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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】洗車機
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/04 20060101AFI20230711BHJP
【FI】
B60S3/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020152065
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2022046154
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳永 良二
(72)【発明者】
【氏名】福永 雅一
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-155538(JP,A)
【文献】特開2007-062545(JP,A)
【文献】特開2018-103919(JP,A)
【文献】特開2012-148596(JP,A)
【文献】特開平10-086799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に対向するスタンド部の上端を天井部により連結した門型に形成されるとともに被洗浄車両に対して前後方向に移動する洗車機本体と、前記洗車機本体の移動時に障害物との接触を検知する安全装置とを備えた洗車機において、前記安全装置は、前記スタンド部の内側に沿って上下に延びて上端部を前記洗車機本体の第1支持部に傾斜可能に支持される第1検知バーと、前記スタンド部の下端に沿って左右に延びて外端部を前記洗車機本体の第2支持部に傾斜可能に支持される第2検知バーと、前記第1検知バーの下端部と前記第2検知バーの内端部とを連結する連結部材と、前記洗車機本体に一端を取り付けられて前後方向に揺動するとともに他端を前記連結部材よりも上方で前記第1検知バーに連結される揺動部材と、前記揺動部材の揺動を検知する検知センサとを備え、
前記連結部材が前記第2検知バーに対して傾斜して両端を前記第1検知バー及び前記第2検知バーにそれぞれ前後方向の軸線周りに回転可能に取り付けられ、前記揺動部材が自在継手を介して前記第1検知バーに連結されることを特徴とする洗車機。
【請求項2】
前記自在継手がボールジョイントであることを特徴とする請求項1に記載の洗車機。
【請求項3】
前記第1支持部は前記第1検知バーを上下移動可能及び周方向に回転可能に支持し、前記第2支持部は前記第2検知バーを左右移動可能及び周方向に回転可能に支持することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗車機。
【請求項4】
前記スタンド部の内面側の上部から前後方向に延びて前記洗車機本体に取り付けられる第1延設部材と、前記スタンド部の外面側の下部から前後方向に延びて前記洗車機本体に取り付けられる第2延設部材とを備え、前記第1支持部が前記第1延設部材に上下に貫通する第1貫通孔により形成されて前記第1検知バーの上端部を遊嵌し、前記第2支持部が前記第2延設部材に左右に貫通する第2貫通孔により形成されて前記第2検知バーの外端部を遊嵌することを特徴とする請求項3に記載の洗車機。
【請求項5】
前記揺動部材の揺動軸と前記第1検知バーとの左右方向の距離が前記第2支持部と前記第1検知バーとの左右方向の距離よりも小さいことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の洗車機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全装置を備えた洗車機に関する。
【背景技術】
【0002】
給油所等に設置される従来の洗車機は特許文献1に開示されている。この洗車機は被洗浄車両に対して前後方向に往復移動する洗車機本体を備えている。洗車機本体は左右に対向するスタンド部の上端を天井部により連結した門型に形成される。洗車機本体には回転ブラシ及びブロアノズルが設けられる。洗車機本体が前後方向に移動し、洗浄水を噴射しながら回転ブラシが被洗浄車両に回転摺動して被洗浄車両の洗浄が行われる。洗浄後の被洗浄車両はブロアノズルから気流を送出して乾燥される。
【0003】
