(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】燃料電池用セパレータ
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0258 20160101AFI20230711BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20230711BHJP
【FI】
H01M8/0258
H01M8/10 101
(21)【出願番号】P 2020060917
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2022-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 善記
(72)【発明者】
【氏名】二見 諭
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-241141(JP,A)
【文献】国際公開第2012/035585(WO,A1)
【文献】特開2007-220686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池の発電部に当接して設けられる燃料電池用セパレータであって、
互いに間隔をおいて並列して延在するとともに前記発電部に当接する複数の突条と、互いに隣り合う2つの前記突条の間において前記突条に沿って延在するとともに反応ガスが流れるガス流路と、を有し、
前記ガス流路を流れる前記反応ガスの流れ方向の下流側を下流側とするとき、
前記ガス流路には、前記発電部に向かって突出するとともに、前記ガス流路の延在方向に沿って延びるリブが設けられており、
前記リブの下流側端部には、下流側に向かうにつれて前記発電部から徐々に離間する徐変部が設けられて
おり、
前記リブの突端面は、前記突条の各々の頂面と同一平面上に位置している、
燃料電池用セパレータ。
【請求項2】
燃料電池の発電部に当接して設けられる燃料電池用セパレータであって、
互いに間隔をおいて並列して延在するとともに前記発電部に当接する複数の突条と、互いに隣り合う2つの前記突条の間において前記突条に沿って延在するとともに反応ガスが流れるガス流路と、を有し、
前記ガス流路を流れる前記反応ガスの流れ方向の下流側を下流側とするとき、
前記ガス流路には、前記発電部に向かって突出するとともに、前記ガス流路の延在方向に沿って延びる
複数のリブが
前記突条の並び方向に互いに間隔をおいて並列して設けられており、
前記リブの下流側端部には、下流側に向かうにつれて前記発電部から徐々に離間する徐変部が設けられている、
燃料電池用セパレータ。
【請求項3】
互いに隣り合う2つの前記リブの前記徐変部は、前記延在方向において同一の位置に設けられている、
請求項2に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項4】
前記リブの突端面は、前記突条の各々の頂面と同一平面上に位置している、
請求項
2または請求項3に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項5】
前記リブの突端面は、前記延在方向の全体にわたって前記突条の各々の頂面よりも前記ガス流路の内側に位置している、
請求項
2または請求項3に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項6】
前記徐変部の下流側には、前記ガス流路のうち前記徐変部が設けられた部分よりも流路断面積が大きい拡幅部が前記徐変部と隣り合って設けられている、
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の燃料電池用セパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用セパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固体高分子形燃料電池は、膜電極接合体を有する発電部と、複数の凸部及び凹部が交互に形成され、発電部を挟持する一対の金属製のセパレータとを含む単セルが複数積層されたスタックを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
単セルを構成する各セパレータと発電部との間には、凸部及び凹部により区画され、反応ガスが流通するガス流路が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、燃料電池では、ガス流路内の反応ガスが発電部に到達することで発電が行われるため、ガス流路内の発電部近傍における反応ガスの流量は多いことが好ましい。このため、ガス流路内の発電部近傍における反応ガスの流速を増加させることが望まれている。
【0006】
