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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】触感提示装置
(51)【国際特許分類】
   H02N 11/00 20060101AFI20230711BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H02N11/00 Z
G06F3/01 560
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020057719
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021158822
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】神崎 武彦
(72)【発明者】
【氏名】大口 慎治
(72)【発明者】
【氏名】椙山 慶太
(72)【発明者】
【氏名】野田 栄喜
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-136630(JP,A)
【文献】特開2018-020088(JP,A)
【文献】国際公開第2011/027535(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/186847(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者に伝わる振動を触感として認識させる触感提示装置であって、
一対の電極を有する電場応答性高分子アクチュエータと、
駆動波形データに基づいて変化する電圧を印加することにより、前記電場応答性高分子アクチュエータの駆動を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記電場応答性高分子アクチュエータの駆動中に、前記電場応答性高分子アクチュエータを駆動するための前記駆動波形データが変更されたとき、前記駆動波形データの変更に伴う電圧の急変を緩和する中間波形データに基づいて変化する電圧を前記電場応答性高分子アクチュエータに印加した後、変更先の前記駆動波形データに基づいて変化する電圧を前記電場応答性高分子アクチュエータに印加し、
前記中間波形データは、現在の前記駆動波形データの波形に基づく波形であって、振幅が段階的に小さくなるように調整されたフェードアウト波形と、変更先の前記駆動波形データの波形に基づく波形であって、振幅が段階的に大きくなるように調整されたフェードイン波形とを合成した合成波形の波形データであることを特徴とする触感提示装置。
【請求項2】
前記フェードアウト波形及び前記フェードイン波形は、現在の前記駆動波形データの波形の周期から変更先の前記駆動波形データの波形の周期に段階的に同期して変化する波形である請求項に記載の触感提示装置。
【請求項3】
使用者に伝わる振動を触感として認識させる触感提示装置であって、
一対の電極を有する電場応答性高分子アクチュエータと、
駆動波形データに基づいて変化する電圧を印加することにより、前記電場応答性高分子アクチュエータの駆動を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記電場応答性高分子アクチュエータの駆動中に、前記電場応答性高分子アクチュエータを駆動するための前記駆動波形データが変更されたとき、前記駆動波形データの変更に伴う電圧の急変を緩和する中間波形データに基づいて変化する電圧を前記電場応答性高分子アクチュエータに印加した後、変更先の前記駆動波形データに基づいて変化する電圧を前記電場応答性高分子アクチュエータに印加し、
前記中間波形データは、現在の前記駆動波形データの波形及び変更先の前記駆動波形データの波形を波形生成モデルに入力して生成された仮想合成波形の波形データであり、
前記波形生成モデルは、前記駆動波形データの波形を学習させ、入力された第1の波形及び第2の波形に対して、前記第1の波形から前記第2の波形に徐々に変化する仮想合成波形を出力するように構成された波形生成モデルであり、
前記波形生成モデルは、敵対的生成ネットワークを用いた波形生成モデルであることを特徴とする触感提示装置。
【請求項4】
前記電場応答性高分子アクチュエータは、誘電エラストマーアクチュエータである請求項1~のいずれか一項に記載の触感提示装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記駆動波形データの波形を表示する表示部を備える請求項1~のいずれか一項に記載の触感提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者に伝わる振動を触感として認識させる触感提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、周波数及び波形が異なる2種類以上の振動パターンを連続的に提示する触感提示装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-36144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される技術は、振動パターンが切り替わるタイミングで使用者が認識する違和感を低減するという点において改良の余地があった。