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  • 特許-コネクタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/533 20060101AFI20230711BHJP
   H01R 13/74 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H01R13/533 A
H01R13/74 J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020047452
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021150099
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】兼松 佑多
(72)【発明者】
【氏名】椋野 潤一
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-112031(JP,A)
【文献】特開2013-35319(JP,A)
【文献】特開2017-117534(JP,A)
【文献】米国特許第4462657(US,A)
【文献】米国特許第7744386(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/533
H01R 13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製のハウジングと、
前記ハウジングに保持される平板状のバスバーと、
前記バスバーの一方の平坦面と前記ハウジングの接触部との間に介在されるセラミック部材と、
前記バスバーの他方の平坦面を前記接触部側に押圧する押圧部材と
を備えたコネクタ。
【請求項2】
前記押圧部材は複数設けられた請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記バスバーの他方の平坦面に当接されて前記押圧部材に押圧される当接部材を備え、
前記当接部材の前記バスバーとの対向面は、前記バスバーの延在方向において、前記セラミック部材の長さ以上に設定された請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記バスバーの他方の平坦面に当接されて前記押圧部材に押圧される当接部材を備え、
前記当接部材の前記バスバーとの対向面は、前記バスバーの幅方向において、前記バスバーの長さ以上に設定された請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記セラミック部材の前記バスバーとの対向面は、前記バスバーの幅方向において、前記バスバーの長さ以上に設定された請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタとしては、金属製のハウジングと、そのハウジングに保持される導体とを備え、それら導体とハウジングとの間に中間絶縁部が設けられたものがある(例えば、特許文献1参照)。このようなコネクタでは、中間絶縁部を熱伝導率の高いセラミック部材とすればバスバーの放熱性が良好となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2018-510462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したコネクタにおいて、バスバー及びハウジングに対してセラミック部材を単に隣接させた構成では、寸法誤差や線膨張率の違い等によってそれらの間に微小な隙間が生じる虞があり、接触熱抵抗が大きくなって放熱性が悪化するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、良好な放熱を可能としたコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、金属製のハウジングと、前記ハウジングに保持される平板状のバスバーと、前記バスバーの一方の平坦面と前記ハウジングの接触部との間に介在されるセラミック部材と、前記バスバーの他方の平坦面を前記接触部側に押圧する押圧部材とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示のコネクタによれば、良好な放熱が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態におけるコネクタの断面図である。
図2図2は、一実施形態におけるコネクタの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
[1]金属製のハウジングと、前記ハウジングに保持される平板状のバスバーと、前記バスバーの一方の平坦面と前記ハウジングの接触部との間に介在されるセラミック部材と、前記バスバーの他方の平坦面を前記接触部側に押圧する押圧部材とを備える。
【0010】