しかしながら、ガス流路内の反応ガスの流速は、凸部の突出方向における中央よりも発電部近傍の方が小さくなる。このため、燃料電池の発電性能を高める上では、改善の余地がある。
【0007】
本発明の目的は、発電部近傍における反応ガスの流速を増加させることができる燃料電池用セパレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための燃料電池用セパレータは、燃料電池の発電部に当接して設けられる燃料電池用セパレータであって、互いに間隔をおいて並列して延在するとともに前記発電部に当接する複数の突条と、互いに隣り合う2つの前記突条の間において前記突条に沿って延在するとともに反応ガスが流れるガス流路と、を有し、前記ガス流路を流れる前記反応ガスの流れ方向の下流側を下流側とするとき、前記ガス流路には、前記発電部に向かって突出するとともに、前記ガス流路の延在方向に沿って延びるリブが設けられており、前記リブの下流側端部には、下流側に向かうにつれて前記発電部から徐々に離間する徐変部が設けられている。
【0009】
同構成によれば、ガス流路のうちリブが設けられた部分の流路断面積が、その他の部分の流路断面積よりも減少する。ここで、リブの徐変部は下流側に向かうにつれて発電部から徐々に離間しているため、ガス流路のうち徐変部が設けられた部分の流路断面積は、下流側に向かうほど徐々に増大する。そして、こうしたガス流路の流路断面積の増大は、発電部側から徐々に生じる。
【0010】
以上のことから、反応ガスはガス流路のうちリブが設けられた部分を通過することで、その流速が増加する。そして、流速が増加された反応ガスは、リブの徐変部を通過する際に、流路断面積が増大する側、すなわち、発電部側に向かって流れやすくなる。したがって、発電部近傍における反応ガスの流速を増加させることができる。
【0011】
上記燃料電池用セパレータにおいて、複数の前記リブが、前記突条の並び方向に互いに間隔をおいて並列して設けられていることが好ましい。
同構成によれば、互いに隣り合う2つのリブ同士の間隔を調整することで、リブを設けることによる反応ガスの圧力損失の増加の抑制と、発電部近傍における反応ガスの流速の増加との両立を図ることができる。
【0012】
上記燃料電池用セパレータにおいて、互いに隣り合う2つの前記リブの前記徐変部は、前記延在方向において同一の位置に設けられていることが好ましい。
同構成によれば、互いに隣り合う2つのリブの間を通過する反応ガスが、各徐変部によって発電部側に向かって流れるやすくなるとともに、突条の並び方向における両側に流れやすくなる。これにより、発電部近傍におけるより広い範囲にて反応ガスの流速を増加させることができる。
【0013】
上記燃料電池用セパレータにおいて、前記リブの突端面は、前記突条の各々の頂面と同一平面上に位置していることが好ましい。
同構成によれば、各突条の頂面と共にリブの突端面が発電部に当接するようになる。このため、リブが発電部に当接していない場合に比べて、ガス流路のうちリブが設けられている部分と、設けられていない部分との間における流路断面積の変化率が大きくなり、これらの間における反応ガスの圧力差が大きくなる。これにより、反応ガスが発電部側に向かってより流れやすくなる。したがって、発電部近傍の反応ガスの流速を一層増加させることができる。
【0014】
上記燃料電池用セパレータにおいて、前記リブの突端面は、前記延在方向の全体にわたって前記突条の各々の頂面よりも前記ガス流路の内側に位置していることが好ましい。
同構成によれば、リブが発電部に当接していないため、リブによって発電部が閉塞されることを抑制できる。したがって、燃料電池における発電性能の低下を抑制できる。
【0015】
上記燃料電池用セパレータにおいて、前記徐変部の下流側には、前記ガス流路のうち前記徐変部が設けられた部分よりも流路断面積が大きい拡幅部が前記徐変部と隣り合って設けられていることが好ましい。
【0016】
同構成によれば、ガス流路のうち徐変部の下流側に、徐変部が設けられた部分よりも流路断面積が大きい、すなわち反応ガスの圧力損失が小さくなる領域が隣り合って設けられる。このため、上記1つめの燃料電池用セパレータの作用効果をより確実に奏することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、発電部近傍における反応ガスの流速を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】燃料電池用セパレータの一実施形態について、当該セパレータを有する単セルを中心とした燃料電池スタックの断面図。
【
図2】同実施形態の燃料電池用セパレータの斜視図。
【
図3】同実施形態の燃料電池用セパレータの断面図。
【
図4】第1変更例の燃料電池用セパレータの斜視図。
【
図5】第2変更例の燃料電池用セパレータの断面図。
【
図6】第3変更例の燃料電池用セパレータの斜視図。
【
