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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】ホルダ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20230711BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20230711BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
B60R11/02 T
B60N3/00 Z
B60R7/04 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020158741
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052377
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 直行
(72)【発明者】
【氏名】小澤 悦雄
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-163491(JP,A)
【文献】特開2004-58731(JP,A)
【文献】特開2016-055829(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0148130(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/00 - 11/06
B60N 3/00
B60R 7/04
H04M 1/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状をなし上方を向く出し入れ開口を有するアウタケースと、
モバイル端末を載置可能な載置部を有し、前記アウタケースの内部に配置され、上昇および下降可能な昇降トレイと、
前記昇降トレイに一体化され、前記アウタケースの内部において前記載置部の上側に突出する突出位置と、前記突出位置に比べてその突出量が小さい退避位置と、の間を位置変化可能なサポート体と、
前記昇降トレイを下降した状態でロックするロック要素と、
前記昇降トレイの上昇に伴って前記サポート体を前記退避位置に向けて位置変化させ、前記昇降トレイの下降に伴って前記サポート体を前記突出位置に向けて位置変化させる、サポート位置規制要素と、を具備し、
前記サポート体は、前記サポート位置規制要素に接続されるサポートアウタと、前記サポートアウタに接続され前記載置部の上側中央部を向くサポートインナと、前記サポートアウタと前記サポートインナとの間に挟まれ前記サポートインナを前記載置部の上側中央部に向けて付勢するサポート付勢要素と、を具備する、ホルダ装置。
【請求項2】
前記アウタケースは、さらに、側方を向くサイド開口を有する、請求項1に記載のホルダ装置。
【請求項3】
前記サポート体は、前記昇降トレイに枢支されるサポート回動軸を中心として回動し、
前記サポート位置規制要素は、
前記アウタケースに設けられ、溝状をなし、前記アウタケースの外上側から内下側に向けて延び外下側に向けて膨出する弧状をなす回動ガイド部と、
前記サポート回動軸を中心とする円の円弧上に配置され、前記サポートアウタに設けられ前記回動ガイド部内をスライドするガイドピンと、を具備し、
前記昇降トレイが下降すると、前記ガイドピンが前記回動ガイド部の外上端部から内下端部に位置変化して、前記サポート体が前記退避位置から前記突出位置に位置変化し、
前記昇降トレイが上昇すると、前記ガイドピンが前記回動ガイド部の内下端部から外上端部に位置変化して、前記サポート体が前記突出位置から前記退避位置に位置変化する、請求項1または請求項2に記載のホルダ装置。
【請求項4】
前記昇降トレイが最も上昇した状態にあるとき、前記サポート体は、前記載置部よりも上側かつ前記載置部よりも外側にある前記退避位置にあり、前記載置部に載置した前記モバイル端末に当接せず、
前記載置部に前記モバイル端末を載置した前記昇降トレイを下降させると、前記サポート体は、前記突出位置に位置変化して前記載置部に載置した前記モバイル端末の表面に当接する、請求項1~請求項3の何れか一項に記載のホルダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモバイル端末を保持するためのホルダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンや携帯電話、タブレット型端末等のモバイル端末の普及に伴い、これらモバイル端末を一時的に保持するためのホルダ装置の需要が高まっている。例えば、特許文献1および特許文献2には、車載用のホルダ装置が紹介されている。
【0003】
当該ホルダ装置には、モバイル端末を安定的に保持する機能が期待される。単に、板状をなすホルダ装置にモバイル端末を載置する場合や、箱状をなすホルダ装置にモバイル端末を差し込む場合には、例えば当該ホルダ装置を車両に搭載する場合等のホルダ装置およびモバイル端末に外力が作用する場合には、ホルダ装置によってモバイル端末を安定的に保持し難い場合がある。
【0004】
