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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】支持構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/06 20060101AFI20230711BHJP
   E04B 9/10 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
E04B9/06 B
E04B9/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019238180
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021105318
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】藤原 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】湯 正明
(72)【発明者】
【氏名】和田 剛
(72)【発明者】
【氏名】大橋 豊
(72)【発明者】
【氏名】竹田 直樹
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-106103(JP,A)
【文献】特開2009-057809(JP,A)
【文献】特開平9-228543(JP,A)
【文献】特開平9-228538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00- 9/36
E04F 13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の天井下地を支持する支持構造であって、
開口を形成する領域として予め設定された開口領域以外の領域において水平方向における第一方向に沿って延びる複数の野縁と、
開口領域を空けるように配置された状態で前記複数の野縁の下面に固定された複数の天井下地と、
水平方向において前記第一方向と直交する第二方向に延びるとともに開口領域の第二方向に延びる横縁を形成するための横ランナーと、を備え、
前記複数の野縁は、前記横ランナーから開口領域から離れる方向に延びる複数の第一野縁と、開口領域の第一方向に延びる縦縁に隣接する第二野縁と、前記第二方向において開口領域と反対側で前記第二野縁に隣接する第三野縁と、を有し、
前記支持構造は、前記複数の第一野縁のうちの前記第二野縁に最も近い第一最近接野縁と前記第二野縁とを連結するとともに第一最近接野縁と第三野縁とを連結するように前記第一最近接野縁、前記第二野縁、及び第三野縁の下面に固定された主連結部を有する連結部材をさらに備えている、
支持構造。
【請求項2】
前記第二野縁の開口領域側を向く側面を覆うとともに前記第一方向に延びて開口領域の縦縁を形成するための縦ランナーを更に備え、
前記第一最近接野縁は、前記横ランナーの第二方向の端部から開口領域から離れる方向に延び、
前記横ランナー及び前記縦ランナーは、前記連結部材を固定するために第一最近接野縁及び第二野縁の下面の一部を開放する形状を有する
請求項1に記載の支持構造。
【請求項3】
前記複数の天井下地は、前記第一方向における前記横ランナーの配設位置の延長線上に目地が現れるとともに、前記第二方向において前記第一最近接野縁と前記第三野縁との間に目地が現れるように配置された状態で前記複数の野縁の下面に固定されている
請求項1又は2に記載の支持構造。
【請求項4】
前記連結部材は、前記第二方向において前記第一最近接野縁の前記第二野縁と反対側に配置された第二隣接野縁と前記第一最近接野縁とを連結するように前記第一最近接野縁及び前記第二隣接野縁の下面に固定された副連結部を有する
請求項1~3の何れか1項に記載の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋の吹き抜け部まわりに配置される複数の天井下地を支持する支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、家屋の吹き抜け部まわりに配置される複数の天井下地を支持する支持構造が知られている。例えば、特許文献1の支持構造は、開口を形成する領域として予め設定された開口領域以外の領域において水平方向に延びる複数の野縁と、開口領域を空けるように配置された状態で前記複数の野縁に亘ってビスにより固定される複数の天井下地と、前記複数の天井下地に亘って張り付けられるクロスと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平09-78745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記支持構造では、地震などの建物振動時においてクロスに破断が生じる場合がある。これは、建物振動時に複数の野縁の相対変位に伴って複数の天井下地が互いに相対変位してしまい、これにクロスが追従できないためであると考えられる。