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、振動パターンが切り替わるタイミングで使用者が認識する違和感を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する触感提示装置は、使用者に伝わる振動を触感として認識させる触感提示装置であって、一対の電極を有する電場応答性高分子アクチュエータと、駆動波形データに基づいて変化する電圧を印加することにより、前記電場応答性高分子アクチュエータの駆動を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記電場応答性高分子アクチュエータの駆動中に、前記電場応答性高分子アクチュエータを駆動するための前記駆動波形データが変更されたとき、前記駆動波形データの変更に伴う電圧の急変を緩和する中間波形データに基づいて変化する電圧を前記電場応答性高分子アクチュエータに印加した後、変更先の前記駆動波形データに基づいて変化する電圧を前記電場応答性高分子アクチュエータに印加する。
【0006】
上記構成によれば、駆動波形データを変更する操作がなされたとき、即座に駆動波形データを変更するのではなく、特定の中間波形データに基づいて変化する電圧を電場応答性高分子アクチュエータに印加する期間を介して、変更先の駆動波形データに基づく電圧の印加を開始している。これにより、駆動波形データを変更する操作がなされたタイミングにおいて、駆動波形データを即座に変更した場合と比較して、駆動波形データの変更に伴う電圧の急変を緩和できる。その結果、電場応答性高分子アクチュエータの駆動中に駆動波形データが変更された場合に、振動パターンが切り替わるタイミングで使用者が認識する違和感を低減できる。
【0007】
上記触感提示装置において、前記中間波形データは、現在の前記駆動波形データの波形における、変更が指示された点である変更指示点から、変更先の前記駆動波形データの波形における予め設定された基準点の波高レベルに一致する点又は前記基準点の波高レベルに最も近づく点までの期間の波形の波形データであることが好ましい。
【0008】
上記構成によれば、現在の駆動波形データの波形の波高レベルが、変更先の動波形データの波形の基準点の波高レベルに一致又は最も近づくタイミングで現在の駆動波形データの波形から変更先の動波形データの波形に切り替えている。これにより、切り替え時における電場応答性高分子アクチュエータに印加される電圧の急激な変動が抑制されて、振動パターンが切り替わるタイミングで使用者が認識する違和感を低減できる。
【0009】
上記触感提示装置において、前記中間波形データは、現在の前記駆動波形データの波形に基づく波形であって、振幅が段階的に小さくなるように調整されたフェードアウト波形と、変更先の前記駆動波形データの波形に基づく波形であって、振幅が段階的に大きくなるように調整されたフェードイン波形とを合成した合成波形の波形データであることが好ましい。
【0010】
上記触感提示装置において、前記フェードアウト波形及び前記フェードイン波形は、現在の前記駆動波形データの波形の周期から変更先の前記駆動波形データの波形の周期に段階的に同期して変化する波形であることが好ましい。
【0011】
上記触感提示装置において、前記中間波形データは、現在の前記駆動波形データの波形及び変更先の前記駆動波形データの波形を波形生成モデルに入力して生成された仮想合成波形の波形データであり、前記波形生成モデルは、前記駆動波形データの波形を学習させ、入力された第1の波形及び第2の波形に対して、前記第1の波形から前記第2の波形に徐々に変化する前記仮想合成波形を出力するように構成された波形生成モデルであることが好ましい。
【0012】
上記の各構成によれば、電場応答性高分子アクチュエータの駆動中において、駆動波形データの変更に伴って電場応答性高分子アクチュエータの振動パターンが変更された場合に、振動パターンが徐々に変更されることにより、振動パターンの切り替え点を使用者に認識させ難くすることができる。これにより、振動パターンが切り替わるタイミングで使用者が認識する違和感を更に低減できる。
【0013】
上記触感提示装置において、前記電場応答性高分子アクチュエータは、誘電エラストマーアクチュエータであることが好ましい。
誘電エラストマーアクチュエータは、印加している電圧をいきなり0に落とした場合のように、印加している電圧を高速で変化させた場合に大きな振動が生じる。そのため、誘電エラストマーアクチュエータの駆動中において、駆動波形データを変更すると、変更時の電圧の急激な変動によって誘電エラストマーアクチュエータに振動が生じ、使用者は、その振動を違和感として認識しやすい。したがって、電場応答性高分子アクチュエータとして、誘電エラストマーアクチュエータが用いられている場合には、振動パターンが切り替わるタイミングで使用者が認識する違和感を低減できる効果がより顕著に得られる。
【0014】
上記触感提示装置において、前記制御装置は、前記駆動波形データの波形を表示する表示部を備えることが好ましい。