特許文献1には、ホルダ装置のうちモバイル端末の底部を支持する底壁面にラバーマット23を敷設する旨、および、当該ラバーマット23はモバイル端末30の下部前側縁と係止可能な突起24を備える旨が開示されている。また、特許文献2にも、モバイルホルダのリブ23がモバイル端末24の下部前側縁と係止している様子が図示されている。
ホルダ装置やモバイル端末に作用した外力が比較的小さい場合には、上記の突起24やリブ23等によってモバイル端末の下部を支持することで、ホルダ装置によってモバイル端末を安定的に保持できると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-55829号公報
【文献】特開2019-214226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ホルダ装置やモバイル端末に比較的大きな外力が作用した場合には、単に突起等によってモバイル端末の下部を支持するだけでは、モバイル端末を安定的に保持できない場合もある。
本発明の発明者は、比較的大きな外力に対抗してモバイル端末を安定的に保持するために、モバイル端末を挟み込むサポート体をホルダ装置に設けることを志向した。
【0007】
モバイル端末をサポート体によって挟み込む場合には、モバイル端末の下部を単なる突起等によって支持する場合に比べて、大きな外力に耐え得ると考えられる。しかしこの場合、モバイル端末にはサポート体からの外力が作用するために、サポート体によってモバイル端末の表面が傷つけられる虞がある。
【0008】
例えば、サポート体でモバイル端末を挟みつつ箱状をなすホルダ装置にモバイル端末を差し込む場合には、モバイル端末の表面とサポート体とが擦れ合って、モバイル端末表面が傷つく虞がある。また、例えば、サポート体によってモバイル端末を挟み込んだ状態でモバイル端末をホルダ装置に保持しているときに、ユーザーがホルダ装置からモバイル端末を引き抜いた場合にも、モバイル端末の表面とサポート体とが擦れ合って、モバイル端末表面が傷つく虞がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、モバイル端末表面の傷付きを抑制しつつ当該モバイル端末を安定的に保持できるホルダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明のホルダ装置は、
箱状をなし上方を向く出し入れ開口を有するアウタケースと、
モバイル端末を載置可能な載置部を有し、前記アウタケースの内部に配置され、上昇および下降可能な昇降トレイと、
前記昇降トレイに一体化され、前記アウタケースの内部において前記載置部の上側に突出する突出位置と、前記突出位置に比べてその突出量が小さい退避位置と、の間を位置変化可能なサポート体と、
前記昇降トレイを下降した状態でロックするロック要素と、
前記昇降トレイの上昇に伴って前記サポート体を前記退避位置に向けて位置変化させ、前記昇降トレイの下降に伴って前記サポート体を前記突出位置に向けて位置変化させる、サポート位置規制要素と、を具備し、
前記サポート体は、前記サポート位置規制要素に接続されるサポートアウタと、前記サポートアウタに接続され前記載置部の上側中央部を向くサポートインナと、前記サポートアウタと前記サポートインナとの間に挟まれ前記サポートインナを前記載置部の上側中央部に向けて付勢するサポート付勢要素と、を具備する、ホルダ装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のホルダ装置によると、モバイル端末表面の傷付きを抑制しつつ当該モバイル端末を安定的に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1のホルダ装置を分解した様子を模式的に表す説明図である。
図2】実施例1のホルダ装置を分解した様子を模式的に表す説明図である。
図3】実施例1のホルダ装置が動作している様子を模式的に表す説明図である。
図4】実施例1のホルダ装置が動作している様子を模式的に表す説明図である。
図5】実施例1のホルダ装置が動作している様子を模式的に表す説明図である。
図6】実施例1のホルダ装置が動作している様子を模式的に表す説明図である。
図7】実施例1のホルダ装置が動作している様子を模式的に表す説明図である。
図8】実施例1のホルダ装置が動作している様子を模式的に表す説明図である。
図9】実施例1のホルダ装置が動作している様子を模式的に表す説明図である。
図10】実施例1のホルダ装置が動作している様子を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のホルダ装置は、アウタケース、昇降トレイ、サポート体、ロック要素およびサポート位置規制要素を具備する。
【0014】
本発明のホルダ装置は、概していえば、アウタケースの内部にモバイル端末を保持するものである。当該アウタケースの内部には上昇および下降可能な昇降トレイが配置され、モバイル端末は当該昇降トレイの載置部に載置される。
昇降トレイにはサポート体が一体化されている。サポート体は、アウタケースの内部において載置部の上側に突出する突出位置と、当該突出位置に比べてその突出量が小さい退避位置と、の間を位置変化可能である。サポート体が突出位置にあるときに、載置部の上側の空間がサポート体によって狭められる。したがって、サポート体が突出位置にあるときには、載置部に載置されたモバイル端末は、サポート体によって挟み込まれる。
これにより、本発明のホルダ装置はモバイル端末を安定的に保持することが可能である。
【0015】
