(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】天井搬送車、ティーチングユニット及び天井搬送車における移載位置学習方法
(51)【国際特許分類】
B65G 49/07 20060101AFI20230711BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
B65G49/07 E
B65G1/00 501H
(21)【出願番号】P 2020090983
(22)【出願日】2020-05-26
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】衣川 知孝
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-047747(JP,A)
【文献】特開2018-177425(JP,A)
【文献】特開2019-139474(JP,A)
【文献】国際公開第2018/186021(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0175334(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 49/07
B65G 1/00
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備内の天井に敷設される走行レールに沿って走行自在な走行部と、前記走行部に支持されて前記走行部と一体走行する本体部と、被搬送物を支持可能で且つ前記本体部に対して昇降可能な昇降部と、を備え、前記昇降部によって前記被搬送物を支持した状態で前記走行部の走行によって前記被搬送物を前記走行レールに沿って搬送し、前記昇降部の昇降によって前記被搬送物を前記設備内の移載部に移載可能な天井搬送車であって、
前記昇降部は、前記移載部に対する前記被搬送物の移載位置を学習させるために用いられるティーチングユニットを支持して前記本体部に対して昇降可能に構成され、
前記ティーチングユニットは、
前記昇降部によって支持されるユニット本体と、
前記移載部に設置されるティーチングプレートと、
前記ユニット本体によって支持されるとともに前記ティーチングプレートの位置を検出する検出部と、
を備え、
前記検出部によって検出される前記ティーチングプレートの位置に基づいて前記移載部に対する前記被搬送物の移載位置を学習させることが可能であり、
前記ユニット本体は、前記ティーチングプレートを支持可能に構成され、前記ティーチングプレートが前記移載部に移載されることによって前記ティーチングプレートに対する支持を解除すること
を特徴とする天井搬送車。
【請求項2】
前記ユニット本体は、
前記ティーチングプレートと嵌合する嵌合部を備え、
前記ティーチングプレートが前記移載部に載置されることで、前記嵌合部と前記ティーチングプレートとの嵌合が解除されること
を特徴とする請求項1に記載の天井搬送車。
【請求項3】
設備内の天井に敷設される走行レールに沿って走行自在な走行部と、前記走行部に支持されて前記走行部と一体走行する本体部と、被搬送物を支持可能で且つ前記本体部に対して昇降可能な昇降部と、を備え、前記昇降部によって前記被搬送物を支持した状態で前記走行部の走行によって前記被搬送物を前記走行レールに沿って搬送し、前記昇降部の昇降によって前記被搬送物を前記設備内の移載部に移載可能な天井搬送車において、前記移載部に対する前記被搬送物の移載位置を前記天井搬送車に学習させるために用いられるティーチングユニットであって、
前記昇降部によって支持されて前記本体部に対して昇降可能に構成され、
前記昇降部によって支持されるユニット本体と、
前記移載部に設置されるティーチングプレートと、
前記ユニット本体によって支持されるとともに前記ティーチングプレートの位置を検出する検出部と、
を備え、
前記検出部によって検出される前記ティーチングプレートの位置に基づいて前記移載部に対する前記被搬送物の移載位置を前記天井搬送車に学習させることが可能であり、
前記ユニット本体は、前記ティーチングプレートを支持可能に構成され、前記ティーチングプレートが前記移載部に移載されることによって前記ティーチングプレートに対する支持を解除すること
を特徴とするティーチングユニット。
【請求項4】
前記ユニット本体は、
前記ティーチングプレートと嵌合する嵌合部を備え、
前記ティーチングプレートが前記移載部に載置されることで、前記嵌合部と前記ティーチングプレートとの嵌合が解除されること
を特徴とする請求項3に記載のティーチングユニット。
【請求項5】
