれぞれはオフであり、ドレイン及びソースを介して電流が流れることはない。スイッチ閾値は、正の一定値であり、予め設定されている。第1上流スイッチ50u、第1下流スイッチ50d、第2上流スイッチ51u及び第2下流スイッチ51dのスイッチ閾値それぞれは、他のスイッチ閾値と同一であってもよいし、他のスイッチ閾値と異なっていてもよい。
【0077】
マイコン30は、第1上流駆動回路52u及び第2下流駆動回路53dに右側制御信号を出力する。マイコン30は、第2上流駆動回路53u及び第1下流駆動回路52dに左側制御信号を出力する。右側制御信号及び左側制御信号それぞれは、ハイレベル電圧及びローレベル電圧によって構成される。マイコン30は、右側制御信号及び左側制御信号の電圧それぞれをハイレベル電圧又はローレベル電圧に切替える。第1上流駆動回路52u及び第2下流駆動回路53dそれぞれは、右側制御信号の電圧に応じてオン又はオフに切替わる。第2上流駆動回路53u及び第1下流駆動回路52dそれぞれは、左側制御信号の電圧に応じてオン又はオフに切替わる。
【0078】
図5は、駆動装置11の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図5でも、ハイレベル電圧が「H」で示され、ローレベル電圧が「L」で示されている。右側制御信号及び左側制御信号の推移と、第1上流スイッチ50u、第1下流スイッチ50d、第2上流スイッチ51u及び第2下流スイッチ51dの状態の推移とが示されている。これらの推移について、横軸には時間が示されている。
【0079】
右側制御信号及び左側制御信号の電圧として3つの状態がある。第1状態は、右側制御信号及び左側制御信号それぞれの電圧がハイレベル電圧及びローレベル電圧である状態である。第2状態は、右側制御信号及び左側制御信号それぞれの電圧がローレベル電圧及びハイレベル電圧である状態である。第3状態は、右側制御信号及び左側制御信号の電圧がローレベル電圧である状態である。
【0080】
右側制御信号がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、第1上流駆動回路52uは、グランド導体16の電位を基準とした第1上流スイッチ50uのゲートの電圧を上昇させる。これにより、第1上流スイッチ50uでは、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がスイッチ閾値以上となり、第1上流スイッチ50uはオンに切替わる。同様の場合において、第2下流駆動回路53dは、第2下流スイッチ51dにおいて、ソースの電位を基準としたゲートの電圧をゼロVに低下させる。これにより、第2下流スイッチ51dでは、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がスイッチ閾値未満となり、第2下流スイッチ51dはオフに切替わる。従って、右側制御信号の電圧がハイレベル電圧である場合、第1上流スイッチ50u及び第2下流スイッチ51dそれぞれはオン及びオフである。
【0081】
左側制御信号がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、第2上流駆動回路53uは、グランド導体16の電位を基準とした第2上流スイッチ51uのゲートの電圧を低下させる。これにより、第2上流スイッチ51uでは、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がスイッチ閾値未満となり、第2上流スイッチ51uはオフに切替わる。同様の場合において、第1下流駆動回路52dは、第1下流スイッチ50dにおいて、ソースの電位を基準としたゲートの電圧を上昇させる。これにより、第1下流スイッチ50dでは、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がスイッチ閾値以上となり、第1下流スイッチ50dはオンに切替わる。従って、左側制御信号の電圧がローレベル電圧である場合、第2上流スイッチ51u及び第1下流スイッチ50dそれぞれはオフ及びオンである。
【0082】
右側制御信号及び左側制御信号それぞれの電圧がハイレベル電圧及びローレベル電圧である場合、第1上流スイッチ50u及び第1下流スイッチ50dがオンであり、かつ、第2上流スイッチ51u及び第2下流スイッチ51dがオフである。このとき、電流は、直流電源10の正極から、第1上流スイッチ50u、モータM、第1下流スイッチ50d、第2導線15及びグランド導体16の順に流れ、直流電源10の負極に戻る。これにより、第1方向の電流がモータMを流れ、モータMは正方向に回転する。
【0083】
第1上流スイッチ50u及び第1下流スイッチ50dがオンである場合、第1上流スイッチ50u及び第1下流スイッチ50dそれぞれについて、ドレインに電流が入力され、ソースから電流が出力される。