【0005】
そこで、本発明は、上記の課題に基づいてなされたものであり、その目的は、複数の天井下地の相対変位を抑制することにより、複数の天井下地に亘って張り付けられるクロスの破断を抑制する支持構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る支持構造は、複数の天井下地を支持するものである。前記支持構造は、開口を形成する領域として予め設定された開口領域以外の領域において水平方向における第一方向に沿って延びる複数の野縁と、開口領域を空けるように配置された状態で前記複数の野縁の下面に固定された複数の天井下地と、水平方向において前記第一方向と直交する第二方向に延びるとともに開口領域の第二方向に延びる横縁を形成するための横ランナーと、を備える。前記複数の野縁は、前記横ランナーから開口領域から離れる方向に延びる複数の第一野縁と、開口領域の第一方向に延びる縦縁に隣接する第二野縁と、前記第二方向において開口領域と反対側で前記第二野縁に隣接する第三野縁と、を有する。前記支持構造は、前記複数の第一野縁のうちの前記第二野縁に最も近い第一最近接野縁と前記第二野縁とを連結するとともに第一最近接野縁と第三野縁とを連結するように前記第一最近接野縁、前記第二野縁、及び第三野縁の下面に固定された主連結部を有する連結部材をさらに備えている。
【0007】
本発明によれば、第一最近接野縁は、開口領域の横縁で終端するため、当該端部は、建物の振動時において開口領域から第二方向に離れた第二野縁や第三野縁に対して異なる動きをする可能性が高い。このため、第一最近接野縁に固定された天井下地と第二野縁や第三野縁に固定された天井下地との間では、互いに相対変位が生じやすい。本発明では、第一最近接野縁は、連結部材の主連結部によって第二野縁および第三野縁に連結されるので、第二野縁と第三野縁に対して相対変位しにくくなる。このため、第一最近接野縁に固定された天井下地と、第二野縁や第三野縁に固定された天井下地と、の間で生じる相対変位が抑制されるため、複数の天井下地に亘って張り付けられるクロスの破断を抑制することができる。
【0008】
上記構成において、前記第二野縁の開口領域側を向く側面を覆うとともに前記第一方向に延びて開口領域の縦縁を形成するための縦ランナーを更に備えてもよい。前記第一最近接野縁は、前記横ランナーの第二方向の端部から開口領域から離れる方向に延びてもよい。前記横ランナー及び前記縦ランナーは、前記連結部材を固定するために第一最近接野縁及び第二野縁の下面の一部を開放する形状を有してもよい。
【0009】
この構成によれば、横ランナー及び縦ランナーは、連結部材を固定するために第一最近接野縁及び第二野縁の下面の一部を開放する形状を有し、連結部材は、第一最近接野縁及び第二野縁の下面の開放部分に固定される。このため、連結部材は、横ランナー及び縦ランナーに対して野縁の下方に突出することが抑制されるので、連結部材と横ランナー又は縦ランナーの位置に配置される天井下地の不陸を抑制することができる。このため、複数の天井下地に亘って張り付けられるクロスの張り付け状態を綺麗な仕上がりにすることができる。
【0010】
上記構成において、前記複数の天井下地は、前記第一方向における前記横ランナーの配設位置の延長線上に目地が現れるとともに、前記第二方向において前記第一最近接野縁と前記第三野縁との間に目地が現れるように配置された状態で前記複数の野縁の下面に固定されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、第一方向における横ランナーの配設位置の延長線上に目地が現れるように配置された天井下地同士は、第一方向に相対変位する可能性が高くなる。また、第二方向において第一最近接野縁と第三野縁との間に目地が現れるように配置された天井下地同士は、第二方向に相対変位する可能性が高くなる。このため、開口領域の隅部近傍におけるクロスの破断が生じやすくなる。しかし、この構成では、第一最近接野縁は、第二野縁と第三野縁に連結部材の主連結部によって連結されていることにより、第二野縁と第三野縁に対して第一方向および第二方向に相対変位しにくいので、複数の天井下地同士における第一及び第二方向の相対変位が抑制される。このため、開口領域の隅部近傍におけるクロスの破断を効果的に抑制することができる。