上記構成によれば、表示部に表示される駆動波形データの波形を確認しながら、駆動波形データを変更する操作を行うことにより、当該操作をよりスムーズに行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、振動パターンが切り替わるタイミングで使用者が認識する違和感を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】触感提示装置の概略図。
図2】誘電エラストマーアクチュエータの断面構造を示す断面図。
図3】(a)~(c)は、駆動波形データの波形。
図4】遅延時間の説明図。
図5】(a)は、第1フェードアウト波形の説明図、(b)は、第1フェードイン波形の説明図、(c)は、第1合成波形の説明図。
図6】(a)は、第2フェードアウト波形の説明図、(b)は、第2フェードイン波形の説明図、(c)は、第2合成波形の説明図。
図7】波形編集画面の説明図。
図8】触感提示装置の第1モードにおける制御を示すフローチャート。
図9】触感提示装置の第2~第4モードにおける制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、触感提示装置は、電場応答性高分子アクチュエータとしての誘電エラストマーアクチュエータ11(DEA:Dielectric Elastomer Actuator)と、DEA11の駆動を制御する制御装置12とを備えている。
【0018】
図2に示すように、DEA11は、誘電エラストマーからなるシート状の誘電層20と、誘電層20の厚さ方向の両側に配置された電極層としての正極電極21及び負極電極22とが複数積層された多層構造体である。DEA11の最外層には絶縁層23が積層されている。DEA11は、正極電極21と負極電極22との間に直流電圧が印加されると、印加電圧の大きさに応じて、誘電層20が厚さ方向に圧縮されるとともに誘電層20の面に沿った方向であるDEA11の面方向に伸張するように変形する。
【0019】
誘電層20を構成する誘電エラストマーは特に限定されるものではなく、公知のDEAに用いられる誘電エラストマーを用いることができる。上記誘電エラストマーとしては、例えば、架橋されたポリロタキサン、シリコーンエラストマー、アクリルエラストマー、ウレタンエラストマーが挙げられる。これら誘電エラストマーのうちの一種を用いてもよいし、複数種を併用してもよい。誘電層20の厚さは、例えば、1~100μmである。
【0020】
正極電極21及び負極電極22を構成する材料としては、例えば、導電エラストマー、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック(登録商標)、金属蒸着膜が挙げられる。上記導電エラストマーとしては、例えば、絶縁性高分子及び導電性フィラーを含有する導電エラストマーが挙げられる。
【0021】
上記絶縁性高分子としては、例えば、架橋されたポリロタキサン、シリコーンエラストマー、アクリルエラストマー、ウレタンエラストマーが挙げられる。これら絶縁性高分子のうちの一種を用いてもよいし、複数種を併用してもよい。上記導電性フィラーとしては、例えば、ケッチェンブラック(登録商標)、カーボンブラック、銅や銀等の金属粒子が挙げられる。これら導電性フィラーのうちの一種を用いてもよいし、複数種を併用してもよい。正極電極21及び負極電極22の厚さは、例えば、0.1~100μmである。
【0022】
絶縁層23を構成する絶縁エラストマーは特に限定されるものではなく、公知のDEAの絶縁部分に用いられる公知の絶縁エラストマーを用いることができる。上記絶縁エラストマーとしては、例えば、架橋されたポリロタキサン、シリコーンエラストマー、アクリルエラストマー、ウレタンエラストマーが挙げられる。これら絶縁エラストマーのうちの一種を用いてもよいし、複数種を併用してもよい。絶縁層23の厚さは、例えば、1.0~100μmである。
【0023】
図1に示すように、制御装置12は、DEA11の正極電極21及び負極電極22により構成される一対の電極の間に周期的に変化する電圧を印加する駆動装置30と、DEA11に印加する電圧の波形を編集する波形編集装置40とを備えている。
【0024】
駆動装置30は、駆動側記憶部31及び駆動制御部32を備えている。駆動側記憶部31には、波形編集装置40から送信された駆動波形データが記憶されている。駆動波形データは、DEA11に印加される1周期分の電圧の変化を示す波形に関する情報である。駆動制御部32は、駆動側記憶部31に記憶されている駆動波形データに基づく波形の電圧をバッテリ等の電源(図示略)からDEA11に繰り返し印加する。
【0025】
詳述すると、駆動制御部32は、駆動側記憶部31に記憶されている駆動波形データ及び波形編集装置40から送信される後述する駆動条件に基づいて、次に印加すべき電圧を演算し、演算された電圧をDEA11に印加する処理を数ミリ秒~数十ミリ秒の周期で繰り返し実行する。なお、DEA11の振動の周波数の範囲は、例えば、1~1000Hzである。特に、上記の周波数が200Hz以下の低周波域である場合、DEA11の振動パターンが切り替わるタイミングで、使用者が違和感を認識しやすくなる。
【0026】
