(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】電力変換装置の導体構造
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20230711BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02M7/48 S
(21)【出願番号】P 2020095822
(22)【出願日】2020-06-02
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】内田 誉人
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-133864(JP,A)
【文献】特開平08-047268(JP,A)
【文献】特開昭62-190668(JP,A)
【文献】特開2002-084766(JP,A)
【文献】実開昭54-033984(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1出力端子と第2出力端子とが互いに隣接した状態に突出して設けられた電力変換ユニットを複数含み、これら複数の電力変換ユニットが直列に接続されてなる電力変換装置において、
第1の電力変換ユニットの第1出力端子から隣接する第2の電力変換ユニットとは反対方向へ延びる板状の第1の導体と、
上記第1の電力変換ユニットの第2出力端子から上記第2の電力変換ユニットの第1出力端子へ至る板状の第2の導体と、
上記第1の導体と上記第2の導体とにまたがって延び、絶縁板を介してこれら第1の導体および第2の導体と重なるとともに、第1の導体および第2の導体とは逆方向に高周波電流が流れる板状の第3の導体と、
を含み、
上記第1の導体および上記第2の導体は、それぞれ、上記第3の導体に沿って延びる主部と、この主部に対して直交する方向に折曲形成され、上記第1の電力変換ユニットの第1出力端子ないし第2出力端子に接続される立ち上がり部と、上記主部と上記立ち上がり部とを斜めに接続する傾斜部と、を有し、
上記第1の導体の上記傾斜部と上記第2の導体の上記傾斜部と両者間に延びる上記絶縁板とによって三角形状の空間が構成されており、
上記第1の導体の上記立ち上がり部と上記第2の導体の上記立ち上がり部との間に介在する第2の絶縁板の端部が、上記三角形状の空間の内側へ突出している、
電力変換装置の導体構造。
【請求項2】
上記第2の導体の上記第2の電力変換ユニット側の端部に、上記第3の導体に沿って延びる主部と、この主部に対して直交する方向に折曲形成され、上記第2の電力変換ユニットの第1出力端子に接続される立ち上がり部と、上記主部と上記立ち上がり部とを斜めに接続する傾斜部と、を有し、
上記第3の導体の上記第2の電力変換ユニット側の端部には、上記第2の導体の端部と対称をなすように、上記第3の導体に沿って延びる主部と、この主部に対して直交する方向に折曲形成され、上記第2の電力変換ユニットの第2出力端子に接続される立ち上がり部と、上記主部と上記立ち上がり部とを斜めに接続する傾斜部と、を有する第4の導体が取り付けられており、
上記第2の導体の上記傾斜部と上記第4の導体の上記傾斜部と両者間に延びる上記絶縁板とによって三角形状の空間が構成されており、
上記第2の導体の上記立ち上がり部と上記第4の導体の上記立ち上がり部との間に介在する第3の絶縁板の端部が、上記三角形状の空間の内側へ突出している、
請求項1に記載の電力変換装置の導体構造。
【請求項3】
上記第1の導体および上記第2の導体は、それぞれ、一つの平面に沿った直線状部分を構成する導体と、上記立ち上がり部および上記傾斜部を含む端部部分を構成する導体と、に分割して構成されている、
請求項1または2に記載の電力変換装置の導体構造。
【請求項4】
上記第1の電力変換ユニットと上記第2の電力変換ユニットとが個々の盤の筐体に収容されており、
上記第1の電力変換ユニットと上記第2の電力変換ユニットとの間の上記第2の導体、上記第3の導体および上記絶縁板は、個々の盤に対応するように分割して構成されており、
分割された絶縁板の端縁および分割された第2の導体および第3の導体の端縁は、それぞれ2つの盤の境界線から後退して位置し、
これらの絶縁板の端縁および導体の端縁が、それぞれ盤間絶縁板および盤間接続導体を介して互いに接続されている、
請求項1~3のいずれかに記載の電力変換装置の導体構造。
【請求項5】
上記の分割された第2の導体および第3の導体の端縁は、分割された絶縁板の端縁よりも相対的に大きく後退しており、
上記盤間絶縁板は、第2の導体もしくは第3の導体の端縁の間に配置されており、当該導体の端縁形状に対応した位置決め用の切欠部を有している、