また、洗車機本体の入口面側の左右両端部には、移動時に被洗浄車両の幅方向の接触を検知する安全装置が設けられる。安全装置により被洗浄車両との接触が検知されると、洗車機本体の移動を停止して洗車機の安全性が保持されている。
【0004】
安全装置は、検知バーと、支持体と、回動体と、検知センサとを備えている。検知バーはスタンド部の内側に沿って上下方向に延びる。支持体は検知バーの上端を回動自在に支持する。回動体は洗車機本体の下部に回動可能に設けられ、先端に設けた貫通孔に検知バーの下端部がクリアランスを有して貫通する。検知センサは回動体の回動によって作動する。
【0005】
支持体から垂下される検知バーに被洗浄車両が接触すると、検知バーが上端を支点に回動変位して回動体が前後方向に回動する。これにより、検知センサが作動して、洗車機本体の移動が停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-62545号公報 (第2頁~第5頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
洗車機本体の進路上に人や異物等の障害物があると、移動する洗車機本体と障害物とが衝突する危険がある。このため、スタンド部の下端に沿って揺動可能な検知部材を安全装置に設けることにより、障害物との接触を検知して洗車機の安全性を向上することができる。この時、検知部材の揺動を検知するスイッチが別途必要になるため、洗車機のコストが大きくなる問題があった。
【0008】
本発明は、コスト増加を抑制して安全性を向上できる洗車機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、左右に対向するスタンド部の上端を天井部により連結した門型に形成されるとともに被洗浄車両に対して前後方向に移動する洗車機本体と、前記洗車機本体の移動時に障害物との接触を検知する安全装置とを備えた洗車機において、前記安全装置は、前記スタンド部の内側に沿って上下に延びて上端部を前記洗車機本体の第1支持部に傾斜可能に支持される第1検知バーと、前記スタンド部の下端に沿って左右に延びて外端部を前記洗車機本体の第2支持部に傾斜可能に支持される第2検知バーと、前記第1検知バーの下端部と前記第2検知バーの内端部とを連結する連結部材と、前記洗車機本体に一端を取り付けられて前後方向に揺動するとともに他端を前記連結部材よりも上方で前記第1検知バーに連結される揺動部材と、前記揺動部材の揺動を検知する検知センサとを備え、
前記連結部材が前記第2検知バーに対して傾斜して両端を前記第1検知バー及び前記第2検知バーにそれぞれ前後方向の軸線周りに回転可能に取り付けられ、前記揺動部材が自在継手を介して前記第1検知バーに連結されることを特徴としている。
【0010】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記自在継手がボールジョイントであることを特徴としている。
【0011】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記第1支持部は前記第1検知バーを上下移動可能及び周方向に回転可能に支持し、前記第2支持部は前記第2検知バーを左右移動可能及び周方向に回転可能に支持することを特徴としている。
【0012】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記スタンド部の内面側の上部から前後方向に延びて前記洗車機本体に取り付けられる第1延設部材と、前記スタンド部の外面側の下部から前後方向に延びて前記洗車機本体に取り付けられる第2延設部材とを備え、前記第1支持部が前記第1延設部材に上下に貫通する第1貫通孔により形成されて前記第1検知バーの上端部を遊嵌し、前記第2支持部が前記第2延設部材に左右に貫通する第2貫通孔により形成されて前記第2検知バーの外端部を遊嵌することを特徴としている。
【0013】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記揺動部材の揺動軸と前記第1検知バーとの左右方向の距離が、前記第2支持部と前記第1検知バーとの左右方向の距離よりも小さいことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、第1検知バーと被洗浄車両との接触及び第2検知バーと障害物との接触が揺動部材の揺動によって同じ検知センサにより検知される。これにより、洗車機のコスト増加を抑制して安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態の洗車機を示す側面図