波形編集装置40は、入力部としてのポインティングデバイス41、表示部42、第1記憶部43、第2記憶部44、編集制御部45、条件設定部46、及び画像処理部47を備えるコンピュータとして構成される。
【0027】
ポインティングデバイス41は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス、ジョイスティック等のポインティングデバイスであり、使用者からの操作指示等を受け付ける。表示部42は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示デバイスである。
【0028】
第1記憶部43には、複数種類の駆動波形データが記憶されている。本実施形態においては、図3(a)~(c)に示す波形A~Cの駆動波形データが記憶されているものとする。なお、図3に示すように、第1記憶部43に記憶されている駆動波形データの波形は、始点P1及び終点P2の波高レベルが共に0である1周期分の波形である。また、第1記憶部43に記憶されている各駆動波形データの波形の周期は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0029】
第2記憶部44には、波形編集装置40及び駆動装置30に後述するステップS11~S16,S21~S26の各処理を実行させるプログラムが記憶されている。波形編集装置40及び駆動装置30は、そのプログラムに従って各ステップの処理を実行する。
【0030】
編集制御部45は、使用者の操作に基づいて選択された駆動波形データを制御装置12に送信する。編集制御部45は、DEA11の駆動中に、使用者の操作に基づいて、DEA11を駆動するための駆動波形データが変更された場合に、駆動波形データの変更に伴う電圧の急変を緩和するための遅延時間及び中間波形データを制御装置12に送信する。
【0031】
図1に示すように、編集制御部45は、駆動波形データの変更に伴う電圧の急変を緩和するための遅延時間及び中間波形データを生成するための構成として、モード設定部51、位相調整部52、合成波形生成部53、及び仮想波形生成部54を備えている。
【0032】
モード設定部51は、駆動波形データを変更する際の変更形式に関して、使用者の操作による選択に基づいて、第1~第4モードから一つの変更形式を設定する。なお、以下では、DEA11を駆動するための駆動波形データの変更に関し、現在、用いられている駆動波形データの波形を現在波形と記載し、変更先の駆動波形データの波形を次回波形と記載する。
【0033】
位相調整部52は、第1モードが設定されている状態にて、駆動波形データを変更する操作がなされた場合に、当該操作の入力から、変更先の駆動波形データに基づいてDEA11に電圧を印加する状態に移行するまでの遅延時間を演算する。
【0034】
図4に示すように、遅延時間は、駆動波形データを変更する操作がなされたタイミングである変更指示点t1から、現在波形の波高レベルが0になる直近の点(終点P2)の電圧が次にDEA11に印加されるタイミングt2までの期間の時間である。換言すると、遅延時間は、現在波形において、変更指示点t1から、波高レベルが次回波形の始点P1の波高レベルに一致するまでの時間である。なお、本実施形態においては、次回波形の始点P1が特許請求の範囲に記載する基準点である。
【0035】
図5(a)~(c)に示すように、合成波形生成部53は、第2モードが設定されている状態にて、駆動波形データを変更する操作がなされた場合に、中間波形データとして、第1合成波形の波形データを生成する。第1合成波形は、現在波形に基づく第1フェードアウト波形と、次回波形に基づく第1フェードイン波形とを合成してなる波形である。
【0036】
第1フェードアウト波形は、現在波形の繰り返しであって、その振幅が現在波形の振幅から段階的に小さくなるように調整された波形である。第1フェードアウト波形は、その振幅が現在波形の100%の状態で一定の第1区間A1と、第1区間A1に続いて、その振幅が100%から0%になるまで段階的に小さくなるように調整された第2区間A2と、その振幅が0%の状態で一定の第3区間A3とを有する。第1フェードアウト波形の各区間の開始点は、現在波形の始点P1になっている。
【0037】
第2区間A2における振幅の減少速度は、例えば、現在波形の振幅を100%として、1ミリ秒あたり1~20%ずつ減少する減少速度である。減少速度は、予め所定の量となるように設定しておいてもよいし、現在波形の周波数及び次回波形の周波数のいずれか一方又は両方に依存して決定されるようにしてもよい。例えば、現在波形の5周期分の時間で振幅が100%から0%になるように設定する。また、第2区間A2の繰り返し回数は、1以下であってもよい。
【0038】
第1フェードイン波形は、次回波形の繰り返しであって、その振幅が0から次回波形の振幅まで段階的に大きくなるように調整された波形である。第1フェードイン波形は、その振幅が0%の状態で一定の第1区間B1と、第1区間B1に続いて、その振幅が0%から次回波形の振幅(100%の状態)になるまで段階的に大きくなるように調整された第2区間B2と、その振幅が次回波形の100%の状態で一定の第3区間B3とを有する。第1フェードイン波形の各区間の開始点は、現在波形の始点P1になっている。また、第1フェードイン波形は、第2区間B2の開始点が、第1フェードアウト波形の第2区間A2の開始点に一致するように位相が調整されている。