請求項4に記載の電力変換装置の導体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の単相の電力変換ユニットからなる電力変換装置に関し、特に、高周波電流を出力する複数の電力変換ユニットの出力側を直列に接続して回路構成する場合の導体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波電流が流れる電気回路は、外部への漏れ磁束を低減するために、往復導体を対向配置しかつ近接化することが重要である。往復導体の導体間距離が大きいと、周囲の近接する磁性体に作用する漏れ磁束が大きくなり、誘導起電圧および渦電流損が大きくなりやすい。
【0003】
特許文献1には、上下に配置された2組の単相インバータユニットの交流出力を互いに直列に接続するために、3つの板状の導体を用いた構成が開示されている。すなわち、上に位置する第1の単相インバータユニットのv相出力端子と下に位置する第2の単相インバータユニットのu相出力端子とが第1の導体によって互いに接続されているとともに、第1の単相インバータユニットのu相出力端子に接続された第2の導体が第1の導体の上半部に絶縁板を挟んで重ね合わせてあり、第2の単相インバータユニットのv相出力端子に接続された第3の導体が第1の導体の下半部に重ね合わせてある。そして、第2の導体の端部と第3の導体の端部とが、上下中間高さ位置において絶縁板を挟んで重ね合わせてあり、装置全体としてのU相出力端子およびV相出力端子を構成している。換言すれば、装置全体のU相出力端子およびV相出力端子を構成する第2,第3の導体の端部は、それぞれ略L字形に折曲されており、上下方向に延びる第3の導体に対してT字形をなすように構成されている。
【0004】
このような構成では、導体構造の各部において、互いに逆方向に電流が流れる2枚の導体が中間の絶縁板を挟んで積層された構成となり、両者の近接配置が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の構成では、3つの導体がT字形に合流する箇所においては、個々に板状をなす2つの絶縁板がT字形に突き合わされた形となり、この突き合わせ箇所を囲んで3つの導体が近接しているため、絶縁に必要な空間距離および沿面距離の確保の点でなお改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る電力変換装置の導体構造は、第1出力端子と第2出力端子とが互いに隣接した状態に突出して設けられた電力変換ユニットを複数含み、これら複数の電力変換ユニットが直列に接続されてなる電力変換装置において、
第1の電力変換ユニットの第1出力端子から隣接する第2の電力変換ユニットとは反対方向へ延びる板状の第1の導体と、
上記第1の電力変換ユニットの第2出力端子から上記第2の電力変換ユニットの第1出力端子へ至る板状の第2の導体と、
上記第1の導体と上記第2の導体とにまたがって延び、絶縁板を介してこれら第1の導体および第2の導体と重なるとともに、第1の導体および第2の導体とは逆方向に高周波電流が流れる板状の第3の導体と、
を含み、
上記第1の導体および上記第2の導体は、それぞれ、上記第3の導体に沿って延びる主部と、この主部に対して直交する方向に折曲形成され、上記第1の電力変換ユニットの第1出力端子ないし第2出力端子に接続される立ち上がり部と、上記主部と上記立ち上がり部とを斜めに接続する傾斜部と、を有し、
上記第1の導体の上記傾斜部と上記第2の導体の上記傾斜部と両者間に延びる上記絶縁板とによって三角形状の空間が構成されており、
上記第1の導体の上記立ち上がり部と上記第2の導体の上記立ち上がり部との間に介在する第2の絶縁板の端部が、上記三角形状の空間の内側へ突出している。
【0008】
このような導体構造では、第1の電力変換ユニットの第1,第2出力端子に接続される第1,第2の導体の立ち上がり部が第3の導体に対して略T字形をなすように構成されることとなるが、第1,第2の導体のそれぞれが傾斜部を有し、これにより三角形状の空間が構成されるので、第1の導体と第2の導体との間の空間距離が大きくなる。また、第2の絶縁板の端部が三角形状の空間の内側へ突出しているので、この絶縁板の端部の周囲に沿って第1の導体と第2の導体との間の沿面距離が長く得られる。
【0009】
さらに本発明の好ましい一つの態様では、
上記第2の導体の上記第2の電力変換ユニット側の端部に、上記第3の導体に沿って延びる主部と、この主部に対して直交する方向に折曲形成され、上記第2の電力変換ユニットの第1出力端子に接続される立ち上がり部と、上記主部と上記立ち上がり部とを斜めに接続する傾斜部と、を有し、
上記第3の導体の上記第2の電力変換ユニット側の端部には、上記第2の導体の端部と対称をなすように、上記第3の導体に沿って延びる主部と、この主部に対して直交する方向に折曲形成され、上記第2の電力変換ユニットの第2出力端子に接続される立ち上がり部と、上記主部と上記立ち上がり部とを斜めに接続する傾斜部と、を有する第4の導体が取り付けられており、
上記第2の導体の上記傾斜部と上記第4の導体の上記傾斜部と両者間に延びる上記絶縁板とによって三角形状の空間が構成されており、
上記第2の導体の上記立ち上がり部と上記第4の導体の上記立ち上がり部との間に介在する第3の絶縁板の端部が、上記三角形状の空間の内側へ突出している。