図7】第4変更例の燃料電池用セパレータの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1~
図3を参照して、燃料電池用セパレータの一実施形態について説明する。
各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については実際と異なる場合がある。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の燃料電池用セパレータ(以下、セパレータ20と称する)は、固体高分子形燃料電池のスタック100に用いられるものである。なお、セパレータ20は、後述する第1セパレータ30及び第2セパレータ40の総称である。
【0021】
スタック100は、複数の単セル10が積層された構造を有している。単セル10は、アノード側の第1セパレータ30と、カソード側の第2セパレータ40とにより挟持された発電部11を備えている。
【0022】
発電部11は、膜電極接合体12と、膜電極接合体12を挟持するアノード側ガス拡散層15及びカソード側ガス拡散層16とにより構成されている。アノード側ガス拡散層15は、膜電極接合体12と第1セパレータ30との間に設けられている。カソード側ガス拡散層16は、膜電極接合体12と第2セパレータ40との間に設けられている。アノード側ガス拡散層15及びカソード側ガス拡散層16は、共に炭素繊維により形成されている。
【0023】
膜電極接合体12は、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を有する固体高分子材料からなる電解質膜13と、電解質膜13を挟持する一対の電極触媒層14とを備えている。各電極触媒層14には、燃料電池における反応ガスの電気化学反応を促進するために、例えば白金などの触媒が担持されている。
【0024】
第1セパレータ30は、例えば、黒鉛などの炭素材と、ポリプロピレンなどのバインダとしての樹脂材料とを含む複合材を加熱しながらプレス成形することにより形成されている。第1セパレータ30は、互いに間隔をおいて並列して延在するとともに発電部11に当接する複数の突条31と、互いに隣り合う2つの突条31の間において突条31に沿って延在するとともに反応ガスが流れるガス流路32とを有している。各突条31は、アノード側ガス拡散層15に当接している。なお、突条31及びガス流路32は、
図1の紙面に直交する方向に延びている。
【0025】
第2セパレータ40は、例えば、黒鉛などの炭素材と、ポリプロピレンなどの樹脂材料とを含む複合材を加熱しながらプレス成形することにより形成されている。第2セパレータ40は、互いに間隔をおいて並列して延在するとともに発電部11に当接する複数の突条41と、互いに隣り合う2つの突条41の間において突条41に沿って延在するとともに反応ガスが流れるガス流路42とを有している。各突条41は、カソード側ガス拡散層16に当接している。なお、突条41及びガス流路42は、
図1の紙面に直交する方向に延びている。
【0026】
第1セパレータ30のガス流路32とアノード側ガス拡散層15とで区画される部分には、反応ガスとしての燃料ガスが流通する燃料ガス流路が形成されている。第2セパレータ40のガス流路42とカソード側ガス拡散層16とで区画される部分には、反応ガスとしての酸化ガスが流通する酸化ガス流路が形成されている。本実施形態において、燃料ガス流路を流通する燃料ガスは水素であり、酸化ガス流路を流通する酸化ガスは空気である。
【0027】
第1セパレータ30におけるガス流路32の底部の裏面と、同第1セパレータ30に隣り合う第2セパレータ40のガス流路42の底部の裏面とは、レーザ溶接などにより互いに接合されている。第1セパレータ30の突条31の裏面と、第2セパレータ40における突条41の裏面とで区画される部分には、冷却水が流通する冷却水流路が形成されている。
【0028】
図2に示すように、本実施形態において、第1セパレータ30のガス流路32には、板状をなす複数のリブ50が設けられている。また、図示は省略するが、第2セパレータ40のガス流路42には、板状をなす複数のリブ50が設けられている。本実施形態の第1セパレータ30と第2セパレータ40とは、同一の構成を有しているため、以降においては、第1セパレータ30のリブ50について説明することで、第2セパレータ40のリブ50についての説明を省略する。
【0029】
以降において、突条31の並び方向を単に並び方向と称する。また、ガス流路32の延在方向を単に延在方向と称する。なお、本実施形態では、並び方向と延在方向とが直交している。また、ガス流路32を流れる反応ガスの流れ方向の上流側を単に上流側と称し、同流れ方向の下流側を単に下流側と称する。
【0030】
図2及び
図3に示すように、リブ50は、ガス流路32の底部から発電部11に向かって突出するとともに、延在方向に沿って延びている。リブ50は、発電部11に当接して延在する延在部51と、延在部51の下流側に連なる徐変部52とを有している。徐変部52は、リブ50の下流側端部に設けられている。