同構成によれば、バスバーの他方の平坦面が押圧部材によって接触部側に押圧されてバスバーの一方の平坦面がセラミック部材を介してハウジングの接触部に押圧接触される。よって、バスバーの一方の平坦面は熱伝導率の高いセラミック部材を介してハウジングの接触部に隙間無く当接された状態が維持され、バスバーの放熱性が良好となる。
【0011】
[2]前記押圧部材は複数設けられることが好ましい。
同構成によれば、前記押圧部材は複数設けられるため、バスバーを安定してセラミック部材に押圧することができる。
【0012】
[3]前記バスバーの他方の平坦面に当接されて前記押圧部材に押圧される当接部材を備え、前記当接部材の前記バスバーとの対向面は、前記バスバーの延在方向において、前記セラミック部材の長さ以上に設定されることが好ましい。
【0013】
同構成によれば、バスバーの他方の平坦面に当接されて押圧部材に押圧される当接部材のバスバーとの対向面は、バスバーの延在方向において、セラミック部材の長さ以上に設定されるため、バスバーを安定してセラミック部材に押圧することができる。
【0014】
[4]前記バスバーの他方の平坦面に当接されて前記押圧部材に押圧される当接部材を備え、前記当接部材の前記バスバーとの対向面は、前記バスバーの幅方向において、前記バスバーの長さ以上に設定されることが好ましい。
【0015】
同構成によれば、バスバーの他方の平坦面に当接されて押圧部材に押圧される当接部材のバスバーとの対向面は、バスバーの幅方向において、バスバーの長さ以上に設定されるため、バスバーを安定してセラミック部材に押圧することができる。
【0016】
[5]前記セラミック部材の前記バスバーとの対向面は、前記バスバーの幅方向において、前記バスバーの長さ以上に設定されることが好ましい。
同構成によれば、セラミック部材のバスバーとの対向面は、バスバーの幅方向において、バスバーの長さ以上に設定されるため、バスバーを安定してセラミック部材に押圧することができる。また、バスバーの幅方向全体をセラミック部材と接触させることができるため放熱性が良好となる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
図1に示すように、コネクタ11は、インバータ等の電気機器12に接続されるハウジング13と、該ハウジング13に保持される平板状のバスバー14とを備える。
ハウジング13は、金属製であって、本実施形態ではアルミ製である。ハウジング13は、バスバー14が挿通された状態で保持される略四角筒状の筒部13aと、該筒部13aの先端側の開口部からフランジ状に延びるフランジ部13bとを有する。
【0019】
図2に示すように、筒部13aは、バスバー14の幅方向に一対並設されている。また、ハウジング13におけるフランジ部13bの四隅には固定孔13cが設けられている。コネクタ11は、固定孔13cに挿通されて電気機器12に螺合される図示しないネジによって電気機器12に固定される。また、本実施形態のハウジング13は、筒部13aの並設方向と直交する方向であって、図2中、上下方向に分割された形状のハウジング構成部材15,16によって構成されている。
【0020】
図1に示すように、バスバー14の基端側には、電線17の芯線17aに固定された接続端子18が接続されている。そして、バスバー14の先端側は、ハウジング13の外部に突出しており、電気機器12の図示しない接続端子に接続されることになる。
【0021】
ここで、本実施形態のコネクタ11は、バスバー14の一方の平坦面14aとハウジング13の接触部19との間に介在されるセラミック部材20と、バスバー14の他方の平坦面14bを接触部19側に押圧する押圧部材としての圧縮コイルばね21とを備える。
【0022】
詳しくは、セラミック部材20は、例えば、アルミナを材料としてなり、絶縁性を有するとともに、樹脂材等に比べて熱伝導率が高いものである。セラミック部材20は、平板状に形成され、バスバー14の一方の平坦面14aと、ハウジング13の筒部13aにおける上壁である接触部19との間に介在されている。図2に示すように、セラミック部材20のバスバー14との対向面は、バスバー14の幅方向において、バスバー14の長さより大きく設定されている。すなわち、本実施形態のセラミック部材20の幅はバスバー14の幅より大きく設定され、バスバー14の一方の平坦面14aは幅方向全体がセラミック部材20と接触するように設定されている。
【0023】
また、ハウジング13の筒部13aにおける下壁には、ばね収容部13dが凹設されている。ばね収容部13dは、バスバー14の延在方向であって筒部13aの長手方向に一対並設されている。そして、各ばね収容部13dには、バスバー14の他方の平坦面14bを接触部19側に押圧すべく、圧縮コイルばね21が上下方向に圧縮された状態で収容されている。
【0024】
また、本実施形態のコネクタ11は、バスバー14の他方の平坦面14bに当接されて圧縮コイルばね21に押圧される当接部材22を備えている。
当接部材22は、例えば、ポリブチレンテレフタレート等の樹脂材よりなる。当接部材22は、平板状に形成されつつばね収容部13dの底側に突出する一対の位置決め筒部22aを有する。そして、圧縮コイルばね21は、位置決め筒部22aに外嵌された態様で設けられ、当接部材22をバスバー14側であって接触部19側に押圧する。