【0010】
すなわち、この構成では、第2の電力変換ユニットの出力端子に対する接続部においても同様の構成となり、第1出力端子に接続された第2の導体と第2出力端子に接続された第4の導体との間の空間距離および沿面距離が大きく得られる。
【0011】
ここで、本発明においては、第1~第4の各導体は、必ずしも1つの金属部材であるものには限られず、複数の部材に分割して形成した上でボルト等で一体化した構成であってもよい。例えば、本発明の一つの態様では、上記第1の導体および上記第2の導体は、それぞれ、一つの平面に沿った直線状部分を構成する導体と、上記立ち上がり部および上記傾斜部を含む端部部分を構成する導体と、に分割して構成されている。
【0012】
また、本発明の好ましい一つの態様では、
上記第1の電力変換ユニットと上記第2の電力変換ユニットとが個々の盤の筐体に収容されており、
上記第1の電力変換ユニットと上記第2の電力変換ユニットとの間の上記第2の導体、上記第3の導体および上記絶縁板は、個々の盤に対応するように分割して構成されており、
分割された絶縁板の端縁および分割された第2の導体および第3の導体の端縁は、それぞれ2つの盤の境界線から後退して位置し、
これらの絶縁板の端縁および導体の端縁が、それぞれ盤間絶縁板および盤間接続導体を介して互いに接続されている。
【0013】
このような構成では、個々の盤の筐体の中に予め電力変換ユニットとともに導体を組み付けておくことができ、盤同士を並べて配置した後に分割された絶縁板同士および導体同士を盤間絶縁板および盤間接続導体を用いて互いに連続させることができる。分割された絶縁板や導体の端縁は2つの盤の境界線から後退しているので、盤の設置の際に邪魔となることがない。
【0014】
さらに好ましくは、上記の分割された第2の導体および第3の導体の端縁は、分割された絶縁板の端縁よりも相対的に大きく後退しており、
上記盤間絶縁板は、第2の導体もしくは第3の導体の端縁の間に配置されており、当該導体の端縁形状に対応した位置決め用の切欠部を有している。
【0015】
このような構成では、盤間絶縁板は、分割された絶縁板の端縁の上に重なって配置されるとともに、導体の端縁に切欠部が係合することによって容易かつ確実に位置決めされる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、第1の導体と第3の導体、および第2の導体と第3の導体とが、それぞれ逆方向に電流が流れるような形で絶縁板を挟んで近接配置されているため、外部への漏れ磁束が小さくなる。そして、略T字形に分岐する形となる第1の電力変換ユニットとの接続部においては、三角形状の空間を形成しかつ第2の絶縁板の端部を三角形状の空間の内側へ突出させることで、第1の導体と第2の導体との間の絶縁に必要な空間距離および沿面距離を大きく確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施例の電力変換装置の回路構成を示す説明図。
【
図2】一実施例の電力変換ユニットの(A)正面図、(B)側面図および(C)平面図。
【
図6】第1電力変換ユニットに対する導体アッセンブリを示す斜視図。
【
図7】第1電力変換ユニットに対する導体アッセンブリの分解斜視図。
【
図8】第1電力変換ユニットとの第1端子接続部を示す斜視図。
【
図12】第2電力変換ユニットに対する導体アッセンブリを示す斜視図。
【
図13】第2電力変換ユニットに対する導体アッセンブリの分解斜視図。
【
図14】第2電力変換ユニットとの第2端子接続部を示す斜視図。
【
図22】3個以上の電力変換ユニットを接続した構成例を示す正面図。
【
図23】メインブラケットに通気口を設けた実施例の電力変換装置全体を示す斜視図。
【
図24】この実施例の第1電力変換ユニットに関連した導体アッセンブリを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図3~
図5は、一実施例の導体構造を備えた電力変換装置の全体的な構成を示している。この実施例の電力変換装置は、
図1に回路構成を示すように、例えば単相のインバータユニットである第1電力変換ユニット1と第2電力変換ユニット2とを直列に接続して構成されている。すなわち、
図1に示すように、第1電力変換ユニット1のv相出力端子v1を電力変換装置全体のV相出力端子Vに導体を介して接続するとともに、第2電力変換ユニット2のu相出力端子u2を電力変換装置全体のU相出力端子Uに導体を介して接続し、第1電力変換ユニット1のu相出力端子u1と第2電力変換ユニット2のv相出力端子v2とを導体を介して互いに接続した回路構成となっている。
図1のP1,N1,P2,N2は電源を示す。
【0019】
なお、この実施例では、2個の電力変換ユニット1,2が直列に接続されているが、後述するように、さらに多数の電力変換ユニットを直列に接続した構成も可能である。
【0020】
電力変換ユニット1,2は、電力変換ユニットそのものとしては同一の構成である。