また、本発明のホルダ装置におけるサポート体は、モバイル端末が載置される昇降トレイに一体化され、サポート位置規制要素によってその位置を規制される。
具体的には、サポート位置規制要素は、昇降トレイの上昇に伴ってサポート体を退避位置に向けて位置変化させ、また、昇降トレイの下降に伴ってサポート体を突出位置に向けて位置変化させる。つまり、昇降トレイが上昇した状態にあるときにはサポート体は退避位置にあり、昇降トレイの上側は解放またはほぼ解放された状態にある。このため、本発明のホルダ装置によると、昇降トレイを上昇させることで、サポート体との干渉を避けつつモバイル端末を昇降トレイの載置部に載置することができる。
【0016】
また、本発明のホルダ装置においては、上昇した状態にある昇降トレイを下降させると、サポート位置規制要素がサポート体を突出位置に向けて位置変化させる。したがって、モバイル端末を載置部に載置した昇降トレイを下降させることで、昇降トレイ上のモバイル端末をサポート体によって挟み込むことが可能である。
【0017】
本発明のホルダ装置は、このように、先ず、昇降トレイの載置部にモバイル端末を載置し、その後、昇降トレイおよびモバイル端末とともに昇降するサポート体によってモバイル端末を挟み込むために、モバイル端末とサポート体とが擦れ合い難い。これにより、本発明のホルダ装置によると、サポート体によってモバイル端末を安定的に保持できるとともに、当該サポート体に起因するモバイル端末の損傷を抑制でき、モバイル端末表面の傷付きを抑制できる。
【0018】
さらに、本発明のホルダ装置におけるサポート体は、上記したサポート位置規制要素に接続されるサポートアウタと、当該サポートアウタに接続され載置部の上側中央部を向くサポートインナと、サポートアウタとサポートインナとの間に挟まれサポートインナを載置部の上側中央部に向けて付勢するサポート付勢要素と、を具備する。
つまり、本発明のホルダ装置においては、昇降トレイの上下方向の位置によってサポート体全体として位置は決定されるものの、当該サポート体の一部であるサポートインナは、当該サポート体の他の一部であるサポートアウタに対して位置変化可能である。これにより、本発明のホルダ装置は多様な形状のモバイル端末に対応し、各種のモバイル端末を安定的に保持することが可能である。
【0019】
なお、既述したように、サポート体は昇降トレイに一体化され昇降トレイとともに昇降するために、当該サポート体の一部であるサポートインナがサポートアウタに対して位置変化しても、当該サポートインナとモバイル端末とが擦れ合い難く、モバイル端末表面の傷付きを抑制できることにかわりはない。
【0020】
さらに、本発明のホルダ装置は、昇降トレイを下降した状態でロックするロック要素を具備する。ロック要素にロックされることで、昇降トレイは下降した状態を維持し、かつ、サポート体は突出位置に維持される。これにより、モバイル端末をサポート体によって挟み込んだ状態を維持することができ、本発明のホルダ装置によってモバイル端末をより一層安定的に保持することが可能である。
【0021】
以下、本発明のホルダ装置をその構成要素ごとに説明する。
なお、本発明のホルダ装置は、その機能を考慮すると、外力の作用する環境で使用するのが好ましく、特に、車両用のホルダ装置として好適である。
【0022】
本発明のホルダ装置におけるアウタケースは、箱状をなし上方を向く出し入れ開口を有する。アウタケースの内部はモバイル端末を保持するための収容空間として機能する。また、アウタケースの出し入れ開口は、モバイル端末の差し込み口および取り出し口として機能する。
【0023】
アウタケースの材料や形状は特に限定されない。アウタケースは、他の部材や装置等に一体化しても良い。例えば、本発明のホルダ装置を車両に搭載する場合、アウタケースはセンターコンソールボックス等の車両用内装部材に一体化しても良い。
アウタケースは、全体として箱状をなせば良く、有底の箱状であっても良いし無底の箱状であっても良い。
【0024】
また、アウタケースは、上方を向く出し入れ開口の他に、側方を向くサイド開口を有しても良い。アウタケースがサイド開口を有することにより、当該サイド開口を通じてアウタケースの内部に外部からアクセス可能となる。これにより、本発明のホルダ装置に保持した状態のモバイル端末の画面を、当該サイド開口を通じてホルダ装置の外部から視認できる利点がある。
さらに、アウタケースにサイド開口を設けることで、アウタケースの内部に配置されている昇降トレイを容易に掃除できる利点もある。
【0025】
サイド開口は、出し入れ開口と連通し一体化しているのが好ましい。この場合には、本発明のホルダ装置に保持したモバイル端末の画面の全体または略全体が視認可能となる利点がある。
サイド開口は一つのみであっても良いし複数であっても良いが、アウタケースの強度を考慮すると一つのみであるのが好ましい。
さらに、サイド開口を通じてホルダ装置の外部からモバイル端末の画面を視認することを考慮すると、サイド開口は、サポート体と交差する方向を向くのが好ましい。
【0026】
昇降トレイの材料や形状もまた特に限定されず、モバイル端末を載置可能な部分すなわち載置部を有し、かつアウタケースの内部に配置可能であれば良い。昇降トレイの好ましい形状として、例えば、板状や箱状、トレイ状等が挙げられる。モバイル端末を安定的に保持することを考慮すると、載置部の上面は凹凸形状を有したり、摩擦抵抗の大きな材料で構成したりするのが望ましいが、本発明のホルダ装置においてはモバイル端末をサポート体で挟み込むために、載置部の上面は単なる平面状であっても良い。