設備内の天井に敷設される走行レールに沿って走行自在な走行部と、前記走行部に支持されて前記走行部と一体走行する本体部と、被搬送物を支持可能で且つ前記本体部に対して昇降可能な昇降部と、を備え、前記昇降部によって前記被搬送物を支持した状態で前記走行部の走行によって前記被搬送物を前記走行レールに沿って搬送し、前記昇降部の昇降によって前記被搬送物を前記設備内の移載部に移載可能な天井搬送車において、前記移載部に対する前記被搬送物の移載位置を前記天井搬送車に学習させるための天井搬送車における移載位置学習方法であって、
前記昇降部によって支持されるユニット本体と、前記移載部に設置されるティーチングプレートと、前記ユニット本体によって支持されるとともに前記ティーチングプレートの位置を検出する検出部と、を備えるティーチングユニットを、前記昇降部によって前記本体部に対して昇降可能に支持させ、
前記ティーチングプレートを前記移載部に移載することによって前記ユニット本体による前記ティーチングプレートに対する支持を解除させ、
前記ユニット本体による前記ティーチングプレートに対する支持を解除した後に前記検出部によって検出される前記ティーチングプレートの位置に基づいて前記移載部に対する前記被搬送物の移載位置を前記
天井搬送車に学習させること
を特徴とする天井搬送車における移載位置学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井搬送車に関するものであり、特に、設備内の移載部に対する被搬送物の移載位置を天井搬送車に学習させるために用いられるティーチングユニット、当該ティーチングユニットを搭載する天井搬送車、当該ティーチングユニットを用いた天井搬送車における移載位置学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の天井搬送車としては、特許文献1に示すようなものがある。特許文献1の天井搬送車では、ロードポート等(移載部)に対する被搬送物の移載位置を天井搬送車に学習させるために、ティーチングユニットと、位置決め部材(ティーチングプレート)と、が用いられる。
特許文献1の天井搬送車では、天井搬送車へのティーチング(ロードポート等(移載部)に対する被搬送物の移載位置の学習)を行う際に、ティーチングユニットが天井搬送車に搭載されるとともに、位置決め部材が設備内のロードポート等に設置される。そして、ティーチングユニットのユニット本体が、位置決め部材に接触して位置決め部材の位置検出を行うことで、ロードポート等に対する被搬送物の移載位置を天井搬送車に学習させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の天井搬送車では、天井搬送車へのティーチングを行う際に、作業者がティーチングプレートを予めロードポート等に設置する必要があるため、ティーチングプレートをロードポート等に設置する作業が生じ、天井搬送車へのティーチングを開始するまでに時間を要する。特に、高所に設けられる天井バッファ(天井保管棚)に対する被搬送物の移載位置を天井搬送車に学習させる場合には、ティーチングプレートを予め天井バッファに設置する必要があるため、作業者が高所でティーチングプレートの設置作業を行うこととなり、ティーチングプレートの設置作業が煩雑となる。また、天井搬送車へのティーチングの終了後にはティーチングプレートをロードポート等から撤去する必要がある。このようなことから、特許文献1の天井搬送車では、天井搬送車へのティーチングの実施に時間を要し煩雑であるという問題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するもので、天井搬送車へのティーチング(移載部に対する被搬送物の移載位置の学習)の実施時間を短縮できるとともに、天井搬送車へのティーチングを容易に実施可能な天井搬送車、ティーチングユニット及び天井搬送車における移載位置学習方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の天井搬送車は、設備内の天井に敷設される走行レールに沿って走行自在な走行部と、前記走行部に支持されて前記走行部と一体走行する本体部と、被搬送物を支持可能で且つ前記本体部に対して昇降可能な昇降部と、を備え、前記昇降部によって前記被搬送物を支持した状態で前記走行部の走行によって前記被搬送物を前記走行レールに沿って搬送し、前記昇降部の昇降によって前記被搬送物を前記設備内の移載部に移載可能な天井搬送車であって、前記昇降部は、前記移載部に対する前記被搬送物の移載位置を学習させるために用いられるティーチングユニットを支持して前記本体部に対して昇降可能に構成され、前記ティーチングユニットは、前記昇降部によって支持されるユニット本体と、前記移載部に設置されるティーチングプレートと、前記ユニット本体によって支持されるとともに前記ティーチングプレートの位置を検出する検出部と、を備え、前記検出部によって検出される前記ティーチングプレートの位置に基づいて前記移載部に対する前記被搬送物の移載位置を学習させることが可能であり、前記ユニット本体は、前記ティーチングプレートを支持可能に構成され、前記ティーチングプレートが前記移載部に移載されることによって前記ティーチングプレートに対する支持を解除するものである。