図2に示すように、直方体形状の筐体(ユニット筐体)3を有し、この筐体3の前面中央部にu相出力端子u1/u2とv相出力端子v1/v2とが設けられている。これらのu相出力端子u1/u2およびv相出力端子v1/v2は、それぞれ上下方向の平面に沿った矩形の板状に突出して設けられており、両者間に絶縁板(端子絶縁板)5を挟んだ状態で重ね合わされている。端子絶縁板5は、出力端子u1/u2,v1/v2よりも大きな外形を有している。板状をなす各出力端子u1/u2,v1/v2の各々の外側の面には、後述する導体との接続を行う複数のスタッドボルト4が設けられている。
【0021】
なお、後述する導体同士の接続は、いずれもスタッドボルト4によって行われるが、
図2~
図24の全ての図において、スタッドボルト4は単純な円柱形ないしピン状に簡略化して描かれており、また対応するナットは図示省略されている。また、一部のスタッドボルト4については符号も図示省略されている。
【0022】
実施例の電力変換装置においては、
図3~
図5に示すように、個々の電力変換ユニット1,2がそれぞれ1つの盤として構成されており、つまり、盤の筐体(盤筐体)6の中に個々に電力変換ユニット1,2が収容されている。そして、複数(この実施例では2個)の盤を並べて設置することで電力変換装置が構成されている。
【0023】
2つの電力変換ユニット1,2を
図1に示すように接続する導体アッセンブリ11は、後述するように複数の導体を組み合わせたもので、
図3~
図5に示すように、全体として電力変換ユニット1,2の出力端子u1/u2,v1/v2の下端の高さ位置における水平面にほぼ沿った形で左右方向(複数の盤が並ぶ方向)に延びている。そして、左右方向に延びる導体アッセンブリ11の一端(図の左端)がU相出力端子およびV相出力端子として第1電力変換ユニット1用の盤筐体6の側面に位置している。
【0024】
また左右方向に延びる導体アッセンブリ11の他端(図の右端)は、第2電力変換ユニット2の出力端子u2,v2に接続されており、この出力端子u2,v2の付近で終端している。この第2電力変換ユニット2と導体アッセンブリ11との接続部を、第2端子接続部14と呼ぶこととする。そして、左右方向に延びる導体アッセンブリ11の中間部が第1電力変換ユニット1の出力端子u1,v1に接続されている。この第1電力変換ユニット1と導体アッセンブリ11との接続部を、第1端子接続部13と呼ぶこととする。さらに、左右方向に延びる導体アッセンブリ11は、2つの盤の境界で個々の盤の内部の導体同士が接続されている。この盤の境界における接続構造を盤間接続部15と呼ぶこととする。
【0025】
なお、この実施例においては、
図3~
図5の左側に位置する第1電力変換ユニット1が請求項における「第1の電力変換ユニット」に相当し、右側に位置する第2電力変換ユニット2が請求項における「第2の電力変換ユニット」に相当する。また、各電力変換ユニット1,2において図の左側に位置するv相出力端子v1/v2が請求項における「第1出力端子」に相当し、右側に位置するu相出力端子u1/u2が請求項における「第2出力端子」に相当する。
【0026】
電力変換装置の左右方向に延びる導体アッセンブリ11に対応して、盤筐体6の内側面に、水平方向に延びた帯状のメインブラケット17が取り付けられている。このメインブラケット17は、導体アッセンブリ11に対応した高さ位置に設けられており、円柱状の絶縁サポート18を介して複数のサブブラケット19がメインブラケット17に取り付けられている。導体アッセンブリ11は、このサブブラケット19およびメインブラケット17を介して盤筐体6に支持されている。なお、個々のメインブラケット17は、盤筐体6の左右方向寸法のほぼ半分の長さを有し、電力変換装置全体としては3個のメインブラケット17を備えている。盤筐体6は、左右方向の中央部に支柱6aを有し、個々のメインブラケット17は、盤筐体6の両側部と支柱6aとによって支持されている。サブブラケット19は、後述する
図7に示すように、略L字形をなし、互いに対称をなすように一対のサブブラケット19が組み合わされて導体アッセンブリ11を上下両面で支持している。
【0027】
次に、
図6~
図11を参照して、第1電力変換ユニット1に対応した導体アッセンブリ11(導体アッセンブリ11A)の構成および第1端子接続部13を説明する。
図6,
図7および
図10に示すように、第1電力変換ユニット1に対応する部分の導体アッセンブリ11Aは、比較的長い平坦な帯状の金属板からなる4つの母線導体21,22,23,24と、第1端子接続部13を構成すべく上面側の母線導体21および母線導体22の端部にそれぞれ取り付けられる略L字形に折曲された金属板からなる2つのL型導体25,26と、これらのL型導体25,26を第1電力変換ユニット1のv相出力端子v1およびu相出力端子u1にそれぞれ接続する矩形の金属板からなる一対の接続導体27,28と、下面側に位置する母線導体23および母線導体24の端部を互いに接続する矩形の金属板からなる接続導体29と、を備えている。さらに、導体アッセンブリ11Aは、上面側の母線導体21,22と下面側の母線導体23,24との間にそれぞれ介在する比較的長い平坦な帯状をなす一対の母線用絶縁板31,32と、一対のL型導体25,26の間に介在する矩形の板状をなす端子接続部用絶縁板33と、を備えている。