【0012】
上記構成において、前記連結部材は、前記第二方向において前記第一最近接野縁の前記第二野縁と反対側に配置された第二隣接野縁と前記第一最近接野縁とを連結するように前記第一最近接野縁及び前記第二隣接野縁の下面に固定された副連結部を有してもよい。
【0013】
この構成によれば、第二隣接野縁は、第一最近接野縁に副連結部によって連結されるので、第一最近接野縁に対して相対変位が生じにくくなる。このため、第一最近接野縁と第二隣接野縁との間に目地が現れるように複数の天井下地が配置された場合に、第一最近接野縁と第二隣接野縁との間におけるクロスの破断を効果的に抑制することができる。また、第二隣接野縁と上下に重なる位置において第一方向に延びるように目地が配置された場合には、この目地を形成する一方の天井下地は、少なくとも副連結部によって互いに連結された第二隣接野縁と第一最近接野縁とに固定されるので、第二隣接野縁と第一最近接野縁とが第二方向にずれるような力が一方の天井下地に作用しにくくなる。このため、一方の天井下地の破断を抑制することができる。その結果、第一最近接野縁と第二隣接野縁との間におけるクロスの破断を効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の天井下地の相対変位を抑制することにより、複数の天井下地に亘って張り付けられるクロスの破断を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る支持構造を下方から見た図である。
図2】本発明の実施形態に係る支持構造の野縁が野縁受けに支持された状態を示す部分拡大図である。
図3】本発明の実施形態に係る支持構造の野縁が野縁受けに支持された状態を示す他の部分拡大図である。
図4】本発明の実施形態に係る支持構造の連結部材の野縁への固定位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態に係る支持構造を説明するために必要となる主要な構成要素を簡略化して示したものである。したがって、本発明の各実施形態に係る支持構造は、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成要素を備え得る。
【0017】
支持構造1は、家屋の吹き抜け部まわりに配置される複数の天井下地9を支持するための構造である。支持構造1は、図1~3に示すように、上層階の床梁2に吊り下げられる複数の野縁受け3と、複数の野縁受け3に支持される複数の野縁4と、開口を形成する領域として予め設定された開口領域5の縦縁および横縁をそれぞれ形成する縦ランナー6および横ランナー7と、複数の野縁4の下面に亘って固定される連結部材8と、複数の野縁4の下面に亘って固定される複数の天井下地9と、複数の天井下地9の下面に亘って張り付けられるクロス10と、を備える。
【0018】
複数の野縁受け3は、一方向に長い溝型鋼により形成されている。複数の野縁受け3は、一方向に延びる上下一対のフランジ11、12と、これらフランジ11、12の一方向に沿った一端部同士を連結するウエブ13と、を有する。複数の野縁受け3は、開口領域5以外の領域における水平方向において、開口部分を第一方向へ向けた状態で第一方向に直交する第二方向に延びるように配置されている。複数の野縁受け3は、第一方向に所定の間隔を空けて配置されている。各野縁受け3は、上側フランジ11に第二方向に所定の間隔を空けて取り付けられた複数の吊り下げ具14と、下側フランジ12に第二方向に所定の間隔を空けて取り付けられた複数の野縁支持具15と、を有する。
【0019】
複数の吊り下げ具14は、各野縁受け3の上方に位置する床梁2に第二方向に所定の間隔を空けて取り付けられている。これにより、各野縁受け3は、床梁2により吊り下げ支持されている。複数の野縁支持具15は、野縁4に係合する係合爪16を有する。
【0020】
複数の野縁4は、断面略ロ字状の鋼製筒材により形成されている。複数の野縁4は、開口領域5以外の領域に配置されている。複数の野縁4は、野縁受け3の下側において、野縁受け3と直交するように第一方向に沿って延び、第二方向に所定の間隔を空けて配置されている。各野縁4の両側面にはその第一方向に沿って係止溝17が形成されている。この係止溝17に、野縁支持具15の係合爪16が係合している。これにより、各野縁4は、野縁支持具15により支持されている。尚、野縁支持具15による支持は、各野縁4と野縁受け3との各交差部においてなされる。また、複数の野縁4の上面には、グラスウールやロックウール等により形成された断熱材21が設置されている。