図2】本発明の実施形態の洗車機を示す正面図
図3】本発明の実施形態の洗車機の安全装置を示す正面図
図4】本発明の実施形態の洗車機の安全装置を示す上面図
図5図3のA矢視図
図6図3のB矢視図
図7】本発明の実施形態の洗車機の安全装置の第1支持部を示す拡大上面図
図8】本発明の実施形態の洗車機の安全装置の第2支持部を示す拡大側面図
図9】本発明の実施形態の洗車機の第1往路工程を示す側面図
図10】本発明の実施形態の洗車機の第1復路工程を示す側面図
図11】本発明の実施形態の洗車機の第2往路工程を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1図2は一実施形態の洗車機1を示す側面図及び正面図である。洗車機1は洗車機本体2、レール60、リモートパネル7を備えている。洗車機本体2は左右の対向する2つのスタンド部2dと、スタンド部2dの上端を連結する天井部2cとを有した門型に形成される。
【0017】
レール60は地面G上に左右一対設けられ、スタンド部2dの底面に設けた車輪3がレール60上に配される。これにより、洗車機本体2はレール60上に立設し、走行モータ(不図示)の駆動によりレール60上を走行して被洗浄車両70に対して前後方向に移動する。
【0018】
リモートパネル7は洗車機本体2に対する進入経路に沿って配される。リモートパネル7は複数のボタンを有し、洗車条件を設定する。また、リモートパネル7により、フロントガード有り、フェンダーポール有り、サイドミラー有り、リヤワイパ有り、ルーフキャリア有り等の装備品の設定も行うことができる。
【0019】
洗車機本体2の一方のスタンド部2dの正面には操作パネル8が配される。操作パネル8はリモートパネル7と同様に洗車条件を設定できる。
【0020】
洗車機本体2には被洗浄車両70上に摺動してブラッシングする複数の回転ブラシが設けられる。回転ブラシはトップブラシ4、サイドブラシ5及びロッカーブラシ6から成っている。
【0021】
トップブラシ4は天井部2cに昇降可能に設けられて左右方向に配した回転軸で回転し、被洗浄車両70の上面を洗浄する。サイドブラシ5は両スタンド部2dの出口面2b側にそれぞれ左右方向に進退可能に設けられて上下方向に配した回転軸で回転し、被洗浄車両70の前面、両側面及び後面を洗浄する。ロッカーブラシ6は両スタンド部2dの下部にそれぞれ左右方向に進退可能に設けられ、被洗浄車両70の両側面の下部を洗浄する。
【0022】
洗車機本体2の上部には気流を発生するブロア20が配される。ブロア20には被洗浄車両70に向けて空気流を送出する複数の送風ノズルが接続される。送風ノズルはトップ送風ノズル21及びサイド送風ノズル22から成っている。
【0023】
トップ送風ノズル21は天井部2cに昇降可能に設けられ、被洗浄車両70の上面及び後面に沿って移動して送風により上面及び後面を乾燥させる。サイド送風ノズル22は両スタンド部2dにそれぞれ設けられ、送風により被洗浄車両70の側面を乾燥させる。
【0024】
洗車機本体2の両スタンド部2dのトップブラシ4よりも入口面2a側には、車形センサ9が設けられている。車形センサ9は光電センサ、超音波センサ等から成り、洗車機本体2に進入する被洗浄車両70を側面投影した車両形状を検知する。
【0025】
スタンド部2dには洗剤やコーティング剤等の各種液剤を貯液した複数の貯液タンク(不図示)を収納するタンク収納部30が配される。タンク収納部30の上方には市水及び各貯液タンクからの液剤を分配する分配配管部31が設けられる。分配配管部31には洗剤ノズル11、水ノズル12、13、15、コートノズル16、17がそれぞれ電磁弁(不図示)を介して導出される。
【0026】
洗剤ノズル11は天井部2cの左右方向の複数箇所に設けられるとともに、図示しないが、両スタンド部2dに設けられる。また、洗剤ノズル11は入口面2aとトップブラシ4との間に配され、洗剤の水溶液から成る洗浄水を噴射する。
【0027】
水ノズル12、13、15は天井部2cの左右方向の複数箇所に設けられるとともに、図示しないが、両スタンド部2dに設けられる。水ノズル12は洗剤ノズル11と入口面2aとの間に配される。水ノズル13はトップブラシ4と出口面2bとの間に配される。水ノズル15は水ノズル13と出口面2bとの間に配される。
【0028】
水ノズル12、13、15は被洗浄車両70に対して市水から成る洗浄水を噴射する。水ノズル12、13、15により被洗浄車両70の水洗いによる洗浄を行うとともに、洗剤や後述するコーティング剤の水洗いによるすすぎを行う。