【0028】
上面側の母線導体21,22と下面側の母線導体23,24とは、両者間に母線用絶縁板31,32を挟み込んだ状態で重ね合わされており、矩形の棒状をなす上下一対の絶縁性バー34を介して積層方向に固定・保持されている。上面側の母線導体21,22と下面側の母線導体23,24は、互いに逆方向に高周波電流が流れるが、両者を母線用絶縁板31,32を介して互いに密接した状態に保持することで、漏れ磁束を低減するための近接対向配置が実現される。母線用絶縁板31,32は、母線導体21,22,23,24よりも僅かに大きな外形を有している。また、2つの母線用絶縁板31,32の境界においては、母線用絶縁板31の端縁と母線用絶縁板32の端縁とが互いに突き合わされている。
【0029】
上下一対の絶縁性バー34は、図示せぬボルトによって互いに固定されており、母線導体21,22,23,24に対しては当該母線導体21,22,23,24に設けられた前述したスタッドボルト4(および対応する図示しないナット)によって固定されている。積層状態に一体化された母線導体21,22,23,24および母線用絶縁板31,32は、前述した上下一対のサブブラケット19でもって支持されている。略L字形をなすサブブラケット19は、母線導体21,22,23,24に設けられたスタッドボルト4によって母線導体21,22,23,24に取り付けられる。なお、
図8~
図11では、サブブラケット19は図示省略されている。
【0030】
下面側の2つの母線導体23,24は、各々の端部が接続導体29を介して互いに接続されている。母線導体23,24と接続導体29とは、やはり母線導体23,24に設けられた前述したスタッドボルト4によって互いに固定されている。なお、これらの母線導体23,24および接続導体29によって請求項における「第3の導体」が構成される。
【0031】
図8~
図10に示すように、2つのL型導体25,26は、互いに対向するように組み合わせて配置される。L型導体25は、その基部25aが母線導体21端部に設けられたスタッドボルト4を介して母線導体21に固定されている。L型導体25の立ち上がり部25bは、基部25aに対して直交する方向に延びている。つまり、基部25aと立ち上がり部25bは、互いに90°の角度をなすように折曲形成されている。そして、基部25aと立ち上がり部25bとが交わるコーナ部分には、基部25aと立ち上がり部25bとを斜めに接続する傾斜部25cが設けられている。具体的な一つの例では、傾斜部25cは、基部25aおよび立ち上がり部25bの双方に対して45°の角度をなすように形成されているが、本発明は、この具体的な数値に限定されるものではない。
【0032】
立ち上がり部25bは、第1電力変換ユニット1のv相出力端子v1と同一平面上に並ぶように配置されている。そして、この立ち上がり部25bとv相出力端子v1との両者に亘って接続導体27が重ねられており、この接続導体27を介してL型導体25とv相出力端子v1とが互いに接続されている。詳しくは、立ち上がり部25bおよびv相出力端子v1にスタッドボルト4が設けられており、これらのスタッドボルト4によって接続導体27が固定されている(
図7参照)。なお、母線導体21とL型導体25とが請求項における「第1の導体」に相当し、母線導体21およびL型導体25の基部25aがその「主部」に相当する。
【0033】
母線導体22側のL型導体26も同様の構成であり、基部26aが母線導体22端部に設けられたスタッドボルト4を介して母線導体22に固定されている。L型導体26の立ち上がり部26bは、基部26aに対して直交する方向に延びている。つまり、基部26aと立ち上がり部26bは、互いに90°の角度をなすように折曲形成されている。そして、基部26aと立ち上がり部26bとが交わるコーナ部分には、基部26aと立ち上がり部26bとを斜めに接続する傾斜部26cが設けられている。具体的な一つの例では、傾斜部26cは、基部26aおよび立ち上がり部26bの双方に対して45°の角度をなすように形成されている。また、好ましい実施例では、傾斜部26cは、対向して位置するL型導体25の傾斜部25cと対称形状をなすように、その寸法等が設定されている。
【0034】
立ち上がり部26bは、第1電力変換ユニット1のu相出力端子u1と同一平面上に並ぶように配置されている。そして、この立ち上がり部26bとu相出力端子u1との両者に亘って接続導体28が重ねられており、この接続導体28を介してL型導体26とu相出力端子u1とが互いに接続されている。詳しくは、立ち上がり部26bおよびu相出力端子u1にスタッドボルト4が設けられており、これらのスタッドボルト4によって接続導体28が固定されている(
図7参照)。なお、母線導体22とL型導体26とが請求項における「第2の導体」に相当し、母線導体22およびL型導体26の基部26aがその「主部」に相当する。