【0027】
サポート体は、昇降トレイに一体化される。本発明のホルダ装置において、サポート体の数は特に限定されない。
本発明のホルダ装置がサポート体を複数有する場合には、当該複数のサポート体によってモバイル端末を挟み込むことができる。また、サポート体が一つのみである場合には、箱状をなすアウタケースの側壁と当該一つのサポート体とでモバイル端末を挟み込むことができる。
【0028】
サポート体は、サポートアウタ、サポートインナおよびサポート付勢要素を具備する。このうちサポートアウタは後述するサポート規制要素に接続され、サポートインナはサポートアウタに接続されるとともに載置部の上側中央部を向く。サポートアウタおよびサポートインナは、載置部の上側において、その外側部から中央部に向けて、サポートアウタ、サポートインナの順で配列するともいい得る。
【0029】
サポートアウタおよびサポートインナの形状は特に限定されない。
サポートアウタとサポートインナとの接続機構もまた特に限定されない。但し、サポートインナは、サポート付勢要素によって載置部の上側中央部に向けて付勢されることから、サポートインナは載置部の上側中央部に向けて突出するようサポートアウタに対して位置変化するといい得る。したがって、サポートアウタとサポートインナとの接続機構は、当該位置変化を許容する機構である必要がある。当該接続機構の一例として、サポートインナがサポートアウタに対して回動することで、サポートアウタに対するサポートインナの突出量が変化する機構を例示することができる。また、当該接続機構の他の一例として、サポートインナがサポートアウタに対してスライドすることで、サポートアウタに対するサポートインナの突出量が変化する機構を例示することができる。
【0030】
サポート付勢要素は、サポートアウタとサポートインナとの間に挟まれてサポートインナを載置部の上側中央部に向けて付勢できれば良い。このようなサポート付勢要素としては、例えば、つる巻きバネやねじりコイルバネ等のバネが好適である。
【0031】
サポート体は、突出位置と退避位置との間を位置変化可能であり、サポート位置規制要素によって位置規制される。このうちサポート体の突出位置は、アウタケースの内部において昇降トレイの上側に突出する位置である。また、退避位置は、当該突出位置に比べてその突出量が小さい位置である。
サポート体が退避位置にあるときには、昇降トレイの上側が解放され、昇降トレイの上側に比較的大きな空間が形成される。これにより、サポート体が退避位置にあるときには、サポート体との干渉を避けつつ、昇降トレイの載置部にモバイル端末を載置することが可能である。
また、サポート体が突出位置にあるときには、昇降トレイの上側にサポート体が突出することで、昇降トレイの上側の空間が狭められる。これにより、モバイル端末の可動域が小さくなりまたはなくなり、ホルダ装置によってモバイル端末を安定に保持することが可能である。
【0032】
また、本発明のホルダ装置におけるサポート体は、モバイル端末が載置される昇降トレイに一体化され、サポート位置規制要素によってその位置を規制される。
具体的には、サポート位置規制要素は、昇降トレイの上昇に伴ってサポート体を退避位置に向けて位置変化させ、また、昇降トレイの下降に伴ってサポート体を突出位置に向けて位置変化させる。つまり、昇降トレイが上昇した状態にあるときにはサポート体は退避位置にあり、昇降トレイの上側は解放またはほぼ解放された状態にある。このため、本発明のホルダ装置によると、昇降トレイを上昇させたときに、モバイル端末を昇降トレイの載置部に載置することができるといい得る。
【0033】
サポート位置規制要素は、昇降トレイの上昇に伴ってサポート体を退避位置に向けて位置変化させ、かつ、昇降トレイの下降に伴ってサポート体を突出位置に向けて位置変化させるものである。このようなサポート位置規制要素の動作機構は特に限定されないが、例えば、サポート体に配置されたピンと、アウタケースに配置されピンをガイドすることでサポート体の位置を規制する溝やレールと、の組み合わせを採用することができる。また、例えば、サポート体に配置されたピニオンと、アウタケースに配置され当該ピニオンに噛み合うラックと、の組み合わせを採用することもできる。本発明のホルダ装置におけるサポート位置規制要素としては、これらの組み合わせに限らず、様々な動作機構を採用し得る。
【0034】
ロック要素は、昇降トレイを下降した状態でロックできれば良い。当該ロック要素のロック機構は特に限定されないが、既知のプッシュロック機構を採用するのが好適である。
その他、本発明のホルダ装置は、昇降トレイを上昇させるトレイ付勢要素を備えるのが好ましい。トレイ付勢要素を設けることにより、ロック要素のロックを解除すると、昇降トレイの上昇と退避位置へのサポート体の位置変化とが自動的になされる。このため、ユーザーは本発明のホルダ装置に保持していたモバイル端末を容易に取り出すことができ、本発明のホルダ装置の利便性が高まる。
また、トレイ付勢要素を設けることにより、モバイル端末が載置されていないときには、昇降トレイが上昇した状態が維持され、ユーザーは本発明のホルダ装置にモバイル端末を容易に保持させることができる。このことによっても、本発明のホルダ装置の利便性が高まる。
【0035】
さらに、本発明のホルダ装置は、モバイル端末を充電するための充電要素を備えるのが好ましい。充電要素は、本発明のホルダ装置に保持されたモバイル端末を充電できるものであるのが好ましい。