【0021】
複数の野縁4は、図1に示すように、第二方向に延びる2本の横ランナー7から開口領域5から離れる方向に延びる複数の第一野縁18と、開口領域5の第一方向に延びる2つの縦縁にそれぞれ隣接する2本の第二野縁19と、第二方向において開口領域5と反対側で2本の第二野縁19にそれぞれ隣接する2本の第三野縁20と、を有する。
【0022】
ここで、複数の第一野縁18と2本の第二野縁19と2本の縦ランナー6と2本の横ランナー7と連結部材8とは、図1の紙面において左右非対称な構造を有するため、以下、図1の紙面において支持構造1を左側部分と右側部分とに分けて順に説明していく。尚、複数の第一野縁18と2本の第二野縁19と2本の縦ランナー6と2本の横ランナー7と連結部材8とは、図1の紙面において上下対称な構造を有する。このため、図1の紙面において支持構造1の下側部分のみ説明し、上側部分の説明は省略する。まず、図1の紙面において左側部分を説明していく。
【0023】
複数の第一野縁18は、その第一方向の一端部が横ランナー7に連結されるように配置されている。複数の第一野縁18のうち左側の第2野縁19に最も近い第一野縁18は、第一最近接野縁18aを構成している。この第一最近接野縁18aの第一方向の一端部は、横ランナー7の第二方向の左端部に位置している。この第一最近接野縁18aと左側の第2野縁19とは、第一方向に延びる同一の仮想的な直線上に配置される部分を有するように配置されている(図4参照)。第二方向において第一最近接野縁18aの第二野縁19とは反対側に配置された第一野縁18は、第二隣接野縁18bを構成している。
【0024】
左側の第二野縁19には、縦ランナー6が固定されている。左側の第二野縁19は、第一方向において開口領域5の縦縁の長さと略等しい長さに形成されている。
【0025】
左側の第三野縁20は、第二方向において開口領域5と反対側(左側)で第二野縁19に隣接するように配置されている。
【0026】
左側の縦ランナー6は、図1、3に示すように、第一方向に直交する平面で切断した断面において略コ字状に形成されている。各縦ランナー6は、開口領域5に第二方向に対向する側面部6aと、側面部6aの上下方向の両端からそれぞれ開口領域5とは反対方向に延びる上面部6bおよび下面部6cと、を有する。
【0027】
左側の縦ランナー6は、図3、4に示すように、側面部6aと上面部6bと下面部6cとにより左側の第二野縁19を覆った状態で左側の第二野縁19に固定されている。左側の縦ランナー6の第一方向の両端部における下面部6cは、図4に示すように、左側の第二野縁19の第一方向の両端部における下面を開放するように切り欠かれている。尚、左側の縦ランナー6の第一方向の両端部における側面部6a、上面部6bおよび下面部6cが、左側の第二野縁19の第一方向の両端部を開放するように切り欠かれてもよい。また、左側の縦ランナー6は省略されてもよい。
【0028】
2本の横ランナー7は、図2、4に示すように、第二方向に直交する平面で切断した断面において略コ字状に形成されている。各横ランナー7は、第一方向の開口領域5側を向く側面部7aと、側面部7aの上下方向の両端からそれぞれ開口領域5とは反対方向に延びる上面部7bおよび下面部7cと、を有する。各横ランナー7の第二方向の左端部は、第一最近接野縁18aの第一方向の一端部を開放するように切り欠かれている(図4参照)。各横ランナー7は、側面部7aと上面部7bと側面部7cとにより複数の第一野縁18の第一方向の一端部を覆った状態で各第一野縁18の第一方向の一端部に固定されている(図1、2、4参照)。各横ランナー7の第二方向の左端部は、左側の縦ランナー6の第一方向の一端部とは離れている。尚、各横ランナー7の第二方向の左端部は、左側の縦ランナー6の第一方向の一端部と連結してもよい。
【0029】
連結部材8は、鉄板によって形成され、開口領域5の4つの隅部の近傍に計4枚設けられている(図1参照)。左側の2枚の連結部材8は、図1、4に示すように、第一最近接野縁18a、左側の第二野縁19および左側の第三野縁20の各下面に亘って固定される主連結部8aと、主連結部18aと一体に形成された副連結部8bと、を有する。
【0030】
主連結部8aは、左側の第二野縁19の下面において縦ランナー6の下面部6cから開放されている部分と、第一最近接野縁18aの下面において横ランナー7から開放されている部分と、第三野縁20の下面とに亘って固定されている(図4参照)。これにより、主連結部8aは、縦ランナー6及び横ランナー7に上下に重ならないように配置される。その結果、縦ランナー6及び横ランナー7に対して主連結部8aが野縁4の下方に突出することが抑制される。尚、主連結部8aの形状や大きさは、第一最近接野縁18aと第二野縁19と第三野縁20とを互いに連結できるとともに、縦ランナー6及び横ランナー7に上下に重ならないように配置できれば、特に限定されることはない。本実施形態では、主連結部8aは、矩形状に形成されている。