【0035】
L型導体25とL型導体26との間に介在する端子接続部用絶縁板33は、L型導体25の立ち上がり部25bとL型導体26の立ち上がり部26bとの間に挟み込まれており、これら三者が比較的密に積層された状態となっている。L型導体25の立ち上がり部25bは、L型導体26の立ち上がり部26bよりも上方へ長く延びており、L型導体26の立ち上がり部26bよりも上方へ突出した部分に、一対のボルト35,ナット36を介して端子接続部用絶縁板33が固定されている。ボルト35,ナット36とL型導体26の立ち上がり部26b上縁との間には、絶縁に必要な沿面距離Y1(
図10参照)が確保されている。なお、端子接続部用絶縁板33の幅(前後方向の寸法)は、L型導体25,26や母線導体21,22の幅よりも大きく、母線用絶縁板31,32の幅と実質的に等しい。
【0036】
また、端子接続部用絶縁板33の下端33aは、L型導体25,26の立ち上がり部25b,26bと傾斜部25c,26cとの境界よりも下方へ延びている。すなわち、
図10に示すように、第1端子接続部13においては、一対の傾斜部25c,26cとその下側を横切る母線用絶縁板31,32とによって三角形状の空間38が構成され、端子接続部用絶縁板33の下端33aは、この三角形状の空間38の内側へ突出している。例えば、下端33aが対向する母線用絶縁板32の上面付近まで下端33aが延びている。なお、一実施例では、
図10に傾斜角θ1として示す一対の底角が45°で頂角が90°の二等辺三角形の空間38が形成され、この空間38を二分するように中央に端子接続部用絶縁板33が位置している。
【0037】
図10に示すように、第1端子接続部13においては、L型導体25,26の各々が傾斜部25c,26cを有し、両者間に空間38が形成されているので、傾斜部25c,26cの付け根における空間距離X1が大きく確保される。そして、空間38内に端子接続部用絶縁板33が突出しているので、絶縁に必要な沿面距離Z1が
図10に示すように端子接続部用絶縁板33の下端33aの周囲を迂回して大きく確保される。従って、u相出力端子u1とv相出力端子v1との間で確実な絶縁が図れる。
【0038】
なお、空間38の大きさ(破線で示した開口面積A1)は、電位差などから要求される所定の絶縁距離(空間距離X1、沿面距離Z1)を確保し得る範囲内で、できるだけ小さくすることが、漏れ磁束の低減の上では好ましい。空間38の大きさ(開口面積A1)は、距離X1と傾斜角θ1とによって定まる。
【0039】
次に、
図12~
図17を参照して、第2電力変換ユニット2に対応した部分の導体アッセンブリ11(導体アッセンブリ11B)の構成および第2端子接続部14を説明する。第2電力変換ユニット1に対応する部分の導体アッセンブリ11Bは、終端構造である点を除き、基本的には第1電力変換ユニット1に対応した部分の導体アッセンブリ11Aと類似している。すなわち、比較的長い平坦な帯状の金属板からなる2つの母線導体41,43と、第2端子接続部14を構成すべく上面側の母線導体41の端部に取り付けられるL型導体45およびこれと対向したL型導体46と、これらのL型導体45,46を第2電力変換ユニット2のv相出力端子v2およびu相出力端子u2にそれぞれ接続する矩形の金属板からなる一対の接続導体47,48(接続導体47は図では隠れているが、接続導体27と同様の構成である)と、下面側に位置する母線導体43の端部とL型導体46とを互いに接続する矩形の金属板からなる接続導体49と、を備えている。さらに、導体アッセンブリ11Bは、上面側の母線導体41と下面側の母線導体43との間に介在する比較的長い平坦な帯状をなす母線用絶縁板51と、一対のL型導体45,46の間に介在する矩形の板状をなす端子接続部用絶縁板53と、を備えている。
【0040】
導体アッセンブリ11Aと同様に、上面側の母線導体41と下面側の母線導体43とは、両者間に母線用絶縁板51を挟み込んだ状態で重ね合わされており、矩形の棒状をなす上下一対の絶縁性バー34を介して積層方向に固定・保持されている。上面側の母線導体41と下面側の母線導体43は、互いに逆方向に高周波電流が流れるが、両者を母線用絶縁板51を介して互いに密接した状態に保持することで、漏れ磁束を低減するための近接対向配置が実現される。母線用絶縁板51は、母線導体41,43よりも僅かに大きな外形を有している。積層状態に保持された母線導体41,43および母線用絶縁板51は、サブブラケット19を介して支持される。
【0041】
下面側の母線導体43の端部とL型導体46は、
図13および
図16に示すように接続導体49を介して互いに接続されている。母線導体43と接続導体49とは、母線導体43側に設けられたスタッドボルト4によって、L型導体46と接続導体49とは、L型導体46側に設けられたスタッドボルト4によって、それぞれ固定されている。なお、母線導体43および接続導体49は請求項における「第3の導体」に相当し、L型導体46は請求項における「第4の導体」に相当する。
【0042】
図14~