【0039】
第2区間B2における振幅の増加速度は、例えば、現在波形の振幅を100%として、1ミリ秒あたり1~20%ずつ増加する増加速度である。増加速度は、予め所定の量となるように設定しておいてもよいし、現在波形の周波数及び次回波形の周波数のいずれか一方又は両方に依存して決定されるようにしてもよい。例えば、現在波形の5周期分の時間で振幅が0%から100%になるように設定する。また、第2区間B2の繰り返し回数は、1以下であってもよい。なお、第1フェードアウト波形の振幅が減少した分だけ、第1フェードイン波形の振幅が増加するように、第1フェードアウト波形の第2区間A2の減少速度と第1フェードイン波形の第2区間B2の増加速度とを調整することが好ましい。
【0040】
図6(a)~(c)に示すように、合成波形生成部53は、第3モードが設定されている状態にて、駆動波形データを変更する操作がなされた場合に、中間波形データとして、第2合成波形の波形データを生成する。第2合成波形は、現在波形に基づく第2フェードアウト波形と、次回波形に基づく第2フェードイン波形とを合成してなる合成波形である。
【0041】
第2フェードアウト波形及び第2フェードイン波形は、各第2区間A2,B2において、周期が変化する点において第1フェードアウト波形及び第1フェードイン波形と異なり、その他の点については第1フェードアウト波形及び第1フェードイン波形と同様である。第2フェードアウト波形の第2区間A2及び第2フェードイン波形の第2区間B2は、それぞれの周期が現在波形の周期から次回波形の周期に段階的に同期して変化するように調整されている。
【0042】
第2フェードアウト波形及び第2フェードイン波形の周期の変化速度は、特に限定されるものではないが、現在波形の周期と次回波形の周期との差を100%として、1ミリ秒あたり1~20%ずつ変化する変化速度である。
【0043】
仮想波形生成部54は、第4モードが設定されている状態にて、駆動波形データを変更する操作がなされた場合に、中間波形データとして、仮想合成波形の波形データを生成する。
【0044】
図1に示すように、仮想波形生成部54は、学習済みの波形生成モデル54aを備えている。波形生成モデル54aは、様々な駆動波形データの波形のパターンを学習データとして学習させた人工知能モデルであり、入力された2種類の異なる波形である第1の波形及び第2の波形に対して、第1の波形から第2の波形に徐々に変化する仮想合成波形を出力するように構成された波形生成モデルである。波形生成モデル54aは、例えば、学習済みの敵対的生成ネットワーク(GAN:Generative Adversarial Networks)である。
【0045】
仮想波形生成部54は、第4モードが設定されている状態にて、駆動波形データを変更する操作がなされた場合に、現在波形及び次回波形を波形生成モデル54aに入力する。そして、波形生成モデル54aから出力された現在波形から次回波形に仮想合成波形の波形データを生成する。
【0046】
条件設定部46は、駆動波形データに基づく波形の電圧をDEA11に繰り返し印加する際の駆動条件を、使用者の操作に基づいて変更するとともに、駆動条件を駆動装置30に送信する。上記駆動条件としては、例えば、出力の大きさ(Amp)、オフセット電圧の大きさ(Offset)、最大電圧(Max voltage)、周期間に設けられる待機時間の長さ(Interval)、1周期の速さ(BeatCount)が挙げられる。
【0047】
画像処理部47は、編集画面を作成し、表示部42に表示する。編集画面の一例を図7に示す。
図7に示す編集画面60は、条件設定画面61、駆動状況画面62、及び波形変更画面63を備えている。条件設定画面61には、各種の駆動条件を変更するスライダーが表示される。駆動状況画面62には、現在のDEA11の駆動に用いられている駆動波形データの波形に、現在の駆動条件を反映させた波形を示す画像が表示される。
【0048】
波形変更画面63には、モード選択画面64、波形選択画面65、現在波形画面66、次回波形画面67、中間波形画面68が表示される。
モード選択画面64は、変更形式を設定するためのボタン等が表示される画面である。波形選択画面65は、第1記憶部43に記憶されている各種の駆動波形データの波形を呼び出すためのボタン等が表示される画面である。
【0049】
現在波形画面66は、現在のDEA11の駆動に用いられている駆動波形データの波形である現在波形を表示する画面である。次回波形画面67は、変更先の駆動波形データの波形である次回波形及び変更の実行ボタン67aを表示する画面である。中間波形画面68は、現在波形画面66に表示されている現在波形と次回波形画面67に表示されている次回波形とに基づいて、設定されている変更形式に応じて生成された中間波形データの波形を表示する画面である。使用者は、ポインティングデバイス41を操作して表示部42に表示される各種画面の表示内容を変更することにより、駆動条件及び駆動波形データを変更することができる。
【0050】
次に、DEA11の駆動中に駆動波形データを変更する際に、触感提示装置にて実行される処理について説明する。