【0025】
また、図1に示すように、当接部材22のバスバー14との対向面は、バスバー14の延在方向において、セラミック部材20の長さより大きく設定されている。
また、図2に示すように、当接部材22のバスバー14との対向面は、バスバー14の幅方向において、バスバー14の長さより大きく設定されている。
【0026】
次に、上記のように構成されたコネクタ11の作用について説明する。
コネクタ11では、バスバー14の他方の平坦面14bが圧縮コイルばね21によって押圧されることで、バスバー14の一方の平坦面14aがセラミック部材20を介してハウジング13の接触部19に押圧接触された状態が維持される。よって、例えば、各部材の寸法誤差や線膨張率の違い等によってそれらの間に微小な隙間が生じてしまうことが抑えられる。
【0027】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)バスバー14の他方の平坦面14bが圧縮コイルばね21によってハウジング13の接触部19側に押圧されてバスバー14の一方の平坦面14aがセラミック部材20を介してハウジング13の接触部19に押圧接触される。よって、バスバー14の一方の平坦面14aは熱伝導率の高いセラミック部材20を介してハウジング13の接触部19に隙間無く当接された状態が維持され、バスバー14の放熱性が良好となる。
【0028】
(2)圧縮コイルばね21は複数設けられるため、バスバー14を安定してセラミック部材20に押圧することができる。
(3)バスバー14の他方の平坦面14bに当接されて圧縮コイルばね21に押圧される当接部材22のバスバー14との対向面は、バスバー14の延在方向において、セラミック部材20の長さ以上に設定されるため、バスバー14を安定してセラミック部材20に押圧することができる。
【0029】
(4)バスバー14の他方の平坦面14bに当接されて圧縮コイルばね21に押圧される当接部材22のバスバー14との対向面は、バスバー14の幅方向において、バスバー14の長さ以上に設定されるため、バスバー14を安定してセラミック部材20に押圧することができる。
【0030】
(5)セラミック部材20のバスバー14との対向面は、バスバー14の幅方向において、バスバー14の長さ以上に設定されるため、バスバー14を安定してセラミック部材20に押圧することができる。また、バスバー14の幅方向全体がセラミック部材20と接触するため放熱性が良好となる。
【0031】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、押圧部材を圧縮コイルばね21としたが、これに限定されず、例えば、板ばね等の他の押圧部材に変更してもよい。
【0032】
・上記実施形態では、押圧部材である圧縮コイルばね21は2つ設けられるとしたが、これに限定されず、いくつ設けてもよい。例えば、押圧部材の数は、1つとしてもよいし、3つ以上としてもよい。
【0033】
・上記実施形態では、当接部材22のバスバー14との対向面は、バスバー14の延在方向において、セラミック部材20の長さより大きく設定されるとしたが、これに限定されず、例えば、セラミック部材20の長さと同じとしてもよいし、セラミック部材20の長さより小さくしてもよい。
【0034】
・上記実施形態では、当接部材22のバスバー14との対向面は、バスバー14の幅方向において、バスバー14の長さより大きく設定されるとしたが、これに限定されず、例えば、バスバー14の長さと同じとしてもよいし、バスバー14の長さより小さくしてもよい。
【0035】
・上記実施形態では、セラミック部材20のバスバー14との対向面は、バスバー14の幅方向において、バスバー14の長さより大きく設定されるとしたが、これに限定されず、例えば、バスバー14の長さと同じとしてもよいし、バスバー14の長さより小さくしてもよい。
【0036】
・上記実施形態では、コネクタ11は、筒部13a及びバスバー14を一対有するものとしたが、これに限定されず、例えば、1つや3つ以上有するものとしてもよい。
・上記実施形態では、ハウジング13はアルミ製であるとしたが、これに限定されず、他の金属材料からなるものとしてもよい。
【0037】
・上記実施形態では、セラミック部材20は、アルミナを材料としてなるとしたが、これに限定されず、絶縁性を有するとともに樹脂材等に比べて熱伝導率が高いものであれば、他の材料からなるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
11 コネクタ
12 電気機器
13 ハウジング
13a 筒部
13b フランジ部
13c 固定孔
13d ばね収容部
14 バスバー
14a 一方の平坦面
14b 他方の平坦面
15,16 ハウジング構成部材
17 電線
17a 芯線
18 接続端子
19 接触部
20 セラミック部材
21 圧縮コイルばね(押圧部材)
22 当接部材
22a 位置決め筒部
図1
図2