【0084】
右側制御信号がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、第1上流駆動回路52uは、グランド導体16の電位を基準とした第1上流スイッチ50uのゲートの電圧を低下させる。これにより、第1上流スイッチ50uでは、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がスイッチ閾値未満となり、第1上流スイッチ50uはオフに切替わる。同様の場合において、第2下流駆動回路53dは、第2下流スイッチ51dにおいて、ソースの電位を基準としたゲートの電圧を上昇させる。これにより、第2下流スイッチ51dでは、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がスイッチ閾値以上となり、第2下流スイッチ51dはオンに切替わる。従って、右側制御信号の電圧がローレベル電圧である場合、第1上流スイッチ50u及び第2下流スイッチ51dそれぞれはオフ及びオンである。
【0085】
左側制御信号がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、第2上流駆動回路53uは、グランド導体16の電位を基準とした第2上流スイッチ51uのゲートの電圧を上昇させる。これにより、第2上流スイッチ51uでは、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がスイッチ閾値以上となり、第2上流スイッチ51uはオンに切替わる。同様の場合において、第1下流駆動回路52dは、第1下流スイッチ50dにおいて、ソースの電位を基準としたゲートの電圧をゼロVに低下させる。これにより、第1下流スイッチ50dでは、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がスイッチ閾値未満となり、第1下流スイッチ50dはオフに切替わる。従って、左側制御信号の電圧がハイレベル電圧である場合、第2上流スイッチ51u及び第1下流スイッチ50dそれぞれはオン及びオフである。
【0086】
右側制御信号及び左側制御信号それぞれの電圧がローレベル電圧及びハイレベル電圧である場合、第1上流スイッチ50u及び第1下流スイッチ50dがオフであり、かつ、第2上流スイッチ51u及び第2下流スイッチ51dがオンである。このとき、電流は、直流電源10の正極から、第2上流スイッチ51u、モータM、第2下流スイッチ51d、第2導線15及びグランド導体16の順に流れ、直流電源10の負極に戻る。これにより、第2方向の電流がモータMを流れ、モータMは逆方向に回転する。
【0087】
第2上流スイッチ51u及び第2下流スイッチ51dがオンである場合、第2上流スイッチ51u及び第2下流スイッチ51dそれぞれについて、ドレインに電流が入力され、ソースから電流が出力される。
【0088】
右側制御信号及び左側制御信号の電圧がローレベル電圧である場合、第1上流スイッチ50u及び第2上流スイッチ51uがオフであり、かつ、第1下流スイッチ50d及び第2下流スイッチ51dがオンである。第1上流スイッチ50u及び第2上流スイッチ51uがオフであるので、モータMに電力が供給されず、モータMは動作を停止する。
【0089】
モータMは図示しないインダクタを有する。モータMに電力が供給されている間、電流はインダクタを流れ、インダクタにエネルギーが蓄積される。第1下流スイッチ50d及び第2下流スイッチ51dがオンである場合、モータMの一端から、電流が第1下流スイッチ50d及び第2下流スイッチ51dを介して流れ、モータMはエネルギーを放出する。
図5に示すように、モータMが回転する方向を変更する場合、モータMの動作を一旦停止させ、モータMにエネルギーを放出させる。
【0090】
<第1下流駆動回路52dの構成>
図6は、第1下流駆動回路52dの回路図である。第1下流駆動回路52dは、回路抵抗21、第1スイッチ22、第1スイッチ抵抗23,24、切替え回路25、第2スイッチ26、第2スイッチ抵抗27,28及び回路スイッチ60を有する。実施形態2における切替え回路25は、実施形態1と同様に第3スイッチ40及び第3スイッチ抵抗41,42を有する。回路抵抗21、第1スイッチ22、第1スイッチ抵抗23,24、切替え回路25、第2スイッチ26、第2スイッチ抵抗27,28、第3スイッチ40及び第3スイッチ抵抗41,42の接続は実施形態1と同様である。
【0091】
回路スイッチ60の一端は、直流電源10の正極に接続されている。回路スイッチ60の他端は、回路抵抗21及び第3スイッチ40のエミッタ間の接続ノードに接続されている。回路抵抗21及び第1スイッチ22のコレクタ間の接続ノードは、第1下流スイッチ50dのゲートに接続されている。第1スイッチ22のエミッタは第1下流スイッチ50dのソースに接続されている。
【0092】