図8のフローチャートは、モード設定部51に設定されている変更形式が第1モードである場合の処理を示している。
【0051】
ステップS11として、使用者の操作に基づいて、第1記憶部43に記憶されている各種の駆動波形データの波形から次回波形を選択すると、選択された次回波形が読み込まれて波形変更画面63の次回波形画面67に次回波形が表示される。このとき、波形変更画面63の中間波形画面68には、図4に示すような現在波形と次回波形とが連続する画像が表示される。
【0052】
ステップS12として、使用者の操作に基づいて、実行ボタン67aが押下されて、駆動波形データの変更の実行が入力されると、ステップS13として、編集制御部45は、位相調整部52にて遅延時間を演算する。そして、ステップS14として、編集制御部45は、次回波形の駆動波形データ、及び演算された遅延時間を駆動装置30に送信する。このとき、送信された次回波形の駆動波形データ及び遅延時間は、駆動装置30の駆動側記憶部31に記憶される。なお、駆動波形データの変更の実行が入力されたタイミングが変更指示点t1になる。
【0053】
ステップS15として、駆動装置30は、変更指示点t1から遅延時間が経過するまでの期間については、現在波形の駆動波形データに基づく電圧の印加を継続する。そして、ステップS16として、遅延時間が経過した後、現在波形の駆動波形データに基づく電圧の印加に連続して、次回波形の駆動波形データに基づく電圧の印加を開始する。
【0054】
なお、第1モードにおいては、ステップS15において、現在波形の駆動波形データに基づく電圧の印加が継続される遅延時間の期間が、中間波形データに基づいて変化する電圧をDEA11に印加する期間に該当する。したがって、図4に示すように、第1モードにおいては、現在波形における、変更指示点t1から波高レベルが0になるタイミングt2までの期間の波形が中間波形に相当し、現在波形における当該期間の波形のデータが中間波形データに相当する。
【0055】
図9のフローチャートは、モード設定部51に設定されている変更形式が第2モード、第3モード、又は第4モードである場合の処理を示している。
ステップS21として、使用者の操作に基づいて、第1記憶部43に記憶されている各種の駆動波形データの波形から次回波形を選択すると、選択された次回波形が読み込まれて波形変更画面63の次回波形画面67に次回波形が表示される。そして、ステップS22として、編集制御部45は、変更形式に応じた中間波形を生成する。変更形式が第2モードである場合、合成波形生成部53において、中間波形としての第1合成波形が生成される。変更形式が第2モードである場合、合成波形生成部53において、中間波形としての第2合成波形が生成される。変更形式が第3モードである場合、仮想波形生成部54において、中間波形としての仮想合成波形が生成される。このとき、波形変更画面63の中間波形画面68に、生成された中間波形が表示される。
【0056】
ステップS23として、使用者の操作に基づいて、実行ボタン67aが押下されて、駆動波形データの変更の実行が入力されると、ステップS24として、編集制御部45は、中間波形の駆動波形データと、次回波形の駆動波形データとを駆動装置30に送信する。このとき、送信された中間波形の駆動波形データ及び次回波形の駆動波形データは、駆動装置30の駆動側記憶部31に記憶される。
【0057】
ステップS25として、駆動装置30は、現在波形の駆動波形データに基づく電圧の印加に連続して、中間波形の駆動波形データ基づく電圧の印加を開始する。そして、中間波形の駆動波形データ基づく電圧の印加が完了した後、ステップS26として、中間波形の駆動波形データ基づく電圧の印加に連続して、次回波形の駆動波形データに基づく電圧の印加を開始する。
【0058】
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態の触感提示装置は、使用者の肌に伝わる振動を触感として認識させるための装置であり、DEA11を指先等の使用者の肌の一部に接触させた状態として使用される。使用者は、DEA11を肌に接触させた状態として、第1記憶部43に記憶されている駆動波形データに基づいてDEA11を振動させる操作を行う。使用者は、DEA11の振動が伝達されることにより、その振動を触感として認識する。その結果、触感提示装置から使用者に触感が提示される。このとき、DEA11を駆動するための駆動波形データを変更すると、DEA11の振動パターンが変化することにより、使用者は、振動パターンに応じて変化する触感を認識することができる。
【0059】
ここで、本実施形態の触感提示装置では、DEA11を駆動するための駆動波形データを変更する操作がなされたとき、即座に駆動波形データを変更するのではなく、特定の中間波形データに基づいて変化する電圧をDEA11に印加する期間を介して、変更先の駆動波形データに基づく電圧の印加を開始している。これにより、駆動波形データを変更する操作がなされたタイミングにおいて、駆動波形データを即座に変更した場合と比較して、駆動波形データの変更に伴う電圧の急変を緩和できる。その結果、DEA11の駆動中に駆動波形データが変更された場合に、振動パターンが切り替わるタイミングで使用者が認識する違和感を低減できる。
【0060】