図16に示すように、2つのL型導体45,46は、互いに対向するように組み合わせて配置される。L型導体45は、その基部45aが母線導体41端部に設けられたスタッドボルト4を介して母線導体41に固定されている。L型導体45の立ち上がり部45bは、基部45aに対して直交する方向に延びている。つまり、基部45aと立ち上がり部45bは、互いに90°の角度をなすように折曲形成されている。そして、基部45aと立ち上がり部45bとが交わるコーナ部分には、基部45aと立ち上がり部45bとを斜めに接続する傾斜部45cが設けられている。具体的な一つの例では、傾斜部45cは、基部45aおよび立ち上がり部45bの双方に対して45°の角度をなすように形成されている。
【0043】
立ち上がり部45bは、第2電力変換ユニット2のv相出力端子v2と同一平面上に並ぶように配置されている。そして、この立ち上がり部45bとv相出力端子v1との両者に亘って接続導体47(図示せず)が重ねられており、この接続導体47を介してL型導体45とv相出力端子v2とが互いに接続されている。この構造は、第1端子接続部13のv相出力端子v1に対する接続構造と同様である。なお、母線導体41とL型導体45は請求項における「第2の導体」に相当し、母線導体41およびL型導体45の基部45aがその「主部」に相当する。
【0044】
L型導体46は、同様に、接続導体49に重なって固定された基部46aと、立ち上がり部46bと、傾斜部46cと、を有する。立ち上がり部46bは、基部46aに対して直交する方向に延びている。つまり、基部46aと立ち上がり部46bは、互いに90°の角度をなすように折曲形成されている。そして、基部46aと立ち上がり部46bとが交わるコーナ部分には、基部46aと立ち上がり部46bとを斜めに接続する傾斜部46cが設けられている。具体的な一つの例では、傾斜部46cは、基部46aおよび立ち上がり部46bの双方に対して45°の角度をなすように形成されている。また、好ましい実施例では、傾斜部46cは、対向して位置するL型導体45の傾斜部45cと対称形状をなすように、その寸法等が設定されている。
【0045】
立ち上がり部46bは、第2電力変換ユニット2のu相出力端子u2と同一平面上に並ぶように配置されている。そして、この立ち上がり部46bとu相出力端子u2との両者に亘って接続導体48が重ねられており、この接続導体48を介してL型導体46とu相出力端子u2とが互いに接続されている。詳しくは、立ち上がり部46bおよびu相出力端子u2にスタッドボルト4が設けられており、これらのスタッドボルト4によって接続導体48が固定されている(
図13参照)。
【0046】
L型導体45とL型導体46との間に介在する端子接続部用絶縁板53は、L型導体45の立ち上がり部45bとL型導体46の立ち上がり部46bとの間に挟み込まれており、これら三者が比較的密に積層された状態となっている。L型導体45の立ち上がり部45bは、L型導体46の立ち上がり部46bよりも上方へ長く延びており、L型導体46の立ち上がり部46bよりも上方へ突出した部分に、一対のボルト55,ナット56を介して端子接続部用絶縁板53が固定されている。ボルト55,ナット56とL型導体46の立ち上がり部46b上縁との間には、絶縁に必要な沿面距離Y2(
図16参照)が確保されている。なお端子接続部用絶縁板33の幅(前後方向の寸法)は、L型導体45,46や母線導体41の幅よりも大きく、母線用絶縁板51の幅と実質的に等しい。
【0047】
また、端子接続部用絶縁板53の下端53aは、L型導体45,46の立ち上がり部45b,46bと傾斜部45c,46cとの境界よりも下方へ延びている。すなわち、
図16に示すように、第2端子接続部14においては、第1端子接続部13と同様に、一対の傾斜部45c,46cとその下側を横切る母線用絶縁板51とによって三角形状の空間58が構成され、端子接続部用絶縁板53の下端53aは、この三角形状の空間58の内側へ突出している。例えば、下端53aが対向する母線用絶縁板51の上面付近まで下端53aが延びている。なお、一実施例では、
図16に傾斜角θ2として示す一対の底角が45°で頂角が90°の二等辺三角形の空間58が形成され、この空間58を二分するように中央に端子接続部用絶縁板53が位置している。
【0048】
図16に示すように、第2端子接続部14においても、第1端子接続部13と同様にL型導体45,46の各々が傾斜部45c,46cを有し、両者間に空間58が形成されているので、傾斜部45c,46cの付け根における空間距離X2が大きく確保される。そして、空間58内に端子接続部用絶縁板53が突出しているので、絶縁に必要な沿面距離Z2が
図16に示すように端子接続部用絶縁板53の下端53aの周囲を迂回して大きく確保される。従って、u相出力端子u2とv相出力端子v2との間で確実な絶縁が図れる。
【0049】
なお、空間58の大きさ(破線で示した開口面積A2)は、電位差などから要求される所定の絶縁距離(空間距離X2、沿面距離Z2)を確保し得る範囲内で、できるだけ小さくすることが、漏れ磁束の低減の上では好ましい。空間58の大きさ(開口面積A2)は、距離X2と傾斜角θ2とによって定まる。