実施形態1と同様に、第2スイッチ26のベースは、第2スイッチ抵抗28を介してマイコン30に接続されるとともに、第2スイッチ26のエミッタは、第1導線14の一端に接続されている。
【0093】
以上のように、回路抵抗21は、直流電源10の正極及び第1下流スイッチ50dのゲート間に接続されている。第1スイッチ22は、第1下流スイッチ50dのゲート及びソース間に接続されている。
【0094】
<第1下流駆動回路52dの動作>
マイコン30は、回路スイッチ60をオン又はオフに切替える。マイコン30は、左側制御信号を第2スイッチ26のベースに出力する。左側制御信号のハイレベル電圧及びローレベル電圧は、第2スイッチ26のエミッタを基準とした電圧である。このため、回路スイッチ60がオンである場合、左側制御信号の電圧に応じて、第2スイッチ26、第3スイッチ40及び第1スイッチ22はオン又はオフに切替わる。
【0095】
回路スイッチ60がオンである場合において、左側制御信号の電圧がローレベル電圧であるとき、実施形態1と同様に、第2スイッチ26、第3スイッチ40及び第1スイッチ22はオフである。第1スイッチ22がオフである場合、電流は、直流電源10の正極から回路抵抗21、スイッチ抵抗54、第2導線15及びグランド導体16の順に流れ、直流電源10の負極に戻る。スイッチ抵抗54において、電圧降下が生じる。このとき、第1下流スイッチ50dにおいて、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がスイッチ閾値以上であり、第1下流スイッチ50dはオンである。電源電圧は、グランド導体16の電位を基準とした第1下流スイッチ50dのソースの電圧の最大値よりも十分に大きい。このため、スイッチ抵抗54において生じる電圧降下の幅はスイッチ閾値以上である。従って、第1スイッチ22がオフである場合、第1下流スイッチ50dは確実にオンに切替わる。
【0096】
回路スイッチ60がオンである場合において、左側制御信号の電圧がハイレベル電圧であるとき、実施形態1と同様に、第2スイッチ26、第3スイッチ40及び第1スイッチ22はオンである。第1スイッチ22がオンである場合、第1下流スイッチ50dにおいて、ソースの電位を基準としたゲートの電圧は、ゼロVであり、スイッチ閾値未満である。結果、第1下流スイッチ50dはオフである。電源電圧は、実施形態1と同様に、グランド導体16の電位を基準とした第1スイッチ22のエミッタの電圧の最大値よりも十分に大きい。このため、第2スイッチ26がオンである場合において、第1スイッチ抵抗23において生じる電圧降下の幅は第1電圧閾値以上である。従って、第3スイッチ40がオンである場合、第1スイッチ22は確実にオンに切替わる。
【0097】
以上のように、回路スイッチ60がオンである場合においては、
図5に示すように、左側制御信号の電圧がローレベル電圧であるとき、第1下流スイッチ50dはオンである。同様の場合において、左側制御信号の電圧がハイレベル電圧であるとき、第1下流スイッチ50dはオフである。
【0098】
回路スイッチ60がオフである場合、第2スイッチ26がオンであるか否か、即ち、左側制御信号の電圧に無関係にスイッチ抵抗54に電流が流れることはない。このため、回路スイッチ60がオフである場合、第1下流スイッチ50dにおいて、ソースの電位を基準としたゲートの電圧はゼロVであり、スイッチ閾値未満である。従って、第1下流スイッチ50dはオフである。
【0099】
従って、マイコン30は、左側制御信号の電圧をローレベル電圧に切替え、かつ、回路スイッチ60をオフに切替えた場合、第2上流スイッチ51u及び第1下流スイッチ50dをオフに切替えることができる。
【0100】
<第2下流駆動回路53d>
第2下流駆動回路53dは第1下流駆動回路52dと同様に構成されている。第1下流駆動回路52dの接続の説明において、第1下流スイッチ50dを第2下流スイッチ51dに置き換えることによって、第2下流駆動回路53dの接続を説明することができる。
【0101】
第2下流駆動回路53dの動作は、第1下流駆動回路52dの動作と同様である。第1下流駆動回路52dの動作の説明において、左側制御信号、第1下流スイッチ50d及びスイッチ抵抗54それぞれを、右側制御信号、第2下流スイッチ51d及びスイッチ抵抗55に置き換えることによって、第2下流駆動回路53dの動作を説明することができる。右側制御信号の電圧は、第2下流駆動回路53dが有する第2スイッチ26のエミッタの電位を基準とした電圧である。
【0102】
従って、回路スイッチ60がオンである場合においては、右側制御信号の電圧がローレベル電圧であるとき、第2下流スイッチ51dはオンである。同様の場合において、右側制御信号の電圧がハイレベル電圧であるとき、第2下流スイッチ51dはオフである。マイコン30は、右側制御信号の電圧をローレベル電圧に切替え、かつ、第2下流駆動回路53dが有する回路スイッチ60をオフに切替えた場合、第1上流スイッチ50u及び第2下流スイッチ51dをオフに切替えることができる。