上記構成では、走行部の走行時及び昇降部の昇降時には、ユニット本体とティーチングプレートとが一体であり、移載部に対する被搬送物の移載位置を天井搬送車に学習させる際には、ティーチングプレートが移載部に移載されることでティーチングプレートがユニット本体から分離する。
【0007】
本発明の天井搬送車は、前記ユニット本体が、前記ティーチングプレートと嵌合する嵌合部を備え、前記ティーチングプレートが前記移載部に載置されることで、前記嵌合部と前記ティーチングプレートとの嵌合が解除されるものである。
上記構成では、走行部の走行時及び昇降部の昇降時には、ユニット本体の嵌合部とティーチングプレートとが嵌合し、移載部に対する被搬送物の移載位置を天井搬送車に学習させる際には、ティーチングプレートがユニット本体から分離する。
【0008】
本発明のティーチングユニットは、設備内の天井に敷設される走行レールに沿って走行自在な走行部と、前記走行部に支持されて前記走行部と一体走行する本体部と、被搬送物を支持可能で且つ前記本体部に対して昇降可能な昇降部と、を備え、前記昇降部によって前記被搬送物を支持した状態で前記走行部の走行によって前記被搬送物を前記走行レールに沿って搬送し、前記昇降部の昇降によって前記被搬送物を前記設備内の移載部に移載可能な天井搬送車において、前記移載部に対する前記被搬送物の移載位置を前記天井搬送車に学習させるために用いられるティーチングユニットであって、前記昇降部によって支持されて前記本体部に対して昇降可能に構成され、前記昇降部によって支持されるユニット本体と、前記移載部に設置されるティーチングプレートと、前記ユニット本体によって支持されるとともに前記ティーチングプレートの位置を検出する検出部と、を備え、前記検出部によって検出される前記ティーチングプレートの位置に基づいて前記移載部に対する前記被搬送物の移載位置を前記天井搬送車に学習させることが可能であり、前記ユニット本体は、前記ティーチングプレートを支持可能に構成され、前記ティーチングプレートが前記移載部に移載されることによって前記ティーチングプレートに対する支持を解除するものである。
上記構成では、走行部の走行時及び昇降部の昇降時には、ユニット本体とティーチングプレートとが一体であり、移載部に対する被搬送物の移載位置を天井搬送車に学習させる際には、ティーチングプレートが移載部に移載されることでティーチングプレートがユニット本体から分離する。
【0009】
本発明のティーチングユニットは、前記ユニット本体が、前記ティーチングプレートと嵌合する嵌合部を備え、前記ティーチングプレートが前記移載部に載置されることで、前記嵌合部と前記ティーチングプレートとの嵌合が解除されるものである。
上記構成では、走行部の走行時及び昇降部の昇降時には、ユニット本体の嵌合部とティーチングプレートとが嵌合し、移載部に対する被搬送物の移載位置を天井搬送車に学習させる際には、ティーチングプレートがユニット本体から分離する。
【0010】
本発明の天井搬送車における移載位置学習方法は、設備内の天井に敷設される走行レールに沿って走行自在な走行部と、前記走行部に支持されて前記走行部と一体走行する本体部と、被搬送物を支持可能で且つ前記本体部に対して昇降可能な昇降部と、を備え、前記昇降部によって前記被搬送物を支持した状態で前記走行部の走行によって前記被搬送物を前記走行レールに沿って搬送し、前記昇降部の昇降によって前記被搬送物を前記設備内の移載部に移載可能な天井搬送車において、前記移載部に対する前記被搬送物の移載位置を前記天井搬送車に学習させるための天井搬送車における移載位置学習方法であって、前記昇降部によって支持されるユニット本体と、前記移載部に設置されるティーチングプレートと、前記ユニット本体によって支持されるとともに前記ティーチングプレートの位置を検出する検出部と、を備えるティーチングユニットを、前記昇降部によって前記本体部に対して昇降可能に支持させ、前記ティーチングプレートを前記移載部に移載することによって前記ユニット本体による前記ティーチングプレートに対する支持を解除させ、前記ユニット本体による前記ティーチングプレートに対する支持を解除した後に前記検出部によって検出される前記ティーチングプレートの位置に基づいて前記移載部に対する前記被搬送物の移載位置を前記天井搬送車に学習させる方法である。