次に、本実施形態の効果について記載する。
(1)触感提示装置は、DEA11と、DEA11の駆動を制御する制御装置12とを備えている。制御装置12は、DEA11の駆動中に駆動波形データが変更されたとき、駆動波形データの変更に伴う電圧の急変を緩和する中間波形データに基づいて変化する電圧をDEA11に印加した後、変更先の駆動波形データに基づいて変化する電圧をDEA11に印加する。
【0061】
上記構成によれば、DEA11の駆動中に駆動波形データが変更された場合に、振動パターンが切り替わるタイミングで使用者が認識する違和感を低減できる。
(2)第1モードにおける中間波形データは、現在波形における、変更指示点t1から現在波形の波高レベルが次回波形の開始点の波高レベルになるタイミングt2までの期間の波形の波形データである。
【0062】
換言すると、制御装置12は、DEA11の駆動中に駆動波形データが変更されたとき、現在波形に基づいて変化する電圧の印加を継続し、変更指示点から所定の遅延時間が経過した後、次回波形に基づいて変化する電圧をDEA11に印加する。遅延時間は、変更指示点t1から現在波形の波高レベルが次回波形の始点P1の波高レベルになるタイミングt2までの時間である。
【0063】
上記構成によれば、現在波形の波高レベルが次回波形の開始点の波高レベルに一致するタイミングで現在波形から次回波形に切り替えている。これにより、切り替え時におけるDEA11に印加される電圧の急激な変動が抑制されて、振動パターンが切り替わるタイミングで使用者が認識する違和感を低減できる。
【0064】
(3)第2モードにおける中間波形データは、現在波形の繰り返しであって、振幅が段階的に小さくなるように調整された第1フェードアウト波形と、次回波形の繰り返しであって、振幅が段階的に大きくなるように調整された第1フェードイン波形とを合成した第1合成波形の波形データである。
【0065】
上記構成によれば、DEA11の駆動中において、駆動波形データの変更に伴ってDEA11の振動パターンが変更された場合に、振動パターンが徐々に変更されることにより、振動パターンの切り替え点を使用者に認識させ難くすることができる。これにより、振動パターンが切り替わるタイミングで使用者が認識する違和感を更に低減できる。
【0066】
(4)第3モードにおける中間波形データは、現在波形の繰り返しであって、振幅が段階的に小さくなるように調整された第2フェードアウト波形と、次回波形の繰り返しであって、振幅が段階的に大きくなるように調整された第2フェードイン波形とを合成した第2合成波形の波形データである。第2フェードアウト波形及び第2フェードイン波形は、現在波形の周期から次回波形の周期に段階的に同期して変化する区間を有している。
【0067】
第2モードより生成される第1合成波形は、現在波形の周期と次回波形の周期とが異なる場合に、合成される各波形の位相がずれる部分において、意図しないピークが生じることがある。上記構成の第3モードによれば、合成される各波形の位相のずれが抑制されることにより、意図しないピークが生じることを抑制できる。その結果、上記(3)の効果がより顕著に得られる。
【0068】
(5)第4モードにおける中間波形データは、現在波形及び次回波形を波形生成モデル54aに入力して生成された仮想合成波形の波形データである。波形生成モデル54aは、駆動波形データの波形を学習させ、入力された第1の波形及び第2の波形に対して、第1の波形から第2の波形に徐々に変化する仮想合成波形を出力するように構成された生成モデルである。
【0069】
上記構成によれば、DEA11の駆動中において、駆動波形データの変更に伴ってDEA11の振動パターンが変更された場合に、振動パターンが徐々に変更されることにより、振動パターンの切り替え点を使用者に認識させ難くすることができる。これにより、振動パターンが切り替わるタイミングで使用者が認識する違和感を更に低減できる。また、上記構成によれば、中間波形における波形毎の振幅の変動を抑制できる。
【0070】
(5)電場応答性高分子アクチュエータは、DEA11である。
DEAは、印加している電圧をいきなり0に落とした場合のように、印加している電圧を高速で変化させた場合に大きな振動が生じる。そのため、DEAの駆動中において、駆動波形データを変更すると、変更時の電圧の急激な変動によってDEAに振動が生じ、使用者は、その振動を違和感として認識しやすい。したがって、電場応答性高分子アクチュエータとして、DEAが用いられている場合には、振動パターンが切り替わるタイミングで使用者が認識する違和感を低減できる効果がより顕著に得られる。
【0071】
(6)制御装置12は、駆動波形データの波形を表示する表示部42を備えている。
上記構成によれば、表示部42に表示される駆動波形データの波形を確認しながら、駆動波形データを変更する操作を行うことにより、当該操作をよりスムーズに行うことができる。
【0072】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・駆動波形データの波形は、上記実施形態の波形に限定されない。例えば、特定の周期をもたない波形であってもよいし、始点P1と終点P2の波高レベルが異なる波形であってもよい。また、始点P1の波高レベル及び終点P2の波高レベルが駆動波形データ毎にそれぞれ異なっていてもよい。