【0103】
マイコン30は、右側制御信号及び左側制御信号の電圧をローレベル電圧に切替え、かつ、第1下流駆動回路52d及び第2下流駆動回路53dの回路スイッチ60をオフに切替える。これにより、第1上流スイッチ50u、第1下流スイッチ50d、第2上流スイッチ51u及び第2下流スイッチ51dがオフである状態を実現することができる。
【0104】
回路スイッチ60がオンである場合において、第1下流駆動回路52d及び第2下流駆動回路53dの第2スイッチ26のエミッタが開放されたとき、第2スイッチ26がオフに切替わるので、第1下流スイッチ50d及び第2下流スイッチ51dがオンに切替わる。これにより、モータMの両端の電圧が一致するので、モータMは動作を停止する。
【0105】
<駆動装置11の効果>
実施形態2における駆動装置11は、実施形態1における駆動装置11が奏する効果を同様に奏する。従って、回路スイッチ60がオンである場合において、右側制御信号及び左側制御信号それぞれの電圧の基準電位、即ち、グランド導体16の電位を基準とした第1導線14の一端の電圧が変動したときであっても、第1下流スイッチ50d及び第2下流スイッチ51dは誤りなくオン又はオフに切替わる。回路スイッチ60がオフである場合においては、グランド導体16の電位を基準とした第1導線14の一端の電圧に無関係に、第1下流スイッチ50d及び第2下流スイッチ51dはオフである。
【0106】
<なお書き>
実施形態2において、第1上流スイッチ50u及び第2上流スイッチ51uそれぞれは、スイッチとして機能すればよいので、Nチャネル型のMOSFETに限定されず、MOSFETとは異なるNチャネル型のFET、Pチャネル型のFET、IGBT、バイポーラトランジスタ又はリレー接点等であってもよい。第1下流スイッチ50d及び第2下流スイッチ51dそれぞれは、電流が出力される出力端の電位を基準とした制御端の電圧を上昇させることによってオンに切替わるスイッチであればよい。このため、第1下流スイッチ50d及び第2下流スイッチ51dそれぞれは、Nチャネル型のMOSFETに限定されず、MOSFETとは異なるNチャネル型のFET、IGBT又はNPN型のバイポーラトランジスタ等であってもよい。実施形態2において、駆動装置11が駆動する負荷は、モータMに限定されず、直流電圧の印加方向を切替える電気機器であればよい。
【0107】
実施形態1において、実施形態2と同様に、MOSFET20のゲート及びソース間に抵抗が接続されていてもよい。この場合、第1スイッチ22がオフであるとき、電流が直流電源10の正極から回路抵抗21、抵抗及びグランド導体16の順に流れ、直流電源10の負極に戻る。抵抗において電圧降下が生じるので、MOSFET20において、ソースの電位を基準としたゲートの電圧はゲート閾値以上であり、MOSFET20はオンである。
【0108】
実施形態1,2において、第1スイッチ22及び第2スイッチ26それぞれは、電流が出力される出力端の電位を基準とした制御端の電圧を上昇させることによってオンに切替わるスイッチであればよい。このため、第1スイッチ22及び第2スイッチ26それぞれは、NPN型のバイポーラトランジスタに限定されず、Nチャネル型のFET又はIGBT等であってもよい。
【0109】
また、実施形態1,2において、第3スイッチ40は、電流が出力される出力端の電位を基準とした制御端の電圧を低下させることによってオンに切替わるスイッチであればよい。このため、第3スイッチ40は、PNP型のバイポーラトランジスタに限定されず、例えば、Pチャネル型のFETであってもよい。実施形態1,2における電源システム1が備える電気機器12の数は、2以上に限定されず、1であってもよい。
【0110】
開示された実施形態1,2はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0111】
1 電源システム
10 直流電源
11 駆動装置
12 電気機器
13 負荷
14 第1導線
14a インダクタ
14b 導線抵抗
15 第2導線
16 グランド導体
20 MOSFET
21 回路抵抗
22 第1スイッチ
23 第1スイッチ抵抗(第2の抵抗)
24 第1スイッチ抵抗
25 切替え回路
26 第2スイッチ
27,28 第2スイッチ抵抗
29 レギュレータ
30 マイコン(出力部)
40 第3スイッチ
41 第3スイッチ抵抗(第3の抵抗)
42 第3スイッチ抵抗
50d 第1下流スイッチ
50u 第1上流スイッチ
51d 第2下流スイッチ
51u 第2上流スイッチ
52d 第1下流駆動回路
52u 第1上流駆動回路
53d 第2下流駆動回路
53u 第2上流駆動回路
54,55 スイッチ抵抗
60 回路スイッチ
M モータ(負荷)