上記方法では、走行部の走行時及び昇降部の昇降時には、ティーチングプレートとユニット本体とを一体にし、移載部に対する被搬送物の移載位置を天井搬送車に学習させる際には、ティーチングプレートとユニット本体とを分離させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の天井搬送車、ティーチングユニット及び天井搬送車の移載位置学習方法によれば、天井搬送車へのティーチング(移載部に対する被搬送物の移載位置の学習)を行う際に、ティーチングプレートが天井搬送車によって移載部に設置され、また、移載部から撤去されるため、作業者が移載部にティーチングプレートを設置する作業や移載部からティーチングプレートを撤去する作業を行う必要がない。そのため、天井搬送車へのティーチングを短い時間で容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係る天井搬送車及びそれが備えられる半導体基板の処理設備の概略図である。
【
図2】同天井搬送車に搭載されるティーチングユニットの斜視図である。
【
図3】(a)は、同ティーチングユニットを構成するユニット本体の斜視図、(b)は、同ティーチングユニットを構成するティーチングプレートの斜視図である。
【
図4】(a)は、同ティーチングユニットがロードポートに対して昇降される際の同ティーチングユニットの正面図、(b)は、ティーチングプレートがロードポートに載置された際の同ティーチングユニットの正面図、(c)は、天井搬送車へのティーチングを行う際の同ティーチングユニットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明に係る天井搬送車10について説明する。
【0014】
図1に示すように、天井搬送車10は、例えば、半導体基板の製造工場のクリーンルーム90(「設備」の一例)内の天井91に敷設される走行レール92に沿って、半導体基板が収容されたフープ(「被搬送物」の一例、図示せず)等や後述するティーチングユニット20を搬送する。また、天井搬送車10は、半導体基板に対して所定の処理を行う処理装置93のロードポート94(「移載部」の一例)や上記フープ等を一時的に保管する天井バッファ(天井保管棚、「移載部」の一例、図示せず)に上記フープ等やティーチングユニット20を移載する。なお、以下では、天井搬送車10が上記フープ等を移載する移載部及び天井搬送車10へのティーチング(移載部に対する被搬送物の移載位置の学習)を行う際にティーチングユニット20を移載する移載部を、処理装置93のロードポート94として説明する。
【0015】
図1に示すように、天井搬送車10は、走行レール92に沿って走行自在な走行部11と、走行部11に支持されて走行部11と一体走行する本体部14と、上記フープ等を支持可能で且つ本体部14に対して昇降可能な昇降部15と、を備える。天井搬送車10は、昇降部15によって支持された状態の上記フープ等を、走行部11の走行によってロードポート94の上方の所定位置まで走行レール92に沿って搬送する。天井搬送車10は、走行部11の走行によって所定位置まで搬送された上記フープ等を、昇降部15の昇降によってロードポート94に移載する。
走行部11は、走行レール92上を転動する一対の走行車輪12と、一対の走行車輪12を駆動する走行駆動部13と、を備える。
本体部14は、走行部11に吊り下げ状態で支持されるとともに、その内部において昇降部15を昇降可能に支持する。
昇降部15は、上記フープ等を吊下げ状態で把持する把持部16と、本体部14の内部に固定されて把持部16を昇降駆動する昇降駆動部(図示せず)と、を備える。当該昇降駆動部は、把持部16の一端に接続されるワイヤ17を巻き取り又は繰り出すことで把持部16を昇降させる。
【0016】
天井搬送車10では、ロードポート94に対する上記フープ等(被搬送物)の移載位置を天井搬送車10に学習させるために、天井搬送車10へのティーチングを行う。ここで、天井搬送車10へのティーチングとは、把持部16が目標位置からずれのない位置で、ロードポート94への上記フープ等(被搬送物)の移載動作を行うことができるように、天井搬送車10に行うべき動作を記憶させることであり、走行部11を走行レール92の所定位置に停止させて昇降部15の把持部16を所定距離下降させた状態で、把持部16の位置が目標位置からどれだけずれているかを検出し、当該検出結果に基づいて把持部16の位置を目標位置に補正して天井搬送車10に記憶させる。
天井搬送車10へのティーチングは、ティーチングユニット20を用いて行われ、天井搬送車10の走行部11を目標のロードポート94の上方で停止させ、昇降部15の把持部16によって把持された状態のティーチングユニット20を目標のロードポート94まで下降させることによって行う。
【0017】
ティーチングユニット20は、天井搬送車10の昇降部15によって支持され、昇降部15の昇降によって本体部14に対して昇降する。より具体的には、ティーチングユニット20は、昇降部15の把持部16によって把持された状態で、本体部14に対して昇降する。
ティーチングユニット20は、その重量及び重心位置が上記フープ等(被搬送物)と一致するように形成されている。