【0031】
副連結部8bは、横ランナー7と上下に重ならないように、横ランナー7と第一方向に隣接した位置において第二方向に延びるように形成されている。副連結部8bは、第一最近接野縁18aおよび第二隣接野縁18bの各下面に亘って固定されている。尚、副連結部8bの形状や大きさは、第一最近接野縁18aと第二隣接野縁18bとを連結できるとともに、横ランナー7と上下に重ならないように配置できれば、特に限定されることはない。本実施形態では、副連結部8bは、第一方向の長さが主連結部8aよりも短い矩形状に形成されている(図4参照)。
【0032】
以下、複数の野縁4、縦ランナー6、横ランナー7および連結部材8に関し、支持構造1の右側部分について説明する。尚、支持構造1の左側部分と対応する要素については、支持構造1の左側部分と同一の符号を付している。以下では、支持構造1の右側部分について、支持構造1の左側部分と異なる部分について説明していく。
【0033】
右側の第二野縁19に最も近い第一野縁18は、第一最近接野縁18aを構成している(図1参照)。この第一最近接野縁18aは、横ランナー7の第二方向の右端部から第二方向の左側に離れた位置に配置されている。
【0034】
右側の第三野縁20は、右側の第二野縁19との間における第二方向の間隔が、左側の第三野縁20と左側の第二野縁19との間における第二方向の間隔よりも小さくなるように右側の第二野縁19に近接して配置されている(図1参照)。
【0035】
右側の縦ランナー6は、左側の縦ランナー6と同様に省略されてもよい。
【0036】
右側の連結部材8は、主連結部8aのみを有し、副連結部8bが省略されている。右側の連結部材8の主連結部8aは、右側の縦ランナー6と横ランナー7に上下に重ならないように、右側の第二野縁19の下面において右側の縦ランナー6の下面部6cから開放されている部分と、右側の第1最近接野縁18aの下面と、右側の第三野縁20の下面と、右側の第三野縁20に第二方向の右側に隣接する野縁4の下面とに亘って固定されている(図1参照)。
【0037】
尚、右側の連結部材8の主連結部8aの形状や大きさは、右側の第一最近接野縁18aと右側の第二野縁19と右側の第三野縁20とを互いに連結できれば、特に限定されることはない。例えば、右側の主連結部8aの形状や大きさは、右側の第三野縁20に第二方向の右側に隣接する野縁4の下面に上下に重ならないような形状や大きさでもよい。
【0038】
複数の天井下地9は、石膏ボードによって形成されている。複数の天井下地9は、開口領域5以外の領域に設置されている。具体的には、複数の天井下地9は、縁部が開口領域5の縦縁に一致するように縦ランナー6の下面部6c、連結部材8の下面、第二野縁19および第三野縁20の各下面に重ね合わせた状態で、縦ランナー6の下面部6cと第二野縁19および第三野縁20の各下面とに固定されている(図3参照)。さらに、複数の天井下地9は、縁部が開口領域5の横縁に一致するように横ランナー7の下面部7c、連結部材8の下面および第一最近接野縁18aを含む複数の第一野縁18の各下面に重ね合わせた状態で、横ランナー7の下面部7cと第一最近接野縁18aを含む複数の第一野縁18の各下面に固定されている(図2参照)。
【0039】
複数の天井下地9は、開口領域5の隅部の近傍に目地が現れるように設置されている。図1の例では、複数の天井下地9は、第一方向における横ランナー7の配設位置の延長線上に目地23が現れるとともに、第二方向において第一最近接野縁18aと第三野縁20との間に目地24が現れるように、複数の野縁4の各下面に亘って配置されている。図1の例では、目地24は、第二方向における縦ランナー6の配設位置の延長線上に位置している。尚、隣り合う天井下地9が形成する目地の位置は、上記に限定されることはない。例えば、目地23は、第二方向における縦ランナー6の配設位置の延長線上の位置から第一方向に離れた位置に現れてもよい。また、目地24は、第一最近接野縁18aと第二最近接野縁18bとの間に現れてもよい。
【0040】
また、隣り合う天井下地9が形成する目地の位置は、第二隣接野縁18bと上下に重なる位置において第一方向に延びるように目地25が現れてもよい(図1参照)。この場合、目地25を形成する左側の天井下地9は、少なくとも副連結部8bによって互いに連結された第二隣接野縁18bと第一最近接野縁18aとに固定される。目地25を形成する右側の天井下地9は、少なくとも第二隣接野縁18bと第二隣接野縁18bから第一最近接野縁18aとは反対の第二方向に隣接する第一野縁18とに固定される。