充電要素は、有線方式のものであってもよいし無線方式のものであっても良い。利便性を考慮すると、充電要素は無線方式のものであるのが好ましい。
【0036】
ここで、例えば、無線方式の充電要素として電磁誘導方式のものを採用する場合、充電効率を考慮すると、モバイル端末に配設されているコイルと、ホルダ装置に配設されているコイルとが重なり合うように、ホルダ装置に対するモバイル端末の位置を規制するのが好ましい。
【0037】
本発明のホルダ装置によると、サポート体によってモバイル端末を挟み込むために、サポート体によってモバイル端末の位置を適宜適切に規制することが可能である。このため、本発明のホルダ装置は、充電要素を有するホルダ装置として好適である。
【0038】
充電要素を有する本発明のホルダ装置は、さらに、モバイル端末をホルダ装置に保持したときに、充電要素を自動的にオン/オフするスイッチ機構を有するのが好ましい。これにより本発明のホルダ装置の利便性がさらに高まる。なお、この場合、必要に応じて充電要素またはスイッチ機構に、モバイル端末が満充電されたときに充電を自動的にオフするオフ機構を設けるのが好適である。モバイル端末自体が当該オフ機構を備える場合にはこの限りではない。
【0039】
以下、具体例を挙げて本発明のホルダ装置を説明する。
【0040】
(実施例)
実施例のホルダ装置は、車両に搭載されるものである。
実施例1のホルダ装置を分解した様子を模式的に表す説明図を図1図2に示す。実施例1のホルダ装置が動作している様子を模式的に表す説明図を図3図10に示す。
以下、実施例において上、下、左、右、前、後とは各図に示す上、下、左、右、前、後を意味するものとする。このうち上、下は鉛直方向における上、下と一致し、前、後は車両進行方向の前側および後側と一致する。
【0041】
実施例のホルダ装置1は、図1に示すアウタケース2、図2に示す昇降トレイ3、図2に示す二つのサポート体4、図2に示すロック要素50、図1および図2に示すサポート位置規制要素6、図2に示すトレイ付勢要素55、ならびに、図9および図10に示す充電要素7を具備する。
【0042】
図1に示すように、アウタケース2は、略板状をなすベース部20と、略箱状をなすカバー部21とが組み立てられて一体化されたものであり、全体として概略箱状をなす。
ベース部20には充電ユニット取付部22と、溝状をなす二つのトレイガイド溝23とが設けられている。充電ユニット取付部22は後述する充電ユニット70を取り付けるための部分である。
【0043】
実施例のホルダ装置1におけるベース部20には、サポート位置規制要素6の一部である二つのサポートガイド溝60(60L1、60R1)が設けられている。二つのサポートガイド溝60は、溝状をなし、ベース部20の上側部分において左右に離れて配置されている。二つのサポートガイド溝60のうち左側にあるものをサポートガイド溝60L1と称し、右側にあるものをサポートガイド溝60R1と称する。
サポートガイド溝60L1は上側に位置する回動ガイド部65と、当該回動ガイド部65の下端に連続する下降ガイド部66とを有する。回動ガイド部65は、左上側から右下側に向けて延び左下側に向けて膨出する略弧状をなす。下降ガイド部66は、上下方向に延びる直状をなす。
サポートガイド溝60R1はサポートガイド溝60L1と左右対称な形状をなし、サポートガイド溝60L1と左右対称な回動ガイド部65および下降ガイド部66を有する。
【0044】
二つのトレイガイド溝23は、上記した二つのサポートガイド溝60L1、60R1よりも下側かつやや中央寄りに配置されている。各トレイガイド溝23は上下方向に延びる溝状をなす。
【0045】
充電ユニット取付部22は、前後方向に貫通する窓状をなし、左右方向において二つのサポートガイド溝60L1、60R1および二つのトレイガイド溝23の間に配置され、かつ二つのトレイガイド溝23の上側に配置されている。
【0046】
カバー部21は、左側壁21L、右側壁21R、前側壁21F、後側壁21REおよび底壁21Bを有する箱状をなす。カバー部21は、上方を向く出し入れ開口25を有する。左側壁21L、右側壁21R、前側壁21F、後側壁21REおよび底壁21Bにより区画されたカバー部21の内部は、アウタケース2の内部とも言い得る。出し入れ開口25は、当該アウタケース2の内部に連絡する。
さらに、カバー部21の後側壁21REにおける上側部分には、窓状をなす開口が設けられている。当該開口をサイド開口26と称する。サイド開口26もまたアウタケース2の内部に連絡する。
【0047】
実施例のホルダ装置1におけるカバー部21には、サポート位置規制要素6の一部である二つのサポートガイド溝60L2、60R2が設けられている。
二つのサポートガイド溝60L2、60R2は、カバー部21のうち後側壁21REに設けられ、出し入れ開口25およびサイド開口26を挟んで左右に配置されている。二つのサポートガイド溝60L2、60R2のうち左側にあるものをサポートガイド溝60L2と称し、右側にあるものをサポートガイド溝60R2と称する。
サポートガイド溝60L2は、サポートガイド溝60L1と略同形の溝状をなし、サポートガイド溝60L1の後側においてサポートガイド溝60L1に対面している。また、サポートガイド溝60R2は、サポートガイド溝60R1と略同形の溝状をなし、サポートガイド溝60R1の後側においてサポートガイド溝60R1に対面している。サポートガイド溝60L2、60R2もまた、各々、回動ガイド部65および下降ガイド部66を有する。