【0029】
コートノズル16、17は天井部2cの左右方向の複数箇所に設けられるとともに、図示しないが、両スタンド部2dに設けられる。コートノズル16、17は被洗浄車両70の塗装面をコーティングするコーティング剤の水溶液を噴射する。コートノズル16は水ノズル13、15間に配される。コートノズル17は水ノズル12と洗剤ノズル11との間に配される。
【0030】
洗車機本体2の入口面2a側の左右両端部及び出口面2b側の左右両端部には安全装置40が設けられる。安全装置40は洗車機本体2の移動時に人や異物等の障害物との接触を検知する。また、入口面2a側の安全装置40は障害物に加えて被洗浄車両70の側端部との接触を検知する。
【0031】
安全装置40は洗車機本体2の側面に取り付けられた前後方向に延びる延設部材41、42、43を有している。延設部材41は入口面2a側の安全装置40のみに設けられる。延設部材41(第1延設部材)はスタンド部2dの内面の上部に取り付けられ、入口面2aから前後方向に延びて突出する。延設部材41を天井部2cの下面に取り付けてもよい。
【0032】
延設部材42(第2延設部材)はスタンド部2dの外面の下端部に取り付けられ、入口面2aまたは出口面2bから前後方向に延びて突出する。延設部材43はスタンド部2dの外面の上部に取り付けられ、入口面2aまたは出口面2bから前後方向に延びて突出する。
【0033】
延設部材42は上下方向に延びて配されるワイヤ44の下端を支持し、延設部材43はワイヤ44の上端を支持する。延設部材43上にはワイヤ44の上端部に対向してワイヤ44の上下動を検知する検知センサ45が設けられる。
【0034】
図3図4は入口面2a側の安全装置40の要部を示す正面図及び上面図である。また、図5図3のA矢視図を示しており、図6図3のB矢視図を示している。入口面2a側の安全装置40には上下に延びる検知バー51及び左右に延びる検知バー52が設けられる。検知バー51はスタンド部2dの内面に沿って配され、検知バー52はスタンド部2dの下面に沿って配される。
【0035】
検知バー51は断面円形に形成され、上端部に縮径部51aを有している。図7の上面拡大図に示すように、縮径部51aは延設部材41に上下に貫通して設けられる貫通孔41a(第1貫通孔)に遊嵌され、抜止めピン51cにより抜け止めされる。これにより、検知バー51は、延設部材41の貫通孔41aによって傾斜可能、上下移動可能及び周方向に回転可能に支持される。即ち、貫通孔41aは検知バー51の上端部を支持する支持部(第1支持部)を構成する。
【0036】
検知バー52は断面円形に形成され、外端部に縮径部52aを有している。図8の側面拡大図に示すように、縮径部52aは延設部材42に左右に貫通して設けられる貫通孔42a(第2貫通孔)に遊嵌され、抜止めピン52cにより抜け止めされる。これにより、検知バー52は、延設部材42の貫通孔42aによって傾斜可能、左右移動可能及び周方向に回転可能に支持される。即ち、貫通孔42aは検知バー52の外端部を支持する支持部(第2支持部)を構成する。
【0037】
検知バー51の下端部と検知バー52の内端部とは連結部材53により連結される。連結部材53は検知バー52に対して上方に傾斜し、両端の軸部53a、53bにより検知バー51、52にそれぞれ前後方向の軸線周りに回転可能に取り付けられる。
【0038】
スタンド部2dの内面には入口面2aから突出するアングル56が取り付けられ、アングル56上には支持部材57が設けられる。支持部材57には蝶番58を介して上面視鉤状の揺動部材55が取り付けられる。これにより、揺動部材55は蝶番58の回動軸を揺動軸55aとして前後方向に揺動可能になっている。揺動部材55の先端部は連結部材53よりも上方でボールジョイント54を介して検知バー51の周面に連結される。ボールジョイント54により、検知バー51は揺動部材55に対して傾斜可能になっている。
【0039】
揺動部材55は揺動軸55aよりも外側に延び、外端に前後方向に屈曲した対向部55bを有している。支持部材57には近接スイッチから成る検知センサ59が対向部55bに対向して取り付けられる。揺動部材55が揺動すると、対向部55bが検知センサ59に対向する位置から退避する。これにより、揺動部材55の揺動を検知センサ59により検知することができる。
【0040】