図2、
図3(a)、
図3(b)に示すように、ティーチングユニット20は、ユニット本体21と、ティーチングプレート31と、距離計40、41、42(「検出部」の一例)と、角度計43(「検出部」の一例)と、から主に構成されている。
【0018】
図3(a)に示すように、ユニット本体21は、箱状の枠体である。ユニット本体21は、その左右方向Aがティーチングユニット20の搬送時の天井搬送車10の走行方向と同じ方向となるように昇降部15によって支持される。ユニット本体21は、底板22と、底板22の4つの角部のそれぞれに立設される支柱23と、4本の支柱23の頂部に設けられる上面板24と、から主に構成されている。
4本の支柱23のうち、ユニット本体21の左右方向Aの両側において隣接する2本の支柱23間には、横枠25が設けられている。ユニット本体21の左右方向Aの両側に設けられる横枠25間には、支持枠26が設けられている。上面板24の中央には、昇降部15の把持部16がユニット本体21を把持するためのフランジ27が設けられている。
【0019】
横枠25の中央部には、ユニット本体21の左右方向Aの外側に突出する基台28が設けられている。基台28は、横枠25の外側面から水平に突出する板材である。基台28には、ティーチングプレート31を支持するための第1突起部29及び一対の第2突起部30が固定されている。
第1突起部29は、基台28の突出側(横枠25に固定されている側と反対側)の中央部に設けられ、ティーチングプレート31と係合することでティーチングプレート31の前後方向Bの位置決めを行う。第1突起部29は、基台28の上面から上方へ突出する第1ローラ支持体29Aと、第1ローラ支持体29Aの先端側に回動可能に軸支される第1ローラ29B(「嵌合部」の一例)と、から構成されている。第1ローラ29Bは、そのローラ面が前後方向Bに向くように第1ローラ支持体29Aに支持される。第1ローラ29Bは、そのローラ面がティーチングプレート31と当接してティーチングプレート31に嵌め合わされることによってティーチングプレート31の前後方向Bの位置決めを行う。
第2突起部30は、基台28の前後両側に第1突起部29を挟むように設けられ、ティーチングプレート31と当接することでティーチングプレート31の左右方向Aの位置決めを行う。第2突起部30は、基台28の上面から上方へ突出する第2ローラ支持体30Aと、第2ローラ支持体30Aの先端側に回動可能に軸支される第2ローラ30Bと、から構成されている。第2ローラ30Bは、そのローラ面が左右方向Aに向くように第2ローラ支持体30Aに支持される。第2ローラ30Bは、そのローラ面がティーチングプレート31と当接することで、ティーチングプレート31の左右方向Aの位置決めを行う。
【0020】
図3(b)に示すように、ティーチングプレート31は、ユニット本体21の下部に嵌め合わせ可能な凹状の部材である。ティーチングプレート31は、その左右方向Aがティーチングユニット20の搬送時の天井搬送車10の走行方向と同じ方向となるようにユニット本体21によって支持される。ティーチングプレート31は、プレート本体32と、プレート本体32の左右両側にそれぞれ設けられる側壁36と、から主に構成されている。
【0021】
プレート本体32は、板材によって形成され、ティーチングプレート31をロードポート94に移載する際に、ロードポート94に当接する部分である。
プレート本体32には、ティーチングプレート31をロードポート94に移載する際に、ロードポート94に設けられるピン95(
図1参照)が挿入される孔部33が形成されている。孔部33は、ロードポート94のピン95の位置に対応するプレート本体32の所定位置(
図3(b)では3箇所)に形成されている。孔部33の上部(プレート本体32の上面)には、孔部33の開口部分を上方から覆うように接触センサ34が設けられている。接触センサ34は、孔部33に挿入されたピン95の頂部と接触可能に構成されている。接触センサ34はピン95と接触することで検出信号を天井搬送車10の制御部(図示せず)に送信する。天井搬送車10の制御部は、接触センサ34からの検出信号に基づいて、ティーチングプレート31がロードポート94の所定位置に載置されていると判断する。
プレート本体32の左右方向Aの両側部には、第2距離計41が照射するレーザー光を反射させるための反射板35が立設されている。反射板35は、その壁面がティーチングプレート31の前後方向Bに向くように設けられている。
【0022】
側壁36は板材によって形成され、プレート本体32の左右方向Aの両側端部に前後方向Bに沿って立設されている。側壁36は、ティーチングプレート31がユニット本体21に支持される際に、ユニット本体21の基台28、第1突起部29及び第2突起部30と係合する部分である。側壁36は、その上半分の領域に開口部37が形成されている。開口部37は、ユニット本体21の基台28、第1突起部29及び第2突起部30が挿通可能な程度の開口高さ及び開口幅で開口している。