【0041】
クロス10は、複数の天井下地9の各下面に亘って張り付けられている(図2、3参照)。
【0042】
上記支持構造1では、第一最近接野縁18aは、連結部材8の主連結部8aによって第二野縁19および第三野縁20に連結されているので(図1参照)、第二野縁19と第三野縁20に対して相対変位しにくい。このため、第一最近接野縁18aを含む複数の第一野縁18の各下面に亘って固定された天井下地9と、第二野縁19と複数の第三野縁20の各下面に亘って固定された天井下地9と、の間の相対変位が抑制されるため、複数の天井下地9に亘って張り付けられるクロス10の破断を抑制することができる。
【0043】
上記支持構造1では、横ランナー7及び縦ランナー6は、連結部材8を固定するために第一最近接野縁18a及び左右の第二野縁19の下面の一部を開放する形状を有し、連結部材8の主連結部8aは、第一最近接野縁18a及び左右の第二野縁19の下面の開放部分に固定されている(図4参照)。このため、連結部材8は、横ランナー7及び縦ランナー6に対して野縁4の下方に突出することが抑制されるので、連結部材8の下面と縦ランナー6の下面部6cに亘って配置される天井下地9や、連結部材8の下面と横ランナー7の下面部7cに亘って配置される天井下地9の不陸を抑制することができる。このため、複数の天井下地9に亘って張り付けられるクロス10の張り付け状態を綺麗な仕上がりにすることができる。
【0044】
上記支持構造1では、複数の天井下地9は、第一方向における横ランナー7の配設位置の延長線上に目地23が現れるように設置されているので、この目地23を形成する天井下地9、9同士は、第一方向に相対変位する可能性がある。また、上記支持構造1では、複数の天井下地9は、第二方向において第一最近接野縁18aと第三野縁20との間に目地24が現れるように設置されているので、この目地24を形成する天井下地9、9同士は、第二方向に相対変位する可能性がある(図1参照)。しかし、上記支持構造1では、第一最近接野縁18aと第二野縁19と第三野縁20とが互いに主連結部8aによって連結されることにより、第一最近接野縁18aと第二野縁19と第三野縁20とにおける第一方向および第二方向の相対変位が抑制されるので、複数の天井下地9の第一及び第二方向の相対変位が抑制される。このため、開口領域5の隅部の近傍におけるクロス10の破断を効果的に抑制することができる。
【0045】
上記支持構造1では、第二隣接野縁18bは、第一最近接野縁18aに副連結部8bによって連結されるので、第一最近接野縁18aに対して相対変位が生じにくい。このため、第一最近接野縁18aと第二隣接野縁18bとの間に目地が現れるように複数の天井下地9が配置された場合、この目地を形成する天井下地9、9同士における第二方向の相対変位が抑制されるので、第一最近接野縁18aと第二隣接野縁18bとの間におけるクロス10の破断を効果的に抑制することができる。
【0046】
さらに、上記支持構造1では、第二隣接野縁18bに上下に重なる位置において第一方向に延びるように目地25が配置されているので(図1参照)、この目地25を形成する左側の天井下地9は、少なくとも副連結部8bによって互いに連結された第二隣接野縁18bと第一最近接野縁18aとに固定される。このため、目地25を形成する左側の天井下地9には、第二隣接野縁18bと第一最近接野縁18aとが第二方向にずれるような力が作用しにくいので、目地25を形成する左側の天井下地9の破断を抑制することができる。その結果、第一最近接野縁18aと第二隣接野縁18bとの間におけるクロス10の破断を効果的に抑制することができる。
【0047】
上記支持構造1では、左右の縦ランナー6は、いずれも第二野縁19に固定されたが、左右の縦ランナー6の少なくとも一方は、第二野縁19に固定されなくてもよい。この場合、例えば、右側の第二野縁19は、縦ランナー6から開口領域5とは反対の第二方向に間隔を空けて配置される。さらに、この場合、右側の第三野縁20が第二野縁に相当し、右側の第三野縁20に対して開口領域5とは反対の第二方向に隣接する野縁4が第三野縁に相当する。
【符号の説明】
【0048】
1 支持構造
4 野縁
5 開口領域
6 縦ランナー
7 横ランナー
8 連結部材
8a 主連結部
8b 副連結部
9 天井下地
18 第一野縁
18a 第一最近接野縁
18b 第二隣接野縁
19 第二野縁
20 第三野縁
23 目地
24 目地
25 目地
図1
図2
図3
図4