【0048】
図2に示すように、昇降トレイ3は、左側壁31L、右側壁31R、前側壁31F、後側壁31REおよび底壁31Bを有する箱状をなす。このうち後側壁31REにおける上側部分には、窓状をなす開口が設けられている。当該開口をトレイ側サイド開口36と称する。
【0049】
底壁31Bの上面には、滑り止め用のシリコンゴムが貼られている。これにより、底壁31Bの上面にはモバイル端末90を載置するための載置部35が形成されている。
【0050】
実施例のホルダ装置1における昇降トレイ3には、二つのトレイガイドピン(図略)、および、四つのサポート通過溝30L1、30R1、30L2、30R2が形成されている。各サポート通過溝30L1、30R1、30L2、30R2は各々溝状をなす。
【0051】
このうち二つのサポート通過溝30L1、30R1は、前側壁31Fに設けられ、他の二つのサポート通過溝30L2、30R2は後側壁31REに設けられている。後側壁31REに設けられている二つのサポート通過溝30L2、30R2は、トレイ側サイド開口36を挟んで左右に配置されている。前側壁31Fに設けられているサポート通過溝30L1は、サポート通過溝30L2と略同形状であり、サポート通過溝30L2の前側においてサポート通過溝30L2に対面している。前側壁31Fに設けられているサポート通過溝30R1は、サポート通過溝30R2と略同形状であり、サポート通過溝30R2の前側においてサポート通過溝30R2に対面している。
【0052】
サポート通過溝30L1、30L2は略同形状をなす。具体的には、サポート通過溝30L1、30L2は、左上側から右下側に向けて延び左下側に向けて膨出する円弧状をなす。サポート通過溝30R1、30R2は、サポート通過溝30L1、30L2と左右対称な円弧状をなす。
【0053】
さらに、前側壁21Fおよび後側壁21REは、各サポート通過溝30(30L1、30R1、30L2、30R2)よりも上側、かつ、円弧状をなす各サポート通過溝30の中心に、各々、貫通孔状のサポート枢支軸32を有する。昇降トレイ3は4つのサポート枢支軸32を有し、このうち二つのサポート枢支軸32は載置部35よりも左側に配置され、他の二つのサポート枢支軸32は載置部35よりも右側に配置されているともいえる。
各サポート枢支軸32は、後述するサポート回動軸44(より具体的には回動ロッド42)を枢支する。
【0054】
図略のトレイガイドピンは、昇降トレイ3の前側壁21Fから前側に延びている。各トレイガイドピンは、左右に離れている。
【0055】
図2に示すように、二つのサポート体4は、各々、サポートアウタ40、サポートインナ41、およびサポート付勢要素48を有する。一方のサポート体4であるサポート体4Lは左側に配置され、他方のサポート体4であるサポート体4Rは右側に配置されている。二つのサポート体4は左右対称の形状をなす。以下、左側のサポート体4Lについて詳細に説明する。
【0056】
サポート体4Lのサポートアウタ40およびサポートインナ41は、各々、略扇型の箱状をなす。サポートインナ41はサポートアウタ40よりもやや小型であり、サポートアウタ40よりも右側に配置され、サポートアウタ40に嵌まり込む。サポートインナ41は前後方向に延びるロッド状の回動ロッド42を有する。サポートアウタ40は貫通孔状のロッド枢支孔43を有する。回動ロッド42がロッド枢支孔43に挿通され、サポートアウタ40とサポートインナ41とが一体化される。
サポートアウタ40およびサポートインナ41を含むサポート体4は、回動ロッド42およびロッド枢支孔43で構成されるサポート回動軸44を中心として回動可能である。
【0057】
実施例のホルダ装置1において、サポートアウタ40には、サポート位置規制要素6の一部であるガイドピン61が設けられている。これにより、サポートアウタ40はサポート位置規制要素6に接続される。ガイドピン61は、ロッド枢支孔43を中心とする円の円弧上に配置され、前後方向に延びる。
【0058】
サポート付勢要素48は、ねじりコイルバネであり、圧縮状態でサポート回動軸44に外装されている。サポート付勢要素48の一端部はサポートアウタ40に固定され、他端はサポートインナ41に固定されている。サポート付勢要素48はサポートインナ41をサポートアウタ40から離れる側、すなわち内側(または右側)に向けて付勢する。
右側に位置するサポート体4Rもまた、サポート体4Lと同様のサポートアウタ40、サポートインナ41、およびサポート付勢要素48を有する。サポート体4Rのサポートアウタ40にもガイドピン61が設けられている。
【0059】
各サポート体4は昇降トレイ3に取り付けられる。より具体的には、サポート体4Lのサポート回動軸44は左側のサポート枢支軸32に枢支され、サポート体4Rのサポート回動軸44は、右側のサポート枢支軸32に枢支される。これにより、サポート体4Lおよびサポート体4Rは、昇降トレイ3の前側壁21Fと後側壁21REとの間に配置される。
サポート枢支軸32は昇降トレイ3の載置部35よりも上側に配置されるために、当該サポート枢支軸32に枢支されるサポート体4もまた載置部35の上側に配置される。
サポート体4Lのサポートインナ41はサポート付勢要素48によって内側(または右側)、すなわち載置部35の上側中央部に向けて付勢されている。サポート体4Rのサポートインナ41もまた同様に、載置部35の上側中央部に向けて付勢されている。