【0073】
・第1変更モードに関して、次回波形の始点P1以外の点を基準点として、遅延時間を設定してもよい。例えば、現在波形における、変更指示点t1から、現在波形の波高レベルが次回波形の予め設定された基準点の波高レベルに一致する点まで、又は基準点の波高レベルに最も近づく点までの期間の時間を遅延時間とする。この場合、ステップS14において、遅延時間が経過した後、上記の基準点の位置から次回波形に基づく電圧の印加を開始する。なお、次回波形の基準点の位置としては、例えば、次回波形における最高波高レベルの1/2の波高レベルとなる位置が挙げられる。次回波形の基準点の位置は特に限定されるものではないが、次回波形における波高レベルが最も0に近い点を基準点とすることが好ましい。
【0074】
・第1変更モードに関して、上記実施形態では、駆動装置30側において、次回波形に基づく電圧の印加を遅延時間、遅らせる位相調整を行っていたが、波形編集装置40側で位相調整を行ってもよい。この場合、例えば、波形編集装置40から駆動装置30へ次回波形の駆動波形データを送信するタイミングを遅延時間、遅らせればよい。
【0075】
・第1合成波形を構成する第1フェードアウト波形及び第1フェードイン波形は、振幅が段階的に変化するように調整された第2区間A2,B2を有するものであればよく、その他の区間については、必要に応じて省略してもよい。第2合成波形を構成する第2フェードアウト波形及び第2フェードイン波形についても同様である。
【0076】
・上記実施形態の触感提示装置は、駆動波形データを変更する際の変更形式を第1~第4モードから選択可能に構成されていたが、変更形式が第1~第4モードのうちのいずれか一つに予め固定された構成であってもよい。
【0077】
・DEA11に代えて、イオン交換ポリマーメタル複合体(IPMC:Ionic Polymer Metal Composite)等の他の電場応答性高分子アクチュエータを用いてもよい。
・触感提示装置は、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等の外部記憶媒体に記憶されている駆動波形データを読み込み、読み込んだ駆動波形データを用いて、駆動波形データの変更及びDEA11の駆動を行うものであってもよい。
【0078】
・波形編集装置40は、駆動波形データを変更する機能に加えて、駆動波形データの波形の形状そのものの変更等のその他の編集機能を有するものであってもよい。
・入力部及び表示部42は、波形編集装置40とは別に用意される外部機器であってもよい。
【0079】
・触感提示装置を構成するDEA11等の電場応答性高分子アクチュエータ、駆動装置30、及び波形編集装置40は、それらのうちの一部又は全部が一体に構成されるものであってもよい。例えば、電場応答性高分子アクチュエータと駆動装置30とが一体に構成されていてもよいし、駆動装置30と波形編集装置40とが一体に構成されていてもよいし、電場応答性高分子アクチュエータと駆動装置30と波形編集装置40とが一体に構成されていてもよい。
【0080】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)使用者に伝わる振動を触感として認識させる触感提示装置であって、一対の電極を有する電場応答性高分子アクチュエータと、駆動波形データに基づいて変化する電圧を印加することにより、前記電場応答性高分子アクチュエータの駆動を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記電場応答性高分子アクチュエータの駆動中に、前記電場応答性高分子アクチュエータを駆動するための前記駆動波形データが変更されたとき、現在の前記駆動波形データの波形に基づいて変化する電圧の印加を継続し、変更が指示された点である変更指示点から所定の遅延時間が経過した後、変更先の前記駆動波形データの波形に基づいて変化する電圧を前記電場応答性高分子アクチュエータに印加し、前記遅延時間は、現在の前記駆動波形データの波形における、前記変更指示点から、変更先の前記駆動波形データの波形における予め設定された基準点の波高レベルに一致する点又は前記基準点の波高レベルに最も近づく点までの期間の時間であることを特徴とする触感提示装置。
【0081】
(ロ)使用者に伝わる振動を触感として認識させる電場応答性高分子アクチュエータの駆動を制御する制御方法であって、駆動波形データに基づいて変化する電圧を印加することにより、前記電場応答性高分子アクチュエータの駆動を制御し、前記電場応答性高分子アクチュエータの駆動中に、前記電場応答性高分子アクチュエータを駆動するための前記駆動波形データが変更されたとき、前記駆動波形データの変更に伴う電圧の急変を緩和する中間波形データに基づいて変化する電圧を前記電場応答性高分子アクチュエータに印加した後、変更先の前記駆動波形データに基づいて変化する電圧を前記電場応答性高分子アクチュエータに印加することを特徴とする制御方法。
【符号の説明】
【0082】
11…誘電エラストマーアクチュエータ(DEA)
12…制御装置
30…駆動装置
40…波形編集装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9