【0031】
図3に示すように、延在部51の突端面51aは、各突条31の頂面31aと同一平面上に位置している。すなわち、延在部51は、延在方向の全体にわたって発電部11に当接している。より詳しくは、第1セパレータ30におけるリブ50の延在部51は、延在方向の全体にわたってアノード側ガス拡散層15に当接している。また、第2セパレータ40におけるリブ50の延在部51は、延在方向の全体にわたってカソード側ガス拡散層16に当接している。
【0032】
徐変部52は、下流側に向かうにつれて発電部11から徐々に離間するように傾斜している。換言すると、徐変部52は、下流側ほど発電部11側とは反対側に位置するように傾斜している。本実施形態の徐変部52は、並び方向から視て三角形状をなしている。
【0033】
徐変部52におけるガス流路32の底部に対する傾斜角度は、例えば、15度から45度の間であることが好ましい。本実施形態における徐変部52の傾斜角度は15度である。
【0034】
図2に示すように、本実施形態のガス流路32には、一対のリブ50が並び方向に互いに間隔をおいて並列して設けられている。各リブ50は、隣り合う突条31から並び方向に離間した位置に設けられている。すなわち、各リブ50と、当該リブ50に隣り合う突条31との間には隙間が設けられている。なお、図示は省略するが、ガス流路32には、複数対のリブ50が、延在方向に互いに間隔をおいて設けられている。
【0035】
互いに隣り合う2つの徐変部52は、延在方向において同一の位置に設けられている。本実施形態では、各リブ50が同一の形状をなしているため、互いに隣り合う2つのリブ50の全体が、延在方向において同一の位置に設けられている。
【0036】
徐変部52の下流側には、ガス流路32のうち徐変部52が設けられた部分よりも流路断面積が大きい拡幅部32aが徐変部52と隣り合って設けられている。本実施形態の拡幅部32aは、ガス流路32のうちリブ50が設けられていない部分により構成されている。
【0037】
本実施形態の作用について説明する。
ガス流路32のうちリブ50が設けられた部分の流路断面積は、その他の部分の流路断面積よりも減少する。ここで、リブ50の徐変部52は下流側に向かうにつれて発電部11から徐々に離間しているため、ガス流路32のうち徐変部52が設けられた部分の流路断面積は、下流側に向かうほど徐々に増大する。そして、こうしたガス流路32の流路断面積の増大は、発電部11側から徐々に生じる。
【0038】
以上のことから、反応ガスは、ガス流路32のうちリブ50が設けられた部分、すなわち、一対のリブ50同士の間の部分、及びリブ50と突条31との間の部分を通過することで、その流速が増加する。そして、流速が増加された反応ガスは、リブ50の徐変部52を通過する際に、流路断面積が増大する側、すなわち、発電部11側に向かって流れやすくなる。
【0039】
図3に矢印にて示すように、上述した反応ガスの発電部11側に向かう流れは、徐変部52の斜辺に概ね直交する向きに流れる。このため、例えば、徐変部52の傾斜角度が15度の場合と、45度の場合とを比較すると、傾斜角度が15度の場合の方が、反応ガスがより上流側にて発電部11に到達しやすくなる。
【0040】
本実施形態の効果について説明する。
(1)ガス流路32には、発電部11に向かって突出するとともに、ガス流路32の延在方向に沿って延びるリブ50が設けられており、リブ50の下流側端部には、下流側に向かうにつれて発電部11から徐々に離間する徐変部52が設けられている。
【0041】
こうした構成によれば、上述した作用を奏することから、発電部11近傍における反応ガスの流速を増加させることができる。
(2)複数のリブ50が、突条31の並び方向に互いに間隔をおいて並列して設けられている。
【0042】
こうした構成によれば、互いに隣り合う2つのリブ50同士の間隔を調整することで、リブ50を設けることによる反応ガスの圧力損失の増加の抑制と、発電部11近傍における反応ガスの流速の増加との両立を図ることができる。
【0043】
(3)互いに隣り合う2つのリブ50の徐変部52は、延在方向において同一の位置に設けられている。
こうした構成によれば、互いに隣り合う2つのリブ50の間を通過する反応ガスが、各徐変部52によって発電部11側に向かって流れるやすくなるとともに、並び方向における両側に流れやすくなる。これにより、発電部11近傍におけるより広い範囲にて反応ガスの流速を増加させることができる。
【0044】
(4)リブ50の突端面51aは、各突条31の頂面31aと同一平面上に位置している。