開口部37の上部中央には溝部38が形成されている。溝部38は、ユニット本体21の第1突起部29の第1ローラ29Bに嵌め合わせ可能な湾曲状(半円状)の切り込みによって形成されている。溝部38に第1ローラ29Bを嵌め合わせることで、ティーチングプレート31の前後方向Bの位置決めがなされる。
溝部38の両側には突出部39が形成されている。突出部39は開口部37の上部から下方に突出する三角形の突出部分である。突出部39は、ティーチングプレート31がユニット本体21に支持される際に、ユニット本体21の基台28に載置される。突出部39が基台28に載置されることで、ティーチングプレート31がユニット本体21に吊り下げられた状態で支持される。
【0023】
図2及び
図3(a)に示すように、第1距離計40は、レーザー距離計であり、天井搬送車10へのティーチングの際に、ユニット本体21の所定位置からティーチングプレート31の所定位置までの左右方向Aの距離を検出するものである。第1距離計40は、ユニット本体21の底板22に立設される枠体22Aに取り付けられる。第1距離計40は、ティーチングプレート31の一方の側壁36の内側面にレーザー光を照射することで、ユニット本体21の所定位置からティーチングプレート31の所定位置までの左右方向Aの距離を検出する。第1距離計40は、ユニット本体21に1台設けられている。ティーチングユニット20では、ユニット本体21の所定位置からティーチングプレート31の所定位置までの左右方向Aの距離の検出を、1台の第1距離計40によって、ティーチングプレート31の1点において行う。
第2距離計41は、レーザー距離計であり、天井搬送車10へのティーチングの際に、ユニット本体21の所定位置からティーチングプレート31の所定位置までの前後方向Bの距離を検出するものである。第2距離計41は、ユニット本体21の底板22に取り付けられる。第2距離計41は、ティーチングプレート31の反射板35にレーザー光を照射することで、ユニット本体21の所定位置からティーチングプレート31の所定位置までの前後方向Bの距離を検出する。第2距離計41は、ユニット本体21に2台設けられている。ティーチングユニット20では、ユニット本体21の所定位置からティーチングプレート31の所定位置までの前後方向Bの距離の検出を、2台の第2距離計41によって、ティーチングプレート31の2点において行う。
第3距離計42は、レーザー距離計であり、天井搬送車10へのティーチングの際に、ユニット本体21の所定位置からティーチングプレート31の所定位置までの上下方向C(高さ方向)の距離を検出するものである。第3距離計42は、ユニット本体21の支柱23又は支持枠26に取り付けられる。第3距離計42は、ティーチングプレート31のプレート本体32の上面にレーザー光を照射することで、ユニット本体21の所定位置からティーチングプレート31の所定位置までの上下方向C(高さ方向)の距離を検出する。ティーチングユニット20では、ユニット本体21の所定位置からティーチングプレート31の所定位置までの上下方向C(高さ方向)の距離の検出を、3台の第3距離計42によって、ティーチングプレート31の3点において行う。
角度計43は、ティーチングプレート31に対するユニット本体21の傾きを検出するものである。角度計43は、ユニット本体21のフランジ27の下部に取り付けられる。
【0024】
次に、天井搬送車10へのティーチング(天井搬送車10における移載位置学習方法)及び天井搬送車10へのティーチング時におけるティーチングユニット20の作用について説明する。
天井搬送車10へのティーチングでは、天井搬送車10に搭載されたティーチングユニット20のユニット本体21に設けられた距離計40、41、42と、角度計43を用いて、ティーチングプレート31に対するユニット本体21の左右方向A、前後方向B、上下方向C及び旋回方向の位置並びにティーチングプレート31に対するユニット本体21の傾き量を測定し、測定したそれぞれの結果からティーチングプレート31に対する昇降部15の把持部16のズレを算出し、算出した当該ズレを天井搬送車10の学習値に反映させた上で、ロードポート94に対する上記フープ等(被搬送物)の移載位置を天井搬送車10に学習させる。
【0025】
図1及び
図4に示すように、天井搬送車10へのティーチングを行うに際しては、まず、天井搬送車10に、ティーチングユニット20を搭載させる。この時、天井搬送車10は、ティーチングユニット20(ユニット本体21のフランジ27)を昇降部15の把持部16によって把持した状態で、本体部14に対する所定位置まで上昇させて保持する。