この時、揺動部材55の揺動軸55aと検知バー51との左右方向の距離L1が、検知バー52を支持する貫通孔42a(第2支持部)と検知バー51との左右方向の距離L2よりも小さく形成される。これにより、揺動部材55の揺動角度を検知バー51の前後方向の傾斜角度よりも大きくすることができる。このため、検知バー52の前後方向の傾斜が小さくても、揺動部材55の揺動を検知センサ59により確実に検知することができる。
【0041】
図3図6に示すように、検知バー51または検知バー52に障害物が接触すると、検知バー51、52が傾斜する。即ち、上端を支持される検知バー51は一点鎖線51’で示すように、鉛直に対して下端側を出口面2b(図1参照)側に傾斜する。外端を支持される検知バー52は一点鎖線52’で示すように、内端側を出口面2b側に傾斜する。また、揺動部材55はボールジョイント54により検知バー51に対して傾斜可能であるため、検知バー51に追随して一点鎖線55’に示すように揺動軸55aを支点に揺動する。
【0042】
この時、検知バー51の傾斜によって検知バー51の下端が上昇するため、連結部材53が一点鎖線53’で示すように上下方向に回動して検知バー52に対する傾斜角度を変える。これにより、検知バー51、検知バー52、連結部材53及び揺動部材55が円滑に姿勢を変えることができる。
【0043】
また、検知バー51の上端の縮径部51aが貫通孔41aに遊嵌され、検知バー51の傾斜によりボールジョイント54と貫通孔41aとの距離が増加する。このため、検知バー51は周方向に若干回転するとともに、検知バー51の上端は若干降下する。また、検知バー52の外端の縮径部52aが貫通孔42aに遊嵌される。このため、検知バー52及び連結部材53は検知バー51の傾斜によって検知バー52の周方向に若干回転し、検知バー52の外端は左右方向に若干移動する。従って、検知バー51、検知バー52、連結部材53及び揺動部材55がより円滑に姿勢を変えることができる。
【0044】
上記構成の洗車機1において、ユーザが運転して被洗浄車両70をリモートパネル7の面前で停車させ、被洗浄車両70の洗車条件の設定を被洗浄車両70内から行う。洗車条件を設定した後、ユーザは所定の洗浄開始位置まで被洗浄車両70を移動させる。
【0045】
リモートパネル7の操作により、水洗いコース、シャンプーコース、コーティングコースを選択することができる。水洗いコースは回転ブラシを回転して水ノズル12、13、15から市水の洗浄水を噴射し、被洗浄車両70を水洗いする。シャンプーコースは回転ブラシを回転して洗剤ノズル11から洗剤を含む洗浄水を噴射し、被洗浄車両70を洗浄する。この時、水ノズル12、13から市水の洗浄水を噴射して被洗浄車両70の予備洗浄及び洗剤のすすぎが行われる。コーティングコースはシャンプーコースと同様に被洗浄車両70を洗浄した後、被洗浄車両70にコーティング剤を塗布する。
【0046】
図9図11はシャンプーコースの洗車状態を示す側面図である。シャンプーコースを選択して洗車が開始されると、図9に示すように洗車機本体2が被洗浄車両70の後方(矢印E1)に所定の走行速度(例えば、5m/min)で移動して第1往路工程が行われる。第1往路工程では車形センサ9により被洗浄車両70の形状を検出しながら、各回転ブラシが回転して被洗浄車両70の前後面及び上面が洗浄される。
【0047】
この時、トップブラシ4に先行する洗剤ノズル11から洗剤の洗浄水S2が噴射される。また、洗剤ノズル11に先行する水ノズル12から市水の洗浄水S1が噴射され、トップブラシ4に後行する水ノズル13から市水の洗浄水S1が噴射される。これにより、洗浄水S1により濡れた被洗浄車両70の車体面にトップブラシ4及びサイドブラシ5が摺動し、洗剤を含む洗浄水S2による洗浄が行われる。
【0048】
被洗浄車両70の後面まで洗浄が終了すると、図10に示すように洗車機本体2が反転して被洗浄車両70の前方(矢印E2)に移動する第1復路工程が行われる。第1復路工程では回転ブラシが回転しながら水ノズル12、13から市水の洗浄水S1が噴射される。これにより、被洗浄車両70を水洗いして洗剤のすすぎ洗浄が行われる。
【0049】
被洗浄車両70の前面まで洗浄が終了すると第1復路工程が終了し、回転ブラシの回転が停止される。そして、図11に示すように洗車機本体2が反転して被洗浄車両70の後方(矢印E1)に移動する第2往路工程が行われる。第2往路工程はトップ送風ノズル21及びサイド送風ノズル22から空気流K1を送出し、被洗浄車両70を乾燥させる。第2往路工程が終了すると洗車が終了し、被洗浄車両70は前方に退出する。