【0060】
サポート体4Lおよびサポート体4Rは、昇降トレイ3に対して回動可能である。
ここで、昇降トレイ3の左側壁31Lの上端および右側壁31Rの上端は、サポート枢支軸32よりも下方にあるため、サポート体4Lは左側壁31Lの上側に配置され、サポート体4Rは右側壁31Rの上側に配置される。したがって、サポート体4Lは、左側壁31Lの上側を通過して載置部35の上側にまで突出可能であり、サポート体4Rは、右側壁31Rの上側を通過して載置部35の上側にまで突出可能である。
【0061】
サポートアウタ40に設けられているガイドピン61は、各々対応するサポート通過溝30に挿入される。より具体的には、サポート体4Lのサポートアウタ40に設けられているガイドピン61は、サポート通過溝30L1、30L2に挿通され、サポート体4Rのサポートアウタ40に設けられているガイドピン61は、サポート通過溝30R1、30R2に挿通されている。ガイドピン61は、各サポート通過溝30を通り抜け、昇降トレイ3の外側に露出する。
【0062】
昇降トレイ3は、アウタケース2に取り付けられ、当該アウタケース2の内部に配置される。このとき、アウタケース2のトレイガイド溝23には昇降トレイ3のトレイガイドピン(図略)が挿入される。トレイガイド溝23は上下に延びているため、昇降トレイ3は上下方向にガイドされる。
また、このとき、昇降トレイ3の外側に露出しているガイドピン61は、各々対応するサポートガイド溝60に挿入される。昇降トレイ3が上昇または下降すると、ガイドピン61はサポートガイド溝60の内部を位置変化する。
【0063】
昇降トレイ3とアウタケース2との間には、トレイ付勢要素55が取り付けられている。図2に示すように、トレイ付勢要素55はつる巻きばね状をなす。上昇した状態にある昇降トレイ3が下降すると、トレイ付勢要素55は伸長して付勢力を蓄積する。当該付勢力によって、トレイ付勢要素55は昇降トレイ3を自動的に上昇させる。
【0064】
さらに、昇降トレイ3およびアウタケース2には、ダンパ要素56およびロック要素50が取り付けられている。
ダンパ要素56は図略のギヤを有するオイルダンパと図略のラックとが組み合わせられたものである。アウタケース2には上下に延びる図略のラックが設けられ、昇降トレイ3に取り付けられたオイルダンパのギヤは、当該ラックに噛合する。ダンパ要素56は、トレイ付勢要素55の付勢力に起因する昇降トレイ3の急速な上昇を抑制する。
【0065】
ロック要素50は、図略のロックピンおよび図略のカム溝が組み合わされたハートカム式のプッシュロック機構である。このうちロックピンは昇降トレイ3に取り付けられ、カム溝はアウタケース2に設けられている。当該ロック要素50により、下降した昇降トレイ3がロックされる。
【0066】
充電要素7は、図9および図10に示すように、充電ユニット70およびスイッチ機構71を有する。充電ユニット70は、図略のコイルを後側に向けつつアウタケース2のベース部20に取り付けられている。
スイッチ機構71は固定側スイッチ75と可動側スイッチ76とで構成されている。固定側スイッチ75は、アウタケース2のベース部20に取り付けられ、かつ、充電ユニット70に電気的に接続されている。可動側スイッチ76は、昇降トレイ3に取り付けられ、かつ、図略の電源に電気的に接続されている。昇降トレイ3が所定の位置にまで下降すると、可動側スイッチ76と固定側スイッチ75とが電気的に接続されて、電源から充電ユニット70への給電がオンされる。
【0067】
実施例のホルダ装置1は、図3に示すように、センターコンソールボックス95に取り付けられ、センターコンソールボックス95の内部に設けられた収容部96に露出する。アウタケース2はサイド開口26を収容部96に向け、昇降トレイ3はトレイ側サイド開口36を収容部96に向ける。これにより、昇降トレイ3の内部に位置する載置部35は、センターコンソールボックス95の収容部96に連絡する。
【0068】
以下、実施例のホルダ装置1の動作を説明する。
先ず、図3および図5に示すように昇降トレイ3が最も上昇した状態にあるとき、サポート体4は昇降トレイ3の載置部35よりも外側にあるために、ホルダ装置1の外部すなわちセンターコンソールボックス95の収容部96側からは視認され難い。このときの昇降トレイ3の位置を上昇位置と称する。
【0069】
昇降トレイ3が上昇位置にある時には、サポート体4Lは昇降トレイ3における左側壁31Lよりも左側にあり、サポート体4Rは昇降トレイ3における右側壁31Rよりも右側にある。このときのサポート体4L、サポート体4Rの位置を退避位置と称する。
【0070】
サポート体4が退避位置にある時には、ガイドピン61は、サポートガイド溝60の回動ガイド部65の外上端部に配置されている。サポート回動軸44とガイドピン61との位置関係により、サポート体4の位置が規制される。
【0071】
なお、昇降トレイ3が上昇位置にある時にも、トレイ付勢要素55により、昇降トレイ3はさらに上昇する方向に付勢されている。しかし、このときガイドピン61は、回動ガイド部65の外上端部にあり、さらに上方には移動できない状態にある。このため、当該ガイドピン61に一体化されているサポート体4および当該サポート体4が取り付けられている昇降トレイ3もまた、さらに上方には移動できない。つまり、ガイドピン61およびサポートガイド溝60は、上昇位置にある昇降トレイ3のストッパとしても機能する。
【0072】