こうした構成によれば、各突条31の頂面31aと共に延在部51の突端面51aが発電部11に当接するようになる。このため、リブ50が発電部11に当接していない場合に比べて、ガス流路32のうちリブ50が設けられている部分と、設けられていない部分との間における流路断面積の変化率が大きくなり、これらの間における反応ガスの圧力差が大きくなる。これにより、反応ガスが発電部11側に向かってより流れやすくなる。したがって、発電部11近傍の反応ガスの流速を一層増加させることができる。
【0045】
(5)徐変部52の下流側には、ガス流路32のうち徐変部52が設けられた部分よりも流路断面積が大きい拡幅部32aが徐変部52と隣り合って設けられている。
こうした構成によれば、ガス流路32のうち徐変部52の下流側に、徐変部52が設けられた部分よりも流路断面積が大きい、すなわち反応ガスの圧力損失が小さくなる領域が隣り合って設けられる。このため、上記効果(1)をより確実に奏することができる。
【0046】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0047】
なお、以下の
図4~
図7にそれぞれ示す第1変更例~第4変更例において、上記実施形態と同一の構成については、同一の符号を付すとともに、対応する構成については、それぞれ「100」、「200」、「300」、及び「400」を加算した符号を付すことにより、重複した説明を省略する。
【0048】
・
図4に示すように、拡幅部32aを省略して、二対のリブ50を延在方向に隣接して設けることもできる。本変更例では、上流側のリブ50の徐変部52と、下流側のリブ50の延在部51とが延在方向に連なって設けられている。
【0049】
・
図5に示すように、延在部251の突端面251aは、延在方向の全体にわたって各突条31の頂面31aよりもガス流路32の内側に位置していてもよい。すなわち、リブ50と発電部11との間には、ガス流路32の延在方向の全体にわたって隙間Gが設けられていてもよい。こうした構成によれば、リブ50が発電部11に当接していないため、リブ50によって発電部11が閉塞されることを抑制できる。したがって、燃料電池における発電性能の低下を抑制できる。
【0050】
・リブ50の延在方向における一部のみを発電部11に当接させるようにしてもよい。
・互いに隣り合う2つのリブ50の徐変部52は、延在方向において互いに異なる位置に設けられていてもよい。この場合、
図6に示すように、リブ50と、当該リブ50の延在部51よりも延在方向の長さが短い延在部351を有するリブ350とを採用するとともに、各延在部51,351の上流縁を延在方向において同一の位置に設けることもできる。
【0051】
・ガス流路32には、単一のリブ50が設けられていてもよい。この場合であっても、リブ50と、当該リブ50に隣り合う突条31との間において流路断面積が狭められるため、上述した効果(1)を奏することができる。
【0052】
・ガス流路32には、3つ以上のリブ50が並び方向に互いに間隔をおいて並列して設けられていてもよい。
・
図7に示すように、リブ450は、下流側端部に設けられた徐変部452に加え、上流側端部に設けられ、上流側に向かうにつれて発電部11から徐々に離間するように傾斜した徐変部453を有していてもよい。本変更例では、二対のリブ450が延在方向に隣接して設けられている。すなわち、上流側のリブ450の徐変部452と、下流側のリブ450の徐変部453とが延在方向に連なって設けられている。こうした構成によれば、上流側のリブ450の徐変部452同士の間を通過した反応ガスが発電部11に向かって流れる際に、反応ガスの一部が下流側のリブ450の徐変部453に沿って流れる。このため、反応ガスが発電部11に向かって流れやすくなる。
【0053】
・徐変部52におけるガス流路32の底部に対する傾斜角度は、適宜変更できる。
・徐変部52は、複数の段差によって構成され、並び方向から視て階段状をなすものであってもよい。この場合であっても、徐変部52は、下流側に向かうにつれて発電部11から徐々に離間しているため、上述した効果(1)を奏することができる。
【0054】
・本実施形態では、第1セパレータ30と、第2セパレータ40との双方にリブ50が設けられるものであったが、第1セパレータ30にのみリブ50が設けられていてもよいし、第2セパレータ40にのみリブ50が設けられていてもよい。
【0055】
・セパレータ20は、例えば、ステンレス鋼などの金属材料からなるものであってもよい。
【符号の説明】
【0056】
G…隙間
10…単セル
11…発電部
12…膜電極接合体
13…電解質膜
14…電極触媒層
15…アノード側ガス拡散層
16…カソード側ガス拡散層
20…セパレータ
30,130,230,330,430…第1セパレータ
31…突条
31a…頂面
32…ガス流路
32a…拡幅部
40…第2セパレータ
41…突条
42…ガス流路
50,250,350,450…リブ
51,251,351,451…延在部
51a,251a…突端面
52,252,352,452…徐変部
100…スタック
453…徐変部