【0050】
洗車の開始時に被洗浄車両70が左右方向にずれて停車されると、洗車開始により移動する洗車機本体2の検知バー51と被洗浄車両70の側端部とが接触する。また、移動する洗車機本体2の進路上に人や異物等の障害物があった場合に障害物と検知バー52とが接触する。これらの場合に、検知バー51及び検知バー52が傾斜して揺動部材55が揺動し、検知センサ59により検知される。これにより、洗車機本体2の移動が停止される。
【0051】
また、洗車中に移動する洗車機本体2の進路内に人が接近してワイヤ44に接触すると、ワイヤ44が引っ張られる。このため、ワイヤ44の上端部が降下して検知センサ45により検知される。これにより、洗車機本体2の移動が停止される。従って、安全装置40によって洗車機1の安全性が確保される。
【0052】
本実施形態によると、検知バー51(第1検知バー)と被洗浄車両70との接触及び検知バー52(第2検知バー)と障害物との接触が揺動部材55の揺動によって同じ検知センサ59により検知される。これにより、洗車機1のコスト増加を抑制して安全性を向上することができる。
【0053】
この時、連結部材53が検知バー52に対して傾斜して両端を検知バー51、52にそれぞれ前後方向の軸線周りに回転可能に取り付けられる。また、揺動部材55が連結部材53の上方でボールジョイント54を介して検知バー51に連結される。これにより、検知バー51、検知バー52、連結部材53及び揺動部材55が円滑に姿勢を変えることができる。従って、障害物等との接触時に確実に揺動部材55が揺動して検知センサ59により検知することができる。
【0054】
尚、揺動部材55と検知バー51との連結にボールジョイント54を用いているが自在継手であればよく、フック形軸継手等を用いてもよい。ボールジョイント54を用いると、揺動部材55に対して検知バー51の向きを円滑に変えることができるためより望ましい。
【0055】
また、貫通孔41a(第1支持部)により検知バー51が上下移動可能及び周方向に回転可能に支持され、貫通孔42a(第2支持部)により検知バー52の外端部が左右移動可能及び周方向に回転可能に支持される。これにより、検知バー51、検知バー52、連結部材53及び揺動部材55がより円滑に姿勢を変えることができる。
【0056】
また、延設部材41(第1延設部材)に設けた貫通孔41a(第1貫通孔)に検知バー51の上端部が遊嵌される。これにより、検知バー51を傾斜可能、上下移動可能及び周方向の回転可能に容易に支持することができる。また、延設部材42(第2延設部材)に設けた貫通孔42a(第2貫通孔)に検知バー52の外端部が遊嵌される。これにより、検知バー52を傾斜可能、左右移動可能及び周方向の回転可能に容易に支持することができる。
【0057】
また、揺動部材55の揺動軸55aと検知バー51との左右方向の距離L1が、貫通孔42a(第2支持部)と検知バー51との左右方向の距離L2よりも小さく形成される。このため、検知バー52の前後方向の傾斜が小さくても、揺動部材55の揺動を検知センサ59により確実に検知することができる。
【0058】
本実施形態において、検知バー51及び検知バー52を備えた安全装置40を洗車機本体2の入口面2a側だけでなく出口面2b側にも設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明によると、安全装置を備えた洗車機に利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 洗車機
2 洗車機本体
2a 入口面
2b 出口面
2c 天井部
2d スタンド部
2d 天井部
3 車輪
4 トップブラシ
5 サイドブラシ
6 ロッカーブラシ
7 リモートパネル
8 操作パネル
9 車形センサ
11 洗剤ノズル
12、13、15 水ノズル
16、17 コートノズル
20 ブロア
21 トップ送風ノズル
22 サイド送風ノズル
40 安全装置
41、42、43 延設部材
41a、42a 貫通孔
44 ワイヤ
45 検知センサ
51、52 検知バー
51a、52a 縮径部
53 連結部材
53a、53b 軸部
54 ボールジョイント
55 揺動部材
55a 揺動軸
55b 対向部
56 アングル
57 支持部材
58 蝶番
59 検知センサ
60 レール
70 被洗浄車両
G 地面
K1 空気流
S1、S2 洗浄水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11