昇降トレイ3が図3に示す上昇位置にある時には、サポート体4は退避位置、具体的には載置部よりも上側、かつ、載置部よりも外側にある。このため、昇降トレイ3における載置部35の上側は解放された状態にある。したがって、このときユーザーは、昇降トレイ3の載置部35にモバイル端末90を載置することができる。
【0073】
ユーザーが、トレイ付勢要素55の付勢力に抗して昇降トレイ3を下方に押圧すると、昇降トレイ3は下降する。このときガイドピン61は、回動ガイド部65によって下方に案内される。すると、サポート体4はサポート回動軸44を中心として回動し、図6に示すように、載置部35の上側に突出する。ガイドピン61が回動ガイド部65の内下端部にまで位置変化すると、サポート体4は突出位置に配置される。図7に示すように、サポート体4が突出位置にある時の載置部35の上側におけるサポート体4の突出量は、サポート体4が退避位置にある時の当該突出量よりも大きい。具体的には、本実施例では退避位置にあるサポート体4の突出量はゼロである。このため、サポート体4を突出位置に配置することで、当該サポート体4によってモバイル端末90を挟み込むことができ、実施例のホルダ装置1によってモバイル端末90を安定的に保持することができる。
【0074】
ガイドピン61が回動ガイド部65の内下端部にまで位置変化した後、さらに昇降トレイ3を下降させると、ガイドピン61は下降ガイド部66に入り、下方に向けてガイドされる。昇降トレイ3を最大限下降させると、昇降トレイ3はロック要素50によってロックされる。この時の昇降トレイ3の位置を下降位置と称する。
【0075】
昇降トレイ3が下降位置にある時、図4に示すように、モバイル端末90は、サポート体4によって挟み込まれ、かつ、載置部35によってその底部を支持される。したがって、実施例のホルダ装置1はモバイル端末90を安定的に保持できる。
また、モバイル端末90の背面のうち下側部分は、昇降トレイ3の前側壁31Fによって前側から支持される。さらにこのとき、モバイル端末90はアウタケース2における下側部分に入り込むため、その背面の上側部分はアウタケース2の前側壁21Fによって前側から支持される。加えて、モバイル端末90の画面の下側部分はアウタケース2の後側壁21REによって後側から支持される。
実施例のホルダ装置1は、これらの協働により、より一層安定的にモバイル端末90を保持できる。
【0076】
実施例のホルダ装置1では、モバイル端末90を昇降トレイ3の載置部35に載置したとき、より厳密には、モバイル端末90の底部が昇降トレイ3の載置部35に当接した時点では、サポート体4は退避位置に配置され、モバイル端末90の表面には当接しない。つまりこのとき、サポート体4はモバイル端末90を挟み込まない。
昇降トレイ3が下降して初めて、サポート体4はモバイル端末90の表面に当接する。具体的には、サポート体4は突出位置に向けて位置変化してモバイル端末90を挟み込む。
これにより、実施例のホルダ装置1では、モバイル端末90とサポート体4とが擦れ合うことはなく、モバイル端末表面90Sの傷付きを抑制することが可能である。つまり、実施例のホルダ装置1によると、モバイル端末表面90Sの傷付きを抑制しつつモバイル端末90を安定的に保持することが可能である。
【0077】
なお、サポート体4のサポートインナ41は、サポート付勢要素48の付勢力によって載置部35の上側中央部に向けて付勢されている。したがって、モバイル端末90が大型である場合には、サポート付勢要素48の付勢力に抗して、サポート体4のサポートインナ41が外側に向けて位置変化する(図8)。これにより、実施例のホルダ装置1によると、昇降トレイ3の位置に応じてサポート体4の突出量を変化させ、モバイル端末90とサポート体4とが擦れ合う不具合を低減した上で、さらに、多様な形状のモバイル端末90に対応することが可能となる。
【0078】
また、図3に示すように、昇降トレイ3が上昇位置にあるときにはサポート体4が退避位置にあり、実施例のホルダ装置1は単なる窪みに見える。これにより、実施例のホルダ装置1は優れた意匠性を発揮する。
【0079】
図3に示すように、昇降トレイ3が上昇位置にあるときには、載置部35は、サイド開口26およびトレイ側サイド開口36を通じて実施例のホルダ装置1の外部に露出する。これにより、載置部35の掃除を容易に行い得る利点もある。
【0080】
さらに、図4に示すように、実施例のホルダ装置1によると、サポート体4で挟み込むことによってモバイル端末90の位置を適宜適切に規制できる。これにより、モバイル端末90を図9および図10に示す充電要素7の位置に応じた適切な位置に配置することができ、充電要素7によるモバイル端末90の充電効率を向上させることが可能である。
【0081】
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。また、実施形態を含む本明細書に示した各構成要素は、それぞれ任意に抽出し組み合わせて実施できる。
【符号の説明】
【0082】
1:ホルダ装置
2:アウタケース
25:出し入れ開口
26:サイド開口
3:昇降トレイ
35:載置部
4:サポート体
40:サポートアウタ
41:サポートインナ
44:サポート回動軸
48:サポート付勢要素
50:ロック要素
6:サポート位置規制要素
61:ガイドピン
65:回動ガイド部
90:モバイル端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10