【0050】
図18~
図21は、第1電力変換ユニット1に対応した導体アッセンブリ11Aと第2電力変換ユニット2に対応した導体アッセンブリ11Bとを接続する盤間接続部15の構成を示す。図示するように、導体アッセンブリ11Aの母線導体22と導体アッセンブリ11Bの母線導体41とは、両者の上面に重なる盤間接続導体61によって互いに接続されている。詳しくは、母線導体22,41の端部に設けられたスタッドボルト4を介して盤間接続導体61が固定される。同様に、下面側の母線導体24の端部と母線導体43の端部とが両者の下面に重なる盤間接続導体62によって互いに接続されている。
【0051】
また、導体アッセンブリ11Aの母線用絶縁板32と導体アッセンブリ11Bの母線用絶縁板51とは、両者の上面に重なる盤間絶縁板63によって互いに連続している。
【0052】
ここで、
図20、
図21において、線Mは、2つの盤(盤筐体6)の境界を示している。
図20に示すように、一方の盤の母線導体22,24および他方の盤の母線導体41,43の端縁は、それぞれ境界線Mから所定の後退寸法W1だけ後退している。また、一方の盤の母線用絶縁板32および他方の盤の母線用絶縁板51の端縁は、それぞれ境界線Mから所定の後退寸法W2だけ後退している。そして、母線導体22,24,41,43の後退寸法W1は、母線用絶縁板32,51の後退寸法W2よりも大きい。このように母線導体22,24,41,43や母線用絶縁板32,51の端縁が境界線Mつまり盤筐体6の外側面から後退していることで、盤設置作業等の際に邪魔にならず、盤の取り扱いが容易となる。
【0053】
また、
図21に示すように、盤間絶縁板63は、母線用絶縁板32,51の幅(これは母線導体22,24,41,43の幅よりも大きい)と等しい幅を有し、幅方向の中間部が2つの母線導体22,41の端縁の間に嵌まるように、全体として略I字形をなしている。換言すれば、盤間絶縁板63は、母線導体22および母線導体41の端縁形状に対応した位置決め用の切欠部63aを両端部に有しており、これらが係合することによって、母線用絶縁板32,51の上に重なった盤間絶縁板63が所定の位置に位置決めされる。上面側の盤間接続導体61は、盤間絶縁板63の上に重なった状態となる。なお、母線用絶縁板32,51と盤間絶縁板63は同様の板厚を有している。
【0054】
図3~
図5に示したように、盤間接続部15は、電力変換ユニット1,2と干渉しない位置にあり、かつ、上面側および下面側の各々で盤間接続導体61,62をスタッドボルト4を利用して固定するだけの作業となるので、接続作業は容易である。
【0055】
また各電力変換ユニット1,2における端子接続部13,14の接続作業においても、スタッドボルト4に対してナットを締め付ける箇所がいずれも導体等に覆われることなく露出した状態にあるので、その作業は容易となる。
【0056】
また、母線導体21,22,23,24,41,43、母線用絶縁板31,32,51、L型導体25,45などの多くの部品が各部で共通であり、コスト低減が図れる。
【0057】
以上、電力変換ユニットを2つ直列に接続した実施例について説明したが、この発明は、さらに多数の電力変換ユニットを直列に接続した構成においても同様に適用が可能である。
図22は、各々の電力変換ユニットを個々の盤筐体6に収容した複数の盤を直列に並べた構成を示している。
図22から容易に理解できるように、前述した実施例で第1電力変換ユニット1として説明した盤および導体アッセンブリ11Aの構成が複数順次に接続され、最終の盤として、前述した実施例の第2電力変換ユニット2の盤が配置されることとなる。従って、部品の共通化を図りつつ任意の個数の電力変換ユニットを含む電力変換装置を容易に実現できる。
【0058】
次に、
図23および
図24は、盤を風冷する場合に、盤筐体6内部の通風を良好なものとするためにメインブラケット17に開口部71を形成した実施例を示している。複数の矩形の開口部71を形成することで、メインブラケット17は、スケルトン状の構成となっている。盤筐体6は、導体アッセンブリ11が位置する側である前面に吸気口72を有し、上面つまり天井面に電動ファンを具備した排気口73を備えている。メインブラケット17がスケルトン状をなすことで、吸気口72から排気口73へ向かう冷却風の流れを阻害することがなく、圧力損失が低減する。また、開口部71を通る空気流が導体アッセンブリ11に当たるため、導体アッセンブリ11の冷却が図れる。
【符号の説明】
【0059】
1,2…電力変換ユニット
4…スタッドボルト
5…端子絶縁板
6…盤筐体
11,11A,11B…導体アッセンブリ
13…第1端子接続部
14…第2端子接続部
15…盤間接続部
21,22,23,24,41,43…母線導体
25,26,45,46…L型導体
29,49…接続導体
31,32,51…母線用絶縁板
33,53…端子接続部用絶縁板
38,58…空間
61,62…盤間接続導体
63…盤間絶縁板
63a…切欠部