天井搬送車10は、把持部16によってユニット本体21のフランジ27を把持した状態でティーチングユニット20を目標のロードポート94(天井搬送車10へのティーチングを行うためのロードポート(学習ステーション))の上方位置まで搬送する。この時、ティーチングプレート31は、把持部16によって把持されたユニット本体21によって支持され、ユニット本体21と一体で天井搬送車10によって搬送される。ここで、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、ユニット本体21とティーチングプレート31では、ユニット本体21の第1突起部29の第1ローラ29Bがティーチングプレート31の溝部38に嵌め合わされるとともに、ティーチングプレート31の突出部39がユニット本体21の基台28に載置される。
【0026】
天井搬送車10は、ティーチングユニット20を目標のロードポート94の上方位置まで搬送すると、走行部11を走行レール92の所定位置で停止させる。さらに、天井搬送車10は、把持部16を横行及び旋回させて、把持部16を天井搬送車10へのティーチングを行うための基準位置(学習の基準位置)まで移動させる。
図4(a)に示すように、天井搬送車10は、把持部16を上記基準位置まで移動させると、把持部16を下降させることによってティーチングユニット20をロードポート94まで下降させる。これにより、
図4(b)に示すように、ティーチングプレート31がロードポート94のピン95に近接され、プレート本体32の孔部33がロードポート94のピン95に嵌るようにロードポート94に載置される。この時、ティーチングプレート31は、把持部16によって把持されたユニット本体21によって支持された状態でロードポート94に載置される。
【0027】
図3(a)、
図3(b)及び
図4(c)に示すように、天井搬送車10は、ティーチングプレート31がロードポート94に載置された後も引き続き把持部16の下降動作を続ける。この時、ユニット本体21の第1突起部29の第1ローラ29Bが、ティーチングプレート31の溝部38から離れるとともに、ユニット本体21の基台28がティーチングプレート31の突出部39から離れて、ユニット本体21とティーチングプレート31とが分離する。すなわち、ユニット本体21の第1突起部29の第1ローラ29Bとティーチングプレート31の溝部38との嵌合が解除され、ティーチングプレート31に対するユニット本体21の支持が解除される。
天井搬送車10は、第3距離計42が学習位置まで下降すると、把持部16の下降動作を停止する。ここで、天井搬送車10は、プレート本体32に設けられる全ての接触センサ34がロードポート94のピン95を検出しているかによって、ティーチングプレート31がロードポート94の適正位置(プレート本体32の全ての孔部33がロードポート94の全てのピン95に嵌る位置)に載置されているかを判断する。ティーチングプレート31がロードポート94の適正位置に載置されていないと判断した場合には、天井搬送車10は、把持部16の上昇及び下降動作を繰り返すことで、ティーチングプレート31をロードポート94の適正位置に載置する。
【0028】
第3距離計42が学習位置まで下降し、ティーチングプレート31がロードポート94の適正位置に載置されると、天井搬送車10では、距離計40、41によって、ユニット本体21の所定位置からティーチングプレート31の所定位置までの左右方向A及び前後方向Bの距離が検出される。そして、天井搬送車10では、距離計40、41の検出結果に基づいて、ティーチングプレート31を基準とするユニット本体21の左右方向A、前後方向B及び旋回方向の位置が測定され、測定されたユニット本体21の左右方向A、前後方向B及び旋回方向の位置に基づいて、ティーチングプレート31を基準とする把持部16の走行方向、横行方向及び旋回方向の位置が算出される。
【0029】
具体的には、天井搬送車10では、第1距離計40の検出結果に基づいて、ティーチングプレート31の位置を基準とする把持部16の走行方向の位置が算出される。また、天井搬送車10では、第2距離計41の検出結果に基づいて、ティーチングプレート31の位置を基準とする把持部16の横行方向の位置及び旋回方向の位置が算出される。ここで、ティーチングプレート31は、ロードポート94において天井搬送車10へのティーチングを行うための基準位置(学習の基準位置)に載置されているため、ティーチングプレート31を基準として把持部16の位置を算出することで、学習の基準位置に対する把持部16の位置のズレを算出することができる。このため、把持部16の位置が、学習の基準位置であるティーチングプレート31からズレている場合には、距離計40、41、は、予め設定された値(距離)とはズレた値(距離)を検出する。
【0030】
天井搬送車10では、把持部16の位置が算出されると、算出された把持部16の位置が予め設定された範囲内の位置であるかが判断される。算出された把持部16の位置が予め設定された範囲内の位置でない場合には、天井搬送車10は、把持部16を横行及び旋回させて、把持部16の位置を予め設定された範囲内の位置に補正し、再度、把持部16の走行方向、横行方向及び旋回方向の位置が測定される。天井搬送車10では、把持部16の位置が予め設定された範囲内の位置となるまで、繰り返し、把持部16の位置の補正及び測定が行われる。
把持部16の位置が予め設定された範囲内の位置である場合には、天井搬送車10では、3台の第3距離計42又は1台の第3距離計42と角度計43によって、ティーチングプレート31に対するユニット本体21の傾きが検出される。そして、天井搬送車10では、3台の第3距離計42又は1台の第3距離計42と角度計43の検出結果に基づいて、ティーチングプレート31に対するユニット本体21の左右方向A及び前後方向Bの傾き量が測定され、測定されたユニット本体21の左右方向A及び前後方向Bの傾き量に基づいて、ティーチングプレート31に対する把持部16の走行方向及び横行方向の傾き量が算出される。
ティーチングプレート31に対する把持部16の走行方向及び横行方向の傾き量が算出されると、天井搬送車10は、これまで測定及び算出したデータを学習データとして記憶する。さらに、
図4(c)に示すように、天井搬送車10は、把持部16を上昇させることで、ティーチングユニット20をロードポート94から上昇させる。これにより、まず、把持部16によって把持された状態のユニット本体21のみが上昇する。
図4(b)に示すように、ユニット本体21が上昇することによって、ユニット本体21の基台28がプレート本体32の突出部39に当接するとともに、ユニット本体21の第1突起部29の第1ローラ29Bがティーチングプレート31の溝部38に嵌め合わされて、ティーチングプレート31がユニット本体21によって支持される。そして、
図4(b)に示すように、さらにユニット本体21が上昇することで、ティーチングプレート31がユニット本体21によって持ち上げられ、ティーチングプレート31がユニット本体21と一体に上昇する。これにより、ユニット本体21とティーチングプレート31とが一体となったティーチングユニット20が、把持部16によって把持された状態で、本体部14に対する所定位置まで上昇する。そして、天井搬送車10へのティーチングが終了する。
【0031】
このように、天井搬送車10へのティーチングにおいては、ユニット本体21とティーチングプレート31とが一体となったティーチングユニット20が、目標ロードポート94(学習ステーション)まで搬送され、ティーチングプレート31が目標のロードポート94に載置されることで、ユニット本体21とティーチングプレート31とが分離して天井搬送車10へのティーチングが行える状態となる。
また、天井搬送車10へのティーチングを終了させる際には、天井搬送車10がユニット本体21を上昇させるだけで、ユニット本体21と分離していたティーチングプレート31がユニット本体21に持ち上げられた状態でユニット本体21と一体となり、天井搬送車10によって搬送可能な状態となる。
【0032】
以上のように、天井搬送車10、ティーチングユニット20及び天井搬送車10における移載位置学習方法においては、天井搬送車10へのティーチング(ロードポート94に対する被搬送物の移載位置の学習)を行う際に、ティーチングプレート31が天井搬送車10によってロードポート94に設置され、また、ロードポート94から撤去されるため、作業者がロードポート94にティーチングプレート31を設置する作業やロードポート94からティーチングプレート31を撤去する作業を行う必要がない。そのため、天井搬送車10へのティーチングを短い時間で容易に行うことができる。
【0033】
なお、本実施の形態では、距離計40、41、42及び角度計43によってユニット本体21に対するティーチングプレート31の距離及び傾きを検出しているが、これに限定されるものではなく、カメラの画像によって検出を行っても構わない。
本実施の形態では、ティーチングプレート31の溝部38に嵌め合わせるユニット本体21の嵌合部を第1ローラ29Bによって構成しているが、これに限定されるものではなく、ローラ以外の部材によって構成しても構わない。
本実施の形態では、ティーチングプレート31の溝部38の両側に突出部39が形成されているが、これに限定されるものではなく、開口部37の上部から下方に突出する部分を設けることなく平坦に構成しても構わない。
【符号の説明】
【0034】
10 天井搬送車
20 ティーチングユニット
21 ユニット本体
31 ティーチングプレート
40 第1距離計(検出部)
41 第2距離計(検出部)
42 第3距離計(検出部)
43 角度計(検出部)
94 ロードポート(載置部)